説明

吐出検査装置、それを備えた流体吐出装置及び吐出検査方法

【課題】より確実に吐出ヘッドの吐出検査を実行する。
【解決手段】FAX装置10は、インクを受ける検査領域52と、印刷ヘッド36と検査領域52との間に所定の電位差を発生させる電圧印加回路53と、検査領域の電気的変化を検出する電圧検出回路54とを有するノズル検査装置50を備えている。FAX装置10は、印刷ヘッド36に負圧を作用してインクを強制的に吐出させるクリーニングをキャッピング装置で行ったのち、印刷ヘッド36のノズル検査を実行するに先立ち印刷ヘッド36のノズルプレートをワイピング装置60でワイピングする。このように、ノズルプレートに存在するインクや紙粉を払拭したのち、ノズル検査を実行する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、吐出検査装置、それを備えた流体吐出装置及び吐出検査方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、印刷ヘッドの吐出検査装置としては、キャッピング部材にノズル検査を行う検査領域が設けられており、印刷ヘッドとキャッピング部材とを当接させて印刷ヘッドを吸引してクリーニングを実行する一方、印刷ヘッドとキャッピング部材とを離間させ印刷ヘッドと検査領域とに電位差を発生させた状態で印刷ヘッドの吐出検査を実行するものが提案されている(例えば、特許文献1参照)。この特許文献1に記載された装置は、印刷ヘッドと検査領域とを離間させて印刷ヘッドの吐出検査を行うため、印刷ヘッドと検査領域とが短絡してしまうのを抑制することができる。
【特許文献1】特開2007−98642号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、この特許文献1に記載された吐出検査装置では、印刷ヘッドと検査領域とが短絡してしまうのを抑制することによりより確実に吐出ヘッドの吐出検査を実行するが、印刷ヘッドと検査領域の間に短絡の原因となるインクが存在することがあり、それでも十分でない場合があった。
【0004】
本発明は、このような課題に鑑みなされたものであり、より確実に吐出ヘッドの吐出検査を実行することができる吐出検査装置、それを備えた流体吐出装置及び吐出検査方法を提供することを主目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、上述の目的を達成するために以下の手段を採った。
【0006】
本発明の吐出検査装置は、
複数のノズルを備え流体を該ノズルから吐出してターゲットに画像を形成する流体吐出処理を実行する吐出ヘッドの吐出状態を検査する吐出検査装置であって、
前記吐出ヘッドのノズル面を払拭するワイピング手段と、
前記吐出ヘッドの複数のノズルの各々について該ノズルから所定の検査領域へ前記流体を吐出するよう前記吐出ヘッドを駆動したときに前記流体が吐出されたか否かを検査する吐出検査を行う吐出ヘッド検査手段と、
前記吐出検査を実行するに先立ち前記ワイピング手段により前記吐出ヘッドのノズル面を払拭させる制御手段と、
を備えたものである。
【0007】
この吐出検査装置は、吐出ヘッドの複数のノズルの各々についてこのノズルから検査領域へ流体を吐出するよう吐出ヘッドを駆動したときに流体が吐出されたか否かを検査する吐出検査を実行するに先立ち吐出ヘッドのノズル面を払拭させる。このように、ノズル面に存在する流体が払拭されたのち、吐出検査を実行するため、より確実に吐出ヘッドの吐出検査を実行することができる。ここで、「流体」は、ノズルから吐出可能なものであれば特に限定されず、気体、液体(例えば、染料や顔料を含む溶液、ゲル)、固体(例えばトナーなどの粉体、)としてもよい。また、「ターゲット」は、流体を受けるものであれば特に限定されず、例えば紙やフィルム、鉄板、基板などの印刷媒体が含まれる。また、「流体吐出処理」には、流体としての記録液を吐出することによりターゲットとしての印刷媒体に画像を形成する印刷処理が含まれる。このとき、前記制御手段は、吐出検査を実行するに先立ち、吐出ヘッドのノズル面を複数回に亘って払拭させるものとしてもよい。こうすれば、一層確実に吐出ヘッドの吐出検査を実行することができる。
【0008】
本発明の吐出検査装置は、前記吐出ヘッドに当接・離間すると共に該吐出ヘッドに圧力を付与して前記ノズルから流体を強制的に吐出させるクリーニングを行うクリーニング手段、を備え、前記制御手段は、前記吐出ヘッドをクリーニングするよう前記クリーニング手段を制御したあと前記ワイピング手段により前記吐出ヘッドのノズル面を払拭させ、その後、前記吐出検査を実行するよう前記吐出ヘッドと前記吐出ヘッド検査手段とを制御するものとしてもよい。圧力を付与してノズルから流体を強制的に吐出させるクリーニングでは、ノズル面に流体が存在することがあるため、その流体を払拭することによって一層確実に吐出ヘッドの吐出検査を実行することができる。
【0009】
