説明

口腔内崩壊錠

【課題】不快な味を有する薬物を含有する口腔内崩壊錠であって、口腔内での不快な味が低減され、かつ消化管内での優れた溶出性を備える口腔内崩壊錠を提供する。
【解決手段】不快な味を有する薬物を芯物質として含有し、膜形成物質が親水性高分子ゲル化剤(例えば、寒天など)である多芯型マイクロカプセルが用いられている口腔内崩壊錠であって、該多芯型マイクロカプセルの平均粒子径が100〜300μmであることを特徴とする口腔内崩壊錠。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、口腔内崩壊錠に関する。
【背景技術】
【0002】
口腔内崩壊錠は、口中に含んだ時、口腔内で迅速に崩壊し、唾液とともに嚥下される経口製剤であり、水なしで容易に服用できるという利点がある。しかし、口腔内崩壊製剤に含有される薬物が苦味や渋みといった不快な味を有するものである場合、服用時に不快感を伴うという問題があった。そこで、この問題を解消するため、これまで種々の方法が提案されている。
【0003】
例えば、異味を有する医薬成分を含有する造粒物をコーティング剤で被覆し、さらにクロスポピドン及び糖アルコールを粉体として配合し、圧縮成型した口腔内速崩壊性錠剤であって、コーティング剤がアミノアルキルメタアクリレートコポリマーである口腔内速崩壊性錠剤(特許文献1参照)、(a)苦味を有する薬物と軽質無水ケイ酸を含有する混合物をコーティング剤で被覆した粒子(コート粒子)、(b)エリスリトール、結晶セルロース、低置換度ヒドロキシプロピルセルロース、甘味剤を含有する混合物にヒドロキシプロピルセルロース水溶液を噴霧することにより得られる粒子(造粒品)および(c)結晶セルロースの混合物を打錠することにより得られる口腔内速崩壊錠(特許文献2参照)、(a)賦形剤と混合した不快な味を有する薬物をエチルセルロースで造粒もしくは被覆してなる薬物含有顆粒、及び(b)糖又は糖アルコールを水に不溶であるが親水性の造粒成分で造粒もしくは被覆してなる薬物不含顆粒、との混合圧縮成形物である、不快な味を低減した口腔内崩壊錠剤(特許文献3参照)などが提案されている。
【0004】
しかし、上記方法では、不快な味を有する薬物の味を抑えようとしてコーティング量を増大させると、服用時に消化管内での薬物の溶出が著しく遅延され、十分な薬効が得られないという問題がある。したがって、不快な味を有する薬物を含有する口腔内崩壊錠では、口腔内での不快な味を低減するという条件と消化管内での優れた溶出性という条件とを同時に満たすことが求められている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2009−179604号公報
【特許文献2】特開2008−162989号公報
【特許文献3】特開2005−060309号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、不快な味を有する薬物を含有する口腔内崩壊錠であって、口腔内での不快な味が低減され、かつ消化管内での優れた溶出性を備えるものを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者は、上記課題を解決するために鋭意研究を重ねた結果、不快な味を有する薬物を内包する多芯型マイクロカプセルにおいて、(i)膜形成物質を寒天とすること、および(ii)平均粒子径を特定の範囲に調整することにより、該マイクロカプセルを用いた口腔内崩壊錠は、薬物の不快な味が低減(マスキング)され、かつ薬物の溶出性に優れたものであることを見出し、本発明を完成した。
即ち、本発明は、
(1)不快な味を有する薬物を芯物質として含有し、膜形成物質が親水性高分子ゲル化剤である多芯型マイクロカプセルが用いられている口腔内崩壊錠であって、該多芯型マイクロカプセルの平均粒子径が100〜300μmであることを特徴とする口腔内崩壊錠、
(2)親水性高分子ゲル化剤が寒天であることを特徴とする前記(1)記載の口腔内崩壊錠、
