説明

可変容量ターボチャージャ

【課題】バリアブルノズルを駆動するアクチュエータ及び動力伝達部材の周囲から排気ガスが可変容量ターボチャージャの外部に漏れることを防止できる可変容量ターボチャージャを提供する。
【解決手段】タービンシャフトと、吸気側タービンと、排気側タービンと、排気側ハウジングと、吸気側ハウジングと、タービンシャフトを回転可能に支持する軸受ハウジングと、排気側ハウジング内に設けられたバリアブルノズルと、バリアブルノズルを駆動するアクチュエータとを備え、バリアブルノズルは動力伝達部材を介してアクチュエータから駆動されており、アクチュエータ50は、吸気側ハウジング11の外部に露出することなく吸気側ハウジング内に収容されており、動力伝達部材40は、吸気側ハウジング11と軸受ハウジング13と排気側ハウジング12とにて構成されるターボハウジング10の外部に露出することなくターボハウジング10内に収容されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、排気ガスの流路の開度を調節するバリアブルノズルを有する可変容量ターボチャージャに関し、特にバリアブルノズルを駆動するアクチュエータ及び動力伝達部材の取付構造に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、エンジンの出力特性の改善等を目的として、排気ガスの流速を利用してタービンを回転させて吸入空気を過給する種々のターボチャージャが開発されている。
近年では、エンジンの回転数等に応じて(排気ガスの量に応じて)、排気ガスの流入口から排気側タービンに至る流路の開度をバリアブルノズルを用いて調節し、エンジンが低回転時であって排気ガスの量が少ない場合であっても、適切に流速を増加させてタービン回転数を確保し、適切な過給を行うことができる、種々の可変容量ターボチャージャが開示されている。
例えば特許文献1に記載された従来技術には、排気側ハウジング内のバリアブルノズルを駆動するアクチュエータを排気側ハウジングに取り付け、バリアブルノズルの駆動軸とアクチュエータの出力軸とを同軸上で連結し、アクチュエータの出力軸回りに開放された空間部を設けた、可変ターボ駆動用アクチュエータの取付構造が開示されている。この構造では、出力軸回りに開放空間部を設けることで放熱性を向上させ、アクチュエータのオイルシールが熱によって損傷することを回避している。
また、特許文献2に記載された従来技術には、タービンの軸線方向にアクチュエータを配置し、アクチュエータの駆動力をバリアブルノズルに伝達するロッドをタービンの軸線方向と平行に配置し、アクチュエータ及びロッドが、可変容量過給機から大きく張り出さない構造として、内燃機関への搭載性を向上させる、可変容量過給機が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2004−76654号公報
【特許文献2】特開平9−296731号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ここで、特許文献1に記載された、可変ターボ駆動用アクチュエータの取付構造について、図6(A)を用いて概略を説明する。特許文献1では、吸気側ハウジング111と排気側ハウジング112との間の空間に油圧で駆動するアクチュエータ150を配置し、アクチュエータ150の出力軸153を、軸受ハウジング113を貫通させてバリアブルノズル163の駆動軸162に接続する構造としている。回転する出力軸153及び駆動軸162の周囲には、必ず隙間を必要とするので、この構造では、点線にて示す経路R1にて排気ガスがターボチャージャの外部に漏れる可能性がある。この排気ガスは触媒を通す前の排気ガス(浄化前の排気ガス)であるため、外部に漏れることは好ましくない。また、排気ガスが通過すると排気ガス中に含まれている微粒子等が付着・堆積して出力軸153及び駆動軸162が固着する可能性があるため、好ましくない。
