説明

可溶化フェノール誘導体を含む新規な無水脱色素沈着組成物

本発明は、医薬活性剤として、特に局所適用のための、脂肪相に溶解しているフェノール誘導体を含む、新規な無水脱色素沈着組成物、それを調製する方法、及びその皮膚科学的使用に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、医薬活性剤として、局所適用のために、脂肪相に溶解しているフェノール誘導体を含むことを特徴とする、新規な美容用または医薬用脱色素沈着組成物(depigmenting composition)、及びそれを調製する方法、ならびにその皮膚科学的使用に関する。
【背景技術】
【0002】
皮膚の色素沈着過剰の処置において推奨される治療用薬剤の中で、フェノール誘導体、より具体的にはポリフェノールが、何十年もの間、最も効果的な活性剤として位置付けられてきた。これら薬剤の治療的使用は、これら製品のうちのいくつかが酸化防止剤として使用されるゴム産業の職工に関して、皮膚の色素沈着改善が認められたことに起因する。その後、数多くの研究により、これら薬剤の、単独でまたは他の色素沈着改善剤と組み合わせての効果が確認されている[Jorge L. Sanchez, M.D.およびMiguel Vazquez, M.D.、International Journal of Dermatology、1月〜2月、1982年、Vol. 21、55〜58頁]。したがって、これら薬剤は、色素沈着改善の処置に実質上、不可欠であり、かつ、その結果、多くの市販製品中に存在することが分かる。
【0003】
フェノール誘導体の中で、特に、ハイドロキノンなどのポリフェノールは、最も一般的に使用される医薬活性剤である。ハイドロキノンは、種々の特許出願、具体的には、脱色素沈着組成物としてハイドロキノンがレチノイン酸およびコルチコイドと組み合わされている特許US3856934、の対象とされてきた。
【0004】
ルシノール(rucinol)もしくはルシノール(lucinol)、すなわち4-ブチルレゾルシノールもまた、ポリフェノールタイプの、フェノールベースの医薬活性剤であり、色素沈着障害を伴う褐色斑の明色化のための薬剤として販売されている(製品Iklen(登録商標))。
【0005】
しかし、大部分の事例において、ハイドロキノン、ルシノールまたはこれらの塩または誘導体は、調製物の水相に溶解されている。
【0006】
有利な治療活性を有するいくつかの活性成分は、酸化に弱く、特に水の存在下ではその活性の実質的な低下につながる化学分解を受けることが知られている。したがって、ハイドロキノンまたはルシノールなどのフェノール誘導体を配合することは、このタイプの水性調製物における大きな欠点である。
【0007】
具体的には、ハイドロキノンまたはルシノールなどのフェノール誘導体を単独でまたは他の活性成分との組合せで含む配合物の分解は、頻繁に観察される。これらの活性剤は、酸化および熱に対する感受性が非常に大きく、それが効果の減少、および配合物の急速な褐色化、時として配合物の分離にさえ至ることが事実上知られている。
【0008】
さらに、ハイドロキノンまたはルシノールなどのフェノール誘導体を、これらの可溶化を加速するために、特に標準的なエマルジョンにおいて、組成物の調製段階で熱に曝されることが多く、この現象が褐色化を引き起こし、かつ加速する。
【0009】
先行技術において、この分解に対処するために還元剤、特に亜硫酸塩が使用され、これらは実質上不可欠である。しかし、これらの酸化防止剤には、いくつかの欠点、例えば、皮膚刺激の問題、配合物のにおいまたは粘度喪失を伴う配合物の不安定化など、がある。
【0010】
ハイドロキノンまたはルシノールなどのフェノール誘導体が単独でまたは他の活性剤との組合せとして、組成物中に存在することによるもう1つの欠点は、その強力な刺激作用である。
【0011】
その刺激作用の結果として、高濃度のハイドロキノンは、炎症後色素沈着およびオクロノーシス現象を引き起こすことがある。
【0012】
高濃度のハイドロキノンの長期使用後に、局所刺激および皮膚炎が発現することがある[「N-acetyl4S cysteaminylphenol as a new type of depigmenting agent」、Jimbow K.、Arch. Dermatol. 1991年10月、127 (10)、1528〜1534頁]。
【0013】
ハイドロキノンによる処置は、炎症後色素沈着過剰をもたらす可能性のある刺激を伴うことがある。刺激の発生率は、ハイドロキノン濃度に依存する。この刺激は、10%濃度に関しては比較的高く、5%用量の調製物については大幅に減少し、2%の濃度においては実質的には存在しないと考えられる[「Les agents chimiques depigmentants (Depigmenting chemical agents)」、JP. Ortonne、Ann. Dermatol. Venerol.、1986年、113、733〜736頁]。
【0014】
したがって、選択される剤形(galenical form)が、これらの作用を最小限にするのに重要な役割を果たす。
【0015】
結果的に、フェノール誘導体及び特にハイドロキノンまたはルシノールは、配合物中に、可溶化された形態で配合されるべきであり、これにより亜硫酸塩の存在を回避することが可能になり、及び酸化防止剤の使用を最小限に制限することが可能になる。
【0016】
先行技術に記載される無水組成物では、ハイドロキノンは、無水製剤の残りに組み入れられる前に、アルコールまたはグリコールの溶媒に一般に溶解している。
【0017】
これは、特に、特許出願US2006/0 120 979におけるケースがあてはまり、該出願には、ハイドロキノン、及び、無水溶媒から形成される無水塩基及び高分子量のシリコーン賦形剤(vehicle)を含む組成物が記述される。この場合には、ハイドロキノンは、一価アルコール(イソプロパノールなど)、二価アルコール(グリコールなど)及び三価アルコール(グリセロールなど)の群から好ましくは選択される溶媒に溶解する。これらの組成物は全く亜硫酸塩を含まないが、比較的大量に親油性酸化防止剤を必要とする。この理由は、このような媒体において、ハイドロキノンは分解にさらされるのであるが、該分解は、水におけるよりも顕著ではないものの、組成物の重量に対して0.75重量%までの範囲に及ぶ割合で親油性酸化防止剤の存在を要求するのに実質的に十分である。
【0018】
