説明

可動盤の駆動装置及びプレス機械のスライド駆動装置

【課題】電動モータと液圧シリンダとを併用して大きな加圧能力を有するとともに、全体として電動モータの特性で高精度にスライドを駆動することができ、またエネルギ効率に優れたプレス機械のスライド駆動装置を提供する。
【解決手段】プレス機械100のスライド110は、電動(サーボ)モータSM(からスクリュ・ナット機構を介した)推力と、定高圧力源から圧油が供給される油圧シリンダSYL1、SYL2の推力との複合推力で駆動される。スライド制御装置300は、スライド位置信号及びモータ角速度信号に基づいて電動モータSM及び油圧シリンダSYL1、SYL2を制御するとともに、スライド110の負荷が小さくなる期間に油圧シリンダSYL1をポンプとして作用させ、電動モータSMからスクリュ・ナット機構及びスライド110を介して油圧シリンダSYL1に伝達される推力により定高圧力源に圧油をチャージさせる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は可動盤の駆動装置及びプレス機械のスライド駆動装置に係り、特に電動モータと液圧シリンダとを併用してプレス機械のスライドや各種の推力を要する産業機械や建設機械等の可動盤を駆動する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
(a) 電動サーボモータ駆動のプレスのスライド駆動装置
特許文献1には、電動モータ(電動サーボモータ)のみで直接又は間接的に(減速機等を介して)スライドを駆動する電動プレスが開示されている。この電動プレスは、スライドの高い制御性は得られるものの、プレス機械や成形機の重要な能力要素となる仕事能力(エネルギ能力)が確保できない(不十分となる)。これは電動モータによる駆動において、エネルギを貯える機能を有さないため、及びモータ内部の発熱により大きな出力の連続放出が不能なためであり、成形時にモータから得られるエネルギ量が限られているからである。
【0003】
これを解決するためには、かなり出力(W)の大きい電動モータを準備する必要があり、それに対応する使用者側の受電容量(設備)が莫大になる。また、スライドの加減速、成形を伴わない等速動作時には、電動モータは極めて低い負荷トルクに伴う小さい仕事量にとどまり、電動モータの剰余トルク(エネルギ)を有効に活用できない。
【0004】
(b) 可変吐出容量ポンプ+(複数の)油圧モータ(の閉回路接続)+スクリュウで駆動されるプレス機械のスライド駆動装置
特許文献2には、可変吐出容量油圧ポンプ+油圧モータ+スクリュウでスライドを駆動するプレス機械のスライド駆動装置が開示されている。このプレス機械のスライド駆動装置によってスライドを駆動する場合は、スライドの制御性(応答性や静的な[速度や位置の]精度)に問題を有する。
【0005】
即ち、スライドを駆動するために必要な力は、可変吐出容量ポンプが吐出する単位時間当たりに流れる油量が負荷発生に伴い油圧モータに接続される管路内で圧縮されて発生する圧力(負荷圧)に比例するため、その圧縮に伴う応答遅れによりスライドの動特性が低下する(応答性や速度、位置のフィードバックゲインが低下する)。また、前記負荷圧に比例した圧油の漏れが可変吐出容量油圧ポンプや油圧モータ、弁類から発生し、特に負荷圧が高くなる成形中の速度、位置精度を大きく低下させる。しかも、可変容量ポンプモータによる油量制御を基幹とした駆動のため、単位時間内に流れる油量が大量に必要となり、設備が増大化する危惧がある。
【0006】
反面、電動モータと可変容量ポンプ/モータの間にフライホイールを有すことが可能であり、エネルギの蓄積機能を有すため、エネルギ的な制約は受けない。また、同様な油圧回路で、機械プレスのクランク軸を駆動するタイプの装置(特許文献3等)もあるが、前記の問題の他に、油圧モータによる駆動軸からスライドに至る特性が非線型であり、スライド加圧力値に制約が加わる等、更に制御上の問題が加わる。
【0007】
(c) 特許文献4には、電動モータで固定吐出容量ポンプを回転駆動し、ポンプに接続された油圧シリンダや油圧モータによって可動盤を駆動する液圧駆動式塑性加工装置が開示されている。この装置は、電動モータの持つ制御性を油圧媒体を駆動部の途中に介在させることで(作動油の圧縮性、圧油の漏れの影響で)著しく低下させる問題点を有する。更に電動モータ制御特有の問題であるエネルギの蓄積機能を有さない点やコイル発熱の問題をそのまま引き継いでいる。そのため、プレス加圧力及びプレス成形に伴う必要仕事量は、電動モータの最大瞬間出力で制限される。利点は、簡単にシステムを構成可能なところに限られる。
【0008】
(d) 特許文献5には、電動モータと固定容量式油圧ポンプ/モータの並列駆動によりスクリュ・ナット機構を介してスライドを駆動するスライド駆動装置が開示されている。この装置は、電動モータと固定容量式油圧ポンプ/モータとの両者の回転力を複合してスクリュ・ナット機構に伝達するようにしている。
【0009】
(e) 特許文献6には、サーボモータで駆動されるねじ加圧装置の直動駆動力と、可変容量ポンプ又は定吐出ポンプを動力源とする油圧シリンダ(油圧装置)の直動駆動力とをそれぞれスライドに伝達可能した板材加工機におけるラム駆動装置が開示されている。このラム駆動装置は、ラム往復駆動時の位置決めを主にねじ加圧装置で行い、板材加工時の加圧を主に油圧装置で行うことにより、位置決め精度が高精度で、大なる加圧力で板材加工を行うことができるようにしている(特許文献6の段落[0056])。
【特許文献1】特許第2506657号明細書
【特許文献2】米国特許第4563889号明細書
【特許文献3】特開平1−309797号公報
【特許文献4】特開平10−166199号公報
【特許文献5】特開2002−172499号公報
【特許文献6】特開平7−266086号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
特許文献5に記載のプレス機械のスライド駆動装置は、以下の問題点がある。
【0011】
(1) エネルギ効率
一定圧力源によって駆動される油圧モータは、油圧モータ内での作動油の漏れ量が多く、また摩擦損失も大きいため、エネルギ効率が悪い。
【0012】
(2) 制御性
電動モータと固定容量式油圧ポンプ/モータとの両者の回転力を複合してスクリュ・ナット機構に伝達するため、スクリュ・ナット機構及び駆動軸の剛性増加を伴い、電動モータ軸換算の慣性モーメントが増大し、制御性の低下(応答性低下やフィードバック制御における比例ゲイン確保の制約)を伴う。
【0013】
(3) コスト
固定容量式油圧ポンプ/モータは、市場性や部品点数の観点から高価である。
【0014】
(4) 騒音
固定容量式油圧ポンプ/モータは、回転数に比例した高圧−低圧切換の脈動音が発生し、騒音源となる。
【0015】
一方、特許文献6に記載の板材加工機におけるラム駆動装置は、油圧シリンダを使用しているため、上記(1) 〜(4) の問題点はないが、前述したように板材加工時の圧力制御を油圧装置で行っており、また、この油圧装置は、可変容量ポンプ又は定吐出ポンプから直接作動油を油圧シリンダの上室に供給しているため、加圧力やエネルギを自在に確保可能となるが、作動油の圧縮や圧油の漏れにより著しく制御性を損ない、また、加圧力を高精度にかつ応答性よく制御することが難しいという問題がある。
【0016】
更に、特許文献6に記載の油圧装置は、板材加工時に加圧可変容量ポンプ又は定吐出ポンプを駆動して作動油を油圧シリンダに供給する必要があり、ポンプを駆動するモータも出力の大きなものが必要になる。
【0017】
本発明はこのような事情に鑑みてなされたもので、電動モータと液圧シリンダとを併用して大きな加圧能力を有するとともに、全体として電動モータの特性で高精度に可動盤を駆動することができ、またエネルギ効率に優れた可動盤の駆動装置及びプレス機械のスライド駆動装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0018】
前記目的を達成するために請求項1に係る可動盤の駆動装置は、電動モータと、前記電動モータの出力トルクを可動盤を移動させるための推力として該可動盤に伝達させるスクリュ・ナット機構と、略一定圧力の作動液を発生する定高圧力源と低圧力源に弁を介して接続された単数又は複数の液圧シリンダと、前記液圧シリンダの推力を前記可動盤に伝達する推力伝達手段であって、前記スクリュ・ナット機構の任意のストローク位置で随時推力が伝達可能なように連結する推力伝達手段と、前記可動盤の速度又は前記電動モータの駆動軸からスクリュ・ナット機構までのいずれかの回転部の角速度を検出する速度検出手段と、前記速度検出手段によって検出された速度又は角速度に基づいて前記電動モータ及び液圧シリンダを制御する制御手段と、を備え、前記制御手段は、前記可動盤の負荷が小さくなる所定の期間に前記液圧シリンダの少なくとも1つの液圧シリンダをポンプとして作用させ、前記電動モータから前記スクリュ・ナット機構、可動盤及び推力伝達手段を介して前記液圧シリンダに伝達される推力により前記低圧力源から前記定高圧力源に作動液をチャージさせることを特徴としている。
【0019】
即ち、電動モータの出力トルクは、スクリュ・ナット機構を介して直線駆動力として可動盤に加わり、また、定高圧力源と低圧力源に弁を介して接続された単数又は複数の液圧シリンダの推力は、推力伝達手段を介して前記スクリュ・ナット機構の任意のストローク位置で前記可動盤に随時伝達可能になっており、力次元で複合される。そして、前記可動盤の速度又は前記電動モータの駆動軸からスクリュ・ナット機構までのいずれかの回転部の角速度に基づいて前記電動モータ及び液圧シリンダを制御することにより、可動盤の動作は、電動モータの制御性に依存させることで高精度な制御を可能にし、電動モータによる加圧力の不足分は、液圧シリンダの圧力により行うことでアシストするようにしている。また、液圧シリンダをポンプとして作用させることにより、電動モータの剰余トルクを圧液エネルギとして定高圧力源にチャージし、更に可動盤の減速時の可動盤の運動エネルギを圧液エネルギとして定高圧力源にチャージ(回生)することができる。
【0020】
請求項2に示すように請求項1に記載の可動盤の駆動装置において、前記定高圧力源、低圧力源及び液圧シリンダを含んで構成される作動液が循環する液圧装置は、大気と遮断されていることを特徴としている。これにより、作動液に不純物が混入することを防止できるようにしている。
【0021】
請求項3に示すように請求項1に記載の可動盤の駆動装置において、前記定高圧力源は、作動液を略一定高圧に保持するアキュムレータを含んで構成されることを特徴としている。前記液圧シリンダをポンプとして作用させたときに吐出される圧液は、前記アキュムレータにチャージされる。
【0022】
請求項4に示すように請求項1に記載の可動盤の駆動装置において、前記低圧力源は、作動液を大気圧のタンク又は略一定低圧に保持するアキュムレータを含んで構成されることを特徴としている。
【0023】
請求項5に示すように請求項1に記載の可動盤の駆動装置において、前記定高圧力源は、略一定圧力の作動液を供給する作動液補助供給手段が接続されることを特徴としている。前記液圧シリンダをポンプとして作用させることにより作動液を定高圧力源にチャージすることができるが、前記作動液補助供給手段は、運転開始時や可動盤の加圧に使用する作動液の液量が不足する場合に作動液を定高圧力源に供給する。
【0024】
請求項6に示すように請求項1に記載の可動盤の駆動装置において、前記電動モータは、少なくとも1つのサーボモータを含む複数の電動モータを含むことを特徴としている。
【0025】
請求項7に示すように請求項1に記載の可動盤の駆動装置において、前記電動モータの出力トルクは、減速機を介して前記スクリュ・ナット機構に伝達されることを特徴としている。
【0026】
請求項8に示すように請求項1に記載の可動盤の駆動装置において、前記液圧シリンダは、シリンダ径の異なる2種類以上のシリンダが用いられていることを特徴としている。
【0027】
請求項9に示すように請求項1に記載の可動盤の駆動装置において、前記液圧シリンダは、シリンダ径の同一な一対の液圧シリンダを含み、前記一対の液圧シリンダは前記可動盤の中心に対して対称の位置に配置されるとともに、前記一対の液圧シリンダの圧液接続ポート間は、作動液が同時に供給可能に接続されていることを特徴としている。前記一対の液圧シリンダによって可動盤をバランスよく加圧することができるとともに、一対の液圧シリンダの制御系を1つにすることができる。
【0028】
請求項10に示すように請求項1に記載の可動盤の駆動装置において、前記液圧シリンダは、少なくとも1つの液圧シリンダのピストロッド側の圧液接続ポートが前記低圧力源に常時通じるように接続されていることを特徴としている。
【0029】
請求項11に示すように請求項1に記載の可動盤の駆動装置において、前記可動盤は鉛直方向に移動可能に案内され、前記液圧シリンダはシリンダ下室側の圧液接続ポートにパイロット操作逆止弁が接続され、非駆動時に前記可動盤の自重を支えることを特徴としている。
【0030】
請求項12に示すように請求項1に記載の可動盤の駆動装置において、前記可動盤の目標速度又は前記回転部の目標角速度を指令する速度指令手段を備え、前記制御手段は、前記速度指令手段によって指令された目標速度又は目標角速度、及び前記速度検出手段によって検出された速度又は角速度に基づいて前記電動モータ及び液圧シリンダを制御することを特徴としている。即ち、前記電動モータ及び液圧シリンダは、速度フィードバックによる制御が行われている。
【0031】
請求項13に示すように請求項1に記載の可動盤の駆動装置において、前記可動盤の目標位置又は前記回転部の目標角度を指令する位置指令手段と、前記可動盤の位置又は前記回転部の角度を検出する位置検出手段とを備え、前記制御手段は、前記位置指令手段によって指令された目標位置又は目標角度、前記位置検出手段によって検出された位置又は角度、及び前記速度検出手段によって検出された速度又は角速度に基づいて前記電動モータ及び液圧シリンダを制御することを特徴としている。即ち、前記電動モータ及び液圧シリンダは、速度マイナーループフィードバック付き位置フィードバックによる制御が行われている。
【0032】
