説明

含窒素複素環誘導体

【課題】認知症、アルツハイマー病、注意欠陥・多動性症、統合失調症、摂食障害、肥満、糖尿病、高脂血症、睡眠障害、ナルコレプシー、睡眠時無呼吸症候群、概日リズム障害、うつ病、又はアレルギー性鼻炎等の疾患の予防又は治療薬を提供すること。
【解決手段】式(1)


で表される含窒素複素環誘導体、又はその医薬上許容される塩。

【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
ヒスタミンは肥満細胞、肺、肝臓、及び胃粘膜などで普段は細胞内の顆粒に貯蔵されており、細胞表面の抗体に抗原が結合するなどの外部刺激を受けて細胞外へ放出される。例えば、肥満細胞が外部から進入した抗原で刺激されると、ヒスタミンは肥満細胞から放出され、血管や平滑筋上に存在するヒスタミンH1(H1)受容体を刺激することによりアレルギー反応を引きおこす。また、胃粘膜上のECL細胞(enterochromaffin−like cell)から放出されたヒスタミンは壁細胞上のヒスタミンH2(H2)受容体を刺激し、胃酸分泌を促進する。これらの事実に基づき、アレルギー疾患治療薬、又は胃潰瘍治療薬としてH1受容体拮抗物質、又はH2受容体拮抗物質の開発が行われ、現在は医薬品として広く使用されている。
【0002】
さらに、ヒスタミンは神経伝達物質として中枢神経及び末梢神経に存在するヒスタミン受容体(ヒスタミンH3(H3)受容体)に作用し、種々の生理機能を発揮することが明らかになった。この受容体は1999年にクローニングされ、その遺伝子配列およびアミノ酸配列が明らかになったが、H1受容体及びH2受容体とのアミノ酸配列相同性は、それぞれ22%、及び21.4%と低いものであった(非特許文献1参照)。H3受容体はシナプス前膜に存在し、ヒスタミンの合成と遊離を制御するオートレセプターとして機能することが示された(非特許文献2参照)。また、H3受容体は、ヒスタミンの放出を制御するとともに、アセチルコリン、セロトニン、ドパミン、ノルアドレナリンといった他の神経伝達物質の放出をも制御することが明らかとなった(非特許文献3参照)。これらの事実は、選択的H3受容体調節物質が神経における神経伝達物質の放出異常に関連した各種疾患の治療薬になりうることを示唆している。
【0003】
実際、合成化合物を用いた動物モデルでの検討結果は、H3受容体拮抗物質、又は逆作動物質が、認知症、アルツハイマー病(非特許文献4及び5参照)、注意欠陥・多動性症(非特許文献6参照)、統合失調症(非特許文献7参照)、てんかん、中枢性痙攣などの治療薬として利用できる可能性を示している。
【0004】
また、H3受容体が摂食行動に関与することが示されており(非特許文献8参照)、H3受容体拮抗物質、又は逆作動物質の適応疾患として摂食障害、肥満、糖尿病、高脂血症などの代謝系疾患も想定される。
【0005】
また、ヒスタミンは脳内の日周リズムを調節し、覚醒と睡眠のバランスを保つ役割があることが示されており(非特許文献9及び10参照)、H3受容体拮抗物質、又は逆作動物質の適応疾患として睡眠障害、ナルコレプシー、睡眠時無呼吸症候群、概日リズム障害、うつ病など睡眠障害に伴う疾患も想定される。
【0006】
さらに、H3受容体は鼻粘膜の交感神経に存在していることが示され、H3受容体拮抗物質とH1受容体拮抗物質の併用により鼻閉が顕著に改善されることが報告されている(非特許文献11参照)。このことは、H3受容体拮抗物質、又は逆作動物質は単独で、又はH1受容体拮抗物質との併用でアレルギー性鼻炎等の治療に有用である可能性を示している。
【0007】
H3受容体拮抗物質、又は逆作動物質については、複数のレビューにまとめられており(非特許文献12〜15参照)、これらを参照することができる。初期にはヒスタミン自身をリード化合物としたイミダゾール系化合物が数多く報告されたが、薬物代謝酵素チトクロムP450(CYP)の阻害作用等の懸念が示され、医薬品として開発されるには至っていない。
【0008】
最近になって、非イミダゾール系のH3受容体拮抗物質あるいは逆作動物質の文献及び特許が数多く報告されている(特許文献1〜10参照)。
【0009】
また、ベンズイミダゾール構造やアザインドール構造を有するヒスタミンH3受容体拮抗物質も報告されている(特許文献11〜13参照)。しかし、本発明に開示された構造を有する化合物についての報告はない。
【0010】
【特許文献1】WO2005097751国際公開公報
【特許文献2】WO2005097778国際公開公報
【特許文献3】WO2005118547国際公開公報
【特許文献4】WO2006014136国際公開公報
【特許文献5】WO2006045416国際公開公報
【特許文献6】WO2006046131国際公開公報
【特許文献7】WO2006059778国際公開公報
【特許文献8】WO2006061193国際公開公報
【特許文献9】WO2006107661国際公開公報
【特許文献10】WO2006103057国際公開公報
【特許文献11】WO2006078775国際公開公報
【特許文献12】WO2007057329国際公開公報
【特許文献13】WO2007069053国際公開公報
【非特許文献1】Lovenberg T.W.ら、Molecular pharmacology, 55, 1101-1107, 1999
【非特許文献2】Arrang J-M.ら、Nature, 302, 832-837, 1983
【非特許文献3】Brown R.E. ら、Progress in Neurobiology, 63, 637-672, 2001
【非特許文献4】Huang Y-W.ら、Behavioural Brain Research, 151, 287-293, 2004
【非特許文献5】Komater V.A.ら、Behavioural Brain Research, 159, 295-300, 2005
【非特許文献6】Passani M.B.ら、Neuroscience and Biobehavioral Reviews, 24, 107-113, 2000
【非特許文献7】Fox G.B.ら、J. Pharmacol. Exp. Ther., 313, 176-190, 2005
【非特許文献8】Hancock A.A. ら、Curr. Opin. Investig. Drug, 4, 1190-1197
【非特許文献9】Huang Z-L.ら、Prog. Natr. Acad. Sci., 103, 4687-4692, 2006
【非特許文献10】Babier A.J.ら、Br. J. Pharmacol., 143, 649-661, 2004
【非特許文献11】McLeod R.L.ら、Am. J. Rhinol., 13, 391-399, 1999
【非特許文献12】Schwartz J.C.ら、Trends in Pharmacol. Sci., 7, 24-28, 1986
【非特許文献13】Passani M.B.ら、Trends in Pharmacol. Sci., 25, 618-625, 2004
【非特許文献14】Leurs R.ら、Nature Drug Discovery, 4, 107-122, 2005
【非特許文献15】Leurs R.ら、Drug Discovery Today, 10, 1613-1627, 2005
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明の目的は、ヒスタミンH3受容体へのヒスタミンの結合に対し強力な阻害作用を有し、ヒスタミンH3受容体に起因する障害、例えば、認知症、アルツハイマー病、注意欠陥・多動性症、統合失調症、てんかん、中枢性痙攣、摂食障害、肥満、糖尿病、高脂血症、睡眠障害、ナルコレプシー、睡眠時無呼吸症候群、概日リズム障害、うつ病、若しくはアレルギー性鼻炎等の疾患の予防剤又は治療剤を見いだすことにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明者らは上記目的のため鋭意研究を行った結果、含窒素複素環誘導体が、ヒスタミンH3受容体へのヒスタミンの結合に対して強力な阻害活性を有することを見出し、本発明を完成した。
すなわち、本発明は、
(I)式(1)
【0013】
【化1】


