説明

吸収剤溶液の再生システム及び方法

吸収剤溶液を再生するためのシステム(100)であって、該システムは、ボイラー(130)によって生成されたスチーム;ボイラーに流動的に結合された圧力タービンセット(132);ボイラーによって生成されたスチームの少なくとも一部をサイホン化するサイホン機構(134);及びサイホン機構に流動的に結合された再生システム(118)を包含してなり、サイホン化スチームを再生システム用の熱源として使用する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、2007年12月13日出願の米国特許仮出願第61/013,369号の優先権を主張するものであり、その記載のすべてを参照することにより本書に含める。
【0002】
本発明は、プロセスストリームからの酸性成分の吸収において利用された吸収剤溶液を再生するシステム及び方法に係る。さらに詳しくは、本発明は、吸収剤溶液を再生するために、燃料の燃焼によって生成されたスチームを使用するシステム及び方法に係る。
【背景技術】
【0003】
石炭燃焼炉からの排気ストリームのようなプロセスストリームは、しばしば、環境への導入前にプロセスストリームから除去されなければならない各種の成分を含有している。例えば、排気ストリームは、しばしば、排気ストリームを環境に排出する前に除去又は低減されなければならない二酸化炭素(CO2)及び硫化水素(H2S)のような酸性成分を含有する。
【0004】
多くのタイプのプロセスストリームにおいて認められる酸性成分の1例は二酸化炭素である。二酸化炭素(CO2)は多くの用途を有する。例えば、二酸化炭素は、飲料を炭酸化するため、魚介、肉類、鶏肉、ビスケット類、果物及び野菜を冷却、冷凍及び包装するために、及び乳製品の品質保証期間を延長するために使用される。他の用途としては、飲料水の処理、農薬としての用途、及び温室における空気添加剤があるが、これらに限定されない。最近では、二酸化炭素は、原油の二次回収(非常に高圧の二酸化炭素が多量に利用される)用の貴重な化学剤として認められている。
【0005】
二酸化炭素を得る方法の1つは、排気ストリーム(例えば、煙道ガスストリーム)のようなプロセスストリーム(二酸化炭素は、有機又は無機化学プロセスの副生物である)を精製することである。一般的には、高濃度の二酸化炭素を含有するプロセスストリームを、多段階で凝縮、精製し、ついで、蒸留して、プロダクトグレードの二酸化炭素を生成する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記用途に適する二酸化炭素(「プロダクトグレード二酸化炭素」として知られている)の量を増大させたいとの要望と共に、プロセスガスストリームを環境へ放出するに当たり、環境に放出される二酸化炭素の量を低減したいとの要望により、プロセスガスストリームから除去される二酸化炭素の量を増大させたいとの要求が増幅されている。処理プラントについては、放出されるプロセスガス中に存在する二酸化炭素の量又は濃度を低減させたいと要求が増大しつつある。同時に、処理プラントについては、時間、エネルギー及び費用のような資源を節約したいとの要求も増大している。本発明によれば、処理プラントに求められる多数の要求の1以上を、プロセスガスから二酸化炭素を除去するために必要なエネルギー量を低減させることによって緩和できる。
【課題を解決するための手段】
【0007】
ここに記載する態様によれば、ボイラーによって生成されたスチームの少なくとも一部を再生システムに提供する方法であって、該方法は、ボイラーにおいて燃料源を燃焼することによってスチームを生成し;前記スチームの少なくとも一部を、前記ボイラーに流動的に結合された圧力タービンセットに供給し、ここで、圧力タービンセットは、高圧タービン、中圧タービン、低圧タービン及び背圧タービンを含んでなり;前記圧力タービンセットに供給される前記スチームの少なくとも一部を、サイホン機構を介してサイホン化して、サイホン化スチームを生成し、ここで、前記サイホン機構は、前記ボイラーと前記高圧ター分との間の位置、前記高圧タービンと前記中圧タービンとの間の位置、前記中圧タービンと前記低圧タービンとの間の位置、及びその組み合わせからなる群から選ばれる位置に位置しており;及び前記サイホン化スチームを、前記サイホン機構に流動的に結合された再生システム用の熱源として使用することを含んでなる方法が提供される。
【0008】
