説明

台紙レスラベルプリンタ

【課題】設定作業が少なく、用紙節約をしたい場合や、事前印刷された用紙を使用したい場合等に対応可能とする。
【解決手段】台紙レスラベル用紙1をラベルロール2から引き出してサーマルヘッド3とステッピングモータ駆動されるプラテンローラ4との間で挟んで用紙を搬送するとともに加熱して印字を行う。このとき、フォーマットファイルから呼び出したフォーマットデータ中の位置変更許否フラグが変更許可を示す場合に、呼び出したフォーマットデータで示される印字項目の印字位置を、印字データ量に応じて用紙搬送方向に変更し、印字後の用紙をカッター5でカットする。一方、変更許可されていない場合には、台紙レスラベル用紙に所定間隔で設けられた位置検出用マークをセンサ7により検出し、該センサ7の出力に基づいてカッター5でカットする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、主に小売店のバックヤード等で使用され、台紙のないラベル用紙に、商品の品名や、値段などを印字してカットし、商品に貼付するラベルを発行する台紙レスラベルプリンタに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、台紙レスラベルプリンタで、商品に合わせて印字量が多く長いラベルが必要な場合や、逆に短いラベルが必要な場合に、それぞれ印字フォーマットデータを選択して印字しカットすることで、従来のように、予め一定の長さにカットされた用紙を用いる方式に比べて、用紙の節約や、用紙交換を減らすことが可能な技術が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2007−8509号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、この従来技術は、印字フォーマットの種類を多数設定する必要があり、その作業が多大であり、改善が望まれていた。さらに、特許第3106905公報のように、特売商品に対して、ラベルが目立つように、特価部分を囲う赤色等の枠を事前に印刷してある用紙を使用する場合があるが、上記公報の技術では、ラベルプリンタで印字する位置と事前印刷された部分の位置とを調和させることが不可能であるため、事前印刷された用紙を使用することができない、という問題があった。
【0005】
本発明は、このような事情を考慮してなされたものであり、その目的は、設定作業が少なく、用紙節約をしたい場合や、事前印刷された用紙を使用したい場合等に対応することができる台紙レスラベルプリンタを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記問題を解決するために、請求項1に係る台紙レスラベルプリンタは、表面が印字面で、裏面が貼付面である台紙レスラベル用紙に、フォーマットデータに基づいて、印字データを印字し、カットしてラベルを発行する台紙レスラベルプリンタにおいて、フォーマット番号と、位置変更許否フラグと、品名を含む各印字項目の印字位置とを有して構成されるフォーマットデータを複数設定できるフォーマットファイルを記憶する記憶手段と、前記記憶手段に記憶されている前記フォーマットファイルから呼び出した前記フォーマットデータ中の位置変更許否フラグが変更許可を示す場合に、前記呼び出したフォーマットデータで示される印字項目の印字位置を、印字データ量に応じて用紙搬送方向に変更する変更手段とを備えることを特徴とする。
【0007】
上記台紙レスラベルプリンタによれば、印字フォーマットの種類を減らすことができ、設定作業を少なくことができ、用紙を節約することができる。しかも、フォーマットを変更せずに印字することができる。そのため、事前印刷された用紙を使用することにも対応することができる。さらに、印字データ量に応じて印字位置の変更(つまり、フォーマットの変更)の可否を決める情報をフォーマットデータに含めることで、フォーマットの選択は、ラベル発行の目的に合わせて行われるために、上記変更の可否の間違いを減らすことができる。
【0008】
