説明

含窒素複素環化合物、その製造方法およびそれを用いた医薬組成物

【課題】VEGF阻害作用を有し、糖尿病性腎症をはじめとする様々なVEGFが関与する疾患の治療薬となり得る化合物、その製造方法およびそれを用いた医薬組成物を提供する。
【解決手段】下記一般式(I−A)、


で表わされる含窒素複素環化合物またはその医薬上許容される塩、それらの製造方法、およびそれらを有効成分として含有する医薬組成物である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、含窒素複素環化合物、その製造方法およびそれを用いた医薬組成物に関し、詳しくはVEGF(Vascular endothelial growth factor)阻害作用を有する含窒素複素環化合物、その製造方法およびそれを用いた医薬組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
VEGFは、分子量約45,000の糖タンパク質で、内皮細胞特異的な細胞増殖活性や血管新生促進作用、また血管透過性亢進作用などを示す物資である。VEGFは、糖尿病性腎症、固形腫瘍、リウマチ様関節炎、糖尿病性網膜症あるいはcrow-fukase症候群などの病態への関与が示唆されている。
【0003】
糖尿病性腎症は、糖尿病に基づき発症する腎疾患であり、微量アルブミン尿や尿蛋白の発現を特徴とし、糸球体硬化に進展する病態である。近年、糖尿病動物モデルにおける腎構成細胞のポドサイト、遠位尿細管や集合管で、さらに臨床的にも糖尿病患者の腎糸球体においてVEGFの発現が増強していることが報告された(非特許文献1および2参照)。また、動物実験においてVEGFの中和抗体が、糖尿病性腎症に特徴的所見である尿中アルブミン量の増加を抑制することが報告された(非特許文献3および4参照)。これらのことから、糖尿病性腎症へのVEGFの関与が示唆されると共に、VEGF阻害剤が糖尿病性腎症の治療薬となる可能性が考えられる。
【0004】
VEGF阻害剤としては、例えば、VEGF受容体拮抗剤が特許文献1〜3等に開示されている。
【特許文献1】特開2002−193923号公報
【特許文献2】特開2002−193922号公報
【特許文献3】特開2001−72587号公報
【非特許文献1】Increased renal expression of vascular endothelial growth factor (VEGF) and its receptor VEGFR-2 in experimental diabetes. :「Diabetes」:1999, 48:p2229-2239
【非特許文献2】Quantitative and qualitative changes in vascular endothelial growth factor gene expression in glomeruli of patients with type 2 diabetes. :「European Journal of Endocrinology」:2004, 150:p799-807
【非特許文献3】Antibodies against vascular endothelial growth factor improve early renal dysfunction in experimental diabetes. :「Journal of the American Society of Nephrology」:2001, 12:p.993-1000
【非特許文献4】Amelioration of long-term renal changes in obese type 2 diabetic mice by a neutralizing vascular endothelial growth factor antibody. 「Diabetes」: 2002, 51:p3090-3094
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
現在までに、上記特許文献1〜3記載の化合物をはじめとして、VEGF阻害剤は世界各国で抗がん剤として開発されていることは周知の事実である。しかし、例えば、糖尿病性腎症においては、近年、上記のごとく、糖尿病性腎症にVEGFが深く関与されていることを示す情報が散見されているが、未だ、糖尿病性腎症動物モデルに有効性を示す低分子化合物の報告はなく、治療薬の開発には至っていない。そのような現状において、更なるVEGF阻害剤が望まれている。
【0006】
そこで、本発明の目的は、VEGF阻害作用を有し、糖尿病性腎症をはじめとする様々なVEGFが関与する疾患の治療薬となり得る化合物、その製造方法およびそれを用いた医薬組成物を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者らは上記課題を解決すべく鋭意研究した結果、特定の構造を有する含窒素複素環化合物が、VEGF阻害作用を有し、更に尿中のアルブミン排泄抑制作用を持つことを見出し、本発明を完成するに至った。
【0008】
即ち、本発明の含窒素複素環化合物は、下記一般式(I−A)、

[式中、R1aは、水素原子;ハロゲン原子が置換されてもよいフェニル基、アルコキシ基、水酸基およびハロゲン原子からなる群から選択される置換基が置換されていてもよいアルキル基;−X1a−C(O)OR10a(X1aは単結合またはアルキレン、R10aは水素原子またはアルキル基である);−X2a−C(O)NR11a12a(X2aは単結合またはアルキレン、R11aおよびR12aはそれぞれ独立に水素原子またはアルキル基であり、R11aおよびR12aが隣接する窒素原子とともに下記一般式、

(式中、W1aは−CH2−または−O−である)で表わされる環を形成していてもよい);−SO2−R13a(R13aはフェニル基である);−X3a−NR14a15a(X3aはアルキレン、R14aおよびR15aはそれぞれ独立にアルキル基であり、R14aおよびR15aが隣接する窒素原子とともに下記一般式、

(式中、W2aは−CH2−、−NR16a−(R16aはアルキル基である)または−O−である)で表わされる環を形成していてもよい)であり、
2a、R3aおよびR4aは、それぞれ独立に水素原子;シアノ基;ハロゲン原子;テトラゾリル基;−OR17a(R17aは、水素原子、アルキル基または下記式、

で表わされる置換基である);−O−X4a−NR18a19a(X4aはアルキレン、R18aおよびR19aはそれぞれ独立にアルキル基であり、R18aおよびR19aが隣接する窒素原子とともに環を形成していてもよい);−NR20a21a(R20aおよびR21aは、それぞれ独立にフェニル基が置換されていてもよいアルキル基、水素原子、−C(O)R22a(R22aはハロゲン原子が置換されていてもよいアルキル基である)、−C(O)OR23a(R23aは、ニトロ基を有していてもよいフェニル基、アルキル基、または下記式、

で表わされる置換基である)、−X5a−NR24a25a(X5aは単結合またはアルキレン、R24aおよびR25aはそれぞれ独立にアルキル基であり、R24aおよびR25aが隣接する窒素原子とともに下記一般式、

(式中、m1およびm2はそれぞれ独立に0〜5の整数、W3aは−CH2−または−O−であり、m1およびm2が同時に0である場合を除く)で表わされる環を形成していてもよい)、または下記一般式、

(式中、R26aはアルキル基である)で表わされる置換基であり、R20aおよびR21aが隣接する窒素原子とともに下記一般式、

(式中、m3およびm4はそれぞれ独立に0〜5の整数、W4aは−CH2−または−NR27a−(R27aはアルキル基であり、置換基を有していてもよい)であり、m1およびm2が同時に0である場合を除く)で表わされる環を形成していてもよく、該環は置換基を有していてもよい);−NR28a−C(O)−X6a−NR29a30a(X6aは単結合またはアルキレン、R28aは水素原子またはアルキル基、R29aおよびR30aはそれぞれ独立に水素原子;ハロゲン原子もしくはアルコキシ基が置換されていてもよいフェニル基、水酸基、アルコキシ基および複素環からなる群から選択される置換基が置換されていてもよいアルキル基(該アルキル基は鎖中にスルフィド結合を有していてもよい);−X7a−R31a(X7aは単結合またはアルキレン、R31aは下記式、

で表わされる基である);アルケニル基;または置換基を有していてもよいフェニル基であり、R29aおよびR30aが隣接する窒素原子とともに下記一般式、

(式中、m5およびm6はそれぞれ独立に0〜5の整数、W5aは−CH2−、−S−、−O−または−NR32a−(R32aは置換基を有していてもよいアルキル基、フェニル基、複素環または−C(O)−OR33a(R33aはアルキル基である)である)であり、m5およびm6が同時に0である場合を除く)で表わされる環を形成していてもよく、該環は置換基を有していてもよく、また、該環は他の芳香環と縮合環を形成していてもよく、該縮合環は置換基が有していてもよい);−C(O)−NH−X8a−NR34a35a(X8aは単結合またはアルキレン、R34aおよびR35aはそれぞれ独立にアルキル基であり、R34aおよびR35aが隣接する窒素原子とともに下記一般式、

(式中、m7およびm8はそれぞれ独立に0〜5の整数、W6aは−CH2−または−O−であり、m7およびm8が同時に0である場合を除く)で表わされる環を形成していてもよい);−O−C(O)−NR36a37a(R36aおよびR37aはそれぞれ独立に水素原子またはアルキル基であり、R36aおよびR37aが隣接する窒素原子とともに下記一般式、

(式中、m9およびm10はそれぞれ独立に0〜5の整数、W7aは−CH2−、−O−または−NR38a−(R38aはアルキル基である)であり、m9およびm10が同時に0である場合を除く)で表わされる環を形成してもよく、また、該環は置換基を有していてもよい); −C(O)OR39a(R39aは、水素原子またはアルキル基である):または−C(O)−NR40a41a(R40aおよびR41aはそれぞれ独立にアルキル基であり、R40aおよびR41aが隣接する窒素原子とともに下記一般式、

(式中、m11およびm12はそれぞれ独立に0〜5の整数、R42aはフェニル基が置換されていてもよいアルキル基であり、m11およびm12が同時に0である場合を除く)で表わされる環を形成していてもよい)であり、
5aは水素原子またはアルキル基であり、
6a、R7a、R8aおよびR9aは、それぞれ独立に水素原子;−C(O)OR43a(R43aはアルキル基である);水酸基が置換されていてもよいアルキル基;ニトロ基;ハロゲン原子;またはアミノ基であり、R6aおよびR7aと、R7aおよびR8aと、またはR8aおよびR9aとにより、隣接するベンゼン環と下記式、

で表わされる縮合環を形成してもよい]で表わされることを特徴とするもの、またはその医薬上許容される塩である。
【0009】
また、本発明の他の含窒素複素環化合物は、下記一般式(I−B)、

[式中、R1bは、水素原子;ハロゲン原子が置換されてもよいフェニル基、アルコキシ基、水酸基およびハロゲン原子からなる群から選択される置換基が置換されていてもよいアルキル基;−X1b−C(O)OR10b(X1bは単結合またはアルキレン、R10bは水素原子またはアルキル基である);−X2b−C(O)NR11b12b(X2bは単結合またはアルキレン、R11bおよびR12bはそれぞれ独立に水素原子またはアルキル基であり、R11bおよびR12bが隣接する窒素原子とともに下記一般式、

(式中、W1bは−CH2−または−O−である)で表わされる環を形成していてもよい);−SO2−R13b(R13bはフェニル基である);−X3b−NR14b15b(X3bはアルキレン、R14bおよびR15bはそれぞれ独立にアルキル基であり、R14bおよびR15bが隣接する窒素原子とともに下記一般式、

(式中、W2bは−CH2−、−NR16b−(R16bはアルキル基である)または−O−である)で表わされる環を形成していてもよい)であり、
2b、R3bおよびR4bは、それぞれ独立に水素原子;シアノ基;ハロゲン原子;テトラゾリル基;−OR17b(R17bは、水素原子、アルキル基または下記式、

