説明

受動型赤外線検知センサ

【課題】複数個の検知素子を有する場合に、低消費電力化を実現するとともに、侵入者を確実に検知できる受動型赤外線検知センサを提供する。
【解決手段】検知エリアA内の相異なるエリアA1、A2で侵入者Hから発する赤外線をそれぞれ検知する複数の検知素子2、3と、各検知素子2、3からの検知信号に基づいて信号処理をそれぞれ行う複数の個別信号処理部7を有し、すべての検知素子2、3からの検知信号が侵入者の検知を示すとき、侵入者と判定し出力する検知処理部6とを備えており、少なくとも1つの検知素子2、3からの検知信号が侵入者以外のノイズの検知を示すとき、当該検知素子2、3の信号検知処理を個別的に休止させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、検知エリア内に侵入した者から発する赤外線を受光することにより侵入者を検知する、受動型赤外線検知センサに関する。
【背景技術】
【0002】
この種の受動型赤外線検知センサでは、検知エリア内の侵入者から発する赤外線を光学要素で集光して焦電素子のような検知素子で受光し、検知信号の波形解析、演算および検知判定などの検知処理をマイクロコンピュータ(検知処理部)で行うことにより、侵入者を検知する。
【0003】
前記マイクロコンピュータの信号検知処理は、通常、定格電流で動作するので、消費電力が大きく、電池(バッテリー)駆動型の検知センサでは、電池寿命が短くなるという問題があった。そこで、マイクロコンピュータが信号検知処理を行う動作モードと信号検知処理を行わない待機モードのモード切替手段を有し、検知信号が信号検知処理の開始の基準となる起動しきい値未満の場合には、待機モードで定格電流よりも小さい電流に制限し、起動しきい値以上の場合に、動作モードで動作させることが知られている(例えば、特許文献1)。
【0004】
ところで、2個の焦電素子を有し、各検知信号の信号レベルがすべて、侵入者検知の基準となる判定しきい値以上のとき侵入者を検知する検知センサでは、両素子の検知信号がともに起動しきい値未満で安定している場合に、マイクロコンピュータを待機モードにして、消費電力を抑える。いずれか一方の素子の検知信号が起動しきい値以上のときは、マイクロコンピュータを動作モードにして、両素子の検知信号を解析してともに判定しきい値以上であるかを判定し、検知処理を行う。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2002−156281号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、2個の焦電素子を有する検知センサでは、起動しきい値を低くすると、1個の焦電素子において、検知エリア内の樹木または草が風または太陽の熱により揺れたり、小動物が出入りするなどの外部環境要因のノイズによって、検知信号の揺れが頻繁に生じて不安定な場合、その都度、焦電素子からの信号を解析するため、マイクロコンピュータが動作モードになって、ノイズが多い外部環境では低消費電力化が図れず、電池寿命が短くなる。その一方、起動しきい値を高くすると、起動しきい値と判定しきい値の差が小さくなり検知信号によってはその頂部の波形のみで波形解析することとなって、正確な信号パターン解析ができずに誤認識(誤報)や、判定に必要な長さの検知信号が得られずに侵入者を見逃す場合(失報)も生じることとなる。
【0007】
本発明は、前記の問題点を解決して、複数個の焦電素子を有する場合に、低消費電力化を実現するとともに、侵入者を確実に検知できる受動型赤外線検知センサを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記目的を達成するために、本発明にかかる受動型赤外線検知センサは、検知エリア内の相異なるエリアで侵入者から発する赤外線をそれぞれ検知する複数の検知素子と、各検知素子からの検知信号の信号処理をそれぞれ行う複数の個別信号処理部を有し、すべての検知素子からの検知信号が侵入者の検知を示すとき、侵入者と判定し出力する検知処理部とを備え、少なくとも1つの検知素子からの検知信号が侵入者以外のノイズの検知を示すとき、当該検知素子の信号処理を個別的に休止させるものである。ここで、ノイズとは、検知エリア内における風または太陽の熱を起因とする樹木、草または洗濯物の揺れ、および小動物の出入りなどによって起こる外部環境要因による不安定な検知信号をいう。
【0009】