{式(1)中、Qは、下記式(A)又は(B)で表される基を示し、
【0014】
【化2】

1は、窒素原子又はCR5Aであり、
2は、窒素原子又はCR5Bであり、
3は、窒素原子又はCR5Cであり、
4は、窒素原子又はCR5Dであり、
5は、窒素原子又はCR5Eであり、
ただし、X1〜X5のいずれか1つが窒素原子であり、
5A〜R5Eは、同一又は異なって、水素原子、ハロゲン原子、C1〜C6アルキル又はC1〜C6アルコキシを示し、
1は、C1〜C6アルキル、C3〜C7環状アルキル、−C(O)R6又は−SO27を示し、
2及びR3は、同一又は異なって、C1〜C6アルキル又はC3〜C7環状アルキルを示し、
又はR2及びR3は、隣接する窒素原子と一緒になって互いに結合した3〜7員の飽和複素環(該飽和複素環はC1〜C6アルキルで置換されてもよい)を形成し、
4は、C1〜C6アルキル(該C1〜C6アルキルはC3〜C7環状アルキルで置換されてもよい)又はC3〜C7環状アルキル(該C3〜C7環状アルキルはC1〜C6アルキルで置換されてもよい)を示し、
6は、C1〜C6アルキル、C1〜C6アルコキシ(該C1〜C6アルキル又はC1〜C6アルコキシは、ハロゲン、C1〜C6アルコキシ、アリール又はヘテロアリールで置換されてもよい)、C3〜C7環状アルキル(該C3〜C7環状アルキルは、ハロゲン、C1〜C6アルキル、C1〜C6アルコキシ、アリール又はヘテロアリールで置換されてもよい)、アリール、ヘテロアリール(該アリール又はヘテロアリールは、「ハロゲン、C1〜C6アルキル、C1〜C6アルコキシ、ヒドロキシ、トリフルオロメチル、トリフルオロメトキシ、アミノ、C1〜C6アルキルアミノ、C2〜C12ジアルキルアミノ、C2〜C7アルカノイル、C1〜C6アルキルスルホニル、ニトロ、シアノ、C2〜C7アルキルアミノカルボニル、C3〜C13ジアルキルアミノカルボニル、環中に窒素、酸素、若しくは硫黄原子から選ばれる1つ以上のヘテロ原子を含む単環式飽和複素環が結合したカルボニル、カルバモイル、環中に窒素、酸素、若しくは硫黄原子から選ばれる1つ以上のヘテロ原子を含む単環式飽和複素環又はヘテロアリール」より選ばれる同一又は異なる1〜3個の置換基で置換されてもよい)、環中に窒素、酸素、若しくは硫黄原子から選ばれる1つ以上のヘテロ原子を含む単環式飽和複素環(該単環式飽和複素環は、ハロゲン、C1〜C6アルキル、C1〜C6アルコキシ、アリール又はヘテロアリールで置換されてもよい)又は−NR89で示される基を示し、
7は、C1〜C6アルキル(該C1〜C6アルキルは、ハロゲン、C1〜C6アルコキシ、アリール又はヘテロアリールで置換されてもよい)、C3〜C7環状アルキル(該C3〜C7環状アルキルは、ハロゲン、C1〜C6アルキル、C1〜C6アルコキシ、アリール又はヘテロアリールで置換されてもよい)、アリール又はヘテロアリール(該アリール又はヘテロアリールは、ハロゲン、C1〜C6アルキル、C1〜C6アルコキシ、ヒドロキシ又はシアノで置換されてもよい)を示し、
8及びR9は、同一又は異なって、水素原子、C1〜C6アルキル(該C1〜C6アルキルは、ハロゲン、C1〜C6アルコキシ、アリール又はヘテロアリールで置換されてもよい)、C3〜C7環状アルキル(該C3〜C7環状アルキルは、ハロゲン、C1〜C6アルキル、C1〜C6アルコキシ、アリール又はヘテロアリールで置換されてもよい)、アリール(該アリールは、ハロゲン、C1〜C6アルキル、C1〜C6アルコキシ、ヒドロキシ又はシアノで置換されてもよい)又はヘテロアリール(該ヘテロアリールは、ハロゲン、C1〜C6アルキル、C1〜C6アルコキシ;ヒドロキシ又はシアノで置換されてもよい)を示し、
p、q及びnは、同一又は異なって、0〜2の整数を示す}
で表される含窒素複素環誘導体、又はその医薬上許容される塩であり、
【0015】
(II)式(1)において、
1〜X5のいずれか1つが窒素原子であり、他はCHであり、
1が−C(O)R6であり、
6がC1〜C6アルコキシ、フェニル(該フェニルは、ハロゲン又はシアノで置換されても良い)又は環中に窒素、酸素、若しくは硫黄原子から選ばれる1つ以上のヘテロ原子を含む単環式飽和複素環であり、
p、q及びnが1である請求項1記載の含窒素複素環誘導体、又はその医薬上許容される塩であり、
【0016】
(III)(I)又は(II)に記載の含窒素複素環誘導体、又はその医薬上許容される塩を有効成分として含有することを特徴とする、認知症、アルツハイマー病、注意欠陥・多動性症、統合失調症、てんかん、中枢性痙攣、摂食障害、肥満、糖尿病、高脂血症、睡眠障害、ナルコレプシー、睡眠時無呼吸症候群、概日リズム障害、うつ病、又はアレルギー性鼻炎の予防剤又は治療剤である。
【発明の効果】
【0017】
本発明の化合物が、優れたヒスタミンH3受容体拮抗作用を有することを見出した。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
本明細書で用いられる用語は、以下に定義される通りである。
【0019】
本発明において、「ハロゲン原子」とは、フッ素原子、塩素原子、臭素原子又はヨウ素原子を示す。
【0020】
「C1〜C6アルキル」とは、炭素数1〜6個の直鎖状又は分枝状のアルキル基を示し、例えば、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、sec−ブチル、tert−ブチル、n−ペンチル、イソペンチル、ネオペンチル又はn−ヘキシル等の基を示す。
【0021】
「C3〜C7環状アルキル」とは、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル又はシクロヘプチルの基を示す。
【0022】
「C1〜C6アルコキシ」とは、炭素数1〜6個の直鎖状又は分枝状のアルコキシ基を示し、例えば、メトキシ、エトキシ、n−プロポキシ、イソプロポキシ、n−ブトキシ、イソブトキシ、sec−ブトキシ、tert−ブトキシ、n−ペンチルオキシ、イソペンチルオキシ、ネオペンチルオキシ又はn−ヘキシルオキシ等の基を示す。
【0023】
「C2〜C7アルコキシカルボニル」とは、炭素数1〜6個の直鎖状又は分枝状のアルコキシ基が結合したカルボニル基を示し、例えば、メトキシカルボニル、エトキシカルボニル、n−プロポキシカルボニル、イソプロポキシカルボニル、n−ブトキシカルボニル、イソブトキシカルボニル、sec−ブトキシカルボニル、tert−ブトキシカルボニル、n−ペンチルオキシカルボニル、イソペンチルオキシカルボニル、ネオペンチルオキシカルボニル又はn−ヘキシルオキシカルボニル等の基を示す。
【0024】
「C1〜C6アルキルアミノ」とは、炭素数1〜6個の直鎖状又は分枝状のアルキル基で置換されたアミノ基を示し、例えば、メチルアミノ、エチルアミノ、n−プロピルアミノ、イソプロピルアミノ、n−ブチルアミノ、イソブチルアミノ、sec−ブチルアミノ、tert−ブチルアミノ、n−ペンチルアミノ、イソペンチルアミノ、ネオペンチルアミノ又はn−ヘキシルアミノ等の基を示す。
【0025】
「C2〜C12ジアルキルアミノ」とは、2つの炭素数1〜6個の直鎖状又は分枝状のアルキル基で置換されたアミノ基を示し、例えば、ジメチルアミノ、ジエチルアミノ、ジ−n−プロピルアミノ、N,N−イソプロピルメチルアミノ、ジ−n−ブチルアミノ、ジイソブチルアミノ、N,N−sec−ブチルエチルアミノ、N,N−tert−ブチルメチルアミノ、ジ−n−ペンチルアミノ、N,N−イソペンチルメチルアミノ、N,N−ネオペンチルメチルアミノ又はジ−n−ヘキシルアミノ等の基を示す。
【0026】
「C2〜C7アルカノイル」とは、炭素数1〜6個のアルキル基が結合したカルボニル基を示し、例えば、アセチル、プロピオニル、ブチリル、イソブチリル、ピバロイル、ペンタノイル、3−メチルブチリル、4,4−ジメチルペンタノイル又はヘプタノイル等の基を示す。
【0027】
「C1〜C6アルキルスルホニル」とは、炭素数1〜6個のアルキル基で置換されたスルホニル基を示し、例えば、メタンスルホニル、プロパンスルホニル、ブタンスルホニル、イソブタンスルホニル、tert−ブチルスルホニル、ペンタンスルホニル又はヘプタンスルホニル等の基を示す。
【0028】
「C2〜C7アルキルアミノカルボニル」とは、炭素数1〜6個の直鎖状又は分枝状のアルキルアミノ基が結合したカルボニル基を示し、例えば、メチルアミノカルボニル、エチルアミノカルボニル、n−プロピルアミノカルボニル、イソプロピルアミノカルボニル、n−ブチルアミノカルボニル、イソブチルアミノカルボニル、sec−ブチルアミノカルボニル、tert−ブチルアミノカルボニル、n−ペンチルアミノカルボニル、イソペンチルアミノカルボニル、ネオペンチルアミノカルボニル又はn−ヘキシルアミノカルボニル等の基を示す。
【0029】
「C3〜C13ジアルキルアミノカルボニル」とは、炭素数2〜12個のジアルキルアミノ基が結合したカルボニル基を示し、例えば、ジメチルアミノカルボニル、ジエチルアミノカルボニル、ジ−n−プロピルアミノカルボニル、N,N−イソプロピルメチルアミノカルボニル、ジ−n−ブチルアミノカルボニル、ジイソブチルアミノカルボニル基、N,N−sec−ブチルエチルアミノカルボニル、N,N−tert−ブチルメチルアミノカルボニル、ジ−n−ペンチルアミノカルボニル、N,N−イソペンチルメチルアミノカルボニル、N,N−ネオペンチルメチルアミノカルボニル又はジ−n−ヘキシルアミノカルボニル等の基を示す。
【0030】
「環中に窒素、酸素、若しくは硫黄原子から選ばれる1つ以上のヘテロ原子を含む単環式飽和複素環」とは、窒素原子、酸素原子又は硫黄原子から選択される1個以上のヘテロ原子を含む3員〜7員の単環式の飽和複素環を示し、1〜2個のオキソ基で置換されてもよい。例えば、1−アジリジニル、1−アゼチジニル、1−ピロリジニル、ピペリジノ、4−ピペリジニル、1−アゼパニル、1−イミダゾリジニル、1−ピラゾリジニル、1−ピペラジニル、3−オキサゾリジニル、モルホリノ、1−チオモルホリニル、2−オキソピロリジン−1−イル、2−オキソピペリジン−1−イル、2,5−ジオキソピロリジン−1−イル、2−テトラヒドロフラニル、3−テトラヒドロフラニル、4−テトラヒドロピラニル、4−テトラヒドロチオピラニル、1,1−ジオキソ−4−テトラヒドロチオピラニル又は1,4,5、6−テトラヒドロピリダジン−3−イル等の基を示す。
【0031】
「環中に窒素、酸素、若しくは硫黄原子から選ばれる1つ以上のヘテロ原子を含む単環式飽和複素環が結合したカルボニル」とは、上記「窒素原子、酸素原子又は硫黄原子から選択される1個以上のヘテロ原子を含む3員〜7員の単環式の飽和複素環」が結合したカルボニル基を示し、例えば、アジリジン−1−カルボニル、アゼチジン−1−カルボニル、ピロリジン−1−カルボニル、ピペリジン−1−カルボニル、アゼパン−1−カルボニル、イミダゾリジン−1−カルボニル、ピラゾリジン−1−カルボニル、ピペラジン−1−カルボニル、オキサゾリジン−1−カルボニル、モルホリン−1−カルボニル又はチオモルホリン−1−カルボニル等の基を示す。
【0032】
「隣接する窒素原子と一緒になって互いに結合した3〜7員の飽和複素環」とは、1−アジリジニル、1−アゼチジニル、1−ピロリジニル、ピペリジノ又は1−アゼパニル基を示す。
【0033】
「アリール」とは、炭素原子数6から18個で構成される単環式から4環式の芳香族炭素環式基であり、例えば、フェニル基、ナフチル基、アントリル基、フェナントレニル基、テトラセニル基及びピレニル基が挙げられる。
【0034】
「ヘテロアリール」とは、5員〜6員の単環式又は9員〜10員の双環式の芳香族複素環からなる基を示し、例えば、ピリジル、ピリダジニル、ピリミジニル、ピラジニル、キノリニル、イソキノリニル、キナゾリニル、キノキサリニル、ピロリル、フラニル、チオフェニル、ピラゾリル、イミダゾリル、オキサゾリル、イソオキサゾリル、チアゾリル、イソチアゾリル、トリアゾリル、インドリル、ベンゾフラニル、ベンゾチオフェニル、ベンゾイミダゾリル、インダゾリル、ベンゾオキサゾリル、ベンゾチアゾリル又はベンゾトリアゾリル等の基が挙げられる。さらに詳しくは、2−ピリジル、3−ピリジル、4−ピリジル、ピリダジン−3−イル、ピリダジン−4−イル、ピリミジン−2−イル、ピリミジン−4−イル、ピリミジン−5−イル、ピラジン−2−イル、キノリン−2−イル、キノリン−4−イル、キノリン−6−イル、キノリン−8−イル、イソキノリン−1−イル、イソキノリン−6−イル、キナゾリン−2−イル、キナゾリン−5−イル、キノキサリン−2−イル、キノキサリン−6−イル、ピロール−3−イル、フラン−2−イル、フラン−3−イル、チオフェン−2−イル、チオフェン−3−イル、ピラゾール−3−イル、ピラゾール−4−イル、イミダゾール−2−イル、オキサゾール−2−イル、オキサゾール−4−イル、イソオキサゾール−3−イル、チアゾール−2−イル、チアゾール−5−イル、イソチアゾール−4−イル、1,2,4−トリアゾール−3−イル、インドール−2−イル、インドール−5−イル、インドール−7−イル、ベンゾフラン−3−イル、ベンゾチオフェン−3−イル、ベンゾイミダゾール−2−イル、インダゾール−5−イル、ベンゾオキサゾール−2−イル、ベンゾチアゾール−2−イル又はベンゾトリアゾール−4−イル等の基を示す。
【0035】
本発明において、医薬上許容される塩とは、例えば、硫酸、塩酸、臭化水素酸、リン酸、硝酸などの無機酸との塩、酢酸、シュウ酸、乳酸、酒石酸、フマル酸、マレイン酸、クエン酸、ベンゼンスルホン酸、メタンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸、安息香酸、カンファースルホン酸、エタンスルホン酸、グルコヘプトン酸、グルコン酸、グルタミン酸、グリコール酸、リンゴ酸、マロン酸、マンデル酸、ガラクタル酸、ナフタレン−2−スルホン酸などの有機酸との塩、リチウムイオン、ナトリウムイオン、カリウムイオン、カルシウムイオン、マグネシウムイオン、亜鉛イオン、アルミニウムイオンなどの1種又は複数の金属イオンとの塩、アンモニア、アルギニン、リシン、ピペラジン、コリン、ジエチルアミン、4−フェニルシクロヘキシルアミン、2−アミノエタノール、ベンザチンなどのアミンとの塩が含まれる。
【0036】
本発明の化合物は、各種溶媒和物としても存在し得る。また、医薬としての適用性の面から水和物の場合もある。
【0037】
本発明の化合物は、エナンチオマー、ジアステレオマー、平衡化合物、これらの任意の割合の混合物、ラセミ体等を全て含む。
【0038】
本発明の化合物には、一つ以上の水素原子、炭素原子、窒素原子、酸素原子、硫黄原子が放射性同位元素や安定同位元素と置換された化合物も含まれる。これらの標識化合物は、例えば代謝や薬物動態研究、受容体のリガンドとして生物学的分析等に有用である。
【0039】
本発明の化合物は、一つ又は二つ以上の医薬的に許容される担体、賦形剤又は希釈剤と組み合せて医薬的製剤とすることができる。上記担体、賦形剤及び希釈剤として、例えば水、乳糖、デキストロース、フラクトース、ショ糖、ソルビトール、マンニトール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、デンプン、ガム、ゼラチン、アルギネート、ケイ酸カルシウム、リン酸カルシウム、セルロース、水シロップ、メチルセルロース、ポリビニルピロリドン、アルキルパラヒドロキシベンゾソルベート、タルク、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸、グリセリン、ゴマ油、オリーブ油、大豆油等の各種油等が含まれる。
【0040】
また、上記の担体、賦形剤又は希釈剤に必要に応じて一般に使用される増量剤、結合剤、崩壊剤、pH調整剤、溶解剤等の添加剤を混合し、常用の製剤技術によって錠剤、丸剤、カプセル剤、顆粒剤、粉剤、液剤、乳剤、懸濁剤、軟膏剤、注射剤、皮膚貼付剤等の経口又は非経口用医薬として調製することができる。本発明の化合物は、成人患者に対して1回の投与量として0.001〜500mgを1日1回又は数回に分けて経口又は非経口で投与することが可能である。なお、この投与量は治療対象となる疾病の種類、患者の年齢、体重、症状等により適宜増減することが可能である。
【0041】
本発明の化合物における望ましいプロファイルとしては、薬効が優れていること、体内動態が優れていること、物性が優れていること、低毒性であること、等が挙げられる。
【0042】
本発明の化合物の1つの好ましい態様は、前記式(1)において、
1〜X5のいずれか1つが窒素原子であり、他はCHであり、
1が−C(O)R6であり、
6がC1〜C6アルコキシ、フェニル(該フェニルは、ハロゲン又はシアノで置換されても良い)又は環中に窒素、酸素、若しくは硫黄原子から選ばれる1つ以上のヘテロ原子を含む単環式飽和複素環であり、
p、q及びnが1である含窒素複素環誘導体、又はその医薬上許容される塩である。
【0043】
本発明の化合物は、下記の方法により製造できる。
本発明の化合物は、公知の有機化学的手法によって製造することができ、例えば、下記の反応式に示す方法に従って製造できる。下記反応式1〜13において、R1、R2、R3、R4、R6、n、p及びqは前記と同義である。また、R5は、R5A、R5B、R5C、R5D又はR5E(R5A〜R5Eは前記と同義)のいずれかを示し、Y1、Y2、Y3及びY4は、同一又は異なって、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等のハロゲン原子又はメタンスルホニルオキシ基、フェニルスルホニルオキシ基、p−トルエンスルホニルオキシ基、トリフルオロメタンスルホニルオキシ基等の有機スルホニルオキシ基等の脱離基、又は水酸基を示し、Z1及びZ2は、ハロゲン原子又は有機スルホニルオキシ基等の脱離基を示し、RA及びRBは、同一又は異なって、水素原子、C1〜C5アルキル基(該C1〜C5アルキル基はC3〜C7環状アルキル基で置換されてもよい)又はC3〜C7環状アルキル基を示すか、或いはRA及びRBは、隣接するカルボニル基と一緒になって互いに結合した3〜7員の飽和環状アルキルケトン(該飽和環状アルキルケトンはC1〜C6アルキルで置換されてもよい)を形成する。
【0044】
以下、反応式1で示される本発明の化合物の製造方法について説明する。この製造工程は、化合物(2)から本発明の化合物(1−1)を製造するための工程である。
(反応式1)
【0045】
【化3】

