説明

吸引式噴射器

【課題】 吸引式噴射器において、気化したガスの噴射に液化した部分の気化が間に合わず噴射の勢いがすぐに減衰してしまうという傾向を改善し、また、正立状態及び倒立状態の双方の使用に、対処できるものを提供する。
【解決手段】 本願発明に係る吸引式噴射器は、噴射機構部3と、噴射機構部3に接続された噴射ボンベ2と、噴射ボンベ2とは別個に噴射機構部3に接続された被噴射物収納室4とを備え、噴射機構部3は、噴射ボンベ2のガスを噴出させることにより被噴射物収納室4の被噴射物を吸引して噴射させる。噴射ボンベ2は、液化ガスを収容し、当該噴射ボンベ2のガス収容室は、多孔質部材6を備える。多孔質部材6は、噴射ボンベ2のガス収容室内にて、液化ガスの液状の部分に浸されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願発明は、吸引式噴射器に関する。
【背景技術】
【0002】
【特許文献1】特開平10−305243号公報
【0003】
従来、エアゾールの噴射器において、被噴射物と、噴射用の圧縮ガスとが同一のエアゾール容器(噴射ボンベ)に収容されたものが、一般的であったが、上記特許文献1に示されるように、最近では、噴射ボンベには、圧縮ガスのみを収容し、被噴射物(特許文献1において塗料)を別途の容器に収容し、上記圧縮ガスの噴射にて発生する負圧を利用して、被噴射物を容器より吸い上げ噴射するもの(吸引式噴射器)が見受けられる。
上記の噴射用のガスとして、圧縮ガス以外の他、用途によって、液化ガスを利用することが考えられる。
液化ガスは、ボンベ中、気体部分と液体部分の2相になっており、使用時、当該気体部分が、ボンベから噴射される。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、第1の課題として、液化ガスでは、気化したガスの噴射に、液化した部分の気化が間に合わず、噴射の勢いがすぐに減衰してしまう傾向がある。
また、第2の課題として、噴射器を正立状態で使用する他、倒立させた状態で使用したい場合がある。このような場合、液化ガスでは、ボンベの上下に拘わらず、常に液状の部分より上方に位置する気化した部分を噴射すると共に、液体の被噴射物について、容器の上下に拘わらず、容器中の空気よりも常に下方に位置する液体を吸引する必要がある。液化ガスを利用する吸引式噴射器において、このような正立状態及び倒立状態の双方の使用に、簡単な構成で十分対処できるものは見当たらない。
【0005】
本願発明第1の発明は、液化ガスを利用する吸引式噴射器において、ボンベ中の液化ガスの気化を促す手段を提供し、上記第1の課題の解決を図る。また、本願第2及び第3の発明は、噴射器の正立・倒立何れの状態においても、円滑な噴射を行うことが可能な手段を提供して、上記第2の課題の解決を図る。
【課題を解決するための手段】
【0006】
そこで、本願第1の発明は、噴射機構部3と、この噴射機構部に接続された噴射ボンベ2と、噴射ボンベ2とは別個に噴射機構部3に接続された被噴射物収納室4とを備え、噴射機構部3は、噴射ボンベ2のガスを噴出させることにより被噴射物収納室4の被噴射物を吸引して噴射させるものである吸引式噴射器について、次の構成を採るものを提供する。
即ち、上記噴射ボンベ2は、液化ガスを収容し、当該噴射ボンベ2のガス収容室は、多孔質部材6を備える。上記の多孔質部材6は、噴射ボンベ2のガス収容室内にて、少なくともその一部分が上記液化ガスの液状の部分に浸されたものである。
【0007】
本願第2の発明は、上記本願第1の発明にあって、次の構成を採る吸引式噴射器を提供する。
即ち、噴射器の正立状態において、上記噴射機構部3は、上記噴射ボンベ2及び被噴射物収納室4よりも上方に位置する。上記の被噴射物は、液体である。上記噴射ボンベ2と被噴射物収納室4は、夫々、その口の開閉手段22,42と、内部空間に配された第1及び第2の流路23,43,24,44と、弁手段25,45とを備える。上記の第1及び第2の流路23,43,24,44の夫々は、一端が上記噴射ボンベ2又は被噴射物収納室4の口に接続され、他端が開放端である。噴射器の正立状態において、上記の第1流路23,43の開放端は液面よりも下方に位置し、上記の第2流路24,44の開放端は液面よりも上方に位置する。噴射器の倒立状態において、上記の第1流路23,43の開放端は液面よりも上方に位置し、上記の第2流路24,44の開放端は液面よりも下方に位置する。噴射ボンベの弁手段は、正立状態での噴射時、第2流路24を通じ液面より上方の気化したガスを上記噴射機構部3へ連絡させ、倒立状態での噴射時、第2流路から液状のガスが上記噴射機構部3へ連絡するのを断つと共に、第1流路23を通じて液面上方の気化したガスを上記噴射機構部3へ連絡させる。被噴射物収納室4の弁手段は、正立状態での噴射時、第1流路43を通じて液体を上記噴射機構部3へ連絡させると共に第2流路44から空気が上記噴射機構部3へ連絡するのを断ち、倒立状態での噴射時、第2流路44を通じ被噴射物収納室4内の液体を上記噴射機構部3へ連絡する。
