説明

合流支援装置

【課題】2本の道路が合流する合流部における、事故や渋滞の発生が十分に抑えられる合流支援をドライバに対して行う合流支援装置を提供する。
【解決手段】本線側車両検出部2が本線側における車両の位置を検出し、点灯制御部4が検出された位置に応じて、合流車線側に車両の走行方向に沿って配置された複数のランプ32の点灯状態を制御する。また、合流車線側車両検出部3が合流車線側における車両の位置を検出し、点灯制御部4が検出された位置に応じて、本線側に車両の走行方向に沿って配置された複数のランプ31の点灯状態を制御する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、道路網において、2本の道路が合流する合流部における車両の合流を支援する合流支援装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、高速道路や準高速道路等の合流部には、本線と合流車線との高低差や、本線と合流車線との間に設けられた側壁等によって、相手車線を見通すことができない場所がある。このような見通しの悪い合流部では、合流車線から本線に合流した車両と、本線を走行していた車両と、の衝突事故が発生しやすい。また、本線にスムーズに合流できずに合流部手前で走行速度を落としたり、一時停止する車両や、合流車線から本線に合流してきた車両との衝突を避けるためにブレーキを強くかける車両も発生しやすい。このため、合流部付近では車両の平均速度が低く、その結果、本線の交通容量が低下し、渋滞が発生しやすい。
【0003】
ドライバに対して、上述したような合流部における事故や渋滞の発生を抑えるための合流支援を行う提案が種々なされている(特許文献1〜5参照)。これらの文献は、本線、および合流車線における各車両の走行状態を検出して、合流部における車両の合流位置を算出するとともに、ここで算出した合流位置に基づいて、本線および合流車線を走行している各車両に対して走行位置を指示するものである。すなわち、各車両のドライバが、自車に対して指示されている走行位置に応じて車両を走行させることにより、合流部における安全且つスムーズな合流を実現するというものである。
【0004】
なお、ここで言う合流部とは、2本の道路が合流する場所を意味し、合流位置とは、合流部で合流したときにおける前方車両や後方車両との相対的な位置を意味する。
【特許文献1】特開2002−163771号公報
【特許文献2】特開2002−170199号公報
【特許文献3】特開平10−105884号公報
【特許文献4】特開平5−6498号公報
【特許文献5】特開2001−134900号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上述した文献等で提案されている合流支援を行う場合、合流位置を算出するときに、ドライバの運転能力を平均よりも低く設定しなければならない。例えば、合流位置を算出するときに平均的なドライバの運転能力を用いると、運転能力が平均未満である略半分のドライバが、合流に際して指示された走行位置を走行することできない。このため、運転能力が平均未満であるドライバは、合流部において指示された合流位置で合流することができず、合流部手前で走行速度を落としたり、一時停止する車両や、合流車線から本線に合流してきた車両との衝突を避けるためにブレーキを強くかける車両を、十分に抑えることができない。また、ドライバが無理して指示された走行位置を走行しようとして、他車と接触する等の事故の発生も増大する。したがって、合流部における事故の発生を抑えるという安全性を重視すると、合流位置を算出するときに、ドライバの運転能力を平均よりも低く設定しなければならなかった。
【0006】
このように、ドライバの運転能力を平均よりも低く設定した場合、運転能力が設定値よりも高いドライバは、設定された運転能力のドライバに合わせた運転を強いられることになる。その結果、本線の交通容量が低下し、渋滞の発生が十分に抑えられないという問題があった。
【0007】
この発明の目的は、2本の道路が合流する合流部における、事故や渋滞の発生が十分に抑えられる合流支援をドライバに対して行う合流支援装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この発明の合流支援装置は、上記課題を解決するために以下の構成を備えている。
【0009】
(1)第1の道路における車両の位置を検出する第1の車両位置検出部と、
前記第1の道路に合流する第2の道路における車両の位置を検出する第2の車両位置検出部と、
