説明

合算温度補償信号を使用する非線形センサ温度補償

【課題】電気的センサ出力信号のオフセット及びゲインは線形ではない温度依存性を有し、第2の潜在的なより高次の温度依存性を有する場合でも所望の精度を達成する温度補償を可能とする。
【解決手段】センサと、センサにより生成されるオフセット及び/またはゲインの非線形温度依存性を補償する非線形温度補償回路とを有するセンサ温度補償回路。例えば、オフセット温度依存性を少なくとも部分的に補償するのに、加算器は、第2の信号と第1の信号との比が温度の関数である2つのオフセット補償信号を合算する。合算された信号は、オフセットに非線形温度補償を行うのに使われてもよい。あるいは、または加えて、ゲイン温度依存性を少なくとも部分的に補償するのに、加算器は、第2の信号と第1の信号との比が温度の関数である2つのゲイン補償信号を合算する。合算された信号は、ゲインに非線形温度補償を行うのに使われてもよい。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、センサにより生成された電気信号のオフセット及び/またはゲインについて非線形温度補償を行うセンサ温度補償回路に関する。
【背景技術】
【0002】
電子回路は、これまで以上に有用な複合機能を提供する。回路の一種として、測定される物理的パラメータ(例えば圧力など)を感知し、この測定されたパラメータを表す電気的センサ出力信号を生成するセンサがある。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかし、測定される物理的パラメータの値が一定であっても、電気的センサ出力信号は温度に伴って変化する可能性がある。より具体的には、温度変化は電気的センサ出力信号のオフセット及びゲインを変化させ、これによりセンサ測定が温度に起因して不正確になる可能性がある。
【0004】
したがって、センサ回路はしばしばセンサの下流の信号経路上に温度補償回路を有する。この温度補償回路により、電気的センサ出力信号のオフセット及びゲインの温度補償が可能となる。いくつかの温度補償回路は線形温度補償を提供する。しかし、電気的センサ出力信号のオフセット及びゲインは線形ではない温度依存性を有する。言い換えると、電気的センサ出力信号は第2の潜在的なより高次の温度依存性を有する。よって、用途によっては線形温度補償は所望の精度を達成するには不十分な場合がある。精度向上に役立ち得るのが非線形温度補償である。
【0005】
従来のある非線形温度補償回路によれば、実際の温度依存性について折れ線近似を与えることにより非線形性が得られる。しかし、厳密な折れ線近似が望ましくない用途および/またはセンサもある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の実施形態は、センサにより生成される電気的センサ出力信号のオフセット及び/またはゲインの非線形温度依存性を補償するセンサおよび非線形温度補償回路を含むセンサ温度補償回路に関する。例えば、オフセット温度依存性を少なくとも部分的に補償するため、加算器により2つの信号の比が温度の関数である2つのオフセット温度補償信号が合算される。合算された信号はさらに温度の関数で乗算されてもよい。合算された信号は、さらにオフセットに非線形温度補償を行うのに用いられてもよい。あるいは、またはこれに加えて、ゲイン温度依存性を少なくとも部分的に補償するため、加算器によりその比が温度の関数である2つのゲイン温度補償信号が合算される。合算された信号は温度の関数に対して乗算され、ゲインに非線形温度補償を行うのに用いられてもよい。
【0007】
本発明の実施形態のこれらの、またその他の特徴については、以下の説明および添付の請求項から十分に明らかとなり、または以下に記載の本発明の実施態様により理解されるであろう。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
本発明の実施形態は、センサにより生成された電気信号のオフセット及び/またはゲインについて非線形温度補償を行うセンサ温度補償回路に関する。図1は本発明の原理に基づくセンサ温度補償回路100を示す。
【0009】
回路100は、動作時に物理的パラメータを感知し、この物理的パラメータを示す電気的センサ出力信号を生成するように構成されたセンサ110を有する。本発明の原理はセンサ110に測定される物理的パラメータのタイプにより限定されないが、センサ110により測定可能な物理的パラメータは圧力、湿度、光度、振動、加速度、温度、磁力、方向、及びその他多くのものを含む。
【0010】
所定の温度で、センサ110は、特定のオフセット及びゲインを伴う電気信号を生成する。しかし、温度はこの所定の温度から変化するので、出力信号のオフセット及び/またはゲインも異なる場合がある。オフセット及びゲインにおけるこれらの温度依存性は線形温度補償を行うことで幾分か補償されうる。しかし、いくつかのより精密な用途では、オフセットまたはゲインは非線形温度補償を用いて補償される場合がある。よって、回路100は、電気的センサ110出力信号のオフセット及び/またはゲインに非線形温度補償を行う手段120を有する。このような手段120の例は、以下の図および説明に示される。
【0011】
例えば、図2は、センサ210と、オフセット温度補償回路220と、及びゲイン温度補償回路230とを有する非線形温度補償回路200を示す。オフセット温度補償回路220およびゲイン温度補償回路230のうちひとつ、または潜在的には双方は、それぞれ付随する非線形温度補償回路221および231を有する。
【0012】
非線形温度補償回路221を備える場合、オフセット温度補償回路220は、その比が温度の関数である合算されたオフセット補償信号を用い、合算されたオフセット補償信号を温度の関数で乗算する本発明の原理に従い、非線形オフセット温度補償を行ってもよい。非線形温度補償回路221を備えないとき、オフセット温度補償回路220は、線形オフセット温度補償を行うか、または場合により他のタイプの非線形オフセット温度補償を行ってもよい。
【0013】
同様に、非線形温度補償回路231を備える場合、ゲイン温度補償回路230は、その比が温度の関数である合算されたゲイン補償信号を用い、合算されたオフセット補償信号を温度の関数で乗算する本発明の原理に従い、非線形ゲイン温度補償を行ってもよい。非線形温度補償回路231を備えないとき、ゲイン温度補償回路230は、線形オフセット温度補償を行うか、または場合により他のタイプの非線形ゲイン温度補償を行ってもよい。
