説明

吸引カテーテル

十分な吸引量とともに、屈曲した血管にも十分追随できる柔軟性を有し、体外からガイディングカテーテルに挿入させる際にカテーテルシャフトがキンクする可能性が小さく、操作性の良好な吸引カテーテルを提供することを目的とする。本発明は、物質を吸引するための吸引ルーメン(100)及びガイドワイヤシャフト(112)を備えた吸引カテーテルであって、前記吸引ルーメン(100)は前記カテーテルの基端側に設けられたハブ(106)に連通し、前記吸引ルーメン(100)の内部に脱着可能なコアワイヤ(101)を有するものである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
本発明は、経皮経管的に体内に導入され、体内に存在する物質を体外へ吸引除去するカテーテルに関し、特に体内の血管に生成した血栓や血管内に遊離したアテローマなどのデブリス(異物)を、カテーテル基端側から加える陰圧により体外に吸引除去する吸引カテーテルに関する。
【背景技術】
従来、血管などの脈管において狭窄あるいは閉塞が生じた場合、および血栓により血管が閉塞してしまった場合は、血管の狭窄部位あるいは閉塞部位を拡張して、血管末梢側の血流を改善するために行う血管形成術(PTA:Percutaneous Transluminal Angioplasty、PTCA:Percutaneous Transluminal Coronary Angioplastyなど)は、多くの医療機関において多数の術例があり、この種の症例における手術としては一般的になっている。さらに、拡張した狭窄部の状態を保持するためのステント等も、近年多く用いられるようになってきた。
PTA、PTCAに用いられるバルーンカテーテルは、主に血管の狭窄部位あるいは閉塞部位を拡張するために、ガイディングカテーテルとガイドワイヤとのセットで使用される。このバルーンカテーテルを用いた心臓冠状動脈における血管形成術は以下のように行われる。まずガイディングカテーテルを大腿動脈から挿入して大動脈を経て冠状動脈の入口に位置させた後、バルーンカテーテルを貫通させたガイドワイヤを血管の狭窄部位あるいは閉塞部位を越えて前進させる。続いてバルーンを狭窄部位あるいは閉塞部位に位置させた状態で膨張させて、狭窄部位あるいは閉塞部位を拡張した後、バルーンを収縮させて体外に除去する。
このバルーンカテーテルは、血管の狭窄部位あるいは閉塞部位の治療に限定されず、血管内への挿入、ならびに種々の体腔、管状組織への挿入を含む多くの医療的用途に有用である。
しかしながら、血管内の閉塞が血栓による場合、閉塞部位をバルーンカテーテルで拡張すると、血栓が血管内壁より遊離して下流側の末梢血管を閉塞させてしまう場合がある。また、血管内の狭窄部位を拡張する場合も病変部が粥状のプラークを多く含む場合などでは、バルーンカテーテルによる拡張で病変部より粥状のプラーク(アテローマ)が飛散してしまい、末梢血管を閉塞させてしまう場合がある。このように末梢血管を閉塞させてしまう場合は、閉塞部や狭窄部を拡張しても、末梢に血液が流れなくなってしまい、スローフローやノーリフローの状況に陥ってしまう。
このような状況に陥った場合、冠状動脈などでは血流が回復するまで様子を見るのが一般的であるが、回復までに時間がかかってしまうという問題がある。また、状況に応じてニトログリセリンなどの血管拡張剤を投与して血流の回復を図ったり、ウロキナーゼなどの血栓溶解剤を局所投与して閉塞物を溶解させる血栓溶解療法が試みられることがあるが、血流が回復するまでにはやはり時間がかかるという問題がある。末梢閉塞がひどく血行動態が悪い場合は大動脈バルーンポンピング(IABP)などの補助手段も用いられる。
また、血栓溶解療法のほかにも機械的に血栓を破砕すると同時に、カテーテルの基端側から陰圧を加えることで、血栓を体外に除去する方法が試みられてきた。
しかしながら、カテーテル先端部で血栓を破砕するためには、カテーテル基端側から加える機械的な力を効率よくカテーテル先端側に伝える必要があることは言うまでもない。従って、カテーテルシャフトにおける力の伝達性を高めるために、カテーテルシャフトの全体は比較的硬い材料で構成され、目的とする血管内の部位までカテーテルを搬送することが困難となることが多かった。さらには、機械的な力を加えると同時に、カテーテル基端側から陰圧を加える必要があるために装置が大掛かりになるという問題があり、普及するには至らなかった。
一方で、手元側から陰圧を加えることによって血栓を体外に吸引除去する簡単な構造のカテーテルも、現在臨床でその効果が確認されつつある。しかしながら、吸引するための吸引ルーメンの断面積を十分確保できず、吸引能力の低いものしか得られていない。この理由は、カテーテルが血管内の目的とする部位までガイドワイヤに沿って搬送される構造であることに起因する。すなわち、ガイドワイヤに追随するガイドワイヤルーメンを吸引ルーメンの内部に設けているために十分な吸引ルーメンを確保できないのである。
また、ガイドワイヤルーメンを吸引ルーメンの外側に有する構造の場合、必然的に吸引カテーテルの外径は大きくなる。従って、併用するガイディングカテーテルは内径を確保するために外径が大きなものとなり、患者の負担が格段に大きくなってしまうという問題が生じる。