この構成によれば、複数の検知素子の少なくとも1つの検知信号がノイズの検知を示すとき、当該検知素子の信号処理を個別的に休止させるので、検知エリアがノイズの多い外部環境にある場合でも、当該検知信号が不安定な検知素子についても信号処理を行わないとともに、ノイズが少なく安定な他の検知素子も侵入者を検知しない限り信号処理を行わないから、検知処理部は全体として、当該ノイズの検知による信号処理の動作を行わないこととなり、装置の消費電力を低下させることができる。
【0010】
好ましくは、前記検知処理部は、各個別信号処理部のそれぞれを、通常モードと休止モードとに設定するモード設定手段を備え、前記個別信号処理部は、各検知素子からの検知信号に基づき侵入者またはノイズの検知を行い、侵入者を検知したとき当該個別信号処理部を起動させ、ノイズを検知したとき当該個別信号処理部を不起動とさせる起動回路と、各個別信号処理部が通常モードに設定されたとき、各検知素子からの検知信号をそれぞれ解析する信号解析回路とを含む。したがって、検知エリアがノイズの多い外部環境にある場合でも、当該ノイズを検知した検知素子の個別信号処理部を休止モードに設定し、その後侵入者を検知すると各個別信号処理部を通常モードに設定するので、複数個の検知素子を有する場合に、低消費電力化を実現するとともに、侵入者を確実に検知できる。
【0011】
好ましくは、いずれか1つの検知素子の個別信号処理部が、通常モードで侵入者を検知したとき、他のすべての検知素子の個別信号処理部が通常モードに設定されて各検知信号が解析され、前記検知処理部は、すべての検知素子からの検知信号が侵入者の検知を示すとき、侵入者と判定し出力する。したがって、複数個の検知素子を有する場合に、いずれの検知エリアがノイズの多い外部環境にある場合でも、低消費電力化を実現するとともに、侵入者を確実に検知できる。
【0012】
好ましくは、前記起動回路は、各検知素子からの検知信号が、起動しきい値を超える頻度が所定範囲内のとき、ノイズの検知を行う。したがって、起動しきい値を低くしても、起動しきい値を超える頻度でノイズ検知が容易にできるから、検知処理部の動作時間が短くなり、消費電力を容易に低下させることができる。また、前記個別信号処理部は、ノイズ検知後にノイズの無い状態が所定時間維持されるとき、休止モードから通常モードに自動的に移行されてもよい。ノイズが無い場合には、休止モードに設定しなくとも消費電力が増加することはなく、また通常モードの下で侵入者を迅速に検知することができる。
【発明の効果】
【0013】
複数の検知素子の少なくとも1つの検知信号がノイズの検知を示すとき、当該検知素子の信号処理を個別的に休止させるので、検知エリアがノイズの多い外部環境にある場合でも、装置の消費電力を低下させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の一実施形態に係る受動型赤外線検知センサの設置状態を示す側面図である。
【図2】受動型赤外線検知センサの外観形状を示す斜視図である。
【図3】受動型赤外線検知センサの構成を示すブロック図である。
【図4】受動型赤外線検知センサの動作を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の実施形態を図面にしたがって説明する。図1は本発明の一実施形態に係る受動型赤外線検知センサ1の設置状態を示す側面図である。この検知センサ1は、主として、工場や一般住宅のような建物の外壁面Wなどに取り付けられて、建物の屋外における警戒すべき領域に不法に入る侵入者を検知するものである。この検知センサ1は、センサユニット41の中に複数の検知素子、例えば2個の第1および第2の焦電素子2、3を収納している。各焦電素子2、3は、その前方に取り付けられたフレネルレンズのような光学系51、52により検知エリアA内のそれぞれ相異なる検知エリアA1、A2を防犯対象の建物に対して遠い方(水平方向)から近い方(斜め下方向)へ向けて設定している。
【0016】
各検知エリアA1、A2において人体Hや小動物Mなどから放射される赤外線エネルギは、光学系51、52により集光されて対応する焦電素子2、3にそれぞれ個々に入射される。焦電素子2、3により検知された検知信号は、信号検知処理されて侵入者が検知される。ここでの人体Hは検知エリアA1、A2内への侵入者である。侵入者Hの検知信号のほかに、検知エリアA1内における風や太陽の熱による樹木T(破線部)や洗濯物などの揺れ、または検知エリアA2内におけるペットのような小動物M(破線部)の出入りや草の揺れの検知信号などのノイズ信号がある。
【0017】
図2は、検知センサ1の外観形状を示す斜視図である。この検知センサ1は、センサユニット41を支持する支持フレーム42が外壁面Wに取り付けられて、この支持フレーム42に対して、センサユニット41が軸回り(R方向)に左右にそれぞれ95度回動できるようになっている。これにより、検知センサ1の設置位置を変えることなく、必要に応じて、センサユニット41の回動により検知エリアAを左右に変更することが容易となる。
