説明

可動機械用のテザー追跡システムおよび同方法

可動機械(12)用のテザー追跡システム(28)が開示される。テザー追跡システムは、可動機械に配置されて、可動機械が作業現場を移動して回るときに、可動機械から固定供給源(14)まで延びるテザー(16)を選択的に取り出し、巻き取るスプール(26)を有することができる。テザー追跡システムはまた、スプールパラメータを示す第1の信号を生成する、スプールに付属する少なくとも1つのセンサ(32)と、可動機械の位置を示す第2の信号を生成する、可動機械に付属する位置特定システム(33)と、少なくとも1つのセンサおよび位置特定システムと通信するコントローラ(34)とを有することができる。コントローラは、第1および第2の信号に基づいて、テザー回避ゾーン(24)を定めるように構成することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、追跡システムおよび追跡方法に関し、より詳細には、可動機械のテザーを追跡するシステムおよび方法に関する。
【背景技術】
【0002】
大型の土木装置、例えば、掘削リグ、フロントショベル、および掘削機などは、装置に接続された大型高電圧ケーブルを介して固定供給源から電力を受け取るためにテザーでつながれることが多い。電気ケーブルは、装置の動作中に作業現場の地面全体にわたって、またはベンチフロア(bench floor)に沿って広がることがある。装置が新たな位置に移動すると、例えば、装置が新たな掘削現場に移動する、または掘削対象間を旋回すると、ケーブルは地面を引きずられ、地面に対するケーブルの位置が変わる。
【0003】
有人のもの、および自律的または半自律的なものなど他のテザーでつながれていない可動装置も、通常、作業現場でテザー付き機械と共に配置され、他の掘削および/または輸送作業を行いながら作業現場を移動して回る。これらの他の可動装置の動作中に、上述の電気ケーブルとの接触を回避して、電気ケーブルおよび装置の損傷を防止しなければならない。しかし、ケーブルは見づらいことがあり、その位置が常に同じままとは限らないため、電気ケーブルを避けて機動的に移動するのは困難なことがある。
【0004】
付属する電源ケーブルを保護しながら可動装置に連続的に電流を供給するシステムの1つが、1986年5月6日に登録された、Stoldtの(特許文献1)に記載されている。(特許文献1)は、機械の上部に回転可能に取り付けられたタレットに接続されたケーブルによって電力を供給される大型のフロントエンドローダについて開示している。タレットは十分な高さを有しているため、可撓性ケーブルがタレットに入ると、ケーブルは、機械の最も高い固定部分よりも上に持ち上げられる。このような方法で、ローダのバケットがその低い作業位置にある場合、機械は、ケーブルが持ち上げられた状態で全く自由に回転および移動し、ケーブルは、損傷を受けたり、または安全上の危険を生んだりする恐れのある採掘床から離れた状態に置かれる。
【0005】
(特許文献1)に記載されたシステムは、ケーブルにつながれた機械によって引き起こされるケーブルの損傷を軽減するのに寄与できるが、その利益は限定されることがある。すなわち、(特許文献1)のシステムは、ケーブルに損傷を与え得る他の機械が動作している可能性のある、テザー付き機械のすぐ近くから離れた場所ではケーブルを保護することがほとんどできない。さらに、タレットの高さを延長したことで、一部の用途では機械の使用が限定される、および/またはタレットが頭上の障害物と衝突することでもたらされる機械の損傷の可能性が高くなることがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】米国特許第4,587,383号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本開示のテザー追跡システムおよび同方法は、既存技術の改良を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本開示の一態様は、テザー追跡システムに関する。テザー追跡システムは、可動機械に配置されて、可動機械が作業現場を移動して回るときに、可動機械から固定供給源まで延びるテザーを選択的に取り出し、巻き取るスプールを含むことができる。テザー追跡システムはまた、スプールパラメータを示す第1の信号を生成する、スプールに付属する少なくとも1つのセンサと、可動機械の移動路パラメータを示す第2の信号を生成する、可動機械に付属する位置特定システムと、少なくとも1つのセンサおよび位置特定システムと通信するコントローラとを含むことができる。コントローラは、第1および第2の信号に基づいて、テザー回避ゾーンを定めるように構成することができる。
【0009】
本開示の別の態様は、さらなるテザー追跡システムに関する。このテザー追跡システムは、可動機械に配置されて、可動機械が作業現場を移動して回るときに、可動機械から固定供給源まで延びるテザーを選択的に取り出し、巻き取るスプールと、スプールに連結されて、テザーの取り出しおよび巻き取り時にスプールを駆動するモータとを含むことができる。テザー追跡システムはまた、テザーによってスプールに加えられた力を示す第1の信号を生成する、スプールに付属するセンサと、可動機械の移動路パラメータを示す第2の信号を生成する、可動機械に付属する位置特定システムと、センサおよび位置特定システムと通信するコントローラとを含むことができる。コントローラは、第1および第2の信号に基づいて、テザー回避ゾーンを定め、第1の信号に基づいてモータの動作を制御し、テザーの巻き取り時に、テザーゾーンを通る可動機械の移動を誘導するように構成することができる。
