説明

合成壁構造

【課題】鋼製土留め壁と鉄筋コンクリート壁からなる合成壁構造を提供する。
【解決手段】鋼製土留め壁1を挿通する軸径22〜36mmの表面ナット付きずれ止め用ボルト6が、表面ナット7と、鋼製土留め壁1に固定された裏面ナット4との間で螺着するようにして鋼製土留め壁1に固定され、表面ナット7付きずれ止め用ボルト6が、鋼製土留め壁1と鉄筋コンクリート壁2のずれ止めとして機能する鋼製土留め壁1と鉄筋コンクリート壁2からなる合成壁構造。鋼製土留め壁1は、フランジ部とウェブ部を有する鋼矢板で構成され、鋼矢板のフランジ部11cに表面ナット7付きずれ止め用ボルト6が固定されている、または鋼製土留め壁1は、鋼管矢板14で構成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、土木・建築構造物に用いられる、鋼製土留め壁と鉄筋コンクリート壁からなる合成壁構造に関する。
【背景技術】
【0002】
鋼矢板や鋼管矢板などを連結して構成した鋼製土留め壁と鉄筋コンクリート壁からなる合成壁の構築方法として、まず、鋼製土留め壁を地中に打設し、次に、鋼製土留め壁の内側を掘削して、鉄筋コンクリート壁との接合面に頭付きスタッドなどのずれ止めを溶接し、配筋後、型枠を組んでコンクリートを打設して、一体化する方法が一般的に行われている。
【0003】
図10は、特許文献1記載の合成土留め壁構造を示し、鋼製土留め壁100を地中に打設し、鋼製土留め壁100の内側を掘削した後で、鋼製土留め壁100に複数のずれ止め材300とずれ止め兼用せん断補強筋400をスタッド溶接により固定し、さらに複数の配力筋を配置して、コンクリートを打設し、鉄筋コンクリート壁200を構築している。
【0004】
図11(a)、(b)は、特許文献2記載のソイルセメント柱列壁を利用した合成地下壁の構築方法を示し、土留め壁の芯材500の表面に短いネジ切りボルト600をあらかじめ溶接で取り付け、ネジ切りボルト600に保護キャップ700を設置し、ソイルセメント柱列壁を構築した後(図11(a))、芯材500の表面までソイルセメント1000を除去し、保護キャップ700を外し、ネジ切りボルト600にジョイントカプラー800、ネジ切りコネクター900を順次取り付けて、ずれ止め材を形成した後、コンクリート1100を打設する(図11(b))。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平7−310365号公報
【特許文献2】特開平7−48846号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、図10に示した特許文献1記載の合成土留め壁構造は、鋼製土留め壁100を地中に打設し、鋼製土留め壁100の内側を掘削した後で、複数のずれ止め材300とずれ止め兼用せん断補強筋400を横向きのスタッド溶接により固定しなければならない。
【0007】
横向きのスタッド溶接は、作業姿勢が横向きなること、重力の影響で溶融金属の偏りが生じることなどにより、下向き溶接に比べて施工性および施工品質が悪くなるため、日本建築学会の「鉄骨工事技術指針・工事現場施工編1996改定版」には、横向きのスタッド溶接に対しては、望ましくは軸径16mm以下のスタッドに限定することと記載されている。
【0008】
従って、作用力が大きくなり、軸径19mm、軸径22mmのスタッドが必要となるケースに、特許文献1記載の合成土留め壁構造を適用することは困難である。また、大深度地下壁の構築などで深度が大きくなる場合には、さらに作用力が大きくなるため、設計上軸径30mm程度以上のスタッドが必要となるケースも想定され、この場合、横向きのスタッド溶接の適用は施工性の面から事実上不可能となる。
【0009】
また、特許文献2記載のソイルセメント柱列壁は、ネジ切りボルト600、保護キャップ700、ジョイントカプラー800、ネジ切りコネクター900でずれ止め材を構成する必要があり、部品数が多いため作業工数が多くかかり、また現場での作業が煩雑となる。
【0010】