前記第1の道路側、および前記第2の道路側のそれぞれに、合流部の手前から車線に沿って所定間隔で配置した複数のランプの点灯状態を制御する点灯制御部と、を備え、
前記点灯制御部は、
前記第1の道路側に配置されている複数のランプを、前記第2の車両位置検出部において車両が検出された位置に対応するランプと、車両が検出されていない位置に対応するランプとで、点灯状態を異ならせるとともに、
前記第2の道路側に配置されている複数のランプを、前記第1の車両位置検出部において車両が検出された位置に対応するランプと、車両が検出されていない位置に対応するランプとで、点灯状態を異ならせる。
【0010】
この構成では、第1の道路を走行している車両のドライバが、所定間隔で配置されているランプの点灯状態から、相手道路である第2の道路を走行している車両の位置を確認することができる。また、第2の道路を走行している車両のドライバが、所定間隔で配置されているランプの点灯状態から、相手道路である第1の道路を走行している車両の位置を確認することができる。したがって、第1の道路、および第2の道路を走行している車両のドライバは、自分の運転能力に合わせて、合流位置を適正に判断することができ、2本の道路が合流する合流部における、事故の発生が抑えられるとともに、本線の交通容量の低下も十分に抑えられる。
【0011】
なお、ここで言う合流部とは、2本の道路が合流する場所を意味し、合流位置とは、合流部で合流したときにおける前方車両や後方車両との相対的な位置を意味する。
【0012】
(2)前記第1の車両位置検出部、および前記第2の車両位置検出部は、ランプ毎に、そのランプに対応する位置における車両の有無を検出し、出力する車両検出センサを有し、
前記点灯制御部は、ランプ毎に、対応する車両検出センサの出力に応じて点灯状態を制御する。
【0013】
この構成では、点灯制御部は、車両検出センサ毎に、その車両検出センサにより車両が検出されているかどうかに応じて、対応するランプの点灯状態を制御する。このように、点灯制御部が、ランプの点灯状態を簡単な処理で制御するので、車両検出センサにおける車両の検出と、対応するランプの点灯状態と、の時間的ズレを十分に抑えることができる。したがって、第1の道路、および第2の道路を走行している車両のドライバに対して、相手側の道路における車両の位置が正確に伝えられる。
【0014】
(3)前記第1の車両位置検出部、および前記第2の車両位置検出部は、車両の位置に加えて、その車両の走行速度を検出し、
前記点灯制御部は、前記第1の車両位置検出部、および前記第2の車両位置検出部により検出された車両毎に、その車両の検出位置、および走行速度を用いて、時間経過にともなう車両の位置を推定した推定結果に基づいて、前記ランプの点灯状態を時間経過にともなって変化させる制御を行う。
【0015】
この構成では、上記(2)と同様に、第1の道路、および第2の道路を走行している車両のドライバに対して、相手側の道路における車両の位置を正確に伝えられる。
【0016】
(4)前記第1の車両位置検出部、および前記第2の車両位置検出部は、車両の位置に加えて、その車両の走行速度を検出し、
前記点灯制御部は、前記第1の車両位置検出部、および前記第2の車両位置検出部により検出された車両毎に、その車両の検出位置、走行速度、および前記ランプの点灯を制御するまでに要する遅れ時間、を用いて、前記ランプの点灯制御時における車両の位置を推定した推定結果に基づいて、前記ランプの点灯状態を制御する。
【0017】
この構成では、点灯制御部が、ランプの点灯状態を制御するのに要する時間も考慮して、ランプの点灯状態を制御する。したがって、第1の道路、および第2の道路を走行している車両のドライバに対して、相手側の道路における車両の位置が一層正確に伝えられる。
【0018】
(5)前記点灯制御部は、車両が存在していない位置に配置されているランプを消灯する。
【0019】
この構成では、運用時における消費電力を低減することができる。
【0020】
(6)前記点灯制御部は、前記第1の道路における渋滞の発生有無を判定する第1の判定機能を有し、この第1の判定機能により前記第1の道路で渋滞が発生していると判定した場合に、前記第2の道路側のランプを、予め定められた渋滞発生時の点灯状態に制御する。
【0021】
この構成では、相手側の道路における渋滞の発生をドライバに確認させることができ、合流時における接触事故の発生を一層十分に抑えることができ、安全性の向上が図れる。
【0022】
