説明

受信装置および受信方法

【課題】周波数帯域の異なる複数の放送波を受信する受信装置において、周波数帯域の異なる複数の放送波を受信する受信装置において、回路規模をなるべく小さく抑えつつ、受信特性も良好に保てるようにする。
【解決手段】第1の高周波処理部320s(320t)が、第1の周波数帯域を用いて伝送される第1の放送波を検波して第1の高周波信号を取り出す。また、第2の高周波処理部320t(320s)が、第1の周波数帯域とは異なる第2の周波数帯域を用いて伝送される第2の放送波を検波して第2の高周波信号を取り出す。そして、少なくとも1つの局部発振器320が、第1の高周波処理部と第2の高周波処理部で用いる局部発振信号を生成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、放送波を受信する受信装置およびその受信装置による受信方法に関し、特に、周波数帯域の異なる複数の放送波を受信する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、地上デジタルテレビ放送や衛星放送等、放送方式(規格)の種類が多様化している。また、一つの放送方式で扱われる放送の種類(チャンネル数)も増えてきており、放送波の伝送に用いられる周波数帯域が広域化している。これに伴い、様々な放送方式あるいは種類の放送を一つの受信装置で受信したいという要望が高まっている。ところが、例えば衛星放送と地上デジタルテレビ放送とでは、放送波の伝送に用いられる周波数帯域が大きく異なっている。このため、このように周波数帯域の異なる各放送に対しては、それぞれ個別にチューナを設けることが行われている。このようにすることで、それぞれの放送波の受信に適した設定を容易に実現でき、受信特性を向上できるためである。
【0003】
しかし、チューナを複数設けた場合には、製造コストの増大や、回路の実装面積増大による装置の大型化、消費電力の増大といった問題が生じてしまう。この問題を解決する手法として、例えば特許文献1には、地上デジタル放送の放送波とBSデジタル放送の放送波とを受信する受信装置において、各放送受信用のチューナ部を一つのモジュールとして構成し、回路の共通化を図る手法が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2002−135668号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところが、各放送受信用の各チューナ部(特に、いわゆるRFフロントエンドと呼ばれる高周波処理部)を、一つのモジュール上に単純に統合した場合には、受信回路の規模が大きくなってモジュールが大型化してしまう。また、発振周波数の異なる局部発振器が同じモジュール上に搭載されることで、各局部発振器から発生するスプリアスが相互に影響を及ぼし合い、受信特性が劣化するという問題が生じてしまう。
【0006】
本開示はかかる点に鑑みてなされたものであり、周波数帯域の異なる複数の放送波を受信する受信装置において、回路規模をなるべく小さく抑えつつ、受信特性も良好に保てるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本開示の受信装置は、第1の高周波処理部と、第2の高周波処理部と、少なくとも1つの局部発振器とを備える構成とし、それぞれの機能および処理を以下のようにする。第1の高周波処理部は、第1の周波数帯域を用いて伝送される第1の放送波を検波して第1の高周波信号を取り出す。第2の高周波処理部は、第1の周波数帯域とは異なる第2の周波数帯域を用いて伝送される第2の放送波を検波して第2の高周波信号を取り出す。少なくとも1つの局部発振器は、第1の高周波処理部と第2の高周波処理部で用いる局部発振信号を生成する。
【0008】
また、上記課題を解決するために、本開示の受信方法は、次の手順で行う。まず、第1の高周波処理部が、第1の周波数帯域を用いて伝送される第1の放送波を検波して第1の高周波信号を取り出す。続いて、第2の高周波処理部が、第1の周波数帯域とは異なる第2の周波数帯域を用いて伝送される第2の放送波を検波して第2の高周波信号を取り出す。そして、少なくとも1つの局部発振器が、第1の高周波処理部と第2の高周波処理部で用いる局部発振信号を生成する。
【0009】
以上のように受信装置を構成し、処理を行うことで、周波数帯域の異なる複数の放送波を受信するための高周波処理部を複数設けた場合にも、少なくとも1つの局部発振器から発振される局部発振信号を用いて、放送波を検波することができる。
【発明の効果】
【0010】
本開示の受信装置および受信方法によれば、周波数帯域の異なる複数の放送波を受信する場合にも、局部発振器は少なくとも1つ設ければよくなる。これにより、受信装置の回路規模をなるべく小さく抑えつつ、周波数帯域の異なる複数の放送波の受信信号を、その受信特性を低下させることなく取り出せるようになる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】ダイレクトコンバージョン方式による検波を行う受信装置の構成例を示すブロック図である。
【図2】スーパーヘテロダイン方式による検波を行う受信装置の構成例を示すブロック図である。
【図3】受信装置に求められる要求仕様の例を示す説明図である。
【図4】本開示の第1の実施の形態による受信装置の構成例を示すブロック図である。
【図5】本開示の第1の実施の形態によるPLL部の構成例を示すブロック図である。
【図6】本開示の第1の実施の形態による高周波処理部でのベースバンド変換処理の例を示す説明図である。
【図7】本開示の第1の実施の形態による、ホストCPUによる制御の例を示すフローチャートである。
【図8】本開示の第1の実施の形態によるホストCPUが行う設定の例を示す説明図である。
【図9】本開示の他の実施形態による受信装置の構成例を示すブロック図である。
【図10】本開示の第2の実施の形態による受信装置の構成例を示すブロック図である。
【図11】本開示の第2の実施の形態による受信装置の受信処理の例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0012】
まず、本開示の前提となる技術について図1〜図3を参照して説明し、続いて本開示の実施形態に係る受信装置の構成例を以下の順番で説明する。ただし、本開示は下記の例に限定されない。
1.第1の実施の形態例(放送方式の異なる複数の放送波を単一の検波方式で受信する構成の例)
1−1.前提となる技術の説明
1−2.第1の実施の形態による構成例(復調器を1台で構成した例)
1−3.各種変形例
2.第2の実施の形態例(放送方式の異なる複数の放送波を扱う複数の高周波処理部で、一つの局部発振器を共用する構成の例)
【0013】
[1.第1の実施の形態例]
<1−1.本実施の形態の前提となる技術>
現在、衛星放送の放送波の検波(復調)は、「ダイレクトコンバージョン方式」と称される方式で行われている。ダイレクトコンバージョン方式では、受信した放送波から直接ベースバンド信号が取り出される。地上デジタル放送やケーブルテレビ放送の検波は、「スーパーヘテロダイン方式」と称される方式で行われている。「スーパーヘテロダイン方式」では、受信電波の周波数が特定の中間周波数(IF)に変換されてから検波される。
【0014】
図1に、ダイレクトコンバージョン方式で検波を行う場合の受信装置5の構成例を示す。受信装置5は、パラボラアンテナ10と、高周波処理部500と、ISDB−S(Integrated Services Digital Broadcasting-Satellite)復調器520とを備える。高周波処理部500は、低雑音増幅器としてのAGC(Automatic Gain Control)アンプ501と、I/Qミキサ502およびI/Qミキサ503と、局部発振器としてのPLL部510と、移相器504と、可変LPF(Low Pass Filter)505および可変LPF506と、ベースバンドアンプ507およびベースバンドアンプ508とを備える。
【0015】
パラボラアンテナ10は、受信した衛星放送の放送波を衛星IF信号に変換し、得た衛星IF信号を、信号線Li10を介して高周波処理部500内のAGCアンプ501に入力する。AGCアンプ501は、ISDB−S復調器520から制御ラインLa10を介してフィードバックとして入力されるAGC制御信号に基づいて、信号線Li10から入力された衛星IF信号のゲインを調整して出力する。AGCアンプ501でゲインが調整された衛星IF信号は、I/Qミキサ502とI/Qミキサ503に入力される。I/Qミキサ502は、AGCアンプ501から入力された衛星IF信号と、PLL部510から出力されたローカル信号とを混合してI相のベースバンド信号を取り出す。I/Qミキサ503は、AGCアンプ501から入力された衛星IF信号と、PLL部510から出力されて、移相器504でその位相が90°シフトされたローカル信号とを混合してQ相のベースバンド信号を取り出す。
【0016】