【0046】
(工程1a)
工程1aは、化合物(2)と化合物(3)とをカップリング反応により縮合して化合物(4)を得るための工程である。化合物(2)及び化合物(3)は、公知化合物であるか、公知化合物から容易に合成できる化合物である。
1がハロゲン原子又は有機スルホニルオキシ基等の脱離基である場合、該カップリング反応は、塩基の存在下又は非存在下、溶媒中又は無溶媒でフェノールのヒドロキシル基のアルキル化を行う一般的な方法により実施できる。また、必要に応じて、例えば、ヨウ化カリウム、臭化ナトリウム等の添加物を加えることができる。本反応で用いられる塩基としては、例えば、ピリジン、トリエチルアミン、ジイソプロピルエチルアミン等の有機塩基類;tert−ブトキシカリウム、炭酸カリウム、炭酸セシウム、炭酸水素ナトリウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水素化ナトリウム等の無機塩基類が挙げられる。本反応で用いられる溶媒としては、例えば、メタノール、エタノール、イソプロパノール等のアルコール類;テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン等のエーテル類;トルエン、ベンゼン等の炭化水素類;クロロホルム、ジクロロメタン等のハロゲン化炭化水素類;N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチル−2−ピロリドン等のアミド類;アセトン、2−ブタノン等のケトン類;ジメチルスルホキシド;アセトニトリル;水又はこれらの混合溶媒が挙げられ、これらのうち、テトラヒドロフラン、トルエン、N,N−ジメチルホルムアミド、2−ブタノン又はアセトニトリルが好ましい。本反応における反応温度は、通常0℃〜200℃、好ましくは、15℃〜120℃であり、反応時間は、通常1〜48時間、好ましくは、1〜12時間である。
また、Y1が水酸基である場合、該カップリング反応としてはミツノブ反応が挙げられ、例えば、トリフェニルホスフィン、トリブチルホスフィン等の有機リン化合物とアゾジカルボン酸ジエチル、アゾジカルボン酸ジイソプロピル、アゾジカルボン酸ジtertブチル等のアゾ化合物とを組み合わせた試薬、或いはシアノメチルトリブチルホスホラン等のリンイリド試薬の存在下溶媒中で行う方法が挙げられる。本反応で用いられる溶媒としては、例えば、テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン等のエーテル類;トルエン、ベンゼン等の炭化水素類;クロロホルム、ジクロロメタン等のハロゲン化炭化水素類;N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチル−2−ピロリドン等のアミド類;アセトン、2−ブタノン等のケトン類;ジメチルスルホキシド;アセトニトリル又はこれらの混合溶媒が挙げられ、これらのうち、テトラヒドロフラン又はトルエンが好ましい。本反応における反応温度は、通常0℃〜120℃、好ましくは、15℃〜80℃であり、反応時間は、通常1〜48時間、好ましくは、1〜12時間である。
【0047】
(工程2)
工程2は、化合物(4)と化合物(5)とをカップリング反応により縮合して化合物(6)を得るための工程である。化合物(5)は、公知化合物であるか、公知化合物から容易に合成できる化合物である。該カップリング反応は、塩基の存在下又は非存在下、溶媒中又は無溶媒で反応させることにより実施できる。また、必要に応じて、例えば、フッ化カリウム等の添加物を加えることができる。本反応で用いられる塩基としては、例えば、ピリジン、トリエチルアミン、ジイソプロピルエチルアミン等の有機塩基類;tert−ブトキシカリウム、炭酸カリウム、炭酸セシウム、炭酸水素ナトリウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水素化ナトリウム等の無機塩基類が挙げられる。本反応で用いられる溶媒としては、例えば、メタノール、エタノール、イソプロパノール等のアルコール類;テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン等のエーテル類;トルエン、ベンゼン等の炭化水素類;クロロホルム、ジクロロメタン等のハロゲン化炭化水素類;N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチル−2−ピロリドン等のアミド類;アセトン、2−ブタノン等のケトン類;ジメチルスルホキシド;アセトニトリル;水又はこれらの混合溶媒が挙げられる。本反応における反応温度は、通常0℃〜300℃、好ましくは、40℃〜180℃である。
(工程3)
工程3は、化合物(6)のニトロ基を還元して化合物(7)を得るための工程である。本工程は、ニトロ基をアミノ基に変換する一般的な還元反応により実施でき、例えば、パラジウム−炭素、白金、ラネーニッケル、ロジウム−アルミナ等の触媒を用いた水素添加による接触還元反応、亜鉛、鉄、スズ又は塩化スズ(II)を用いた酸性条件下での還元反応、水素化リチウムアルミニウム等の金属水素化物を用いた還元反応が挙げられる。具体例としては、例えば、パラジウム−炭素を触媒とし、エタノール溶媒中水素添加による接触還元反応を行うことにより実施できる。
(工程4)
工程4は、化合物(7)から本発明の化合物(1−1)を得るための工程である。該反応は、ベンゼン−1,2−ジアミン誘導体からベンズイミダゾール誘導体を合成する一般的な方法により実施でき、例えば、酸の存在下又は非存在下、溶媒中又は無溶媒でギ酸或いはその等価体を加えて反応させる方法が挙げられる。本反応で用いられるギ酸等価体としては、例えば、オルトギ酸トリエチル等のトリアルコキシメタン類;ジメチルホルムアミドジメチルアセタール等のジアルコキシアミノメタン類;tert−ブトキシビス(ジメチルアミノ)メタン等のアルコキシジアミノメタン類;ホルムイミド酸メチル等のホルムイミド酸エステル類;ホルムアミド;ホルムアミジン;トリアジンが挙げられる。本反応で用いられる酸としては、例えば、酢酸、p−トルエンスルホン酸等の有機酸類;塩酸、硫酸水素ナトリウム等の無機酸類;塩化トリメチルシラン、亜リン酸トリフェニル等のルイス酸類が挙げられる。本反応で用いられる溶媒としては、例えば、メタノール、エタノール、イソプロパノール等のアルコール類;テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン等のエーテル類;トルエン、ベンゼン等の炭化水素類;クロロホルム、ジクロロメタン等のハロゲン化炭化水素類;N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチル−2−ピロリドン等のアミド類;アセトン、2−ブタノン等のケトン類;ジメチルスルホキシド;アセトニトリル;水又はこれらの混合溶媒が挙げられる。本反応における反応温度は、通常0℃〜300℃、好ましくは、15℃〜180℃であり、反応時間は、通常1〜48時間、好ましくは、1〜12時間である。
また、本発明の化合物(1−1)は、化合物(6)から1段階の反応によって製造することもできる。該反応は、工程3と工程4の反応条件を組み合わせることによって実施でき、例えば、鉄又は塩化スズ(II)等を用いた酸性条件下での還元反応時にギ酸或いはその等価体を共存させて反応させる方法が挙げられる。
【0048】
また、本発明の化合物(1−1)は、反応式2に示す通りに、反応式1で製造した化合物(1−1)においてR1=tert−ブトキシカルボニル基である化合物(1−2)から製造することもできる。
(反応式2)
【0049】
【化4】

【0050】
(工程5a)
工程5aは、化合物(1−2)のtert−ブトキシカルボニル基を脱保護して化合物(8)を得るための工程である。該反応は、一般的なtert−ブトキシカルボニル基の脱保護の方法により実施でき、例えば、強酸存在下溶媒中又は無溶媒で反応させる方法、塩基存在下溶媒中で反応させる方法等、(T.W.Greene and P.G.M.Wuts Protective Groups in Organic Synthesis)に記載されている方法又はそれに準じた方法に従って実施できる。本反応で用いられる酸としては、例えば、塩酸、硫酸、トリフルオロ酢酸、トリフルオロメタンスルホン酸が挙げられる。本反応で用いられる塩基としては、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウムが挙げられる。本反応で用いられる溶媒としては、例えば、メタノール、エタノール、イソプロパノール等のアルコール類;テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン等のエーテル類;トルエン、ベンゼン等の炭化水素類;クロロホルム、ジクロロメタン等のハロゲン化炭化水素類;N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチル−2−ピロリドン等のアミド類;アセトン、2−ブタノン等のケトン類;ジメチルスルホキシド;アセトニトリル;水又はこれらの混合溶媒が挙げられる。本反応における反応温度は、通常0℃〜150℃、好ましくは、15℃〜40℃であり、反応時間は、通常1〜48時間、好ましくは、1〜12時間である。
【0051】
(工程6)
工程6は、化合物(8)と化合物(9)とをカップリング反応により縮合して本発明の化合物(1−1)を得るための工程である。化合物(9)は、公知化合物であるか、公知化合物から容易に合成できる化合物である。
2がハロゲン原子又は有機スルホニルオキシ基等の脱離基である場合、該カップリング反応としては、塩基の存在下又は非存在下、溶媒中で化合物(8)と化合物(9)とを反応させる方法が挙げられる。また、必要に応じて、例えば、ヨウ化カリウム、臭化ナトリウム等の添加物を加えることができる。本反応で用いられる塩基としては、例えば、ピリジン、トリエチルアミン、ジイソプロピルエチルアミン等の有機塩基類;tert−ブトキシカリウム、炭酸カリウム、炭酸セシウム、炭酸水素ナトリウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水素化ナトリウム等の無機塩基類が挙げられる。本反応で用いられる溶媒としては、例えば、メタノール、エタノール、イソプロパノール等のアルコール類;テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン等のエーテル類;トルエン、ベンゼン等の炭化水素類;クロロホルム、ジクロロメタン等のハロゲン化炭化水素類;N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチル−2−ピロリドン等のアミド類;アセトン、2−ブタノン等のケトン類;ジメチルスルホキシド;アセトニトリル;水又はこれらの混合溶媒が挙げられ、これらのうち、テトラヒドロフラン、N,N−ジメチルホルムアミド又はアセトニトリルが好ましい。本反応における反応温度は、通常0℃〜150℃、好ましくは、15℃〜80℃であり、反応時間は、通常1〜48時間、好ましくは、1〜12時間である。
また、R1が−C(O)R6でありY2が水酸基である場合、該カップリング反応は、一般的なカルボン酸のアミド化の方法により実施でき、例えば、カルボン酸をカルボン酸クロリドやカルボン酸ブロミド等のカルボン酸ハライドに導いた後にアミンと反応させる方法、カルボン酸とクロル炭酸エステル等から得られる混合酸無水物をアミンと反応させる方法、カルボン酸を1−ベンゾトリアゾリルエステルやスクシンイミジルエステル等の活性エステルに導いた後にアミンと反応させる方法、カルボン酸を縮合剤存在下アミンと反応させる方法が挙げられる。これらの反応は、全て塩基の存在下又は非存在下、溶媒中で行うことができる。本反応で用いられる縮合剤としては、例えば、3−(3−ジメチルアミノプロピル)−1−エチルカルボジイミド塩酸塩、ジシクロヘキシルカルボジイミド、ジフェニルホスホリルアジド、カルボニルジイミダゾール等が挙げられ、必要に応じて1−ヒドロキシベンゾトリアゾール、ヒドロキシスクシンイミド等の活性化剤を用いることができる。本反応で用いられる塩基としては、例えば、ピリジン、トリエチルアミン、ジイソプロピルエチルアミン等の有機塩基類;炭酸カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム等の無機塩基類が挙げられる。本反応で用いられる溶媒としては、例えば、テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン等のエーテル類;トルエン、ベンゼン等の炭化水素類;クロロホルム、ジクロロメタン等のハロゲン化炭化水素類;N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチル−2−ピロリドン等のアミド類;アセトン、2−ブタノン等のケトン類;ジメチルスルホキシド;アセトニトリル;水又はこれらの混合溶媒が挙げられ、これらのうち、トルエン、テトラヒドロフラン又はN,N−ジメチルホルムアミドが好ましい。本反応における反応温度は、通常0℃〜120℃、好ましくは、15℃〜40℃であり、反応時間は、通常1〜48時間、好ましくは、1〜12時間である。
【0052】
また、本発明の化合物(1−1)は、反応式3に示す通りに化合物(10)から製造することもできる。
(反応式3)
【0053】
【化5】