ここに記載する他の態様によれば、吸収剤溶液を再生するためのシステムであって、該システムは、ボイラーによって生成されたスチーム;前記ボイラーに流動的に結合された圧力タービンセットであって、高圧タービン、中圧タービン、低圧タービン及び背圧タービンを含む圧力タービンセット;前記ボイラーによって生成されたスチームの少なくとも一部をサイホン化するサイホン機構であって、前記ボイラーと前記高圧タービンとの間の位置、前記高圧タービンと前記中圧タービンとの間の位置、前記中圧タービンと前記低圧タービンとの間の位置、及びその組み合わせからなる群から選ばれる位置に位置するサイホン機構;前記サイホン機構に流動的に結合された再生システムであって、サイホン化されたスチームを熱源として使用する再生システムを含んでなるシステムが提供される。
【0009】
ここに記載する他の態様によれば、吸収剤溶液を再生するためのシステムであって、該システムは、プロセスストリーム及びスチームを生成する第1のボイラー;前記プロセスストリームから酸性成分を除去し、これによって、リッチ吸収剤溶液及び浄化されたプロセスストリームを生成する吸収器;及び前記リッチ吸収剤溶液を再生する再生器を含んでなり、スチームを生成する第2のボイラー及び前記再生器に結合されたリボイラーを含み、前記第2のボイラーからのスチームの少なくとも一部を前記リボイラーに提供するようにしたシステムが提供される。
【0010】
上述の及び他の特長は、図面及び詳細な説明によって例示される。
【0011】
次に、図面を参照する。図面は具体例を例示するものであり、図面において、同様の部材は同じ符号で示している。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】プロセスストリームから酸性成分の少なくとも一部を除去するシステムの1具体例を示す概略図である。
【図2】プロセスストリームから酸性成分の少なくとも一部を除去するシステムの1具体例を示す概略図である。
【図3】プロセスストリームから酸性成分の少なくとも一部を除去するシステムの1具体例を示す概略図である。
【図4】プロセスストリームから酸性成分の少なくとも一部を除去するシステムの1具体例を示す概略図である。
【図5】プロセスストリームから酸性成分の少なくとも一部を除去するシステムの1具体例を示す概略図である。
【図6】プロセスストリームから酸性成分の少なくとも一部を除去するシステムの1具体例を示す概略図である。
【図7】プロセスストリームから酸性成分の少なくとも一部を除去するシステムの1具体例を示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
図1−5は、プロセスストリーム110から酸性成分を吸収するためのシステム100を示す。1具体例では、プロセスストリーム110は、天然ガスストリーム、合成ガスストリーム、精油所ガス又は蒸気ストリーム、油層のアウトプット、又は石炭、天然ガス又は他の燃料のような物質の燃焼によって発生されたストリームのような各種の液ストリーム又はガスストリームである。プロセスストリーム110の1例は、石炭のような燃料の燃焼によって発生された、又は化石燃料燃焼式ボイラーの燃焼チャンバーの出口で排出される煙道ガスストリームである。他の燃料の例としては、天然ガス、合成ガス、精油所ガスがある。プロセスストリームのタイプ又は源に応じて、酸性成分はガス状、液状又は粒状である。
【0014】
1具体例では、プロセスストリーム110は、二酸化炭素を含む(これに限定されない)いくつかの酸性成分を含有する。プロセスストリーム110が吸収器112に入ると、プロセスストリーム110は、酸化イオウ(SOx)及び酸化窒素(NOx)と共に、粒状物質(例えば、フライアッシュ)を除去するように処理される。しかし、方法はシステム毎に異なり、従って、このような処理は、プロセスストリーム110が吸収器112を通過した後に又は通過することなく行われる。
【0015】
吸収器112は、プロセスストリーム110からのガス状成分の吸収及び除去を容易なものとする吸収剤溶液を使用する。1具体例では、吸収剤溶液は化学溶媒及び水を含んでなり、化学溶媒としては、例えば、窒素系溶媒、特に、1級、2級及び3級のアルカノールアミン;1級及び2級アミン;立体障害アミン;重度の立体障害をもつ2級アミノエーテルアルコールがある。