PLL部510は、VCO(voltage controlled oscillator:電圧制御発振器)511と、分周器512とを含む。VCO511は、図示せぬループフィルタを通して印加される制御電圧の大きさに応じて、発振する信号の周波数を制御する。図1に示す例では、VCO511が2200MHz〜4400MHzの範囲の周波数を発振するものとする。分周器512は、VCO511で発振した周波数を2〜4分周して、図示せぬ位相比較器に入力する。位相比較器では、入力基準信号とVCO511からの発振信号との位相差に応じた誤差信号が出力される。そして、その誤差信号がループフィルタを通ることによって直流の制御電圧となり、VCO511に印加される。このように構成することにより、PLL部510で、550MHz〜2200MHzの範囲の発振信号(ローカル信号)が生成される。すなわち、衛星放送の放送波の周波数(950MHz〜2150MHz:BS/CS放送の場合)と同じ周波数のローカル信号が、PLL部510から出力される。
【0017】
PLL部510から出力されたローカル信号は、前述したように、I/Qミキサ502とI/Qミキサ503によって衛星IF信号と混合されてI相とQ相のベースバンド信号に変換される。そして、I相とQ相のベースバンド信号は、可変LPF505および506に入力される。可変LPF505は、Q相のベースバンド信号の周波数を所定の帯域に制限して出力し、可変LPF506は、I相のベースバンド信号の周波数を所定の帯域に制限して出力する。可変LPF505および506の遮断(カットオフ)周波数は、5MHz〜36MHzの範囲で切り替えられるようにしてある。なお、ここに挙げた遮断周波数の設定値は一例であり、実際は、受信装置5に入力される放送波の占有帯域幅によって変わるものである。
【0018】
可変LPF505および可変LPF506で帯域制限されたI相のベースバンド信号とQ相のベースバンド信号は、それぞれベースバンドアンプ507およびベースバンドアンプ508に出力される。ベースバンドアンプ507およびベースバンドアンプ508は、I相/Q相のベースバンド信号の信号レベルが一定のレベルとなるように、入力されたI相/Q相のベースバンド信号のレベルを調整して、信号線Lo10、信号線Lo11経由でISDB−S復調器520に出力する。I相/Q相のベースバンド信号のレベルの調整は、ISDB−S復調器520から制御ラインLa10を経由して入力されるAGC制御信号に基づいて行われる。
【0019】
ISDB−S復調器520は、衛星放送の放送規格であるISDB−Sで採用されている変調方式に応じた復調方式で、入力されたベースバンド信号を復調する。ISDB−Sで採用されている変調方式には、QPSK(quadrature phase shift keying)や8PSK(8 phase shift keying)等の方式がある。また、ISDB−S復調器520はAGC制御信号を生成し、生成したAGC制御信号を、制御ラインLa10を介して、AGCアンプ501とベースバンドアンプ507およびベースバンドアンプ508に供給する。
【0020】
図2は、スーパーヘテロダイン方式で地上デジタル放送の検波を行う受信装置6の構成例を示したものである。受信装置6は、UHFアンテナ20と、高周波処理部600と、ISDB−T(Integrated Services Digital Broadcasting- Terrestrial)復調器620とを備える。高周波処理部600は、AGCアンプ601と、ミキサ602と、局部発振部610と、スイッチ603と、BPF(Band Pass Filter)604と、IFアンプ605とを備える。
【0021】
UHFアンテナ20で受信された地上デジタル放送の放送波(以下、「地上波RF信号」と称する)は、信号線Li20を経て、高周波処理部600内のAGCアンプ601に入力される。AGCアンプ601は、ISDB−T復調器620から信号線La20を介して入力されるAGC制御信号に基づいて、信号線Li20から入力された地上波RF信号(radio frequency :高周波信号)を増幅して出力する。AGCアンプ601で増幅された地上波RF信号は、ミキサ602に入力される。ミキサ602は、AGCアンプ601から入力された地上波RF信号を、局部発振部610から出力された発振信号を用いて中間周波(IF)信号に変換する。局部発振部610は、VCO611,VCO612,VCO613よりなる。VCO611,VCO612,VCO613は、それぞれが300MHz程度のバンド幅の発振信号を生成するものであり、互いに発振する周波数の範囲を異ならせてある。図2に示す例では、VCO611,VCO612,VCO613によって、80MHz〜910MHzの範囲の発振信号が生成されるように構成している。
【0022】
スイッチ603は、VCO611,VCO612,VCO613から出力された発振信号のうちのいずれかを選択してミキサ602に供給する。ミキサ602で得られたIF信号は、BPF604に入力される。BPF604は、固定BPFあるいは可変BPFとして構成される。固定BPFとして構成される場合は、通過周波数を6MHz,7MHz,8MHzに設定した3つの異なるBPFとして構成され、可変BPFとして構成される場合には、通過周波数を6MHz〜8MHzの範囲で切り替えられるBPFとして構成される。BPF604で、6MHz〜8MHzのいずれかの帯域に帯域制限されたIF信号は、IFアンプ605に入力される。IFアンプ605は、ISDB−T復調器620から信号線La20を介して入力されるAGC制御信号に基づいて、IF信号のレベルを一定のレベルに調整し、レベル調整後のIF信号をISDB−T復調器620に出力する。
【0023】
ISDB−T復調器620は、地上デジタル放送の放送規格であるISDB−Tで採用されている変調方式に応じた復調方式で、高周波処理部600から出力されたRF信号を復調する。ISDB−T方式で採用されている変調方式には、OFDM(Orthogonal Frequency Division Multiplexing)方式や、8VSB(8-level vestigial sideband modulation)等の方式がある。OFDMのサブキャリアの変調方式としては、QPSK(Quadriphase PSK)や16QAM(quadrature amplitude modulation)、64QAM等の方式がある。また、ISDB−T復調器620は、AGC制御信号を生成し、生成したAGC制御信号を、信号線La20を介してAGCアンプ601とIFアンプ605に供給する。
【0024】
次に、衛星放送受信用の受信装置5と、地上デジタル放送受信用の受信装置6の構成が、図1および図2に示したようなものとなる背景について、図3の表を参照して説明する。図3の表は、それぞれの受信装置に求められる要求仕様の違いを示すものである。要求仕様として、「受信装置への入力周波数」、「変調波の占有帯域幅」、「入力信号レベル」、「VCO(PLL)最小ステップ周波数」、「VCO(PLL)位相雑音」、「分周比」を挙げている。そして、それぞれの項目について衛星放送受信用と地上デジタル放送受信用とで比較している。なお、ケーブルテレビ放送の受信装置に求められる仕様も地上デジタル放送に求められるものとほぼ同様であるため、地上デジタル放送とケーブルテレビ放送の2つの放送方式を同一のカテゴリとしてまとめてある。
【0025】
受信装置への入力周波数は、衛星放送受信用の受信装置5においては、950MHz〜2150MHzであり、地上デジタル放送またはケーブルテレビ放送の受信装置6においては、44MHz〜870MHzである。つまり、地上デジタル放送またはケーブルテレビ放送の放送波の送信に使用される周波数帯よりも、衛星放送の放送波の送信に使用される周波数帯の方が高いことが分かる。変調波の占有帯域幅は、衛星放送では20MHz〜40MHzであり、地上デジタル放送またはケーブルテレビ放送では6MHz,7MHz,8MHzである(ただし、日本のケーブルテレビ放送では6MHzのみを使用)。すなわち、衛星放送の変調波の占有帯域幅は広く、地上デジタル放送またはケーブルテレビ放送における変調波の占有帯域幅は非常に狭いことが分かる。
【0026】
このため、VCO(PLL)の最小ステップ周波数は、衛星放送受信用の受信装置5においては、500kHz〜1MHzと、ある程度広くてもよくなる。これに対して地上デジタル放送やケーブルテレビ放送受信用の受信装置6では、125MHz〜166.7MHzといった小さなステップ幅で、VCOの出力周波数を変化させる必要がある。
【0027】
また、VCO(PLL)の位相雑音特性は、衛星放送においては10kHzオフセット(中心周波数から10kHz離れ)以上の性能だけが重要であり、地上デジタル放送またはケーブルテレビ放送においては、1kHzオフセット以下の性能も重要となる。
【0028】
分周器の分周比は、VCOの発振周波数を2200MHz〜4400MHzとした場合は、衛星放送受信用の受信装置5では2〜4分周程度と小さくてよい。例えば、受信装置5への入力周波数のうち一番低い周波数は950MHzであるが、950MHzのローカル信号を生成するには、VCO511(図1参照)の出力周波数を1900MHzとし、これを分周器512で2分周するか、3800MHzとして、分周器512で4分周すればよい。