請求項14に示すように請求項13に記載の可動盤の駆動装置において、前記制御手段は、前記位置指令手段によって指令された目標位置又は目標角度、前記位置検出手段によって検出された位置又は角度、及び前記速度検出手段によって検出された速度又は角速度に基づいて前記電動モータを制御するための複合モータトルク指令信号を演算する複合モータトルク指令演算手段と、前記複合モータトルク指令信号に基づいて前記電動モータを制御するモータ制御手段と、を有することを特徴としている。
【0033】
請求項15に示すように請求項1に記載の可動盤の駆動装置において、前記可動盤の目標位置又は前記回転部の目標角度を指令する位置指令手段と、前記可動盤の位置又は前記回転部の角度を検出する位置検出手段とを備え、前記制御手段は、前記位置指令手段によって指令された目標位置又は目標角度、前記位置検出手段によって検出された位置又は角度、及び前記速度検出手段によって検出された速度又は角速度に基づいて前記液圧シリンダを制御するためのモーションベース信号を演算するモーションベース演算手段と、前記モーションベース信号に基づいて前記液圧シリンダを制御するシリンダ制御手段と、を有することを特徴としている。
【0034】
請求項16に示すように請求項1に記載の可動盤の駆動装置において、前記可動盤の目標位置又は前記回転部の目標角度を指令する位置指令手段と、前記可動盤の位置又は前記回転部の角度を検出する位置検出手段とを備え、前記制御手段は、前記位置指令手段によって指令された目標位置又は目標角度、前記位置検出手段によって検出された位置又は角度、及び前記速度検出手段によって検出された速度又は角速度に基づいて前記液圧シリンダを制御するためのモーションベース信号を演算するモーションベース演算手段と、前記位置指令手段によって指令された目標位置又は目標角度、前記位置検出手段によって検出された位置又は角度、及び前記速度検出手段によって検出された速度又は角速度に基づいて前記電動モータを制御するための複合モータトルク指令信号を演算する複合モータトルク指令演算手段と、前記複合モータトルク指令信号、及び前記速度検出手段によって検出された速度又は角速度に基づいて前記可動盤の駆動に伴う外乱トルクを推定して該外乱トルクを示す外乱トルク推定信号を演算する外乱トルク推定手段と、前記モーションベース信号及び前記外乱トルク推定信号に基づいて前記液圧シリンダを制御するシリンダ制御手段と、を有することを特徴としている。
【0035】
請求項17に示すように請求項1に記載の可動盤の駆動装置において、前記可動盤の目標位置又は前記回転部の目標角度を指令する位置指令手段と、前記可動盤の位置又は前記回転部の角度を検出する位置検出手段とを備え、前記制御手段は、前記位置指令手段によって指令された目標位置又は目標角度、前記位置検出手段によって検出された位置又は角度、及び前記速度検出手段によって検出された速度又は角速度に基づいて前記電動モータを制御するための複合モータトルク指令信号を演算する複合モータトルク指令演算手段と、前記複合モータトルク指令信号、及び前記速度検出手段によって検出された速度又は角速度に基づいて前記可動盤の駆動に伴う外乱トルクを推定して該外乱トルクを示す外乱トルク推定信号を演算する外乱トルク推定手段と、前記複合モータトルク指令信号及び前記外乱トルク推定信号に基づいて前記電動モータを制御するモータ制御手段と、を有することを特徴としている。
【0036】
請求項16及び17に示すように複合モータトルク指令信号、及び検出された可動盤の速度又は回転部の角速度に基づいて可動盤の駆動に伴う外乱トルクを推定している。そして、前記シリンダ制御手段は、前記モーションベース信号及び外乱トルク推定信号に基づいて液圧シリンダを制御し、同様にモータ制御手段は、前記複合モータトルク指令信号及び外乱トルク推定信号に基づいて電動モータを制御するようにしている。
【0037】
請求項18に示すように請求項1に記載の可動盤の駆動装置において、前記制御手段は、前記弁の開口量を制御することにより前記液圧シリンダを制御することを特徴としている。
【0038】
請求項19に示すように請求項18に記載の可動盤の駆動装置において、前記制御手段は、前記弁の開口量を指令する指令信号の発生時から前記液圧シリンダの圧力が所定値に達するまでの応答性に基づいて前記電動モータを制御することを特徴としている。
【0039】
前記液圧シリンダには、定高圧力源から略一定圧力の作動液が加えられるため、前記弁を開く指令が与えられると、前記液圧シリンダの圧力は、所要の応答遅れをもって所定値に達する。前記制御手段は、前記液圧シリンダの応答性を考慮して電動モータを制御し、これにより連続的に変化する推力指令に対して連続的な推力を発生させることができる。
【0040】
請求項20に示すように請求項18に記載の可動盤の駆動装置において、前記可動盤の目標位置又は前記回転部の目標角度を指令する位置指令手段を備え、前記制御手段は、前記位置指令手段によって指令された目標位置又は目標角度、前記位置検出手段によって検出された位置又は角度、及び前記速度検出手段によって検出された速度又は角速度に基づいて前記電動モータを制御するための複合モータトルク指令信号を演算する複合モータトルク指令演算手段と、前記複合モータトルク指令信号、前記弁の開口量を指令する指令信号の発生時から前記液圧シリンダの圧力が所定値に達するまでの第1の応答性、及び前記電動モータへのトルク指令又は電流指令から前記指令されたトルク又は電流に達するまでの第2の応答性に基づいて前記電動モータを制御するモータ制御手段と、を有することを特徴としている。前記制御手段は、前記液圧シリンダの第1の応答性とともに、電動モータの第2の応答性の両方を考慮して前記電動モータを制御するようにしている。
【0041】
請求項21に示すように請求項1に記載の可動盤の駆動装置において、前記可動盤の目標位置又は前記回転部の目標角度を指令する位置指令手段と、前記液圧シリンダの圧力を検出する圧力検出手段とを備え、前記制御手段は、前記位置指令手段によって指令された目標位置又は目標角度、前記位置検出手段によって検出された位置又は角度、及び前記速度検出手段によって検出された速度又は角速度に基づいて前記電動モータを制御するための複合モータトルク指令信号を演算する複合モータトルク指令演算手段と、前記複合モータトルク指令信号、及び前記圧力検出手段によって検出された圧力に基づいて前記電動モータを制御するモータ制御手段と、を有することを特徴としている。
【0042】
前記制御手段は、前記液圧シリンダの応答性を考慮して電動モータを制御するが、前記圧力検出手段が検出した液圧シリンダの圧力(圧力応答)に合わせて電動モータを制御するようにしている。
【0043】
請求項22に示すように請求項1に記載の可動盤の駆動装置において、前記液圧シリンダの圧力を検出する圧力検出手段と、前記弁の開口量を検出する開口量検出手段とを備え、前記制御手段は、前記速度検出手段によって検出された速度又は角速度に基づいて前記液圧シリンダを制御するための液圧シリンダ制御信号を演算する演算手段と、前記液圧シリンダ制御信号、前記圧力検出手段によって検出された圧力、及び前記開口量検出手段によって検出された開口量に基づいて前記液圧シリンダを制御するシリンダ制御手段と、を有することを特徴としている。
【0044】
前記制御手段は、前記圧力検出手段によって検出される圧力が、前記液圧シリンダ制御信号(圧力指令)に追従するように前記液圧シリンダ(弁の開口量)を制御するようにしている。
【0045】
請求項23に示すように請求項21に記載の可動盤の駆動装置において、前記演算手段は、略一定低圧状態と略一定高圧状態の2つの定常状態の間で変化するシリンダ圧力を示す液圧シリンダ制御信号を算出し、前記シリンダ制御手段は、前記液圧シリンダが2つの定常状態の間で変化するシリンダ圧力の過渡期に限り、前記液圧シリンダ制御信号、前記圧力検出手段によって検出された圧力、及び前記開口量検出手段によって検出された開口量に基づいて前記液圧シリンダを制御することを特徴としている。
【0046】
前記シリンダ制御手段は、前記液圧シリンダの圧力を所定の圧力(定高圧力源の略一定高圧力、又は低圧力源の略一定低圧力)に昇圧又は減圧させるまでの過渡応答期間だけ前記液圧シリンダ(弁の開口量)を制御する。
【0047】
請求項24に示すように請求項1に記載の可動盤の駆動装置において、前記弁は、前記定高圧力源と前記液圧シリンダとの間に介在する第1の弁と、前記低圧源と前記液圧シリンダとの間に介在する第2の弁とからなり、前記制御手段は、前記第1の弁を遮断した後に前記第2の弁を開き、又は前記第2の弁を遮断した後に前記第1の弁を開くように前記第1の弁及び第2の弁を制御することを特徴としている。
【0048】
請求項25に示すように請求項1に記載の可動盤の駆動装置において、前記制御手段は、略一定低圧状態(P0)と略一定高圧状態(P1)の2つの定常状態の間で変化するシリンダ圧力を示す液圧シリンダ制御信号を算出する演算手段と、前記液圧シリンダ制御信号に基づいて前記弁を制御する弁制御手段とを有し、前記弁は、前記液圧シリンダ制御信号の変化時点から遅くとも60ms以内に2つの定常状態の間で少なくとも|P1−P0|の50%以上の変化が可能な開口量及び応答性を有するものであることを特徴としている。即ち、液圧シリンダの圧力の立ち上がりは、弁を介して供給される作動液の液量に比例し、この液量を大きくするためには、弁の応答性を高めることと、弁の開口量を大きくすることが必要である。
【0049】
請求項26に示すように請求項1に記載の可動盤の駆動装置において、前記可動盤の加速度又は前記回転部の角加速度を検出する加速度検出手段を備え、前記制御手段は、前記加速度検出手段によって検出された角速度又は角加速度に基づいて前記液圧シリンダの少なくとも1つの液圧シリンダをポンプとして作用させることを特徴としている。即ち、前記加速度検出手段の検出出力に基づいて比較的大きなトルクを要する可動盤の加速領域でない期間(前記可動盤の駆動負荷が小さくなる期間)を検知し、この期間に液圧シリンダをポンプとして作用させ、電動モータの剰余トルクを圧液エネルギとして定高圧力源にチャージさせる。
【0050】
請求項27に示すように請求項26に記載の可動盤の駆動装置において、前記加速度検出手段は、前記速度検出手段によって検出された速度又は角速度に基づいて前記加速度又は角加速度を算出することを特徴としている。
【0051】
請求項28に示すように請求項12に記載の可動盤の駆動装置において、前記制御手段は、前記速度指令手段によって指令された目標速度又は目標角速度に基づいて角速度又は角加速度を算出する加速度演算手段を有し、前記算出した角速度又は角加速度に基づいて前記液圧シリンダの少なくとも1つの液圧シリンダをポンプとして作用させることを特徴としている。
【0052】
請求項29に示すように請求項1に記載の可動盤の駆動装置において、前記電動モータは、1つのスクリュ・ナット駆動機構に2個以上接続されることを特徴としている。
【0053】
請求項30に示すように請求項1に記載の可動盤の駆動装置において、前記スクリュ・ナット駆動機構は1つの可動盤に対して複数配設され、前記電動モータは各スクリュ・ナット駆動機構別に設けられていることを特徴としている。
【0054】
請求項31に示すように請求項1に記載の可動盤の駆動装置において、前記液圧シリンダは、同一方向に動作可能な独立した複数の受圧面を有することを特徴としている。
【0055】
請求項32に示すように請求項30に記載の可動盤の駆動装置において、前記可動盤の目標位置又は前記回転部の目標角度を指令する位置指令手段と、前記可動盤の位置又は前記回転部の角度を検出する第1の位置検出手段と、前記可動盤の前記第1の位置検出手段によって検出される位置とは異なる位置、又は前記可動盤に配設された複数のスクリュ・ナット駆動機構のうちの前記回転部と異なるスクリュ・ナット駆動機構に係わる回転部の角速度を検出する第2の位置検出手段と、を備え、前記速度検出手段は、前記可動盤の位置の速度又は前記電動モータの駆動軸からスクリュ・ナット機構までのいずれかの回転部の角速度を検出する第1の速度検出手段と、前記可動盤の前記第1の速度検出手段によって速度検出される位置とは異なる位置の速度、又は前記可動盤に配設された複数のスクリュ・ナット駆動機構のうちの前記回転部と異なるスクリュ・ナット駆動機構に係わる回転部の角加速度を検出する第2の速度検出手段とを有し、前記制御手段は、前記位置指令手段によって指令された目標位置又は目標角度、前記第1及び第2の位置検出手段によって検出された位置又は角度、及び前記第1及び第2の速度検出手段によって検出された速度又は角速度に基づいて前記複数の電動モータ及び液圧シリンダを制御することを特徴としている。
【0056】
請求項33に示すように請求項32に記載の可動盤の駆動装置において、前記制御手段は、前記位置指令手段によって指令された目標位置又は目標角度、前記第1の位置検出手段によって検出された位置又は角度、及び前記第1の速度検出手段によって検出された速度又は角速度に基づいて前記複数の電動モータのうちの第1の電動モータを制御するための第1の複合モータトルク指令信号を演算する第1の複合モータトルク指令演算手段と、前記位置指令手段によって指令された目標位置又は目標角度、前記第2の位置検出手段によって検出された位置又は角度、及び前記第2の速度検出手段によって検出された速度又は角速度に基づいて前記第1の電動モータとは異なるスクリュ・ナット駆動機構を駆動する第2の電動モータを制御するための第2の複合モータトルク指令信号を演算する第2の複合モータトルク指令演算手段と、前記第1の複合モータトルク指令信号、及び前記第1の速度検出手段によって検出された速度又は角速度に基づいて前記可動盤の駆動に伴う第1の外乱トルクを推定して該第1の外乱トルクを示す第1の外乱トルク推定信号を演算する第1の外乱トルク推定手段と、前記第2の複合モータトルク指令信号、及び前記第2の速度検出手段によって検出された速度又は角速度に基づいて前記可動盤の駆動に伴う第2の外乱トルクを推定して該第2の外乱トルクを示す第2の外乱トルク推定信号を演算する第2の外乱トルク推定手段と、前記第1の複合モータトルク指令信号、及び前記第1の外乱トルク推定信号に基づいて前記第1の電動モータを制御する第1のモータ制御手段と、前記第2の複合モータトルク指令信号、及び前記第2の外乱トルク推定信号に基づいて前記第2の電動モータを制御する第2のモータ制御手段と、を有することを特徴としている。