一般的に使用される化学溶媒の例としては、モノエタノールアミン(MEA)、ジエタノールアミン(DEA)、ジイソプロパノールアミン(DIPA)、N-メチルエタノールアミン、トリエタノールアミン(TEA)、N-メチルジエタノールアミン(MDEA)、ピペラジン、N-メチルピペラジン(MP)、N-ヒドロキシエチルピペラジン(HEP)、2-アミノ-2-メチル-1-プロパノール(AMP)、2-(2-アミノエトキシ)エタノール(ジエチレングリコールアミン又はDEGAとも呼ばれる)、2-(2-tert-ブチルアミノプロポキシ)エタノール、2-(2-tert-ブチルアミノエトキシ)エタノール(TBEE)、2-(2-tert-アミルアミノエトキシ)エタノール、2-(2-イソプロピルアミノプロポキシ)エタノール、2-(2-(1-メチル-1-エチルプロピルアミノ)エトキ)シエタノール等がある(これらに限定されない)。上記溶媒は、単独で又は組み合わせて、及び他の助溶媒、添加剤(例えば、消泡剤、緩衝剤、金属塩等、又は腐食防止剤)と共に又は使用することなく、使用される。腐食防止剤の例としては、チオモルホリン、ジチアン及びチオキサン(チオモルホリン、ジチアン及びチオキサンの炭素は、独立して、H、C1-8アルキル、C7-12アルカリル、C6-10アリール及び/又はC3-10シクロアルキル置換基を有する)からなる群から選ばれる複素環化合物;チオ尿素‐アミン‐ホルムアルデヒドポリマー及び銅(II)塩と組み合わせて使用されるポリマー;+4又は5価のバナジウムを含有するアニオン;及び他の公知の腐食防止剤がある(これらに限定されない)。
【0016】
1具体例では、吸収器112に存在する吸収剤溶液は、「リーン」吸収剤溶液及び/又は「セミ−リーン」吸収剤溶液120と呼ばれる。リーン及びセミ−リーン吸収剤溶液は、プロセスストリーム110から酸性成分を吸収でき、例えば、吸収剤溶液は、必ずしも全てが飽和されてはいない、又はフル吸収能力ではないものである。ここに記載するように、リーン吸収剤溶液は、セミ−リーン吸収剤溶液よりもより吸収性である。後述する1具体例では、リーン及び/又はセミ−リーン吸収剤溶液120はシステム100によって提供される。1具体例では、システムにより提供されるリーン及び/又はセミ−リーン吸収剤溶液120を補足するために、吸収器112に補充吸収剤溶液125が提供される。
【0017】
プロセスストリーム110からの酸性成分の吸収は、リーン及び/又はセミ−リーン吸収剤溶液120とプロセスストリーム110との接触によって起こる。プロセスストリーム110とリーン及び/又はセミ−リーン吸収剤溶液120との間の接触は、吸収器112において、各種の様式で行われる。1例では、プロセスストリーム110は吸収器112の下方部分に入り、吸収器112の全長を上方に移動し、一方、リーン及び/又はセミ−リーン吸収剤溶液120は、プロセスストリーム110が吸収器112に入った位置よりも上方の位置で吸収器112に入り、プロセスストリーム110と向流方向で流下する。
【0018】
吸収器112におけるプロセスストリーム110とリーン及び/又はセミ−リーン吸収剤溶液120との間の接触によって、リーン及び/又はセミ−リーン吸収剤溶液120からリッチ吸収剤溶液114が生成される。1例では、リッチ吸収剤溶液114は、吸収器112の下方部分112を落下し、ここで、更なる処理のため排出され、一方、酸性成分の量が低減されたプロセスガス110は吸収器112の全長を上方に移動し、吸収器112のトップ部分からストリーム116として放出される。
【0019】
リッチ吸収剤溶液114は吸収器112を出て、一般的に118で示される再生システムに供給される。リッチ吸収剤溶液114は、後述するように、フラッシュ冷却器113、ポンプ115及び熱交換器を含む(これらに限定されない)一連の処理を経由して、再生システム118に供給される。
【0020】
再生システム118は、例えば、再生器118a及びリボイラー118bを含む(これに限定されない)いくつかの装置又は区域を包含する。再生器118aはリッチ吸収剤溶液114を再生し、これによって、再生成分のストリーム122と共に、リーン及び/又はセミ−リーン吸収剤溶液120を生成する。図1−5に示すように、酸性成分のストリーム122は、一般的に124で示される圧縮システム(貯蔵及び他の用途のために、酸性成分を凝縮及び圧縮する)に移動される。リーン及び/又はセミ−リーン吸収剤溶液120は、一連の処理システム(ポンプ、熱交換器等を含む)を介して、プロセスストリーム110からの酸性成分の更なる吸収のため、吸収器112に移動される。
【0021】
図1に示されるように、リボイラー118bは、再生器118aにスチーム126を提供する。スチーム126はリッチ吸収剤溶液114を再生し、これによって、リーン及び/又はセミ−リーン吸収剤溶液120を生成する。
【0022】
