説明

受光回路

【課題】受光回路の消費電流を削減する。
【解決手段】一つの実施形態によれば、受光回路は、トランスインピーダンスアンプと出力回路が設けられる。トランスインピーダンスアンプは、フォトダイオード、帰還抵抗、及び第1のトランジスタが設けられる。フォトダイオードは、光信号を電気信号に変換する。帰還抵抗は、フォトダイオードと内部出力端子の間に設けられる。第1のトランジスタは、ゲートにフォトダイオードで光電変換された電気信号が入力され、ドレインが内部出力端子に接続される。出力回路は、第1のトランジスタと同一チャネル型であり、ゲートが内部出力端子に接続され、電流源負荷が接続されるとともにドレイン側から出力信号を出力する第2のトランジスタを含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、受光回路に関する。
【背景技術】
【0002】
電子機器へのCMOS技術展開が進展するに伴い、電子機器の低消費電力化が急速に進んでいる。フォトカプラや光ファイバを用いた光伝送リンク等に使用される受光回路は、増幅器に反転増幅器であるトランスインピーダンスアンプ(TIA trans-impedance amplifier)や差動増幅器等が使用される。電子機器では、搭載される受光回路の低消費電力化が強く要求されている。
【0003】
受光回路は、例えばトランスインピーダンスアンプ、コンパレータ、基準電圧発生回路、及び出力回路から構成され、その回路構成から低消費電流化を図ることが困難であるという問題点がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2009−89059号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、消費電流を削減することができる受光回路を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
一つの実施形態によれば、受光回路は、トランスインピーダンスアンプと出力回路が設けられる。トランスインピーダンスアンプは、フォトダイオード、帰還抵抗、及び第1のトランジスタが設けられる。フォトダイオードは、光信号を電気信号に変換する。帰還抵抗は、フォトダイオードと内部出力端子の間に設けられる。第1のトランジスタは、ゲートにフォトダイオードで光電変換された電気信号が入力され、ドレインが内部出力端子に接続される。出力回路は、第1のトランジスタと同一チャネル型であり、ゲートが内部出力端子に接続され、電流源負荷が接続されるとともにドレイン側から出力信号を出力する第2のトランジスタを含む。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】第一の実施形態に係る受光回路の構成を示す回路図である。
【図2】第一の実施形態に係る比較例の受光回路の構成を示す回路図である。
【図3】第一の実施形態に係る消費電流を示す図である。
【図4】第二の実施形態に係る受光回路の構成を示す回路図である。
【図5】第三の実施形態に係る受光回路の構成を示す回路図である。
【図6】変形例の受光回路の構成を示す回路図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下本発明の実施形態について図面を参照しながら説明する。
【0009】
(第一の実施形態)
まず、本発明の第一の実施形態に係る受光回路について、図面を参照して説明する。図1は受光回路の構成を示す回路図である。図2は比較例の受光回路の構成を示す回路図である。本実施形態では、受光回路の構成を簡略化して消費電流を削減している。
【0010】
図1に示すように、受光回路90には、トランスインピーダンスアンプ1、出力回路2、電流源4、Pch MOSトランジスタPMT20、及び端子Padoが設けられる。受光回路90はCMOS技術で構成され、光結合回路としてのフォトカプラ、光ファイバリンクの光受信装置等に使用される。ここでは、受光回路90に使用されるMOSトランジスタの高電位側電源Vdd側を第一の端子、低電位側電源(接地電位)Vss側を第二の端子としている。
