可撓性スクラブリング接触子
【解決手段】複数の小さな導電性、可撓(とう)性中空リング(10)は、各々が撓(たわ)みやすい材料から作られ、基板(23、80、82)と電子デバイス(88)との間で使用される可撓性接続媒体を提供する。各々のリングは少なくとも1つのリングの外部表面上の突出部(20)を備えるように形成される。突出部は頂点(22)又は点を備え、表面に向って配置した際に、リングが径方向に作用する力によってリングが圧縮されると、表面をスクラブ又は擦る。頂点で接触面をスクラブすることによって、電気信号を妨害し得る表面の汚れ物質及び層状物質を除去することができる。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
最先端のマイクロプロセッサ等のマイクロ電子デバイスでは、ますます狭い面積内で信頼性の高い接続を多数必要としている。電子デバイスと、電子デバイスの実装先の基板との間で接続数が増えると、たった1箇所であっても接続が行われない箇所又は接続不良となる箇所ができる可能性も高くなる。
【0002】
「ウェーブソルダリング」では、電子部品が実装された基板一面に溶融したはんだを流すことによって、電子部品を基板にはんだ付する。基板上に部品が配置されると、その基板は溶融はんだ流の上に通され、基板の下側面の露出したフラックスを塗布した金属面がはんだ槽から溶融はんだを吸上げる。溶融はんだを吸上げた基板が溶融はんだ槽から離れると、基板上のはんだは冷却されて固化し、これにより、電子デバイスと、はんだ付された基板表面との間で電気接続が確立される。
【0003】
電子技術において接続密度が高くなり、電子デバイスからのリード長が短くなると、確立しなければならない接続数が増加するため、たった1箇所であっても接続が行われない箇所又は接続不良となる箇所ができる可能性が統計的に高くなる。基板の平面に存在する凸凹が微小であっても、接続に関する問題を引起こす可能性がある。
【0004】
従来技術のはんだ付技法での問題点の1つは、基板と電子デバイスの接触面との離間距離が均一でないときに発生する。例えば、マイクロプロセッサの1本又は2本のコンタクトリード、あるいは、マイクロプロセッサの1つ又は2つの接触面がその他のコンタクトリード又は接触面と比べて基板平面からより大きく離れている場合、そのより大きく離れている箇所に溶融はんだが運ばれない可能性がある。従来技術のはんだ付技法には、結合する2つのデバイス又は表面の接触面の間の間隔又は距離が少し変化しただけで、接続を行うことができないという欠点がある。
【0005】
製造時には電子デバイスとその支持基板との間でたった1箇所の接続が行われなかっただけで、又は、電子デバイスの使用中にたった1箇所の接続不良が発生しただけで、障害の発生した電気接続を特定しその修理を実施するのにかかるコストが、電子デバイス及び支持基板が作動する製品の製造コストを上回る場合がある。電気接続の製造容易性を向上させ、製造後の電気接続の信頼性を高めることが、従来技術に対する改良となるであろう。
【0006】
撓(たわ)みやすいリングは、特に表面が清潔でないと、良好な電気接続を得ることができない場合がある。当業者には周知のように、回路基板のトレース又はコンタクトパッドに物質が積もると、それが非常に薄い層であっても、良好な接続の妨げとなり得る。導体表面に汚れ、埃(ほこり)、又は皮膜が存在すると、たとえ、リング式の接触子スプリングであっても、トレース又はコンタクトパッドとの良好な電気接続が得ることができない場合がある。表面の酸化物質、残留しているコンフォーマルコーティング材料、はんだフラックス、大気汚染物質及びその他の化学物質によって、金属コンタクトパッド上には薄い皮膜が形成され、安定した電気接触子の形成が妨害される可能性がある。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
このような欠点を改善するためには、コネクタを回路基板と接触させる際に、コンタクトパッド又は回路基板トレースの全体に亘(わた)ってワイピングを行って接触面から汚れ物質、酸化物質及び皮膜を取除くコネクタを提供することが望ましい。本発明は、上記の欠点を克服する改良型のリングコネクタに関する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
したがって、本発明の一般的な目的は、コネクタを接続する接触面に薄層又は皮膜が堆(たい)積していても、対向する接触子をワイピングすることによって皮膜を除去し、そのような皮膜を通して電気的な接続を確立することができる、機械的可撓(とう)性を有するコネクタを提供することである。
【0009】
本発明の他の目的は、ワイピングブレードとして作用する拡張された胴体部を周囲に有する、変形可能な中空リング形状の可撓性接触子を提供することである。
【0010】
また、本発明の他の目的は、三角形の拡張部を有する可撓性の中空リング接触子であって、前記三角形の拡張部には半径方向外側に延在して接触子のワイピングエッジを形成する頂点が設けられ、ワイピングの信頼性を高めるためにリングエッジがリングの中心に配置されている中空リング接触子を提供することである。
【0011】
さらに、本発明の他の目的は、2つの回路基板の接続を確立する際に使用する可撓性接触子を提供することである。該接触子は、中空リング構成となっている。該リングは、ベース部及び接触部を形成する連続的な導電性バンドを有する。前記ベース部は、第1の回路基板の一部と接触してリング接触子を第1の回路基板に固定するためにはんだを着ける2つの領域を画定する基部を備える。さらにリングには、リング胴体の横断方向に延在する接触子のワイピングエッジを画定する、接触部の拡張領域が含まれる。該拡張領域は、リング胴体部から頂点まで半径方向外側に延在しており、ワイピングエッジは頂点に一致している。
【0012】
本発明は、その構造により上記目的を達成する。本発明の好ましい形態では、マイクロ電子デバイスを回路基板又は他の平坦(たん)面に電気的に接続し実装するために、電子デバイスと回路基板又は基板の電気的な接触子との間に小さな導電性中空リングを使用する。各々のリングは、幾何学的中心点の周囲に延在する柔軟性又は可撓性を有する導電材料から成る連続的なバンドを有し、頂点を持つ突出部が少なくとも1つ形成されている。
【0013】
第1の回路基板と第2の回路基板とが接触してリングが変形されると、リングが外側に曲がる傾向にある。このリングの曲り動作の結果、突出部は、実質上、第2の回路基板に対して直線的に移動する。突出部の頂点は、リングが押付けられた接触面を、擦る(scrape)、すなわち、「スクラブ」する。突出部のスクラブ作用により、スクラブされた表面から材料が除去される傾向にあるので、電気的接続が改善される。
【0014】
本発明のこれらの及びその他の目的、特徴及び利点は、以下の詳細の説明を検討することにより明瞭に理解されるであろう。
【0015】
この詳細の説明において、添付の図面を頻繁に参照する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
図1は、本発明の原理に従って構成された単体の導電性中空リング10の斜視図である。リング10は、柔軟性(可撓性)を有する導体材料から形成されることが好ましく、電子デバイスを回路基板又はその他の基板(図1に示さず)に接続するために使用される。円筒の場合と同様に、リングの材料は、空間の点12をおおむね中心としており、リングの回転軸14(図4に示す)がその点を通って延在している。この点12は、リング10の幾何学的な中心であることが望ましいが、必ずしも幾何学的な中心である必要はないことを理解されたい。
【0017】
リング10は、実質的に円形の内部表面16と、連続的な外部表面と、壁厚(参照符号によって識別されていないが、図を見れば分かるように内部表面と外部表面との間)とを有する。図1から分かるように、リング10の外部表面18は、リングの「側面」と考えることができる部分の一部分に沿って局所的な隆起部又は突出部20を有するように形成され、この突出部20は図面では時計の文字盤の11時と12時との間を指している。突出部20は、突出点、つまり頂点22を有する。この点は、リングの中心点12から最も遠くに位置するリング外部表面上の点である。突出部22は、蒸着等の方法によってリング10上に形成してもよいが、リング10を形成するプロセスの一部としてリング10と同じ材料を使用して形成するのが好ましく、また最も簡単である。
