説明

可変屈折力光学系

可変屈折力光学系において、液体レンズセルが使用される。一実施形態では、少なくとも1つの第1の液体レンズセルを含む第1のレンズ群と、少なくとも1つの第2の液体レンズセルを含む第2のレンズ群との間に、絞りが位置付けられる。一実施形態では、液体レンズセルは、像表面上における光線の入射角を制御する。

【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
(関連出願)
本出願は、参照によって本明細書に全体を組み込まれて本明細書の一部を構成している2009年4月10日出願の米国仮出願第61/168,524号の利益を主張する。
【技術分野】
【0002】
本発明は、液体光学を用いた可変屈折力光学系に関する。
【0003】
ズームレンズは、多くの場合、ズーム機能及び焦点合わせ機能を実現するために、3つ又は4つ以上の移動レンズ群を有する。ズームを実施するために、2つの可動レンズ群が機械的なカムによってリンクされてよく、第3の可動レンズ群は、焦点合わせのために使用されてよい。
【0004】
ズームの範囲は、一部には、可動レンズ素子の移動の範囲によって決定される。ズーム範囲が大きいほど、レンズ素子の移動のための更なる空間が必要であると考えられる。
【0005】
電荷結合素子(CCD)センサ及びCMOS画像センサ(CIS)などの画像センサは、フォトダイオードなどの小さな感光性領域を使用して光を集める。画像センサは、マイクロレンズを使用し、広い集光領域から光を集めて焦点を合わせることによって、感光性を向上させることもできる。マイクロレンズすなわち感光性領域に到達する光の入射角は、感光性領域によって集められる光の量に影響を及ぼし、一部の角度で受信された光は、その他の角度で受信された光よりも感光性領域に到達する可能性が低い。
【0006】
理想を言うと、感光性領域における光の入射角は、一定である。しかしながら、光の入射角は、ズームレンズが焦点距離を変更するのに伴って、変化することがある。したがって、ズーム位置の範囲を通したレンズの移動は、入射角の変化に伴って、望ましくない結果をもたらすことがある。
【0007】
(発明の概要)
像表面上における光の入射角の変動を最小限に抑えるために、可変屈折力光学部品が使用されてよい。
【0008】
一実施形態では、可変屈折力光学系は、少なくとも1つの第1の液体レンズセルを伴う第1のレンズ群と、少なくとも1つの第2の液体レンズセルを伴う第2のレンズ群と、センサ上における光線の入射角を制御するように構成された第3の液体レンズセルとを含む。ズーム位置の制御は、少なくとも一部には、第1の液体レンズセルの屈折力の構成と、第2の液体レンズセルの屈折力の構成とに実質的に基づく。絞りは、第1のレンズ群の最初の表面と、第2のレンズ群の最後の表面との間で両者からおおよそ等距離にあってよい。第1の液体レンズセルの直径は、第2の液体レンズセルの直径とほぼ同じである。一実施形態では、ズームの範囲は、約3xを上回る。一実施形態では、ズームの範囲は、約4xを上回る。一実施形態では、ズームの範囲は、約5xを上回る。
【0009】
一実施形態では、光学系は、物体空間から発せられる放射を集めてその放射を共通の光軸に沿って像空間内の像表面へ送るように構成される。共通の光軸上に静止している第1の可変屈折力光学部品は、異なる屈折特性を持つ少なくとも2つの液体と、これら2つの液体の間の少なくとも1つの接触表面とを含む。該接触表面の形状は、可変屈折力光学部品における屈折力を変化させるために変更されて、像表面上の像点に向かう主光線角度の
変動をもたらす。第2の可変屈折力光学部品は、異なる屈折特性を持つ少なくとも2つの液体と、これら2つの液体の間の少なくとも1つの接触表面とを含む。該接触表面の形状は、第1の可変屈折力光学部品の形状を変更することによって引き起こされた、像表面上の像点における主光線角度の変動を軽減するために変更される。第1の可変屈折力光学部品の形状は、ズーム機能及び/又は焦点合わせ機能を提供するために変更されてよい。
【0010】
一実施形態では、可変屈折力対物光学系は、軸方向に移動する群を使用しない。少なくとも1つの可変屈折力光学部品は、ズーム機能を提供し、異なる屈折特性を持つ少なくとも2つの液体と、これら2つの液体の間の少なくとも1つの接触表面とを含む。該接触表面の形状は、可変屈折力光学部品において屈折力の変化を生じるために変更される。もう1つの可変屈折力光学部品は、異なる屈折特性を持つ少なくとも2つの液体と、これら2つの液体の間の少なくとも1つの接触表面とを含む。該接触表面の形状は、ズーム機能を提供する可変屈折力光学部品によって引き起こされた、像表面上の像点に向かう主光線角度の変動の変化を少なくとも部分的に補償するために変更される。
