説明

可搬型の放射線画像撮影システム、およびこれに用いる保持具、並びに可搬型の放射線画像撮影セット

【課題】可搬型のX線画像撮影システムの様々な重要課題を同時にクリアする。
【解決手段】X線画像撮影システム2は、二個のX線源10a、10bを有する。X線源10a、10bは、コネクタ25a、25bで保持具14の横棒23のレール27a、27bに取り付けられる。X線源10a、10bは、移動機構28a、28bによりレール27a、27bに沿って移動可能である。X線源10aは横棒23の一端から中心、X線源10bは中心から他端の範囲の撮影を担う。撮影制御装置12は、X線源10a、10bが撮影と移動を交互に繰り返す(X線源10a、10bの一方が移動している間に他方が撮影を行う)よう、X線源10a、10bと移動機構28a、28bの駆動を制御する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、放射線源を移動させて撮影を行う可搬型の放射線画像撮影システム、およびこれに用いる保持具、並びに可搬型の放射線画像撮影セットに関する。
【背景技術】
【0002】
被検体の関心領域(ROI)をより詳しく観察するために、放射線源、例えばX線源(X線管)を移動させながら異なる角度から被検体にX線を照射し、得られた画像を加算して所望の断層面を強調した断層画像を得るトモシンセシス(Tomosynthesis)撮影が知られている(特許文献1参照)。
【0003】
特許文献1には、事故や災害発生時の緊急医療対応に適した可搬型のX線画像撮影システムが開示されている。システムはX線源、X線源の保持具、X線検出器、電源装置、制御装置、運搬装置のセットからなる。運搬装置で他のセットを撮影現場に持ち運び、現場でシステムを組み立ててトモシンセシス撮影を行う。特許文献1には、一個のX線源を移動させる態様、および複数のX線源を配列したアレイを用いる態様が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2008−253762号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1のような可搬型のX線画像撮影システムでは、緊急医療対応における迅速性、在宅診療における体が不自由な患者の負担を考えると、撮影にあまり時間を掛けないことが重要である。また、システムの運搬や設置に労力をあまり必要としない機動性、可搬型ではない据え置き型のシステムと比べて安価であることも重要である。
【0006】
特許文献1の一実施例である一個のX線源を移動させる態様では、一セットのトモシンセシス撮影を終えるのに一個のX線源で移動と撮影を40〜80回程繰り返さなければならず、時間が掛かりすぎる。
【0007】
一方のアレイを用いる態様は、X線源を移動させない分撮影時間は短縮化されるが、代わりにX線源を40〜80個用意する必要があり、X線源が大型化して重くなる。さらにX線源が重いとこれを支える保持具も堅牢なものにしなければならず、その結果全体として非常に重いシステムとなってしまい、システムの運搬や設置に支障を来して機動性が悪くなってしまう。また、X線源を40〜80個用意するのは、コスト面からみても可搬型のX線画像撮影システムに採用するには非現実的である。アレイを用いる態様では撮影時間の短縮化は実現できているが、それに加えてシステムの機動性確保、および安価なシステムの提供という可搬型のX線画像撮影システムの重要課題を全て満足させるには至らない。
【0008】
本発明は、上記課題に鑑みてなされたもので、その目的は、撮影時間の短縮化、システムの機動性確保、および安価なシステムの提供という可搬型のX線画像撮影システムの重要課題を同時にクリアすることにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するために、本発明の可搬型の放射線画像撮影システムは、被検体に放射線を照射するn個の放射線源と、被検体を透過した放射線を受けて画像を検出する放射線画像検出器と、前記n個の放射線源を前記放射線画像検出器に対して移動可能に支える保持具と、前記放射線画像検出器に対して異なる角度で前記n個の放射線源から放射線を照射し得るよう、前記保持具上のN個(N≫n)の位置に前記n個の放射線源を移動させるための移動機構とを備えることを特徴とする。
【0010】
前記放射線画像検出器から出力されるN個の画像データに基づいて被検体の関心領域を強調した断層画像を生成する画像生成装置を備えることが好ましい。
【0011】
前記n個の放射線源の各々は、前記移動機構により互いに重複しない略N/n個の位置に移動され、各位置で互いに重複しないタイミングにて放射線を照射する。前記n個の放射線源の各々は、前記移動機構による全移動範囲をn等分した範囲の放射線の照射を担う。
【0012】
前記移動機構は、前記n個の放射線源のうちの一つで放射線を照射しているときに、他の放射線源を次の位置に移動させる。前記n個の放射線源を同時に次の位置に移動・停止させてもよい。これら二つの駆動パターンを選択させる操作入力手段を備えていてもよい。
