説明

受水流量算出方法および装置

【課題】受水流量の変更を抑制しつつ水需要の変動に対応可能な計画受水流量を算出する。
【解決手段】記憶部15により、対象期間について予め算出された配水流量の時系列データを示す予測配水流量データと、配水設備30での受水および配水に関する制約条件を示す制約条件データとを記憶しておき、受水流量計画部16Aにより、記憶部15から制約条件データを読み出し、当該制約条件データに基づいて対象期間における受水流量の時系列変化を示す計画受水流量データ15Cを複数生成し、最適受水流量選択部16Eにより、受水流量計画部16Aで生成された各計画受水流量データ15Cのうちから、それぞれの計画受水流量データ15Cによる受水流量の変更回数または変更量合計に基づき、最適な計画受水流量データを選択出力する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、配水設備の制御技術に関し、特に上流側の水供給設備からの受水流量を算出する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
一般的な上水道では、取水場により河川や湖から取水した水を浄水場で浄化した後、配水設備から水道管を介して工場や一般家庭などの水需要家へ配水している。この際、配水設備では、浄水場や他の配水設備などの上流側の水供給設備からの水を配水池に一時的に貯水することにより、気温や時間により変動する水需要に対応している。しかしながら、配水池で対応しうる変動量には、配水池の大きさなどによって限界があるため、上流側の水供給設備から受水する受水流量を調整する必要がある。
【0003】
従来、このような水需要の変動に応じて受水流量を調整する技術が提案されている(例えば、特許文献1など参照)。この技術は、実際に測定した配水池の実績水位と、予め計画した計画受水流量から算出した配水池の演算水位との偏差に基づいて、ファジィ推論を行うことにより、配水池の水位が適正範囲となるよう計画受水流量を補正している。
【0004】
【特許文献1】特開平9−34555号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、このような従来技術では、制御時点に測定した配水池の実績水位をフィードバックさせて、制御時点における計画受水流量を補正して配水池の水位を調整するという、瞬時的な適応制御を行っているため、受水流量の制御において安定性が乏しく、受水流量の変更回数が多くなったり、受水流量の変更量が大きくなる傾向がある。このため、上流側の水供給設備での負担が大きくなり、水供給設備においてこのような下流側配水設備での受水流量の変動に対応するためには、水供給設備の設備規模や運転コストが増大するという問題点があった。
本発明はこのような課題を解決するためのものであり、受水流量の変更を抑制しつつ水需要の変動に対応可能な計画受水流量を算出できる受水流量算出方法および装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
このような目的を達成するために、本発明にかかる受水流量算出方法は、上流側からの水を配水池に一時的に貯水した後に下流側へ配水する配水設備について、演算処理部と記憶部とを備える受水流量算出装置により、上流側から受水すべき受水流量の時系列変化を所定の対象期間にわたり算出する際に用いられる受水流量算出方法であって、記憶部により、対象期間について予め算出された配水設備から配水すべき配水流量の時系列データを示す予測配水流量データと、配水設備での受水および配水に関する制約条件を示す制約条件データとを記憶する記憶ステップと、演算処理部により、記憶部から予測配水流量データと制約条件データを読み出し、当該制約条件データに基づいて対象期間における受水流量の時系列変化を示す計画受水流量データを複数生成する受水流量計画ステップと、演算処理部により、受水流量計画ステップで生成された各計画受水流量データのうちから、それぞれの計画受水流量データによる受水流量の変更回数または変更量合計に基づき、最適な計画受水流量データを選択出力する最適受水流量選択ステップとを備えている。
【0007】
この際、受水流量計画ステップに、演算処理部により、対象期間における受水流量の時系列変化を示す受水流量データを生成する受水流量データ生成ステップと、演算処理部により、記憶部から予測配水流量データを読み出し、当該予測配水流量データと受水流量データ生成ステップで生成された受水流量データとに基づいて配水池の配水池水位を算出する配水池水位算出ステップと、演算処理部により、制約条件データに含まれる配水池の適正水位範囲と配水池水位算出ステップで算出された配水池水位とを比較し、対象期間にわたり配水池水位が適正水位範囲内に維持される場合には、当該受水流量データを計画受水流量データとして選択出力する計画受水流量データ選択ステップとを設けてもよい。
【0008】
また、制約条件データに、直前受水流量から新たな受水流量への変更量の上限値を示す受水変更量上限値を含み、受水流量データ生成ステップで、対象期間内の各時刻における受水流量の変更量が受水変更量上限値以下となる受水流量データを生成するようにしてもよい。
【0009】
また、最適受水流量選択ステップで、計画受水流量データにおける受水流量の変更回数と変更量合計との重み付き線形和を求める目的関数を用いて、計画受水流量データごとに評価値を算出し、これら評価値に基づき各計画受水流量データのうちから最適な計画受水流量データを選択して出力するようにしてもよい。
【0010】
また、制約条件データに、対象期間内の所定の評価時点における配水池水位の目標水位と、対象期間の各時刻における目標水位に対する水位許容偏差とを含み、受水流量データ選択ステップで、制約条件データに含まれる目標水位および水位許容偏差から決定される目標値許容範囲と配水池水位算出ステップで算出された評価時点における配水池水位とを比較し、評価時点における配水池水位が目標値許容範囲に維持される場合には、当該受水流量データを計画受水流量データとして出力するようにしてもよい。
【0011】
