可食容器
【課題】従来よりも、肉厚が均一であり、外観が良好な可食容器を提供する。
【解決手段】シート状の食品用生地を雌型1と雄型2との間に配置して、該雌型1を雄型2に押し込む。このとき、雄型2の雄型側面部21には、突起部23が設けられており、該突起部23が雌型縁部10付近に集中するシート状の食品用生地を上記両型の隙間の奥まで押し込むことができるので、最終的に得られる可食容器の肉厚を従来よりも均一にすることができる。
【解決手段】シート状の食品用生地を雌型1と雄型2との間に配置して、該雌型1を雄型2に押し込む。このとき、雄型2の雄型側面部21には、突起部23が設けられており、該突起部23が雌型縁部10付近に集中するシート状の食品用生地を上記両型の隙間の奥まで押し込むことができるので、最終的に得られる可食容器の肉厚を従来よりも均一にすることができる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シート状の食品用生地を、一対の雄型と雌型とを用いて成型することにより製造される可食容器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、アイスクリームやソフトクリーム等の冷菓を盛り付ける可食容器としては、ワッフルコーンやシュガーロールコーン等が知られている。これらワッフルコーンの製造方法としては、シート状に焼き上げた生地を円錐形状に成型する方法等がある。
【0003】
しかしながら、上記のようにして製造されたワッフルコーンは、下端が尖っている形状に成型されるので、そのままでは置くことができないという欠点がある。また、上記のようにして製造されたワッフルコーンに、例えば、アイスクリーム等の冷菓を盛り付けた場合、溶けたアイスクリームが、ワッフルコーンの下端から漏れ出す場合があるという欠点がある。
【0004】
そこで、上記欠点を改善するためには、底部を有するワッフルコーンを形成することが提案されており、このような底部を有するワッフルコーンの製造方法としては、例えば、特許文献1に開示の製造方法が提案されている。
【0005】
上記特許文献1に開示されている製造方法では、焼き上げた生地を、最終的に製造されるワッフルコーンの展開図形状にカットし、この展開図形状の生地を組み立てることにより、底部を有するワッフルコーンを成型する方法が開示されている。具体的には、上記特許文献1では、底部を形成する際に複数枚の生地を重ね合わせて底部を形成するようになっている。つまり、シート状の生地を円筒形に丸めた後、底部を形成するために、側面の一部を内側に折り曲げることにより底部を有するワッフルコーンを製造している。
【0006】
また、底部を有するワッフルコーンの他の製造方法としては、シート状に焼き上げた生地をカップ型に成型するプレス型を用いて成型する方法がある。
【特許文献1】特開平8−205759号公報(公開日:1996年8月13日)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、上記特許文献1に開示の方法では、ワッフルコーンを製造するためには手間がかかるという問題点を有している。具体的には、上記特許文献に開示の方法では、底部を作るために、複数の底部となる部分を重合接着させなければならない。また、このようにして製造されたワッフルコーンでは、底部が厚くなり外観が良好でない。また、底部をつなぎ合わせているために、例えば、アイスクリームを盛り付けた場合、溶けたアイスクリームが漏れ出す恐れがある。
【0008】
また、単に、プレス型を用いて成型する方法では、成型途中に、シート状に焼き上げた生地に亀裂が入ったり、伸張されない部分にしわが生じたりする等の問題点を有している。
【0009】
具体的には、例えば、雌型の上にシート状に焼き上げた生地を載置して、その上から雄型を雌型に押し込んだ場合、生地は、雄型頂上部によって押し込まれることとなる。このとき、上記生地は、雄型頂上部に押し込まれる際、図10に示すように、雌型開口部の周囲にあるシート状の食品用生地が当該雌型開口部に集中することとなる。そして、雌型開口部にはシート状の生地が集中することにより、シート状の生地によるしわが発生することとなる。この状態で、雄型を雌型にさらに押し込んだ場合、雌型開口部に集中している生地は、しわになっているので、雄型頂上部の方へ移動することができなくなり、しわになっている部分の内側の生地のみが引き伸ばされることとなる。その結果、図11に示すように、雄型頂上部付近の生地は薄く引き伸ばされ、雌型開口部付近には生地が集中してしわが発生するとともに、肉厚は厚くなる。
【0010】
すなわち、単に、雌型と雄型とを噛み合わせた場合には、生地の移動が促進されることなく成型されることとなり、良好な外観を有する可食容器を製造することができない。
【0011】
特に、焼成によりシート状に成形された食品用生地の場合には、生地自体の流動性が乏しいため、生地を雌型に押し込む際に、雌型開口部付近では生地が重なり合ってしまい、雌型開口部付近から上記生地が雌型の内部まで移動することができない。従って、雄型頂上部付近の生地が著しく引き伸ばされることにより、最終的に得られる可食容器の肉厚が不均一になる。これにより、可食容器に、ひび割れが発生したり、砕けたりする場合がある。
【0012】
本発明は、上記従来の問題に鑑みなされたものであり、その目的は、従来よりも、肉厚が均一であり、外観が良好な可食容器を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明の可食容器は、上記の課題を解決するために、雌型と、上記雌型にシート状の食品用生地を押し込む雄型とから構成されている一対の可食容器成形用型を用いて製造される可食容器であって、上記雌型に挿入される上記雄型の側面部には、上記食品用生地を、当該食品用生地と接触状態を維持した状態で雄型の挿入方向に押し込むための突起部が備えられている可食容器成形用型を用いて製造されることを特徴としている。
【0014】
本発明の可食容器は、上記の課題を解決するために、雌型と雄型とから構成され、上記雄型を用いて上記雌型内にシート状の食品用生地を押し込み、上記食品用生地を挟み込んだ状態で上記雌型と雄型とを嵌合させて可食容器の成形を行う可食容器成形用型を用いて製造される可食容器であって、上記雄型の側面部には、雌型と雄型とが嵌合する際に上記食品用生地と接触状態を維持する突起部が備えられている可食容器成形用型を用いて製造されることを特徴としている。
【0015】
上記の構成によれば、雄型の側面部に突起部が備えられていることにより、シート状の食品用生地を雌型に押し込む際に、上記突起部が、雌型の開口部付近に集中する食品用生地を、当該突起部と接触した状態で雌型の内部まで押し込む。すなわち、雌型に対して雄型を押し込んでいく際に、上記食品用生地を、雄型の先端のみならず、側面部に備えられている突起部によっても、雌型の内部まで(嵌合方向へ)押し込むことができる。これにより、一対の雄型と雌型とを噛み合わせた際に、従来の構成と比べて、当該雄型と雌型とで成形される食品用生地を均一にすることができるので、従来よりも側面部と底面部との厚さが均一で、外観が良好である可食容器を製造することができる。
【0016】
本発明の可食容器において、上記突起部は、側面部を一周するように形成されていることが好ましい。
【0017】
また、本発明の可食容器において、上記突起部は、上記雄型の側面部に、雄型の軸方向上の位置を異ならせて複数備えられていることが好ましい。
【0018】
上記の構成によれば、雄型の側面部には複数のリング状の突起部が設けられているので、雌型の開口部付近に発生する食品用生地の集中する部分をさらに多く雌型の内部まで押し込むことができる。これにより、肉厚が均一であり、外観が良好な可食容器を提供することができる。
【発明の効果】
【0019】
本発明の可食容器は、以上のように、上記雌型に挿入される上記雄型の側面部には、上記食品用生地を、当該食品用生地と接触状態を維持した状態で雄型の挿入方向に押し込むための突起部が備えられている可食容器成形用型を用いて製造されたものである。
【0020】
本発明の可食容器は、以上のように、上記雄型の側面部には、雌型と雄型とが嵌合する際に上記食品用生地と接触状態を維持する突起部が備えられている可食容器成形用型を用いて製造されたものである。
【0021】
それゆえ、一対の雄型と雌型とを噛み合わせた際に、従来の構成と比べて、当該雄型と雌型との間に供給される食品用生地の量を多くすることができるので、従来よりも側面部と底面部との厚さが均一で、外観が良好である可食容器を製造することができるという効果を奏することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
本発明の実施の一形態について図1ないし図8に基づいて説明すれば、以下の通りである。
【0023】
本実施の形態にかかる可食容器は、不可逆的な延伸性を有するシート状の食品用生地を、側面部に突起部を有する雄型と雌型とを用いて成型することにより得られる構成である。また、本実施の形態にかかる可食容器の製造方法は、不可逆的な延伸性を有するシート状の食品用生地を雌型と雄型とからなる型を用いて成型する可食容器の製造方法であって、上記雄型の側面部には、突起部が設けられている構成である。
【0024】
以下に具体的に説明する。
【0025】
本実施の形態に用いられるシート状の食品用生地としては、不可逆的な延伸性を有するシート状の食品用生地であることがより好ましい。より詳細には、上記シート状の食品用生地は、雄型と雌型とを用いて成型する際に不可逆的な延伸性を有しているものであれば特に限定されるものではない。この「不可逆的な延伸性」とは、力を加えることにより、曲がったり伸びたりするが、放置しておいても元の形状に戻らない性質を示している。つまり、バネのような弾性を有するものではなく、力を加えたときにのみ変形し、力を加えることを止めた場合でも変形した形状を保持する性質を示す。
【0026】
具体的には、本発明におけるシート状の食品用生地は、焼成することによりシート状に成形されたものであり、焼成直後は不可逆的な延伸性を有するものであることがさらに好ましい。より詳細には、上記シート状の生地としては、焼成直後は不可逆的な延伸性を有しているとともに、冷却(自然冷却も含む)することにより硬化するものであることが特に好ましい。この場合、焼成直後の不可逆的な延伸性を有している状態で成形を行うことになる。
【0027】
また、上記シート状の食品用生地(以下、単に生地と称する)は、小麦粉および/または澱粉を含むとともにショ糖等の糖類が含まれていることがより好ましい。上記生地の中にショ糖(例えば、砂糖等)等の糖類が含まれている場合には、上記生地を焼成させた直後には、糖類は生地の中で溶解しているので該生地は不可逆的な延伸性を示すとともに、冷却(自然冷却も含む)により固化することになる。従って、上記生地を用いることでより好適な可食容器を得ることができる。
【0028】
上記シート状の生地についてさらに詳細に説明する。本実施の形態に使用されるシート状の生地としては、シート状の生地を焼成したワッフルコーン(シュガーコーン)製造用の生地であることがより好ましい。上記ワッフルコーン製造用の生地とは、少なくとも、小麦粉、澱粉、および糖類が含まれており、他には水、油脂等が含まれている場合もある。そして、具体的には、小麦粉、澱粉、比較的多くの砂糖に水、油脂を加えて、攪拌したのものを、170〜200℃前後の熱板で挟み焼きした生地をシート状に成形したものを上記シート状の生地として使用することが特に好ましい。このようにして製造されたシート状の生地の場合には、シート状に焼成させた直後に砂糖の粘性を利用して成型することになる。上記生地を用いて可食容器を製造した場合には、生地自体の膨張は極めて小さいために、生地密度が高くなり、食感は硬くサクサクとしている。
【0029】
上記シート状の生地にショ糖等の糖類が含まれている場合、その割合としては、小麦粉および澱粉など粉原料の総量に対して、糖類(ここでは砂糖)が20重量%以上含まれていることがより好ましく、30重量%以上含まれていることが更に好ましく、40重量%以上含まれていることが特に好ましい。糖類の含有量が20重量%よりも少ない生地の場合には、成型途中に生地が破れたり、最終的に得られる可食容器が割れ易くなったりする場合がある。
【0030】
また、成形後の可食容器中に含まれる上記の各成分は、焼成などの工程を経ることによって生地の状態のときから変化している。それゆえ、成形後の可食容器には、出来上がった可食容器自体の重量に対して、糖類が24重量%以上含まれていることが好ましい。
【0031】
