説明

吸引混合ポンプ用の分離装置及び吸引式混合システム

【課題】気泡の含有率が低い分散質と液相分散媒との混合流体を得られる吸引混合ポンプ用の分離装置及び吸引式混合システムを提供する。
【解決手段】上部に上部排出口71cを有し且つ下部に下部排出口71bを有する円筒状容器71と、円筒状容器71の底部から突入する状態で円筒状容器71内に設けられた導入管72とを備えた吸引混合ポンプ用の分離装置であって、円筒状容器71内の上部に、上下方向の回転軸心A1周りに回転可能に配設される旋回羽根73と、旋回羽根73を回転駆動して円筒状容器71内の混合流体Fを旋回流動させる旋回羽根駆動手段M1と、円筒状容器71内の上方に形成される気相空間Rの気体Vを円筒状容器71外に吸引排気する排気手段Eとを備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、上部に上部排出口を有し且つ下部に下部排出口を有する円筒状容器と、円筒状容器の底部から突入する状態で円筒状容器内に設けられた導入管とを備え、分散質と液相分散媒とを負圧吸引力により吸引部を通して内部に吸引して攪拌する吸引混合ポンプの吐出部から吐出される分散質と液相分散媒との混合流体を、導入管に導入させ、比重差により分離して、上部排出口と下部排出口とから排出する吸引混合ポンプ用の分離装置、及び、その吸引混合ポンプ用の分離装置を備えた吸引式混合システムに関する。
【背景技術】
【0002】
かかる吸引混合ポンプ用の分離装置(以下、単に分離装置と記載する場合がある)は、吸引混合ポンプの吐出部から吐出される分散質と液相分散媒との混合流体を、導入管を通して上部排出口と下部排出口とを有する円筒状容器内に導入させ、その円筒状容器内において、比重差により小比重分と大比重分とに上下方向において分離して、主に小比重分が上部排出口から排出され、主に大比重分が下部排出口から排出されるものである。
【0003】
吸引混合ポンプにおいては、回転翼の回転により生じる負圧吸引力により、分散質と液相分散媒とが個別又は予備混合された状態で吸引導入されて攪拌されて混合流体が吐出部から吐出される。
混合流体の例としては、例えば、液相分散媒に対して分散質として固相分散質を混合させた場合のスラリー、及び、液相分散媒に対して分散質として液相分散質を混合させた場合のエマルジョンが挙げられる。スラリーは、例えば、リチウムイオン二次電池や電気二重層キャパシタ等の電極やセパレータ、塗料、トナー、研磨剤等の用途に多く利用される。一方、エマルジョンは、例えば、食品、シート材、エマルジョン燃料等に利用される。
ちなみに、分散質としては、例えば、粉体等の固相分散質や油等の液相分散質が挙げられ、液相分散媒としては、例えば、水等の溶媒が挙げられる。
ここで、粉体としては、粉状のものであれば特に除外されるものではなく、例えば、電池電極材料の化学原料、脱脂粉乳や小麦粉等の食品原料、医薬原料等であって、顆粒、粉体、細粒等の粉体(これら粉体の混合物を含む)を例示することができる。粉体には、径が大きい、いわゆる粉粒体も含まれる。
【0004】
このような粉体供給装置において、従来は、円筒状容器内において分離された小比重分は、そのまま上部排出口から排出される構成となっていた(例えば、特許文献1参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2010−234185号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、吸引混合ポンプの吐出部から吐出されて導入管を通して円筒状容器内に導入される混合流体には、気体が含まれている。ちなみに、この気体としては、例えば、吸引混合ポンプにより特に分散質を吸引する際に共に吸引される空気等が挙げられる。
そして、気体、即ち、気泡の含有率が高いほど混合流体の比重が小さくなるので、円筒状容器内において分離される小比重分は、大比重分に比べて気泡の含有率が高くなる。
しかしながら、従来の分離装置では、円筒状容器内において分離された小比重分がそのまま上部排出口から排出される構成であるので、上部排出口から排出される小比重分は気泡の含有率が高いという問題があった。
このような分離装置を備えた吸引式混合システムでも、同様の問題があった。