(7)前記点灯制御部は、前記第2の道路における渋滞の発生有無を判定する第2の判定機能を有し、この第2の判定機能により前記第2の道路で渋滞が発生していると判定した場合に、前記第1の道路側のランプを、予め定められた渋滞発生時の点灯状態に制御する。
【0023】
この構成では、上記(6)と同様の効果を奏する。
【0024】
(8)前記複数のランプを配置している間隔は、70cm未満である。
【0025】
この構成では、比較的車長の短いバイク等の車両であっても、ドライバに対して複数のランプの点灯状態で確認させることができる。このため、ドライバが相手側の道路を走行している車両に気づかないで、合流部に進入するのを防止できる。
【発明の効果】
【0026】
この発明によれば、第1の道路、および第2の道路を走行している車両のドライバが、自分の運転能力に合わせて、合流位置を適正に判断することができ、2本の道路が合流する合流部における、事故の発生が抑えられるとともに、本線の交通容量の低下も十分に抑えられる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0027】
以下、この発明の実施形態である合流支援装置について説明する。
【0028】
この実施形態にかかる合流支援装置は、2本の道路(ここでは、本線と合流車線)が合流する合流部で、安全且つスムーズな合流が行われるように、ドライバに対して合流支援をするものである。図1は、この発明の実施形態にかかる合流支援装置を適用した合流部付近の道路を示す概略図であり、図2は、この実施形態にかかる合流支援装置の構成を示すブロック図である。合流車線を走行している車両は、図1にハッチングで示す合流部で本線に合流する。図1における車両の走行方向は右側から左側である。本線は走行車線と追い越し車線の2車線の道路であり、図1では車両Eが走行している車線が追い越し車線、車両A、B、Cが走行している車線が走行車線である。また、合流車線は通常1車線の道路である。本線(走行車線)と、合流車線とを区切る側壁が、車両の走行方向に沿って、合流部の手前まで立設されている。側壁の高さは、1〜2m程度である。本線を走行している車両のドライバは、この側壁により合流車線を見通すことができない。同様に、合流車線を走行している車両のドライバは、この側壁により本線を見通すことができない。合流車線には、この側壁の終端から数10mの加速車線が設けられている。合流車線を走行している車両のドライバは、この加速車線で加速し、本線に合流する。
【0029】
ここで、この実施形態にかかる合流支援装置の構成について説明する。合流支援装置1は、合流部の手前側における本線の走行車両を検出する本線側車両検出部2と、合流部の手前側における合流車線の走行車両を検出する合流車線側車両検出部3と、を備えている。また、合流支援装置1は、側壁の本線側に車両の走行方向に沿って所定間隔で配置された複数のランプ31、および側壁の合流車線側に車両の走行方向に沿って所定間隔で配置された複数のランプ32、の点灯状態を制御する点灯制御部4を備えている。
【0030】
本線側車両検出部2は、側壁の合流車線側に配置されているランプ32毎に、対応する車両検出センサ2aを備えている。各車両検出センサ2aが車両の有無を検出する検出位置は、図3に示すように、車両の走行方向において、対応するランプ32が配置されている位置である。また、合流車線側車両検出部3は、側壁の本線側に配置されているランプ31毎に、対応する車両検出センサ3aを備えている。各車両検出センサ3aが車両の有無を検出する検出位置は、図3に示すように、車両の走行方向における対応するランプ31が配置されている位置である。
【0031】
この実施形態では、車両検出センサ2a、3aは、反射型の光センサである。本線側車両検出部2、および合流車線側車両検出部3は、車両検出センサ2a、3a毎に、その車両検出センサ2a、3aの受光光量に応じた検出出力をI−V変換し、コンパレータで基準電圧と比較した比較結果を出力する回路を有している。この基準電圧は、車両検出センサ2a、3aが本線の走行車線や合流車線を走行している車両からの反射光を受光しているかどうかを判定するのに用いる閾値である。この基準電圧は、本線の走行車線や合流車線を走行している車両からの反射光を受光しているときに、コンパレータの出力が「H」になり、本線の追い越し車線を走行している車両からの反射光を受光しているときや、車両からの反射光を受光していないときに、コンパレータの出力が「L」になるように設定される。すなわち、コンパレータの出力が「H」である車両検出センサ2a、3aの検出位置には、走行している車両が存在しており、コンパレータの出力が「L」である車両検出センサ2a、3aの検出位置には、走行している車両が存在していない。