【0008】
本願第3の発明は、上記本願第1又は第2の発明にあって、次の構成を採る吸引式噴射器を提供する。
即ち、上記噴射ボンベ2は、上記の開閉手段22と、上記の第1流路23と、流路接続部と、液溜りとを備える。上記開閉手段22は、ステムと、噴射ボンベの口を塞ぎ当該ステムの基端側を受容する受容部と、当該受容部とガス収容室とを連絡する連絡口とを備える。上記のステムは、上記の噴射機構部3へ接続されると共に、上記連絡口を閉鎖し、作動させることにより当該連絡口を開放して噴射ボンベ2内のガス収容室と噴射機構部とを連絡する。上記の第1流路23は、噴射ボンベ2のガス収容室内に配され、基端が上記の流路接続部を介して上記の開閉手段22に接続され、噴射器の倒立時に液化ガスの液面より上方に位置する気化したガスを、上記連絡口に向けて導く。上記の流路接続部は、上記連絡口と第1流路23とを連絡するものであり、当該流路接続部の内部には、上記第1流路23の基端側の開口部と対面するよう上記の液溜りが設けられている。噴射器を倒立させる際、第1流路23内の液状のガスを上記液溜りに落とすことができ、当該液状のガスが、上記連絡口へ侵入するのを抑制する。
【発明の効果】
【0009】
本願第1乃至第3の発明にあっては、表面が滑らかな物質に比して表面積の大きな多孔質部材を設けることにより、液化ガスの液状部分について、液相部分の界面を大きなものとし、気化を速やかに行うことを可能とした。ここでいう界面とは、液相から気相への転換面(気化面)をいい、上記の液面のみを指すのではない。即ち、従来液面のみを上記転換面として、気化が行われていたが、多孔質部材を設けることにより、多孔質部材の孔に巻き込まれた泡が液相から気相への転換を促すものであり、上記転換面を液状部分の内部に拡大した。
【0010】
これは、本願発明者が、水等の液体加熱時、液面からのみ気化する「蒸発」に対し、液内部から気化する「沸騰」に着目して、同様の現象を利用したものである。
即ち、上記の多孔質部材の配設は、突沸を防ぐために沸騰石を投入するのと同様の作用を得るためである。この突沸は、滑らかな容器に液体を入れて加熱すると、本来の沸点の温度になっても、沸騰が起こらず、沸点よりやや高い温度になったとき、突然に沸騰が激しく起こる現象である。沸点になった液体の内部では、内部でも蒸発(気化)が起ころうとしているが、非常に小さな蒸気の粒(気泡)ができても、それがすぐつぶれてしまうためにこのような現象が生じる。つぶれる原因は、気泡の外の液体の圧力のほうが気泡の圧力よりも少し高く、気泡は押しつぶされてしまうからである。押しつぶされないためには、気泡がある程度大きくなくてはならず、このため、表面に多数の穴があいている沸騰石を利用する。多孔性物質である沸騰石の穴の中には空気が入っており、温度が上がるにつれて孔の中の空気が膨張して空気の気泡ができる。沸点になると、その空気の気泡をめがけて、液体が蒸発し、できた気泡は、おしつぶされることなく、比較的大きな気泡となって出てくることになる。
本願発明者において、このような水やエタノールの加熱における現象を、常温下、噴射器の液化ガスのボンベ中に再現するという奇抜な発想により、本願発明を創作したものである。
【0011】
特に、本願第2及び第3の発明にあっては、上記の構成を採ることにより、噴射器を、正立のみならず倒立させて使用する場合にも、円滑な噴射が行える。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、図面に基づき本願発明の実施の形態を説明する。図1〜図8へ本願発明の一実施の形態を示す。
図1は、本願発明の実施の形態に係る吸引式噴射器の(正立状態の)全体断面図である。図2は、上記吸引式噴射器の噴射ボンベの正立状態の断面図である。図3は、上記吸引式噴射器の噴射ボンベの倒立状態の断面図である。図4〜図6は、上記吸引式噴射器の被噴射物収納室の(正立状態の)要部拡大断面図である。図7は、上記吸引式噴射器の被噴射物収納室の(正立状態の)更に要部の拡大断面図である。図8は、上記吸引式噴射器の被噴射物収納室の(倒立状態の)要部拡大断面図である。尚、図1において、煩雑避けるため、ハッチングを省略してある。
各図において、説明の便宜上、Uは上方を示し、Sは下方を示す。また、図1において、Fは前方を示し、Bは後方を示す。
【0013】
図1へ示す通り、この吸引式噴射器は、ケーシング1と、ケーシング1に装着される噴射ボンベ2とを備える。
このケーシング1は、噴射機構部3と、被噴射物を収納する被噴射物収納室4と、上記噴射ボンベ2を収容するボンベ収容部5とを備える。噴射ボンベ2と、被噴射物収納室4とは、夫々上記の噴射機構部3に接続され、噴射機構部3は、噴射ボンベ2のガスを噴出させることにより被噴射物収納室4の被噴射物を吸引して噴射させる。