【0011】
一実施形態では、可変屈折力光学系は、少なくとも1つの第1の液体レンズセルを伴う第1のレンズ群と、少なくとも1つの第2の液体レンズセルを伴う第2のレンズ群と、第1のレンズ群と第2のレンズ群との間に位置付けられた絞りとを含む。第1のレンズ群、第2のレンズ群、及び絞りを通過する光線は、ズーム位置を表し、該ズーム位置の制御は、少なくとも一部には、第1の液体レンズセルの屈折力の構成と、第2の液体レンズセルの屈折力の構成とに基づく。絞りは、第1のレンズ群の最初の表面と、第2のレンズ群の最後の表面との間で両者からおおよそ等距離にあってよい。ズームの範囲は、一実施形態では、約3xを上回ってよい。ズームの範囲は、一実施形態では、約4xを上回ってよい。ズームの範囲は、一実施形態では、約5xを上回ってよい。
【0012】
一実施形態では、可変屈折力対物光学系は、異なる屈折特性を持つ少なくとも2つの液体と、これら2つの液体の間の少なくとも1つの接触表面とを伴う少なくとも1つの可変屈折力光学部品を含む。接触表面の形状は、像表面上の像点に向かう主光線角度の変動の変化を少なくとも部分的に補償するために変更される。主光線角度の変動は、少なくとも一部には、例えば、ズーム機能、焦点合わせ機能、又はズーム機能と焦点合わせ機能との組み合わせによって引き起こされると考えられる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】図1A及び図1B。液体を用いた可変屈折力光学系における軸方向光ビームのリム光線を示した光学図である。
【図2】図2A及び図2B。液体を用いた可変屈折力光学系における軸方向光ビームのリム光線と、軸外フィールドビームのリム光線とを示した光学図である。
【図3】図3A〜図3E。像表面上における光線の各種の入射角を例示した図である。
【図4】図4A及び図4B。像表面上における光線の入射角を調整するための、液体レンズセルの使用を例示した図である。
【図5A】典型的な可変屈折力光学系の設計を例示した光学図である。
【図5B】典型的な可変屈折力光学系の設計を例示した光学図である。
【図5C】典型的な可変屈折力光学系の設計を例示した光学図である。
【図5D】典型的な可変屈折力光学系の設計を例示した光学図である。
【図5E】典型的な可変屈折力光学系の設計を例示した光学図である。
【図6】カメラのブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下の説明では、添付の図面が参照される。本発明の範囲から逸脱することなくその他
の構造及び/又は実施形態が用いられてもよいことが理解されるべきである。
【0015】
液体レンズセルは、液体セルの機械的な動きに依存することなく光路を変更することができる。第1及び第2の接触液を含む液体レンズセルは、接触液の間の接触光学表面が、液体レンズセルの光軸を中心に実質的に対称的な可変形状を有するように構成されてよい。複数のレンズ素子が、共通の光軸に沿って整列され、物体側空間から発せられる放射を集めて像側空間へ送るように構成されてよい。液体レンズセルは、共通の光軸に沿って整列された複数のレンズ素子によって形成された光路に挿入されてよい。液体レンズセルの光軸は、共通の光軸に平行であってよい、又は共通の光軸に対して一定の角度であってよい若しくは中心を外されてよい。
【0016】
現時点で考えられている液体レンズ系は、約0.2以上の、好ましくは少なくとも約0.3の、実施形態によっては少なくとも約0.4の、屈折率の差を有する。水は、約1.3の屈折率を有しており、塩の追加によって、約1.48の屈折率に変更されえる。適切な光学オイルは、少なくとも約1.5の屈折率を有すると考えられる。たとえ、例えばより高屈折率のオイルなど、より高屈折率の液体、より低屈折率の液体、又はより高屈折率の液体とより低屈折率の液体とを用いても、屈折力の変動の範囲には、限りがある。この限られた屈折力変動の範囲は、可動レンズ群の場合よりも、提供可能な倍率変化が小さいのが通常である。したがって、単純な可変屈折力光学系において、一定の像表面位置を維持しつつズームを提供するためには、倍率変化の大半を1つの可動レンズ群によって提供するとともに、倍率変化の最中における像表面における焦点ぼけの補償の大半を1つの液体セルによって提供することができる。
