説明

古典的分割によるアルキルピペラジニルフェニル化合物の調製

【課題】選択的5HT1Dアンタゴニストを含むラセミ状アルキルピペラジニルフェニル化合物を光学分割するための新規な方法の提供。
【解決手段】本発明は、下記の式Iを有する、5−HT1アゴニストまたは5−HT1アンタゴニストが適応されるうつ病、不安、片頭痛、強迫性障害(OCD)および他の障害を処置または防止することにおいて有用である選択的5HT1Dアンタゴニストを含むラセミ状アルキルピペラジニルフェニル化合物を光学分割するための新規な方法に関連する。


(式中、X、R1およびR2は、本明細書中に提供される定義を有する)。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、選択的5HT1Dアンタゴニストを含むラセミ状アルキルピペラジニルフェニル化合物を光学分割するための新規な方法に関連する。アルキルピペラジニルフェニル化合物は、5−HT1アゴニストまたは5−HT1アンタゴニストが適応されるうつ病、不安、片頭痛、強迫性障害(OCD)および他の障害を処置または防止することにおいて有用である。
【発明の開示】
【0002】
本発明の概要
本発明は、下記の式Iの化合物:
【化1】

(式中、XはOまたはCH2であり、nは1または2であり、R1は(C1〜C6)アルキル−であり、R2は水素または下記の式G1の基:
【化2】

(式中、YはCHまたはNであり、R3は、(C1〜C6)アルキル−、(C1〜C6)ヒドロキシアルキル−または(C4〜C8)ヒドロキシシクロアルキル−である)
である)
のラセミ混合物を光学分割するための方法であって、(i)反応不活性な溶媒における式Iの化合物の溶液を(+)−ジ−p−トルオイル−D−酒石酸または(−)−ジ−p−トルオイル−L−酒石酸と混合して、化合物Iの一方のエナンチオマーが濃縮された(+)−ジ−p−トルオイル−D−酒石酸塩または(−)−ジ−p−トルオイル−L−酒石酸塩の沈殿物と、該エナンチオマーの鏡像体が濃縮された(+)−ジ−p−トルオイル−D−酒石酸塩または(−)−ジ−p−トルオイル−L−酒石酸塩の溶液とを形成するステップ、および(ii)エナンチオマー濃縮された塩の沈殿物を鏡像体濃縮された塩の溶液から分離するステップを含む方法に関連する。
【0003】
本発明の分割方法の別の態様において、鏡像体濃縮された塩が、鏡像体濃縮された塩の前記溶液を濃縮することによって回収される。
【0004】
本発明の分割方法のさらに別の態様において、化合物Iの一方のエナンチオマー、または、化合物1のエナンチオマー濃縮された混合物が、化合物Iの前記エナンチオマー濃縮された(+)−ジ−p−トルオイル−D−酒石酸塩または(−)−ジ−p−トルオイル−L−酒石酸塩を塩基により処置することによって調製される。
【0005】
本発明の分割方法のさらなる態様において、化合物Iの前記エナンチオマーの鏡像体、または、前記鏡像体が濃縮された化合物Iのエナンチオマー混合物が、鏡像体濃縮された塩を塩基により処理することによって調製される。
【0006】
本発明の方法のなおさらなる態様において、式Iの化合物のラセミ混合物が、化合物Iの一方のエナンチオマー、または、化合物Iのエナンチオマー濃縮された混合物、あるいは、化合物Iの前記エナンチオマーの鏡像体、または、前記鏡像体が濃縮された化合物Iのエナンチオマー混合物を強塩基により処理することによって調製される。ラセミ混合物を分割し、それにより、より望ましいエナンチオマーに変換することができるそれほど所望されないエナンチオマーを生じさせる。
【0007】
本発明の方法は、その態様の全てで、R1がメチルであり、XがCH2であり、nが1であり、かつ、R2が、水素または基G1(式中、YがCHまたはNであり、R3が、1−エチル−1−ヒドロキシプロピル、2−メトキシプロパン−2−イルまたは1−ヒドロキシシクロブチルである)から選択される式Iの化合物の光学分割に関連する。
【0008】
本発明の方法は、その態様の全てで、R1がメチルであり、XがOであり、nが2であり、かつ、R2が基G1(式中、YがCHであり、R3が第三級ブチルである)である式Iの化合物の光学分割に関連する。
【0009】
本発明の方法は、その態様の全てで、R1、X、n、R2、および、G1の変数が、本明細書中で議論されるいずれかの定義を有する式Iの化合物の光学分割に関連する。
【0010】
本発明の方法は、その態様の全てで、下記の化合物のいずれか1つまたは複数である式Iの化合物を、本明細書中で議論される任意の方法を使用して光学分割することに関連する。
3(R)−1−[4−(1−ヒドロキシシクロブチル)−フェニル]−3−[2−(4−メチルピペラジン−1−イル)−ベンジル]−ピロリジン−2−オン;
3(S)−1−[4−(1−ヒドロキシシクロブチル)−フェニル]−3−[2−(4−メチルピペラジン−1−イル)−ベンジル]−ピロリジン−2−オン;
2(R)−4−(4−tert−ブチルフェニル)−2−[2−(4−メチルピペラジン−1−イル)−ベンジル]−モルホリン−3−オン;
2(S)−4−(4−tert−ブチルフェニル)−2−[2−(4−メチルピペラジン−1−イル)−ベンジル]−モルホリン−3−オン;
3(R)−1−[6−(1−エチル−1−ヒドロキシプロピル)−ピリジン−3−イル]−3−[2−(4−メチルピペラジン−1−イル)−ベンジル]−ピロリジン−2−オン;
3(S)−1−[6−(1−エチル−1−ヒドロキシプロピル)−ピリジン−3−イル]−3−[2−(4−メチルピペラジン−1−イル)−ベンジル]−ピロリジン−2−オン;
3(R)−3−[2−(4−メチルピペラジン−1−イル)−ベンジル]−ピロリジン−2−オン;
3(S)−3−[2−(4−メチルピペラジン−1−イル)−ベンジル]−ピロリジン−2−オン;
3(R)−3−(2−(4−メチルピペラジン−1−イル)ベンジル)−1−(4−(2−メトキシプロパン−2−イル)フェニル)ピロリジン−2−オン;および
3(S)−3−(2−(4−メチルピペラジン−1−イル)ベンジル)−1−(4−(2−メトキシプロパン−2−イル)フェニル)ピロリジン−2−オン。
【0011】
本発明の方法はまた、エナンチオマー、または、一方のエナンチオマーが濃縮されたエナンチオマーの混合物を、下記の化合物:
(R),(S)−1−[4−(1−ヒドロキシシクロブチル)−フェニル]−3−[2−(4−メチルピペラジン−1−イル)−ベンジル]−ピロリジン−2−オン;
(R),(S)−4−(4−tert−ブチルフェニル)−2−[2−(4−メチルピペラジン−1−イル)−ベンジル]−モルホリン−3−オン;