【0032】
点灯制御部4には、本線側検出部2から車両検出センサ2a毎に車両の検出有無を示すコンパレータの出力に応じた信号が入力されるとともに、合流車線側検出部3から車両検出センサ3a毎に車両の検出有無を示すコンパレータの出力に応じた信号が入力される。点灯制御部4は、本線の走行車線を走行している車両を検出している車両検出センサ2aに対応するランプ32を点灯し、本線の走行車線を走行している車両を検出していない車両検出センサ2aに対応するランプ32を消灯する。また、点灯制御部4は、合流車線を走行している車両を検出している車両検出センサ3aに対応するランプ31を点灯し、合流車線を走行している車両を検出していない車両検出センサ3aに対応するランプ31を消灯する。点灯制御部4は、各ランプ31、32の点灯状態(点灯、または消灯)を制御するにあたり、特別な演算処理を行っておらず、車両検出センサ2a、3a毎に、入力されているコンパレータの出力に応じた信号に基づいて、対応するランプ31、32の点灯、消灯を切り換えているだけである。
【0033】
なお、図示していないが、ランプ31、32毎に点灯回路を設けており、点灯制御部4は、各ランプ31、32の点灯回路に対して、点灯、消灯を指示するだけで、点灯回路が点灯制御部4の指示にしたがって、対応するランプ31、32の点灯状態を切り換える。また、点灯状態を、点灯、消灯で切り換えるのではなく、高輝度で点灯、低輝度で点灯の切り換えで行うようにしてもよい。
【0034】
ランプ31、32は、後述するように、比較的車長が短いバイク等の車両であっても、2つ以上が点灯するように配置することが望ましいことから、ランプ31、32の配置間隔は、70cm未満とするのが好ましく、さらにいうなら、50cm程度にするのがより好ましい。また、ランプ31と、ランプ32の発光色は、同じ色であってもよいし、異なる色であってもよい。例えばランプ31の発光色を赤色、ランプ32の発光色を黄色としてもよいし、ランプ31の発光色を黄色、ランプ32の発光色を赤色としてもよいし、ランプ31、およびランプ32の発光色を赤色としてもよいし、ランプ31、およびランプ32の発光色を黄色としてもよいし、さらには赤色や、黄色以外の発光色としてもよい。この実施形態では、ランプ31の発光色を赤色、ランプ32の発光色を黄色として説明する。
【0035】
次に、この実施形態にかかる合流支援装置1の動作について説明する。この実施形態の合流支援装置1は、本線側車両検出部2が各車両検出センサ2aの検出位置における車両の有無を検出し、出力する。本線側車両検出部2は、本線の走行車線について走行している車両を検出するものであり、追い越し車線を走行している車両を検出するものではない。また、合流車線側車両検出部3が各車両検出センサ3aの検出位置における車両の有無を検出し、出力する。本線側車両検出部2、および合流車線側車両検出部3は、車両検出センサ2a、3aの出力をI−V変換し、コンパレータで基準電圧と比較して出力する構成である。また、上述したように、車両を検出していないときのコンパレータの出力は「L」であり,車両を検出しているときのコンパレータの出力は「H」である。したがって、車両が検出センサ2a、3aの検出位置に達すると、時間的に殆ど遅れることなく、対応するコンパレータの出力が「L」から「H」に反転する。また、車両が検出センサ2a、3aの検出位置を通り抜けると、時間的に殆ど遅れることなく、対応するコンパレータの出力が「H」から「L」に反転する。
【0036】
点灯制御部4は、検出センサ2a、3a毎に、入力されているコンパレータの出力に応じた信号に基づいて、対応するランプ31、32の点灯状態を制御する。具体的には、車両を検出している検出センサ2a、3aに対応するランプ31、32を点灯させ、車両を検出していない検出センサ2a、3aに対応するランプ31、32を消灯させる制御行う。これにより、本線側に配置されているランプ31は、合流車線において走行している車両が存在している位置に配置されているものが点灯し、走行している車両が存在していない位置に配置されているものが消灯する。また、合流車線側に配置されているランプ32は、本線において走行している車両が存在している位置に配置されているものが点灯し、走行している車両が存在していない位置に配置されているものが消灯する。
【0037】