【0010】
本開示のさらに別の態様は、可動機械のテザーを追跡する方法に関する。その方法は、テザースプールに関連するパラメータを検出し、それに呼応して第1の信号を生成し、可動機械の移動路パラメータを求め、それに呼応して第2の信号を生成することを含むことができる。方法は、第1および第2の信号に基づいて、テザー回避ゾーンを定めることをさらに含む。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】テザー付き機械およびテザーのない機械の両方が存在する例示的に開示した作業現場の概略図である。
【図2】図1の作業現場で使用し得るテザー追跡システムの概略図である。
【図3】図2のテザー追跡システムによって行うことができる例示的に開示した方法を示す流れ図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
図1は、複数の機械が様々な作業を行うよう動作可能な、例えば、建設現場または採掘現場などの作業現場10を示している。これらの作業には、一例では、掘削、積み込み、運搬、地ならしなどの土木作業を挙げることができる。ただし、必要に応じて、作業現場10において土木工事に関連しない他の作業も機械で行うことができることに留意されたい。
【0013】
図1に示す例示的な作業現場10では、一部の機械はテザー付き機械として示され、他の機械は、テザーのないものとして示されている。特に、掘削リグ12として示された第1の機械が、テザー16によってベースステーション14に動作可能に接続されて示されている。運搬トラック18、ホイールローダ20、およびブルドーザ22としてそれぞれ示された第2の機械、第3の機械、および第4の機械は、テザーがないものとして示されている。任意のタイプの機械が作業現場10で使用可能であり、各機械は、テザーでつながれていてもよいし、またはつながれていなくてもよいと考えられる。ベースステーション14にテザーでつながれた機械のタイプは、本開示にとって重要ではない。
【0014】
作業現場10で動作する機械は、手動で、自律的に、または半自律的に操作され得る。すなわち、1つまたは複数の機械の動作は、環境からの入力および/または所定の命令を受けて、機械上のまたは機械から離れたコントローラによって完全に制御することができ、一方、作業現場10にある他の機械は、人間のオペレータによって完全に制御することができる。また、さらに別の機械は、コントローラによって制御されるいくつかの機能と、人間のオペレータによって制御される他の機能とを有することができる。これらの状況のいずれにおいても、各機械は、様々な機械の動作および制御に影響を及ぼし得る情報を送受信するために、相互に、ベースステーション14と、および/または作業現場10の他の構成要素と通信するように構成することができる。
【0015】
作業現場10にある各機械は、各機械およびベースステーション14に配置された通信装置21によって、互いに、および/またはベースステーション14に情報を送ることができる。通信装置21は、機械とベースステーション14との間でのデータ交換を容易にする任意の機械を含むことができる。例えば、通信装置21は、各機械およびベースステーション14が、直接データリンク(図示せず)または無線通信リンクを通じて、データメッセージを送受信するのを可能にするハードウェアおよび/またはソフトウェアを含むことができる。無線通信には、例えば、衛星式、セルラー式、赤外線式、ならびに機械およびベースステーション14が無線で情報を交換するのを可能にする他の任意のタイプの無線通信が含まれ得る。
【0016】
掘削リグ12に関して、テザー16は、掘削リグ12に割り当てられた作業の実行を容易にする要素を掘削リグ12に供給するように構成することができる。例えば、テザー16は、推進するためにおよび/または関連する作業用具25の駆動力として、掘削リグ12によって使用される高電圧の電流を送るように構成された電力供給ケーブルの形をとることができる。別の例では、それに代えて、またはそれに加えて、テザー16は、掘削作業、切断作業、分離作業、清掃作業、または当技術分野で公知の他の任意の作業を容易にする、例えば、空気、水、スラリーなどの気体または流体を供給するように構成することができる。さらに別の例では、それに代えて、テザー16には、必要に応じて、掘削リグ12を回収する、または掘削リグの移動範囲を限定するために使用される頑丈なウィンチケーブルまたはロープ、掘削リグ12と遠隔通信する、および/または掘削リグ12の動作を制御するために使用される通信線(例えば、固体通信線または光ファイバ)、あるいは当技術分野で公知の他の任意のタイプのテザーの形をとることができる。これらのシナリオのいずれにおいても、テザー16は、ベースステーション14から延びることができ、ベースステーション14は、電気、空気、水、スラリー、移動範囲制限体などを掘削リグ12(または、作業現場10にある他の任意のテザー付き機械)に供給する固定供給源として機能する。
【0017】
掘削リグ12の連続動作を確実にするのに寄与し、作業現場10にある装置の損傷を回避するために、掘削リグ12自体を含む作業現場10で動作する機械は、テザー16との不用意な接触を回避しなければならない。具体的には、作業現場10で動作する機械は、テザー16の上を走行すること、またはテザー16を作業用具、搭載機器と意図せずに接触させる、もしくはこの接触により、テザー16が裂け得る、および/またはテザー16と接触した構成要素が損傷し得るような他の任意の形で意図せずに接触させることを回避するように努めるべきである。