【0054】
(工程1b)
工程1bは、化合物(10)と化合物(3)とをカップリング反応により縮合して化合物(11)を得るための工程である。化合物(10)は、公知化合物であるか、公知化合物から容易に合成できる化合物である。該カップリング反応は、反応式1の工程1aと同様の方法により実施できる。
【0055】
(工程7a)
工程7aは、化合物(11)と化合物(12)とをカップリング反応により縮合して本発明の化合物(1−1)を得るための工程である。化合物(12)は、公知化合物であるか、公知化合物から容易に合成できる化合物である。該カップリング反応は、塩基の存在下又は非存在下、溶媒中又は無溶媒でベンズイミダゾールの窒素原子に置換基を導入する一般的な方法により実施できる。また、必要に応じて、例えば、ヨウ化カリウム、臭化ナトリウム等の添加物を加えることができる。本反応で用いられる塩基としては、例えば、水素化ナトリウム、水素化カリウム、n−ブチルリチウム、ジイソプロピルエチルアミン、tert−ブトキシカリウム、炭酸カリウム、炭酸セシウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウムが挙げられる。本反応で用いられる溶媒としては、例えば、メタノール、エタノール、イソプロパノール等のアルコール類;テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン等のエーテル類;トルエン、ベンゼン等の炭化水素類;クロロホルム、ジクロロメタン等のハロゲン化炭化水素類;N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチル−2−ピロリドン等のアミド類;アセトン、2−ブタノン等のケトン類;ジメチルスルホキシド;アセトニトリル;水又はこれらの混合溶媒が挙げられ、これらのうち、N,N−ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド又はアセトニトリルが好ましい。本反応における反応温度は、通常0℃〜300℃、好ましくは、15℃〜160℃であり、反応時間は、通常1〜64時間、好ましくは、1〜12時間である。
【0056】
また、化合物(11)は、反応式4に示す通りに化合物(10)から製造することもできる。
(反応式4)
【0057】
【化6】

【0058】
(工程8)
工程8は、化合物(10)と公知化合物(13)とをカップリング反応により縮合して化合物(14)を得るための工程である。化合物(10)は、公知化合物であるか、公知化合物から容易に合成できる化合物である。該カップリング反応は、塩基の存在下、溶媒中又は無溶媒でフェノールとアルキルハライドとを反応させる一般的な方法により実施できる。また、必要に応じて、例えば、ヨウ化カリウム、臭化ナトリウム等の添加物を加えることができる。本反応で用いられる塩基としては、例えば、ピリジン、トリエチルアミン、ジイソプロピルエチルアミン等の有機塩基類;tert−ブトキシカリウム、炭酸カリウム、炭酸セシウム、炭酸水素ナトリウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水素化ナトリウム等の無機塩基類が挙げられる。本反応で用いられる溶媒としては、例えば、メタノール、エタノール、イソプロパノール等のアルコール類;テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン等のエーテル類;トルエン、ベンゼン等の炭化水素類;クロロホルム、ジクロロメタン等のハロゲン化炭化水素類;N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチル−2−ピロリドン等のアミド類;アセトン、2−ブタノン等のケトン類;ジメチルスルホキシド;アセトニトリル;水又はこれらの混合溶媒が挙げられ、これらのうち、テトラヒドロフラン、N,N−ジメチルホルムアミド、アセトニトリル、2−ブタノンが好ましい。本反応における反応温度は、通常0℃〜150℃、好ましくは、15℃〜80℃であり、反応時間は、通常1〜48時間、好ましくは、1〜12時間である。
【0059】
(工程9a)
工程9aは、化合物(14)と化合物(15)とをカップリング反応により縮合して化合物(11)を得るための工程である。化合物(15)は、公知化合物であるか、公知化合物から容易に合成できる化合物である。該カップリング反応は、塩基の存在下又は非存在下、溶媒中又は無溶媒で2級アミンとアルキルハライドとを反応させて3級アミンを得る一般的な方法により実施できる。また、必要に応じて、例えば、ヨウ化カリウム、臭化ナトリウム等の添加物を加えることができる。本反応で用いられる塩基としては、例えば、ピリジン、トリエチルアミン、ジイソプロピルエチルアミン等の有機塩基類;tert−ブトキシカリウム、炭酸カリウム、炭酸セシウム、炭酸水素ナトリウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水素化ナトリウム等の無機塩基類が挙げられる。本反応で用いられる溶媒としては、例えば、メタノール、エタノール、イソプロパノール等のアルコール類;テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン等のエーテル類;トルエン、ベンゼン等の炭化水素類;クロロホルム、ジクロロメタン等のハロゲン化炭化水素類;N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチル−2−ピロリドン等のアミド類;アセトン、2−ブタノン等のケトン類;ジメチルスルホキシド;アセトニトリル;水又はこれらの混合溶媒が挙げられ、これらのうち、テトラヒドロフラン、N,N−ジメチルホルムアミド、アセトニトリルが好ましい。本反応における反応温度は、通常0℃〜200℃、好ましくは、15℃〜120℃であり、反応時間は、通常1〜48時間、好ましくは、1〜12時間である。
【0060】
以下、反応式5で示される本発明の化合物の製造方法について説明する。この製造工程は、化合物(17)から本発明の化合物(1−3)を製造するための工程である。
(反応式5)
【0061】
【化7】

【0062】
(工程7b)
工程7bは、化合物(17)と化合物(12)とをカップリング反応により縮合して本発明の化合物(1−3)を得るための工程である。化合物(17)は、反応式3の工程1b又は反応式4に示す方法と同様の方法により、化合物(16)から製造できる。化合物(16)は、例えば、(Bioorganic and Medicinal Chemistry,2007,350−364)に記載の方法に従って製造できる。該カップリング反応は、インダゾールの窒素原子に置換基を導入する一般的な方法により実施でき、例えば、反応式3の工程7aと同様の方法が挙げられる。
【0063】
また、本発明の化合物(1−3)は、反応式6に示す通りに、工程7bで製造した本発明の化合物(1−3)においてR1=tert−ブトキシカルボニル基である化合物(1−4)から製造することもできる。本製造は、反応式2に示す方法と同様の方法により実施できる。
(反応式6)
【0064】
【化8】


以下、反応式7で示される本発明の化合物の製造方法について説明する。この製造工程は、化合物(19)から本発明の化合物(1−5)を製造するための工程である。
(反応式7)
【0065】
【化9】

【0066】
(工程7c)
工程7cは、化合物(19)と化合物(12)とをカップリング反応により縮合して本発明の化合物(1−5)を得るための工程である。化合物(19)は、反応式3の工程1b又は反応式4に示す方法と同様の方法により、化合物(18)から製造できる。化合物(18)は、例えば、(Tetrahedron Letters,2004,2317−2319)に記載の方法に従って製造できる。該カップリング反応は、7−アザインドールの1位窒素原子に置換基を導入する一般的な方法により実施でき、例えば、反応式3の工程7aと同様の方法により実施できる。
【0067】
また、本発明の化合物(1−5)は、反応式8に示す通りに、工程7cで製造した本発明の化合物(1−5)においてR1=tert−ブトキシカルボニル基である化合物(1−6)から製造することもできる。本製造は、反応式2に示す方法と同様の方法により実施できる。
(反応式8)
【0068】
【化10】


以下、反応式9で示される本発明の化合物の製造方法について説明する。この製造工程は、化合物(20)から本発明の化合物(1−7)を製造するための工程である。
(反応式9)
【0069】
【化11】

【0070】
(工程7d)
工程7dは、化合物(20)と化合物(12)とをカップリング反応により縮合して本発明の化合物(1−7)を得るための工程である。化合物(20)は、例えば、(Journal of Organic Chemistry,1968,3762−3766)に記載の方法に従って製造できる。該カップリング反応は、6−アザインドールの1位窒素原子に置換基を導入する一般的な方法により実施でき、例えば、反応式3の工程7aと同様の方法により実施できる。
【0071】
また、本発明の化合物(1−7)は、反応式10に示す通りに、反応式9の工程7dで製造した本発明の化合物(1−7)においてR1=tert−ブトキシカルボニル基である化合物(1−8)から製造することもできる。本製造は、反応式2に示す方法と同様の方法により実施できる。
(反応式10)
【0072】
【化12】

【0073】
以下、反応式11で示される本発明の化合物の製造方法について説明する。この製造工程は、化合物(21)から本発明の化合物(1−9)を製造するための工程である。
(反応式11)
【0074】
【化13】

【0075】
(工程10a)
工程10aは、化合物(21)と化合物(22)とをカップリング反応により縮合して化合物(23)を得るための工程である。化合物(21)及び化合物(22)は、公知化合物であるか、公知化合物から容易に合成できる化合物である。該カップリング反応は、塩基の存在下又は非存在下、溶媒中又は無溶媒で化合物(21)と化合物(22)を反応させることにより実施できる。また、必要に応じて、例えば、ヨウ化カリウム、臭化ナトリウム等の添加物を加えることができる。本反応で用いられる塩基としては、例えば、ピリジン、トリエチルアミン、ジイソプロピルエチルアミン等の有機塩基類;tert−ブトキシカリウム、炭酸カリウム、炭酸セシウム、炭酸水素ナトリウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水素化ナトリウム等の無機塩基類が挙げられる。本反応で用いられる溶媒としては、例えば、テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン等のエーテル類;トルエン、ベンゼン等の炭化水素類;クロロホルム、ジクロロメタン等のハロゲン化炭化水素類;N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチル−2−ピロリドン等のアミド類;アセトン、2−ブタノン等のケトン類;ジメチルスルホキシド;アセトニトリル又はこれらの混合溶媒が挙げられる。本反応における反応温度は、通常0℃〜200℃、好ましくは、15℃〜120℃であり、反応時間は、通常1〜48時間、好ましくは、1〜12時間である。
【0076】
(工程9b)
工程9bは、化合物(23)と化合物(15)とをカップリング反応により縮合して化合物(24)を得るための工程である。該カップリング反応は、反応式4の工程9aと同様の方法により実施できる。
(工程11)
工程11は、化合物(24)から化合物(25)を得るための工程である。該反応は、(Journal of Medicinal Chemistry,1990,2087−2093)に記載の方法と同様の方法により実施できる。
(工程12)
工程12は、化合物(25)から化合物(26)を得るための工程である。該反応は、(Journal of Medicinal Chemistry,1990,2087−2093)に記載の方法と同様の方法により実施できる。
(工程7e)
工程7eは、化合物(26)と化合物(12)とをカップリング反応により縮合して本発明の化合物(1−9)を得るための工程である。該カップリング反応は、4−アザインドールの1位窒素原子に置換基を導入する一般的な方法により実施でき、例えば、反応式3の工程7aと同様の方法により実施できる。
【0077】
また、本発明の化合物(1−9)は、反応式12に示す通りに、反応式11の工程7eで製造した本発明の化合物(1−9)においてR1=tert−ブトキシカルボニル基である化合物(1−10)から製造することもできる。本製造は、反応式2に示す方法と同様の方法により実施できる。
(反応式12)
【0078】
【化14】

【0079】
以下、反応式13で示される本発明の化合物の製造方法について説明する。この製造工程は、化合物(2)から本発明の化合物(1−11)を製造するための工程である。
(反応式13)
【0080】
【化15】