で表わされる置換基である);−O−X4b−NR18b19b(X4bはアルキレン、R18bおよびR19bはそれぞれ独立にアルキル基であり、R18bおよびR19bが隣接する窒素原子とともに環を形成していてもよい);−NR20b21b(R20bおよびR21bは、それぞれ独立にフェニル基が置換されていてもよいアルキル基、水素原子、−C(O)R22b(R22bはハロゲン原子が置換されていてもよいアルキル基である)、−C(O)OR23b(R23bは、ニトロ基を有していてもよいフェニル基、アルキル基、または下記式、

で表わされる置換基である)、−X5b−NR24b25b(X5bは単結合またはアルキレン、R24bおよびR25bはそれぞれ独立にアルキル基であり、R24bおよびR25bが隣接する窒素原子とともに下記一般式、

(式中、n1およびn2はそれぞれ独立に0〜5の整数、W3bは−CH2−または−O−であり、n1およびn2が同時に0である場合を除く)で表わされる環を形成していてもよい)、または下記一般式、

(式中、R26bはアルキル基である)で表わされる置換基であり、R20bおよびR21bが隣接する窒素原子とともに下記一般式、

(式中、n3およびn4はそれぞれ独立に0〜5の整数、W4bは−CH2−または−NR27b−(R27bはアルキル基であり、置換基を有していてもよい)であり、n1およびn2が同時に0である場合を除く)で表わされる環を形成していてもよく、該環は置換基を有していてもよい);−NR28b−C(O)−X6b−NR29b30b(X6bは単結合またはアルキレン、R28bは水素原子またはアルキル基、R29bおよびR30bはそれぞれ独立に水素原子;ハロゲン原子もしくはアルコキシ基が置換されていてもよいフェニル基、水酸基、アルコキシ基および複素環からなる群から選択される置換基が置換されていてもよいアルキル基(該アルキル基は鎖中にスルフィド結合を有していてもよい);−X7b−R31b(X7bは単結合またはアルキレン、R31bは下記式、

で表わされる基である);アルケニル基;または置換基を有していてもよいフェニル基であり、R29bおよびR30bが隣接する窒素原子とともに下記一般式、

(式中、n5およびn6はそれぞれ独立に0〜5の整数、W5bは−CH2−、−S−、−O−または−NR32b−(R32bは置換基を有していてもよいアルキル基、フェニル基、複素環または−C(O)−OR33b(R33bはアルキル基である)である)であり、n5およびn6が同時に0である場合を除く)で表わされる環を形成していてもよく、該環は置換基を有していてもよく、また、該環は他の芳香環と縮合環を形成していてもよく、該縮合環は置換基が有していてもよい);−C(O)−NH−X8b−NR34b35b(X8bは単結合またはアルキレン、R34bおよびR35bはそれぞれ独立にアルキル基であり、R34bおよびR35bが隣接する窒素原子とともに下記一般式、

(式中、n7およびn8はそれぞれ独立に0〜5の整数、W6bは−CH2−または−O−であり、n7およびn8が同時に0である場合を除く)で表わされる環を形成していてもよい);−O−C(O)−NR36b37b(R36bおよびR37bはそれぞれ独立に水素原子またはアルキル基であり、R36bおよびR37bが隣接する窒素原子とともに下記一般式、

(式中、n9およびn10はそれぞれ独立に0〜5の整数、W7bは−CH2−、−O−または−NR38b−(R38bはアルキル基である)であり、n9およびn10が同時に0である場合を除く)で表わされる環を形成してもよく、また、該環は置換基を有していてもよい); −C(O)OR39b(R39bは、水素原子またはアルキル基である):または−C(O)−NR40b41b(R40bおよびR41bはそれぞれ独立にアルキル基であり、R40bおよびR41bが隣接する窒素原子とともに下記一般式、

(式中、n11およびn12はそれぞれ独立に0〜5の整数、R42bはフェニル基が置換されていてもよいアルキル基であり、n11およびn12が同時に0である場合を除く)で表わされる環を形成していてもよい)であり、
5bは水素原子またはアルキル基であり、
6b、R7b、R8bおよびR9bは、それぞれ独立に水素原子;−C(O)OR43b(R43bはアルキル基である);水酸基が置換されていてもよいアルキル基;ニトロ基;ハロゲン原子;またはアミノ基であり、R6bおよびR7bと、R7bおよびR8bと、またはR8bおよびR9bとにより、隣接するベンゼン環と下記式、

で表わされる縮合環を形成してもよい]で表わされることを特徴とするもの、またはその医薬上許容される塩である。
【0010】
本発明の製造方法は、上記本発明の含窒素複素環化合物(I−A)またはその医薬上許容される塩の製造方法であって、下記一般式(II−A)、

(式中、R1a、R2a、R3aおよびR4aは上記のものと同じである)で表わされる7−アザインドール誘導体またはその前駆体と、下記一般式(III−A)、

(式中、R5a、R6a、R7a、R8aおよびR9aは上記のものと同じである)で表わされるキノキサロン誘導体またはその前駆体と、を反応させる工程を含むことを特徴とするものである。
【0011】
本発明の医薬組成物は、上記本発明の含窒素複素環化合物(I−A)もしくは(I−B)またはそれらの医薬上許容される塩を有効成分として含有することを特徴とするものである。
【0012】
なお、本明細書において使用する各置換基等の定義は次の通りである。「アルキル基」は、直鎖でも分枝してもよく、環状であってもよい。炭素数は特に制限されるものではないが、好ましくは1〜12、より好ましくは1〜6である。「アルコキシ基」のアルキル基部分は、上記アルキル基と同様に、直鎖でも分枝してもよく、環状であってもよく、炭素数は特に制限されるものではないが、好ましくは1〜12、より好ましくは1〜6である。「アルケニル基」は、鎖中に二重結合を有するものであれば、直鎖でも分枝してもよく、環状であってもよい。炭素数は特に制限されるものではないが、好ましくは1〜12、より好ましくは1〜6である。「アルキレン」は、直鎖でも分枝してもよく、炭素数は特に制限されるものではないが、好ましくは炭素数1〜12、より好ましくは1〜6である。「複素環」とは、ヘテロ原子を1個以上含有する環であり、ピリジル基、ピリミジニル等の芳香性を有するものである。
【発明の効果】
【0013】
本発明の含窒素複素環化合物またはその医薬上許容される塩は、VEGF阻害作用を有する化合物である。それらを有効成分とする本発明の医薬組成物は、VEGF阻害作用を有する治療薬として、糖尿病性腎症、固形腫瘍、リウマチ様関節炎、糖尿病性網膜症あるいはcrow-fukase症候群等の種々の疾患への応用が期待できる。また、本発明の含窒素複素環化合物またはその医薬上許容される塩の製造方法として、本発明の製造方法を用いることにより、副生成物の生成を抑えることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、本発明の好適実施形態について、詳細に説明する。
本発明の含窒素複素環化合物は、下記一般式(I−A)、

で表されることを特徴するものである。式中、R1aは、水素原子;ハロゲン原子が置換されてもよいフェニル基、アルコキシ基、水酸基およびハロゲン原子からなる群から選択される置換基が置換されていてもよいアルキル基;−X1a−C(O)OR10a(X1aは単結合またはアルキレンである。R10aは水素原子またはアルキル基である。);−X2a−C(O)NR11a12a(X2aは単結合またはアルキレンである。R11aおよびR12aはそれぞれ独立に水素原子またはアルキル基であり、R11aおよびR12aが隣接する窒素原子とともに下記一般式、

(式中、W1aは−CH2−または−O−である。)で表わされる環を形成していてもよい。);−SO2−R13a(R13aはフェニル基である。);−X3a−NR14a15a(X3aはアルキレンである。R14aおよびR15aはそれぞれ独立にアルキル基であり、R14aおよびR15aが隣接する窒素原子とともに下記一般式、

(式中、W2aは−CH2−、−NR16a−(R16aはアルキル基である。)または−O−である。)で表わされる環を形成していてもよい。)である。
【0015】
1aが水素原子;ハロゲン原子が置換されてもよいフェニル基、アルコキシ基、水酸基およびハロゲン原子からなる群から選択される置換基が置換されていてもよいアルキル基;または−X1a−C(O)OR10a(X1aおよびR10aは上記のものと同じである。)であるものが好ましい。特に、R1aが水素原子;水酸基が置換されていてもよいアルキル基;または−X1a−C(O)OR10a(X1aは単結合であり、R10aはアルキル基である。)であるものがより好ましい。R1aがアルキル基である場合、炭素数1〜6のものが好ましい。
【0016】
2a、R3aおよびR4aは、それぞれ独立に水素原子;シアノ基;ハロゲン原子;テトラゾリル基;−OR17a(R17aは、水素原子、アルキル基または下記式、

で表わされる置換基である。);−O−X4a−NR18a19a(X4aはアルキレンである。R18aおよびR19aはそれぞれ独立にアルキル基であり、R18aおよびR19aが隣接する窒素原子とともに環を形成していてもよい。);−NR20a21a(R20aおよびR21aは、それぞれ独立にフェニル基が置換されていてもよいアルキル基、水素原子、−C(O)R22a(R22aはハロゲン原子が置換されていてもよいアルキル基である。)、−C(O)OR23a(R23aは、ニトロ基を有していてもよいフェニル基、アルキル基、または下記式、

で表わされる置換基である。)、−X5a−NR24a25a(X5aは単結合またはアルキレンである。R24aおよびR25aはそれぞれ独立にアルキル基であり、R24aおよびR25aが隣接する窒素原子とともに下記一般式、

(式中、m1およびm2はそれぞれ独立に0〜5の整数である。W3aは−CH2−または−O−であり、m1およびm2が同時に0である場合を除く。)で表わされる環を形成していてもよい。)、または下記一般式、

(式中、R26aはアルキル基である。)で表わされる置換基であり、R20aおよびR21aが隣接する窒素原子とともに下記一般式、

(式中、m3およびm4はそれぞれ独立に0〜5の整数である。W4aは−CH2−または−NR27a−(R27aはアルキル基であり、置換基を有していてもよい。)であり、m1およびm2が同時に0である場合を除く。)で表わされる環を形成していてもよく、該環は置換基を有していてもよい。);−NR28a−C(O)−X6a−NR29a30a(X6aは単結合またはアルキレンである。R28aは水素原子またはアルキル基である。R29aおよびR30aはそれぞれ独立に水素原子;ハロゲン原子もしくはアルコキシ基が置換されていてもよいフェニル基、水酸基、アルコキシ基および複素環からなる群から選択される置換基が置換されていてもよいアルキル基(該アルキル基は鎖中にスルフィド結合を有していてもよい。);−X7a−R31a(X7aは単結合またはアルキレンである。R31aは下記式、

で表わされる基である。);アルケニル基;または置換基を有していてもよいフェニル基であり、R29aおよびR30aが隣接する窒素原子とともに下記一般式、

(式中、m5およびm6はそれぞれ独立に0〜5の整数である。W5aは−CH2−、−S−、−O−または−NR32a−(R32aは置換基を有していてもよいアルキル基、フェニル基、複素環または−C(O)−OR33a(R33aはアルキル基である。)である。)であり、m5およびm6が同時に0である場合を除く。)で表わされる環を形成していてもよく、該環は置換基を有していてもよい。また、該環は他の芳香環と縮合環を形成していてもよく、該縮合環は置換基が有していてもよい。);−C(O)−NH−X8a−NR34a35a(X8aは単結合またはアルキレンである。R34aおよびR35aはそれぞれ独立にアルキル基であり、R34aおよびR35aが隣接する窒素原子とともに下記一般式、