また、点灯制御部4は、入力されているコンパレータの出力に応じた信号に基づいて、ランプ31、32毎に点灯状態を制御するだけであり、特別な演算処理を行わないので、入力されているコンパレータの出力に応じた信号に対して、殆ど遅れることなくランプ31、32の点灯制御が行える。また、上述したように、コンパレータの出力は、検出位置における車両の有無の変化に対して殆ど時間的に遅れることなく変化する。したがって、車両検出センサ2a、3aによる車両の検出に対して、ランプ31、32の点灯状態を殆どリアルタイムに変化させることができる。このため、本線を走行している車両のドライバは、側壁に所定間隔で配置されている複数のランプ31の点灯状態を確認することで、合流車線を走行している車両の位置や、その車両と自車との相対的な速度差を認識することができる。同様に、合流車線を走行している車両のドライバは、側壁に所定間隔で配置されている複数のランプ32の点灯状態を確認することで、本線の走行車線を走行している車両の位置や、その車両と自車との相対的な速度差を認識することができる。これにより、本線、および合流車線を走行している車両のドライバは、直接見通すことができない相手側の車線の交通状況を認識し、自分の運転能力に合わせて合流位置を決めて走行することができ、合流部における事故の発生が抑えられるとともに、本線の交通容量の低下も十分に抑えられる。
【0038】
また、上記実施形態では、車両検出センサ2a、3aによる車両の検出位置を、車両の走行方向における対応するランプ31、32の配置位置としたが、この検出位置を、図4に示すように、車両の走行方向における対応するランプ31、32の配置位置よりも、走行方向の反対側に数10cm程度ずらしてもよい。このようにすれば、車両検出センサ2a、3aによる車両の検出に対して、ランプ31、32の点灯状態を変化させるのにかかる時間を吸収することができ、ドライバに対して相手車線を走行している車両の位置を一層正確に伝えることができる。
【0039】
また、ランプ31、32の配置間隔を50cm程度にしているので、バイク等の比較的車長の短い車両(2m程度)であっても、3〜4個のランプ31、32の点灯により、その位置が示される。したがって、ドライバが見落とし、車両の存在に気づかずに合流部に進入する危険性が抑えられる。
【0040】
また、点灯制御部4に、本線側における渋滞・停滞の発生有無を判定する機能、合流車線側における渋滞・停滞の発生有無を判定する機能を設け、渋滞・停滞が発生していると判定したときに、ランプ31、32の点灯状態を、渋滞・停滞発生を通知する点灯状態にする制御を行う構成としてもよい。本線側で渋滞・停滞が発生しているかどうかの判定は、本線側車両検出部2の複数の車両検出センサ2aにおいて、同時に車両を検出している車両検出センサ2aの割合が予め定めた値以上であるかどうかにより判定すればよい。例えば、本線側車両検出部2の複数の車両検出センサ2aにおいて、同時に車両を検出している車両検出センサ2aの割合が70%以上であれば、本線側で渋滞・停滞が発生していると判定し、この割合が70%未満であれば、本線側で渋滞・停滞が発生していないと判定すればよい。同様に、合流車線側で渋滞・停滞が発生しているかどうかの判定は、合流車線側車両検出部3の複数の車両検出センサ3aにおいて、車両を検出している車両検出センサ3aの割合が予め定めた値以上であるかどうかにより判定すればよい。
【0041】
また、点灯制御部4は、本線側で渋滞・停滞が発生していると判定したとき、渋滞・停滞発生を通知する点灯状態として、例えば合流車線側に配置されている全てのランプ32を点滅させ、本線側で渋滞・停滞が発生していることを、合流車線を走行しているドライバに通知する。これにより、合流車線を走行しているドライバが、渋滞・停滞している本線に、比較的早い速度で進入することがなく、合流部における事故の発生が一層抑えられる。また、この場合、本線側に配置されているランプ31については、合流車線側で渋滞・停滞が発生していなければ、上述した点灯制御を行い、合流車線側の車両の位置を本線を走行しているドライバに認識させればよい。
【0042】
また、点灯制御部4は、合流車線側で渋滞・停滞が発生していると判定したとき、渋滞・停滞発生を通知する点灯状態として、例えば本線側に配置されている全てのランプ31を点滅させ、合流車線側で渋滞・停滞が発生していることを、本線を走行しているドライバに通知する。これにより、本線を走行しているドライバが、合流部に比較的早い速度で進入することがなく、合流部における事故の発生が一層抑えられる。また、この場合、合流車線側に配置されているランプ32は、本線側で渋滞・停滞が発生していなければ、上述した点灯制御を行い、合流車線を走行しているドライバに本線の車両の位置を認識させればよい。