また、本発明にかかる受水流量算出装置は、上流側からの水を配水池に一時的に貯水した後に下流側へ配水する配水設備について、上流側から受水すべき受水流量の時系列変化を所定の対象期間にわたり算出する受水流量算出装置であって、対象期間について予め算出された配水設備から配水すべき配水流量の時系列データを示す予測配水流量データと、配水設備での受水および配水に関する制約条件を示す制約条件データとを記憶する記憶部と、記憶部から予測配水流量データと制約条件データを読み出し、当該制約条件データに基づいて対象期間における受水流量の時系列変化を示す計画受水流量データを複数生成する受水流量計画部と、この受水流量計画部で生成された各計画受水流量データのうちから、それぞれの計画受水流量データによる受水流量の変更回数または変更量合計に基づき、最適な計画受水流量データを選択出力する最適受水流量選択部とを備えている。
【0012】
この際、受水流量計画部に、対象期間における受水流量の時系列変化を示す受水流量データを生成する受水流量データ生成部と、記憶部から予測配水流量データを読み出し、当該予測配水流量データと受水流量データ生成部で生成された受水流量データとに基づいて配水池の配水池水位を算出する配水池水位算出部と、制約条件データに含まれる配水池の適正水位範囲と配水池水位算出部で算出された配水池水位とを比較し、対象期間にわたり配水池水位が適正水位範囲内に維持される場合には、当該受水流量データを計画受水流量データとして選択出力する計画受水流量データ選択部とを設けてもよい。
【0013】
また、制約条件データに、直前受水流量から新たな受水流量への変更量の上限値を示す受水変更量上限値を含み、受水流量データ生成部で、対象期間内の各時刻における受水流量の変更量が受水変更量上限値以下となる受水流量データを生成するようにしてもよい。
【0014】
また、最適受水流量選択部で、計画受水流量データにおける受水流量の変更回数と変更量合計との重み付き線形和を求める目的関数を用いて、計画受水流量データごとに評価値を算出し、これら評価値に基づき各計画受水流量データのうちから最適な計画受水流量データを選択して出力するようにしてもよい。
【0015】
また、制約条件データに、対象期間内の所定の評価時点における配水池水位の目標水位と、対象期間の各時刻における目標水位に対する水位許容偏差とを含み、受水流量データ選択部で、制約条件データに含まれる目標水位および水位許容偏差から決定される目標値許容範囲と配水池水位算出部で算出された評価時点における配水池水位とを比較し、評価時点における配水池水位が目標値許容範囲に維持される場合には、当該受水流量データを計画受水流量データとして出力するようにしてもよい。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、受水流量計画部により、記憶部から制約条件データが読み出され、当該制約条件データに基づいて対象期間における受水流量の時系列変化を示す計画受水流量データが複数生成され、最適受水流量選択部により、受水流量計画部で生成された各計画受水流量データのうちから、それぞれの計画受水流量データによる受水流量の変更回数または変更量合計に基づき、最適な計画受水流量データが選択出力されるため、受水流量の変更を抑制しつつ水需要の変動に対応可能な計画受水流量を算出することができる。
これにより、配水設備での受水流量の変更による上流側の水供給設備での負担を最小限に抑制することができ、配水設備において、上流側の水供給設備の設備規模や運転コストを増大させることなく、下流側における受水流量の変動に対して適切に対応することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
次に、本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。
[第1の実施の形態]
まず、図1を参照して、本発明の第1の実施の形態にかかる受水流量算出装置について説明する。図1は、本発明の第1の実施の形態にかかる受水流量算出装置の構成を示すブロック図である。
【0018】
配水設備30は、配水場や浄水場などの配水プラントであり、浄水場や他の配水設備などの上流側の水供給設備からの水を配水池32に一時的に貯水した後、水需要家へ配水する機能を有している。受水弁31は、配水池32の上流側に設けられて、その上流側の水供給設備からの受水流量を調整する機能を有している。送水ポンプ33は、配水池32の下流側に設けられて、その下流側の水需要家に対して配水池32に貯水されている水を一定の水圧で送水する機能を有している。
【0019】
制御装置34は、コンピュータを用いて配水設備30内の各設備機器を制御する制御機能を有している。制御装置34の主な制御機能としては、配水流量予測装置20からの予測配水流量データ23に基づいて送水ポンプ33での配水流量を制御する機能、受水流量算出装置10からの最適受水流量データ24に基づいて受水弁31での受水流量を制御する機能、送水ポンプ33から配水した配水流量を実測し、その測定結果を実績配水流量データ21として配水流量予測装置20へ出力する機能などがある。
【0020】
配水流量予測装置20は、サーバ装置やパーソナルコンピュータなどコンピュータを用いて情報演算処理を行う情報処理装置からなり、配水設備30からの実績配水流量データ21および気象データ提供システム(図示せず)からの気象データ22を取り込んで、将来、例えば翌日24時間分にわたる配水設備30での配水流量を予測し、その予測結果を予測配水流量データ23として配水設備30や受水流量算出装置10へ出力する機能を有している。
【0021】
図2は、配水流量予測装置で予測した予測配水流量の時系列変化を示す説明図である。図3は、配水設備から配水した実績配水流量の時系列変化を示す説明図である。
水需要は、季節、天候、気温、湿度、曜日、祝祭日、時刻などにより大きく変動するため、配水設備30では、限られた大きさの配水池32を効率よく利用して水需要の変動に対応する必要がある。通常、配水流量予測装置20において、前日の実績配水流量データ21や当日の気象データ22に基づいて、例えば当日の0時に当日24時間分の配水流量を予測し、予測配水流量データ23として出力する。配水設備30の制御装置34は、この予測配水流量データ23に基づき送水ポンプ33を制御することにより、水需要家に対する配水流量を調整する。