(式中、m7およびm8はそれぞれ独立に0〜5の整数である。W6aは−CH2−または−O−であり、m7およびm8が同時に0である場合を除く。)で表わされる環を形成していてもよい。);−O−C(O)−NR36a37a(R36aおよびR37aはそれぞれ独立に水素原子またはアルキル基であり、R36aおよびR37aが隣接する窒素原子とともに下記一般式、

(式中、m9およびm10はそれぞれ独立に0〜5の整数である。W7aは−CH2−、−O−または−NR38a−(R38aはアルキル基である。)であり、m9およびm10が同時に0である場合を除く。)で表わされる環を形成してもよく、また、該環は置換基を有していてもよい。); −C(O)OR39a(R39aは、水素原子またはアルキル基である。):または−C(O)−NR40a41a(R40aおよびR41aはそれぞれ独立にアルキル基であり、R40aおよびR41aが隣接する窒素原子とともに下記一般式、

(式中、m11およびm12はそれぞれ独立に0〜5の整数である。R42aはフェニル基が置換されていてもよいアルキル基であり、m11およびm12が同時に0である場合を除く。)で表わされる環を形成していてもよい。)である。
【0017】
2a、R3aおよびR4aが、それぞれ独立に水素原子;シアノ基;ハロゲン原子;−OR17a(R17aは、上記のものと同じである。);−NR20a21a(R20aおよびR21aは上記のものと同じである。);−NR28a−C(O)−X6a−NR29a30a(X6a、R28a、R29aおよびR30aは上記のものと同じである。);または−O−C(O)−NR36a37a(R36aおよびR37aは上記のものと同じである。)であるものが好ましい。
【0018】
5aは水素原子またはアルキル基であり、水素原子であるものが好ましい。
【0019】
6a、R7a、R8aおよびR9aは、それぞれ独立に水素原子;−C(O)OR43a(R43aはアルキル基である。);水酸基が置換されていてもよいアルキル基;ニトロ基;ハロゲン原子;またはアミノ基であり、R6aおよびR7aと、R7aおよびR8aと、またはR8aおよびR9aとにより、隣接するベンゼン環と下記式、

で表わされる縮合環を形成してもよい。
【0020】
6a、R7a、R8aおよびR9aは、それぞれ独立に水素原子;水酸基が置換されていてもよいアルキル基;またはハロゲン原子であるものが好ましい。
【0021】
本発明の他の含窒素複素環化合物は、下記一般式(I−B)、

で表されることを特徴するものである。式中、R1bは、水素原子;ハロゲン原子が置換されてもよいフェニル基、アルコキシ基、水酸基およびハロゲン原子からなる群から選択される置換基が置換されていてもよいアルキル基;−X1b−C(O)OR10b(X1bは単結合またはアルキレンである。R10bは水素原子またはアルキル基である。);−X2b−C(O)NR11b12b(X2bは単結合またはアルキレンである。R11bおよびR12bはそれぞれ独立に水素原子またはアルキル基であり、R11bおよびR12bが隣接する窒素原子とともに下記一般式、

(式中、W1bは−CH2−または−O−である。)で表わされる環を形成していてもよい。);−SO2−R13b(R13bはフェニル基である。);−X3b−NR14b15b(X3bはアルキレンである。R14bおよびR15bはそれぞれ独立にアルキル基であり、R14bおよびR15bが隣接する窒素原子とともに下記一般式、

(式中、W2bは−CH2−、−NR16b−(R16bはアルキル基である。)または−O−である。)で表わされる環を形成していてもよい。)である。
【0022】
1bが、水素原子またはアルキル基であるものが好ましく、アルキル基であるものがより好ましい。
【0023】
2b、R3bおよびR4bは、それぞれ独立に水素原子;シアノ基;ハロゲン原子;テトラゾリル基;−OR17b(R17bは、水素原子、アルキル基または下記式、

で表わされる置換基である。);−O−X4b−NR18b19b(X4bはアルキレンである。R18bおよびR19bはそれぞれ独立にアルキル基であり、R18bおよびR19bが隣接する窒素原子とともに環を形成していてもよい。);−NR20b21b(R20bおよびR21bは、それぞれ独立にフェニル基が置換されていてもよいアルキル基、水素原子、−C(O)R22b(R22bはハロゲン原子が置換されていてもよいアルキル基である。)、−C(O)OR23b(R23bは、ニトロ基を有していてもよいフェニル基、アルキル基、または下記式、

で表わされる置換基である。)、−X5b−NR24b25b(X5bは単結合またはアルキレンである。R24bおよびR25bはそれぞれ独立にアルキル基であり、R24bおよびR25bが隣接する窒素原子とともに下記一般式、

(式中、n1およびn2はそれぞれ独立に0〜5の整数である。W3bは−CH2−または−O−であり、n1およびn2が同時に0である場合を除く。)で表わされる環を形成していてもよい。)、または下記一般式、

(式中、R26bはアルキル基である。)で表わされる置換基であり、R20bおよびR21bが隣接する窒素原子とともに下記一般式、

(式中、n3およびn4はそれぞれ独立に0〜5の整数である。W4bは−CH2−または−NR27b−(R27bはアルキル基であり、置換基を有していてもよい。)であり、n1およびn2が同時に0である場合を除く。)で表わされる環を形成していてもよく、該環は置換基を有していてもよい。);−NR28b−C(O)−X6b−NR29b30b(X6bは単結合またはアルキレンである。R28bは水素原子またはアルキル基である。R29bおよびR30bはそれぞれ独立に水素原子;ハロゲン原子もしくはアルコキシ基が置換されていてもよいフェニル基、水酸基、アルコキシ基および複素環からなる群から選択される置換基が置換されていてもよいアルキル基(該アルキル基は鎖中にスルフィド結合を有していてもよい。);−X7b−R31b(X7bは単結合またはアルキレンである。R31bは下記式、

で表わされる基である。);アルケニル基;または置換基を有していてもよいフェニル基であり、R29bおよびR30bが隣接する窒素原子とともに下記一般式、

(式中、n5およびn6はそれぞれ独立に0〜5の整数である。W5bは−CH2−、−S−、−O−または−NR32b−(R32bは置換基を有していてもよいアルキル基、フェニル基、複素環または−C(O)−OR33b(R33bはアルキル基である。)である。)であり、n5およびn6が同時に0である場合を除く。)で表わされる環を形成していてもよく、該環は置換基を有していてもよい。また、該環は他の芳香環と縮合環を形成していてもよく、該縮合環は置換基が有していてもよい。);−C(O)−NH−X8b−NR34b35b(X8bは単結合またはアルキレンである。R34bおよびR35bはそれぞれ独立にアルキル基であり、R34bおよびR35bが隣接する窒素原子とともに下記一般式、

(式中、n7およびn8はそれぞれ独立に0〜5の整数である。W6bは−CH2−または−O−であり、n7およびn8が同時に0である場合を除く。)で表わされる環を形成していてもよい。);−O−C(O)−NR36b37b(R36bおよびR37bはそれぞれ独立に水素原子またはアルキル基であり、R36bおよびR37bが隣接する窒素原子とともに下記一般式、

(式中、n9およびn10はそれぞれ独立に0〜5の整数である。W7bは−CH2−、−O−または−NR38b−(R38bはアルキル基である。)であり、n9およびn10が同時に0である場合を除く。)で表わされる環を形成してもよく、また、該環は置換基を有していてもよい。); −C(O)OR39b(R39bは、水素原子またはアルキル基である。):または−C(O)−NR40b41b(R40bおよびR41bはそれぞれ独立にアルキル基であり、R40bおよびR41bが隣接する窒素原子とともに下記一般式、

(式中、n11およびn12はそれぞれ独立に0〜5の整数である。R42bはフェニル基が置換されていてもよいアルキル基であり、n11およびn12が同時に0である場合を除く。)で表わされる環を形成していてもよい。)である。
【0024】
2b、R3bおよびR4bが、それぞれ独立に水素原子;シアノ基;ハロゲン原子;−OR17b(R17bは、上記のものと同じである。);−NR20b21b(R20bおよびR21bは、上記のものと同じである。);−NR28−C(O)−X6b−NR29b30b(X6b、R28b、R29bおよびR30bは上記のものと同じである。);−C(O)−NH−X8b−NR34b35b(X8b、R34bおよびR35bは、上記のものと同じである。);−O−C(O)−NR36b37b(R36bおよびR37bは上記のものと同じである。); −C(O)OR39b(R39bは、上記のものと同じである。):または−C(O)−NR40b41b(R40bおよびR41bは上記のものと同じである。)であるものが好ましい。
【0025】
中でも、R2b、R3bおよびR4bが、それぞれ独立に水素原子;−OR17b(R17bは、上記のものと同じである。);−NR20b21b(R20bおよびR21bは、上記のものと同じである。);−NR28b−C(O)−X6b−NR29b30b(X6b、R28b、R29bおよびR30bは上記のものと同じである。)または;−O−C(O)−NR36b37b(R36bおよびR37bは上記のものと同じである。)であるものがより好ましい。
【0026】
5bは水素原子またはアルキル基であり、好ましくは水素原子である。
【0027】
6b、R7b、R8bおよびR9bは、それぞれ独立に水素原子;−C(O)OR43b(R43bはアルキル基である。);水酸基が置換されていてもよいアルキル基;ニトロ基;ハロゲン原子;またはアミノ基であり、R6bおよびR7bと、R7bおよびR8bと、またはR8bおよびR9bとにより、隣接するベンゼン環と下記式、

で表わされる縮合環を形成してもよい。
【0028】
6b、R7b、R8bおよびR9bは、それぞれ独立に水素原子またはハロゲン原子であるものが好ましい。
【0029】
本発明の含窒素複素環化合物において、その医薬上許容される塩とは、特に制限されるものではなく、例えば、塩酸塩、硫酸塩、リン酸塩、硝酸塩、酢酸塩、プロピオン酸塩、コハク酸塩、グリコール酸塩、乳酸塩、リンゴ酸塩、シュウ酸塩、酒石酸塩、クエン酸塩、マレイン酸塩、フマール酸塩、メタンスルホン酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、p−トルエンスルホン酸塩およびアスコルビン酸塩等を挙げることができる。なお、水和物、溶媒和物等であってもよい。
【0030】
本発明の含窒素複素環化合物(I−A)の合成方法は特に制限されるものではなく、既知の反応を組み合わせることにより、合成することができるが、好ましくは、本発明の製造方法により合成することが反応条件および収率等の点で有利である。本発明の製造方法は、上記本発明の含窒素複素環化合物(I−A)またはその医薬上許容される塩を製造するにあたり、下記一般式(II−A)、