【0014】
図2を図1と較べると、センサ210は、センサ110に関して上述されたように構成されてよく、更に、オフセット温度補償回路220とゲイン温度補償回路230との組み合わせは、非線形オフセット及び/またはゲイン補償を与える手段120の具体例のひとつと見なしてよい。本発明の原理に則ったいくつかのデザインにおいては、オフセット温度補償回路220とゲイン温度補償回路230との位置が逆にされてもよい。
【0015】
いくつかの状況および/またはいくつかのセンサでは、オフセットを補償する必要がないか、またはオフセット温度依存性を補償する必要がない場合がある。このような場合、図2のセンサ210の下流に直接ゲイン温度補償回路230が置かれてもよい。このとき、ゲイン温度補償回路230は単独で(非線形温度補償回路231と共に)非線形オフセット及び/またはゲイン補償を与える手段120の具体例のひとつと見なすことができる。
【0016】
よって、ゲイン温度補償回路230は、少なくとも電気的センサ出力信号から派生した信号を受信するように少なくとも間接的にセンサ回路に接続される。例えば、オフセット温度補償回路220がない場合、またはオフセット及びゲイン温度補償回路220及び230の位置が逆の場合、ゲイン温度補償回路230はセンサ210から本来の形の電気的センサ出力信号を受信するようにセンサ210に直接接続されてもよい。一方、図2に示されるように、ゲイン温度補償回路230はオフセット温度補償回路220を介してセンサ210に間接的に接続され、これによりオフセット温度補償回路220により信号が処理された後、電気的センサ出力信号から派生した信号のみを受信してもよい。加えて、他の前処理部は本発明の原理から逸脱しない範囲でセンサ210とゲイン温度補償回路230との間の信号経路に介在してもよい。
【0017】
加えて、いくつかの状況および/またはいくつかのセンサでは、ゲインを補償する必要がないか、またはゲイン温度依存性を補償する必要がない場合がある。このような場合、ゲイン温度補償回路230はなくてもよい。この場合、オフセット温度補償回路220は単独で、(非線形温度補償回路221とともに)非線形オフセット及び/またはゲイン補償120を与える手段の一例としてみなされうる。
【0018】
よって、オフセット温度補償回路220は、少なくとも電気的センサ出力信号から派生した信号を受信するように少なくとも間接的にセンサ回路に接続される。例えば、図2に示すように、オフセット温度補償回路220は、センサ210に直接接続され、センサ210から本来の形のセンサ出力信号を受信するようにしてもよい。一方、オフセット及びゲイン温度補償回路220及び230の位置が逆の場合、オフセット温度補償回路220はゲイン温度補償回路230を介して間接的に電気的センサ出力信号を受信することになる。また、他の前処理部は本発明の原理から逸脱しない範囲でセンサ210とオフセット温度補償回路220との間の信号経路に介在してもよい。
【0019】
非線形温度補償回路221及び231を備える場合、この各々は、その比が温度の関数である合算された補償信号を用い、合算された補償信号を温度の関数で乗算して非線形温度補償を行う。例えば、図3Aは、回路300Aの形でオフセットの温度依存性を補償する非線形オフセット温度補償回路221の一例の概略図を示す。図3Bは、回路300Bの形でゲインの温度依存性を補償する非線形ゲイン温度補償回路231の一例の概略図を示す。
【0020】
図3Aは、信号(本文中「第1オフセット補償信号」としても参照される)を生成するように構成された第1オフセット補償値発生部311Aを有する非線形オフセット温度補償回路300Aを示す。一つの実施形態では、この第1オフセット補償信号は温度に対する依存度がより低い、もしくは場合によっては全く温度に依存しない。例えば、第1オフセット補償信号は、オフセットの直線部を補償することを目的とするオフセット温度係数(OTC)に比例してよい。非線形オフセット温度補償回路300Aは、(本文中「第2オフセット補償信号」としても参照される)信号を生成するように構成された第2オフセット補償値発生部312Aも有する。第2オフセット補償信号の大きさと第1オフセット補償信号の大きさとの比は温度の関数である。
【0021】
第1および第2オフセット補償信号は、第1および第2オフセット補償信号の合計に比例する信号を生成する加算器313Aに送られる。加算器313Aにより送られる合算されたオフセット補償信号は、続いて、温度関数乗算部315Aを用い、温度関数により乗算される。温度関数乗算部315Aの温度関数は、オフセット補償信号の大きさの比を示す温度関数と異なっていても、または同じでもよい。図4B及び4Cの例により更に詳細に記載される有用な一つの実施形態では、温度関数乗算部315Aの温度関数は、単に測定温度そのものである。よって、温度関数乗算部315Aは、測定温度により(加算器313Aからの)合算されたオフセット補償信号を単に乗算してもよい。
【0022】
非線形オフセット補償部314Aは、温度関数乗算部315Aに接続され、温度関数乗算部315Aから結果として得られる信号(本文中「温度関数乗算オフセット補償信号」としても参照される)を用い、電気的センサ出力信号(またはその処理後のもの)を非線形オフセット補償する。
【0023】
あるいは、または加えて、ゲイン温度補償回路230は、図3Bに示される非線形ゲイン温度補償回路300Bなどの非線形ゲイン温度補償回路231を有する。この非線形ゲイン温度補償回路300Bは、信号(本文中「第1ゲイン補償信号」としても参照される)を生成するように構成された第1ゲイン補償値発生部311Bも有する。
【0024】
非線形ゲイン温度補償回路300Bは、信号(本文中「第2ゲイン補償信号」としても参照される)を生成するように構成された第2ゲイン補償値発生部312Bも有する。第2ゲイン補償信号の大きさと第1ゲイン温度補償の大きさとの比は温度の関数である。非線形オフセット構成要素回路300Aと非線形ゲイン補償回路300Bとの双方がある場合、第1オフセット補償信号は第1ゲイン補償信号と独立に制御されてもよい。同様に、第2オフセット補償信号は第2ゲイン補償信号から独立して制御されてもよい。
【0025】