(R),(S)−1−[6−(1−エチル−1−ヒドロキシプロピル)−ピリジン−3−イル]−3−[2−(4−メチルピペラジン−1−イル)−ベンジル]−ピロリジン−2−オン;
(R),(S)−3−[2−(4−メチルピペラジン−1−イル)−ベンジル]−ピロリジン−2−オン;および
(R),(S)−3−(2−(4−メチルピペラジン−1−イル)ベンジル)−1−(4−(2−メトキシプロパン−2−イル)フェニル)ピロリジン−2−オン
のいずれか1つまたは複数から選択される対応するラセミ体の溶液から調製するための方法であって、
(i)前記ラセミ体を(+)−ジ−p−トルオイル−D−酒石酸により処理して、下記の化合物:
3(R)−1−[4−(1−ヒドロキシシクロブチル)−フェニル]−3−[2−(4−メチルピペラジン−1−イル)−ベンジル]−ピロリジン−2−オン;
2(S)−4−(4−tert−ブチルフェニル)−2−[2−(4−メチルピペラジン−1−イル)−ベンジル]−モルホリン−3−オン;
3(R)−1−[6−(1−エチル−1−ヒドロキシプロピル)−ピリジン−3−イル]−3−[2−(4−メチルピペラジン−1−イル)−ベンジル]−ピロリジン−2−オン;
3(R)−3−[2−(4−メチルピペラジン−1−イル)−ベンジル]−ピロリジン−2−オン;および
3(R)−3−(2−(4−メチルピペラジン−1−イル)ベンジル)−1−(4−(2−メトキシプロパン−2−イル)フェニル)ピロリジン−2−オン
のいずれか1つまたは複数から選択される対応するエナンチオマーに関して濃縮される対応する(+)−ジ−p−トルオイル−D−酒石酸塩の沈殿物を形成させること;
および(ii)前記塩を塩基により処理すること
を含む方法に関連する。
【0012】
本発明の方法はまた、エナンチオマー、一方のエナンチオマーが濃縮されたエナンチオマーの混合物を、下記の化合物:
1−[4−(1−ヒドロキシシクロブチル)−フェニル]−3−[2−(4−メチルピペラジン−1−イル)−ベンジル]−ピロリジン−2−オン;
4−(4−tert−ブチルフェニル)−2−[2−(4−メチルピペラジン−1−イル)−ベンジル]−モルホリン−3−オン;
1−[6−(1−エチル−1−ヒドロキシプロピル)−ピリジン−3−イル]−3−[2−(4−メチルピペラジン−1−イル)−ベンジル]−ピロリジン−2−オン;
3−[2−(4−メチルピペラジン−1−イル)−ベンジル]−ピロリジン−2−オン;および
3−(2−(4−メチルピペラジン−1−イル)ベンジル)−1−(4−(2−メトキシプロパン−2−イル)フェニル)ピロリジン−2−オン
のいずれか1つまたは複数から選択される対応するラセミ体の溶液から調製するための方法であって、
(i)前記ラセミ体を(−)−ジ−p−トルオイル−L−酒石酸により処理して、下記の化合物:
3(S)−1−[4−(1−ヒドロキシシクロブチル)−フェニル]−3−[2−(4−メチルピペラジン−1−イル)−ベンジル]−ピロリジン−2−オン;
2(R)−4−(4−tert−ブチルフェニル)−2−[2−(4−メチルピペラジン−1−イル)−ベンジル]−モルホリン−3−オン;
3(S)−1−[6−(1−エチル−1−ヒドロキシプロピル)−ピリジン−3−イル]−3−[2−(4−メチルピペラジン−1−イル)−ベンジル]−ピロリジン−2−オン;
3(S)−3−[2−(4−メチルピペラジン−1−イル)−ベンジル]−ピロリジン−2−オン;および
3(S)−3−(2−(4−メチルピペラジン−1−イル)ベンジル)−1−(4−(2−メトキシプロパン−2−イル)フェニル)ピロリジン−2−オン
のいずれか1つまたは複数から選択される対応するエナンチオマーに関して濃縮される対応する(−)−ジ−p−トルオイル−L−酒石酸塩の沈殿物を形成させること;
および(ii)前記塩を塩基により処理すること
を含む方法に関連する。
【0013】
本発明の方法はまた、下記の化合物;
3(R)−1−[4−(1−ヒドロキシシクロブチル)−フェニル]−3−[2−(4−メチルピペラジン−1−イル)−ベンジル]−ピロリジン−2−オン;
3(S)−1−[4−(1−ヒドロキシシクロブチル)−フェニル]−3−[2−(4−メチルピペラジン−1−イル)−ベンジル]−ピロリジン−2−オン;
2(R)−4−(4−tert−ブチルフェニル)−2−[2−(4−メチルピペラジン−1−イル)−ベンジル]−モルホリン−3−オン;
2(S)−4−(4−tert−ブチルフェニル)−2−[2−(4−メチルピペラジン−1−イル)−ベンジル]−モルホリン−3−オン;
3(R)−1−[6−(1−エチル−1−ヒドロキシプロピル)−ピリジン−3−イル]−3−[2−(4−メチルピペラジン−1−イル)−ベンジル]−ピロリジン−2−オン;
3(S)−1−[6−(1−エチル−1−ヒドロキシプロピル)−ピリジン−3−イル]−3−[2−(4−メチルピペラジン−1−イル)−ベンジル]−ピロリジン−2−オン;
3(R)−3−[2−(4−メチルピペラジン−1−イル)−ベンジル]−ピロリジン−2−オン;
3(S)−3−[2−(4−メチルピペラジン−1−イル)−ベンジル]−ピロリジン−2−オン;
3(R)−3−(2−(4−メチルピペラジン−1−イル)ベンジル)−1−(4−(2−メトキシプロパン−2−イル)フェニル)ピロリジン−2−オン;および
3(S)−3−(2−(4−メチルピペラジン−1−イル)ベンジル)−1−(4−(2−メトキシプロパン−2−イル)フェニル)ピロリジン−2−オン
のいずれか1つまたは複数からなる群から選択されるエナンチオマー化合物を、(i)強塩基により処理して、ラセミ体を生じさせ、(ii)そのラセミ体を(+)−ジ−p−トルオイル−D−酒石酸または(−)−ジ−p−トルオイル−L−酒石酸により処理して、過剰な前記鏡像体または過剰な前記エナンチオマー化合物を含有する塩を形成させる方法に関連する。
【0014】
本発明の方法はまた、下記の式Iの化合物の(R)−エナンチオマーまたは(S)−エナンチオマーをラセミ化するための方法であって、反応不活性な溶媒における該エナンチオマーの溶液、または、そのエナンチオマー濃縮された混合物の溶液、または、その塩の溶液を強塩基により処理することを含む方法に関連する。この方法はさらに、メタノール、エタノール、2−プロパノール、tert−ブタノールまたはTHF、あるいはその混合物から選択される溶媒を使用することを含むことができ、かつ、強塩基が、カリウムtert−ブトキシド、ナトリウムtert−ブトキシド、ナトリウムメトキシドおよびナトリウムエトキシドからなる群から選択され、また、式Iの化合物のエナンチオマー、または、そのエナンチオマー濃縮された混合物、または、その塩が約2時間〜約24時間にわたって処理される。この方法において使用されるエナンチオマー、または、そのエナンチオマー混合物、または、その塩は、下記の化合物:
3(R)−1−[4−(1−ヒドロキシシクロブチル)−フェニル]−3−[2−(4−メチルピペラジン−1−イル)−ベンジル]−ピロリジン−2−オン;
3(S)−1−[4−(1−ヒドロキシシクロブチル)−フェニル]−3−[2−(4−メチルピペラジン−1−イル)−ベンジル]−ピロリジン−2−オン;
2(R)−4−(4−tert−ブチルフェニル)−2−[2−(4−メチルピペラジン−1−イル)−ベンジル]−モルホリン−3−オン;
2(S)−4−(4−tert−ブチルフェニル)−2−[2−(4−メチルピペラジン−1−イル)−ベンジル]−モルホリン−3−オン;
3(R)−1−[6−(1−エチル−1−ヒドロキシプロピル)−ピリジン−3−イル]−3−[2−(4−メチルピペラジン−1−イル)−ベンジル]−ピロリジン−2−オン;
3(S)−1−[6−(1−エチル−1−ヒドロキシプロピル)−ピリジン−3−イル]−3−[2−(4−メチルピペラジン−1−イル)−ベンジル]−ピロリジン−2−オン;
3(R)−3−[2−(4−メチルピペラジン−1−イル)−ベンジル]−ピロリジン−2−オン;
3(S)−3−[2−(4−メチルピペラジン−1−イル)−ベンジル]−ピロリジン−2−オン;
3(R)−3−(2−(4−メチルピペラジン−1−イル)ベンジル)−1−(4−(2−メトキシプロパン−2−イル)フェニル)ピロリジン−2−オン
および
3(S)−3−(2−(4−メチルピペラジン−1−イル)ベンジル)−1−(4−(2−メトキシプロパン−2−イル)フェニル)ピロリジン−2−オン
のいずれか1つまたは複数からなる群から選択される。
【0015】
本明細書中で使用される用語「エナンチオマー濃縮された混合物」または用語「エナンチオマー濃縮された」は、式Iの化合物の(R)−エナンチオマーまたは(S)−エナンチオマーのいずれかを過剰に有する、式Iの化合物の(R)−エナンチオマーおよび(S)−エナンチオマーまたはその塩の混合物を示す。
【0016】
本明細書中で使用される用語「エナンチオマー」は、(R)または(S)のいずれかの立体化学的配置を有する式Iの化合物の光学異性体を示す。
【0017】
本明細書中で使用される用語「鏡像体」または用語「光学的鏡像体」は、式Iの化合物の一方のエナンチオマーの立体化学的配置とは反対の立体化学的配置を有する式Iの化合物の光学異性体を示す。従って、式Iの化合物のエナンチオマーが(R)の立体化学的配置を有するならば、その鏡像体は(S)の立体化学的配置を有し、また、式Iの化合物のエナンチオマーが(S)の立体化学的配置を有するならば、その鏡像体は(R)の立体化学的配置を有する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
本発明の詳細な説明
別途言及される場合を除き、下記の反応スキームおよび議論におけるX、R1、R2、n、G1、YおよびR3は、上記のように定義される。別途言及されない限り、全ての反応スキームに対する反応条件には、当分野で一般に使用される不活性な雰囲気(例えば、窒素またはアルゴンなど)が含まれる。
【0019】
スキーム1は、式Iの化合物のエナンチオマー濃縮された(+)−ジ−p−トルオイル−D−酒石酸塩または(−)−ジ−p−トルオイル−L−酒石酸塩およびその遊離塩基の調製を示す。
【0020】
スキーム1のステップ1において、式Iの化合物のエナンチオマー濃縮された(+)−ジ−p−トルオイル−D−酒石酸塩または(−)−ジ−p−トルオイル−L−酒石酸塩が、式Iの化合物のラセミ混合物から、前記ラセミ混合物を、メタノール、エタノール、2−プロパノール、アセトン、メチルエチルケトンおよびアセトニトリルから単一溶媒または混合物のいずれかとして選択される好適な溶媒において、水の存在下または非存在下のいずれかで、約20℃〜約80℃(好ましくは、約25℃〜約70℃)で約1時間〜約55時間、約0.5モル当量〜約2.0モル当量(好ましくは、ほぼ等モル量)の(+)−ジ−p−トルオイル−D−酒石酸または(−)−ジ−p−トルオイル−L−酒石酸のいずれかにより処理することによって調製される。(+)−ジ−p−トルオイル−D−酒石酸塩が形成されるとき、一方のエナンチオマーが溶液に留まり、その対となる一方のエナンチオマーの塩が沈殿する。(−)−ジ−p−トルオイル−L−酒石酸塩が形成されるとき、反対側のエナンチオマーが溶液に留まり、その対となる一方のエナンチオマーの塩が沈殿する。エナンチオマー濃縮された塩がほぼ室温で集められる。このステップにより達成されるエナンチオマー過剰は約65%から約100%に及ぶ。エナンチオマー過剰は、当分野で知られている様々な方法を使用して、例えば、Enantiomers,Racemates and Resolutions(J Jacques et al.,John Wiley&Sons,New York,1981)に開示される方法などを使用して評価することができる。所望のエナンチオマーの塩が溶液に留まる場合、その塩を溶媒のエバポレーションによって回収することができる。
【0021】
本発明の方法の好ましい実施形態において、式Iの化合物は、少なくとも約65%のエナンチオマー過剰を有する塩をもたらす(+)−ジ−p−トルオイル−D−酒石酸を使用して分割される。あるいは、所望されないエナンチオマーの一部を、少なくとも約65%のエナンチオマー過剰を有する塩をもたらす(−)−ジ−p−トルオイル−L−酒石酸を使用して結晶化することができる。母液(所望するエナンチオマーが濃縮されている)を、最終生成物において少なくとも約90%の光学純度を有する所望するエナンチオマーに変換することができる。
【0022】
スキーム1のステップ2において、R−エナンチオマーまたはS−エナンチオマーのいずれかに関して濃縮された式Iの化合物が、式Iの化合物のエナンチオマー濃縮された(+)−ジ−p−トルオイル−D−酒石酸塩または(−)−ジ−p−トルオイル−L−酒石酸塩から、ジクロロメタン、トルエン、ジイソプロピルエーテル、メチルtert−ブチルエーテルなどの溶媒(好ましくは、メチルtert−ブチルエーテル)中において水性無機塩基(例えば、NaOH、KOH、Na2CO3またはK2CO3など)により処理して、約8よりも大きいpHを生じさせ、そして、有機層を濃縮することによって調製される。
【化3】