【0043】
なお、本線、および合流車線の両方が渋滞・停滞しているときには、本線側に配置されている全てのランプ31、および合流車線側に配置されている全てのランプ32を点滅させてもよいし、これらの全てのランプを消灯させてもよい。
【0044】
また、渋滞発生時と、停滞発生時と、を区別してランプ31、32の点灯状態を切り換えるようにしてもよい。この場合、本線側車両検出部2の複数の車両検出センサ2aにおいて、同時に車両を検出している車両検出センサ2aの割合が70%以上で、且つ80%未満であれば、本線側で渋滞が発生していると判定し、この割合が80%以上であれば、本線側で停滞が発生していると判定すればよい。同様に、合流車線側車両検出部3の複数の車両検出センサ3aにおいて、同時に車両を検出している車両検出センサ3aの割合が70%以上で、且つ80%未満であれば、合流車線側で渋滞が発生していると判定し、この割合が80%以上であれば、合流車線側で停滞が発生していると判定すればよい。
【0045】
点灯制御部4は、本線側で渋滞が発生していると判定したときには、上述したように、各ランプ32を点滅させ、本線側で停滞が発生していると判定したときには、隣り合う一方のランプ32を点滅させ、他方のランプ32を消灯させる滅灯を行うようにすればよい。また、合流車線側で渋滞が発生していると判定したときには、上述したように、各ランプ31を点滅させ、合流車線側で停滞が発生していると判定したときには、隣り合う一方のランプ31を点滅させ、他方のランプ31を消灯させる滅灯を行うようにすればよい。
【0046】
なお、別の点灯状態の切り換えにより、渋滞発生、停滞発生を通知するようにしてもよい。
【0047】
また、上記実施形態では、車両検出センサ2a、3aとして、反射型の光センサを用いた場合を例にして説明したが、超音波センサ等を車両検出センサ2a、3aとして用いてもよい。
【0048】
次に、この発明の別の実施形態について説明する。この実施形態では、ランプ31、32毎に、車両検出センサ2a、3aを設けるのではなく、図5に示すように、車両検出センサ2a、3aを車両の走行方向に、ランプ31、32の配置間隔よりも長い間隔で配置した点で相違している。また、点灯制御部4は、本線側車両検出部2の各車両検出センサ2aにおける車両の検出結果から、本線を走行している車両毎に走行速度を算出し、時間経過にともなう車両の位置や、この車両の車長を算出する演算機能を有しているとともに、合流車線側車両検出部3の各車両検出センサ3aにおける車両の検出結果から、本線を走行している車両毎に走行速度を算出し、時間経過にともなう車両の位置や、この車両の車長を算出する演算機能を有している。
【0049】
点灯制御4の演算機能について説明する。点灯制御部4は、隣接する2つの車両検出センサ2a(または3a)により、本線(または合流車線)を走行している車両の走行速度、車長を算出する。また、この2つの車両検出センサ2a(または3a)の中で、合流部に近い方の車両検出センサ2a(または3a)から、合流部側の1つ先の車両検出センサ2a(または3a)までにおける、当該車両の時間経過にともなう位置を算出する。
【0050】
具体的にいうと、点灯制御部4は、図5に示す車両検出センサ2a-1が車両を検出したタイミングT1と、車両検出センサ2a-2が車両を検出したタイミングT2との時間差、および車両検出センサ2a-1と車両検出センサ2a-2との距離Lを用いて、当該車両の走行速度を算出する。また、車両検出センサ2a-1が車両を検出したタイミングT1から、この車両検出センサ2a-1が車両を検出しなくなるまでの時間と、先に算出した当該車両の走行速度から、この車両の車長を算出する。さらに、車両検出センサ2a-2が車両を検出したタイミングT2を基準にして、先に算出した当該車両の走行速度を用いて、当該車両が検出センサ2a-3に達するまでの時間経過にともなう車両の位置を算出する。
【0051】
そして、点灯制御部4は、上記の演算処理で算出した、当該車両の走行速度、車長、および時間経過にともなう車両の位置に基づいて、ランプ32の点灯状態を制御する。
【0052】
なお、ここでは、本線の走行車線を走行している車両を例にして説明したが、合流車線を走行している車両についても同じである。
【0053】