【0013】
前記移動機構は、移動に伴う互いの振動を打ち消し合う方向に前記n個の放射線源を移動させる。この場合nは偶数であること、前記n個の放射線源は前記保持具上の左右対称な位置を移動することが好ましい。
【0014】
前記画像生成装置は、前記放射線源の位置を表す識別子と画像データを関連付けて記憶する。
【0015】
前記保持具は、前記放射線源が各位置で前記放射線画像検出器に向くような曲線軌道を有することが好ましい。また、nは2であることが好ましい。
【0016】
前記放射線源は固定陽極放射線管を有する。また、前記放射線源は冷陰極電子源を用いた放射線管を有する。
【0017】
本発明の可搬型の放射線画像撮影セットは、被検体を透過した放射線を受けて画像を検出する放射線画像検出器と、被検体に放射線を照射するn個の放射線源を前記放射線画像検出器に対して移動可能に支える保持具と、前記放射線画像検出器に対して異なる角度で前記n個の放射線源から放射線を照射し得るよう、前記保持具上のN個(N≫n)の位置に前記n個の放射線源を移動させるための移動機構とを備えることを特徴とする。
【0018】
本発明の可搬型の放射線画像撮影システムに用いる保持具は、被検体に放射線を照射するn個の放射線源を支える支持部と、被検体を透過した放射線を受けて画像を検出する放射線画像検出器に対して異なる角度で放射線源から放射線を照射し得るよう、前記支持部をN個(N≫n)の位置に移動させるための移動機構とを備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、n個の放射線源を移動させつつ放射線を照射させ、N回(N≫n)の撮影をn個の放射線源で分担するので、撮影時間の短縮化、システムの機動性確保、および安価なシステムの提供という可搬型のX線画像撮影システムの重要課題を同時にクリアすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】X線画像撮影システムの概略構成を示す斜視図である。
【図2】X線管の概略構成を示す図である。
【図3】第一実施形態に係る各X線源の動作状態を示すタイミングチャートであり、(A)は一回の撮影時間と移動時間が略同じ場合、(B)は撮影時間が移動時間よりも短い場合をそれぞれ示す。
【図4】撮影制御装置の電気的構成を示すブロック図である。
【図5】撮影位置を示す識別子を画像データに付す具体例を説明するための図である。
【図6】トモシンセシス撮影の処理手順を示す模式図である。
【図7】X線遮蔽シートで全体を覆った様子を示す図であり、(A)は被検体の体側面方向から見た状態、(B)は被検体の頭部方向から見た状態をそれぞれ示す。
【図8】ケーブルの巻取り部を設けた例を示す斜視図である。
【図9】第二実施形態に係る各X線源の動作状態を示すタイミングチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0021】
[第一実施形態]
図1において、X線画像撮影システム2は、X線を照射する二個のX線源10a、10bと、X線源10a、10bから照射され被検体Pを透過したX線を検出して画像データを出力するカセッテ11と、X線源10a、10bとカセッテ11の撮影動作を制御する撮影制御装置12と、撮影制御装置12に対して撮影条件(X線源10a、10bのX線管18a、18bの管電圧、管電流、曝射時間等)の設定を行うコンソール13と、X線源10a、10bを保持する保持具14とからなる。
【0022】
X線源10a、10b、カセッテ11、撮影制御装置12、コンソール13、および保持具14は、いずれも可搬型である。これらを事故、災害等の緊急医療対応が必要な現場や在宅診療を受ける患者の自宅に持ち運んでX線撮影を行うことが可能である。
【0023】
なお、X線源10a、10b、これらを構成するX線管18a、18b等の各部、並びにこれらに関わる移動機構28a、27b等の各部は同じ構成であるので、以下では区別する必要がない限りX線源10aに関わる各部について説明し、X線源10bに関わる各部は符号を付して説明を省略する。
【0024】
撮影制御装置12は、コンソール13の入力デバイス15から入力された撮影条件等に基づいて、X線源10aおよびカセッテ11にそれぞれの動作タイミングが同期するように動作司令を与える。撮影制御装置12は、照射スイッチ29から曝射指示の信号を受信すると、カセッテ11に対してその旨を通知することでX線源10aとカセッテ11の動作の同期制御を行う。
【0025】
カセッテ11から出力された画像データは、撮影制御装置12を経由してコンソール13に入力される。コンソール13は、パーソナルコンピュータやワークステーションからなり、受信した画像データに対して様々な画像処理を施す他、画像をディスプレイ16に表示させたり、画像蓄積サーバ等の外部データストレージデバイスにアップロードする。
【0026】
X線源10aは、撮影制御装置12にケーブル17で有線接続され、撮影制御装置12から電力が供給される。X線源10aは、ドライバ41a(高電圧発生器、図4参照)からの高電圧によりX線を発生するX線管18a、およびX線管18aが発生したX線の照射野を規制するコリメータ(照射野限定器、図示せず)等を有する。