請求項2に係る台紙レスラベルプリンタは、表面が印字面で、裏面が貼付面である台紙レスラベル用紙に、フォーマットデータに基づいて、印字データを印字し、カットしてラベルを発行する台紙レスラベルプリンタにおいて、フォーマット番号と、品名を含む各印字項目の印字位置及び印字範囲とを有して構成されるフォーマットデータを複数設定できるフォーマットファイルを記憶する記憶手段と、前記記憶手段に記憶されている前記フォーマットファイルから呼び出したフォーマットデータで示される印字項目の印字位置を、印字データ量に応じて用紙搬送方向に変更する変更手段と、前記変更手段の実行の許可、あるいは禁止(不許可)を切り換える切換手段とを備えることを特徴とする。
【0009】
上記台紙レスラベルプリンタによれば、印字フォーマットの種類を減らすことができ、設定作業を少なくことができ、用紙を節約することができる。しかも、フォーマットを変更せずに印字することができる。そのため、事前印刷された用紙を使用することにも対応することができる。
【0010】
請求項3に係る台紙レスラベルプリンタは、請求項1または請求項2に係る台紙レスラベルプリンタにおいて、前記台紙レスラベル用紙には、所定間隔で位置検出用マークが設けられており、印字部近傍に設けられ、前記位置検出用マークを検出するセンサを更に備え、前記印字位置の変更が許可されているか否かを判断し、許可されていない場合には、前記センサの出力に基づいて、前記台紙レスラベル用紙をカットすることを特徴とする。
【0011】
上記台紙レスラベルプリンタによれば、位置検出用マークのある用紙と、位置検出用マークのない用紙とのそれぞれの処理を、印字位置変更可否の情報で切り換えるので、切り換えるための専用の作業を不要にすることができる。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、設定作業が少なく、用紙節約をしたい場合や、事前印刷された用紙を使用したい場合等に対応することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の実施形態による台紙レスラベルプリンタの機構を示す概略図である。
【図2】本実施形態による台紙レスラベルプリンタの構成を示すブロック図である。
【図3】本実施形態による台紙レスラベルプリンタで用いる台紙レスラベル用紙を示す概念図である。
【図4】本実施形態による台紙レスラベルプリンタで管理するフォーマットファイルのデータ構成を示す概念図である。
【図5】本実施形態による台紙レスラベルプリンタで管理する商品ファイルのデータ構成を示す概念図である。
【図6】本実施形態による台紙レスラベルプリンタの動作を説明するためのメインのフローチャートである。
【図7】本実施形態によるドットデータへの展開ルーチンの動作を説明するためのフローチャートである。
【図8】本実施形態による、カットされたラベルの一例を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の一実施形態を、図面を参照して説明する。
【0015】
図1は、本発明の実施形態による台紙レスラベルプリンタの機構を示す概略図である。図1において、表面が感熱発色面、裏面が粘着面である台紙レスラベル用紙1をロール状に巻いたラベルロール2から、用紙を引き出してサーマルヘッド3とステッピングモータ駆動されるプラテンローラ4との間で挟んで用紙を搬送するとともに加熱して印字を行う。さらに、印字後の用紙をカッター5でカットし、ラベル6として発行するようになっている。センサ7は、サーマルヘッド3とプラテンローラ4とからなる印字部に接近して設けられており、台紙レスラベル用紙1の裏面にラベル1枚分の間隔毎に設けられた位置検出用マーク(後述)を検出する。
【0016】
図2は、本実施形態による台紙レスラベルプリンタの構成を示すブロック図である。本実施形態による台紙レスラベルプリンタは、図2に示すように、CPU10、フラッシュメモリ11、RAM12、操作部13、表示部14、通信部15、インタフェース16、サーマルヘッド17(図1のサーマルヘッド3に相当)、ステッピングモータ18、カッター19(図1のカッター5に相当)、センサ20(図1のセンサ7に相当)を備える。
【0017】
CPU10は、フラッシュメモリ11上のプログラムを実行して本ラベルプリンタの動作を統括する中央演算処理装置である。フラッシュメモリ11は、本ラベルプリンタの制御プログラムや、制御用データ等を記憶するメモリである。
【0018】