【0018】
好ましい実施形態では、リング10を、直径が500〔μm〕〜1000〔μm〕程度のきわめて小さなリングとすることができる。このようにサイズを小さくする場合は、当業者に公知のリソグラフィ及び電鋳などの技法を使用してリング10を形成するのが好ましい。リングの基部は、図1及び2に示すように拡張部を有することもでき、図3及び5に示すように全体を円弧状に、好ましくは円形に構成することもできる。
【0019】
図2は、図1のリング10を示しているが、突出部の頂点22が12時の方向を指す(すなわち、図2の上部を指す)ように時計回りに回転されている。図1及び2に示すリング10は、力が加えられていない状態にある。以下により完全に記載するが、リング10に対して垂直方向の力Fが印加されると、リング10は変形する。この力Fが印加されたことによってリングに変形が生じると、その直接的な結果として、リングの突出部20及びその頂点22が移動又は並進運動する。この動きは、図13Aに最もよく示されているように、リング胴体の横方向の動きであり、水平面内で発生することが好ましい。リング10をはんだ付する表面に対して頂点22がこのような動きをすると、頂点が相手側の表面に対して移動、すなわち、表面を「スクラブ」する。このスクラブ又はワイピング作用によって、電気信号を妨害し得る材料が表面から除去される。
【0020】
図3は、図1及び2に示したリング10の側面図であり、リング10は力が加えられていない状態、つまり変形していない状態にあり、図1及び2の向きに対して逆さまの向きになっている。また、図3も、リング10が略円形の断面を有し、突出部20が略三角形の断面を有することを示している。図3では、突出部20及びその頂点22が6時の方向を指している(すなわち、頂点22は、リング10がはんだ付される面23と直交するように延在する幾何学線上に位置する)。力が加えられていない状態において、突出部20の頂点22と、リング10の円周上にあり頂点22と正反対の点との距離は図中で「D」と識別される。この距離は当然ながら、突出部20の部分で厚くなっているので、リングの直径より大きくなる。
【0021】
図3では、リングの外部表面18に適用可能な2つのニッケル金属はんだバリア68及び70も示している。これらのバリアは両方とも、突出部20からリングの円周に沿って幾分上にずれた箇所に配置される。好ましい実施形態では、はんだバリア68及び70を、外部表面18上の比較的狭いニッケルめっきのストリップとすることができ、これにより、はんだ付によって基板にリングを取付ける際に、図1、2、13A及び13Bに示された基部からはんだがリング10の周囲全域に這(はい)上がるのを防ぐことができる。あるいは、当技術分野で知られているように、リング胴体にニッケルを組込むことによってバリアを構成することもできる。
【0022】
図4は、力が加えられていない状態にあるはんだリング10の端面図であり、リング10の幾何学的な中心を通って延在していると考えられる回転軸14を示している。この図では、突出部20に対する片方のはんだバリア70の相対位置も示す。
【0023】
図5では、リング10に上方から、すなわち、垂直方向に作用する力によって、リング10が金属面23に押付けられた場合、リング10が変形し得る少なくとも一方向を示している。ライン「F」は、リング10に作用する力を示している。図5に示すように、リング10は長円形又は楕(だ)円形に変形すると考えられるが、図13A及び13Bに示すように、リング10は、圧縮された、又は押潰(つぶ)された西洋ナシの形に変形するのが好ましい。図5に示すように、リング10が変形すると、突出部20の頂点22は第1(初期)の位置25から第2(終点)の位置27まで金属接触面23を横切って略水平に横移動する傾向がある。このような動きが発生すると、金属表面に押付けられた頂点22は、初期位置25から第2の位置27まで移動する間に金属面23を擦り(スクラブ又はワイピングを行い)、このプロセス中に金属面23上の皮膜又は物質を貫通する。これにより、加圧されたリング10がその後はんだ付される金属面23と、リング10との間の清浄な接触が確保される。図5に示す、初期位置25から第2の位置27までの間隔は、ワイピング距離「S」である。頂点22は、リング10の下方に置かれた金属面23をワイピング距離「S」の区間に沿って擦る、すなわち、ワイピングする。これにより、金属面23とリング10との間の電気接続を阻止する可能性のある層状物質が除去される。
【0024】
再び、図13Aを参照すると、リング102は右側に変形し(また、左側への変形が発生し得ることも理解できよう)、2つの変曲点AA及びBBでリング102が関節状に曲がる、すなわち、屈曲しているのが分かる。変曲点AAは、リング102がはんだフィレット104と接合している場所で、又は用途によっては、基部105と接合している場所で発生する。なお、基部105はリング接触子の一部として直接形成しても、独立要素として形成しその後でリング胴体に接合してもよい。一方、変曲点BBは、リング上の反対側であって、突出部、すなわち、厚肉部分がリング胴体の通常の厚さ部分と接合する場所で発生する。図13Bに示すように、この2つの変曲点により、リング接触子を実装する回路基板100から鋭角に延在するラインABが定義される。
【0025】
図4では、リング10に力が加えられていない状態で、頂点22とその正反対に位置する点との間隔が図5に示す距離「D」である。図5に示すように、リング10に半径方向の力Fを加えると、リング10が変形するとともに、頂点22が横に滑動する。これにより、表面23からリング10の上端までの最長距離がD’に減少する。
【0026】
図6はリング10の側面図であり、半径方向に力Fが印加されたことによって、力が加えられていない状態から半径方向へ圧縮されたリング10を示す。また、図6はリング10の全高が減少した状態を示している。この変化により、図5に示すように、リング材料は変形し、滑動する。リング10が圧縮され、信号伝導面がスクラブされたら、リング10に力を加えた状態を維持し、リング10、該リング10を介して基板に実装されるデバイス、及び、基板の導体をすべて一緒にウェーブソルダリングすることができる。他の実施形態では、リング10を圧縮して表面をスクラブしてから、リング10に加えた力を解放してリング10をはんだ付することができる。いずれの場合も、はんだ面にリングの頂点22を押付けて、頂点22がはんだ面をスクラブして清浄にすれば、基板の表面と導電性リング10との間の良好な電気接続を得ることができる。
【0027】
図1及び2に示す突出部の実施形態において、突出部の断面は、頂点22から遠ざかる方向に延在する、突出部20の外部表面によって形成される二等辺三角形となり、外部表面の間に形成される角度が鈍角となることが好ましい。したがって、突出部の断面は三角形になると考えることができる。図3及び5でも、突出部20の断面は三角形になっている。しかし、他の実施形態では、突出部の断面を放物線状、楕円状、及び「ドロップドオージブ」とすることが可能である。
【0028】
「オージブ」とは、同じ曲率半径を有する2本の曲線の弾丸形状を作る交差である。「ドロップドオージブ」とは、交差している各々の曲線の中心が他方の曲線の内側に位置するオージブのことである。
【0029】
図7は、リング10を囲むドロップドオージブ24の例を示したものである。第1の曲線26は、第2の曲線28の内側に位置する中心点32からの距離によって定義される曲率半径を有している。第2の曲線は、第1の曲線26の内側に位置する異なる中心点30からの同一の距離によって定義される曲率半径を有している。
【0030】
図7の中で、参照符号10で識別された破線の円は、図1〜6に示されたリングの輪郭を表したものである。2本の曲線26及び28の交差点34の下方に位置し、かつ、リング10の外側に位置する領域が突出部20の断面に相当する。
【0031】