第1および第2ゲイン補償信号は、第1および第2ゲイン補償信号の合計に比例する信号を生成する加算器313Bに送られる。加算器313Bにより送られる合算されたゲイン補償信号は、続いて、温度関数乗算部315Bを用い、温度関数により乗算される。温度関数乗算部315Bの温度関数は、ゲイン補償信号の大きさの比を表す温度関数と異なっていても、同じでもよい。図4A及び4Cの例により詳細に記述される有用な一つの実施形態では、温度関数乗算部315Bの温度関数は単に測定温度そのものである。従って、温度関数乗算部315Bは、測定温度により(加算器313Bからの)合算されたゲイン補償信号を単に乗算してもよい。
【0026】
非線形ゲイン補償部314Bは、温度関数乗算部315Bに接続され、温度関数乗算部315Bから結果として生じた信号(本文中「温度関数乗算ゲイン補償信号」としても参照される)を用い、電気的センサ出力信号(またはその処理後のもの)を非線形ゲイン補償する。
【0027】
上述のように、非線形オフセット温度補償回路300Aがある場合、第1及び第2オフセット補償信号は、これらの比が何らかの温度の関数となるように構成されてもよい。例えば、第1オフセット補償信号は、オフセット温度補償の直線部を示してもよく、これに対し、第2オフセット補償信号はオフセット温度補償の非線形部を示してもよい。
【0028】
第1および第2オフセット補償信号は別の構成手段で設定されてもよい。例えば、第1オフセット補償信号は、オフセットの温度依存性の直線部を補償することを目的とするオフセット温度係数(OTC)に相当する乗数と何らかのソース信号とを乗算して得られていてもよい。一方で、一例として、第2オフセット補償信号は、温度の関数である他の信号と同じソース信号とを乗算して得られていてもよい。第1および第2オフセット補償信号は所望の形に変更可能であり、第2オフセット補償信号はゼロにされてもよく、または線形オフセット温度補償に変更するために定数にされてもよい。第2オフセット補償値発生部312Aは、第2オフセット温度補償信号により表される温度関数を微調整する多重パラメータを備えてもよい。このように、非線形オフセット補償回路300Aは、オフセットの温度補償を行う非常に柔軟な手段を提供する。
【0029】
非線形ゲイン補償回路300Bがある場合、同様のことが言える。第1および第2ゲイン補償信号は、これらの比が何らかの温度の関数となるように構成されてもよい。例えば、第1ゲイン補償信号は、ゲイン温度補償の直線部を示してもよく、一方、第2ゲイン補償信号はゲイン温度補償の非線形部を示してもよい。
【0030】
第1および第2ゲイン補償信号は、別の構成手段で設定されてもよい。例えば、第1ゲイン補償信号は、ゲインでの温度依存性の直線部を補償することを目的とするゲイン温度係数(GTC)を表す乗数と、何らかのソース信号とを乗算して得られてもよい。一方で、一例として、第2ゲイン補償信号は温度の関数である他の信号と、同じソース信号とを乗算して得られてもよい。第1および第2ゲイン補償信号は、所望の形に変更可能で、第2ゲイン補償信号はゼロにされてよく、または線形オフセット温度補償に変更するために定数とされてもよい。第2ゲイン補償値発生部312Bは、第2ゲイン補償信号により表される温度関数を微調整する多重パラメータを備えてもよい。このように、非線形ゲイン補償回路300Bは、ゲインの温度補償を行うための非常に柔軟な手段を提供する。
【0031】
以下に更に述べるように、温度関数を適切に選択することにより、適切なオフセット及び/またはゲインの非線形温度補償が得られる。較正過程では、適切な温度関数を得るために様々な候補の温度関数を実験的に試してもよい。このような較正過程は、本明細書を読んだ後で当業者に対して明らかとなるであろう温度依存の通常の形の公知の特徴を考慮に入れてもよい。
【0032】
本発明の一般的な特徴のいくつか、及び本発明の実施形態のいくつかをここまで述べてきたが、ここからはこのような通常の実施形態のうちの特定の具体的な回路図について、図4Aないし4Cに関して述べる。図4Aは、オフセット温度補償が線形で、ゲイン温度補償が非線形である具体的な回路例を示す。一方、図4Bは、ゲイン温度補償が線形で、オフセット温度補償が非線形である具体的な回路例を示す。最後に、図4Cは、オフセット及びゲイン温度補償の双方が非線形の具体的な回路例を示す。これらの各例では、第1オフセット及びゲイン補償信号は、それぞれ適切な温度補償定数とソース信号とを乗算して得られるのに対し、第2オフセット及びゲイン補償信号は、何らかの温度の関数とソース信号とを乗算して得られる。図4Aないし4Cを順に説明する。
【0033】
図4Aは、線形オフセット温度補償および非線形ゲイン温度補償を行うセンサ温度補償回路400Aを示す。オフセット温度補償回路は、要素421Aないし424A及び427Aを有する。ゲイン温度補償回路は、要素431Aないし438Aを有する。図4Aないし4Cの特定の実施形態では、オフセット温度補償回路は、ゲイン温度補償回路が電気的センサ出力信号のゲインに対して温度補償を行うのに先立って、電気的センサ出力信号のオフセットに対して温度補償を行う。しかし、本発明の原理は、これらの具体的な回路にも、オフセット及びゲイン補償の具体的な順番にも限定されるものではない。
【0034】
図4Aのオフセット温度補償回路では、増幅器421Aは電気的センサ出力信号を増幅する。本明細書では、(センサ410A、410B、及び410Cのような)センサにより作り出された信号を示すのに「Vin」という用語を使う。増幅器421Aが1のゲインを有するとき、増幅器421Aからのその出力信号も同じく記号Vinを用いて表されてもよい。
【0035】
オフセットデジタルアナログ変換器(DAC)423Aは、本文中「Offset」及び「Ref」と呼ばれる2つの電圧に比例する信号を生成する。一つの実施形態では、センサ410Aがブリッジセンサである場合、電圧Refはブリッジ励起電圧に連動する。この結果として得られる信号は、本文中「Offset」という用語により参照される。
【0036】
OTC DAC 424Aは、本文中「OTC」(Offset Temperature Coefficientの略)及び「Ref」と呼ばれる2つの電圧に比例する信号を生成する。この結果として得られる信号も、本文中「OTC」として参照される。
【0037】
OTC DAC 424Aからの信号OTCは、温度DAC427Aにより受信され、また、通常測定される温度に伴って変化する「Temp」と呼ばれるデジタル信号も温度DAC427Aにより受信される。温度DAC427Aは、OTC倍のTemp(すなわちOTC*Temp)を表す信号を生成する。
【0038】
加算器422Aで、3つの信号Vin、Offset、及びOTC*Tempを合算することによって、以下の方程式1Aにより表される信号が得られる。
【0039】
【数1】