【0018】
残念ながら、作業現場10で動作する機械が大きいために、および/または作業現場10の地形および他の制御不能な因子のために、他の機械の自律コントローラまたは人間オペレータが1つの機械のテザー16を見つけるのが困難なことがある。このために、テザー16が存在する可能性のある、または最も可能性のある1つまたは複数の境界領域を形成する回避ゾーン24を確立することができる。回避ゾーン24は、テザー16の実際のまたは近接した位置を含むことができるし、あるいは作業現場10で動作する機械が回避すべき1つまたは複数の領域(余裕因子)をテザー16の両側に設けることができる。一部の機械は、テザー16にさらに大きな損傷をもたらすか、またはテザー16によって、より深刻に損傷を受ける可能性があるので、回避ゾーン24は、各個々のクラスまたはタイプの機械ごとに異なる大きさを有することができ、および/または回避ゾーン24に進入し、かつ/もしくはテザー16に直面する機械への対応を各機械ごとに変える得ることが企図される。テザー16の位置および/または回避ゾーン24に関する情報は、通信装置21を介して各機械に送ることができ、通常操作時にこの情報を使用して、自動で、および/または手動で機械を回避ゾーン24から離れさせることができる。
【0019】
一例では、ホイールローダ20が移動できる速度は比較的速いので、回避ゾーン24は、ブルドーザ22に対してよりもホイールローダ20に対して広くすることができる。別の例では、最大限に積み荷を積んだ場合の運搬トラック18の重い搭載重量と、その重量が原因でテザー16が損傷する、関連する可能性とのために、回避ゾーン24は、運搬トラック18に対してさらに広くすることができる。
【0020】
さらに別の例では、回避ゾーン24は、1つの機械に対して単一の境界位置セットだけを含み、他の機械に対しては、複数の境界位置セットを含むことができる。このシナリオでは、各境界位置セットは、機械によって各境界位置セットが突破された場合に開始される様々な対応に合わせることができる。例えば、ホイールローダ20が境界位置24Cに直面した場合に、回避ゾーン24から離れる方向にホイールローダ20を導く進路をたどるようにホイールローダ20に忠告および/または命令することができる。この同じ例において、ホイールローダ20が内側境界位置24Aに直面した場合、ホイールローダ20が回避ゾーン24の中にさらに進むのを阻止することができる(例えば、ホイールローダ20を停止させるか、または回避ゾーン24から外に出る逆向きの移動だけに制限する)。それに対して、運搬トラック18は、回避ゾーン24の単一の境界位置を突破したときに即座に停止させることができる。なお、境界セットの数量およびテザー16に関する境界位置の対称性は、本開示によって限定されない。さらに、回避ゾーン24への機械の接近、回避ゾーンの境界が越えられたこと、および/または機械が走行した回避ゾーン内の距離に反応して、様々な対応を取ることができると考えられる。
【0021】
図2に示すように、テザー16は、作業用具25と反対側の端部で掘削リグ12に接続することができる。一実施形態では、テザー16は、掘削リグの後端で掘削リグ12に回転可能に取り付けられたスプール26に接続することができる。スプール26は、掘削リグ12がベースステーション14から遠ざかる、またはベースステーション14に向かうときに、それぞれ、テザー16を出し、テザー16を巻き取るように構成することができる。必要に応じて、1つまたは複数の中心配置のガイド(図示せず)をスプール26に取り付けて、テザー16のスプール26への円滑な巻き付けの助けとすることができると考えられる。
【0022】
掘削リグ12は、スプール26の動作を制御し、1つまたは複数の入力に呼応してテザー16の位置を追跡するテザー追跡システム(「システム」)28を装備することができる。システム28は、とりわけ、スプール26を駆動するために連結されたモータ30と、スプール26の動作に関連する1つまたは複数のセンサ32と、位置特定システム33と、モータ30、1つまたは複数のセンサ32および位置特定システム33と通信するコントローラ34とを含むことができる。下記にさらに詳細に説明するように、コントローラ34は、前もってプログラムされた命令に従い、1つまたは複数のセンサ32および/あるいは位置特定システム33から受け取った信号に基づいて、テザー16を出し、かつ/あるいはテザー16を巻き取るようにモータ30の動作を制御することができる。
【0023】
モータ30は、コントローラ34からの入力に呼応して、スプール26を時計方向、または反時計方向に回転させるように動作可能な、当技術分野で公知の任意のタイプの電気モータまたは油圧モータとすることができる。必要に応じて、複数のモータ30を使用して、スプール26を協同で駆動することができると考えられる。モータ30は、スプール26に直結することができるし、またはギヤ装置(図示せず)、ラチェット機構(図示せず)、またはプーリシステム(図示せず)によって、あるいは他の任意の態様でスプール26に間接的に連結することもできる。モータ30は、回転方向、回転数、および/またはスプール26に加えられるトルク出力を選択的に変えるように制御することができる。
【0024】