他の具体例では、システム100は、「チルドアンモニアプロセス」と呼ばれるプロセス又は技術を使用する。この具体例では、吸収器112における吸収剤溶液は、アンモニアを含む溶液又はスラリーである。アンモニアは、アンモニアイオンNH4+の形又は溶解した分子NH3の形である。プロセスストリーム110中に存在する酸性成分の吸収は、吸収器112が大気圧及び低温、例えば、0−20℃において作動される場合に行われる。他の例では、プロセスストリーム110からの酸性成分の吸収は、吸収器112が大気圧及び0−10℃の温度において作動される場合に行われる。
【0023】
アンモニア含有溶液による酸性成分の吸収によって、リッチ吸収剤溶液114が生成され、更なる処理のため、この溶液を吸収器112から取り出す。リッチ吸収剤溶液114は吸収器120から排出され、再生システム118に供給される。1例では、再生システム118に供給される前に、リッチ吸収剤溶液114の圧力は、ポンプ115によって、30−2000 psiに上昇される。リッチ吸収剤溶液114は再生器118aに供給され、50−200℃の温度範囲に加熱され、これによって、リッチ吸収剤溶液114を再生する。ついで、再生されたリッチ吸収剤溶液を、アンモニアを含むリーン又はセミ−リーン吸収剤溶液120として吸収器112に供給する。
【0024】
図1−5に示されるように、スチーム126を発生するための熱源として、ボイラー130からのスチーム128が使用される。スチーム128は、ボイラー130において、化石燃料のような燃料の燃焼によって生成される。
【0025】
1例では、スチーム128は、ボイラー130から圧力タービンセット132に移動される。圧力タービンセットは、スチームが再生システム118に供給される前に、スチームを飽和する。
【0026】
図1に示されるように、1具体例では、圧力タービンセット132は、例えば、高圧タービン132a、中圧タービン132b、低圧タービン132c及び背圧タービン132dを包含できる。しかし、圧力タービンセット132は、1個のみ又は数個の上記タービンを包含するものでもよい。スチーム128は圧力タービンセット132から放出され、他の用途(例えば、電力の発生)のために発生器Gに送られる。
【0027】
理解されるように、圧力タービンセット132の構造はシステム毎に変わり、各種の圧力タービンを、ボイラー130及び生成システム118と共に、他のタービンに流動的に結合する。ここで使用するように、用語「流動的に結合された」とは、パイプ、導管、コンベヤー、ワイヤ等によって、装置が、例えば、直接的に(2つの装置の間に介在物なし)又は間接的に(2つの装置の間に介在物あり)、他の装置と連通又は結合されていることを意味する。
【0028】
図1に示されるように、高圧タービン132aは、中圧タービン132b及び背圧タービン132dの両方と共に、ボイラー130に流動的に結合され、一方、中圧タービン132bは低圧タービン132cに流動的に結合される。しかし、図2に示される他の例では、ボイラー130を背圧タービン132d及び高圧タービン132aに流動的に結合でき、中圧タービン132bを高圧タービン132a及び低圧タービン132cに流動的に結合する。さらに他の例では、図3に示されるように、ボイラー130を高圧タービン132aに流動的に結合し、この高圧タービンを中圧タービン132bに流動的に結合し、さらに、この中圧タービンを、背圧タービン132d及び低圧タービン132cの両方に結合する。
【0029】
他の例は、図4に示されるように、高圧タービン132a、中圧タービン132b及び低圧タービン132cを有する圧力タービンセット132を包含する。この例では、ボイラー130が高圧タービン132aに流動的に結合され、この高圧タービンは中圧タービン132bに流動的に結合され、中圧タービン自体は、低圧タービン132cと共に、リボイラー118bに流動的に結合される。
【0030】
圧力タービンセット132の構造のさらに他の例では、図5に示されるように、ボイラー130は再生システム118と共に、高圧タービン132aに流動的に結合されている。高圧タービン132aは、再生システム118及び中圧タービン132bの両方に流動的に結合されている。中圧タービン132bは、再生システム118及び低圧タービン132cの両方に流動的に結合されている。添付図面には図示されていないが、圧力タービンセット132の他の構造も可能である。
【0031】