【0081】
(工程13a)
工程13aは、化合物(2)と化合物(27)とをカップリング反応により縮合して化合物(28)を得るための工程である。化合物(27)は、公知化合物であるか、公知化合物から容易に合成できる化合物である。
3がハロゲン原子又は有機スルホニルオキシ基等の脱離基である場合、該カップリング反応は、塩基の存在下又は非存在下、溶媒中又は無溶媒でフェノールのヒドロキシル基のアルキル化を行う一般的な方法により実施できる。また、必要に応じて、例えば、ヨウ化カリウム、臭化ナトリウム等の添加物を加えることができる。本反応で用いられる塩基としては、例えば、ピリジン、トリエチルアミン、ジイソプロピルエチルアミン等の有機塩基類;tert−ブトキシカリウム、炭酸カリウム、炭酸セシウム、炭酸水素ナトリウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水素化ナトリウム等の無機塩基類が挙げられる。本反応で用いられる溶媒としては、例えば、メタノール、エタノール、イソプロパノール等のアルコール類;テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン等のエーテル類;トルエン、ベンゼン等の炭化水素類;クロロホルム、ジクロロメタン等のハロゲン化炭化水素類;N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチル−2−ピロリドン等のアミド類;アセトン、2−ブタノン等のケトン類;ジメチルスルホキシド;アセトニトリル;水又はこれらの混合溶媒が挙げられ、これらのうち、テトラヒドロフラン、トルエン、N,N−ジメチルホルムアミド、2−ブタノン又はアセトニトリルが好ましい。本反応における反応温度は、通常0℃〜200℃、好ましくは、15℃〜120℃であり、反応時間は、通常1〜48時間、好ましくは、1〜12時間である。
また、Y3が水酸基である場合、該カップリング反応としてはミツノブ反応が挙げられ、例えば、トリフェニルホスフィン、トリブチルホスフィン等の有機リン化合物とアゾジカルボン酸ジエチル、アゾジカルボン酸ジイソプロピル、アゾジカルボン酸ジtertブチル等のアゾ化合物とを組み合わせた試薬、或いはシアノメチルトリブチルホスホラン等のリンイリド試薬の存在下溶媒中で行う方法が挙げられる。本反応で用いられる溶媒としては、例えば、テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン等のエーテル類;トルエン、ベンゼン等の炭化水素類;クロロホルム、ジクロロメタン等のハロゲン化炭化水素類;N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチル−2−ピロリドン等のアミド類;アセトン、2−ブタノン等のケトン類;ジメチルスルホキシド;アセトニトリル又はこれらの混合溶媒が挙げられ、これらのうち、テトラヒドロフラン又はトルエンが好ましい。本反応における反応温度は、通常0℃〜120℃、好ましくは、15℃〜80℃であり、反応時間は、通常1〜48時間、好ましくは、1〜12時間である。
【0082】
本発明の化合物(1−11)は、化合物(28)から、反応式1及び反応式2に示す方法と同様の方法により製造できる。
【0083】
また、本発明の化合物(1−11)は、反応式14に示す方法により製造することもできる。
(反応式14)
【0084】
【化16】

【0085】
(工程13b)
工程13bは、化合物(2)と化合物(29)とをカップリング反応により縮合して化合物(30)を得るための工程である。化合物(29)は、公知化合物であるか、公知化合物から容易に合成できる化合物である。該カップリング反応は、反応式13の工程13aと同様の方法により実施できる。
【0086】
(工程5b)
工程5bは、化合物(31)のtert−ブトキシカルボニル基を脱保護して化合物(32)を得るための工程である。該脱保護反応は、反応式2の工程5aと同様の方法により実施できる。化合物(31)は、化合物(30)から、反応式1に示す方法と同様の方法により製造できる。
【0087】
(工程14)
工程14は、化合物(32)と化合物(33)とを還元的アミノ化反応により縮合して本発明の化合物(1−11)を得るための工程である。化合物(33)は、公知化合物であるか、公知化合物から容易に合成できる化合物である。該反応は、カルボニル化合物とアミンを縮合させる一般的な還元的アミノ化反応の方法によって実施でき、例えば、酸の存在下又は非存在下、溶媒中又は無溶媒で化合物(32)と化合物(33)の混合物に還元剤を加えて行う方法が挙げられる。また、還元方法として、例えば、パラジウム−炭素、白金、ラネーニッケル、ロジウム−アルミナ等の触媒を用いた水素添加による接触還元の方法を利用することもできる。本反応で用いられる還元剤としては、例えば、水素化ホウ素ナトリウム、トリアセトキシ水素化ホウ素ナトリウム、シアノ水素化ホウ素ナトリウム、ジボラン、水素化リチウムアルミニウムが挙げられる。本反応で用いられる酸としては、例えば、酢酸、ギ酸、塩酸が挙げられる。本反応で用いられる溶媒としては、例えば、メタノール、エタノール、イソプロパノール等のアルコール類;ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン等のエーテル類;トルエン、ベンゼン等の炭化水素類;クロロホルム、ジクロロメタン等のハロゲン化炭化水素類;N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチル−2−ピロリドン等のアミド類;ジメチルスルホキシド;アセトニトリル;アセトン;水又はこれらの混合溶媒が挙げられる。本反応における反応温度は、通常0℃〜150℃、好ましくは、15℃〜40℃であり、反応時間は、通常1〜48時間、好ましくは、1〜12時間である。
【0088】
また、本発明の化合物(1−11)は、反応式15に示す方法により製造することもできる。
(反応式15)
【0089】
【化17】

(工程9c)
工程9cは、化合物(32)と化合物(34)とをカップリング反応により縮合して本発明の化合物(1−11)を得るための工程である。化合物(34)は、公知化合物であるか、公知化合物から容易に合成できる化合物である。該カップリング反応は、反応式4の工程9aに示す方法と同様の方法により製造できる。
【0090】
以下、反応式16で示される本発明の化合物の製造方法について説明する。この製造工程は、化合物(16)から本発明の化合物(1−12)を製造するための工程である。
(反応式16)
【0091】
【化18】

本発明の化合物(1−12)は、化合物(35)から、反応式5の工程7b及び反応式6に示す方法と同様の方法により製造できる。また、化合物(1−12)は、化合物(36)から、反応式5の工程7b、反応式14の工程5b、工程14及び反応式15に示す方法と同様の方法により製造できる。化合物(35)及び化合物(36)は、化合物(16)から、反応式13の工程13a及び反応式14の工程13bに示す方法と同様の方法により製造できる。
【0092】
以下、反応式17で示される本発明の化合物の製造方法について説明する。この製造工程は、化合物(18)から本発明の化合物(1−13)を製造するための工程である。
(反応式17)
【0093】
【化19】

本発明の化合物(1−13)は、化合物(37)から、反応式7の工程7c及び反応式8に示す方法と同様の方法により製造できる。また、化合物(1−13)は、化合物(38)から、反応式5の工程7b、反応式14の工程5b、工程14及び反応式15に示す方法と同様の方法により製造できる。化合物(37)及び化合物(38)は、化合物(18)から、反応式13の工程13a及び反応式14の工程13bに示す方法と同様の方法により製造できる。
【0094】
以下、反応式18で示される本発明の化合物の製造方法について説明する。この製造工程は、化合物(39)から本発明の化合物(1−14)を製造するための工程である。
(反応式18)
【0095】
【化20】

【0096】
本発明の化合物(1−14)は、化合物(39)から、反応式9の工程7d及び反応式10に示す方法と同様の方法により製造できる。化合物(39)は、化合物(20)と同様の方法により製造できる。
以下、反応式17で示される本発明の化合物の製造方法について説明する。この製造工程は、化合物(21)から本発明の化合物(1−15)を製造するための工程である。
(反応式17)
【0097】
【化21】

【0098】
工程10bは、化合物(21)と化合物(40)とをカップリング反応により縮合して化合物(41)を得るための工程である。化合物(40)は、公知化合物であるか、公知化合物から容易に合成できる化合物である。該カップリング反応は、反応式11の工程10aと同様の方法により実施できる。
本発明の化合物(1−15)は、化合物(41)から、反応式11及び反応式12に示す方法と同様の方法により製造できる。
【実施例】
【0099】
以下に実施例及び試験例を示し、本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0100】
(実施例1)
Tert−ブチル 4−(5−{3−[(2R)−2−メチルピロリジン−1−イル]プロポキシ}−1H−インダゾール−1−イル)ピペリジン−1−カルボキシラート(化合物番号1)の製造
(1)(2R)−1−(3−クロロプロピル)−2−メチルピロリジンの製造
【0101】
【化22】

(R)−2−メチルピロリジン(18.0g)と1−ブロモ−3−クロロプロパン(100.0g)のアセトン(360mL)溶液に、氷浴下5M水酸化ナトリウム水溶液(50mL)を滴下して加えた。80℃まで昇温し、4時間撹拌した。反応混合物をジエチルエーテルで抽出し、有機層を飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥して減圧下濃縮した。得られた残渣をNH型シリカゲルカラムクロマトグラフィー(展開溶媒:n−ヘキサン:酢酸エチル=4:1〜1:1)及びシリカゲルカラムクロマトグラフィー(展開溶媒:クロロホルム:メタノール=9:1)にて精製して黄色油状の表題化合物(17.8g、52%)を得た。
(2)5−{3−[(2R)−2−メチルピロリジン−1−イル]プロポキシ}−1H−インダゾールの製造
【0102】
【化23】

1H−インダゾール−5−オール(2.00g)のアセトニトリル(30mL)溶液に、炭酸カリウム(3.10g)、ヨウ化ナトリウム(1.10g)及び実施例1−(1)で製造した(R)−1−(3−クロロプロピル)−2−メチルピロリジン(2.70g)を順次加え、90℃にて5時間撹拌した。反応混合物を室温まで放冷し、不溶物を濾過して濾液を減圧下濃縮した。得られた残渣をNH型シリカゲルカラムクロマトグラフィー(展開溶媒:n−ヘキサン:酢酸エチル=4:1〜1:9)にて精製して無色固体の表題化合物(0.78g、20%)を得た。
(3)Tert−ブチル 4−(5−{3−[(2R)−2−メチルピロリジン−1−イル]プロポキシ}−1H−インダゾール−1−イル)ピペリジン−1−カルボキシラート(化合物番号1)の製造
【0103】
【化24】

実施例1−(2)で製造した5−{3−[(2R)−2−メチルピロリジン−1−イル]プロポキシ}−1H−インダゾール(0.30g)のN,N−ジメチルホルムアミド(3mL)溶液に、氷浴下水素化ナトリウム(ミネラルオイル中55%以上含有、0.08g)を加え、室温にて15分間撹拌した。反応混合物にtert−ブチル 1−(メチルスルホニルオキシ)ピペリジン−4−カルボキシラート(0.97g)を加え、90℃で2時間撹拌した。反応混合物に水を加え、酢酸エチルで抽出した。有機層を飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥して減圧下濃縮した。得られた残渣をNH型シリカゲルカラムクロマトグラフィー(展開溶媒:n−ヘキサン:酢酸エチル=4:1〜1:4)にて精製して無色非晶質の表題化合物(0.20g,43%)を得た。
1H NMR (600 MHz, CHLOROFORM-d) δ ppm 1.10 (d, J=6.4 Hz, 3 H), 1.32 - 1.51 (m, 10 H), 1.55 - 1.85 (m, 6 H), 1.87 - 2.08 (m, 3 H), 2.09 - 2.26 (m, 3 H), 2.26 - 2.36 (m, 1 H), 2.85 - 3.03 (m, 2 H), 3.14 - 3.23 (m, 1 H), 4.00 - 4.10 (m, 2 H), 4.15 - 4.38 (m, 2 H), 4.43 - 4.57 (m, 1 H), 7.03 - 7.11 (m, 2 H), 7.33 (d, J=9.2 Hz, 1 H), 7.88 (s, 1 H)
MS (ESI/APCI Dual) (Positive) m/z; 443(M+H)+
【0104】
(実施例2)
(4−フルオロフェニル)[4−(5−{3−[(2R)−2−メチルピロリジン−1−イル]プロポキシ}−1H−インダゾール−1−イル)ピペリジン−1−イル]メタノン(化合物番号2)の製造
(1)5−{3−[(2R)−2−メチルピロリジン−1−イル]プロポキシ}−1−(ピペリジン−4−イル)−1H−インダゾール塩酸塩の製造
【0105】
【化25】

実施例1−(3)で製造したtert−ブチル 4−(5−{3−[(2R)−2−メチルピロリジン−1−イル]プロポキシ}−1H−インダゾール−1−イル)ピペリジン−1−カルボキシラート(0.20g)の酢酸エチル(0.6mL)溶液に、室温にて4M塩酸―酢酸エチル溶液(0.6mL)を滴下して加え、3時間撹拌した。反応混合物を減圧下濃縮して無色固体の表題化合物(0.18g,80%)を得た。
(2)(4−フルオロフェニル)[4−(5−{3−[(2R)−2−メチルピロリジン−1−イル]プロポキシ}−1H−インダゾール−1−イル)ピペリジン−1−イル]メタノン(化合物番号2)の製造
【0106】
【化26】

実施例2−(1)で製造した5−{3−[(2R)−2−メチルピロリジン−1−イル]プロポキシ}−1−(ピペリジン−4−イル)−1H−インダゾール(0.046g)及びピリジン(0.044g)のクロロホルム(0.5mL)溶液に、氷浴下4−フルオロベンゾイルクロリド(0.017g)を加え、室温にて2時間撹拌した。反応混合物を減圧下濃縮し、得られた残渣をNH型シリカゲルカラムクロマトグラフィー(展開溶媒:n−ヘキサン:酢酸エチル=4:1〜0:10)にて精製して、無色非晶質の表題化合物(0.015g,30%)を得た。
1H NMR (600 MHz, CHLOROFORM-d) δ ppm 1.07 - 1.14 (m, 3 H), 1.40 - 1.46 (m, 1 H), 1.65 - 2.37 (m, 12 H), 2.97 - 3.04 (m, 1 H), 3.09 - 4.01 (m, 4 H), 4.02 - 4.09 (m, 2 H), 4.59 - 4.66 (m, 1 H), 4.96 - 5.02 (m, 1 H), 7.06 - 7.14 (m, 2 H), 7.31 - 7.35 (m, 1 H), 7.39 - 7.43 (m, 2 H), 7.46 - 7.50 (m, 2 H), 7.89 - 7.91 (m, 1 H)
MS (ESI/APCI Dual) (Positive) m/z; 465(M+H)+
【0107】
(実施例3)
Tert−ブチル 4−(5−{3−[(2R)−2−メチルピロリジン−1−イル]プロポキシ}−1H−ベンゾイミダゾール−1−イル)ピペリジン−1−カルボキシラート(化合物番号3)の製造
(1)(2R)−1−[3−(4−クロロ−3−ニトロフェノキシ)プロピル]−2−メチルピロリジンの製造
【0108】
【化27】