【0022】
図4は、受水流量算出装置で算出した最適受水流量の時系列変化を示す説明図である。図5は、配水設備で受水した実績受水流量の時系列変化を示す説明図である。図6は、配水池水位の時系列変化を示す説明図である。
図6に示すように、配水設備30の配水池32には、運用時の運用上限水位(Lmax)72Hと運用下限水位(Lmin)72Lからなる適正水位範囲が予め設定されている。配水流量予測装置20で予測した予測配水流量データ23に基づいて送水ポンプ33の回転数を制御する場合、制御装置34では、配水池32の水位が上記適正水位範囲内に保たれるよう、受水流量算出装置10で算出された最適受水流量データ24に基づいて受水弁31の開度を制御することにより受水流量を調整する。
【0023】
図4の例では、時刻t1〜t3において受水流量が削減されており、これに応じて図5の実績受水流量25が僅かではあるがそれぞれにおいて低下している。これにより、図2,図3に示すように、時刻t1前後から配水流量が大幅に減少しつつあり、配水池32の水位の大幅な上昇が予想される場合でも、図6に示すように、配水池32の水位71の上昇が運用上限水位72H以下に保たれることになる。
【0024】
受水流量算出装置10は、サーバ装置やパーソナルコンピュータなどコンピュータを用いて情報演算処理を行う情報処理装置からなり、配水設備30において、配水池32に対して上流側から受水すべき受水流量の時系列変化を、所定の対象期間にわたり算出し、最適受水流量データ24として配水設備30へ出力する機能を有している。通常、受水流量算出装置10では、現在時点(算出時点)から当日24時までを対象期間とし、対象期間における10分間隔ごとの最適受水流量データ24をそれぞれ算出する。また、最適受水流量データ24は、10分間隔で再計算し更新する。
【0025】
受水流量算出装置10には、主な機能部として、データ取得部11、操作入力部12、画面表示部13、データ出力部14、記憶部15、および演算処理部16が設けられている。また、演算処理部16には、主な処理部として、受水流量計画部16Aと最適受水流量選択部16Eが設けられている。
【0026】
本実施の形態は、記憶部15により、対象期間について予め算出された配水流量の時系列データを示す予測配水流量データ15Aと、配水設備30での受水および配水に関する制約条件を示す制約条件データ15Dとを記憶しておき、受水流量計画部16Aにより、記憶部15から制約条件データを読み出し、当該制約条件データに基づいて対象期間における受水流量の時系列変化を示す計画受水流量データ15Cを複数生成し、最適受水流量選択部16Eにより、受水流量計画部16Aで生成された各計画受水流量データ15Cのうちから、それぞれの計画受水流量データ15Cによる受水流量の変更回数または変更量合計に基づき、最適な計画受水流量データを選択出力するようにしたものである。
【0027】
次に、図1および図7を参照して、本発明の第1の実施の形態にかかる受水流量算出装置の構成について詳細に説明する。図7は、本発明の第1の実施の形態にかかる受水流量算出装置における受水流量算出動作を示すフロー図である。
【0028】
データ取得部11は、専用の通信回路からなり、配水流量予測装置20などの外部装置とデータ通信を行うことにより、予測配水流量データ23などの各種データやプログラム15Pを取得する機能を有している。
操作入力部12は、キーボードやマウスなどの操作入力装置からなり、オペレータの操作を検出して演算処理部16へ出力する機能を有している。
【0029】
画面表示部13は、LCDやPDPなどの画面表示装置からなり、演算処理部16からの指示に基づいて、操作メニューや最適受水流量データ24などの演算結果を画面表示する機能を有している。
データ出力部14は、専用の通信回路からなり、制御装置34などの外部装置とデータ通信を行うことにより、演算処理部16で得られた最適受水流量データ24などの演算結果を外部装置へ出力する機能とを有している。
【0030】
記憶部15は、ハードディスクやメモリなどの記憶装置からなり、演算処理部16での受水流量算出処理に用いる各種処理情報やプログラム15Pを記憶する機能を有している。プログラム15Pは、演算処理部16により読み込まれて実行されることにより、受水流量算出処理を行う各種処理部を実現するプログラムである。記憶部15で記憶される主な処理情報としては、予測配水流量データ15A、配水池水位データ15B、計画受水流量データ15C、制約条件データ15D、および最適受水流量データ15Eがある。
【0031】
予測配水流量データ(Fout)15Aは、図2に示したような、配水設備30での配水流量の時系列変化を示す配水流量データであり、予め配水流量予測装置20で予測した予測配水流量データ23がデータ取得部11で取得され、演算処理部16により記憶部15へ保存される。
配水池水位データ15Bは、図6に示したように、配水池32の水位の時系列変化を示す水位データであり、演算処理部16の受水流量計画部16Aにより算出されて記憶部15へ保存される。
計画受水流量データ(Fin)15Cは、図4に示したような、配水設備30での受水流量の時系列変化を示す受水流量データであり、演算処理部16の受水流量計画部16Aにより最適受水流量データ15Eの候補として生成されて記憶部15へ保存される。
【0032】
制約条件データ15Dは、配水設備30での配水および受水に関する各種制約条件を示すデータであり、予め操作入力部12やデータ取得部11から入力され記憶部15へ保存される。この制約条件データ15Dは、演算処理部16の受水流量計画部16Aにより計画受水流量データ15Cを生成する際や、最適受水流量選択部16Eによりこれら計画受水流量データ15Cから最適受水流量データ15Eを選択する際に用いられる。
【0033】