【0017】
より多くの可動レンズ群、又は液体セル、又はそれらの両方が用いられてもよいことが、留意されるべきである。1つ又は2つ以上の液体セルと組み合わせて使用される1つ又は2つ以上の移動レンズ群の例は、2008年10月6日に出願され、参照によって全体を本明細書に組み込まれ、「Liquid Optics Zoom Lens and Imaging Apparatus(液体光学ズームレンズ及び撮像装置)」と題された、米国特許出願第12/246,224号に記載されている。
【0018】
系において使用されるレンズ素子のサイズ及び特性は、レンズ系の設計にあたって考慮されるべき制約を課す。例えば、1つ又は2つ以上のレンズ素子の直径は、像表面上に形成される像のサイズを制限することがある。可変屈折力光学系など、可変特性を持つレンズ系の場合は、その光学は、レンズ素子の変動に基づいて変化することがある。したがって、第1のレンズ素子が、第1のズーム構成においてレンズ系に制約を課す一方で、第2のレンズ素子は、第2のズーム構成においてレンズ系に制約を課すことが考えられる。一例として、光ビームのリム光線が、ズーム範囲の一方の極限ではレンズ素子の外縁に近づくのに対して、ズーム範囲のもう一方の極限では同じレンズ素子の外縁からかなりの距離にあることが考えられる。
【0019】
図1A及び図1Bは、液体レンズセルを用いた簡略可変屈折力光学系の光学図を例示している。可変屈折力光学系は、例えば、カメラに使用されてよい。図1Aにおいて、第1の液体レンズセルLLC1 20及び第2の液体レンズセルLLC2 22は、ズーム比が広角位置をとるように構成されている。結像レンズ24は、カメラピックアップデバイスに対応する像表面(像面26として示されている)上に像を形成する。結像レンズ24は、液体レンズセル又はその他のレンズタイプであってよい。図1Aに例示された、軸方向光ビームのリム光線12は、液体レンズセルLLC2 22の外縁に近い。したがって、このレンズ設計では、液体レンズセルLLC2 22の直径が、制限要因である。図1Bにおいて、液体レンズセルLLC1 20及び液体レンズセルLLC2 22は、ズーム比が望遠位置をとるように構成されている。図1Bに例示された、軸方向光ビームのリ
ム光線12は、液体レンズセルLLC1 20の外縁に近く、これは、液体レンズセルLLC1の直径を制限要因にしている。したがって、図1A及び図1Bに示された簡略設計は、ズーム位置の範囲の間で軸方向光ビームのリム光線12のための液体レンズセルLLC1 20上及び液体レンズセルLLC2 22上の面積を最大限に生かすように最適化されている。
【0020】
従来のズームレンズ系は、異なるズーム位置を実現するために、移動ズームレンズ群を用いる。図1A及び図1Bに例示された可変屈折力光学系は、液体レンズセルを用いるので、移動レンズ群は必要でない。代わりに、液体レンズセルLLC1 20及び液体レンズセルLLC2 22の接触光学表面の可変形状を制御するために、制御システムが使用されてよい。
【0021】
移動レンズ群の代わりとなる液体レンズセルの使用は、液体レンズセルLLC1 20と液体レンズセルLLC2 22との間への絞り10の配置を容易にする。液体レンズセルLLC1 20及び液体レンズセルLLC2 22は、移動レンズ群ではないので、それらの適切な動作を絞り10が妨害する心配がない。絞り10は、液体レンズセルの間で等距離にある必要はなく、絞りの配置は、必要に応じて最適化することができる。
【0022】
液体レンズセルLLC1 20及び液体レンズセルLLC2 22は、それぞれ、制御可能な且つ/又は固定された複数の表面を含むことを理解されるべきである。一部の実施形態では、図1A及び図1Bに例示された液体レンズセルは、2つ又は3つ以上の液体セルの組み合わせを含んでよい。組み合わされたセルの間には、板が配されてよい。板は、設計の必要に応じて設定可能な屈折力を有することができる。液体レンズセルは、外表面上に板を有してもよい。一部の実施形態では、外表面上の板は、屈折力又はフォールディング機能を提供するであろう。板及びその他のレンズ素子は、光学特性の向上を図るために、球面状又は非球面状であることができる。
【0023】