本発明の吐出検査装置は、前記吐出ヘッドに圧力を付与して前記ノズルから流体を強制的に吐出させるクリーニングを行うクリーニング手段と、前記吐出ヘッドと前記クリーニング手段との相対距離を変更する距離変更手段と、を備え、前記制御手段は、前記ワイピング手段により前記吐出ヘッドのノズル面を払拭させたあと前記吐出ヘッドと前記クリーニング手段との相対距離をより長くして前記吐出検査を実行するよう前記吐出ヘッドと前記吐出ヘッド検査手段とを制御するものとしてもよい。こうすれば、印刷ヘッドと検査領域との間に流体がより存在しなくなるため、一層確実に吐出ヘッドの吐出検査を実行することができる。
【0010】
クリーニング手段を備えた態様の本発明の吐出検査装置において、前記ワイピング手段は、前記クリーニング手段の近傍に配設されているものとしてもよい。こうすれば、クリーニングとワイピングとをより迅速に実行することができる。
【0011】
本発明の吐出検査装置において、前記吐出ヘッド検査手段は、前記検査領域と、前記吐出ヘッドと前記検査領域との間に所定の電位差を発生させる電位差発生手段と、前記吐出ヘッド又は前記検査領域の電気的変化を検出する電気的変化検出手段と、を備えており、前記制御手段は、前記電位差発生手段に前記吐出ヘッドと前記検査領域との間に所定の電位差を発生させた状態で前記検査領域に前記ノズルから前記流体を吐出するよう前記吐出ヘッドを駆動させ、前記電気的変化検出手段の検出結果に基づいて各ノズルから流体が吐出されたか否かの前記吐出検査を実行するものとしてもよい。こうすれば、吐出ヘッド又は検査領域の電気的変化を検出することにより比較的容易に吐出ヘッドの状態を検査することができる。
【0012】
本発明の流体吐出装置は、複数のノズルを備え流体を該ノズルから吐出してターゲットに画像を形成する流体吐出処理を実行する吐出ヘッドと、上述したいずれか1つに記載の吐出検査装置と、を備えたものである。本発明の吐出検査装置は、より確実に吐出ヘッドの吐出検査を実行することができるものであるから、これを搭載した流体吐出装置も同様の効果を奏する。
【0013】
本発明の吐出検査方法は、
複数のノズルを備え流体を該ノズルから吐出してターゲットに画像を形成する流体吐出処理を実行する吐出ヘッドの吐出状態を検査する吐出検査方法であって、
前記吐出ヘッドの複数のノズルの各々について該ノズルから所定の検査領域へ前記流体を吐出するよう前記吐出ヘッドを駆動したときに前記流体が吐出されたか否かを検査する吐出検査を実行するに先立ち前記吐出ヘッドのノズル面を払拭させるステップ、
を含むものである。
【0014】
この吐出検査方法は、吐出検査装置と同様に、ノズル面に存在する流体が払拭されたのち、吐出検査を実行するため、より確実に吐出ヘッドの吐出検査を実行することができる。なお、この吐出検査方法において、上述した吐出検査装置の種々の態様を採用してもよいし、また、上述した吐出検査装置の各機能を実現するようなステップを追加してもよい。
【0015】
また、上述した吐出検査方法の各ステップを1又は複数のコンピュータに実現させるプログラムとしてもよい。このプログラムを一つのコンピュータに実行させるか又は複数のコンピュータに各ステップを分担して実行させれば、上述した吐出検査方法の各ステップが実行されるため、この吐出検査方法と同様の作用効果が得られる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
次に、本発明を具現化した一実施形態について図面を用いて説明する。図1は本実施形態であるFAX装置10の構成の概略を示す構成図、図2はキャッピング装置16、印刷ヘッド36及びノズル検査装置50の説明図である。FAX装置10は、スキャナ機能、プリンタ機能、コピー機能及びFAX機能を有している。このFAX装置10は、原稿Mを読み取るスキャナユニット20と、流体としてのインクをターゲットとしての記録紙Sに吐出するプリンタユニット30と、ユーザへ情報を表示可能でありユーザの指示を入力可能である操作パネル40と、印刷ヘッド36からインク滴が正常に吐出されるか否かを検査するノズル検査装置50と、印刷ヘッド36を封止するキャッピング装置16と、キャッピング装置16に隣接して設けられ印刷ヘッド36を払拭(ワイピング)するワイピング装置60と、FAX装置10の全体を制御するコントローラ70とを備えている。このFAX装置10は、電気通信回線としての電話回線に接続された機器との間で電話回線ケーブル78aを介して信号の送受信が可能なFAX−インタフェース(I/F)78を備えている。このスキャナユニット20、プリンタユニット30、操作パネル40、ノズル検査装置50、コントローラ70、FAX−I/F78は、バス79によって電気的に接続されている。
【0017】
スキャナユニット20は、スキャナ機構21を制御するICチップであるスキャナASIC(Application Specific Integrated Circuit)22を含んで構成されている。このスキャナ機構21は、いわゆるフラットベッド型であり、画像を読み取る原稿Mを載せるガラス面23と、この原稿Mに向かって発光した後の反射光を各色に分解して読み取る読取センサ24と、原稿Mの読取りの際に読取センサ24を走査させる移動部26とを備えている。
【0018】