(1A)
【0040】
よって、オフセット及び補償されるオフセットにおける温度依存性の直線部によってではなく、Offset及びOTCの値を適切に選択することによって、加算器422Aにより生成される信号は電気的センサ出力信号Vinの派生信号を示す。
【0041】
(方程式1Aで表された)オフセット温度補償回路からの電気的センサ出力信号は、次にゲイン温度補償回路に送られ送られる。具体的には、電気的センサ出力信号は、最初に可変ゲイン増幅器433Aに送られ、本文中「Gain」として参照されるゲインにより増幅される。可変ゲイン増幅器433Aから送られる増幅された信号は、以下の方程式2Aにより規定される値を持つことになる。
【0042】
【数2】

(2A)
【0043】
この信号は、本文中「図4Aの可変ゲイン増幅器出力信号」としても参照される。
【0044】
図4Aの可変ゲイン増幅器出力信号は、本文中「KG」として参照されるゲインを持つ増幅器431Aに送られる。これに応じて、増幅器431Aは、以下の方程式3Aにより表される出力信号を生成する。
【0045】
【数3】

(3A)
【0046】
図4Aの可変ゲイン増幅器出力信号は、GTC DAC 434Aにも送られ、GTC(Gain Temperature Coefficientゲイン温度係数)により乗算され、以下の方程式4Aにより表される信号が得られる。
【0047】
【数4】

(4A)
【0048】
この信号は、図4Aの第1ゲイン補償信号の一例である。この例では、方程式4Aの信号は、方程式2Aで表されるソース信号にGTCの乗数を適用することにより得られた。
【0049】
最後に、図4Aの可変ゲイン増幅器出力信号は、Temp関数DAC 435Aに送られ、(本文中「f(Temp)」として参照される)温度の関数であるゲインと乗算される。Temp関数DAC435Aから結果として得られる信号は、以下の方程式5Aにより表される。
【0050】
【数5】

(5A)
【0051】
この信号は、図4Aの第2ゲイン補償信号の一例である。この例では、信号はTempの関数「f(Temp)」と方程式2Aのソース信号とを乗算することにより得られる。関数「f(Temp)」は任意の温度の関数でよいものの、適切な非線形温度補償を提供する「f(Temp)」パラメータを用いて入念に選択されてもよい。温度関数 f (Temp) の具体的な選択は、電気的センサ出力信号のゲインの温度依存性に示される具体的な非線形性への依存度が高いが、これに関して図5A及び5Bについて適切な例を以下に記載する。第2ゲイン補償信号と第1ゲイン補償信号との比(つまり方程式5Aを方程式4Aで除算することにより得られるf (Temp)/GTC)が温度の関数であることに留意されたい。
【0052】
方程式4A及び5Aにより得られる信号は、次に加算器436Aにより受信され、以下の方程式6Aにより表される合算された信号が生成される。
【0053】
【数6】

(6A)
【0054】
この信号は温度DAC 437Aに送られ、測定温度Tempと乗算され、以下の方程式7Aが得られる。
【0055】
【数7】

(7A)
【0056】
温度DAC 437Aは、図3Bの温度関数乗算部315Bの適切な例を表す。
【0057】
加算器432Aは、次に方程式3A及び7Aから得られた信号を合算し、以下の方程式8Aが得られる。
【0058】
【数8】