加えて、これらのガイドワイヤルーメンは通常吸引カテーテルの最先端から30cm程度の長さを有しているためカテーテルシャフト全体が硬くなってしまい、屈曲した血管内への挿入性が悪いという問題点も生じている。
特許文献1にはガイドワイヤなしで血管内に導入可能なカテーテルが開示されている。該カテーテルは、薬液、造影剤等の注入路を有するカテーテルの基端にハブと着脱自在なハブを固着してなる超弾性線とを具備していることを特徴とする。ハブからの薬液、造影剤等の注入速度を増大させるため、超弾性線をカテーテルから抜去して内部注入路の有効内腔を大きくすることができる。しかしながら、このような構成のカテーテルを吸引カテーテルとして通常のPTCA手技において使用する場合、ガイドワイヤに追随して患部に到達させることは不可能であり、術者による操作性が低いことが問題として指摘されている。
【特許文献1】特公平3−74590号公報
【発明の開示】
これらの状況を鑑み、本発明が解決しようとするところは、吸引ルーメンを最大限確保し、かつガイドワイヤに追随して目的部位まで搬送でき、屈曲した血管にも十分追随していけるだけの柔軟性を実現させると同時に、体外からガイディングカテーテルに挿入させる際のカテーテルシャフトのキンクの可能性を低減させ、良好な操作性を実現可能な吸引カテーテルを提供することにある。
発明者らが鋭意検討した結果、以下の吸引カテーテルを構成することで問題点を解決可能なことを見出し、当該発明を完成させるに至った。
つまり、生体内から物質を吸引除去するための吸引カテーテルであって、前記カテーテルは先端側シャフトおよび基端側シャフトから構成されるメインシャフトを有し、前記メインシャフトの内部に物質を吸引除去するための吸引ルーメンを、前記先端側シャフトの最先端部にガイドワイヤを挿通可能なガイドワイヤルーメンを内部に持つガイドワイヤシャフトをそれぞれ備え、前記吸引ルーメンは前記基端側シャフトの基端側に設けられたハブに連通し、前記吸引ルーメンの内部に脱着可能なコアワイヤを有することを特徴とする吸引カテーテルを構成した。
また、本発明は、前記コアワイヤの基端側にコネクタが固定され、前記コネクタが前記ハブの基端側に脱着可能に取り付けられている吸引カテーテルに関する。
また、本発明は、前記コネクタが脱着可能に取り付けられた状態で、前記コネクタを介して前記吸引ルーメン内をフラッシュ可能である吸引カテーテルに関する。
また、本発明は、前記コアワイヤ先端が前記吸引ルーメンの先端よりも基端側に位置する吸引カテーテルに関する。
また、本発明は、前記コアワイヤの最大外径をR1、前記ハブより先端側の吸引ルーメンの最小内径をR2とする場合に、0.3≦R1/R2≦0.9であり、好ましくは、0.4≦R1/R2≦0.7である吸引カテーテルに関する。
また、本発明は、前記コアワイヤが金属素線を巻回したスプリングワイヤである吸引カテーテルに関する。
また、本発明は、前記コアワイヤが少なくとも一部が基端側ほど外径が大きくなるテーパー形状を呈するワイヤである吸引カテーテルに関する。
また、本発明は、前記コアワイヤの少なくとも一部が先端側ほど柔軟なワイヤである吸引カテーテルに関する。
また、本発明は、前記コアワイヤの材質がステンレス、Co−Cr合金、Ni−Ti合金、Ni−Ti−Fe合金、Ni−Ti−Cu合金、Ni−Ti−Cr合金、Ni−Ti−V合金、Ni−Ti−Co合金、Ni−Ti−Nb合金、
Ni−Ti−Pd合金、Ni−Ti−Cu−Cr合金またはこれらの複合体からなる吸引カテーテルに関する。
また、本発明は、前記先端側シャフトの先端が斜め方向にカットされており、前記ガイドワイヤシャフトの先端部が該斜めカットされた前記先端側シャフトの最先端部に位置するか、もしくは該最先端部よりも先端側に突出して位置しており、前記先端側シャフトが斜めカットされている部分のカテーテル長手軸方向の長さをL1とし、前記ガイドワイヤシャフトの基端から前記先端側シャフトの最先端部までの長さをL2とした場合に、0.5≦L2/L1である吸引カテーテルに関する。
また、本発明は、前記L1が、2mm≦L1≦10mmである吸引カテーテルに関する。
また、本発明は、前記ガイドワイヤシャフトに、X線不透過マーカーを有する吸引カテーテルに関する。
また、本発明は、前記基端側シャフトがポリイミドから構成される吸引カテーテルに関する。
また、本発明は、前記基端側シャフトが金属編組と高分子材料を組み合わせた編組チューブから構成される吸引カテーテルに関する。
また、本発明は、前記編組チューブが吸引ルーメンを確定する内層、内層の外面に設けられた金属編組、金属編組の外面に設けられた外層を有する吸引カテーテルに関する。
また、本発明は、前記基端側シャフトの少なくとも基端側の部分の曲げ弾性率が1GPa以上である吸引カテーテルに関する。
また、本発明は、前記先端側シャフトの少なくとも一部に湿潤環境下で潤滑性を示す親水性コーティングが付与されている吸引カテーテルに関する。
また、本発明は、前記吸引ルーメンの内部に前記コアワイヤが存在する状態で生体内に挿入した後、前記コアワイヤを取り外し、前記吸引ルーメンに陰圧を付与することで生体内から物質を吸引除去する吸引カテーテルの使用方法に関する。
【図面の簡単な説明】
図1は、本発明にかかる吸引カテーテルの実施形態の一例を示す断面図である。
図2は、本発明にかかる吸引カテーテルの実施形態の別な一例を示す断面図である。