個々のレンズ素子は、ガラス、プラスチック、結晶質、若しくは半導体材料などの、固相材料で構成されてよい、又は水若しくはオイルなどの、液体材料若しくは気体材料を使用して構成されてよい。レンズ素子の間の空間は、1つ又は2つ以上のガスを含んでよい。例えば、標準空気、窒素、又はヘリウムが使用されてよい。或いは、レンズ素子の間の空間は、真空であってよい。本開示において使用される「空気」という表現は、広義で使用されており、1つ若しくは2つ以上のガス、又は真空を含みえることを理解されるべきである。レンズ素子は、紫外線フィルタなどのコーティングを有してよい。
【0024】
図2A及び図2Bは、図1A及び図1Bの簡略可変屈折力光学系の更なる光学図であり、軸方向光ビームのリム光線12と、軸外フィールドビームのリム光線14とを示している。軸外フィールドビームの主光線16は、リム光線の外側の目盛マークによって示された絞り位置10において光軸を横切る。例示されるように、像面26上における軸外フィールドビームの主光線16の入射角18は、ズームレンズが広角位置から望遠位置へ変化するのに伴って変化する。
【0025】
入射の角度は、それが、ある程度、画像センサに到達する光の量を決定するゆえに重要である。画像センサは、マイクロレンズを使用し、広い集光領域から光を集めて焦点を合わせることによって、感光性を向上させることができる。しかしながら、もし、ズームを通じた入射角の大きさ及び範囲が大きすぎると、マイクロレンズは、ズームを通じた効率的検出のために光を画像センサへ方向付けることができなくなる恐れがある。
【0026】
画像センサに到達する光の典型例を示した図3A〜3Dを考察する。図3Aでは、主光線28の入射角18は、画像センサに垂直であり、これは、マイクロレンズが光線を画像
センサへ成功裏に方向付けることを可能にする。図3B及び図3Cでもやはり、入射角18の変動は小さい。この場合、マイクロレンズアレイは、最適なレンズマイクロアレイを形成するようにシフトされてよく、これは、光線を画像センサへ成功裏に方向付けしなおすことを可能にする。図3D及び図3Eは、入射角18の大きさの変動がより大きく、これは、マイクロレンズが光線を画像センサへ方向付けることをより困難にする。
【0027】
主光線28の入射角18は、可変屈折力光学系が広角位置から望遠位置へ変化するのに伴って変化するので、とあるズーム位置のときの入射角18が図3Bに示されるようなもので、別のズーム位置のときの入射角18が図3Cに示されるようなものであることが可能である。ただし、入射角18の変動は、小さく抑えられると望ましいであろう。
【0028】
図4A及び図4Bは、画像センサの近くに液体レンズセルLLC3 30が配されたときの光学図を例示している。可変屈折力光学系がズーム範囲を移動するのに伴って、液体レンズセルLLC3の屈折力も変動する。液体レンズセルLLC3 30の可変屈折力は、ズームの範囲を通して像表面上における入射角の変動及び大きさを最小限に抑えることを可能にする。例えば、一実施形態では、液体レンズセルLLC3は、入射角を、像面26に対して垂直から10度未満にする。別の実施形態では、液体レンズセルLLC3は、入射角を、垂直から5度未満にする。
【0029】
図4A及び図4Bは、レンズ30を液体レンズセルとして例示しているが、その他のタイプのレンズが使用されてもよい。可変屈折力光学設計全体を長くすれば、液体レンズセルに代わる標準レンズの使用も可能であると考えられる。
【0030】
可変屈折力光学系の長さは、一部には、液体レンズセルによって提供される屈折力の範囲に依存する。レンズの長さは、液体の屈折率の差が大きい液体レンズセルを用いることによって最短にすることができる。レンズの長さは、複数の液体レンズセル及び/又はフォールディングを用いることによっても最短にすることができる。
【0031】
簡単のため、図1A、図1B、図2A、図2B、図4A、及び図4Bは、屈折力を内包した板としてレンズ素子を示している。レンズ素子は、レンズ材料及び/又は光学表面の異なる複数の部品からなることもありえることを理解されるべきである。
【0032】
図5A〜5Eは、典型的な可変屈折力光学設計の光学図を例示している。図5Aは、広角位置を例示しており、図5Eは、望遠位置を例示している。図5B〜5Dは、中間のズーム位置を例示している。図5A〜5Eに例示された全てのズーム位置において、無限焦点が使用されている。
【0033】