RAM12には、一時的にデータを呼び出して(読み出して)処理するためのワークエリアがあり、その中には、印字データをドットデータに展開するドット展開エリア、フォーマットファイルから1つのフォーマットデータを呼び出して記憶する呼出フォーマットエリア、商品データを呼び出して記憶する呼出商品データエリア等がある。
【0019】
また、このRAM12には、ラベル印字のフォーマットが定義されたフォーマットファイル(図4を参照)、ラベル印字用の各種商品データが定義された商品ファイル(図5を参照)や、フォントファイル(キャラクタジェネレータ)等が記憶されており、電源オフ時も商品ファイルや、書式ファイルを保持するようバッテリでバックアップされている。また、本台紙レスラベルプリンタの現在のモード(例えば、値付モード、設定モード、レポートモード、メンテナンスモード)もRAM12に記憶されている。
【0020】
操作部13は、本ラベルプリンタの操作を行うための入力装置であり、表示部14と一体に構成されたタッチパネルになっている。表示部14は、各種のメニュー画面やデータを表示する液晶ディスプレイである。通信部15は、ホストコンピュータと通信を行う。
【0021】
インタフェース16は、CPU10等と後述する各駆動部や、モータとの間でデータの入出力を行う。サーマルヘッド17は、CPU10の指令に基づいて用紙1を発熱する。ステッピングモータ18は、CPU10の指令に基づいて、所定の印字位置、もしくは加熱位置へラベル用紙1が搬送されるよう、ラベルローラ2や、プラテンローラ4を回転駆動する。カッター19は、CPU10の指令に基づいて、印字後の用紙1をカットする。センサ20は、用紙1の裏面にラベル1枚分の間隔毎に設けられた位置検出用マーク(後述)を検出する。
【0022】
図3は、本実施形態による台紙レスラベルプリンタで用いる事前印刷された台紙レスラベル用紙1を示す概念図である。台紙レスラベル用紙1の裏面には、上述したように、ラベル1枚分の間隔毎に位置検出用マークPMが設けられている。また、台紙レスラベル用紙1の表面には、特売商品に対して、ラベルが目立つように、ラベル1枚毎に、特価部分を囲う赤色等の枠、あるいは、「サービス品」との販促メッセージが事前印刷されている。また、事前印刷のない台紙レスラベル用紙の場合は、位置検出用マークはない。
【0023】
図4は、本実施形態による台紙レスラベルプリンタで管理するフォーマットファイルのデータ構成を示す概念図である。フォーマットファイルには、印字フォーマットを各種設定でき、フォーマットの種類を特定するフォーマット番号や、印字位置の変更の許否(可否)を示す位置変更許否フラグ、用紙のカット長さを決定するラベル長、さらに、印字項目として、商品名、添加物、メッセージ、原材料、値段、バーコード、単位、賞味期限、加工日時、店名等があり、それらの印字項目には、それぞれ、印字位置(ラベルの左上を0,0とし、印字範囲の左上端を指す)、用紙搬送方向の印字範囲である高さ、高さと直交方向の印字範囲である長さ、文字フォント種類を特定するフォントを設定する。
なお、位置変更許否フラグによって印字位置の変更が許可されるときは、印字データ量に応じて印字位置を変更する(つまり、印字データ量に応じてフォーマットを変更する)。
【0024】
図5は、本実施形態による台紙レスラベルプリンタで管理する商品ファイルのデータ構成を示す概念図である。商品ファイルには、品番、商品名、値段、バーコード、添加物、メッセージ、原材料等の項目を設定する。各項目で複数行の印字データを設定する場合には、各行の最後に改行コードを入れる。
【0025】
以下、フローチャートを用いて、本実施形態による台紙レスラベルプリンタの動作を説明する。図6は、本実施形態による台紙レスラベルプリンタの動作を説明するためのメインのフローチャートである。図7は、本実施形態によるドットデータへの展開ルーチンの動作を説明するためのフローチャートである。また、図8は、本実施形態による、カットされたラベルの一例を示す模式図である。なお、図6及び図7に示す各ステップは、CPU10が制御する。
【0026】
図6において、まず、RAM12を参照し、ラベル発行を行う値付モードであるか否かを判断する(ステップS1)。値付モードでないと判断した場合には(ステップS1:NO)、設定モードでのファイルデータ設定や、レポートモードでの実績レポート出力や、メンテナンスモードでのメンテナンス等を行い(ステップS2)、ステップS1に戻る。