実施例1−(2)と同様の方法により、1H−インダゾール−5−オールの代わりに4−クロロ−3−ニトロフェノール(3.0g)を用いて、黄色油状の表題化合物(3.3g、64%)を得た。
(2)Tert−ブチル 4−[(4−{3−[(2R)−2−メチルピロリジン−1−イル]プロポキシ}−2−ニトロフェニル)アミノ]ピペリジン−1−カルボキシラートの製造
【0109】
【化28】

実施例3−(1)で製造した(2R)−1−[3−(4−クロロ−3−ニトロフェノキシ)プロピル]−2−メチルピロリジン(3.0g)にtert-ブチル 4−アミノピペリジン−1−カルボキシラート(20.0g)を加え、140℃にて4日間撹拌した。反応混合物に酢酸エチル(20mL)を加えて撹拌し、不溶物を濾過後、濾液を減圧下濃縮した。得られた残渣をNH型シリカゲルカラムクロマトグラフィー(展開溶媒:n−ヘキサン:酢酸エチル=4:1)及びシリカゲルカラムクロマトグラフィー(展開溶媒:クロロホルム:メタノール=24:1)にて精製して赤褐色油状の表題化合物(1.9g、41%)を得た。
(3)Tert−ブチル 4−[(2−アミノ−4−{3−[(2R)−2−メチルピロリジン−1−イル]プロポキシ}フェニル)アミノ]ピペリジン−1−カルボキシラートの製造
【0110】
【化29】

実施例3−(2)で製造したtert−ブチル 4−[(4−{3−[(2R)−2−メチルピロリジン−1−イル]プロポキシ}−2−ニトロフェニル)アミノ]ピペリジン−1−カルボキシラート(0.7g)のエタノール(30mL)溶液にパラジウム炭素(0.7g)を加え、水素雰囲気下室温にて24時間撹拌した。反応混合物をセライト濾過し、濾液を減圧濃縮して赤褐色非晶質の表題化合物(0.50g、76%)を得た。
(4)Tert−ブチル 4−(5−{3−[(2R)−2−メチルピロリジン−1−イル]プロポキシ}−1H−ベンゾイミダゾール−1−イル)ピペリジン−1−カルボキシラート(化合物番号3)の製造
【0111】
【化30】

実施例3−(3)で製造したtert−ブチル 4−[(2−アミノ−4−{3−[(2R)−2−メチルピロリジン−1−イル]プロポキシ}フェニル)アミノ]ピペリジン−1−カルボキシラート(0.1g)のトルエン(0.2mL)溶液にN,N‐ジメチルホルムアミドジメチルアセタール(0.16mL)を加え、100℃にて2日間撹拌した。反応混合物を減圧下濃縮し、NH型シリカゲルカラムクロマトグラフィー(展開溶媒:n−ヘキサン:酢酸エチル=4:1)にて精製して褐色油状の表題化合物(0.027g、26%)を得た。
1H NMR (600 MHz, CHLOROFORM-d) δ ppm 1.11 (d, J=6.0 Hz, 3 H) 1.40 - 1.46 (m, 1 H) 1.49 (s, 9 H) 1.54 - 2.45 (m, 12 H) 2.86 - 2.96 (m, 2 H) 2.98 - 3.06 (m, 1 H) 3.16 - 3.24 (m, 1 H) 4.02 - 4.11 (m, 2 H) 4.22 - 4.45 (m, 3 H) 6.94 (dd, J=9.2, 2.3 Hz, 1 H) 7.24 - 7.29 (m, 2 H) 7.89 (s, 1 H)
MS (ESI/APCI Dual) (Positive) m/z; 443(M+H)+
【0112】
(実施例4)
4−{[4−(5−{3−[(2R)−2−メチルピロリジン−1−イル]プロポキシ}−1H−ベンゾイミダゾール−1−イル)ピペリジン−1−イル]カルボニル}ベンゾニトリル(化合物番号4)の製造
(1)5−{3−[(2R)−2−メチルピロリジン−1−イル]プロポキシ}−1−(ピペリジン−4−イル)−1H−ベンゾイミダゾールの製造
【0113】
【化31】

実施例3−(3)で製造したtert−ブチル 4−[(2−アミノ−4−{3−[(2R)−2−メチルピロリジン−1−イル]プロポキシ}フェニル)アミノ]ピペリジン−1−カルボキシラート(0.4g)にギ酸(2mL)を加え、130℃にて4時間撹拌した。反応混合物に氷浴下6M水酸化ナトリウム水溶液を加え、pHを10とし、クロロホルムで抽出した。有機層を飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥して減圧下濃縮した。得られた残渣のエタノール(2mL)溶液に、6M水酸化ナトリウム水溶液(0.2mL)を加え、100℃にて1時間撹拌した。反応混合物に飽和食塩水を加え、クロロホルムで抽出した。有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥し、減圧下濃縮して褐色油状の表題化合物(0.094g、74%)を得た。
(2)4−{[4−(5−{3−[(2R)−2−メチルピロリジン−1−イル]プロポキシ}−1H−ベンゾイミダゾール−1−イル)ピペリジン−1−イル]カルボニル}ベンゾニトリル(化合物番号4)の製造
【0114】
【化32】

4−シアノ安息香酸(0.17g)のクロロホルム溶液(1.0mL)に1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド塩酸塩(0.23g)及び1−ヒドロキシベンゾトリアゾール一水和物(0.16g)を加え、室温にて30分間撹拌した。反応混合物に実施例4−(1)で製造した5−{3−[(2R)−2−メチルピロリジン−1−イル]プロポキシ}−1−(ピペリジン−4−イル)−1H−ベンゾイミダゾール(0.25g)のクロロホルム(0.5mL)溶液を滴下して加え、室温にて24時間撹拌した。反応混合物を減圧下濃縮し、NH型シリカゲルカラムクロマトグラフィー(展開溶媒:クロロホルム〜クロロホルム:メタノール=97:3)にて精製して黄色非晶質の表題化合物(化合物番号4)(0.21g、61%)を得た。
1H NMR (600 MHz, CHLOROFORM-d) δ ppm 1.10 (d, J=6.0 Hz, 3 H) 1.38 - 1.47 (m, 1 H) 1.65 - 2.37 (m, 12 H) 2.97 - 3.05 (m, 2 H) 3.17 - 3.22 (m, 1 H) 3.22 - 3.37 (m, 1 H) 3.79 - 3.92 (m, 1 H) 4.04 - 4.11 (m, 2 H) 4.40 - 4.46 (m, 1 H) 4.86 - 5.04 (m, 1 H) 6.97 (dd, J=9.2, 2.3 Hz, 1 H) 7.27 - 7.30 (m, 2 H) 7.57 (d, J=8.7 Hz, 2 H) 7.75 (d, J=8.7 Hz, 2 H) 7.90 (s, 1 H)
MS (ESI/APCI Dual) (Positive) m/z; 472(M+H)+
【0115】
(実施例5)
[4−(5−{3−[(2R)−2−メチルピロリジン−1−イル]プロポキシ}−1H−ベンゾイミダゾール−1−イル)ピペリジン−1−イル](テトラヒドロ−2H−ピラン−4−イル)メタノン(化合物番号5)の製造
【0116】
【化33】

実施例4−(2)と同様の方法により、4−シアノ安息香酸の代わりにテトラヒドロ−2H−ピラン−4−カルボン酸(0.017g)を用いて、褐色非晶質の表題化合物(化合物番号5)(0.017g、47%)を得た。
1H NMR (600 MHz, CHLOROFORM-d) δ ppm 1.10 (d, J=6.0 Hz, 3 H) 1.37 - 1.47 (m, 1 H) 1.61 - 2.07 (m, 12 H) 2.09 - 2.16 (m, 1 H) 2.21 - 2.34 (m, 4 H) 2.70 - 2.83 (m, 2 H) 2.97 - 3.03 (m, 1 H) 3.15 - 3.21 (m, 1 H) 3.22 - 3.31 (m, 1 H) 3.43 - 3.50 (m, 2 H) 4.01 - 4.11 (m, 3 H) 4.11 - 4.19 (m, 1 H) 4.34 - 4.42 (m, 1 H) 4.87 - 4.95 (m, 1 H) 6.96 (dd, J=8.7, 2.3 Hz, 1 H) 7.26 (d, J=8.7 Hz, 1 H) 7.28 (d, J=2.3 Hz, 1 H) 7.88 (s, 1 H)
MS (ESI/APCI Dual) (Positive) m/z; 455(M+H)+
【0117】
(実施例6)
[4−(5−{3−[(2R)−2−メチルピロリジン−1−イル]プロポキシ}−1H−ベンゾイミダゾール−1−イル)ピペリジン−1−イル](ピロリジン−1−イル)メタノン(化合物番号6)の製造
【0118】
【化34】

実施例2−(2)と同様の方法により、5−{3−[(2R)−2−メチルピロリジン−1−イル]プロポキシ}−1−(ピペリジン−4−イル)−1H−インダゾールの代わりに実施例4−(1)で製造した5−{3−[(2R)−2−メチルピロリジン−1−イル]プロポキシ}−1−(ピペリジン−4−イル)−1H−ベンゾイミダゾール(0.029g)を、4−フルオロベンゾイルクロリドの代わりにピロリジン−1−カルボニルクロリド(0.015g)をそれぞれ用いて、黄色非晶質の表題化合物(化合物番号6)(0.005g、14%)を得た。
1H NMR (600 MHz, CHLOROFORM-d) δ ppm 1.53 (d, J=5.5 Hz, 3 H) 1.83 - 1.89 (m, 4 H) 1.90 - 2.34 (m, 12 H) 2.47 - 2.55 (m, 1 H) 2.92 - 2.99 (m, 2 H) 3.28 - 3.33 (m, 1 H) 3.37 - 3.44 (m, 5 H) 3.95 - 4.00 (m, 2 H) 4.07 - 4.12 (m, 1 H) 4.12 - 4.17 (m, 1 H) 4.28 - 4.35 (m, 1 H) 6.92 (dd, J=8.7, 2.3 Hz, 1 H) 7.25 (d, J=2.3 Hz, 1 H) 7.31 (d, J=8.7 Hz, 1 H) 7.94 (s, 1 H)
MS (ESI/APCI Dual) (Positive) m/z; 440(M+H)+
【0119】
(実施例7)
1−(1−メチルピペリジン−4−イル)−5−{3−[(2R)−2−メチルピロリジン−1−イル]プロポキシ}−1H−ベンゾイミダゾール(化合物番号7)の製造
【0120】
【化35】

実施例4−(1)で製造した5−{3−[(2R)−2−メチルピロリジン−1−イル]プロポキシ}−1−(ピペリジン−4−イル)−1H−ベンゾイミダゾール(0.095g)と水(0.05mL)の二層系混合液に氷浴下ギ酸(0.076mL)及びホルマリン(37%水溶液、0.057mL)を加え、110℃にて4時間撹拌した。反応混合物に氷浴下6M水酸化ナトリウム水溶液を加え、pHを10とし、クロロホルムで抽出した。有機層を飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥して減圧下濃縮した。得られた残渣をNH型シリカゲルカラムクロマトグラフィー(展開溶媒:酢酸エチル:メタノール=99:1)にて精製して褐色非晶質の表題化合物(化合物番号7)(0.060g、61%)を得た。
1H NMR (600 MHz, CHLOROFORM-d) δ ppm 1.10 (d, J=6.0 Hz, 3 H) 1.37 - 1.47 (m, 1 H) 1.65 - 1.74 (m, 2 H) 1.74 - 1.80 (m, 1 H) 1.87 - 1.95 (m, 1 H) 1.96 - 2.08 (m, 2 H) 2.09 - 2.20 (m, 6 H) 2.20 - 2.26 (m, 1 H) 2.27 - 2.33 (m, 1 H) 2.37 (s, 3 H) 2.97 - 3.03 (m, 1 H) 3.03 - 3.08 (m, 2 H) 3.16 - 3.22 (m, 1 H) 4.03 - 4.11 (m, 2 H) 4.11 - 4.18 (m, 1 H) 6.94 (dd, J=8.7, 2.3 Hz, 1 H) 7.28 (d, J=2.3 Hz, 1 H) 7.30 (d, J=8.7 Hz, 1 H) 7.92 (s, 1 H)
MS (ESI/APCI Dual) (Positive) m/z; 357(M+H)+
【0121】
(実施例8)
Tert−ブチル 4−(5−{3−[(2R)−2−メチルピロリジン−1−イル]プロポキシ}−1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−1−イル)ピペリジン−1−カルボキシラート(化合物番号8)の製造
(1)5−{3−[(2R)−2−メチルピロリジン−1−イル]プロポキシ}−1H−ピロロ[2,3−b]ピリジンの製造
【0122】
【化36】