【0014】
被噴射物収納室4は、ケーシング1の内部空間として、ケーシング1にて液密に覆われた空間である。即ち、ケーシング1は、側部12と、底部13とを備えたプラスチック製の容器であり、上方に開口しており、蓋体11が装着されて当該開口部が覆われる。これらの、蓋体11と、側部12と、底部13にて、覆われ、液密に密閉された空間が、上記被噴射物収納室4である。この実施の形態において、蓋体11は、ケーシング1の側部12の上端外周に螺合する環状部材14によって、ケーシング1に固定される。この蓋体11の底部、即ち、被噴射物収納室4を臨む部位に、上記ボンベ収容部5が設けられている。このボンベ収容部5は、蓋体11に着脱自在に取り付けられた液密な容器であり、上記の噴射ボンベ2を交換自在に収納すると共に、蓋体11へ装着されることにより、ケーシング1内へ、被噴射物収納室4と画された状態に噴射ボンベ2を収納する。
この蓋体11の上面、即ちケーシング1の外部を望む部位には、上記の噴射機構部3が設けられている。即ち、噴射器(ケーシング1)の正立状態において、上記噴射機構部3は、上記噴射ボンベ2及び被噴射物収納室4よりも上方に位置する。
噴射ボンベ2は、液化ガスを収容し、多孔質部材を備える。上記の多孔質部材は、噴射ボンベのガス収容室内にて、少なくともその一部分が上記液化ガスの液状の部分に浸されたものである。
以下、各部の構成について、更に詳しく説明する。
【0015】
先ず、上記の噴射ボンベ2について、具体的に説明する。
図2へ示す通り、上記の噴射ボンベ2の内部は、上記噴射用の液化ガスを収容するガス収容室20である。収容する液化ガスとしては、例えば、DME、HFC−152a、LPG、弗化炭化水素を採用することができる。液化ガスは、エアゾール製品として一般的な圧力を有するものや、それ以上高圧のものでもよい。その噴射によって、後述の被噴射物収納室内の被噴射物を吸引して噴射させることができるものであれば、その種類や圧力は問わない。
液化ガスは、噴射ボンベ2のガス収容室20において、気化した部分(気相部g1)と、液状の部分(液相部g2)とに分かれている。g0は、当該気化した部分と液状の部分の界面を示している。
噴射ボンベ2は、図2へ示す通り、ボンベの上方に向けて開口する口21と、当該口21の開閉手段22と、ガス収容室20内に配された第1流路23と、同じくガス収容室20内に配された第2流路24と、第2流路24を開閉する弁手段25と、流路接続部26と、液溜り27と、上記の多孔質部材6とを備える。
以下、上記の開閉手段22をボンベ開閉手段22と、第1流路23を第1ガス流路23と、第2流路24を第2ガス流路24と、弁手段25を液弁手段25と呼ぶ。
【0016】
上記の多孔質部材6は、図2及び図3へ示す通り、ボンベの正立状態及び倒立状態のいずれにおいても、液化ガスの液状部分g2に少なくともその一部が浸されている(図2へ示す通り全体が浸されていても良い)。
多孔質部材6には、スポンジに代表される発泡ウレタン、発泡ポリエチレン、多孔質セラミック、多孔質プラスチック(多孔質ポリプロピレン、多孔質ポリエチレン)に代表される焼結部材、不織布、沸石などの沸騰石を採用することができる。
上記多孔質部材6が備える孔については、ガスの種類によって異なるものであるが、一般的には、10〜500μmの径を有するのものが好ましい。
但し、温度、圧力などの条件によっては、このような数値の範囲外のものであっても、実施可能である。
【0017】
この実施の形態において、多孔質部材6は、上記の第1流路23の表面に取り付けられている。即ち、多孔室部材6は、第1流路23を中心として、当該第1流路23を内包するように、第1流路23の下端から上端にかけて設けられている。例えば、多孔質部材6にセラミックやウレタンといった定形性を有する素材を採用する場合、多孔質部材6の中央においてその上下に貫通する貫通孔を設けて、当該貫通孔に第1流路23を嵌合するように取り付けることができる。多孔質部材6は、この他、ガス収容室20の内周面に設けて実施することが可能である。この場合、ボンベを上下逆さまにしても(倒立させても)、常に多孔質部材6が液化ガスの液状部分に浸された状態となるよう、ガス収容室20の上下方向の全域に渡って、多孔質部材6を配設しておくのが好ましい。多孔質部材6の固定は、接着剤を用いる他、ガス収容室20の取り付け位置を、多孔質部材6を受容できる形状に形成して嵌め込んだり、或いはビスやネジなどの周知の冶具を用いて取り付けることができる。また、冶具としては、上記の他、紐や帯状などの、縛り付けが可能なものを採用することが可能である。