また、特許文献2に記載された、可変容量過給機について、図6(B)を用いて概略を説明する。特許文献2では、アクチュエータ150A及びロッド153Aをタービン軸線方向(図6(B)におけるX軸方向)に配置している。そしてロッド153Aをタービン軸線方向に往復移動させ、ロッド153Aから動力伝達部材142A、142B、142Cを回転駆動させてバリアブルノズルの駆動軸162Aを回転駆動している。この構造も、引用文献1と同様、点線にて示す経路R2にて排気ガスがターボチャージャの外部に漏れる可能性があるので好ましくない。
本発明は、このような点に鑑みて創案されたものであり、バリアブルノズルを駆動するアクチュエータ及び動力伝達部材の周囲から排気ガスが可変容量ターボチャージャの外部に漏れることを防止できる可変容量ターボチャージャを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するため、本発明に係る可変容量ターボチャージャは次の手段をとる。
まず、本発明の第1の発明は、タービンシャフトと、前記タービンシャフトの一方端に設けられた吸気側タービンと、前記タービンシャフトの他方端に設けられた排気側タービンと、前記排気側タービンの周囲を覆って排気側流入口と排気側流出口を有する排気側ハウジングと、前記吸気側タービンの周囲を覆って吸気側流入口と吸気側流出口を有する吸気側ハウジングと、前記タービンシャフトを回転可能に支持して前記タービンシャフトの周囲を覆って前記排気側ハウジングと前記吸気側ハウジングに接続された軸受ハウジングと、前記排気側ハウジング内に設けられて前記排気側流入口から前記排気側タービンに至る流路の開度を調節するバリアブルノズルと、前記バリアブルノズルを駆動するアクチュエータと、を備えている可変容量ターボチャージャである。
そして、前記バリアブルノズルは、動力伝達部材を介して前記アクチュエータから駆動されており、前記アクチュエータは、前記吸気側ハウジングの外部に露出することなく前記吸気側ハウジング内に収容されており、前記動力伝達部材は、前記吸気側ハウジングと前記軸受ハウジングと前記排気側ハウジングとにて構成されるターボハウジングの外部に露出することなく前記ターボハウジング内に収容されている。
【0006】
この第1の発明によれば、バリアブルノズルを駆動するアクチュエータを吸気側ハウジング内に密封し、動力伝達部材をターボハウジング内に密封する構造とする。
この構造とすることで、バリアブルノズルを駆動するアクチュエータ及び動力伝達部材の周囲から排気ガスが可変容量ターボチャージャの外部に漏れることを適切に防止することができる。
【0007】
次に、本発明の第2の発明は、上記第1の発明に係る可変容量ターボチャージャであって、前記動力伝達部材は、リンクシャフトと、前記アクチュエータの回転動力を用いて前記リンクシャフトを回転させる第1動力伝達部材と、前記リンクシャフトの回転動力を用いて前記バリアブルノズルを回転させる第2動力伝達部材と、にて構成されている。
そして、前記第1動力伝達部材は、前記吸気側ハウジングあるいは前記軸受ハウジングの少なくとも一方に収容されており、前記第2動力伝達部材は、前記排気側ハウジングあるいは前記軸受ハウジングの少なくとも一方に収容されており、前記リンクシャフトは、少なくとも前記軸受ハウジング内に収容されている。
【0008】
この第2の発明によれば、吸気側ハウジング内に密封したアクチュエータの回転動力を、軸受ハウジング内を経由させて排気側ハウジング内のバリアブルノズルへと、適切な経路で伝達することができる。
【0009】
次に、本発明の第3の発明は、上記第2の発明に係る可変容量ターボチャージャであって、更に、前記バリアブルノズルの開度を検出する開度検出手段を備え、前記開度検出手段は、前記第1動力伝達部材または前記リンクシャフトの回転角度に基づいて前記バリアブルノズルの開度を検出可能であり、前記吸気側ハウジングにおける前記排気側ハウジングと対向しない位置に取り付けられている。
【0010】
この第3の発明によれば、バリアブルノズルの開度を検出する開度検出手段を、比較的温度の低い位置に適切に配置することが可能であり、開度検出手段の温度による誤差をより抑制することができるとともに、開度検出手段の寿命をより長くすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明の可変容量ターボチャージャ1の一実施の形態の概略構成を説明する図である。