ちなみに、小比重分の気泡の含有率が高いと、小比重分を用いて行う後工程において、小比重分から気泡を抜き取る脱泡処理が必要になる場合があり、又、小比重分を製品とする場合は、製品の品質が低下することになる。
【0007】
本発明は、かかる実情に鑑みてなされたものであり、その目的は、気泡の含有率が低い分散質と液相分散媒との混合流体を得られる吸引混合ポンプ用の分離装置及び吸引式混合システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するための本発明に係る吸引混合ポンプ用の分離装置は、上部に上部排出口を有し且つ下部に下部排出口を有する円筒状容器と、前記円筒状容器の底部から突入する状態で前記円筒状容器内に設けられた導入管とを備え、分散質と液相分散媒とを負圧吸引力により吸引部を通して内部に吸引して攪拌する吸引混合ポンプの吐出部から吐出される分散質と液相分散媒との混合流体を、前記導入管に導入させ、比重差により分離して、前記上部排出口と前記下部排出口とから排出する吸引混合ポンプ用の分離装置であって、その特徴構成は、
前記円筒状容器内の上部に、上下方向の回転軸心周りに回転可能に配設される旋回羽根と、前記旋回羽根を回転駆動して前記円筒状容器内の混合流体を旋回流動させる旋回羽根駆動手段と、前記円筒状容器内の上方に形成される気相空間の気体を前記円筒状容器外に吸引排気する排気手段とを備えている点にある。
【0009】
上記特徴構成によれば、吸引混合ポンプの吐出部から吐出された混合流体は、導入管に導入されて、その導入管の吐出端から上向きに円筒状容器内に吐出される。
円筒状容器内の上部では、旋回羽根駆動手段の回転駆動力により旋回羽根が回転しているので、円筒状容器内に吐出された混合流体は、上部排出口又は下部排出口に流動しつつ、下方に窪んだ凹状液面を円筒状容器内の上部に形成する状態で旋回流動する。そして、その混合流体は、比重差及び遠心力により、気泡の含有率が低くて比重が大きい大比重分と気泡の含有率が高くて比重が小さい小比重分とに上下方向において分離されて、大比重分は下部排出口から排出され、小比重分は上部排出口から排出される。
【0010】
更に、円筒状容器内の凹状液面の上方に形成される気相空間には、排気手段の吸引作用により、円筒状容器内を流動する混合流体内に含有される気泡が良好に抜け出て、気体が円筒状容器外に排気されることになり上部排出口から排出される小比重分の気泡の含有率を低くすることができ、さらには、凹状液面が形成されることにより、混合流体自身の排気手段側への流出による損失を抑制することができる。
従って、混合流体の損失を抑制しつつ、気泡の含有率が低い分散質と液相分散媒との混合流体を得られる吸引混合ポンプ用の分離装置を提供することができる。
【0011】
本発明に係る吸引混合ポンプ用の分離装置の更なる特徴構成は、前記円筒状容器内における前記導入管の吐出端の上方に、前記吐出端から吐出される前記混合流体を旋回流動させる捻り板が配設され、前記旋回羽根が、前記捻り板の上方に配設されている点にある。
【0012】
上記特徴構成によれば、導入管の吐出端から上向きに吐出された混合流体は、捻り板により旋回させられながら上方に流動し、更に、旋回羽根により旋回させられる。すると、捻り板及び旋回羽根による旋回作用により、円筒状容器内における混合流体の旋回流動が促進されて遠心力が増大されるので、気泡の含有率が低くて比重が大きい大比重分と気泡の含有率が高くて比重が小さい小比重分との分離を一層促進させることができて、気泡の含有率が高くて比重が小さい混合流体をより効果的に上方に流動させることができる。
そして、気泡の含有率が高くて比重が小さい小比重分の上方への流動が促進される状態で、円筒状容器内の凹状液面の上方に形成される気相空間に排気手段が吸引作用することから、混合流体からの気泡の抜き出し量を増大させることができるので、上部排出口から排出される小比重分の気泡の含有率を更に低くすることができる。
従って、気泡の含有率がより一層低い分散質と液相分散媒との混合流体を得ることができる。
【0013】