図3は、図1に示した吸引カテーテルからコアワイヤを取り外した際の断面図である。
図4は、図2に示した吸引カテーテルからコアワイヤを取り外した際の断面図である。
図5は、本発明にかかる吸引カテーテルにおけるコアワイヤの実施形態の一例を示す断面図である。
図6は、本発明にかかる吸引カテーテルにおけるコアワイヤの実施形態の別な一例を示す断面図である。
図7は、本発明にかかる吸引カテーテルにおけるコアワイヤの実施形態のさらに別な一例を示す断面図である。
図8は、本発明にかかる吸引カテーテルの耐キンク性および屈曲部通過性評価方法を示す模式図である。
図9は、図8における屈曲プレートの拡大図である。
図10は、本発明におけるL1とL2の一例である。
図中、100は吸引ルーメンを、101はコアワイヤを、102はメインシャフトを、103は先端側シャフトを、104は基端側シャフトを、105はストレインリリーフを、106はハブを、107はコネクタを、108は吸引ルーメン最小内径を、109はコアワイヤ最大外径を、110はガイドワイヤルーメンを、111はX線不透過マーカーを、そして112はガイドワイヤシャフトを表す。
また図中、113は水槽を、114は屈曲プレートを、115は模擬大動脈を、116はガイディングカテーテルを、そして117はヘモスタックバルブを表す。さらに図中、118はポリエチレン管を、119は屈曲部を、120は直線部を、121はポリエチレン管の外径を、122はポリエチレン管の内径を、そして123はガイドワイヤを表す。
【発明を実施するための最良の形態】
以下に本発明にかかる吸引カテーテルの実施形態について図を用いて詳細に説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。
本発明による吸引カテーテルは、図1から図2に典型例を示したように先端側シャフト103および基端側シャフト104から構成されるメインシャフト102を有し、メインシャフト102の内部に物質を吸引除去するための吸引ルーメン100を、先端側シャフト103の最先端部にガイドワイヤを挿通可能なガイドワイヤルーメン110を内部に持つガイドワイヤシャフト112をそれぞれ備え、吸引ルーメン100は基端側シャフト104の基端側に設けられたハブ106に連通し、吸引ルーメン100の内部に脱着可能なコアワイヤ101を有することを特徴とする。コアワイヤ101を吸引ルーメン100の内部に設けることで、吸引カテーテルを体外からガイディングカテーテルに挿入させる際のカテーテルシャフトのキンクの可能性を効果的に低減させ、良好な操作性を実現することができる。また、ガイドワイヤルーメン110を有するため、ガイドワイヤに沿って屈曲した部位へも容易に吸引カテーテルを位置させることができる。
吸引ルーメン100の内部にコアワイヤ101を設けると、吸引ルーメン100の断面積が小さくなるため十分な吸引量を実現することはできない。しかしながら、本発明においてはコアワイヤ101を脱着可能に設けているため、吸引時には図3から図4に典型例を示したようにコアワイヤ101を取り外すことが可能であり、従って十分な吸引量が容易に実現される。コアワイヤ101が固定された構造の吸引カテーテルの場合、本発明の吸引カテーテルと同様の吸引量を実現させようとすると吸引ルーメン100の断面積を大きくすることで補うほかになく、結果としてカテーテルシャフト外径の増大がもたらされる。カテーテルシャフト外径の増大により吸引カテーテル挿入時に使用するガイディングカテーテルやシースのサイズが大きくなるため、吸引治療を受ける患者の負担が増加し好ましくない。
本発明による吸引カテーテルは脱着可能なコアワイヤ101を有することを特徴とするのは上述の通りであるが、コアワイヤ101を脱着可能とする機構は特に制限されない。しかし、コアワイヤ101脱着時の操作性を考慮に入れると、前記コアワイヤ101の基端側にコネクタ107が固定され、前記コネクタ107が前記ハブ106の基端側に脱着可能に取り付けられていることが好ましい。前記コアワイヤ101の基端側とコネクタ107の固定方法は本発明の効果を何ら制限するものではなく、接着等の方法を使用可能であり、使用する接着剤の種類等も制限されない。また、前記コネクタ107と前記ハブ106の基端側の接続方法も脱着可能であれば制限されないが、ひとつの好適な実施形態として、ハブ106の基端側をメス型のルアー形状とし、コネクタ107をオス型のルアー形状とすることで、コアワイヤ101の脱着を確実かつ容易に実現できる。さらに、ハブ106の基端側をメス型のルアー形状とすることで、シリンジなどを用いて吸引ルーメン100に簡便に陰圧を付与することも可能になる。
上記のようにコアワイヤ101の基端側にコネクタ107が固定され、前記コネクタ107が前記ハブ106の基端側に脱着可能に取り付けられている場合、前記コネクタ107を介して前記吸引ルーメン100内をフラッシュすることが可能な構造とすることができる。本発明にかかる吸引カテーテルを使用する場合、体内に挿入する前の状態において吸引ルーメン100内部をヘパリン加生理食塩水等の適当な溶液でフラッシュする必要がある。フラッシュすることで体内、特に血管内に挿入した場合の血栓形成を予防できる。通常、フラッシュはシリンジを用いて行われる。従って、コネクタ107の基端側をメス型のルアー形状とすることで、コアワイヤ101を取り付けた状態でフラッシュが可能となり、フラッシュ後速やかに体内へ挿入し治療を開始できる。