図8は、少なくとも1つの実施形態で頂点の位置及び突出部の形状を幾何学的に決定し得る少なくとも1つの方法を示したものである。図8では、リング10の半径40と半径48との間に形成される角度44によって円弧46が定義されている。頂点22は幾何学的には割線42上に位置する。この割線42は、第2の半径48が円弧46と出会う点において第2の半径48と直交するライン50に出会うまで、リング10の第1の半径40をリング10内から延出することにより作成される。
【0032】
当業者であれば、頂点22の実際の位置が図1〜8に示した位置から変化することを理解できよう。頂点22の位置を幾何学的に定義する方法に関する記載を要件と考えるべきでない。むしろ、リング10の物理的な実施形態において、頂点22のおおよその位置を決定するための説明が必要である。また、当業者であれば、実際のリング10の断面が完全な「三角形状」、「放物線状」、「楕円形状」又は「ドロップドオージブ」による形状とならないことは理解することができるであろう。請求された発明の実際の実施では、リング表面の直線性及び曲率は上記に説明するとともに示した形状及び面を近似するものである。
【0033】
図9を参照すると、基板80は、マイクロ電子デバイス88と電気的及び機械的に結合される信号トレース82を有している。基板80は、プリント回路基板又はセラミックチップキャリヤ、あるいは、電気信号用の導電性トレース又は経路を支持する非導電性の平坦なデバイスとして実施することができる。
【0034】
電子デバイス88の電気接触面86は、複数の上記導電性中空リング10を介して、基板80の導電性トレース82に結合されている。各々の中空リング10は、電子デバイス88とともに、平面基板80の対応する導電性トレース82にはんだ付83又はその他の方法で電気に結合される。リング10と基板の導電面82との間のはんだフィレットは、明瞭化のために省略されているが、リング10と電子デバイス88の接触面86との間の代表的なはんだフィレット83は、突出部20の真上に見ることができる。図示するように、各リング10の突出部と、各突出部20に付随する頂点22は、リング10がはんだ付される導電面82の上に配置される。
【0035】
図9に示すように、電子デバイス88が基板80に向けて下方に押付けられ、それにより、リング10が圧迫され変形した場合に頂点22によって対応する導電性トレース82が擦られるように寸法、形状、位置、及び配置が決められた突出部20及び頂点22を有するリング10が1つ以上存在する。
【0036】
図9の実施形態では、各々のリング10の回転軸14が図面の平面と交差する方向に延在しているが、代替の実施形態及び等価な実施形態として、リング10の回転軸14が図面の平面内に位置するように、リング10が構成されている例が挙げられる。そのような実施形態では、デバイスの少なくとも1つのエッジに沿った回転軸14は実質的に同一直線上に存在する。
【0037】
さらに他の実施形態では、各リングの回転軸14の向きをランダムにするか、図14に示すように放射パターンにすることができる。ただし、回転軸14は、リング10が傾倒しないように、基板80及び電子デバイス88の少なくとも一方の表面と平行になるのが好ましく、これにより、はんだで部品を接合するための表面を最大限にすることができる。
【0038】
リング10を用いて部品を基板に結合する場合、リング10の側面に沿ってその一端から他端に延在する、ニッケルめっきの2つのはんだバリアストリップ又はバンド68及び70を形成することが好ましい。ニッケルバンド68及び70は、リングの周囲全域にはんだが這上がるのを防ぐ。これにより、可撓性リングの側面の少なくとも一部にははんだが載らないので、柔軟性が確実に維持される。
【0039】
図10では、実質的に平面な非電導性可撓性フィルム60(例えば、ポリイミド薄膜又はその等価物)の上方に配置されたマルチリングコネクタ2の電導性中空リング10の1つを示す。可撓性フィルム60の材料が選択的に除去されて、フィルムを除去した部分が「H」の形を作るように可撓性フィルム60をカット又は成形する。図10では、このH形開口部62は、離間された2本の脚部を相互に連結する中央ベース部を有することが分かる。2本の脚部により、H形開口部62の中央に向けて延在する2枚の小さなフィルム材料のフラップ状拡張部64及び66が形成されている。このようなフィルム材料のフラップ64及び66は、それぞれ3辺においてフィルム60から分離されるとともにフィルム60によって片持ち支持され、互いに向き合せになっていると考えることができる。可撓性フィルム60として適度に弾力性のあるものを選択すれば、リング10をH形開口部62に「押込んだ」とき、互いに向い合っているフラップ64及び66が下方に偏向する。これにより、リング10をフィルム60に挿入し、該フィルム60によってゆるく支持することができる。
【0040】
図11に示すように、リング10をフィルム60の中に途中まで押込むと、リング10の外周がフラップ64及び66を通抜ける。これにより、両フラップは元の位置に弾性力で戻る。したがって、リング10は、シート60のH形開口部62に半分だけ挿入された状態で維持される。各々のリングの胴体をH形開口部のベース部に位置合せし、シートの上又は下で複数のリング10の突出部の位置を決めれば、面に対するリング10の配置が確実に行われる。リング10を開口部62に挿入することによって、フラップ64及び66がリング10の内側18に突出するので、リング10はフラップ64及び66により所定の位置にゆるく支持される。ポリイミド薄膜などの非導電性材料によるシートにH形開口部62を複数形成すると、複数のリング10を所定の位置に保持し、相互に向きを決めることができる。
【0041】
当業者であれば、フィルム60が中空の導電性リング10を固定する能力は、リングと開口部62の相対的な寸法によって決まることを理解することができるはずである。導電性中空リング10が開口部62に挿入されて位置決めされたときに、これらがお互いに協調的に係合するように、導電性中空リング10及びH形開口部62の寸法と形状が決められる。
【0042】
さらに他の代替実施形態では、リング10の内側の容積の一部分又は全部を、シリコーンのような弾性を有する非導電性材料で充填(てん)することができる。リング10ははんだフィレットによって機械的及び電気的に基板80に取付けられるが、リングの内側空間を弾力性材料で充填することにより、リングの強度を向上させ、そして這上がり又は毛管作用のいずれかによる内部空間18へのはんだの流入を防ぐことができる。
【0043】
図12は、電子デバイス88(マイクロプロセッサダイ等)の側面図であり、上記の非導電性シート60で所定の位置に保持された複数の導電性リング10を使用して基板80に実装されている。当業者であれば、上記突出部20のスクラブ作用によって、デバイス88と基板80のトレース(図示せず)との電気的接続が改善されることを理解できよう。電気的接続の改善に加えて、リング10は、基板80の振動及び曲がりによって、電気的接続が切断される可能性が減少するように比較的可撓性を持った接続を提供する。
【0044】
好ましい実施形態では、はんだバリアにも対応する導電性金属によって、導電性中空リングを作成することが好ましい。銅、銀及び金は優れた導電体であり、良好な弾力性を示すその他の金属と合金にすることもできる。また、これらの金属は、局所的にニッケル等のはんだバリア金属でめっきすることもできる。リング10はまた、金属でめっきされたプラスチックから形成することもできる。
【0045】
リング10は、電子の分野では公知の電鋳プロセスを使用して形成するのが好ましい。リング10はまた、公知のリソグラフィ技法を使用して形成することもできる。リング10は、多くの応用例において寸法を大きくするほど(例えば、最大で1000マイクロメートル以上)扱いやすくなるが、500マイクロメートル程度の寸法も可能である。
【0046】