本発明に係る吸引混合ポンプ用の分離装置の更なる特徴構成は、前記導入管が、前記円筒状容器と同心状に設けられ、前記旋回羽根の回転軸心が、前記円筒状容器と同心状になるように配設され、前記排気手段が、一端を前記気相空間内における前記円筒状容器の軸心近傍に位置させた状態で、前記円筒状容器内と連通する排気路と、前記排気路の他端に接続された真空ポンプとを備えて構成されている点にある。
【0014】
上記特徴構成によれば、旋回羽根が円筒状容器と同心の回転軸心で回転するので、円筒状容器内において、凹状液面の中心の最低部が円筒状容器の軸心近傍に位置する状態で、混合流体の旋回流動を効果的に起こさせることができる。すると、気泡の含有率が低くて比重が大きい大比重分と気泡の含有率が高くて比重が小さい小比重分との分離を更に促進させることができるので、気泡の含有率が高くて比重が小さい小比重分を更に効果的に上方に流動させることができる。
又、排気路の吸引端(一端)が円筒状容器の軸心近傍に位置しているので、凹状液面の高さが変動しても、排気路の吸引端が円筒状容器内の混合流体に没入するのを回避することができ、安定して気相空間から排気することができる。
従って、気泡の含有率が一段と低い分散質と液相分散媒との混合流体を安定して得ることができる。
【0015】
本発明に係る吸引式混合システムは、上記特徴構成のいずれかの吸引混合ポンプ用の分離装置と、前記吸引混合ポンプとを備え、前記吸引混合ポンプが、前記吐出部から吐出された混合流体の一部を当該吸引混合ポンプの内部に戻す戻し部を備え、前記吸引混合ポンプの前記吐出部が前記分離装置の前記導入管に接続され、前記吸引混合ポンプの前記戻し部が前記分離装置の前記下部排出口に接続されている点にある。
【0016】
上記特徴構成によれば、吸引混合ポンプの吐出部から吐出された混合流体は、分離装置の導入管から円筒状容器内に吐出される。そして、その円筒状容器内において、上記特徴構成のいずれかのように、大比重分と小比重分に分離されて、大比重分は下部排出口から排出されて、再び、戻し部から吸引混合ポンプ内に吸引導入されて攪拌され、小比重分は上部排出口から排出される。
【0017】
つまり、吐出部から吐出された混合流体から分離された大比重分を吸引混合ポンプ内に戻しながら、吸引混合ポンプ内で混合流体を攪拌するので、分散質と液相分散媒とを十分に分散混合させることができる。
そして、そのように分散質と液相分散媒とが十分に分散混合された混合流体から、分離装置にて、気体の含有率が低い小比重分を分離して排出することができる。
従って、均一に混合され且つ気泡の含有率が低い分散質と液相分散媒との混合流体を得られる吸引式混合システムを提供することができる。
【0018】
本発明に係る吸引式混合システムの更なる特徴構成は、複数の前記吸引混合ポンプが、上流側の吸引混合ポンプの前記吐出部から吐出された混合流体が、下流側の吸引混合ポンプの前記吸引部から当該下流側の吸引混合ポンプの内部に吸引導入される形態で直列状に連結されて設けられ、直列状に連結された前記複数の吸引混合ポンプのうちの少なくとも一つ以上の夫々に対して、前記分離装置が備えられ、直列状の並び方向で隣接する二つの吸引混合ポンプのうちの上流側の吸引混合ポンプに備えられる前記分離装置については、前記上部排出口が、当該分離装置が備えられた吸引混合ポンプに最も近い下流側の吸引混合ポンプの前記吸引部に接続されている点にある。
【0019】
上記特徴構成によれば、直列状の並び方向で隣接する二つの吸引混合ポンプのうちの上流側の吸引混合ポンプの吐出部から吐出された混合流体は、分離装置において、上記特徴構成のいずれかのように、大比重分と小比重分に分離されて、大比重分は、当該分離装置が備えられた吸引混合ポンプの戻し部から再び当該吸引混合ポンプ内に吸引導入され、小比重分は、当該分離装置が備えられた吸引混合ポンプに最も近い下流側の吸引混合ポンプの吸引部に吸引導入されて、その吸引混合ポンプにおいて更に攪拌される。
【0020】
そして、上部排出口から排出される小比重分の気泡の含有率が低いので、その小比重分を下流側の吸引混合ポンプにより吸引する際に、吸引効率が低下するのを抑制することができる。
更に、分離装置の排気部の負圧吸引力が、当該分離装置が備えられた吸引混合ポンプの内部に作用するので、当該吸引混合ポンプの負圧吸引力が高められることになり、吸引混合ポンプの吸引効率を向上することが可能となる。