【0027】
図2において、X線管18aは、ターゲットの回転機構をもたない固定陽極X線管である。X線管18aは、電子を放出する冷陰極電子源30a、電子加速器31a、電子の衝突によりX線を発生するターゲット32a、およびこれらを収容する外装管33aで構成される。冷陰極電子源30aは、熱陰極の場合のようにフィラメントおよびこれを加熱する加熱器は不要である。
【0028】
X線管18aはターゲットの回転機構をもたず、フィラメントおよび加熱器もないため小型軽量である。また、フィラメントの余熱が不要なので、撮影指示に即応したX線の照射が可能である。このため緊急医療対応時にすぐに撮影を行えるという利点がある。X線管18aには、例えば特許第3090910号に記載の2mm以下の同軸ケーブルに収まる超小型X線発生装置や、「“乾電池駆動超小型電子加速器・高エネルギーX線源の開発とその応用”2009年3月29日 鈴木良一 産業技術総合研究所 〈http://beam-physics.kek.jp/bpc/suzuki.pdf〉」に記載のカーボンナノ構造体を用いたX線管を用いることができる。後者のX線管の場合は乾電池で駆動するため、X線源10aと撮影制御装置12間をケーブルレスとし、曝射指示の信号のみを無線通信してもよい。
【0029】
図1に戻って、カセッテ11は略矩形の形状を有し、撮影制御装置12にケーブル19で有線接続され、撮影制御装置12から電力が供給される。カセッテ11は、図示するように受像面20をX線源10a、10b側に向けて被検体Pの下に設置されたり、肩や膝等の撮影部位に応じた位置に適宜位置決めされる。カセッテ11の一辺には、持ち運びに便利なように把手21が設けられている。なお、図示はしていないが、カセッテ11以外のX線源10a、10bや撮影制御装置12にも持ち運び用の把手がある。
【0030】
カセッテ11はX線検出部44(図4参照)を内蔵している。X線検出部44は、例えば、薄膜トランジスタ(TFT)とX線検出素子からなる複数の画素が二次元に配列されたマトリクス基板を有するフラットパネルディテクタ(FPD)である。X線検出部44は、TFTがオフのときに入射したX線の量に応じた電荷をX線検出素子で蓄積する。そして、TFTをオンしてX線検出素子に蓄積した電荷を外部に読み出す。読み出した電荷を信号処理部45(図4参照)の積分アンプで電圧信号に変換し、変換した電圧信号を信号処理部45のA/D変換器でA/D変換することで、デジタルな画像データが生成される。
【0031】
保持具14は、所定角度に開いて床または大地に立設される二組の支持脚22、および円弧状に曲げられた横棒23を有する。支持脚22の上端および横棒23の両端は、三股のジョイント24に繋げられ、これにより保持具14が組み立てられる。組み立て後の保持具14は、横棒23の中心を軸として左右対称である。横棒23には、X線源10a、10bをそれぞれ電気的、機械的に接続するコネクタ25a、25bが取り付けられている。コネクタ25bには前述のケーブル17が接続される。
【0032】
コネクタ25a、25bはさらにケーブル26で互いに接続されており、X線源10bはX線源10aと同様、撮影制御装置12にケーブル17、26で有線接続され、撮影制御装置12から電力が供給される。ケーブル26は、X線源10a、10bが横棒23の両端に移動したときにピンと張らない程度に撓まされている。あるいはケーブル26は伸縮可能な素材で形成されている。X線源10a、10bは、コネクタ25a、25bに取り付けることでケーブル17、26と電気的に接続し、横棒23に懸掛される。X線源10a、10bは、横棒23に懸掛された状態で、略鉛直方向にX線を曝射する。
【0033】
コネクタ25aは、横棒23の下部に横棒23の長手方向に平行して穿たれた溝状のレール27aに嵌合し、移動機構28aによりレール27aに沿って移動可能である。コネクタ25bが嵌合されるレール27bは、レール27aに対向する横棒23の上部に穿たれており、各レール27a、27bは横棒23の中心位置で多少オーバーラップしている。各レール27a、27bをオーバーラップさせているので、X線源10a、10bの一方を横棒23の端側に退避させて他方を横棒23の中心位置に配し、中心位置において撮影を行うことが可能である。
【0034】
移動機構28aには、撮影制御装置12からの指令に基づき駆動するステッピングモータ等の駆動源48a(図4参照)が内蔵されている。駆動源48aが駆動すると、コネクタ25a、ひいてはコネクタ25aに取り付けられたX線源10aがレール27aに沿って移動し、駆動源48aが駆動停止するとX線源10が横棒23の所望の位置に停止する。撮影制御装置12は、駆動源48aに発する駆動電圧パルス(ステッピングモータに印加するパルス)をカウントし、このカウント数を元にX線源10aの横棒23における位置を検出する。
【0035】