プリンタユニット30は、プリンタ機構31を制御するICチップであるプリンタASIC32を含んで構成されている。プリンタ機構31は、各色のインクを個別に収容したインクカートリッジ34と、インクカートリッジ34を装着し所定の移動方向(キャリッジ移動方向)へ移動するキャリッジ35と、キャリッジ35の下面側に配設されインクカートリッジ34から供給された各インクに圧電素子の変形により圧力をかける印刷ヘッド36と、記録紙Sを搬送する搬送ローラ38とを備えている。インクカートリッジ34は、例えばシアン(C)・マゼンタ(M)・イエロー(Y)及びブラック(K)の各色のインクを個別に収容している。キャリッジ35は、インクカートリッジ34をその上へ取外可能に装着するいわゆるオンキャリッジ型として構成されている。このキャリッジ35は、図2に示すように、筐体11の図中の右側に取り付けられたキャリッジモータ81と筐体11の左側に取り付けられた従動ローラ82との間に架設されたキャリッジベルト83がキャリッジモータ81によって駆動されるのに伴って図中左右方向(キャリッジ移動方向)に移動する。また、キャリッジ35が左右に移動可能となるように支持するキャリッジ軸35aを上下動させることにより記録紙Sと印刷ヘッド36との距離を変更するプラテンギャップ調整部37がキャリッジ軸35aの端部に設けられている。印刷ヘッド36の下面側であるノズルプレート36aには、印刷ヘッド36で加圧された各色のインクを記録紙Sに吐出する複数のノズル33が穿設されている。このノズル33は、各色のノズル列として配列した状態で設けられている。なお、キャリッジ35は、筐体11側に設けたカートリッジからチューブでインクを供給するオフキャリッジ型としてもよい。また、印刷ヘッド36は、例えばヒータの熱で発生する気泡によりインクを加圧するものとしてもよい。
【0019】
操作パネル40は、ユーザがFAX装置10に対して各種の指示を入力するためのデバイスであり、各種の指示に応じた文字や画像が表示されるカラー液晶パネルにより構成された表示部42や、各種操作を行うキーが配設されている操作部44が設けられている。
【0020】
ノズル検査装置50は、図2に示すように、印刷ヘッド36のノズル33から飛翔したインク滴を受けることが可能な検査領域52と、検査領域52を所定電位とすることにより印刷ヘッド36と検査領域52との間に所定の電位差を発生させる電圧印加回路53と、検査領域52での電圧変化を検出する電圧検出回路54とを備えている。検査領域52は、印刷ヘッド36を封止するキャッピング装置16の内部に配設されている。この検査領域52は、矩形状の領域として形成され、インク滴が直接着弾する上側インク吸収体55と、この上側インク吸収体55に着弾したあと下方に透過してきたインク滴を吸収する下側インク吸収体56と、上側インク吸収体55と下側インク吸収体56との間に配置されたメッシュ状の電極部材57とにより構成されている。上側インク吸収体55は、電極部材57と同電位となるように導電性を有するスポンジによって形成され、その表面が検査領域52となっている。このスポンジは、着弾したインク滴が速やかに下方に移動可能な透過性の高いものであり、ここではエステル系ウレタンスポンジが用いられている。下側インク吸収体56は、上側インク吸収体55に比べてインクの保持力が高いものであり、フェルトなどの不織布によって作製されている。電極部材57は、ステンレス(例えばSUS)製の金属からなる格子状のメッシュとして形成されている。このため、上側インク吸収体55に一旦吸収されたインクは格子状の電極部材57の隙間を通って下側インク吸収体56に吸収される。ここでは、電極部材57は、導電性を有する上側インク吸収体55と接触しているため、上側インク吸収体55の表面すなわち検査領域52も電極部材57と同様の電位となっている。
【0021】
電圧印加回路53は、検査領域52の電極部材57に接続されており、FAX装置10の内部で引き回される数ボルトの電気配線の電圧を図示しない昇圧回路を介して数十〜数百ボルトに昇圧し、この昇圧後の直流電圧Ve(例えば400V)を抵抗素子R1(例えば1MΩ)及びスイッチSWを介して検査領域52に印加する回路である。電圧検出回路54は、検査領域52の電極部材57に接続され、インクが着弾した際に生じる検査領域52での電圧変化を検出するものであり、印刷ヘッド36の電圧信号を積分して出力する積分回路54aと、この積分回路54aから出力された信号を反転増幅して出力する反転増幅回路54bと、この反転増幅回路54bから出力された信号をA/D変換してコントローラ70へ出力するA/D変換回路54cとを備えている。積分回路54aは、1つのインク滴の飛翔・着弾による電圧変化が微弱なことから、同一のノズル33から吐出される複数のインク滴の飛翔・着弾による電圧変化を積分することにより大きな電圧変化として出力するものである。反転増幅回路54bは、電圧変化の正負を反転させると共に回路構成によって決まる所定の増幅率で積分回路から出力された信号を増幅して出力するものである。A/D変換回路54cは、反転増幅回路54bから出力されたアナログ信号をディジタル信号に変換してコントローラ70に出力するものである。なお、本実施形態におけるノズル検査装置50としては、上記の形態に限らず、印刷ヘッド36においてインクと導通してインクに所定の電位を与える電極(図2の実施形態ではノズルプレート36aであるが、ノズルプレート以外のものでもよい。)と、ヘッドから吐出して着弾したインクと導通する電極(図2の実施形態では電極部材57)との間に所定の電位差を与えて、インクの吐出に伴う当該電極の少なくとも一方における電圧変化などの電気的変化を検出するものであればよい。例えば、2つの電極の両方とも、電位がグランド電位以外の所定の電位であってお互いに異なる電位でもよい。また、ヘッド側の電極の電位が、着弾したインクと導通する側の電極の電位よりも高電位でもよい。また、電気的変化を検出する電極は、ヘッド側の電極でもよく、電位が低い側の電極でもよい。