また、上記不可逆的な延伸性について詳細に説明する。上記シート状の生地としては、雄型と雌型とを用いて成型する際に、延伸性を有していることがより好ましい。すなわち、上記シート状の生地は、或る一定以上の延伸率を有していることがより好ましい。この延伸率とは、生地を一定の力で伸ばした際に、生地を伸ばした直後の面積を、生地を伸ばす前の面積で割った値に100をかけたものである。
【0032】
ここで、小麦粉および澱粉に対して砂糖の割合を変化させた生地を焼成した場合の延伸率の変化を表1に示す。
【0033】
【表1】
【0034】
なお、上記表における砂糖の割合とは小麦粉および澱粉の総量に対する割合である。また、時間は、焼成した生地に力を加えた時間を示す。また、焼成した生地は、焼成プレートの片面に張り付いている状態において伸ばしている。
【0035】
この結果により、本実施の形態に用いられるシート状の生地としては、少なくとも、小麦粉、澱粉、および糖類を含み、小麦粉および澱粉の総量に対して30重量%以上の糖類が含まれている生地であり、当該生地を焼成させるたものであることがより好ましい。なお、上記糖類としては、ブドウ糖等の単糖類やショ糖等の2糖類等が挙げられ、1種類のみを用いてもよく、2種類以上を併用していもよい。より具体的には、上記糖類としては、ブドウ糖、果糖、ショ糖、麦芽糖、乳糖、液糖等が挙げられる。
【0036】
また、上記シート状の生地の原料としては、必要に応じて、着色料等が含まれていてもよい。
【0037】
なお、上記シート状の生地の製造方法としては、具体的には、上記シート状の生地が、焼成することによりシート状に成形されたものである場合、例えば、鉄製の焼成プレートの上に未加熱状態の流動性を有する生地を供給して、この生地を加熱することにより製造することができる。また、加熱方法としては、例えば、高周波を用いて生地を加熱してもよい。また、他の一般的な製造方法によって製造されたものでもよい。
【0038】
次に、雌型および雄型について説明する。
【0039】
上記雌型1と雄型2とは、一対に形成されており、図1に示すように、噛み合うようになっている。具体的には、雄型2を雌型1に挿入した際に、雌型1と雄型2との間に一定の間隔を有するように噛み合わせるようになっている。そして、その間隔を利用して、シート状の生地を成型するようになっている。すなわち、本実施の形態においては、雄型2と雌型1とを用いて、絞り成形を行うようになっている。
【0040】
雌型1は、雌型縁部10と雌型側面部11と雌型底部12とを有している。雌型縁部10とは、雌型1の縁の部分、換言すると雌型1の開口部を示している。つまり、雌型縁部10は、可食容器のリップ部(側面部先端)における外側の形状(外形)を決めるものである。雌型側面部11とは、可食容器の外側の側面部を決める部分である。つまり、雄型2と雌型1とを噛み合わせた場合、シート状の生地は、雌型側面部11に押圧されることとなり、その結果、可食容器の外形(より具体的には可食容器の側面部の外形)が決定されることとなる。この雌型側面部11の大部分は、後述する雄型側面部21と略平行に配置されている。雌型底部12は、可食容器の底部における外形を決定するものである。
【0041】
一方、雄型2は、雄型底部20、雄型側面部21、雄型頂上部22および突起部23を備えている。雄型底部20は、可食容器のリップ部における内側の形状(以下、内形と称する)を決めるものである。雄型側面部21は、可食容器の内形の大部分(より具体的には、可食容器の内形)を決めるものである。つまり、雄型2を雌型1に挿入した場合、シート状の生地は、雄型側面部21に沿った形に成形されることとなり、その結果可食容器の内形が決定されることとなる。雄型頂上部22は、可食容器の底部における内形を決定するものである。
【0042】
つまり、本発明の可食容器成形用型は、雌型と雄型とから構成され、上記雄型を用いて上記雌型内にシート状の食品用生地を押し込み、上記食品用生地を挟み込んだ状態で上記雌型と雄型とを嵌合させて可食容器の成形を行うものである。
【0043】
上記雄型2および雌型1の形状について詳細に説明する。該雄型2を雌型1に挿入する挿入方向に対して垂直な面における上記雄型2の断面形状は、円形状であってもよく、多角形状であってもよい。上記断面形状としては、例えば、図2に示すように、断面形状の中心に向かって突出する複数の凹状曲部と上記中心から放射状の方向に突出する複数の凸状曲部とを有する形状であることが特に好ましい。つまり、断面形状は、多角形の各辺には断面形状の中心に向かって突出する凹状曲部が設けられていることがより好ましく、各頂点は、丸みを帯びていることがさらに好ましい。また、雌型側面部11の形状は、雄型側面部21の形状と略同形状である。
【0044】
上記のような断面形状とすることにより、断面における周の長さを、より長くすることができる。そして、上記のような断面形状とすることにより、雄型側面部21および雌型側面部11の表面積をより大きくすることができるので、雌型縁部10付近に発生する生地の集中をより緩和することができる。これについて以下に説明する。シート状の生地を雌型1に載置して、雄型2を用いて該シート状の生地を押し込む場合、雌型縁部10付近にはシート状の生地の集中が起こることとなる。このとき、雌型縁部10の長さ、換言すると、雌型1の開口部の長さが長ければ長いほど、生地の集中が起こり難くなる。つまり、上記断面形状の周の長さがシート状の生地の雌型縁部10における集中に影響を与えることになり、上記説明の形状とすることにより、上記断面形状の周の長さを長くすることができるので、シート状の生地の集中を緩和することができる。なお、上記説明では、上記周の長さが長ければ長いほど、シート状の生地の集中を緩和できると説明している。しかしながら、雌型側面部11および雄型側面部21の断面形状が、例えば、あまりにも複雑であると、シート状の生地が断面形状に沿わなくなる場合がある。従って、断面形状としては、例えば、星型の各頂点が丸みを帯びているような形状が好適である。
【0045】
次に、雄型側面部21について説明する。雄型側面部21は、雄型底部20が平面である場合、雄型底部20が形成されている底部形成面(挿入方向に対して垂直な面)に対して垂直になるように設けられていてもよく、この底部形成面に対してある程度の傾斜を有するように設けられていてもよい。より具体的には、雄型側面部21の傾斜角度としては、挿入方向に対して垂直な方向を0°とした場合、15〜90°の範囲内がより好ましい。上記雄型側面部21の傾斜角度を上記範囲内とすることにより、最終的に得られる可食容器の外観を優れたものとすることができる。なお、上記の説明では、雄型底部20が平面である場合について説明しているが、例えば、上記雄型底部20が形成されていない場合についても、上記範囲内の傾斜角を有していることがより好ましい。
【0046】
次に雄型頂上部22について説明する。雄型頂上部22の形状としては、最終的に製造する可食容器の用途等によって異なり、平面形状であってもよく、また、尖っている形状であってもよい。例えば、最終的に製造された可食容器を載置する用途に使用する場合には、雄型頂上部22は平面形状であることがより好ましい。また、最終的に製造された可食容器を、アイスクリーム等の冷菓を盛り付けて、溶けたアイスクリームが漏れないようにする目的で使用する場合には、多少尖っている形状であってもよい。なお、雌型2については、上記雄型1と一対に形成されていればよく、その形状は、雄型1と同様である。
【0047】
本実施の形態では、図1および図3に示すように、雄型側面部21に突起部23が設けられている。この突起部23について詳述する。
【0048】
上記突起部23とは、シート状の生地を雌型1と雄型2とで成型する際に、雌型縁部10付近に集中するシート状の生地を、雄型2の挿入方向に押し込むものである。つまり、上記突起部23は、雄型2を雌型に挿入させた場合における、雄型2と雌型1との間に対して、シート状の生地を均一に供給するように作用する。換言すると、上記突起部23とは、雄型2を雌型1に挿入する際に、シート状の生地を雌型1の内部(つまり、雌型底部の方向)まで押し込むためのものである。これにより、突起部23が設けられている雄型2を用いて可食容器を製造する場合には、雌型底部10付近シート状の生地のしわを解消することができるとともに、可食容器の側面部の肉厚を均一にすることができる。これについて、以下に詳述する。
【0049】
雄型2を用いて雌型1に、シート状の生地を押し込む際、シート状の生地は、まず、雄型頂上部22によって押圧されることになる、そして、雄型頂上部22によって押圧されているシート状の生地は、雄型頂上部22の方向に引っ張られて移動することとなる。しかしながら、雄型頂上部22の方向に引っ張られるシート状の生地は、雌型縁部11の付近で集中することとなる。従って、従来の場合では、さらに雄型頂上部22を雌型1に押し込んだ場合には、上記シート状の生地は移動することなく、引き伸ばされることとなる。一方、本実施の形態では、雄型側面部21に突起部23が設けられている。従って、雌型縁部11の付近でシート状の生地が集中した状態において、さらに、雄型頂上部22を雌型1に挿入する際、この突起部23が上記シートの生地の集中している部分に引っかかることとなる。そして、上記突起部23は、雄型2を雌型1のさらに奥まで挿入する際に、上記生地を雌型底部10の方向へ押し込む。これにより、雌型1と雄型2との隙間に供給される上記生地の量を増やすことができるので、従来よりも可食容器の厚さを均一にすることができる。なお、上記雄型側面部21に設けられる突起部23は、意匠性を向上させるものではない。
【0050】
また、上記突起部23は、雄型側面部21を一周するように設けられていてもよく、すなわち、リング状に形成されていてもよく、また、複数の突起から形成されていてもよい。
【0051】
また、上記突起部23は、雄型側面部21の形状によって好ましい形状が決まる。具体的には、雄型側面部21の断面形状(雄型2の挿入方向に対して垂直な面の形状)が円形の場合には、突起部23は、雄型側面部21にリング状に設けられていることがより好ましい。
【0052】
一方、雄型側面部21の断面形状が多角形の場合には、各頂点に対応する位置のみに上記突起部23が設けられていてもよい。また、雄型側面部21の断面形状が例えば、星型のように、断面の中心に向かって凸部と凹部とが交互に形成されている多角形の場合には、突起部23は、断面の中心から外側に向かって突出する凸部のみに設けられていてもよい。上記雄型側面部21の断面形状が例えば、多角形である場合には、雄型2と雌型1との間にシート状の生地を配置して両者を嵌合させると、断面形状の頂点付近に上記シート状の生地の集中が起こりやすくなる。従って、この頂点付近のみに突起部を設けた場合でも、雄型と雌型との隙間の奥まで効率よくシート状の生地を押し込むことができる。
【0053】
なお、上記突起部23は、雄型側面部21に複数設けられていてもよい。換言すると上記突起部23は、上記雄型側面部21に、雄型2の軸方向上の位置を異ならせて複数備えられていることがより好ましい。具体的には、上記突起部23は、該突起部23が上記雄型側面部を一周するリング形状であり、雄型側面部21に複数本設けられていることがより好ましい。このように、雄型頂上部22から雄型底部20にかけて上記突起部23を複数設けることにより、雌型縁部10付近に発生するシート状の生地の集中をより一層緩和できるとともに、雌型1と雄型2との間に従来よりも多くの生地を供給することができるので、最終的に得られる可食容器の外観をさらに良好にすることができる。
【0054】
上記突起部23の形状としては、特に限定されるものではないが、雄型2の挿入方向に対して垂直または僅かな抜け勾配の面を有していることがより好ましい。上記突起部23の形状が挿入方向に対して垂直または僅かな抜け勾配の面を有している場合には、雄型2と雌型1との間にシート状の生地を載置して両者を噛み合わせる際に、雌型縁部10付近に集中するシート状の生地を、より効率的に雌型底部12方向に供給することができる。
【0055】
また、雌型縁部10は、丸みを帯びていることがより好ましい。換言すると、雄型2の挿入方向に平行な断面から見た場合、雌型縁部10は、テーパが形成されていることがより好ましい。
【0056】
図6、図7、図8には、突起部23の形状が様々に異なる雄型2の例を示す。図6(a)〜図6(c)に示す雄型2には、リング形状の突起部23が設けられている。より具体的には、図6(a)に示す雄型2の側面には、突起部23が1本、図6(b)に示す雄型2には、突起部23が2本、図6(c)に示す雄型2には、突起部23が5本、それぞれ設けられている。