実施例1−(2)と同様の方法により、1H−インダゾール−5−オールの代わりに5−ヒドロキシ−7−アザインドール(2.0g)を用いて、褐色非晶質の表題化合物(2.35g、61%)を得た。
(2)tert−ブチル 4−(5−{3−[(2R)−2−メチルピロリジン−1−イル]プロポキシ}−1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−1−イル)ピペリジン−1−カルボキシラート(化合物番号8)の製造
【0123】
【化37】

実施例1−(3)と同様の方法により、5−{3−[(2R)−2−メチルピロリジン−1−イル]プロポキシ}−1H−インダゾールの代わりに実施例8−(1)で製造した5−{3−[(2R)−2−メチルピロリジン−1−イル]プロポキシ}−1H−ピロロ[2,3−b]ピリジンを用いて、褐色非晶質の表題化合物(化合物番号8)(0.44g、26%)を得た。
1H NMR (600 MHz, CHLOROFORM-d) δ ppm 1.10 (d, J=6.0 Hz, 3 H) 1.35 - 1.45 (m, 1 H) 1.49 (s, 9 H) 1.65 - 1.73 (m, 1 H) 1.73 - 1.82 (m, 1 H) 1.82 - 1.96 (m, 3 H) 1.97 - 2.09 (m, 4 H) 2.09 - 2.16 (m, 1 H) 2.18 - 2.26 (m, 1 H) 2.27 - 2.35 (m, 1 H) 2.90 - 2.99 (m, 2 H) 2.98 - 3.06 (m, 1 H) 3.14 - 3.24 (m, 1 H) 4.02 - 4.13 (m, 2 H) 4.19 - 4.42 (m, 2 H) 4.85 - 4.92 (m, 1 H) 6.39 (d, J=3.2 Hz, 1 H) 7.23 (d, J=3.2 Hz, 1 H) 7.43 (d, J=2.8 Hz, 1 H) 8.08 (d, J=2.8 Hz, 1 H)
MS (ESI/APCI Dual) (Positive) m/z; 443(M+H)+
【0124】
(実施例9)
(4−フルオロフェニル)[4−(5−{3−[(2R)−2−メチルピロリジン−1−イル]プロポキシ}−1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−1−イル)ピペリジン−1−イル]メタノン(化合物番号9)の製造
(1)5−{3−[(2R)−2−メチルピロリジン−1−イル]プロポキシ}−1−(ピペリジン−4−イル)−1H−ピロロ[2,3−b]ピリジンの製造
【0125】
【化38】

実施例2−(1)と同様の方法により、tert−ブチル 4−(5−{3−[(2R)−2−メチルピロリジン−1−イル]プロポキシ}−1H−インダゾール−1−イル)ピペリジン−1−カルボキシラートの代わりに実施例8−(2)で製造したtert−ブチル 4−(5−{3−[(2R)−2−メチルピロリジン−1−イル]プロポキシ}−1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−1−イル)ピペリジン−1−カルボキシラート(0.44g)を用いて、褐色非晶質の表題化合物(0.26g、76%)を得た。
(2)(4−フルオロフェニル)[4−(5−{3−[(2R)−2−メチルピロリジン−1−イル]プロポキシ}−1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−1−イル)ピペリジン−1−イル]メタノン(化合物番号9)の製造
【0126】
【化39】

実施例2−(2)と同様の方法により、5−{3−[(2R)−2−メチルピロリジン−1−イル]プロポキシ}−1−(ピペリジン−4−イル)−1H−インダゾールの代わりに実施例9−(1)で製造した5−{3−[(2R)−2−メチルピロリジン−1−イル]プロポキシ}−1−(ピペリジン−4−イル)−1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン(0.08g)を用いて、褐色非晶質の表題化合物(0.04g、37%)を得た。
1H NMR (600 MHz, CHLOROFORM-d) δ ppm 1.10 (d, J=6.0 Hz, 3 H) 1.37 - 1.46 (m, 1 H) 1.65 - 1.73 (m, 1 H) 1.74 - 1.83 (m, 1 H) 1.87 - 2.36 (m, 14 H) 2.96 - 3.05 (m, 1 H) 3.14 - 3.23 (m, 1 H) 4.04 - 4.13 (m, 2 H) 4.94 - 5.05 (m, 1 H) 6.40 (d, J=3.7 Hz, 1 H) 7.08 - 7.15 (m, 2 H) 7.24 (d, J=3.7 Hz, 1 H) 7.43 (d, J=2.8 Hz, 1 H) 7.45 - 7.51 (m, 2 H) 8.08 (d, J=2.8 Hz, 1 H)
MS (ESI/APCI Dual) (Positive) m/z; 465(M+H)+
【0127】
(実施例10)
Tert−ブチル 4−(5−{3−[(2R)−2−メチルピロリジン−1−イル]プロポキシ}−1H−ピロロ[3,2−b]ピリジン−1−イル)ピペリジン−1−カルボキシラート(化合物番号10)の製造
(1)2−(3−クロロプロポキシ)−5−ニトロピリジンの製造
【0128】
【化40】

2−クロロ−5−ニトロピリジン(5.00g)及び3−クロロプロパノール(4.50g)のN,N−ジメチルホルムアミド(100mL)溶液に、−10℃にてカリウム tert−ブトキシド(3.90g)を加え、室温にて一晩撹拌した。反応混合物に氷水を加え、酢酸エチルで抽出した。有機層を飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥して減圧下濃縮した。得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(展開溶媒:n−ヘキサン:酢酸エチル=9:1〜7:3)にて精製して黄色油状の表題化合物(5.90g,86%)を得た。
(2)2−{3−[(2R)−2−メチルピロリジン−1−イル]プロポキシ}−5−ニトロピリジンの製造
【0129】
【化41】

実施例10―(1)で製造した2−(3−クロロプロポキシ)−5−ニトロピリジン(5.00g)のアセトニトリル(50mL)溶液に、炭酸カリウム(6.40g)、ヨウ化ナトリウム(1.70g)、(R)−2−メチルピロリジン(3.00g)を順次加え、90℃にて8時間撹拌した。反応混合物を室温まで放冷し、濾過後濾液を減圧下濃縮した。得られた残渣をNH型シリカゲルカラムクロマトグラフィー(展開溶媒:n−ヘキサン:酢酸エチル=4:1)及びシリカゲルカラムクロマトグラフィー(展開溶媒:クロロホルム:メタノール=9:1)にて精製して、茶色油状の表題化合物(4.40g,71%)を得た。
(3)(6−{3−[(2R)−2−メチルピロリジン−1−イル]プロポキシ}−3−ニトロピリジン−2−イル)アセトニトリルの製造
【0130】
【化42】

カリウム tert−ブトキシド(3.70g)のテトラヒドロフラン(30mL)溶液に、実施例10―(2)で製造した2−{3−[(2R)−2−メチルピロリジン−1−イル]プロポキシ}−5−ニトロピリジン(4.00g)及び4−クロロフェノキシアセトニトリル(3.80g)のテトラヒドロフラン(50mL)溶液を−10℃にて滴下して加え、同温下4時間撹拌した。反応混合物に水を加え、クロロホルムで抽出した。有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥して減圧下濃縮し、得られた残渣をNH型シリカゲルカラムクロマトグラフィー(展開溶媒:クロロホルム)にて精製して赤色油状の表題化合物(1.90g,41%)を得た。
(4)5−{3−[(2R)−2−メチルピロリジン−1−イル]プロポキシ}−1H−ピロロ[3,2−b]ピリジンの製造
【0131】
【化43】

実施例10―(3)で製造した(6−{3−[(2R)−2−メチルピロリジン−1−イル]プロポキシ}−3−ニトロピリジン−2−イル)アセトニトリル(1.10g)、パラジウム−炭素(10%)(0.20g)及び酢酸(10mL)をエタノール(30mL)に加えて懸濁液とし、水素雰囲気下室温にて一晩撹拌した。反応混合物を濾過して濾液を減圧下濃縮した。得られた残渣に水及び飽和炭酸水素ナトリウム水溶液を加え、酢酸エチルで抽出した。有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥し、減圧下濃縮して無色油状の表題化合物(0.48g,46%)を得た。
(5)tert−ブチル 4−(5−{3−[(2R)−2−メチルピロリジン−1−イル]プロポキシ}−1H−ピロロ[3,2−b]ピリジン−1−イル)ピペリジン−1−カルボキシラート(化合物番号10)の製造
【0132】
【化44】

実施例1−(3)と同様の方法により、5−{3−[(2R)−2−メチルピロリジン−1−イル]プロポキシ}−1H−インダゾールの代わりに実施例10−(4)で製造した5−{3−[(2R)−2−メチルピロリジン−1−イル]プロポキシ}−1H−ピロロ[3,2−b]ピリジン(0.25g)を用いて、無色固体の表題化合物(化合物番号10)(0.11g,25%)を得た。
1H NMR (600 MHz, CHLOROFORM-d) δ ppm 1.12 (d, J=5.5 Hz, 3 H), 1.46 - 1.51 (m, 10 H), 1.53 - 2.39 (m, 12 H), 2.80 - 3.06 (m, 3 H), 3.21 (br. s., 1 H), 4.21 - 4.45 (m, 5 H), 6.54 (d, J=3.2 Hz, 1 H), 6.60 (d, J=8.7 Hz, 1 H), 7.25 - 7.26 (m, 1 H), 7.57 (d, J=9.2 Hz, 1 H)
MS (ESI/APCI Dual) (Positive) m/z; 443(M+H)+
【0133】
(実施例11)
(4−{5−[(1−シクロブチルピペリジン−4−イル)オキシ]−1H−ベンゾイミダゾール−1−イル}ピペリジン−1−イル)(4−フルオロフェニル)メタノン(化合物番号11)の製造
(1)tert−ブチル 4−(4−クロロ−3−ニトロフェノキシ)ピペリジン−1−カルボキシラートの製造
【0134】
【化45】

4−クロロ−3−ニトロフェノール(25.0g)、N,N−ジメチルホルムアミド(500mL)及び炭酸セシウム(94.0g)の懸濁液にtert−ブチル 4−[(メチルスルホニル)オキシ]ピペリジン−1−カルボキシラート(60.0g)を加え、100℃にて10時間撹拌した。反応混合物を室温まで放冷し、tert−ブチル 4−[(メチルスルホニル)オキシ]ピペリジン−1−カルボキシラート(30.0g)を加えて100℃にて10時間撹拌した。反応混合物を室温まで放冷し、不溶物を濾過して濾液を減圧下濃縮した。得られた残渣をNH型シリカゲルカラムクロマトグラフィー(展開溶媒:n−ヘキサン:酢酸エチル=4:1〜1:1)、にて精製して褐色油状の表題化合物(27.6g、54%)を得た。
(2)4−(4−クロロ−3−ニトロフェノキシ)ピペリジン塩酸塩の製造
【0135】
【化46】

実施例11−(1)で製造したtert−ブチル 4−(4−クロロ−3−ニトロフェノキシ)ピペリジン−1−カルボキシラート(27.6g)の酢酸エチル(100mL)溶液に、氷浴下4M塩酸−酢酸エチル溶液(100mL)を滴下して加えた。反応混合物を室温にて1時間撹拌し、生成した結晶を濾過し乾燥して白色結晶の表題化合物(10.6g、47%)を得た。
(3)4−(4−クロロ−3−ニトロフェノキシ)−1−シクロブチルピペリジンの製造
【0136】
【化47】

実施例11−(2)で製造した4−(4−クロロ−3−ニトロフェノキシ)ピペリジン塩酸塩(10.6g)のクロロホルム(35mL)溶液にトリエチルアミン(2.5mL)を加え、10分間撹拌した。反応混合物にシクロブタノン(2.54g)及び酢酸(2mL)を加え、室温にて30分間撹拌した後、ナトリウムトリアセトキシボロヒドリド(10.8g)を加え、室温にて2時間撹拌した。反応混合物に氷浴下6M水酸化ナトリウム水溶液を加え、pHを9とし、クロロホルムで抽出した。有機層を飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥して減圧下濃縮した。得られた残渣をNH型シリカゲルカラムクロマトグラフィー(展開溶媒:n−ヘキサン:酢酸エチル=4:1〜1:1)にて精製して白色結晶の表題化合物(10.2g、91%)を得た。
(4)tert−ブチル 4−({4−[(1−シクロブチルピペリジン−4−イル)オキシ]−2−ニトロフェニル}アミノ)ピペリジン−1−カルボキシラートの製造
【0137】
【化48】