【0022】
キャッピング装置16は、略直方体で上部が開口した絶縁性の部材からなる筐体であり、キャリッジ35の初期位置(ホームポジション)に対向する位置に配設されている。このキャッピング装置16の開口縁にはシリコンゴムなどの絶縁体からなるシーリング部材16aが設けられている。このキャッピング装置16は、昇降機構17により上下動可能に支持されており、ノズル33に詰まったインクを吸い出すクリーニング処理に利用されるほか、印刷休止中などにノズル33が乾燥するのを防止するためにノズル33を封止するときにも利用される。このキャッピング装置16には、吸引ポンプ18と開閉バルブ19とが別々に接続され、開閉バルブ19が閉状態のときに吸引ポンプ18が作動するとキャッピング装置16の内部空間に負圧が発生する。キャッピング装置16がノズル33を封止しているときにこの負圧を発生させることにより、ノズル33内のインクが強制的に吸い出される。このキャッピング装置16の印刷処理領域側には、ワイピング装置60が配設されている。このワイピング装置60は、板状の支持部材61と、この支持部材61の上面側に配設され印刷ヘッド36のノズルプレート36aのノズル面(以下、単にノズルプレート36aともいう)に接触してこれを払拭する払拭部62と、支持部材61を上下動させ払拭部62をノズルプレート36aに当接・離間する昇降部64とを備えている。このワイピング装置60は、キャリッジ35がホームポジションから移動する際に支持部材61を上昇させるとノズル面32aに付着したインクや紙粉などを払拭することができる。
【0023】
コントローラ70は、図1及び図2に示すように、CPU72を中心とするマイクロプロセッサとして構成されており、各種処理プログラムを記憶したROM74と、一時的にデータを記憶したりデータを保存したりするRAM76と、データを保存・消去可能なフラッシュメモリ77と、図示しない入出力ポートとを備えている。ROM74には、後述するメインルーチンやノズル検査ルーチン、クリーニング処理ルーチンなどの各処理プログラムが記憶されている。RAM76には、スキャナバッファ領域や印刷バッファ領域が設けられている。このスキャナバッファ領域には、スキャナユニット20で読み取った画像データが格納される。また、印刷バッファ領域には、外部機器から図示しないインタフェースを介して送られてきた印刷ジョブが格納される。このコントローラ70には、ノズル検査装置50の電圧検出回路54から出力された電圧信号などが図示しない入力ポートを介して入力されているほか、図示しない外部機器(パソコンなど)から出力された印刷ジョブなどが入力される。また、コントローラ70からは、印刷ヘッド36への制御信号やノズル検査装置50への制御信号、キャリッジモータ81への駆動信号などが図示しない出力ポートを介して出力される。
【0024】
次に、こうして構成された本実施形態のFAX装置10の動作について説明する。まず、ノズル33からインクが吐出されるか否かのノズル検査、印刷ヘッド36のクリーニング及び印刷ジョブの印刷処理などの一連の処理を行うメインルーチンについて説明する。図3は、コントローラ70のCPU72により実行されるメインルーチンの一例を示すフローチャートである。このルーチンは、ROM74に記憶され、FAX装置10の電源がオンされたあと繰り返し実行される。このルーチンを開始すると、CPU72は、まず、印刷待ち状態の印刷ジョブが存在するか否かを判定する(ステップS100)。図示しない外部機器(パソコン)から受信した印刷ジョブは、RAM76に形成された印刷バッファ領域に格納されて印刷待ち状態の印刷ジョブとなるため、印刷ジョブを受信したときに印刷中の場合だけでなく直ちに印刷可能な場合であっても一旦印刷待ち状態の印刷ジョブとなる。そして、ステップS100で印刷待ち状態の印刷ジョブが存在しないときには、そのままこのメインルーチンを終了する。
【0025】
一方、ステップS100で、印刷待ち状態の印刷ジョブが存在したときには、各ノズル33からインクが正常に吐出されるか否かを検査するノズル検査ルーチンを実行する(ステップS110)。図4は、ノズル検査ルーチンのフローチャートの一例である。
このノズル検査ルーチンが開始されると、CPU72は、まず、電圧印加回路53のスイッチSWをオンし直流電圧Veを検査領域52に印加し(ステップS200)、印刷ヘッド36と検査領域52とが対向する位置へキャリッジ35を移動するようキャリッジモータ81を駆動する(ステップS210)。すると、印刷ヘッド36が検査領域52に対向し、印刷ヘッド36と検査領域52との間に所定の電位差が生じる。次に、CPU72は、検査対象のノズルを設定すると共にこの検査対象ノズルから帯電したインク滴を吐出させる(ステップS220)。ここでは、例えばブラック、シアン、マゼンタ、イエロのノズル列の順で且つノズル番号の若い順に検査対象ノズルを設定するものとした。