【0029】
これに対して地上デジタル放送やケーブルテレビ放送受信用の受信装置6では、VCO611〜VCO613の発振周波数を、衛星放送受信用と同じ2200MHz〜4400MHzに設定すると、分周比を4〜64までの広い範囲とする必要がある。例えば、受信装置6への入力周波数のうち一番低い周波数は44MHzであるが、44MHzのローカル信号を生成するには、VCO611(図2参照)の出力周波数を2816MHzとし、これを図示せぬ分周器で64分周する必要がある。
【0030】
図3に示した各要求仕様のうち、特にVCO(PLL)位相雑音性能を確保するためには、VCOの発振周波数が高くなりすぎないようにすることが有効である。したがって、特に1kHzオフセット以下の位相雑音性能も重要視される地上デジタル放送またはケーブルテレビ放送の受信装置6においては、図3に示したように、VCOを複数設けて1つ1つのVCOでの発振周波数を低く抑えることが行われる。
【0031】
このような理由により、衛星放送受信用の受信装置5においては、より高い周波数での動作が可能であるダイレクトコンバージョン方式が採用されている。また、地上デジタル放送またはケーブルテレビ放送受信用の受信装置6では、位相雑音性能を出しやすいスーパーヘテロダイン方式が採用されている。そして、これらの受信装置は、それぞれ専用のチューナとして構成されているのが通常である。したがって、部品点数の削減を目的としてこれらのチューナの回路を単純に共通化させた場合には、チューナの受信特性が低下してしまうものと考えられる。
【0032】
<1−2.第1の実施の形態例による受信装置の構成例>
次に、本開示の第1の実施の形態例に係る受信装置について、図4〜図7を参照して説明する。図4は、本開示の第1の実施の形態例に係る受信装置1の構成例を示したものである。受信装置1は、衛星放送受信用のパラボラアンテナ10と、地上波デジタル放送とケーブルテレビ放送受信用のUHFアンテナ20と、高周波処理部30と、復調器40とを備える。
【0033】
高周波処理部30は、AGCアンプ301およびAGCアンプ302と、AGCアンプ301とAGCアンプ302の出力を選択的に切り替えるスイッチ303と、第1のミキサとしてのI/Qミキサ304と、第2のミキサとしてのI/Qミキサ305とを備える。また、局部発振器としてのPLL部320と、移相器306と、第1のフィルタとしての可変LPF307と、第2のフィルタとしての可変LPF308と、ベースバンドアンプ309およびベースバンドアンプ310とを備える。
【0034】
パラボラアンテナ10で受信された衛星IF信号は、信号線Li1を経て、高周波処理部30内のAGCアンプ301に入力される。AGCアンプ301は、復調器40から信号線Laを介して入力されるAGC制御信号に基づいて、信号線Li1から入力された衛星IF信号を増幅して出力する。UHFアンテナ20で受信された地上波RF信号またはケーブルテレビ放送のRF信号(以下、単に「RF信号」とも称する)は、信号線Li2を経て、高周波処理部30内のAGCアンプ302に入力される。AGCアンプ302は、復調器40から入力されるAGC制御信号に基づいて、信号線Li2から入力されたRF信号を増幅して出力する。このように、衛星放送のIF信号用と、地上デジタル放送またはケーブルテレビ放送のRF信号用とで個別にAGCアンプを設けることで、高周波処理部30へ入力される両信号のレベルの差をカバーすることができる。なお、利得可変範囲の広いAGCアンプを用いることにより、AGCアンプ301とAGCアンプ302とを1つのアンプで構成するようにしてもよい。
【0035】
AGCアンプ301で増幅された衛星IF信号と、AGCアンプ302で増幅された地上デジタル放送またはケーブルテレビ放送のRF信号は、スイッチ303の端子に接続される。そして、スイッチ303の接続先が選択的に切り替えられることで、衛星IF信号と、地上デジタル放送またはケーブルテレビ放送のRF信号のいずれかが、I/Qミキサ304とI/Qミキサ305に入力される。I/Qミキサ304は、スイッチ303によって選択された衛星IF信号とRF信号のいずれかの信号と、PLL部320から出力された発振信号(ローカル信号)とを混合して、I相のベースバンド信号を取り出す。I/Qミキサ305は、スイッチ303によって選択された衛星IF信号とRF信号のいずれかの信号と、PLL部320から出力されて、移相器306でその位相が90°シフトされた発振信号とを混合して、Q相のベースバンド信号を取り出す。
【0036】
PLL部320は、局部発振器として、パラボラアンテナ10またはUHFアンテナ20で受信させたい受信周波数と同じ周波数のローカル信号を生成し、生成したローカル信号をI/Qミキサ304と移相器306とに供給する。移相器306は、PLL部320から入力された発振信号の位相を90°シフトさせて、I/Qミキサ305に入力する。本実施の形態による受信装置1では、PLL部320として、分数分周を行えるフラクショナルN型のPLL回路を使用している。図5に、フラクショナルN型のPLL回路で構成したPLL部320の構成例を示す。ここで、分数分周とは、後述するように分周した周波数に小数点を含む分周をいう。
【0037】
図5に示すように、PLL部320は、基準信号を発振する水晶発振器321と、分周器322と、位相比較器323と、ループフィルタ324と、VCO325とで構成される。分周器322は、Rカウンタ322rとNカウンタ322nとを含む。まず、水晶発振器321で発振された基準信号はRカウンタ322rに入力され、Rカウンタ322rによってR分周、すなわち1/R倍にされる。Rカウンタ322rでR分周された周波数は、比較周波数として位相比較器323に入力される。
【0038】
位相比較器323は、Rカウンタ322rから入力された比較周波数の位相と、VCO325で発振されてNカウンタ322nで分周された発振信号の位相とを比較し、位相差に応じた信号(誤差信号)をループフィルタ324に入力する。ループフィルタ324は、位相比較器323から入力された誤差信号を直流電圧に変換してVCO325印加する。VCO325は、ループフィルタ324から印加された直流電圧の大きさに応じて、発振させる発振信号の周波数を変化させ、発振した発振信号をNカウンタ322nに供給する。
【0039】
一般的に、I/Q信号を用いた復調を行う際には、90°の位相差信号を容易に得られる等の理由から、VCOの発振周波数は受信周波数の2倍以上に設定される。本実施の形態による受信装置1では、高い周波数帯(950MHz〜2150MHz)を使用して送信される衛星放送の放送波も受信する必要があるため、VCO325の出力周波数の範囲を、2200MHz〜4400MHzとしている。
【0040】
このような高い周波数での発振にも対応可能とするために、本実施の形態によるVCO325の同調部に使用するLC共振回路を、IC(Integrated Circuit:集積回路)内部にコイル(同調用インダクタンス)を作り込んで構成する。具体的には、例えば、LTCC(Low Temperature Co-fired Ceramics)等よりなる基板上にコイルをベアチップの状態で実装し、ワイヤボンディングをせずに樹脂モールドで覆う構成とする。このように構成することで、ボンディングワイヤを用いることなく発振器を構成できるため、LC共振回路を例えばBGA(Ball Grid Array)で構成した場合等と比較して、寄生インダクタンスの値を小さく抑えることが可能となる。
【0041】
本実施の形態の受信装置1は衛星放送の電波も受信するため、上述したように、VCO325の発振周波数は非常に高いものとなる。そしてこのような場合は、共振回路のQ値を高くするために、同調用インダクタンスLの値は小さい値であることが求められる。発振周波数を数GHz帯とする場合には、同調用インダクタンスLの値は、例えば10nH程度の小さな値とすることが好ましい。しかし、Lの値をこのように小さくした発振回路においては、寄生インダクタンスが共振周波数に与える影響も大きくなってしまう。つまり、寄生インダクタンスが大きくなるほど、共振周波数のずれや寄生発振が発生する可能性が高くなる。
【0042】
本実施の形態の受信装置1では、VCO325のLC共振回路部分をIC内部にコイルを作り込んで構成するため、寄生インダクタンスを、その影響を無視できる程度に小さく抑えることができるようになる。これにより、共振周波数のずれや寄生発振が発生しにくくなるため、VCO325の発振動作が安定する。さらに、IC内部にコイルを作り込んで構成することで、回路の部品点数の節減も図ることができる。また、コイルをIC内部に内蔵する構成として、シリコンチップ上の導電部のパターンを引き回してスパイラルコイルを構成してもよい。このように構成すれば、寄生インダクタンスをより低い値に抑えることができる。
【0043】