1つまたは複数のセンサ32は、スプール26のパラメータを観測し、それに呼応して、パラメータを示す1つまたは複数の信号を生成するように位置することができる。例えば、1つのセンサ32には、回転方向、回転数、ならびに/あるいはモータ30および/またはテザー16によってスプール26に加えられたトルク出力を観測するように構成されたセンサ32Aが含まれ得る。それに代えて、またはそれに加えて、別のセンサ32には、モータ30および/またはテザー16によってスプール26に加えられた力を観測するように構成される、スプール26の取付ブラケットに連結されたロードセル32Bが含まれ得る(すなわち、センサ32Bは、スプール26および取付ブラケットを通じて掘削リグ12のフレームに伝達される、スプール26に作用するトルク、および/またはテザー16の張力を観測することができる)。1つまたは複数のセンサ32は、これらの観測されたパラメータを示す信号を生成し、その信号をコントローラ34に送ることができる。
【0025】
位置特定システム33には、掘削リグ12の移動路パラメータを求めるために、1つまたは複数の衛星、またはローカル無線もしくはレーザ伝送システムと通信するように構成された電子受信器が含まれ得る。本明細書において、移動路パラメータには、相対位置、進行方向、移動速度、および/または掘削リグ12の旋回が含まれ得る。これらの実施形態では、位置特定システム33は、相対3D位置を三角測量するために、高周波、低電力の無線またはレーザ信号を複数の位置から受信して解析することができる。あるいは、位置特定システム33には、掘削リグ12に関連する位置情報を受信または測定するように動作可能な慣性基準装置(IRU)が含まれ得る。さらに別の実施形態では、移動速度センサ、ステアリングセンサ、オドメータなどの1つまたは複数の既存の車載センサ群が、全体として位置特定システム33を具現化し、必要に応じてこれらのセンサ群を使用して、掘削リグ12の移動路パラメータに関する情報を生成することができる。次いで、1つまたは複数の移動路パラメータを示す信号を位置特定システム33からコントローラ34に送ることができるし、あるいは位置特定システム33がコントローラ34の一部であってもよい。
【0026】
コントローラ34は、モータ30の動作を制御するために、およびテザー16の近辺もしくは実際の位置を求め、この情報を受けて回避ゾーン24の境界領域(1つまたは複数)を計算するために、1つまたは複数のセンサ32からのスプールパラメータ、および位置特定システム33からの掘削リグ12の移動路パラメータの監視、記録、保存、索引付け、処理、および/または伝達を行うことができる任意の装置を含むことができる。これらの装置には、例えば、メモリ、1つまたは複数のデータ記憶装置、中央処理ユニット、または開示したアプリケーションを実行するために使用できる他の任意の構成要素が含まれ得る。さらに、本開示の態様は、通常メモリ内に保存されるとして説明できるが、当業者ならば、これらの態様が、様々なタイプのコンピュータプログラム製品、あるいはコンピュータチップおよびハードディスク、フロッピディスク、光媒体、CD−ROM、またはRAMもしくはROMの他の形態を含む補助記憶装置などのコンピュータ可読媒体に保存され得るか、またはこれらから読み込まれ得ると分かるであろう。
【0027】
コントローラ34は、取り出しおよび巻き取り動作中に、取り出し長さ(すなわち、掘削リグ12がベースステーション14から離れる方向に移動中に出されるテザーの長さ)、取り出し速度(すなわち、スプール26上のテザー16の直径にスプール26の回転数を乗じたもの)、取り出し力(すなわち、モータ30のトルク出力)、テザー張力(すなわち、重力および掘削リグ12の移動によりテザー16に作用する引張り力または圧縮力)、およびテザー位置などのスプール26および/またはテザー16の制御パラメータに合わせて、モータ30の動作を制御するように構成することができる。特に、出されたテザー16の位置が、掘削リグ12の動作中に実質的に変わらないままであり、それにより、関連する回避ゾーン24も変わらないままであり、作業現場10の他の機械および/またはオペレータによって予測可能であるのが望ましい。このために、取り出しおよび巻き取り動作中に、および/または掘削リグ12の移動もしくは旋回中にテザー16を地面に対して大きく移動させるのは望ましくない(すなわち、地面全体にわたってテザー16を引張る、または押すのは望ましくない)。テザー16は、掘削リグ12の移動または旋回速度と実質的に合致しない速度で出される場合に、地面に対して移動することがある。例えば、掘削リグ12が第1の速度で移動または旋回しているが、テザー16がその速度よりも遅い速度で出されている場合、テザー16の、作業現場10の地面の上にある部分は、速度差により掘削リグ12よりも遅れ、大きな引張り力をスプール26に作用させることがある。同様に、テザー16が、掘削リグ12の移動または旋回速度よりも速い速度で出されている場合、速度差があるために、スプール26の回転により、実際上テザー16が地面に沿って掘削リグ12から離れる方向に押され、大きな圧縮力がスプール26にかかることがある。同様な状態がテザー16の巻き取り中に存在し得る。
【0028】