1具体例では、スチーム128をサイホンで吸い上げて(サイホン化して)、サイホン化スチーム128aを形成するサイホン機構134を設けている。ボイラー130又は圧力タービンセット132からサイホン化されたスチームが、再生システム118用の熱源として使用される。サイホン化され、再生システム118によって使用されるスチームは、一般的に飽和スチーム、すなわち、沸点温度の純粋なスチームであり、その圧力に相当し、蒸気状の水分の全てを保持し、液滴を含有しない。
【0032】
1具体例では、ボイラー130又は圧力タービンセット132からサイホン化されたスチームを、リボイラー118b用の熱源として使用する。サイホン機構134は、スチーム128の少なくとも一部を1装置から他の装置に移動する各種の機構である。好適なサイホン機構の例は、弁、パイプ、導管、サイドドロー、又はスチーム128の移動を容易なものとする装置を包含する(これらに限定されない)。
【0033】
サイホン機構134は、システム100の1以上の位置に配置される。1例では、図1に示されるように、サイホン機構134は、高圧タービン132aと中圧タービン132bとの間の位置に配置される。図1に示された構造によるシステムでは、スチーム128はボイラー130から高圧タービン132aに供給される。高圧タービン132aを通過した後、スチーム128は中圧タービン132bに移動される。高圧タービン132aから中圧タービン132bに移動されるスチーム128の少なくとも一部は、サイホン機構134によってサイホン化され、サイホン化スチーム128aとして背圧タービン132dに移動される。背圧タービン132dでは、サイホン化スチーム128aは82−204℃の範囲の温度に膨張されて、約82−204℃の範囲の温度を有する加熱されたサイホン化スチーム136を生成し、このスチームは、再生システム118に供給され、この再生システムによって熱源として使用される。
【0034】
他の例では、図2に示されるように、サイホン機構134は、ボイラー130と高圧タービン132aとの間の位置に配置される。図2に示された構造によるシステムでは、スチーム128は、ボイラー130によって、高圧タービン132aに供給される。ボイラー130からのスチームの少なくとも一部は、高圧タービン132aに到達する前に、サイホン機構によってサイホン化され、サイホン化スチーム128aとして背圧タービン132dに移動される。背圧タービン132dでは、サイホン化スチーム128aは82−204℃の範囲の温度に膨張されて、約82−204℃の範囲の温度及び約1.5−20バールの範囲の圧力を有する加熱されたサイホン化スチーム136を生成し、このスチームは、再生システム118に供給され、この再生システムによって熱源として使用される。加熱されたサイホン化スチーム136は、一般に、飽和スチームである。
【0035】
他の例では、図3に示されるように、サイホン機構134は、中圧タービン132bと低圧タービン132cとの間の位置に配置される。図3に示された構造によるシステムでは、スチーム128は、ボイラー130から高圧タービン132aに供給される。高圧ボイラー132aを通過した後、スチームは中圧タービン132bに移動され、続いて、低圧タービン132cに移動される。中圧タービン132bから低圧タービン132cに移動されるスチーム128の少なくとも一部は、サイホン機構134によってサイホン化され、サイホン化スチーム128aとして背圧タービン132dに移動される。
【0036】
背圧タービン132dでは、サイホン化スチーム128aは約82−204℃の範囲の温度に膨張されて、約82−204℃の範囲の温度及び約1.5−20バールの範囲の圧力を有する加熱されたサイホン化スチーム136を生成し、このスチームは、再生システム118に供給され、この再生システムによって熱源として使用される。加熱されたサイホン化スチーム136は、一般に、飽和スリームである。
【0037】
図1−3に示されるように、加熱されたサイホン化スチーム136(一般に、飽和である)はリボイラー118bに供給されるが、加熱されたサイホン化スチーム136は、例えば、再生器118aのような再生システム118の他の部分にも供給される。
【0038】