【0057】
図7(a)、図7(b)に示す雄型2には、円錐形状の突起部23が設けられている。より具体的には、図7(a)に示す雄型2の側面には、底面から同じ高さとなる位置に、突起部23が等間隔に4個設けられており、図7(b)に示す雄型2の側面には、多数の突起部が列状に並んで配置されている。
【0058】
図8(a)〜図8(c)に示す雄型2には、螺旋形状の突起部23が設けられている。より具体的には、図8(a)に示す雄型2の側面には、1本の螺旋形状の突起部23が設けられており、図8(b)に示す雄型2の側面には、図8(a)に示す螺旋形状よりもより間隔の狭い螺旋形状の突起部23が設けられており、図8(c)に示す雄型2の側面には、2本の螺旋形状の突起部23が互いに交差して配置されている。
【0059】
次に、可食容器の製造方法について説明する。本実施の形態にかかる可食容器の製造方法は、不可逆的な延伸性を有するシート状の生地を雌型と側面部に突起部が設けられている雄型とからなる型を用いて成型する方法である。つまり、シート状に成形されたシート状の生地を、雌型1の上に載置して、その上から側面部に突起部23を有する雄型2を雌型1に押し込む。このとき、シート状の生地は、雌型1と雄型2との隙間に押し込められることとなり、この隙間の形状に成型されることとなる。
【0060】
そして、雄型2を雌型1に挿入するとき、雄型側面部21に設けられた突起部23が、雌型縁部10付近に集中するシート状の生地を雌型1の内部まで押し込むようになっている。従って、雌型1の内部まで供給されるシート状の生地の量を多くすることができるので、雄型2と雌型1とが完全に噛み合うまで上記シート状の生地の伸びる速度を一定にすることができる。従って、最終的に得られる可食容器の外観を従来と比べて良好にすることができる。
【0061】
以上のように、雄型側面部21に突起部23を設けることにより、従来では雄型2と雌型1とを噛み合わせる際に雌型縁部10付近に集中するシート状の生地を、該突起部23が、雌型底部10方向へ押し込むことができる。つまり、突起部23を設けることで、雌型底部12付近までシート状の生地を供給することができるので、雄型2を挿入した際に、雌型縁部10、雌型側面部11および雌型底部12におけるシート状の生地の伸びをより一層均一にすることができる。これにより、肉厚がより均一かつ外観が良好な可食容器を提供することができる。
【0062】
ここで、可食容器の製造方法におけるより具体的な製造条件について説明する。
【0063】
本発明の可食容器の製造方法は、具体的には、シート状の食品用生地を焼成する工程と、焼成された食品用生地を雌型に押し込み、可食容器を成形する工程と、成形された可食容器を冷却する工程とからなる。
【0064】
そして、この可食容器を成形する工程では、以下の(1)〜(3)の条件を少なくとも1つ満たすことが好ましい。
(1)雌型および雄型の型温度が10〜100℃
(2)押し込み速度が30〜400mm/秒
(3)押し込み時間が2〜10秒
これによれば、より優れた強度、外観、食感などを有する可食容器を製造することができるという効果を得ることができる。なお、上記(1)〜(3)の各条件については、何れか1つの条件のみを満たすのではなく、何れか2つの条件を併せて満たす場合の方が、その効果はより大きくなる。また、上記(1)〜(3)の各条件を全て満たす場合に、最も大きな効果を得ることができる。
【0065】
次に、このような雄型2と雌型1とを用いて製造される可食容器であって、最終的に得られる可食容器の形状について説明する。可食容器の側面部の先端(リップ部)には、ランダムな突出部が形成されている。そして、このリップ部の形状としては、可食容器の横断面すなわち、底面に対して垂直な断面における側面部の形状がストレートに抜ける形状、つまり、側面部が直線状に伸びている形状であることがより好ましい。より具体的には、成形品のリップ部が側面部に比べて外側に広がっていない形状がより好ましく、可食容器の側面部からリップ部までが直線形状となっていることがさらに好ましい。上記の形状とすることにより、より一層、雌型縁部10におけるシート状の生地の集中を防止することができる。
【0066】
図5には、雄型2と雌型1とを用いて製造された可食容器30の一例を示す。この可食容器30は、雌型1と雄型2とから構成される成形用型を用いて成形された凹型の可食容器である。そして、この可食容器30は、平面上に載置された場合に当該平面と接触する平坦な面を有する底面部32と、上記底面部32の周囲から立設して配置された側面部31とから構成されている。上記側面部31の内部表面には、雄型2の突起部23に起因する溝33が形成されている。
【0067】
なお、図5に示す可食容器30は、側面部31の先端がトリミング処理されたものである。このトリミング処理によって、側面部31の先端に存在するランダムな突出部が取り除かれ、上記先端部が平坦な形状に整えられている。また、図5に示す可食容器30にも存在するが、トリミング処理後の可食容器の先端部には、しわ(図5では、Aとして示す)が多少残っていてもよい。
【0068】
図9には、トリミング工程を含む場合の可食容器を成形する工程における作業の流れを模式的に示す。
【0069】
図9において、(a)は、シート状の食品用生地30’を雌型1と雄型2との間に挟んだ状態で、雄型1を雌型2へ押し込むというプレス工程を行う前の状態を示している。(b)は、上記プレス工程後の状態を示している。(c)は、上記プレス工程が終わった後に行われるトリミング処理工程を示すものである。このトリミング処理工程では、(c)に示すように、雌型1の側面から突出している突出部35(図9では、網掛けをして示した部分)を、カッター41を用いて切り取る。
【0070】
上記のような一連の作業を行った後、型から取り外した可食容器30を冷却すれば、トリミング処理によって突起部35が除去された、製品としての可食容器30が得られる(図5参照)。
【0071】
本発明にかかる可食容器には、上述のようにトリミング処理が施されているものだけではなく、トリミング処理が施されていないものも含まれる。このようなトリミング処理が施されていない可食容器は、側面部の先端(リップ部)にランダムな突出部が残った形状となっている。
【0072】
そして、この可食容器30は、容器として良好に使用できる点から見れば、底面部32の厚さが0.5mm以上、5.0mm以下となっているとともに、底面部32に対する側面部31の厚さが、10倍以下となっていることが好ましいがこれに限定されるものではない。また、可食容器30の耐圧(特に底面部32の耐圧)は、容器として良好に使用できる点から見れば、29.4N(3.0kgf)以上が好ましいが、これに限定されるものではない。
【0073】
また、以下の説明については、シート状の生地としてワッフルコーンまたはシュガーロールコーン製造用途に用いられる生地を用いてワッフルボウル(可食容器)を製造する場合について説明する。なお、上記ワッフルボウルとは、ワッフルコーンまたはシュガーロールコーン用途の生地を用いて製造される底部を有する可食容器である。
【0074】
そして、上記ワッフルボウルの製造方法としては、ワッフルコーンまたはシュガーロールコーン製造用途に用いられる生地をシート状に成形した後、加熱することにより、可食容器成形用型で成形するための焼成生地としている。
【0075】
そして、この焼成生地を上記可食容器成形用型にて生地を成型することにより、ワッフルボウルを製造している。
【0076】
雄型2と雌型1を用いて焼成生地からワッフルボウルを製造する場合、該焼成生地の厚さは、一般に、0.5〜5mm程度のものが多い。また、上記焼成生地の大きさ、つまり、最大径としては、50〜200mm程度のものが多い。
【0077】
上記のようなサイズのワッフルボウルを製造する場合、雄型2および雌型1の形状としては、該雄型2と雌型1との隙間が、上記ワッフルボウルを成型することができるようになっていればよい。
【0078】
なお、上記のようなサイズの可食容器を製造する場合であって、雄型側面部21に突起部23を複数設ける場合、突起部23の本数としては、雄型側面部21に約10mm間隔に設けられる本数が最大本数となる。
【0079】
また、上記説明では生地を焼成したものを上記雄型2および雌型1を用いて成型している。しかしながら、シート状の生地としては、上記に限定されるものではなく、例えば、パイ生地等の焼成していない状態の生地も上記シート状の生地に含まれる。具体的には、例えば、焼成していない生地をシート状に成形した後、該シート状の生地を雄型2および雌型1を用いて可食容器とした後、焼成することにより、可食容器としてもよい。
【0080】
また、上記雄型2および/または雌型1には、図示しない加熱装置が設けられていてもよい。例えば、シート状の生地が焼成生地であり焼成直後は不可逆的な延伸性を有するが冷却されることにより硬化するものである場合には、雄型2と雌型1とを用いて成型する際に、上記型を加熱しておくことで、焼成生地の延伸性を維持しておくことができるので、より一層良好に可食容器を製造することができる。また、例えば、上記シート状の生地が、焼成していない生地である場合には、雄型2と雌型1とを用いて成型した後、成型している状態でこの生地を加熱することにより、最終的な可食容器を製造することができる。なお、上記シート状の生地が、焼成していない生地である場合には、可食容器とした後、該可食容器を取り出して焼成してもよいことは当然である。
【0081】
また、上記の説明では、雌型1を固定して、そこに、雄型2を挿入する構成について説明しているが、例えば、雄型2を固定した状態で、雌型1を雄型2と噛み合うように移動させてもよい。
【0082】
なお、本実施の形態にかかる可食容器の製造方法は、生地を焼成することによりシート状に成形されたものを、雄型2と雌型1との間に載置して、該雄型2と雌型1とを隙間を有するように噛み合わせることにより成型する可食容器の製造方法であって、該生地の焼成直後の不可逆的な延伸性を有する状態のシート状の生地を成型する方法であってもよい。
【0083】
また、本実施の形態にかかる可食容器の製造方法は、不可逆的な延伸性を有するシート状の生地を雌型1と雄型2とからなる型を用いて成型する可食容器の製造方法であって、上記雌型1と雄型2との間に生地からなるシート状の生地を載置して、側面部に突起部が設けられている雄型2を雌型1に押し込むことにより成型する方法であってもよい。
【0084】
また、本実施の形態にかかる可食容器の製造方法は、上記シート状の生地は、焼成することによりシート形状に成形された生地であり、上記焼成直後の不可逆的な延伸性を有する状態の生地を成形する構成であることがより好ましい。
【0085】
また、本実施の形態にかかる可食容器の製造方法は、上記雄型および雌型における雄型の挿入方向に対して垂直な面における断面形状が多角形の場合、上記突起部は、上記多角形の各頂点に対応する位置に備えられている構成がより好ましい。
【0086】
上記雄型と雌型との横断面形状(雄型の突出している方向に対して垂直な面の形状)が多角形の場合、上記雄型と雌型とを噛み合わせていくと、多角形の頂点付近にシート状の食品用生地の多くが集中することになる。従って、該多角形の頂点付近には、シート状の食品用生地のしわが発生し易くなる。上記の構成によれば、多角形の頂点に対応するように突起部を設けることにより、シート状の食品用生地の横断面方向における集中(しわ)をより均一にすることができる。従って、横断面形状が多角形の可食容器を製造する場合であっても、外観に優れた形状を作りだすことができる。なお、上記断面形状については、上記では雄型および雌型としているが、雄型および雌型のいずれかであってもよい。
【実施例】
【0087】
以下、実施例および比較例により、本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれらにより何ら限定されるものではない。
【0088】
〔実施例1〕
雄型底部の最大径104.5mm、雄型頂上部の最大径34mm、雄型底部から雄型頂上部までの距離(深さ)が64mm、雄型の挿入方向における断面形状が、図2に示すような、或る円に対して内接する8個の凸状曲部と、上記円Aの中心に向かって突出する8個の凹状曲部を有する形状であり、該雄型側面部の雄型頂上部から42mmの位置に突起部を設けた雄型と、該雄型と一対の雌型とを用い、焼成したシート状の生地を用いて可食容器の製造を行った。具体的には、小麦粉、澱粉、ショ糖、着色料、油脂、水を含む生地を使用した。そして、鉄製の焼成プレートにこの生地を供給した後、焼成することによりシート状の生地を製造した。そして、焼成直後の不可逆的な延伸性を有するシート状の生地を、上記雌型に載置して、その上から上記雄型を該雌型に押し込むことにより可食容器を得た。得られた可食容器の形状は、口径(最大径)107mm、底面部の口径37mm、側面部の傾斜角20〜30°、深さ64mm、底面部の肉厚3.2mm、側面部の肉厚3.2mmであった。得られた可食容器は、外観が良好であり、可食容器の側面部の肉厚も均一であった。