また、多孔質部材6を、上記のようにガス収容室20内の特定位置に固定せずに、液化ガスと共にガス収容室20内に収容するものとしても実施可能である(この場合、多孔質部材6は、ボンベの正立・倒立に伴って、液化ガスと共に、上下に移動することができる)。
【0018】
上記ボンベ開閉手段22には、ステム28と、噴射ボンベ2の口を塞ぎ当該ステムの基端側を受容する受容部29と、受容部29に設けられた付勢手段29aと、当該受容部29とガス収容室20とを連絡する連絡口21aとが設けられている。上記のステム28は、上記の噴射機構部3へ接続されると共に、上記ボンベ開閉手段22を閉鎖し、作動させることにより当該開閉手段22を開放する。このように、ステム28にて開閉手段22を開放することにより、連絡口21aを通じて、噴射ボンベ2内のガス収容室20と噴射機構部3とを連絡することができる。上記の第1ガス流路23及び第2ガス流路24の夫々は、基端23a,24aが上記ボンベ開閉手段22へ、上記の流路接続部26を介して接続され、他端が開放端23b,24bとなっている。
【0019】
上記の付勢手段29aはボンベ開閉手段22を閉鎖する方向に、ステム28を常時付勢する。即ち、ステム28を作動するための力がステム28に加わらない限り、ステム28は、付勢手段29aによって、ボンベ開閉手段22を閉鎖する位置に配置する。付勢手段29aの付勢に抗して力を加えることによりステム28を作動させ、ガスを噴射した後、加えた力を解除すると、付勢手段29aにより、ステム28が元の位置に復帰し、ボンベ開閉手段22を閉鎖することができる。付勢手段29aには、バネを採用することができる。
この実施の形態において、第1ガス流路23は、チューブである。また第2ガス流路24の開放端24bに、上記の液弁手段25が設けられている。液弁手段25は、弁体25aを収容し、ガス導入口25bを備える。
第1ガス流路23及び第2ガス流路24の上記基端23a,24aは、上記の流路接続部26を介して上記のボンベ開閉手段22に接続されている。
【0020】
図2へ示す通り噴射器(噴射ボンベ2)の正立状態において、上記の第1ガス流路23の開放端23bは液化ガスの液面g0よりも下方に位置し、上記の第2ガス流路24の開放端24bは液化ガスの液面g0よりも上方に位置する。この状態において、液弁手段25の弁体25aは、第2ガス流路24の開放端24bを開放する。そして、この状態において、図2へ示す通り、ステム28を作動させ(この実施の形態では、ステム28を下方に作動させ)ボンベ開閉手段22の上記連絡口21aを開放すると、液化ガスの気化した部分g1は、液弁手段25のガス導入口25bを通って、開放端24bから第2ガス流路24内へ導かれ、更に、第2ガス流路24の基端24aから流路接続部26を経て、上記連絡口21a内へ導かれる。そして、液化ガスの気化した部分g1は、中空のステム28内部を通って、噴射ボンベ2の外部(噴射機構部3)へ排出される。
【0021】
図3へ示す通り、噴射器(噴射ボンベ2)の倒立状態において、上記の第1ガス流路23の開放端23bは液面g0よりも上方に位置し、上記の第2流路の開放端24bは液面g0よりも下方に位置する。この状態において、液弁手段25の弁体25aは重力によって変位し第2ガス流路24の開放端24bを閉鎖し、当該第2ガス流路24へ液化ガスの液状部分g2の侵入を阻止する。そして、図3へ示すように、上記と同様ステム28を作動させて連絡口21aを開放すると、液化ガスの気化した部分g1が、液面g0より上方に位置する上記第1ガス流路23の開放端23bより、第1ガス流路23内に入り、第1ガス流路23の基端23aから流路接続部26を経て、上記連絡口21a内に入る。そして、液化ガスの気化した部分g1は、上記と同様ステム28内を通って、噴射ボンベ2の外部(噴射機構部3)へ排出される。
【0022】
上記の流路接続部26の内部には、上記第1ガス流路23の基端側の開口部と対面するよう上記の液溜り27が設けられている。即ち、図3へ示す通り、噴射器の倒立状態において、第1ガス流路23の基端23aの直下に上記の液溜り27が設けられており、当該基端23aの直下から外れた位置に、上記連絡口21aが配置されている。
上記のように、噴射ボンベ20を正立状態から倒立した状態にしたとき、第1ガス流路23内に溜まった液化ガスの液状部分g2を、液溜り27内に落とすことができ、気化した部分g0が第1ガス流路23を通れなくなるのを防ぐことができる。
【0023】
次に、上記の被噴射物収納室4について説明する。
被噴射物収納室4内に収納される被噴射物は、噴射ガスの噴射によって吸引され得ることを条件に自由に選定して実施することができ、芳香剤、消臭剤、洗浄剤などの液状の日用品類、化粧品類、医薬品、塗料、インキ、アルコール、水などの液状の流動体である。即ち、被噴射物収納室4は、図1へ示すように、このような液体を被噴射物W1として、収納している。上記の蓋体11を外すことによって、被噴射物収納室4内へ被噴射物W1を収納することができる。