【0027】
一方、値付モードであると判断した場合には(ステップS1:YES)、RAM12において、フォーマットファイルから呼出フォーマットエリアに所望のフォーマットデータを呼び出す(ステップS3)。なお、所望のフォーマットデータとは、操作部13を介して操作者によって指定されたフォーマット番号によって特定されるフォーマットのフォーマットデータである。例えば、図4に示すフォーマットファイルがRAM12に記憶されている場合に、フォーマット番号#1が指定されたときは、フォーマット番号#1によって特定されるフォーマットのフォーマットデータを呼び出すことになる。なお、フォーマット番号#1によって特定されるフォーマットのフォーマットデータにおいて、品名は3行分、添加物は4行分の印字範囲があるものとする(図8(a)を参照)。
【0028】
次に、RAM12において、商品から呼出商品データエリアに値付けする商品の商品データを呼び出す(ステップS4)。なお、値付けする商品は、操作部13を介して操作者が品番を指定することによって特定される。例えば、図5に示す商品ファイルがRAM12に記憶されている場合に、品番0001が指定されたときは、値付けする商品の商品データとして、品番0001によって特定される商品の商品データを呼び出すことになる。なお、品番0001によって特定される商品の品名と添加物は、それぞれ1行分の印字データ量であるものとする(図5を参照)。
【0029】
次に、ステップS3で呼び出したフォーマットに従って、ステップS4で呼び出した商品データの印字データを、ドットデータに展開する(ステップS5)。なお、詳細は、図7で説明する。
【0030】
次に、ステップS5で展開したドットデータに基づいて、サーマルヘッド17とプラテンローラ4とを制御し、用紙に印字を行う(ステップS6:図8(b)、(c)を参照)。
【0031】
次に、呼出フォーマットエリアの位置変更許否フラグを参照し、位置変更が許可されているか否かを判断する(ステップS7)。つまり、ステップS3で呼び出したフォーマットデータ中の位置変更許否フラグの値が変更許可を示すものであるか否かを判断する。位置変更が許可されていると判断した場合には(ステップS7:YES)、ラベル長データに基づいて、カッター19を制御し、用紙1をカットする(ステップS8)。そして、ステップ1に戻る。
なお、例えば、ステップ3でフォーマット番号#1のフォーマットを呼び出し、ステップ4で品番0001の商品の商品データを呼び出していた場合において、ラベル長データに基づいて用紙1をカットすると、図8(b)のようなラベルが発行されることになる。
【0032】
一方、位置変更が許可されていないと判断した場合には(ステップS7:NO)、センサ20によって検出した位置検出用マークの位置(以下、マーク位置ともいう)に基づいて、カッター19を制御し、用紙1をカットする(ステップS9)。より詳細には、まず、センサ20によって用紙1の位置検出用マークPMを検出し、検出した位置検出用マークPMのマーク位置と現在位置との距離と、センサ20とカッター19との間の距離とに基づいて、該マーク位置がカッター19のカット位置になるまで用紙1を搬送し、用紙1を該マーク位置でカットする。そして、ステップ1に戻る。
なお、例えば、ステップ3でフォーマット番号#1のフォーマットを呼び出し、ステップ4で品番0001の商品の商品データを呼び出していた場合において、マーク位置に基づいて用紙1をカットすると、図8(c)のような「サービス品」との事前印刷が左上の好ましい位置に印刷されたラベルが発行されることになる。
【0033】
図7において、まず、図6のステップS3で呼び出したフォーマットデータの中で、判断処理(ステップS13〜ステップS16の各判断処理のうち少なくともステップS13の判断処理)がされていない、用紙搬送方向に対して最も上流側の印字項目を検索する(ステップS11)。例えば、上記判断処理の初回であれば、最も上流側の印字項目は「商品名」となる。
【0034】