【0089】
〔比較例〕
雄型側面部に突起部を有していない雄型を用いた以外は実施例1と同様にして可食容器を製造した。その結果、可食容器は、可食容器の側面部の肉厚は不均一(かなり薄く)になっており、側面部の途中でひび割れが生じていた。
【0090】
以上のように、雄型の側面部に突起部を設けることにより、得られる可食容器の外観を良好にすることができるとともに、側面部の肉厚を均一にすることができ、従来のように側面部が割れたり、ひび割れが生じたりすることを防止することができる。
【0091】
〔実施例2〕
実施例2では、底面31の厚さおよび側面32の厚さを種々に変更した可食容器30を製造し、その強度をテストした。その結果を表2に示す。なお、表2における耐圧とは、耐圧測定器(製品面:RHEO METER(レオメーター)、型式:NRM−2010J−CW、製造元:不動工業株式会社)を用いて、可食容器が破損する直前の負荷圧力を測定した結果を示す。
【0092】
【表2】
【0093】
表2に示すように、完成後の可食容器30において、底面部32の厚さが0.5mm以上、5.0mm以下となっているとともに、底面部32に対する側面部31の厚さが、10倍以下となっていれば、成形可能であり完成品として得ることが可能であった。但し、本発明の可食容器は、上記の数値範囲を満たすもののみに限定されない。
【0094】
本発明は上述した実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能である。すなわち、請求項に示した範囲で適宜変更した技術的手段を組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。
【0095】
本発明の可食容器成形用型は、雌型と、上記雌型にシート状の食品用生地を押し込む雄型とから構成されている一対の可食容器成形用型であって、上記雌型に挿入される上記雄型の側面部には、上記食品用生地を、当該食品用生地と接触状態を維持した状態で雄型の挿入方向に押し込むための突起部が備えられていてもよい。
【0096】
本発明の可食容器成形用型は、雌型と雄型とから構成され、上記雄型を用いて上記雌型内にシート状の食品用生地を押し込み、上記食品用生地を挟み込んだ状態で上記雌型と雄型とを嵌合させて可食容器の成形を行う可食容器成形用型であって、上記雄型の側面部には、雌型と雄型とが嵌合する際に上記食品用生地と接触状態を維持する突起部が備えられていてもよい。
【0097】
上記の構成によれば、雄型の側面部に突起部が備えられていることにより、シート状の食品用生地を雌型に押し込む際に、上記突起部が、雌型の開口部付近に集中する食品用生地を、当該突起部と接触した状態で雌型の内部まで押し込む。すなわち、雌型に対して雄型を押し込んでいく際に、上記食品用生地を、雄型の先端のみならず、側面部に備えられている突起部によっても、雌型の内部まで(嵌合方向へ)押し込むことができる。これにより、一対の雄型と雌型とを噛み合わせた際に、従来の構成と比べて、当該雄型と雌型とで成形される食品用生地を均一にすることができるので、従来よりも側面部と底面部との厚さが均一で、外観が良好である可食容器を製造することができる。
【0098】
本発明の可食容器成形用型は、上記突起部は、側面部を一周するように形成されている構成であってもよく、さらに上記雄型の側面部に雄型の軸方向上の位置を異ならせて複数備えられている構成がよりよい。
【0099】
上記の構成によれば、雄型の側面部には複数のリング状の突起部が設けられているので、雌型の開口部付近に発生する食品用生地の集中する部分をさらに多く雌型の内部まで押し込むことができる。
【0100】
本発明の可食容器は、シート状の食品用生地を原料とし、一対の雌型と雄型とから構成される成形用型を用いて成形された凹型の可食容器であって、この可食容器を平面上に載置する場合に上記平面と接触する平坦な面を有する底面部と、上記底面部の周囲から立設して配置された側面部とから構成され、上記底面部の厚さが0.5mm以上、5.0mm以下となっており、かつ、上記側面部の先端にランダムな突出部を有していてもよい。
【0101】
本発明の可食容器は、シート状の食品用生地を原料とし、一対の雌型と雄型とから構成される成形用型を用いて成形された凹型の可食容器であって、この可食容器を平面上に載置する場合に上記平面と接触する平坦な面を有する底面部と、上記底面部の周囲から立設して配置された側面部とから構成され、上記底面部に対する上記側面部の厚さが、10倍以下となっており、かつ、上記側面部の先端にランダムな突出部を有していてもよい。
【0102】
つまり、上記の構造を有する本発明の可食容器は、シート状の食品用生地を原料とし、一対の雌型と雄型とから構成される成形用型を用いて成形されることによって、底面部の厚さが0.5mm以上、5.0mm以下となり、かつ、側面部の先端にランダムな突出部が形成される。また、本発明の可食容器は、シート状の食品用生地を原料とし、一対の雌型と雄型とから構成される成形用型を用いて成形されることによって、上記底面部に対する上記側面部の厚さが10倍以下となり、かつ、側面部の先端にランダムな突出部が形成される。
【0103】
ここで、上記「側面部の先端」とは、凹型の可食容器の開口端部を形成している部分のことを意味する。そして、「ランダムな突出部」とは、例えば、上述の突起部を有する雄型を押し込むことによって成形された場合に、上記開口端部において不特定多数のしわが生じることに起因して、生地がランダムに寄り集まって形成される突出部のことを意味する。
【0104】
このような形状をしている可食容器は、本発明にかかる突起部を備えた可食容器成形用型によって製造することができる。この雄型に突起部を備えた可食容器成形用型を用いて製造されることで、可食容器の底面部の肉厚が薄くなる現象が抑制され、底面部と側面部との厚さの差を小さくすることができる。そして、底面部の厚さが、0.5mm以上、5mm以下であることによって、焼成可能な程度の厚さ以下であり、かつ、アイスクリームを乗せた場合に生地が破れない程度の強度を有する可食容器を得ることができる。
【0105】
また、本発明の可食容器においては、側面部の先端にランダムな突出部が形成されていることによって、手作り風の外観を醸し出すことができる。
【0106】
上記の可食容器は、さらに、上記側面部の先端をトリミング処理しているものであってもよい。
【0107】
これによれば、側面部の先端に存在するランダムな突出部が取り除かれ、先端部を平坦な形状に整えることができる。
【0108】
本発明にかかる可食容器の製造方法は、雌型と一対の雄型を用いて、シート状の食品用生地を上記雌型に押し込むことにより可食容器を製造する可食容器の製造方法であって、側面部に突起部が設けられている雄型を用い、当該雄型の頂上部と突起部とで、上記食品用生地を雌型に押し込む構成であってもよい。
【0109】
上記の構成によれば、雌型に対して、上記雌型と一対の雄型の頂上部と突起部とによってシート状の食品用生地を上記雄型の挿入方向へ押し込むようになっている。具体的には、食品用生地が雄型の頂上部によって押し込まれる際に、雌型の開口部付近に発生する食品用生地の集中した部分を、突起部が雌型の内部まで押し込むこととなる。これにより、従来の雄型の頂上部のみで食品用生地を押し込む構成に比べて、より多くの量の食品用生地を雌型の内部まで供給することができるので、最終的に得られる可食容器の側面部の厚さをより一層厚くすることができる。つまり、肉厚が均一であり、外観が良好である可食容器を製造することができる。
【0110】
本発明にかかる可食容器の製造方法において、上記シート状の食品用生地は、食品用生地を焼成することによりシート状に成形されたものである構成がよりよい。
【0111】
上記の構成によれば、焼成することによりシート状に成形された食品用生地であっても、良好な外観を有する可食容器を提供することができる。
【0112】
そして、上記の製造方法は、上記シート状の食品用生地を焼成する工程と、焼成された食品用生地を上記雌型に押し込み、可食容器を成形する工程と、成形された可食容器を冷却する工程とを含むものであって、上記可食容器を成形する工程では、(1)雌型および雄型の型温度が10〜100℃、(2)押し込み速度が30〜400mm/秒、および(3)押し込み時間が2〜10秒のうち、少なくとも1つの条件を満たすことがよい。
【0113】
これによれば、より優れた強度、外観、食感などを有する可食容器を製造することができる。
【0114】
さらに、上記の製造方法において、上記シート状の食品用生地には、小麦粉および/または澱粉と、糖類とが含まれており、上記小麦粉および/または澱粉の総量に対して、上記糖類が20重量%以上含まれていることがよい。
【0115】
これによって、焼成後の生地に適度な粘性が付与されるため、容易に成形を行うことができる。また、成形途中に生地が破れたり、最終的に得られた可食容器が割れたりする危険性を減少させることができる。
【0116】
なお、上記の可食容器において、さらに、成形後の可食容器には、糖類が24重量%以上含まれていることが好ましい。
【0117】
本発明にかかる可食容器は、上記製造方法によって製造されることを特徴としている。これにより、肉厚が均一であり、外観が良好な可食容器を提供することができる。
【産業上の利用可能性】
【0118】
本発明の可食容器は、アイスクリームやソフトクリームなどの食品を盛り付けるための容器(コーン)として有効に利用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0119】
【図1】雄型と雌型との断面形状を示す断面図である。
【図2】上記雄型の挿入方向に対して垂直な方向における断面形状を示す斜視図である。
【図3】上記雄型の概略の構成を示す斜視図である。
【図4】上記雌型の他の形態の概略の構成を示す斜視図である。
【図5】本発明にかかる可食容器の一例を示す斜視図である。
【図6】突起部の形状がリング状である場合の上記雄型の外観を示す斜視図である。
【図7】突起部の形状が円錐形状である場合の上記雄型の外観を示す斜視図である。
【図8】突起部の形状が螺旋形状である場合の上記雄型の外観を示す斜視図である。
【図9】可食容器を成形する作業について、トリミング工程を含む工程の流れを示す模式図である。
【図10】従来における雄型と雌型とを嵌合させる際の問題を説明する要部の断面図である。
【図11】従来における雄型と雌型とを嵌合させる際の問題を説明する要部の断面図である。
【符号の説明】
【0120】
1 雌型
2 雄型
10 雌型縁部
11 雌型側面部
12 雌型底部
20 雄型底部
21 雄型側面部
22 雄型頂上部
23 突起部
30 可食容器
31 側面部
32 底面部
33 溝
A しわ
【技術分野】
【0001】
本発明は、シート状の食品用生地を、一対の雄型と雌型とを用いて成型することにより製造される可食容器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、アイスクリームやソフトクリーム等の冷菓を盛り付ける可食容器としては、ワッフルコーンやシュガーロールコーン等が知られている。これらワッフルコーンの製造方法としては、シート状に焼き上げた生地を円錐形状に成型する方法等がある。
【0003】
しかしながら、上記のようにして製造されたワッフルコーンは、下端が尖っている形状に成型されるので、そのままでは置くことができないという欠点がある。また、上記のようにして製造されたワッフルコーンに、例えば、アイスクリーム等の冷菓を盛り付けた場合、溶けたアイスクリームが、ワッフルコーンの下端から漏れ出す場合があるという欠点がある。
【0004】
そこで、上記欠点を改善するためには、底部を有するワッフルコーンを形成することが提案されており、このような底部を有するワッフルコーンの製造方法としては、例えば、特許文献1に開示の製造方法が提案されている。
【0005】
上記特許文献1に開示されている製造方法では、焼き上げた生地を、最終的に製造されるワッフルコーンの展開図形状にカットし、この展開図形状の生地を組み立てることにより、底部を有するワッフルコーンを成型する方法が開示されている。具体的には、上記特許文献1では、底部を形成する際に複数枚の生地を重ね合わせて底部を形成するようになっている。つまり、シート状の生地を円筒形に丸めた後、底部を形成するために、側面の一部を内側に折り曲げることにより底部を有するワッフルコーンを製造している。
