説明

受信装置、無線基地局及び受信方法

【課題】最適化アルゴリズムを用いてウェイトを繰り返し算出する場合において、汎用性が高い方法によって収束速度を向上させる。
【解決手段】受信装置は、アンテナウェイトw*1〜w*Rを用いて受信信号を重み付けする。ウェイト制御部140Aは、アンテナウェイトを更新するアンテナウェイト更新部145Aと、最適化アルゴリズムに従ったアンテナウェイトである仮アンテナウェイトw’を算出する仮アンテナウェイト算出部142Aと、前回のアンテナウェイトwn−1を取得する取得部143Aと、前回のアンテナウェイトから仮アンテナウェイトへの変化傾向に従った今回のアンテナウェイトwを算出するアンテナウェイト算出部144Aとを有する。アンテナウェイト算出部144Aは、前回のアンテナウェイトから今回のアンテナウェイトへの変化量を、前回のアンテナウェイトから仮アンテナウェイトへの変化量よりも増加させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、無線通信環境に適応可能な受信装置、無線基地局及び受信方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、無線通信システムにおいて、無線通信環境に適応した通信を実現するために、アダプティブアレイアンテナや適応等化器を備える受信装置が広く用いられている。
【0003】
アダプティブアレイアンテナは、複数のアンテナ素子からなるアレイアンテナが受信した受信信号を、アンテナウェイトによって重み付けする。これにより、所望波に対するアンテナ利得を増加させるとともに、干渉波に対するアンテナ利得を落ち込ませることができる。
【0004】
適応等化器は、受信信号を複数回遅延させるとともに、遅延させた受信信号を等化ウェイトによって重み付けする。その結果、マルチパス伝搬環境によって歪んだ信号を補正(等化)することができる。
【0005】
以下では、アンテナウェイト及び等化ウェイトを総称して適宜「ウェイト」という。当該ウェイトは、受信信号の位相及び振幅を調整する複素係数である。
【0006】
このようなウェイトの算出には、最小平均二乗誤差(MMSE)規範に基づく最適化アルゴリズム、例えば、LMS(Least Mean Square)やRLS(Recursive Least−Squares)が使用されることが一般的である。
【0007】
このような最適化アルゴリズムでは、重み付け後の受信信号と予め定められた参照信号との誤差(具体的には、平均二乗誤差)が最小となるようにウェイトが繰り返し算出される。以下では、当該誤差が最小となるウェイトを「最適ウェイト」という。
【0008】
ウェイトが最適ウェイトに収束するまでの時間を短縮することを目的として、次のような手法が提案されている(特許文献1参照)。具体的には、特許文献1に記載の手法では、受信装置の構成に合わせて計算式が修正された修正RLSを用いてウェイトが繰り返し算出及び更新される。これにより、1回の更新でウェイトが最適ウェイトに近付く度合い(以下、「収束速度」)が向上する。
【特許文献1】特開2005−5910号公報(請求項1、第1図)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、特許文献1に記載の手法は、特定の構成の受信装置にのみ適用可能であり、一般的な構成の受信装置に適用することができない。また、特定の最適化アルゴリズムにおける計算式自体を修正するため、他の最適化アルゴリズムに適用することができない。
【0010】
つまり、特許文献1に記載の手法では、収束速度を向上させることが可能となる条件が限定されており、汎用性が低い問題があった。
【0011】
そこで、本発明は、上述した課題を解決するためになされたものであり、最適化アルゴリズムを用いてウェイトを繰り返し算出する場合において、汎用性が高い方法によって収束速度を向上させることが可能な受信装置、無線基地局及び受信方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明の第1の特徴は、複数のアンテナ素子(アンテナ素子ANT〜ANT)を有するアレイアンテナ(アレイアンテナ111)と、前記アレイアンテナが受信した受信信号の位相及び振幅を調整するアンテナウェイト(アンテナウェイトw*1〜w*R(*:複素共役))を用いて前記受信信号を重み付けするアンテナ重み付け部(アンテナ重み付け部115)と、前記重み付け後の前記受信信号(出力信号y[k])と、予め定められた参照信号(参照信号d[k])との誤差(誤差信号e[k])を減少させる前記アンテナウェイトを繰り返し算出する最適化アルゴリズムを用いて、前記アンテナウェイトを前記誤差が最小となる最適アンテナウェイトに収束させるウェイト制御部(ウェイト制御部140A)とを備える受信装置(受信装置10A)であって、前記ウェイト制御部は、前記アンテナ重み付け部に設定される前記アンテナウェイトを更新するアンテナウェイト更新部(アンテナウェイト更新部145A)と、前記最適化アルゴリズムに従った前記アンテナウェイトである第1アンテナウェイト(仮アンテナウェイトw’)を算出する第1アンテナウェイト算出部(仮アンテナウェイト算出部142A)と、前記アンテナウェイト更新部によって更新される前の前記アンテナウェイトである更新前アンテナウェイト(前回のアンテナウェイトwn−1)を取得するアンテナウェイト取得部(取得部143A)と、前記更新前アンテナウェイトから前記第1アンテナウェイトへの変化傾向に従った前記アンテナウェイトである第2アンテナウェイト(今回のアンテナウェイトw)を算出する第2アンテナウェイト算出部(アンテナウェイト算出部144A)とを有し、前記第2アンテナウェイト算出部は、前記更新前アンテナウェイトから前記第2アンテナウェイトへの変化量を、前記更新前アンテナウェイトから前記第1アンテナウェイトへの変化量よりも増加させ、前記アンテナウェイト更新部は、前記第2アンテナウェイトを用いて、前記アンテナ重み付け部に設定される前記アンテナウェイトを更新することを要旨とする。
【0013】
このような特徴によれば、最適化アルゴリズムによって算出される第1アンテナウェイトを用いて、第2アンテナウェイトが算出される。第2アンテナウェイトは、更新前アンテナウェイトから第1アンテナウェイトへの変化傾向に従ったアンテナウェイトである。また、第2アンテナウェイトは、第1アンテナウェイトよりも、更新前アンテナウェイトからの変化量が大きい。
【0014】
このため、繰り返し計算を行う最適化アルゴリズムであれば、最適化アルゴリズムの種別と無関係に収束速度を向上させることができる。また、アレイアンテナ及びアンテナ重み付け部を有する受信装置であれば、様々な受信装置に対して適用可能である。
【0015】
したがって、最適化アルゴリズムを用いてアンテナウェイトを繰り返し算出する場合において、汎用性が高い方法によって収束速度を向上させることが可能となる。
【0016】
本発明の第2の特徴は、本発明の第1の特徴に係り、前記第2アンテナウェイト算出部は、前記更新前アンテナウェイトと前記第1アンテナウェイトとの差分値(w’−wn−1)を算出する差分算出部(差分算出部1441A)と、前記差分算出部によって算出された前記差分値に対し、ゼロよりも大きな値である加速因子(加速因子β)を乗算する乗算部(乗算部1442A)と、前記更新前アンテナウェイトと、前記乗算部による乗算結果(β(w’−wn−1))との加算結果(wn−1+β(w’−wn−1))を前記第2アンテナウェイトとして算出する加算部(加算部1443A)とを有することを要旨とする。
【0017】
本発明の第3の特徴は、本発明の第1の特徴に係り、前記ウェイト制御部は、前記アンテナウェイト更新部による更新回数(更新回数n)が所要回数(所要回数nmax)に達したか否かを判定する回数判定部(終了条件判定部146A)と、前記更新回数が前記所要回数に達したと判定された場合に、前記アンテナウェイト更新部による更新を終了させる更新制御部(終了条件判定部146A)とをさらに備えることを要旨とする。
【0018】
本発明の第4の特徴は、本発明の第1の特徴に係り、前記ウェイト制御部は、前記誤差を閾値と比較する閾値比較部(終了条件判定部146A)と、前記誤差が前記閾値を下回った場合に、前記アンテナウェイト更新部による更新を終了させる更新制御部(終了条件判定部146A)とをさらに備えることを要旨とする。
【0019】
本発明の第5の特徴は、本発明の第1の特徴に係り、前記アンテナ重み付け部によって重み付けされた前記受信信号を複数回遅延させるとともに、前記受信信号の位相及び振幅を調整する等化ウェイト(等化ウェイトc*0〜c*M(*:複素共役))を用いて、遅延させた前記受信信号を重み付けする適応等化器(適応等化器120A)をさらに備え、前記ウェイト制御部は、前記適応等化器によって重み付けされた前記受信信号と、前記参照信号との前記誤差を減少させる前記等化ウェイトを繰り返し算出する前記最適化アルゴリズムを用いて、前記等化ウェイトを前記誤差が最小となる最適等化ウェイトに収束させることを要旨とする。
【0020】
本発明の第6の特徴は、本発明の第5の特徴に係り、前記ウェイト制御部は、前記アンテナウェイトと前記等化ウェイトとを交互に算出することを要旨とする。
【0021】