【0011】
Pch MOSトランジスタPMT20は、ソース(第一の端子)が高電位側電源Vddに接続され、ゲート(制御端子)がドレイン及びノードN1に接続される。電流源4は、一端がノードN1に接続され、他端が低電位側電源(接地電位)Vssに接続され、低電位側電源(接地電位)Vss側に電流I0を流す。
【0012】
トランスインピーダンスアンプ(TIA trans-impedance amplifier)1には、フォトダイオード3、Pch MOSトランジスタPMT1、Nch MOSトランジスタNMT1、及び帰還抵抗Rfが設けられる。
【0013】
Pch MOSトランジスタPMT1は、ソース(第一の端子)が高電位側電源Vddに接続され、ゲート(制御端子)がPch MOSトランジスタPMT20のゲートに接続され、ドレイン(第二の端子)がノードN3(内部出力端子)に接続される。Pch MOSトランジスタPMT20とPch MOSトランジスタPMT1は、カレントミラー回路を構成する。Pch MOSトランジスタPMT1は、ノードN3側に(ソース側からドレイン側へ)電流I1を流す電流発生部として機能する。
【0014】
フォトダイオード3は、カソードがノードN2に接続され、アノードが低電位側電源(接地電位)Vssに接続される。フォトダイオード3は、光信号を電気信号に変化し、低電位側電源(接地電位)側に電流Ipを流す。フォトダイオード3は、例えばシリコンフォトダイオードである。
【0015】
帰還抵抗Rfは、一端がノードN2及びフォトダイオード3のカソードに接続され、他端がノードN3(内部出力端子)に接続される。Nch MOSトランジスタNMT1は、ドレイン(第一の端子)が帰還抵抗Rfの他端及びノードN3(内部出力端子)に接続され、ゲート(制御端子)がノードN2及びフォトダイオード3のカソードに接続され、ソース(第二の端子)が低電位側電源(接地電位)Vssに接続される。Nch MOSトランジスタNMT1は、ドレイン(ノードN3)側からトランスインピーダンスアンプ1の出力を出力回路2に出力する。
【0016】
出力回路2には、Pch MOSトランジスタPMT2及びNch MOSトランジスタNMT2が設けられる。
【0017】
Pch MOSトランジスタPMT2は、ソース(第一の端子)が高電位側電源Vddに接続され、ゲート(制御端子)がPch MOSトランジスタPMT20のゲートに接続され、ドレイン(第二の端子)がノードN4に接続される。Pch MOSトランジスタPMT20とPch MOSトランジスタPMT2は、カレントミラー回路を構成する。Pch MOSトランジスタPMT2は、ノードN4側に(ソース側からドレイン側へ)電流I3を流す電流発生部として機能する。
【0018】
Nch MOSトランジスタNMT2は、ドレイン(第一の端子)がノードN4に接続され、ゲート(制御端子)がノードN3(内部出力端子)に接続され、ソース(第二の端子)が低電位側電源(接地電位)Vssに接続される。Nch MOSトランジスタNMT2は、低電位側電源(接地電位)Vss側に電流I2を流す。Nch MOSトランジスタNMT2は、ドレイン(ノードN4)側から出力信号Soutを出力端子である端子Padoに出力する。
【0019】
受光回路90では、フォトダイオード3に光信号が入力されたときに出力信号Soutが切り替わるように、電流I1、電流I3、Nch MOSトランジスタNMT1のゲート幅W1/ゲート長L1、Nch MOSトランジスタNMT2のゲート幅W2/ゲート長L2を適切な値に設定している。
【0020】
フォトダイオード3に光信号が入力されない場合、電流I3>電流I2になるようにトランスインピーダンスアンプ1及び出力回路2を設定している。この場合、Pch MOSトランジスタPMT2がリニア動作するので、Pch MOSトランジスタPMT2を抵抗と見なすことができ出力信号Soutは“High”レベルとなる。このとき、Pch MOSトランジスタPMT2のドレイン側に流れる電流は電流I2となる。
【0021】