【0026】
ここで、ノズル検査の原理について説明する。印刷ヘッド36を接地してグランド電位とし、印刷ヘッド36と検査領域52との間に電位差を生じさせた状態でインク滴をノズル33から吐出させる実験を実際に行ったところ、検査領域52での出力信号波形がサインカーブとして表れた。このような出力信号波形が得られる原理は明らかではないが、帯電したインク滴が検査領域52に接近するのに伴って静電誘導により誘導電流が流れたことに起因すると考えられる。また、電圧検出回路54から出力された出力信号波形の振幅は、印刷ヘッド36から上側インク吸収体55(検査領域52)までの距離が近いほど大きくなる傾向を示したほか、飛翔するインク滴が大きいほど大きくなる傾向を示した。このため、ノズル33が詰まってインク滴が飛翔しなかったりインク滴が所定の大きさより小さかったりしたときには、出力信号波形の振幅が通常時に比べて小さくなるか略ゼロになるから、出力信号波形の振幅が所定の閾値を下回るか否かに基づいてノズル33の詰まりの有無を判定することができる。本実施形態では、インク滴が所定の大きさであっても1ショット分のインク滴による出力信号波形の振幅が微弱なことから、大ドットを吐出する操作を8回行いより多くの量のインク滴を吐出するようにした。これにより、出力信号は8回分のインク滴による積分値となるため、電圧検出回路54からは十分大きな出力信号波形が得られた。なお、インク吐出数は、検査精度を確保可能な吐出数となるよう任意に設定することができる。
【0027】
検査対象ノズルからインク滴を吐出すると、CPU72は、電圧検出回路54で検出された信号波形の振幅である電気的変化、即ち出力電圧Vopが閾値Vthr以上であるか否かを判定する(ステップS230)。この閾値Vthrは、大ドットの8回吐出分のインクが正常に吐出されたときの出力信号波形の出力電圧Vop(ピーク値)がこの閾値Vthr以上となるように、また大ドットの8回吐出分のインクが正常に吐出されなかったときにはノイズ等によってもこの閾値Vthr未満となるように、経験的に定められた値である。ステップS230で出力電圧Vopが閾値Vthr未満であるときには、そのノズル33に詰まりなどの異常が生じているとみなし、そのノズル33を特定する情報(例えばどのノズル列の何番目のノズルかを示す情報)をRAM76の所定領域に記憶する(ステップS240)。
【0028】
ステップS240のあと又はステップS230で出力電圧Vopが閾値Vthr以上のとき(つまり今回の検査対象ノズルが正常だったとき)、CPU72は、現ノズル列中のすべてのノズル33について検査を行ったか否かを判定し(ステップS250)、現在のノズル列中に未検査のノズル33があるときには、検査対象となるノズル33を未検査のものに更新し(ステップS260)、再びステップS220以降の処理を行う。このとき、検査領域52へインク滴を吐出し、電圧検出回路54で電気的変化を出力する。一方、ステップS250で現在のノズル列のすべてのノズル33について検査を行ったときには、すべてのノズル列について検査を行ったか否かを判定し(ステップS270)、未検査のノズル列が存在するときには、CPU72は、検査対象となるノズル列を更新し(ステップS280)、上述したステップS220以降の処理を実行する。一方、ステップS270で印刷ヘッド36に含まれるすべてのノズル33について検査を行ったときには、CPU72は、電圧印加回路53のスイッチSWをオフし(ステップS290)、このルーチンを終了する。このルーチンを実行することにより、RAM76の所定領域には、印刷ヘッド36に配列された全ノズル33のうちノズル詰まりが発生しているノズル(吐出不良ノズルとも称する)がある場合にはそのノズル33を特定する情報が記憶され、ノズル詰まりが発生しているノズル33がない場合には何も記憶されない。
【0029】
さて、図3のメインルーチンに戻り、上述したノズル検査ルーチン(ステップS110)を実行したあと、CPU72は、印刷ヘッド36に配列された全ノズル33のうち吐出不良ノズルがあるか否かをRAM76の所定領域の記憶内容に基づいて判定し(ステップS120)、吐出不良ノズルがあるときには、詰まりが原因となっていることを考慮して印刷ヘッド36のクリーニングを行うが、その前にノズル詰まり解消のために行ったクリーニングの回数nが予め定められた上限回数(例えば3回)に至ったか否かを判定する(ステップS130)。そして、クリーニングの回数が上限回数未満のときには、印刷ヘッド36のクリーニング処理を実行する(ステップS140)。具体的には、キャリッジモータ81を駆動して印刷ヘッド36がキャッピング装置37に対向する位置へ移動すると共に、キャッピング装置37と印刷ヘッド36とを昇降機構17により当接させ、開閉バルブ19を閉じ、吸引ポンプ18を駆動してキャッピング装置37の内部を負圧にしインクをノズル33から吸引排出させる。このクリーニング処理を実行することにより、ノズル33内に溜まったインク(例えば長期間放置したことにより粘性が高くなったインクなど)や気泡などを除去することができる。
【0030】