本発明の第7の特徴は、受信信号を複数回遅延させるとともに、前記受信信号の位相及び振幅を調整する等化ウェイト(等化ウェイトc*0〜c*M(*:複素共役))を用いて、遅延させた前記受信信号を重み付けする適応等化器(適応等化器120A)と、前記重み付け後の前記受信信号(出力信号y[k])と、予め定められた参照信号(参照信号d[k])との誤差(誤差信号e[k])を減少させる前記等化ウェイトを繰り返し算出する最適化アルゴリズムを用いて、前記等化ウェイトを前記誤差が最小となる最適等化ウェイトに収束させるウェイト制御部(ウェイト制御部140B)とを備える受信装置(受信装置10B)であって、前記ウェイト制御部は、前記適応等化器に設定される前記等化ウェイトを更新する等化ウェイト更新部(等化ウェイト更新部145B)と、前記最適化アルゴリズムに従った前記等化ウェイトである第1等化ウェイト(仮等化ウェイトc’)を算出する第1等化ウェイト算出部(仮等化ウェイト算出部142B)と、前記等化ウェイト更新部によって更新される前の前記等化ウェイトである更新前等化ウェイト(前回の等化ウェイトcn−1)を取得する等化ウェイト取得部(取得部143B)と、前記更新前等化ウェイトから前記第1等化ウェイトへの変化傾向に従った前記等化ウェイトである第2等化ウェイト(今回の等化ウェイトc)を算出する第2等化ウェイト算出部(等化ウェイト算出部144B)とを有し、前記第2等化ウェイト算出部は、前記更新前等化ウェイトから前記第2等化ウェイトへの変化量を、前記更新前等化ウェイトから前記第1等化ウェイトへの変化量よりも増加させ、前記等化ウェイト更新部は、前記第2等化ウェイトを用いて、前記適応等化器に設定される前記等化ウェイトを更新することを要旨とする。
【0022】
このような特徴によれば、最適化アルゴリズムによって算出される第1等化ウェイトを用いて、第2等化ウェイトが算出される。第2等化ウェイトは、更新前等化ウェイトから第1等化ウェイトへの変化傾向に従った等化ウェイトである。また、第2等化ウェイトは、第1等化ウェイトよりも、更新前等化ウェイトからの変化量が大きい。
【0023】
このため、繰り返し計算を行う最適化アルゴリズムであれば、最適化アルゴリズムの種別と無関係に収束速度を向上させることができる。また、適応等化器を有する受信装置であれば、様々な受信装置に対して適用可能である。
【0024】
したがって、最適化アルゴリズムを用いて等化ウェイトを繰り返し算出する場合において、汎用性が高い方法によって収束速度を向上させることが可能となる。
【0025】
本発明の第8の特徴は、本発明の第7の特徴に係り、前記第2等化ウェイト算出部は、前記更新前等化ウェイトと前記第1等化ウェイトとの差分値(c’−cn−1)を算出する差分算出部(差分算出部1441B)と、前記差分算出部によって算出された前記差分値に対し、ゼロよりも大きな値である加速因子(加速因子α)を乗算する乗算部(乗算部1442B)と、前記更新前等化ウェイトと、前記乗算部による乗算結果(α(c’−cn−1))との加算結果(cn−1+α(c’−cn−1))を前記第2等化ウェイトとして算出する加算部(加算部1443B)とを有することを要旨とする。
【0026】
本発明の第9の特徴は、本発明の第7の特徴に係り、前記ウェイト制御部は、前記等化ウェイト更新部による更新回数(更新回数n)が所要回数(所要回数nmax)に達したか否かを判定する回数判定部(終了条件判定部146B)と、前記更新回数が前記所要回数に達したと判定された場合に、前記等化ウェイト更新部による更新を終了させる更新制御部(終了条件判定部146B)とをさらに備えることを要旨とする。
【0027】
本発明の第10の特徴は、本発明の第7の特徴に係り、前記ウェイト制御部は、前記誤差を閾値と比較する閾値比較部(終了条件判定部146B)と、前記誤差が前記閾値を下回った場合に、前記等化ウェイト更新部による更新を終了させる更新制御部(終了条件判定部146B)とをさらに備えることを要旨とする。
【0028】
本発明の第11の特徴は、本発明の第7の特徴に係り、複数のアンテナ素子(アンテナ素子ANT〜ANT)を有するアレイアンテナ(アレイアンテナ111)と、前記アレイアンテナが受信した受信信号の位相及び振幅を調整するアンテナウェイトを用いて前記受信信号を重み付けするとともに、重み付けした前記受信信号を前記適応等化器に入力するアンテナ重み付け部(アンテナ重み付け部115)とをさらに備え、前記ウェイト制御部は、前記アンテナ重み付け部および前記適応等化器によって重み付けされた前記受信信号と、前記参照信号との前記誤差を減少させる前記アンテナウェイトを繰り返し算出する前記最適化アルゴリズムを用いて、前記アンテナウェイトを前記誤差が最小となる最適アンテナウェイトに収束させることを要旨とする。
【0029】
本発明の第12の特徴は、本発明の第11の特徴に係り、前記ウェイト制御部は、前記アンテナウェイトと前記等化ウェイトとを交互に算出することを要旨とする。
【0030】
本発明の第13の特徴は、本発明の第1〜第12のいずれかの特徴に係る受信装置を備える無線基地局であることを要旨とする。
【0031】
本発明の第14の特徴は、複数のアンテナ素子を有するアレイアンテナと、前記アレイアンテナが受信した受信信号の位相及び振幅を調整するアンテナウェイトを用いて前記受信信号を重み付けするアンテナ重み付け部と、前記重み付け後の前記受信信号と、予め定められた参照信号との誤差を減少させる前記アンテナウェイトを繰り返し算出する最適化アルゴリズムを用いて、前記アンテナウェイトを前記誤差が最小となる最適アンテナウェイトに収束させるウェイト制御部とを用いた受信方法であって、前記アンテナ重み付け部に設定される前記アンテナウェイトを更新するステップと、前記最適化アルゴリズムに従った前記アンテナウェイトである第1アンテナウェイトを算出するステップと、更新される前の前記アンテナウェイトである更新前アンテナウェイトを取得するステップと、前記更新前アンテナウェイトから前記第1アンテナウェイトへの変化傾向に従った前記アンテナウェイトである第2アンテナウェイトを算出するステップとを有し、前記第2アンテナウェイトを算出するステップでは、前記更新前アンテナウェイトから前記第2アンテナウェイトへの変化量を、前記更新前アンテナウェイトから前記第1アンテナウェイトへの変化量よりも増加させ、前記更新するステップでは、前記第2アンテナウェイトを用いて、前記アンテナ重み付け部に設定される前記アンテナウェイトを更新することを要旨とする。
【0032】
本発明の第15の特徴は、受信信号を複数回遅延させるとともに、前記受信信号の位相及び振幅を調整する等化ウェイトを用いて、遅延させた前記受信信号を重み付けする適応等化器と、前記重み付け後の前記受信信号と、予め定められた参照信号との誤差を減少させる前記等化ウェイトを繰り返し算出する最適化アルゴリズムを用いて、前記等化ウェイトを前記誤差が最小となる最適等化ウェイトに収束させるウェイト制御部とを用いた受信方法であって、前記適応等化器に設定される前記等化ウェイトを更新するステップと、前記最適化アルゴリズムに従った前記等化ウェイトである第1等化ウェイトを算出するステップと、更新される前の前記等化ウェイトである更新前等化ウェイトを取得するステップと、前記更新前等化ウェイトから前記第1等化ウェイトへの変化傾向に従った前記等化ウェイトである第2等化ウェイトを算出するステップとを有し、前記第2等化ウェイトを算出するステップでは、前記更新前等化ウェイトから前記第2等化ウェイトへの変化量を、前記更新前等化ウェイトから前記第1等化ウェイトへの変化量よりも増加させ、前記更新するステップでは、前記第2等化ウェイトを用いて、前記適応等化器に設定される前記等化ウェイトを更新することを要旨とする。
【発明の効果】
【0033】
本発明によれば、最適化アルゴリズムを用いてウェイトを繰り返し算出する場合において、汎用性が高い方法によって収束速度を向上させることが可能な受信装置、無線基地局及び受信方法を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0034】
次に、図面を参照して、本発明の第1実施形態〜第3実施形態を説明する。以下の第1実施形態〜第3実施形態における図面の記載において、同一又は類似の部分には同一又は類似の符号を付している。
【0035】
[第1実施形態]
本実施形態では、(1)無線通信システムの全体概略構成、(2)受信装置の構成、(3)ウェイト制御部の動作、(4)作用及び効果、の順に説明する。
【0036】
(1)無線通信システムの全体概略構成
図1は、本実施形態に係る無線通信システムの全体概略構成図である。図1に示す無線通信システムは、無線基地局100A、無線基地局300、無線通信端末200、及び無線通信端末210を有する。
【0037】
無線基地局100A及び無線通信端末200は、IEEE802.16e(WiMAX(登録商標))又はiBurst(登録商標)に基づく無線通信を実行する(iBurstについては、“High Capacity-Spatial Division Multiple Access (HC-SDMA)”,WTSC − 2005 - 032,ATIS/ANSIを参照)。
【0038】
無線基地局300及び無線通信端末210は、無線基地局100A及び無線通信端末200とは異なる又は同じ無線通信方式に準拠している。無線基地局300及び無線通信端末210からも無線信号が放射されるため、無線基地局100Aは、無線通信端末200からの所望波だけでなく、無線基地局300及び無線通信端末210からの干渉波をも受信することになる。
【0039】
無線基地局100Aは、アレイアンテナ111を備え、アレイアンテナ111を用いたアダプティブアレイ制御を行う。具体的には、無線基地局100Aは、無線通信端末200の方向にアレイアンテナ111の指向性を向けて無線通信端末200と通信する。これにより、無線通信端末200からの所望波に対するアンテナ利得を増加させる。
【0040】
また、無線基地局100Aは、無線通信端末210及び無線基地局300の方向に、アレイアンテナ111の指向性が落ち込むようにヌル点を向ける。これにより、無線通信端末210及び無線基地局300からの干渉波に対するアンテナ利得を落ち込ませる。
【0041】