【図2】第1の実施の形態において、アクチュエータ50から動力伝達部材を介してバリアブルノズル63を駆動する経路を説明する断面図である。
【図3】第1の実施の形態において、アクチュエータ50から動力伝達部材を介してバリアブルノズル63を駆動する経路を説明する斜視図である。
【図4】第2の実施の形態において、アクチュエータ50から動力伝達部材を介してバリアブルノズル63を駆動する経路を説明する断面図である。
【図5】第3の実施の形態において、アクチュエータ50から動力伝達部材を介してバリアブルノズル63を駆動する経路を説明する斜視図である。
【図6】従来の可変容量ターボチャージャにおいて、アクチュエータ150、150Aから動力伝達部材を介してバリアブルノズルの駆動軸162、162Aを駆動する経路を説明する断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下に本発明を実施するための形態を図面を用いて説明する。
まず図1〜図3を用いて、第1の実施の形態における可変容量ターボチャージャ1の全体構造と、アクチュエータ50からバリアブルノズル63を駆動する経路の構造について説明する。
【0013】
●●[第1の実施の形態]
●[可変容量ターボチャージャ1の概略全体構造(図1)]
まず図1の概略図を用いて、可変容量ターボチャージャ1の全体構造について説明する。
可変容量ターボチャージャ1は、タービンシャフト23、吸気側タービン21、排気側タービン22、吸気側ハウジング11、排気側ハウジング12、軸受ハウジング13、バリアブルノズル63等を備えている。そして、バリアブルノズル63を駆動するアクチュエータ50、動力伝達部材40、バリアブルノズル63の開度(アクチュエータ50の動作量)を検出する開度検出手段51等も備えている。
なお、動力伝達部材40は、第1動力伝達部材41、リンクシャフト43、第2動力伝達部材42にて構成されている。
【0014】
タービンシャフト23の軸方向の一方端には吸気側タービン21が設けられ、タービンシャフト23の他方端には排気側タービン22が設けられている。
吸気側ハウジング11は、吸気側タービン21の周囲を覆い、エアクリーナ等からの空気が流入する吸気側流入口31Aと、吸気側タービン21にて過給した空気をエンジンに向けて吐出する吸気側流出口31Bと、を有している。
排気側ハウジング12は、排気側タービン22の周囲を覆い、エンジンからの排気ガスが流入する排気側流入口32Aと、排気側タービン22を回転駆動した後の排気ガスを浄化装置等に向けて吐出する排気側流出口32Bと、を有している。
軸受ハウジング13は、タービンシャフト23を回転可能に支持してタービンシャフト23の周囲を覆い、軸方向の一方端が吸気側ハウジング11に接続され、他方端が排気側ハウジング12に接続されている。
【0015】
バリアブルノズル63は、排気側ハウジング12内に設けられて、排気側流入口32Aから排気側タービン22に至る流路の開度を調節する。一般的には、エンジンが比較的高回転時の場合は排気ガスの流量が多いため高開度に調節することで排気抵抗を下げタービンシャフト23の回転数が低減され、エンジンが比較的低回転時の場合は排気ガスの流量が少ないため低開度に調節されて排気ガスの流速を増すことで、タービンシャフト23の回転数を増加させ過給圧を確保する。
動力伝達部材40は、吸気側ハウジング11と軸受ハウジング13と排気側ハウジング12とから構成されるターボハウジング10の外部に露出することなくターボハウジング10内に収容されており、アクチュエータ50の駆動力をバリアブルノズル63に伝達する。
アクチュエータ50は、例えば電動モータであり、吸気側ハウジング11の外部に露出することなく吸気側ハウジング11内に収容されている。
開度検出手段51は、バリアブルノズル63の開度を検出するためのセンサであり、アクチュエータ50の動作量(回転角度等)や第1動力伝達部材41やリンクシャフト43の動作量(回転角度等)を検出し、間接的にバリアブルノズル63の開度を検出する。
【0016】