なお、本例ではX線源10a、10bを円弧状の横棒23のレール27a、27bに沿って移動させているが、真っ直ぐな横棒を用い、曲線軌道ではなく直線軌道に沿ってX線源10a、10bを移動させてもよい。直線軌道を採用した場合は、X線源10a、10bがカセッテ11に指向するようコネクタ25a、25bに首ふり機構を設けてもよい。本例のような曲線軌道ではX線源10a、10bが自然とカセッテ11に向くため、首ふり機構を設けなくても済む。
【0036】
撮影制御装置12は駆動源48a、48bの駆動を制御し、撮影条件に応じて予め設定された横棒23の等間隔な複数の位置(例えば40〜80箇所)にX線源10a、10bを移動させる。X線源10aは図1の横棒23の左端から中心、X線源10bは横棒23の右端から中心の範囲を移動する。撮影条件で決められるトータルの停止位置(撮影回数)をNとすると、X線源10a、10bはその半分のN/2回停止し、N/2回の撮影をそれぞれ担当する。また、撮影時にこれらは横棒23の両端から中心に向けて移動する。つまりX線源10a、10bは、横棒23の中心を対称軸として反対方向に等距離で移動する。
【0037】
撮影制御装置12は、X線源10a、10bが各位置に到達する毎に、X線源10a、10bから被検体Pに向けてX線を照射させ、その都度カセッテ11でX線を検出させる。こうすることで、X線源10a、10bの位置を複数変更して異なる方向からX線を照射して検出した複数の画像データがカセッテ11から出力される。
【0038】
図3のタイミングチャートに示すように、撮影制御装置12は、X線源10a、10bが撮影と移動を交互に繰り返す(X線源10a、10bの一方が移動している間に他方が撮影を行う)よう、X線源10a、10bと移動機構28a、28bの駆動を制御する。
【0039】
(A)は一回の撮影時間と移動時間が略同じ場合、(B)は撮影時間が移動時間よりも短い場合をそれぞれ示す。(B)ではX線源10a、10bが同時に移動する期間が存在する。(A)、(B)の場合いずれも、一個のX線源を用いる場合と比べて全回の撮影に要する時間が1/2になる。なお、図示はしていないが、各撮影の合間にはカセッテ11のX線検出部44の撮影準備処理に要する時間が含まれる。
【0040】
図4において、撮影制御装置12のX線源制御部40aは、X線源10aの各部の動作を統括的に制御する。X線源制御部40aは、ドライバ41aを介してX線管18aの動作を制御し、指定された撮影条件および動作タイミングにてX線管18aを動作させる。
【0041】
カセッテ制御部42は、カセッテ11の各部の動作を統括的に制御する。カセッテ制御部42は、ドライバ43を介してカセッテ11のX線検出部44の動作を制御し、指定された動作タイミングにてX線検出部44を動作させる。また、カセッテ制御部42は、積分アンプやA/D変換器を有する信号処理部45から画像データを受け取り、これをコンソール13に渡す。
【0042】
コンソール13は、カセッテ制御部42から送信される画像データに、その撮影位置を示す適当な識別子を付してメモリやストレージデバイスに記憶する。具体的には、図5に示すように、X線源10a、10bの横棒23の停止位置に対して、図1の左端から順に1、2、3、・・・、N/2、(N/2)+1、・・・、N−1、N(Nは撮影条件で決められるトータルの撮影回数)の番号を便宜的に与える。前述のようにX線源10aは番号1〜N/2の撮影を担当し、番号通りに移動して撮影を行う。一方、X線源10bは番号(N/2)+1〜Nの撮影を担当し、X線源10aと逆方向に移動するため番号順とは逆に最初はN番から撮影を行い、最後に(N/2)+1番に移動して撮影を行う。コンソール13は、カセッテ制御部42からの画像データのファイル名や付帯情報に上記番号を識別子として記録し、この識別子で一連の画像データの撮影位置を区別する。例えばX線源10aの撮影を最初に、X線源10bの撮影を次にというように、X線源10a、10bの撮影を交互に行う場合は、カセッテ制御部42から順次送られてくる画像データに、1、N、2、N−1、3、N−2、4、・・・と識別子を付す。
【0043】
図6に模式的に示すように、コンソール13は、X線源10a、10bの位置を複数変更して異なる方向からX線を照射することでカセッテ11から出力される複数の画像データに基づき、被検体Pの断層画像、特に、被検体Pの関心領域ROIにおけるカセッテ11の受像面20に平行な断層画像(再構成画像ともいう)を生成する。この際、コンソール13は、画像データの取り込み時に付した識別子の順にメモリやストレージデバイスから画像データを読み出して画像処理を実行する。
【0044】
断層画像を生成する方法としては、例えば異なる位置a、b、c、d、eで撮影されて出力された画像データに対して、各画像のROIの位置を合わせるシフト処理を行い、次いでシフト処理した各画像を加算処理して、ROIを強調した再構成画像を得る。
【0045】