本明細書で開示及び請求されている発明は、その精神から逸脱することなく他の特定の形態でも実施することができることが理解されよう。例えば、上記の可撓性中空リング10は、突出部20を1つだけ有するよう構成されており、その突出部には頂点22が1つだけ形成されている。しかし、少なくとも1つの等価な代替実施形態には、複数の頂点又はスクラブ点22を有する突出部が形成されたリング10が含まれる。さらに他の実施形態には、各々が1以上の点、又は、頂点22を備えた複数の突出部20を有するように構成されたリング10が含まれる。この場合、リングが径方向に圧縮されたとき、リングの圧縮に応じて複数の点で表面がスクラブされる。この種の代替実施形態の場合、リング10は、基板側と、リング10を介して基板に連結されるデバイス側との両方で接触面をスクラブすることができる。
【0047】
本発明の接触子は、図14に示すように、インターポーザ用途に使用することができる。この例では、複数の接触子200が基板202上に放射状に配置されている。接触子は中空の開口部を有し、この開口部が図14の矢印204に示すように、空気の通路となるので、温度特性が改善される。接触子は、ソケット及びその他の各種用途に使用することができる。
【0048】
図15は、本発明の原理に従って連続的なリング形状で構成された別のスプリング接触子300の端面図である。この実施形態では、リング300に一対の隆起領域302及び303が形成されている。これらの領域には、上記の突出部等の隆起部材が1つだけ形成されるのではなく、リングの外部表面から略半径方向外側に延在する複数のワイパーアーム305が設けられる。該ワイパーアーム305は、リングの長手方向に沿って互いに離間されている。図示するように、リング胴体は、ワイパーアームを支持する領域での厚さがリングの側部よりも厚い。
【図面の簡単な説明】
【0049】
【図1】本発明の原理に従って構成された単体の導電性中空リングを示す斜視図であり、頂点を有する突出部がリング胴体の外部表面に形成されている。
【図2】図1に示す導電性リングを異なる角度から見た第2の斜視図である。
【図3】導電性中空リングの概略立面図であり、リング及び突出部の断面を示すとともに、力が加えられていない状態でのリングの高さDを示す。
【図4】図3に示すリングの端面図である。
【図5】図3と同じ図であるが、リングの径方向に作用する力Fが外部より加えられたことによってリングが変形した状態と、その場合のリングの高さの減少を示す。
【図6】図5に示す変形したリングの側面図である。
【図7】弾丸形状に交差しドロップドオージブと呼ばれる形状を形成する同じ曲率半径を有する2本の曲線の内側に本発明のリングがどのように位置決めされるかを示す線図である。
【図8】リング上の突出部の幾何学的位置及び突出部の頂点の幾何学的位置を示す線図である。
【図9】基板とデバイスとの間の電気的接続が得られるよう、基板とデバイスとの間の所定の位置に配置された、本発明による複数のリングを示す立面図である。
【図10】図1に示したリングの斜視図であり、キャリヤシート内に形成されたH形の開口部の上方にリングが置かれている。
【図11】図10に示したリングの斜視図であり、キャリヤシートのH形開口部の所定の位置にリングが設置されている。
【図12】図1〜12に示したリングを介して機械的及び電気的に基板に実装されたデバイスの断面図である。
【図13A】本発明のリング接触子を示す側面図であり、仮想線で表した偏向パターンを重ね合せている。
【図13B】図13Aと同一の図であるが、負荷がかけられているリング接触子の変形及びリング拡張部のワイピング動作を示す。
【図14】基板上にアレー状に配置された本発明のリング接触子の斜視図である。
【図15】本発明に従って構成されたリング接触子の他の実施形態を示す側面図である。
【背景技術】
【0001】
最先端のマイクロプロセッサ等のマイクロ電子デバイスでは、ますます狭い面積内で信頼性の高い接続を多数必要としている。電子デバイスと、電子デバイスの実装先の基板との間で接続数が増えると、たった1箇所であっても接続が行われない箇所又は接続不良となる箇所ができる可能性も高くなる。
【0002】
「ウェーブソルダリング」では、電子部品が実装された基板一面に溶融したはんだを流すことによって、電子部品を基板にはんだ付する。基板上に部品が配置されると、その基板は溶融はんだ流の上に通され、基板の下側面の露出したフラックスを塗布した金属面がはんだ槽から溶融はんだを吸上げる。溶融はんだを吸上げた基板が溶融はんだ槽から離れると、基板上のはんだは冷却されて固化し、これにより、電子デバイスと、はんだ付された基板表面との間で電気接続が確立される。
【0003】
電子技術において接続密度が高くなり、電子デバイスからのリード長が短くなると、確立しなければならない接続数が増加するため、たった1箇所であっても接続が行われない箇所又は接続不良となる箇所ができる可能性が統計的に高くなる。基板の平面に存在する凸凹が微小であっても、接続に関する問題を引起こす可能性がある。
【0004】
従来技術のはんだ付技法での問題点の1つは、基板と電子デバイスの接触面との離間距離が均一でないときに発生する。例えば、マイクロプロセッサの1本又は2本のコンタクトリード、あるいは、マイクロプロセッサの1つ又は2つの接触面がその他のコンタクトリード又は接触面と比べて基板平面からより大きく離れている場合、そのより大きく離れている箇所に溶融はんだが運ばれない可能性がある。従来技術のはんだ付技法には、結合する2つのデバイス又は表面の接触面の間の間隔又は距離が少し変化しただけで、接続を行うことができないという欠点がある。
【0005】
製造時には電子デバイスとその支持基板との間でたった1箇所の接続が行われなかっただけで、又は、電子デバイスの使用中にたった1箇所の接続不良が発生しただけで、障害の発生した電気接続を特定しその修理を実施するのにかかるコストが、電子デバイス及び支持基板が作動する製品の製造コストを上回る場合がある。電気接続の製造容易性を向上させ、製造後の電気接続の信頼性を高めることが、従来技術に対する改良となるであろう。
【0006】
撓(たわ)みやすいリングは、特に表面が清潔でないと、良好な電気接続を得ることができない場合がある。当業者には周知のように、回路基板のトレース又はコンタクトパッドに物質が積もると、それが非常に薄い層であっても、良好な接続の妨げとなり得る。導体表面に汚れ、埃(ほこり)、又は皮膜が存在すると、たとえ、リング式の接触子スプリングであっても、トレース又はコンタクトパッドとの良好な電気接続が得ることができない場合がある。表面の酸化物質、残留しているコンフォーマルコーティング材料、はんだフラックス、大気汚染物質及びその他の化学物質によって、金属コンタクトパッド上には薄い皮膜が形成され、安定した電気接触子の形成が妨害される可能性がある。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
このような欠点を改善するためには、コネクタを回路基板と接触させる際に、コンタクトパッド又は回路基板トレースの全体に亘(わた)ってワイピングを行って接触面から汚れ物質、酸化物質及び皮膜を取除くコネクタを提供することが望ましい。本発明は、上記の欠点を克服する改良型のリングコネクタに関する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
したがって、本発明の一般的な目的は、コネクタを接続する接触面に薄層又は皮膜が堆(たい)積していても、対向する接触子をワイピングすることによって皮膜を除去し、そのような皮膜を通して電気的な接続を確立することができる、機械的可撓(とう)性を有するコネクタを提供することである。
【0009】
本発明の他の目的は、ワイピングブレードとして作用する拡張された胴体部を周囲に有する、変形可能な中空リング形状の可撓性接触子を提供することである。
【0010】
また、本発明の他の目的は、三角形の拡張部を有する可撓性の中空リング接触子であって、前記三角形の拡張部には半径方向外側に延在して接触子のワイピングエッジを形成する頂点が設けられ、ワイピングの信頼性を高めるためにリングエッジがリングの中心に配置されている中空リング接触子を提供することである。
【0011】