ちなみに、従来の分離装置が用いられる場合は、上部排出口から排出される小比重分の気泡の含有率が高いため、小比重分を下流側の吸引混合ポンプにより吸引する際に、吸引効率が低下することになり、分散質と液相分散媒とを混合攪拌処理するに当たって、その処理効率が低下する。
従って、分散質と液相分散媒とがより一層均一に分散混合され、しかも、気泡の含有率が低い良質な混合流体を効率良く生成することができる。
【0021】
本発明に係る吸引式混合システムの更なる特徴構成は、直列状に連結された前記複数の吸引混合ポンプのうちの最上流の吸引混合ポンプが、分散質と液相分散媒とを前記吸引部を通して内部に吸引導入して混合攪拌し混合流体を前記吐出部から吐出するように構成され、前記最上流の吸引混合ポンプに対して、前記分離装置が備えられている点にある。
【0022】
上記特徴構成によれば、直列状に連結された複数の吸引混合ポンプのうちの最上流の吸引混合ポンプにより、分散質と液相分散媒とが吸引部を通して内部に吸引導入されて攪拌混合されて混合流体が吐出部から吐出される。
そして、最上流の吸引混合ポンプに備えられた分離装置では、上記特徴構成のいずれかのように、混合流体が大比重分と小比重分に分離されて、大比重分は、再び、最上流の吸引混合ポンプの戻し部からその最上流の吸引混合ポンプ内に吸引導入され、小比重分は、最上流の吸引混合ポンプに最も近い下流側の吸引混合ポンプの吸引部からその吸引混合ポンプ内に吸引導入されて、その吸引混合ポンプにおいて更に攪拌される。
従って、分散質と液相分散媒とを材料にして、それらが均一に分散混合され、しかも、気泡の含有率が低い良質な混合流体を生成することができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】吸引混合ポンプ用の分離装置を備えた吸引式混合システムの概略構成図
【図2】吸引混合ポンプ用の分離装置の縦断面図
【図3】吸引混合ポンプ用の分離装置の捻り板を示す図
【図4】容積式の定量供給機構を示す縦断面図
【図5】図4のV−V方向視での断面図
【図6】1段目の吸引混合ポンプの縦断側面図
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、図面に基づいて、本発明の実施形態を説明する。
図1は、本発明に係る吸引混合ポンプ用の分離装置(以下、単に分離装置と記載する場合がある)70を備えた吸引式混合システムを示す。
この吸引式混合システムは、分散質としての粉体Pと液相分散媒としての液体Lとを混合させることにより、粉体Pを液体Lに溶解させて、スラリーを生成するものである。
本実施形態においては、例えば、粉体PとしてCMC(カルボキシルメチルセルロース)を用い、液体Lとして水を用いた。
【0025】
図1に示すように、吸引式混合システムは、粉体Pを定量供給する粉体供給装置Xと、液体Lを定量供給する液体供給装置50と、粉体供給装置Xから定量供給される粉体Pと液体供給装置50から定量供給される液体Lとを負圧吸引して混合し、粉体Pを液体Lに溶解して混合流体Fを吐出する吸引混合ポンプYと、吸引混合ポンプYから吐出された混合流体Fを、完全に溶解していない粉体Pを含む状態の大比重分Frと粉体Pが略完全に溶解した状態の小比重分Fsとに比重差により分離する分離装置70等を備えて構成されている。
【0026】
図1に示すように、吸引混合ポンプYは、回転翼6(図6参照)の回転により生じる負圧吸引力により、粉体Pと液体Lとを吸引部としての吸引口11を通して内部に吸引導入して攪拌し、粉体Pと液体Lとが混合溶解された混合流体Fを吐出部としての吐出口12から吐出するように構成されると共に、吐出口12から吐出された混合流体Fの一部を内部に戻す戻し部としての戻し口17を備えている。
【0027】
図1に示すように、この実施形態では、3基の吸引混合ポンプYが、上流側の吸引混合ポンプYの吐出口12から吐出された混合流体Fが、下流側の吸引混合ポンプYの吸引口11から当該下流側の吸引混合ポンプYの内部に吸引導入される形態で直列状に連結されて設けられている。尚、以下の説明において、直列状に設けられた3基の吸引混合ポンプYの並び順を特定して説明する場合、最上流のもの(図1において左端のもの)から下流側(図1において右側)に順に、1段目の吸引混合ポンプY1、2段目の吸引混合ポンプY2、3段目の吸引混合ポンプY3と記載する。