ステップS140でクリーニング処理を実行したあと、ワイピング装置60によりノズルプレート36aをワイピングするワイピング処理を実行し(ステップS150)、ノズル33のノズル詰まりが解消されたか否かを調べるため再びステップS110のノズル検査ルーチンに戻る。なお、このステップS110では、ノズル詰まりが発生していたノズル33のみを再検査してもよいが、何らかの原因でクリーニング時に正常だったノズル33に詰まりが発生することも考えられることから、ここでは印刷ヘッド36のすべてのノズル33について再検査を行う。
【0031】
ここで、ステップS150のワイピング処理について説明する。図5は、クリーニング直後の印刷ヘッド36及びキャッピング装置16の説明図であり、図6は、ノズルプレート36aのワイピングを開始する説明図であり、図7は、ノズルプレート36aのワイピングを終了する説明図であり、図8は、ワイピング後のノズル検査の説明図である。印刷ヘッド36を負圧にしてノズル33からインクを強制的に吸い出すクリーニングを実行すると、ノズルプレート36aと検査領域52との間にインクが介在することがある(図5参照)。この状態で電圧印加回路53のスイッチSWをオンすると、ノズルプレート36aと検査領域52とが短絡してしまい、ノズル検査を実行できない。そこで、CPU72は、印刷ヘッド36とキャッピング装置16とが離間するよう昇降機構17を制御し、キャリッジ35をホームポジションから移動するようキャリッジモータ81を駆動すると共に、払拭部62とノズルプレート36aとが当接するよう昇降部64を制御し、払拭部62によりノズルプレート36aをワイピングする(図6)。すると、ワイピング装置60により、ノズルプレート36a上に存在したインクや紙粉が払拭される(図7)。ここでは、このワイピング装置60によるワイピング処理を複数回(例えば2回)繰り返して行うものとした。その後、ノズル検査装置50により、印刷ヘッド36の再検査を実行する(図8)。このように、クリーニングを行った直後のノズル検査の実行前には、ワイピング装置60によりノズルプレート36aをワイピングすることにより、ノズルプレート36aの汚れを落とし、印刷ヘッド36と検査領域52とのインクによる短絡や、紙粉などによるインクの吐出への影響を抑制するのである。
【0032】
一方、ステップS130でクリーニングを行った回数が上限回数に達していたときには、クリーニングを行ったとしてもノズル詰まりが発生したノズル33は正常化しないとみなし、操作パネル40の表示部42にエラーメッセージを表示し(ステップS160)、このメインルーチンを終了する。一方、ステップS120でノズル詰まりが発生しているノズル33がなかったときには、印刷処理ルーチンを実行し(ステップS170)、その後メインルーチンを終了する。印刷処理ルーチンでは、CPU72は、キャリッジモータ81の駆動によりキャリッジ35をインク吐出位置へ移動すると共に印刷ジョブに含まれるラスタデータに基づいて印刷ヘッド36からインクを記録紙Sへ吐出する処理をプリンタASIC32へ指令する。このとき、搬送ローラ38を回転駆動し、記録紙Sを所定の搬送方向へ搬送させる。印刷中のページの印刷が終了したときには、CPU72は、次の印刷ページがなくなるまでこの処理を繰り返し実行させる。
【0033】
ここで、本実施形態の構成要素と本発明の構成要素との対応関係を明らかにする。本実施形態のワイピング装置60がワイピング手段に相当し、ノズル検査装置50が吐出ヘッド検査手段に相当し、キャッピング装置16が本発明のクリーニング手段に相当し、コントローラ70が制御手段に相当し、検査領域52が検査領域に相当し、電圧印加回路53が電位差発生手段に相当し、電圧検出回路54が電気的変化検出手段に相当する。また、インクが流体に相当し、記録紙Sがターゲットに相当し、印刷処理が流体吐出処理に相当し、ノズル検査が吐出検査に相当する。なお、本実施形態では、FAX装置10の動作を説明することにより本発明の吐出検査方法の一例も明らかにしている。
【0034】
以上詳述した本実施形態のFAX装置10によれば、印刷ヘッド36に負圧を作用してインクを強制的に吐出させるクリーニングを行ったのち、印刷ヘッド36のノズル検査を実行するに先立ち印刷ヘッド36のノズルプレート36aを払拭させる。したがって、ノズルプレート36aに存在するインクや紙粉が払拭されたのち、ノズル検査を実行するため、より確実に印刷ヘッド36のノズル検査を実行することができる。また、負圧を付与するクリーニング後にはノズルプレート36aにインクが残存することがあるため、そのインクを払拭することによって、一層確実に印刷ヘッド36のノズル検査を実行することができる。更に、ノズルプレート36aが濡れるクリーニング後にワイピングを行うため、乾いた状態でワイピングすることにより生じる悪影響を抑制することができる。更にまた、ワイピング装置60は、キャッピング装置16の近傍に配設されているため、クリーニングとワイピングとをより迅速に実行することができる。そして、ノズル検査装置50は、インクを受ける検査領域52と、印刷ヘッド36と検査領域52との間に所定の電位差を発生させる電圧印加回路53と、検査領域の電気的変化を検出する電圧検出回路54とを備えるため、検査領域52の電気的変化を検出することにより比較的容易に印刷ヘッド36の状態を検査することができる。また、ノズルプレート36aと検査領域52とが短絡するとノズル検査を実行できなくなるため、ノズル検査を実行するに先立ちワイピングを行う本発明を適用する意義が高い。そしてまた、ノズル検査装置50は、より確実に印刷ヘッド36のノズル検査を実行するため、FAX装置10に適用する意義が高い。