なお、発振用のコイルをICに内蔵する構成とすることで、Q値は、例えば共振回路の同調用インダクタンスLとして空芯コイルを使用した場合と比較して低くなる。しかし、比較周波数を高くすることで、ループ帯域内の位相雑音を少なくすることができる。そして、前述したように、PLL部320をフラクショナルN型のPLL回路で構成しているため、最小ステップ周波数を小さく保ったまま比較周波数を高くすることが可能となる。すなわち、衛星放送の受信時に求められるチューナの要求特性だけでなく、地上デジタル放送やケーブルテレビ放送受信時の受信時に求められる要求特性も満たすことができる。
【0044】
図5に戻って説明を続けると、Nカウンタ322nは、図示せぬ可変分周器とアキュムレータで構成される。可変分周器は、VCO325から入力された発振信号の周波数をN分周するN分周器と、N+1分周するN+1分周器とよりなる。アキュムレータは、可変分周器からの出力パルス(カウント値)のF回のうちK回はN+1分周器を選択し、F−K回は、N分周器を選択する。このように構成することにより、平均の分周数として等価的に(N+K/F)が得られる。
【0045】
例えば、Nを900MHz、Fを5、Kを1とした場合を考えてみる。Fが1〜4の間はN分周器が選択されるため、Nカウンタ322nからの出力周波数は900MHzとなる。そして、Fが5になった場合には、N+1カウンタが選択され、Nカウンタ322nからの出力周波数は901MHz(=900MHz+100kHz)となる。つまり、(N+K/F)=(900+1/5)=900.2MHzのステップ幅(分数分周比)で、PLL部320の出力周波数を可変させることができるようになる。すなわち、PLL部320の最小ステップ周波数を小さくすることができる。なお、N、F、Kに設定した値は一例であり、この例に限定されるものではない。
【0046】
本実施の形態では、Rカウンタ322rとNカウンタ322nよりなる分周器322の分周比を、2〜64の間で切り替えられるようにしている。このように構成することにより、PLL部320で発振可能な周波数範囲を、34.375MHz(2200MHz/64分周)〜2200MHz(4400MHz/2分周)という広い範囲とすることができる。これにより、PLL部320から、衛星IF信号の周波数帯だけでなく、地上デジタル放送またはケーブルテレビ放送の周波数帯であるVHF帯とUHF帯を受信するための周波数を生成できるようになる。
【0047】
図4に戻って説明を続けると、PLL部320から出力された発振信号(ローカル信号)は、I/Qミキサ304とI/Qミキサ305によって衛星IF信号またはRF信号と混合されて、I相とQ相のベースバンド信号に変換される。そして、I相とQ相のそれぞれのベースバンド信号は、可変LPF307および可変LPF308に入力される。可変LPF307は、I相のベースバンド信号の周波数を所定の帯域に制限してベースバンドアンプ309に出力する。また、可変LPF308は、Q相のベースバンド信号の周波数を所定の帯域に制限してベースバンドアンプ310に出力する。
【0048】
可変LPF307および可変LPF308は、プログラマブル可変LPFとして構成される。つまり、その遮断周波数は、図示せぬレジスタに設定値として設定される。本実施の形態では、その設定範囲を3MHz〜20MHzとしている。このように設定することにより、占有帯域幅が6MHz〜8MHzの地上デジタル放送またはケーブルテレビ放送の放送波も、占有帯域幅が20MHz〜40MHzの衛星放送の放送波も、いずれも可変LPF307および可変LPF308を通過させることにより得られるようになる。
【0049】
可変LPF307を通過したI相のベースバンド信号は、ベースバンドアンプ309によってそのゲインが調整された後に、信号線Lo2を通して復調器40に入力される。また、可変LPF308を通過したQ相のベースバンド信号は、ベースバンドアンプ310によってそのゲインが調整された後に、信号線Lo1を通して復調器40に入力される。ベースバンドアンプ309とベースバンドアンプ310のゲインは、信号線Laを通して復調器40から入力されるAGC制御信号に基づいて調整される。
【0050】
図6は、I/Qミキサ304と305によるベースバンド信号の取り出し(ベースバンド変換)と、可変LPF307および可変LPF308による帯域制限のイメージを示した図である。図6の横軸は周波数(MHz)を示し、縦軸は信号レベルを示す。図6には、UHFアンテナ20が受信したRF信号のうち、受信周波数として設定された557MHzの信号を検波する例を示している。この場合、PLL部320(図1参照)では、受信周波数と同じ周波数、すなわち557MHzのローカル信号が生成される。そして、I/Qミキサ304とI/Qミキサ305によって、このローカル信号と、AGCアンプ302(図1参照)で増幅されたRF信号とが乗算される。
【0051】
これにより、図6に示すように、中心周波数fcがローカル信号の周波数(ローカル周波数)と同じ557MHzであり、帯域幅Bw1が6MHzである信号が取り出されてベースバンド変換される。すなわち、UHFアンテナ20で受信されてAGCアンプ302で増幅されたRF信号が、中心周波数fcが0MHzのベースバンド信号に変換される。さらに、このようにして取り出されたベースバンド信号が可変LPF307および可変LPF308を通過することにより、その帯域幅Bw2が1/2に帯域制限される。すなわち、本実施の形態による受信装置1では、ダイレクトコンバージョン方式による検波を行っている。
【0052】
再び、図4に戻って説明を続ける。復調器40は、入力されたI相/Q相の各ベースバンド信号を所定の復調方式で復調し、TS(Transport Stream)信号として出力する。本実施の形態では、復調器40を、地上デジタル放送、ケーブルテレビ放送、衛星放送のそれぞれの放送規格に対応した復調方式で復調を行えるように構成している。つまり、地上デジタル放送の放送形式であるISDB−Tで採用されている変調方式と、ケーブルテレビ放送で使用されている変調方式と、衛星放送の放送形式であるISDB−Sで採用されている変調方式に対応した復調方式で、信号の復調を行う。復調器40で復調されたTS信号は、図示せぬMPEG(Moving Picture Experts Group)デコーダで復号され、映像信号および音声信号が取り出される。
【0053】
また、受信装置1は、選局部50と、記憶部60と、制御部としてのホストCPU70とを備える。選局部50は、リモートコントローラ等で構成され、ユーザによって選択されたチャンネルの情報を、選局データとしてホストCPU(Central Processing Unit)70に送信する。記憶部60は、不揮発性メモリ等よりなり、選局データとそれに対応する設定データとが記憶されている。なお、選局データの生成は、リモートコントローラとして構成された選局部50を介してチャンネルが選択された場合にのみ行われるものではない。例えば、電子番組表(EPG)を介して特定の番組が選択された場合や、録画予約として特定の番組が選択された場合にも、選局データが生成されるものとする。
【0054】
ホストCPU70は、受信装置1を構成する各部の制御を行うものであり、特に、選局データに基づいて、選択されたチャンネルの放送受信に必要な設定データを記憶部60から読み出し、読み出した設定データに基づいて受信装置1の各部を設定する。
【0055】
図7に、ホストCPU70による制御の例をフローチャートで示す。ホストCPU70は、まず、選局部50から送信された選局データまたは、EPGや録画予約を通して行われた選局に基づいて生成された選局データを読み込む(ステップS1)。そして、選局されたチャンネルが、地上デジタル放送のチャンネルであるか否かを判断する(ステップS2)。地上デジタル放送のチャンネルであった場合には、受信装置1の各部に対して地上デジタル放送受信用の設定を行い(ステップS3)、ステップS1に戻る。ステップS2で、選局されたチャンネルが地上デジタル放送のチャンネルではないと判断された場合には、次に、選局されたチャンネルがケーブルテレビ放送のチャンネルであるか否かを判断する(ステップS4)。ケーブルテレビ放送のチャンネルであると判断した場合には、受信装置1の各部に対してケーブルテレビ放送受信用の設定を行い(ステップS5)、ステップS1に戻る。
【0056】
ステップS4で、選局されたチャンネルがケーブルテレビ放送のチャンネルではないと判断された場合には、次に、選局されたチャンネルが衛星放送のチャンネルであるか否かを判断する(ステップS6)。衛星放送のチャンネルであると判断した場合には、受信装置1の各部に対して衛星放送受信用の設定を行い(ステップS7)、ステップS1に戻る。また、選局されたチャンネルが上述したいずれの放送にも該当しない場合にも、ステップS1に戻る。
【0057】
図8は、ホストCPU70が行う設定の例を示したものである。設定項目としては、「スイッチの接続先」、「VCOの出力周波数」、「分周器の分周比」、「可変LPFの遮断周波数」、「復調器の放送規格(復調方式)」がある。まずは、地上デジタル放送のチャンネルが選局された場合にホストCPU70が行う設定について説明する。地上デジタル放送のチャンネルが選局された場合は、スイッチ303(図4参照)の接続先は、AGCアンプ302側に切り替えられる。これにより、スイッチ303を介して、UHFアンテナ20が受信してAGCアンプ302で増幅されたRF信号がI/Qミキサ304およびI/Qミキサ305に入力されるようになる。