一方、掘削リグ12の移動または旋回速度とほぼ同じ速度でテザー16を出すか、または巻き取ることができる場合、テザー16は、実質的にテザー16と地面との間の相対移動なしに、かつテザー16によって大きな力がスプール26にかけられることなしに、テザー16を地面に降ろし、地面から回収することができる。このために、コントローラ34はモータ30と通信して、テザー16の取り出しおよび巻き取り中に、速度差およびその結果としてスプール26に作用する力を低減するように、1つまたは複数のセンサ32および/または位置特定システム33からの入力に基づいて、スプール回転方向、速度、および/またはモータ30によってスプール26にかけられるトルクを変えることができる。例えば、コントローラ34は、位置特定システム33によって測定された掘削リグ12の移動および旋回速度と実質的に合致する速度でテザー16を出し、および/または巻き取るようにモータ30を制御することができる。別の例では、コントローラ34は、1つまたは複数のセンサ32によって供給された力測定値に基づいて、テザー16を出し、および/または巻き取るようにモータ30を制御することができ、それにより、スプールの速度(取り出しおよび/または巻き取り速度)が、掘削リグ12の移動速度および旋回と合致するように間接的に制御される。さらに別の例では、必要に応じて、移動速度入力および力入力の組み合わせに基づいて、モータ30を制御することができる。スプール26に作用する正味の力(テザー16およびモータ30によってスプール26にかけられる力の合計)、および取り出し速度と移動速度との差は最小限にされるべきである。
【0029】
コントローラ34は、掘削リグ12に関する公知の運動力学と、1つまたは複数のセンサ32および位置特定システム33からの信号とに基づいて、テザー16の位置を求めるようにさらに構成することができる。具体的には、位置特定システム33から供給される1つまたは複数の移動路パラメータと、掘削リグ12上のスプール26の固定位置および/または寸法とに基づいて、コントローラ34は、作業現場12の中のスプール26の軌跡(すなわち、移動の履歴)を求めるように構成することができる。また、この移動中に、テザー16と地面との間の相対移動がほとんどないか、または全くない状態で、テザー16が、掘削リグの後部にあるスプール26に近い既知の位置からスプール26によって地面に降ろされ、回収されるという仮定に基づき(および/または、直接的に、テザー16と地面との間の相対移動を示す、1つまたは複数のセンサ32によってスプール26において測定された力に基づき)、1つまたは複数の内部のおよび/または前もってプログラムされたアルゴリズムに従って、コントローラ34によりテザー16の近似位置を正確に計算することができる。
【0030】
しかし、場合によっては、テザー16が地面に対して全く移動することなしに、テザー16を降ろし、引き上げるのが困難なことがある。このために、一部の例において、システム28には、テザー16の近似位置を選択的におよび/または定期的に特定および/または確認するために使用される1つまたは複数のさらなるセンサ36を設けることができる。センサ36は、命令を受けて、または一定の作動時間が経過した後、例えば、30秒ごと、2分ごと、または他の計測された時間ごとに、テザー16の実際の位置を連続的に検出するように構成することができる。地面に対してテザーが移動する可能性がしきい値よりも大きい場合に、あるいは、回避ゾーン24が作業現場10にある別の機械によって突破されたのに対応して、コントローラ34は、テザー16の実際の位置を測量するようにセンサ36に要求することができる。例えば、掘削リグ12が、移動方向または速度の突然のまたは極端な変化、センサの動作不良、通信不良、あるいは他の同様の状態に遭遇した場合、テザー16が地面に対して移動した可能性がある。この場合、コントローラ34は、テザー16の実際の位置をテザー16の近似位置と比較し、それに応じて、近似位置を校正することができる。コントローラ34は、必要ならば、その上にまたは代替方法として、テザー16の手動測量を要求できると考えられる。
【0031】
センサ36は、掘削リグ12の移動中に、例えば、掘削リグ12から後方を向いた位置で、テザー16の移動を観測するのに十分な視野を有するように掘削リグ12上に配置することができる。センサ36には、例えば、レーダセンサ、走査型レーザセンサ、超音波センサ、赤外線センサ、または測距カメラなどの光センサが含まれ得る。さらに、センサ36は、テザー16の実際の位置を検出するその能力を高めるために、必要に応じて、上記の技術の任意の組み合わせを使用することができる。
【0032】
掘削リグ12の動作中に、テザー16は、掘削リグ12の後ろの大まかに画定された領域内で位置を変えることがある。このために、センサ36は、掘削リグ12の動作中、特に、掘削リグ12の移動または旋回中に、掘削リグ12の後ろの領域を周期的に走査し、テザーの実際の位置を特定することができる。テザー16の近似位置に余裕因子を適用することで、実際の位置に対処することができる。余裕因子を含むテザー回避ゾーン24が、第1の境界位置24A、第2の境界位置24B、および第3の境界位置24Cとともに図1に示されている。コントローラ34は、実際のテザー位置に基づいて位置データセットを生成するように構成され、このデータセットを使用して、前もってプログラムされたアルゴリズムおよび命令セットに従い上記の回避ゾーン24を計算および/または確認する。言い換えると、コントローラ34は、テザー16の近似位置に基づいて、かつ近似位置の、テザー16の実際の位置からのある程度の偏位に対処する余裕因子に基づいて、回避ゾーン24を定めることができる。余裕因子は、所定の初期値としてよいし、センサ36による観測から導出されてよいし、または別の情報源から受け取られるか、もしくは別の情報源で計算されてもよい。
【0033】