【0057】
請求項32又は請求項33に記載の制御手段は、各スクリュ・ナット駆動機構別に設けられた電動モータをそれぞれ個別に制御するため、可動盤に偏心した外部負荷や外乱が加わっても、それに対応した電動モータの推力制御を行うことができる。
【0058】
請求項34に示すように請求項1に記載の可動盤の駆動装置は、前記可動盤の目標位置又は前記回転部の目標角度を指令する位置指令手段と、前記可動盤の位置又は前記回転部の角度を検出する位置検出手段とを備え、前記液圧シリンダは1つの可動盤に対して複数配設され、前記速度検出手段は、前記可動盤の速度又は前記電動モータの駆動軸からスクリュ・ナット機構までのいずれかの回転部の角速度を検出する第1の速度検出手段と、前記可動盤の前記第1の速度検出手段によって速度検出される位置とは異なる位置の速度、又は前記可動盤に配設された複数のスクリュ・ナット駆動機構のうちの前記回転部と異なるスクリュ・ナット駆動機構に係わる回転部の角加速度を検出する第2の速度検出手段とを有し、前記制御手段は、前記位置指令手段によって指令された目標位置又は目標角度、前記位置検出手段によって検出された位置又は角度、及び前記第1及び第2の速度検出手段によってそれぞれ検出された速度又は角速度のうちの少なくとも一方の速度又は角速度に基づいて前記電動モータを制御するための複合モータトルク指令信号を演算する複合モータトルク指令演算手段と、前記位置指令手段によって指令された目標位置又は目標角度、前記位置検出手段によって検出された位置又は角度、及び前記第1及び第2の速度検出手段によってそれぞれ検出された速度又は角速度のうちの少なくとも一方の速度又は角速度に基づいて前記液圧シリンダを制御するためのモーションベース信号を演算するモーションベース演算手段と、前記複合モータトルク指令信号、及び前記第1の速度検出手段によって検出された速度又は角速度に基づいて前記可動盤の駆動に伴う第1の外乱トルクを推定して該第1の外乱トルクを示す外乱トルク推定信号を演算する第1の外乱トルク推定手段と、前記複合モータトルク指令信号、及び前記第2の速度検出手段によって検出された速度又は角速度に基づいて前記可動盤の駆動に伴う第2の外乱トルクを推定して該第2の外乱トルクを示す外乱トルク推定信号を演算する第2の外乱トルク推定手段と、前記モーションベース信号、及び前記第1の外乱トルク推定信号に基づいて前記複数の液圧シリンダのうちの第1の液圧シリンダを制御する第1のシリンダ制御手段と、前記モーションベース信号、及び前記第2の外乱トルク推定信号に基づいて前記複数の液圧シリンダのうちの第2の液圧シリンダを制御する第2のシリンダ制御手段と、を有することを特徴としている。
【0059】
請求項35に示すように請求項34に記載の可動盤の駆動装置において、前記スクリュ・ナット駆動機構は1つの可動盤に対して複数配設され、前記電動モータは各スクリュ・ナット駆動機構別に設けられ、前記位置検出手段は、前記可動盤の位置又は前記回転部の角度を検出する第1の位置検出手段と、前記可動盤の前記第1の位置検出手段によって検出される位置とは異なる位置、又は前記可動盤に配設された複数のスクリュ・ナット駆動機構のうちの前記回転部と異なるスクリュ・ナット駆動機構に係わる回転部の角速度を検出する第2の位置検出手段とを有し、前記複合モータトルク指令信号演算手段は、前記位置指令手段によって指令された目標位置又は目標角度、前記第1の位置検出手段によって検出された位置又は角度、及び前記第1の速度検出手段によって検出された速度又は角速度に基づいて複数の電動モータのうちの第1の電動モータを制御するための第1の複合モータトルク指令信号を演算する第1の複合モータトルク指令演算手段と、前記位置指令手段によって指令された目標位置又は目標角度、前記第2の位置検出手段によって検出された位置又は角度、及び前記第2の速度検出手段によって検出された速度又は角速度に基づいて複数の電動モータのうちの第2の電動モータを制御するための第2の複合モータトルク指令信号を演算する第2の複合モータトルク指令演算手段とを有し、前記第1の外乱トルク推定手段は、前記第1の複合モータトルク指令信号、及び前記第1の速度検出手段によって検出された速度又は角速度に基づいて前記可動盤の駆動に伴う第1の外乱トルクを推定して該第1の外乱トルクを示す外乱トルク推定信号を演算し、前記第2の外乱トルク推定手段は、前記第2の複合モータトルク指令信号、及び前記第2の速度検出手段によって検出された速度又は角速度に基づいて前記可動盤の駆動に伴う第2の外乱トルクを推定して該第2の外乱トルクを示す外乱トルク推定信号を演算することを特徴としている。
【0060】
請求項34又は請求項35に記載の制御手段は、1つの可動盤に対して複数配設された液圧シリンダをそれぞれ個別に制御するため、可動盤に偏心した外部負荷や外乱が加わっても、それに対応した液圧シリンダの推力制御を行うことができる。
【0061】
請求項36に係るプレス機械のスライド駆動装置は、請求項1乃至35のいずれかに記載の可動盤の駆動装置を含み、前記可動盤はプレス機械のスライドであることを特徴としている。
【発明の効果】
【0062】
本発明によれば、電動モータの駆動トルクをスクリュ・ナット機構を介して直線駆動力として可動盤(スライド)に伝達し、また、液圧シリンダの推力を前記可動盤に伝達可能にして力次元で複合し、更に電動モータ及び液圧シリンダを少なくとも速度制御するようにしたため、大きな加圧能力を有するとともに、全体として電動モータの特性で高精度に可動盤を駆動することができる。また、液圧シリンダは作動液の漏れ量が少なく、摩擦損失も少ないためエネルギ効率がよく、更に電動モータの剰余トルクを圧液エネルギとして定高圧力源にチャージし、可動盤の減速時の可動盤の運動エネルギを圧液エネルギとして定高圧力源にチャージ(回生)することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0063】
以下添付図面に従って本発明に係る可動盤の駆動装置及びプレス機械のスライド駆動装置の好ましい実施の形態について詳説する。
【0064】
〈第1の実施の形態〉
図1は本発明に係るプレス機械のスライド駆動装置の第1の実施の形態の全体構成を示す概略図である。同図に示すように、このプレス機械のスライド駆動装置は、主としてプレス機械100と、油圧シリンダ駆動装置200と、補助圧油供給装置230と、自重落下防止装置250と、チャージ駆動装置270と、スライド制御装置300と、モータ駆動装置390とから構成されている。
【0065】
[プレス機械の構成]
このプレス機械100は、ベッド102、コラム104及びクラウン106でフレームが構成され、スライド(可動盤)110は、コラム104に設けられたガイド部108により鉛直方向に移動自在に案内されている。
【0066】
スライド110を駆動する駆動手段として、大小2本ずつの油圧シリンダSYL1(SYL1a,SYL1b)、SYL2(SYL2a,SYL2b)と、電動(サーボ)モータSMの出力トルクが伝達されるスクリュ・ナット機構とが設けられている。
【0067】
油圧シリンダSYL1(SYL1a,SYL1b)は、シリンダ径の小さな一対の油圧シリンダであり、スライド110の中心に対して対称の位置に配設され、同様に油圧シリンダSYL2(SYL2a,SYL2b)は、シリンダ径の大きな一対の油圧シリンダであり、スライド110の中心に対して対称の位置に配設されている。これらの油圧シリンダSYL1、SYL2は、シリンダ本体がクラウン106に固定され、ピストンロッドがスライド110に固定されており、スライド110の全ストロークにわたって推力をスライド110に伝達できるようになっている。
【0068】
スクリュ・ナット機構は、軸受け112を介してクラウン106に回転自在に固定された駆動スクリュウ120と、スライド110に固定されるとともに前記駆動スクリュウ120と螺合する従動ナット122とから構成されており、駆動スクリュウ120には減速機124を介して電動モータSMの出力トルクが伝達されるようになっている。
【0069】
尚、プレス機械100のベース102側には、スライド110の位置を検出するスライド位置検出器130が設けられ、電動モータSMには駆動軸の角速度を検出する駆動軸角速度検出器132が設けられている。スライド位置検出器130は、インクリメンタル型又はアブソリュート型のリニアエンコーダ、ポテンショメータ、マグネスケール等の種々のセンサによって構成することができ、また、駆動軸角速度検出器132は、インクリメンタル型又はアブソリュート型のロータリエンコーダや、タコジェネレータによって構成することができる。
【0070】
[電動モータと油圧シリンダの力次元における複合化]
〔複合化を可能にする基本原理〕
次に、上記油圧シリンダSYL1、SYL2の推力と、電動モータSM(からスクリュ・ナット機構を介した)推力とを複合化させる基本原理について説明する。
【0071】
まず、油圧シリンダの推力FCYLは、次式で表すことができる。
【0072】
[数1]
CYL=SH・PA− SR・PT …(1)
ただし、FCYL :油圧シリンダ推力[N]
H :シリンダヘッド側断面積[m2
R :シリンダロッド側断面積[m2
A :油圧シリンダのヘッド側に作用する圧力[Pa]
T :油圧シリンダのロッド側に作用する圧力[Pa]≒0
油圧は、弁を介して供給される油量QA が圧縮されて発生するため、前記圧力PA は、次式で表すことができる。
【0073】
[数2]
A =∫K(QA /VA )dt … (2)
ただし、K:油の体積弾性係数[Pa]
A :油圧シリンダに供給される油量[m3 /s]
A :油圧シリンダのヘッド側管路体積[m3
油圧シリンダのヘッド側に作用する圧力PA の立ち上がりは、弁を介して供給される油量QA に比例し、油量QA を大きくとるためには、弁の応答性を高めることと、弁の開口量を大きくすること(流量係数を大きくとる=流れやすくすること)、及び弁差圧が高いこと(定高圧力源を有すること)が重要になる。また、高圧力源から供給される作動油の圧力を略一定にすることにより、推力応答の変動を抑える(一定化する)意義も有する。
【0074】
具体的には、弁への指令から所望のシリンダ推力が発生までに要す時間を、30ms程度以下にすることが充分に可能である。
【0075】
一方、電動(サーボ)モータの出力トルクTEは、次式で表すことができる。
【0076】
[数3]
E =kE ・I …(3)
ただし、kE :トルク定数[Nm/A]
I:電流[A]
また、スクリュ・ナット機構を介してスライドに伝達される推力FE は、次式で表すことができる。
【0077】
[数4]
E= kS・TE …(4)
ただし、TE:電動(サーボ)モータトルク[Nm]
S:スクリュ・ナット機構に依存する比例定義[m-1
推力FE の応答は、電流Iの応答に比例する。電動モータへの指令から駆動電流に至る応答性(電流応答)は良好であり、全体として指令に対する電動モータによる推力発生の応答遅れは少ない。
【0078】
このように、油圧シリンダ推力と電動モータ(からスクリュ・ナット機構を介した)推力を複合させるには、2者の推力の応答性(動的特性)が良いことが非常に重要である。
【0079】
〔静的な複合〕
スライド制御装置は、全体の(加減速、成形、粘性、摩擦等に要す)推力を自動認識し、電動サーボモータによる推力では不足する時に油圧シリンダ単数または複数のシリンダの推力を複合させる。
【0080】
図1に示したように、大小2個(又は2系統:ただし、配管で結合されているものは同系統とする)の油圧シリンダSYL1、SYL2のうちのシリンダ小の油圧シリンダSYL1が、電動モータSM(からスクリュ・ナット機構を介して伝達される)サーボ制御用の推力のうちの最大推力と同等の推力を有し、シリンダ大の油圧シリンダSYL2が、電動モータSMの最大推力の2倍の推力を有するものとした場合、これらの電動モータSM、及び油圧シリンダSYL1、SYL2の各推力、及び複合した総推力は、図2に示すように複合される。ただし、図2の原理図には、油圧シリンダを両方向に駆動した場合の各推力が示されているが、後述の実施の形態の油圧シリンダは、1方向のみ推力が発生するように駆動するようにしている。
【0081】
即ち、電動モータSMのみの最大推力の4倍を複合モータの総推力の最大推力(100%)と考え、総推力が0〜+25%までは電動モータ単体の推力で賄う。総推力が+25%〜+50%の範囲ではシリンダ小の油圧シリンダSYL1をONにし、電動モータSMは25%分(シリンダ小の油圧シリンダSYL1の推力分)オフセット駆動する。
【0082】
総推力が+50%〜+75%の範囲ではシリンダ小の油圧シリンダSYL1をOFFにし、シリンダ大の油圧シリンダSYL2をONにし、電動モータSMが25%分(シリンダ大の油圧シリンダSYL2の推力とシリンダ小の油圧シリンダSYL1の推力の差分)オフセット駆動する。
【0083】
総推力が+75%を超える範囲ではシリンダ大の油圧シリンダSYL2に加えてシリンダ小の油圧シリンダSYL1を再度ONにし、電動モータSMは25%分オフセット駆動する。結局、各油圧シリンダSYL1、SYL2はON/OFF動作することにより推力の大きさを確保し、電動モータSMが複合推力指令に対して推力が連続作用するように調整作用し、全体として複合モータの静的な推力特性を機能させる。
【0084】
〔動的な複合〕
図3は電動モータSM及び油圧シリンダSYL(SYL1、SYL2)に指令を出力する制御器の概略図である。
【0085】
前記のように電動モータSMの推力に対して油圧シリンダSYLの推力を複合させる場合に、図3に示すように油圧シリンダSYLの応答性を考慮した制御器を構成する。
【0086】
即ち、電動モータSMの応答性と油圧シリンダSYLの応答性とは差異があるため、図3に示す制御器では、複合時は動的(過度的に)に(各々の推力の立ち上がり時定数に合わせて)釣り合いがとれるように、電動モータSM(+スクリュ機構)とシリンダ推力の立ち上がり応答差フィルタ(伝達関数)を利用し、応答性の高い電動モータSMを油圧シリンダSYLの応答に合わせるようにしている。
【0087】
尚、図3上で、GCYL(S) は、油圧シリンダSYLへの制御指令から油圧シリンダSYLの圧力発生に至るまでの伝達関数を示し、GMOT(S) は、電動モータSMへのトルク指令又は電流指令から電動モータSMのトルク出力又は駆動電流に至るまでの伝達関数を示している。
