説明

可変ノズル付きタービン

【課題】タービンハウジングからアクチュエータへ伝わる熱量を低減できる構成を備える可変ノズル付きタービンを提供する。
【解決手段】可変ノズル付きタービン10は、駆動用ガスにより回転軸回りに回転駆動されるタービン翼3と、タービン翼を内部に収容しタービン翼へ駆動用ガスを供給する流路5aが内部に形成されたタービンハウジング5と、流路5aに設けられた可動翼7と、可動翼7を伝動機構43を介して駆動することにより駆動用ガスの流速を調節するアクチュエータ9と、タービンハウジング5に取り付けられた取り付け部材11とを備える。アクチュエータ9は、タービンハウジングから半径方向外側に空間37を隔てて位置するように、取り付け部材11に結合されている。タービン軸方向に空間37に連通する貫通穴11cが、取り付け部材11に形成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、可変ノズル付きタービンに関する。
【背景技術】
【0002】
可変ノズル付きタービンは、タービン翼、タービンハウジング、複数の可動翼、アクチュエータ、および取り付け部材を備える、タービン翼は、駆動用ガス(エンジンの排ガス)により回転駆動される。タービンハウジングは、タービン翼を内部に収容する。タービンハウジングの内部には、タービン翼へ駆動用ガスを供給する流路が形成されている。この流路は、タービンの軸方向から見た場合、環状である。複数の可動翼は、前記流路にて、タービンの周方向に間隔を置いて設けられる。これらの可動翼により可変ノズルが構成される。アクチュエータは、複数の可動翼を伝動機構を介して駆動することにより駆動用ガスの流速を調節する。アクチュエータは、取り付け部材を介してタービンハウジングに取り付けられている。
【0003】
なお、熱伝導を抑制する先行技術文献として、下記の特許文献1がある。特許文献1では、タービンハウジングとシリンダヘッドとの間の熱伝導を防止するため、両者の間にスペーサを配置している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2005−344667号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述したアクチュエータは、高温のタービンハウジングから熱を受けることにより高温となる。そのため、タービンハウジングからアクチュエータへ伝わる熱量を低減するために、タービンハウジングとアクチュエータとの間に遮熱板を配置している。
【0006】
しかし、タービンハウジングからアクチュエータへの伝熱量をさらに低減するために上述の遮熱板に加えた構成により、または、上述の遮熱板に代わる構成により、アクチュエータの温度を低下させることが望まれる。
【0007】
そこで、本発明の目的は、上述の遮熱板に加えて、または、上述の遮熱板に代えて使用可能な構成であって、タービンハウジングからアクチュエータへ伝わる熱量を低減できる構成を備える可変ノズル付きタービンを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上述した目的を達成するため、本発明によると、駆動用ガスにより回転軸回りに回転駆動されるタービン翼と、
タービン翼を内部に収容し、タービン翼へ駆動用ガスを供給する流路が内部に形成されたタービンハウジングと、
前記流路に設けられた可動翼と、
駆動力を発生するアクチュエータと、
前記駆動力を前記可動翼に伝達することにより、駆動用ガスの流速を調節するように前記可動翼を動作させる伝動機構と、
前記タービンハウジングに取り付けられた取り付け部材と、を備え、
前記アクチュエータは、前記回転軸に対する半径方向外側に前記タービンハウジングから空間を隔てて位置するように、前記取り付け部材に結合されており、
前記平行な方向に前記空間に連通する貫通穴が、前記取り付け部材に形成されている、ことを特徴とする可変ノズル付きタービンが提供される。
【0009】
本発明の好ましい実施形態によると、前記取り付け部材は、前記回転軸と平行な方向に関してタービンハウジングの一方側に位置する。
【0010】
好ましくは、前記空間は、前記平行な方向に関して、前記貫通穴を通して該貫通穴の側に開放されているだけでなく、該貫通穴と反対側にも開放されている。