制約条件データ15Dの具体例としては、受水流量変更時における、直前受水流量から新たな受水流量への変更量の上限値を示す受水変更量上限値(ΔFmax)41、配水池32の面積(A)42、配水池32の運用上限水位(Lmax)72Hおよび運用下限水位(Lmin)72Lからなる適正水位範囲43、各計画受水流量データ15Cの評価値を算出するための数式を示す目的関数44などがある。
【0034】
最適受水流量データ(Fopt)15Eは、図4に示したような、配水設備30での受水流量の時系列変化を示す受水流量データであり、候補となる計画受水流量データ15Cのうちから演算処理部16の最適受水流量選択部16Eにより選択されて記憶部15へ保存される。
【0035】
演算処理部16は、CPUなどのマイクロプロセッサとその周辺回路を有し、記憶部15からプログラム15Pを読み込んで実行することにより、上記ハードウェアとプログラム15Pとを協働させて、受水流量算出処理に用いる各種処理部を実現する。
演算処理部16で実現される主な処理部としては、受水流量計画部16Aと最適受水流量選択部16Eがある。
【0036】
受水流量計画部16Aは、記憶部15から予測配水流量データ15Aと制約条件データ15Dを読み出し、当該制約条件データ15Dに基づいて対象期間における受水流量の時系列変化を示す計画受水流量データ15Cを最適受水流量データ15Eの候補として複数生成する機能を有している。この際に用いる制約条件データ15Dとしては、受水変更量上限値(ΔFmax)41がある。
この受水流量計画部16Aには、計画受水流量データ15Cを生成するための処理部として、受水流量データ生成部16B、配水池水位算出部16C、および計画受水流量データ選択部16Dが設けられている。
【0037】
受水流量データ生成部16Bは、対象期間における受水流量の時系列変化を示す受水流量データを生成する機能を有している。具体的には、例えば制約条件データ15Dで指定されている個々の範囲から順次選択した、受水流量の変更回数、変更時刻、および変更量の組合せに基づき、対象期間の各時刻における受水流量を算出する。この際、変更量については、その上限が受水変更量上限値41で制限される。変更時刻については、対象期間の各時刻を変更回数に基づき順に選択すればよい。変更回数については、制約条件データ15Dで変更回数の上限を規定してもよいが、後述する最適受水流量選択部16Eにより受水流量データの生成終了が判断されるまで変更回数を0(ゼロ)から順に増やすようにしてもよい。
【0038】
配水池水位算出部16Cは、予測配水流量データ15Aと受水流量データ生成部16Bで生成された受水流量データとに基づいて配水池32の水位を算出し、配水池水位データ15Bとして記憶部15へ保存する機能を有している。
計画受水流量データ選択部16Dは、制約条件データ15Dに含まれる配水池32の適正水位範囲43と配水池水位算出部16Cで算出された配水池水位データ15Bの各水位とを比較する機能と、対象期間にわたり配水池水位が適正水位範囲43に維持される場合には、当該受水流量データを計画受水流量データ15Cとして記憶部15へ保存する機能とを有している。
【0039】
最適受水流量選択部16Eは、受水流量計画部16Aで候補として生成された各計画受水流量データ15Cについて、当該計画受水流量データ15Cにおける受水流量の変更回数と変更量合計との重み付き線形和を求める目的関数を用いて評価値を算出する機能と、各計画受水流量データ15Cの評価値に基づき最適受水流量データ15Eを選択する機能と、最適受水流量データ15Eをデータ出力部14から配水設備30へ出力する機能と、最適受水流量データ15Eを記憶部15へ保存し、必要に応じて画面表示部13へ出力して画面表示する機能とを有している。
【0040】
[第1の実施の形態の動作]
次に、図8を参照して、本発明の第1の実施の形態にかかる受水流量算出装置の動作について説明する。図8は、本発明の第1の実施の形態にかかる受水流量算出装置の最適受水流量算出処理を示すフローチャートである。
【0041】
受水流量算出装置10の演算処理部16は、操作入力部12で検出されたオペレータによる処理開始操作に応じて、図8の最適受水流量算出処理を開始する。なお、記憶部15には、予測配水流量データ15Aと制約条件データ15Dとが予め保存されているものとする。また、対象期間としては、現時点(算出時点)から当日24時までの期間とし、この対象期間内で10分間隔ごとに受水流量を算出する。
【0042】
演算処理部16は、まず、受水流量計画部16Aにより、記憶部15から予測配水流量データ15Aを読み出す(ステップ100)。
続いて、演算処理部16は、受水流量計画部16Aの受水流量データ生成部16Bにより、対象期間における受水流量の時系列変化(10分間隔)を示す受水流量データFin={Fin(0),Fin(1),…Fin(n)}(但しnは正数)を生成する(ステップ101)。初期値Fin(0)は、例えば現在値:Fin(t-1)を用いる。あるいは、予測配水流量データ15Aの現時点から当日24時までの期間の積分値を当該期間で除した平均値をFin(0)として、始めることでも良い。なお、このようなループ条件は適宜チューニングの対象となる(ステップ109にて後述される)。
図9は、生成した受水流量データを示す説明図である。この際、受水流量データ生成部16Bは、記憶部15の制約条件データ15Dに含まれる受水変更量上限値(ΔFmax)41に基づき、次式(1)で示される制約条件に基づき受水流量データを生成する。
|Fin(t+1)−Fin(t)|≦ΔFmax …(1)
【0043】
次に、演算処理部16は、受水流量計画部16Aの配水池水位算出部16Cにより、予測配水流量データ15Aと受水流量データ生成部16Bで生成された受水流量データとに基づいて、対象期間における配水池32の水位を10分間隔で算出し、配水池水位データ15Bとして記憶部15へ保存する(ステップ102)。図10は、算出した配水池水位データを示す説明図である。この際、予測配水流量データ15AをFout={Fout(0),Fout(1),…,Fout(n)}とし、配水池32の面積をAとし、配水池水位をLとした場合、配水池水位Lに関するバランス式は、次式(2)で表すことができ、このバランス式に基づき各時刻における配水池水位L={L(0),L(1),…,L(n)}を算出すればよい。