【0088】
また、油圧シリンダSYLは、高応答性(デッドバンド10ms以内程度、立ち上がり20ms以内程度)が要求されるが、動力(粘性)損失を避けるために開口量の大きな弁をON/OFF駆動し、略一定高圧源下で駆動される弁の(スプールやポペットの)応答性のよいものを使用することで、供給油量による油の圧縮(油圧の発生)時間を考慮した理論上及び実験上の確認においても要求値を満足させることができる。
【0089】
図4(A)及び(B)はそれぞれ電動モータ及び油圧シリンダの各推力と、これらの推力を複合させた複合推力との関係を示すグラフである。
【0090】
図4(A)には、ランプ状に推力指令を増減させた場合に、静的のみ考慮した推力複合が示されているが、動的に考慮しない場合の複合推力は不連続性を有すことが判る。
【0091】
一方、図4(B)には、ランプ状に推力指令を増減させた場合に、静的及び動的に考慮した推力複合が示されているが、この場合には複合推力は油圧シリンダのON/OFFにかかわらず連続的に変化することが判る。
【0092】
即ち、推力指令に対して推力が連続的に応答可能な複合モータを構成するためには、昇圧に伴うシリンダ推力発生の動特性と、サーボモータ(+スクリュ・ナット機構)による推力発生の動特性とを基にした動的な考慮が不可欠である。
【0093】
〔油圧シリンダ駆動装置及び補助圧油供給装置〕
次に、図1に示した油圧シリンダ駆動装置200及び補助圧油供給装置230について、図5を参照しながら説明する。
【0094】
この油圧シリンダ駆動装置200は、主として略一定高圧の作動油を保持するアキュムレータ202を含んで構成される定高圧力源204と、略一定低圧の作動油を保持するアキュムレータ206を含んで構成される低圧力源208と、弁駆動装置210と、油圧シリンダSYL1駆動用の一対の弁V1_D(V1_D_H,V1_D_L)と、油圧シリンダSYL2駆動用の一対の弁V2_D(V2_D_H,V2_D_L)と、アキュムレータ202に接続された高圧側の管路Pとアキュムレータ206に接続された低圧側の管路Tとの間に配設された高圧用リリーフ弁220と、アキュムレータ202に蓄圧された作動油の圧力を検出する圧力検出器P_H と、油圧シリンダSYL1のシリンダ上室側に接続された管路222の回路圧を検出する圧力検出器P_1_Dと、油圧シリンダSYL2のシリンダ上室側に接続された管路224の回路圧を検出する圧力検出器P_2_D と、弁V1_D_H,V1_D_L,V2_D_H,及びV2_D_Lのスプール位置をそれぞれ検出するスプール位置検出器S1_D_L,S1_D_H,S2_D_L,及びS2_D_Hとから構成されている。尚、低圧力源208は、大気圧のタンクであってもよい。
【0095】
高圧側の管路Pは、弁V1_D_H 及びV2_D_Hを介してそれぞれ管路222、224に接続され、低圧側の管路Tは、弁V1_D_L 及びV2_D_Lを介してそれぞれ管路222、224に接続されている。
【0096】
また、高圧側の管路P及び低圧側の管路Tは、それぞれチャージ駆動装置250に接続され、低圧側の管路Tは、油圧シリンダSYL2(SYL2a,SYL2b) のシリンダ下室に直接接続されている(図1参照)。
【0097】
弁駆動装置210は、後述するスライド制御装置300内の油圧シリンダ制御器350から加えられる弁指令信号L1_L_SLV,L1_H_SLV,L2_L_SLV, 及びL2_H_SLVに基づいて4つの弁V1_D_H,V1_D_L,V2_D_H,及びV2_D_Lを駆動する。
【0098】
補助圧油供給装置230は、電動機231と、油圧ポンプ232と、フィルタ233と、電磁方向切換弁234と、逆止弁235とから構成されている。
【0099】
圧力検出器P_H は、アキュムレータ202に蓄圧された作動油の圧力を示す略一定高圧信号をスライド制御装置300に出力し、スライド制御装置300は、入力する略一定高圧信号が動作時蓄圧下限設定圧(例えば21.5MPa)以下になると、補助圧油供給装置230に圧油供給信号を出力する(図1参照)。
【0100】
前記圧油供給信号によって補助圧油供給装置230の電磁方向切換弁234が切り替えられ、電動機231で駆動される油圧ポンプ232の吐出ライン(逆止弁235の保持側)がオンロードすることにより、定高圧力源204に圧油が蓄積される。尚、動作中は所定の圧力(動作時蓄圧上限設定圧:例えば22.5MPa)に達するとアンロードする。
【0101】
〔自重落下防止装置及びチャージ駆動装置〕
次に、図1に示した自重落下防止装置250及びチャージ駆動装置270について、図6を参照しながら説明する。 自重落下防止装置250は、スライド110が自重によって落下しないようにするもので、油圧シリンダCYL1a,CYL1bのシリンダ下室側の圧液接続ポートに接続された2系統の管路に配設されたパイロット操作逆止弁251、252と、電磁方向切換弁253、254と、リリーフ弁255、256とから構成されている。
【0102】
プレス機械100を運転していない非駆動時には、スライド制御装置300は、電磁方向切換弁253、254にブレーキOFF信号B1,B2を出力せず、その結果、電磁方向切換弁253、254は、図6に示す位置に切り替えられており、電磁方向切換弁253、254からはパイロット操作逆止弁251、252にパイロット圧が出力されない。図1に示すように、スライド110の自重により油圧シリンダSYL1a,SYL1bのピストンロッドが下方に引っ張られ、油圧シリンダSYL1a,SYL1bのシリンダ下室の圧力が上昇するが、CYL1a,CYL1bのシリンダ下室側の圧油接続ポートに接続された2系統の管路に配設されたパイロット操作逆止弁251、252によって管路が遮断されるため、スライド110の自重による下降は阻止される。
【0103】
一方、プレス機械100を運転する場合には、スライド制御装置300から電磁方向切換弁253、254にブレーキOFF信号B1,B2を出力し、電磁方向切換弁253、254を、図6に示す位置から切り替える。これにより、電磁方向切換弁253、254からパイロット操作逆止弁251、252にパイロット圧が加えられ、パイロット操作逆止弁251、252での逆方向の圧油の流れを可能にする。
【0104】
チャージ駆動装置270は、油圧シリンダSYL1a,SYL1bをポンプとして作用させ、定高圧力源204に圧油をチャージさせるもので、逆止弁271と、パイロット操作逆止弁272と、電磁方向切換弁(チャージ弁)273とから構成されている。
【0105】
スライド制御装置300は、チャージを行う所定の期間、チャージ用弁指令信号をチャージ弁273に出力し、チャージ弁273を図6に示す位置から切り替える。これにより、パイロット操作逆止弁272にはパイロット圧が加わらなくなり、油圧シリンダSYL1a,SYL1bのシリンダ下室側から自重落下防止装置250を経由して低圧側の管路Tに流れる流路が遮断され、スライド110の下降時に油圧シリンダSYL1a,SYL1bのシリンダ下室から吐出される圧油は、逆止弁271を介して高圧側の管路Pを経由して定高圧力源204にチャージされる。尚、圧油のチャージを行う所定の期間の詳細については後述する。
【0106】
〔スライド制御〕
次に、図1に示したスライド制御装置300について、図7を参照しながら説明する。
【0107】
スライド制御装置300は、スライド統括制御器310と、スライド位置制御器320と、速度制御器330と、圧油チャージ制御器340と、油圧シリンダ制御器350と、複合モータ制御器360と、外乱トルク推定器370と、モータ制御器380とから構成されている。
【0108】
スライド統括制御器310は、プレス機械100の運転を統括するもので、プレス機械100の運転中にスライド統括制御信号、及びブレーキOFF信号B1,B2を出力する。スライド統括制御器310には、油圧シリンダ駆動装置200内の圧力検出器P_H から定高圧力源204の圧力を示す略一定高圧信号が加えられており、スライド統括制御器310は、入力する略一定高圧信号が動作時蓄圧下限設定圧(例えば21MPa)以下になると、補助圧油供給装置230を駆動するための圧油供給信号を出力する。
【0109】
また、スライド統括制御器310は、ブレーキOFF信号B1,B2を自重落下防止装置250に出力することにより、運転停止時のスライド110の自重落下機能(ブレーキ機能)を解除する。
【0110】
スライド統括制御器310から出力されるスライド統括制御信号は、スライド位置制御器320に加えられる。スライド位置制御器320の他の入力には、スライド110の位置を検出するスライド位置検出器130から位置信号処理装置131を介してスライド110の位置を示すスライド位置信号が加えられている。
【0111】
図8はスライド位置制御器320の内部構成を示す図であり、このスライド位置制御器320は、フィルタ321、積分器322、チャージ信号生成器323、積分器324及び制御演算器325から構成されている。
【0112】
スライド統括制御器310から入力するスライド統括制御信号は、ステップ的に変化するスライド速度信号であり、このスライド速度信号はフィルタ321を介してフィルタリングされた後、微分器322及び積分器323に加えられる。
【0113】
微分器322によって時間微分されたスライド速度信号は、スライド加速度指令量としてチャージ信号生成器324に加えられる。チャージ信号生成器324は、スライド加速度指令量から比較的大きなトルクを必要とするスライド加速領域を過ぎた時点を判断し、チャージ駆動装置270を制御するための基礎となるチャージベース信号を出力する。尚、チャージ信号生成器324が、実際の加速度信号等を使用せずに、演算によって算出した加速度指令信号からチャージベース信号を生成しているのは、高周波成分を多く含むノイズによるチャタリングを防止するためであるが、実際の加速度信号や実際の速度を微分処理したもの、あるいは実際のモータトルク信号からチャージベース信号を生成することも可能である。
【0114】
一方、積分器323によって時間積分されたスライド速度信号は、スライド目標位置指令信号として制御演算器325に加えられる。制御演算器325の他の入力にはスライド位置信号が加えられており、制御演算器325は2入力信号の偏差を求め、その偏差信号に基づいて操作量信号(速度指令信号)を決定し、この速度指令信号を出力する。
【0115】
図7に戻って、速度制御器330の一方の入力には、前記スライド位置制御器320から速度指令信号が加えられており、速度制御器330の他の入力には、駆動軸角速度検出器132からモータ駆動装置390を介してモータ角速度信号が加えられており、速度制御器330は、これらの2入力信号に基づいて位置、速度の制御を司るモーションベース信号と複合モータトルク指令信号とを演算する。前記モーションベース信号は、油圧シリンダ制御器350に出力され、複合モータトルク指令信号は複合モータ制御器360及び外乱トルク推定器370に出力される。
【0116】
尚、モーションベース信号は、複合モータトルク指令信号が基幹にあって、油圧シリンダを安定かつ高応答に制御するために、位置、速度のフィードバック量を基にした(実質的にモーションを司る)複合モータトルク指令信号に、ある種(複数)の処理を行うことによって算出される。例えば、複合モータトルク指令信号に一次フィルタを介してモーションベース信号にしたり、複合モータトルク指令信号に定数を乗じ、ある上下限値で飽和させる飽和要素を介してモーションベース信号にしたりする。尚、定数や飽和要素によっては、複合モータトルク指令信号とモーションベース信号とが同じ場合も含む。
【0117】
外乱トルク推定器370には、前記複合モータトルク指令信号の他に、モータ駆動装置390から電動モータSMのトルク(電流)を検出するトルク検出器からモータトルク信号(有効電流信号)と、モータ角速度信号が加えられており、外乱トルク推定器370は、モータ角速度信号等を基にプレス荷重等を含む外乱トルクを演算推定する。即ち、外乱トルク推定器は、モータ速度信号の微分演算処理信号と複合モータトルク信号に遅れ要素等のフィルタを乗じた演算量との差や前記モータ速度信号の微分演算処理信号と複合モータトルク信号に遅れ要素等のフィルタを乗じた演算量との差とモータトルク信号を基にした補正演算量との和に基づいて外乱トルクを演算推定する。この推定された外乱トルクを示す外乱トルク推定信号は、油圧シリンダ制御器350及び複合モータ制御器360に出力される。
【0118】
油圧チャージ制御器340は、下降中に加速領域から等速領域に入ったことを示すチャージベース信号を受けて、チャージ用弁指令信号等をチャージ駆動装置270に出力するもので、スライド位置制御器320からチャージベース信号を入力するとともに、圧力検出器P_H から略一定高圧信号を入力している。油圧チャージ制御器340は、スライド位置制御器320からチャージベース信号を入力すると、チャージ駆動装置270内のチャージ弁273をONさせるためのチャージ用弁指令信号を出力し、一方、油圧シリンダ制御器350から油圧シリンダSYL1がアシスト用に駆動されたことを示す信号が加えられると、チャージ用弁指令信号の出力を停止する。また、圧力検出器P_H から入力する略一定高圧信号が、蓄圧上限設定圧(例えば22.5MPa)に達する場合もチャージ用弁指令信号の出力を停止する。
【0119】
このとき(下降中にチャージ駆動装置を駆動する場合)は、圧油チャージ制御器340からチャージ駆動装置270を介してチャージ用弁273によりCYL1(ロッド側=上昇側)が駆動されたことと同期して、その予め予測される圧力応答に比例する推力応答と予め予測されるサーボモータSMのトルク応答差を補正するようなシリンダ1上昇ON調整信号(図7)が出力され、複合モータ制御器360ではSMトルク指令量に本調整信号を加算することによって、サーボモータ+スクリュ・ナット機構を介した推力と油圧シリンダ推力が、動的においても(複合の過度状態においても)、滑らかに複合する。
【0120】