コントローラ34は、計算精度に影響を及ぼす因子に基づき、テザー16の長さに沿って回避ゾーン24の大きさをさらに調整することができる。例えば、テザー16の望ましくない移動に対応するしきい値を超えるスプールトルクまたはテザー張力を示す、測定されたパラメータに基づいて回避ゾーン24が計算された場合、動作不良センサ32A、動作不良センサ32B、動作不良位置特定システム33、および/または動作不良センサ36からの情報に基づいて計算された場合、掘削リグ12の極端な速度および/または方向の変化中に計算された場合、ならびに/あるいは他の同様な状態に基づいて計算された場合に、得られたテザー位置近似値の精度は、所望するものよりも低い恐れがある。これらの場合に、コントローラ34は、回避ゾーン24の第1の境界24Aと第2の境界24Bとの間の幅寸法を増やすことができて(すなわち、コントローラ34は、回避ゾーン24を定めるのに近似テザー位置に適用される余裕因子を大きくすることができて)、テザー16が回避ゾーン24内に配置される可能性を高くすることができる。このシナリオは、回避ゾーン24の区間40として示された部分によって図1に例示することができる。
【0034】
それに対して、掘削リグ12が旋回することなく実質的に一定の進行方向に、および/または実質的に一定の速度で移動する場合、1つまたは複数のセンサ32によって測定されたパラメータが、低いスプールトルクおよび/またはテザー張力を示す場合、ならびに/あるいはシステム28のすべての検出装置が正しく機能している場合に、近似テザー位置を越える第1の境界位置24Aと第2の境界位置24Bとの間の幅寸法(すなわち、近似テザー位置に適用される余裕因子)を縮小するか、またはなくすことさえできて、それにより、回避ゾーンが占める領域が縮小される(すなわち、作業現場10の回避されなければならない領域が縮小される)。このシナリオは、回避ゾーン24の区間42として示された部分によって図1に例示することができる。この態様で、回避ゾーン24から離れるように操縦することで、テザー16との所望しない衝突を減らし、それと同時に、回避ゾーン24の領域を可能な限り小さく保つことができる。
【0035】
回避ゾーン24の計算時、精度悪化因子が検出された対応する位置の前で、テザー16の長さに沿った所定の距離で余裕因子を大きくすることができて、回避ゾーン24が既知の正確な位置で適切な量だけ広くなる。同様に、余裕因子は、精度悪化因子が検出された対応する位置の後ろで、テザー16の長さに沿った所定の距離で縮小することができて、回避ゾーン24が既知の正確な位置でその元の大きさまで元通り(または、掘削リグ12の現在の状態に基づいて別の大きさまで)狭くなる。この態様で、精度悪化因子が検出された対応する位置は、大きさが拡大した回避ゾーン24の区間によって安全に囲むことができる。精度悪化因子の検出された対応する位置の前および後ろで、それぞれ回避ゾーン24が広くなり、狭くなる所定の距離は、テザー16がどの機械に接続されているか、どの機械がテザーおよび/または回避ゾーンの位置情報を受け取るか、ならびに他の機械および/または現場に基づくパラメータに基づいて変わり得る。
【0036】
例えば、ベースステーションから50フィートの位置で、センサ32が突然誤動作を始め(または別の精度悪化因子が検出され)、誤動作し続け、一方、掘削リグ12が、ベースステーション14からもう10フィート遠ざかった場合、回避ゾーン24は、ベースステーション14から40フィート〜70フィートの位置で、より大きな幅寸法を有するように計算することができる。この態様で、テザー16がその全長に沿った回避ゾーン24内に存在する可能性を高くすることができる。なお、テザー回避ゾーンの大きさが拡大する開始点および終了点を精度悪化因子に基づいて定めるために任意の手法を利用することができる。階段状移行、直線的移行、非直線的移行などの、変化する大きさ間を移行させるための任意の手法を利用することができる。
【0037】
テザー16の近似位置(すなわち、保存された移動路パラメータ)および/または回避ゾーン24は、テザー16が巻き取られている間の逆向き移動中に、掘削リグ12によりガイドとしてさらに利用され得る。具体的には、その割り当てられた作業を完了後、コントローラ34が定めた回避ゾーン24を利用して、ベースステーション14に向かう方向の掘削リグ12の移動を制御することができる。例えば、複数の穴23(図1を参照のこと)を掘削後、掘削リグ12は、その後の爆破作業に備えてベースステーション14に戻るように命令されることがある。穴23の掘削中に、穴23から取り出された土石の山が穴23のそれぞれの周縁のまわりに残されることがある。そのままにして残された場合、穴23に到達するのにとられた元の前進路以外で掘削リグ12が逆向きに移動すると、テザー16が引きずられて土石の山を横切り、または土石の山に当たり、それにより、土石を穴23に押し戻すことがある。同時にテザー16を巻き取りながら、回避ゾーン24を通る逆向き進路でベースステーション14に戻るように掘削リグ12を制御することで、テザー16の土石との望ましくない接触を防止し、それにより穴23の完全性を維持するのに寄与することができる。コントローラ34は、自律制御または手動制御で回避ゾーン24内にある逆向き進路をたどるように掘削リグ12を誘導することができる。すなわち、コントローラ34は、回避ゾーン24の境界に従って掘削リグ12の移動を直接制御できるか、あるいは、元の移動路に沿って回避ゾーン24内を手動制御で移動するのを容易にする、目で見えるおよび/または音声による指令を人間のオペレータに送ることができる。一部の実施形態では、必要に応じて、穴23の位置、対応する土石、および/または作業現場10にある他の障害物を検出し、観測し、地図を作り、および/または掘削リグ12から作業現場10にある他の機械および/またはベースステーション14に送ることもできる。
【0038】
