説明

受容体リガンド同定法

【課題】 本発明の課題の1つは、核内受容体を調節する化合物を同定することにある。
【解決手段】 上記課題は、核内受容体を調節する化合物を同定する方法であって、該方法は:A)候補化合物を提供する工程;およびB)該候補化合物が、該核内受容体中のシステインと共有結合するかどうかを判定する工程であって、共有結合すると判定された候補化合物を、核内受容体を調節する化合物であると同定する、工程を包含する、方法を提供することによって解決される。


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【特許請求の範囲】
【請求項1】
核内受容体を調節する化合物を同定する方法であって、該方法は:
A)候補化合物を提供する工程;および
B)該候補化合物が、該核内受容体中のシステインと共有結合するかどうかを判定する工程であって、共有結合すると判定された候補化合物を、核内受容体を調節する化合物であると同定する、工程、
を包含する、方法。
【請求項2】
前記システインは、リガンド結合ドメインに存在する、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記核内受容体は、PPARα、PPARβ/δ、PPARγ1、PPARγ2、ERR1、ERR2、ERR3、HNF4α、HNF4β、RARα、RARβ、RARγ1、RARγ2、RXRα、RXRβ、RXRγ、RORα、RORβ、RORγ、LRH1、SF1、TLXおよびO4245受容体からなる群より選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記核内受容体は、PPARγである、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記システインの位置は、以下の表
【表1】

に示される配列番号中のアミノ酸番号で示される、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記候補化合物は、R−CH=CH−(C=O)−R−またはR−(C=O)−CH=CH−R−という置換基を有する化合物を含み、ここで、Rは、水素または置換されていてもよい、カルボニル基、水酸基、アミド基およびチオール基からなる群より選択される置換基を含む一価の置換基であり、Rは、二価の炭化水素基である、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記共有結合の測定は、蛍光標識マレイミドという化合物を用いて行われる、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
さらに、前記候補化合物が、前記核内受容体のリガンド結合ドメインにあるヘリックス12またはヘリックス5内のアミノ酸と水素結合するかどうかを判定する工程を包含する、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記ヘリックス12またはヘリックス5内のアミノ酸の残基番号は、
【表2】

に示される配列番号中のアミノ酸番号で示されるアルギニンまたはチロシンを含む、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記ヘリックス12またはヘリックス5内のアミノ酸は、配列番号42に示すアミノ酸配列の473位チロシンまたは配列番号44に示すアミノ酸配列の501位チロシンを含む、請求項8に記載の方法。
【請求項11】
前記特定のアミノ酸との水素結合は、核磁気共鳴装置(NMR)、またはX線回折装置という手段により測定される、請求項8に記載の方法。
【請求項12】
前記特定のアミノ酸との共有結合は、質量分析装置またはSDS−PAGEという手段により測定される、請求項1に記載の方法。
【請求項13】
前記調節は、阻害である、請求項1に記載の方法。
【請求項14】
前記調節は、促進である、請求項1に記載の方法。
【請求項15】
請求項1に記載される方法によって、特定された化合物であって、該化合物は、以下の式:
(化1)
−CH=CH−(C=O)−R−Rまたは
−(C=O)−CH=CH−R−R
という構造を有し、ここで、Rは、最短距離を結ぶ炭素数の最大値が1〜13個の、置換されていてもよい飽和または不飽和の炭化水素基であり、Rは、置換されていてもよい飽和または不飽和の炭化水素基であり、Rは、水素または置換されていてもよい、カルボニル基、水酸基、アミド基およびチオール基からなる群より選択される置換基を含む一価の置換基であり、ここでRとRとは、含まれる炭素について、最短距離を結ぶ炭素数の最大値が4〜14個である、化合物。
【請求項16】
前記化合物において、
は、最短距離を結ぶ炭素数の最大値が1〜9個を有する、置換されていてもよい飽和または不飽和の炭化水素基であり、Rは、置換されていてもよい飽和または不飽和の炭化水素基であり、Rは、カルボニル基、水酸基、アミド基およびチオール基からなる群より選択される置換基を含む一価の炭化水素基であり、ここでRとRとは、含まれる炭素について、最短距離を結ぶ炭素数の最大値が6〜12個である、請求項15に記載の化合物。
【請求項17】
請求項1に記載される方法によって、特定された化合物を含む核内受容体の調節のための組成物であって、該化合物は、以下の式:
(化2)
−CH=CH−(C=O)−R−Rまたは
−(C=O)−CH=CH−R−R
という構造を有し、ここで、Rは、最短距離を結ぶ炭素数の最大値が1〜13個の、置換されていてもよい飽和または不飽和の炭化水素基であり、Rは、置換されていてもよい飽和または不飽和の炭化水素基であり、Rは、水素または置換されていてもよい、カルボニル基、水酸基、アミド基およびチオール基からなる群より選択される置換基を含む一価の置換基であり、ここでRとRとは、含まれる炭素について、最短距離を結ぶ炭素数の最大値が4〜14個である、組成物。
【請求項18】
前記構造は、
−(C=O)−CH=CH−R−Rであり、
前記化合物において、
は、最短距離を結ぶ炭素数の最大値が1〜9個を有する置換されていてもよい飽和または不飽和の炭化水素基であり、Rは、置換されていてもよい飽和または不飽和の炭化水素基であり、Rは、水素または置換されていてもよい、カルボニル基、水酸基、アミド基およびチオール基からなる群より選択される置換基を含む一価の置換基であり、ここでRとRとは、含まれる炭素について、最短距離を結ぶ炭素数の最大値が6〜14個であり、
その組み合わせは、
【表3】