【0023】
スキーム2は、式Iの化合物の一方のエナンチオマーからの、あるいは、式Iの化合物のR−エナンチオマーまたはS−エナンチオマーのいずれかを過剰に含有する混合物からの式Iの化合物のラセミ体の調製を示す。
【0024】
スキーム2のステップ1において、式Iのエナンチオマー化合物、あるいは、式Iの化合物のR−エナンチオマーまたはS−エナンチオマーのいずれかに関して濃縮されたエナンチオマー混合物が、遊離塩基またはその塩のいずれかの形態で、メタノール、エタノール、2−プロパノール、tert−ブタノールまたはTHF、あるいはその混合物などの溶媒に、およそ室温からおよそ還流温度までの温度(好ましくは、約65℃)で溶解され、カリウムtert−ブトキシドもしくはナトリウムtert−ブトキシド、ナトリウムメトキシドまたはナトリウムエトキシドなどの塩基(好ましくは、カリウムtert−ブトキシド)により処理され、約2時間〜約24時間(好ましくは、約15時間)にわたって撹拌されて、式Iのラセミ化合物を得る。スキーム2の方法は、それほど好ましくないエナンチオマーをより好ましいエナンチオマーに変換することにおいて有用である。その後、スキーム1の方法が、より好ましいエナンチオマーをスキーム2の方法によって生じたラセミ混合物から分離するために使用される。
【化4】