【0035】
なお、本発明は上述した実施形態に何ら限定されることはなく、本発明の技術的範囲に属する限り種々の態様で実施し得ることはいうまでもない。
【0036】
例えば、上述した実施形態では、クリーニング処理を行ったのちに、ノズルプレート36aのワイピングを行い、ノズル検査を実行するものとしたが、クリーニング処理したか否かにかかわらず、ノズル検査の実行に先立ってノズルプレート36aのワイピングを実行するものとしてもよい。こうしても、より確実に印刷ヘッド36の吐出検査を実行することができる。
【0037】
上述した実施形態では、キャッピング装置16の近傍にワイピング装置60が配設されているものとしたが、特にこれに限定されず、キャリッジ35の移動可能範囲内であればどこに設けてもよい。なお、迅速にクリーニングとワイピングを行うには、キャッピング装置16とワイピング装置60とは近くに配設されていることが好ましい。
【0038】
上述した実施形態では、ノズル検査の際に、昇降機構17により印刷ヘッド36とキャッピング装置16とを離間させてノズル検査を実行するものとしたが、プラテンギャップ調整部37により、印刷ヘッド36と昇降機構17との距離をより長くするものとしてもよい。また、昇降機構17による昇降距離が比較的短い場合などには、昇降機構17とプラテンギャップ調整部37とにより印刷ヘッド36とキャッピング装置16とを離間させてもよい。こうすれば、印刷ヘッド36とキャッピング装置16との距離をより離すことによりこれらの短絡をより抑制することができ、より正確にノズル検査を実行することができる。また、ステップS110でのクリーニングが繰り返されるたびに印刷ヘッド36とキャッピング装置16との距離をより長くしていくものとしてもよい。あるいは、印刷ヘッド36と検査領域52との短絡を検出するセンサを設け、ノズル検査の実行に先立ち、この短絡が検出されたらワイピング装置60によりノズルプレート36aをワイピングするものとしてもよい。
【0039】
上述した実施形態では、ノズル検査装置50をインクを受ける検査領域52と、印刷ヘッド36と検査領域52との間に所定の電位差を発生させる電圧印加回路53と、検査領域の電気的変化を検出する電圧検出回路54とを備えるものとしたが、印刷ヘッド36からのインク吐出が検出可能であれば特に限定されず、例えば、図9に示すように、印刷ヘッド36のノズル33から吐出されたインク滴が通過する検査領域52上の位置に発光部153と受光部154とを設け、ノズル33から吐出されたインク滴により発光部153から発光された光線が遮られたか否かを受光部154で検知することによりインクの吐出検査を行うノズル検査装置150としてもよい。印刷ヘッド36からインクが吐出されるか否かを光線を用いて検出するものであっても、ノズルプレート36aにインクや紙粉などが存在していると正確な検査ができないことがある。こうすれば、光線を用いてノズル検査を行うものについて、より確実に印刷ヘッド36の吐出検査を実行することができる。
【0040】
上述した実施形態では、印刷装置をFAX装置10に具体化した例を示したが、インク以外の他の液体や機能材料の粒子が分散されている液状体(分散液)、ジェルのような流状体などを吐出する印刷装置に具体化してもよいし、流体として吐出可能な固体を吐出する印刷装置に具体化してもよい。例えば、液晶ディスプレイ、EL(エレクトロルミネッセンス)ディスプレイ、面発光ディスプレイ及びカラーフィルタの製造などに用いられる電極材や色材などの材料を溶解した液体を吐出する液体吐出装置、同材料を分散した液状体を吐出する液状体吐出装置、精密ピペットとして用いられ試料となる液体を吐出する液体吐出装置としてもよい。また、光通信素子等に用いられる微小半球レンズ(光学レンズ)などを形成するために紫外線硬化樹脂等の透明樹脂液を基板上に吐出する液体吐出装置、ジェルを吐出する流状体吐出装置、トナーなどの粉体を吐出する粉体吐出式記録装置としてもよい。
【0041】
上述した実施形態では、FAX装置10を本発明の流体吐出装置として説明したが、FAX機能を有さないスキャナ部30を備えたマルチファンクションプリンタや、スキャナ部30を備えないプリンタとしてもよい。更にまた、FAX装置10の態様で説明したが、ノズル検査装置50の態様としてもよいし、吐出検査方法の態様としてもよいし、この方法のプログラムの態様としてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0042】
【図1】本実施形態のFAX装置10の構成の概略を示す構成図。
【図2】キャッピング装置16、印刷ヘッド36及びノズル検査装置50の説明図。
【図3】メインルーチンの一例を示すフローチャート。
【図4】ノズル検査ルーチンのフローチャート。
【図5】クリーニング直後の印刷ヘッド36及びキャッピング装置16の説明図。
【図6】ノズルプレート36aのワイピングを開始する説明図。
【図7】ノズルプレート36aのワイピングを終了する説明図。