排気側ハウジング12は、エンジンから高温(例えば700[℃]以上)の排気ガスが流入して非常に高温となるため、アクチュエータ50や開度検出手段51を設けるには適していない。本実施の形態では、排気側ハウジング12よりも温度が低い(例えば100〜200[℃]程度)吸気側ハウジング11にアクチュエータ50と開度検出手段51を設けている。更に、開度検出手段51は、吸気側ハウジング11における排気側ハウジング12と対向しない位置(排気側ハウジング12から、より遠い位置)に設けられており、排気側ハウジング12からの熱の影響がより小さくなる位置に設けられている。
なお、吸気側ハウジング11の温度は100〜200[℃]程度であって鋳鉄など鉄材質を用いる排気側ハウジング12の温度と比較して低温であるので、アルミ材質を用いることが可能であり、アクチュエータ50と開度検出手段51の放熱効果も期待できる。
【0017】
●[アクチュエータ50から動力伝達部材40を介してバリアブルノズル63を駆動する経路(図2、図3)]
図2は、第1の実施の形態において、アクチュエータ50からバリアブルノズル63を駆動する経路を示すための可変容量ターボチャージャ1の断面図である。吸気側ハウジング11は分割されたハウジング11A、11B、11C、11Dにて構成され、軸受ハウジング13は分割されたハウジング13A、13Bにて構成され、排気側ハウジング12はハウジング12Aにて構成されている。
また図3は、図2からアクチュエータ50の駆動力が動力伝達部材40を介してバリアブルノズル63に伝達される経路の各部材を抜き出した斜視図である。
また図1に示すように、動力伝達部材40は、第1動力伝達部材41とリンクシャフト43と第2動力伝達部材42にて構成されている。
【0018】
まず第1動力伝達部材41について説明する。
図2及び図3に示すように、第1動力伝達部材41は、ギア41A、41B、ギアシャフト41Cにて構成され、吸気側ハウジング11あるいは軸受ハウジング13の少なくとも一方に収容されている。
また図2に示すように、アクチュエータ50は、回転駆動軸がタービンシャフト23と平行となるように、且つ回転駆動軸の先端に設けられたピニオン50Aが排気側ハウジング12と対向しないように、吸気側ハウジング11内に収容されている。
また図2及び図3に示すように、アクチュエータ50の駆動力は、ギアシャフト41Cにて支持されたギア41A、リンクシャフト43に取り付けられたギア41Bを介してリンクシャフト43に伝達され、リンクシャフト43を回転駆動する。また、ギア41Bは必要な回転角度範囲のみに対応させた略扇形のギアであり、より小型に形成され、吸気側ハウジング11との干渉を回避している。
【0019】
なお、吸気側ハウジング11内には、ギア41Bに噛み合うようにセンサギア51Cが配置されており、センサギア51Cはセンサ可動部51Aを回転駆動する。開度検出手段51は、センサ可動部51Aとセンサ固定部51Bにて構成されており、センサ固定部51Bに対するセンサ可動部51Aの回転角度に応じた検出信号を出力する。
そして、図示省略した制御装置にて、上記の検出信号に基づいてリンクシャフト43の回転角度(すなわちバリアブルノズル63の開度)が目標値となるようにアクチュエータ50の駆動量(この場合、回転角度)を調節する。
センサギア51Cは、開度検出手段51の回転角度検出特性に対してリンクシャフト43の回転角度を適切に調整するためのギアである。
【0020】
次にリンクシャフト43について説明する。
図2に示すように、リンクシャフト43は、タービンシャフト23と平行に配置され、吸気側ハウジング11と軸受ハウジング13内に収容されている。そしてリンクシャフト43の軸方向の一方端にはギア41Bが取り付けられ、他方端にはアーム42Aが取り付けられている。なお図2に示す本実施の形態では、リンクシャフト43は、吸気側ハウジング11内及び排気側ハウジング12内にも収容されている。バリアブルノズル63は支持体60によりタービンシャフト23の軸線方向に対して支持されている。
【0021】
次に第2動力伝達部材42について説明する。
図2及び図3に示すように、第2動力伝達部材42は、アーム42A、駆動外輪42B、サブアーム61にて構成され、排気側ハウジング12あるいは軸受ハウジング13の少なくとも一方に収容されている。