ガイドワイヤルーメン110と吸引ルーメン100の位置関係は本発明の効果を制限するものではない。図1に示すようにガイドワイヤルーメン110と吸引ルーメン100は互いに独立に存在していてもよく、図2に示すようにガイドワイヤルーメン110の一部が吸引ルーメン100の内部に位置してもよい。また、ガイドワイヤルーメン110のすべてが吸引ルーメン100の内部に位置してもかまわない。ただし、ガイドワイヤルーメン110の一部またはすべてが吸引ルーメン100の内部に位置する場合、互いに独立に存在する場合と比較して吸引ルーメン100の断面積は小さくなる。特に吸引ルーメン100の内部に存在するガイドワイヤルーメン110の吸引カテーテルの軸方向長さが長くなる場合は吸引量の減少につながるため、吸引ルーメン100の内部に位置するガイドワイヤルーメン110の長さは短いほうが好ましい。一方で、ガイドワイヤルーメン110と吸引ルーメン100が独立で存在する場合、ガイドワイヤに沿って吸引カテーテルを挿入あるいは抜去する際にガイドワイヤシャフト112が先端側シャフト103から剥離する危険性が高くなる。ガイドワイヤシャフト112と先端側シャフト103の接合部分を他の部材を用いて補強することも可能であるが、その場合、該接合部分の外径が著しく増加することになる。このように、ガイドワイヤルーメン110と吸引ルーメン100の位置関係により、吸引性能やカテーテルの安全性が大きく変化するため、吸引カテーテルが目的とする治療部位、使用方法、要求される吸引量、吸引対象となる物質等を考慮に入れ適宜設計可能であることは当業者には自明である。
ガイドワイヤシャフト112の材質はガイドワイヤとの良好な摺動性を確保するため、少なくとも内面はポリオレフィン、特にポリエチレンから構成されることが好ましい。
先端側シャフト103とガイドワイヤシャフト112の接合方法は本発明の効果を何ら制限しない。すなわち、先端側シャフト103とガイドワイヤシャフト112が溶着可能な材料種の組み合わせである場合は、溶着によって接合することが可能である。また、溶着によって十分な接合強度が発現されない材料種の組み合わせである場合は、接着剤を用いて接着してもよい。この場合、使用する接着剤の化学種は特に限定されず、シアノアクリレート系、ウレタン系、エポキシ系、シリコーン系等の接着剤が好適に使用できる。また、接着剤の硬化形式も何ら制限されず、吸水硬化型、2液混合硬化型、光硬化型等の接着剤が好適に使用できる。難接着性の材料から構成される場合には、酸素プラズマやコロナ放電、シランカップリング剤等により表面改質を行った上で接着してもよい。
コアワイヤ101の先端は吸引ルーメン100の先端よりも基端側に位置することが好ましい。吸引ルーメン100の先端よりもコアワイヤ101の先端が飛び出していると、挿入時に生体内を損傷させる可能性が高く危険である。また、コアワイヤ101を一度取り外して吸引治療を行った後、別な部位を治療するために吸引カテーテルを移動させる必要性が生じ、コアワイヤ101を吸引ルーメン100の内部に取り付ける場合にもコアワイヤ101による生体内損傷の可能性が極めて高い。
コアワイヤ101の先端の位置は吸引ルーメン100の先端よりも基端側であれば、本発明の効果を一切制限しない。挿入時のカテーテルシャフトのキンクの有無、ガイドワイヤに沿って吸引カテーテルを挿入あるいは移動させるときの操作性、吸引カテーテル全体の硬さのバランス等を考慮に入れてコアワイヤ101の先端の位置を決定できる。
コアワイヤ101の最大外径109をR1、吸引ルーメン100の最小直径108をR2とする場合、R1/R2は0.3以上、0.9以下であることが好ましい。R1/R2が0.3よりも小さい場合、吸引ルーメン100に対してコアワイヤ101が細すぎるため、コアワイヤ101による挿入時の折れ防止効果は十分発揮されない。R1/R2が0.9よりも大きい場合は吸引カテーテル全体が硬くなり、屈曲した部位を通過させることが極めて困難となる。R1/R2は0.4以上、0.7以下であることがより好ましい。
コアワイヤ101の構造、形状は本発明の効果を何ら制限しない。典型例は図5に示すストレート形状である。屈曲した部位への通過性をより向上させる観点からは、図6に示すように金属素線を巻回したスプリングワイヤであることが好ましい。この場合、スプリングワイヤを構成する素線の外径、ピッチ等は制限されない。コアワイヤ101の柔軟性を先端側ほど高めるために、スプリングワイヤのピッチを連続的あるいは段階的に変化させてもよい。また、図6には示していないがスプリングの内部にコア線を有してもよい。
図5には典型例としてストレート形状を示したが、図7に示すようなテーパー形状も好適に使用できる。このようなテーパー形状を呈するワイヤを使用する場合、テーパー形状を制御することで吸引カテーテルの柔軟性を制御可能である。
コアワイヤ101は先端側ほど柔軟であることが好ましい。コアワイヤ101の柔軟性を高めることで、治療部位が屈曲している場合や屈曲している部位を越えなければ治療部位に到達できない場合等における吸引カテーテルの通過性を高めることが可能である。このような柔軟性を付与する手段としては、上述したようにコアワイヤ101をスプリングワイヤやテーパー形状を呈するワイヤとすることが挙げられる。他の手段としてはスプリングワイヤとテーパー形状の組み合わせやワイヤ表面に各種の切り込みを付与する等の加工が挙げられる。