この可変屈折力光学設計は、5つの液体レンズセル40,42,44,46,48を用い、各液体レンズセルは、可変表面50,52,54,56,58を有する。物体空間近くのレンズ群は、2つの液体レンズセル40,42を含み、主として焦点合わせ及びズームを提供するのに役立つ。可変屈折力光学設計は、また、主としてズームを提供するのに役立つ2つの液体セル44,46も含む。例示された実施形態では、液体レンズセル40,42からなるレンズ群と、液体レンズセル44,46からなるレンズ群との間に、絞り60がある。可変屈折力光学設計は、また、一部には像面62における入射角の制御を提供する液体レンズセル48も含む。5つの液体レンズは、全て組み合わさると、焦点、ズーム、及び可変屈折力光学系が広角位置から望遠位置へそして無限焦点から近接焦点へ変化するのに伴った像面上における軸外フィールドビームの主光線の入射角に対する制御を提供する。
【0034】
図5A〜5Dに例示されるように、可変表面54によって提供される屈折力は、ほぼ一
定のままであり、図5Eにおいてのみ大幅に変化する。これは、もしズーム位置が図5A〜5Dに示された範囲に限られる場合に、液体レンズセル44が固定レンズ素子に置き換え可能であることを意味する。したがって、液体レンズセルの数は、設計要件に応じて異なってよい。
【0035】
図5A〜5Eに示されたレンズ設計について、米国カリフォルニア州パサディナ所在のOptical Research Associates(オプティカル・リサーチ・アソシエーツ)より市販されているCodeV光学設計ソフトウェアヴァージョン9.70によって作成されたリストが、本明細書の一部として添付され、その全体を参照によって組み込まれる。
【0036】
図6は、可変屈折力光学系102を伴うカメラ100のブロック図を例示している。図6は、また、光学系102におけるレンズ群の移動及び動作を制御するレンズ制御モジュール104も例示している。制御モジュール104は、液体レンズセルにおける曲率半径を制御する電子回路構成を含む。各種の焦点位置及びズーム位置についての適切な電子信号レベルは、事前に決定されて、1つ又は2つ以上のルックアップテーブルに配されてよい。或いは、アナログ回路構成、又は回路構成と1つ若しくは2つ以上のルックアップテーブルとの組み合わせによって、適切な信号レベルが生成されてよい。一実施形態では、適切な電子信号レベルを決定するために、多項式が使用される。多項式に沿った点が、1つ又は2つ以上のルックアップテーブルに保存されてよい、又は回路構成によって、多項式が実行されてよい。ルックアップテーブル、多項式、及び/又はその他の回路構成は、ズーム位置、焦点位置、温度、又はその他の条件についての変数を使用することができる。
【0037】
液体間の表面の曲率半径の制御にあたって、熱的効果も検討されてよい。多項式又はルックアップテーブルは、熱的効果に関する追加の変数を含むことができる。
【0038】
制御モジュール104は、特定のズーム設定又は焦点距離についての事前制御を含むことができる。これらの設定は、ユーザ又はカメラのメーカによって保存されてよい。
【0039】
図6は、更に、外部物体に対応する光学像を受信する画像取り込みモジュール106を例示している。画像は、光軸に沿って、光学系102内を画像取り込みモジュール106へ伝わる。画像取り込みモジュール106は、フィルム(例えば、フィルムストック若しくは静止画像フィルム)又は電子画像検出技術(例えば、CCDアレイ、CMOSデバイス、若しくはビデオピックアップ回路)などの、様々なフォーマットを使用することができる。光軸は、直線状であってよい、又はフォールディングを含んでよい。
【0040】
画像保存モジュール108は、取り込まれた画像を、例えば、オンボードメモリに、又はフィルム、テープ、若しくはディスクに維持する。一実施形態では、保存媒体は、着脱式である(例えば、フラッシュメモリ、フィルム容器、テープカートリッジ、又はディスク)。
【0041】
画像転送モジュール110は、取り込まれた画像をその他のデバイスに転送することを行う。例えば、画像転送モジュール110は、例えば、USBポート、IEEE 1394マルチメディア接続、Ethernet(登録商標)ポート、Bluetooth(登録商標)ワイヤレス接続、IEEE 802.11ワイヤレス接続、ビデオコンポーネント接続、又はS−Video接続などの、様々な接続のいずれかを使用することができる。
【0042】
カメラ100は、ビデオカメラ、携帯電話カメラ、デジタル写真カメラ、又はフィルムカメラなどの、様々な形で導入することができる。
【0043】