【実施例】
【0025】
実施例1
3(R)−1−[4−(1−ヒドロキシシクロブチル)−フェニル]−3−[2−(4−メチルピペラジン−1−イル)−ベンジル]−ピロリジン−2−オン(+)−ジ−p−トルオイル−D−酒石酸
(+)−ジ−p−トルオイル−D−酒石酸(78.4mg、0.203mmol)を2−プロパノールおよびアセトンの50/50混合物(2.1ml)における1−[4−(1−ヒドロキシシクロブチル)−フェニル]−3−[2−(4−メチルピペラジン−1−イル)−ベンジル]−ピロリジン−2−オン(85.2mg、0.203mmol)に加えた。溶液を室温で2日間撹拌した。白色の固体をろ過して、実施例1を得た(42.7mg、HPLCにより98:2の比率、理論の52%)。
【化5】

【0026】
実施例2
2(S)−4−(4−tert−ブチルフェニル)−2−[2−(4−メチルピペラジン−1−イル)−ベンジル]−モルホリン−3−オン(+)−ジ−p−トルオイル−D−酒石酸
(+)−ジ−p−トルオイル−D−酒石酸(92.0mg、0.237mmol)をメタノール(1.5ml)における4−(4−tert−ブチルフェニル)−2−[2−(4−メチルピペラジン−1−イル)−ベンジル]−モルホリン−3−オン(100mg、0.237mmol)に加えた。溶液を室温で1日間撹拌した。白色の固体をろ過して、実施例2を得た(58.9mg、HPLCにより95:5の比率、理論の63%)。
【化6】

【0027】
実施例3
3(R)−1−[6−(1−エチル−1−ヒドロキシプロピル)−ピリジン−3−イル]−3−[2−(4−メチルピペラジン−1−イル)−ベンジル]−ピロリジン−2−オン(+)−ジ−p−トルオイル−D−酒石酸
50℃に加熱されたアセトニトリル(2000mL)に、1−[6−(1−エチル−1−ヒドロキシプロピル)−ピリジン−3−イル]−3−[2−(4−メチルピペラジン−1−イル)−ベンジル]−ピロリジン−2−オン(34.74g、75.57mmol)を加えた。(+)−ジ−p−トルオイル−D−酒石酸(30.74g、75.57mmol)を固体として数回に分けて加えた。混合物を58℃で5時間撹拌し、次いで、室温で2日間撹拌した。白色の固体をろ過して、実施例3を得た(31.74mg、HPLCにより94:6の比率、理論の96%)。
【化7】

【0028】
実施例4
3(R)−3−[2−(4−メチルピペラジン−1−イル)−ベンジル]−ピロリジン−2−オン(+)−ジ−p−トルオイル−D−酒石酸
アセトニトリルにおける3−[2−(4−メチルピペラジン−1−イル)−ベンジル]−ピロリジン−2−オン(21.12g、77.26mmol)に、70℃で、(+)−ジ−p−トルオイル−D−酒石酸(29.86g、77.26mmol)を少量ずつ加えた。反応混合物を室温に一晩冷却した。白色の固体をろ過し、冷アセトニトリルにより洗浄し、乾燥して、実施例4を得た(19.85g、HPLCにより93:7の比率、理論の78%)。
【化8】

【0029】
実施例5
塩の遊離塩基化
上記塩のそれぞれ(約40mg〜100mg)を有機溶媒(メチルtert−ブチルエーテル、トルエンまたはジクロロメタン)(5mL)に個々に溶解し、溶液を塩基(1Nの水酸化ナトリウム水溶液または重炭酸ナトリウム水溶液、5mLで2回)およびブライン(5mL)により洗浄した。有機層をNa2SO4で乾燥し、ろ過し、濃縮して、対応する遊離塩基を得た。
【0030】
実施例6
(S)−1−[6−(1−エチル−1−ヒドロキシプロピル)−ピリジン−3−イル]−3−[2−(4−メチルピペラジン−1−イル)−ベンジル]−ピロリジン−2−オンのラセミ化
THF(3mL)における(S)−1−[6−(1−エチル−1−ヒドロキシプロピル)−ピリジン−3−イル]−3−[2−(4−メチルピペラジン−1−イル)−ベンジル]−ピロリジン−2−オン(100mg、0.229mmol)の非ラセミ混合物に、カリウムtert−ブトキシド(25.7mg、0.229mmol)を加えた。溶液を室温で一晩撹拌した。混合物を濃縮し、酢酸イソプロピルおよびヘキサン(hexanes)の混合物を加えた。固体が沈殿し、固体をろ過して、ラセミ状の1−[6−(1−エチル−1−ヒドロキシプロピル)−ピリジン−3−イル]−3−[2−(4−メチルピペラジン−1−イル)−ベンジル]−ピロリジン−2−オンを得た(86mg、86%の収率)。この生成物は実施例3の出発物質と同一であった。
【0031】
実施例7
3(R)−3−(2−(4−メチルピペラジン−1−イル)ベンジル)−1−(4−(2−メトキシプロパン−2−イル)フェニル)ピロリジン−2−オン(+)−ジ−p−トルオイル−D−酒石酸
(+)−ジ−p−トルオイル−D−酒石酸(43.5mg、0.114mmol)をアセトニトリル(0.95ml)における3−(2−(4−メチルピペラジン−1−イル)ベンジル)−1−(4−(2−メトキシプロパン−2−イル)フェニル)ピロリジン−2−オン(94.8mg、0.225mmol)に加えた。混合物を室温で2日間撹拌した。沈殿物をろ過し、冷アセトニトリルにより洗浄して、実施例7を得た(16.6mg、HPLCにより98.7:1.3の比率、理論の18%)。
【化9】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記の式Iの化合物:
【化1】