図4に示されるように、他の例では、サイホン機構134は、中圧タービン132bと低圧タービン132cとの間の位置に配置される。図4に示された構造によるシステムでは、スチーム128はボイラー130から高圧タービン132a、続いて、中圧タービン132bに移動される。スチーム128は中圧タービン132bから低圧タービン132cに移動される。低圧タービン132cに移動されるスチーム128の少なくとも一部は、サイホン機構によってサイホン化されて、サイホン化スチーム128aを形成する。図4に示されるように、約82−204℃の範囲の温度及び約1.5−20バールの範囲の圧力を有するサイホン化スチーム128aは、水スプレー又は給水交換器のような脱過熱装置129に移動されて、サイホン化スチームを飽和し、加熱されたサイホン化スチーム136を形成する。加熱されたサイホン化スチームは再生システム118に供給され、この再生システムによって熱源として使用される。図4に示されるように、加熱されたサイホン化スチーム136はリボイラー118bに供給されるが、例えば、再生器118aのような再生システム118の他の部分にも供給される。
【0039】
図1−4に示された構造では示されてはいないが、システム100の至るところに、複数のサイホン機構134を配置できる。例えば、システム100は、高圧タービンと中圧タービン132bとの間の位置に配置されサイホン機構134と共に、ボイラー130と高圧タービン132aとの間の位置に配置されたサイホン機構134を包含できる。同様に、システム100は、中圧タービン132bと低圧タービン132cとの間の位置に配置されサイホン機構134と共に、高圧タービン132aと中圧タービン132bとの間の位置に配置されたサイホン機構134を包含できる。
【0040】
他の例では、図5に示されるように、第1のサイホン機構がボイラー130と高圧タービン132aとの間の位置に配置され、他のサイホン機構が高圧タービンと中圧タービン132bとの間の位置に配置され、さらに他のサイホン機構が中圧タービン132bと低圧タービン132cとの間の位置に配置される。高圧タービン132a、中圧タービン132b及び低圧タービン132cの各々に移動されるスチームの少なくとも一部はサイホン化されて、サイホン化スチーム128aを形成する。約82−204℃の範囲の温度及び約1.5−20バールの範囲の圧力を有する加熱されたサイホン化スチーム128aは、水スプレー又は給水交換器のような脱過熱装置129に移動されて、サイホン化スチームを飽和し、加熱されたサイホン化スチーム136を形成する。加熱されたサイホン化スチームは再生システム118に供給され、ここで、熱源として使用される。
【0041】
図5に示されるように、加熱されたサイホン化スチーム136はリボイラー118bに供給されるが、例えば、再生器118aのような再生システム118の他の部分にも供給される。また、図5におけるサイホン化スチーム128aは、加熱されたサイホン化スチームとして再生システム118に供給される前に、初めに背圧タービン132dに供給されてもよい。図5には示されてはいないが、複数のサイホン機構134を有するシステム100の変更又は構造も可能である。
【0042】
図6及び7には、システム200が示されており、ここで、同じ参照符号は、図1−5において参照する同じ部材を示しており、200シリーズの参照符号は100シリーズの参照符号に対応する。システム200は、第1のボイラー230及び第2のボイラー236を包含する。図6に示されるように、ボイラー230はスチーム228を生成し、このスチームは再生システム218に供給されるか、供給されなくてもよい。図6では、スチーム228は再生システム218には供給されない。
【0043】
さらに、図6及び7を参照すると、第2のボイラー236はスチーム238を生成し、このスチームは一般に飽和スチームである。スチーム238は再生システム218に供給され、再生システム218によって熱源として利用される。スチーム238は、再生システム218の各種の部分に供給される。図6に示されるように、スチーム238(例えば、スチーム238a)はリボイラー218bに供給されるが、スチーム238は再生器218aに供給されてもよい。
【0044】
図6に示されるように、スチーム238は、再生システム218に到達する前に圧力タービン240を通過される。圧力タービン240において、スチーム238は、約538−704℃の範囲の高温度で膨張され、加熱されたスチーム238aを形成する。ついで、加熱されたスチーム238aは再生システム218に移動される。
【0045】
別法では、図7に示されるように、ボイラー236によって発生されたスチーム238の一部が圧力タービンセット232に供給され、一方、スチーム238の他の部分が、再生システム218に移動され(スチーム238aとして)、熱源として使用される前に、スチーム飽和器242に提供される。図7では示されていないが、ここに示すシステム200はスチーム228を発生させるためにボイラー230を包含していてもよい。
【0046】