さらに、本発明の他の目的は、2つの回路基板の接続を確立する際に使用する可撓性接触子を提供することである。該接触子は、中空リング構成となっている。該リングは、ベース部及び接触部を形成する連続的な導電性バンドを有する。前記ベース部は、第1の回路基板の一部と接触してリング接触子を第1の回路基板に固定するためにはんだを着ける2つの領域を画定する基部を備える。さらにリングには、リング胴体の横断方向に延在する接触子のワイピングエッジを画定する、接触部の拡張領域が含まれる。該拡張領域は、リング胴体部から頂点まで半径方向外側に延在しており、ワイピングエッジは頂点に一致している。
【0012】
本発明は、その構造により上記目的を達成する。本発明の好ましい形態では、マイクロ電子デバイスを回路基板又は他の平坦(たん)面に電気的に接続し実装するために、電子デバイスと回路基板又は基板の電気的な接触子との間に小さな導電性中空リングを使用する。各々のリングは、幾何学的中心点の周囲に延在する柔軟性又は可撓性を有する導電材料から成る連続的なバンドを有し、頂点を持つ突出部が少なくとも1つ形成されている。
【0013】
第1の回路基板と第2の回路基板とが接触してリングが変形されると、リングが外側に曲がる傾向にある。このリングの曲り動作の結果、突出部は、実質上、第2の回路基板に対して直線的に移動する。突出部の頂点は、リングが押付けられた接触面を、擦る(scrape)、すなわち、「スクラブ」する。突出部のスクラブ作用により、スクラブされた表面から材料が除去される傾向にあるので、電気的接続が改善される。
【0014】
本発明のこれらの及びその他の目的、特徴及び利点は、以下の詳細の説明を検討することにより明瞭に理解されるであろう。
【0015】
この詳細の説明において、添付の図面を頻繁に参照する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
図1は、本発明の原理に従って構成された単体の導電性中空リング10の斜視図である。リング10は、柔軟性(可撓性)を有する導体材料から形成されることが好ましく、電子デバイスを回路基板又はその他の基板(図1に示さず)に接続するために使用される。円筒の場合と同様に、リングの材料は、空間の点12をおおむね中心としており、リングの回転軸14(図4に示す)がその点を通って延在している。この点12は、リング10の幾何学的な中心であることが望ましいが、必ずしも幾何学的な中心である必要はないことを理解されたい。
【0017】
リング10は、実質的に円形の内部表面16と、連続的な外部表面と、壁厚(参照符号によって識別されていないが、図を見れば分かるように内部表面と外部表面との間)とを有する。図1から分かるように、リング10の外部表面18は、リングの「側面」と考えることができる部分の一部分に沿って局所的な隆起部又は突出部20を有するように形成され、この突出部20は図面では時計の文字盤の11時と12時との間を指している。突出部20は、突出点、つまり頂点22を有する。この点は、リングの中心点12から最も遠くに位置するリング外部表面上の点である。突出部22は、蒸着等の方法によってリング10上に形成してもよいが、リング10を形成するプロセスの一部としてリング10と同じ材料を使用して形成するのが好ましく、また最も簡単である。
【0018】
好ましい実施形態では、リング10を、直径が500〔μm〕〜1000〔μm〕程度のきわめて小さなリングとすることができる。このようにサイズを小さくする場合は、当業者に公知のリソグラフィ及び電鋳などの技法を使用してリング10を形成するのが好ましい。リングの基部は、図1及び2に示すように拡張部を有することもでき、図3及び5に示すように全体を円弧状に、好ましくは円形に構成することもできる。
【0019】
図2は、図1のリング10を示しているが、突出部の頂点22が12時の方向を指す(すなわち、図2の上部を指す)ように時計回りに回転されている。図1及び2に示すリング10は、力が加えられていない状態にある。以下により完全に記載するが、リング10に対して垂直方向の力Fが印加されると、リング10は変形する。この力Fが印加されたことによってリングに変形が生じると、その直接的な結果として、リングの突出部20及びその頂点22が移動又は並進運動する。この動きは、図13Aに最もよく示されているように、リング胴体の横方向の動きであり、水平面内で発生することが好ましい。リング10をはんだ付する表面に対して頂点22がこのような動きをすると、頂点が相手側の表面に対して移動、すなわち、表面を「スクラブ」する。このスクラブ又はワイピング作用によって、電気信号を妨害し得る材料が表面から除去される。
【0020】
図3は、図1及び2に示したリング10の側面図であり、リング10は力が加えられていない状態、つまり変形していない状態にあり、図1及び2の向きに対して逆さまの向きになっている。また、図3も、リング10が略円形の断面を有し、突出部20が略三角形の断面を有することを示している。図3では、突出部20及びその頂点22が6時の方向を指している(すなわち、頂点22は、リング10がはんだ付される面23と直交するように延在する幾何学線上に位置する)。力が加えられていない状態において、突出部20の頂点22と、リング10の円周上にあり頂点22と正反対の点との距離は図中で「D」と識別される。この距離は当然ながら、突出部20の部分で厚くなっているので、リングの直径より大きくなる。
【0021】
図3では、リングの外部表面18に適用可能な2つのニッケル金属はんだバリア68及び70も示している。これらのバリアは両方とも、突出部20からリングの円周に沿って幾分上にずれた箇所に配置される。好ましい実施形態では、はんだバリア68及び70を、外部表面18上の比較的狭いニッケルめっきのストリップとすることができ、これにより、はんだ付によって基板にリングを取付ける際に、図1、2、13A及び13Bに示された基部からはんだがリング10の周囲全域に這(はい)上がるのを防ぐことができる。あるいは、当技術分野で知られているように、リング胴体にニッケルを組込むことによってバリアを構成することもできる。
【0022】
図4は、力が加えられていない状態にあるはんだリング10の端面図であり、リング10の幾何学的な中心を通って延在していると考えられる回転軸14を示している。この図では、突出部20に対する片方のはんだバリア70の相対位置も示す。
【0023】
図5では、リング10に上方から、すなわち、垂直方向に作用する力によって、リング10が金属面23に押付けられた場合、リング10が変形し得る少なくとも一方向を示している。ライン「F」は、リング10に作用する力を示している。図5に示すように、リング10は長円形又は楕(だ)円形に変形すると考えられるが、図13A及び13Bに示すように、リング10は、圧縮された、又は押潰(つぶ)された西洋ナシの形に変形するのが好ましい。図5に示すように、リング10が変形すると、突出部20の頂点22は第1(初期)の位置25から第2(終点)の位置27まで金属接触面23を横切って略水平に横移動する傾向がある。このような動きが発生すると、金属表面に押付けられた頂点22は、初期位置25から第2の位置27まで移動する間に金属面23を擦り(スクラブ又はワイピングを行い)、このプロセス中に金属面23上の皮膜又は物質を貫通する。これにより、加圧されたリング10がその後はんだ付される金属面23と、リング10との間の清浄な接触が確保される。図5に示す、初期位置25から第2の位置27までの間隔は、ワイピング距離「S」である。頂点22は、リング10の下方に置かれた金属面23をワイピング距離「S」の区間に沿って擦る、すなわち、ワイピングする。これにより、金属面23とリング10との間の電気接続を阻止する可能性のある層状物質が除去される。
【0024】
再び、図13Aを参照すると、リング102は右側に変形し(また、左側への変形が発生し得ることも理解できよう)、2つの変曲点AA及びBBでリング102が関節状に曲がる、すなわち、屈曲しているのが分かる。変曲点AAは、リング102がはんだフィレット104と接合している場所で、又は用途によっては、基部105と接合している場所で発生する。なお、基部105はリング接触子の一部として直接形成しても、独立要素として形成しその後でリング胴体に接合してもよい。一方、変曲点BBは、リング上の反対側であって、突出部、すなわち、厚肉部分がリング胴体の通常の厚さ部分と接合する場所で発生する。図13Bに示すように、この2つの変曲点により、リング接触子を実装する回路基板100から鋭角に延在するラインABが定義される。