【0018】
図3は、受動型赤外線検知センサ1の構成を示すブロック図である。この検知センサ1は、前記した2つの焦電素子2、3のほかに、それぞれ検知信号を増幅するアンプ4、増幅された検知信号の信号レベルと起動しきい値とを比較して、起動しきい値以上の場合に起動トリガkを出力するコンパレータ5、および各焦電素子2、3からの検知信号に基づき侵入者を判定し出力する検知処理部(マイクロコンピュータ)6を備えている。この検知センサ1は、例えば屋外で設置される電池(バッテリー)駆動型であり、バッテリー8を収納している。
【0019】
検知処理部6は、各焦電素子2、3からの検知信号に基づいて信号処理をそれぞれ行う2つの個別信号処理部7(7A、7B)と、モード設定部13および検知判定部14を含む制御ユニット15と、出力制御部16とを備えている。検知処理部6は、各個別信号処理部7A、7Bのすべての検知信号が侵入者の検知を示すとき、侵入者を判定し出力する。個別信号処理部7A、7Bは、それぞれ起動回路(トリガ判定)11と、信号解析回路12とを備えている。
【0020】
前記制御ユニット15内のモード設定部13は、検知処理部(マイクロコンピュータ)6を全体に信号検知処理の動作を行わせる動作モードと信号検知処理の動作を行わせない待機モードに設定する。これとともに、モード設定部13は、前記検知処理部6の各モードの設定にかかわらず、各個別信号処理部7のそれぞれを、その動作を行わせる通常モードと、その動作を休止させる休止モードとに設定する。後述する起動回路11に起動しきい値以上の起動トリガkの割込みがあると、検知処理部6は動作モードに設定される。この起動トリガkの割込みがない限り検知処理部6は常時待機モードに設定される。
【0021】
前記個別信号処理部7内の起動回路11は、各焦電素子2、3からの検知信号に基づき侵入者またはノイズの検知を行い、侵入者を検知したとき当該個別信号処理部7を起動させ、ノイズを検知したとき不起動とさせる。例えば、起動回路11は、入力信号におけるコンパレータ5からの起動しきい値を超える起動トリガkの割込みがあると、検知処理部6を起動させて動作モードに設定する。そして、起動回路11は、この起動トリガkの割込みをカウントして、そのカウント数(頻度)が所定範囲内(t秒間にn〜m回)のとき、ノイズの検知を行う。この場合、モード設定部13により個別信号処理部7は休止モードに設定され、このノイズ検知によって検知処理部6は動作モードに移行することなく、待機モードを維持する。その一方、起動トリガkの割込みが単発的であるとき、侵入者の検知を行う。この場合、モード設定部13により各個別信号処理部7は通常モードに設定され、検知処理部6は前記した動作モードに設定される。なお、侵入者およびノイズの検知について、後述する信号解析回路12の解析による検知信号の周波数および振幅の大きさに基づく検知を併用することもできる。
【0022】
前記信号解析回路12は、各個別信号処理部7A、7Bが通常モードに設定されたとき、各焦電素子2、3からの検知信号をそれぞれ解析する。例えば、起動回路11により侵入者の検知が行われて、1つの個別信号処理部7A、7Bが通常モードに設定されたとき、他の個別信号処理部7A、7Bが休止モードから移行されて通常モードに設定され、両方の増幅された焦電素子2、3からの検知信号がそれぞれ解析される。信号解析回路12では、検知信号の周波数および振幅の大きさに基づいて解析が行われ、検知信号の周波数が低いときノイズ、周波数が高いとき侵入者であると解析される。
【0023】
例えば焦電素子2の検知信号が個別信号処理部7Aにおいて、起動回路11により頻度が高くノイズを検知したとき、当該個別信号処理部7Aが休止モード(スリープ)に設定される。このとき、焦電素子3の個別信号処理部7Bは通常モードに設定されている(ウエイクアップ)。焦電素子3の検知信号が起動しきい値未満、つまり起動トリガkが発生していないときには、通常モードであっても個別信号処理部7Bは検知処理を行わないので検知処理部6は待機モードが維持される。焦電素子3が侵入者を検知すると、焦電素子2の個別信号処理部7Aを休止モードから移行して通常モードに設定する(ウエイクアップ)。なお、個別信号処理部7A、7Bがともにノイズを検知した場合には、失報を防ぐためにともに通常モードに設定する(ウエイクアップ)。
【0024】