これらの部品は汎用品でないため、加工および製作コストが割高で、さらに、ネジ切りボルト600の全長が50mm程度と比較的長いため、傷がついたり、変形したりしないように、ネジ切りボルト回りの掘削を慎重に行う必要があり、掘削作業に時間を要する。これらの欠点は、軸径が大きくなるほど助長され、特に軸径30mm程度以上では、加工および製作コストの面から、適用は困難であると考えられる。
【0011】
そこで本発明は、上記課題を解決した合成壁構造を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明の課題は以下の手段で達成可能である。
1.鋼製土留め壁と鉄筋コンクリート壁からなる合成壁であって、前記鋼製土留め壁を挿通する軸径22〜36mmの表面ナット付きずれ止め用ボルトが、前記表面ナットと、前記鋼製土留め壁に固定された裏面ナットとの間で螺着するようにして、前記鋼製土留め壁を打設する際に用いた仮ボルトを置換して、前記鋼製土留め壁に固定され、該表面ナット付きずれ止め用ボルトが、前記鋼製土留め壁と前記鉄筋コンクリート壁のずれ止めとして機能することを特徴とする合成壁構造。
2.前記鋼製土留め壁は、フランジ部とウェブ部を有する鋼矢板で構成され、前記鋼矢板のフランジ部に前記表面ナット付きずれ止め用ボルトが固定されていることを特徴とする1記載の合成壁構造。
3.前記鋼製土留め壁は、鋼管矢板で構成されていることを特徴とする1記載の合成壁構造。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば以下の効果が得られ、産業上極めて有用である。
1.仮ボルト、本設用ボルト、裏面ナット、表面ナット、座金は、例えば市販品のボルトセットなどを用いることができるため、コストを抑えられ、かつ調達が容易である.たとえば日本橋梁建設協会の「’01デザインデータブック 改定3版 2003年」には、JIS B 1180、JIS B 1181、JIS B 1256の六角ボルト、六角ナット、および座金として軸径6mm〜軸径80mm、JIS B 1186の高力ボルト、ナット、および座金として軸径10mm〜軸径36mmが記載されている。
2.突出部である仮ボルトの頭部の高さ、裏面ナットの高さが低いため、鋼製土留め壁を地中に打設する際にほとんど抵抗とならない。
3.また、仮ボルトおよび裏面ナットが鋼製土留め壁に固定されているため、これらが打設時にほとんど変形を生じない。さらに、鋼製土留め壁の内側を掘削する際にも、仮ボルトの頭部の高さが小さいため、掘削作業が迅速に行える。
4.裏面ナットが溶接などにより固定されているため、鋼製土留め壁の内側からの作業のみで、仮ボルトから本設用ボルトへの差し替えを行うことができる。すなわち、片側からのボルト施工が可能となる。
5.また、仮ボルトから本設用ボルトへの差し替えは、例えば電動トルクレンチなどを用いることにより、精度よく、迅速かつ容易に作業できる。
6.鋼製土留め壁の内側を掘削した後に、施工性および施工品質が悪い横向きのスタッド溶接を行う必要がないため、軸径24mm、軸径30mm、軸径36mmなど、太径で高い耐力が得られるボルトの適用が可能となる。
7.以上より、コスト削減、現場での施工性および施工品質の向上、工期短縮、鋼製土留め壁と鉄筋コンクリート壁の接合部の耐力向上の効果が得られる。
8.さらに、鋼製土留め壁の裏面に板部材を付加する場合には、鋼製土留め壁を地中に打設する際に、鋼製土留め壁の剛性を高め、鋼製土留め壁の変形や座屈が防止される。
9.また、鋼製土留め壁と鉄筋コンクリート壁が一体となった合成壁においては、板部材が外縁側になるため、土圧や水圧などによる曲げモーメントなどの作用力に対して効率よく抵抗することができる。
10.深度が大きくなり土圧や水圧などによる作用力が増大する場合、あるいはスラブや基礎との接合部で局部的に大きな力を生じる場合であっても、作用力が大きい部分に板部材を設置して部分的に耐力を大きくすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】鋼製土留め壁に仮ボルトおよび裏面ナットが固定された状態を示す水平断面図。
【図2】合成壁の一実施形態を示す水平断面図。