また、油圧チャージ制御器340は、スライド110下降時と同様にスライドの上昇時にも加速領域から等速領域に入ったことを示すチャージベース信号を受けて、略一定高圧信号が所定の範囲内であるとき、油圧シリンダ制御器350に上昇中チャージON信号を出力する。尚、油圧シリンダ制御器350は、上昇中チャージON信号を受入すると、油圧シリンダSYL1が下降する方向に圧油が加わるように弁V1_D_H,V1_D_L を制御する。これにより、スライド110の上昇中に油圧シリンダSYL1をポンプとして作用させ、圧油を定高圧力源204にチャージさせることができる。
【0121】
次に、油圧シリンダ制御器350について説明する。
【0122】
油圧シリンダ制御器350は、4つの弁V1_D_H,V1_D_L,V2_D_H,及びV2_D_Lを駆動(開閉)するための弁指令信号L1_L_SLV,L1_H_SLV,L2_L_SLV, 及びL2_H_SLVを出力するとともに、油圧シリンダSYL1,SYL2の発生推力に相当するSYL1_ON調整信号,SYL2_ON調整信号を複合モータ制御器360に出力するもので、速度制御器330からモーションベース信号が加えられ、外乱トルク推定器370から外乱トルク推定信号が加えられている。
【0123】
また、油圧シリンダ制御器350には、圧力検出器P_1_D及びP_2_D によって検出された圧力信号L1_P及びL2_Pと、スプール位置検出器S1_D_L,S1_D_H,S2_D_L,及びS2_D_Hによって検出されたスプール位置信号L1_L_POS,L1_H_POS,L2_L_POS,及びL2_H_POSとが加えられている。
【0124】
油圧シリンダ制御器350は、入力するモーションベース信号と外乱トルク推定信号との総和から電動モータSM単体の推力で賄うことができるかどうか、また、油圧シリンダのアシストが必要な場合には、油圧シリンダSYL1,SYL2のうちのいずれか一方、又は両方のアシストが必要かを判断し、油圧シリンダSYL1をアシストON、アシストOFFさせるためのCYL1_OFF 指令、及び油圧シリンダSYL2をアシストON、アシストOFFさせるためのCYL2_ON指令、CYL2_OFF 指令を発生する。
【0125】
また、CYL1_ON指令、CYL1_OFF指令には、上昇時に必要に応じて圧油チャージ制御器340から上昇ONチャージ信号が加算される。
【0126】
いま、図9(A)に示すように油圧シリンダSYL1をアシストONするCYL1_ON指令(0→1)を発生する場合、CYL1_ON指令の立ち上がりに同期して低圧力源208に通じる弁V1_D_Lを全閉させる弁指令信号L1_L_SLVを出力し(図9(C))、続いて所定の遅延時間後に定高圧力源204に通じる弁V1_D_Hを開くための、後述のアシスト時昇圧アルゴリズムにしたがった弁指令信号L1_H_SLVを出力する(図9(B))。尚、アシスト時昇圧アルゴリズムは、所定のアシスト時昇圧制御時間(数m〜数10msec間)(シリンダ圧力の過渡期)だけ行われる。
【0127】
図10は前記弁指令信号L1_H_SLVを出力する油圧シリンダ制御器350の一部を示す回路図である。同図に示すように、アシスト時昇圧制御時間に昇圧時CYL1圧力指令CYL1REFを出力する。油圧シリンダ制御器350は、前記圧力指令CYL1REFと圧力検出器P_1_Dによって検出された圧力信号L1_Pとの偏差に基づいて弁V1_D_Hのスプール位置指令を演算し、このスプール位置指令とスプール位置検出器S1_D_Hによって検出されたスプール位置信号L1_H_POSとの偏差に基づいて前記弁指令信号L1_H_SLVを演算し、この弁指令信号L1_H_SLVによって弁V1_D_Hのスプール位置(開口量)を制御する。
【0128】
上記アシスト時昇圧アルゴリズムにしたがって演算された弁指令信号L1_H_SLVによって弁V1_D_Hを制御することにより、油圧シリンダSYL1の圧力は圧力指令CYL1REFに追従するようになる。
【0129】
また、このアシスト時昇圧アルゴリズムによる昇圧後、弁V1_D_Hは、定常ON用の一定量(略全開の開口量)になるように制御される。これは、昇圧工程が終了したら油流が絞られないように弁開度を大きくし、エネルギ効率を低下させないようにするためである。
【0130】
油圧シリンダ制御器350は、油圧シリンダをアシストOFFする場合にもアシストON時と同様な制御を行う。
【0131】
即ち、図11(A)に示すように油圧シリンダSYL2をアシストOFFするCYL2_OFF指令(1→0)を発生する場合、CYL2_OFF指令の立ち下がりに同期して定高圧力源204に通じる弁V2_D_Hを全閉させる弁指令信号L2_H_SLVを出力し(図11(C))、続いて所定の遅延時間後に低圧力源208に通じる弁V2_D_Lを開くための、アシスト時脱圧アルゴリズムにしたがった弁指令信号L2_L_SLVを出力する(図11(B))。尚、アシスト時脱圧アルゴリズムは、所定のアシスト時脱圧制御時間(数m〜数10msec間)(シリンダ圧力の過渡期)だけ行われる。
【0132】
図12は前記弁指令信号L2_L_SLVを出力する油圧シリンダ制御器350の一部を示す回路図である。同図に示すように、アシスト時脱圧制御時間に脱圧時CYL2圧力指令CYL2REFを出力する。油圧シリンダ制御器350は、前記圧力指令CYL2REFと圧力検出器P_2_Dによって検出された圧力信号L2_Pとの偏差に基づいて弁V2_D_Lのスプール位置指令を演算し、このスプール位置指令とスプール位置検出器S2_D_Lによって検出されたスプール位置信号L2_L_POSとの偏差に基づいて前記弁指令信号L2_L_SLVを演算し、この弁指令信号L2_L_SLVによって弁V2_D_Lのスプール位置(開口量)を制御する。
【0133】
上記アシスト時脱圧アルゴリズムにしたがって演算された弁指令信号L2_L_SLVによって弁V2_D_Lを制御することにより、油圧シリンダSYL2の圧力は圧力指令CYL2REFに追従するようになる。
【0134】
また、このアシスト時脱圧アルゴリズムによる脱圧後、弁V2_D_Lは、定常OFF用の一定量(略全開の開口量)になるように制御される。これは、脱圧工程が終了したら油流が絞られないように弁開度を大きくし、エネルギ効率を低下させないようにするためである。
【0135】
尚、上記のようにして制御される前記弁V1_D_H,V1_D_L,V2_D_H,及びV2_D_Lは、弁指令信号群の変化時点から遅くとも60ms以内に2つの定常状態(略一定低圧状態(P0)と略一定高圧状態(P1))の間で、少なくとも|P1−P0|の50%以上の変化が可能な開口量及び応答性を有するものが適用される。
【0136】
更に、油圧シリンダ制御器350は、油圧チャージ制御器340から上昇中チャージON信号を入力した場合には、油圧シリンダSYL1をポンプとして作用させるための弁指令信号を上記と同様にして演算して出力する。
【0137】
また、油圧シリンダ制御器350は、油圧シリンダSYL1やCYL2が駆動された時、予め予測される圧力応答に比例する推力応答と、予め予測される電動モータSMのトルク応答の差を補正するような調整信号(CYL1_ON調整信号、CYL2_ON調整信号)を演算し、この調整信号を複合モータ制御器360に出力する。
【0138】
図13(A)は油圧シリンダSYL1をアシストONするCYL1_ON指令が与えられたときの油圧シリンダSYL1の圧力応答を示すグラフであり、図13(B)は電動モータSMに対してステップ状のトルク指令が与えられたときのトルク応答を示すグラフである。
【0139】
図14(A)はCYL1_ON指令から油圧シリンダSYL1の圧力応答に至るまでの伝達関数を示し、図14(B)はトルク指令から電動モータSMのトルク応答に至るまでの伝達関数を示している。
【0140】
油圧シリンダ制御器350は、図15に示すように図14に示した伝達関数を用いて、CYL1_ON指令やCYL2_ON指令が発生した場合、そのCYL1_ON指令やCYL2_ON指令に基づくシリンダ推力がスライド110に加算される分に相応する調整信号(CYL1_ON調整信号、CYL2_ON調整信号)を複合モータ制御器360に出力する。複合モータ制御器360では、複合モータトルク指令信号からCYL1_ON調整信号、CYL2_ON調整信号を減算して、電動モータSMへのモータトルク指令信号を演算しているが、このモータトルク指令信号は、過度的にも整合した信号となる。
【0141】
図16は、より簡易的に動的な整合をとるためのCYL1_ON調整信号、CYL2_ON調整信号を演算する油圧シリンダ制御器の他の実施の形態を示している。
【0142】
同図に示す油圧シリンダ制御器350’は、電動モータSMのトルク応答より十分に遅い油圧シリンダSYL1,SYL2 の圧力応答に合わせて、シリンダ推力に相応するトルクを減算するため、油圧シリンダSYL1,SYL2 の圧力を示す圧力信号L1_P,L2_P(圧力応答)に電動モータSM応答分の遅れを位相改善させる伝達関数GPC1(S)、GPC2(S)を乗じたものを調整信号(CYL1_ON調整信号、CYL2_ON調整信号)として複合モータ制御器360に出力している。
【0143】
次に、複合モータ制御器360について説明する。
【0144】
図7に示すように複合モータ制御器360には、速度制御器33から複合モータトルク指令信号が加えられ、外乱トルク推定器370から外乱トルク推定信号が加えられ、圧油チャージ制御器340からシリンダ上昇ON調整信号が加えられ、油圧シリンダ制御器350からSYL1_ON調整信号及びSYL2_ON調整信号が加えられている。
【0145】
複合モータ制御器360は、入力する複合モータトルク指令信号と外乱トルク推定信号とを加算してプレス荷重等を含む外乱トルクを考慮した複合モータトルク指令信号を得、この複合モータトルク指令信号から図15及び図16に示したように調整信号(CYL1_ON調整信号、CYL2_ON調整信号)を減算し、その減算結果をモータトルク指令信号として出力する。
【0146】
モータ制御器380には、複合モータ制御器360からモータトルク指令信号が加えられ、モータ駆動装置390からモータトルク信号及びモータ角速度信号が加えられており、モータ制御器380はこれらの信号からモータ駆動信号を演算し、このモータ駆動信号をモータ駆動装置390に出力する。本例におけるモータ制御器380へ入力するモータ角速度信号は、逆起電力による指令電圧低下に伴うモータトルク低下を補正するためのものである。即ち、モータ角速度信号は、速度に比例して生じる逆起電力分の電圧をモータ制御器380内の指令電圧のPWM(パルス幅変調制御部)で補正(加算)操作するために使用される。尚、モータ制御器にはいろいろな形態が知られており、本例には限らない。
【0147】
モータ駆動装置390(図1)は、スライド制御装置300から入力するモータ駆動信号に基づいて電動モータSMを駆動する。
【0148】
次に、上記構成のプレス機械のスライド駆動装置の動作について説明する。
【0149】
〔作用説明〕
<状態波形>
図17乃至図26はそれぞれスライド110を駆動させる場合の1サイクルにおける各種の状態波形(スライド位置、モータ角速度、モータによる(減速器、スクリュ、ナット機構を介した)推力、各油圧シリンダ圧力、各油圧シリンダ推力、定高圧力源から各油圧シリンダに流入出する油量、定高圧力源圧力、定高圧力源油量、プレス荷重及びスライド加速度指令)を示すグラフである。
【0150】
図17の実線及び点線は、それぞれスライド目標位置指令及びスライド位置を示している。スライド目標位置指令の上限位置指令は300mm、下限位置指令は0mmである(上方向を正方向としている)。図8で説明したようにスライド目標位置指令は、スライド位置制御器320内の積分器323がスライド速度指令を時間積分して生成しており、この実施の形態では、200mm/sのスライド速度指令を時間積分したものである。
【0151】
<スライド動作開始前=スライド停止中>
プレス機械100の運転開始時(運転開始前)には、定高圧力源204にシリンダ駆動用の圧油が蓄積されていない。スライド制御装置300のスライド統括制御器310(図7)は、圧力検出器P_H から入力する略一定高圧力信号に基づいて圧油の圧力が、停止時蓄圧下限設定圧(例えば21MPa)以下であることを検知すると、圧油供給信号を補助圧油供給装置230に出力する。補助圧油供給装置230は、圧油供給信号の入力により圧油を定高圧力源204にチャージし、定高圧力源204内の初期圧油を確保する。
【0152】
図23は定高圧力源204の圧力を示しており、時間0sにおける圧力が動作前に補助圧油供給装置230によりチャージされた圧油の圧力である。
【0153】
<スライド下降開始 下方加速→一定速(等速)、波形図の0〜1.15秒>
スライド制御装置300のスライド統括制御器310からはブレーキOFF信号B1,B2が自重落下防止装置250に出力され、運転停止時のスライド110の自重落下機能(ブレーキ機能)が解除される。
【0154】
一方、スライド位置制御器320の積分器322(図8)では、スライド加速度指令を演算している。図26はスライド加速度指令を示している。チャージ信号生成器324は、スライド加速度指令から比較的大きなトルクを必要とするスライド加速領域を過ぎた時点(図26に示す0秒近傍の負側のトルク絶対値が小さくなった時点)を判断して、チャージベース信号をチャージ駆動装置270に出力する。
【0155】
チャージベース信号を受けた圧油チャージ制御器340は、油圧シリンダSYL1がアシスト用に駆動されたことを示す信号が加えられるまで、チャージ駆動装置270内のチャージ弁273をONさせるためのチャージ用弁指令信号を出力する。チャージ用弁指令信号受けたチャージ駆動装置270(図6)は、チャージ弁273をONさせてパイロット操作逆止弁272により低圧側の管路Tを遮断させ、スライド110の下降時に油圧シリンダSYL1a,SYL1bのシリンダ下室から吐出される圧油を、逆止弁271を介して高圧側の管路Pを経由して定高圧力源204にチャージさせる。
【0156】
図23及び図24はそれぞれ定高圧力源204内の圧油の圧力、及び油量を示しており、図23及び図24に示す0.4s〜1.15s間の圧力上昇部及び油量上昇部は、スライド下降時のチャージによるものである。
【0157】
<スライド下降後半 成形力負荷、アシスト作用 下死点停留 波形図の1.1〜2.5秒>
スライド位置100mm(経過時間1.1s)からスライド下死点位置(0mm)に至る期間は、図25に示すような成形力が作用する。
【0158】