に記載される配列番号に示すアミノ酸配列を有する核内受容体に対して、右列の炭素数を有する、請求項17に記載の組成物。
【請求項19】
請求項1に記載される方法によって、特定された化合物を含む、核内受容体に起因する疾患、障害または状態の処置、予防または予後のための組成物であって、該化合物は、以下の式:
(化3)
−C=C−(C=O)−R−Rまたは
−(C=O)−C=C−R−R
という構造を有し、ここで、Rは、最短距離を結ぶ炭素数の最大値が1〜13個の、置換されていてもよい飽和または不飽和の炭化水素基であり、Rは、置換されていてもよい飽和または不飽和の炭化水素基であり、Rは、水素または置換されていてもよい、カルボニル基、水酸基、アミド基およびチオール基からなる群より選択される置換基を含む一価の置換基であり、ここでRとRとは、含まれる炭素について、最短距離を結ぶ炭素数の最大値が4〜14個である、組成物。
【請求項20】
1)標的生体分子と、リガンドとを混合して混合物を生成する工程;
2)蛍光標識マレイミドを該混合物に加える工程;
3)該混合物において、該標的生体分子と該蛍光標識マレイミドとの結合を検出する工程
を包含する、該標的生体分子に対するリガンドの結合能を定量する方法。
【請求項21】
前記結合は、共有結合であり、該共有結合の定量を行う工程をさらに包含し、該定量は、前記リガンドに関し少なくとも2つの量を測定することにより達成される、請求項20の方法。
【請求項22】
前記共有結合の定量は、不可逆的に共有結合するリガンドをプローブとして用いて行われ、ここで、共有結合しないリガンドの結合が定量される、請求項21に記載の方法。
【請求項23】
前記リガンドは、共有結合するものまたは共有結合しないものを含む、請求項22に記載の方法。
【請求項24】
前記生体分子は、核内受容体である、請求項20に記載の方法。
【請求項25】
前記生体分子は、核内受容体であり、前記不可逆的に共有結合するリガンドは、インドメタシン、15−デオキシ−Δ12,14−プロスタグランジンJ(11−オキソ−プロスタ−5Z,9,12E,14Z−テトラエン−1−オイック酸;15d−PGJ)、11−オキソ−プロスタ−5Z,12E,14Z−トリエン−1−オイック酸(CAY10410)、5−オキソ−6E,8Z,11Z,14Z−エイコサテトラエン酸(5−オキソODE)、9−オキソ−10E,12Z−オクタデカノジエン酸(9−オキソODE)、13−オキソ−9Z,11E−オクタデカノジエン酸(13−オキソODE)および15−オキソ−5Z,8Z,11Z,13E−エイオコサテトラエン酸(5−オキソETE)からなる群より選択される構造を有する、請求項22に記載の方法。
【請求項26】
核内受容体を調節する化合物を同定するシステムであって、該システムは:
A)候補化合物が、該核内受容体中のシステインと共有結合するかどうかを判定する手段;および
B)共有結合すると判定された候補化合物を、核内受容体を調節する化合物であると算出する手段、
を備える、システム。
【請求項27】
核内受容体を調節する化合物を同定するために用いられる、化合物と、該核内受容体との共有結合を測定するためのキットであって、
A)該核内受容体と不可逆的に共有結合することが分かっているリガンド;および
B)共有結合しないリガンドの結合を測定するための手順を記載する指示書、
を備える、キット。
【請求項28】
核内受容体を調節する化合物を同定する方法をコンピュータに実行させるプログラムであって、該方法は:
A)候補化合物の立体構造データを提供する工程;および
B)該候補化合物が、該核内受容体中のシステインと共有結合するかどうかを判定する工程であって、共有結合すると判定された候補化合物を、核内受容体を調節する化合物であると同定する、工程、
を包含する、プログラム。
【請求項29】