A×dL/dt=Fin(t)−Fout(t) …(2)
【0044】
続いて、演算処理部16は、受水流量計画部16Aの計画受水流量データ選択部16Dにより、制約条件データ15Dに含まれる配水池32の適正水位範囲43と配水池水位算出部16Cで算出された配水池水位データ15Bの水位とを、10分間隔の時刻ごとに比較する(ステップ103)。この際、適正水位範囲43の運用上限水位をLmaxとし、運用下限水位をLminとした場合、このときの制約条件は次式(3)で表すことができる。
Lmin≦L(t)≦Lmax …(3)
【0045】
ここで、対象期間の全ての時刻において、式(3)が満たされる場合(ステップ104:YES)、計画受水流量データ選択部16Dは、受水流量データ生成部16Bで生成された当該受水流量データを計画受水流量データ15Cとして選択して記憶部15へ保存する(ステップ105)。
一方、対象期間のいずれかの時刻において、式(3)が満たされない場合(ステップ104:NO)、計画受水流量データ選択部16Dは、受水流量データ生成部16Bで生成された当該受水流量データを破棄し、後述するステップ109へ移行する。
【0046】
次に、演算処理部16は、最適受水流量選択部16Eにより、受水流量計画部16Aで候補として生成された計画受水流量データ15Cについて、当該計画受水流量データ15Cにおける受水流量の変更回数Kと、次式(4)で示される変更量合計ΔFsumとを算出する(ステップ106)。
ΔFsum=Σ|Fin(t+1)−Fin(t)| …(4)
【0047】
最適受水流量選択部16Eは、算出した受水流量の変更回数Kと変更量合計ΔFsumとの重み付き線形和を求める、制約条件データ15Dに含まれる目的関数44を用いて評価値を算出する(ステップ107)。この際、変更回数Kに対する重みをWとした場合、評価値Eは、次式(5)の目的関数で算出できる。なお、目的関数については、式(5)に限定されるものではなく、例えば変更回数Kまたは変更量合計ΔFsumのいずれかのみを用いた式であってもよい。
E=K×W+ΔFsum …(5)
【0048】
続いて、最適受水流量選択部16Eは、算出した評価値Eといままでに算出した最小評価値Eminとを比較し、いずれか小さい方を新たな最小評価値Eminとして選択し記憶部15へ保存する(ステップ108)。
次に、最適受水流量選択部16Eは、受水流量計画部16Aによる計画受水流量データ15Cの生成が終了したか否か判定し(ステップ109)、終了していない場合は(ステップ109:NO)、ステップ101へ戻って新たな計画受水流量データ15Cの生成を繰り返す。
【0049】
一方、計画受水流量データ15Cの生成が終了した場合は(ステップ109:YES)、記憶部15に保存されている最小評価値Eminに対応する計画受水流量データ15Cを最適受水流量データ15Eとして選択し、データ出力部14から配水設備30へ出力して(ステップ110)、一連の最適受水流量算出処理を終了する。
この際、ステップ109における計画受水流量データ15Cの生成終了判定については、例えば制約条件データ15Dで予め設定した計画受水流量データ15Cの繰り返し生成回数に達した場合に生成終了と判定してもよく、目的関数に基づいて受水流量の変更回数や変更量を増やしても新たな最小評価値Eminが得られないことが確定した場合に生成終了と判定してもよい。
【0050】
より具体的に繰り返し生成について述べれば、前述したFin(0)初期値の設定の方法、Fin(n)を変更するに当たり、その変更刻み幅を式(1)におけるΔFmaxをそのまま使う方法、若しくはΔFmaxの何分の一かを適宜使う方法、また、Fin(n)を変更する条件を配水地水位Lが運用上限/下限水位のいずれかに到達したときとする、若しくは当該上下限内の任意の余裕を持った値とする方法など、種々のチューニングをステップ109にて行い、ステップ109からステップ101へのループを形成することが考えられる。
【0051】
[第1の実施の形態の効果]
このように本実施の形態は、記憶部15により、対象期間について予め算出された配水流量の時系列データを示す予測配水流量データと、配水設備30での受水および配水に関する制約条件を示す制約条件データとを記憶しておき、受水流量計画部16Aにより、記憶部15から制約条件データを読み出し、当該制約条件データに基づいて対象期間における受水流量の時系列変化を示す計画受水流量データ15Cを複数生成し、最適受水流量選択部16Eにより、受水流量計画部16Aで生成された各計画受水流量データ15Cのうちから、それぞれの計画受水流量データ15Cによる受水流量の変更回数または変更量合計に基づき、最適な計画受水流量データを選択出力するようにしたので、受水流量の変更を抑制しつつ水需要の変動に対応可能な計画受水流量を算出することができる。
【0052】
これにより、配水設備での受水流量の変更による上流側の水供給設備での負担を最小限に抑制することができ、配水設備において、上流側の水供給設備の設備規模や運転コストを増大させることなく、下流側における受水流量の変動に対して適切に対応することが可能となる。
【0053】
また、本実施の形態では、受水流量データ生成部16Bにより、対象期間における受水流量の時系列変化を示す受水流量データを生成し、配水池水位算出部16Cにより、記憶部15から予測配水流量データ15Aを読み出し、当該予測配水流量データ15Aと受水流量データ生成部16Bで生成された受水流量データとに基づいて配水池水位データ15Bを算出し、計画受水流量データ選択部16Dにより、制約条件データ15Dに含まれる配水池32の適正水位範囲43と配水池水位算出部16Cで算出された配水池水位データ15Bとを比較し、対象期間にわたり配水池水位が適正水位範囲43内に維持される場合には、当該受水流量データを計画受水流量データ15Cとして選択出力するようにしたので、対象期間にわたり配水池32の水位を適正水位範囲43内に維持しうる受水流量データを計画受水流量データとして適切な選択することができる。
【0054】