(式中、XはOまたはCH2であり、nは1または2であり、R1は(C1〜C6)アルキル−であり、R2は水素または下記の式G1の基:
【化2】

(式中、YはCHまたはNであり、R3は、(C1〜C6)アルキル−、(C1〜C6)ヒドロキシアルキル−または(C4〜C8)ヒドロキシシクロアルキル−である)
である)
のラセミ混合物を光学分割するための方法であって、
(i)反応不活性な溶媒におけるラセミ混合物の溶液を(+)−ジ−p−トルオイル−D−酒石酸または(−)−ジ−p−トルオイル−L−酒石酸と混合して、化合物Iの一方のエナンチオマーが濃縮された(+)−ジ−p−トルオイル−D−酒石酸塩または(−)−ジ−p−トルオイル−L−酒石酸塩の沈殿物と、前記エナンチオマーの鏡像体が濃縮された(+)−ジ−p−トルオイル−D−酒石酸塩または(−)−ジ−p−トルオイル−L−酒石酸塩の溶液とを形成するステップ、および(ii)エナンチオマー濃縮された塩の沈殿物を鏡像体濃縮された塩の溶液から分離するステップを含む方法。
【請求項2】
式Iの化合物の一方のエナンチオマー、または、式Iの化合物のエナンチオマー濃縮された混合物が、式Iの化合物の前記エナンチオマー濃縮された(+)−ジ−p−トルオイル−D−酒石酸塩または(−)−ジ−p−トルオイル−L−酒石酸塩を溶媒中において水性塩基により処理して、約8よりも大きいpHを生じさせることによって調製されるさらなるステップを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記鏡像体濃縮された塩が、鏡像体濃縮された塩の溶液を濃縮することによって回収されるさらなるステップを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記鏡像体、または、前記鏡像体が濃縮された式Iの化合物のエナンチオマー混合物が、式Iの化合物の鏡像体濃縮された(+)−ジ−p−トルオイル−D−酒石酸塩または(−)−ジ−p−トルオイル−L−酒石酸塩を溶媒中において水性塩基により処理して、約8よりも大きいpHを生じさせることによって調製されるさらなるステップを含む、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
式Iの化合物のラセミ混合物が、
(R),(S)−1−[4−(1−ヒドロキシシクロブチル)−フェニル]−3−[2−(4−メチルピペラジン−1−イル)−ベンジル]−ピロリジン−2−オン;
(R),(S)−4−(4−tert−ブチルフェニル)−2−[2−(4−メチルピペラジン−1−イル)−ベンジル]−モルホリン−3−オン;
(R),(S)−1−[6−(1−エチル−1−ヒドロキシプロピル)−ピリジン−3−イル]−3−[2−(4−メチルピペラジン−1−イル)−ベンジル]−ピロリジン−2−オン;
(R),(S)−3−[2−(4−メチルピペラジン−1−イル)−ベンジル]−ピロリジン−2−オン;および
(R),(S)−3−(2−(4−メチルピペラジン−1−イル)ベンジル)−1−(4−(2−メトキシプロパン−2−イル)フェニル)ピロリジン−2−オン
から選択され、
溶媒が、水の存在下または不存在下でのメタノール、エタノール、2−プロパノール、アセトン、メチルエチルケトン、アセトニトリル、および、その混合物からなる群から選択され、かつ
(+)−ジ−p−トルオイル−D−酒石酸塩の沈殿物が、
3(R)−1−[4−(1−ヒドロキシシクロブチル)−フェニル]−3−[2−(4−メチルピペラジン−1−イル)−ベンジル]−ピロリジン−2−オン;
2(S)−4−(4−tert−ブチルフェニル)−2−[2−(4−メチルピペラジン−1−イル)−ベンジル]−モルホリン−3−オン;
3(R)−1−[6−(1−エチル−1−ヒドロキシプロピル)−ピリジン−3−イル]−3−[2−(4−メチルピペラジン−1−イル)−ベンジル]−ピロリジン−2−オン;
3(R)−3−[2−(4−メチルピペラジン−1−イル)−ベンジル]−ピロリジン−2−オン;および
3(R)−3−(2−(4−メチルピペラジン−1−イル)ベンジル)−1−(4−(2−メトキシプロパン−2−イル)フェニル)ピロリジン−2−オン
に関して濃縮され、または、
(−)−ジ−p−トルオイル−L−酒石酸塩の沈殿物が、
3(S)−1−[4−(1−ヒドロキシシクロブチル)−フェニル]−3−[2−(4−メチルピペラジン−1−イル)−ベンジル]−ピロリジン−2−オン;
2(R)−4−(4−tert−ブチルフェニル)−2−[2−(4−メチルピペラジン−1−イル)−ベンジル]−モルホリン−3−オン;
3(S)−1−[6−(1−エチル−1−ヒドロキシプロピル)−ピリジン−3−イル]−3−[2−(4−メチルピペラジン−1−イル)−ベンジル]−ピロリジン−2−オン;
3(S)−3−[2−(4−メチルピペラジン−1−イル)−ベンジル]−ピロリジン−2−オン;および
3(S)−3−(2−(4−メチルピペラジン−1−イル)ベンジル)−1−(4−(2−メトキシプロパン−2−イル)フェニル)ピロリジン−2−オン
に関して濃縮される、
請求項1のステップ(i)に記載の方法。
【請求項6】
沈殿物が(+)−ジ−p−トルオイル−D−酒石酸塩であり、かつ、鏡像体が(−)−ジ−p−トルオイル−L−酒石酸塩である、請求項1〜5のいずれか1項に記載の方法。
【請求項7】
ラセミ混合物が、
(R),(S)−1−[4−(1−ヒドロキシシクロブチル)−フェニル]−3−[2−(4−メチルピペラジン−1−イル)−ベンジル]−ピロリジン−2−オン;
(R),(S)−4−(4−tert−ブチルフェニル)−2−[2−(4−メチルピペラジン−1−イル)−ベンジル]−モルホリン−3−オン;
(R),(S)−1−[6−(1−エチル−1−ヒドロキシプロピル)−ピリジン−3−イル]−3−[2−(4−メチルピペラジン−1−イル)−ベンジル]−ピロリジン−2−オン;
(R),(S)−3−[2−(4−メチルピペラジン−1−イル)−ベンジル]−ピロリジン−2−オン;および
(R),(S)−3−(2−(4−メチルピペラジン−1−イル)ベンジル)−1−(4−(2−メトキシプロパン−2−イル)フェニル)ピロリジン−2−オン
から選択され、
鏡像体濃縮された(+)−ジ−p−トルオイル−D−酒石酸塩が、