図1、図4〜図6及び図8において、W0は、被噴射物W1の液面を示している。被噴射物収納室4内において、液面W0より上方は、空気W2である。
図4は、以下に説明するステム48の、作動前の状態を示し、図5は当該ステム48の作動の途中の状態を示し、図6は当該テスム48を完全に作動させた状態を示している。
【0024】
被噴射物収納室4は、図1及び図4へ示すように、被噴射物収納室4の上方に向けて開口する口41と、当該口41の開閉手段42と、被噴射物収納室4内に配された第1流路43と、同じく被噴射物収納室4内に配された第2流路44と、第2流路44を開閉する弁手段45と、流路接続部46とを備える。
以下、上記の開閉手段42を液開閉手段42と、第1流路43を第1液流路43と、第2流路44を第2液流路44と、弁手段45を気弁手段45と呼ぶ。
この実施の形態において、被噴射物収納室4の上方を外部と画する上記の蓋体11に、上記の口41が設けられている。また、当該蓋体11の被噴射物収納室4内部を望む部位に、上記液開閉手段42、第1液流路43と、第2液流路44と、気弁手段45が設けられている。
【0025】
図4へ示す通り、上記液開閉手段42には、ステム48と、被噴射物収納室4の口41を塞ぎ当該ステムの基端側を受容する受容部49と、付勢手段49bと、当該受容部49と被噴射物収納室4とを連絡する連絡口41aが設けられている。上記のステム48は、上記の噴射機構部3へ接続されると共に、上記連絡口41aを閉鎖し、作動させることにより当該連絡口41aを開放して被噴射物収納室4と噴射機構部3とを連絡する。図1及び図4へ示す通り、上記の第1液流路43及び第2液流路44の夫々は、基端43a,44aが上記液開閉手段42へ、上記の流路接続部46を介して接続され、他端が開放端43b,44bとなっている。
【0026】
上記の付勢手段49bは液開閉手段42を閉鎖する方向に、ステム48を常時付勢する。即ち、ステム48を作動するための力がステム48に加わらない限り、ステム48は、付勢手段49bによって、液開閉手段42を閉鎖する位置に配置する。付勢手段49bの付勢に抗して力を加えることによりステム48を作動させ、液を吐出した後、加えた力を解除すると、付勢手段49bにより、ステム48が元の位置に復帰し、液開閉手段42を閉鎖することができる。付勢手段49bには、バネを採用することができる。
この実施の形態において、第1液流路43は、チューブである。また第2液流路44の開放端44bに、上記の気弁手段45が設けられている。気弁手段45は、弁体45aを収容し、液導入口45bを備える。
第1液流路43及び第2液流路44の上記基端43a,44aは、上記の流路接続部46を介して上記の液開閉手段42に接続されている。
【0027】
図1及び図4へ示す通り噴射器(ケーシング1)の正立状態において、上記の第1液流路43の開放端43bは被噴射物W1の液面W0よりも下方に位置し、上記の第2液流路44の開放端44bは被噴射物W1の液面W0よりも上方に位置する。この状態において、気液弁手段45の弁体45aは、第2液流路44の開放端44bを閉鎖し、空気W2が流路連絡部46内に侵入するのを阻止する。そして、この状態において、図5及び図6へ示す通り、ステム48を作動させ(この実施の形態では、ステム48を下方に作動させ)液開閉手段42の上記連絡口41aを開放すると、噴射ボンベ2のガスの噴射により、被噴射物収納室4の外部で発生した負圧によって、被噴射物W1は、第1液流路43の開放端43bより、第1液流路43内部に吸い込まれ、第1液流路43の基端43aから流路接続部46を経て、上記連絡口41a内に侵入し、中空のステム48内部、及び噴射機構部3を通って、ケーシング1の外部へ排出される。
【0028】
図8へ示す通り、噴射器(ケーシング1)の倒立状態において、上記の第1液流路43の開放端43bは液面W0よりも上方に位置し、上記の第2液流路44の開放端44bは液面W0よりも下方に位置する。この状態において、気弁手段45の弁体45aは重力によって変位し第2液流路44の開放端44bを開放する。そして、この状態において、図8へ示すように、上記と同様ステム48を作動させて連絡口41aを開放すると、上記噴射の負圧を受けた被噴射物W1が、液面W0より下方に位置する上記第2液流路44の開放端44bから、第2液流路44内に吸引され、第2液流路44の基端44aから流路接続部46を経て、上記連絡口41a内に入る。そして、被噴射物W1は、上記と同様中空のステム48内部、及び噴射機構部3を通って、ケーシング1の外部へ排出される。
【0029】
上記において、被噴射物収納室4の外部で発生した負圧によって被噴射物W1を円滑に排出するためには、液体である被噴射物W1の排出に伴って、ケーシング1外部より被噴射物収納室4内へ空気を導入する必要がある。