【図3】図2に示す本発明の1実施例に係る合成壁における本設用ボルトの配置を示す図。
【図4】図1、2に示す本発明に係る合成壁の構築方法における工程の一例に示す。
【図5】本発明に係る他の実施例。
【図6】本発明に係る他の実施例(鋼管矢板を用いた場合)。
【図7】本発明に係る他の実施例。
【図8】本発明に係る他の実施例で図7のA−A断面図。
【図9】本発明に係る他の実施例。
【図10】従来例。
【図11】従来例。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明は鋼製土留め壁と鉄筋コンクリート壁からなる合成壁において、鋼製土留め壁に、鉄筋コンクリート壁を固着させるためスタッド溶接で取り付けるずれ止め材に換えて、ボルトを用い、当該ボルトは鋼製土留め壁を地中に打設する前後で、短い仮設ボルトから長い本設用ボルトに交換されることを特徴とする。以下、図を用いて本発明を詳細に説明する。
【0016】
図1は鋼製土留め壁に仮ボルトおよび裏面ナットが固定された状態を示す水平断面図である。また、図2は本発明に係る合成壁構造の一実施形態を示す水平断面図である.これらの図において、1は鋼製土留め壁、11a、11b、11c、11d、11eは鋼製土留め壁1の1区間を構成する鋼矢板、2は鉄筋コンクリート壁、3は仮ボルト、3aは仮ボルト3の頭部、4は裏面ナット、5は座金、6は本設用ボルト、7は表面ナット、8は裏面ナット4を鋼矢板に固定する固定部、9は鉄筋コンクリート壁2の鉄筋、10はコンクリート、12は鋼矢板11a、11b、11c、11d、11e同士を連結する継手部、111は鋼矢板のフランジで合成壁の内側となる内面、112は鋼矢板のフランジで合成壁の外側となる外面を示す。
【0017】
以下の説明において、鋼製土留め壁1の内側とは、鉄筋コンクリート壁2に対向する側を指し、鋼製土留め壁1の外側とは、鋼製土留め壁1の外部となる土壌側を指す。合成壁の内側とは、合成壁の内部構造側、合成壁の外側とは合成壁の外部となる土壌側を指し、また、説明は、鋼製土留め壁1の鋼矢板11a、11b、11c、11d、11eで構成される1区間を対象として行う。
【0018】
鋼製土留め壁1は、連続して配置される、フランジとウェブを有する鋼矢板11a、11b、11c、11d、11eで構成され、これらの鋼矢板はフランジが、鉄筋コンクリート壁に対して、凹凸となるように上下反転して連続配置される。フランジとウェブを有する鋼矢板11a、11b、11c、11d、11eとして、例えばU形鋼矢板やハット形鋼矢板が利用できる。ここではU形鋼矢板を例として説明する。
【0019】
鋼矢板11a、11b、11c、11d、11eを地中に打設する前に、前記鋼矢板のフランジのうち、合成壁の内側で、鉄筋コンクリート壁2と接するようになる、鋼矢板11b(11d)のフランジに、ボルト孔(図では省略)を複数加工する。
【0020】
前記ボルト孔に仮ボルト3をフランジの内面111側から挿通後、外面112側で裏面ナット4を螺着させる。鋼矢板11bを地中に打設した際、仮ボルト3が弛まないように座金5を用いることが望ましい。
【0021】
仮ボルト3がその頭部3aと裏面ナット4間で鋼矢板11b(11d)に締結された後、裏面ナット4を、鋼製土留め壁1の外側となる前記フランジの外面112にスポット溶接あるいは全周すみ肉溶接などにより固定部8で固定する。
【0022】
仮ボルト3の長さは、鋼矢板11b(11d)を地中に打設する際、変形せず、且つ鋼製土留め壁を挿通して裏面ナット4で固定できれば良く特に規定しない。例えば、軸径22mmのボルトセットを用いる場合、仮ボルト3の頭部の高さが14mm程度、裏面ナットの高さが22mm程度と小さく、鋼製土留め壁を打設する際にほとんど抵抗とならない。
【0023】
また、鋼製土留め壁1の内側を掘削する際、仮ボルト3の頭部の高さが低く、突出部の長さが短いため、掘削作業が迅速に行える。尚、仮ボルト3を誤って損傷した場合でも、本設用ボルト6に取り替えるため、支障を生じない。
【0024】
裏面ナット4の固定は、固定用部材を用いたり、接着剤等、溶接以外の手段を用いてもよい。必要に応じて仮ボルト3と裏面ナット4に止水処理を行うものとする。止水処理方法としては、止水材を塗布する方法、裏面ナット4に防水キャップ等を設置する方法などを用いる。