核内受容体を調節する化合物を同定する方法をコンピュータに実行させるプログラムを格納する記録媒体であって、該方法は:
A)候補化合物の立体構造データを提供する工程;および
B)該候補化合物が、該核内受容体中のシステインと共有結合するかどうかを判定する工程であって、共有結合すると判定された候補化合物を、核内受容体を調節する化合物であると同定する、工程、
を包含する、記録媒体。
【請求項30】
インドメタシン、15−デオキシ−Δ12,14−プロスタグランジンJ(11−オキソ−プロスタ−5Z,9,12E,14Z−テトラエン−1−オイック酸;15d−PGJ)、11−オキソ−プロスタ−5Z,12E,14Z−トリエン−1−オイック酸(CAY10410)、5−オキソ−6E,8Z,11Z,14Z−エイコサテトラエン酸(5−オキソODE)、9−オキソ−10E,12Z−オクタデカノジエン酸(9−オキソODE)、13−オキソ−9Z,11E−オクタデカノジエン酸(13−オキソODE)および15−オキソ−5Z,8Z,11Z,13E−エイオコサテトラエン酸(5−オキソETE)からなる群より選択される化合物を含む、核内受容体の調節剤。
【請求項31】
候補化合物が、核内受容体のアゴニストであるかまたはアンタゴニストであるかどうかを判定する方法であって、該方法は:
A)候補化合物を提供する工程;および
B)該候補化合物が、該核内受容体中のシステインと共有結合するかどうかを判定し、共有結合すると判定された候補化合物を選択する工程;
C)転写因子認識配列と作動可能に連結されるレポーターをコードする核酸配列を含む核酸構築物と、該選択された核内受容体とを含む系において、該候補化合物の活性を判定する工程であって、該レポーターの発現が増強される場合、該候補化合物は該核内受容体のアゴニストと判定し、該レポーターの発現が減少する場合、該候補化合物は該核内受容体のアンタゴニストと判定する、工程、
を包含する、方法。
【請求項32】
前記レポーターは、ルシフェラーゼである、請求項31に記載の方法。
【請求項33】
前記系は、細胞である、請求項31に記載の方法。

【図1】
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【図2−1】
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【図2−2】
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【図2−3】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13A】
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【図13B】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【公開番号】特開2006−30037(P2006−30037A)
【公開日】平成18年2月2日(2006.2.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−210868(P2004−210868)
【出願日】平成16年7月16日(2004.7.16)
【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)「国等の委託研究の成果に係る特許出願(平成16年度独立行政法人新エネルギー・産業技術総合開発機構「基盤技術研究促進事業(民間基盤技術研究支援制度)/プロテインネットワーク/超分子複合体機能構造の解析と制御による創薬等産業基盤技術の開発」、産業活力再生特別措置法 第30条の適用を受ける特許出願)」
【出願人】(502055481)技術研究組合 生物分子工学研究所 (4)
【Fターム(参考)】