(8A)
【0059】
結果として得られる信号は、続いて増幅器438Aにより増幅される。一つの実施例では、増幅器438Aのゲインは1なので、ゲイン温度補償回路からの出力信号は方程式8Aに対するものと同じままである。
【0060】
結果として得られる信号の方程式である方程式8Aを分析すると、OTCが定数なので電気的センサ出力信号のオフセットは直線的に補償される。しかし、GTC+f(Temp)は温度に伴い変化するので、電気的センサ出力信号のゲインは非線形的に補償される。
【0061】
図4Bは、非線形オフセット温度補償および線形ゲイン温度補償を行うセンサ温度補償回路400Bを示す。オフセット温度補償回路は、要素421Bないし427Bを有する。ゲイン温度補償回路は、要素431Bないし434B、及び437Bと438Bを有する。
【0062】
図4Bのオフセット温度補償回路では、増幅器421Bは電気的センサ出力信号Vinを増幅する。増幅器421Bが1のゲインを有するとき、増幅器421Bからの出力信号も記号Vinを用いて表されてもよい。
【0063】
オフセットDAC423Bは、2つの電圧Offset及びRefに比例する信号を生成し、結果として得られる信号Offsetを生成する。
【0064】
OTC DAC 424Bは、本文中OTC(Offset Temperature Coefficientの略)及びRefと呼ばれる2つの電圧に比例する信号を生成し、信号OTCを生成する。このOTC信号は、図3Aの第1オフセット補償信号の一例を表し、(OTCとも呼ばれる)乗数をRefと呼ばれるソース信号に適用して得られたものである。
【0065】
Temp関数DAC 425Bは、電圧Ref及び温度の関数 f(Temp)に比例する信号を生成し、本文中f(Temp)とも呼ばれる信号を生成する。この信号は、図3Aの第2オフセット補償信号の一例である。第2オフセット補償信号と第1オフセット補償信号との比(すなわちf(Temp)/OTC)は温度の関数であることに留意されたい。図4Bの温度関数f(Temp)は、センサのオフセット及びゲインがしばしば異なる非線形温度特性を持つため、図4Aに関して参照される温度関数f(Temp)と異なる場合がある。
【0066】
OTC DAC 424Bからの信号(すなわち信号OTC)は、続いて加算器426Bを用いてTemp関数DAC 425Bからの信号に合算され、合算された信号が生成される。
【0067】
この合算された信号は、次に温度DAC 427Bに送信され、測定温度Tempと乗算され、以下の方程式1Bにより表される信号が得られる。
【0068】
【数9】

(1B)
【0069】
温度DAC 427Bは、図3Aの温度関数乗算部315Aの適切な例を表す。
【0070】
増幅器421Bからの信号(すなわち信号Vin)、オフセットDAC423Bからの信号(すなわち信号Offset)及び温度DAC 427Bからの信号(すなわち方程式1Bにより表される信号)は、次に加算器422Bに送信され、以下の方程式2Bにより表される加算された信号が得られる。
【0071】
【数10】

(2B)
【0072】
温度補償回路.この合算された信号は、非線形オフセットからの出力を表す。
【0073】
方程式2Bを見てみると、オフセットの温度補償は、OTCの適切な値および適切な温度関数f(Temp)を選ぶことにより、非線形的に行われてもよいことが分かる。関数f(Temp)は、Temp関数DAC 425Bに送られる温度関数パラメータを用いて選択されてもよい。
【0074】
図4Bのオフセット温度補償回路からの電気的センサ出力信号は、次に図4Bのゲイン温度補償回路に送られる。具体的には、電気的センサ出力信号は、最初に可変ゲイン増幅器433Bに送信され、ゲイン「Gain」により増幅される。可変ゲイン増幅器433Bから送られる増幅された信号は、従って以下の方程式3Bにより規定される値を持つことになる。
【0075】
【数11】

(3B)
【0076】
この信号は、本文中「図4Bの可変ゲイン増幅器出力信号」としても参照される。
【0077】
図4Bの可変ゲイン増幅器出力信号は、本文中「KG」として参照されるゲインを持つ増幅器431Bに送られる。これに応じて、増幅器431Bは、以下の方程式4Bにより表される出力信号を生成する。
【0078】
【数12】

(4B)
【0079】
図4Bの可変ゲイン増幅器出力信号は、GTC DAC 434Bにも送信され、ゲイン温度係数(GTC)のゲインを用いて乗算され、以下の方程式5Bに表される信号が得られる。
【0080】
【数13】

(5B)
【0081】
方程式5Bの信号は、温度DAC 437Bに送信され、測定温度Tempと乗算され、以下の方程式6Bが得られる。
【0082】
【数14】

(6B)
【0083】
加算器432Bは、次に方程式4B及び6Bから得られた信号を合算し、以下の方程式7Bが得られる。
【0084】
【数15】

(7B)
【0085】
結果として得られる信号は、続いて増幅器438Bにより増幅される。一つの実施形態では、増幅器438Bのゲインは1であり、よってゲイン温度補償回路からの出力信号は方程式7Bに関してと同様のままである。
【0086】
方程式7Bの式を分析すると、OTC+ f(Temp)は温度の関数なので、電気的センサ出力信号のオフセットは非線形的に補償される。更に、GTCは定数なので、電気的センサ出力信号のゲインは、直線的に補償される。
【0087】
図4Cは、オフセット及びゲイン双方の温度補償が非線形であるセンサ温度補償回路400Cを示す。オフセット温度補償回路は、要素421Cないし427Cを有する。ゲイン温度補償回路は、要素431Cないし438Cを有する。
【0088】
図4Cのオフセット補償回路の構造および機能は、図4Bに関して記載されたのと同様であってもよい。よって、加算器422Cにより生成される信号は、上記方程式2Bによって十分に示されるが、便宜性のために方程式1Cとして以下に再度記載する。
【0089】
【数16】

(1C)
【0090】
方程式1Cを見てみると、オフセットの温度補償は、OTCの適切な値および適切な温度関数f(Temp)を選ぶことにより非線形的に行われてもよいことが分かる。関数f(Temp)は、Temp関数DAC 425Cに送られる温度関数パラメータを用いて選択されてもよく、図4A及び4Bの温度関数と異なってもよい。
【0091】
図4Cのオフセット温度補償回路からの電気的センサ出力信号は、次に図4Cのゲイン温度補償回路に送られる。具体的には、電気的センサ出力信号は、最初に可変ゲイン増幅器433Cに送られ、ゲイン「Gain」により増幅される。可変ゲイン増幅器433Cから送られる増幅された信号は、従って以下の方程式2Cにより規定される値を持つことになる。
【0092】
【数17】