特許US4,466,955もハイドロキノンを含む無水型の組成物を開示する。使用される溶媒は、ポリアルコキシル化脂肪酸のエーテルタイプ(PPOまたはPEO誘導体)の溶媒のみである。さらに、これらの溶媒は、2〜10%の間のハイドロキノンをどうにか溶解させるために、30〜60%(好ましくは40〜45%)の間の高濃度で使用されなければならず、いずれの状況下においてもこれより低くない濃度で使用されなければならない。さらに、これらの溶媒の選択にも関わらず、急冷が実施されなければ、ハイドロキノンの分解が観察される。さらに、ハイドロキノンを含む相の加熱温度は、45℃を超えるべきではないことが指摘されている。従って、このことは、製造工程に関してかなりの制限を課す。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0019】
【特許文献1】US3856934
【特許文献2】US2006/0120979
【特許文献3】US4,466,955
【非特許文献】
【0020】
【非特許文献1】Jorge L. Sanchez, M.D.およびMiguel Vazquez, M.D.、International Journal of Dermatology、1月〜2月、1982年、Vol. 21、55〜58頁
【非特許文献2】「N-acetyl4S cysteaminylphenol as a new type of depigmenting agent」、Jimbow K.、Arch. Dermatol. 1991年10月、127 (10)、1528〜1534頁
【非特許文献3】「Les agents chimiques depigmentants (Depigmenting chemical agents)」、JP. Ortonne、Ann. Dermatol. Venerol.、1986年、113、733〜736頁
【非特許文献4】米国薬局方(USP32-NF27 - Chap <1151> - Pharmaceutical Dosage Forms)
【非特許文献5】欧州薬局方(Edition 6.3 - in the chapter: Preparations semi-solides pour application cutanee [Semi-solid preparations for cutaneous application]
【非特許文献6】米国食品医薬品局(FDA)のデシジョンツリー(CDER Data Standards Manual Definitions for topical dosage Forms)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0021】
本明細書において本発明の目的の1つは、油性溶媒にフェノール誘導体を溶解することであり、ここで、活性剤は可溶性で(soluble)かつ安定であり、さらに、それは、次いで、活性剤の安定性に関して何らの影響も有さない加熱工程を必要とする製造プロセス中に活性剤を取り込むことを想定することを可能とする。
【0022】
本発明の別の目的は、長期安定性があり、活性剤の最適化された放出を可能にすると同時に、非常に十分な耐性がある、局所適用のための無水医薬組成物を提案することである。
【課題を解決するための手段】
【0023】
したがって、本発明は、脂肪相に溶解しているフェノールタイプのフェノール誘導体を含む、特に局所適用のための、新規な安定性を有する無水組成物に関する。
【0024】
その無水組成物のおかげで、本発明の組成物は、組成物の優れた安定性かつ無害性の両方が確実になる。
【0025】
本発明の一課題は、フェノール誘導体タイプ、特にポリフェノールタイプの医薬活性剤を含む無水医薬組成物であり、フェノール誘導体が脂肪相に溶解していることを特徴とする。
【発明を実施するための形態】
【0026】
本発明のフェノール誘導体タイプの医薬活性剤として、ポリフェノール及びより特にはハイドロキノン、ルシノール(rucinol)もしくはルシノール(lucinol)及びそれらの塩の非制限的な態様では、4-ヒドロキシアニソール、ハイドロキノンモノエチルエーテル及びハイドロキノンモノベンジルエーテルが挙げられてよい。ハイドロキノンまたはルシノール(rucinol)及びそれらの塩が好ましくは使用される。用語「ルシノール塩」は、医薬品に許容できる塩基、特に水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、およびアンモニア水などの無機塩基、またはリシン、アルギニンまたはN-メチルグルカミンなどの有機塩基によって形成される塩を特に意味するが、ジオクチルアミン、アミノメチルプロパノールおよびステアリルアミンなどの脂肪アミンによって形成される塩もまた意味する。
【0027】
有利には、フェノール誘導体の量は、組成物の全重量に対して、0.01重量%から10重量%、好ましくは0.05重量%から6重量%、さらに特定すると0.1重量%から5重量%である。
【0028】
用語「無水組成物」は、組成物の全重量に対して、5重量%以下の量の水を含む組成物を意味する。本発明の好ましい一形態において、組成物は水を全く含まない。
【0029】
用語「安定な組成物」は、化学的および物理的に安定な組成物を意味する。
【0030】
用語「化学的安定性」は、4℃と40℃との間の温度において、活性剤の分解が経時的に全く観察されないことを特に意味する。用語「物理的安定性」は、4℃と40℃との間の温度において、経時的に、組成物が肉眼的外観において、特に色の、または顕微鏡的外観において、何らの変化をも示さず、粘度の変化を全く示さないことを特に意味する。
【0031】
本特許出願を通じて、用語「室温」は、20℃と30℃との間の温度を意味する。
【0032】
本発明の組成物の無水の性質は、フェノール誘導体の不安定性、特に水媒体におけるその酸化を回避することを可能にする。従って、かかる配合においては、水媒体におけるハイドロキノンまたはルシノール(rucinol)を安定化させるのに欠かすことのできない、亜硫酸塩の使用は、もはや必要ない。本発明の組成物は、亜硫酸塩の使用を回避することを可能にし、水を含む組成物における従来的に使用された酸化防止剤の量を低減させることを可能にする。
【0033】