断層画像を生成する方法には、この他に単純逆投影法やフィルタ逆投影法等があり、これらを採用してもよい。単純逆投影法は、複数の画像に再構成フィルタをかけずにそのまま複数の画像をそれぞれ逆投影した後、加算処理して再構成画像を得る方法である。一方、フィルタ逆投影法は、複数の画像に再構成フィルタを畳み込みフィルタとしてかけてから逆投影した後、加算処理して再構成画像を得る方法と、複数の画像を一旦フーリエ変換して周波数空間のデータに置き換え、該データに再構成フィルタをかけてから逆投影した後、加算処理して再構成画像を得る方法とがある。
【0046】
図4に戻って、移動機構制御部46aは、ドライバ47aを介して移動機構28aの駆動源48aの動作を制御する。なお、X線源10bに関わるX線源制御部40bおよび移動機構46bも同様の構成および作用を奏する。これら各制御部40a、40b、42、46a、46bは協働して、X線源10a、10bの位置を複数変更して異なる方向からX線を照射して複数の画像データを得、複数の画像データを元に再構成画像を生成するトモシンセシス撮影を各部に行わせる。
【0047】
図7(A)、(B)に示すように、X線画像撮影システム2で撮影を行う際には、被曝の危険性を減じるため、X線遮蔽シート55を装着する。(A)は被検体Pの体側面方向から見た状態、(B)は被検体Pの頭部方向から見た状態をそれぞれ示す。
【0048】
X線遮蔽シート55は、鉛等のX線遮蔽性の高いX線遮蔽材を含有し、かつ可撓性を有するシート状の素材で作製されている。X線遮蔽シート55は、X線画像撮影システム2を略全体にわたって覆うことが可能な大きさを有する。X線遮蔽シート55をジョイント24や横棒23等に取り付け、X線遮蔽シート55を支持脚22の裾まで垂らして、被検体Pの被撮影部位を含むX線画像撮影システム2の全体を覆う。X線遮蔽シート55の取り付けには、フック、スナップ、面ファスナ、ネジ留め等を利用することができる。
【0049】
X線遮蔽シート55の頂点には、撮影制御装置12とコネクタ25bを繋ぐケーブル17を中途で固定するケーブル固定具56が設けられている。ケーブル17は、ケーブル固定具56の先で保持具14の横棒23にあたる部分に撓ませた状態でX線遮蔽シート55内に収容される。ケーブル17は、コネクタ25bがレール27bに沿って横棒23の中心から右端まで移動してもピンと張らない程度に撓まされている。ケーブル17は、コネクタ25bの移動に伴ってケーブル固定具56を支点として伸縮する。
【0050】
次に、上記構成による作用を説明する。まず、X線画像撮影システム2を使用する放射線技師は、X線画像撮影システム2一式を撮影現場まで持ち運び、保持具14を図1の如く組み立ててコネクタ25a、25bとX線源10a、10bを繋ぐ。また、ケーブル17をコネクタ25b、ケーブル19をカセッテ11、ケーブル26をコネクタ25a、25bに接続し、以てX線源10a、10bおよびカセッテ11と撮影制御装置12とを接続する。
【0051】
X線画像撮影システム2のセットが完了した後、X線源10a、10bとカセッテ11が相対する所定位置に被検体Pを仰臥させ、X線遮蔽シート55を取り付けてX線遮蔽シート55で被検体Pの被撮影部位およびX線画像撮影システム2の全体を覆う。また、ケーブル17の中途をケーブル固定具56で固定し、その先を撓ませてX線遮蔽シート55内に収容する。
【0052】
放射線技師は、コンソール13の入力デバイス15を介して撮影条件等を入力した後、撮影制御装置12に付いた照射スイッチ29を押して曝射開始を指示する。曝射開始の指示に応じて、撮影制御装置12により移動機構28a、28bの駆動源48a、48bが駆動され、予め設定された横棒23の複数の位置にX線源10a、10bが移動される。また、撮影制御装置12の制御の下、X線源10a、10bが各位置に到達する毎に、X線源10a、10bのX線管18a、18bから被検体Pに向けてX線が照射され、且つカセッテ11のX線検出部44でX線が検出される。
【0053】
より詳細には、まず、駆動源48a、48bを駆動させてX線源10a、10bを横棒23の両端の初期位置(図5の番号1とNの位置)に移動させる。そして、X線源10aから先に1回目の撮影を行わせ、続いてX線源10bに撮影を行わせる。X線源10bで撮影を行っている最中に、駆動源48aを駆動させてX線源10aを次の撮影位置である番号2の位置に移動させる。X線源10bの撮影終了後、直ちにX線源10aによる番号2の位置での撮影に移る。こうしてX線源10a、10bで撮影と移動を交互に繰り返し、一セットのトモシンセシス撮影を完了する。
【0054】
コンソール13では、こうして得られた複数の画像データに対して撮影位置を示す識別子が付される。そして、識別子が参照されて複数の画像データに基づいた再構成画像が生成される。生成された再構成画像はディスプレイ16に表示される。放射線技師は、ディスプレイ16に表示された再構成画像を観察して診断を下したり、ネットワークを通じて遠隔医療施設に再構成画像のデータを送信して、遠隔医療施設に常駐する専門の医師に指示を仰ぐといった適切な処置を施す。
【0055】
以上説明したように、本発明によれば、二個のX線源10a、10bをカセッテ11に対して移動させつつ撮影を行うので、一個のX線源を用いる場合よりも撮影時間を大幅に短縮化することができる。X線源10a、10bで撮影と移動を交互に繰り返すので、さらなる撮影時間の短縮化を達成することができる。また、複数のX線源を配列したアレイを用いる場合と比べて、部品コストを安価に抑えることができる。