図18には、電動モータSMのモータ角速度(駆動軸角速度)を示す。成形力(プレス荷重)が作用した瞬間の過度時を除いて、荷重作用によらず安定した速度曲線を示していることが分かる。これは、図7に示すスライド制御装置300内の外乱トルク推定器370により、プレス荷重等を含む外乱トルクを、速度信号等を基に演算推定し、複合モータ制御器360に外乱トルクを相殺すべく出力することによる作用が大きい。
【0159】
成形力が作用した時、油圧シリンダ制御器350では、位置、速度の制御を司るモーションベース信号と外乱トルク推定信号(これら総和(アシスト判断量))に基づき、その量の大小によって、油圧シリンダSYL1(シリンダ小)、油圧シリンダSYL2(シリンダ大)を駆動させるべく弁指令信号群を出力し、電動モータSM(からスクリュ・ナット機構を介した)推力の不足分をシリンダ推力で補うようにしている。
【0160】
油圧シリンダ制御器350は、油圧シリンダCYL1やCYL2を駆動する時には、予め予測される圧力応答に比例する推力応答と予め予測される電動モータSMのトルク応答差を補正するような調整信号(CYL1_ON調整信号、CYL2_ON調整信号)を複合モータ制御器360に出力し、複合モータ制御器360は複合モータトルク指令信号に調整信号を加算することによって、電動モータSMからスクリュ・ナット機構を介した推力と油圧シリンダ推力とを、動的においても(複合の過度状態においても)滑らかに複合させる。
【0161】
また、この時は圧油が成形に消費され、略一定高圧信号が動作時蓄圧下限設定圧(例えば21MPa)以下になると、補助圧油供給装置230が動作して定高圧力源204に圧油が蓄積される。尚、プレス機械100の動作中は所定の圧力(動作時蓄圧上限設定圧(例えば22.5MPa))に達すると、補助圧油供給装置230による圧油の供給は停止する。
【0162】
<スライド上昇初期(加速) 成形力徐荷 アシスト解除 波形図の2.5〜2.8秒>
図17に示すように下降時と同様に、スライド110は、スライド制御装置300に基づきスライド位置制御器320で生成されたスライド目標位置指令にスライド位置が追従するように制御される。
【0163】
この時、上昇開始初期に成形力が解除され、位置、速度の制御を司るモーションベース信号と外乱トルク推定信号(これら総和(アシスト判断量))が小さくなるため、油圧シリンダ制御器350は、油圧シリンダSYL1(シリンダ小)、油圧シリンダSYL2(シリンダ大)を順次アシストOFFさせる弁指令信号群を出力する。
【0164】
また、油圧シリンダ制御器350は、油圧シリンダCYL1やCYL2をアシストOFFする時には、アシストON時と同様に調整信号を複合モータ制御器360に出力し、複合モータ制御器360は複合モータトルク指令信号に調整信号を加算することによって、電動モータSMからスクリュ・ナット機構を介した推力と油圧シリンダ推力とを、動的においても(複合の過度状態においても)滑らかに複合させる。
【0165】
<スライド上昇中期(等速) 上昇中の圧油チャージ 波形図の2.8〜4.0秒>
スライド下降時と同様に、スライド位置制御器320の積分器322(図8)では、スライド加速度指令を演算しており、チャージ信号生成器324は、スライド加速度指令から比較的大きなトルクを必要とする上昇時のスライド加速領域を過ぎた時点(図26に示す2.5秒近傍の正側のトルク絶対値が小さくなった時点)を判断して、チャージベース信号をチャージ駆動装置270に出力する。
【0166】
チャージベース信号を受けた圧油チャージ制御器340は、スライド上昇工程においては、油圧シリンダ制御器350に上昇中チャージON信号を出力する。油圧シリンダ制御器350は、上昇中チャージON信号を入力すると、油圧シリンダSYL1を駆動すべく、弁指令信号郡を出力して油圧シリンダSYL1を駆動し、その圧力はアシスト時と同様に予め設定された応答性に基づいて制御される。
【0167】
このときの油圧シリンダSYL1推力は下方向であり、電動モータSMの動作方向と反対であるため、電動モータSMは油圧シリンダSYL1の推力に相当するトルクを余計に担う。この油圧シリンダSYL1の推力に相当するトルク増加分のモータトルク指令は、アシスト作用時と同様にCYL1_ON調整信号や外乱トルク推定信号に基づいて演算される。結局、油圧シリンダSYL1はポンプ作用を行い、電動モータSMのスライド上昇時の余剰動力で、低圧力源208から定高圧力源204へ圧油をチャージする。尚、上昇チャージは、上昇開始時の所定の時点で、略一定高圧信号が上昇チャージ起動設定圧(例えば21.8MPa)以下に限り許可される。
【0168】
<スライド上昇後期(減速) 制動時エネルギ回生 波形図の4.0〜4.2秒>
スライド110は、スライド制御装置330によりスライド目標位置指令にスライド位置を追従させるように制御される結果、上死点位置に近づくと減速させられる。この時、電動モータSMのトルクは、本来減速側(下降側)に生じるが、上昇チャージ時のポンプとして油圧シリンダSYL1を(継続して)駆動する(下降側に推力が発生している)ため、加速側(上昇側)に生じている。即ち、油圧シリンダSYL1による低圧力源208から定高圧力源204にポンプ作用(圧油チャージ)を行う際の下降側の力からサーボモータ(+スクリュ機構)による上昇側の力を減じた力が制動力となり、結局、スライド110の保有している運動エネルギと電動モータSMによる上昇側動力で圧油をチャージすることになり、少なくても、スライド110の保有する運動エネルギは全て、圧油として定高圧力源208に回生される。
【0169】
〈第2の実施の形態〉
図27は本発明に係るプレス機械のスライド駆動装置の第2の実施の形態の全体構成を示す概略図である。尚、図1に示した第1の実施の形態と共通する部分には同一の符号を付し、その詳細な説明は省略する。
【0170】
図27に示す第2の実施の形態のプレス機械のスライド駆動装置は、図1に示した第1の実施の形態のものとは、主としてプレス機械100’及びスライド制御装置300’が異なる。
【0171】
[プレス機械の構成]
このプレス機械100’は、ベッド102、コラム104及びクラウン106でフレームが構成され、スライド(可動盤)110は、コラム104に設けられたガイド部108により鉛直方向に移動自在に案内されている。
【0172】
スライド110を駆動する駆動手段として、二重油圧シリンダSYLと、電動モータSM1a,SM2a及びSM1b,SM2bの出力トルクが伝達される一対のスクリュ・ナット機構とが設けられている。
【0173】
二重油圧シリンダSYLは、受圧面積の小さい油室140を含む油圧シリンダSYL1と、受圧面積の大きい油室141、142を含む油圧シリンダSYL2とからなり、この二重油圧シリンダSYLのシリンダ本体がクラウン106に固定され、ピストンロッドがスライド110に固定されており、スライド110の全ストロークにわたって推力をスライド110に伝達できるようになっている。尚、油室140、141は、それぞれ管路222、224に接続され、油室142は自重落下防止装置250に接続されている。
【0174】
一対のスクリュ・ナット機構は、それぞれ軸受け112a,112bを介してクラウン106に回転自在に固定された駆動スクリュウ120a,120bと、スライド110に固定されるとともに前記駆動スクリュウ120a,120bと螺合する従動ナット122a,122bとから構成されており、駆動スクリュウ120a,120bbには減速機124a,124bを介して電動モータSM1a,SM2a及びSM1b,SM2bの出力トルクが伝達されるようになっている。尚、一対のスクリュ・ナット機構は、スライド110の中心に対して対称の位置に配設されている。
【0175】
また、プレス機械100’のベース102側には、スライド110の左右のスライド位置をそれぞれ検出するスライド位置検出器130a,130bが設けられ、電動モータSM1a,SM2aと、電動モータSM1b,SM2bには、各駆動軸の角速度を検出する駆動軸角速度検出器132a,132bが設けられている。
【0176】
スライド位置検出器130a,130bからは、位置信号処理装置131a,131bを介してスライド110の左右のスライド位置を示すスライド位置信号a,bがスライド制御装置300’に出力され、駆動軸角速度検出器132a,132bからは、モータ駆動装置390a,390bを介して各駆動軸の角速度信号(モータ角速度信号a,b)がスライド制御装置300’に出力されている。また、モータ駆動装置390a,390bからはそれぞれモータトルク信号a,bがスライド制御装置300’に出力されている。
【0177】
〔スライド制御〕
次に、図27に示したスライド制御装置300’について、図28を参照しながら説明する。尚、図7に示したスライド制御装置300と共通する部分には同一の符号を付し、その詳細な説明は省略する。
【0178】
図28に示すようにスライド制御装置300’は、スライド統括制御器310と、スライド位置制御器320’と、速度制御器330’と、圧油チャージ制御器340と、油圧シリンダ制御器350と、複合モータ制御器360’と、外乱トルク推定器370a,370bと、モータ制御器380a、380bとから構成されている。
【0179】
スライド位置制御器320’は、図8に示したスライド位置制御器320と同様な構成を有するが、スライド位置検出器130a,130bから位置信号処理装置131a,131bを介してスライド110の左右のスライド位置を示すスライド位置信号a,bを入力しているため、スライド110の左右の速度指令信号a,bを個別に演算して出力する。また、このスライド位置制御器320’からはチャージベース信号は出力せず、モータ角速度信号a,bを入力している加速度演算器326からチャージベース信号を圧油チャージ制御器340に出力している。この加速度演算器326は、モータ角速度信号a,bからスライド110の左右平均の加速度を演算し、その加速度に基づいてチャージベース信号を生成して圧油チャージ制御器340に出力している。
【0180】
速度制御器330’には、速度指令信号a,bと、モータ角速度信号a,bとが加えられており、速度制御器330’は、これらの入力信号に基づいて位置、速度の制御を司るモーションベース信号と、複合モータトルク指令信号a,bとを演算する。前記モーションベース信号は、油圧シリンダ制御器350に出力され、複合モータトルク指令信号a,bは複合モータ制御器360’及び外乱トルク推定器370a,370bに出力される。
【0181】
外乱トルク推定器370aには、前記複合モータトルク指令信号aの他に、モータトルク信号(有効電流信号)aと、モータ角速度信号aが加えられており、外乱トルク推定器370aは、モータ角速度信号a等を基にプレス荷重等を含む外乱トルクを演算推定する。同様に、外乱トルク推定器370bには、前記複合モータトルク指令信号bの他に、モータトルク信号(有効電流信号)bと、モータ角速度信号bが加えられており、外乱トルク推定器370bは、モータ角速度信号b等を基にプレス荷重等を含む外乱トルクを演算推定する。これらの外乱トルク推定器370a,bは、それぞれ演算した外乱トルクを示す外乱トルク推定信号a,bを、油圧シリンダ制御器350及び複合モータ制御器360’に出力する。
【0182】
複合モータ制御器360’は、入力する複合モータトルク指令信号aと外乱トルク推定信号aとを加算してプレス荷重等を含む外乱トルクを考慮した複合モータトルク指令信号を得、この複合モータトルク指令信号から調整信号(CYL1_ON調整信号、CYL2_ON調整信号)を減算し、その減算結果をモータトルク指令信号aとして出力するとともに、入力する複合モータトルク指令信号bと外乱トルク推定信号bとを加算して複合モータトルク指令信号を得、この複合モータトルク指令信号から調整信号を減算し、その減算結果をモータトルク指令信号bとして出力する。
【0183】
モータ制御器380a,380bには、それぞれ複合モータ制御器360からモータトルク指令信号a、bが加えられ、モータ駆動装置390a,bからモータトルク信号a,b及びモータ角速度信号a,bが加えられており、モータ制御器380a、bはこれらの信号からモータ駆動信号a,bを演算し、このモータ駆動駆動信号a,bをモータ駆動装置390a,bに出力する。モータ駆動装置390a,390b(図27)は、スライド制御装置300’から入力するモータ駆動信号a,bに基づいて電動モータSM1a,SM2aと、電動モータSM1b,SM2bとを駆動する。
【0184】
即ち、第2の実施の形態のプレス機械のスライド駆動装置は、電動モータSM1a,SM2aと、電動モータSM1b,SM2bとを個別に駆動し、左右一対のスクリュ・ナット機構を介してスライド110の左右に個別に推力を加えることができ、これによりスライド110に対して偏心したプレス荷重がかかる場合でも、その偏心したプレス荷重に対応した推力を加えることができ、スライド110の平行度を高精度に維持することができる。
【0185】
〈第3の実施の形態〉
図29は本発明に係るプレス機械のスライド駆動装置の第3の実施の形態の要部構成を示す概略図である。尚、図1及び図27に示した第1及び2の実施の形態と共通する部分には同一の符号を付し、その詳細な説明は省略する。
【0186】
図29に示す第3の実施の形態のプレス機械のスライド駆動装置は、図1及び図27に示した第1及び第2の実施の形態のものとは、主としてプレス機械100”及び油圧シリンダ駆動装置200’が異なる。
【0187】
[プレス機械の構成]
このプレス機械100”は、図1に示したプレス機械100と同様に大小2本ずつの油圧シリンダSYL1(SYL1a,SYL1b)、SYL2(SYL2a,SYL2b)が設けられ、また、図27に示したプレス機械100’と同様に電動モータの出力トルクが伝達される一対のスクリュ・ナット機構が設けられている。
【0188】
尚、一対のスクリュ・ナット機構を駆動する電動モータSMa,SMbは、図28に示した第2の実施の形態のスライド制御装置300’と同様のスライド制御装置により個別に駆動制御される。
【0189】
〔油圧シリンダ駆動装置〕