また、本実施の形態では、制約条件データ15Dに、直前受水流量から新たな受水流量への変更量の上限値を示す受水変更量上限値を含み、受水流量データ生成部16Bにおいて、対象期間内の各時刻における受水流量の変更量が受水変更量上限値以下となるよう受水流量データを生成するようにしたので、受水流量の変更量が受水変更量上限値以下となる受水流量データのみを生成することができ、上流側の水供給設備に対する負担を軽減することができる。
【0055】
また、本実施の形態では、最適受水流量選択部16Eにより、計画受水流量データにおける受水流量の変更回数と変更量合計との重み付き線形和を求める目的関数を用いて、計画受水流量データ15Cごとに評価値を算出し、これら評価値に基づき各計画受水流量データのうちから最適な計画受水流量データを選択して出力するようにしたので、受水流量の変更回数と変更量合計とが抑制されたものを最適受水流量データとして選択することができ、上流側の水供給設備に対する負担を軽減することができる。
【0056】
[第2の実施の形態]
次に、図11を参照して、本発明の第2の実施の形態にかかる受水流量算出装置について説明する。図11は、本発明の第2の実施の形態にかかる受水流量算出装置における受水流量算出動作を示すフロー図であり、前述した図7と同じまたは同等部分には同一符号を付してある。
【0057】
第1の実施の形態では、計画受水流量データ選択部16Dにおいて、配水池水位データ15Bの各水位を適正水位範囲43内に維持するという式(3)の制約条件に基づいて、受水流量データ生成部16Bで生成された当該受水流量データを計画受水流量データ15Cとして選択する場合について説明した。
本実施の形態では、式(3)の制約条件を緩和してその上限/下限値を拡げ、および対象期間内に設定された評価時点における配水池水位を、対象期間にわたり当該時刻における目標水位許容範囲内に維持するという制約条件に基づいて、受水流量データ生成部16Bで生成された当該受水流量データを計画受水流量データ15Cとして選択する場合について説明する。
【0058】
本実施の形態にかかる受水流量算出装置10では、図11に示すように、制約条件データ15Dの適正水位範囲43に、水位許容偏差Lαが追加されている。図12は、水位許容偏差を示す説明図である。
本実施の形態で追加された制約条件では、対象期間内の任意の時刻、例えば対象期間の最終時点となる当日24時に評価時点を設定し、その評価時点における配水池水位すなわち評価時点水位81が、所定の目標水位(Ls)82から水位許容偏差Lαの範囲すなわち目標値許容範囲45内に維持されていることとする。
【0059】
この際、水位許容偏差Lαは、受水流量データの算出時点Tに依存する関数で与えられる。図12の例では、受水流量データの算出時点Tが当日12時までの期間に相当する場合、水位許容偏差Lα=0に設定されており、当日12時以降の期間では、当日24時に向かって水位許容偏差Lαが線形関数で徐々に増加するよう設定されている。この際、評価時点水位81をLn(T)とし、目標水位82をLsとし、水位許容偏差をLαとした場合、この制約条件は次式(6)で表される。
|Ls−Ln(T)|≦Lα(T) …(6)
【0060】
また、評価時点水位Ln(T)に対して、上記制約条件の適用要否を判定する水位として、適用上限水位(LH)83Hと適用下限水位(LL)83Lとが設けられており、受水流量データの算出時点で得られたLn(T)が、適用上限水位83Hを上回った場合、あるいは適用下限水位83Lを下回った場合、上記制約条件を適用しない。したがって、評価時点水位Ln(T)が、適用上限水位83Hから適用下限水位83Lまでの範囲に位置する場合に、上記制約条件を適用する。
なお、本実施の形態にかかる受水流量算出装置10の他の構成については、第1の実施の形態と同様であり、ここでの詳細な説明は省略する。
【0061】
[第2の実施の形態の動作]
次に、図13を参照して、本発明の第2の実施の形態にかかる受水流量算出装置の動作について説明する。図13は、本発明の第2の実施の形態にかかる受水流量算出装置の最適受水流量算出処理を示すフローチャートであり、前述した図8と同じまたは同等部分には同一符号を付してある。
【0062】
受水流量算出装置10の演算処理部16は、操作入力部12で検出されたオペレータによる処理開始操作に応じて、図8の最適受水流量算出処理を開始する。なお、記憶部15には、予測配水流量データ15Aと制約条件データ15Dとが予め保存されているものとする。また、受水流量を算出する対象期間としては、現時点(算出時点)から当日24時までの期間とし、この対象期間内で10分間隔ごとに受水流量を算出する。
【0063】
演算処理部16は、まず、受水流量計画部16Aにより、記憶部15から予測配水流量データ15Aを読み出し(ステップ100)、受水流量計画部16Aの受水流量データ生成部16Bにより、対象期間における受水流量の時系列変化(10分間隔)を示す受水流量データを生成する(ステップ101)。
次に、演算処理部16は、受水流量計画部16Aの配水池水位算出部16Cにより、予測配水流量データ15Aと受水流量データ生成部16Bで生成された受水流量データとに基づいて、対象期間における配水池32の水位を10分間隔で算出し、配水池水位データ15Bとして記憶部15へ保存する(ステップ102)。
【0064】
続いて、演算処理部16は、受水流量計画部16Aの計画受水流量データ選択部16Dにより、式(3)の制約条件に基づいて、制約条件データ15Dに含まれる配水池32の適正水位範囲43と配水池水位算出部16Cで算出された配水池水位データ15Bの水位とを、10分間隔の時刻ごとに比較する(ステップ103)。
次に、計画受水流量データ選択部16Dは、制約条件データ15Dに含まれる適用上限水位83Hから適用下限水位83Lまでの範囲に評価時点水位Ln(T)が位置する場合、式(6)の制約条件を適用して、目標水位Lsに対する水位許容偏差Lαの目標値許容範囲45と評価時点水位Ln(T)とを比較する(ステップ200)。
【0065】
このように、対象期間の全ての時刻において式(3)が満たされ、かつ評価時点において式(6)が満たされる場合(ステップ104:YES)、計画受水流量データ選択部16Dは、受水流量データ生成部16Bで生成された当該受水流量データを計画受水流量データ15Cとして選択して記憶部15へ保存する(ステップ105)。