【0025】
本発明では、鋼矢板11b、11dに仮ボルト3および裏面ナット4を取り付けた状態で鋼矢板11aから順に、鋼矢板11eを逐次打設して鋼製土留め壁1を地中に形成する。打設方法は、バイブロハンマによる施工、油圧装置による圧入施工など各種方法が適用可能である。
【0026】
仮ボルト3を裏面ナット4に螺着させないで鋼製土留め壁1を打設した場合は、孔あき欠損により鋼製土留め壁1の剛性が小さくなるため、打設時に変形や座屈を生じやすくなるばかりでなく、孔から地下水などが浸透するおそれがある。このため、仮ボルト3は裏面ナット4に螺着させ、さらに必要に応じて仮ボルト3および裏面ナット4に止水処理を行なった上で打設するものとする。
【0027】
上記鋼製土留め壁1を打設し、その内側を掘削した後、仮ボルト3を外し、表面ナット7を備えた本設用ボルト6に差し替え、表面ナット7と裏面ナット4で、螺着するようにして鋼矢板11b(11d)に本設用ボルト6を固定する。その後、鉄筋コンクリート壁2を鋼製土留め壁の内側に凸となる鋼矢板11b、11dのフランジに接して平行となるように略直線状に打設して構築する。
【0028】
図2は、鋼製土留め壁1と鋼製土留め壁1の内側に構築された鉄筋コンクリート壁2が、本設用ボルト6を介して一体化された状態を示している。本設用ボルト6がずれ止めとして機能するため、鉄筋コンクリート壁2と鋼製土留め壁1が一体化される。
【0029】
本設用ボルト6および表面ナット7は、例えば市販品のボルトセットなどを用いればよい。また、必要に応じて座金を併用する。本設用ボルト6の軸径は仮ボルト3と同じとする.本設用ボルト6の長さは、鉄筋コンクリート壁2の厚さや本設用ボルト6の軸径によって異なるが、例えば鉄筋コンクリート壁2の厚さが300mmで本設用ボルト6の軸径が22mmの場合、150mm〜200mm程度とすることができる。
【0030】
なお、鋼矢板11b、11dのフランジに加工するボルト孔の配置は、本設用ボルト6がずれ止めとしての所定の性能を発揮できるようなものとする。図3に、鋼矢板11b、11dのフランジ面に対する本設用ボルト6の配置例を示す。
【0031】
本発明によれば、裏面ナット4が溶接などにより鋼製土留め壁1に固定されているため、片側からのボルト施工が可能で、鋼製土留め壁1の内側からの作業のみで、仮ボルト3の取り外しと本設用ボルト6の固定を行うことが可能である。
【0032】
仮ボルト3から本設用ボルト6への差し替えは、例えば電動トルクレンチなどを用いることにより、精度よく、迅速かつ容易に作業可能である。図4に、本発明に係る合成壁の構築方法における工程の一例に示す。
【0033】
図5に、本発明の他の実施形態に係る合成壁の断面構造を示す。鋼矢板11b、11c、11dの各フランジに、本設用ボルト6が、上述した手順に従って取り付けられている。なお、鋼矢板11cに取り付ける本設用ボルト6は鉄筋コンクリート壁2の中に50mm以上入るような長さにすることが好ましい。
【0034】
鉄筋コンクリート壁2は鋼製土留め壁1の一区間を構成する、鋼矢板11b、11c、11dの内側の形状に沿って連続的にコンクリートが打設されて構築される。
【0035】
鋼製土留め壁の形状に合わせてコンクリートを打設すること、比較的長い本設用ボルトを併用することにより、鋼製土留め壁と鉄筋コンクリート壁の一体性がさらに高まり、耐力を大きくすることが可能である。
【0036】
図6は、本発明の他の実施形態を示し、鋼製土留め壁1を連続して配置される鋼矢板に換えて、鋼管矢板14を用いた場合を示す。鋼管矢板14の管壁のうち、鉄筋コンクリート壁2側となる部分に、裏面ナット4と表面ナット7を用いて、本設用ボルト6を固定する。ボルト孔の加工から本設用ボルト6を固定するまでは上述した手順に準じる。
【0037】
合成壁は深度が大きくなるにつれて、土圧や水圧などによる作用力が大きくなる.また、スラブや基礎との接合部で局部的に大きな力を生じる場合がある。従来の鋼製土留め壁は、断面形状を深さ方向に変化させることは困難である。