【0056】
緊急医療対応では痛みであまり制動が利かない急病人を対象とすることがあり、在宅診療を受ける患者には寝たきりの高齢者等同じ姿勢を保つことが困難なものもいる。撮影時間を短縮化して迅速に撮影を完了することができれば、急病人や寝たきりの高齢者等の撮影を支障なく遂行できる可能性が高まるので特に有益である。
【0057】
一セットのトモシンセシス撮影では40〜80回の撮影を行うが、その分の個数のX線源でアレイを構成するのはコストが嵩む。また、アレイの重量が重くなり、可搬型のX線画像撮影システムには不向きである。本例ではX線源10a、10bは高々二個であり、さらにX線管18a、18bが小型軽量であるため、持ち運びや組み立て時に嵩ばらず、放射線技師に掛かる負担を軽減することができる。X線管18a、18bが小型軽量であるがゆえに、重量が重くなるX線源のアレイを用いた場合と比べて、保持具14の構成部品をさほど堅牢なものとする必要がなく、保持具14も同時に小型軽量化することができる。
【0058】
X線管18a、18bが小型軽量であるため、X線源10a、10bの移動に伴う振動が生じ難い。従って、振動検知センサを設けて振動がある程度収まるまで撮影を中断する、あるいは振動検知結果に基づいて画像を補正する等の煩雑な対処を講じる必要がなく、撮影を迅速に遂行することができる。また、振動による画質劣化(ぶれ)を抑えた鮮鋭度が高い画像を得ることができる。
【0059】
例として挙げた特許第3090910号等に記載のX線管は、小型軽量化に対する犠牲としてX線量を稼げないという懸念があるが、上記実施形態で説明したトモシンセシス撮影では、X線源10a、10bの各移動位置における一回の撮影あたりのX線の線量が少なくて済むため、かえって好適である。
【0060】
撮影位置を示す識別子を画像データに付すので、横棒23の左端から右端等、一定方向にX線源を移動させて撮影を行うというように、撮影位置の並び順の通りに撮影を行わなくても、識別子から撮影位置を判別することができる。
【0061】
X線遮蔽シート55で被検体Pの被撮影部位およびX線画像撮影システム2を覆うため、曝射されたX線が外部空間に漏れ出し、撮影と関係のない周囲の人間が被曝する危険性を減らすことができる。また、被撮影部位以外の頭部、脚部等をX線遮蔽シート55で覆われた空間の外部に出すことにより、被検体Pの被撮影部位以外への被曝の危険性も減らすことができる。被検体以外の人間が多くいる場所でも躊躇せずに撮影を行うことが可能となる。
【0062】
X線遮蔽シート55は可撓性を有するため、非使用時は折り畳んだりロール状にまとめたりすることができる。例えば横棒23を中空にして横棒23内にX線遮蔽シート55を収納することも可能である。
【0063】
ケーブル17の中途をケーブル固定具56で固定し、その先を撓ませてX線遮蔽シート55内に収容するので、ケーブル17をコンパクトにまとめることができる。ケーブル17に足を引っ掛けて転倒したり、ケーブル17が引っこ抜かれて撮影が中断されたりといった事故を防止することができる。なお、カセッテ11と撮影制御装置12を繋ぐケーブル19も同様に、X線遮蔽シート55内に撓み部分を収容してもよい。
【0064】
ケーブルによる事故防止とケーブルの収納性、可搬性向上を達成するため、図8に示す巻取り部60をケーブル17に設けてもよい。非使用時は巻取り部60内にケーブル17を収納し、使用時は巻取り部60から必要な長さだけケーブル17を引き出す。図示するように巻取り部60を支持脚22に取り付けてもよい。あるいは撮影制御装置12に巻取り部を設け、撮影制御装置12にケーブル17を巻き取って収納してもよい。なお、図8ではX線源10a等を省略している。
【0065】
[第二実施形態]
上記第一実施形態では、X線源10a、10bの撮影と移動を交互に繰り返す例を説明したが、本実施形態ではX線源10a、10bを同時に移動・停止させて撮影を行う。
【0066】
本実施形態のタイミングチャートを示す図9において、X線源10a、10bは、撮影制御装置12による制御によって同時に移動・停止される。停止後、X線源10aで直ちに撮影が行われ、次いでX線源10bで撮影が行われる。X線源10a、10bの一方が撮影を行っている間、他方を停止位置で待機させる。待機させる期間があるため上記第一実施形態よりも遅くなるが、一個のX線源を用いる場合と比べて全回の撮影に要する時間は短くなる。
【0067】
第一実施形態では、X線源10a、10bの一方が撮影を行っている間、他方を移動させているため、振動が生じ難いとはいえ多少なりとも撮影に影響を受ける。対して本実施形態では、一方が撮影を行っている間は他方は移動せずに待機しているので、振動の影響を略完全に排除することができる。これと併せてX線源10a、10bを反対方向に等距離で移動させれば、振動対策は万全となる。
【0068】