更に、直列状に連結された3基の吸引混合ポンプYのうちの最上流の1段目の吸引混合ポンプY1が、粉体Pと液体Lとを吸引口11を通して内部に吸引導入して混合攪拌し混合流体Fを吐出口12から吐出するように構成されている。又、2段目及び3段目の各吸引混合ポンプY2,Y3は、粉体Pと液体Lとが混合溶解された混合流体F(具体的には、後述する小比重分Fs)を吸引口11を通して内部に吸引導入して混合攪拌して吐出口12から吐出するように構成されている。
【0028】
図1及び図2に示すように、分離装置70は、上部に上部排出口71cを有し且つ下部に下部排出口71bを有する円筒状容器71と、その円筒状容器71の底部から突入する状態で円筒状容器71の内部に設けられた導入管72とを備えて構成されている。詳細は後述するが、円筒状容器71の底部には、下部排出口71bに隣接して供給口71aが設けられ、導入管72は、その下端開口部を供給口71aに連通接続した状態で、円筒状容器71内に配設されている。
【0029】
図1に示すように、この実施形態では、直列状に連結された3基の吸引混合ポンプY夫々に対して、分離装置70が設けられている。
各吸引混合ポンプYの吐出口12が、吐出路18により、各吸引混合ポンプYに対応する分離装置70の導入管72に供給口71aを介して接続され、各吸引混合ポンプYの戻し口17が、循環路16により、各吸引混合ポンプYに対応する分離装置70の下部排出口71bに接続されている。
【0030】
又、直列状の並び方向で隣接する二つの吸引混合ポンプYのうちの上流側の吸引混合ポンプYに備えられる分離装置70については、上部排出口71cが、送出路22により、当該分離装置70が備えられた吸引混合ポンプYに最も近い下流側の吸引混合ポンプYの吸引口11に接続されている。
つまり、1段目の吸引混合ポンプY1に備えられた分離装置70の上部排出口71cが、送出路22により、2段目の吸引混合ポンプY2の吸引口11に接続され、2段目の吸引混合ポンプY2に備えられた分離装置70の上部排出口71cが、送出路22により、3段目の吸引混合ポンプY3の吸引口11に接続されている。
更に、3段目の吸引混合ポンプY3に備えられた分離装置70の上部排出口71cは、送出路22により、製品としてのスラリーの供給先80に接続されている。
【0031】
そして、各分離装置70においては、吸引混合ポンプYの吐出口12から吐出される混合流体Fを導入管72に導入させて、大比重分Frと小比重分Fsとに比重差により分離して、小比重分Fsを上部排出口71cから排出し、大比重分Frを下部排出口71bから排出するように構成されている。
【0032】
図2に示すように、本発明に係る分離装置70には、円筒状容器71内の上部に、鉛直方向の回転軸心A1周りに回転可能に配設される旋回羽根73と、その旋回羽根73を回転駆動して円筒状容器71内の混合流体Fを旋回流動させることにより、下方に窪んだ凹状液面Fmを円筒状容器71内の上部に形成する旋回羽根駆動手段としての旋回羽根駆動モータM1と、円筒状容器71内における凹状液面Fmの上方に形成される気相空間Rに吸引作用して、気相空間R内の空気V(気体の一例)を円筒状容器71外に吸引排気する排気手段としての排気部Eとが備えられている。
【0033】
この実施形態では、直列状に連結された3基の吸引混合ポンプY夫々に設けた分離装置70のうちの一部の吸引混合ポンプYに対して、上述の本発明構成を採用した分離装置70が備えられている。
尚、以下の説明において、本発明構成の採用有無を特定して分離装置70を説明する場合、本発明構成を採用したものを脱泡式の分離装置70Aと記載し、本発明構成を採用していないものを基本の分離装置70Bと記載する。
【0034】
この実施形態では、直列状に連結された3基の吸引混合ポンプYのうちの1段目の吸引混合ポンプY1に対して、脱泡式の分離装置70Aが備えられ、残りの2段目の吸引混合ポンプY2、及び、3段目の吸引混合ポンプY3の夫々に対して、基本の分離装置70Bが備えられている。
【0035】
以下、吸引式混合システムの各部について説明を加える。