(2C)
【0093】
この信号は、本文中「図4Cの可変ゲイン増幅器出力信号」としても参照される。
【0094】
図4Cの可変ゲイン増幅器出力信号は、本文中「KG」として参照されるゲインを持つ増幅器431Cに送られる。これに応じて、増幅器431Cは、以下の方程式3Cによって表される出力信号を生成する。
【0095】
【数18】

(3C)
【0096】
図4Cの可変ゲイン増幅器出力信号はGTC DAC 434Cにも送信され、GTC(Gain Temperature Coefficientゲイン温度係数)のゲインを用いて乗算され、以下の方程式4Cに表される信号が得られる。
【0097】
【数19】

(4C)
【0098】
この信号は、図3Bの第1ゲイン補償信号の一例である。
【0099】
最終的に、図4Cの可変ゲイン増幅器出力信号はTemp関数DAC 435Cに送られ、温度の関数f(Temp)であるゲインと乗算される。この温度の関数は、図4A及び4Bの温度関数と異なっていてよく、図4Cの回路400Cのオフセット補償部に用いられる温度関数と異なってもよい。結果として得られる信号は、以下の方程式5Cにより表される。
【0100】
【数20】

(5C)
【0101】
この信号は、図4Cの第2ゲイン補償値の一例である。この例では、信号はf(temp)の関数である。関数「f(Temp)」は任意の温度の関数でよいものの、適切な非線形温度補正を提供する「f(Temp)」パラメータを用いて入念に選択されてもよい。
【0102】
方程式4C及び5Cから得られる信号は、続いて加算器436Cにより受信され、以下の方程式6Cに表される合算された信号を生成する。
【0103】
【数21】

(6C)
【0104】
この信号は、温度DAC 437Cに送信され、測定温度Tempと乗算され、以下の方程式7Cが得られる。
【0105】
【数22】

(7C)
【0106】
温度DAC 437Cは、図3Bの温度関数乗算部315Bの適切な例を表す。
【0107】
加算器432Cは、次に方程式3C及び7Cから得られた信号を合算し、以下の方程式8Cが得られる。
【0108】
【数23】

(8C)
【0109】
この結果として得られる信号は、続いて増幅器438Cにより増幅される。一つの実施形態では、増幅器438Cのゲインは1であり、よってゲイン温度補償回路からの出力信号は方程式8Cに対するのと同様のままである。
【0110】
結果として得られる信号方程式である方程式8Cを分析すると、OTC+f(Temp) 及び GTC+f(Temp)はいずれも温度に伴い変化するため、電気的センサ出力信号のオフセット及びゲインはいずれも非線形的に補償される。
【0111】
図5A及び5Bは、f(Temp)に関していくつか例示したもので、測定温度が基準温度の一方の側にあるとき、f(Temp)関数も定数(図示された例では0)を持つ。一方、測定温度が基準温度の他方の側にあるとき、f(Temp)信号は温度に伴い階段状になる。このより具体的な原理の例として、図5A及び5Bについて更に詳しく述べる。
【0112】
図5Aの例では、測定温度が基準温度を下回るとき(例えば、測定温度の最も重要なビットが0のとき)、f(Temp)により導かれる乗数はゼロである。一方、測定温度が基準温度を上回るとき、温度関数f(Temp)は階段状である。図5Aの図示された例では、f(Temp)の値は第2から第4の最も重要なビットに比例する。
【0113】
従って、f(Temp)信号はある測定温度範囲において定数の値をもつものの、実際には温度の関数のひとつである。一つの実施形態では、測定温度値Tempは0から1023までの範囲の10ビットの整数値である。図5Aに示されるf(Temp)信号は、以下の方程式1D及び2Dにより表すことができる。
【0114】
【数24】