無線通信端末200によって送信される無線信号には、既知の信号系列(以下、既知信号)が含まれている。また、無線基地局100Aには、既知信号と同等の信号系列である参照信号が記憶されている。
【0042】
無線基地局100Aは、既知信号と参照信号との誤差が最小化するようにアダプティブアレイ制御を実行することによって、無線通信環境に適応した通信を実現可能となる。
【0043】
(2)受信装置の構成
図2は、無線基地局100Aに設けられる受信装置10Aの機能ブロック構成図である。図2に示すように、受信装置10Aは、アダプティブアレイアンテナ110、減算器130、及びウェイト制御部140Aを有する。
【0044】
アダプティブアレイアンテナ110は、アレイアンテナ111を用いたアダプティブアレイ制御を行う。
【0045】
減算器130は、アダプティブアレイアンテナ110の出力信号y[k]と参照信号d[k]との誤差を算出し、誤差信号e[k]を出力する(k:サンプル番号)。
【0046】
ウェイト制御部140Aは、例えばトレーニング期間(既知信号期間)において、誤差信号e[k]に応じてアンテナウェイトw*1〜w*R(*:複素共役)を算出する。
【0047】
アンテナウェイトw*1〜w*Rは、アレイアンテナ111が受信した受信信号の位相及び振幅を調整する複素係数である。なお、以下では、アンテナウェイトw*1〜w*Rを総称して適宜「アンテナウェイトw」という。
【0048】
ウェイト制御部140Aは、最小二乗誤差(MMSE)規範に基づく最適化アルゴリズムを用いて、誤差信号e[k](具体例には、平均二乗誤差<|e[k]|2>)を減少させるアンテナウェイトwを繰り返し算出する。
【0049】
これにより、ウェイト制御部140Aは、誤差が最小となる最適アンテナウェイトwoptにアンテナウェイトwを収束させる。
【0050】
また、図2において、wの“n”は、更新回数を表している。wが今回のアンテナウェイトであり、wn−1が前回(直前)のアンテナウェイトである。
【0051】
(2.1)アダプティブアレイアンテナの構成
アダプティブアレイアンテナ110は、アレイアンテナ111及びアンテナ重み付け部115を有する。アレイアンテナ111は、アンテナ素子ANT〜ANTを有する。
【0052】
アンテナ重み付け部115は、複素乗算器112〜112及び加算器113を有する。複素乗算器112〜112は、アンテナ素子ANT〜ANTに対応して設けられる。複素乗算器112〜112は、アンテナ素子ANT〜ANTが受信した受信信号をアンテナウェイトwによって重み付けする。
【0053】
アンテナウェイトwが乗算されることにより、アンテナ素子ANT〜ANTが受信した受信信号の振幅及び位相が制御される。加算器113は、複素乗算器112〜112によって重み付けされた受信信号を合成する。
【0054】
(2.2)ウェイト制御部の構成
ウェイト制御部140Aは、アンテナウェイト記憶部141A、仮アンテナウェイト算出部142A、取得部143A、アンテナウェイト算出部144A、アンテナウェイト更新部145A、及び終了条件判定部146Aを有する。
【0055】
アンテナウェイト更新部145Aは、アンテナ重み付け部115に設定されるアンテナウェイトwを更新する。アンテナウェイト記憶部141Aには、前回のアンテナウェイトwn−1、すなわち、アンテナウェイト更新部145Aによって更新される前のアンテナウェイト(更新前アンテナウェイト)が記憶されている。
【0056】
仮アンテナウェイト算出部142Aは、最適化アルゴリズムを用いて仮アンテナウェイト(第1アンテナウェイト)w’を算出する。仮アンテナウェイトw’は、最適化アルゴリズムに従った計算式により算出される通常のアンテナウェイトである。また、仮アンテナウェイトw’は、今回のアンテナウェイト(第2アンテナウェイト)wの算出に用いられる。
【0057】
取得部143Aは、アンテナウェイト記憶部141Aから、前回のアンテナウェイトwn−1を取得する。アンテナウェイト算出部144Aは、仮アンテナウェイトw’と、前回のアンテナウェイトwn−1とに基づいて、今回のアンテナウェイトwを算出する。
【0058】
図3は、アンテナウェイト算出部144Aの動作概要を示す概念図である。
【0059】
図3に示すように、アンテナウェイト算出部144Aは、前回のアンテナウェイトwn−1から仮アンテナウェイトw’への変化傾向に従った今回のアンテナウェイトwを算出する。
【0060】
ここで、アンテナウェイト算出部144Aは、前回のアンテナウェイトwn−1から今回のアンテナウェイトwへの変化量を、前回のアンテナウェイトwn−1から仮アンテナウェイトw’への変化量よりも増加させる。その結果、算出された今回のアンテナウェイトwは、最適化アルゴリズムに従った仮アンテナウェイトw’よりも、最適アンテナウェイトwoptに近付いている。
【0061】
そして、アンテナウェイト更新部145Aは、今回のアンテナウェイトwをアンテナ重み付け部115に設定する。
【0062】
なお、アンテナウェイト更新部145Aは、ウェイト制御部140Aの動作初期時において、アンテナウェイトw(アンテナウェイトw*1〜w*R)のいずれかに固定値C*Wを設定するとともに、アンテナウェイトwに初期値を設定する。
【0063】
終了条件判定部146Aは、アンテナウェイトwの更新を終了するか否かを判定する。本実施形態では、終了条件判定部146Aは、アンテナウェイトwの更新回数nが所要回数nmaxに達した場合に、アンテナウェイトwの更新を終了すると判定する。
【0064】
次に、図2及び図3を用いて、アンテナウェイト算出部144Aの詳細構成について説明する。
【0065】
アンテナウェイト算出部144Aは、差分算出部1441A、乗算部1442A、及び加算部1443Aを有する。
【0066】
差分算出部1441Aは、前回のアンテナウェイトwn−1と仮アンテナウェイトw’との差分値(w’−wn−1)を算出する。
【0067】
乗算部1442Aは、差分値(w’−wn−1)に対し、ゼロよりも大きな値である加速因子βを乗算する。
【0068】
ここで、加速因子βの値を変更することによって収束速度を調整可能である。加速因子βが大きいほど収束速度が速くなるが、収束速度が高速過ぎると、今回のアンテナウェイトwが最適アンテナウェイトwoptの近傍まで近付いた際に不安定となる。このため、加速因子βを適宜調整することが好ましい。
【0069】
加算部1443Aは、前回のアンテナウェイトwn−1と、乗算部1442Aによる乗算結果(β(w’−wn−1))とを加算する。すなわち、加算部1443Aは、加算結果(wn−1+β(w’−wn−1))を今回のアンテナウェイトwとして算出する。
【0070】
(3)ウェイト制御部の動作
次に、図4に示すフローチャートを用いて、本実施形態に係る受信装置10Aの動作について説明する。
【0071】
ステップS101において、終了条件判定部146Aは、更新回数nに1を設定する。
【0072】
ステップS102において、仮アンテナウェイト算出部142Aは、最適化アルゴリズムを用いて仮アンテナウェイトw’を算出する。
【0073】
ステップS103において、差分算出部1441Aは、前回のアンテナウェイトwn−1と仮アンテナウェイトw’nとの差分値(w’−wn−1)を算出する。
【0074】
ステップS104において、乗算部1442Aは、ステップS103において得られた差分値(w’−wn−1)に対し加速因子βを乗算する。
【0075】
ステップS105において、加算部1443Aは、前回のアンテナウェイトwn−1と、ステップS104において得られた乗算結果(β(w’−wn−1))とを加算する。
【0076】
ステップS106において、アンテナウェイト更新部145Aは、ステップS105において得られた加算結果(wn−1+β(w’−wn−1))を今回のアンテナウェイトwとしてアンテナ重み付け部115に設定する。
【0077】
ステップS107において、終了条件判定部146Aは、アンテナウェイトwの更新回数nが所要回数nmaxに達したか否かを判定する。アンテナウェイトwの更新回数nが所要回数nmaxに達した場合、アンテナウェイトwの更新処理が終了する。
【0078】
一方、アンテナウェイトwの更新回数nが所要回数nmax未満である場合、処理がステップS108に進む。ステップS108において、終了条件判定部146Aは、更新回数nに1を加算する。
【0079】
(4)作用及び効果
本実施形態によれば、最適化アルゴリズムによって算出される仮アンテナウェイトw’を用いて、今回のアンテナウェイトwが算出される。今回のアンテナウェイトwは、前回のアンテナウェイトwn−1から仮アンテナウェイトw’nへの変化傾向に従ったアンテナウェイトである。また、今回のアンテナウェイトwは、仮アンテナウェイトw’よりも、前回のアンテナウェイトwn−1からの変化量が大きい。
【0080】
このため、繰り返し計算を行う最適化アルゴリズムであれば、最適化アルゴリズムの種別と無関係にアンテナウェイトwの収束速度を向上させることができる。また、アレイアンテナ111及びアンテナ重み付け部115を有する受信装置10Aであれば、様々な受信装置に対して適用可能である。
【0081】
したがって、最適化アルゴリズムを用いてアンテナウェイトwを繰り返し算出する場合において、汎用性が高い方法によって収束速度を向上させることが可能となる。
【0082】
図5は、本実施形態によって得られる効果を説明するための図である。図5に示すように、最適化アルゴリズムを用いるのみの場合における各更新時の収束速度Aよりも、本実施形態における各更新時の収束速度Bは高速になっている。つまり、本実施形態では、誤差信号e[k](平均二乗誤差<|e[k]|2>)が1回のアンテナウェイトwの更新で大きく減少している。