各テザー付き機械自体の車上に配置されたコントローラによって(例えば、掘削リグ12の車載コントローラ34によって)、作業現場10にある他の機械のコントローラによって、および/または、例えば、ベースステーション14に配置された中央コントローラ(図示せず)によって、回避ゾーン24を作成できることが企図される。特に、必要に応じて、掘削リグ12のコントローラ34が、テザー16の近似位置および/または実際の位置だけを他の機械に送ることが可能である。この場合に、作業現場10で動作する各他の機械のコントローラは、テザー16の位置と、移動速度、大きさ、重量、トラクションタイプ、損傷の危険性などの各機械に特有の因子とに基づき、テザー16に関する他の機械自体の回避ゾーンを独自に作成することができる。あるいは、中央コントローラは、作業現場10にある各テザー付き機械からテザー位置情報を受け取り、それに呼応して、すべての回避ゾーンを示す全体としての作業現場マップを作成することができる。この場合に、中央コントローラは、各機械の特有の特性に基づき、各機械に送られるマップ情報を個別に作成することができる。
【0039】
図3は、テザー追跡システム28によって行うことができる例示的な方法を示している。図3は、開示した制御システムおよびその動作をさらに例示する次の段落でさらに詳細に説明される。
【産業上の利用可能性】
【0040】
開示したテザー追跡システムには、テザー付き可動機械を使用する任意の作業現場において潜在的な用途がある。開示したシステムは、作業現場で動作するすべての機械が回避すべき、テザーに関する回避ゾーンを作成することで、機械によるテザーの損傷を軽減するのに寄与することができる。開示したシステムは、テザー付き機械自体のテザーに対して確立された回避ゾーンを通る進路に機械を向けることで、テザー付き機械を案内してベースステーションに戻す助けとなることもできる。システム28の動作が、図1および図3を参照して以下に説明される。
【0041】
作業現場10での初期動作時、テザー付き掘削リグ12は、爆破のための準備として穴23を掘削することができる対象爆破領域に向かう進行方向で、ベースステーション14を出発することができる。掘削リグ12がベースステーション14を去ると、掘削リグ12は、実質的に一定の方向で、かつ実質的に一定の速度で進むことができる。その間、コントローラ34は、テザー16によってスプール26に加えられるトルク、テザー16の張力、および/または掘削リグ12の移動路パラメータを観測し(ステップ100、110)、掘削リグ12の移動速度および旋回動作に実質的に合致する速度で、および/またはスプール26に作用する正味の力を低減するトルクでテザー16を出すように、それぞれモータ30およびスプール26を制御する(ステップ120)ことができる。すなわち、テザー取り出し速度を掘削リグ12の移動速度および旋回動作と実質的に合致するように直接制御することができ、それによりスプール26に作用する正味の力がほぼゼロに維持されるか、あるいは、スプール26に作用する正味の力をほぼゼロに維持することができ、それによりテザー取り出し速度が掘削リグ12の移動速度と実質的に合致する。
【0042】
区間42での掘削リグ12の動作中に、コントローラ34は、位置特定システム33から供給された移動路パラメータと、1つまたは複数のセンサ32から供給されたスプールパラメータ情報とに基づき、テザー16の位置を見積もることができる。また、テザー16の近似位置と上記の余裕因子に基づき、コントローラ34は、回避ゾーン24の大きさおよび位置を定めることができる(ステップ130)。区間42で、移動速度がテザー取り出し速度と実質的に合致し、スプール26に作用する正味の力が比較的小さい場合、地面とテザー16との間の相対移動がほとんどないかまたは全くない状態でテザー16が作業現場10の地面に降ろされたと判断することができる(ステップ140、「いいえ」に進む)。したがって、テザー16の近似位置に適用される余裕因子を比較的小さくすることができ、テザー回避ゾーン24のその区間(区間42)は比較的狭くなる。
【0043】
一方、区間42で、移動速度がテザー取り出し速度と実質的に合致せず、スプール26に作用する正味の力が比較的大きい場合、テザーが降ろされたときに、テザー16が地面に対して移動したと判断することができる(ステップ140、「はい」に進む)。この地点および/または他の時点で、コントローラ34は、テザー16の近似位置と比較するために、センサ36による実際のテザー位置の測量を要求することができる(ステップ150)。比較に基づき、コントローラ34は、求めたテザー位置、ならびに/またはテザー回避ゾーン24の大きさおよび位置を調整することができる(ステップ130)。
【0044】
掘削リグ12が、対象とされる掘削現場に向かって移動を続けると、掘削リグ12は区間40を通り、方向の変化、速度の変化、地形の変化、センサまたはシステムの動作不良、および/あるいはテザー位置計算の精度に影響を及ぼす他の状態に遭遇することがある。これらの状態が検出された場合(ステップ160、「はい」に進む)、コントローラ34は、テザー16が回避ゾーン24内に支障なく配置される可能性を高めるために、第1の境界位置24Aと第2の境界位置24Bとの間の距離を調整することができる(すなわち、回避ゾーン24を定めるために、より大きな余裕因子を適用することができる)(ステップ170)。そのようなより大きな余裕因子の適用は、近似テザー位置の片側または両側に対してなされ得る。
【0045】
テザー16の近似位置、ならびに/または回避ゾーン24の定めた第1の境界位置24Aおよび第2の境界位置24Bに関する情報は、作業現場10で動作する他の機械、および/またはベースステーション14に送ることができる(ステップ180)。また、この情報に基づいて、テザー16を回避するように、作業現場10で動作する機械を誘導することができる。