また、各個別信号処理部7について定期的にノイズ状況(ノイズの増減)が監視されており、前記個別信号処理部7Aがノイズ検知により休止モードに設定されても、その後にノイズの無い状態が所定時間維持されるとき、休止モードから通常モードに自動的に移行される。つまり、休止モードに設定される個別信号処理部7は特定されず、検知エリアA1の設置環境や気候変動、時間帯などに応じて、ノイズを検知する個別信号処理部7が変化した場合でも、休止モードに設定される個別信号処理部7が自動的に選択されるので、ノイズ状況の変化に応じた各個別信号処理部7の休止モード設定を最適に行うことができる。
【0025】
前記起動回路11に起動トリガkの割込みが発生し、検知処理部6が動作モードに設定された状態で、前記制御ユニット15内の検知判定部14は、各信号解析回路12の解析に基づき、それぞれ通常モードに設定された各個別信号処理部7からのすべての検知信号が侵入者の検知を示す場合に、侵入者の判定を行う。前記出力制御部16は、判定出力を送出する制御を行う。その他に、判定出力を警報出力などにリレーするためのリレー出力17および警報用のLED出力18が設けられている。
【0026】
この検知センサ1は、制御ユニット15に予め格納されたプログラムに基づきソフトウエア上の処理によって、検知処理部6内の上記構成による一連の検知処理を行う。
【0027】
図4は検知センサ1の動作を示すフローチャートである。図1に示すように、検知エリアA1内で樹木Tの揺れがある場合や、検知エリアA2内で小動物Mの出入りがある場合のようなノイズを検知したとき、焦電素子2、3の各個別信号処理部7A、7Bが休止モードに設定される。この例では、検知エリアA2内で小動物Mの出入りがあって、焦電素子3の個別信号処理部7Bが休止モードに設定される。
【0028】
まず、検知エリアA1で休止モードではなく通常モードに設定されている焦電素子2の個別信号処理部7Aにおいて、起動回路11に起動トリガkの割込みが単発で発生(または周波数が高いか振幅が大きい検知信号が発生)しているか否かが確認される(ステップS1)。当該割込みが発生している場合には、割込みが発生した焦電素子2からの検知信号の信号解析が行われる(ステップS2)。割込みが発生していない場合には、ステップS7に進む。つぎに、検知エリアA2で休止モードの焦電素子3の個別信号処理部7Bの有無が確認され(ステップS3)、休止モードの焦電素子3の個別信号処理部7Bが有れば、休止モードが解除される(ステップS4)。休止モードの焦電素子3の個別信号処理部7Bが無ければ、ステップS6の検知判定に進む。
【0029】
つぎに、ステップS4で休止モードが解除された焦電素子3からの検知信号の信号解析が行われる(ステップS5)。焦電素子2で侵入者Hが検知された後、直ちに焦電素子3からの検知信号の信号解析が行われる。2個の焦電素子2、3からの検知信号の信号解析により、侵入者の判定が行われる(ステップS6)。その後、一定時間経過したか否かが確認される(ステップS7)。これは、一定時間ごとに休止モードを解除して休止判定をやり直すことにより、ノイズが多い状態が続いていれば休止モードを設定し、ノイズが少なくなれば休止モードを設定しないようにしている。これにより、外部環境変化によってノイズが減少するのに応じて当該個別信号処理部7が休止モードに入らないようにしている。
【0030】
一定時間経過した場合には、休止モードが解除される(ステップS8)。つぎに、割込みの頻度のような休止条件が判定され(ステップS9)、休止条件を満たす場合には、休止条件を満たす焦電素子2、3の休止モードが設定され(ステップS10)、ステップS1に戻る。休止条件を満たさない場合には、そのままステップS1に戻る。
【0031】
本発明では、1つの検知エリアAでノイズを検知した場合、その個別信号処理部7が休止モードに設定される一方、常に他の検知エリアAでは個別信号処理部7が通常モードに設定されて、侵入者を検知したとき、検知処理部6を動作モードにするとともに、休止モードの個別信号処理部7が通常モードに設定されて、両方の個別信号処理部7の侵入者検知により、侵入者と判定される。ノイズを検知しても侵入者Hを検知しない状態では、検知処理部6は全体として、当該ノイズの検知によっても信号検知処理の動作を行う動作モードに移行することなく、信号検知処理を行わない待機モードを維持する。検知処理部6が待機モードおよび個別信号処理部7が休止モードの場合、それぞれ動作モードおよび通常モードと比べて数100分の1〜数1000分の1の消費電力低下の効果を有するので、装置全体の消費電力を低く抑えることができるからバッテリー8の長寿命化が可能となる。
【0032】