【0083】
したがって、本実施形態に係る受信装置10A及び無線基地局100Aは、アレイアンテナ111の指向性を短時間で無線通信環境に適応させることができる。
【0084】
また、本実施形態によれば、加速因子βを用いることによって、収束速度を適宜調整可能となる。
【0085】
さらに、本実施形態によれば、更新回数nが所要回数nmaxに達した場合にアンテナウェイトwの更新を終了させるため、規定時間内でアンテナウェイトwの更新を終了させることができる。
【0086】
[第2実施形態]
本実施形態では、(1)無線通信システムの全体概略構成、(2)受信装置の構成、(3)ウェイト制御部の動作、(4)作用及び効果、の順で説明する。
【0087】
また、本実施形態では、上述した第1実施形態と異なる点を主として説明し、重複する説明を省略する。
【0088】
(1)無線通信システムの全体概略構成
図6は、本実施形態に係る無線通信システムの全体概略構成図である。本実施形態において、無線基地局100Bには、アレイアンテナではなく通常のアンテナ117が設けられている。
【0089】
図6に示すように、無線通信端末200が送信する無線信号は、無線基地局100Bに直接到達するパスP1と、ビルBなどによる反射後に無線基地局100Aに到達するパスP2とを介して、無線基地局100Bによって受信される。
【0090】
すなわち、無線基地局100BがパスP1を介して受信した無線信号は先行波(直接波)となる。無線基地局100BがパスP2を介して受信した無線信号は遅延波となる。
【0091】
遅延波の影響により、無線基地局100Bが受信した受信信号に歪みが生じる。このため、無線基地局100Bは、受信信号を適応的に等化することによって当該歪みを補正する。
【0092】
具体例には、無線基地局100Bは、既知信号と参照信号との誤差が最小化するように適応等化制御を実行することによって、無線通信環境に適合した通信を実現可能となる。
【0093】
(2)受信装置の構成
図7は、無線基地局100Bに設けられる受信装置10Bの機能ブロック構成図である。なお、本実施形態では、受信装置10Bを無線基地局100Bに設ける場合について説明するが、受信装置10Bを無線通信端末に設ける構成も可能である。
【0094】
図7に示すように、受信装置10Bは、アンテナ117、適応等化器120A、減算器130、及びウェイト制御部140Bを有する。
【0095】
適応等化器120Aは、受信信号の先行波成分と遅延波成分とを位相を揃える機能を有する。具体的には、適応等化器120Aは、アンテナ117が受信した受信信号を複数回遅延させるとともに、等化ウェイトc*0〜c*M(*:複素共役)を用いて、遅延させた受信信号を重み付けする。なお、図示を省略する判定器が、適応等化器120Aの出力信号y[k]に対してシンボル判定を行う。
【0096】
等化ウェイトc*0〜c*Mは、受信信号の位相及び振幅を調整する複素係数である。なお、以下では、等化ウェイトc*0〜c*Mを総称して適宜「等化ウェイトc」という。
【0097】
減算器130は、適応等化器120Aの出力信号y[k]と参照信号d[k]との誤差を算出し、誤差信号e[k]を出力する。
【0098】
ウェイト制御部140Bは、MMSE規範に基づく最適化アルゴリズムを用いて、誤差信号e[k](具体例には、平均二乗誤差<|e[k]|2>)を減少させる等化ウェイトcを繰り返し算出する。これにより、ウェイト制御部140Bは、誤差が最小となる最適等化ウェイトcoptに等化ウェイトcを収束させる。
【0099】
また、図7において、cの“n”は、更新回数を表している。cが今回の等化ウェイトであり、cn−1が前回(直前)の等化ウェイトである。
【0100】
(2.1)適応等化器の構成
適応等化器120Aは、アンテナ117の出力側に接続される。具体的には、適応等化器120Aは、遅延素子121〜121、複素乗算器122〜122、及び加算器123〜123を有する。
【0101】
遅延素子121〜121は、直列に接続され、受信信号を遅延させる。複素乗算器122〜122は、各遅延素子121〜121からの出力信号に等化ウェイトc*0〜c*Mを乗算する。
【0102】
等化ウェイトc*0〜c*Mが乗算されることにより、遅延素子121〜121からの各出力信号の振幅及び位相が制御される。加算器123〜123は、複素乗算器122〜122からの出力信号を合成する。
【0103】
(2.2)ウェイト制御部の構成
ウェイト制御部140Bは、等化ウェイト記憶部141B、仮等化ウェイト算出部142B、取得部143B、等化ウェイト算出部144B、等化ウェイト更新部145B、及び終了条件判定部146Bを有する。
【0104】
等化ウェイト更新部145Bは、適応等化器120Aに設定される等化ウェイトcを更新する。等化ウェイト記憶部141Bには、前回の等化ウェイトcn−1、すなわち、等化ウェイト更新部145Bによって更新される前の等化ウェイト(更新前等化ウェイト)が記憶されている。
【0105】
仮等化ウェイト算出部142Bは、最適化アルゴリズムを用いて仮等化ウェイト(第1等化ウェイト)c’を算出する。仮等化ウェイトc’は、最適化アルゴリズムに従った計算式により算出される通常の等化ウェイトである。また、仮等化ウェイトc’は、今回の等化ウェイト(第2等化ウェイト)cの算出に用いられる。
【0106】
取得部143Bは、等化ウェイト記憶部141Bから、前回の等化ウェイトcn−1を取得する。等化ウェイト算出部144Bは、仮等化ウェイトc’と、前回の等化ウェイトcn−1とに基づいて、今回の等化ウェイトcを算出する。
【0107】
等化ウェイト算出部144Bは、差分算出部1441B、乗算部1442B、及び加算部1443Bを有する。
【0108】
差分算出部1441Bは、前回の等化ウェイトcn−1と仮等化ウェイトc’との差分値(c’−cn−1)を算出する。
【0109】
乗算部1442Bは、差分値(c’−cn−1)に対し、ゼロよりも大きな値である加速因子αを乗算する。ここで、加速因子αの値を変更することによって収束速度を調整可能である。
【0110】
加算部1443Bは、前回の等化ウェイトcn−1と、乗算部1442Bによる乗算結果(α(c’−cn−1))とを加算する。すなわち、加算部1443Bは、加算結果(cn−1+α(c’−cn−1))を今回の等化ウェイトcとして算出する。
【0111】
(3)ウェイト制御部の動作
次に、図8に示すフローチャートを用いて、本実施形態に係る受信装置10Bの動作について説明する。
【0112】
ステップS201において、終了条件判定部146Bは、更新回数nに1を設定する。
【0113】
ステップS202において、仮等化ウェイト算出部142Bは、最適化アルゴリズムを用いて仮等化ウェイトc’を算出する。
【0114】
ステップS203において、差分算出部1441Bは、前回の等化ウェイトcn−1と仮等化ウェイトc’nとの差分値(c’−cn−1)を算出する。
【0115】
ステップS204において、乗算部1442Bは、ステップS203において得られた差分値(c’−cn−1)に対し加速因子αを乗算する。
【0116】
ステップS205において、加算部1443Bは、前回の等化ウェイトcn−1と、ステップS204において得られた乗算結果(α(c’−cn−1))とを加算する。
【0117】
ステップS206において、等化ウェイト更新部145Bは、ステップS205において得られた加算結果(cn−1+α(c’−cn−1))を今回の等化ウェイトcとして適応等化器120Aに設定する。
【0118】
ステップS207において、終了条件判定部146Bは、等化ウェイトcの更新回数nが所要回数nmaxに達したか否かを判定する。等化ウェイトcの更新回数nが所要回数nmaxに達した場合、等化ウェイトcの更新処理が終了する。
【0119】
一方、等化ウェイトcの更新回数nが所要回数nmax未満である場合、処理がステップS208に進む。ステップS208において、終了条件判定部146Aは、更新回数nに1を加算する。
【0120】
(4)作用及び効果
本実施形態によれば、最適化アルゴリズムによって算出される仮等化ウェイトc’を用いて、今回の等化ウェイトcが算出される。今回の等化ウェイトcは、前回の等化ウェイトcn−1から仮等化ウェイトc’への変化傾向に従った等化ウェイトである。また、今回の等化ウェイトcは、仮等化ウェイトc’よりも、前回の等化ウェイトcn−1からの変化量が大きい。
【0121】
このため、繰り返し計算を行う最適化アルゴリズムであれば、最適化アルゴリズムの種別と無関係に等化ウェイトcの収束速度を向上させることができる。また、適応等化器120Aを有する受信装置であれば、様々な受信装置に対して適用可能である。
【0122】
したがって、最適化アルゴリズムを用いて等化ウェイトを繰り返し算出する場合において、汎用性が高い方法によって収束速度を向上させることが可能となる。
【0123】
また、本実施形態によれば、加速因子αを用いることによって、等化ウェイトcの収束速度を適宜調整可能となる。
【0124】
さらに、本実施形態によれば、更新回数nが所要回数nmaxに達した場合に等化ウェイトcの更新を終了させるため、規定時間内で等化ウェイトcの更新を終了させることができる。
【0125】
[第3実施形態]
本実施形態では、上述した第1実施形態及び第2実施形態を統合した構成について説明する。具体例には、アンテナウェイトwと等化ウェイトcとを交互に更新する構成について説明する。
【0126】
本実施形態では、(1)受信装置の構成、(2)初期値設定処理、(3)受信装置の動作、(4)作用及び効果、の順で説明する。なお、本実施形態では、上述した第1実施形態及び第2実施形態と異なる点を主として説明し、重複する説明を省略する。
【0127】