【0115】
方程式2Dでは、値Ktは定数でよく、よって結果として図5Aにおける一定のステップサイズ(step size)となる。値Ktは、所定のセンサ温度依存の特性に対し、非線形温度補償を最大化するように選択してもよい。一つの実施形態では、値Ktは温度の関数として変化してよく、このことにより更に柔軟に非線形温度補償を最大化できる。各ステップサイズの幅は、非線形温度補償を微調整するように調節されてもよいものの、各64値幅である。例えば、2進法1011000000 から 1011111111までの全ての測定温度Tempの値は、図5Aに示される3xKtのf(Temp)値となる。
【0116】
図5Bの例では、測定温度が基準温度を上回るとき(例えば、測定温度の最も重要なビットが1のとき)、f(Temp)により導かれる乗数は0である。一方、測定温度が基準温度を下回るとき、温度関数f(Temp)は階段状である。図5Bに示される例では、負のf(Temp)値は、Tempの第2から第4の最も重要なビットのビット単位で反転された値に比例する。
【0117】
従って、本発明の原理により、オフセット及びゲインに対する柔軟な非線形温度補償の構造が可能となる。本発明は、その技術思想または本質的な特徴から逸脱しない範囲で他の具体的な形態で実施されてもよい。記載された実施形態は例示に過ぎず、本発明を限定するものではない。本発明の範囲は、従って、前記の明細書によってではなく、添付の請求項により表される。請求項と同等の意義および範囲内でなされるすべての変更は、この範囲に包含されるものとする。
【図面の簡単な説明】
【0118】
本発明の実施形態の上記の、またその他の効果および機能を更に明確にするために、添付図を参照して本発明の実施形態をより詳細に説明する。当然ながら、この図は本発明の典型的な実施形態を示すものに過ぎず、よって、発明の範囲を制限するものではない。実施形態は添付図を用いて更に詳しく記載され、説明される。
【0119】
【図1】センサ及び非線形温度補償を与える手段を有する回路の概略図。
【図2】そのうちの一方または双方が非線形温度補償機能を有してもよいオフセット温度補償回路およびゲイン温度補償回路を有する回路の概略図。
【図3A】本発明の原理に従った非線形温度補償を組み入れる場合のオフセット温度補償回路の概略図。
【図3B】本発明の原理に従った非線形温度補償を組み入れたゲイン温度補償回路の概略図。
【図4A】温度補償回路を有するセンサで、そのゲイン温度補償回路が非線形温度補償を有するものの回路図。
【図4B】温度補償回路を有するセンサで、そのオフセット温度補償回路が非線形温度補償を有するものの回路図。
【図4C】温度補償回路を有するセンサで、そのオフセット温度補償回路が非線形温度補償を有するものの回路図。
【図5A】測定温度が基準温度を下回るとき乗数が比較的一定で、測定温度が基準温度を上回るとき乗数が階段状の関数である非線形温度補償を得る乗数として利用可能な温度関数の一例。
【図5B】測定温度が基準温度を上回るとき乗数が比較的一定で、測定温度が基準温度を下回るとき乗数が階段状の関数である非線形温度補償を得るための乗数として利用可能な温度関数の一例。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
センサ温度補償回路において:
センサであって、前記センサが動作するとき、前記センサは物理的パラメータを感知し、前記物理的パラメータを表す電気的センサ出力信号を生成するように構成されるセンサと;
前記電気的センサ出力信号のオフセット及びゲインのうち少なくともひとつに対する非線形温度補償を与える手段と、を有することを特徴とするセンサ温度補償回路。
【請求項2】
センサ温度補償回路において:
センサであって、前記センサが動作するとき、前記センサは物理的パラメータを感知し、前記物理的パラメータを表す電気的センサ出力信号を生成するように構成されるセンサと;
少なくとも前記電気的センサ出力信号から派生した信号を受信するように、前記センサに少なくとも間接的に接続されるゲイン温度補償回路であって:
第1ゲイン補償信号を生成するよう構成された第1ゲイン補償値発生部と;
第2ゲイン補償信号を生成するよう構成された第2ゲイン補償値発生部であって、
前記第2ゲイン補償信号の前記第1ゲイン補償信号に対する比が第1温度関数である第2ゲイン補償値発生部と、を有するゲイン温度補償回路と;
前記第1及び前記第2ゲイン補償信号の合計を表す合算されたゲイン補償信号を出力するよう、前記第1及び前記第2ゲイン補償値発生部に接続された加算器と;
温度関数で乗算されたゲイン補償信号を生成するため、第1温度関数と同一または異なってもよい第2温度関数により前記の合算されたゲイン補償信号を乗算するように前記加算器に接続された温度関数乗算部と;
少なくとも前記電気的センサ出力信号から派生した前記信号に対して非線形ゲイン補償をするため、前記の温度関数で乗算されたゲイン補償信号を使うように前記温度関数乗算部に接続された非線形ゲイン補償部と、を有することを特徴とするセンサ温度補償回路。
【請求項3】
請求項2に記載のセンサ温度補償回路において、前記第1ゲイン補償信号はゲイン温度依存の略線形部の補償のための信号であり、前記第2ゲイン補償信号はゲイン温度依存の非線形部の補償のための信号であることを特徴とするセンサ温度補償回路。
【請求項4】
請求項3に記載のセンサ温度補償回路において、前記第2ゲイン補償値発生部は、測定温度が参照温度の第一側にある場合は定数乗算器を用い、前記測定温度が前記参照温度の第二側にある場合はステップ可変乗算器を用いて前記第2ゲイン補償信号を生成するように構成されることを特徴とするセンサ温度補償回路。
【請求項5】
請求項4に記載のセンサ温度補償回路において、前記測定温度はデジタル温度値であり、前記第2ゲイン補償値発生部は前記参照温度のいずれの側が前記測定温度であるかを確認するために前記デジタル温度値の少なくとも最も重要なビットを用いるように構成されることを特徴とするセンサ温度補償回路。
【請求項6】
請求項5に記載のセンサ温度補償回路において、前記第2ゲイン補償値発生部は、前記測定温度が前記参照温度の前記第一側にある場合、前記ステップ可変乗算器のステップの境界を定義するために前記デジタル温度値のその他のビットのうち1つまたは1つ以上を用いるように構成されることを特徴とするセンサ温度補償回路。
【請求項7】
請求項4に記載のセンサ温度補償回路において、前記参照温度の前記第一側は前記参照温度を下回り、前記参照温度の前記第二側は前記参照温度を上回ることを特徴とするセンサ温度補償回路。
【請求項8】
請求項4に記載のセンサ温度補償回路において、前記参照温度の前記第一側は前記参照温度を上回り、前記参照温度の前記第二側は前記参照温度を下回ることを特徴とするセンサ温度補償回路。
【請求項9】
請求項2に記載のセンサ温度補償回路において、前記第1ゲイン補償値はゲイン温度補償係数を表すマルチプライヤーを用いて生成されることを特徴とするセンサ温度補償回路。
【請求項10】
請求項2に記載のセンサ温度補償回路において、前記加算器は第1加算器であり、前記非線形ゲイン補償部は:
可変ゲイン増幅器であって、少なくとも前記電気的出力センサから派生した前記信号を受信し、ゲイン制御信号に従って前記電気的センサ出力信号を増幅し、前記第1ゲイン補償値発生部により生成される前記第1ゲイン補償信号はゲイン温度係数から生じる値および前記可変ゲイン増幅器により増幅される前記増幅信号に比例し、前記第2ゲイン補償値発生部により生成される前記第2ゲイン補償信号は温度の関数から生じる値および前記可変ゲイン増幅器により増幅される前記増幅信号に比例する可変ゲイン増幅器と;