【0038】
本発明では、作用力が大きい部分に板部材を設置して部分的に耐力を大きくすることも可能である。
【0039】
図7に、図5に示す合成壁の、鋼製土留め壁に、板部材13を取り付けた構造を説明する水平方向断面図を示す。
【0040】
鋼矢板11cを打設前に、ボルト孔を加工した板部材13を、当該ボルト孔と鋼矢板11cのフランジに加工されたボルト孔の位置が一致するようにして、鋼矢板11cのフランジの外面112側に配置し、仮ボルトを挿通させる。
【0041】
次に、板部材13の裏面側で、裏面ナットを螺着させ、当該裏面ナットを板部材13に溶接などで固定する。その後、必要に応じて仮ボルトおよび裏面ナット部分に止水処理を行なった上で鋼矢板11cを打設し、土壌を掘削後、仮ボルトを本設用ボルト6に差し替えを行なう。ここで、仮ボルトから本設用ボルトへの差し替えは、板部材13が応力の一部を分担していることを考慮して、1本づつ行なうことが望ましい。
【0042】
鋼製土留め壁に板部材が付加された場合、鋼製土留め壁を地中に打設する際に、鋼製土留め壁の剛性を高め、鋼製土留め壁の変形や座屈が防止される。
【0043】
図8に、図7のA−A断面図を示す。板部材13は作用力が大きい部分のみに設置して部分的に耐力を大きくすることができる。これにより、土圧や水圧などによる曲げモーメントなどの作用力に対して効率よく抵抗でき、断面の合理化、鋼重低減、およびコストダウンを実現できる。
【0044】
図9に、鋼管矢板14の内壁の一部に、板部材13を取り付けた構造を示す。なお、板部材13の取り付け位置は、鋼管矢板14の内壁面となる。
【0045】
以上の説明は、鋼製土留め壁を、U形鋼矢板、鋼管矢板で構築する場合について行ったが、ハット形鋼矢板、溝形鋼矢板、平板鋼矢板を用いて鋼製土留め壁を構築した場合でも、本発明を実施することが可能である。
【符号の説明】
【0046】
1 鋼製土留め壁
2 鉄筋コンクリート壁
3 仮ボルト
3a 仮ボルト頭部
4 裏面ナット
5 座金
6 本設用ボルト
7 表面ナット
8 固定部(溶接部)
9 鉄筋
10 コンクリート
11a、11b、11c、11d、11e 鋼矢板
12 継手部
13 板部材
14 鋼管矢板
111 内面
112 外面
100 鋼製土留め壁
200 鉄筋コンクリート壁
300 ずれ止め材
400 ずれ止め兼用せん断補強筋
500 芯材
600 ネジ切りボルト
700 保護キャップ
800 ジョイントカプラー
900 ネジ切りコネクター
1000 ソイルセメント
1100 コンクリート

【特許請求の範囲】
【請求項1】
鋼製土留め壁と鉄筋コンクリート壁からなる合成壁であって、前記鋼製土留め壁を挿通する軸径22〜36mmの表面ナット付きずれ止め用ボルトが、前記表面ナットと、前記鋼製土留め壁に固定された裏面ナットとの間で螺着するようにして、前記鋼製土留め壁を打設する際に用いた仮ボルトを置換して、前記鋼製土留め壁に固定され、該表面ナット付きずれ止め用ボルトが、前記鋼製土留め壁と前記鉄筋コンクリート壁のずれ止めとして機能することを特徴とする合成壁構造。
【請求項2】
前記鋼製土留め壁は、フランジ部とウェブ部を有する鋼矢板で構成され、前記鋼矢板のフランジ部に前記表面ナット付きずれ止め用ボルトが固定されていることを特徴とする請求項1記載の合成壁構造。
【請求項3】
前記鋼製土留め壁は、鋼管矢板で構成されていることを特徴とする請求項1記載の合成壁構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2012−12932(P2012−12932A)
【公開日】平成24年1月19日(2012.1.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−170646(P2011−170646)
【出願日】平成23年8月4日(2011.8.4)
【分割の表示】特願2007−153863(P2007−153863)の分割
【原出願日】平成19年6月11日(2007.6.11)
【出願人】(000001258)JFEスチール株式会社 (8,589)
【Fターム(参考)】