次に、このような空気抜きの手段を中心に、上記被噴射物W1を排出するための、更に具体的な構成について、上記の図4〜図7を用いて説明する。
【0030】
図4へ示す通り、上記のステム48は、筒状のステム本体48aと、ステム本体48aの延設部48bと、延設部48bの外周に遊嵌された環状部48cとを備える。環状部48cは、延設部48bの軸方向に対して摺動することができる。延設部48bは、筒状体であり、ステム本体48aと一体になっており、内部がステム本体48a内部と連絡している。また、延設部48bは、筒状のステム本体48aの基端の内側からステム本体48aの基端外部へ露出する。延設部48bの先端(正立状態における下端)は、閉鎖され、その側面に、延設部48bの内部と外部とを連絡する孔48g,48gが形成されている。
一方、ステム本体48aの外周と、被噴射物収納室4の口41内周面との間には、空気を通し液体を通さない隙間a1が形成されている。
また、口41周囲は、被噴射物収納室4内に向けて隆起する隆起部11aを備え、上記の液開閉手段42は、当該隆起部11aと一体となるよう隆起部11aに接続されている。但し、隆起部11aと液開閉手段42との間において、一部接続されてない間欠部a2が形成されている。
【0031】
上記の環状部48cの下端部外周は、上記受容部49の内周面と当接する。また、環状部48cは、外周面に第1当接部として肩部48dを有し、内周面に第2当接部として内肩部48eを備える。他方、上記延設部48bは、その孔48g,48gより先端側において、第2被当接部として、環状部48cの当該内肩部48eと当接する外肩部48fを備える。上記の付勢手段49bは、常時、延設部48bを付勢し、ステム48に力が加えられない限り、延設部48bを、上記環状部48cへ押し付けて、この内肩部48eと外肩部48fとが当接した状態を維持させる。このように延設部48bが押し付けられた状態にて、環状部48cは、上記孔48g,48gを閉鎖する位置に配置される。従って、この図4に示す、ステムを作動させない状態において、環状部48cによりステム48(ステム本体48a)内部と、受容部49の連絡口41aとは遮断され、液開閉手段42にて被噴射物収納質4の口41が閉鎖された状態となっている(尚、この状態において、環状部48cの上端は、ステム本体48aと当接し、当該遮断位置を通り過ぎない)。
【0032】
また、このとき、図4へ示す通り、第1当接部である、環状部48cの肩部48dは、第1被当接部となる、隆起部11aの先端と当接して、上記間欠部a2と上記隙間a1とが連絡するのを遮断(シール)している。
図4へ示すように(正立状態において)、受容部49の内周面には、上記閉鎖状態の環状部48cより下方には、第3当接部となる環状部48cの下端部に対して対向するように、第3被当接部となる段差49aが設けられている。図4に示すステム未作動の状態では、環状部48cの下端(第3当接部)は、上記段差49a(第3被当接部)から上方に離れている。
【0033】
図5へ示すように、ステム48を作動させ(この実施の形態では下方に作動させ)、延設部48bを下方に移動させると、環状部48cの内肩部48e(第2当接部)から、延設部48bの外肩部48f(第2被当接部)が下方に離れて、孔48g,48gが環状部48cから開放される。これにて、連絡口41aからステム48内部へ被噴射物W1が移動可能となる。
【0034】
更にステム48を作動させ続けると、図6及び図7へ示すように、ステム本体48aの下端(延設部48bがないとした場合の基端)に押されて、環状部48cも下方に移動する(最終的に、環状部48cの下端(第3当接部)は、上記段差49a(第3被当接部)へ当接して下方への移動を停止する)。これによって、上記の環状部48cの肩部48d(第1当接部)は、隆起部11a(第1被当接部)の先端から離れ、上記間欠部a2と上記隙間a1とが連絡し、ケーシング1外部から被噴射物収納室4内に空気を導入することができる(図7)。そして、図6に示す通り、前述の被噴射物W1の排出が行えるのである。
尚、図8に示す通り、倒立させて使用する場合であっても、液漏れが生じないように、上記空気導入の通路(間欠部a2と上記隙間a1)を、表面張力により液体が通り抜けられない幅に設定しておけばよい。
【0035】
使用後、被噴射物W1吐出後、ステム48へ加えられた力が解除されることにより、付勢手段49bの付勢により、延設部48bは、図6に示す状態から、(上方への)復帰を開始する。図示はしないが、当該復帰の途中、延設部48bの外肩部48f(第2被当接部)が、環状部49cの内肩部48e(第2当接部)へ再び当接し、環状部48cは、延設部48bによって、作動前の位置まで(上方に向けて)押し戻される。そして、上記の各部が、図4の状態に復帰するのである。
【0036】
次に、上記の噴射機構部3について説明する。