このように、本発明では、複数の焦電素子の少なくとも1つの検知信号がノイズの検知を示すとき、当該焦電素子の信号検知処理を個別的に休止させるので、検知エリアがノイズの多い外部環境にある場合でも、当該検知信号が不安定な焦電素子について信号検知処理を行わないとともに、ノイズが少なく安定な他の焦電素子についても侵入者を検知しない限り信号検知処理を行わないから、検知処理部6は全体として、当該ノイズの検知によっても信号検知処理の動作を行う動作モードに移行することなく、信号検知処理を行わない待機モードを維持することとなり、装置の消費電力を低下させることができ、かつ侵入者を確実に検知できる。
【0033】
上記実施形態では、2個の焦電素子を用いているが、3個以上用いてもよい。この場合、侵入者の検知能力が向上するとともに、2個以上の個別信号処理部7を休止モードとすることが可能となるので、消費電力低下の効果がより高くなる。
【0034】
なお、上記実施形態では、受動型赤外線検知センサ1はバッテリー8が搭載されて直流電力で駆動するが、これに限定されるものではなく、電源線などの有線を接続して駆動させてもよい。
【0035】
また、上記実施形態では、起動回路11は、各焦電素子2、3からの検知信号が、起動しきい値を超える頻度が所定範囲内のときノイズを検知しているが、信号解析回路12の解析により、検知信号の周波数が低いときまたは振幅が小さいときノイズと解析し、周波数が高いときまたは振幅が大きいとき侵入者と解析してもよい。この場合、図3の起動回路11に起動トリガkが認識されれば、アンプ4から出力された検知信号が信号解析回路12で解析され、ノイズまたは侵入者が検知される。
【0036】
なお、この実施形態では、検知素子として焦電素子を用いているが、これに限定されず、赤外放射温度センサ(サーモパイラ)や赤外線アレイなどを用いてもよい。
【0037】
なお、この実施形態では、検知素子がノイズを検知しているが、ノイズ検知手段を別個に設けて定期的に作動させてノイズを検知するようにしてもよい。このノイズ検知手段として、マイクロウェーブセンサ、超音波センサまたは照度センサなどが用いられる。
【符号の説明】
【0038】
1:受動型赤外線検知センサ
2、3:検知素子(焦電素子)
6:検知処理部
7(7A、7B):個別信号処理部
11:起動回路
12:信号解析回路
13:モード設定部
14:検知判定部
15:制御ユニット
16:出力制御部
A:検知エリア
H:侵入者

【特許請求の範囲】
【請求項1】
検知エリア内の相異なるエリアで侵入者から発する赤外線をそれぞれ検知する複数の検知素子と、
各検知素子からの検知信号の信号処理をそれぞれ行う複数の個別信号処理部を有し、すべての検知素子からの検知信号が侵入者の検知を示すとき、侵入者と判定し出力する検知処理部とを備え、
少なくとも1つの検知素子からの検知信号が侵入者以外のノイズの検知を示すとき、当該検知素子の信号処理を個別的に休止させる、受動型赤外線検知センサ。
【請求項2】
請求項1において、
前記検知処理部は、各個別信号処理部のそれぞれを、通常モードと休止モードとに設定するモード設定手段を備え、
前記個別信号処理部は、
各検知素子からの検知信号に基づき侵入者またはノイズの検知を行い、侵入者を検知したとき当該個別信号処理部を起動させ、ノイズを検知したとき当該個別信号処理部を不起動とさせる起動回路と、
各個別信号処理部が通常モードに設定されたとき、各検知素子からの検知信号をそれぞれ解析する信号解析回路とを含む、受動型赤外線検知センサ。
【請求項3】
請求項2において、
いずれか1つの検知素子の個別信号処理部が、通常モードで侵入者を検知したとき、他のすべての検知素子の個別信号処理部が通常モードに設定されて各検知信号が解析され、
前記検知処理部は、すべての検知素子からの検知信号が侵入者の検知を示すとき、侵入者と判定し出力する、受動型赤外線検知センサ。
【請求項4】
請求項2において、
前記起動回路は、各検知素子からの検知信号が、起動しきい値を超える頻度が所定範囲内のとき、ノイズの検知を行う、受動型赤外線検知センサ。
【請求項5】
請求項2または4において、
前記個別信号処理部は、ノイズ検知後にノイズの無い状態が所定時間維持されるとき、休止モードから通常モードに自動的に移行される、受動型赤外線検知センサ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2012−18034(P2012−18034A)
【公開日】平成24年1月26日(2012.1.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−154596(P2010−154596)
【出願日】平成22年7月7日(2010.7.7)
【出願人】(000103736)オプテックス株式会社 (116)
【Fターム(参考)】