(式中、R1a、R2a、R3aおよびR4aは上記のものと同じである)で表わされる7−アザインドール誘導体またはその前駆体と、下記一般式(III−A)、

(式中、R5a、R6a、R7a、R8aおよびR9aは上記のものと同じである)で表わされるキノキサロン誘導体またはその前駆体と、を反応させる工程を含む。
【0031】
かかる反応をブレンステッド酸存在下にて行うことが好ましく、ブレンステッド酸として、酢酸またはトリフルオロ酢酸を好適に用いることができる。
【0032】
以下、上記含窒素複素環化合物(I−A)の合成方法に関し、詳しく説明する。例えば、以下の反応式に従い、本発明の含窒素複素環化合物を合成することができる(「Schaefer, J.P.; Corey, E.J.; J Org Chem. 1959, 24, 1825」参照)

【0033】
7−アザインドール(A−1)をブロモアセチルブロマイドと反応させ、二酸化ゼリンで酸化することによって、メチルエステル誘導体(A−3)を容易に合成することができる。続いて、7−アザインドール部分のNHを置換基で保護し、α―ケトカルボン酸化合物(A−4)を得る。得られたα―ケトカルボン酸化合物(A−4)を、ジアニリン誘導体(A−5)と反応させることによって、化合物(A−6)を合成することができる。上記化合物(A−6)は、原料または中間生成物に、目的の化合物と同様の置換基を導入することにより、または、ハロゲン原子等の脱離基を導入し、適宜、脱離反応および置換基交換反応を利用することにより所望の置換基を有する化合物を得ることができる(「Marie-Claude Viaudら, HETEROCYCLES,Vol.50,No.2.1999,1065-1080.」参照)。
【0034】
α―ケトカルボン酸化合物(A−4)とジアニリン誘導体(A−5)の反応条件としては、以下のものを挙げることができる。
α―ケトカルボン酸化合物(A−4)とジアニリン誘導体(A−5)とをエタノールと塩酸の混合溶媒に溶解させ、2−メルカプトエタノールを加え、加熱することにより目的化合物を合成することができる(合成法A)。また、α―ケトカルボン酸化合物(A−4)とジアニリン誘導体(A−5)を硫酸に懸濁させ、加熱還流することによっても目的化合物を合成できる(合成法B)。
【0035】
なお、α―ケトカルボン酸化合物(A−4)とジアニリン誘導体(A−5)の反応において、ジアニリン誘導体(A−5)が置換基を有する場合、生成物は位置異性体の混合物として得られ、その分離が困難となるため、当該合成方法は、ジアニリン誘導体(A−5)が未置換、あるいは左右対称に置換基を有する場合にのみ用いることが好ましい。
【0036】
また、以下の反応式に従い、本発明の含窒素複素環化合物を合成することもできる。下記反応は本発明の製造方法の一例である。

【0037】
7−アザインドール誘導体(A−7)とキノキサリン−2(1H)−オン(A−8)とを、酢酸、またはトリフルオロ酢酸を用いた直接カップリングにより、目的の化合物(A−9)を得ることができる。目的の化合物(A−9)は置換基を有していないが、7−アザインドール誘導体(A−7)および/またはキノキサリン−2(1H)−オン(A−8)に、目的の化合物と同様の置換基を導入することにより、または、ハロゲン原子等の脱離基を導入し、適宜、脱離反応および置換基交換反応を利用することにより所望の置換基を有する化合物を得ることができる。この合成法を用いることにより、位置異性体の混合物となることなく、目的の化合物を得ることができる。
【0038】
上記反応は、例えば、7−アザインドール誘導体(A−7)とキノキサリン−2(1H)−オン(A−8)とを、酢酸あるいはトリフルオロ酢酸に溶解させ、加熱還流することにより、目的の化合物(A−9)を合成することができる(合成法C)。
【0039】
本発明の含窒素複素環化合物(I−B)の合成方法は特に制限されるものではなく、既知の反応を組み合わせることにより、合成することができる。例えば、下記反応式に従い、合成することができる。

【0040】
7−アザインドール(B−1)の3位をヨウ素化し、化合物(B−2)を得る。7−アザインドール部分のNHをメチル基等にて保護し、化合物(B−3)を得た後、化合物(B−4)とカップリングすることにより、化合物(B−5)を得ることができる。それを酢酸溶媒中にて還流することにより、目的の化合物である含窒素複素環化合物(B−6)を得ることができる。目的の化合物(B−6)は置換基を有していないが、原料または中間生成物に、目的の化合物と同様の置換基を導入することにより、または、ハロゲン原子等の脱離基を導入し、適宜、脱離反応および置換基交換反応を利用することにより所望の置換基を有する化合物を得ることができる。この合成法を用いることにより、位置異性体の混合物となることなく、目的の化合物を得ることができる。
【0041】
本発明の医薬組成物は上記本発明の含窒素複素環化合物またはその医薬上許容される塩を有効成分として含有することを特徴とするものである。本発明の医薬組成物はVEGF阻害剤として好適であり、糖尿病性腎症治療薬、抗がん剤または血管新生阻害剤等として有用である。
【0042】
本発明の医薬組成物の形態は、特に限定されず、必要に応じて適宜選択することができる。例えば、錠剤、カプセル剤、顆粒剤、細粒剤、散剤または液剤のような経口剤、または、注射剤、外用剤または坐剤のような非経口剤が挙げられ、定法に従い、製剤とすることができる。
【0043】
本発明の医薬組成物を糖尿病性腎症治療薬、抗がん剤、血管新生阻害剤等として用いる場合に、患者の年齢、性別、体重または疾患の程度により異なるが、通常、成人に対して、1日あたり1mg〜1gの範囲で、1日1回〜複数回投与する。
【実施例】
【0044】
本発明の含窒素複素環化合物を合成するにあたり、適宜、下記合成法A〜Cを用いた。

合成法A:適宜、置換基を導入したα−ケトカルボン酸化合物(0.8mmol)およびジアニリン誘導体(1.6mmol)をエタノール(10mL)および2mol/L HCl(9.2mL)の混合溶媒に溶解させ、2−メルカプトエタノール(0.84mL)を加え、100℃で、数時間還流した。反応液に飽和炭酸水素ナトリウム水溶液および酢酸エチルを加えて抽出し、有機層を飽和食塩水にて洗浄、無水硫酸マグネシウムにて乾燥後、溶媒を減圧濃縮した。得られた残渣をシリカゲルカラムで精製(CH2Cl2:MeOH=20:1)することにより、目的化合物を得た。
【0045】
合成法B:適宜、置換基を導入したα―ケトカルボン酸化合物(0.8mmol)とジアニリン誘導体(1.6mmol)を2mol/L 濃硫酸(6mL)に懸濁し、120℃、数時間還流した。反応後、室温に戻した後、沈殿物を濾取、水で洗浄した。減圧乾燥により目的化合物を得た。精製は、合成法Aと同様の手順により行った。
【0046】

合成法C:7−アザインドール誘導体(0.163mmol)を酢酸(2mL)に溶解させ、キノキサリン−2(1H)−オン誘導体(1.02当量)を加え、140℃で攪拌還流した。反応後、室温に戻し、炭酸水素ナトリウム水溶液を加え酢酸エチルで抽出し、抽出液を飽和食塩水で洗浄、無水硫酸マグネシウムで乾燥、減圧濃縮することにより、目的化合物を得た。精製は、合成法Aと同様の手順により行った。
【0047】
中間体Aの合成
下記反応式に従い、目的の化合物を合成した。

【0048】
アルゴン雰囲気下、5−ブロモ−7−アザインドール(3.86g,19.7mmol)をCS2(138mL)に溶解させ、AlCl3 (33g)を加え、50℃とし、ブロモアセチルブロミド(2.05mL, 23.6mmol)をゆっくり滴下し、更に1時間攪拌した。反応液を氷冷下に冷やし、水(約150mL)をゆっくり加え、2時間攪拌した。沈殿物を濾取した後、水で洗浄し、減圧乾燥した。目的物を薄茶色固体として得た(6.47g, 定量的)。
1H-NMR(DMSO-d6, 200MHz)δ:4.71(s, 2H), 8.45(d, 1H, J=2.2Hz), 8.56(d, 1H, J=2.2 Hz), 8.70(d, 1H, J=3.2Hz), 12.9(s, 1H).
【0049】
中間体Bの合成
下記反応式に従い、目的の化合物を合成した。

【0050】
アルゴン雰囲気下、中間体A(6.26g, 19.7mmol)をメタノール(150mL)とDMSO(50mL)混合溶媒に溶解させ、SeO2(3.28g, 30mmol)を加え、48時間攪拌還流した。反応後、水を加え、酢酸エチルで抽出し、抽出液を減圧濃縮した後残渣をシリカゲルカラムで精製(酢酸エチル:ヘキサン=2:1)することにより、無色油状の目的物を得た(粗製物として6.45g)。
1H-NMR(DMSO-d6, 200MHz)δ:3.91(s, 3H), 8.49 (d, 1H, J=2.1Hz), 8.57 (d, 1H, J=2.1Hz), 8.66(d, 1H, J=2.9Hz), 13.2(s, 1H).
【0051】
中間体Cの合成
下記反応式に従い、目的の化合物を合成した。

【0052】
アルゴン雰囲気下、中間体B(2.45g, 8.7mmol)をDMF(66mL)に溶解させ、氷冷下、NaH(1.18g, 13.1mmol)を加え、0.5時間攪拌反応した。ヨードメタン(1.84mL, 13.1mmol)を加え、更に0.5時間を攪拌反応した。反応後、水を加え、酢酸エチルで抽出し、抽出液を減圧濃縮した後、残渣をシリカゲルカラムで精製(酢酸エチル:ヘキサン=1:1)することにより、目的物を得た(2.04g, 2工程79%)。
1H-NMR(CDCl3, 200MHz)δ:3.95(s, 3H), 3.97(s, 3H), 8.46(d, 1H, J=2.2Hz), 8.52(s, 1H), 8.81(d, 1H, J=2.2Hz).
【0053】
化合物1の合成
下記反応式に従い、目的の化合物を合成した。

【0054】
化合物1は「合成法B」により合成した(収率68%)。
【0055】
化合物2の合成
下記反応式に従い、目的の化合物を合成した。

【0056】
アルゴン雰囲気下、化合物1 (355mg, 1mmol)を無水DMF(10mL)に溶解させ、CuI(190.5mg, 1mmol)およびNaOCH3(28% in CH3OH, 20mL)を加え、2時間還流した。反応後、酢酸エチルと水を加えて抽出し、有機層を飽和食塩水にて洗浄、無水硫酸マグネシウムにて乾燥後、溶媒を減圧濃縮した。残渣を酢酸エチル−ヘキサンの混合溶媒から再結晶することにより、目的物を得た(250mg, 収率83%)。
【0057】
化合物3の合成
下記反応式に従い、目的の化合物を合成した。