【0011】
本発明の好ましい実施形態によると、前記半径方向に関して、前記タービンハウジングと前記空間との間には第1の遮熱体が配置されている。
【0012】
また、本発明の好ましい実施形態によると、前記半径方向に関して、前記アクチュエータと前記空間との間には第2の遮熱体が配置されている。
【発明の効果】
【0013】
上述した本発明によると、前記取り付け部材は、前記回転軸と平行な方向に関してタービンハウジングの一方側に位置し、前記アクチュエータは、前記回転軸に対する半径方向外側に前記タービンハウジングから空間を隔てて位置するように、前記取り付け部材に結合されており、前記平行な方向に前記空間に連通する貫通穴が、前記取り付け部材に形成されている。
この構成により、前記貫通穴を通して前記空間から熱を外部に放射することができるので、前記空間内の温度を低下させることができる。これに伴い、アクチュエータの温度も低下させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の実施形態による可変ノズル付きタービンを備えた過給機を示す。
【図2】図1のII−II矢視図である。
【図3】(A)は、図2のIIIA−IIIA矢視図であり、(B)は、図2のIIIB−IIIB矢視図である。
【図4】図1の部分拡大図であり、伝熱抑制結合構造を示す。
【図5】図1のV−V線断面図であり、タービンハウジング近傍を示す。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明の好ましい実施形態を図面に基づいて説明する。なお、各図において共通する部分には同一の符号を付し、重複した説明を省略する。
【0016】
図1は、本発明の実施形態による可変ノズル付きタービン10を備えた過給機20を示す。図2は、図1のII−II矢視図である。
【0017】
可変ノズル付きタービン10は、タービン翼3、タービンハウジング5、可動翼7、アクチュエータ9、および取り付け部材11を備える。
【0018】
タービン翼3は、駆動用ガス(エンジンの排ガス)により回転軸Ct回りに回転駆動される。タービン10の周方向に間隔をおいて配置された複数のタービン翼3によりタービン羽根車13を構成している。
【0019】
タービンハウジング5は、タービン翼3を内部に収容するとともに、タービン翼3へ駆動用ガスを供給する流路5aを内部に形成している。流路5aは、回転軸Ctと平行な方向(以下、単にタービン軸方向という)から見た場合、環状である。
【0020】
可動翼7は、流路5aに設けられる。可動翼7は、タービン10の周方向に間隔を置いて流路5aに複数設けられる。これらの可動翼7により可変ノズルが構成される。
【0021】
アクチュエータ9は、駆動力を発生する。当該駆動力は、後述の伝動機構43を介して複数の可動翼7に伝達されることにより、駆動用ガスの流速を調節するように可動翼7を動作させる。図1の例では、アクチュエータ9はサーボモータである。
【0022】
取り付け部材11は、タービンハウジング5に取り付けられている。取り付け部材11は、タービン軸方向に関してタービンハウジング5の一方側(この例では、タービン10の排気口12a側)に位置する。排気口12aは、タービン翼3を駆動した駆動用ガスを排出する。排気口12aは、図1の例では、タービンハウジング5に取り付けられた排気口形成部材12により形成されている。
【0023】
本実施形態によると、タービンハウジング5とアクチュエータ9との間に、タービン軸方向に開放された空間37を形成している。アクチュエータ9は、タービンハウジング5から空間37を隔てて回転軸Ctに対する半径方向外側に位置するように、取り付け部材11に結合されている。取り付け部材11には、その厚み方向(タービン軸方向)に空間37に連通する貫通穴11cが形成されている。従って、空間37は、タービン軸方向に関して、取り付け部材11側に貫通穴11cを通して開放されている。
このような構成により、貫通穴11cを通して空間37から熱を外部に放射することができるので、空間37内の温度を低下させることができる。その結果、アクチュエータ9の温度も低下させることができる(なお、この効果は、貫通穴11cを形成するという簡単な構成により達成可能である)。