したがって、この実施形態においても、合流車線を走行している車両のドライバは、側壁に所定間隔で配置されている複数のランプ32の点灯状態を確認することで、本線の走行車線を走行している車両の位置や、その車両と自車との相対的な速度差を認識することができる。これにより、本線、および合流車線を走行している車両のドライバは、直接見通すことができない相手側の車線の交通状況を認識し、自分の運転能力に合わせて合流位置を決めて走行することができ、合流部における事故の発生が抑えられるとともに、本線の交通容量の低下も十分に抑えられる。また、車両検出センサ2a、3aの個数を低減することができ、コストダウンが図れる。
【0054】
また、点灯制御部4における時間経過にともなう車両の位置を算出する演算においては、上述した演算処理にかかる時間を考慮するのが好ましい。これにより、ドライバに対して相手車線を走行している車両の位置を、より正確に伝えることができる。
【0055】
また、この実施形態においても、上記実施形態と同様に、点灯制御部4に、本線側における渋滞・停滞の発生有無を判定する機能、合流車線側における渋滞・停滞の発生有無を判定する機能を設け、渋滞・停滞が発生していると判定したときに、ランプ31、32の点灯状態を、渋滞発生を通知する点灯状態にする制御を行う構成としてもよい。この場合、渋滞・停滞の発生有無の判定は、一定時間内において、検出された本線を走行している車両の平均速度から、本線で渋滞が発生しているかどうかを判定すればよい。例えば、5分間の間に検出された車両の平均速度が30km/h以下であれば本線で渋滞・停滞が発生していると判定すればよい。合流車線における渋滞・停滞の発生有無の判定も同様に行えばよい。
【0056】
さらに、点灯制御部4に、本線側における渋滞と、停滞との発生を区別して判定する機能、合流車線側における渋滞と、停滞との発生を区別して判定する機能を設け、渋滞発生時と、停滞発生時とでランプ31、32の点灯状態を異ならせるようにしてもよい。この場合、本線において、5分間の間に検出された車両の平均速度が30km/h以下で、且つ10km/hを超えていれば、本線で渋滞が発生していると判定し、5分間の間に検出された車両の平均速度が10km/h以下であれば、本線で停滞が発生していると判定すればよい。合流車線における渋滞発生と、停滞発生の判定も同様に行えばよい。
【0057】
点灯制御部4は、本線側で渋滞が発生していると判定したときには、上述したように、各ランプ32を点滅させ、本線側で停滞が発生していると判定したときには、隣り合う一方のランプ32を点滅させ、他方のランプ32を消灯させる滅灯を行うようにすればよい。また、合流車線側で渋滞が発生していると判定したときには、上述したように、各ランプ31を点滅させ、合流車線側で停滞が発生していると判定したときには、隣り合う一方のランプ31を点滅させ、他方のランプ31を消灯させる滅灯を行うようにすればよい。
【0058】
なお、別の点灯状態の切り換えにより、渋滞発生、停滞発生を通知するようにしてもよい。
【0059】
さらに、車両検出センサ2a、2bを、図6に示すように、本線を撮像するカメラ2b、および合流車線を撮像するカメラ3bに置き換えてもよい。この場合、点灯制御4に、異なるタイミングで撮像された2枚の撮像画像を処理し、撮像されている車両毎に、走行速度や車長を演算するとともに、時間経過にともなう車両位置を演算する機能を設ければよい。
【0060】
また、図7に示すように、本線および合流車線の前方に表示板35を設け、この表示板35において渋滞の発生有無を表示するようにしてもよい。また、この表示板35で、合流支援装置1の停止等にかかる表示を行ってもよい。また、合流支援装置1において、本線側車両検出部2や合流車線側車両検出部3に障害が発生し、本線、または合流車線を走行している車両の位置を適正に検出できない状態になったときには、点灯制御部4により、ランプ31、32を全て消灯してもよいが、ドライバが相手車線側に走行している車両がないと誤解して合流部に進入するのを防止するために、上述した渋滞発生時の点灯状態、または停滞発生時の点灯状態に制御するほうが好ましい。また、この障害発生時には、表示盤35において、障害発生中や、調整中等の表示を行うことで、合流支援装置1に障害が発生していることを、より確実に、ドライバに認識させることができる。
【0061】
なお、予め定めた比率、例えば20%以上、の車両検知センサ2a、3aが故障しているときや、合流部近くの車両検知センサ2a、3aが故障しているとき等に、本線側車両検出部2や合流車線側車両検出部3に障害が発生していると判定すればよい。
【図面の簡単な説明】
【0062】