図1に示すように、粉体供給装置Xは、上部開口部31aから受け入れた粉体Pを下部開口部31bから排出させるホッパ31と、ホッパ31内の粉体Pを攪拌する攪拌機構32と、ホッパ31の上部開口部31aが室内に対し開放された状態で、下部開口部31bの下流側に接続された1段目の吸引混合ポンプY1の吸引により下部開口部31bに作用する負圧吸引力によって、下部開口部31bから排出された粉体Pを1段目の吸引混合ポンプY1に定量供給する容積式の定量供給機構(以下、単に定量供給機構と記載する場合がある)40とを備えて構成されている。
【0036】
ホッパ31は、上部から下部へ向かうに連れて縮径する逆円錐形状に構成され、その中心軸A2が鉛直方向に沿う姿勢で配設されている。そのホッパ31の上部開口部31a及び下部開口部31b夫々の横断面形状(上面視)は、中心軸A2を中心とする円形状とされ、又、ホッパ31における逆円錐形状の内側壁面の傾斜角度は、水平面に対して略60度とされる。
【0037】
攪拌機構32は、ホッパ31内に配設されて、ホッパ31内の粉体Pを攪拌する攪拌羽根32Aと、当該攪拌羽根32Aをホッパ31の中心軸A2周りに回転させる攪拌羽根駆動モータM2と、攪拌羽根駆動モータM2をホッパ31の上部開口部31aの上方に位置させて支持する取付部材32Bと、攪拌羽根駆動モータM2の回転駆動力を攪拌羽根32Aに伝動させる伝動部材32Cとを備えて構成される。
【0038】
攪拌羽根32Aは、棒状部材を概略V字形状に屈曲して構成され、その一方の辺部がホッパ31の内側壁面に沿う状態で、他方の辺部の端部がホッパ31の中心軸A2と同軸で回転自在に枢支されて配設されている。また、当該攪拌羽根32Aは、横断面形状が三角形に形成されており、三角形の一辺を形成する面がホッパ31の内側壁面と略平行となるように配設されている。これにより、攪拌羽根32Aは、ホッパ31の内側壁面に沿って中心軸A2周りに回転可能に配設されている。
【0039】
図1、図4及び図5に示すように、定量供給機構40は、ホッパ31の下部開口部31bから供給される粉体Pを1段目の吸引混合ポンプY1に設定粉体供給量(単位時間当たり)で定量供給する機構である。
具体的には、ホッパ31の下部開口部31bに接続される導入部41と、粉体供給口43a及び粉体排出口43bを備えたケーシング43と、複数の枡室44bを外周部が開放された状態で周方向に等間隔で有して、ケーシング43内に回転可能に配設された計量回転体44と、計量回転体44を回転駆動する計量回転体駆動モータM3とを備えて構成される。
【0040】
導入部41は、ホッパ31の下部開口部31bとケーシング43の上部に形成された粉体供給口43aとを連通する筒状に形成され、最下端には、ケーシング43の粉体供給口43aと同形状のスリット状の開口が形成されている。この導入部41は、ケーシング43の粉体供給口43a側ほど細くなる先細り状に形成されている。当該スリット状の開口の形状は、ホッパ31の大きさ、粉体Pの供給量、粉体Pの特性等に応じて適宜設定することができるが、例えば、スリット状の開口の長さ方向の寸法を20〜100mm程度、幅方向の寸法を1〜5mm程度に設定するようにする。
【0041】
ケーシング43は、概略直方体形状に形成され、水平方向に対して45度傾斜した姿勢で、導入部41を介してホッパ31の下部開口部31bに接続されている。
図4及び図5に示すように、ケーシング43の上面には、導入部41のスリット状の開口に対応したスリット状の粉体供給口43aが設けられ、ホッパ31の下部開口部31からの粉体Pをケーシング43内に供給可能に構成されている。傾斜状に配置されたケーシング43の下方側の側面(図4において右側面)の下部には、計量回転体44にて定量供給された粉体Pを膨張室47を介して1段目の吸引混合ポンプY1に排出する粉体排出口43bが設けられ、その粉体排出口43bには、粉体排出管45が接続されている。膨張室47は、粉体供給口43aから計量回転体44の枡室44bに供給された粉体Pが定量供給されるケーシング43内の位置に設けられ、粉体排出口43bから作用する負圧吸引力によって、粉体供給口43aよりも低圧に維持される(例えば、−0.06MPa程度)。すなわち、粉体排出口43bは、1段目の吸引混合ポンプY1の一次側に接続されることによって、負圧吸引力が膨張室47に作用し粉体供給口43aよりも低圧状態に維持されるようにしている。計量回転体44の回転に伴って、各枡室44bの状態が負圧状態(例えば、−0.06MPa程度)と当該負圧状態よりも高圧の状態に変化するように構成されている。