前記可変ゲイン増幅器により増幅される前記増幅信号を受信および更に増幅するように構成された増幅器と;
前記増幅器および前記第1加算器により生成された前記信号を加えるように前記増幅器および前記第1加算器に接続された第2加算器と、を有することを特徴とするセンサ温度補償回路。
【請求項11】
請求項2に記載のセンサ温度補償回路において、少なくとも前記電気的センサ出力信号から派生した信号を受信するように前記センサ回路に少なくとも間接的に接続されたオフセット温度補償回路を有することを特徴とするセンサ温度補償回路。
【請求項12】
請求項11に記載のセンサ温度補償回路において、前記オフセット温度補償回路は、前記電気的センサ出力信号を前記センサから直接受信し、前記ゲイン温度補償回路は、前記オフセット温度補償回路により処理された後の前記電気的センサ出力信号のみを受信することを特徴とするセンサ温度補償回路。
【請求項13】
請求項12に記載のセンサ温度補償回路において、前記加算器は第1加算器であり、前記オフセット温度補償回路は:
前記電気的センサ出力信号を受信して増幅する増幅器と;
前記の増幅された電気的センサ出力信号と、オフセット信号に比例する信号と、前記温度およびオフセット温度係数の積に比例する信号とを受信して合算する第2加算器と、を有することを特徴とするセンサ温度補償回路。
【請求項14】
請求項11に記載のセンサ温度補償回路において、前記温度関数乗算部は第1温度関数乗算部であり、前記オフセット温度補償回路は更に:
第1オフセット補償信号を生成するように構成された第1オフセット補償値発生部と;
第2オフセット補償信号を生成するように構成された第2オフセット補償値発生部であり、前記第2オフセット補償信号の第1オフセット補償信号に対する比が温度の関数である第2オフセット補償値発生部と;
前記第1および前記第2オフセット補償値の合計を表す合算されたオフセット補償信号を出力するように前記第1および前記第2オフセット補償値発生部に接続された第2加算器と;
温度の関数により前記の合算されたゲイン補償信号を乗算するように前記第2加算器に接続された第2温度関数乗算部と;
少なくとも前記電気的センサ出力信号から派生した前記信号を非線形オフセット補償するために、前記の合算されたオフセット補償信号を使うように前記第2加算器に接続された非線形オフセット補償部と、を有することを特徴とするセンサ温度補償回路。
【請求項15】
センサ温度補償回路において:
センサであって、前記センサが動作しているとき、前記センサは物理的パラメータを感知し、前記物理的パラメータを表す電気的センサ出力信号を生成するセンサと;
少なくとも前記電気的センサ出力信号から派生した信号を受信するように前記センサに少なくとも間接的に接続されたオフセット温度補償回路であって:
第1オフセット補償信号を生成するように構成された第1オフセット補償値発生部と;
第2オフセット補償信号を生成するように構成された第2オフセット補償値発生部であって、前記第2オフセット補償信号の前記第1オフセット補償信号に対する比が第1温度関数である第2オフセット補償値発生部と;
前記第1及び第2オフセット補償値の合計を表す合算されたオフセット補償信号を出力するように前記第1及び前記第2オフセット補償値発生部に接続された加算器と;
温度関数乗算オフセット補償信号を生成するため、第1温度関数と同一または異なってもよい第2温度関数により前記の合算されたオフセット補償信号を乗算するように前記加算器に接続された温度関数乗算部と;
少なくとも前記電気的センサ出力信号から派生した前記信号を非線形オフセット補償するため、前記温度関数乗算オフセット補償信号を使うように前記温度関数乗算部に接続された非線形オフセット補償部と、を有するオフセット温度補償回路と、を有することを特徴とするセンサ温度補償回路。
【請求項16】
請求項15に記載のセンサ温度補償回路において、前記第1オフセット補償信号はオフセット温度依存の略線形部を補償する信号であり、前記第2オフセット補償信号はオフセット温度依存の非線形部を補償する信号であることを特徴とするセンサ温度補償回路。
【請求項17】
請求項15に記載のセンサ温度補償回路において、前記第2オフセット補償値発生部は、測定温度が参照温度の第一側にある場合は定数乗算器を用いて、前記測定温度が前記参照温度の第二側にある場合はステップ可変乗算器を用いて前記第2オフセット補償信号を生成するように構成されたセンサ温度補償回路。
【請求項18】
請求項17に記載のセンサ温度補償回路において、前記測定温度はデジタル温度値であり、前記第2オフセット補償値発生部は、前記参照温度のいずれの側が前記測定温度かを確認するために、前記デジタル温度値の少なくとも最も重要なビットを用いるように構成されることを特徴とするセンサ温度補償回路。
【請求項19】
請求項18に記載のセンサ温度補償回路において、前記第2オフセット補償値発生部は更に、前記測定温度が前記参照温度の前記第一側にある場合、前記ステップ可変乗算器のステップの境界を定義するため、前記デジタル温度値の他のビットの1つまたは1つ以上を用いるように構成されることを特徴とするセンサ温度補償回路。
【請求項20】
請求項17に記載のセンサ温度補償回路において、前記参照温度の前記第一側は前記参照温度を下回り、前記参照温度の前記第二側は前記参照温度を上回ることを特徴とするセンサ温度補償回路。

【図1】
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【図2】
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【図3A】
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【図3B】
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【図4A】
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【図4B】
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【図4C】
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【図5A】
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【図5B】
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【公開番号】特開2008−70354(P2008−70354A)
【公開日】平成20年3月27日(2008.3.27)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2007−196621(P2007−196621)
【出願日】平成19年7月27日(2007.7.27)
【出願人】(000150707)長野計器株式会社 (62)
【出願人】(501246031)エイエムアイ セミコンダクター インコーポレイテッド (3)
【Fターム(参考)】