フォトダイオード3に光信号が入力された場合、ノードN3の電圧(Nch MOSトランジスタNMT2のゲートの電圧)が上昇し、電流I3<電流I2となる。Nch MOSトランジスタNMT2がリニア動作するので、Nch MOSトランジスタNMT2を抵抗と見なすことができ出力信号Soutは“Low”レベルとなる。このときNch MOSトランジスタNMT2に流れる電流は電流I3となる。
【0022】
フォトダイオード3に光信号が入力されない場合の消費電流Is1、フォトダイオード3に光信号が入力されて出力信号Soutが切り替わったときの消費電流Is2は、
Is1=I0+I1+I2・・・・・・・・・・・・・・・・・式(1)
Is2=I0+I1+I3・・・・・・・・・・・・・・・・・式(2)
と表される。
【0023】
次に、フォトダイオード3の光電流で計算される切り替え電流Ipthについて説明する。
【0024】
ノードN2の電圧Vg、Nch MOSトランジスタNMT1及びNMT2の閾値電圧VT、ノードN3の電圧V1、電流I1、電流I2、電流Ip、帰還抵抗の値Rf、Nch MOSトランジスタNMT1のゲート幅W1/ゲート長L1、Nch MOSトランジスタNMT2のゲート幅W2/ゲート長L2、比例乗数をK’と表すと、電圧Vgは
【数1】

と表すことができる。電圧V1は、
V1=Vg+(Ip×Rf)・・・・・・・・・・・・・・・・式(3)
で表されるので電流I2は、
【数2】

と表すことができる。
【0025】
電流I2が電流I3と等しくなるときの電流Ipを閾値電流Ipthとすると、閾値電流Ipthは、
【数3】

と表すことができる。
【0026】
図2に示すように、比較例の受光回路100には、トランスインピーダンスアンプ1、コンパレータ5、基準電圧発生回路6、出力回路7、電流源4、Pch MOSトランジスタPMT20、及び端子Padoが設けられる。比較例の受光回路100は、本実施形態の受光回路90とはトランスインピーダンスアンプ1、電流源4、Pch MOSトランジスタPMT20、及び端子Padoの部分が同じ構成であり、異なる点のみ説明する。
【0027】
基準電圧発生回路6には、Pch MOSトランジスタPMT13、Nch MOSトランジスタNMT13、及び抵抗R1が設けられる。基準電圧発生回路6は、フォトダイオードがないだけで基本的にトランスインピーダンスアンプ1と同様な回路構成を有している。基準電圧発生回路6は、基準電圧を発生してコンパレータ5に基準電圧を出力する。
【0028】
コンパレータ5には、電流源11、Pch MOSトランジスタPMT11、Pch MOSトランジスタPMT12、Nch MOSトランジスタNMT11、及びNch MOSトランジスタNMT12が設けられる。Nch MOSトランジスタNMT11とNch MOSトランジスタNMT12は差動対を構成する。コンパレータ5は、トランスインピーダンスアンプ1から出力される信号(ノードN3の信号)をNch MOSトランジスタNMT11のゲートに入力し、基準電圧発生回路6から出力される信号(ノードN14の信号)をNch MOSトランジスタNMT2のゲートに入力し、比較増幅した信号を出力回路7に出力する。
【0029】
出力回路7には、Pch MOSトランジスタPMT14、Pch MOSトランジスタPMT15、Nch MOSトランジスタNMT14、及びNch MOSトランジスタNMT15が設けられる。出力回路7は、コンパレータ5の出力(ノードN11及びノードN13の信号)がカレントミラー回路構成になっている。Nch MOSトランジスタNMT14とNch MOSトランジスタNMT15は、カレントミラー回路を構成し、低電位側電源(接地電位)Vss側に電流Idをそれぞれ流す。出力回路7は、ノードN16から出力信号Soutを端子Padoに出力する。
【0030】
比較例の受光回路100では、フォトダイオード3に光信号が入力されない場合、出力信号Soutが“Low”レベルになるように、基準電圧発生回路6の出力電圧を光信号が入力されないときのトランスインピーダンスアンプ1の出力電圧よりも高くしている。具体的には、電流I4、Nch MOSトランジスタNMT13のゲート幅W/ゲート長Lが所定の値に設定している。