【0006】
また、底部を有するワッフルコーンの他の製造方法としては、シート状に焼き上げた生地をカップ型に成型するプレス型を用いて成型する方法がある。
【特許文献1】特開平8−205759号公報(公開日:1996年8月13日)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、上記特許文献1に開示の方法では、ワッフルコーンを製造するためには手間がかかるという問題点を有している。具体的には、上記特許文献に開示の方法では、底部を作るために、複数の底部となる部分を重合接着させなければならない。また、このようにして製造されたワッフルコーンでは、底部が厚くなり外観が良好でない。また、底部をつなぎ合わせているために、例えば、アイスクリームを盛り付けた場合、溶けたアイスクリームが漏れ出す恐れがある。
【0008】
また、単に、プレス型を用いて成型する方法では、成型途中に、シート状に焼き上げた生地に亀裂が入ったり、伸張されない部分にしわが生じたりする等の問題点を有している。
【0009】
具体的には、例えば、雌型の上にシート状に焼き上げた生地を載置して、その上から雄型を雌型に押し込んだ場合、生地は、雄型頂上部によって押し込まれることとなる。このとき、上記生地は、雄型頂上部に押し込まれる際、図10に示すように、雌型開口部の周囲にあるシート状の食品用生地が当該雌型開口部に集中することとなる。そして、雌型開口部にはシート状の生地が集中することにより、シート状の生地によるしわが発生することとなる。この状態で、雄型を雌型にさらに押し込んだ場合、雌型開口部に集中している生地は、しわになっているので、雄型頂上部の方へ移動することができなくなり、しわになっている部分の内側の生地のみが引き伸ばされることとなる。その結果、図11に示すように、雄型頂上部付近の生地は薄く引き伸ばされ、雌型開口部付近には生地が集中してしわが発生するとともに、肉厚は厚くなる。
【0010】
すなわち、単に、雌型と雄型とを噛み合わせた場合には、生地の移動が促進されることなく成型されることとなり、良好な外観を有する可食容器を製造することができない。
【0011】
特に、焼成によりシート状に成形された食品用生地の場合には、生地自体の流動性が乏しいため、生地を雌型に押し込む際に、雌型開口部付近では生地が重なり合ってしまい、雌型開口部付近から上記生地が雌型の内部まで移動することができない。従って、雄型頂上部付近の生地が著しく引き伸ばされることにより、最終的に得られる可食容器の肉厚が不均一になる。これにより、可食容器に、ひび割れが発生したり、砕けたりする場合がある。
【0012】
本発明は、上記従来の問題に鑑みなされたものであり、その目的は、従来よりも、肉厚が均一であり、外観が良好な可食容器を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明の可食容器は、上記の課題を解決するために、雌型と、上記雌型にシート状の食品用生地を押し込む雄型とから構成されている一対の可食容器成形用型を用いて製造される可食容器であって、上記雌型に挿入される上記雄型の側面部には、上記食品用生地を、当該食品用生地と接触状態を維持した状態で雄型の挿入方向に押し込むための突起部が備えられている可食容器成形用型を用いて製造されることを特徴としている。
【0014】
本発明の可食容器は、上記の課題を解決するために、雌型と雄型とから構成され、上記雄型を用いて上記雌型内にシート状の食品用生地を押し込み、上記食品用生地を挟み込んだ状態で上記雌型と雄型とを嵌合させて可食容器の成形を行う可食容器成形用型を用いて製造される可食容器であって、上記雄型の側面部には、雌型と雄型とが嵌合する際に上記食品用生地と接触状態を維持する突起部が備えられている可食容器成形用型を用いて製造されることを特徴としている。
【0015】
上記の構成によれば、雄型の側面部に突起部が備えられていることにより、シート状の食品用生地を雌型に押し込む際に、上記突起部が、雌型の開口部付近に集中する食品用生地を、当該突起部と接触した状態で雌型の内部まで押し込む。すなわち、雌型に対して雄型を押し込んでいく際に、上記食品用生地を、雄型の先端のみならず、側面部に備えられている突起部によっても、雌型の内部まで(嵌合方向へ)押し込むことができる。これにより、一対の雄型と雌型とを噛み合わせた際に、従来の構成と比べて、当該雄型と雌型とで成形される食品用生地を均一にすることができるので、従来よりも側面部と底面部との厚さが均一で、外観が良好である可食容器を製造することができる。
【0016】
本発明の可食容器において、上記突起部は、側面部を一周するように形成されていることが好ましい。
【0017】
また、本発明の可食容器において、上記突起部は、上記雄型の側面部に、雄型の軸方向上の位置を異ならせて複数備えられていることが好ましい。
【0018】
上記の構成によれば、雄型の側面部には複数のリング状の突起部が設けられているので、雌型の開口部付近に発生する食品用生地の集中する部分をさらに多く雌型の内部まで押し込むことができる。これにより、肉厚が均一であり、外観が良好な可食容器を提供することができる。
【発明の効果】
【0019】
本発明の可食容器は、以上のように、上記雌型に挿入される上記雄型の側面部には、上記食品用生地を、当該食品用生地と接触状態を維持した状態で雄型の挿入方向に押し込むための突起部が備えられている可食容器成形用型を用いて製造されたものである。
【0020】
本発明の可食容器は、以上のように、上記雄型の側面部には、雌型と雄型とが嵌合する際に上記食品用生地と接触状態を維持する突起部が備えられている可食容器成形用型を用いて製造されたものである。
【0021】
それゆえ、一対の雄型と雌型とを噛み合わせた際に、従来の構成と比べて、当該雄型と雌型との間に供給される食品用生地の量を多くすることができるので、従来よりも側面部と底面部との厚さが均一で、外観が良好である可食容器を製造することができるという効果を奏することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
本発明の実施の一形態について図1ないし図8に基づいて説明すれば、以下の通りである。
【0023】
本実施の形態にかかる可食容器は、不可逆的な延伸性を有するシート状の食品用生地を、側面部に突起部を有する雄型と雌型とを用いて成型することにより得られる構成である。また、本実施の形態にかかる可食容器の製造方法は、不可逆的な延伸性を有するシート状の食品用生地を雌型と雄型とからなる型を用いて成型する可食容器の製造方法であって、上記雄型の側面部には、突起部が設けられている構成である。
【0024】
以下に具体的に説明する。
【0025】
本実施の形態に用いられるシート状の食品用生地としては、不可逆的な延伸性を有するシート状の食品用生地であることがより好ましい。より詳細には、上記シート状の食品用生地は、雄型と雌型とを用いて成型する際に不可逆的な延伸性を有しているものであれば特に限定されるものではない。この「不可逆的な延伸性」とは、力を加えることにより、曲がったり伸びたりするが、放置しておいても元の形状に戻らない性質を示している。つまり、バネのような弾性を有するものではなく、力を加えたときにのみ変形し、力を加えることを止めた場合でも変形した形状を保持する性質を示す。
【0026】
具体的には、本発明におけるシート状の食品用生地は、焼成することによりシート状に成形されたものであり、焼成直後は不可逆的な延伸性を有するものであることがさらに好ましい。より詳細には、上記シート状の生地としては、焼成直後は不可逆的な延伸性を有しているとともに、冷却(自然冷却も含む)することにより硬化するものであることが特に好ましい。この場合、焼成直後の不可逆的な延伸性を有している状態で成形を行うことになる。
【0027】
また、上記シート状の食品用生地(以下、単に生地と称する)は、小麦粉および/または澱粉を含むとともにショ糖等の糖類が含まれていることがより好ましい。上記生地の中にショ糖(例えば、砂糖等)等の糖類が含まれている場合には、上記生地を焼成させた直後には、糖類は生地の中で溶解しているので該生地は不可逆的な延伸性を示すとともに、冷却(自然冷却も含む)により固化することになる。従って、上記生地を用いることでより好適な可食容器を得ることができる。
【0028】
上記シート状の生地についてさらに詳細に説明する。本実施の形態に使用されるシート状の生地としては、シート状の生地を焼成したワッフルコーン(シュガーコーン)製造用の生地であることがより好ましい。上記ワッフルコーン製造用の生地とは、少なくとも、小麦粉、澱粉、および糖類が含まれており、他には水、油脂等が含まれている場合もある。そして、具体的には、小麦粉、澱粉、比較的多くの砂糖に水、油脂を加えて、攪拌したのものを、170〜200℃前後の熱板で挟み焼きした生地をシート状に成形したものを上記シート状の生地として使用することが特に好ましい。このようにして製造されたシート状の生地の場合には、シート状に焼成させた直後に砂糖の粘性を利用して成型することになる。上記生地を用いて可食容器を製造した場合には、生地自体の膨張は極めて小さいために、生地密度が高くなり、食感は硬くサクサクとしている。
【0029】
上記シート状の生地にショ糖等の糖類が含まれている場合、その割合としては、小麦粉および澱粉など粉原料の総量に対して、糖類(ここでは砂糖)が20重量%以上含まれていることがより好ましく、30重量%以上含まれていることが更に好ましく、40重量%以上含まれていることが特に好ましい。糖類の含有量が20重量%よりも少ない生地の場合には、成型途中に生地が破れたり、最終的に得られる可食容器が割れ易くなったりする場合がある。
【0030】
また、成形後の可食容器中に含まれる上記の各成分は、焼成などの工程を経ることによって生地の状態のときから変化している。それゆえ、成形後の可食容器には、出来上がった可食容器自体の重量に対して、糖類が24重量%以上含まれていることが好ましい。
【0031】
また、上記不可逆的な延伸性について詳細に説明する。上記シート状の生地としては、雄型と雌型とを用いて成型する際に、延伸性を有していることがより好ましい。すなわち、上記シート状の生地は、或る一定以上の延伸率を有していることがより好ましい。この延伸率とは、生地を一定の力で伸ばした際に、生地を伸ばした直後の面積を、生地を伸ばす前の面積で割った値に100をかけたものである。
【0032】
ここで、小麦粉および澱粉に対して砂糖の割合を変化させた生地を焼成した場合の延伸率の変化を表1に示す。
【0033】
【表1】
【0034】
なお、上記表における砂糖の割合とは小麦粉および澱粉の総量に対する割合である。また、時間は、焼成した生地に力を加えた時間を示す。また、焼成した生地は、焼成プレートの片面に張り付いている状態において伸ばしている。
【0035】
この結果により、本実施の形態に用いられるシート状の生地としては、少なくとも、小麦粉、澱粉、および糖類を含み、小麦粉および澱粉の総量に対して30重量%以上の糖類が含まれている生地であり、当該生地を焼成させるたものであることがより好ましい。なお、上記糖類としては、ブドウ糖等の単糖類やショ糖等の2糖類等が挙げられ、1種類のみを用いてもよく、2種類以上を併用していもよい。より具体的には、上記糖類としては、ブドウ糖、果糖、ショ糖、麦芽糖、乳糖、液糖等が挙げられる。
【0036】
また、上記シート状の生地の原料としては、必要に応じて、着色料等が含まれていてもよい。
【0037】
なお、上記シート状の生地の製造方法としては、具体的には、上記シート状の生地が、焼成することによりシート状に成形されたものである場合、例えば、鉄製の焼成プレートの上に未加熱状態の流動性を有する生地を供給して、この生地を加熱することにより製造することができる。また、加熱方法としては、例えば、高周波を用いて生地を加熱してもよい。また、他の一般的な製造方法によって製造されたものでもよい。
【0038】
次に、雌型および雄型について説明する。
【0039】
上記雌型1と雄型2とは、一対に形成されており、図1に示すように、噛み合うようになっている。具体的には、雄型2を雌型1に挿入した際に、雌型1と雄型2との間に一定の間隔を有するように噛み合わせるようになっている。そして、その間隔を利用して、シート状の生地を成型するようになっている。すなわち、本実施の形態においては、雄型2と雌型1とを用いて、絞り成形を行うようになっている。