【0025】
図4では、リング10に力が加えられていない状態で、頂点22とその正反対に位置する点との間隔が図5に示す距離「D」である。図5に示すように、リング10に半径方向の力Fを加えると、リング10が変形するとともに、頂点22が横に滑動する。これにより、表面23からリング10の上端までの最長距離がD’に減少する。
【0026】
図6はリング10の側面図であり、半径方向に力Fが印加されたことによって、力が加えられていない状態から半径方向へ圧縮されたリング10を示す。また、図6はリング10の全高が減少した状態を示している。この変化により、図5に示すように、リング材料は変形し、滑動する。リング10が圧縮され、信号伝導面がスクラブされたら、リング10に力を加えた状態を維持し、リング10、該リング10を介して基板に実装されるデバイス、及び、基板の導体をすべて一緒にウェーブソルダリングすることができる。他の実施形態では、リング10を圧縮して表面をスクラブしてから、リング10に加えた力を解放してリング10をはんだ付することができる。いずれの場合も、はんだ面にリングの頂点22を押付けて、頂点22がはんだ面をスクラブして清浄にすれば、基板の表面と導電性リング10との間の良好な電気接続を得ることができる。
【0027】
図1及び2に示す突出部の実施形態において、突出部の断面は、頂点22から遠ざかる方向に延在する、突出部20の外部表面によって形成される二等辺三角形となり、外部表面の間に形成される角度が鈍角となることが好ましい。したがって、突出部の断面は三角形になると考えることができる。図3及び5でも、突出部20の断面は三角形になっている。しかし、他の実施形態では、突出部の断面を放物線状、楕円状、及び「ドロップドオージブ」とすることが可能である。
【0028】
「オージブ」とは、同じ曲率半径を有する2本の曲線の弾丸形状を作る交差である。「ドロップドオージブ」とは、交差している各々の曲線の中心が他方の曲線の内側に位置するオージブのことである。
【0029】
図7は、リング10を囲むドロップドオージブ24の例を示したものである。第1の曲線26は、第2の曲線28の内側に位置する中心点32からの距離によって定義される曲率半径を有している。第2の曲線は、第1の曲線26の内側に位置する異なる中心点30からの同一の距離によって定義される曲率半径を有している。
【0030】
図7の中で、参照符号10で識別された破線の円は、図1〜6に示されたリングの輪郭を表したものである。2本の曲線26及び28の交差点34の下方に位置し、かつ、リング10の外側に位置する領域が突出部20の断面に相当する。
【0031】
図8は、少なくとも1つの実施形態で頂点の位置及び突出部の形状を幾何学的に決定し得る少なくとも1つの方法を示したものである。図8では、リング10の半径40と半径48との間に形成される角度44によって円弧46が定義されている。頂点22は幾何学的には割線42上に位置する。この割線42は、第2の半径48が円弧46と出会う点において第2の半径48と直交するライン50に出会うまで、リング10の第1の半径40をリング10内から延出することにより作成される。
【0032】
当業者であれば、頂点22の実際の位置が図1〜8に示した位置から変化することを理解できよう。頂点22の位置を幾何学的に定義する方法に関する記載を要件と考えるべきでない。むしろ、リング10の物理的な実施形態において、頂点22のおおよその位置を決定するための説明が必要である。また、当業者であれば、実際のリング10の断面が完全な「三角形状」、「放物線状」、「楕円形状」又は「ドロップドオージブ」による形状とならないことは理解することができるであろう。請求された発明の実際の実施では、リング表面の直線性及び曲率は上記に説明するとともに示した形状及び面を近似するものである。
【0033】
図9を参照すると、基板80は、マイクロ電子デバイス88と電気的及び機械的に結合される信号トレース82を有している。基板80は、プリント回路基板又はセラミックチップキャリヤ、あるいは、電気信号用の導電性トレース又は経路を支持する非導電性の平坦なデバイスとして実施することができる。
【0034】
電子デバイス88の電気接触面86は、複数の上記導電性中空リング10を介して、基板80の導電性トレース82に結合されている。各々の中空リング10は、電子デバイス88とともに、平面基板80の対応する導電性トレース82にはんだ付83又はその他の方法で電気に結合される。リング10と基板の導電面82との間のはんだフィレットは、明瞭化のために省略されているが、リング10と電子デバイス88の接触面86との間の代表的なはんだフィレット83は、突出部20の真上に見ることができる。図示するように、各リング10の突出部と、各突出部20に付随する頂点22は、リング10がはんだ付される導電面82の上に配置される。
【0035】
図9に示すように、電子デバイス88が基板80に向けて下方に押付けられ、それにより、リング10が圧迫され変形した場合に頂点22によって対応する導電性トレース82が擦られるように寸法、形状、位置、及び配置が決められた突出部20及び頂点22を有するリング10が1つ以上存在する。
【0036】
図9の実施形態では、各々のリング10の回転軸14が図面の平面と交差する方向に延在しているが、代替の実施形態及び等価な実施形態として、リング10の回転軸14が図面の平面内に位置するように、リング10が構成されている例が挙げられる。そのような実施形態では、デバイスの少なくとも1つのエッジに沿った回転軸14は実質的に同一直線上に存在する。
【0037】
さらに他の実施形態では、各リングの回転軸14の向きをランダムにするか、図14に示すように放射パターンにすることができる。ただし、回転軸14は、リング10が傾倒しないように、基板80及び電子デバイス88の少なくとも一方の表面と平行になるのが好ましく、これにより、はんだで部品を接合するための表面を最大限にすることができる。
【0038】
リング10を用いて部品を基板に結合する場合、リング10の側面に沿ってその一端から他端に延在する、ニッケルめっきの2つのはんだバリアストリップ又はバンド68及び70を形成することが好ましい。ニッケルバンド68及び70は、リングの周囲全域にはんだが這上がるのを防ぐ。これにより、可撓性リングの側面の少なくとも一部にははんだが載らないので、柔軟性が確実に維持される。
【0039】
図10では、実質的に平面な非電導性可撓性フィルム60(例えば、ポリイミド薄膜又はその等価物)の上方に配置されたマルチリングコネクタ2の電導性中空リング10の1つを示す。可撓性フィルム60の材料が選択的に除去されて、フィルムを除去した部分が「H」の形を作るように可撓性フィルム60をカット又は成形する。図10では、このH形開口部62は、離間された2本の脚部を相互に連結する中央ベース部を有することが分かる。2本の脚部により、H形開口部62の中央に向けて延在する2枚の小さなフィルム材料のフラップ状拡張部64及び66が形成されている。このようなフィルム材料のフラップ64及び66は、それぞれ3辺においてフィルム60から分離されるとともにフィルム60によって片持ち支持され、互いに向き合せになっていると考えることができる。可撓性フィルム60として適度に弾力性のあるものを選択すれば、リング10をH形開口部62に「押込んだ」とき、互いに向い合っているフラップ64及び66が下方に偏向する。これにより、リング10をフィルム60に挿入し、該フィルム60によってゆるく支持することができる。
【0040】
図11に示すように、リング10をフィルム60の中に途中まで押込むと、リング10の外周がフラップ64及び66を通抜ける。これにより、両フラップは元の位置に弾性力で戻る。したがって、リング10は、シート60のH形開口部62に半分だけ挿入された状態で維持される。各々のリングの胴体をH形開口部のベース部に位置合せし、シートの上又は下で複数のリング10の突出部の位置を決めれば、面に対するリング10の配置が確実に行われる。リング10を開口部62に挿入することによって、フラップ64及び66がリング10の内側18に突出するので、リング10はフラップ64及び66により所定の位置にゆるく支持される。ポリイミド薄膜などの非導電性材料によるシートにH形開口部62を複数形成すると、複数のリング10を所定の位置に保持し、相互に向きを決めることができる。