一方、対象期間のいずれかの時刻において式(3)が満たされない場合、または評価時点において式(6)が満たされない場合(ステップ104:NO)、計画受水流量データ選択部16Dは、受水流量データ生成部16Bで生成された当該受水流量データを破棄し、後述するステップ109へ移行する。
【0066】
以下、第1の実施の形態と同様にして、図13のステップ105〜109が実行され、ステップ109において、計画受水流量データ15Cの生成が終了した場合は(ステップ109:YES)、記憶部15に保存されている最小評価値Eminに対応する計画受水流量データ15Cを最適受水流量データ15Eとして選択し、データ出力部14から配水設備30へ出力して(ステップ110)、一連の最適受水流量算出処理を終了する。
【0067】
[第2の実施の形態の効果]
このように、本実施の形態では、受水流量データ選択部16Dにより、制約条件データ15Dに含まれる目標水位および水位許容偏差からなる目標値許容範囲と配水池水位算出部16Cで算出された評価時点における配水池水位とを比較し、評価時点における配水池水位が目標値許容範囲に維持される場合には、当該受水流量データを計画受水流量データとして選択出力するようにしたので、配水池水位を評価時点において所望の目標値許容範囲内に維持することができる。
【0068】
したがって、評価時点を当日24時など、配水流量データや受水流量データの切れ目の時刻に設定することにより、配水制御の切り替わり時点における配水池水位の誤差を抑制することができ、安定した配水制御を実現することが可能となる。なお、適用上限水位83Hから適用下限水位83Lは24時までの残り時間を考慮して、比較的に緩和された値を設定することで、確実に配水池の水位を保つ効果がある。
【0069】
[実施の形態の拡張]
以上で説明した各実施の形態では、受水流量算出装置10と配水流量予測装置20とを別個の装置で実現した場合を例として説明したが、これに限定されるものではなく、これらを1つの装置で実現してもよい。同様に、受水流量算出装置10のみ、あるいは受水流量算出装置10と配水流量予測装置20の両方を、配水設備30の制御装置34の一部として同一装置内に実装してもよい。
【0070】
また、各実施の形態における、対象期間、受水流量データの再計算間隔、配水流量データや受水流量データなどの時系列データのデータ間隔、さらには制約条件データで設定された各種制約条件の内容については、上記例に限定されるものではなく、必要に応じて任意に選択すればよい。
【図面の簡単な説明】
【0071】
【図1】本発明の第1の実施の形態にかかる受水流量算出装置の構成を示すブロック図である。
【図2】配水流量予測装置で予測した予測配水流量の時系列変化を示す説明図である。
【図3】配水設備から配水した実績配水流量の時系列変化を示す説明図である。
【図4】受水流量算出装置で算出した最適受水流量の時系列変化を示す説明図である。
【図5】配水設備で受水した実績受水流量の時系列変化を示す説明図である。
【図6】配水池水位の時系列変化を示す説明図である。
【図7】本発明の第1の実施の形態にかかる受水流量算出装置における受水流量算出動作を示すフロー図である。
【図8】本発明の第1の実施の形態にかかる受水流量算出装置の最適受水流量算出処理を示すフローチャートである。
【図9】受水流量データを示す説明図である。
【図10】配水池水位データを示す説明図である。
【図11】本発明の第2の実施の形態にかかる受水流量算出装置における受水流量算出動作を示すフロー図である。
【図12】水位許容偏差を示す説明図である。
【図13】本発明の第2の実施の形態にかかる受水流量算出装置の最適受水流量算出処理を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0072】
10…受水流量算出装置、11…データ取得部、12…操作入力部、13…画面表示部、14…データ出力部、15…記憶部、15A,23…予測配水流量データ、15B…配水池水位データ、15C…計画受水流量データ、15D…制約条件データ、15E,24…最適受水流量データ、15P…プログラム、16…演算処理部、16A…受水流量計画部、16B…受水流量データ生成部、16C…配水池水位算出部、16D…受水流量データ選択部、16E…最適受水流量選択部、20…配水流量予測装置、21…実績配水流量データ、22…気象データ、25…実績受水流量、30…配水設備、31…受水弁、32…配水池、33…送水ポンプ、34…制御装置、41…受水変更量上限値(ΔFmax)、42…配水池面積(A)、43…適正水位範囲、44…目的関数、45…目標値許容範囲、71…配水池水位、72H…運用上限水位(Lmax)、72L…運用下限水位(Lmin)、81…評価時点水位、82…目標水位(Ls)、83H…適用上限水位(LH)、83L…適用下限水位(LL)。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
上流側からの水を配水池に一時的に貯水した後に下流側へ配水する配水設備について、演算処理部と記憶部とを備える受水流量算出装置により、前記上流側から受水すべき受水流量の時系列変化を所定の対象期間にわたり算出する際に用いられる受水流量算出方法であって、
前記記憶部により、前記対象期間について予め算出された前記配水設備から配水すべき配水流量の時系列データを示す予測配水流量データと、前記配水設備での受水および配水に関する制約条件を示す制約条件データとを記憶する記憶ステップと、
前記演算処理部により、前記記憶部から前記予測配水流量データと前記制約条件データを読み出し、当該制約条件データに基づいて前記対象期間における前記受水流量の時系列変化を示す計画受水流量データを複数生成する受水流量計画ステップと、
前記演算処理部により、前記受水流量計画ステップで生成された各計画受水流量データのうちから、それぞれの計画受水流量データによる受水流量の変更回数または変更量合計に基づき、最適な計画受水流量データを選択出力する最適受水流量選択ステップと