本発明の好ましい一形態において、組成物は亜硫酸塩を何ら含まず、組成物の全重量に対して厳密には0.3重量%未満の量の酸化防止剤を含む。本発明において使用してもよい酸化防止剤は、好ましくは、ビタミンEおよびその誘導体、例えば、RocheのDL-α-トコフェロールまたは酢酸トコフェロール;ビタミンCおよびその誘導体、例えば、Rocheのパルミチン酸アスコルビル、およびClariantによってNipanox BHTの名称で販売されているブチルヒドロキシトルエンなどの酸化防止剤である。
【0034】
特に好ましい一形態において、本発明の組成物は何らの酸化防止剤も含まない。
【0035】
特に好ましい一形態において、本発明の組成物は何らの保存剤も含まない。特に、その無水の性質のおかげ、及び材料の選択を所与として、本発明の組成物は、自己保護的な剤形(self-protected formulation)である。本発明において、用語「自己保護的な」は、剤形の細菌学的な清浄度(bacteriological cleanliness)を確保するのに保存剤の存在を要求しない剤形を指す。保存剤の不在は、保存剤によって誘導されるであろう既知の過敏症(intolerance)または鋭敏化(sensitization)の非存在を確かにする。
【0036】
本発明の組成物は、活性剤用の溶媒である少なくとも1つの脂肪相、または活性剤用の溶媒である油相を含み、得られる活性剤の溶解性及び安定性の望ましい品質を可能にする。
【0037】
用語「活性剤用油性溶媒」は、
- 植物油、例えばSictiaにより販売されているスイートアーモンド油またはCPFにより販売されているゴマ油など、
- シリコーン油、例えばST-Cyclomethicone 5NFの名称でDow Corningにより販売されているシクロメチコンまたはQ7 9120 Silicone Fluidの名称でDow Corningにより販売されているジメチコンなど、
- 鉱油、例えば、Essoにより販売されているMarcol 152またはPrimol 352、
- ペルヒドロスクワレン、
- トリグリセリド、例えば、Miglyol 812 Nの名称でIMCDにより販売されているカプリル酸/カプリン酸トリグリセリド、またはLabrasolの名称でGattefosse社により販売されているPEG-8カプリル酸/カプリン酸トリグリセリドなどの誘導体、
- エステル、例えば、MODの名称でGattefosseにより販売されているミリスチン酸オクチルドデシル、Tegosoft TNの名称でGoldschmidtにより販売されているC12〜C15アルキル安息香酸またはCetiol SN PHの名称でCognisにより販売されているイソノナン酸セテアリル、またはCrodamol DAの名称でCrodaにより販売されているアジピン酸ジイソプロピル、
- ガーベットアルコール、例えば、Eutanol Gの名称でCognisにより販売されているオクチルドデカノールなど、
- エーテルおよび誘導体、例えば、Arlamol Eの名称でCrodaにより販売されているPPG-15ステアリルエーテルなど、
- ならびにこれらの混合物
を特に指す。
【0038】
PPG-15ステアリルエーテルまたは他のいずれかのエーテルまたは誘導体、アジピン酸ジイソプロピルまたは他のいずれかの誘導体のエステル、または代替的にカプリル酸/カプリン酸トリグリセリドまたはその誘導体などのトリグリセリド、またはこれらの化合物の混合物が、活性剤用油性溶媒として好ましくは選択される。さらに特定すると、本発明の組成物は、溶媒の混合物を含む。優先的には、溶媒の混合物は、最大で15重量%(組成物の全重量に対して)のエーテル誘導体のタイプの溶媒から形成される。本発明の組成物において、この溶媒量は、存在する他の新規溶媒と組み合わせて、望ましい濃度の活性剤を溶解し、安定的な製剤を得るのに十分である。
【0039】
本発明の一形態において、活性剤用溶媒である油相は、少なくとも1つの活性剤用油性溶媒及び/または親油性界面活性剤を含む。
【0040】
用語「親油性界面活性剤」は、
-ポリオキシエチレン化ヒマシ油誘導体、例えば、特にCremophor ELの名称でBASFにより販売されているPEG-35ヒマシ油、
-脂肪酸エステルのポリオキシエチレン化誘導体、例えば、Labrasolの名称でGattefosseにより販売されているPEG-8カプリル酸/カプリン酸トリグリセリド
をより特には意味する。
【0041】
好ましくは、組成物は活性剤用溶媒である少なくとも1つの油相を含む。それはまた活性剤用の非溶媒である少なくとも1つの脂肪相を含んでもよい。好ましくは、組成物は、活性剤用溶媒である油相及び活性剤用の非溶媒である脂肪相を含む;あるいは、好ましくは、組成物は、活性剤用溶媒である油相のみを含む。
【0042】
本発明の組成物における溶媒である脂肪相の量は、組成物の全重量に対して、一般に5重量%と99重量%との間であり、好ましくは10重量%と98重量%の間である。
【0043】
特定の一実施形態によれば、本発明の組成物は、何らのアルコールまたはグリコールの溶媒を含まない。
【0044】
本発明の組成物はまた、所望の粘性に応じて、少なくとも1つの親油性ゲル化剤または増粘剤を含む。具体的には、これらの化合物は本発明において「粘度調節剤」として使用される。
【0045】
本発明によれば、用語「親油性増粘剤またはゲル化剤」は、特にワックス、水添油および脂肪酸エステルから選択される化合物を意味する。
【0046】
用語「ワックス」は、一般に、室温(25℃)において固体であり、可逆的な固体/液体状態変化を有し、200℃まで、特に120℃までであってよい30℃以上の融点を有する親油性化合物を意味する。使用されてよいワックスとして、カルナウバワックス、マイクロクリスタリンワックス、Cerabeil blancheの名称でBarlocherにより販売されているミツロウ、ベヘン酸グリセリル、例えば、モノベヘン酸グリセリル、ジベヘン酸グリセリル、トリベヘニンなどの誘導体、またはそれらの混合物、例えば、Compritol 888の名称でGattefosseにより販売されているものなど、またはカンデリラワックスを挙げてもよい。
【0047】
用語「水添油」は、直鎖状または分枝状C8〜C32脂肪鎖を含む動物または植物油の接触水素化によって得られる油を意味する。これらの油の中で、特に水添ホホバ油、商業参照名Iso-Jojoba-50(登録商標)でDesert Whale社により製造または販売されている部分水添されたトランス-異性化ホホバ油などの異性化ホホバ油、水添ヒマワリ油、特にCutina HRの名称でCognisにより販売されている水添ヒマシ油、特にCremophor ELの名称でBASFにより販売されているポリオキシエチレン化ヒマシ油、水添ヤシ油および水添ラノリン油を挙げることができる;水添ヒマシ油が好ましくは使用される。