【0058】
PLL部320のVCO325の出力周波数は、2200MHz〜4400MHzの範囲内の適切な周波数に設定される。つまり、選局されたチャンネルによって定まる受信周波数に応じた周波数が、2200MHz〜4400MHzの範囲の中から出力周波数として発振される。分周器322の分周比は、4〜64の間の適切な値に設定される。VCO325の出力周波数と分周器322の分周比がこのように設定されることにより、PLL部320から、44MHz〜870MHzのローカル周波数が発振されるようになる。すなわち、地上デジタル放送の放送波送信に使用される周波数と同じ周波数が発振されるようになる。
【0059】
また、可変LPF307および可変LPF308の遮断周波数は、3MHz〜4MHzの間の適切な値に設定される。これにより、可変LPF307および可変LPF308によって、地上デジタル放送の1チャンネル分の帯域幅である6MHz〜8MHzの周波数のみが通過される。復調器の対応放送方式は、ISDB−T方式に切り替えられ、復調方式としては、OFDM方式や8VSB方式が設定される。
【0060】
ケーブル放送のチャンネルが選択された場合にも、地上デジタル放送のチャンネルが選択された場合とほぼ同様の設定が行われる。異なるのは、復調器40における復調方式である。ケーブル放送受信時には、ケーブルテレビ放送伝送用の変調方式に応じた復調方式、すなわち、64QAM、128QAM、256QAM等の復調方式が選択される。
【0061】
衛星放送のチャンネルが選局された場合は、スイッチ303(図4参照)の接続先は、ホストCPU70によってAGCアンプ301側に切り替えられる。これにより、スイッチ303を介して、パラボラアンテナ10が受信してAGCアンプ301で増幅された衛星IF信号が、I/Qミキサ304およびI/Qミキサ305に入力されるようになる。
【0062】
PLL部320のVCO325の出力周波数は、2200MHz〜4400MHzの範囲内の適切な周波数に設定される。つまり、選局されたチャンネルによって定まる受信周波数に応じた周波数が、2200MHz〜4400MHzの範囲の中から出力周波数として発振される。分周器322の分周比は、2〜4の間の適切な値に設定される。VCO325の出力周波数と分周器322の分周比がこのように設定されることにより、PLL部320から、950MHz〜2150MHzのローカル周波数が発振される。すなわち、衛星放送の放送波送信に使用される周波数と同じ周波数が発振されるようになる。
【0063】
また、可変LPF307および可変LPF308の遮断周波数は、10MHz〜20MHzの間の適切な値に設定される。これにより、可変LPF307および可変LPF308によって、衛星放送の1チャンネル分の帯域幅である20MHz〜40MHzの周波数のみが通過される。復調器の対応放送方式は、ISDB−S方式に切り替えられ、復調方式としては、QPSK方式や8PSK方式が設定される。
【0064】
上述のように、本実施の形態による受信装置1によれば、高周波処理部30(図4参照)を構成する各部の設定および復調器40の設定が、ホストCPU70の制御によって、選局データに応じたものに切り替えられる。これにより、1つの高周波処理部30と復調器40によって、地上デジタル放送と衛星放送等の、放送方式の異なる複数の放送波を受信することが可能となる。したがって、高周波処理部30と復調器40を構成する回路の規模が大幅に縮小されるため、回路の実装面積も小さくなる。よって、受信装置1の小型化および製造コストの低減を図ることができる。
【0065】
また、本実施の形態による受信装置1によれば、地上デジタル放送の放送波やケーブルテレビ放送の放送波も、ダイレクトコンバージョン方式によって復調される。つまり、スーパーへテロダイン方式での検波時のように、受信信号をIF信号に変換する必要がなくなるため、回路構成の簡素化および回路の小型化を図ることができる。
【0066】
また、本実施の形態による受信装置1では、PLL部320を、フラクショナルN型PLL回路で構成している。これにより、PLL部320(分周器322)の最小ステップ周波数を小さくすることができる。すなわち、細かいステップ幅でローカル信号の周波数を切り替えられるようになるため、地上デジタル放送の受信やケーブルテレビ放送の受信の際に求められる125kHz〜166.7kHzという細かい最小ステップ周波数も設定が可能となる。
【0067】
また、PLL部320をフラクショナルN型PLL回路で構成することで、(N+K/F)の分周数を設定可能となるため、比較周波数を、通常のPLLのF倍に上げることができる。例えばF=5とした場合には、比較周波数を5倍に上げることができる。そして、比較周波数を高くすることで、VCO325の中心周波数近傍の、例えば1kHzオフセットポイントでのループゲインが高くなる。これにより、ループ帯域内の位相雑音を少なくすることができる。したがって、地上デジタル放送やケーブルテレビ放送用の受信装置に求められる1kHz以下の位相雑音の性能も満足させることができるようになる。
【0068】
また、本実施の形態による受信装置1では、I/Qミキサ304および305で生成されたI相またはQ相のベースバンド信号に帯域制限をかけるLPFを、可変LPFとして構成している。これにより、同じチャンネルの放送波が、設置地域の異なる電波塔から異なる周波数の搬送波を用いて複数伝送されるような地域においても、所望のチャンネルの放送波を間違いなく受信できるようになる。
【0069】
また、従来デジタル放送の受信用に使用されているMPEGデコーダは、TS信号の処理系統が2つであるものが殆どであるが、今後は4系統、あるいは8系統と増えていくことが予想される。デジタル放送の変復調に使用されているデジタル変復調技術は、データ相互間の干渉に強いという特徴を有するため、処理系統の増加にも理論上対応可能と考えられるためである。このような場合にも、本実施の形態による受信装置1では、TS信号の処理系統の数と同じ数だけ高周波処理部30(チューナ部)を設ける必要はなくなる。したがって、実際の回路設計において、回路の配置スペース不足等の問題が発生することを防ぐことができる。
【0070】
また、複数の種類の放送波を受信可能に構成した受信装置においては、アンテナからの入力信号を、高周波処理部(チューナ部)内で適正な配分で分配することも重要となる。そして、適正な配分での分配の実現には、異なる放送波を扱う高周波処理部同士を同一の回路構成とすることや、各高周波処理部の配置を、アンテナで得られた衛星IF信号またはRF信号が入力される点を中点として、シンメトリックにすることが有効とされる。本実施の形態の受信装置1によれば、高周波処理部の数自体を減らすことができるため、このような回路構成も比較的容易に実現可能となる。したがって、デコーダにおけるTS信号の処理系等の増加にも対応がしやすくなる。
【0071】
<1−3.各種変形例>
なお、上述した実施の形態では、1台の復調器40が、ISDB−TやISDB−S等の異なる放送規格における各種復調方式に応じた復調を行う例をあげたが、これに限定されるものではない。受信する放送波の種類に応じて、復調器を複数台設けるようにしてもよい。図9は、衛星放送の放送波を復調するISDB−S復調器40s(第1の復調器)と、地上デジタル放送の放送波を復調するISDB−T復調器40t(第2の復調器)とを個別に設けた場合の、受信装置1αの構成例を示したものである。図9において、図4に対応する箇所には同一の符合を付してあり、詳細な説明は省略する。
【0072】
図9に示す受信装置1αでは、ISDB−S復調器40sとISDB−T復調器40tは、それぞれ入力端子を2個有している。また、ベースバンドアンプ309およびベースバンドアンプ310の出力先を切り替えるスイッチ311およびスイッチ312が設けられている。さらに、AGC制御信号の出力先を切り替えるスイッチ313も設けられている。ホストCPU70による制御は、図7に示したものと同様の制御が行われるものとする。
【0073】
衛星放送の放送波を受信する場合には、ホストCPU70の制御に基づいて、スイッチ311およびスイッチ312の接続先が、ISDB−S復調器40s側に切り替えられる。すなわち、ISDB−S復調器40sと接続された信号線Lo1および信号線Lo2側に接続される。これにより、衛星IF信号から取り出されたI相およびQ相のベースバンド信号が、ISDB−S復調器40sに入力されて復調される。また、スイッチ313の接続先も、ISDB−S復調器40s側に切り替わる。すなわち、ISDB−S復調器40sと接続された制御ラインLa1側に接続される。これにより、ISDB−S復調器40sで生成された衛星放送受信用のAGC制御信号が、制御ラインLa1を介して、AGCアンプ301およびAGCアンプ302と、ベースバンドアンプ309およびベースバンドアンプ310に入力される。
【0074】