【図1】この実施形態にかかる合流支援装置が適用された合流部付近の道路を示す概略図である。
【図2】この実施形態にかかる合流支援装置の構成を示すブロック図である。
【図3】車両検出センサの検出位置と、ランプの配置位置と、の関係を示す図である。
【図4】車両検出センサの検出位置と、ランプの配置位置と、の関係を示す図である。
【図5】別の実施形態にかかる合流支援装置を示す図である。
【図6】別の実施形態にかかる合流支援装置を示す図である。
【図7】別の実施形態にかかる合流支援装置を示す図である。
【符号の説明】
【0063】
1−合流支援装置
2−本洗側車両検出部
3−合流車線側車両検出部
2a、3a−車両検出センサ
4−点灯制御部
31、32ーランプ
35−表示板

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の道路における車両の位置を検出する第1の車両位置検出部と、
前記第1の道路に合流する第2の道路における車両の位置を検出する第2の車両位置検出部と、
前記第1の道路側、および前記第2の道路側のそれぞれに、合流部の手前から車線に沿って所定間隔で配置した複数のランプの点灯状態を制御する点灯制御部と、を備え、
前記点灯制御部は、
前記第1の道路側に配置されている複数のランプを、前記第2の車両位置検出部において車両が検出された位置に対応するランプと、車両が検出されていない位置に対応するランプとで、点灯状態を異ならせるとともに、
前記第2の道路側に配置されている複数のランプを、前記第1の車両位置検出部において車両が検出された位置に対応するランプと、車両が検出されていない位置に対応するランプとで、点灯状態を異ならせる、合流支援装置。
【請求項2】
前記第1の車両位置検出部、および前記第2の車両位置検出部は、ランプ毎に、そのランプに対応する位置における車両の有無を検出し、出力する車両検出センサを有し、
前記点灯制御部は、ランプ毎に、対応する車両検出センサの出力に応じて点灯状態を制御する、請求項1に記載の合流支援装置。
【請求項3】
前記第1の車両位置検出部、および前記第2の車両位置検出部は、車両の位置に加えて、その車両の走行速度を検出し、
前記点灯制御部は、前記第1の車両位置検出部、および前記第2の車両位置検出部により検出された車両毎に、その車両の検出位置、および走行速度を用いて、時間経過にともなう車両の位置を推定した推定結果に基づいて、前記ランプの点灯状態を時間経過にともなって変化させる制御を行う、請求項1に記載の合流支援装置。
【請求項4】
前記第1の車両位置検出部、および前記第2の車両位置検出部は、車両の位置に加えて、その車両の走行速度を検出し、
前記点灯制御部は、前記第1の車両位置検出部、および前記第2の車両位置検出部により検出された車両毎に、その車両の検出位置、走行速度、および前記ランプの点灯を制御するまでに要する遅れ時間、を用いて、前記ランプの点灯制御時における車両の位置を推定した推定結果に基づいて、前記ランプの点灯状態を制御する、請求項1に記載の合流支援装置。
【請求項5】
前記点灯制御部は、車両が存在していない位置に配置されているランプを消灯する、請求項1〜4のいずれかに記載の合流支援装置。
【請求項6】
前記点灯制御部は、前記第1の道路における渋滞の発生有無を判定する第1の判定機能を有し、この第1の判定機能により前記第1の道路で渋滞が発生していると判定した場合に、前記第2の道路側のランプを、予め定められた渋滞発生時の点灯状態に制御する、請求項1〜5のいずれかに記載の合流支援装置。
【請求項7】
前記点灯制御部は、前記第2の道路における渋滞の発生有無を判定する第2の判定機能を有し、この第2の判定機能により前記第2の道路で渋滞が発生していると判定した場合に、前記第1の道路側のランプを、予め定められた渋滞発生時の点灯状態に制御する、請求項1〜6のいずれかに記載の合流支援装置。
【請求項8】
前記複数のランプを配置している間隔は、70cm未満である、請求項1〜5のいずれかに記載の合流支援装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate


【公開番号】特開2008−40892(P2008−40892A)
【公開日】平成20年2月21日(2008.2.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−215975(P2006−215975)
【出願日】平成18年8月8日(2006.8.8)
【出願人】(000002945)オムロン株式会社 (3,542)
【Fターム(参考)】