【0048】
使用されてよい脂肪酸エステルとして、特にMedilanの名称でCrodaにより販売されているラノリン、Gelucireの名称でGattefosseにより販売されているグリセロールの脂肪酸エステル、Akosoft 36の名称でKarlshamnsにより販売されている水添ヤシグリセリド、あるいはそれぞれ、HydrineまたはMonosteolの名称でGattefosseにより販売されているモノステアリン酸ジエチレングリコールまたはモノステアリン酸プロピレングリコールを挙げることができる。
【0049】
本発明の組成物における親油性増粘剤またはゲル化剤の量は、組成物の全重量に対して、一般に1重量%と40重量%との間であり、好ましくは5重量%と30重量%の間である。
【0050】
本発明の組成物は、エラストマーを含んでもよい。用語「エラストマー」は、あらゆるポリオルガノシロキサンエラストマー、すなわち、特には、好ましくは、ダウコーニングにより販売されているElastomer 10などの、粘弾性特性を有する化学的に架橋したあらゆるシロキサンポリマーを意味する。本発明の組成物における高分子量のエラストマーの量は、組成物の全重量に対して、一般に0重量%と40重量%との間であり、優先的には0と20重量%との間である。
【0051】
場合により、本発明の組成物は、別の界面活性剤及び/または少なくとも1つのバインダーをさらに含んでもよい。
【0052】
使用される界面活性剤は、好ましくは、非イオン性界面活性剤であり、それらは例えば、限定されないが、グリコールなどのある種の成分を組成物の油相中に配合することを容易にする。
【0053】
本発明に基づき使用されてよい界面活性剤の中で、グリセロールのエステルおよび場合によりポリエチレングリコールのエステル、例えば、Arlacel 165の名称でUniqemaにより販売されているステアリン酸グリセリルとステアリン酸PEG-100との混合物、Gelot 64の名称でGattefosseにより販売されているステアリン酸グリセリルとステアリン酸PEG-75との混合物、Cutina GMSVの名称でCognisにより販売されているステアリン酸グリセリル;乳化ワックス、例えばPolawax NFの名称でCrodaにより販売されている自己乳化型ワックスまたはApifilの名称でGattefosseにより販売されているPEG-8ミツロウ;Tween 80の名称でUniqemaにより販売されているポリソルベート80;BASFにより特にCremophor ELの商品名で販売されているポリオキシエチレン化ヒマシ油またはSedefos 75の名称でGattefosseにより販売されているステアリン酸グリセリルとステアリン酸PEG-2との混合物、を挙げることができる。本発明の組成物における界面活性剤の量は0.1重量%と10重量%との間、好ましくは1重量%と10重量%との間である。
【0054】
組成物は、少なくとも1つのバインダーをさらに含んでよい。使用されてよいバインダーの中で、Brenntagにより販売されているステアリン酸マグネシウム、Roquetteにより販売されているコーンスターチ、WCDにより販売されているタルク、Crodaにより販売されているコレステロールまたはDegussaにより販売されているシリカを挙げることができる。
【0055】
バインダーは、0.1重量%と30重量%との間、好ましくは1重量%と20重量%との間の量で、使用されてよい。
【0056】
本発明の組成物は、所望の効果に応じて当業者が選択するであろう添加剤をさらに含んでもよい。
【0057】
添加剤の中で、単独でまたは組み合わせられる、挙げてもよい例には、
- ビタミン、例えば、ビタミンPPまたはナイアシンアミド、
- 鎮静剤または抗刺激剤、例えばPolyolprepolymer-2の商品名でBertek Pharmaceuticals社により販売されているPPG-12/SMDIコポリマー、またはグリチルレチン酸またはその誘導体、例えばCognisにより販売されているEnoxolone、
- 保湿剤または湿潤剤:挙げることができる例には、糖類および誘導体、グリコール、グリセロールおよびソルビトールが含まれる、
- レシチンおよびコレステロール、
- 保存剤、例えば、Nipagin Mの名称でClariantにより販売されているメチルパラベン、Nipasolの名称でClariantにより販売されているプロピルパラベン、またはPhenoxetolの名称でClariantにより販売されているフェノキシエタノール、
- 酸または塩基、例えばクエン酸、クエン酸ナトリウム、トリエタノールアミン、アミノメチルプロパノール、水酸化ナトリウムおよびジイソプロパノールアミン、
- 前記製剤に特定の性質を与えるための他の添加剤
が含まれる。
【0058】
優先的には、本発明の組成物は、全重量に対して、
- 0.01重量%から10重量%の少なくとも1つのフェノール誘導体タイプの医薬活性剤、
- 0.05重量%から99重量%の溶媒である油相及び/または親油性界面活性剤、
- 0から50重量%の追加の親油性ゲル化剤または増粘剤、
- 0から20重量%の添加剤
を含む。
【0059】
より優先的には、本発明の組成物は全重量に対して、
- 0.05重量%から6重量%の少なくとも1つのポリフェノールタイプのフェノール誘導体、
- 1重量%から99重量%の溶媒である油相及び/または親油性界面活性剤、
- 1重量%から40重量%の追加の親油性ゲル化剤または増粘剤、
- 0から20重量%の界面活性剤
- 0から30重量%のバインダー
- 0から10重量%の添加剤
を含む。
【0060】
さらにより優先的には、本発明の組成物は全重量に対して、
- 0.01重量%から5重量%のハイドロキノンまたはルシノール(rucinol)、
- 1重量%から98重量%の溶媒である油相及び/または親油性界面活性剤、
- 10重量%から25重量%のベヘン酸グリセリル、
- 0から10重量%の界面活性剤、
- 0から20重量%のバインダー、
- 0から10重量%の添加剤
を含む。
【0061】
本発明の無水組成物は、種々の既知の剤形であってよく、当業者であれば剤形を組成物の特定の使用に適合させるであろう。
【0062】
本発明の組成物は、好ましくは局所適用のために処方される。
【0063】
用語「局所適用」は、皮膚または粘膜への外用を意味する。