【0042】
計量回転体44は、計量回転体駆動モータM3の駆動軸48に配設した円盤部材49に、複数(例えば、8枚)の板状隔壁44aを円盤部材49の中心部を除いて放射状に等間隔に取り付けて構成され、周方向で等間隔に枡室44bを複数区画(例えば、8室)形成するように構成されている。枡室44bは、計量回転体44の外周部及び中心部において開口するように構成されている。計量回転体44の中心部には、開口閉鎖部材42が周方向に偏在して固定状に配設され、各枡室44bの中心部側の開口をその回転位相に応じて閉塞或いは開放可能に構成されている。なお、粉体Pの供給量は、計量回転体44を回転駆動する計量回転体駆動モータM3による計量回転体44の回転数を変化させることで、調整できる。
【0043】
計量回転体44の回転に伴って、各枡室44bが、膨張室47に開放される膨張室開放状態、膨張室47及び粉体供給口43aと連通しない第1密閉状態、粉体供給口43aに開放される供給口開放状態、粉体供給口43a及び膨張室47と連通しない第2密閉状態の順で、その状態が繰り返して変化するように構成されている。なお、計量回転体44の外周面側の開口が第1密閉状態及び第2密閉状態において閉鎖されるようにケーシング43が形成されるとともに、計量回転体44の中心部側の開口が第1密閉状態、供給口開放状態及び第2密閉状態において閉鎖されるように、開口閉鎖部材42がケーシング43に固定して配設される。
【0044】
従って、粉体供給装置Xにおいては、ホッパ31内に貯留された粉体Pが攪拌羽根32Aにより攪拌されながら定量供給機構40に供給され、定量供給機構40により、粉体Pが粉体排出口43bから粉体排出管45を通して1段目の吸引混合ポンプY1に設定粉体供給量で定量供給される。
【0045】
具体的に説明すると、定量供給機構40の粉体排出口43bの下流側に接続された1段目の吸引混合ポンプY1からの負圧吸引力により、ケーシング43内における膨張室47の圧力が負圧状態(例えば、−0.06MPa程度)となる。一方で、ホッパ31の上部開口部31aは室内に対し開放されているので、ホッパ31内は大気圧程度の状態となる。膨張室47と計量回転体44の隙間を介して連通する導入部41の内部及び下部開口部31bの近傍は、上記負圧状態と外気圧状態との間の圧力状態となる。
【0046】
この状態で、ホッパ31の内壁面及び下部開口部31bの近傍の粉体Pが、攪拌機構32の攪拌羽根32Aにより攪拌されることで、攪拌羽根32Aによるせん断作用によりホッパ31内の粉体Pが解砕され、一方、計量回転体44は計量回転体駆動モータM3により回転させられることで、空の枡室44bが次々と粉体供給口43aに連通する状態となる。そして、ホッパ31内の粉体Pは下部開口部31bから導入部41を流下し、次々と粉体供給口43aに連通する状態となる計量回転体44の枡室44bに収容されて、その枡室44bに収容された粉体Pは膨張室47に流下し、粉体排出口43bから排出される。従って、粉体供給装置Xにより、粉体Pを粉体排出管45を通して設定粉体供給量で連続して1段目の吸引混合ポンプY1の吸引口11に定量供給することができる。
【0047】
図1に示すように、粉体排出管45には、1段目の吸引混合ポンプY1の吸引口11への粉体Pの供給を停止可能なシャッタバルブ46が配設されている。
【0048】
図1に示すように、液体供給装置50は、液体源51からの液体Lを、設定液体供給量(単位時間当たり)で1段目の吸引混合ポンプY1の吸引口11に連続的に供給するように構成されている。
具体的には、液体供給装置50は、液体Lを送出する液体源51と、液体源51から液体Lが送出される液体供給管52と、液体源51から液体供給管52に送出される液体Lの供給量を設定液体供給量に調整する流量調整バルブ(図示せず)とを備えて構成されている。
又、1段目の吸引混合ポンプY1の吸引口11には、液体供給装置50から設定液体供給量で定量供給される液体Lと定量供給機構40から設定粉体供給量で定量供給される粉体Pとを混合するミキシング機構60が設けられている。
【0049】