を備えることを特徴とする受水流量算出方法。
【請求項2】
請求項1に記載の受水流量算出方法において、
前記受水流量計画ステップは、
前記演算処理部により、前記対象期間における前記受水流量の時系列変化を示す受水流量データを生成する受水流量データ生成ステップと、
前記演算処理部により、前記記憶部から前記予測配水流量データを読み出し、当該予測配水流量データと前記受水流量データ生成ステップで生成された受水流量データとに基づいて前記配水池の配水池水位を算出する配水池水位算出ステップと、
前記演算処理部により、前記制約条件データに含まれる前記配水池の適正水位範囲と前記配水池水位算出ステップで算出された配水池水位とを比較し、前記対象期間にわたり前記配水池水位が前記適正水位範囲内に維持される場合には、当該受水流量データを前記計画受水流量データとして選択出力する計画受水流量データ選択ステップと
を有することを特徴とする受水流量算出方法。
【請求項3】
請求項2に記載の受水流量算出方法において、
前記制約条件データは、直前受水流量から新たな受水流量への変更量の上限値を示す受水変更量上限値を含み、
前記受水流量データ生成ステップは、前記対象期間内の各時刻における受水流量の変更量が前記受水変更量上限値以下となる前記受水流量データを生成する
ことを特徴とする受水流量算出方法。
【請求項4】
請求項2に記載の受水流量算出方法において、
前記最適受水流量選択ステップは、計画受水流量データにおける受水流量の変更回数と変更量合計との重み付き線形和を求める目的関数を用いて、前記計画受水流量データごとに評価値を算出し、これら評価値に基づき前記各計画受水流量データのうちから最適な計画受水流量データを選択して出力することを特徴とする受水流量算出方法。
【請求項5】
請求項2に記載の受水流量算出方法において、
前記制約条件データは、前記対象期間内の所定の評価時点における前記配水池水位の目標水位と、前記対象期間の各時刻における前記目標水位に対する水位許容偏差とを含み、
前記受水流量データ選択ステップは、前記制約条件データに含まれる前記目標水位および水位許容偏差から決定される目標値許容範囲と前記配水池水位算出ステップで算出された前記評価時点における配水池水位とを比較し、前記評価時点における配水池水位が前記目標値許容範囲に維持される場合には、当該受水流量データを前記計画受水流量データとして出力する
ことを特徴とする受水流量算出方法。
【請求項6】
上流側からの水を配水池に一時的に貯水した後に下流側へ配水する配水設備について、前記上流側から受水すべき受水流量の時系列変化を所定の対象期間にわたり算出する受水流量算出装置であって、
前記対象期間について予め算出された前記配水設備から配水すべき配水流量の時系列データを示す予測配水流量データと、前記配水設備での受水および配水に関する制約条件を示す制約条件データとを記憶する記憶部と、
前記記憶部から前記予測配水流量データと前記制約条件データを読み出し、当該制約条件データに基づいて前記対象期間における前記受水流量の時系列変化を示す計画受水流量データを複数生成する受水流量計画部と、
この受水流量計画部で生成された各計画受水流量データのうちから、それぞれの計画受水流量データによる受水流量の変更回数または変更量合計に基づき、最適な計画受水流量データを選択出力する最適受水流量選択部と
を備えることを特徴とする受水流量算出装置。
【請求項7】
請求項6に記載の受水流量算出装置において、
前記受水流量計画部は、
前記対象期間における前記受水流量の時系列変化を示す受水流量データを生成する受水流量データ生成部と、
前記記憶部から前記予測配水流量データを読み出し、当該予測配水流量データと前記受水流量データ生成部で生成された受水流量データとに基づいて前記配水池の配水池水位を算出する配水池水位算出部と、
前記制約条件データに含まれる前記配水池の適正水位範囲と前記配水池水位算出部で算出された配水池水位とを比較し、前記対象期間にわたり前記配水池水位が前記適正水位範囲内に維持される場合には、当該受水流量データを前記計画受水流量データとして選択出力する計画受水流量データ選択部と
を有することを特徴とする受水流量算出装置。
【請求項8】
請求項7に記載の受水流量算出装置において、
前記制約条件データは、直前受水流量から新たな受水流量への変更量の上限値を示す受水変更量上限値を含み、
前記受水流量データ生成部は、前記対象期間内の各時刻における受水流量の変更量が前記受水変更量上限値以下となる前記受水流量データを生成する
ことを特徴とする受水流量算出装置。
【請求項9】
請求項7に記載の受水流量算出装置において、
前記最適受水流量選択部は、計画受水流量データにおける受水流量の変更回数と変更量合計との重み付き線形和を求める目的関数を用いて、前記計画受水流量データごとに評価値を算出し、これら評価値に基づき前記各計画受水流量データのうちから最適な計画受水流量データを選択して出力することを特徴とする受水流量算出装置。
【請求項10】
請求項7に記載の受水流量算出装置において、
前記制約条件データは、前記対象期間内の所定の評価時点における前記配水池水位の目標水位と、前記対象期間の各時刻における前記目標水位に対する水位許容偏差とを含み、
前記受水流量データ選択部は、前記制約条件データに含まれる前記目標水位および水位許容偏差から決定される目標値許容範囲と前記配水池水位算出部で算出された前記評価時点における配水池水位とを比較し、前記評価時点における配水池水位が前記目標値許容範囲に維持される場合には、当該受水流量データを前記計画受水流量データとして出力する
ことを特徴とする受水流量算出装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2008−308910(P2008−308910A)
【公開日】平成20年12月25日(2008.12.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−158799(P2007−158799)
【出願日】平成19年6月15日(2007.6.15)
【出願人】(000006666)株式会社山武 (1,808)
【Fターム(参考)】