上記第一、第二実施形態を複合して用いてもよい。この場合は各実施形態の態様を放射線技師が選択可能に構成することが好ましい。例えば図1に符号65で示す駆動パターン選択スイッチを撮影制御装置12に設けておく。できるだけ早く撮影を済ませたい場合は第一実施形態、できるだけ振動の影響を排除したい場合は第二実施形態を選択すればよい。
【0069】
なお、X線源の個数は上記各実施形態の二個に限らない。X線源の個数を増やすほど撮影時間の短縮化が可能である。但し、撮影回数と同等の個数だと機動性、コスト面で難があるため、X線源の個数は二個〜五個程度が適当である。二個以上の場合も上記各実施形態と同様に、各々のX線源は互いに重複しないタイミングで撮影を行う。全撮影回数が40回の場合、四個であれば一つのX線源で10回、五個であれば8回の撮影を担えばよい。
【0070】
なお、X線源10a、10bを反対方向に移動させて振動を打ち消す場合は、対称性を保つためX線源の個数は偶数であることが好ましい。また、上記第一実施形態のように各X線源10a、10bを横棒23端から中心に向けて移動させてもよいし、逆に中心から端に向けて移動させてもよい。
【0071】
X線源10aの撮影を図5の1の位置、X線源10bの撮影を(N/2)+1の位置からはじめ、X線源10aを横棒23の左端から中心、X線源10bを中心から右端に向けて同方向に移動させつつ撮影を行ってもよい。その逆も可である。また、X線源10aの撮影を図5の1の位置、X線源10bの撮影を3の位置からはじめ、これらの間隔を保ったまま順次2と4、5と7、6と8、・・・の位置に移動させてもよい。
【0072】
一つのコネクタに数個ずつX線源を割り当ててもよい。移動回数が減るため撮影時間をさらに短縮化することができる。また、X線源を各位置に停止させずに、移動させながら撮影を行わせてもよい。この場合は振動の影響を極力抑えるために比較的低速でX線源を移動させる。
【0073】
なお、本発明に係るX線画像撮影システムは、上記各実施形態に限らず、本発明の要旨を逸脱しない限り種々の構成を採り得ることはもちろんである。
【0074】
例えば上記各実施形態では、撮影制御装置12からの指令を受けてX線検出部44を動作させる態様を説明したが、X線検出部44でX線の照射を自己検出し、撮影制御装置12からの指令を受けることなくX線検出部44を動作させてもよい。
【0075】
上記各実施形態では、トモシンセシス撮影を行うシステムを例に挙げたが、複数回撮影して得られた複数の画像の中から任意の二枚を選択して立体視するシステムであってもよい。この場合、撮影した画像を全てコンソール13で受信した後、コンソール13で任意の二枚を選択してディスプレイ16に表示し、これを立体視用のメガネ等を介して読影する。トモシンセシス撮影の場合、再構成画像を生成する処理に時間が掛かるという難点があるが、複数の画像の中から任意の二枚を選択して立体視する場合は、撮影した直後に奥行きのある被検体Pの画像情報を手軽に確認することができる。このため、まずは立体視を行い、立体視した結果病変等が見つかって問題がありそうな場合に、所望の断層面を強調した再構成画像を得るようにすれば、スピーディに無駄なく診断を進められるので効率がよい。
【0076】
X線検出部44は上記実施形態の直接変換方式に限らず、入射したX線をシンチレータによって一旦可視光に変換した後、この可視光をアモルファスシリコン(a−Si)等の固体検出素子を用いて電気信号に変換する間接変換方式を用いてもよい。
【0077】
カセッテ11と撮影制御装置12とをケーブル19で有線接続しているが、これらを無線接続してもよい。無線接続する場合は、カセッテ11に電力供給用のバッテリを搭載する。
【0078】
各制御部42、46a、46bや各ドライバ43、47a、47bの機能を、撮影制御装置12ではなくカセッテ11、移動機構28a、28bに設けてもよい。高電圧発生器であるドライバ41a、41bを撮影制御装置12と別体で設けるのも可である。また、コンソール13ではなく、撮影制御装置12で識別子を付したり再構成画像を生成してもよい。
【0079】
支持脚22同士の幅やX線源10と受像面20との距離(SID;Source Image Distance)を調整し得るように、支持脚22や横棒23を伸縮可能に構成してもよい。また、折り畳み式のジョイントを用いて、支持脚22と横棒23を一本にまとめてもよい。
【0080】
コリメータの照射開口によるX線源10a、10bの最大投射角は約12°程度である場合が多い。コリメータの照射開口のサイズを変えずにX線の照射野を変更したい場合には、支持脚22を伸縮させてSIDを調整する。なお、最大投射角とは、X線管18a、18bの焦点を頂点として照射開口の両端を結ぶ直線を底辺とした場合に形成される二等辺三角形の頂角である。
【0081】
X線遮蔽シート55は、上記実施形態のシステム全体を覆う大きさではなく、撓んだケーブル17を少なくとも収容可能な大きさであってもよい。
【0082】
本発明は、X線に限らず、γ線等の他の放射線を使用する撮影システムにも適用することができる。
【符号の説明】
【0083】
2 X線画像撮影システム
10a、10b X線源