ここに記載のシステム及び方法の非限定的な例を以下に示す。他に特定しない限り、速度はkm/秒であり、圧力はバールであり、電力はMWであり、温度は摂氏(℃)である。
【実施例】
【0047】
実施例1A:再生システム用の熱源としてスチームを使用しないシステム
ボイラー又は圧力タービンからサイホン化されたスチームを使用しない構造のシステムを使用して、各圧力タービンから発生された電力量を測定した。結果を表1に示す。
【表1】

【0048】
実施例1B:再生システム用の熱源としてスチームを使用するシステム
図1に示す構造のシステムを使用して、各圧力タービンから発生された電力量及び背圧タービンに移動するスチーム量を測定した。結果を表2に示す。
【表2】

【0049】
実施例1C:再生システム用の熱源としてスチームを使用するシステム
図4に示す構造のシステムを使用して、各圧力タービンから発生された電力量及び背圧タービンに移動するスチーム量を測定した。結果を表3に示す。
【表3】

【0050】
他の指示しない限り、ここに記載する全ての範囲は、上限及び下限及び中間の全ての値において包括的かつ合体できるものである。用語「第1」、「第2」等は、順序、量、又重要性を表わすものではなく、むしろ、1つの要素を他の要素から区別するために使用している。「約」を伴う全ての数値は、他に指示しない限り、正確な数値の包括的なものである。
【0051】
本発明を各種の例示的具体例を参照して記述したが、本発明の精神を逸脱することなく、多くの変形が加えられること及びその要素を均等物によって置換できることは、当業者によって理解されるであろう。さらに、その必須の範囲を逸脱することなく、本発明の教示に特別な状況又は物質を適合するように多くの変更をなすことができる。従って、本発明は、本発明を実施するための最良の形態として開示した特別の具体例に限定されず、本発明は、特許請求の範囲内に属する全ての具体例を包含するものである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ボイラーによって生成されたスチームの少なくとも一部を再生システムに提供する方法であって、該方法は、
ボイラーにおいて燃料源を燃焼することによってスチームを生成し;
前記スチームの少なくとも一部を、前記ボイラーに流動的に結合された圧力タービンセットに供給し、ここで、圧力タービンセットは、高圧タービン、中圧タービン、及び低圧タービンを含んでなり;
前記圧力タービンセットに供給される前記スチームの少なくとも一部を、サイホン機構を介してサイホン化して、サイホン化スチームを生成し、ここで、前記サイホン機構は、前記ボイラーと前記高圧ター分との間の位置、前記高圧タービンと前記中圧タービンとの間の位置、前記中圧タービンと前記低圧タービンとの間の位置、及びその組み合わせからなる群から選ばれる位置に位置しており;及び
前記サイホン化スチームを、前記サイホン機構に流動的に結合された再生システム用の熱源として使用すること
を含んでなる、方法。
【請求項2】
サイホン機構が、ボイラーと高圧タービンとの間の位置している、請求項1記載の方法。
【請求項3】
圧力タービンセットが、さらに、背圧タービンを包含しており、前記背圧タービンがサイホン機構及び再生システムに流動的に結合される、請求項2記載の方法。
【請求項4】
サイホン機構が、高圧タービンと中圧タービンとの間の位置している、請求項1記載の方法。
【請求項5】
圧力タービンセットが、さらに、背圧タービンを包含しており、前記背圧タービンがスチームサイホン機構及び再生システムに流動的に結合される、請求項4記載の方法。
【請求項6】
サイホン機構が、中圧タービンと低圧タービンとの間の位置している、請求項1記載の方法。
【請求項7】
さらに、ボイラーと再生システムとの間に位置する第2のサイホン機構を含んでなる、請求項6記載の方法。
【請求項8】
さらに、ボイラーと高圧タービンとの間に位置する第2のサイホン機構を含んでなる、請求項6記載の方法。
【請求項9】
吸収剤溶液を再生するためのシステムであって、該システムは、
ボイラーによって生成されたスチーム;
前記ボイラーに流動的に結合された圧力タービンセットであって、高圧タービン、中圧タービン、及び低圧タービンを含んでなる圧力タービンセット;
前記ボイラーによって生成されたスチームの少なくとも一部をサイホン化するサイホン機構であって、前記ボイラーと前記高圧タービンとの間の位置、前記高圧タービンと前記中圧タービンとの間の位置、前記中圧タービンと前記低圧タービンとの間の位置、及びその組み合わせからなる群から選ばれる位置に位置するサイホン機構;及び