3(R)−1−[4−(1−ヒドロキシシクロブチル)−フェニル]−3−[2−(4−メチルピペラジン−1−イル)−ベンジル]−ピロリジン−2−オン;
2(S)−4−(4−tert−ブチルフェニル)−2−[2−(4−メチルピペラジン−1−イル)−ベンジル]−モルホリン−3−オン;
3(R)−1−[6−(1−エチル−1−ヒドロキシプロピル)−ピリジン−3−イル]−3−[2−(4−メチルピペラジン−1−イル)−ベンジル]−ピロリジン−2−オン;
3(R)−3−[2−(4−メチルピペラジン−1−イル)−ベンジル]−ピロリジン−2−オン;および
3(R)−3−(2−(4−メチルピペラジン−1−イル)ベンジル)−1−(4−(2−メトキシプロパン−2−イル)フェニル)ピロリジン−2−オン
に関して濃縮され、または、
鏡像体濃縮された(−)−ジ−p−トルオイル−L−酒石酸塩が、
3(S)−1−[4−(1−ヒドロキシシクロブチル)−フェニル]−3−[2−(4−メチルピペラジン−1−イル)−ベンジル]−ピロリジン−2−オン;
2(R)−4−(4−tert−ブチルフェニル)−2−[2−(4−メチルピペラジン−1−イル)−ベンジル]−モルホリン−3−オン;
3(S)−1−[6−(1−エチル−1−ヒドロキシプロピル)−ピリジン−3−イル]−3−[2−(4−メチルピペラジン−1−イル)−ベンジル]−ピロリジン−2−オン;
3(S)−3−[2−(4−メチルピペラジン−1−イル)−ベンジル]−ピロリジン−2−オン;および
3(S)−3−(2−(4−メチルピペラジン−1−イル)ベンジル)−1−(4−(2−メトキシプロパン−2−イル)フェニル)ピロリジン−2−オン
に関して濃縮される、
請求項3に記載の方法。
【請求項8】
エナンチオマー濃縮された(+)−ジ−p−トルオイル−D−酒石酸塩が、
3(R)−1−[4−(1−ヒドロキシシクロブチル)−フェニル]−3−[2−(4−メチルピペラジン−1−イル)−ベンジル]−ピロリジン−2−オン;
2(S)−4−(4−tert−ブチルフェニル)−2−[2−(4−メチルピペラジン−1−イル)−ベンジル]−モルホリン−3−オン;
3(R)−1−[6−(1−エチル−1−ヒドロキシプロピル)−ピリジン−3−イル]−3−[2−(4−メチルピペラジン−1−イル)−ベンジル]−ピロリジン−2−オン;
3(R)−3−[2−(4−メチルピペラジン−1−イル)−ベンジル]−ピロリジン−2−オン;および
3(R)−3−(2−(4−メチルピペラジン−1−イル)ベンジル)−1−(4−(2−メトキシプロパン−2−イル)フェニル)ピロリジン−2−オン
に関して濃縮され、または、
エナンチオマー濃縮された(−)−ジ−p−トルオイル−L−酒石酸塩が、
3(S)−1−[4−(1−ヒドロキシシクロブチル)−フェニル]−3−[2−(4−メチルピペラジン−1−イル)−ベンジル]−ピロリジン−2−オン;
2(R)−4−(4−tert−ブチルフェニル)−2−[2−(4−メチルピペラジン−1−イル)−ベンジル]−モルホリン−3−オン;
3(S)−1−[6−(1−エチル−1−ヒドロキシプロピル)−ピリジン−3−イル]−3−[2−(4−メチルピペラジン−1−イル)−ベンジル]−ピロリジン−2−オン;
3(S)−3−[2−(4−メチルピペラジン−1−イル)−ベンジル]−ピロリジン−2−オン;および
3(S)−3−(2−(4−メチルピペラジン−1−イル)ベンジル)−1−(4−(2−メトキシプロパン−2−イル)フェニル)ピロリジン−2−オン
からなる群から選択されるエナンチオマーに関して濃縮され、
溶媒が、ジクロロメタン、トルエン、ジイソプロピルエーテルおよびメチルtert−ブチルエーテルからなる群から選択され、かつ、塩基が、NaOH、KOH、Na2CO3およびK2CO3からなる群から選択される水性無機塩基である、
請求項2に記載の方法。
【請求項9】
鏡像体濃縮された(+)−ジ−p−トルオイル−D−酒石酸塩が、
3(R)−1−[4−(1−ヒドロキシシクロブチル)−フェニル]−3−[2−(4−メチルピペラジン−1−イル)−ベンジル]−ピロリジン−2−オン;
2(S)−4−(4−tert−ブチルフェニル)−2−[2−(4−メチルピペラジン−1−イル)−ベンジル]−モルホリン−3−オン;
3(R)−1−[6−(1−エチル−1−ヒドロキシプロピル)−ピリジン−3−イル]−3−[2−(4−メチルピペラジン−1−イル)−ベンジル]−ピロリジン−2−オン;
3(R)−3−[2−(4−メチルピペラジン−1−イル)−ベンジル]−ピロリジン−2−オン;および
3(R)−3−(2−(4−メチルピペラジン−1−イル)ベンジル)−1−(4−(2−メトキシプロパン−2−イル)フェニル)ピロリジン−2−オン
に関して濃縮され、または、
鏡像体濃縮された(−)−ジ−p−トルオイル−L−酒石酸塩が、
3(S)−1−[4−(1−ヒドロキシシクロブチル)−フェニル]−3−[2−(4−メチルピペラジン−1−イル)−ベンジル]−ピロリジン−2−オン;
2(R)−4−(4−tert−ブチルフェニル)−2−[2−(4−メチルピペラジン−1−イル)−ベンジル]−モルホリン−3−オン;
3(S)−1−[6−(1−エチル−1−ヒドロキシプロピル)−ピリジン−3−イル]−3−[2−(4−メチルピペラジン−1−イル)−ベンジル]−ピロリジン−2−オン;
3(S)−3−[2−(4−メチルピペラジン−1−イル)−ベンジル]−ピロリジン−2−オン;および
3(S)−3−(2−(4−メチルピペラジン−1−イル)ベンジル)−1−(4−(2−メトキシプロパン−2−イル)フェニル)ピロリジン−2−オン
からなる群から選択される鏡像体に関して濃縮され、
溶媒が、ジクロロメタン、トルエン、ジイソプロピルエーテルおよびメチルtert−ブチルエーテルからなる群から選択され、かつ、塩基が、NaOH、KOH、Na2CO3およびK2CO3からなる群から選択される水性無機塩基である、
請求項4に記載の方法。
【請求項10】
ラセミ混合物が約1当量の(+)−ジ−p−トルオイル−D−酒石酸または約1当量の(−)−ジ−p−トルオイル−L−酒石酸により処理され、かつ、約2時間〜約48時間にわたって撹拌される、請求項6に記載の方法。
【請求項11】
下記の式Iの化合物:
【化3】