【0024】
空間37は、図1のように、タービン軸方向に関して、取り付け部材11と反対側にも開放することができる。図1の例では、空間37から見て、取り付け部材11と反対側には、空間34が存在しているからである。
このような構成により、タービン軸方向の一方側から空間37へ空気が流入し、空間37からタービン軸方向の他方側へ空気を流出させることができるので、空間37内の温度をさらに低下させることができる。その結果、アクチュエータ9の温度もさらに低下させることができる。
【0025】
本実施形態によると、第1および第2の遮熱体39、41の一方または両方が設けられる。図3(A)は、図2のIIIA−IIIA矢視図であり、図3(B)は、図2のIIIB−IIIB矢視図である。
【0026】
第1の遮熱体39は、タービン10の半径方向に関して、タービンハウジング5と空間37との間に配置され両者の間を遮断する。第1の遮熱体39は、図2に示すように、タービン10の半径方向にタービンハウジング5を覆う一方面39aと、タービン10の半径方向に空間37を覆う他方面39bとを有する。これらの一方面39aと他方面39bはタービン軸方向に延びている。この例では、第1の遮熱体39は、板状の部材である。第1の遮熱体39は、タービンハウジング5の材料(例えば、鋳鉄)および取り付け部材11の材料(例えば、鋳鉄)よりも熱伝導率が低い材料(例えば、ステンレス鋼(SUS))で形成されている。従って、タービン10の半径方向に関して、タービンハウジング5から空間37を介してアクチュエータ9に伝わる熱量を減らすことができる。
【0027】
第2の遮熱体41は、タービンの半径方向に関して、アクチュエータ9と空間37との間に配置され両者の間を遮断する。第2の遮熱体41は、図2に示すように、タービン10の半径方向にアクチュエータ9を覆う一方面41aと、タービン10の半径方向に空間37を覆う他方面41bとを有する。これらの一方面41aと他方面41bはタービン軸方向に延びている。この例では、第2の遮熱体41は板状の部材である。第2の遮熱体41は、タービンハウジング5の材料および取り付け部材11の材料よりも熱伝導率が低い材料(例えば、ステンレス鋼(SUS))で形成されている。従って、タービン10の半径方向に関して空間37からアクチュエータ9へ伝わる熱量を減らすことができ、その結果、タービン10の半径方向に関して、タービンハウジング5から空間37を介してアクチュエータ9に伝わる熱量を減らすことができる。
【0028】
このように、アクチュエータ9とタービンハウジング5との間に、遮熱体39、41の間の空間37が配置されていることにより、タービンハウジング5からアクチュエータ9への輻射熱を低減できる。
【0029】
第1および第2の遮熱体39、41は、取り付け部材11に結合されている。
第1の遮熱体39を取り付け部材11に結合するために、図3(A)の例では、タービン軸方向に薄い板状部分42を第1の遮熱体39と一体化させ、この板状部分42をボルト36で取り付け部材11に結合している。
第2の遮熱体41を取り付け部材11に結合するために、図3(B)の例では、タービン軸方向に薄い板状部分44を第2の遮熱体41と一体化させ、この板状部分44をボルト38で取り付け部材11に結合している。
【0030】
可変ノズル付きタービン10は、図1の例では、過給機20に設けられている。すなわち、過給機20において、タービン羽根車13は、回転シャフト15を介しコンプレッサ羽根車17に連結され、コンプレッサ羽根車17と一体的に回転するようになっている。従って、図示しないエンジンからの駆動用ガス(排ガス)によりタービン羽根車13が回転駆動されることにより、コンプレッサ羽根車17は、回転駆動されて吸入空気を圧縮してエンジンへ送出する。
【0031】
可変ノズル付きタービン10は、好ましくは、以下の構成1〜3の少なくともいずれかを有する。すなわち、可変ノズル付きタービン10は、構成1〜3のいずれかを、または、構成1〜3を任意に組み合わせたものを有する。
【0032】
(構成1)
取り付け部材11とアクチュエータ9とを結合しつつ両者間の熱伝導を抑制する伝熱抑制結合構造30を設ける。