コアワイヤ101の材質は吸引カテーテルのキンクを防止するという目的を考慮すると金属であることが好ましい。耐腐食性、抗血栓性等の観点からステンレス、Co−Cr合金であることが好ましい。また、超弾性合金を使用してコアワイヤ101そのもののキンクを防止してもよい。このような超弾性合金として、Ni−Ti合金、Ni−Ti−Fe合金、Ni−Ti−Cu合金、Ni−Ti−Cr合金、Ni−Ti−V合金、Ni−Ti−Co合金、Ni−Ti−Nb合金、Ni−Ti−Pd合金、Ni−Ti−Cu−Cr合金が好適に使用できる。
先端側シャフト103の先端は斜め方向にカットされていることが好ましい。斜め方向にカットすることで吸引ルーメン100の入り口を広く確保し、吸引効率を上げることが可能となる。先端側シャフトが斜めカットされている部分のカテーテル軸方向の長さをL1、ガイドワイヤシャフト112の基端から先端側シャフト103の最先端部までの長さをL2とする場合に、L2/L1は0.5以上であることが好ましい。L2/L1が0.5よりも小さい場合、ガイドワイヤシャフト112と先端側シャフト103の接合部の面積が小さくなり、ガイドワイヤシャフト112が先端側シャフト103から剥離する危険性が高くなる。
また、L1は2mm以上、10mm以下であることが好ましい。L1が2mmよりも小さい場合は、効率よく異物を吸引除去することが困難である。また、L1が10mmより大きい場合は生体内、特に屈曲した血管内を吸引カテーテルを進める場合に斜めカットした部分によって血管内壁を傷つけてしまう危険性が高くなる。斜めカットした部分は、生体内挿入時や吸引治療時の生体内の損傷を抑えるため、面取りを行い端面を滑らかに加工してもよい。面取りの方法は、加熱により端面を溶融させる方法や機械的に研磨する方法が使用可能であり、これらの方法に限定されるものではない。
本発明にかかる吸引カテーテルはガイドワイヤシャフト112にX線不透過マーカー111を有することが好ましい。この場合、X線不透過マーカー111は吸引ルーメン100の先端の位置が確認できる部位に位置することがより好ましい。X線不透過マーカー111により、吸引カテーテル挿入時や吸引治療時に吸引ルーメン100の先端の位置を確認可能であり、先端側シャフト103の先端斜めカット部位による生体内の損傷のリスクが低減される。
X線不透過マーカー111は十分なX線不透過性を有する材料であれば材料種は問わない。好ましくは金属材料であり、金、銀、白金、タンタル、イリジウム、タングステン、それらの合金等が使用可能である。また、X線不透過マーカー111の構造も本発明の効果を制限するものではなく、リング形状でも編組形状でもよく、それ以外の構造でもよい。X線不透過マーカー111の固定方法も限定されるものではない。
基端側シャフト104はポリイミドあるいは金属素線と高分子材料を組み合わせた編組チューブから構成されることが好ましい。ポリイミドは引張強度、引張降伏強度、圧縮強度に優れるため、シャフトを薄肉化可能である。また、編組チューブは金属素線の形状、素線の数量、ピッチ、使用する高分子材料の種類を選定することで、ポリイミドの場合と同様にシャフトを薄肉化可能である。シャフトの薄肉化により吸引ルーメン100の大径化が可能となり、吸引能力を大幅に向上させることができる。
ここで、前記編組チューブは吸引ルーメン100を確定する内層、内層の外面に設けられた金属編組、金属編組の外面に設けられた外層を有することが好ましい。このような二層構造にすることにより、編組チューブの物性をより細かく制御可能になる。一例を挙げると内層にポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、テトラフルオロエチレン・パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体(PFA)、テトラフルオロエチレン・ヘキサフルオロプロピレン共重合体(FEP)、テトラフルオロエチレン・エチレン共重合体(ETFE)、ポリビニリデンフルオライド(PVDF)、ポリクロロトリフルオロエチレン(PCTFE)などのフッ素樹脂、高密度ポリエチレンなどを使用することで、吸引ルーメン100内部に血栓やアテローマの付着を抑制し、効率よく吸引することが可能となる。また、外層にポリアミドエラストマー、ポリエステルエラストマー、ポリオレフィンエラストマーなどのエラストマーを使用することで、編組チューブの強度や柔軟性を制御できる。
編組チューブを構成する金属編組の材質や構造は本発明の効果を制限するものではなく、様々な材質や構造が利用可能である。すなわち、SUS304、SUS316などのステンレス鋼、バネ鋼、ピアノ線、オイルテンパー線、Co−Cr合金、Ni−Ti合金等を円、楕円、四角形等各種の断面形状に加工した金属素線を1本持あるいは複数本持で編組に加工したものを使用することができる。また、ひとつの編組を構成する金属素線の本数も何ら制限を受けない。