【0041】
当業者であれば、フィルム60が中空の導電性リング10を固定する能力は、リングと開口部62の相対的な寸法によって決まることを理解することができるはずである。導電性中空リング10が開口部62に挿入されて位置決めされたときに、これらがお互いに協調的に係合するように、導電性中空リング10及びH形開口部62の寸法と形状が決められる。
【0042】
さらに他の代替実施形態では、リング10の内側の容積の一部分又は全部を、シリコーンのような弾性を有する非導電性材料で充填(てん)することができる。リング10ははんだフィレットによって機械的及び電気的に基板80に取付けられるが、リングの内側空間を弾力性材料で充填することにより、リングの強度を向上させ、そして這上がり又は毛管作用のいずれかによる内部空間18へのはんだの流入を防ぐことができる。
【0043】
図12は、電子デバイス88(マイクロプロセッサダイ等)の側面図であり、上記の非導電性シート60で所定の位置に保持された複数の導電性リング10を使用して基板80に実装されている。当業者であれば、上記突出部20のスクラブ作用によって、デバイス88と基板80のトレース(図示せず)との電気的接続が改善されることを理解できよう。電気的接続の改善に加えて、リング10は、基板80の振動及び曲がりによって、電気的接続が切断される可能性が減少するように比較的可撓性を持った接続を提供する。
【0044】
好ましい実施形態では、はんだバリアにも対応する導電性金属によって、導電性中空リングを作成することが好ましい。銅、銀及び金は優れた導電体であり、良好な弾力性を示すその他の金属と合金にすることもできる。また、これらの金属は、局所的にニッケル等のはんだバリア金属でめっきすることもできる。リング10はまた、金属でめっきされたプラスチックから形成することもできる。
【0045】
リング10は、電子の分野では公知の電鋳プロセスを使用して形成するのが好ましい。リング10はまた、公知のリソグラフィ技法を使用して形成することもできる。リング10は、多くの応用例において寸法を大きくするほど(例えば、最大で1000マイクロメートル以上)扱いやすくなるが、500マイクロメートル程度の寸法も可能である。
【0046】
本明細書で開示及び請求されている発明は、その精神から逸脱することなく他の特定の形態でも実施することができることが理解されよう。例えば、上記の可撓性中空リング10は、突出部20を1つだけ有するよう構成されており、その突出部には頂点22が1つだけ形成されている。しかし、少なくとも1つの等価な代替実施形態には、複数の頂点又はスクラブ点22を有する突出部が形成されたリング10が含まれる。さらに他の実施形態には、各々が1以上の点、又は、頂点22を備えた複数の突出部20を有するように構成されたリング10が含まれる。この場合、リングが径方向に圧縮されたとき、リングの圧縮に応じて複数の点で表面がスクラブされる。この種の代替実施形態の場合、リング10は、基板側と、リング10を介して基板に連結されるデバイス側との両方で接触面をスクラブすることができる。
【0047】
本発明の接触子は、図14に示すように、インターポーザ用途に使用することができる。この例では、複数の接触子200が基板202上に放射状に配置されている。接触子は中空の開口部を有し、この開口部が図14の矢印204に示すように、空気の通路となるので、温度特性が改善される。接触子は、ソケット及びその他の各種用途に使用することができる。
【0048】
図15は、本発明の原理に従って連続的なリング形状で構成された別のスプリング接触子300の端面図である。この実施形態では、リング300に一対の隆起領域302及び303が形成されている。これらの領域には、上記の突出部等の隆起部材が1つだけ形成されるのではなく、リングの外部表面から略半径方向外側に延在する複数のワイパーアーム305が設けられる。該ワイパーアーム305は、リングの長手方向に沿って互いに離間されている。図示するように、リング胴体は、ワイパーアームを支持する領域での厚さがリングの側部よりも厚い。
【図面の簡単な説明】
【0049】
【図1】本発明の原理に従って構成された単体の導電性中空リングを示す斜視図であり、頂点を有する突出部がリング胴体の外部表面に形成されている。
【図2】図1に示す導電性リングを異なる角度から見た第2の斜視図である。
【図3】導電性中空リングの概略立面図であり、リング及び突出部の断面を示すとともに、力が加えられていない状態でのリングの高さDを示す。
【図4】図3に示すリングの端面図である。
【図5】図3と同じ図であるが、リングの径方向に作用する力Fが外部より加えられたことによってリングが変形した状態と、その場合のリングの高さの減少を示す。
【図6】図5に示す変形したリングの側面図である。
【図7】弾丸形状に交差しドロップドオージブと呼ばれる形状を形成する同じ曲率半径を有する2本の曲線の内側に本発明のリングがどのように位置決めされるかを示す線図である。
【図8】リング上の突出部の幾何学的位置及び突出部の頂点の幾何学的位置を示す線図である。
【図9】基板とデバイスとの間の電気的接続が得られるよう、基板とデバイスとの間の所定の位置に配置された、本発明による複数のリングを示す立面図である。
【図10】図1に示したリングの斜視図であり、キャリヤシート内に形成されたH形の開口部の上方にリングが置かれている。
【図11】図10に示したリングの斜視図であり、キャリヤシートのH形開口部の所定の位置にリングが設置されている。
【図12】図1〜12に示したリングを介して機械的及び電気的に基板に実装されたデバイスの断面図である。
【図13A】本発明のリング接触子を示す側面図であり、仮想線で表した偏向パターンを重ね合せている。
【図13B】図13Aと同一の図であるが、負荷がかけられているリング接触子の変形及びリング拡張部のワイピング動作を示す。
【図14】基板上にアレー状に配置された本発明のリング接触子の斜視図である。
【図15】本発明に従って構成されたリング接触子の他の実施形態を示す側面図である。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電子デバイスの回路と平坦な実装面上の回路とを相互接続するためのスプリング接触子であって、幾何学的な点の周囲に延在する柔軟性材料から形成される連続的リングを有し、該リングは中空内部を取囲む胴体を備え、該胴体が内部表面と外部表面とを含み、少なくとも1つの突出部がリング胴体の外部表面から延出しており、該突出部は前記リング胴体の外部表面から延在して交差し該突出部の頂点を形成する2つの側面を備えているスプリング接触子。
【請求項2】
前記リングに圧縮力が加えられたときに前記リングの頂点が直線的に移動する、請求項1に記載のスプリング接触子。
【請求項3】
前記突出部の断面が本質的にドロップドオージブの形状を呈する、請求項1に記載のスプリング接触子。
【請求項4】
ドロップドオージブは実質的に第1の円弧の割線上に置かれた頂点を有し、前記第1の円弧の割線は、リングの円形断面上にある円弧の扇形の第1の半径を、第2の半径が第1の円弧に出会う点においてリング断面の第2の半径に対して実質的に直交するラインに出会うまで延長することにより形成される、請求項3に記載のスプリング接触子。
【請求項5】
前記突出部の断面が放物線形状を呈する、請求項1に記載のスプリング接触子。
【請求項6】
内部にH形開口部が形成された非導電性シートを更に含み、H形開口部は第1のフラップ及び第2のフラップを形成し、リング胴体が前記H形開口部内に収容され、第1のキャリアフラップ及び第2のキャリアフラップが前記リングの中空内部に少なくとも部分的に延在している、請求項1に記載のスプリング接触子。
【請求項7】
前記シートがポリイミド薄膜である、請求項6に記載のスプリング接触子。
【請求項8】
前記シートが可撓性材料から形成される、請求項6に記載のスプリング接触子。
【請求項9】
前記リングが金属リングである、請求項1に記載のスプリング接触子。
【請求項10】