【0064】
局所経路を介して、組成物は、局所投与のために通常使用されるいかなる剤形であってもよい。局所用組成物の非限定的例として、米国薬局方(USP32-NF27 - Chap <1151> - Pharmaceutical Dosage Forms)または欧州薬局方(Edition 6.3 - in the chapter: Preparations semi-solides pour application cutanee [Semi-solid preparations for cutaneous application])に記載のものまたは米国食品医薬品局(FDA)のデシジョンツリー(CDER Data Standards Manual Definitions for topical dosage Forms)に定義のものを挙げてもよい。したがって、本発明の組成物は、液体、半固体、ペーストまたは固体形態であってよく、より特に、軟膏、油性溶液、2相ローションであってよいローションタイプのディスパーション、セラム、無水または親油性ゲル、パウダー、含浸パッド、シンデット、ワイプ、スプレー、ムース、スティック、シャンプー、湿布、洗浄ベース、液体または半液体の粘稠性を有するオイルイングリコールまたはグリコールインオイルタイプのエマルジョン、マイクロエマルジョン、半液体または固体サスペンションまたは白色または着色クリームタイプのエマルジョン、ゲルまたはポマード、マイクロスフィアまたはナノスフィアサスペンションあるいは脂質またはポリマーベシクルのサスペンション、あるいはマイクロカプセル、マイクロ粒子またはナノ粒子、あるいは制御放出のためのポリマーまたはゲル状パッチの形態であってよい。
【0065】
本発明の好ましい一形態において、組成物は、軟膏タイプの、無水の医薬または美容用組成物である。したがって、FDAは軟膏を、ビヒクルとして20%未満の水および揮発性化合物ならびに50%超の炭化水素、ワックスまたはポリオールを含む半固体組成物として定義付けている。ある場合には、揮発性物質の含有量が大きいとき、そのような組成物はクリームと称してよい(米国食品医薬品局(FDA)のデシジョンツリー)。米国薬局方は、軟膏を、下記の4つのクラスに属してよいビヒクルをベースとする製品であると定義している:炭化水素ベースまたは吸収剤ベースまたは水洗性ベースまたは水溶性ベース。欧州薬局方は、軟膏を、液体または固体が分散していてよい1相の組成物であると定義している。
【0066】
本発明の軟膏は、優先的には室温において濃度があり、組成物の全重量に対して80重量%と98重量%との間の、ワセリン以外の疎水性化合物を含む組成物である。そのような化合物は、特に、単独または混合物としての液状油から選択され、前記油は場合により、炭化水素、エステル、植物油および/またはシリコーン油であり、これらは揮発性または不揮発性であり、室温で固体の、例えばワックス、バターまたは脂肪酸エステルなどの親油性化合物によりゲル化されていてよい。
【0067】
場合により、最終製品を特徴付けるために、流動閾値の測定を行ってよい。
【0068】
流動閾値の測定のために、SVDIN測定用スピンドル付きのVT550 Haakeレオメーターが使用された。
【0069】
レオグラムは、25℃で0〜100s-1の負荷速度で作成された。粘度値は、4s-1、20s-1、100s-1 (γ)のせん断値において与えられる。用語「流動閾値」(τ0パスカルで表現される)は、ファンデルワールスタイプの接着力に打ち勝って流動をもたらすために必要な力(最小せん断応力)を意味する。
【0070】
より特に好ましい一形態において、組成物は、
- 医薬活性剤として、フェノール誘導体及び少なくとも1つのフェノール誘導体用溶媒を含む、活性相;
- ベヘン酸グリセリル及びその誘導体から選択される少なくとも1つの脂肪相増粘剤、及び場合により追加の親油性増粘剤、及び/または少なくとも1つの油及び/または少なくとも1つの親油性界面活性剤、及び/またはバインダー、及び/またはいずれかの任意の添加剤を含む、不活性相;
を含む。
【0071】
本発明の別の好ましい形態において、組成物は、
- 医薬活性剤として、フェノール誘導体及び少なくとも1つのフェノール誘導体用溶媒を含む、活性相;
- ベヘン酸グリセリル及びその誘導体から選択される少なくとも1つの脂肪相増粘剤、及び場合により追加の親油性増粘剤、及び/または少なくとも1つの油、及び/または少なくとも1つの親油性界面活性剤、及び/またはバインダー、及び/またはいずれかの任意の添加剤を含む、不活性相;
- ポリオルガノシロキサンエラストマー;
を含む。
【0072】
本発明の一課題はまた、医薬としての、このようにして得られた組成物の使用でもある。
【0073】
より特に、組成物は、色素沈着過剰症、例えば、肝斑、褐色斑、黒子、老人性黒子、白斑、雀斑、擦過、火傷、瘢痕、皮膚病または接触性アレルギーに起因する炎症後色素沈着過剰;母斑、遺伝性の色素沈着過剰(genetically determined hyperpigmentation)、代謝由来または薬剤由来の色素沈着過剰、メラノーマまたは他のあらゆる色素沈着過剰性障害を処置および防止するための医薬を調製するのに使用することができる。
【0074】
本発明の組成物はまた、化粧品分野においても、特に日光の有害な影響からの防御、皮膚および外皮の光誘導性または加齢性老化の防止および/または対処のためにも応用される。
【0075】
本発明はまた、少なくとも1つの色素沈着改善剤を含む組成物を皮膚および/またはその外皮に適用することを特徴とする、皮膚を美しくするためおよび/または皮膚表面の外観を改善するための非治療的な美容的処置方法にも関する。
【0076】
本発明の無水組成物は、相を混合するための既知の標準的方法を用いて、当業者により得られる。
【0077】
調製方法は以下の工程を特に含んでもよい:
- 必要であれば、加熱することにより、活性剤をその脂肪溶媒中に取り込むことによって、活性剤を調製する工程;
- 不活性相を調製する工程;
- 攪拌して活性相と不活性相を合わせる工程。
【0078】
下記の処方例は本発明の組成物を例証するがその範囲を限定するものではない。成分の量は、組成物の全重量に対する重量百分率で表示される。
【実施例】
【0079】
実施例1:活性剤の溶解性/安定性の研究
a) 油溶剤(油性溶媒)(solvent oil)及び親油性界面活性剤におけるハイドロキノンの溶解性及び安定性
→ハイドロキノンの溶解性
【0080】
【表1】