地上デジタル放送の放送波を受信する場合には、ホストCPU70の制御に基づいて、スイッチ311およびスイッチ312の接続先が、ISDB−T復調器40t側に切り替えられる。すなわち、ISDB−T復調器40tと接続された信号線Lo3および信号線Lo4側に接続される。これにより、RF信号から取り出されたI相およびQ相のベースバンド信号が、ISDB−T復調器40tに入力されて復調される。また、スイッチ313の接続先も、ISDB−T復調器40t側に切り替わる。すなわち、ISDB−T復調器40tと接続された制御ラインLa2側に接続される。これにより、ISDB−T復調器40tで生成された地上デジタル放送受信用のAGC制御信号が、制御ラインLa2を介して、AGCアンプ301およびAGCアンプ302と、ベースバンドアンプ309およびベースバンドアンプ310に入力される。
【0075】
このように構成しても、上述した実施の形態により得られる効果と同様の効果が得られる。また、従来使用されているISDB−S復調器やISDB−T復調器をそのまま流用できるため、受信装置の製造コストの低減にもつながる。
【0076】
なお、図9に示した例では、衛星放送と地上デジタル放送とを受信する場合を例にあげたが、この組み合わせに限定されるものではない。例えば、衛星放送とケーブルテレビ放送や、衛星&衛星、地上波&地上波等、様々な組み合わせで放送波を受信できるようになる。
【0077】
また、一般的に、複数の高周波処理部(チューナ部)を備えた受信装置においては、放送を実際に受信していない状態においても、高周波処理部の一部は通電させておき、いつでも起動できるようにすることが行われている。受信したい放送波の種類や、組み合わせの種類に比例させて高周波処理部を設けた場合には、このような状態で消費される待機時消費電力も大きくなってしまう。しかし、図9に示すように受信装置1αを構成することで、1台の高周波処理部30αで、複数種類の放送波を様々な組み合わせで受信できるようになる。すなわち、待機時消費電力を大幅に節減することができる。
【0078】
[2.第2の実施の形態例]
<2−1.受信装置の構成例>
次に、本開示の第2の実施の形態による受信装置1βの構成例について、図10のブロック図を参照して説明する。図10において、図1,図2,図4,図9と対応する箇所には同一の符号を付してあり、重複する説明は省略する。
【0079】
本実施の形態による受信装置1βは、ダイレクトコンバージョン方式により衛星IF信号を検波する高周波処理部30sと、スーパーヘテロダイン方式により地上波RF信号を検波する高周波処理部30tとを備える。そして、放送受信時には、そのうちのいずれかが、第1の切り替え部としての切り替え部200によって、択一的に選択される構成としている。切り替え部200は、スイッチ201とスイッチ202とを含む。スイッチ201は、衛星放送受信側の高周波処理部30sのAGCアンプ301と、後段の第1のミキサ304および第2のミキサ305との接続をオンまたはオフする。スイッチ202は、地上デジタル放送受信側の高周波処理部30tのAGCアンプ601と後段のミキサ602との接続をオンまたはオフする。
【0080】
切り替え部200によるスイッチ201と202の切り替え動作は、制御部としてのホストCPU70(図4,図9参照)によって制御されるものである。ホストCPU70は、選局部50から新たな選局データが供給されたタイミング等で、切り替え部200に対して切り替え動作を指示する。また、ホストCPU70は、放送波が受信されない側の高周波処理部30を、電源オフモードにする制御も行う。
【0081】
電源オフモードとは、高周波処理部30を構成する各ブロックのうち、後段に接続されるA/D(Analog/Digital)コンバータ(図示略)に対して信号の出力を行うブロック(出力アンプ)に対しては電流の供給を行い、それ以外のブロックへの電流の供給は停止するモードである。後段のADCに信号を出力するブロックとしては、図10においては、高周波処理部30s内のベースバンドアンプ309および310と、高周波処理部30t内のIFアンプ605を図示している。
【0082】
例えば、高周波処理部30sのベースバンドアンプ309と310、高周波処理部30tのIFアンプ605に対して、常に所定のバイアス電圧をかけておき、電源オフモード設定時にそのバイアス電圧がDC電圧として出るようにしておく。このバイアス電圧を、これらの出力アンプの出力電圧が中点電位となるような値に設定しておくことで、後段にA/Dコンバータが直流的に直接接続されるような接続状態においても、A/Dコンバータの入力端子が不定状態となってしまうことを防ぐことができる。
【0083】
また、図10に示す受信装置1βでは、局部発振器としてのPLL部320を、高周波処理部30sと高周波処理部30tとで共用する構成としている。PLL部320は、第1の実施の形態として示したものと同様に、フラクショナルN型PLL回路として構成される。本実施の形態では、PLL部320の分周器322から出力される局部発振信号をバッファする出力バッファアンプを、その出力先の数に対応して設けている。本実施の形態例では、局部発振信号の出力先は、高周波処理部30sのミキサ304および305と、高周波処理部30tのミキサ602の2つである。このため、高周波処理部30sのミキサ304および305に入力される局部発振信号をバッファする出力バッファアンプ701と、高周波処理部30tのミキサ602に入力される信号をバッファする出力バッファアンプ702とを有する構成としている。さらに、分周器322とミキサ304および305との接続をオンまたはオフするスイッチ801と、分周器322とミキサ602との接続をオンまたはオフにするスイッチ802も有する。
【0084】
スイッチ801および802よりなる切り替え部(第2の切り替え部)800の接続先は、ホストCPU70(図4等参照)によって択一的に選択される。ホストCPU70は、電源オフモードが設定されていない側、つまり放送信号を受信する側の高周波処理部30のミキサに接続されるスイッチをオンにし、電源オフモードが設定された側の高周波処理部30のミキサに接続されるスイッチはオフにする。例えば、衛星放送の受信を行う際には、高周波処理部30sのミキサ304と405に接続されるスイッチ801をオンにし、高周波処理部30tのミキサ602に接続されるスイッチ802はオフにする。
【0085】
さらに、ホストCPU70は、スイッチがオンされてミキサと接続された側の出力バッファアンプに対しては例えば1.5V等の所定の電圧を印加し、オフされた側の出力バッファアンプにおいては、そのインピーダンスを所定の高い値とする制御も行う。このような制御を行うことにより、分周器322からバッファ側を見た場合の総合的な負荷は、常に1.5Vとなる。したがって、電源オフモードとなって、いずれか一方の高周波処理部30が局部発振信号の出力先のミキサの電源が落とされた場合にも、分周器322とミキサとの間でのインピーダンス不整合は発生しなくなる。
【0086】
<2−2.受信装置の受信処理の例>
次に、図11のフローチャートを参照して、本実施の形態による受信装置1βの受信処理の例について説明する。まず、ホストCPU70が選局データを読込み(ステップS11)、選局されたチャンネルが、地上デジタル放送のチャンネルであるか否かを判断する(ステップS12)。地上デジタル放送のチャンネルであった場合には、第1の入力切り替え部としての切り替え部200の接続先を、地上波デジタル放送受信側の高周波処理部30tに切り替える(ステップS13)。そして、衛星放送受信側の高周波処理部30sを電源オフモードの設定とし(ステップS14)、上述したような処理を行う。続いて、PLL部320のVCO出力周波数と分周器322の分周比を、地上デジタル放送受信用に適した値に設定し(ステップS15)、放送信号、ここでは地上波RF信号を検波する処理を行う(ステップS16)。
【0087】
ステップS12で、選局されたチャンネルが、衛星放送のチャンネルであると判断された場合には、ホストCPU70によって、切り替え部200の接続先を、衛星放送受信側の高周波処理部30sに切り替えられる(ステップS17)。そして、地上デジタル放送受信側の高周波処理部30tを電源オフモードの設定にする制御が行われる(ステップS18)。続いて、PLL部320のVCO出力周波数と分周器322の分周比を、衛星放送受信用に適した値に設定し(ステップS19)、放送信号、ここでは衛星IF信号を検波する処理を行う(ステップS16)。ここまでの処理が行われた後は、ステップS11に戻って処理が続けられる。
【0088】
上述した実施の形態によれば、地上波デジタル放送から衛星放送までの広い周波数帯域の放送信号を、フラクショナルN型として構成した一つの局部発振器のみを用いて検波することが可能となる。これにより、ICにおける高周波処理部30の実装面積を小さくすることができる。
【0089】
また、上述した実施の形態によれば、放送信号を受信しない側の高周波処理部30は電源オフモードとなって電力の供給が停止されるため、消費電力が抑えられるようになる。このとき、出力アンプとしてのベースバンドアンプ309および310と、IFアンプ605に対しては電流が供給され、出力電圧が所定のDC電圧(中点電位)となるような制御がされるため、後段のA/Dコンバータの入力端子が不定状態となってしまうことがなくなる。