【0046】
掘削リグ12が対象とされた掘削現場に到達し、穴23を形成した後、爆破の前にベースステーション14の方に戻るように掘削リグ12に要求することができる。この時点で、テザー16を巻き取りながら、回避ゾーン24を通るその元の移動路をたどってベースステーション14まで戻るように、掘削リグ12を自律的にまたは手動で誘導することができる。テザー16を巻き取りながら、その元の移動路を引き返すことで、テザー16が土石を穴23に押し込む可能性を低くすることができる。
【0047】
本開示の範囲から逸脱することなく、本開示のテザー追跡システムおよび同方法に対して、様々な修正および変形を行うことができることが、当業者には明らかであろう。例えば、テザー回避ゾーン24は、近似テザー位置によって定まると説明したが、当然ながら、テザー回避ゾーン24は、所望であれば、近似テザー位置を最初に求めることなく、検出したパラメータに基づいて直接求めることができる。本明細書に開示した実施形態の仕様および実施を考慮することで、他の実施形態が当業者に明らかになるであろう。仕様および例は単なる例示とみなすものとし、開示の真の範囲は、添付の特許請求の範囲によって示される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
可動機械(12)に配置されて、前記可動機械が作業現場(10)を移動して回るときに、前記可動機械から固定供給源(14)まで延びるテザー(16)を選択的に取り出し、巻き取るスプール(26)と、
スプールパラメータを示す第1の信号を生成する、前記スプールに付属する少なくとも1つのセンサ(32)と、
前記可動機械の移動路パラメータを示す第2の信号を生成する、前記可動機械に付属する位置特定システム(33)と、
前記少なくとも1つのセンサおよび前記位置特定システムと通信し、前記第1および第2の信号に基づいて、テザー回避ゾーン(24)を定めるように構成されたコントローラ(34)と、
を含むテザー追跡システム(28)。
【請求項2】
前記テザー回避ゾーンは、前記第1および第2の信号に基づいて求めた前記テザーの近似位置を基本とし、
前記コントローラは、前記近似テザー位置および前記回避ゾーンの少なくとも1つに関する情報を前記作業現場に共に配置される他の可動機械(18、20)に送るようにさらに構成される、請求項1に記載のテザー追跡システム。
【請求項3】
地面上の前記テザーの実際の位置を検出するように構成されたさらなるセンサ(36)をさらに含み、前記コントローラは、前記さらなるセンサと通信し、前記テザーの近似位置を、前記検出した位置と選択的に比較し、前記比較に基づき前記近似位置を校正するように構成される、請求項1に記載のテザー追跡システム。
【請求項4】
前記コントローラは、
前記第1の信号に基づいて、前記テザーの前記地面上にある部分が前記地面に対して移動した可能性があると判断し、
それに呼応して、前記実際のテザー位置の測量を要求する、
ようにさらに構成される、請求項1に記載のテザー追跡システム。
【請求項5】
前記コントローラは、
前記少なくとも1つのセンサまたは前記位置特定システムの動作不良を検出し、
前記検出に基づいて、前記回避ゾーンの大きさを拡大する、
ようにさらに構成される、請求項1に記載のテザー追跡システム。
【請求項6】
前記コントローラは、前記テザーの巻き取り時に、前記回避ゾーンを通る前記可動機械の移動を誘導するようにさらに構成される、請求項1に記載のテザー追跡システム。
【請求項7】
可動機械(12)のテザー(16)を追跡する方法であって、
テザースプール(26)に関連するパラメータを検出し、それに呼応して第1の信号を生成する工程と、
前記可動機械の移動路パラメータを求め、それに呼応して第2の信号を生成する工程と、
前記第1および第2の信号に基づいて、テザー回避ゾーン(24)を定める工程と、
を含む方法。
【請求項8】
前記第1および第2の信号に基づいて、近似テザー位置を求めることと、
前記近似テザー位置および前記テザー回避ゾーンの少なくとも1つに関する情報を共用作業現場(10)にある他の可動機械(18、20)に送ることと、
をさらに含む、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
システムの動作不良を検出する工程と、
前記検出に基づいて、前記テザー回避ゾーンの大きさを拡大する工程と、
をさらに含む、請求項7に記載の方法。
【請求項10】
前記テザーの巻き取り時に、前記テザー回避ゾーンを通る前記可動機械の移動を誘導することをさらに含む、請求項7に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公表番号】特表2013−508586(P2013−508586A)
【公表日】平成25年3月7日(2013.3.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−535226(P2012−535226)
【出願日】平成22年10月7日(2010.10.7)
【国際出願番号】PCT/US2010/051722
【国際公開番号】WO2011/049747
【国際公開日】平成23年4月28日(2011.4.28)
【出願人】(391020193)キャタピラー インコーポレイテッド (296)
【氏名又は名称原語表記】CATERPILLAR INCORPORATED
【Fターム(参考)】