【0081】
上記表は、組成物の材料の最適の選択のために、どの溶媒が活性剤を最大に溶解させるのかを同定することを可能にする。しかし、溶媒の選択は、これらの溶媒におけるハイドロキノンの安定性の結果に基づいても為されるであろう。
【0082】
溶解性と安定性の間の妥協点は、必要であれば、溶媒の混合物を用いて、得られるはずである。
【0083】
→油溶剤及び親油性界面活性剤におけるハイドロキノンの安定性
参照物質に対するHPLCによるアッセイ技術
【0084】
初期時間(T0)は100%としてみなされる。
【0085】
【表2】

【0086】
上記表は、先に特定された様々な可溶化剤におけるハイドロキノンの安定性を評価することを可能にする。
【0087】
このようにして、好ましい溶媒が、良好な可溶化させる効果と相まって、ハイドロキノンの良好な化学的かつ物理的安定性(色の肉眼的観察)を与える、Crodamol DA、Arlamol E及びLabrasolであるとそれから推定されるであろう。
【0088】
従って、このような溶媒の使用により、酸化防止剤のいずれかの使用を免ずる(dispense)ことが可能となる。
【0089】
Cremophor ELにおけるハイドロキノンの高い溶解性にも関わらず、それは、経時的にかつ温度で顕著となる、茶色化(browning)により表される肉眼的不安定性を示すことに留意してよい。Cremophorは制限された量で使用されることによりハイドロキノンの溶解を助けてもよいが、ハイドロキノン安定化溶媒、例えばMiglyol 218N(登録商標)などの中鎖トリグリセリド、と一緒が好ましい。
【0090】
さらに、先行技術であるUS 2006/0 120 979において使用される溶媒、例えばグリコールなど、においては、着色はRTで及び40℃で観察され、それは、酸化防止剤の不在におけるこれらの溶媒におけるハイドロキノンの不安定性の証であることに留意してよい。
【0091】
b) 油溶剤(solvent oil)及び親油性界面活性剤におけるルシノール(rucinol)の溶解性及び安定性
→ルシノールの溶解性
【0092】
【表3】