【0033】
伝熱抑制結合構造30は、取り付け部材11と、アクチュエータ9と、ボルト19と、ナット21と、第1および第2の伝熱抑制部材23、25とを備える。図4は、図1の部分拡大図であり、伝熱抑制結合構造30を示す。
【0034】
取り付け部材11は、貫通孔27が形成されている貫通孔形成部11aを有する。図1の例では、取り付け部材11は、タービン軸方向に薄い板状であり、その前後面が該軸方向を向いている。
【0035】
ボルト19は、貫通孔27に通され、アクチュエータ9に一端側が結合している。図4の例では、ボルト19は、一端側がアクチュエータ9のボルト孔に螺合することによりアクチュエータ9に結合している。
【0036】
ナット21は、ボルト19の他端側に螺合している。ナット21とアクチュエータ9とで貫通孔形成部11aを挟み込むことにより、貫通孔形成部11a(取り付け部材11)とアクチュエータ9とを結合している。
【0037】
第1の伝熱抑制部材23は、貫通孔形成部11aとアクチュエータ9との間に配置され、両者間の熱伝導を抑制する。第1の伝熱抑制部材23は、貫通孔形成部11aに接触する接触面23aと、アクチュエータ9のフランジ部9aに接触する接触面23bとを有する。
【0038】
第2の伝熱抑制部材25は、ナット21と貫通孔形成部11aとの間に配置され、両者間の熱伝導を抑制する。第2の伝熱抑制部材25は、ナット21に接触する接触面25aと、貫通孔形成部11aに接触する接触面25bとを有する。
【0039】
第1および第2の伝熱抑制部材23、25の接触面23a、23b、25a、25bは、好ましくは多数の凹凸を有する。これにより、第1および第2の伝熱抑制部材23、25の接触面23a、23b、25a、25bと、相手側部材(すなわち、アクチュエータ9、貫通孔形成部11aまたはナット21)との接触面積を少なくすることができる。例えば、接触面23a、23b、25a、25bは、相手側部材と、多数の局所部分(点部分)でのみ接触するようにしてよい。この構成により、第1または第2の伝熱抑制部材23、25と相手側部材との熱伝導を低減できる。
なお、接触面23a、23b、25a、25bの面粗さは、一例では、25Ra程度である。
【0040】
第1および第2の伝熱抑制部材23、25は、本実施形態において、タービンハウジング5の材料および取り付け部材11の材料よりも熱伝導率が低い材料(例えば、ステンレス鋼(SUS))で形成されている。
【0041】
第1および第2の伝熱抑制部材23、25は、各ボルト19毎に設けられ、該伝熱抑制部材23、25は、該ボルト19が貫通するようになっている。そのために、伝熱抑制部材23、25は、ボルト19の軸と平行な方向から見た場合に、中心部にボルト19が貫通する環状であってよい。
【0042】
ボルト19は、貫通孔27の内周壁に接触することなく貫通孔27を貫通している。この構成で、貫通孔形成部11aとボルト19との間の熱伝導を抑制できる。
【0043】
取り付け部材11とアクチュエータ9との間に第1の伝熱抑制部材23を設けることにより、取り付け部材11とアクチュエータ9との間の直接的な熱伝導を防止できるだけでなく、ボルト19に螺合したナット21と取り付け部材11との間にも第2の伝熱抑制部材25を設けることにより、ボルト19を介した、取り付け部材11とアクチュエータ9との間の熱伝導も防止できる。その結果、アクチュエータ9の温度を約2%下げることができる。
【0044】
なお、図4において、取り付け部材11の代わりに、アクチュエータ9のフランジ部9aが、貫通孔が形成されている貫通孔形成部を有していてもよい。この場合、ボルト19は、当該貫通孔に通され、取り付け部材11に一端側が結合し、ボルト19の他端側にナット21が螺合し、ナット21と取り付け部材11とでフランジ部9aの前記貫通孔形成部を挟み込むことにより、当該貫通孔形成部を取り付け部材11に結合させ、第1の伝熱抑制部材23は、当該貫通孔形成部と取り付け部材11との間で両者に接触する接触面を有し両者間の熱伝導を抑制し、第2の伝熱抑制部材25は、ナット21と貫通孔形成部との間で両者に接触する接触面を有し両者間の熱伝導を抑制する。
【0045】