第3の実施の形態の油圧シリンダ駆動装置200’は、第1の油圧シリンダ駆動装置200aと、第2の油圧シリンダ駆動装置200bとから構成され、各油圧シリンダ駆動装置は、図5に示した油圧シリンダ駆動装置200と同様に構成されている。第1の油圧シリンダ駆動装置200aには、管路222a,224aを介して図29上で左側の油圧シリンダSYL1a,SYL2aが接続され、第2の油圧シリンダ駆動装置200bには、管路222b,224bを介して図29上で右側の油圧シリンダSYL1b,SYL2bが接続されている。
【0190】
一方、第1の油圧シリンダ駆動装置200aには、弁指令信号L1_L_SLVa,L1_H_SLVa,L2_L_SLVa,及びL2_H_SLVaが加えられ、第2の油圧シリンダ駆動装置200bには、弁指令信号L1_L_SLVb,L1_H_SLVb,L2_L_SLVb,及びL2_H_SLVbが加えられる。これらの弁指令信号L1_L_SLVa,L1_H_SLVa,L2_L_SLVa,及びL2_H_SLVaと、弁指令信号L1_L_SLVb,L1_H_SLVb,L2_L_SLVb,及びL2_H_SLVbとは、図示しないスライド制御装置内の油圧シリンダ制御器により個別に生成されている。
【0191】
即ち、この油圧シリンダ駆動装置200’は、第1の油圧シリンダ駆動装置200aと、第2の油圧シリンダ駆動装置200bとにより、左側の油圧シリンダSYL1a,SYL2aと、右側の油圧シリンダSYL1b,SYL2bとを個別に駆動している。
【0192】
従って、第3の実施の形態のプレス機械のスライド駆動装置は、プレス機械100”の左右の電動モータSMaと電動モータSMbとを個別に駆動制御するとともに、左右の油圧シリンダSYL1a,SYL2aと油圧シリンダSYL1b,SYL2bとを個別に制御しており、これによりスライド110に対して偏心したプレス荷重がかかる場合でも、その偏心したプレス荷重に対応した推力を加えることができ、スライド110の平行度を高精度に維持することができる。
【0193】
尚、この実施の形態では、スライド110の位置を示すスライド位置信号を使用しているが、駆動軸角度信号を使用してもよく、また、速度信号として駆動軸角速度を使用しているが、スライド速度を使用してもよい。また、速度マイナーループフィードバック付き位置フィードバックによる制御を行っているが、速度フィードバックのみによる制御でもよい。更に、この実施の形態では、作動液として油を使用した場合について説明したが、これに限らず、水やその他の液体を使用してもよい。また、本発明は、プレス機械のスライド(可動盤)に限らず、射出成形機のダイプレートなどの各種の推力を要する産業機械や建設機械等の可動盤の駆動装置としても適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0194】
【図1】図1は本発明に係るプレス機械のスライド駆動装置の第1の実施の形態の全体構成を示す概略図である。
【図2】図2は電動モータに対する大小の油圧シリンダの静的なアシスト作用を説明するために用いた図である。
【図3】図3は電動モータ及び油圧シリンダに指令を出力する制御器の概略図である。
【図4】図4は電動モータ推力と大小の油圧シリンダ推力と、これらの推力を複合させた複合推力との関係を示すグラフである。
【図5】図5は図1に示した油圧シリンダ駆動装置及び補助圧油供給装置の内部構成を示す油圧回路図である。
【図6】図6は図1に示した自重落下防止装置及びチャージ駆動装置の内部構成を示す油圧回路図である。
【図7】図7は図1に示したスライド制御装置の内部構成を示すブロック図である。
【図8】図8は図7に示したスライド位置制御器の内部構成を示すブロック図である。
【図9】図9は図7に示した油圧シリンダ制御器における油圧シリンダのアシストON時の各指令の出力タイミングを示す図である。
【図10】図10は油圧シリンダのアシストON時における図7に示した油圧シリンダ制御器の一部を示す回路図である。
【図11】図11は図7に示した油圧シリンダ制御器における油圧シリンダのアシストOFF時の各指令の出力タイミングを示す図である。
【図12】図12は油圧シリンダのアシストOFF時における図7に示した油圧シリンダ制御器の一部を示す回路図である。
【図13】図13(A)は油圧シリンダをアシストONするCYL1_ON指令が与えられたときの油圧シリンダの圧力応答を示すグラフであり、図13(B)は電動モータに対してステップ状のトルク指令が与えられたときのトルク応答を示すグラフである。
【図14】図14(A)はCYL1_ON指令から油圧シリンダの圧力応答に至るまでの伝達関数を示す図であり、図14(B)はトルク指令から電動モータのトルク応答に至るまでの伝達関数を示す図である。
【図15】図15はCYL1_ON調整信号及びCYL2_ON調整信号を演算する図7に示した油圧シリンダ制御器及びトルク調整を行う複合モータ制御器を説明するために用いた図である。
【図16】図16はCYL1_ON調整信号及びCYL2_ON調整信号を演算する他の実施の形態の油圧シリンダ制御器及びトルク調整を行う複合モータ制御器を説明するために用いた図である。
【図17】図17は1サイクルのスライド目標位置及びスライド位置を示すグラフである。
【図18】図18は1サイクルの電動モータのモータ角速度を示すグラフである。
【図19】図19は1サイクルの電動モータによる推力を示すグラフである。
【図20】図20は1サイクルの小油圧シリンダのヘッド側圧、ロッド側圧、及び大油圧シリンダのヘッド側圧を示すグラフである。
【図21】図21は1サイクルの小油圧シリンダのヘッド側推力、ロッド側推力、及び大油圧シリンダのヘッド側推力を示すグラフである。
【図22】図22は1サイクルの小油圧シリンダのヘッド側油量、ロッド側油量、及び大油圧シリンダのヘッド側油量を示すグラフである。
【図23】図23は1サイクルの定高圧力源の圧力を示すグラフである。
【図24】図24は1サイクルの定高圧力源の油量を示すグラフである。
【図25】図25は1サイクルのプレス荷重を示すグラフである。
【図26】図26は1サイクルのスライド加速度指令を示すグラフである。
【図27】図27は本発明に係るプレス機械のスライド駆動装置の第2の実施の形態の全体構成を示す概略図である。
【図28】図28は図27に示したスライド制御装置の内部構成を示すブロック図である。
【図29】図29は本発明に係るプレス機械のスライド駆動装置の第3の実施の形態の要部構成を示す概略図である。
【符号の説明】
【0195】
100、100’、100”…プレス機械、110…スライド、120、120a、120b…駆動スクリュウ、122、122a、122b…従動ナット、130,130a、130b…スライド位置検出器、132、132a、132b…駆動軸角速度検出器、200、200’…油圧シリンダ制御器、202,206…アキュムレータ、204…定高圧力源、208…低圧力源、210…弁駆動装置、200a…第1の油圧シリンダ制御器、200b…第2の油圧シリンダ制御器、230…補助圧油供給装置、231…電動機、232…油圧ポンプ、234、253、254…電磁方向切換弁、235、271…逆止弁、250…自重落下防止装置、251、252、272…パイロット操作逆止弁、270…チャージ駆動装置、300、300’…スライド制御装置、310…スライド統括制御器、320、320’…スライド位置制御器、322…微分器、323…積分器、324…チャージ信号生成器、325…制御演算器、326…加速度演算器、330、330’…速度制御器、340…圧油チャージ制御器、350、350’…油圧シリンダ制御器、360、360’…複合モータ制御器、370、370a、370b…外乱トルク推定器、380、380a、380b…モータ制御器、390、390a、390b…モータ駆動装置、SM、SM1a、SM2a、SM1b、SM2b、SMa、SMb…電動モータ、SYL、SYL1、SYL2、SYL1a、SYL1b、SYL2a、SYL2b…油圧シリンダ、P_H 、P_1_D、P_2_D …圧力検出器、V1_D_H、V1_D_L、V2_D_H、V2_D_L…の弁、S1_D_L、S1_D_H、S2_D_L、S2_D_…スプール位置検出器

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電動モータと、
前記電動モータの出力トルクを可動盤を移動させるための推力として該可動盤に伝達させるスクリュ・ナット機構と、
略一定圧力の作動液を発生する定高圧力源と低圧力源に弁を介して接続された単数又は複数の液圧シリンダと、
前記液圧シリンダの推力を前記可動盤に伝達する推力伝達手段であって、前記スクリュ・ナット機構の任意のストローク位置で随時推力が伝達可能なように連結する推力伝達手段と、
前記可動盤の速度又は前記電動モータの駆動軸からスクリュ・ナット機構までのいずれかの回転部の角速度を検出する速度検出手段と、
前記速度検出手段によって検出された速度又は角速度に基づいて前記電動モータ及び液圧シリンダを制御する制御手段と、を備え、
前記制御手段は、前記可動盤の負荷が小さくなる所定の期間に前記液圧シリンダの少なくとも1つの液圧シリンダをポンプとして作用させ、前記電動モータから前記スクリュ・ナット機構、可動盤及び推力伝達手段を介して前記液圧シリンダに伝達される推力により前記低圧力源から前記定高圧力源に作動液をチャージさせることを特徴とする可動盤の駆動装置。
【請求項2】
前記定高圧力源、低圧力源及び液圧シリンダを含んで構成される作動液が循環する液圧装置は、大気と遮断されていることを特徴とする請求項1に記載の可動盤の駆動装置。
【請求項3】
前記定高圧力源は、作動液を略一定高圧に保持するアキュムレータを含んで構成されることを特徴とする請求項1に記載の可動盤の駆動装置。
【請求項4】
前記低圧力源は、作動液を大気圧のタンク又は略一定低圧に保持するアキュムレータを含んで構成されることを特徴とする請求項1に記載の可動盤の駆動装置。
【請求項5】
前記定高圧力源は、略一定圧力の作動液を供給する作動液補助供給手段が接続されることを特徴とする請求項1に記載の可動盤の駆動装置。
【請求項6】
前記電動モータは、少なくとも1つのサーボモータを含む複数の電動モータを含むことを特徴とする請求項1に記載の可動盤の駆動装置。
【請求項7】
前記電動モータの出力トルクは、減速機を介して前記スクリュ・ナット機構に伝達されることを特徴とする請求項1に記載の可動盤の駆動装置。
【請求項8】
前記液圧シリンダは、シリンダ径の異なる2種類以上のシリンダが用いられていることを特徴とする請求項1に記載の可動盤の駆動装置。
【請求項9】
前記液圧シリンダは、シリンダ径の同一な一対の液圧シリンダを含み、前記一対の液圧シリンダは前記可動盤の中心に対して対称の位置に配置されるとともに、前記一対の液圧シリンダの圧液接続ポート間は、作動液が同時に供給可能に接続されていることを特徴とする請求項1に記載の可動盤の駆動装置。
【請求項10】
前記液圧シリンダは、少なくとも1つの液圧シリンダのピストロッド側の圧液接続ポートが前記低圧力源に常時通じるように接続されていることを特徴とする請求項1に記載の可動盤の駆動装置。
【請求項11】
前記可動盤は鉛直方向に移動可能に案内され、前記液圧シリンダはシリンダ下室側の圧液接続ポートにパイロット操作逆止弁が接続され、非駆動時に前記可動盤の自重を支えることを特徴とする請求項1に記載の可動盤の駆動装置。
【請求項12】
前記可動盤の目標速度又は前記回転部の目標角速度を指令する速度指令手段を備え、
前記制御手段は、前記速度指令手段によって指令された目標速度又は目標角速度、及び前記速度検出手段によって検出された速度又は角速度に基づいて前記電動モータ及び液圧シリンダを制御することを特徴とする請求項1に記載の可動盤の駆動装置。
【請求項13】
前記可動盤の目標位置又は前記回転部の目標角度を指令する位置指令手段と、前記可動盤の位置又は前記回転部の角度を検出する位置検出手段とを備え、
前記制御手段は、前記位置指令手段によって指令された目標位置又は目標角度、前記位置検出手段によって検出された位置又は角度、及び前記速度検出手段によって検出された速度又は角速度に基づいて前記電動モータ及び液圧シリンダを制御することを特徴とする請求項1に記載の可動盤の駆動装置。
【請求項14】
前記制御手段は、
前記位置指令手段によって指令された目標位置又は目標角度、前記位置検出手段によって検出された位置又は角度、及び前記速度検出手段によって検出された速度又は角速度に基づいて前記電動モータを制御するための複合モータトルク指令信号を演算する複合モータトルク指令演算手段と、
前記複合モータトルク指令信号に基づいて前記電動モータを制御するモータ制御手段と、を有することを特徴とする請求項13に記載の可動盤の駆動装置。
【請求項15】
前記可動盤の目標位置又は前記回転部の目標角度を指令する位置指令手段と、前記可動盤の位置又は前記回転部の角度を検出する位置検出手段とを備え、
前記制御手段は、
前記位置指令手段によって指令された目標位置又は目標角度、前記位置検出手段によって検出された位置又は角度、及び前記速度検出手段によって検出された速度又は角速度に基づいて前記液圧シリンダを制御するためのモーションベース信号を演算するモーションベース演算手段と、
前記モーションベース信号に基づいて前記液圧シリンダを制御するシリンダ制御手段と、を有することを特徴とする請求項1に記載の可動盤の駆動装置。
【請求項16】
前記可動盤の目標位置又は前記回転部の目標角度を指令する位置指令手段と、前記可動盤の位置又は前記回転部の角度を検出する位置検出手段とを備え、
前記制御手段は、
前記位置指令手段によって指令された目標位置又は目標角度、前記位置検出手段によって検出された位置又は角度、及び前記速度検出手段によって検出された速度又は角速度に基づいて前記液圧シリンダを制御するためのモーションベース信号を演算するモーションベース演算手段と、
前記位置指令手段によって指令された目標位置又は目標角度、前記位置検出手段によって検出された位置又は角度、及び前記速度検出手段によって検出された速度又は角速度に基づいて前記電動モータを制御するための複合モータトルク指令信号を演算する複合モータトルク指令演算手段と、
前記複合モータトルク指令信号、及び前記速度検出手段によって検出された速度又は角速度に基づいて前記可動盤の駆動に伴う外乱トルクを推定して該外乱トルクを示す外乱トルク推定信号を演算する外乱トルク推定手段と、
前記モーションベース信号及び前記外乱トルク推定信号に基づいて前記液圧シリンダを制御するシリンダ制御手段と、を有することを特徴とする請求項1に記載の可動盤の駆動装置。