を提供するものである。
【発明の効果】
【0008】
本発明の口腔内崩壊錠は、薬物の不快な味が十分に低減され、かつ薬物の溶出性に優れたものである。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本発明に係る多芯型マイクロカプセルの構造を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本明細書において口腔内崩壊錠とは、口腔内で唾液の存在下、咀嚼無しに約90秒、好ましくは約60秒、更に好ましくは40秒より短い時間で崩壊する製剤をいう。
【0011】
本発明の口腔内崩壊錠に用いられる多芯型マイクロカプセルは、不快な味を有する薬物を芯物質として含有し、膜形成物質が親水性高分子ゲル化剤である。即ち、本発明に係る多芯型マイクロカプセルは、膜形成物質1中に芯物質2が均一に分散した構造を有する(図1)。芯物質の粒子径は、50μm以下、好ましくは20μm以下、さらに好ましくは10μm以下である。
【0012】
本発明に用いられる不快な味を有する薬物としては、経口的に投与される薬物で苦味や収斂味など不快な味を有するものであれば特に限定はなく、例えば、解熱鎮痛薬、抗ヒスタミン剤、抗アレルギー剤、交感神経興奮剤、副交感神経遮断剤、中枢興奮薬、H2ブロッカー、制酸剤、消炎酵素剤、抗炎症剤、気管支拡張剤、抗菌剤、鎮咳剤、去痰剤、抗コリン剤、止しゃ剤、催眠鎮静薬、利胆薬、血圧降下剤、骨格筋弛緩薬、乗り物酔い予防・治療薬等、ビタミン類、生薬類などが挙げられる。
【0013】
本発明に用いられる親水性高分子ゲル化剤としては、例えば寒天、カラギーナン、ジェランガムなどが挙げられ、好ましくは寒天である。
【0014】
本発明に用いられる多芯型マイクロカプセルは、平均粒子径が好ましくは100〜300μm、より好ましくは100〜250μmとなるように調製されたものである。平均粒子径が100μm未満の多芯型マイクロカプセルは、後述の回転円盤を用いた製造方法では、回転円盤から噴霧された溶液が塔内に浮遊したり、塔内壁に付着したりするため、調製自体が困難である。また、平均粒子径が300μmを超える多芯型マイクロカプセルは、該マイクロカプセルを用いた口腔内崩壊錠を服用した際の消化管内での薬物の溶出性が低下するため好ましくない。
【0015】
本発明に用いられる多芯型マイクロカプセルの平均粒子径は、第15改正日本薬局方の粒度測定法(第二法:ふるい分け法)に準じ、適当な目開きのふるいを用いて粒度分布を測定した後、累積50%平均粒子径を算出することにより求められる。
【0016】
本発明に係る多芯型マイクロカプセルの製造方法は特に制限されないが、例えば以下の工程(1)〜(4)を実施することにより製造することができる。
【0017】
工程(1):親水性高分子ゲル化剤及び乳化剤を水に加え、これを約40〜90℃に加温して溶解する。
工程(2):(1)で作成した溶解液に不快な味を有する薬物を加えて撹拌し、均一に分散させる。
工程(3):(2)で作成した分散液を液体窒素の充填された塔内に噴霧する。噴霧された分散液は冷却されて落下し、塔下部で凍結状態の微細粒子となる。
工程(4):(3)で作成した微細粒子を捕集し、例えば棚段式通風乾燥機、流動層乾燥機、真空凍結乾燥機などにより目的とする水分量まで乾燥し、本発明に係る多芯型マイクロカプセルを得る。
【0018】
上記工程(1)の乳化剤としては、例えばグリセリン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステルなどが挙げられる。本発明においては、これらの乳化剤を一種類で用いても良いし、二種類以上を任意に組み合わせて用いても良い。上記グリセリン脂肪酸エステルには、グリセリンと脂肪酸のエステルの他、グリセリン酢酸エステル、グリセリン酢酸脂肪酸エステル、グリセリン乳酸脂肪酸エステル、グリセリンクエン酸脂肪酸エステル、グリセリンコハク酸脂肪酸エステル、グリセリンジアセチル酒石酸脂肪酸エステルおよびポリグリセリン脂肪酸エステルなどが含まれる。