また、第1および第2の伝熱抑制部材23、25の接触面23a、23b、25a、25bが多数の凹凸を有する代わりに、上述の相手側部材が上述した多数の凹凸を有していてもよい。
【0046】
(構成2)
タービンハウジング5と取り付け部材11との間には、図1のように、スペーサ部材29が設けられる。図1の例では、スペーサ部材29は、取り付け部材11をタービンハウジング5に結合させるボルト31の位置に設けられる。すなわち、各ボルト31毎に、スペーサ部材29が設けられ、該スペーサ部材29には、該ボルト31が貫通するようになっている。そのために、スペーサ部材29は、ボルト31の軸方向から見た場合に、中心部にボルト31が貫通する環状であってよい。
このようなスペーサ部材29により、タービンハウジング5と取り付け部材11が直接接触しないようにすることができる。この構成2により、アクチュエータ9の温度を約4%下げることができる。
なお、図1、図2では、ボルト31の一端側部分がタービンハウジング5のボルト孔と螺合し、ボルト31の他端側部分にナット33を螺合させ、ナット33を締め付ける。これにより、取り付け部材11をタービンハウジング5に取り付けている。
【0047】
(構成3)
取り付け部材11におけるタービンハウジング5側のタービン軸方向を向く受熱面11bに、インシュレータ(断熱材)35を設ける。図2において、インシュレータ35は、破線による斜線部分である。図1、図2の例では、取り付け部材11がボルト31でタービンハウジング5に結合されている部位の近傍にわたってインシュレータ35が存在している。また、インシュレータ35は、受熱面11bを覆うように受熱面11bに沿って延びている。インシュレータ35は、タービンハウジング5の材料および取り付け部材11の材料よりも熱伝導率が低い材料(例えば、ステンレス鋼(SUS))で形成されている。
このようなインシュレータ35により、タービンハウジング5から取り付け部材11への輻射熱を遮断することができる。この構成3により、アクチュエータ9の温度を約5%下げることができる。
【0048】
(可変ノズルの駆動機構)
図5は、図1のV−V線断面図であり、タービンハウジング5近傍を示す。
【0049】
上述の実施形態において、アクチュエータ9はサーボモータであり、サーボモータ9の回転駆動力を、伝動機構43により複数の可動翼7に伝達して、複数の可動翼7を揺動させる。
伝動機構43は、図1、図2、図5の例では、第1〜3連結部材45、47、49、連結シャフト51、第1の揺動部材53、回動リング55、第2の揺動部材57、および回動ピン59を有する。
【0050】
第1の連結部材45の一端部が、図2のように、タービン軸方向と平行に配置されたサーボモータ9の出力シャフト9bに固定される。第1の連結部材45は、サーボモータ9により、出力シャフト9bの中心軸Caを中心に出力シャフト9bと一体的に回転駆動される。
第1の連結部材45の他端部は、第2の連結部材47に対して中心軸C1回りに回転可能に、第2の連結部材47の一端部に連結される。
第2の連結部材47の他端部は、第3の連結部材49に対して中心軸C2回りに回転可能に第3の連結部材49の一端部に連結される。
第3の連結部材49の他端部は、図1、図5のように、タービン軸方向と平行に配置された連結シャフト51の一端部に固定されている。連結シャフト51は、自身の軸回りに回転自在に取り付け部材11に支持されている。
連結シャフト51の他端部は、第1の揺動部材53の一端部に固定されている。
第1の揺動部材53の他端部は、回動リング55に係合している。
回動リング55は、タービンハウジング5に対しタービン10の中心軸Ct回りに回転可能に、タービンハウジング5に取り付けられている。
回動リング55には、タービン10の軸方向に延びる複数のピン55aが一体的に結合されており、各ピン55aには、第2の揺動部材57の一端部が係合している。
第2の揺動部材57の他端部には、回動ピン59の一端部が固定されている。回動ピン59は、自身の軸周りに回転可能に、タービンハウジング5に支持されている。
回動ピン59の他端部には可動翼7が固定されている。
【0051】