また、基端側シャフト104の少なくとも基端側は曲げ弾性率が1GPa以上の高弾性材料からなることが好ましい。このような高弾性材料からなるシャフトを用いることで、術者が加えた吸引カテーテルを操作する力を先端に十分に伝えることが可能である。つまり、押す力、引く力に加えて、回転させる力を充分に先端に伝達させることが容易に実現できる。ステンレス鋼、Co−Cr合金、Ni−Ti合金等の金属材料、ポリイミド、ポリエーテルエーテルケトン、ポリアミドイミド等の樹脂材料が好適に使用され、これらの複合材料であってもかまわない。
先端側シャフト103は吸引カテーテルの長さ方向における剛性の変化を連続的にするため、基端側シャフト104よりも低弾性材料で構成されることが好ましい。好適な材料構成として、ポリエチレン等のポリオレフィン、ポリアミド、ポリエステル、ポリウレタン、ポリオレフィンエラストマー、ポリアミドエラストマー、ポリエステルエラストマー、ポリウレタンエラストマー等が挙げられる。先端側シャフト103と基端側シャフト104の接合方法は特に制限されず、溶着、接着等の方法が使用可能である。
基端側シャフト104とハブ106の剛性の差を緩和することを目的とした部材であるストレインリリーフ105やハブ106の材質は本発明の効果を何ら制限するものではないが、成型加工性の観点から樹脂材料であることが好ましい。
先端側シャフト103の少なくとも一部には湿潤環境下で潤滑性を示す親水性コーティングが付与されていることが好ましい。特に、ガイドワイヤシャフト112を備えた構造の吸引カテーテルの場合、吸引ルーメン100をできるだけ大きくすると先端側シャフト103の外径は大きくなる。従って、先端側シャフト103が原因となって、吸引カテーテルを特に血管内に挿入する場合に血管内壁との摺動抵抗が大きくなる可能性がある。従って、先端側シャフト103の少なくとも一部には親水性コーティングが付与され、摺動抵抗を軽減させることが好ましい。もちろん、先端側シャフト103の全体、あるいは基端側シャフト104の一部あるいは全体にも親水性コーティングを施してもよい。
親水性コーティングの方法、材質は特に本発明の効果を制限するものではなく、使用する先端側シャフト103、基端側シャフト104やガイドワイヤシャフト112の材質に合わせて適宜選択可能である。例を挙げると、ポリ(2−ヒドロキシエチルメタクリレート)、ポリアクリルアミド、ポリビニルピロリドン等の親水性のポリマーが使用できる。また、各シャフトの長さ方向で親水性コーティングの厚さ、材質を調整することで摺動抵抗を漸次増減するように調整してもよい。
本発明にかかる吸引カテーテルの使用方法は、吸引ルーメン100の内部にコアワイヤ101が存在する状態で生体内に挿入した後、コアワイヤ101を取り外し、吸引ルーメン100に陰圧を付与することで生体内から物質を吸引除去する方法である。この方法において、吸引ルーメン100に陰圧を付与する手段は制限されない。ロックつきシリンジ等を用い手動で陰圧を付与してもよく、ポンプ等を用いて自動で陰圧を付与してもよい。
【実施例】
以下に本発明の実施例及び比較例について詳細に説明する。
[実施例1]
ポリアミド酸のワニスを用いたディッピング成形により外径1.30mm、内径1.10mm、長さ1100mmのポリイミドチューブを作製し、基端側シャフトとした。低密度ポリエチレン(LF480M、日本ポリケム株式会社)を用いて押出成形により外径1.30mm、内径1.00mm、長さ300mmのチューブを作製し、先端側シャフトとした。基端側シャフトの一端を加熱延伸して減径し、該減径部分を先端側シャフト内に挿入し、2液混合型ウレタン接着剤(ニッポラン4235、コロネート4403、日本ポリウレタン工業株式会社)を用いて接着固定し、メインシャフトを得た。先端側シャフトは難接着性の材料であるため、接着前に酸素プラズマ処理を行った。
該先端側シャフトの最先端部分は、カテーテル軸方向の長さL1が2mmになるように斜めにカットした。基端側シャフトの基端にポリカーボネート(Makrolon2658、Bayer株式会社)を用いて射出成形により作製したハブおよびポリアミドエラストマー(PEBAX5533SA01、elf atochem社)を用いて射出成形により作製したストレインリリーフを2液混合型ウレタン系接着剤(ニッポラン4235、コロネート4403、日本ポリウレタン工業株式会社)により接着固定した。
高密度ポリエチレン(HY540、日本ポリケム株式会社)を用いて押出成形により外径0.60mm、内径0.42mm、長さ10mmのチューブを作製し、中央に白金−タングステン合金(タングステン含量8wt%)からなる外径0.72mm、内径0.65mm、長さ1mmのX線不透過マーカーをかしめにより付与し、ガイドワイヤシャフトとした。このガイドワイヤシャフトと先端側シャフトをL2が1mm、かつガイドワイヤシャフトが先端側シャフトの外側に位置するように配置し、熱溶着により接合した。接合時には、ガイドワイヤルーメンと吸引ルーメンを確保するために両方のシャフト内部にマンドレルを挿入した。
SUS304合金により作製した外径0.605mm、長さ1300mmのストレート形状のワイヤをコアワイヤとした。コアワイヤの一端にポリカーボネート(Makrolon2658、Bayer株式会社)を用いて射出成形により作製したコネクタを2液混合型ウレタン接着剤(ニッポラン4235、コロネート4403、日本ポリウレタン工業株式会社)を用いて接着した。コネクタが接着されていない側からハブを通してコアワイヤを挿入し、ハブとコネクタを締め込んで固定したものを吸引カテーテルとした。