次に、呼出フォーマットエリアの位置変更許否フラグを参照し、位置変更が許可されているか否かを判断する(ステップS12)。つまり、ステップS3で呼び出したフォーマットデータ中の位置変更許否フラグの値が変更許可を示すものであるか否かを判断する。位置変更が許可されていると判断した場合には(ステップS12:YES)、ステップS11で検索した印字項目が「品名」であるか否かを判断し(ステップS13)、「品名」でない場合には、「添加物」であるか否かを判断し(ステップS14)、「添加物」でない場合には、「原材料」であるか否かを判断し(ステップS15)、「原材料」でない場合には、「メッセージ」であるか否かを判断する(ステップS16)。
【0035】
なお、ステップS13〜S16において判断する「品名」、「添加物」、「原材料」、「メッセージ」の各印字項目は、それぞれの印字データ量に応じて、用紙搬送方向の印字範囲(高さ)を変化させる印字項目として予め定めたものである。より詳細には、上記各印字項目は、用紙搬送方向の印字範囲(例えば行数)に対し、用紙搬送方向の印字データ量(例えば行数)が少ない場合に、当該印字範囲を小さく(短く)させる印字項目として予め定めたものである。
【0036】
ステップS11で検索した印字項目が、上記「品名」、「添加物」、「原材料」「メッセージ」のいずれかに該当する場合には(ステップS13:YES、ステップS14:YES、ステップS15:YES、ステップS16:YES)、該当印字項目について該当する印字データが、フォーマットデータの当該印字項目の高さ(用紙搬送方向の印字範囲)を満たすか否かを判断する(ステップS17)。つまり、ステップS13〜S16においてYESとなった各印字項目について、ステップS3で呼び出したフォーマットデータの高さ(用紙搬送方向の印字範囲)と、ステップS4で呼び出した商品データにおける用紙搬送方向の印字データ量とを比較し、高さに対し印字データ量が少ない場合には満たさないと判断し、少なくない場合には満たすと判断する。
例えば、印字項目「品名」の場合、用紙搬送方向の印字範囲(高さ)は3行分であるのに対し、印字データは1行分と少ないため、満たさないと判断する。
【0037】
そして、印字データが、フォーマットデータの該当印字項目の高さを満たさないと判断した場合には(ステップS17:NO)、満たさない部分(余裕の高さ部分)と用紙搬送方向との位置が重なる他の印字項目(ステップS3で呼び出したフォーマットデータの他の印字項目)の印字データがあるか否かを判断する(ステップS18)。換言すれば、呼び出したフォーマットデータの他の印字項目の印字データであって、満たさない部分(余裕の高さ部分)に印字する印字データがあるか否かを判断する。例えば、印字項目「品名」の場合、用紙搬送方向の印字範囲(高さ)は3行分、印字データは1行分であるため、満たさない部分(余裕の高さ部分)は2行分であるため、「バーコード」「値段」「単位」「添加物」「店名」の各印字項目の印字データであって、当該2行分の部分に印字する印字データがあるか否かを判断する。
つまり、ステップS18では、印字項目が用紙搬送方向に並列に配置されているようなフォーマットデータがステップS3で呼び出された場合に、当該並列に配置された一の印字項目について満たさない部分(余裕の高さ部分)があったときに、当該フォーマットデータにおいて、当該並列に配置された他の印字項目の印字データが当該満たさない部分に印字されることになっているかどうかを判断する。
【0038】
そして、高さ位置が重なる印字データの他の印字項目がないと判断した場合には(ステップS18:NO)、高さ範囲の満たさない分(余裕分)、呼出フォーマットデータ中の印字位置順において以降の全項目の用紙搬送方向の位置データを、上方に詰めるように減算して位置を変更する(ステップS19)。例えば、ステップS17で印字項目「品名」について判断した場合には、バーコード、値段、単位、添加物、店名の各印字項目の用紙搬送方向の位置データは、「品名」の2行分小さくなる。即ち、当該各印字項目は、用紙搬送方向に対して、「品名」の2行分上流に詰めて印刷されるようにする。また、ラベル長データも「品名」の2行分短くする。
【0039】
次に、呼出フォーマットデータの全項目について処理したか否かを判断し(ステップS20)、全項目について処理していない場合には(ステップS20:NO)、ステップS11に戻る。
【0040】
一方、呼出フォーマットデータの全項目について処理した場合には(ステップS20:YES)、ステップS11で検索した印字項目について、呼出商品データエリアの同じ項目の商品データを、その印字範囲の左上詰めで、ドット展開エリアにドットデータに変換して書き込む(ステップS21)。この際、呼び出しフォーマットエリアのフォーマットデータの位置、フォントデータに基づいて行う。そして、図6のメインルーチンに戻る。