【0058】
アルゴン雰囲気下、化合物1 (21mg, 0.06mmol)およびZn(CN)2(58mg)をDMF(1mL)に溶解させ、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)(28mg)を加え、130℃で終夜攪拌した。反応後、室温に戻し、水を加えて酢酸エチルで抽出し、抽出液を飽和食塩水で洗浄、無水硫酸マグネシウムで乾燥、減圧濃縮した。残渣を酢酸エチル−ヘキサンの混合溶媒から再結晶することにより、目的物を得た(13.9mg, 収率78%)。
【0059】
化合物4の合成
下記反応式に従い、目的の化合物を合成した。

【0060】
化合物1(88mg, 0.25mmol)およびCuSO4・5H2O(101mg)をDMF(4mL)とNH3-H2O(28%, 4mL)の混合溶媒に溶解させ、オートクレーブにて130℃で終夜反応させた。反応後、室温に戻し、水を加えて酢酸エチルで抽出し、抽出液を飽和食塩水で洗浄、無水硫酸マグネシウムで乾燥、減圧濃縮した。残渣を酢酸エチル−ヘキサンの混合溶媒から再結晶することにより、目的物を得た(59mg, 収率80%)。
【0061】
化合物5の合成
下記反応式に従い、目的の化合物を合成した。

【0062】
化合物2(31mg, 0.1mmol)を酢酸(1mL)と臭化水素(47%, 1mL)の混合溶媒に溶解させ、6時間還流した。反応後、室温に戻し、H2Oを加えて沈殿物を濾取し、目的物を得た(23.2mg, 収率79%)。
【0063】
化合物6の合成
下記反応式に従い、目的の化合物を合成した。

【0064】
アルゴン雰囲気下、化合物4 (15mg, 0.052mmol)をTHF(2mL)に溶解させ、エチルイソシアネート(3 滴)およびEt3N(3 滴)を加え、室温で24時間反応させた。反応後、H2Oを加えて沈殿物を濾取し、目的物を得た (22.7mg, 定量的) 。
【0065】
化合物7の合成
下記反応式に従い、目的の化合物を合成した。

【0066】
化合物4 (10mg)をTHF(1mL)に溶解させ、NaHCO3(20mg)およびアセチルクロリド(3 滴)を加え、室温で終夜反応した。反応後、H2Oを加えて沈殿物を濾取して、目的物を得た(5.4mg, 収率32%)。
【0067】
化合物8の合成
下記反応式に従い、目的の化合物を合成した。

【0068】
化合物8は化合物7と同様の合成法により合成した(79%)。
【0069】
化合物9の合成
下記反応式に従い、目的の化合物を合成した。

【0070】
化合物9は化合物7と同様の合成法により合成した(78%)。
【0071】
化合物10の合成
下記反応式に従い、目的の化合物を合成した。

【0072】
化合物9(20mg)をDMF(1mL)に溶解させ、p−フルオロベンジルアミン(50mg)および炭酸水素ナトリウム(40mg)を加え、80℃で5時間反応させた。反応後、水を加えて沈殿物を濾取して、目的物を得た(12.7mg, 57%)。
【0073】
化合物11の合成
下記反応式に従い、目的の化合物を合成した。

【0074】
化合物5(292mg, 1mmol)および炭酸カリウム(276mg)をDMF(10mL)およびエタノール(20mL)の混合溶媒に溶解させ、ヨウ化カリウム(16mg)および1−(2−クロロエチル)ピペリジン (92mg)を加え、100℃で1時間攪拌反応させた。反応液に酢酸エチルと水を加えて抽出し、有機層を飽和食塩水にて洗浄、無水硫酸マグネシウムにて乾燥後、溶媒を減圧濃縮した。残渣をシリカゲルカラムで精製(CH2Cl2:MeOH=30:1)することにより、目的物を得た(63.1mg, 収率16%)。
【0075】
化合物12の合成
下記反応式に従い、目的の化合物を合成した。

【0076】
化合物12は化合物2と同様の合成法により合成した(11%)。
【0077】
中間体Dの合成
下記反応式に従い、目的の化合物を合成した。

【0078】
中間体Dは、中間体Cと同様の合成法で合成した (収率88%)。
1H-NMR(CDCl3, 200MHz)δ:3.80(s, 3H), 6.31(d, 1H, J=3.4Hz), 7.11(d, 1H, J=3.4Hz), 7.94(d, 1H, J=2.1Hz), 8.27(d, 1H, J=2.1Hz.)
【0079】
中間体Fの合成
下記反応式に従い、目的の化合物を合成した。

【0080】
中間体Eは、化合物2と同様の合成法で合成した (収率95%)。また、中間体Fは、化合物5と同様の合成法で合成した (収率87%)。
中間体F
1H-NMR(CDCl3, 200MHz)δ:6.33(d, 1H, J=3.4Hz), 6.80(bro, 1H), 7.14(d, 1H, J=3.4Hz), 7.44(d, 1H, J=2.6Hz), 8.10(d, 1H, J=2.6Hz).
【0081】
中間体Gの合成
下記反応式に従い、目的の化合物を合成した。

【0082】
アルゴン雰囲気下、中間体F(148mg, 1mmol)を酢酸エチル(5.0mL)に溶解させ、ピリジン(0.165mL, 2.05当量)およびクロロギ酸4−ニトロフェニルエステル (212mg, 1.05当量)を加え、室温で0.5時間反応させた。3−(ジメチルアミノ)ピリジン(0.14mL, 1.2当量)を加え、更に60℃で7時間反応させた。反応後、室温に戻し、炭酸水素ナトリウム水溶液を加えて酢酸エチルで抽出し、抽出液を飽和食塩水で洗浄、無水硫酸マグネシウムで乾燥、減圧濃縮した。残渣をシリカゲルカラムで精製(酢酸エチル:ヘキサン=1:2)することにより目的物を得た(268mg, 93%)。
1H-NMR(DMSO-d6, 200MHz)δ:1.74〜2.20(m, 3H), 2.30 (s, 3H), 2.32 (s, 3H), 2.65〜2.92 (m, 1H), 3.20〜3.92 (m, 3H), 3.90 (s, 3H), 6.41 (d, 1H, J=3.5Hz), 7.19 (d, 1H, J=3.5Hz), 7.68 (d, 1H, J=2.5Hz), 8.15 (s, 1H).
【0083】
化合物13の合成
下記反応式に従い、目的の化合物を合成した。

【0084】
化合物13は「合成法C」に従い、以下の手順により合成した。
中間体G(47mg, 0.163mmol)を酢酸(2mL)に溶解させ、2−ヒドロキシキノキサリン (24mg, 1.02当量)を加え、140℃で30時間攪拌還流した。反応後室温に戻し、炭酸水素ナトリウム水溶液を加えて酢酸エチルで抽出し、抽出液を飽和食塩水で洗浄、無水硫酸マグネシウムで乾燥、減圧濃縮した。残渣をシリカゲルカラムで精製(ジクロロメタン:メタノール=10:1)することにより、目的物を得た(20.4mg, 29%)。
【0085】
中間体Hの合成
下記反応式に従い、目的の化合物を合成した。

【0086】
中間体Hは化合物3と同様の合成法で合成した(918mg, 67%)。
1H-NMR(CDCl3, 200MHz)δ:3.96 (s, 3H), 6.56(d, 1H, J=3.6Hz), 7.32 (d, 1H, J=3.6Hz), 8.18(d, 1H, J=1.9Hz), 8.57(d, 1H, J=1.9Hz).
【0087】
中間体Iの合成
下記反応式に従い、目的の化合物を合成した。

【0088】
中間体H(732mg, 4.66mmol)をイソプロパノール(20mL)と水(20mL)の混合溶媒に溶解させ、水酸化カリウム(2.0g)を加え、130℃で終夜還流した。反応後、室温に戻し、酢酸(6mL)を加え、酢酸エチルで抽出し、抽出液を飽和食塩水で洗浄、無水硫酸マグネシウムで乾燥、減圧濃縮し、目的物を得た(889mg, 定量的)。
1H-NMR(CDCl3, 200MHz)δ:2.07 (s, 3H), 3.95 (s, 3H), 6.59(d, 1H, J=3.4Hz), 7.27 (d, 1H, J=3.4Hz), 7.24(d, 1H, J=1.3Hz), 7.93(d, 1H, J=1.3Hz), 9.10 (s, 3H).
【0089】
中間体Jの合成
下記反応式に従い、目的の化合物を合成した。

【0090】
中間体I(516mg, 2.71mmol)をメタノール(25mL)に溶解させ、濃硫酸(0.5mL)を加え、8時間還流した。反応後、室温に戻し、炭酸水素ナトリウム水溶液を加えて酢酸エチルで抽出し、抽出液を飽和食塩水で洗浄、無水硫酸マグネシウムで乾燥、減圧濃縮した。残渣を酢酸エチル−ヘキサンの混合溶媒から再結晶することにより、目的物を得た(471mg, 85%)。
1H-NMR(CDCl3, 200MHz)δ:3.93(s, 3H), 3.96 (s, 3H), 6.55(d, 1H, J=3.5Hz), 7.24(d, 1H, J=3.5Hz), 8.57(d, 1H, J=1.9Hz), 9.00(d, 1H, J=1.9Hz).
【0091】
化合物14の合成
下記反応式に従い、目的の化合物を合成した。

【0092】
化合物14は、「合成法C」により合成した(収率74%)。
【0093】
化合物15の合成
下記反応式に従い、目的の化合物を合成した。

【0094】
化合物14(227mg, 0.68mmol)をDMF(4mL)に溶解させ、水(2mL)および水酸化ナトリウム(200mg)を加え、60℃で2時間攪拌した。反応後、室温に戻し、反応液を2N塩酸により、pHを3〜4に調整し、析出した固体を濾取した。濾取した固体を水で洗浄、減圧乾燥し、目的物を得た(167mg、収率76%)。
【0095】
化合物16、化合物17の合成
下記反応式に従い、目的の化合物を合成した。

【0096】
アルゴン雰囲気下、化合物15 (82mg, 0.26mmol)および1,1‘−カルボニルビス−1H−イミダゾール (64mg, 1.5当量)をDMF(5mL)に溶解させ、室温で2時間攪拌した。1−(2−アミノエチル)ピペリジン (0.1mL)または、N−(2−アミノエチル)モルフォリン (0.1mL)を加え、更に60℃で16時間反応させた。反応後、室温に戻し、炭酸水素ナトリウム水溶液を加えて酢酸エチル抽出し、抽出液を飽和食塩水で洗浄、無水硫酸マグネシウムで乾燥、減圧濃縮した。残渣をシリカゲルカラムで精製(ジクロロメタン:メタノール=10:1→2:1)することにより、化合物16(31.4mg, 28%)または化合物17 (28.8mg, 26%)を得た。
【0097】
中間体K、中間体Lの合成
下記反応式に従い、目的の化合物を合成した。