【図8】ワイピング後のノズル検査の説明図。
【図9】ノズル検査装置150の説明図。
【符号の説明】
【0043】
10 FAX装置、11 筐体、16 キャッピング装置、17 昇降機構、18 吸引ポンプ、19 開閉バルブ、20 スキャナユニット、21 スキャナ機構、22 スキャナASIC、23 ガラス面、24 読取センサ、26 移動部、30 プリンタユニット、31 プリンタ機構、32 プリンタASIC、33 ノズル、34 インクカートリッジ、35 キャリッジ、35a キャリッジ軸、36 印刷ヘッド、36a ノズルプレート、37 プラテンギャップ調整部、38 搬送ローラ、40 操作パネル、42 表示部、44 操作部、50,150 ノズル検査装置、52 検査領域、53 電圧印加回路、54 電圧検出回路、54a 積分回路、54b 反転増幅回路、54c A/D変換回路、55 上側インク吸収体、56 下側インク吸収体、57 電極部材、60 ワイピング装置、61 支持部材、62 払拭部、64 昇降部、70 コントローラ、72 CPU、74 ROM、76 RAM、77 フラッシュメモリ、78 FAX−インタフェース(I/F)、78a 電話回線ケーブル、81 キャリッジモータ、82 従動ローラ、83 キャリッジベルト、153 発光部、154 受光部、M 原稿、S 記録紙、SW スイッチ。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のノズルを備え流体を該ノズルから吐出してターゲットに画像を形成する流体吐出処理を実行する吐出ヘッドの吐出状態を検査する吐出検査装置であって、
前記吐出ヘッドのノズル面を払拭するワイピング手段と、
前記吐出ヘッドの複数のノズルの各々について該ノズルから所定の検査領域へ前記流体を吐出するよう前記吐出ヘッドを駆動したときに前記流体が吐出されたか否かを検査する吐出検査を行う吐出ヘッド検査手段と、
前記吐出検査を実行するに先立ち前記ワイピング手段により前記吐出ヘッドのノズル面を払拭させる制御手段と、
を備えた吐出検査装置。
【請求項2】
請求項1に記載の吐出検査装置であって、
前記吐出ヘッドに圧力を付与して前記ノズルから流体を強制的に吐出させるクリーニングを行うクリーニング手段、を備え、
前記制御手段は、前記吐出ヘッドをクリーニングするよう前記クリーニング手段を制御したあと前記ワイピング手段により前記吐出ヘッドのノズル面を払拭させ、その後、前記吐出検査を実行するよう前記吐出ヘッドと前記吐出ヘッド検査手段とを制御する、吐出検査装置。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の吐出検査装置であって、
前記吐出ヘッドに当接・離間すると共に該吐出ヘッドに圧力を付与して前記ノズルから流体を強制的に吐出させるクリーニングを行うクリーニング手段と、
前記吐出ヘッドと前記クリーニング手段との相対距離を変更する距離変更手段と、を備え、
前記制御手段は、前記ワイピング手段により前記吐出ヘッドのノズル面を払拭させたあと前記吐出ヘッドと前記クリーニング手段との相対距離をより長くして前記吐出検査を実行するよう前記吐出ヘッドと前記吐出ヘッド検査手段とを制御する、吐出検査装置。
【請求項4】
前記ワイピング手段は、前記クリーニング手段の近傍に配設されている、請求項2又は3に記載の吐出検査装置。
【請求項5】
前記吐出ヘッド検査手段は、前記検査領域と、前記吐出ヘッドと前記検査領域との間に所定の電位差を発生させる電位差発生手段と、前記吐出ヘッド又は前記検査領域の電気的変化を検出する電気的変化検出手段と、を備えており、
前記制御手段は、前記電位差発生手段に前記吐出ヘッドと前記検査領域との間に所定の電位差を発生させた状態で前記検査領域に前記ノズルから前記流体を吐出するよう前記吐出ヘッドを駆動させ、前記電気的変化検出手段の検出結果に基づいて各ノズルから流体が吐出されたか否かの前記吐出検査を実行する、請求項1〜4のいずれか1項に記載の吐出検査装置。
【請求項6】
複数のノズルを備え流体を該ノズルから吐出してターゲットに画像を形成する流体吐出処理を実行する吐出ヘッドと、
前記請求項1〜5のいずれか1項に記載の吐出検査装置と、を備えた流体吐出装置。
【請求項7】
複数のノズルを備え流体を該ノズルから吐出してターゲットに画像を形成する流体吐出処理を実行する吐出ヘッドの吐出状態を検査する吐出検査方法であって、
前記吐出ヘッドの複数のノズルの各々について該ノズルから所定の検査領域へ前記流体を吐出するよう前記吐出ヘッドを駆動したときに前記流体が吐出されたか否かを検査する吐出検査を実行するに先立ち前記吐出ヘッドのノズル面を払拭させるステップ、
を含む吐出検査方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2010−76289(P2010−76289A)
【公開日】平成22年4月8日(2010.4.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−247917(P2008−247917)
【出願日】平成20年9月26日(2008.9.26)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】