【0041】
メインルーチンに戻る際、フォーマット番号#1、品番0001が入力されていた場合には、図8(b)のように、ドットデータを展開する。つまり、品名以降の印字項目は、「品名」の2行分、上方に移動し、さらに、「添加物」以降である「店名」は、「添加物」の3行分、上方に移動する。そして、呼出フォーマットデータのラベル長データは、「品名」の2行分と「添加物」の3行分、短くなる。
【0042】
一方、ステップS12において位置変更が許可されていないと判断した場合(ステップS12:NO)には、ステップS13〜S19を飛ばしてステップS20に進む。また、ステップS11で検索した印字項目が「品名」、「添加物」、「原材料」、「メッセージ」のいずれにも該当しない場合(ステップS13:NO、ステップS14:NO、ステップS15:NO、ステップS16:NO)には、ステップS17、S18、S19を飛ばしてステップS20に進む。また、印字データが、フォーマットデータの該当印字項目の高さを満たすと判断した場合(ステップS17:YES)には、ステップS18、S19を飛ばしてステップS20に進む。また、高さ位置が重なる印字データの他の印字項目があると判断した場合には(ステップS18:YES)には、ステップS19を飛ばしてステップS20に進む。
【0043】
なお、本発明は、パックされた生鮮食品に貼るラベルでは、商品の表面には、品名、値段を印字した値付ラベルを貼り、商品の裏面には、添加物や、原材料を主に印字した裏面ラベルを貼る場合があり、これらの2枚のラベルを一度に発行できるラベルプリンタに適用してもよい。
【0044】
また、フォーマットデータに印字項目の回転角度を設定できるようにしてもよい。また、印字範囲を短縮できる項目は、品名、添加物、原材料、メッセージに限らず、用紙搬送方向の印字範囲がその項目の印字データ量によって変化する項目であればよい。また、印字位置変更のタイミングは、印字の際や、ドット展開時に限らず、印字データが決定した時点、または、それ以降であればよい。
【0045】
また、印字位置変更は、印字データ量が印字範囲に満たない場合に限らず、印字範囲を超える場合でもよい。この場合、超えた分、以降の項目について、離れる方向に位置を変更する。このようにすることで、フォーマットデータから用紙搬送方向の印字範囲の設定操作を省くことができる。
【0046】
また、台紙レスラベルプリンタは、ラベル発行時に用紙の粘着面を活性化させるものでもよい。また、用紙のカットには、ソレノイド駆動による自動カッターに限らず、手動で駆動するカッターを用いてもよいし、ラベル出口に刃のみ配置し手でラベルを刃に押し付けてカットする態様や、更に、用紙に所定間隔でミシン目を設けておき、ミシン目を刃に押し当ててカットする態様であっても、センサの出力に基づいてラベルのカット位置を刃に合わせるよう制御するものであれば請求項3の発明を利用しているものといえる。また、ラベルプリンタ単体に限らず、秤や、自動貼付装置、包装機、あるいはPOSを備えたものでもよい。
【0047】
なお、本実施例では、位置変更許否フラグはフォーマットデータ毎に設定する例を示したが、これに限らず、フォーマットファイルに対して1つ、即ち、何れのフォーマットデータによる印字においても参照する位置変更許否フラグを1つだけ設定するようにしてもよい。例えば、フラッシュメモリ上に1つの位置変更許否フラグを記憶するようにしてもよい。
【0048】
また、位置変更許否フラグは、書き換え可能なものであってもよい。例えば、上述のように、フラッシュメモリ上に記憶されている位置変更許否フラグを、操作部13を介して操作者によって、書き換えることができるようにしてもよい。換言すれば、印字位置を変更する変更手段の実行の許可あるいは禁止(換言すれば、上記変更手段の有効、無効)を切り換える切換手段を備えるようにするとよい。
【0049】
位置変更許否フラグを書き換え可能なものとする場合、値付モード中は、位置変更許否フラグが示す内容(現在設定中の位置変更に関する許否状態)を表示部に表示するようにしてもよい。これにより、フォーマットデータの設定作業を軽減することができ、また、位置変更許否フラグの値の切換時は、用紙交換時である場合が多いので、用紙を見ることで、ミスなく位置変更許否フラグの切換操作ができるようになる。