【請求項17】
前記可動盤の目標位置又は前記回転部の目標角度を指令する位置指令手段と、前記可動盤の位置又は前記回転部の角度を検出する位置検出手段とを備え、
前記制御手段は、
前記位置指令手段によって指令された目標位置又は目標角度、前記位置検出手段によって検出された位置又は角度、及び前記速度検出手段によって検出された速度又は角速度に基づいて前記電動モータを制御するための複合モータトルク指令信号を演算する複合モータトルク指令演算手段と、
前記複合モータトルク指令信号、及び前記速度検出手段によって検出された速度又は角速度に基づいて前記可動盤の駆動に伴う外乱トルクを推定して該外乱トルクを示す外乱トルク推定信号を演算する外乱トルク推定手段と、
前記複合モータトルク指令信号及び前記外乱トルク推定信号に基づいて前記電動モータを制御するモータ制御手段と、を有することを特徴とする請求項1に記載の可動盤の駆動装置。
【請求項18】
前記制御手段は、前記弁の開口量を制御することにより前記液圧シリンダを制御することを特徴とする請求項1に記載の可動盤の駆動装置。
【請求項19】
前記制御手段は、前記弁の開口量を指令する指令信号の発生時から前記液圧シリンダの圧力が所定値に達するまでの応答性に基づいて前記電動モータを制御することを特徴とする請求項18に記載の可動盤の駆動装置。
【請求項20】
前記可動盤の目標位置又は前記回転部の目標角度を指令する位置指令手段を備え、
前記制御手段は、
前記位置指令手段によって指令された目標位置又は目標角度、前記位置検出手段によって検出された位置又は角度、及び前記速度検出手段によって検出された速度又は角速度に基づいて前記電動モータを制御するための複合モータトルク指令信号を演算する複合モータトルク指令演算手段と、
前記複合モータトルク指令信号、前記弁の開口量を指令する指令信号の発生時から前記液圧シリンダの圧力が所定値に達するまでの第1の応答性、及び前記電動モータへのトルク指令又は電流指令から前記指令されたトルク又は電流に達するまでの第2の応答性に基づいて前記電動モータを制御するモータ制御手段と、を有することを特徴とする請求項18に記載の可動盤の駆動装置。
【請求項21】
前記可動盤の目標位置又は前記回転部の目標角度を指令する位置指令手段と、前記液圧シリンダの圧力を検出する圧力検出手段とを備え、
前記制御手段は、
前記位置指令手段によって指令された目標位置又は目標角度、前記位置検出手段によって検出された位置又は角度、及び前記速度検出手段によって検出された速度又は角速度に基づいて前記電動モータを制御するための複合モータトルク指令信号を演算する複合モータトルク指令演算手段と、
前記複合モータトルク指令信号、及び前記圧力検出手段によって検出された圧力に基づいて前記電動モータを制御するモータ制御手段と、を有することを特徴とする請求項1に記載の可動盤の駆動装置。
【請求項22】
前記液圧シリンダの圧力を検出する圧力検出手段と、前記弁の開口量を検出する開口量検出手段とを備え、
前記制御手段は、
前記速度検出手段によって検出された速度又は角速度に基づいて前記液圧シリンダを制御するための液圧シリンダ制御信号を演算する演算手段と、
前記液圧シリンダ制御信号、前記圧力検出手段によって検出された圧力、及び前記開口量検出手段によって検出された開口量に基づいて前記液圧シリンダを制御するシリンダ制御手段と、を有することを特徴とする請求項1に記載の可動盤の駆動装置。
【請求項23】
前記演算手段は、略一定低圧状態と略一定高圧状態の2つの定常状態の間で変化するシリンダ圧力を示す液圧シリンダ制御信号を算出し、
前記シリンダ制御手段は、前記液圧シリンダが2つの定常状態の間で変化するシリンダ圧力の過渡期に限り、前記液圧シリンダ制御信号、前記圧力検出手段によって検出された圧力、及び前記開口量検出手段によって検出された開口量に基づいて前記液圧シリンダを制御することを特徴とする請求項21に記載の可動盤の駆動装置。
【請求項24】
前記弁は、前記定高圧力源と前記液圧シリンダとの間に介在する第1の弁と、前記低圧源と前記液圧シリンダとの間に介在する第2の弁とからなり、
前記制御手段は、前記第1の弁を遮断した後に前記第2の弁を開き、又は前記第2の弁を遮断した後に前記第1の弁を開くように前記第1の弁及び第2の弁を制御することを特徴とする請求項1に記載の可動盤の駆動装置。
【請求項25】
前記制御手段は、略一定低圧状態(P0)と略一定高圧状態(P1)の2つの定常状態の間で変化するシリンダ圧力を示す液圧シリンダ制御信号を算出する演算手段と、前記液圧シリンダ制御信号に基づいて前記弁を制御する弁制御手段とを有し、
前記弁は、前記液圧シリンダ制御信号の変化時点から遅くとも60ms以内に2つの定常状態の間で少なくとも|P1−P0|の50%以上の変化が可能な開口量及び応答性を有するものであることを特徴とする請求項1に記載の可動盤の駆動装置。
【請求項26】
前記可動盤の加速度又は前記回転部の角加速度を検出する加速度検出手段を備え、
前記制御手段は、前記加速度検出手段によって検出された角速度又は角加速度に基づいて前記液圧シリンダの少なくとも1つの液圧シリンダをポンプとして作用させることを特徴とする請求項1に記載の可動盤の駆動装置。
【請求項27】
前記加速度検出手段は、前記速度検出手段によって検出された速度又は角速度に基づいて前記加速度又は角加速度を算出することを特徴とする請求項26に記載の可動盤の駆動装置。
【請求項28】
前記制御手段は、前記速度指令手段によって指令された目標速度又は目標角速度に基づいて角速度又は角加速度を算出する加速度演算手段を有し、前記算出した角速度又は角加速度に基づいて前記液圧シリンダの少なくとも1つの液圧シリンダをポンプとして作用させることを特徴とする請求項12に記載の可動盤の駆動装置。
【請求項29】
前記電動モータは、1つのスクリュ・ナット駆動機構に2個以上接続されることを特徴とする請求項1に記載の可動盤の駆動装置。
【請求項30】
前記スクリュ・ナット駆動機構は1つの可動盤に対して複数配設され、前記電動モータは各スクリュ・ナット駆動機構別に設けられていることを特徴とする請求項1に記載の可動盤の駆動装置。
【請求項31】
前記液圧シリンダは、同一方向に動作可能な独立した複数の受圧面を有することを特徴とする請求項1に記載の可動盤の駆動装置。
【請求項32】
前記可動盤の目標位置又は前記回転部の目標角度を指令する位置指令手段と、
前記可動盤の位置又は前記回転部の角度を検出する第1の位置検出手段と、
前記可動盤の前記第1の位置検出手段によって検出される位置とは異なる位置、又は前記可動盤に配設された複数のスクリュ・ナット駆動機構のうちの前記回転部と異なるスクリュ・ナット駆動機構に係わる回転部の角速度を検出する第2の位置検出手段と、を備え、
前記速度検出手段は、前記可動盤の位置の速度又は前記電動モータの駆動軸からスクリュ・ナット機構までのいずれかの回転部の角速度を検出する第1の速度検出手段と、前記可動盤の前記第1の速度検出手段によって速度検出される位置とは異なる位置の速度、又は前記可動盤に配設された複数のスクリュ・ナット駆動機構のうちの前記回転部と異なるスクリュ・ナット駆動機構に係わる回転部の角加速度を検出する第2の速度検出手段とを有し、
前記制御手段は、
前記位置指令手段によって指令された目標位置又は目標角度、前記第1及び第2の位置検出手段によって検出された位置又は角度、及び前記第1及び第2の速度検出手段によって検出された速度又は角速度に基づいて前記複数の電動モータ及び液圧シリンダを制御することを特徴とする請求項30に記載の可動盤の駆動装置。
【請求項33】
前記制御手段は、
前記位置指令手段によって指令された目標位置又は目標角度、前記第1の位置検出手段によって検出された位置又は角度、及び前記第1の速度検出手段によって検出された速度又は角速度に基づいて前記複数の電動モータのうちの第1の電動モータを制御するための第1の複合モータトルク指令信号を演算する第1の複合モータトルク指令演算手段と、
前記位置指令手段によって指令された目標位置又は目標角度、前記第2の位置検出手段によって検出された位置又は角度、及び前記第2の速度検出手段によって検出された速度又は角速度に基づいて前記第1の電動モータとは異なるスクリュ・ナット駆動機構を駆動する第2の電動モータを制御するための第2の複合モータトルク指令信号を演算する第2の複合モータトルク指令演算手段と、
前記第1の複合モータトルク指令信号、及び前記第1の速度検出手段によって検出された速度又は角速度に基づいて前記可動盤の駆動に伴う第1の外乱トルクを推定して該第1の外乱トルクを示す第1の外乱トルク推定信号を演算する第1の外乱トルク推定手段と、
前記第2の複合モータトルク指令信号、及び前記第2の速度検出手段によって検出された速度又は角速度に基づいて前記可動盤の駆動に伴う第2の外乱トルクを推定して該第2の外乱トルクを示す第2の外乱トルク推定信号を演算する第2の外乱トルク推定手段と、
前記第1の複合モータトルク指令信号、及び前記第1の外乱トルク推定信号に基づいて前記第1の電動モータを制御する第1のモータ制御手段と、
前記第2の複合モータトルク指令信号、及び前記第2の外乱トルク推定信号に基づいて前記第2の電動モータを制御する第2のモータ制御手段と、を有することを特徴とする請求項32に記載の可動盤の駆動装置。
【請求項34】
前記可動盤の目標位置又は前記回転部の目標角度を指令する位置指令手段と、前記可動盤の位置又は前記回転部の角度を検出する位置検出手段とを備え、
前記液圧シリンダは1つの可動盤に対して複数配設され、
前記速度検出手段は、前記可動盤の速度又は前記電動モータの駆動軸からスクリュ・ナット機構までのいずれかの回転部の角速度を検出する第1の速度検出手段と、前記可動盤の前記第1の速度検出手段によって速度検出される位置とは異なる位置の速度、又は前記可動盤に配設された複数のスクリュ・ナット駆動機構のうちの前記回転部と異なるスクリュ・ナット駆動機構に係わる回転部の角加速度を検出する第2の速度検出手段とを有し、 前記制御手段は、
前記位置指令手段によって指令された目標位置又は目標角度、前記位置検出手段によって検出された位置又は角度、及び前記第1及び第2の速度検出手段によってそれぞれ検出された速度又は角速度のうちの少なくとも一方の速度又は角速度に基づいて前記電動モータを制御するための複合モータトルク指令信号を演算する複合モータトルク指令演算手段と、
前記位置指令手段によって指令された目標位置又は目標角度、前記位置検出手段によって検出された位置又は角度、及び前記第1及び第2の速度検出手段によってそれぞれ検出された速度又は角速度のうちの少なくとも一方の速度又は角速度に基づいて前記液圧シリンダを制御するためのモーションベース信号を演算するモーションベース演算手段と、
前記複合モータトルク指令信号、及び前記第1の速度検出手段によって検出された速度又は角速度に基づいて前記可動盤の駆動に伴う第1の外乱トルクを推定して該第1の外乱トルクを示す外乱トルク推定信号を演算する第1の外乱トルク推定手段と、
前記複合モータトルク指令信号、及び前記第2の速度検出手段によって検出された速度又は角速度に基づいて前記可動盤の駆動に伴う第2の外乱トルクを推定して該第2の外乱トルクを示す外乱トルク推定信号を演算する第2の外乱トルク推定手段と、
前記モーションベース信号、及び前記第1の外乱トルク推定信号に基づいて前記複数の液圧シリンダのうちの第1の液圧シリンダを制御する第1のシリンダ制御手段と、
前記モーションベース信号、及び前記第2の外乱トルク推定信号に基づいて前記複数の液圧シリンダのうちの第2の液圧シリンダを制御する第2のシリンダ制御手段と、を有することを特徴とする請求項1に記載の可動盤の駆動装置。
【請求項35】
前記スクリュ・ナット駆動機構は1つの可動盤に対して複数配設され、前記電動モータは各スクリュ・ナット駆動機構別に設けられ、
前記位置検出手段は、前記可動盤の位置又は前記回転部の角度を検出する第1の位置検出手段と、前記可動盤の前記第1の位置検出手段によって検出される位置とは異なる位置、又は前記可動盤に配設された複数のスクリュ・ナット駆動機構のうちの前記回転部と異なるスクリュ・ナット駆動機構に係わる回転部の角速度を検出する第2の位置検出手段とを有し、
前記複合モータトルク指令信号演算手段は、前記位置指令手段によって指令された目標位置又は目標角度、前記第1の位置検出手段によって検出された位置又は角度、及び前記第1の速度検出手段によって検出された速度又は角速度に基づいて複数の電動モータのうちの第1の電動モータを制御するための第1の複合モータトルク指令信号を演算する第1の複合モータトルク指令演算手段と、前記位置指令手段によって指令された目標位置又は目標角度、前記第2の位置検出手段によって検出された位置又は角度、及び前記第2の速度検出手段によって検出された速度又は角速度に基づいて複数の電動モータのうちの第2の電動モータを制御するための第2の複合モータトルク指令信号を演算する第2の複合モータトルク指令演算手段とを有し、
前記第1の外乱トルク推定手段は、前記第1の複合モータトルク指令信号、及び前記第1の速度検出手段によって検出された速度又は角速度に基づいて前記可動盤の駆動に伴う第1の外乱トルクを推定して該第1の外乱トルクを示す外乱トルク推定信号を演算し、
前記第2の外乱トルク推定手段は、前記第2の複合モータトルク指令信号、及び前記第2の速度検出手段によって検出された速度又は角速度に基づいて前記可動盤の駆動に伴う第2の外乱トルクを推定して該第2の外乱トルクを示す外乱トルク推定信号を演算することを特徴とする請求項34に記載の可動盤の駆動装置。
【請求項36】
請求項1乃至35のいずれかに記載の可動盤の駆動装置を含み、前記可動盤はプレス機械のスライドであることを特徴とするプレス機械のスライド駆動装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【公開番号】特開2006−192458(P2006−192458A)
【公開日】平成18年7月27日(2006.7.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−5384(P2005−5384)
【出願日】平成17年1月12日(2005.1.12)
【出願人】(000100861)アイダエンジニアリング株式会社 (153)
【Fターム(参考)】