【0019】
上記工程(2)の攪拌には、TKホモミクサー(プライミクス社製)、クレアミックス(エムテクニック社製)などの高速回転式分散・乳化機が用いられる。攪拌条件としては、回転数を約3000〜10000rpm、攪拌時間を約5〜60分間とするのが好ましい。
【0020】
上記工程(2)で作成される分散液100質量%中の親水性高分子ゲル化剤、乳化剤、水および不快な味を有する薬物の含有量に特に制限はないが、例えば、親水性高分子ゲル化剤が通常約5〜25質量%、乳化剤が通常約0.01〜2質量%、水が通常約50〜75質量%、不快な味を有する薬物が通常約1〜30質量%となるように調製するのが好ましい。
【0021】
上記工程(3)の噴霧には、例えば加圧式噴霧ノズル、回転式噴霧ノズル、回転円盤などが用いられ、好ましくは回転円盤である。回転円盤を噴霧に用いる場合、該回転円盤の好ましい回転数として約4000〜8000rpmを例示できる。
【0022】
上記工程(4)の乾燥に流動層乾燥機を用いる場合、乾燥前に予め微細粒子100質量%にタルク約0.1〜4質量%およびグリセリン脂肪酸エステル約0.1〜4質量%を加えて混合することが好ましく行われる。
【0023】
本発明に係る多芯型マイクロカプセル100質量%中の不快な味を有する薬物の含有量は約0.1〜80質量%、好ましくは約1〜70質量%である。本発明に係る多芯型マイクロカプセルの特性値は、乾燥減量が10.0質量%以下、好ましくは7.0質量%以下(1g,105℃,2時間)である。尚、乾燥減量は「日局方 一般試験法10.乾燥減量試験法」に準じて測定される。
【0024】
本発明の口腔内崩壊錠は、自体公知の製剤学的手法により製造することができる。例えば、本発明に係る多芯型マイクロカプセルと、賦形剤(例えばD−マンニトールなど)及び崩壊剤(例えばクロスカルメロースナトリウムなど)とを混合し、打錠することで本発明の口腔内崩壊錠を得る。
【0025】
本発明の口腔内崩壊錠は、必要により医薬品製剤の製造に使用可能な添加物を配合することができる。具体的には、例えば、滑沢剤としてステアリン酸及びその金属塩類、並びにタルク、軽質無水ケイ酸、含水二酸化ケイ素、ショ糖脂肪酸エステル等、甘味剤として糖類、糖アルコール類、アスパルテーム、サッカリン及びその塩類、グリチルリチン酸及びその塩類、ステビア、並びにアセスルファムカリウム等、嬌味剤としてクエン酸、クエン酸ナトリウム、コハク酸、酒石酸及びフマル酸等、着色剤として三二酸化鉄、黄色三二酸化鉄、カラメル、リボフラビン及びアルミニウムレーキ等、香料としてメントール及びオレンジ油等が挙げられる。
【0026】
以下に本発明を実施例に基づいてより具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【実施例】
【0027】
[実施例1]
(1)ファモチジン含有多芯型マイクロカプセルの調製
寒天(製品名:ウルトラ寒天RB;伊那食品工業社製)100g、ソルビタン脂肪酸エステル(製品名:L−300;理研ビタミン社製)0.5gを精製水1250gに加え、80℃に加熱して溶解した。得られた溶解液を80℃に保ち、該溶解液に不快な味を有する薬物としてファモチジン(陽進堂社製)350gを加え、TKホモミクサー(プライミクス社製)で10000rpmにて均一に分散するまで撹拌した。得られた分散液を−60kPa(ゲージ圧)の減圧下で脱気し、ファモチジン含有分散液を得た。
次にファモチジン含有分散液を塔下部が液体窒素で冷却された噴霧冷却装置(試験機)に送液し、回転円盤を回転数7000rpmで回転させて霧状に噴霧した。噴霧された溶液は冷却されて微細粒子となって塔下部に落下し、凍結状態の粒子として捕集した。集められた該微細粒子1000gに、タルク(製品名:ミクロエースP−3;日本タルク社製)8.3g、グリセリン脂肪酸エステル(製品名:ポエムHB;理研ビタミン社製)20.8gを加えて混合した後、流動層乾燥機(型式:LAB−1;パウレック社製)を用いて20℃で1時間、30℃で30分間、50℃で30分間の順に乾燥した。得られた乾燥物を60号篩(目開き250μm)で篩い、通過物として、ファモチジン含有多芯型マイクロカプセルを得た。得られた多芯型マイクロカプセルの平均粒子径は123μmであった。