【0098】
アルゴン雰囲気下、5−ブロモ−7−アザインドール(5.0g, 25.5mmol)をクロロホルム(210mL)に溶解させ、N−ヨウ化コハク酸イミド(5.9g, 26mmol)を加え、室温で0.5時間攪拌反応させた。反応後、炭酸水素ナトリウム水溶液を加えて酢酸エチルで抽出し、抽出液を飽和食塩水で洗浄、無水硫酸マグネシウムで乾燥、減圧濃縮した。得られた粗中間体Kを、アルゴン雰囲気下、DMF(67mL)に溶解させ、氷冷下、水素化ナトリウム(1.22g, 30.6mmol)を加え、0.5時間を攪拌した。続いて、ヨウ化メチル(67mL)を加え、更に0.5時間を攪拌した。反応終了後、水を加えて酢酸エチルで抽出し、抽出液を飽和食塩水で洗浄、無水硫酸マグネシウムで乾燥、減圧濃縮した。残渣を酢酸エチル−ヘキサンから再結晶することにより、中間体Lを得た(7.53g, 88%)。
1H-NMR(CDCl3, 200MHz)δ:3.88 (s, 1H), 7.29 (s, 1H), 7.84 (d, 1H, J=2.2Hz), 8.35 (d, 1H, J=2.2Hz).
【0099】
化合物18の合成
下記反応式に従い、目的の化合物を合成した。

【0100】
アルゴン雰囲気下、中間体L(270mg, 0.8mmol)および2−クロロキノリン−3−ボロン酸 (183mg, 0.88mmol)を脱気したTHF(2%含水、20mL)に溶解させ、Ag2O(222mg, 0.96mmol)およびテトラキス(トリホスフィン)パラジウム (92mg, 0.08mmol)を加え、室温で4時間攪拌した。反応後、酢酸エチルを加えてろ過し、濾液を減圧濃縮した。残渣をシリカゲルでカラム精製(酢酸エチル:ヘキサン=1:1)することにより、中間体Mを得た(202mg, 68%)。
【0101】
中間体M (200mg, 1.06mmol)を酢酸(3mL)と水(3mL)の混合溶媒に溶解させ、16時間還流した。反応液に水を加えて沈殿させ、ろ過した後、少量の水で洗浄し、乾燥することにより、化合物18を得た(178mg, 収率94%)。
【0102】
化合物19の合成
下記反応式に従い、目的の化合物を合成した。

【0103】
化合物19は化合物2と同様の合成法により合成した(収率79%)。
【0104】
化合物20の合成
下記反応式に従い、目的の化合物を合成した。

【0105】
化合物20は化合物5と同様の合成法で合成した。
【0106】
化合物21の合成
下記反応式に従い、目的の化合物を合成した。

【0107】
化合物21は化合物3と同様の合成法により合成した(収率71%)。
【0108】
化合物22の合成
下記反応式に従い、目的の化合物を合成した。

【0109】
化合物22は化合物18と同様の合成法により合成した(収率58%)。
【0110】
化合物23の合成
下記反応式に従い、目的の化合物を合成した。

【0111】
化合物23は化合物4と同様の合成法により合成した(収率57%)。
【0112】
化合物24の合成
下記反応式に従い、目的の化合物を合成した。

【0113】
化合物24は化合物7と同様の合成法により合成した(収率80%)。
【0114】
化合物25の合成
下記反応式に従い、目的の化合物を合成した。

【0115】
化合物25は化合物7と同様の合成法により合成した(収率85%)。
【0116】
化合物26の合成
下記反応式に従い、目的の化合物を合成した。

【0117】
化合物26は化合物7と同様の合成法により合成した(収率80%)。
【0118】
化合物27の合成
下記反応式に従い、目的の化合物を合成した。

【0119】
化合物27は化合物6と同様の合成法で合成した(収率83%)。
【0120】
化合物28の合成
下記反応式に従い、目的の化合物を合成した。

【0121】
化合物28は化合物10と同様の合成法により合成した(収率85%)。
【0122】
中間体Nの合成
下記反応式に従い、目的の化合物を合成した。

【0123】
中間体Nは中間体Kと同様の合成法で合成した(収率 86%)。
1H-NMR(CDCl3, 200MHz)δ:3.93(s, 3H), 3.98 (s, 3H), 7.36 (s, 1H), 8.37(d, 1H, J=1.9Hz), 8.99(d, 1H, J=1.9Hz).
【0124】
化合物29の合成
下記反応式に従い、目的の化合物を合成した。

【0125】
化合物29は化合物18と同様の合成法で合成した(収率 88%)。
【0126】
化合物30の合成
下記反応式に従い、目的の化合物を合成した。

【0127】
化合物30は化合物15と同様の合成法で合成した(収率 定量的)。
【0128】
化合物31、化合物32の合成
下記反応式に従い、目的の化合物を合成した。

【0129】
化合物31および化合物32の合成は、化合物16および化合物17と同様の合成法で合成した。
【0130】
化合物33の合成
下記反応式に従い、目的の化合物を合成した。

【0131】
化合物20 (50mg, 0.17mmol)をDMSO(1.0mL)に溶解させ、水素化ナトリウム(60%, 14mg)を加え、室温で1時間攪拌した。4−メチルピペラジンカルボニルクロリド(0.05mL)を加え、室温で終夜反応した。反応後水を加えて濾取、乾燥し、目的物を296mg得た(収率41%)。
【0132】
化合物34の合成
下記反応式に従い、目的の化合物を合成した。

【0133】
化合物34は化合物4と同様の合成法で合成した(収率 93%)。
【0134】
化合物35の合成
下記反応式に従い、目的の化合物を合成した。

【0135】
化合物34 (206mg, 0.86mmol)をTHF(60mL)に溶解させ、炭酸水素ナトリウム(171mg, 3eq)およびクロロギ酸4−ニトロフェニルエステル (273mg, 2.0当量)を加え、室温で3日間攪拌した。反応後、水を加えて酢酸エチルで抽出し、抽出液を飽和食塩水で洗浄、無水硫酸マグネシウムで乾燥、減圧濃縮した。残渣を酢酸エチル−ヘキサンの混合溶媒で再結晶により、目的物を得た(293mg, 92%)。
【0136】
化合物36、化合物37の合成
下記反応式に従い、目的の化合物を合成した。

【0137】
化合物35 (75mg, 0.16mmol)をTHF(10mL)およびDMF(4mL)の混合溶媒に溶解させ、1−(2−アミノエチル)ピペリジン (0.1mL)または1−(2−アミノエチル)モルフォリン(0.1mL)を加え、60℃で終夜反応させた。反応後、室温に戻し、炭酸水素ナトリウム水溶液を加えて酢酸エチル抽出し、抽出液を飽和食塩水で洗浄、無水硫酸マグネシウムで乾燥、減圧濃縮した。残渣を酢酸エチル−ヘキサンの混合溶液で再結晶により、化合物36(42mg, 57%)または化合物37 (28.6mg, 39%)を得た。
【0138】
化合物38の合成
下記反応式に従い、目的の化合物を合成した。

【0139】
化合物38は「合成法C」により合成した(収率92%)。
【0140】
化合物39の合成
下記反応式に従い、目的の化合物を合成した。

【0141】
化合物39は化合物4と同様の合成法で合成した(収率52%)。
【0142】
化合物40、化合物41の合成
下記反応式に従い、目的の化合物を合成した。

【0143】
化合物39(150mg,0.5mmol)とトリホスゲン(160mg,0.55mmol)とのテトラヒドロフラン(10mL)の懸濁液に、n-プロピルアミン(0.2mL,2.5mmol)とトリエチルアミン(0.1mL)を加え、50℃にて15時間攪拌した。反応混合液にエタノールと水を加え、析出した固体をろ別し減圧下で乾燥し、化合物40を得た(収率16%)。同様に、シクロペンタノールを用い、化合物41を得た。
【0144】
中間体Oの合成
下記反応式に従い、目的の化合物を合成した。

【0145】
7−アザインドール1.0g(8.5mmol)のアセトン溶液16mLを0度に冷やしm-クロロ過安息香酸3.9g(17mmol)を加え、2時間攪拌後、析出した固体を濾取し減圧下で乾燥させた。この固体1.8gに18mLの水を加え、更に飽和炭酸カリウムでpH9のアルカリ性溶液とした。このアルカリ性溶液を0度に冷やし析出した固体を濾取し水で洗浄した後、減圧下で乾燥させ、目的物を白色の固体として得た(0.53g、収率46%)。
【0146】
中間体Pの合成
下記反応式に従い、目的の化合物を合成した。

【0147】
中間体O(4.02g,30mmol)のテトラヒドロフラン溶液200mLに室温で1,1,1,3,3,3-ヘキサメチルジシラザン(HMDS)7mL(33mmol)を加え、更に、内温度30度を保ちながらベンゾイルクロリド8.8mL(75mmol)を30分かけて滴下した後、4時間攪拌した。反応混合物に氷を加え、飽和炭酸水素ナトリウムでアルカリ性とした後、酢酸エチルで抽出し水洗、乾燥後、減圧下で濃縮した。濃縮物に15mLのエタノールを加え析出した固体を濾取し、減圧下で乾燥させ、4.3gの白色固体を得た。精製することなく得られた固体をメタノール300mLに溶解させ、1N水酸化ナトリウム水溶液160mLを加え、終夜攪拌した。このメタノール溶液を半分量まで減圧下で濃縮した後、氷水に注ぎ析出した固体を濾取し、減圧下で乾燥させ、目的物を白色の粉体として得た (2.2g、収率48%)。
【0148】
中間体Qの合成
下記反応式に従い、目的の化合物を合成した。

【0149】
中間体P (0.50g,3.3mmol)を、ジメチルアルデヒド10mLに溶解させ、0度で水素化ナトリウム0.18g(4.3mmol)を加え、30分間攪拌した。この混合溶液に0度でジメチル硫酸(0.40mL,4.3mmol)を加え、更に3時間攪拌した後、氷水に注ぎ、酢酸エチルで抽出し水洗、乾燥後に減圧下で溶媒を留去した。この濃縮物をカラムクロマトグラフィー(溶離液、酢酸エチル−ヘキサン=1:10)で精製し、目的物を得た(560mg、定量的)。
【0150】
中間体Rの合成
下記反応式に従い、目的の化合物を合成した。

【0151】
アルゴン雰囲気下、中間体Q(0.56g,3.3mmol)、R−(+)−2,2’−ビス(ジフェニルフォスフィン)−1,1’−ビナフチル(BINAP)50mg(0.08mmol)およびトリス(ジベンジリデンアセトン)−ジパラジウム(0)−クロロホルムアダクト (Pd2(dba)3) 30mg(0.029mmol)のトルエン25mL懸濁液、に1-(2-アミノエチル)ピペリジン0.6mL(4.2mmol)とナトリウム(t)−ブトキサイド0.5g(5.0mol)を加え、80度で終夜攪拌した。懸濁液を室温に戻しセライトを用い、濾過し濾液を濃縮した。濃縮物をカラムクロマトグラフィー(溶離液、クロロホルム−メタノール=30:1)で精製し目的物を褐色の油状物として得た (730mg、86%)。
【0152】
化合物42の合成
下記反応式に従い、目的の化合物を合成した。