【0090】
また、上述した実施の形態によれば、分周器322の出力がその出力先に対応して分配され、その接続先が、第2の切り替え部としての切り替え部800によって、放送信号を受信する側の高周波処理部30に切り替えられる。このとき、スイッチが接続された側の出力バッファアンプには所定の電圧が印加され、スイッチがオフにされた側の出力バッファアンプは、ハイインピーダンスとなるように制御される。これにより、局部発振信号の出力先が切り替えられた場合にも、出力先との間とのインピーダンスの整合がとれるため、局部発振信号がミキサに正しく伝送されるようになる。
【0091】
すなわち、放送信号の受信特性を劣化させることなく、かつ、局部発振器の数を1つに抑えられるため、回路規模を小さくすることが可能となる。
【0092】
また、上述した実施の形態では、地上デジタル放送受信用の高周波処理部30tと、衛星放送受信用の高周波処理部30sとを切り替えて放送信号の検波を行っている。これにより、例えば地上デジタル放送受信用の、スーパーヘテロダイン方式による検波を行う既存の高周波処理部30tが存在する場合にも、その構成をそのまま活かすことができるようになる。つまり、既存の構成に、衛星放送受信用のダイレクトコンバージョン方式による検波を行う高周波処理部30sを追加する等の処理を、比較的容易に行うことが可能となる。
【0093】
また、図10に示した高周波処理部30sと高周波処理部30tとのセットを複数個設けることにより、地上波デジタル放送と衛星放送という組み合わせだけでなく、様々な組み合わせで放送波を受信できるようになる。例えば、衛星放送&衛星放送、地上波デジタル放送&地上波デジタル放送等の組み合わせで、放送プログラムを同時に視聴または録画できるようになる。
【0094】
なお、上述した第2の実施の形態では、周波数帯域または放送方式の異なる複数の放送波を受信する複数の高周波処理部30が、1つの局部発振器(PLL部320)を共有する例をあげたが、これに限定されるものではない。それぞれの高周波処理部30に対応させて局部発振器を複数設けてもよく、この場合は、放送信号を受信中の高周波処理部に局部発振信号を供給する局部発振器以外には、電源を供給しないようにすることで、受信装置1における消費電力を低く抑えることが可能となる。
【0095】
また、上述した第2の実施の形態では、1つの局部発振器で受信周波数の帯域をすべてカバーできるように構成した例をあげたが、これに限定されるものではない。例えば、受信周波数の帯域を構成する各バンドに対応して局部発振器を複数設ける構成に適用してもよい。
【0096】
なお、本開示は以下のような構成も取ることができる。
(1)第1の周波数帯域を用いて伝送される第1の放送波を検波して第1の高周波信号を取り出す第1の高周波処理部と、
前記第1の周波数帯域とは異なる第2の周波数帯域を用いて伝送される第2の放送波を検波して第2の高周波信号を取り出す第2の高周波処理部と、
前記第1の高周波処理部と前記第2の高周波処理部で用いる局部発振信号を生成する少なくとも1つの局部発振器とを備えた受信装置。
(2)前記少なくとも1つの局部発振器は、フラクショナルN型PLL回路で構成される(1)に記載の受信装置。
(3)前記第1の高周波処理部と前記第2の高周波処理部とを切り替える第1の切り替え部と、
前記第1の切り替え部の接続先を、放送波を受信する側の高周波処理部に切り替える制御部とを備え、
前記少なくとも1つの局部発振器は、前記第1の高周波処理部と前記第2の高周波処理部のうち、前記第1の切り替え部によって選択された方の高周波処理部に対して前記局部発振信号を供給する(1)または(2)に記載の受信装置。
(4)前記制御部は、前記第1の切り替え部によって選択されていない方の高周波処理部を電源オフモードにする(3)に記載の受信装置。
(5)前記局部発振器で生成された前記局部発振信号を増幅して前記第1の高周波処理部に出力する第1の出力アンプと、前記局部発振信号を増幅して前記第2の高周波処理部に出力する第2の出力アンプとを備え、
前記制御部は、電源オフモード設定時には、前記第1の高周波処理部と前記第2の高周波処理部のうち、前記電源オフモードに設定された方の高周波処理部における各処理部のうちの、前記第1の出力アンプまたは前記第2の出力アンプ以外の処理部に対しては電流の供給を停止する制御を行う(4)に記載の受信装置。
(6)前記制御部は、前記第1の出力アンプと前記第2の出力アンプに一定の所定のバイアス電圧を印加し、前記電源オフモード設定時には、前記第1の出力アンプと前記第2の出力アンプのうち、前記電源オフモードに設定された方の出力アンプからの出力電圧として、前記出力アンプへのバイアス電圧を出力させる(4)または(5)に記載の受信装置。
(7)前記分周器から出力される前記局部発振信号を増幅して前記第1の高周波処理部に出力する第1の出力バッファアンプと、前記分周器から出力される前記局部発振信号を増幅して前記第2の高周波処理部に出力する第2の出力バッファアンプと、前記第1の出力バッファアンプと前記第2の出力バッファアンプとを択一的に選択して後段の回路に接続する第2の切り替え部とを備え、
前記制御部は、電源オフモード設定時には、前記第2の切り替え部の接続先を、前記放送波を受信する側の高周波処理部に接続される出力バッファアンプ側に切り替えるとともに、前記電源オフモードに設定された方の高周波処理部に接続される側の出力バッファアンプのインピーダンスを、所定の高い値とする制御を行う(4)〜(6)のいずれかに記載の受信装置。
(8)前記第1の周波数帯域と前記第2の周波数帯域のうち、少なくとも一方は衛星放送の周波数帯域である(1)または(2)に記載の受信装置。
(9)前記第1の高周波処理部と前記第2の高周波処理部のうち、少なくとも一方の高周波処理部は、ダイレクトコンバージョン方式による検波を行い、
前記ダイレクトコンバージョン方式による検波を行う高周波処理部は、第1の高周波信号と前記第2の高周波信号のうち、いずれか一方の高周波信号を増幅する、前記第1の高周波信号と前記第2の高周波信号に対応する各低雑音増幅器と、
前記各低雑音増幅器で増幅された前記第1の高周波信号または前記第2の高周波信号と、前記ローカル信号とを混合してI相のベースバンド信号を取り出す第1のミキサと、
前記低雑音増幅器で増幅された前記第1の高周波信号または前記第2の高周波信号と、前記ローカル信号の位相を90°移相した信号とを混合してQ相のベースバンド信号を取り出す第2のミキサと、
前記I相のベースバンド信号の周波数を所定の帯域に制限する第1のフィルタと、
前記Q相のベースバンド信号の周波数を所定の帯域に制限する第2のフィルタと、
前記第1のフィルタでその周波数が所定の帯域に制限されたI相のベースバンド信号と、前記第2のフィルタでその周波数が所定の帯域に制限されたQ相のベースバンド信号とを復調する復調器と、
ユーザによって設定された選局情報に基づいて、前記局部発振器の発振周波数と、前記局部発振器内の分周器の分周比と、前記第1のフィルタおよび前記第2のフィルタの遮断周波数と、前記復調器の復調方式の設定を行う制御部とを備えた(1)または(2)に記載の受信装置。
(10)前記第1のフィルタおよび前記第2のフィルタは、任意の遮断周波数を設定可能な可変ローパスフィルタとして構成され、前記遮断周波数の設定下限値は、前記第1の放送波と前記第2の放送波のうち、前記周波数帯域が低い方の放送波の搬送波の占有帯域幅の広さに応じて定まり、前記遮断周波数の設定上限値は、前記前記第1の放送波と前記第2の放送波のうち、前記周波数帯域が低い方の放送波の搬送波の占有帯域幅の広さに応じて定まる(9)に記載の受信装置。
(11)前記局部発振器は、水晶発振器と、前記分周器と、位相比較器と、ループフィルタと、電圧制御発振器よりなり、前記分周器の分周比の設定下限値は、前記第1の放送波と前記第2の放送波のうち、前記周波数帯域が高い方の放送波の周波数帯域の上限の周波数の値に応じて定まる(9)または(10)のいずれかに記載の受信装置。
(12)前記局部発振器の電圧制御発振器はLC共振回路を備え、前記LC共振回路に使用されるコイルは、集積回路に内蔵される
(11)に記載の受信装置。
(13)前記復調器は、第1の放送で使用されている変調方式に応じた復調を行う第1の復調器と、第2の放送で使用されている変調方式に応じた復調を行う第2の復調器よりなり、
前記I相のベースバンド信号の出力先を前記第1の復調器側と前記第2の復調器側とで切り替える第1のスイッチと、前記Q相のベースバンド信号の出力先を前記第1の復調器側と前記第2の復調器側とで切り替える第2のスイッチとをさらに備え、
前記制御部は、前記ユーザによって設定された選局情報に基づいて、前記第1のスイッチと前記第2のスイッチの接続先を切り替える(9)〜(11)のいずれかに記載の受信装置。
(14)第1の高周波処理部が、第1の周波数帯域を用いて伝送される第1の放送波を検波して第1の高周波信号を取り出すことと、