[実施例2]
SUS304合金により作製した外径0.715mmのストレート形状のワイヤをコアワイヤとした以外は実施例1と同様に作製した。
[実施例3]
ガイドワイヤシャフトが先端側シャフトの内部に位置するように配置したこと、Ni−Ti合金により作製した外径0.495mmのストレート形状のワイヤをコアワイヤとした以外は実施例1と同様に作製した。
[実施例4]
SUS304合金から作製した外径0.385mmのストレート形状のワイヤをコアワイヤとした以外は実施例3と同様に作製した。
[実施例5]
Ni−Ti合金から作製した外径0.880mmのストレート形状のワイヤをコアワイヤとした以外は実施例3と同様に作製した。
[実施例6]
SUS304合金から作製した基端側外径0.605mm、先端側外径0.385mm、テーパー部長さ600mmの形状を有するワイヤをコアワイヤとした以外は実施例1と同様に作製した。
[実施例7]
SUS304合金から作製した外径0.605mmのスプリングワイヤ(0.300mmのコア線の周囲に0.150mmの素線を密巻)をコアワイヤとした以外は実施例1と同様に作製した。
[実施例8]
SUS304合金から作製した0.10mm×0.03mmの金属素線を1本持・16打で加工した金属編組を用い、外径1.30mm、内径1.10mm、長さ1100mmの編組チューブを作製した。内層はポリテトラフルオロエチレン(ポリフロンF−207、ダイキン工業株式会社)、外層はポリアミドエラストマー(PEBAX7233SA01、elf atochem社)を使用した。作製した編組チューブを基端側シャフトとした。ポリアミドエラストマー(PEBAX7233SA01、elf atochem社)を用いて押出成形により外径0.60mm、内径0.42mm、長さ10mmのチューブを作製し、中央に白金−タングステン合金(タングステン含量8wt%)からなる外径0.72mm、内径0.65mm、長さ1mmのX線不透過マーカーをかしめにより付与し、ガイドワイヤシャフトとした以外は実施例1と同様に作製した。
[実施例9]
SUS304合金から作製した外径0.275mmのストレート形状のワイヤをコアワイヤとした以外は実施例1と同様に作製した。
[実施例10]
SUS304合金から作製した外径1.05mmのストレート形状のワイヤをコアワイヤとした以外は実施例1と同様に作製した。
(比較例1)
コアワイヤを使用しない以外は実施例1と同様に作製した。
(挿入時の耐キンク性、屈曲部の通過性評価)
図8に示すように、37℃の生理食塩水を満たした水槽113中に模擬大動脈115およびガイディングカテーテル116を配置し、ヘモスタックバルブ117をガイディングカテーテル116に固定した。ガイディングカテーテル116の先端は心臓冠動脈を模擬した屈曲プレート114に接続し、ガイディングカテーテルの内部には外径0.014インチのガイドワイヤ123をあらかじめ挿通しておいた。図9に示すように屈曲プレート114にはポリエチレン管118が模擬冠動脈として配置され、ポリエチレン管118は屈曲部119と直線部120を有する。屈曲部119の曲率半径は15mm、直線部120の長さは80mmとした。また、ポリエチレン管118の外径121は5mm、内径122は3mmとした。実施例および比較例の吸引カテーテルをヘモスタックバルブ117を通じてガイディングカテーテル116内のガイドワイヤ123に沿って挿入する際のキンクの発生の有無並びに屈曲部119の通過性を評価した。結果を表1に示す。
表1中、耐キンク性の結果において、○は耐キンク性が良好なことを、△は耐キンク性があまり良くないことを、×は耐キンク性が悪いことを示す。また表1中、通過性の結果において、○は通過性が良好なことを、△は通過性があまり良くないことを、×は通過性が悪いことを示す。

本発明にかかる実施例1から8では、吸引カテーテルのキンクの発生はほとんど認められず、屈曲部に対しても比較的良好な通過性を示した。
また、実施例1から3および6から8においては、吸引カテーテルのキンク発生が全く認められないばかりか、屈曲部に対する通過性が極めて良好であることが明らかになった。
一方、比較例1については、吸引カテーテルとして十分な性能を発揮しているとは言い難い。
【産業上の利用可能性】
以上のごとく、本発明によれば、生体内から物質を吸引除去するための吸引カテーテルであって、前記カテーテルは物質を吸引除去するための吸引ルーメンを備え、前記吸引ルーメンは前記カテーテルの基端側に設けられたハブに連通し、前記吸引ルーメンの内部に脱着可能なコアワイヤを有することを特徴とする吸引カテーテルを容易に提供することが可能であり、屈曲した血管にも十分追随していけるだけの柔軟性を実現させると同時に、体外からガイディングカテーテルに挿入させる際のカテーテルシャフトのキンクの可能性を低減させ、良好な操作性をもたらす点で有用である。
【図1】

【図2】

【図3】

【図4】

【図5】

【図6】

【図7】

【図8】

【図9】

【図10】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