【0031】
比較例の受光回路100では、フォトダイオード3に光信号が入力された場合、トランスインピーダンスアンプ1の出力電圧が上がりコンパレータ5の入力電圧差が反転し、出力信号Soutが“High”レベルに切り替わる。
【0032】
Pch MOSトランジスタPMT13のドレイン側に流れる電流I4、電流源11に流れる電流Ic、Nch MOSトランジスタNM14及び15に流れる電流Idとすると、フォトダイオード3に光信号が入力されない場合の消費電流Is1a、フォトダイオード3に光信号が入力されて出力信号Soutが切り替わったときの消費電流Is2aは、
Is1=I0+I1+Ic+I4+Id・・・・・・・・・・・・・・・式(4)
Is2=I0+I1+Ic+I4 ・・・・・・・・・・・・・・・・式(5)
と表される。
【0033】
次に、受光回路の消費電流について説明する。ここでは、受光回路を構成するMOSトランジスタに流れる電流を同一の値とし、本実施形態での無信号時のNch MOSトランジスタNMT2に流れる電流をその7割となるように設定した場合を例にして説明する。
【0034】
図3は受光回路の消費電流を示す図で、図3(a)は無信号時の消費電流を示す図、図3(b)は光信号入力時の消費電流を示す図である。
【0035】
図3(a)に示すように、フォトダイオード3に光信号が入力されない場合、本実施形態の受光回路90では比較例の受光回路100と比較し、消費電流を55%削減することができる。例えば、高電位側電源Vddの電圧を3.3V、それぞれのMOSトランジスタに50μAの電流が流れ、本実施形態での無信号時のNch MOSトランジスタNMT2に流れる電流を35μA(50×0.7μA)とすると、本実施形態の受光回路90の消費電流は135μAとなる。比較例の受光回路100の消費電流は300μAとなる。
【0036】
図3(b)に示すように、フォトダイオード3に光信号が入力された場合、本実施形態の受光回路90では比較例の受光回路100と比較し、消費電流を40%削減することができる。例えば、高電位側電源Vddの電圧を3.3V、それぞれのMOSトランジスタに50μAの電流が流れるとすると、本実施形態の受光回路90の消費電流は150μAとなる。比較例の受光回路100の消費電流は250μAとなる。
【0037】
上述したように、本実施形態の受光回路では、トランスインピーダンスアンプ1、出力回路2、電流源4、Pch MOSトランジスタPMT20、及び端子Padoが設けられる。トランスインピーダンスアンプ1には、フォトダイオード3、Pch MOSトランジスタPMT1、Nch MOSトランジスタNMT1、及び帰還抵抗Rfが設けられる。出力回路2には、Pch MOSトランジスタPMT2及びNch MOSトランジスタNMT2が設けられる。受光回路90には、コンパレータや基準電圧発生回路などが設けられていない。
【0038】
このため、受光回路90の回路構成を簡素化し、消費電流を削減することができる。したがって。受光回路90が搭載された電子機器を低消費電力化することができる。
【0039】
なお、本実施形態の受光回路90では、電流発生部にPch MOSトランジスタPMT1及びPch MOSトランジスタPMT2を用い、増幅動作するトランジスタにNch MOSトランジスタNMT1及びNch MOSトランジスタNMT2を用いているが必ずしもこれに限定されるものではない。例えば、図6に示す変形例の受光回路200のように電流発生部にNch MOSトランジスタNMT1及びNch MOSトランジスタNMT2を用い、増幅動作するトランジスタにPch MOSトランジスタPMT2を用いてもよい。
【0040】