(1)受信装置の構成
図9は、本実施形態に係る受信装置10Cの機能ブロック構成図である。
【0128】
図9に示すように、本実施形態に係る受信装置10Cでは、アダプティブアレイアンテナ110の出力に適応等化器120Aが直列接続されている。ウェイト制御部140Cは、第1実施形態及び第2実施形態で説明したウェイト制御部140A及びウェイト制御部140Bのそれぞれの機能を有している。
【0129】
適応等化器120Aに入力される受信信号の状態は、アンテナ重み付け部115に設定されるアンテナウェイトwに応じて変化する。
【0130】
等化ウェイトcを算出するためには、アンテナウェイトwが先に決定され、適応等化器120Aに入力される受信信号の状態が変化しないことが必要である。同様に、アンテナウェイトwを算出するためには、等化ウェイトcが先に決定され、適応等化器120Aの特性が変化しないことが必要である。
【0131】
そこで、ウェイト制御部140Cは、アンテナウェイトw及び等化ウェイトcを一括して更新するのではなく、アンテナウェイトw及び等化ウェイトcを交互に更新する。すなわち、ウェイト制御部140Cは、等化ウェイトcの算出時にはアンテナウェイトwが変化せず、アンテナウェイトwの算出時には等化ウェイトcが変化しないようにする。
【0132】
なお、本実施形態では、適応等化器120Aの出力にフィードバック部120Bが接続されている。フィードバック部120Bは、判定器によって得られた判定シンボルをフィードバックする判定帰還型等化器(DFE)として機能する。フィードバック部120Bには、トレーニング期間において参照信号d[k]が入力される。
【0133】
フィードバック部120Bは、遅延素子125〜125、複素乗算器126〜126、及び加算器127〜127を有する。
【0134】
遅延素子125〜125は、直列に接続され、参照信号d[k]を遅延させる。複素乗算器126〜126は、遅延素子125〜125からの各出力信号にウェイトg*1〜g*を乗算する。加算器127〜127は、複素乗算器126〜126からの出力信号を合成する。
【0135】
加算器125は、適応等化器120Aの出力信号とフィードバック部120Bの出力信号とを合成する。加算器125の出力信号y[k]は、減算器130に入力される。減算器130は、参照信号d[k]と出力信号y[k]との誤差信号e[k]を生成する。
【0136】
(2)初期値設定処理
次に、ウェイト制御部140Cによって実行される初期値設定処理について説明する。
【0137】
(2.1)アンテナウェイトの初期値設定処理
最も単純なアンテナウェイトwの初期値設定方法としては、アンテナウェイトwを全て同一の値wr0に設定することが考えられる。
【0138】
しかしながら、アンテナウェイトwの初期値は、アンテナウェイトw及び等化ウェイトcの最適化に要する時間に影響を与える。そこで、アンテナウェイトwを短時間で最適アンテナウェイトに収束させるために、ウェイト制御部140Cは、次のような手法によりアンテナウェイトwの初期値を算出する。
【0139】
具体的には、アンテナウェイトwの初期値計算時において、ウェイト制御部140Cは、アンテナ重み付け部115の出力信号が、適応等化器120Aをそのまま通過するように制御する。
【0140】
すなわち、ウェイト制御部140Cは、適応等化器120Aの複素乗算器122〜122のうち、複素乗算器122に入力する等化ウェイトc*0を“1”とし、他の等化ウェイトc*1〜c*Mを“0”に設定する。
【0141】
複素乗算器122に入力する等化ウェイトc*0を“1”とすることによって、遅延素子121〜121を通過前の信号が、位相及び振幅が制御されることなく複素乗算器122を通過する。また、他の等化ウェイトc*1〜c*Mを“0”に設定することによって、遅延素子121〜121を通過した信号が、複素乗算器1221〜122を通過しなくなる。
【0142】
この結果、アンテナ重み付け部115の出力信号が、適応等化器120Aにおいて全く変化しない状態にすることができる。このような状態において、ウェイト制御部140Cは、最適化アルゴリズムを用いて、アンテナウェイトwの初期値を算出する。
【0143】
(2.2)等化ウェイトの初期値設定処理
等化ウェイトcを短時間で最適等化ウェイトに収束させるために、ウェイト制御部140Cは、次の(a)又は(b)の手法により等化ウェイトcの初期値を算出する。
【0144】
(a)ウェイト制御部140Cは、(2.1)において説明した手法によりアンテナウェイトwの初期値を算出する。そして、ウェイト制御部140Cは、計算されたアンテナウェイトwの初期値がアンテナ重み付け部115に保持された状態で、最適化アルゴリズムを用いて等化ウェイトcの初期値を算出する。
【0145】
(b)ウェイト制御部140Cは、アンテナウェイトwのうち、いずれか1つを“1”とし、残りを全て“0”にする。これにより、アダプティブアレイアンテナ110を無指向性アンテナと見なすことができる。このような状態において、ウェイト制御部140Cは、最適化アルゴリズムを用いて、等化ウェイトcの初期値を算出する。
【0146】
(3)受信装置10Cの動作
次に、図10及び図11を参照して、受信装置10Cの概略動作について説明する。具体的には、受信装置10Cの動作パターン1及び動作パターン2について説明する。
【0147】
(3.1)動作パターン1
図10は、受信装置10Cの動作パターン1を示すフローチャートである。
【0148】
ステップS301において、ウェイト制御部140Cは、アンテナウェイトwのいずれか1つ、又は等化ウェイトcのいずれか1つに固定値を設定する。なお、当該固定値は、ステップS301以降において更新されないことに留意すべきである。
【0149】
ステップS302において、ウェイト制御部140Cは、等化ウェイトcに初期値を設定する。なお、当該初期値は、ステップS302以降において更新されることに留意すべきである。
【0150】
ステップS303において、ウェイト制御部140Cは、更新回数nに1を設定する。
【0151】
ステップS304において、ウェイト制御部140Cは、アンテナウェイトwを算出する。そして、ウェイト制御部140Cは、計算したアンテナウェイトwを複素乗算器112〜112に設定する。
【0152】
ステップS305において、ウェイト制御部140Cは、等化ウェイトcを算出する。ウェイト制御部140Cは、算出した等化ウェイトcを複素乗算器122〜122に設定する。
【0153】
ステップS306において、ウェイト制御部140Cは、更新回数nが所要更新回数nmaxに達したか否かを判定する。更新回数nが所要更新回数nmaxに達したと判定された場合、ウェイト計算処理が終了する。所要更新回数nmaxは、例えば10回程度とすることができる。
【0154】
一方、更新回数nが所要更新回数nmaxに達していないと判定された場合、処理がステップS307に進む。ステップS307において、ウェイト制御部140Cは、更新回数nに1を加算する。その後、処理がステップS304に戻る。
【0155】
(3.2)動作パターン2
図11は、受信装置10Cの動作パターン2を示すフローチャートである。
【0156】
ステップS401における処理は、上述したステップS301と同様である。
【0157】
ステップS402において、ウェイト制御部140Cは、アンテナウェイトwに初期値を設定する。なお、当該初期値は、ステップS402以降において更新されることに留意すべきである。
【0158】
ステップS403において、ウェイト制御部140Cは、更新回数nに1を設定する。
【0159】
ステップS404において、ウェイト制御部140Cは、等化ウェイトc*0〜c*Mを算出する。ウェイト制御部140Cは、算出した等化ウェイトc*0〜c*Mを複素乗算器122〜122に設定する。
【0160】
ステップS405において、ウェイト制御部140Cは、アンテナウェイトwを算出する。そして、ウェイト制御部140Cは、算出したアンテナウェイトwを複素乗算器112〜112に設定する。
【0161】
ステップS406において、ウェイト制御部140Cは、更新回数nが所要更新回数nmaxに達したか否かを判定する。更新回数nが所要更新回数nmaxに達したと判定された場合、ウェイト計算処理が終了する。
【0162】
一方、更新回数nが所要更新回数nmaxに達していないと判定された場合、処理がステップS407に進む。ステップS407において、ウェイト制御部140Cは、更新回数nに1を加算する。その後、処理がステップS404に戻る。
【0163】
(4)作用及び効果
本実施形態によれば、ウェイト制御部140Cは、アンテナウェイトw及び等化ウェイトcを交互に算出する。すなわち、等化ウェイトcの算出時にはアンテナウェイトwが変化せず、アンテナウェイトwの算出時には等化ウェイトcが変化しないようにすることができる。
【0164】
したがって、アダプティブアレイアンテナ110の出力に適応等化器120Aを直列接続する構成でも、最適化アルゴリズムを用いてアンテナウェイトw及び等化ウェイトcを適切に算出することが可能な受信装置10Cを提供することができる。
【0165】
[その他の実施形態]
上記のように、本発明は実施形態によって記載したが、この開示の一部をなす論述及び図面はこの発明を限定するものであると理解すべきではない。この開示から当業者には様々な代替実施形態、実施例及び運用技術が明らかとなる。
【0166】
(1)他の適用例
上述した実施形態では、アンテナウェイトw及び等化ウェイトcを算出する構成について説明した。しかしながら、他のウェイト(制御値)の算出に対しても、以下に述べるように、本発明を適用可能である。
【0167】
一般的に、繰り返す演算を次式で表示できる:
【数1】