11 カセッテ
12 撮影制御装置
13 コンソール
14 保持具
17 ケーブル
18a、18b X線管
28a、28b 移動機構
30a、30b 冷陰極電子源
32a、32b ターゲット
40a、40b X線源制御部
41a、41b ドライバ
42 カセッテ制御部
44 X線検出部
46a、46b 移動機構制御部
48a、48b 駆動源
55 X線遮蔽シート
56 ケーブル固定具
60 巻取り部
65 駆動パターン選択スイッチ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被検体に放射線を照射するn個の放射線源と、
被検体を透過した放射線を受けて画像を検出する放射線画像検出器と、
前記n個の放射線源を前記放射線画像検出器に対して移動可能に支える保持具と、
前記放射線画像検出器に対して異なる角度で前記n個の放射線源から放射線を照射し得るよう、前記保持具上のN個(N≫n)の位置に前記n個の放射線源を移動させるための移動機構とを備えることを特徴とする可搬型の放射線画像撮影システム。
【請求項2】
前記放射線画像検出器から出力されるN個の画像データに基づいて被検体の関心領域を強調した断層画像を生成する画像生成装置を備えることを特徴とする請求項1に記載の可搬型の放射線画像撮影システム。
【請求項3】
前記n個の放射線源の各々は、前記移動機構により互いに重複しない略N/n個の位置に移動され、
各位置で互いに重複しないタイミングにて放射線を照射することを特徴とする請求項1または2に記載の可搬型の放射線画像撮影システム。
【請求項4】
前記n個の放射線源の各々は、前記移動機構による全移動範囲をn等分した範囲の放射線の照射を担うことを特徴とする請求項1ないし3のいずれか一項に記載の可搬型の放射線画像撮影システム。
【請求項5】
前記移動機構は、前記n個の放射線源のうちの一つで放射線を照射しているときに、他の放射線源を次の位置に移動させることを特徴とする請求項1ないし4のいずれか一項に記載の可搬型の放射線画像撮影システム。
【請求項6】
前記移動機構は、前記n個の放射線源を同時に次の位置に移動・停止させることを特徴とする請求項1ないし5のいずれか一項に記載の可搬型の放射線画像撮影システム。
【請求項7】
前記n個の放射線源のうちの一つで放射線を照射しているときに、前記移動機構により他の放射線源を次の位置に移動させるか、前記n個の放射線源を同時に次の位置に移動・停止させるかを選択させる操作入力手段を備えることを特徴とする請求項1ないし6のいずれか一項に記載の可搬型の放射線画像撮影システム。
【請求項8】
前記移動機構は、移動に伴う互いの振動を打ち消し合う方向に前記n個の放射線源を移動させることを特徴とする請求項1ないし7のいずれか一項に記載の可搬型の放射線画像撮影システム。
【請求項9】
前記画像生成装置は、前記放射線源の位置を表す識別子と画像データを関連付けて記憶することを特徴とする請求項1ないし8のいずれか一項に記載の可搬型の放射線画像撮影システム。
【請求項10】
前記保持具は、前記放射線源が各位置で前記放射線画像検出器に向くような曲線軌道を有することを特徴とする請求項1ないし9のいずれか一項に記載の可搬型の放射線画像撮影システム。
【請求項11】
nは2であることを特徴とする請求項1ないし10のいずれか一項に記載の可搬型の放射線画像撮影システム。
【請求項12】
前記放射線源は固定陽極放射線管を有することを特徴とする請求項1ないし11のいずれか一項に記載の可搬型の放射線画像撮影システム。
【請求項13】
前記放射線源は冷陰極電子源を用いた放射線管を有することを特徴とする請求項1ないし12のいずれか一項に記載の可搬型の放射線画像撮影システム。
【請求項14】
被検体を透過した放射線を受けて画像を検出する放射線画像検出器と、
被検体に放射線を照射するn個の放射線源を前記放射線画像検出器に対して移動可能に支える保持具と、
前記放射線画像検出器に対して異なる角度で前記n個の放射線源から放射線を照射し得るよう、前記保持具上のN個(N≫n)の位置に前記n個の放射線源を移動させるための移動機構とを備えることを特徴とする可搬型の放射線画像撮影セット。
【請求項15】
被検体に放射線を照射するn個の放射線源を支える支持部と、
被検体を透過した放射線を受けて画像を検出する放射線画像検出器に対して異なる角度で放射線源から放射線を照射し得るよう、前記支持部をN個(N≫n)の位置に移動させるための移動機構とを備えることを特徴とする可搬型の放射線画像撮影システムに用いる保持具。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2012−65768(P2012−65768A)
【公開日】平成24年4月5日(2012.4.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−211861(P2010−211861)
【出願日】平成22年9月22日(2010.9.22)
【出願人】(306037311)富士フイルム株式会社 (25,513)
【Fターム(参考)】