具体的には、受光回路200には、電流源4、トランスインピーダンスアンプ30、出力回路40、Nch MOSトランジスタNMT20、及び端子Padoが設けられる。トランスインピーダンスアンプ30には、フォトダイオード3、Pch MOSトランジスタPMT1、Nch MOSトランジスタNMT1、及び帰還抵抗Rfが設けられる。出力回路40には、Pch MOSトランジスタPMT2及びNch MOSトランジスタNMT2が設けられる。フォトダイオード3は、高電位側電源VddとノードN2の間に設けられる。フォトダイオード3で光電変換された電気信号はPch MOSトランジスタPMT1のゲートに入力され、トランスインピーダンスアンプ30の出力信号(ノードN3の信号)はPch MOSトランジスタPMT2のゲートに入力され、ドレイン側(ノードN4)から出力信号Soutが出力される。
【0041】
また、本実施形態では、帰還抵抗Rfbを有するトランスインピーダンスアンプ1を使用しているが、必ずしもトランスインピーダンスアンプに帰還抵抗が1つ設けられているとは限らない。たとえば、複数の帰還抵抗を直列接続させてもよい。
【0042】
(第二の実施形態)
次に、本発明の第二の実施形態に係る受光回路について、図面を参照して説明する。図4は受光回路の構成を示す回路図である。本実施形態では、帰還抵抗を省略している。
【0043】
以下、第一の実施形態と同一構成部分には、同一符号を付してその部分の説明を省略し、異なる部分のみ説明する。
【0044】
図4に示すように、受光回路91には、負荷回路1a、出力回路2、電流源4、Pch MOSトランジスタPMT20、及び端子Padoが設けられる。受光回路91はCMOS技術で構成され、光結合回路としてのフォトカプラ、光ファイバリンクの光受信装置等に使用される。受光回路91は、バッファロジック構成の受光回路である。
【0045】
負荷回路1aには、フォトダイオード3、Pch MOSトランジスタPMT1、及びNch MOSトランジスタNMT1が設けられる。
【0046】
Nch MOSトランジスタNMT1は、ドレイン(第一の端子)がノードN2(内部出力端子)に接続され、ゲート(制御端子)がノードN2(内部出力端子)及びフォトダイオード3のカソードに接続され、ソース(第二の端子)が低電位側電源(接地電位)Vssに接続される。Nch MOSトランジスタNMT1は、ドレイン(ノードN2)側から負荷回路1aの出力を出力回路2に出力する。
【0047】
受光回路91では、電流I1、電流I3、Nch MOSトランジスタNMT1のゲート幅W1/ゲート長L1、Nch MOSトランジスタNMT2のゲート幅W2/ゲート長L2を適切な値に設定し、フォトダイオード3に光信号が入力されない場合、電流I2>電流I3になるように設定している。
【0048】
電流I2>電流I3に設定されているので、Nch MOSトランジスタNMT2がリニア領域で動作するので、出力信号Soutが“Low”レベルとなる。このとき、Nch MOSトランジスタNMT2に流れる電流は電流I3となる。
【0049】
受光回路91では、フォトダイオード3に光信号が入力された場合、Nch MOSトランジスタNMT1に流れる電流は電流I1から電流Ip分引いた値となる。Nch MOSトランジスタNMT1とカレントミラー回路を構成するNch MOSトランジスタNMT2に流れる電流I2も小さくなり(I2<I3)、Pch MOSトランジスタPMT2がリニア領域で動作するので、出力信号Soutは”High”レベルとなる。このとき、Pch MOSトランジスタPMT2に流れる電流は電流I2となる。
【0050】
フォトダイオード3に光信号が入力されない場合の消費電流Is1b、フォトダイオード3に光信号が入力されて出力信号Soutが切り替わったときの消費電流Is2bは、
Is1b=I0+I1+I3・・・・・・・・・・・・・・・・・式(6)
Is2b=I0+I1+I2・・・・・・・・・・・・・・・・・式(7)
と表される。第一の実施形態と同様に、本実施形態の受光回路91では比較例の受光回路100よりも消費電流を削減することができる。
【0051】
次に、フォトダイオード3の光電流で計算される切り替え電流Ipthについて説明する。
【0052】
Nch MOSトランジスタNMT1及びNMT2の閾値電圧Vt、ノードN2の電圧V1、電流I1、電流I2、電流Ip、Nch MOSトランジスタNMT1のゲート幅W1/ゲート長L1、Nch MOSトランジスタNMT2のゲート幅W2/ゲート長L2、比例乗数をK’と表すと、電圧V1は