(2)口腔内崩壊錠の調整
上記多芯型マイクロカプセル3g、D−マンニトール(日研化学社製)14g及びクロスカルメロースナトリウム(製品名:アクジゾル;大日本住友製薬社製)3gを混合した後、得られた混合物200mgを直径10mmの円形臼に充填し、これをハンドプレス機により、上下から平面杵で打錠圧1tにて圧縮成型して口腔内崩壊錠(実施例品1)を得た。
【0028】
[実施例2]
回転円盤の回転数を6000rpmとしたこと以外は実施例1と同様に実施し、ファモチジン含有多芯型マイクロカプセルを調製した。得られたマイクロカプセルの平均粒子径は153μmであった。
次いで、実施例1と同様に口腔内崩壊錠の調製を実施し、口腔内崩壊錠(実施例品2)を得た。
【0029】
[実施例3]
回転円盤の回転数を5000rpmとしたこと以外は実施例1と同様に実施し、ファモチジン含有多芯型マイクロカプセルを調製した。得られたマイクロカプセルの平均粒子径は177μmであった。
次いで、実施例1と同様に口腔内崩壊錠の調製を実施し、口腔内崩壊錠(実施例品3)を得た。
【0030】
[実施例4]
実施例1の回転円盤に替えて回転式噴霧ノズルを用い、該回転式噴霧ノズルの回転数を1000rpmとしたこと以外は実施例1と同様に実施し、ファモチジン含有多芯型マイクロカプセルを調製した。得られたマイクロカプセルの平均粒子径は221μmであった。
次いで、実施例1と同様に口腔内崩壊錠の調製を実施し、口腔内崩壊錠(実施例品4)を得た。
【0031】
[比較例1]
実施例1の回転円盤に替えて回転式噴霧ノズルを用い、該回転式噴霧ノズルの回転数を500rpmとしたこと以外は実施例1と同様に実施し、ファモチジン含有多芯型マイクロカプセルを調製した。得られたマイクロカプセルの平均粒子径は360μmであった。
次いで、実施例1と同様に口腔内崩壊錠の調製を実施し、口腔内崩壊錠(比較例品1)を得た。
【0032】
[参考例1]
(1)ファモチジン含有チップ(造粒物)の調製
寒天(製品名:ウルトラ寒天RB;伊那食品工業社製)100g、ソルビタン脂肪酸エステル(製品名:L−300;理研ビタミン社製)0.5gを精製水1250gに加え、80℃に加熱して溶解した。得られた溶解液を80℃に保ち、該溶解液にファモチジン(陽進堂社製)350gを加え、TKホモミクサー(プライミクス社製)で10000rpmにて均一に分散するまで撹拌した。得られた分散液を−60kPa(ゲージ圧)の減圧下で脱気し、ファモチジン含有分散液を得た。
次にファモチジン含有分散液を撹拌しながら冷却し、ゲル化させた。ゲル化したファモチジン含有分散液を真空乾燥機で16時間乾燥し、乾燥物を得た。得られた乾燥物をフードミキサー(象印社製)で粉砕し、得られた粉砕物180.2gにタルク(製品名:ミクロエースP−3;日本タルク社製)5.6g、グリセリン脂肪酸エステル(製品名:ポエムHB;理研ビタミン社製)14.2gを加えて混合した後に50号篩(目開き300μm)で篩い、通過物としてファモチジン含有チップを得た。得られたチップの平均粒子径は168μmであった。
(2)口腔内崩壊錠の調製
上記ファモチジン含有チップ3g、D−マンニトール(日研化学社製)14g及びクロスカルメロースナトリウム(製品名:アクジゾル;大日本住友製薬)3gを混合した後、得られた混合物200mgを直径10mmの円形臼に充填し、これをハンドプレス機により、上下から平面杵で打錠圧1tにて圧縮成型して口腔内崩壊錠(参考例品1)を得た。
【0033】
[参考例2]