上述の構成で、サーボモータ9の出力シャフト9bが回転すると、出力シャフト9bと一体的に回転する第1の連結部材45は、第2の連結部材47を介して第3の連結部材49を連結シャフト51の軸回りに回転させる。第2の連結部材49と一体的に、連結シャフト51および第1の揺動部材53も回転する。第1の揺動部材53が回転すると、第1の揺動部材53に係合している回動リング55が、図5の矢印A方向に回動する。この回動により、回動リング55のピン55aに係合している各第2の揺動部材57は、回動ピン59と一体的に、回動ピン59の軸を中心に回動する。その結果、回動ピン59に固定されている可動翼7は、回動ピン59の軸を中心に揺動させられる。このような動作により、複数の可動翼7により構成されている可変ノズルを動作させて、タービン翼3へ供給される駆動ガスの流速を調節する。
【0052】
本発明は上述した実施の形態に限定されず、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々変更を加え得ることは勿論である。
【0053】
例えば、本発明の可変ノズル付きタービンは、上述の実施形態では過給機に設けられたものであるが、他の機器に設けられるものであってもよい。
【0054】
また、上述の実施形態では、遮熱体39、41は2つ設けられ、空間37は1つ設けられ、貫通穴11cは1つ設けられていたが、遮熱体39、41、空間37および貫通穴11cの数は、これらに限定されない。すなわち、タービン10の半径方向に関して、タービンハウジング5とアクチュエータ9の間に、1個または3個以上の遮熱体(遮熱板)が間隔(空間37)を置いて設けられてもよい。
n個の遮熱体(遮熱板)が設けられる場合、半径方向に隣接する遮熱体により区画される空間37は、(n−1)個になる。当該各空間37には、貫通穴11cがタービン10の軸方向に連通するので、貫通穴11cは(n−1)個になる。
1つの遮熱体(遮熱板)が設けられる場合、上述した第1および第2の遮熱体39、41の一方が省略される。
【符号の説明】
【0055】
3 タービン翼、5 タービンハウジング、5a 流路、7 可動翼、9 アクチュエータ(サーボモータ)、10 可変ノズル付きタービン、11 取り付け部材、37 空間、39 第1の遮熱体、41 第2の遮熱体、43 伝動機構

【特許請求の範囲】
【請求項1】
駆動用ガスにより回転軸回りに回転駆動されるタービン翼と、
タービン翼を内部に収容し、タービン翼へ駆動用ガスを供給する流路が内部に形成されたタービンハウジングと、
前記流路に設けられた可動翼と、
駆動力を発生するアクチュエータと、
前記駆動力を前記可動翼に伝達することにより、駆動用ガスの流速を調節するように前記可動翼を動作させる伝動機構と、
前記タービンハウジングに取り付けられた取り付け部材と、を備え、
前記アクチュエータは、前記回転軸に対する半径方向外側に前記タービンハウジングから空間を隔てて位置するように、前記取り付け部材に結合されており、
前記平行な方向に前記空間に連通する貫通穴が、前記取り付け部材に形成されている、ことを特徴とする可変ノズル付きタービン。
【請求項2】
前記空間は、前記平行な方向に関して、前記貫通穴を通して該貫通穴の側に開放されているだけでなく、該貫通穴と反対側にも開放されている、ことを特徴とする請求項1に記載の可変ノズル付きタービン。
【請求項3】
前記半径方向に関して、前記タービンハウジングと前記空間との間には第1の遮熱体が配置されている、ことを特徴とする請求項1または2に記載の可変ノズル付きタービン。
【請求項4】
前記半径方向に関して、前記アクチュエータと前記空間との間には第2の遮熱体が配置されている、ことを特徴とする請求項1、2または3に記載の可変ノズル付きタービン。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2012−102642(P2012−102642A)
【公開日】平成24年5月31日(2012.5.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−250482(P2010−250482)
【出願日】平成22年11月9日(2010.11.9)
【出願人】(000000099)株式会社IHI (5,014)
【Fターム(参考)】