焦点合わせ群及びズーム群における液体セルは、2008年12月3日に出願され、参照によって全体を本明細書に組み込まれ、「Liquid Optics Image Stabilization(液体光学画像安定化)」と題された米国特許出願第12/327,666号に記載されるように、安定化を提供するために使用されてもよい。非移動レンズ群を使用する場合は、2008年12月3日に出願され、参照によって全体を本明細書に組み込まれ、「Liquid Optics with Folds Lens and Imaging Apparatus(フォールディングレンズを伴う液体光学、及び撮像装置)」と題された米国特許出願第12/327,651号に記載されるように、フォールディングが使用されてよい。2008年10月6日に出願され、参照によって全体を本明細書に組み込まれ、「Liquid Optics Zoom Lens and Imaging Apparatus(液体光学ズームレンズ及び撮像装置)」と題された米国特許出願第12/246,224号に記載されるように、1つ又は2つ以上の移動レンズ群が、1つ又は2つ以上の液体セルと組み合わせて使用されてよい。
【0044】
当業者にならば各種の変更及び修正が明らかになることが、留意されるべきである。このような変更及び修正は、添付の特許請求の範囲に定められた発明の範囲に含まれるものとして理解される。
【0045】
【表1−1】

【表1−2】

【表1−3】

【表1−4】

【表1−5】

【表1−6】

【表1−7】

【表1−8】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
可変屈折力光学系であって、
少なくとも1つの第1の液体レンズセルを含む第1のレンズ群と、
少なくとも1つの第2の液体レンズセルを含む第2のレンズ群と、
前記第1のレンズ群と前記第2のレンズ群との間に位置付けられた絞りと、
を備え、前記第1のレンズ群、前記第2のレンズ群、及び前記絞りを通過する光線は、ズーム位置を表し、前記ズーム位置の制御は、少なくとも一部には、前記第1の液体レンズセルの屈折力の構成と、前記第2の液体レンズセルの屈折力の構成とに基づく、可変屈折力光学系。
【請求項2】
請求項1に記載の可変屈折力光学系であって、
前記絞りは、前記第1のレンズ群の最初の表面と、前記第2のレンズ群の最後の表面との間で両者からおおよそ等距離にある、可変屈折力光学系。
【請求項3】
請求項1に記載の可変屈折力光学系であって、
前記第1の液体レンズセルの直径は、前記第2の液体レンズセルの直径とほぼ同じである、可変屈折力光学系。
【請求項4】
請求項1に記載の可変屈折力光学系であって、
前記ズームの範囲は、約3xを上回る、可変屈折力光学系。
【請求項5】
請求項1に記載の可変屈折力光学系であって、
前記ズームの範囲は、約4xを上回る、可変屈折力光学系。
【請求項6】
請求項1に記載の可変屈折力光学系であって、
前記ズームの範囲は、約5xを上回る、可変屈折力光学系。
【請求項7】
可変屈折力光学系であって、
少なくとも1つの第1の液体レンズセルを含む第1のレンズ群と、
少なくとも1つの第2の液体レンズセルを含む第2のレンズ群と、
センサ上における光線の入射角を制御するように構成された第3の液体レンズセルと、
を備え、ズーム位置の制御は、少なくとも一部には、前記第1の液体レンズセルの屈折力の構成と、前記第2の液体レンズセルの屈折力の構成とに基づく、可変屈折力光学系。
【請求項8】
請求項7に記載の可変屈折力光学系であって、
前記ズーム位置の制御は、少なくとも一部には、前記第3の液体レンズセルの屈折力の構成に基づく、可変屈折力光学系。
【請求項9】
請求項7に記載の可変屈折力光学系であって、更に、
前記第1のレンズ群と前記第2のレンズ群との間に位置付けられた絞りを備える可変屈折力光学系。
【請求項10】
物体空間から発せられる放射を集めて前記放射を共通の光軸に沿って像空間内の像表面へ送るように構成された光学系であって、
前記共通の光軸上に静止しており、異なる屈折特性を持つ少なくとも2つの液体と、前記2つの液体の間の少なくとも1つの接触表面とを含む第1の可変屈折力光学部品であって、前記接触表面の形状は、前記可変屈折力光学部品における屈折力を変化させるために変更されて、前記像表面上の像点に向かう主光線角度の変動をもたらす、第1の可変屈折力光学部品と、
異なる屈折特性を持つ少なくとも2つの液体と、前記2つの液体の間の少なくとも1つの接触表面とを含む第2の可変屈折力光学部品であって、前記接触表面の形状は、前記第1の可変屈折力光学部品の形状を変更することによって引き起こされた、前記像表面上の前記像点における前記主光線角度の変動を軽減するために変更される、第2の可変屈折力光学部品と、