図1へ示す通り、噴射機構部3は、ケーシング1の蓋体11に設けられており、噴射ボンベ2と被噴射物収納室4のステム28,48が、夫々、接続されている。具体的には、噴射機構部3は、ケーシング1の蓋体11に設けられた支持部31と、当該支持部31に軸止された作動本体32とを備える。作動本体32は、軸33を中心として、回動可能に、支持部31に取り付けられている。作動本体32は、噴射部34と、ボンベ接続部35と、収納室接続部36と、指掛け部37とを備える。ボンベ接続部35は、噴射ボンベ2の上記ステム28が接続される。収納室接続部36は、被噴射物収納部4の上記ステム48が接続される。 噴射部34は、ガスを噴射するノズル部34aと、ノズル部34aの噴射方向(ノズル部34aの前方)に設けられた負圧発生室34bと、負圧発生室34bに設けられた噴射口34cとを備える。上記のボンベ接続部35は、上記ノズル部34aに連絡する。また、上記の負圧発生室34bは、収納室接続部36に連絡する。
【0037】
噴射器の使用時、上記の指掛け部37へ指を掛けて引くことにより、軸33を中心として、下方の噴射ボンベ2及び被噴射物収納室4側に、作動本体32を回動させることができる。この回動によって、ボンベ接続部35に接続された噴射ボンベ2のステム28と、収納室接続部36に接続された被噴射物収納部4のステム48とを同時に作動することができる。ボンベ接続部35のステム28の作動により、気化したガスが、ノズル部34aに送られ、ノズル部34aから負圧発生室34b内を経て、噴射口34cから外部へ噴射される。このガスの噴射により、負圧発生室34b内には負圧が発生し、当該負圧によって、ステム48の作動によって、開放された被噴射物収納部4内の被噴射物W1が負圧発生室34b内に吸い上げられ、上記ガスと共に噴射口34cから外部へ噴射される。
【0038】
上記の実施の形態において、ケーシング1は、天部となる蓋体11にボンベ収納部5を取り付けて、被噴射物収納室4内に、ボンベ収納部5を配置するものとした。この他、図示はしないが、被噴射物収納室4内にボンベ収納部5を配置するのではなく、ケーシング1自体をドーナツ状に形成して(当然内部の被噴射物収納室4もドーナツ状となる。)、中央の中空部分に、噴射ボンベ2を収納するようにしても実施可能である。またハウジング1は、上記以外の形状に変更が可能である。
噴射ボンベ2の表面が直接被噴射物収納室4内の被噴射物と接触しても構わない場合、上記と異なり、噴射ボンベ2は、直接、被噴射物収納室4内に配置されるものであっても実施可能である。例えば、噴射ボンベ2自身を樹脂製としても実施可能である。
上記の噴射機構部3については、トリガー型、即ち、指掛け部37を引くことにより作動本体32が軸33を中心に回動して、両ステム28,48を作動させるものであった。この他、作動本体32は、軸33中心に回動するのではなく、即ち、指掛け部37を引くのではなく(指掛け部37を持たず)、上方から下方に押し下げることによって、両ステム28,48を下方に作動させる形式のものを採用して実施することも可能である。
噴射ボンベ2や被噴射物収納室4の開閉手段や弁手段についても、上記の実施の形態のものに限定するものではなく、周知の他の形態を採るものであっても実施可能である。
【0039】
本願発明に係る吸引式噴射器によれば、液化ガスの噴射において従来問題となった、液相部において瞬時に気化が起こらず噴霧力が落ちる、即ち、見かけ上、数秒で、0.2〜0.3MPa 程の圧力降下が起こるものであったが、上記の多孔質部材6の配設により、このような圧力降下を改善した。
例えば、液化ガスとして、HFC−152aを採用した場合、噴射圧Pの0.5MPaから0.25MPaへの降下(半減)に、30秒程度の時間を確保することが可能となった。
この圧力降下について、本願発明に係る噴射器の試験結果を以下に示す。
1)〜4)は、多孔質部材/噴射直後から噴射の勢いに変化が生じるまでの時間を示している。
1) なし / 2〜3秒
2) スポンジ / 15〜20秒
3) 焼結部材 / 15〜20秒
4) 沸石 / 10〜15秒
上記2)のスポンジとしては、0.15g/8cm3(一辺2cmの立方体について重さ0.15g)のものを、採用した。また、3)の焼結部材としては、ポリエチレン粉末を焼結させたものを採用した。但し、ポリエチレン粉末を焼結させた焼結部材を採用しても、ポリエチレン粉末を焼結させた焼結部材と同様の結果であった。また、4)の沸石については、二酸化珪素の鉱物を採用した。
【0040】
上記の通り、多孔質部材を採用した何れの場合2)〜4)も、噴射の変化が見られるまで10秒以上を要するものに改善されている。これから、噴射の変化が2〜3秒で生じる多孔質部材を用いない場合1)と比して、大きな改善がなされていることが分かる。
【0041】