【0040】
雌型1は、雌型縁部10と雌型側面部11と雌型底部12とを有している。雌型縁部10とは、雌型1の縁の部分、換言すると雌型1の開口部を示している。つまり、雌型縁部10は、可食容器のリップ部(側面部先端)における外側の形状(外形)を決めるものである。雌型側面部11とは、可食容器の外側の側面部を決める部分である。つまり、雄型2と雌型1とを噛み合わせた場合、シート状の生地は、雌型側面部11に押圧されることとなり、その結果、可食容器の外形(より具体的には可食容器の側面部の外形)が決定されることとなる。この雌型側面部11の大部分は、後述する雄型側面部21と略平行に配置されている。雌型底部12は、可食容器の底部における外形を決定するものである。
【0041】
一方、雄型2は、雄型底部20、雄型側面部21、雄型頂上部22および突起部23を備えている。雄型底部20は、可食容器のリップ部における内側の形状(以下、内形と称する)を決めるものである。雄型側面部21は、可食容器の内形の大部分(より具体的には、可食容器の内形)を決めるものである。つまり、雄型2を雌型1に挿入した場合、シート状の生地は、雄型側面部21に沿った形に成形されることとなり、その結果可食容器の内形が決定されることとなる。雄型頂上部22は、可食容器の底部における内形を決定するものである。
【0042】
つまり、本発明の可食容器成形用型は、雌型と雄型とから構成され、上記雄型を用いて上記雌型内にシート状の食品用生地を押し込み、上記食品用生地を挟み込んだ状態で上記雌型と雄型とを嵌合させて可食容器の成形を行うものである。
【0043】
上記雄型2および雌型1の形状について詳細に説明する。該雄型2を雌型1に挿入する挿入方向に対して垂直な面における上記雄型2の断面形状は、円形状であってもよく、多角形状であってもよい。上記断面形状としては、例えば、図2に示すように、断面形状の中心に向かって突出する複数の凹状曲部と上記中心から放射状の方向に突出する複数の凸状曲部とを有する形状であることが特に好ましい。つまり、断面形状は、多角形の各辺には断面形状の中心に向かって突出する凹状曲部が設けられていることがより好ましく、各頂点は、丸みを帯びていることがさらに好ましい。また、雌型側面部11の形状は、雄型側面部21の形状と略同形状である。
【0044】
上記のような断面形状とすることにより、断面における周の長さを、より長くすることができる。そして、上記のような断面形状とすることにより、雄型側面部21および雌型側面部11の表面積をより大きくすることができるので、雌型縁部10付近に発生する生地の集中をより緩和することができる。これについて以下に説明する。シート状の生地を雌型1に載置して、雄型2を用いて該シート状の生地を押し込む場合、雌型縁部10付近にはシート状の生地の集中が起こることとなる。このとき、雌型縁部10の長さ、換言すると、雌型1の開口部の長さが長ければ長いほど、生地の集中が起こり難くなる。つまり、上記断面形状の周の長さがシート状の生地の雌型縁部10における集中に影響を与えることになり、上記説明の形状とすることにより、上記断面形状の周の長さを長くすることができるので、シート状の生地の集中を緩和することができる。なお、上記説明では、上記周の長さが長ければ長いほど、シート状の生地の集中を緩和できると説明している。しかしながら、雌型側面部11および雄型側面部21の断面形状が、例えば、あまりにも複雑であると、シート状の生地が断面形状に沿わなくなる場合がある。従って、断面形状としては、例えば、星型の各頂点が丸みを帯びているような形状が好適である。
【0045】
次に、雄型側面部21について説明する。雄型側面部21は、雄型底部20が平面である場合、雄型底部20が形成されている底部形成面(挿入方向に対して垂直な面)に対して垂直になるように設けられていてもよく、この底部形成面に対してある程度の傾斜を有するように設けられていてもよい。より具体的には、雄型側面部21の傾斜角度としては、挿入方向に対して垂直な方向を0°とした場合、15〜90°の範囲内がより好ましい。上記雄型側面部21の傾斜角度を上記範囲内とすることにより、最終的に得られる可食容器の外観を優れたものとすることができる。なお、上記の説明では、雄型底部20が平面である場合について説明しているが、例えば、上記雄型底部20が形成されていない場合についても、上記範囲内の傾斜角を有していることがより好ましい。
【0046】
次に雄型頂上部22について説明する。雄型頂上部22の形状としては、最終的に製造する可食容器の用途等によって異なり、平面形状であってもよく、また、尖っている形状であってもよい。例えば、最終的に製造された可食容器を載置する用途に使用する場合には、雄型頂上部22は平面形状であることがより好ましい。また、最終的に製造された可食容器を、アイスクリーム等の冷菓を盛り付けて、溶けたアイスクリームが漏れないようにする目的で使用する場合には、多少尖っている形状であってもよい。なお、雌型2については、上記雄型1と一対に形成されていればよく、その形状は、雄型1と同様である。
【0047】
本実施の形態では、図1および図3に示すように、雄型側面部21に突起部23が設けられている。この突起部23について詳述する。
【0048】
上記突起部23とは、シート状の生地を雌型1と雄型2とで成型する際に、雌型縁部10付近に集中するシート状の生地を、雄型2の挿入方向に押し込むものである。つまり、上記突起部23は、雄型2を雌型に挿入させた場合における、雄型2と雌型1との間に対して、シート状の生地を均一に供給するように作用する。換言すると、上記突起部23とは、雄型2を雌型1に挿入する際に、シート状の生地を雌型1の内部(つまり、雌型底部の方向)まで押し込むためのものである。これにより、突起部23が設けられている雄型2を用いて可食容器を製造する場合には、雌型底部10付近シート状の生地のしわを解消することができるとともに、可食容器の側面部の肉厚を均一にすることができる。これについて、以下に詳述する。
【0049】
雄型2を用いて雌型1に、シート状の生地を押し込む際、シート状の生地は、まず、雄型頂上部22によって押圧されることになる、そして、雄型頂上部22によって押圧されているシート状の生地は、雄型頂上部22の方向に引っ張られて移動することとなる。しかしながら、雄型頂上部22の方向に引っ張られるシート状の生地は、雌型縁部11の付近で集中することとなる。従って、従来の場合では、さらに雄型頂上部22を雌型1に押し込んだ場合には、上記シート状の生地は移動することなく、引き伸ばされることとなる。一方、本実施の形態では、雄型側面部21に突起部23が設けられている。従って、雌型縁部11の付近でシート状の生地が集中した状態において、さらに、雄型頂上部22を雌型1に挿入する際、この突起部23が上記シートの生地の集中している部分に引っかかることとなる。そして、上記突起部23は、雄型2を雌型1のさらに奥まで挿入する際に、上記生地を雌型底部10の方向へ押し込む。これにより、雌型1と雄型2との隙間に供給される上記生地の量を増やすことができるので、従来よりも可食容器の厚さを均一にすることができる。なお、上記雄型側面部21に設けられる突起部23は、意匠性を向上させるものではない。
【0050】
また、上記突起部23は、雄型側面部21を一周するように設けられていてもよく、すなわち、リング状に形成されていてもよく、また、複数の突起から形成されていてもよい。
【0051】
また、上記突起部23は、雄型側面部21の形状によって好ましい形状が決まる。具体的には、雄型側面部21の断面形状(雄型2の挿入方向に対して垂直な面の形状)が円形の場合には、突起部23は、雄型側面部21にリング状に設けられていることがより好ましい。
【0052】
一方、雄型側面部21の断面形状が多角形の場合には、各頂点に対応する位置のみに上記突起部23が設けられていてもよい。また、雄型側面部21の断面形状が例えば、星型のように、断面の中心に向かって凸部と凹部とが交互に形成されている多角形の場合には、突起部23は、断面の中心から外側に向かって突出する凸部のみに設けられていてもよい。上記雄型側面部21の断面形状が例えば、多角形である場合には、雄型2と雌型1との間にシート状の生地を配置して両者を嵌合させると、断面形状の頂点付近に上記シート状の生地の集中が起こりやすくなる。従って、この頂点付近のみに突起部を設けた場合でも、雄型と雌型との隙間の奥まで効率よくシート状の生地を押し込むことができる。
【0053】
なお、上記突起部23は、雄型側面部21に複数設けられていてもよい。換言すると上記突起部23は、上記雄型側面部21に、雄型2の軸方向上の位置を異ならせて複数備えられていることがより好ましい。具体的には、上記突起部23は、該突起部23が上記雄型側面部を一周するリング形状であり、雄型側面部21に複数本設けられていることがより好ましい。このように、雄型頂上部22から雄型底部20にかけて上記突起部23を複数設けることにより、雌型縁部10付近に発生するシート状の生地の集中をより一層緩和できるとともに、雌型1と雄型2との間に従来よりも多くの生地を供給することができるので、最終的に得られる可食容器の外観をさらに良好にすることができる。
【0054】
上記突起部23の形状としては、特に限定されるものではないが、雄型2の挿入方向に対して垂直または僅かな抜け勾配の面を有していることがより好ましい。上記突起部23の形状が挿入方向に対して垂直または僅かな抜け勾配の面を有している場合には、雄型2と雌型1との間にシート状の生地を載置して両者を噛み合わせる際に、雌型縁部10付近に集中するシート状の生地を、より効率的に雌型底部12方向に供給することができる。
【0055】
また、雌型縁部10は、丸みを帯びていることがより好ましい。換言すると、雄型2の挿入方向に平行な断面から見た場合、雌型縁部10は、テーパが形成されていることがより好ましい。
【0056】
図6、図7、図8には、突起部23の形状が様々に異なる雄型2の例を示す。図6(a)〜図6(c)に示す雄型2には、リング形状の突起部23が設けられている。より具体的には、図6(a)に示す雄型2の側面には、突起部23が1本、図6(b)に示す雄型2には、突起部23が2本、図6(c)に示す雄型2には、突起部23が5本、それぞれ設けられている。
【0057】
図7(a)、図7(b)に示す雄型2には、円錐形状の突起部23が設けられている。より具体的には、図7(a)に示す雄型2の側面には、底面から同じ高さとなる位置に、突起部23が等間隔に4個設けられており、図7(b)に示す雄型2の側面には、多数の突起部が列状に並んで配置されている。
【0058】
図8(a)〜図8(c)に示す雄型2には、螺旋形状の突起部23が設けられている。より具体的には、図8(a)に示す雄型2の側面には、1本の螺旋形状の突起部23が設けられており、図8(b)に示す雄型2の側面には、図8(a)に示す螺旋形状よりもより間隔の狭い螺旋形状の突起部23が設けられており、図8(c)に示す雄型2の側面には、2本の螺旋形状の突起部23が互いに交差して配置されている。
【0059】
次に、可食容器の製造方法について説明する。本実施の形態にかかる可食容器の製造方法は、不可逆的な延伸性を有するシート状の生地を雌型と側面部に突起部が設けられている雄型とからなる型を用いて成型する方法である。つまり、シート状に成形されたシート状の生地を、雌型1の上に載置して、その上から側面部に突起部23を有する雄型2を雌型1に押し込む。このとき、シート状の生地は、雌型1と雄型2との隙間に押し込められることとなり、この隙間の形状に成型されることとなる。
【0060】
そして、雄型2を雌型1に挿入するとき、雄型側面部21に設けられた突起部23が、雌型縁部10付近に集中するシート状の生地を雌型1の内部まで押し込むようになっている。従って、雌型1の内部まで供給されるシート状の生地の量を多くすることができるので、雄型2と雌型1とが完全に噛み合うまで上記シート状の生地の伸びる速度を一定にすることができる。従って、最終的に得られる可食容器の外観を従来と比べて良好にすることができる。
【0061】
以上のように、雄型側面部21に突起部23を設けることにより、従来では雄型2と雌型1とを噛み合わせる際に雌型縁部10付近に集中するシート状の生地を、該突起部23が、雌型底部10方向へ押し込むことができる。つまり、突起部23を設けることで、雌型底部12付近までシート状の生地を供給することができるので、雄型2を挿入した際に、雌型縁部10、雌型側面部11および雌型底部12におけるシート状の生地の伸びをより一層均一にすることができる。これにより、肉厚がより均一かつ外観が良好な可食容器を提供することができる。