前記リングがプラスチックリングであり、リングの外部表面が導電性を有するようにコーティングされている、請求項1に記載のスプリング接触子。
【請求項11】
前記リングがリソグラフィによって形成される、請求項1に記載のスプリング接触子。
【請求項12】
前記リング胴体は、少なくとも前記外部表面に配置され、前記リングの円周に沿って互いに離間された第1及び第2のはんだバリアを含む、請求項1に記載のスプリング接触子。
【請求項13】
前記第1及び第2のはんだバリアが前記リングの円周上において略反対側に配置された、請求項12に記載のスプリング接触子。
【請求項14】
前記はんだバリアがニッケルから形成される、請求項12に記載のスプリング接触子。
【請求項15】
前記リングの直径が約500マイクロメータ〜1500マイクロメータである、請求項1に記載のスプリング接触子。
【請求項16】
前記リングが前記突出部と反対側に配置された拡張ベース部を含む、請求項1に記載のスプリング接触子。
【請求項17】
電子デバイスに接続するための基板であって、
電気信号を伝送可能な複数の導電性トレースを備えた平面基板と、
複数の導電性中空リングであり、各々のリングが平面基板上の少なくとも1つの導電性トレースと結合され、各々のリングが、幾何学的な点の周囲を延在して中空内部を含む柔軟性材料から構成された複数の導電性リングと、を有し、
該リングが外部表面から延在している突出部を備え、前記突出部が、前記リング外部表面に配置された頂点を備えるとともに、電子デバイスが前記リング上に押付けられたとき頂点が直線的に移動するように配置された基板。
【請求項18】
前記突出部の断面がドロップドオージブの形状を呈する、請求項17に記載の基板。
【請求項19】
内部に複数のH形開口部が形成された非導電性シートを更に含み、各々のH形開口部はシートに、対向する第1のキャリアフラップ及び第2のキャリアフラップを形成し、各々の前記H形開口部は1つのリングを収容し、第1のキャリアフラップ及び第2のキャリアフラップが前記リングの中空内部に延在している、請求項17に記載の基板。
【請求項20】
前記シートが可撓性フィルムである、請求項17に記載の基板。
【請求項21】
前記突出部が、お互いに離間された複数のワイパーアームを含むとともに前記リング胴体の外部表面から外側に延在している、請求項17に記載の基板。
【請求項1】
電子デバイスの回路と平坦な実装面上の回路とを相互接続するためのスプリング接触子であって、幾何学的な点の周囲に延在する柔軟性材料から形成される連続的リングを有し、該リングは中空内部を取囲む胴体を備え、該胴体が内部表面と外部表面とを含み、少なくとも1つの突出部がリング胴体の外部表面から延出しており、該突出部は前記リング胴体の外部表面から延在して交差し該突出部の頂点を形成する2つの側面を備えているスプリング接触子。
【請求項2】
前記リングに圧縮力が加えられたときに前記リングの頂点が直線的に移動する、請求項1に記載のスプリング接触子。
【請求項3】
前記突出部の断面が本質的にドロップドオージブの形状を呈する、請求項1に記載のスプリング接触子。
【請求項4】
ドロップドオージブは実質的に第1の円弧の割線上に置かれた頂点を有し、前記第1の円弧の割線は、リングの円形断面上にある円弧の扇形の第1の半径を、第2の半径が第1の円弧に出会う点においてリング断面の第2の半径に対して実質的に直交するラインに出会うまで延長することにより形成される、請求項3に記載のスプリング接触子。
【請求項5】
前記突出部の断面が放物線形状を呈する、請求項1に記載のスプリング接触子。
【請求項6】
内部にH形開口部が形成された非導電性シートを更に含み、H形開口部は第1のフラップ及び第2のフラップを形成し、リング胴体が前記H形開口部内に収容され、第1のキャリアフラップ及び第2のキャリアフラップが前記リングの中空内部に少なくとも部分的に延在している、請求項1に記載のスプリング接触子。
【請求項7】
前記シートがポリイミド薄膜である、請求項6に記載のスプリング接触子。
【請求項8】
前記シートが可撓性材料から形成される、請求項6に記載のスプリング接触子。
【請求項9】
前記リングが金属リングである、請求項1に記載のスプリング接触子。
【請求項10】
前記リングがプラスチックリングであり、リングの外部表面が導電性を有するようにコーティングされている、請求項1に記載のスプリング接触子。
【請求項11】
前記リングがリソグラフィによって形成される、請求項1に記載のスプリング接触子。
【請求項12】
前記リング胴体は、少なくとも前記外部表面に配置され、前記リングの円周に沿って互いに離間された第1及び第2のはんだバリアを含む、請求項1に記載のスプリング接触子。
【請求項13】
前記第1及び第2のはんだバリアが前記リングの円周上において略反対側に配置された、請求項12に記載のスプリング接触子。
【請求項14】
前記はんだバリアがニッケルから形成される、請求項12に記載のスプリング接触子。
【請求項15】
前記リングの直径が約500マイクロメータ〜1500マイクロメータである、請求項1に記載のスプリング接触子。
【請求項16】
前記リングが前記突出部と反対側に配置された拡張ベース部を含む、請求項1に記載のスプリング接触子。
【請求項17】
電子デバイスに接続するための基板であって、
電気信号を伝送可能な複数の導電性トレースを備えた平面基板と、
複数の導電性中空リングであり、各々のリングが平面基板上の少なくとも1つの導電性トレースと結合され、各々のリングが、幾何学的な点の周囲を延在して中空内部を含む柔軟性材料から構成された複数の導電性リングと、を有し、
該リングが外部表面から延在している突出部を備え、前記突出部が、前記リング外部表面に配置された頂点を備えるとともに、電子デバイスが前記リング上に押付けられたとき頂点が直線的に移動するように配置された基板。
【請求項18】
前記突出部の断面がドロップドオージブの形状を呈する、請求項17に記載の基板。
【請求項19】
内部に複数のH形開口部が形成された非導電性シートを更に含み、各々のH形開口部はシートに、対向する第1のキャリアフラップ及び第2のキャリアフラップを形成し、各々の前記H形開口部は1つのリングを収容し、第1のキャリアフラップ及び第2のキャリアフラップが前記リングの中空内部に延在している、請求項17に記載の基板。
【請求項20】
前記シートが可撓性フィルムである、請求項17に記載の基板。
【請求項21】
前記突出部が、お互いに離間された複数のワイパーアームを含むとともに前記リング胴体の外部表面から外側に延在している、請求項17に記載の基板。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13A】
【図13B】
【図14】
【図15】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13A】
【図13B】
【図14】
【図15】
【公表番号】特表2007−537579(P2007−537579A)
【公表日】平成19年12月20日(2007.12.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−513492(P2007−513492)
【出願日】平成17年5月27日(2005.5.27)
【国際出願番号】PCT/US2005/018946
【国際公開番号】WO2005/119849
【国際公開日】平成17年12月15日(2005.12.15)
【出願人】(591043064)モレックス インコーポレーテッド (441)
【氏名又は名称原語表記】MOLEX INCORPORATED
【Fターム(参考)】
【公表日】平成19年12月20日(2007.12.20)
【国際特許分類】
【出願日】平成17年5月27日(2005.5.27)
【国際出願番号】PCT/US2005/018946
【国際公開番号】WO2005/119849
【国際公開日】平成17年12月15日(2005.12.15)
【出願人】(591043064)モレックス インコーポレーテッド (441)
【氏名又は名称原語表記】MOLEX INCORPORATED
【Fターム(参考)】
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