【数4】

と表すことができる。電流I2は、
【数5】

と表すことができる。
【0053】
電流I2が電流I3と等しくなるときの電流Ipを閾値電流Ipthとすると、閾値電流Ipthは、
【数6】

と表すことができる。
【0054】
上述したように、本実施形態の受光回路では、負荷回路1a、出力回路2、電流源4、Pch MOSトランジスタPMT20、及び端子Padoが設けられる。負荷回路1aには、フォトダイオード3、Pch MOSトランジスタPMT1、及びNch MOSトランジスタNMT1が設けられる。出力回路2には、Pch MOSトランジスタPMT2及びNch MOSトランジスタNMT2が設けられる。受光回路91には、コンパレータや基準電圧発生回路などが設けられていない。
【0055】
このため、受光回路91の回路構成を簡素化し、消費電流を削減することができる。したがって。受光回路91が搭載された電子機器を低消費電力化することができる。
【0056】
(第三の実施形態)
次に、本発明の第三の実施形態に係る受光回路について、図面を参照して説明する。図5は受光回路の構成を示す回路図である。本実施形態では、トランスインピーダンスアンプと出力回路の間にソースフォロア回路を設けている。
【0057】
以下、第一の実施形態と同一構成部分には、同一符号を付してその部分の説明を省略し、異なる部分のみ説明する。
【0058】
図5に示すように、受光回路92には、トランスインピーダンスアンプ1b、ソースフォロア回路8、出力回路2b、電流源4、Pch MOSトランジスタPMT20、及び端子Padoが設けられる。受光回路92はCMOS技術で構成され、光結合回路としてのフォトカプラ、光ファイバリンクの光受信装置等に使用される。
【0059】
トランスインピーダンスアンプ1bには、フォトダイオード3、Pch MOSトランジスタPMT1、Nch MOSトランジスタNMT1、及び帰還抵抗Rfが設けられる。
【0060】
帰還抵抗Rfは、一端がノードN2及びフォトダイオード3のカソードに接続され、他端がノードN22に接続される。Pch MOSトランジスタPMT1は、ソース(第一の端子)が高電位側電源Vddに接続され、ゲート(制御端子)がPch MOSトランジスタPMT20のゲートに接続され、ドレイン(第二の端子)がノードN21に接続される。
【0061】
Nch MOSトランジスタNMT1は、ドレイン(第一の端子)がノードN21に接続され、ゲート(制御端子)がノードN2及びフォトダイオード3のカソードに接続され、ソース(第二の端子)が低電位側電源(接地電位)Vssに接続される。
【0062】
ソースフォロア回路8には、Nch MOSトランジスタNMT21とNch MOSトランジスタNMT22が設けられる。
【0063】
Nch MOSトランジスタNMT21は、ドレイン(第一の端子)が高電位側電源Vddに接続され、ゲート(制御端子)がノードN21に接続され、ソース(第二の端子)がノードN22に接続される。Nch MOSトランジスタNMT22は、ドレイン(第一の端子)がノードN22に接続され、ゲート(制御端子)にバイアス電圧Vbiasが印加され、ソース(第二の端子)が低電位側電源(接地電位)Vssに接続される。Nch MOSトランジスタNMT22は、バイアス電圧Vbiasにより定電流電源として動作する。
【0064】
出力回路2bには、Pch MOSトランジスタPMT2及びNch MOSトランジスタNMT2が設けられる。
【0065】
Pch MOSトランジスタPMT2は、ソース(第一の端子)が高電位側電源Vddに接続され、ゲート(制御端子)がPch MOSトランジスタPMT20のゲートに接続され、ドレイン(第二の端子)がノードN23に接続される。
【0066】
Nch MOSトランジスタNMT2は、ドレイン(第一の端子)がノードN23に接続され、ゲート(制御端子)がノードN22に接続され、ソース(第二の端子)が低電位側電源(接地電位)Vssに接続される。Nch MOSトランジスタNMT2は、ドレイン(ノードN23)側から出力信号Soutを出力端子である端子Padoに出力する。