を備える光学系。
【請求項11】
請求項10に記載の光学系であって、
前記第1の可変屈折力光学部品の形状は、ズーム機能を提供するために変更される、光学系。
【請求項12】
請求項10に記載の光学系であって、
前記第1の可変屈折力光学部品の形状は、焦点合わせ機能を提供するために変更される、光学系。
【請求項13】
軸方向に移動する群を使用しない可変屈折力対物光学系であって、
固定の像表面に対して合わせてズーム機能を提供する少なくとも2つの可変屈折力光学部品であって、異なる屈折特性を持つ少なくとも2つの液体と、前記2つの液体の間の少なくとも1つの接触表面とを含み、前記接触表面の形状は、前記可変屈折力光学部品において屈折力の変化を生じるために変更される、少なくとも2つの可変屈折力光学部品と、
異なる屈折特性を持つ少なくとも2つの液体と、前記2つの液体の間の少なくとも1つの接触表面とを含む少なくとも1つの可変屈折力光学部品であって、前記接触表面の形状は、少なくとも一部には、ズーム機能を提供する可変屈折力光学部品によって引き起こされた、前記像表面上の像点に向かう主光線角度の変動の変化を少なくとも部分的に補償するために変更される、少なくとも1つの可変屈折力光学部品と、
を備える可変屈折力対物光学系。
【請求項14】
可変屈折力対物光学系であって、
異なる屈折特性を持つ少なくとも2つの液体と、前記2つの液体の間の少なくとも1つの接触表面とを含む少なくとも1つの可変屈折力光学部品であって、前記接触表面の形状は、少なくとも一部にはズーム機能によって引き起こされた、像表面上の像点に向かう主光線角度の変動の変化を少なくとも部分的に補償するために変更される、少なくとも1つの可変屈折力光学部品を備える可変屈折力対物光学系。
【請求項15】
可変屈折力対物光学系であって、
異なる屈折特性を持つ少なくとも2つの液体と、前記2つの液体の間の少なくとも1つの接触表面とを含む少なくとも1つの可変屈折力光学部品であって、前記接触表面の形状は、少なくとも一部には焦点合わせ機能によって引き起こされた、像表面上の像点に向かう主光線角度の変動の変化を少なくとも部分的に補償するために変更される、少なくとも1つの可変屈折力光学部品を備える可変屈折力対物光学系。
【請求項16】
可変屈折力対物光学系であって、
異なる屈折特性を持つ少なくとも2つの液体と、前記2つの液体の間の少なくとも1つの接触表面とを含む少なくとも1つの可変屈折力光学部品であって、前記接触表面の形状は、少なくとも一部にはズーム機能及び焦点合わせ機能によって引き起こされた、像表面上の像点に向かう主光線角度の変動の変化を少なくとも部分的に補償するために変更される、少なくとも1つの可変屈折力光学部品を備える可変屈折力対物光学系。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5A】
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【図5B】
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【図5C】
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【図5D】
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【図5E】
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【図6】
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【公表番号】特表2012−523584(P2012−523584A)
【公表日】平成24年10月4日(2012.10.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−504699(P2012−504699)
【出願日】平成22年3月24日(2010.3.24)
【国際出願番号】PCT/US2010/028421
【国際公開番号】WO2010/117628
【国際公開日】平成22年10月14日(2010.10.14)
【出願人】(510098065)ブラックアイ オプティクス,エルエルシー (5)
【Fターム(参考)】