また、液化ガスのボンベと、被噴射物収納部とでは、排出する必要があるのは、一方は気化ガス、他方は液体と異なる。本願発明に係る噴射器では、正立使用時、倒立使用時の何れにおいても、そのような排出を同時に確実に行うことができ、ベンチュリー即ち、吸引式の噴射器において、簡単な構造で、被噴射物の噴射を確実に行うことを可能とした。
【図面の簡単な説明】
【0042】
【図1】本願発明の実施の形態に係る吸引式噴射器の全体断面図である。
【図2】正立状態での噴射時の、上記噴射器の噴射ボンベの断面図である。
【図3】倒立状態での噴射時の、上記噴射器の噴射ボンベの断面図である。
【図4】正立状態での未作動時の、被噴射物収納室の一部切欠要部断面図である。
【図5】正立状態での作動途中の、被噴射物収納室の一部切欠要部断面図である。
【図6】正立状態での作動完了時の、被噴射物収納室の一部切欠要部断面図である。
【図7】図6の一部切欠要部拡大断面図である。
【図8】倒立状態での作動完了時の、被噴射物収納室の一部切欠要部断面図である。
【符号の説明】
【0043】
1 ケーシング
2 噴射ボンベ
3 噴射機構部
4 被噴射物収納室
6 多孔質部材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
噴射機構部と、この噴射機構部に接続された噴射ボンベと、噴射ボンベとは別個に噴射機構部に接続された被噴射物収納室とを備え、噴射機構部は、噴射ボンベのガスを噴出させることにより被噴射物収納室の被噴射物を吸引して噴射させるものである吸引式噴射器において、
上記噴射ボンベは、液化ガスを収容し、当該噴射ボンベのガス収容室は、多孔質部材を備え、
上記の多孔質部材は、噴射ボンベのガス収容室内にて、少なくともその一部分が上記液化ガスの液状の部分に浸されたものであることを特徴とする吸引式噴射器。
【請求項2】
噴射器の正立状態において、上記噴射機構部は、上記噴射ボンベ及び被噴射物収納室よりも上方に位置し、
上記の被噴射物は、液体であり、
上記噴射ボンベと被噴射物収納室は、夫々、その口の開閉手段と、内部空間に配された第1及び第2の流路と、弁手段とを備え、
上記の第1及び第2の流路の夫々は、一端が上記噴射ボンベ又は被噴射物収納室の口に接続され、他端が開放端であり、
噴射器の正立状態において、上記の第1流路の開放端は液面よりも下方に位置し、上記の第2流路の開放端は液面よりも上方に位置し、
噴射器の倒立状態において、上記の第1流路の開放端は液面よりも上方に位置し、上記の第2流路の開放端は液面よりも下方に位置し、
噴射ボンベの弁手段は、正立状態での噴射時、第2流路を通じ液面より上方の気化したガスを上記噴射機構部へ連絡させ、倒立状態での噴射時、第2流路から液状のガスが上記噴射機構部へ連絡するのを断つと共に、第1流路を通じて液面上方の気化したガスを上記噴射機構部へ連絡させ、
被噴射物収納室の弁手段は、正立状態での噴射時、第1流路を通じて液体を上記噴射機構部へ連絡させると共に第2流路から空気が上記噴射機構部へ連絡するのを断ち、倒立状態での噴射時、第2流路を通じ被噴射物収納室内の液体を上記噴射機構部へ連絡するものであることを特徴とする請求項1記載の吸引式噴射器。
【請求項3】
上記噴射ボンベは、上記の開閉手段と、上記の第1流路と、流路接続部と、液溜りとを備え、
上記開閉手段は、ステムと、噴射ボンベの口を塞ぎ当該ステムの基端側を受容する受容部と、当該受容部とガス収容室とを連絡する連絡口とを備え、
上記のステムは、上記の噴射機構部へ接続されると共に、上記連絡口を閉鎖し、作動させることにより当該連絡口を開放して噴射ボンベ内のガス収容室と噴射機構部とを連絡するものであり、
上記の第1流路は、噴射ボンベのガス収容室内に配され、基端が上記の流路接続部を介して上記の開閉手段に接続され、噴射器の倒立時に液化ガスの液面より上方に位置する気化したガスを、上記連絡口に向けて導くものであり、
上記の流路接続部は、上記連絡口と第1流路とを連絡するものであり、当該流路接続部の内部には、上記第1流路の基端側の開口部と対面するよう上記の液溜りが設けられ、
噴射器を倒立させる際、第1流路内の液状のガスを上記液溜りに落とすことができ、当該液状のガスが、上記連絡口へ侵入するのを抑制するものであることを特徴とする請求項1又は2記載の吸引式噴射器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2007−319729(P2007−319729A)
【公開日】平成19年12月13日(2007.12.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−149428(P2006−149428)
【出願日】平成18年5月30日(2006.5.30)
【出願人】(591284472)キョ−ワ工業株式会社 (9)
【出願人】(000006909)株式会社吉野工業所 (2,913)
【Fターム(参考)】