第2の高周波処理部が、前記第1の周波数帯域とは異なる第2の周波数帯域を用いて伝送される第2の放送波を検波して第2の高周波信号を取り出すことと、
少なくとも1つの局部発振器が、前記第1の高周波処理部と前記第2の高周波処理部で用いる局部発振信号を生成することとを含む
受信方法。
【符号の説明】
【0097】
1,5,6…受信装置、10…パラボラアンテナ、20…UHFアンテナ、30…高周波処理部、40…復調器、40s…ISDB−S復調器、40t…ISDB−T復調器、50…選局部、60…記憶部、70…ホストCPU、100…受信装置、101…パラボラアンテナ、102…UHFアンテナ、110,120…チューナ、130…復調器、200…第1の切り替え部、301,302…AGCアンプ、303…スイッチ、304,305…I/Qミキサ、306…移相器、307,308…可変LPF、309,310…ベースバンドアンプ、311〜313…スイッチ、320…PLL部、321…水晶発振器、322…分周器、322n…Nカウンタ、322r…Rカウンタ、323…位相比較器、324…ループフィルタ、325…VCO、500…高周波処理部、501…AGCアンプ、502,503…I/Qミキサ、504…移相器、505,506…可変LPF、507…ベースバンドアンプ、510…PLL部、511…VCO、512…分周器、520…ISDB−S復調器、600…高周波処理部、601…AGCアンプ、602…ミキサ、603…スイッチ、604…BPF、605…IFアンプ、610…局部発振部、611〜613…VCO、620…ISDB−T復調器、701,702…出力バッファアンプ、800…第2の切り替え部、801,802…スイッチ、901〜906…分配器、3201,3202,3203…PLL部、B1〜B3…検波ブロック、Bw1,Bw2…帯域幅、La1,La10,La2,La20…制御ライン、Li1,Li10,Li2,Li20,Lo1,Lo2…信号線

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の周波数帯域を用いて伝送される第1の放送波を検波して第1の高周波信号を取り出す第1の高周波処理部と、
前記第1の周波数帯域とは異なる第2の周波数帯域を用いて伝送される第2の放送波を検波して第2の高周波信号を取り出す第2の高周波処理部と、
前記第1の高周波処理部と前記第2の高周波処理部で用いる局部発振信号を生成する少なくとも1つの局部発振器とを備えた
受信装置。
【請求項2】
前記少なくとも1つの局部発振器は、フラクショナルN型PLL回路で構成される
請求項1に記載の受信装置。
【請求項3】
前記第1の高周波処理部と前記第2の高周波処理部とを切り替える第1の切り替え部と、
前記第1の切り替え部の接続先を、放送波を受信する側の高周波処理部に切り替える制御部とを備え、
前記少なくとも1つの局部発振器は、前記第1の高周波処理部と前記第2の高周波処理部のうち、前記第1の切り替え部によって選択された方の高周波処理部に対して前記局部発振信号を供給する
請求項2に記載の受信装置。
【請求項4】
前記制御部は、前記第1の切り替え部によって選択されていない方の高周波処理部を電源オフモードにする
請求項3に記載の受信装置。
【請求項5】
前記局部発振器で生成された前記局部発振信号を増幅して前記第1の高周波処理部に出力する第1の出力アンプと、前記局部発振信号を増幅して前記第2の高周波処理部に出力する第2の出力アンプとを備え、
前記制御部は、電源オフモード設定時には、前記第1の高周波処理部と前記第2の高周波処理部のうち、前記電源オフモードに設定された方の高周波処理部における各処理部のうちの、前記第1の出力アンプまたは前記第2の出力アンプ以外の処理部に対しては電流の供給を停止する制御を行う
請求項4に記載の受信装置。
【請求項6】
前記制御部は、前記第1の出力アンプと前記第2の出力アンプに一定の所定のバイアス電圧を印加し、前記電源オフモード設定時には、前記第1の出力アンプと前記第2の出力アンプのうち、前記電源オフモードに設定された方の出力アンプからの出力電圧として、前記出力アンプへのバイアス電圧を出力させる
請求項5に記載の受信装置。
【請求項7】
前記局部発振器内の分周器から出力される前記局部発振信号を増幅して前記第1の高周波処理部に出力する第1の出力バッファアンプと、前記分周器から出力される前記局部発振信号を増幅して前記第2の高周波処理部に出力する第2の出力バッファアンプと、前記第1の出力バッファアンプと前記第2の出力バッファアンプとを択一的に選択して後段の回路に接続する第2の切り替え部とを備え、
前記制御部は、電源オフモード設定時には、前記第2の切り替え部の接続先を、前記放送波を受信する側の高周波処理部に接続される出力バッファアンプ側に切り替えるとともに、前記電源オフモードに設定された方の高周波処理部に接続される側の出力バッファアンプのインピーダンスを、所定の高い値とする制御を行う
請求項6に記載の受信装置。
【請求項8】
前記第1の周波数帯域と前記第2の周波数帯域のうち、少なくとも一方は衛星放送の周波数帯域である
請求項2記載の受信装置。
【請求項9】
前記第1の高周波処理部と前記第2の高周波処理部のうち、少なくとも一方の高周波処理部は、ダイレクトコンバージョン方式による検波を行い、
前記ダイレクトコンバージョン方式による検波を行う高周波処理部は、第1の高周波信号と前記第2の高周波信号のうち、いずれか一方の高周波信号を増幅する、前記第1の高周波信号と前記第2の高周波信号に対応する各低雑音増幅器と、
前記各低雑音増幅器で増幅された前記第1の高周波信号または前記第2の高周波信号と、ローカル信号とを混合してI相のベースバンド信号を取り出す第1のミキサと、
前記低雑音増幅器で増幅された前記第1の高周波信号または前記第2の高周波信号と、前記ローカル信号の位相を90°移相した信号とを混合してQ相のベースバンド信号を取り出す第2のミキサと、
前記I相のベースバンド信号の周波数を所定の帯域に制限する第1のフィルタと、
前記Q相のベースバンド信号の周波数を所定の帯域に制限する第2のフィルタと、
前記第1のフィルタでその周波数が所定の帯域に制限されたI相のベースバンド信号と、前記第2のフィルタでその周波数が所定の帯域に制限されたQ相のベースバンド信号とを復調する復調器と、
ユーザによって設定された選局情報に基づいて、前記局部発振器の発振周波数と、前記局部発振器内の分周器の分周比と、前記第1のフィルタおよび前記第2のフィルタの遮断周波数と、前記復調器の復調方式の設定を行う制御部とを備えた
請求項2に記載の受信装置。

【請求項10】
前記第1のフィルタおよび前記第2のフィルタは、任意の遮断周波数を設定可能な可変ローパスフィルタとして構成され、前記遮断周波数の設定下限値は、前記第1の放送波と前記第2の放送波のうち、前記周波数帯域が低い方の放送波の搬送波の占有帯域幅の広さに応じて定まり、前記遮断周波数の設定上限値は、前記前記第1の放送波と前記第2の放送波のうち、前記周波数帯域が低い方の放送波の搬送波の占有帯域幅の広さに応じて定まる
請求項9に記載の受信装置。
【請求項11】
前記局部発振器は、水晶発振器と、前記分周器と、位相比較器と、ループフィルタと、電圧制御発振器よりなり、前記分周器の分周比の設定下限値は、前記第1の放送波と前記第2の放送波のうち、前記周波数帯域が高い方の放送波の周波数帯域の上限の周波数の値に応じて定まる
請求項10に記載の受信装置。
【請求項12】
前記局部発振器の電圧制御発振器はLC共振回路を備え、前記LC共振回路に使用されるコイルは、集積回路に内蔵される
請求項11に記載の受信装置。
【請求項13】
前記復調器は、第1の放送で使用されている変調方式に応じた復調を行う第1の復調器と、第2の放送で使用されている変調方式に応じた復調を行う第2の復調器よりなり、
前記I相のベースバンド信号の出力先を前記第1の復調器側と前記第2の復調器側とで切り替える第1のスイッチと、前記Q相のベースバンド信号の出力先を前記第1の復調器側と前記第2の復調器側とで切り替える第2のスイッチとをさらに備え、
前記制御部は、前記ユーザによって設定された選局情報に基づいて、前記第1のスイッチと前記第2のスイッチの接続先を切り替える
請求項11に記載の受信装置。
【請求項14】
第1の高周波処理部が、第1の周波数帯域を用いて伝送される第1の放送波を検波して第1の高周波信号を取り出すことと、
第2の高周波処理部が、前記第1の周波数帯域とは異なる第2の周波数帯域を用いて伝送される第2の放送波を検波して第2の高周波信号を取り出すことと、
少なくとも1つの局部発振器が、前記第1の高周波処理部と前記第2の高周波処理部で用いる局部発振信号を生成することとを含む
受信方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2013−31149(P2013−31149A)
【公開日】平成25年2月7日(2013.2.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−45657(P2012−45657)
【出願日】平成24年3月1日(2012.3.1)
【出願人】(000002185)ソニー株式会社 (34,172)
【Fターム(参考)】