リンクシャフト43の回転動力は、アーム42Aを介して駆動外輪42Bに伝達されて駆動外輪42Bを回転駆動させる。そして駆動外輪42Bは、バリアブルノズル63のそれぞれに設けられたサブアーム61を、支持軸62回りに回転させ、支持軸62に取り付けられたバリアブルノズル63を回転させる。そしてバリアブルノズル63のそれぞれが回転すると、隣り合うバリアブルノズルとの間隔が変わり、排気ガスを排気側タービン22に当てるための流路の開度が調節される。
【0022】
以上の構成にて、アクチュエータ50、第1動力伝達部材41、リンクシャフト43、第2動力伝達部材42が、ターボハウジング10の外部に露出することなくターボハウジング10内に収容されているので、排気ガスが動力伝達部材40の周囲から可変容量ターボチャージャ1の外部に漏れることを適切に防止することができる。また、排気ガスが第2動力伝達部材42を通過することが防止されるため、排気ガスに含まれる燃え残った燃料による第2動力伝達部材42の固着を防止することができる。
【0023】
●●[第2の実施の形態]
●[アクチュエータ50から動力伝達部材40を介してバリアブルノズル63を駆動する経路(図4)]
図4は、第2の実施の形態において、アクチュエータ50からバリアブルノズル63を駆動する経路を示すための可変容量ターボチャージャ1の断面図である。
図4に示す第2の実施の形態では、図2に示す第1の実施の形態に対して、アクチュエータ50が吸気側ハウジング11と軸受ハウジング13とにより収容され、アクチュエータ50のピニオン50Aが排気側ハウジング12と対向する側に向けられており、第1動力伝達部材(ギア41A、41B等)が排気側ハウジング12に近い側に配置されている。このため、リンクシャフト43の軸方向の長さをより短くすることが可能であり、より小型化、軽量化を促進することができる。
なお、図4の例では開度検出手段51の記載を省略しているが、開度検出手段51の温度による誤差を低減するために、図2の例と同様に、排気側ハウジング12と対向しない位置に開度検出手段51を配置することが好ましい。
【0024】
●●[第3の実施の形態]
●[動力伝達部材のその他の実施形態(図5)]
図5は、第3の実施の形態において第2動力伝達部材の変形例を第1の実施の形態の図3に対応するように表している。動力伝達部材70の第2動力伝達部材72は、ギア72A、ギア72B、メインアーム72C、駆動外輪72D、サブアーム61にて構成され、排気側ハウジング12あるいは軸受ハウジング13の少なくとも一方に収容されている。
リンクシャフト43の回転動力は、ギア72A、ギア72Bを介してメインアーム72Cに伝達されて駆動外輪72Dを回転駆動させる。そして駆動外輪72Dは、バリアブルノズル63のそれぞれに設けられたサブアーム61を、支持軸62回りに回転させ、支持軸62に取り付けられたバリアブルノズル63を回転させる。そしてバリアブルノズル63のそれぞれが回転すると、隣り合うバリアブルノズルとの間隔が変わり、排気ガスを排気側タービン22に当てるための流路の開度が調節される。
このようにすると、部品点数は増加するが、アクチュエータ50からの駆動力を駆動外輪72Dにより大きく伝達することができる。
【0025】
以上に説明した第1乃至第3の実施の形態の可変容量ターボチャージャでは、吸気側ハウジング11内にアクチュエータ50を配置することで、アクチュエータ専用のハウジングが不要となり、小型化を促進することができる。
また、アクチュエータ50の回転軸と、リンクシャフト43の回転軸と、バリアブルノズル63を駆動する駆動外輪42B、72Dの回転軸と、を平行に配置しているので、ギアを用いてシンプルな構造にすることができる。
また、シンプルな構成にて回転動力のみを伝達しているので、誤差の発生を抑制して制御性をより向上させることができる。
また、アクチュエータ50及び動力伝達部材40、70をターボハウジング10内に収容しており、排気側ハウジング12内に導入した排気ガスがアクチュエータ50及び動力伝達部材40、70の周囲から可変容量ターボチャージャの外部に漏れる経路が存在しないので、排気ガス中に含まれている微粒子等の付着による固着を適切に防止することができる。
【0026】
本発明の可変容量ターボチャージャ1は、本実施の形態で説明した外観、構成、構造、形状等に限定されず、本発明の要旨を変更しない範囲で種々の変更、追加、削除が可能である。