ファモチジン(陽進堂社製)2.1g、D−マンニトール(日研化学社製)14.9g及びクロスカルメロースナトリウム(製品名:アクジゾル;大日本住友製薬)3gを混合した後、得られた混合物200mgを直径10mmの円形臼に充填し、これをハンドプレス機により、上下から平面杵で打錠圧1tにて圧縮成型して口腔内崩壊錠(参考例品2)を得た。
【0034】
[官能評価試験]
口腔内崩壊錠(実施例品1〜4、比較例品1又は参考例品1若しくは2)を舌の上に置き、閉口のまま噛まない状態において崩壊後に感じられる苦味の程度について、表1に示す評価基準に従い評価試験を実施した。試験は5名のパネラーで行い、結果は5名の評点の平均値として求め、以下の基準に従って記号化した。結果を表2に示した。
○:評点の平均値が0.7未満
△:評点の平均値が0.7以上、1.5未満
×:評点の平均値が1.5以上
【0035】
【表1】

【0036】
[簡易初期溶出試験法による薬物の溶出性評価]
口腔内崩壊錠(実施例品1〜4、比較例品1並びに参考例品1及び2)について、咀嚼による物理的作用のある口腔内環境を模した状態における薬物の溶出量を評価するため、以下に示す簡易初期溶出試験法による評価試験を実施した。結果を表2に示した。
<試験方法>
容量10mlのプラスチック製シリンジ(テルモ社製)の先端をゴム栓で塞いだ上で、該シリンジの後端から口腔内崩壊錠を1つ入れ、さらに37±1℃の精製水を10ml入れる。シリンジの後端にピストンを装着し、ゆっくりと30秒間震とうした後、シリンジ先端に細孔径0.45μmのシリンジフィルター(WHATMAN社製)を装着し、シリンジ内の液をろ過して回収する。回収されたろ液について可視紫外分光法により波長279nm付近の極大吸収波長を測定することによりファモチジン濃度を求める。求めたファモチジン濃度に基づいて、口腔内崩壊錠に配合したファモチジン量に対する溶出量を百分率で評価する。
【0037】
[パドル法による薬物の溶出性評価]
口腔内崩壊錠(実施例品1〜4、比較例品1並びに参考例品1及び2)を服用した場合の消化管内での薬物の溶出性を模擬的に評価するため、以下に示すパドル法による評価試験を実施した。結果を表2に示した。
<試験方法>
第15改正日本薬局方溶出試験(第二法:パドル法)に準じ、試験液として37℃の精製水を用い、パドル回転数毎分50回転にて試験を行う。この際、経時的にサンプリングを行い、サンプリングした試験液について可視紫外分光法により波長279nm付近の極大吸収波長を測定することによりファモチジン濃度を求める。求めたファモチジン濃度に基づいて、口腔内崩壊錠に配合したファモチジン量に対する溶出量を百分率で評価する。評価結果は以下の評価基準に従って記号化する。
○:15分後の溶出率が85%以上のもの
×:15分後の溶出率が85%未満のもの
【0038】
【表2】

【0039】
表2の結果から明らかなように、本発明の口腔内崩壊錠(実施例品1〜4)は、薬物(ファモチジン)の苦味が十分に低減され、かつ薬物の溶出性に優れたものであった。
【符号の説明】
【0040】
1 膜形成物質
2 芯物質

【特許請求の範囲】
【請求項1】
不快な味を有する薬物を芯物質として含有し、膜形成物質が親水性高分子ゲル化剤である多芯型マイクロカプセルが用いられている口腔内崩壊錠であって、該多芯型マイクロカプセルの平均粒子径が100〜300μmであることを特徴とする口腔内崩壊錠。
【請求項2】
親水性高分子ゲル化剤が寒天であることを特徴とする請求項1記載の口腔内崩壊錠。

【図1】
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【公開番号】特開2011−57655(P2011−57655A)
【公開日】平成23年3月24日(2011.3.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−212587(P2009−212587)
【出願日】平成21年9月15日(2009.9.15)
【出願人】(390010674)理研ビタミン株式会社 (236)
【Fターム(参考)】