【0168】
ここで、ξn−1はn-1回目の演算対象の値であり、ξは現在(n回目)の値である。[]中のPn−1,Pn−1,…はξを計算するための他の値である。例えば、アダプティブアレーの場合、Pn−1,Pn−1,…はアンテナ素子の受信信号や、アレー出力と参照信号との誤差、又は/及びアンテナ素子受信信号の相関マトリクス(相関マトリクスの逆行列)に相当する。
【0169】
式(1)中の[Pn−1,Pn−1,…]部分を表示上省略すると、簡略的に次式で表示できる。
【数2】

【0170】
つまり、[Pn−1,Pn−1,…]部分を無視すれば,前回の計算値ξn−1から現在の値ξを計算できる。このケースを以下に「基本ケース」と言う。上述した第1実施形態及び第2実施形態は、この基本ケースに該当する。
【0171】
上記の拡張として,演算対象が二つξとΨがあって,交替的に計算する。この場合、繰り返す演算を次式で表示する(表示の便宜上、[Pn−1,Pn−1,…]相当の部分を省略する)。
【数3】

【0172】
このケースを以下に「拡張ケース」と言う。上述した第3実施形態は、この拡張ケースに該当する。
【0173】
基本ケースでは、まず、式(2)を用いて、現在(n回目)の仮制御・演算対象の値ξを計算する。
【数4】

【0174】
そして, 本発明を適用し、現在の制御・演算対象の値ξを計算する。
【数5】

【0175】
上記過程を繰り返す。
【0176】
また、拡張ケースは、以下のようになる。
【0177】
Step 1: 式(3)を用いて、現在(n回目)の仮制御・演算対象の値ξを計算する。
【数6】