(式中、XはOまたはCH2であり、nは1または2であり、R1は(C1〜C6)アルキル−であり、R2は水素または下記の式G1の基:
【化4】

(式中、YはCHまたはNであり、R3は、(C1〜C6)アルキル−、(C1〜C6)ヒドロキシアルキル−または(C4〜C8)ヒドロキシシクロアルキル−である)
である)
の(R)−エナンチオマーまたは(S)−エナンチオマーあるいはその塩をラセミ化するための方法であって、反応不活性な溶媒における前記エナンチオマーの溶液、または、そのエナンチオマー濃縮された混合物の溶液、または、その塩の溶液を強塩基により処理することを含む方法。
【請求項12】
溶媒が、メタノール、エタノール、2−プロパノール、tert−ブタノールまたはTHF、あるいはその混合物から選択され、かつ、強塩基が、カリウムtert−ブトキシド、ナトリウムtert−ブトキシド、ナトリウムメトキシドおよびナトリウムエトキシドからなる群から選択され、また、式Iの化合物の前記エナンチオマー、または、そのエナンチオマー濃縮された混合物、または、その塩が約2時間〜約24時間にわたって処理される、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記エナンチオマーまたはそのエナンチオマー混合物またはその塩が、
3(R)−1−[4−(1−ヒドロキシシクロブチル)−フェニル]−3−[2−(4−メチルピペラジン−1−イル)−ベンジル]−ピロリジン−2−オン;
3(S)−1−[4−(1−ヒドロキシシクロブチル)−フェニル]−3−[2−(4−メチルピペラジン−1−イル)−ベンジル]−ピロリジン−2−オン;
2(R)−4−(4−tert−ブチルフェニル)−2−[2−(4−メチルピペラジン−1−イル)−ベンジル]−モルホリン−3−オン;
2(S)−4−(4−tert−ブチルフェニル)−2−[2−(4−メチルピペラジン−1−イル)−ベンジル]−モルホリン−3−オン;
3(R)−1−[6−(1−エチル−1−ヒドロキシプロピル)−ピリジン−3−イル]−3−[2−(4−メチルピペラジン−1−イル)−ベンジル]−ピロリジン−2−オン;
3(S)−1−[6−(1−エチル−1−ヒドロキシプロピル)−ピリジン−3−イル]−3−[2−(4−メチルピペラジン−1−イル)−ベンジル]−ピロリジン−2−オン;
3(R)−3−[2−(4−メチルピペラジン−1−イル)−ベンジル]−ピロリジン−2−オン;
3(S)−3−[2−(4−メチルピペラジン−1−イル)−ベンジル]−ピロリジン−2−オン;
3(R)−3−(2−(4−メチルピペラジン−1−イル)ベンジル)−1−(4−(2−メトキシプロパン−2−イル)フェニル)ピロリジン−2−オン;および
3(S)−3−(2−(4−メチルピペラジン−1−イル)ベンジル)−1−(4−(2−メトキシプロパン−2−イル)フェニル)ピロリジン−2−オン
からなる群から選択されるエナンチオマーに関して濃縮される、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記エナンチオマーが、
3(R)−1−[4−(1−ヒドロキシシクロブチル)−フェニル]−3−[2−(4−メチルピペラジン−1−イル)−ベンジル]−ピロリジン−2−オン;
2(S)−4−(4−tert−ブチルフェニル)−2−[2−(4−メチルピペラジン−1−イル)−ベンジル]−モルホリン−3−オン;
3(R)−1−[6−(1−エチル−1−ヒドロキシプロピル)−ピリジン−3−イル]−3−[2−(4−メチルピペラジン−1−イル)−ベンジル]−ピロリジン−2−オン;
3(R)−3−[2−(4−メチルピペラジン−1−イル)−ベンジル]−ピロリジン−2−オン;および
3(R)−3−(2−(4−メチルピペラジン−1−イル)ベンジル)−1−(4−(2−メトキシプロパン−2−イル)フェニル)ピロリジン−2−オン
からなる群から選択される、請求項11〜13のいずれか1項に記載の方法。

【公開番号】特開2007−31433(P2007−31433A)
【公開日】平成19年2月8日(2007.2.8)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2006−200748(P2006−200748)
【出願日】平成18年7月24日(2006.7.24)
【出願人】(397067152)ファイザー・プロダクツ・インク (504)
【Fターム(参考)】