【0050】
また、用紙の位置検出用マークは、印刷に限らず、用紙の切欠きなど、検出できるものであればよい。また、位置変更禁止の場合の用紙カット位置は、マーク位置に限らず、マーク位置を基点として算出される位置(例えば、マーク位置から予め定めた方向に予め定めた距離だけ移動させたときの位置)であってもよい。なお、この場合も、位置検出用マークを検出し、マーク位置に基づいてカットするため、センサの出力に基づいて用紙をカットすることに含まれる。
【0051】
また、フォーマットデータの用紙搬送方向の印字範囲の項目はなくても、印字データ量により次の印字項目との間隔が空きすぎたり、あるいは狭すぎたり、重なってしまうことを、本装置が判断した場合に、この問題を解消すべく、次の印字項目の位置を変更するように制御してもよい。
【0052】
また、本実施例では各項目の印字データをフォーマットの印字範囲に上詰めで位置させたが、これに限らず、下詰めで位置させてもよい。下詰めの場合、ステップS18の項目位置の変更処理において、高さを満たさないと判断した項目の以降の項目だけでなく、高さを満たさないと判断した当該項目も、位置を変更する。
【0053】
なお、本実施例では、フォーマットの位置データが印字範囲の左上端を指したが、これに限らず、右上端、左下端、右上端を指してもよい。
【符号の説明】
【0054】
1 台紙レスラベル用紙
2 ラベルロール
3、17 サーマルヘッド
4 プラテンローラ
5、19 カッター
6 ラベル
7、20 センサ
10 CPU
11 フラッシュメモリ
12 RAM
13 操作部
14 表示部
15 通信部
16 インタフェース
18 ステッピングモータ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
表面が印字面で、裏面が貼付面である台紙レスラベル用紙に、フォーマットデータに基づいて、印字データを印字し、カットしてラベルを発行する台紙レスラベルプリンタにおいて、
フォーマット番号と、位置変更許否フラグと、品名を含む各印字項目の印字位置とを有して構成されるフォーマットデータを複数設定できるフォーマットファイルを記憶する記憶手段と、
前記記憶手段に記憶されている前記フォーマットファイルから呼び出した前記フォーマットデータ中の位置変更許否フラグが変更許可を示す場合に、前記呼び出したフォーマットデータで示される印字項目の印字位置を、印字データ量に応じて用紙搬送方向に変更する変更手段と
を備えることを特徴とする台紙レスラベルプリンタ。
【請求項2】
表面が印字面で、裏面が貼付面である台紙レスラベル用紙に、フォーマットデータに基づいて、印字データを印字し、カットしてラベルを発行する台紙レスラベルプリンタにおいて、
フォーマット番号と、品名を含む各印字項目の印字位置及び印字範囲とを有して構成されるフォーマットデータを複数設定できるフォーマットファイルを記憶する記憶手段と、
前記記憶手段に記憶されている前記フォーマットファイルから呼び出したフォーマットデータで示される印字項目の印字位置を、印字データ量に応じて用紙搬送方向に変更する変更手段と、
前記変更手段の実行の許可、あるいは禁止を切り換える切換手段と
を備えることを特徴とする台紙レスラベルプリンタ。
【請求項3】
前記台紙レスラベル用紙には、所定間隔で位置検出用マークが設けられており、
印字部近傍に設けられ、前記位置検出用マークを検出するセンサを更に備え、
前記印字位置の変更が許可されているか否かを判断し、許可されていない場合には、前記センサの出力に基づいて、前記台紙レスラベル用紙をカットすることを特徴とする請求項1または2に記載の台紙レスラベルプリンタ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2012−96387(P2012−96387A)
【公開日】平成24年5月24日(2012.5.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−244022(P2010−244022)
【出願日】平成22年10月29日(2010.10.29)
【出願人】(000145068)株式会社寺岡精工 (317)
【Fターム(参考)】