【0062】
ここで、可食容器の製造方法におけるより具体的な製造条件について説明する。
【0063】
本発明の可食容器の製造方法は、具体的には、シート状の食品用生地を焼成する工程と、焼成された食品用生地を雌型に押し込み、可食容器を成形する工程と、成形された可食容器を冷却する工程とからなる。
【0064】
そして、この可食容器を成形する工程では、以下の(1)〜(3)の条件を少なくとも1つ満たすことが好ましい。
(1)雌型および雄型の型温度が10〜100℃
(2)押し込み速度が30〜400mm/秒
(3)押し込み時間が2〜10秒
これによれば、より優れた強度、外観、食感などを有する可食容器を製造することができるという効果を得ることができる。なお、上記(1)〜(3)の各条件については、何れか1つの条件のみを満たすのではなく、何れか2つの条件を併せて満たす場合の方が、その効果はより大きくなる。また、上記(1)〜(3)の各条件を全て満たす場合に、最も大きな効果を得ることができる。
【0065】
次に、このような雄型2と雌型1とを用いて製造される可食容器であって、最終的に得られる可食容器の形状について説明する。可食容器の側面部の先端(リップ部)には、ランダムな突出部が形成されている。そして、このリップ部の形状としては、可食容器の横断面すなわち、底面に対して垂直な断面における側面部の形状がストレートに抜ける形状、つまり、側面部が直線状に伸びている形状であることがより好ましい。より具体的には、成形品のリップ部が側面部に比べて外側に広がっていない形状がより好ましく、可食容器の側面部からリップ部までが直線形状となっていることがさらに好ましい。上記の形状とすることにより、より一層、雌型縁部10におけるシート状の生地の集中を防止することができる。
【0066】
図5には、雄型2と雌型1とを用いて製造された可食容器30の一例を示す。この可食容器30は、雌型1と雄型2とから構成される成形用型を用いて成形された凹型の可食容器である。そして、この可食容器30は、平面上に載置された場合に当該平面と接触する平坦な面を有する底面部32と、上記底面部32の周囲から立設して配置された側面部31とから構成されている。上記側面部31の内部表面には、雄型2の突起部23に起因する溝33が形成されている。
【0067】
なお、図5に示す可食容器30は、側面部31の先端がトリミング処理されたものである。このトリミング処理によって、側面部31の先端に存在するランダムな突出部が取り除かれ、上記先端部が平坦な形状に整えられている。また、図5に示す可食容器30にも存在するが、トリミング処理後の可食容器の先端部には、しわ(図5では、Aとして示す)が多少残っていてもよい。
【0068】
図9には、トリミング工程を含む場合の可食容器を成形する工程における作業の流れを模式的に示す。
【0069】
図9において、(a)は、シート状の食品用生地30’を雌型1と雄型2との間に挟んだ状態で、雄型1を雌型2へ押し込むというプレス工程を行う前の状態を示している。(b)は、上記プレス工程後の状態を示している。(c)は、上記プレス工程が終わった後に行われるトリミング処理工程を示すものである。このトリミング処理工程では、(c)に示すように、雌型1の側面から突出している突出部35(図9では、網掛けをして示した部分)を、カッター41を用いて切り取る。
【0070】
上記のような一連の作業を行った後、型から取り外した可食容器30を冷却すれば、トリミング処理によって突起部35が除去された、製品としての可食容器30が得られる(図5参照)。
【0071】
本発明にかかる可食容器には、上述のようにトリミング処理が施されているものだけではなく、トリミング処理が施されていないものも含まれる。このようなトリミング処理が施されていない可食容器は、側面部の先端(リップ部)にランダムな突出部が残った形状となっている。
【0072】
そして、この可食容器30は、容器として良好に使用できる点から見れば、底面部32の厚さが0.5mm以上、5.0mm以下となっているとともに、底面部32に対する側面部31の厚さが、10倍以下となっていることが好ましいがこれに限定されるものではない。また、可食容器30の耐圧(特に底面部32の耐圧)は、容器として良好に使用できる点から見れば、29.4N(3.0kgf)以上が好ましいが、これに限定されるものではない。
【0073】
また、以下の説明については、シート状の生地としてワッフルコーンまたはシュガーロールコーン製造用途に用いられる生地を用いてワッフルボウル(可食容器)を製造する場合について説明する。なお、上記ワッフルボウルとは、ワッフルコーンまたはシュガーロールコーン用途の生地を用いて製造される底部を有する可食容器である。
【0074】
そして、上記ワッフルボウルの製造方法としては、ワッフルコーンまたはシュガーロールコーン製造用途に用いられる生地をシート状に成形した後、加熱することにより、可食容器成形用型で成形するための焼成生地としている。
【0075】
そして、この焼成生地を上記可食容器成形用型にて生地を成型することにより、ワッフルボウルを製造している。
【0076】
雄型2と雌型1を用いて焼成生地からワッフルボウルを製造する場合、該焼成生地の厚さは、一般に、0.5〜5mm程度のものが多い。また、上記焼成生地の大きさ、つまり、最大径としては、50〜200mm程度のものが多い。
【0077】
上記のようなサイズのワッフルボウルを製造する場合、雄型2および雌型1の形状としては、該雄型2と雌型1との隙間が、上記ワッフルボウルを成型することができるようになっていればよい。
【0078】
なお、上記のようなサイズの可食容器を製造する場合であって、雄型側面部21に突起部23を複数設ける場合、突起部23の本数としては、雄型側面部21に約10mm間隔に設けられる本数が最大本数となる。
【0079】
また、上記説明では生地を焼成したものを上記雄型2および雌型1を用いて成型している。しかしながら、シート状の生地としては、上記に限定されるものではなく、例えば、パイ生地等の焼成していない状態の生地も上記シート状の生地に含まれる。具体的には、例えば、焼成していない生地をシート状に成形した後、該シート状の生地を雄型2および雌型1を用いて可食容器とした後、焼成することにより、可食容器としてもよい。
【0080】
また、上記雄型2および/または雌型1には、図示しない加熱装置が設けられていてもよい。例えば、シート状の生地が焼成生地であり焼成直後は不可逆的な延伸性を有するが冷却されることにより硬化するものである場合には、雄型2と雌型1とを用いて成型する際に、上記型を加熱しておくことで、焼成生地の延伸性を維持しておくことができるので、より一層良好に可食容器を製造することができる。また、例えば、上記シート状の生地が、焼成していない生地である場合には、雄型2と雌型1とを用いて成型した後、成型している状態でこの生地を加熱することにより、最終的な可食容器を製造することができる。なお、上記シート状の生地が、焼成していない生地である場合には、可食容器とした後、該可食容器を取り出して焼成してもよいことは当然である。
【0081】
また、上記の説明では、雌型1を固定して、そこに、雄型2を挿入する構成について説明しているが、例えば、雄型2を固定した状態で、雌型1を雄型2と噛み合うように移動させてもよい。
【0082】
なお、本実施の形態にかかる可食容器の製造方法は、生地を焼成することによりシート状に成形されたものを、雄型2と雌型1との間に載置して、該雄型2と雌型1とを隙間を有するように噛み合わせることにより成型する可食容器の製造方法であって、該生地の焼成直後の不可逆的な延伸性を有する状態のシート状の生地を成型する方法であってもよい。
【0083】
また、本実施の形態にかかる可食容器の製造方法は、不可逆的な延伸性を有するシート状の生地を雌型1と雄型2とからなる型を用いて成型する可食容器の製造方法であって、上記雌型1と雄型2との間に生地からなるシート状の生地を載置して、側面部に突起部が設けられている雄型2を雌型1に押し込むことにより成型する方法であってもよい。
【0084】
また、本実施の形態にかかる可食容器の製造方法は、上記シート状の生地は、焼成することによりシート形状に成形された生地であり、上記焼成直後の不可逆的な延伸性を有する状態の生地を成形する構成であることがより好ましい。
【0085】
また、本実施の形態にかかる可食容器の製造方法は、上記雄型および雌型における雄型の挿入方向に対して垂直な面における断面形状が多角形の場合、上記突起部は、上記多角形の各頂点に対応する位置に備えられている構成がより好ましい。
【0086】
上記雄型と雌型との横断面形状(雄型の突出している方向に対して垂直な面の形状)が多角形の場合、上記雄型と雌型とを噛み合わせていくと、多角形の頂点付近にシート状の食品用生地の多くが集中することになる。従って、該多角形の頂点付近には、シート状の食品用生地のしわが発生し易くなる。上記の構成によれば、多角形の頂点に対応するように突起部を設けることにより、シート状の食品用生地の横断面方向における集中(しわ)をより均一にすることができる。従って、横断面形状が多角形の可食容器を製造する場合であっても、外観に優れた形状を作りだすことができる。なお、上記断面形状については、上記では雄型および雌型としているが、雄型および雌型のいずれかであってもよい。
【実施例】
【0087】
以下、実施例および比較例により、本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれらにより何ら限定されるものではない。
【0088】
〔実施例1〕
雄型底部の最大径104.5mm、雄型頂上部の最大径34mm、雄型底部から雄型頂上部までの距離(深さ)が64mm、雄型の挿入方向における断面形状が、図2に示すような、或る円に対して内接する8個の凸状曲部と、上記円Aの中心に向かって突出する8個の凹状曲部を有する形状であり、該雄型側面部の雄型頂上部から42mmの位置に突起部を設けた雄型と、該雄型と一対の雌型とを用い、焼成したシート状の生地を用いて可食容器の製造を行った。具体的には、小麦粉、澱粉、ショ糖、着色料、油脂、水を含む生地を使用した。そして、鉄製の焼成プレートにこの生地を供給した後、焼成することによりシート状の生地を製造した。そして、焼成直後の不可逆的な延伸性を有するシート状の生地を、上記雌型に載置して、その上から上記雄型を該雌型に押し込むことにより可食容器を得た。得られた可食容器の形状は、口径(最大径)107mm、底面部の口径37mm、側面部の傾斜角20〜30°、深さ64mm、底面部の肉厚3.2mm、側面部の肉厚3.2mmであった。得られた可食容器は、外観が良好であり、可食容器の側面部の肉厚も均一であった。
【0089】
〔比較例〕
雄型側面部に突起部を有していない雄型を用いた以外は実施例1と同様にして可食容器を製造した。その結果、可食容器は、可食容器の側面部の肉厚は不均一(かなり薄く)になっており、側面部の途中でひび割れが生じていた。
【0090】
以上のように、雄型の側面部に突起部を設けることにより、得られる可食容器の外観を良好にすることができるとともに、側面部の肉厚を均一にすることができ、従来のように側面部が割れたり、ひび割れが生じたりすることを防止することができる。
【0091】
〔実施例2〕
実施例2では、底面31の厚さおよび側面32の厚さを種々に変更した可食容器30を製造し、その強度をテストした。その結果を表2に示す。なお、表2における耐圧とは、耐圧測定器(製品面:RHEO METER(レオメーター)、型式:NRM−2010J−CW、製造元:不動工業株式会社)を用いて、可食容器が破損する直前の負荷圧力を測定した結果を示す。
【0092】
【表2】
【0093】
表2に示すように、完成後の可食容器30において、底面部32の厚さが0.5mm以上、5.0mm以下となっているとともに、底面部32に対する側面部31の厚さが、10倍以下となっていれば、成形可能であり完成品として得ることが可能であった。但し、本発明の可食容器は、上記の数値範囲を満たすもののみに限定されない。
【0094】
本発明は上述した実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能である。すなわち、請求項に示した範囲で適宜変更した技術的手段を組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。
【0095】
本発明の可食容器成形用型は、雌型と、上記雌型にシート状の食品用生地を押し込む雄型とから構成されている一対の可食容器成形用型であって、上記雌型に挿入される上記雄型の側面部には、上記食品用生地を、当該食品用生地と接触状態を維持した状態で雄型の挿入方向に押し込むための突起部が備えられていてもよい。