【0153】
中間体R(300mg,1.16mmol)と2-ヒドロキシキノキサリン130mg(0.9mmol)の1,2-ジクロロエタン5mLの懸濁液に、トリフルオロ酢酸0.5mLを加え、80度で終夜攪拌した。反応混合物を室温に戻し、水とメタノールを加え希釈した。更に飽和炭酸水素ナトリウムで弱アルカリ性とした後、析出した固体を濾取し、エーテルで再度洗浄することで赤橙色の目的物を得た (150mg、収率32%)。
【0154】
上記合成例にて合成した本発明の含窒素複素環化合物、およびそれに準じて合成した化合物の構造式、化合物名、NMRデータを下記表1〜33に示す。
【0155】
【表1】

【0156】
【表2】

【0157】
【表3】

【0158】
【表4】

【0159】
【表5】

【0160】
【表6】

【0161】
【表7】

【0162】
【表8】

【0163】
【表9】

【0164】
【表10】

【0165】
【表11】

【0166】
【表12】

【0167】
【表13】

【0168】
【表14】

【0169】
【表15】

【0170】
【表16】

【0171】
【表17】

【0172】
【表18】

【0173】
【表19】

【0174】
【表20】

【0175】
【表21】

【0176】
【表22】

【0177】
【表23】

【0178】
【表24】

【0179】
【表25】

【0180】
【表26】

【0181】
【表27】

【0182】
【表28】

【0183】
【表29】

【0184】
【表30】

【0185】
【表31】

【0186】
【表32】

【0187】
【表33】

【0188】
(1)VEGF誘導腎糸球体内皮細胞増殖阻害試験
ヒト腎糸球体内皮細胞をD-MEM/F-12培地(10%牛胎児血清、100U/mLペニシリン、100μg/mLストレプトマイシン)に懸濁した後、タイプI コラーゲンコート96ウェルカルチャープレートに、4×103個/ウェルの濃度で播種し、一晩放置した。試験直前に各ウェルの培地を除去し、ハンクス液で洗浄した後、新たに培地を添加した。次に、無刺激および刺激コントロールウェルには溶媒であるDMSO(終濃度0.1%)を、それ以外のウェルには被験物質(終濃度0.001〜10μmol/L)を添加し、1時間培養した。次いでrecombinant human VEGF(終濃度10ng/mL)を添加し、48時間培養した。培地を除去し、各ウェルをハンクス液にて洗浄した後、新鮮な培地を添加した。生細胞数測定試薬(WST-8)を添加して4〜5時間さらに培養した。その後、マイクロプレートリーダーにて吸光度(450-630nm)を測定した。増殖阻害率は、各ウェルの吸光度から以下の計算式にて算出した。
増殖阻害率(%)= { 1−(A−C )/(B−C)}×100
上記式中、Aはサンプル添加ウェルの吸光度、Bはコントロールウェルの吸光度、Cは無刺激ウェルの吸光度である。コントロールに対して、増殖阻害率が50%になる被験物質濃度をIC50とし、活性指標とした。下記表34および35に結果を示す。
【0189】
(2)細胞毒性試験
上述の方法において、VEGF無刺激下での被験物質の生細胞に与える影響を検討し細胞毒性とした。コントロールに対して、生細胞数が50%減少した被験物質濃度をCC50とし毒性指標とした。下記表34および35に結果を示す。
【0190】
【表34】

【0191】
【表35】

【0192】
合成した化合物を用い、更に以下の薬理試験を行った。
(3)ラット背部皮膚VEGF誘導血管透過性阻害試験
試験には、6週齢の雄性wistarラットを用いた。試験数時間前にラットの背部の毛を刈った後、溶媒 (0.5%カルボキシメチルセルロースナトリウム溶液) と被験物質(25mg/kg)をラット用ゾンデにて経口投与した。2時間後、エーテル麻酔下にて背部の2ヶ所に生食ならびに4ヵ所にrecombinant rat VEGF(終濃度:200ng/mL)を0.1mL/siteの用量で皮内投与した。その後、直ちに0.5mLの0.5%エバンスブルー溶液を尾静脈内投与した。30分後に、エーテル麻酔下にてラットを放血致死させ、色素漏出部位が全て含まれる範囲の背部皮膚を切除した。切り取った皮膚の数ヶ所にハサミで切れ目を入れた後、皮膚片一個当たり2mLのホルムアミドに浸し、55℃で約48時間放置することでエバンスブルーを抽出した。抽出操作終了後、3000rpm、15分間の条件で遠心し皮膚片および浮遊物を沈殿させ、上清部をサンプルとして620nmの波長で吸光度を測定した。色素漏出量 (μg/site) は、既知濃度のエバンスブルーの吸光度から検量線を作製し、抽出液中のエバンスブルー量を測定し算出した。被験物質非投与群に対するエバンスブルー量の抑制率を算出し、薬効の指標とした。下記表36に得られた結果を示す。
【0193】
(4)自然発症II型糖尿病モデルdb/dbマウスにおける尿中アルブミン量に対する効果を指標とした薬効評価
試験には7週齢の雄性db/dbマウスを用いた。群分けは、ELISA法にて測定した尿中アルブミン量を指標に実施した。被験物資は、25mg/kgの用量で0.5%カルボキシメチルセルロースナトリウム溶液にて懸濁し、1日2回マウス用ゾンデを用いて4週間強制経口投与した。2、4週目に尿中アルブミン量を測定し、被験物質非投与群に対する尿中アルブミン量の抑制率を算出し、薬効の指標とした。下記表36に得られた結果を併せて示す。
【0194】
【表36】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記一般式(I−A)、

[式中、R1aは、水素原子;ハロゲン原子が置換されてもよいフェニル基、アルコキシ基、水酸基およびハロゲン原子からなる群から選択される置換基が置換されていてもよいアルキル基;−X1a−C(O)OR10a(X1aは単結合またはアルキレン、R10aは水素原子またはアルキル基である);−X2a−C(O)NR11a12a(X2aは単結合またはアルキレン、R11aおよびR12aはそれぞれ独立に水素原子またはアルキル基であり、R11aおよびR12aが隣接する窒素原子とともに下記一般式、

(式中、W1aは−CH2−または−O−である)で表わされる環を形成していてもよい);−SO2−R13a(R13aはフェニル基である);−X3a−NR14a15a(X3aはアルキレン、R14aおよびR15aはそれぞれ独立にアルキル基であり、R14aおよびR15aが隣接する窒素原子とともに下記一般式、

(式中、W2aは−CH2−、−NR16a−(R16aはアルキル基である)または−O−である)で表わされる環を形成していてもよい)であり、
2a、R3aおよびR4aは、それぞれ独立に水素原子;シアノ基;ハロゲン原子;テトラゾリル基;−OR17a(R17aは、水素原子、アルキル基または下記式、

で表わされる置換基である);−O−X4a−NR18a19a(X4aはアルキレン、R18aおよびR19aはそれぞれ独立にアルキル基であり、R18aおよびR19aが隣接する窒素原子とともに環を形成していてもよい);−NR20a21a(R20aおよびR21aは、それぞれ独立にフェニル基が置換されていてもよいアルキル基、水素原子、−C(O)R22a(R22aはハロゲン原子が置換されていてもよいアルキル基である)、−C(O)OR23a(R23aは、ニトロ基を有していてもよいフェニル基、アルキル基、または下記式、

で表わされる置換基である)、−X5a−NR24a25a(X5aは単結合またはアルキレン、R24aおよびR25aはそれぞれ独立にアルキル基であり、R24aおよびR25aが隣接する窒素原子とともに下記一般式、

(式中、m1およびm2はそれぞれ独立に0〜5の整数、W3aは−CH2−または−O−であり、m1およびm2が同時に0である場合を除く)で表わされる環を形成していてもよい)、または下記一般式、

(式中、R26aはアルキル基である)で表わされる置換基であり、R20aおよびR21aが隣接する窒素原子とともに下記一般式、

(式中、m3およびm4はそれぞれ独立に0〜5の整数、W4aは−CH2−または−NR27a−(R27aはアルキル基であり、置換基を有していてもよい)であり、m1およびm2が同時に0である場合を除く)で表わされる環を形成していてもよく、該環は置換基を有していてもよい);−NR28a−C(O)−X6a−NR29a30a(X6aは単結合またはアルキレン、R28aは水素原子またはアルキル基、R29aおよびR30aはそれぞれ独立に水素原子;ハロゲン原子もしくはアルコキシ基が置換されていてもよいフェニル基、水酸基、アルコキシ基および複素環からなる群から選択される置換基が置換されていてもよいアルキル基(該アルキル基は鎖中にスルフィド結合を有していてもよい);−X7a−R31a(X7aは単結合またはアルキレン、R31aは下記式、

で表わされる基である);アルケニル基;または置換基を有していてもよいフェニル基であり、R29aおよびR30aが隣接する窒素原子とともに下記一般式、

(式中、m5およびm6はそれぞれ独立に0〜5の整数、W5aは−CH2−、−S−、−O−または−NR32a−(R32aは置換基を有していてもよいアルキル基、フェニル基、複素環または−C(O)−OR33a(R33aはアルキル基である)である)であり、m5およびm6が同時に0である場合を除く)で表わされる環を形成していてもよく、該環は置換基を有していてもよく、また、該環は他の芳香環と縮合環を形成していてもよく、該縮合環は置換基を有していてもよい);−C(O)−NH−X8a−NR34a35a(X8aは単結合またはアルキレン、R34aおよびR35aはそれぞれ独立にアルキル基であり、R34aおよびR35aが隣接する窒素原子とともに下記一般式、

(式中、m7およびm8はそれぞれ独立に0〜5の整数、W6aは−CH2−または−O−であり、m7およびm8が同時に0である場合を除く)で表わされる環を形成していてもよい);−O−C(O)−NR36a37a(R36aおよびR37aはそれぞれ独立に水素原子またはアルキル基であり、R36aおよびR37aが隣接する窒素原子とともに下記一般式、

(式中、m9およびm10はそれぞれ独立に0〜5の整数、W7aは−CH2−、−O−または−NR38a−(R38aはアルキル基である)であり、m9およびm10が同時に0である場合を除く)で表わされる環を形成してもよく、また、該環は置換基を有していてもよい); −C(O)OR39a(R39aは、水素原子またはアルキル基である):または−C(O)−NR40a41a(R40aおよびR41aはそれぞれ独立にアルキル基であり、R40aおよびR41aが隣接する窒素原子とともに下記一般式、

(式中、m11およびm12はそれぞれ独立に0〜5の整数、R42aはフェニル基が置換されていてもよいアルキル基であり、m11およびm12が同時に0である場合を除く)で表わされる環を形成していてもよい)であり、
5aは水素原子またはアルキル基であり、
6a、R7a、R8aおよびR9aは、それぞれ独立に水素原子;−C(O)OR43a(R43aはアルキル基である);水酸基が置換されていてもよいアルキル基;ニトロ基;ハロゲン原子;またはアミノ基であり、R6aおよびR7aと、R7aおよびR8aと、またはR8aおよびR9aとにより、隣接するベンゼン環と下記式、