【0067】
受光回路92では、電流発生部としてのPch MOSトランジスタPMT1に発生した信号をノードN22から出力する手段として縦続接続されるNch MOSトランジスタNMT21及びNch MOSトランジスタNMT22から構成されるソースフォロア回路8を用いている。ソースフォロア回路8を設けるとオープンループゲインを増大することができ、第一の実施形態の受光回路90よりも周波数特性を向上することができる。
【0068】
上述したように、本実施形態の受光回路では、トランスインピーダンスアンプ1b、ソースフォロア回路8、出力回路2b、電流源4、Pch MOSトランジスタPMT20、及び端子Padoが設けられる。トランスインピーダンスアンプ1bには、フォトダイオード3、Pch MOSトランジスタPMT1、Nch MOSトランジスタNMT1、及び帰還抵抗Rfが設けられる。ソースフォロア回路8には、Nch MOSトランジスタNMT21とNch MOSトランジスタNMT22が設けられる。出力回路2bには、Pch MOSトランジスタPMT2及びNch MOSトランジスタNMT2が設けられる。受光回路92には、コンパレータや基準電圧発生回路などが設けられていない。ソースフォロア回路8は、オープンループのゲインを増大する。
【0069】
このため、第一の実施形態と同様な効果の他に、受光回路92の周波数特性を向上することができる。
【0070】
なお、実施形態で示す受光回路をゲート絶縁膜がシリコン酸化膜(SiO膜)からなるMOS(metal oxide semiconductor)トランジスタで構成しているが、ゲート絶縁膜がNO膜、ONO膜、HfO膜等のHigh Kゲート絶縁膜等の絶縁膜からなるMIS(metal insulator semiconductor)トランジスタで構成してもよい。また、実施形態で示す受光回路の構成をNch MOSトランジスタをPch MOSトランジスタに変更し、Pch MOSトランジスタをNch MOSトランジスタに変更してもよい。また、切り替え電流Ipthにヒステリシスを持たせるためのMOSトランジスタを追加してもよい。また、カレントミラー回路を構成するPch MOSトランジスタをPNPトランジスタで構成してもよい。この場合、受光回路はBiCMOS構成となる。
【0071】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0072】
1、1b、30 トランスインピーダンスアンプ
1a 負荷回路
2、2b、7、40 出力回路
3 フォトダイオード
4、11 電流源
5 コンパレータ
6 基準電圧発生回路
8 ソースフォロア回路
90〜92、100、200 受光回路
I0〜I4、Ic、Id、Ip 電流
N1〜4、N11〜16、N21〜23 ノード
NMT1、2、11〜15、20、21、22 Nch MOSトランジスタ
Pado 端子
PMT1、2、11〜15、20 Pch MOSトランジスタ
R1 抵抗
Rf 帰還抵抗
Sout 出力信号
Vbias バイアス電圧
Vdd 高電位側電源
Vss 低電位側電源(接地電位)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
光信号を電気信号に変換するフォトダイオードと、前記フォトダイオードと内部出力端子の間に設けられる帰還抵抗と、ゲートに前記フォトダイオードで光電変換された電気信号が入力され、ドレインが前記内部出力端子に接続される第1のトランジスタとが設けられるトランスインピーダンスアンプと、
前記第1のトランジスタと同一チャネル型であり、ゲートが前記内部出力端子に接続され、電流源負荷が接続されるとともにドレイン側から出力信号を出力する第2のトランジスタを含む出力回路と、
を具備することを特徴とする受光回路。
【請求項2】