実施例3−(2)と同様の方法により、(2R)−1−[3−(4−クロロ−3−ニトロフェノキシ)プロピル]−2−メチルピロリジンの代わりに実施例11−(3)で製造した4−(4−クロロ−3−ニトロフェノキシ)−1−シクロブチルピペリジン(2.50g)を用いて、赤褐色油状の表題化合物(0.6g、16%)を得た。
(5)tert−ブチル 4−({2−アミノ−4−[(1−シクロブチルピペリジン−4−イル)オキシ]フェニル}アミノ)ピペリジン−1−カルボキシラートの製造
【0138】
【化49】

実施例3−(3)と同様の方法により、tert−ブチル 4−[(4−{3−[(2R)−2−メチルピロリジン−1−イル]プロポキシ}−2−ニトロフェニル)アミノ]ピペリジン−1−カルボキシラートの代わりに実施例11−(4)で製造したtert−ブチル 4−({4−[(1−シクロブチルピペリジン−4−イル)オキシ]−2−ニトロフェニル}アミノ)ピペリジン−1−カルボキシラート(0.4g)を用いて、褐色非晶質の表題化合物(0.11g、29%)を得た。
(6)5−[(1−シクロブチルピペリジン−4−イル)オキシ]−1−(ピペリジン−4−イル)−1H−ベンゾイミダゾールの製造
【0139】
【化50】

実施例4−(1)と同様の方法により、tert−ブチル 4−[(2−アミノ−4−{3−[(2R)−2−メチルピロリジン−1−イル]プロポキシ}フェニル)アミノ]ピペリジン−1−カルボキシラートの代わりに実施例11−(5)で製造したtert−ブチル 4−({2−アミノ−4−[(1−シクロブチルピペリジン−4−イル)オキシ]フェニル}アミノ)ピペリジン−1−カルボキシラート(0.11g)を用いて、褐色非晶質の表題化合物(0.063g、74%)を得た。
(7)(4−{5−[(1−シクロブチルピペリジン−4−イル)オキシ]−1H−ベンゾイミダゾール−1−イル}ピペリジン−1−イル)(4−フルオロフェニル)メタノン(化合物番号11)の製造
【0140】
【化51】

実施例4−(2)と同様の方法により、5−{3−[(2R)−2−メチルピロリジン−1−イル]プロポキシ}−1−(ピペリジン−4−イル)−1H−ベンゾイミダゾールの代わりに実施例11−(6)で製造した5−[(1−シクロブチルピペリジン−4−イル)オキシ]−1−(ピペリジン−4−イル)−1H−ベンゾイミダゾール(0.05g)を用いて、褐色非晶質の表題化合物(化合物番号11)(0.045g、67%)を得た。
1H NMR (600 MHz, CHLOROFORM-d) δ ppm 1.59 - 1.80 (m, 2 H) 1.85 - 2.42 (m, 14 H) 2.65 - 2.77 (m, 2 H) 2.79 - 2.90 (m, 1 H) 2.93 - 3.41 (m, 2 H) 3.76 - 4.28 (m, 1 H) 4.30 - 4.49 (m, 2 H) 4.59 - 5.45 (m, 1 H) 6.96 (dd, J=2.3, 8.7 Hz, 1 H) 7.11 - 7.16 (m, 2 H) 7.29 (d, J=8.7 Hz, 1 H) 7.31 (d, J=2.3 Hz, 1 H) 7.45 - 7.51 (m, 2 H) 7.93 (s, 1 H)
MS (ESI/APCI Dual) (Positive) m/z; 477(M+H)+
【0141】
試験例1:H3受容体結合試験
ヒト型H3受容体発現CHO−K1細胞の膜標品(ユーロスクリーン社、ES−392−M、タンパク質15μg/200μl)、R(−)−α−メチル[3H]ヒスタミン(アマシャム社、TRK−1017、比活性 1.74TBq/mmol、2nM)、及び試験薬物を、室温で1時間反応させた。反応終了後に、反応混合物を、0.3%ポリエチレンイミンで処理したガラスフィルター(GF/C)を通して吸引濾過し、ガラスフィルターを、5mM EDTAを含んだ50mM Tris−HCl洗浄液(pH7.4)で5回洗浄した。洗浄後に、ガラスフィルターを乾燥し、シンチレーターを加え、フィルター上の放射活性を液体シンチレーションカウンターで測定した。
【0142】
10μM R(−)−α−メチルヒスタミンの存在下で反応を実施したときのR(−)−α−メチル[3H]ヒスタミン結合量を非特異的結合度とし、全R(−)−α−メチル[3H]ヒスタミン結合度と非特異的結合度との差を、特異的R(−)−α−メチル[3H]ヒスタミン結合度とした。一定濃度(2nM)のR(−)―α―メチル[3H]ヒスタミンを上述の条件下で様々な濃度の各試験薬物を反応させることにより、阻害曲線を得た。阻害曲線からR(−)−α−メチル[3H]ヒスタミンの結合が50%阻害される試験薬物濃度(IC50)を求めた。評価結果を表1に示す。
【0143】
【表1】

(N.T.:試験未実施)
【0144】
試験例2:[35S]GTP―γ―S結合試験
The Journal of Pharmacology and Experimental Therapeutics,313,1,165−175,2005に記載されている方法を参考に試験を行った。具体的には以下の通りである。
ヒト型H3受容体発現CHO−K1細胞の膜標品(ユーロスクリーン社、ES−392−M、タンパク質7.5μg/100μl)、R(−)−α−メチル[3H]ヒスタミン(アマシャム社、TRK−1017、比活性 1.74TBq/mmol、2nM)、及び試験化合物を、室温で30分間反応させた。反応終了後、さらに[35S]GTP−γ−S(0.2nM)を添加し、引き続き30分間反応を続けた。反応終了後、反応混合物をガラスフィルター(GF/C)を通して吸引濾過し、ガラスフィルターを100mM 塩化ナトリウム、1mM 塩化マグネシウムを含んだ20mM HEPES洗浄液(pH7.4)で3回洗浄した。洗浄後、ガラスフィルターを乾燥し、シンチレーターを加え、フィルター上の放射活性を液体シンチレーションカウンターで測定した。
【0145】
R(−)−α―メチルヒスタミン非存在下で反応を実施したときの[35S]GTP−γ―S結合量を非特異的結合とし、R(−)−α―メチルヒスタミン存在下得られた全結合との差を特異的[35S]GTP−γ―S結合度とした。一定濃度の[35S]GTP−γ−S(0.2nM)とR(−)―α―メチルヒスタミン(100μM)を上述の条件下で様々な濃度の各試験薬物と反応させることにより、阻害曲線を得た。阻害曲線から、[35S]GTP−γ―S結合が50%阻害される試験薬物濃度(IC50)を求めた。
その結果、化合物2のIC50値は1.2nM、化合物4のIC50値は0.55nMであった。
【産業上の利用可能性】
【0146】
本発明により、ヒスタミンH3受容体へのヒスタミンの結合に対し強力な結合阻害作用を有し、ヒスタミンH3受容体に起因する障害、例えば、認知症、アルツハイマー病、注意欠陥・多動性症、統合失調症、てんかん、中枢性痙攣、摂食障害、肥満、糖尿病、高脂血症、睡眠障害、ナルコレプシー、睡眠時無呼吸症候群、概日リズム障害、うつ病、又はアレルギー性鼻炎等の疾患の予防並びに治療に有用である新規な含窒素複素環誘導体を提供することが可能となった。



【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(1)
【化1】


{式(1)中、Qは、下記式(A)又は(B)で表される基を示し、
【化2】

1は、窒素原子又はCR5Aであり、
2は、窒素原子又はCR5Bであり、
3は、窒素原子又はCR5Cであり、
4は、窒素原子又はCR5Dであり、
5は、窒素原子又はCR5Eであり、
ただし、X1〜X5のいずれか1つが窒素原子であり、
5A〜R5Eは、同一又は異なって、水素原子、ハロゲン原子、C1〜C6アルキル又はC1〜C6アルコキシを示し、
1は、C1〜C6アルキル、C3〜C7環状アルキル、−C(O)R6又は−SO27を示し、
2及びR3は、同一又は異なって、C1〜C6アルキル又はC3〜C7環状アルキルを示し、
又はR2及びR3は、隣接する窒素原子と一緒になって互いに結合した3〜7員の飽和複素環(該飽和複素環はC1〜C6アルキルで置換されてもよい)を形成し、
4は、C1〜C6アルキル(該C1〜C6アルキルはC3〜C7環状アルキルで置換されてもよい)又はC3〜C7環状アルキル(該C3〜C7環状アルキルはC1〜C6アルキルで置換されてもよい)を示し、
6は、C1〜C6アルキル、C1〜C6アルコキシ(該C1〜C6アルキル又はC1〜C6アルコキシは、ハロゲン、C1〜C6アルコキシ、アリール又はヘテロアリールで置換されてもよい)、C3〜C7環状アルキル(該C3〜C7環状アルキルは、ハロゲン、C1〜C6アルキル、C1〜C6アルコキシ;アリール又はヘテロアリールで置換されてもよい)、アリール、ヘテロアリール(該アリール又はヘテロアリールは、「ハロゲン、C1〜C6アルキル、C1〜C6アルコキシ、ヒドロキシ、トリフルオロメチル、トリフルオロメトキシ、アミノ、C1〜C6アルキルアミノ、C2〜C12ジアルキルアミノ、C2〜C7アルカノイル、C1〜C6アルキルスルホニル、ニトロ、シアノ、C2〜C7アルキルアミノカルボニル、C3〜C13ジアルキルアミノカルボニル、環中に窒素、酸素、若しくは硫黄原子から選ばれる1つ以上のヘテロ原子を含む単環式飽和複素環が結合したカルボニル、カルバモイル、環中に窒素、酸素、若しくは硫黄原子から選ばれる1つ以上のヘテロ原子を含む単環式飽和複素環又はヘテロアリール」より選ばれる同一又は異なる1〜3個の置換基で置換されてもよい)、環中に窒素、酸素、若しくは硫黄原子から選ばれる1つ以上のヘテロ原子を含む単環式飽和複素環(該単環式飽和複素環は、ハロゲン、C1〜C6アルキル、C1〜C6アルコキシ、アリール又はヘテロアリールで置換されてもよい)又は−NR89で示される基を示し、
7は、C1〜C6アルキル(該C1〜C6アルキルは、ハロゲン、C1〜C6アルコキシ、アリール又はヘテロアリールで置換されてもよい)、C3〜C7環状アルキル(該C3〜C7環状アルキルは、ハロゲン、C1〜C6アルキル、C1〜C6アルコキシ、アリール又はヘテロアリールで置換されてもよい)、アリール又はヘテロアリール(該アリール又はヘテロアリールは、ハロゲン、C1〜C6アルキル、C1〜C6アルコキシ、ヒドロキシ又はシアノで置換されてもよい)を示し、
8及びR9は、同一又は異なって、水素原子、C1〜C6アルキル(該C1〜C6アルキルは、ハロゲン、C1〜C6アルコキシ、アリール又はヘテロアリールで置換されてもよい)、C3〜C7環状アルキル(該C3〜C7環状アルキルは、ハロゲン、C1〜C6アルキル、C1〜C6アルコキシ、アリール又はヘテロアリールで置換されてもよい)、アリール(該アリールは、ハロゲン、C1〜C6アルキル、C1〜C6アルコキシ、ヒドロキシ又はシアノで置換されてもよい)又はヘテロアリール(該ヘテロアリールは、ハロゲン、C1〜C6アルキル、C1〜C6アルコキシ、ヒドロキシ又はシアノで置換されてもよい)を示し、
p、q及びnは、同一又は異なって、0〜2の整数を示す}
で表される含窒素複素環誘導体、又はその医薬上許容される塩。
【請求項2】
式(1)において、
1〜X5のいずれか1つが窒素原子であり、他はCHであり、
1が−C(O)R6であり、
6がC1〜C6アルコキシ、フェニル(該フェニルは、ハロゲン又はシアノで置換されても良い)又は環中に窒素、酸素、若しくは硫黄原子から選ばれる1つ以上のヘテロ原子を含む単環式飽和複素環であり、
p、q及びnが1である請求項1記載の含窒素複素環誘導体、又はその医薬上許容される塩。
【請求項3】
請求項1又は請求項2に記載の含窒素複素環誘導体、又はその医薬上許容される塩を有効成分として含有することを特徴とする、認知症、アルツハイマー病、注意欠陥・多動性症、統合失調症、てんかん、中枢性痙攣、摂食障害、肥満、糖尿病、高脂血症、睡眠障害、ナルコレプシー、睡眠時無呼吸症候群、概日リズム障害、うつ病、若しくはアレルギー性鼻炎の予防剤又は治療剤。




【公開番号】特開2010−90067(P2010−90067A)
【公開日】平成22年4月22日(2010.4.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−262307(P2008−262307)
【出願日】平成20年10月9日(2008.10.9)
【出願人】(000002819)大正製薬株式会社 (437)
【Fターム(参考)】