で表わされる縮合環を形成してもよい]で表わされることを特徴とする含窒素複素環化合物またはその医薬上許容される塩。
【請求項2】
前記R1aが、水素原子;ハロゲン原子が置換されてもよいフェニル基、アルコキシ基、水酸基およびハロゲン原子からなる群から選択される置換基が置換されていてもよいアルキル基;または−X1a−C(O)OR10a(X1aおよびR10aは上記のものと同じである)である請求項1記載の含窒素複素環化合物またはその医薬上許容される塩。
【請求項3】
前記R1aが、水素原子;水酸基が置換されていてもよいアルキル基;または−X1a−C(O)OR10a(X1aは単結合、R10aはアルキル基である)である請求項2記載の含窒素複素環化合物またはその医薬上許容される塩。
【請求項4】
前記R1aが炭素数1〜6のアルキル基である請求項3記載の含窒素複素環化合物またはその医薬上許容される塩。
【請求項5】
前記R2a、R3aおよびR4aが、それぞれ独立に水素原子;シアノ基;ハロゲン原子;−OR17a(R17aは、上記のものと同じである);−NR20a21a(R20aおよびR21aは上記のものと同じである);−NR28a−C(O)−X6a−NR29a30a(X6a、R28a、R29aおよびR30aは上記のものと同じである);または−O−C(O)−NR36a37a(R36aおよびR37aは上記のものと同じである)である請求項1〜4のうちいずれか一項記載の含窒素複素環化合物またはその医薬上許容される塩。
【請求項6】
前記R5aが、水素原子である請求項1〜5のうちいずれか一項記載の含窒素複素環化合物またはその医薬上許容される塩。
【請求項7】
前記R6a、R7a、R8aおよびR9aは、それぞれ独立に水素原子;水酸基が置換されていてもよいアルキル基;またはハロゲン原子である請求項1〜6のうちいずれか一項記載の含窒素複素環化合物またはその医薬上許容される塩。
【請求項8】
下記一般式(I−B)、

[式中、R1bは、水素原子;ハロゲン原子が置換されてもよいフェニル基、アルコキシ基、水酸基およびハロゲン原子からなる群から選択される置換基が置換されていてもよいアルキル基;−X1b−C(O)OR10b(X1bは単結合またはアルキレン、R10bは水素原子またはアルキル基である);−X2b−C(O)NR11b12b(X2bは単結合またはアルキレン、R11bおよびR12bはそれぞれ独立に水素原子またはアルキル基であり、R11bおよびR12bが隣接する窒素原子とともに下記一般式、

(式中、W1bは−CH2−または−O−である)で表わされる環を形成していてもよい);−SO2−R13b(R13bはフェニル基である);−X3b−NR14b15b(X3bはアルキレン、R14bおよびR15bはそれぞれ独立にアルキル基であり、R14bおよびR15bが隣接する窒素原子とともに下記一般式、

(式中、W2bは−CH2−、−NR16b−(R16bはアルキル基である)または−O−である)で表わされる環を形成していてもよい)であり、
2b、R3bおよびR4bは、それぞれ独立に水素原子;シアノ基;ハロゲン原子;テトラゾリル基;−OR17b(R17bは、水素原子、アルキル基または下記式、

で表わされる置換基である);−O−X4b−NR18b19b(X4bはアルキレン、R18bおよびR19bはそれぞれ独立にアルキル基であり、R18bおよびR19bが隣接する窒素原子とともに環を形成していてもよい);−NR20b21b(R20bおよびR21bは、それぞれ独立にフェニル基が置換されていてもよいアルキル基、水素原子、−C(O)R22b(R22bはハロゲン原子が置換されていてもよいアルキル基である)、−C(O)OR23b(R23bは、ニトロ基を有していてもよいフェニル基、アルキル基、または下記式、

で表わされる置換基である)、−X5b−NR24b25b(X5bは単結合またはアルキレン、R24bおよびR25bはそれぞれ独立にアルキル基であり、R24bおよびR25bが隣接する窒素原子とともに下記一般式、

(式中、n1およびn2はそれぞれ独立に0〜5の整数、W3bは−CH2−または−O−であり、n1およびn2が同時に0である場合を除く)で表わされる環を形成していてもよい)、または下記一般式、

(式中、R26bはアルキル基である)で表わされる置換基であり、R20bおよびR21bが隣接する窒素原子とともに下記一般式、

(式中、n3およびn4はそれぞれ独立に0〜5の整数、W4bは−CH2−または−NR27b−(R27bはアルキル基であり、置換基を有していてもよい)であり、n1およびn2が同時に0である場合を除く)で表わされる環を形成していてもよく、該環は置換基を有していてもよい);−NR28b−C(O)−X6b−NR29b30b(X6bは単結合またはアルキレン、R28bは水素原子またはアルキル基、R29bおよびR30bはそれぞれ独立に水素原子;ハロゲン原子もしくはアルコキシ基が置換されていてもよいフェニル基、水酸基、アルコキシ基および複素環からなる群から選択される置換基が置換されていてもよいアルキル基(該アルキル基は鎖中にスルフィド結合を有していてもよい);−X7b−R31b(X7bは単結合またはアルキレン、R31bは下記式、

で表わされる基である);アルケニル基;または置換基を有していてもよいフェニル基であり、R29bおよびR30bが隣接する窒素原子とともに下記一般式、

(式中、n5およびn6はそれぞれ独立に0〜5の整数、W5bは−CH2−、−S−、−O−または−NR32b−(R32bは置換基を有していてもよいアルキル基、フェニル基、複素環または−C(O)−OR33b(R33bはアルキル基である)である)であり、n5およびn6が同時に0である場合を除く)で表わされる環を形成していてもよく、該環は置換基を有していてもよく、また、該環は他の芳香環と縮合環を形成していてもよく、該縮合環は置換基を有していてもよい);−C(O)−NH−X8b−NR34b35b(X8bは単結合またはアルキレン、R34bおよびR35bはそれぞれ独立にアルキル基であり、R34bおよびR35bが隣接する窒素原子とともに下記一般式、

(式中、n7およびn8はそれぞれ独立に0〜5の整数、W6bは−CH2−または−O−であり、n7およびn8が同時に0である場合を除く)で表わされる環を形成していてもよい);−O−C(O)−NR36b37b(R36bおよびR37bはそれぞれ独立に水素原子またはアルキル基であり、R36bおよびR37bが隣接する窒素原子とともに下記一般式、

(式中、n9およびn10はそれぞれ独立に0〜5の整数、W7bは−CH2−、−O−または−NR38b−(R38bはアルキル基である)であり、n9およびn10が同時に0である場合を除く)で表わされる環を形成してもよく、また、該環は置換基を有していてもよい); −C(O)OR39b(R39bは、水素原子またはアルキル基である):または−C(O)−NR40b41b(R40bおよびR41bはそれぞれ独立にアルキル基であり、R40bおよびR41bが隣接する窒素原子とともに下記一般式、

(式中、n11およびn12はそれぞれ独立に0〜5の整数、R42bはフェニル基が置換されていてもよいアルキル基であり、n11およびn12が同時に0である場合を除く)で表わされる環を形成していてもよい)であり、
5bは水素原子またはアルキル基であり、
6b、R7b、R8bおよびR9bは、それぞれ独立に水素原子;−C(O)OR43b(R43bはアルキル基である);水酸基が置換されていてもよいアルキル基;ニトロ基;ハロゲン原子;またはアミノ基であり、R6bおよびR7bと、R7bおよびR8bと、またはR8bおよびR9bとにより、隣接するベンゼン環と下記式、

で表わされる縮合環を形成してもよい]で表わされることを特徴とする含窒素複素環化合物またはその医薬上許容される塩。
【請求項9】
前記R1bが、水素原子またはアルキル基である請求項8記載の含窒素複素環化合物またはその医薬上許容される塩。
【請求項10】
前記R1bが、アルキル基である請求項9記載の含窒素複素環化合物またはその医薬上許容される塩。
【請求項11】
前記R2b、R3bおよびR4bが、それぞれ独立に水素原子;シアノ基;ハロゲン原子;−OR17b(R17bは、上記のものと同じである);−NR20b21b(R20bおよびR21bは、上記のものと同じである);−NR28−C(O)−X6b−NR29b30b(X6b、R28b、R29bおよびR30bは上記のものと同じである);−C(O)−NH−X8b−NR34b35b(X8b、R34bおよびR35bは、上記のものと同じである);−O−C(O)−NR36b37b(R36bおよびR37bは上記のものと同じである); −C(O)OR39b(R39bは、上記のものと同じである):または−C(O)−NR40b41b(R40bおよびR41bは上記のものと同じである)である請求項1〜10のうちいずれか一項記載の含窒素複素環化合物またはその医薬上許容される塩。
【請求項12】
前記R2b、R3bおよびR4bが、それぞれ独立に水素原子;−OR17b(R17bは、上記のものと同じである);−NR20b21b(R20bおよびR21bは、上記のものと同じである);−NR28b−C(O)−X6b−NR29b30b(X6b、R28b、R29bおよびR30bは上記のものと同じである)または;−O−C(O)−NR36b37b(R36bおよびR37bは上記のものと同じである)である請求項11記載の含窒素複素環化合物またはその医薬上許容される塩。
【請求項13】
前記R5bが水素原子である請求項1〜12のうちいずれか一項記載の含窒素複素環化合物またはその医薬上許容される塩。
【請求項14】
前記R6b、R7b、R8bおよびR9bは、それぞれ独立に水素原子またはハロゲン原子である請求項1〜13のうちいずれか一項記載の含窒素複素環化合物またはその医薬上許容される塩。
【請求項15】
請求項1〜7のうちいずれか一項記載の含窒素複素環化合物またはその医薬上許容される塩の製造方法であって、下記一般式(II−A)、

(式中、R1a、R2a、R3aおよびR4aは上記のものと同じである)で表わされる7−アザインドール誘導体またはその前駆体と、下記一般式(III−A)、

(式中、R5a、R6a、R7a、R8aおよびR9aは上記のものと同じである)で表わされるキノキサロン誘導体またはその前駆体と、を反応させる工程を含むことを特徴とする含窒素複素環化合物またはその医薬上許容される塩の製造方法。
【請求項16】
前記反応をブレンステッド酸存在下にて行う請求項15記載の含窒素複素環化合物またはその医薬上許容される塩の製造方法。
【請求項17】
前記ブレンステッド酸が酢酸またはトリフルオロ酢酸である請求項16記載の含窒素複素環化合物またはその医薬上許容される塩の製造方法。
【請求項18】
請求項1〜14のうちいずれか一項記載の含窒素複素環化合物またはその医薬上許容される塩を有効成分として含有することを特徴とする医薬組成物。
【請求項19】
VEGF阻害剤である請求項18記載の医薬組成物。
【請求項20】
糖尿病性腎症治療薬である請求項19記載の医薬組成物。
【請求項21】
抗がん剤である請求項19記載の医薬組成物。
【請求項22】
血管新生阻害剤である請求項19記載の医薬組成物。

【公開番号】特開2007−99640(P2007−99640A)
【公開日】平成19年4月19日(2007.4.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−288637(P2005−288637)
【出願日】平成17年9月30日(2005.9.30)
【出願人】(000003665)株式会社ツムラ (43)
【Fターム(参考)】