前記サイホン機構に流動的に結合された再生システムであって、サイホン化されたスチームを熱源として使用する再生システム
を含んでなる、システム。
【請求項10】
サイホン機構が、ボイラーと高圧ター分との間の位置している、請求項9記載のシステム。
【請求項11】
圧力タービンセットが、さらに、背圧タービンを包含しており、前記背圧タービンがサイホン機構及び再生システムに流動的に結合している、請求項10記載のシステム。
【請求項12】
サイホン機構が、高圧タービンと中圧タービンとの間の位置している、請求項9記載のシステム。
【請求項13】
圧力タービンセットが、さらに、背圧タービンを包含しており、前記背圧タービンがスチームサイホン機構及び再生システムに流動的に結合している、請求項12記載のシステム。
【請求項14】
サイホン機構が、中圧タービンと低圧タービンとの間の位置している、請求項9記載のシステム。
【請求項15】
さらに、ボイラーと再生システムとの間に位置する第2のサイホン機構を含んでなる、請求項14記載のシステム。
【請求項16】
さらに、ボイラーと高圧タービンとの間に位置する第2のサイホン機構を含んでなる、請求項14記載のシステム。
【請求項17】
再生システムが再生器及びリボイラーを含んでなる、請求項9記載のシステム。
【請求項18】
リボイラーがスチームを再生器に提供し、前記再生器において、スチームがリッチ吸収剤溶液を再生する、請求項17記載のシステム。
【請求項19】
吸収剤溶液が、モノエタノールアミン(MEA)、ジエタノールアミン(DEA)、ジイソプロパノールアミン(DIPA)、N-メチルエタノールアミン、トリエタノールアミン(TEA)、N-メチルジエタノールアミン(MDEA)、ピペラジン、N-メチルピペラジン(MP)、N-ヒドロキシエチルピペラジン(HEP)、2-アミノ-2-メチル-1-プロパノール(AMP)、2-(2-アミノエトキシ)エタノール、2-(2-tert-ブチルアミノプロポキシ)エタノール、2-(2-tert-ブチルアミノエトキシ)エタノール(TBEE)、2-(2-tert-アミルアミノエトキシ)エタノール、2-(2-イソプロピルアミノプロポキシ)エタノール、2-(2-(1-メチル-1-エチルプロピルアミノ)エトキ)シエタノールからなる群から選ばれる化学溶媒を含んでなる、請求項18記載のシステム。
【請求項20】
リッチ吸収剤溶液がアンモニアを含んでなるものである、請求項18記載のシステム。
【請求項21】
吸収剤溶液を再生するためのシステムであって、該システムは、
プロセスストリーム及びスチームを生成する第1のボイラー;
前記プロセスストリームから酸性成分を除去し、これによって、リッチ吸収剤溶液及び浄化されたプロセスストリームを生成する吸収器;及び
前記リッチ吸収剤溶液を再生する再生器
を含んでなり、スチームを生成する第2のボイラー及び前記再生器に結合されたリボイラーを含み、前記第2のボイラーからのスチームの少なくとも一部を前記リボイラーに提供するようにした、システム。
【請求項22】
さらに、リボイラー及び第2のボイラーに流動的に結合された圧力タービンを含んでなり、前記第2のボイラーからのスチームの少なくとも一部を、初めに、前記圧力タービンに供給し、ついで、前記リボイラーに供給するようにした、請求項21記載のシステム。
【請求項23】
第2のボイラーからのスチームの少なくとも一部を圧力タービンセットに供給し、ここで、圧力タービンセットは、高圧タービン、中圧タービン、及び低圧タービンを包含するものである、請求項21記載のシステム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公表番号】特表2011−508842(P2011−508842A)
【公表日】平成23年3月17日(2011.3.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−538178(P2010−538178)
【出願日】平成20年12月12日(2008.12.12)
【国際出願番号】PCT/US2008/086512
【国際公開番号】WO2009/076575
【国際公開日】平成21年6月18日(2009.6.18)
【出願人】(503416353)アルストム テクノロジー リミテッド (394)
【氏名又は名称原語表記】ALSTOM Technology Ltd
【住所又は居所原語表記】Brown Boveri Strasse 7, CH−5401 Baden, Switzerland
【Fターム(参考)】