【0093】
実施された溶解性の研究は、ルシノールが、テストされた全ての溶媒において非常に良好な溶解性を示すことを示した。しかし、溶媒の最適な選択は、これらの溶媒におけるルシノールの溶解性の結果に基づいても為されるであろう。
【0094】
→油溶剤及び親油性界面活性剤におけるルシノールの安定性
参照物質に対するHPLCによるアッセイ技術
【0095】
初期時間(T0)は100%としてみなされる。
【0096】
下記表は、先に特定された可溶化剤におけるルシノールの安定性を評価することを可能にする。
【0097】
【表4】

【0098】
これらの結果に基づいて、本発明の以下の組成物を調製した。
【0099】
すべての処方に関して、室温、4℃および40℃において、1ヶ月、2ヶ月、及び場合により3ヶ月後に、物理的安定性を組成物の肉眼および顕微鏡による観察によって調べる。
【0100】
肉眼的観察では、製品の物理的完全性の確認をすることができ、顕微鏡的観察では溶解した活性剤の再結晶がないことを確認することができる。
【0101】
化学的安定性は、HPLCの外部標準法により活性剤を分析して調べられ、結果はT0において得られた値に対する、または理論的力価に対する、二重(duplication)の%として表示される。
【0102】
実施例2:
【0103】
【表5】

【0104】
実施例2の手順:
相A:
ベヘン酸グリセリル及びイソノナン酸セテアリルを配合用ビーカーに入れる。混合物をゆっくり攪拌して85℃にし、完全に均一になるまで攪拌及び加熱を継続する。
【0105】
加熱を止めて、攪拌を継続する。
【0106】
相B:
別のビーカーで、約75℃で加熱しながら、磁気攪拌して、ハイドロキノンの少量部分(minor part)を、カプリル酸/カプリン酸トリグリセリド中に溶解する。
【0107】
相C:
別のビーカーで、約75℃で加熱しながら、磁気攪拌して、DL-α-トコフェロール及びパルミチン酸アスコルビル及びハイドロキノンの第2の部分を、PPG-15ステアリルエーテル中に溶解する。
【0108】
相D:
別のビーカーで、約75℃で加熱しながら、磁気攪拌して、ハイドロキノンの第3の部分を、PEG-8 カプリル酸/カプリン酸トリグリセリド中に溶解する。
【0109】
相E:
別の容器において、STエラストマー10を検量する。
【0110】
混合:
約75℃で、Rayneriブレンダーを使用して攪拌しながら、完全に均一化した相Bを添加する。
【0111】
約55℃で、相C及びDを添加し、Rayneriブレンダーを用いて攪拌しながら完全に均一化する。
【0112】
最大40℃で、攪拌を続けながら相Eを添加し、約5分間均一化する。
【0113】
攪拌しながら、放置して約35℃まで冷却させる。
【0114】
実施例2のT0における詳細記述
肉眼的外観:つやのある(glossy)白色の軟膏
顕微鏡的外観:ハイドロキノン結晶は存在せず
Haakeプロフィール(4s-1/20s-1/100s-1) : 72/68/103
【0115】
物理的安定性:
【0116】
【表6】

【0117】
化学的安定性:
ハイドロキノン
【0118】
【表7】

【0119】
実施例3:
【0120】
【表8】

【0121】
実施例3及び4の手順:
相A:
配合用ビーカーにおいて、75℃で加熱しながら、磁気攪拌して、溶媒(PPG-15ステアリルエーテル)中にハイドロキノンを溶解する。
【0122】
加熱を止めて、攪拌を継続する。
【0123】
相B:
別のビーカーで、カプリル酸/カプリン酸トリグリセリドを検量する。
【0124】
相C:
別のビーカーで、シクロメチコンまたはセチオール(Cetiol)SN PHを検量する。
【0125】
混合:
一旦溶解させてから、磁気攪拌して、相Bを相Aに入れる。
【0126】
次いで、先に得られた混合物にシリコーンまたはセチオールSN PHを添加する。
【0127】
均一化するまで攪拌する。
【0128】
実施例3のT0における詳細記述
肉眼的外観:澄明な溶液
顕微鏡的外観:ハイドロキノン結晶は存在せず
【0129】
物理的安定性:
【0130】
【表9】

【0131】
化学的安定性:
→ハイドロキノン
【0132】
【表10】

【0133】
実施例4:
【0134】
【表11】

【0135】
実施例4のT0における詳細記述
肉眼的外観:澄明な溶液
顕微鏡的外観:ハイドロキノン結晶は存在せず
【0136】
物理的安定性:
【0137】
【表12】

【0138】
化学的安定性:
→ハイドロキノン
【0139】
【表13】

【0140】
実施例5:
【0141】
【表14】

【0142】
実施例5及び6の手順:
相A:
ベヘン酸グリセリル、水添ヒマシ油及びカプリル酸/カプリン酸トリグリセリドを配合用ビーカーに入れる。混合物をゆっくり攪拌して85℃にする。混合物が均一になったときに加熱を止め、攪拌を継続する。
【0143】
相B:
別のビーカーで、約75℃で加熱しながら、磁気攪拌して、ハイドロキノンを、PPG-15ステアリルエーテル中に溶解する。
【0144】
相C:
別のビーカーで、シクロメチコンを検量する。
【0145】
混合:
最大60℃で、磁気攪拌しながら、BをAの上に注ぐ。十分に均一化する。
【0146】
最大40℃で、磁気攪拌しながら、Cを添加する。均一化するまで混合する。
【0147】
実施例5のT0における詳細記述
肉眼的外観:つやのある(glossy)白色の軟膏
顕微鏡的外観:ハイドロキノン結晶は存在せず
Haakeプロフィール(4s-1/20s-1/100s-1) : 397/244/256
【0148】
物理的安定性:
【0149】
【表15】