生体内から物質を吸引除去するための吸引カテーテルであって、前記カテーテルは先端側シャフトおよび基端側シャフトから構成されるメインシャフトを有し、前記メインシャフトの内部に物質を吸引除去するための吸引ルーメンを、前記先端側シャフトの最先端部にガイドワイヤを挿通可能なガイドワイヤルーメンを内部に持つガイドワイヤシャフトをそれぞれ備え、前記吸引ルーメンは前記基端側シャフトの基端側に設けられたハブに連通し、前記吸引ルーメンの内部に脱着可能なコアワイヤを有することを特徴とする吸引カテーテル。
【請求項2】
前記コアワイヤの基端側にコネクタが固定され、前記コネクタが前記ハブの基端側に脱着可能に取り付けられたことを特徴とする請求の範囲第1項に記載の吸引カテーテル。
【請求項3】
前記コネクタが前記ハブの基端側の脱着可能に取り付けられた状態で、前記コネクタを介して前記吸引ルーメン内をフラッシュ可能であることを特徴とする請求の範囲第2項に記載の吸引カテーテル。
【請求項4】
前記コアワイヤ先端が前記吸引ルーメンの先端よりも基端側に位置することを特徴とする請求の範囲第1項から第3項のいずれかに記載の吸引カテーテル。
【請求項5】
前記コアワイヤの最大外径をR1、前記ハブより先端側の吸引ルーメンの最小内径をR2とする場合に、0.3≦R1/R2≦0.9であることを特徴とする請求の範囲第1項から第4項のいずれかに記載の吸引カテーテル。
【請求項6】
0.4≦R1/R2≦0.7であることを特徴とする請求の範囲第5項に記載の吸引カテーテル。
【請求項7】
前記コアワイヤが金属素線を巻回したスプリングワイヤであることを特徴とする請求の範囲第1項から第6項のいずれかに記載の吸引カテーテル。
【請求項8】
前記コアワイヤの少なくとも一部が基端側ほど外径が大きくなるテーパー形状を呈することを特徴とする請求の範囲第1項から第7項のいずれかに記載の吸引カテーテル。
【請求項9】
前記コアワイヤの少なくとも一部が先端側ほど柔軟であることを特徴とする請求の範囲第1項から第8項のいずれかに記載の吸引カテーテル。
【請求項10】
前記コアワイヤの材質がステンレス、Co−Cr合金、Ni−Ti合金、Ni−Ti−Fe合金、Ni−Ti−Cu合金、Ni−Ti−Cr合金、Ni−Ti−V合金、Ni−Ti−Co合金、Ni−Ti−Nb合金、Ni−Ti−Pd合金、Ni−Ti−Cu−Cr合金またはこれらの複合体からなることを特徴とする請求の範囲第1項から第9項のいずれかに記載の吸引カテーテル。
【請求項11】
前記先端側シャフトの先端が斜め方向にカットされており、前記ガイドワイヤシャフトの先端部が該斜めカットされた前記先端側シャフトの最先端部に位置するか、もしくは該最先端部よりも先端側に突出して位置しており、前記先端側シャフトが斜めカットされている部分のカテーテル長手軸方向の長さをL1とし、前記ガイドワイヤシャフトの基端から前記先端側シャフトの最先端部までの長さをL2とした場合に、0.5≦L2/L1であることを特徴とする請求の範囲第1項から第10項のいずれかに記載の吸引カテーテル。
【請求項12】
前記L1が、2mm≦L1≦10mmであることを特徴とする請求の範囲第11項に記載の吸引カテーテル。
【請求項13】
前記ガイドワイヤシャフトに、X線不透過マーカーを有することを特徴とする請求の範囲第1項から第12項のいずれかに記載の吸引カテーテル。
【請求項14】
前記基端側シャフトがポリイミドから構成されることを特徴とする請求の範囲第1項から第13項のいずれかに記載の吸引カテーテル。
【請求項15】
前記基端側シャフトが金属編組と高分子材料を組み合わせた編組チューブから構成されることを特徴とする請求の範囲第1項から第13項のいずれかに記載の吸引カテーテル。
【請求項16】
前記編組チューブが吸引ルーメンを確定する内層、内層の外面に設けられた金属編組、金属編組の外面に設けられた外層を有することを特徴とする請求の範囲第15項に記載の吸引カテーテル。
【請求項17】
前記基端側シャフトの少なくとも基端側の部分の曲げ弾性率が1GPa以上であることを特徴とする請求の範囲第1項から第16項のいずれかに記載の吸引カテーテル。
【請求項18】
前記先端側シャフトの少なくとも一部に湿潤環境下で潤滑性を示す親水性コーティングが付与されていることを特徴とする請求の範囲第1項から第17項のいずれかに記載の吸引カテーテル。
【請求項19】
前記吸引ルーメンの内部に前記コアワイヤが存在する状態で生体内に挿入した後、前記コアワイヤを取り外し、前記吸引ルーメンに陰圧を付与することで生体内から物質を吸引除去する請求の範囲第1項から第18項のいずれかに記載の吸引カテーテルの使用方法。

【国際公開番号】WO2005/044359
【国際公開日】平成17年5月19日(2005.5.19)
【発行日】平成19年5月17日(2007.5.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−515281(P2005−515281)
【国際出願番号】PCT/JP2004/016205
【国際出願日】平成16年10月26日(2004.10.26)
【特許番号】特許第3894224号(P3894224)
【特許公報発行日】平成19年3月14日(2007.3.14)
【出願人】(000000941)株式会社カネカ (3,932)
【Fターム(参考)】