アノードが低電位側電源に接続され、光信号を電気信号に変換するフォトダイオードと、一端が前記フォトダイオードのカソードに接続される帰還抵抗と、一端が高電位側電源に接続され、他端側から第一の電流を流す第一の電流発生部と、ゲートが前記フォトダイオードのカソードに接続され、ドレインが前記帰還抵抗の他端及び前記第一の電流発生部の他端に接続され、ソースが前記低電位側電源に接続される第一のNch MOSトランジスタとを有するトランスインピーダンスアンプと、
一端が前記高電位側電源に接続され、他端側から第二の電流を流す第二の電流発生部と、ゲートが前記第一のNch MOSトランジスタのドレインに接続され、ドレインが前記第二の電流発生部の他端に接続され、ソースが前記低電位側電源に接続され、ドレイン側から出力信号を出力する第二のNch MOSトランジスタとを有する出力回路と、
を具備することを特徴とする受光回路。
【請求項3】
アノードが低電位側電源に接続され、光信号を電気信号に変換するフォトダイオードと、一端が高電位側電源に接続され、他端側から第一の電流を流す第一の電流発生部と、ゲートが前記フォトダイオードのカソード及び前記第一の電流発生部の他端に接続され、ドレインが前記第一の電流発生部の他端に接続され、ソースが前記低電位側電源に接続される第一のNch MOSトランジスタとを有する負荷回路と、
一端が前記高電位側電源に接続され、他端側から第二の電流を流す第二の電流発生部と、ゲートが前記第一のトランジスタの第一の端子に接続され、ドレインが前記第二の電流発生部の他端に接続され、ソースが前記低電位側電源に接続され、ドレイン側から出力信号を出力する第二のNch MOSトランジスタとを有する出力回路と、
を具備することを特徴とする受光回路。
【請求項4】
アノードが低電位側電源に接続され、光信号を電気信号に変換するフォトダイオードと、一端が前記フォトダイオードのカソードに接続される帰還抵抗と、一端が高電位側電源に接続され、他端側から第一の電流を流す第一の電流発生部と、ゲートが前記フォトダイオードのカソードに接続され、ドレインが前記第一の電流発生部の他端に接続され、ソースが前記低電位側電源に接続される第一のNch MOSトランジスタとを有するトランスインピーダンスアンプと、
ドレインが前記高電位側電源に接続され、ゲートが前記第一のNch MOSトランジスタのドレインに接続される第二のNch MOSトランジスタと、ドレインが前記帰還抵抗の他端及び前記第二のNch MOSトランジスタのソースに接続され、ゲートにバイアス電圧が入力され、ソースが前記低電位側電源に接続される第三のNch MOSトランジスタとを有するソースフォロア回路と、
一端が前記高電位側電源に接続され、他端側から第二の電流を流す第二の電流発生部と、ゲートが前記第三のNch MOSトランジスタのドレインに接続され、ドレインが前記第二の電流発生部の他端に接続され、ソースが前記低電位側電源に接続され、ドレイン側から出力信号を出力する第四のNch MOSトランジスタとを有する出力回路と、
を具備することを特徴とする受光回路。
【請求項5】
前記第一の電流発生部は第一のPch MOSトランジスタであり、ゲートがドレインに接続される第三のPch MOSトランジスタとカレントミラー回路を構成し、
前記第二の電流発生部は第二のPch MOSトランジスタであり、前記第三のPch MOSトランジスタとカレントミラー回路を構成する
ことを特徴とする請求項2乃至4のいずれか1項に記載の受光回路。
【請求項6】
前記フォトダイオードは、シリコンフォトダイオードであることを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項に記載の受光回路。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2013−65941(P2013−65941A)
【公開日】平成25年4月11日(2013.4.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−202034(P2011−202034)
【出願日】平成23年9月15日(2011.9.15)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【Fターム(参考)】