【0178】
Step 2: 本発明を適用し、現在の制御・演算対象の値ξを計算する。
【数7】

【0179】
Step 3: ξを用いて、式(4)でもう一つの仮の制御・演算対象の値Ψを計算する。
【数8】

【0180】
Step 4: 本発明を適用し、現在の制御・演算対象の値Ψを計算する。
【数9】

【0181】
上記Step 1 - 4を繰り返す。
【0182】
(2)終了条件判定の変更例
上述した実施形態では、ウェイト制御部140A〜140Cは、アンテナウェイトw及び等化ウェイトcの更新回数nが所要更新回数nmaxに達した場合に、ウェイト計算処理を終了させていた。
【0183】
しかしながら、ウェイト計算処理の終了条件として、更新回数以外の条件を使用しても良い。図12は、更新回数以外の条件を終了条件とした場合の動作を示すフローチャートである。
【0184】
図12に示すフローチャートにおいては、所要更新回数nmaxが判定されていない。その代わりに、ステップS505において、終了条件判定部140Cは、誤差信号e[k]に基づく平均二乗誤差が予め定められた閾値を下回ったか否か、又は誤差信号e[k]に基づく平均二乗誤差の低下量が所定量を下回ったか否かを判定する。
【0185】
すなわち、ウェイト制御部140A〜140Cは、誤差信号e[k]に基づく平均二乗誤差が予め定められた閾値を下回った場合に、アンテナウェイトwの計算及び等化ウェイトcの計算を停止させる。
【0186】
あるいは、ウェイト制御部140A〜140Cは、誤差信号e[k]に基づく平均二乗誤差の低下量が所定量を下回った場合に、アンテナウェイトwの計算及び等化ウェイトcの計算を停止させる。
【0187】
これにより、アンテナウェイトw及び等化ウェイトcが収束した場合に直ちに繰り返し演算を停止させることができ、処理負荷を削減することができる。
【0188】
(3)ウェイト算出部の変更例
上述した第1実施形態では、ウェイト制御部140Aは、以下の式(11)に従った計算を実行していた。
=wn−1+β(w’−wn−1) ・・・(11)
【0189】
また、上述した第2実施形態では、ウェイト制御部140Bは、以下の式(12)に従った計算を実行していた。
=cn−1+α(c’−cn−1) ・・・(12)
【0190】
しかしながら、式(11)及び式(12)と等価な計算式であれば、式(11)及び式(12)を変形した計算式を使用可能である。例えば、式(11)を変形し、以下の式(13)を用いることができる。
=(1−β)wn−1+βw’ ・・・(13)
【0191】
この場合、アンテナウェイト算出部144Dは、図13のように構成される。図13に示すアンテナウェイト算出部144Dは、2つの乗算部1444,1445と、1つの加算部1446とを有している。
【0192】
(4)ウェイト算出の具体例
次に、アンテナウェイトw及び等化ウェイトcの計算アルゴリズムについて、具体例を挙げて説明する。一例として、上述した第3実施形態に対応する具体例を説明する。
【0193】
図14に示すように、アンテナ重み付け部115に設定される各ウェイト値は、w*rによって定義される(1≦r≦R)。適応等化器120Aに設定される各ウェイト値は、c*mによって定義される(0≦m≦M)。アンテナ重み付け部115への入力信号は、xr[k]によって定義される。
【0194】
図14では、アンテナウェイトw*1〜w*R及び等化ウェイトc*0〜c*Mの曖昧さを回避するために、等化ウェイトc*0〜c*M中のウェイト値c*Aが固定値C*Cに設定されている(0≦A≦M)。あるいは、図15に示すように、アンテナウェイトw*1〜w*R中のウェイト値w*Bが固定値C*wに設定される(0≦B≦R)。
【0195】
誤差信号e[k]は、以下の式(14)に示すように、参照信号d[k](あるいは、参照信号d[k]を遅延させたものd[k−D])から、適応等化器120Aの出力信号y[k]を減算することによって得られる(0≦D≦M)。
【数10】

【0196】
以下においては、以下の4パターンに分けて、本アルゴリズムの詳細について説明する。
【0197】
パターン1:等化ウェイトc*A に固定値C*Cを設定した後、アンテナウェイトw*1〜w*Rを初期化するパターン。
【0198】
パターン2:等化ウェイトc*A に固定値C*Cを設定した後、等化ウェイトc*0〜c*Mを初期化するパターン。
【0199】
パターン3:アンテナウェイトw*Bに固定値C*Wを設定した後、アンテナウェイトw*1〜w*Rを初期化するパターン。
【0200】
パターン4:アンテナウェイトw*Bに固定値C*Wを設定した後、等化ウェイトc*0〜c*Mを初期化するパターン。
【0201】
(4.2.1)パターン1
パターン1におけるアルゴリズムを表1に示す。なお、表1で示されたlは、図2や図7に示されたnに相当するものである。
【表1】

【0202】
表1において、cNlは、以下の式(15)によって表される。
【数11】

【0203】
lは、以下の式(16)によって表される。
【数12】

【0204】
また、
【数13】

である。“W”は、以下の式(18)によって表される。
【数14】

【0205】
また、“R”は以下の式(19)によって表される。
【数15】

【0206】
式(19)において、ξ[k]は、
【数16】

である。ここで、
【数17】

である。
【0207】
表1において、“p”は以下の式(22)によって表される。
【数18】

【0208】
表1において、“α”及び“β”は、加速因子を表す。“α”及び“β”としては、任意の複素数が使用できるが、アプリケーションに応じた正の実数としても良い。
【0209】
アンテナウェイトw及び等化ウェイトcの安定性を保つために、加速因子α,βの上限値を設けても良い。具体的には、α,βの上限値を“2”とすることができる。
【0210】
また、収束速度を向上させるためには、加速因子α,βを0〜1の範囲とすることができるが、収束速度を更に向上させるために加速因子α,βを1よりも大きい値としても良い。
【0211】
“C”は以下の式(23)によって表される。
【数19】