本実施の形態の説明では、アクチュエータ50の回転動力を、ギア41A、ギア41Bを介してリンクシャフト43に伝達する例を説明したが、ギア41A、41Bの代わりに、フレキシブルジョイント、ユニバーサルジョイント、チェーン、ベルト、かさ歯歯車等にて伝達する構成としても良い。
また、第1動力伝達部材41を省略してリンクシャフト43の軸線上にアクチュエータ50を配置してアクチュエータ50にてリンクシャフト43を直接駆動しても良い。
【符号の説明】
【0027】
1 可変容量ターボチャージャ
10 ターボハウジング
11 吸気側ハウジング
12 排気側ハウジング
13 軸受ハウジング
21 吸気側タービン
22 排気側タービン
23 タービンシャフト
31A 吸気側流入口
31B 吸気側流出口
32A 排気側流入口
32B 排気側流出口
40 動力伝達部材
41 第1動力伝達部材
42、72 第2動力伝達部材
43 リンクシャフト
50 アクチュエータ
51 開度検出手段
63 バリアブルノズル



【特許請求の範囲】
【請求項1】
タービンシャフトと、
前記タービンシャフトの一方端に設けられた吸気側タービンと、
前記タービンシャフトの他方端に設けられた排気側タービンと、
前記排気側タービンの周囲を覆って排気側流入口と排気側流出口を有する排気側ハウジングと、
前記吸気側タービンの周囲を覆って吸気側流入口と吸気側流出口を有する吸気側ハウジングと、
前記タービンシャフトを回転可能に支持して前記タービンシャフトの周囲を覆って前記排気側ハウジングと前記吸気側ハウジングに接続された軸受ハウジングと、
前記排気側ハウジング内に設けられて前記排気側流入口から前記排気側タービンに至る流路の開度を調節するバリアブルノズルと、
前記バリアブルノズルを駆動するアクチュエータと、
を備えている可変容量ターボチャージャにおいて、
前記バリアブルノズルは、動力伝達部材を介して前記アクチュエータから駆動されており、
前記アクチュエータは、前記吸気側ハウジングの外部に露出することなく前記吸気側ハウジング内に収容されており、
前記動力伝達部材は、前記吸気側ハウジングと前記軸受ハウジングと前記排気側ハウジングとにて構成されるターボハウジングの外部に露出することなく前記ターボハウジング内に収容されている、
可変容量ターボチャージャ。
【請求項2】
請求項1に記載の可変容量ターボチャージャであって、
前記動力伝達部材は、リンクシャフトと、前記アクチュエータの回転動力を用いて前記リンクシャフトを回転させる第1動力伝達部材と、前記リンクシャフトの回転動力を用いて前記バリアブルノズルを回転させる第2動力伝達部材と、にて構成されており、
前記第1動力伝達部材は、前記吸気側ハウジングあるいは前記軸受ハウジングの少なくとも一方に収容されており、
前記第2動力伝達部材は、前記排気側ハウジングあるいは前記軸受ハウジングの少なくとも一方に収容されており、
前記リンクシャフトは、少なくとも前記軸受ハウジング内に収容されている、
可変容量ターボチャージャ。
【請求項3】
請求項2に記載の可変容量ターボチャージャであって、
更に、前記バリアブルノズルの開度を検出する開度検出手段を備え、
前記開度検出手段は、前記第1動力伝達部材または前記リンクシャフトの回転角度に基づいて前記バリアブルノズルの開度を検出可能であり、前記吸気側ハウジングにおける前記排気側ハウジングと対向しない位置に取り付けられている、
可変容量ターボチャージャ。



【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2013−113255(P2013−113255A)
【公開日】平成25年6月10日(2013.6.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−261745(P2011−261745)
【出願日】平成23年11月30日(2011.11.30)
【出願人】(000003218)株式会社豊田自動織機 (4,162)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【Fターム(参考)】