【0096】
本発明の可食容器成形用型は、雌型と雄型とから構成され、上記雄型を用いて上記雌型内にシート状の食品用生地を押し込み、上記食品用生地を挟み込んだ状態で上記雌型と雄型とを嵌合させて可食容器の成形を行う可食容器成形用型であって、上記雄型の側面部には、雌型と雄型とが嵌合する際に上記食品用生地と接触状態を維持する突起部が備えられていてもよい。
【0097】
上記の構成によれば、雄型の側面部に突起部が備えられていることにより、シート状の食品用生地を雌型に押し込む際に、上記突起部が、雌型の開口部付近に集中する食品用生地を、当該突起部と接触した状態で雌型の内部まで押し込む。すなわち、雌型に対して雄型を押し込んでいく際に、上記食品用生地を、雄型の先端のみならず、側面部に備えられている突起部によっても、雌型の内部まで(嵌合方向へ)押し込むことができる。これにより、一対の雄型と雌型とを噛み合わせた際に、従来の構成と比べて、当該雄型と雌型とで成形される食品用生地を均一にすることができるので、従来よりも側面部と底面部との厚さが均一で、外観が良好である可食容器を製造することができる。
【0098】
本発明の可食容器成形用型は、上記突起部は、側面部を一周するように形成されている構成であってもよく、さらに上記雄型の側面部に雄型の軸方向上の位置を異ならせて複数備えられている構成がよりよい。
【0099】
上記の構成によれば、雄型の側面部には複数のリング状の突起部が設けられているので、雌型の開口部付近に発生する食品用生地の集中する部分をさらに多く雌型の内部まで押し込むことができる。
【0100】
本発明の可食容器は、シート状の食品用生地を原料とし、一対の雌型と雄型とから構成される成形用型を用いて成形された凹型の可食容器であって、この可食容器を平面上に載置する場合に上記平面と接触する平坦な面を有する底面部と、上記底面部の周囲から立設して配置された側面部とから構成され、上記底面部の厚さが0.5mm以上、5.0mm以下となっており、かつ、上記側面部の先端にランダムな突出部を有していてもよい。
【0101】
本発明の可食容器は、シート状の食品用生地を原料とし、一対の雌型と雄型とから構成される成形用型を用いて成形された凹型の可食容器であって、この可食容器を平面上に載置する場合に上記平面と接触する平坦な面を有する底面部と、上記底面部の周囲から立設して配置された側面部とから構成され、上記底面部に対する上記側面部の厚さが、10倍以下となっており、かつ、上記側面部の先端にランダムな突出部を有していてもよい。
【0102】
つまり、上記の構造を有する本発明の可食容器は、シート状の食品用生地を原料とし、一対の雌型と雄型とから構成される成形用型を用いて成形されることによって、底面部の厚さが0.5mm以上、5.0mm以下となり、かつ、側面部の先端にランダムな突出部が形成される。また、本発明の可食容器は、シート状の食品用生地を原料とし、一対の雌型と雄型とから構成される成形用型を用いて成形されることによって、上記底面部に対する上記側面部の厚さが10倍以下となり、かつ、側面部の先端にランダムな突出部が形成される。
【0103】
ここで、上記「側面部の先端」とは、凹型の可食容器の開口端部を形成している部分のことを意味する。そして、「ランダムな突出部」とは、例えば、上述の突起部を有する雄型を押し込むことによって成形された場合に、上記開口端部において不特定多数のしわが生じることに起因して、生地がランダムに寄り集まって形成される突出部のことを意味する。
【0104】
このような形状をしている可食容器は、本発明にかかる突起部を備えた可食容器成形用型によって製造することができる。この雄型に突起部を備えた可食容器成形用型を用いて製造されることで、可食容器の底面部の肉厚が薄くなる現象が抑制され、底面部と側面部との厚さの差を小さくすることができる。そして、底面部の厚さが、0.5mm以上、5mm以下であることによって、焼成可能な程度の厚さ以下であり、かつ、アイスクリームを乗せた場合に生地が破れない程度の強度を有する可食容器を得ることができる。
【0105】
また、本発明の可食容器においては、側面部の先端にランダムな突出部が形成されていることによって、手作り風の外観を醸し出すことができる。
【0106】
上記の可食容器は、さらに、上記側面部の先端をトリミング処理しているものであってもよい。
【0107】
これによれば、側面部の先端に存在するランダムな突出部が取り除かれ、先端部を平坦な形状に整えることができる。
【0108】
本発明にかかる可食容器の製造方法は、雌型と一対の雄型を用いて、シート状の食品用生地を上記雌型に押し込むことにより可食容器を製造する可食容器の製造方法であって、側面部に突起部が設けられている雄型を用い、当該雄型の頂上部と突起部とで、上記食品用生地を雌型に押し込む構成であってもよい。
【0109】
上記の構成によれば、雌型に対して、上記雌型と一対の雄型の頂上部と突起部とによってシート状の食品用生地を上記雄型の挿入方向へ押し込むようになっている。具体的には、食品用生地が雄型の頂上部によって押し込まれる際に、雌型の開口部付近に発生する食品用生地の集中した部分を、突起部が雌型の内部まで押し込むこととなる。これにより、従来の雄型の頂上部のみで食品用生地を押し込む構成に比べて、より多くの量の食品用生地を雌型の内部まで供給することができるので、最終的に得られる可食容器の側面部の厚さをより一層厚くすることができる。つまり、肉厚が均一であり、外観が良好である可食容器を製造することができる。
【0110】
本発明にかかる可食容器の製造方法において、上記シート状の食品用生地は、食品用生地を焼成することによりシート状に成形されたものである構成がよりよい。
【0111】
上記の構成によれば、焼成することによりシート状に成形された食品用生地であっても、良好な外観を有する可食容器を提供することができる。
【0112】
そして、上記の製造方法は、上記シート状の食品用生地を焼成する工程と、焼成された食品用生地を上記雌型に押し込み、可食容器を成形する工程と、成形された可食容器を冷却する工程とを含むものであって、上記可食容器を成形する工程では、(1)雌型および雄型の型温度が10〜100℃、(2)押し込み速度が30〜400mm/秒、および(3)押し込み時間が2〜10秒のうち、少なくとも1つの条件を満たすことがよい。
【0113】
これによれば、より優れた強度、外観、食感などを有する可食容器を製造することができる。
【0114】
さらに、上記の製造方法において、上記シート状の食品用生地には、小麦粉および/または澱粉と、糖類とが含まれており、上記小麦粉および/または澱粉の総量に対して、上記糖類が20重量%以上含まれていることがよい。
【0115】
これによって、焼成後の生地に適度な粘性が付与されるため、容易に成形を行うことができる。また、成形途中に生地が破れたり、最終的に得られた可食容器が割れたりする危険性を減少させることができる。
【0116】
なお、上記の可食容器において、さらに、成形後の可食容器には、糖類が24重量%以上含まれていることが好ましい。
【0117】
本発明にかかる可食容器は、上記製造方法によって製造されることを特徴としている。これにより、肉厚が均一であり、外観が良好な可食容器を提供することができる。
【産業上の利用可能性】
【0118】
本発明の可食容器は、アイスクリームやソフトクリームなどの食品を盛り付けるための容器(コーン)として有効に利用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0119】
【図1】雄型と雌型との断面形状を示す断面図である。
【図2】上記雄型の挿入方向に対して垂直な方向における断面形状を示す斜視図である。
【図3】上記雄型の概略の構成を示す斜視図である。
【図4】上記雌型の他の形態の概略の構成を示す斜視図である。
【図5】本発明にかかる可食容器の一例を示す斜視図である。
【図6】突起部の形状がリング状である場合の上記雄型の外観を示す斜視図である。
【図7】突起部の形状が円錐形状である場合の上記雄型の外観を示す斜視図である。
【図8】突起部の形状が螺旋形状である場合の上記雄型の外観を示す斜視図である。
【図9】可食容器を成形する作業について、トリミング工程を含む工程の流れを示す模式図である。
【図10】従来における雄型と雌型とを嵌合させる際の問題を説明する要部の断面図である。
【図11】従来における雄型と雌型とを嵌合させる際の問題を説明する要部の断面図である。
【符号の説明】
【0120】
1 雌型
2 雄型
10 雌型縁部
11 雌型側面部
12 雌型底部
20 雄型底部
21 雄型側面部
22 雄型頂上部
23 突起部
30 可食容器
31 側面部
32 底面部
33 溝
A しわ
【特許請求の範囲】
【請求項1】
雌型と、
上記雌型にシート状の食品用生地を押し込む雄型とから構成されている一対の可食容器成形用型を用いて製造される可食容器であって、
上記雌型に挿入される上記雄型の側面部には、上記食品用生地を、当該食品用生地と接触状態を維持した状態で雄型の挿入方向に押し込むための突起部が備えられている可食容器成形用型を用いて製造されることを特徴とする可食容器。
【請求項2】
雌型と雄型とから構成され、上記雄型を用いて上記雌型内にシート状の食品用生地を押し込み、上記食品用生地を挟み込んだ状態で上記雌型と雄型とを嵌合させて可食容器の成形を行う可食容器成形用型を用いて製造される可食容器であって、
上記雄型の側面部には、雌型と雄型とが嵌合する際に上記食品用生地と接触状態を維持する突起部が備えられている可食容器成形用型を用いて製造されることを特徴とする可食容器。
【請求項3】
上記突起部は、側面部を一周するように形成されていることを特徴とする請求項1または2記載の可食容器。
【請求項4】
上記突起部は、上記雄型の側面部に、雄型の軸方向上の位置を異ならせて複数備えられていることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の可食容器。
【請求項1】
雌型と、
上記雌型にシート状の食品用生地を押し込む雄型とから構成されている一対の可食容器成形用型を用いて製造される可食容器であって、
上記雌型に挿入される上記雄型の側面部には、上記食品用生地を、当該食品用生地と接触状態を維持した状態で雄型の挿入方向に押し込むための突起部が備えられている可食容器成形用型を用いて製造されることを特徴とする可食容器。
【請求項2】
雌型と雄型とから構成され、上記雄型を用いて上記雌型内にシート状の食品用生地を押し込み、上記食品用生地を挟み込んだ状態で上記雌型と雄型とを嵌合させて可食容器の成形を行う可食容器成形用型を用いて製造される可食容器であって、
上記雄型の側面部には、雌型と雄型とが嵌合する際に上記食品用生地と接触状態を維持する突起部が備えられている可食容器成形用型を用いて製造されることを特徴とする可食容器。
【請求項3】
上記突起部は、側面部を一周するように形成されていることを特徴とする請求項1または2記載の可食容器。
【請求項4】
上記突起部は、上記雄型の側面部に、雄型の軸方向上の位置を異ならせて複数備えられていることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の可食容器。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2008−200049(P2008−200049A)
【公開日】平成20年9月4日(2008.9.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−120323(P2008−120323)
【出願日】平成20年5月2日(2008.5.2)
【分割の表示】特願2004−197285(P2004−197285)の分割
【原出願日】平成16年7月2日(2004.7.2)
【出願人】(000226895)日世株式会社 (24)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成20年9月4日(2008.9.4)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年5月2日(2008.5.2)
【分割の表示】特願2004−197285(P2004−197285)の分割
【原出願日】平成16年7月2日(2004.7.2)
【出願人】(000226895)日世株式会社 (24)
【Fターム(参考)】
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