【0212】
(4.2.2)パターン2
パターン2におけるアルゴリズムを表2に示す。
【表2】

【0213】
(4.2.3)パターン3
パターン3におけるアルゴリズムを表3に示す。
【表3】

【0214】
表3において、
【数20】

であり、また、
【数21】

である。“W”は、以下の式(26)によって表される。
【数22】

【0215】
“C”は、以下の式(27)によって表される。
【数23】

【0216】
(4.2.4)パターン4
パターン4におけるアルゴリズムを表4に示す。
【表4】

【0217】
このように本発明は、ここでは記載していない様々な実施形態等を包含するということを理解すべきである。したがって、本発明はこの開示から妥当な特許請求の範囲の発明特定事項によってのみ限定されるものである。
【図面の簡単な説明】
【0218】
【図1】本発明の第1実施形態に係る無線通信システムの全体概略構成図である。
【図2】本発明の第1実施形態に係る受信装置の機能ブロック構成図である。
【図3】本発明の第1実施形態に係るアンテナウェイト算出部の動作概要を示す概念図である。
【図4】本発明の第1実施形態に係る受信装置の動作を示すフローチャートである。
【図5】本発明の第1実施形態によって得られる効果を説明するための図である。
【図6】本発明の第2実施形態に係る無線通信システムの全体概略構成図である。
【図7】本発明の第2実施形態に係る受信装置の機能ブロック構成図である。
【図8】本発明の第2実施形態に係る受信装置の動作を示すフローチャートである。
【図9】本発明の第3実施形態に係る受信装置の機能ブロック構成図である。
【図10】本発明の第3実施形態に係る受信装置の動作パターン1を示すフローチャートである。
【図11】本発明の第3実施形態に係る受信装置の動作パターン2を示すフローチャートである。
【図12】その他の実施形態に係る受信装置の動作を示すフローチャートである。
【図13】その他の実施形態に係る受信装置の機能ブロック構成図である。
【図14】その他の実施形態に係る受信装置の一部構成を示す機能ブロック構成図である。
【図15】その他の実施形態に係る受信装置の一部構成を示す機能ブロック構成図である。
【符号の説明】
【0219】
10A〜10D…受信装置、110…アダプティブアレイアンテナ、111…アレイアンテナ、113…加算器、115…アンテナ重み付け部、117…アンテナ、120A…適応等化器、120B…フィードバック部、124…遅延素子、125…加算器、130…減算器、140A〜140D…ウェイト制御部、141A…アンテナウェイト記憶部、141B…等化ウェイト記憶部、142A…仮アンテナウェイト算出部、142B…仮等化ウェイト算出部、143A,143B…取得部、144A,144D…アンテナウェイト算出部、144B…等化ウェイト算出部、145A…アンテナウェイト更新部、145B…等化ウェイト更新部、146A,146B…終了条件判定部、200,210…無線通信端末、300…無線基地局、1121〜112R…複素乗算器、1211〜121M…遅延素子、1220…複素乗算器、122〜122…複素乗算器、123〜123…加算器、125〜125…遅延素子、126〜126…複素乗算器、127〜127…加算器、1441A,1441B…差分算出部、1442A,1442B…乗算部、1443A,1443B…加算部、1444,1445…乗算部、1446…加算部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のアンテナ素子を有するアレイアンテナと、
前記アレイアンテナが受信した受信信号の位相及び振幅を調整するアンテナウェイトを用いて前記受信信号を重み付けするアンテナ重み付け部と、
前記重み付け後の前記受信信号と、予め定められた参照信号との誤差を減少させる前記アンテナウェイトを繰り返し算出する最適化アルゴリズムを用いて、前記アンテナウェイトを前記誤差が最小となる最適アンテナウェイトに収束させるウェイト制御部と
を備える受信装置であって、
前記ウェイト制御部は、
前記アンテナ重み付け部に設定される前記アンテナウェイトを更新するアンテナウェイト更新部と、
前記最適化アルゴリズムに従った前記アンテナウェイトである第1アンテナウェイトを算出する第1アンテナウェイト算出部と、
前記アンテナウェイト更新部によって更新される前の前記アンテナウェイトである更新前アンテナウェイトを取得するアンテナウェイト取得部と、
前記更新前アンテナウェイトから前記第1アンテナウェイトへの変化傾向に従った前記アンテナウェイトである第2アンテナウェイトを算出する第2アンテナウェイト算出部と
を有し、
前記第2アンテナウェイト算出部は、前記更新前アンテナウェイトから前記第2アンテナウェイトへの変化量を、前記更新前アンテナウェイトから前記第1アンテナウェイトへの変化量よりも増加させ、
前記アンテナウェイト更新部は、前記第2アンテナウェイトを用いて、前記アンテナ重み付け部に設定される前記アンテナウェイトを更新する受信装置。
【請求項2】
前記第2アンテナウェイト算出部は、
前記更新前アンテナウェイトと前記第1アンテナウェイトとの差分値を算出する差分算出部と、
前記差分算出部によって算出された前記差分値に対し、ゼロよりも大きな値である加速因子を乗算する乗算部と、
前記更新前アンテナウェイトと、前記乗算部による乗算結果との加算結果を前記第2アンテナウェイトとして算出する加算部と
を有する請求項1に記載の受信装置。
【請求項3】
前記ウェイト制御部は、
前記アンテナウェイト更新部による更新回数が所要回数に達したか否かを判定する回数判定部と、
前記更新回数が前記所要回数に達したと判定された場合に、前記アンテナウェイト更新部による更新を終了させる更新制御部と
をさらに備える請求項1に記載の受信装置。
【請求項4】
前記ウェイト制御部は、
前記誤差を閾値と比較する閾値比較部と、
前記誤差が前記閾値を下回った場合に、前記アンテナウェイト更新部による更新を終了させる更新制御部と
をさらに備える請求項1に記載の受信装置。
【請求項5】
前記アンテナ重み付け部によって重み付けされた前記受信信号を複数回遅延させるとともに、前記受信信号の位相及び振幅を調整する等化ウェイトを用いて、遅延させた前記受信信号を重み付けする適応等化器をさらに備え、
前記ウェイト制御部は、前記適応等化器によって重み付けされた前記受信信号と、前記参照信号との前記誤差を減少させる前記等化ウェイトを繰り返し算出する前記最適化アルゴリズムを用いて、前記等化ウェイトを前記誤差が最小となる最適等化ウェイトに収束させる請求項1に記載の受信装置。
【請求項6】
前記ウェイト制御部は、前記アンテナウェイトと前記等化ウェイトとを交互に算出する請求項5に記載の受信装置。
【請求項7】
受信信号を複数回遅延させるとともに、前記受信信号の位相及び振幅を調整する等化ウェイトを用いて、遅延させた前記受信信号を重み付けする適応等化器と、
前記重み付け後の前記受信信号と、予め定められた参照信号との誤差を減少させる前記等化ウェイトを繰り返し算出する最適化アルゴリズムを用いて、前記等化ウェイトを前記誤差が最小となる最適等化ウェイトに収束させるウェイト制御部と
を備える受信装置であって、
前記ウェイト制御部は、
前記適応等化器に設定される前記等化ウェイトを更新する等化ウェイト更新部と、
前記最適化アルゴリズムに従った前記等化ウェイトである第1等化ウェイトを算出する第1等化ウェイト算出部と、
前記等化ウェイト更新部によって更新される前の前記等化ウェイトである更新前等化ウェイトを取得する等化ウェイト取得部と、
前記更新前等化ウェイトから前記第1等化ウェイトへの変化傾向に従った前記等化ウェイトである第2等化ウェイトを算出する第2等化ウェイト算出部と
を有し、
前記第2等化ウェイト算出部は、前記更新前等化ウェイトから前記第2等化ウェイトへの変化量を、前記更新前等化ウェイトから前記第1等化ウェイトへの変化量よりも増加させ、
前記等化ウェイト更新部は、前記第2等化ウェイトを用いて、前記適応等化器に設定される前記等化ウェイトを更新する受信装置。
【請求項8】
前記第2等化ウェイト算出部は、
前記更新前等化ウェイトと前記第1等化ウェイトとの差分値を算出する差分算出部と、
前記差分算出部によって算出された前記差分値に対し、ゼロよりも大きな値である加速因子を乗算する乗算部と、
前記更新前等化ウェイトと、前記乗算部による乗算結果との加算結果を前記第2等化ウェイトとして算出する加算部と
を有する請求項7に記載の受信装置。
【請求項9】
前記ウェイト制御部は、
前記等化ウェイト更新部による更新回数が所要回数に達したか否かを判定する回数判定部と、
前記更新回数が前記所要回数に達したと判定された場合に、前記等化ウェイト更新部による更新を終了させる更新制御部と
をさらに備える請求項7に記載の受信装置。
【請求項10】
前記ウェイト制御部は、
前記誤差を閾値と比較する閾値比較部と、
前記誤差が前記閾値を下回った場合に、前記等化ウェイト更新部による更新を終了させる更新制御部と
をさらに備える請求項7に記載の受信装置。
【請求項11】
複数のアンテナ素子を有するアレイアンテナと、
前記アレイアンテナが受信した受信信号の位相及び振幅を調整するアンテナウェイトを用いて前記受信信号を重み付けするとともに、重み付けした前記受信信号を前記適応等化器に入力するアンテナ重み付け部と
をさらに備え、
前記ウェイト制御部は、前記アンテナ重み付け部および前記適応等化器によって重み付けされた前記受信信号と、前記参照信号との前記誤差を減少させる前記アンテナウェイトを繰り返し算出する前記最適化アルゴリズムを用いて、前記アンテナウェイトを前記誤差が最小となる最適アンテナウェイトに収束させる請求項7に記載の受信装置。
【請求項12】
前記ウェイト制御部は、前記アンテナウェイトと前記等化ウェイトとを交互に算出する請求項11に記載の受信装置。
【請求項13】
請求項1〜12のいずれかの受信装置を備える無線基地局。
【請求項14】
複数のアンテナ素子を有するアレイアンテナと、
前記アレイアンテナが受信した受信信号の位相及び振幅を調整するアンテナウェイトを用いて前記受信信号を重み付けするアンテナ重み付け部と、
前記重み付け後の前記受信信号と、予め定められた参照信号との誤差を減少させる前記アンテナウェイトを繰り返し算出する最適化アルゴリズムを用いて、前記アンテナウェイトを前記誤差が最小となる最適アンテナウェイトに収束させるウェイト制御部と
を用いた受信方法であって、
前記アンテナ重み付け部に設定される前記アンテナウェイトを更新するステップと、
前記最適化アルゴリズムに従った前記アンテナウェイトである第1アンテナウェイトを算出するステップと、
更新される前の前記アンテナウェイトである更新前アンテナウェイトを取得するステップと、
前記更新前アンテナウェイトから前記第1アンテナウェイトへの変化傾向に従った前記アンテナウェイトである第2アンテナウェイトを算出するステップと
を有し、
前記第2アンテナウェイトを算出するステップでは、前記更新前アンテナウェイトから前記第2アンテナウェイトへの変化量を、前記更新前アンテナウェイトから前記第1アンテナウェイトへの変化量よりも増加させ、
前記更新するステップでは、前記第2アンテナウェイトを用いて、前記アンテナ重み付け部に設定される前記アンテナウェイトを更新する受信方法。
【請求項15】
受信信号を複数回遅延させるとともに、前記受信信号の位相及び振幅を調整する等化ウェイトを用いて、遅延させた前記受信信号を重み付けする適応等化器と、
前記重み付け後の前記受信信号と、予め定められた参照信号との誤差を減少させる前記等化ウェイトを繰り返し算出する最適化アルゴリズムを用いて、前記等化ウェイトを前記誤差が最小となる最適等化ウェイトに収束させるウェイト制御部と
を用いた受信方法であって、
前記適応等化器に設定される前記等化ウェイトを更新するステップと、
前記最適化アルゴリズムに従った前記等化ウェイトである第1等化ウェイトを算出するステップと、
更新される前の前記等化ウェイトである更新前等化ウェイトを取得するステップと、
前記更新前等化ウェイトから前記第1等化ウェイトへの変化傾向に従った前記等化ウェイトである第2等化ウェイトを算出するステップと
を有し、
前記第2等化ウェイトを算出するステップでは、前記更新前等化ウェイトから前記第2等化ウェイトへの変化量を、前記更新前等化ウェイトから前記第1等化ウェイトへの変化量よりも増加させ、
前記更新するステップでは、前記第2等化ウェイトを用いて、前記適応等化器に設定される前記等化ウェイトを更新する受信方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【公開番号】特開2009−225348(P2009−225348A)
【公開日】平成21年10月1日(2009.10.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−70181(P2008−70181)
【出願日】平成20年3月18日(2008.3.18)
【出願人】(000006633)京セラ株式会社 (13,660)
【Fターム(参考)】