【0150】
化学的安定性:
→ハイドロキノン
【0151】
【表16】

【0152】
実施例6:
【0153】
【表17】

【0154】
実施例6のT0における詳細記述
肉眼的外観:つやのある(glossy)白色の軟膏
顕微鏡的外観:ハイドロキノン結晶は存在せず
Haakeプロフィール(4s-1/20s-1/100s-1) : 337/226/250
【0155】
物理的安定性:
【0156】
【表18】

【0157】
化学的安定性:
→ハイドロキノン
【0158】
【表19】

【0159】
実施例7
【0160】
【表20】

【0161】
実施例7の手順:
相A:
配合用ビーカーに、磁気攪拌しながら、ルシノール(rucinol)をPPG-15ステアリルエーテル中に溶解する。
【0162】
相B:
別のビーカーで、カプリル酸/カプリン酸トリグリセリドを検量する。
【0163】
相C:
別のビーカーで、シクロメチコンを検量する。
【0164】
混合:
磁気攪拌しながら、BをAの上に注ぐ。十分に均一化する。
【0165】
磁気攪拌を続け、Cを添加する。混合物が均一化するまで攪拌する。
【0166】
実施例7のT0における詳細記述
肉眼的外観:澄明な溶液
顕微鏡的外観:ルシノール結晶は存在せず
【0167】
物理的安定性:
【0168】
【表21】

【0169】
化学的安定性:
→ルシノール(rucinol)
【0170】
【表22】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
ハイドロキノン、ルシノール(rucinol)もしくはルシノール(lucinol)およびこれらの塩、4-ヒドロキシアニソール、ハイドロキノンモノエチルエーテルおよびハイドロキノンモノベンジルエーテルから選択される、フェノール誘導体タイプの医薬活性剤を含み、前記フェノール誘導体が脂肪相に溶解していることを特徴とする、無水医薬組成物。
【請求項2】
活性剤用溶媒である油相を含むことを特徴とする、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
前記活性剤用溶媒である油相が、油溶剤及び/または親油性界面活性剤を含むことを特徴とする、請求項1または2に記載の組成物。
【請求項4】
油溶剤が、エステル及び誘導体、エーテル及び誘導体、またはカプリル酸/カプリン酸トリグリセリド及び誘導体、またはこれらの化合物の混合物から選択されることを特徴とする、請求項1から3のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項5】
本発明の組成物がより特には油溶剤の混合物を含むことを特徴とする、請求項1から4のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項6】
前記溶媒の混合物が、組成物の全重量に対して、最大で15重量%のエーテルタイプおよび誘導体の溶媒から形成されることを特徴とする、請求項5に記載の組成物。
【請求項7】
前記親油性界面活性剤が、PEG-8カプリル酸/カプリン酸トリグリセリドであることを特徴とする、請求項1から6のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項8】
組成物の全重量に対して厳密には0.3重量%未満の量の酸化防止剤を含むことを特徴とする、請求項1から6のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項9】
酸化防止剤を何ら含まないことを特徴とする、請求項6に記載の組成物。
【請求項10】
少なくとも1つの親油性増粘剤またはゲル化剤をさらに含むことを特徴とする、請求項1から9のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項11】
少なくとも1つの追加の脂肪物質をさらに含むことを特徴とする、請求項1から9のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項12】
前記フェノール誘導体が、組成物の全重量に対して、0.01重量%から10重量%、好ましくは0.1重量%から6重量%、さらに特定すると0.1重量%から4重量%の量で存在することを特徴とする、請求項1から9のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項13】
前記フェノール誘導体がハイドロキノンまたはルシノール(rucinol)またはそれらの塩であることを特徴とする、請求項1から12のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項14】
アルコールまたはグリコールの溶媒を何ら含まないことを特徴とする、請求項1から13のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項15】
保存剤を何ら含まないことを特徴とする、請求項1から14のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項16】
追加の親油性増粘剤またはゲル化剤が、ワックス、脂肪アルコール、水添油および脂肪酸エステルから選択されることを特徴とする、請求項10から15のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項17】
前記親油性増粘剤がベヘン酸グリセリル及び/またはその誘導体であることを特徴とする、請求項1から16のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項18】
オルガノポリシロキサンエラストマーを含むことを特徴とする、請求項1から17のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項19】
医薬としての、請求項1から18のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項20】
色素沈着過剰症、例えば、肝斑、褐色斑、黒子、老人性黒子、白斑、雀斑、擦過、火傷、瘢痕、皮膚病または接触性アレルギーに起因する炎症後色素沈着過剰;母斑、遺伝性の色素沈着過剰、代謝由来または薬剤由来の色素沈着過剰、メラノーマまたは他のあらゆる色素沈着過剰性障害を処置および/または防止するための医薬を調製するための、請求項1から19のいずれか一項に記載の組成物の使用。
【請求項21】
日光の有害な影響からの防御、皮膚および外皮の光誘導性または加齢性老化の防止および/または対処用医薬を調製するための、請求項1から19のいずれか一項に記載の組成物の使用。

【公表番号】特表2011−521935(P2011−521935A)
【公表日】平成23年7月28日(2011.7.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−511072(P2011−511072)
【出願日】平成21年6月2日(2009.6.2)
【国際出願番号】PCT/FR2009/051038
【国際公開番号】WO2009/156677
【国際公開日】平成21年12月30日(2009.12.30)
【出願人】(599045604)ガルデルマ・リサーチ・アンド・デヴェロップメント (117)
【Fターム(参考)】