図6に示すように、ミキシング機構60は、粉体排出管45と液体供給管52とを吸引口11に連通接続するミキシング部材61を備えて構成されている。
このミキシング部材61は、円筒状の吸引口11よりも小径に構成されて、吸引口11との間に環状のスリット63を形成すべく吸引口11に挿入状態で配設される筒状部62、及び、環状のスリット63に全周にわたって連通する状態で吸引口11の外周部に環状流路64を形成する環状流路形成部65を備えて構成されている。
ミキシング部材61には、粉体排出管45が筒状部62に連通する状態で接続されると共に、液体供給管52が環状流路64に対して液体Lを接線方向に供給するように接続される。
粉体排出管45、ミキシング部材61の筒状部62及び吸引口11は、それらの軸心が一連となりその一連の軸心A3を供給方向が下向きとなる傾斜姿勢(水平方向に対する角度が45度程度)となるように傾斜させて配置されている。尚、図4に示すように、計量回転体44の回転軸心A4も、軸心A3と平行に、即ち、水平方向に対する角度が45度程度になるように設定されている。
【0050】
つまり、定量供給機構40の粉体排出口43bから粉体排出管45に排出された粉体Pは、ミキシング部材61の筒状部62を通して軸心A3に沿って1段目の吸引混合ポンプY1の吸引口11に導入される。一方、液体Lは、環状流路64に接線方向から供給されるので、環状流路64の内周側に形成される環状のスリット63を介して、切れ目のない中空円筒状の渦流の状態で1段目の吸引混合ポンプY1の吸引口11に供給される。
従って、円筒状の吸引口11により、粉体Pと液体Lとが均一に予備混合され、その予備混合物Fpが1段目の吸引混合ポンプY1に吸引導入される。
【0051】
次に、図6に基づいて、1段目の吸引混合ポンプY1について説明を加える。
1段目の吸引混合ポンプY1は、両端開口が前壁部2と後壁部3とで閉じられた円筒状の外周壁部4を備えたケーシング1と、そのケーシング1の内部に同心状で回転駆動自在に設けられたロータ5と、そのケーシング1の内部に同心状で固定配設された円筒状のステータ7と、ロータ5を回転駆動するポンプ駆動モータM4等を備えて構成されている。
【0052】
ロータ5は、その前面が概ね円錐台状に膨出する形状に構成され、このロータ5の径方向の外方側には、複数(この実施形態では10個)の回転翼6が、前壁部2側である前方側(図6の左側)に突出し且つ周方向に等間隔で並ぶ状態でロータ5と一体的に備えられている。
このロータ5が、ケーシング1内においてケーシング1と同心状に位置する状態で、後壁部3を貫通してケーシング1内に挿入されたポンプ駆動モータM4の駆動軸19に連結されて、そのポンプ駆動モータM4により回転駆動される。
【0053】
円筒状のステータ7には、複数の透孔7a,7bが周方向に夫々並べて備えられ、そのステータ7が、ロータ5の前方側で且つ回転翼6の径方向の内側に位置させて前壁部2に固定配設されて、そのステータ7とケーシング1の外周壁部4との間に、回転翼6が周回する環状の翼室8が形成される。
ケーシング1の前壁部2の内面に環状溝10が形成されると共に、その前壁部2に対向するロータ5の前方側には、掻き出し片9がその先端部9Tを環状溝10内に進入した状態でロータ5と一体的に周回可能に配設されている。
【0054】
そして、粉体Pと液体Lとが予備混合された予備混合物Fpを回転翼6の回転によりケーシング1の内部に吸引導入する吸引口11が、環状溝10と連通する状態で、前壁部2に設けられている。
又、粉体Pと液体Lとが混合されて生成された混合流体F(具体的には、一次スラリーFa)を吐出する円筒状の吐出口12が、翼室8に連通する状態で外周壁部4にその外周壁部4の接線方向に伸びるように設けられている。
【0055】
図1、図2及び図6に示すように、この実施形態では、吐出口12から吐出された混合流体F(一次スラリーFa)は、吐出路18を通して分離装置70に供給され、その分離装置70にて分離された大比重分Frを、循環路16を介してケーシング1内に戻す円筒状の戻し口17がケーシング1の前壁部2の中央部にケーシング1の軸心A5と同心状に設けられている。
【0056】
図6に示すように、ステータ7の内周側を前壁部2側の導入室13とロータ5側の戻し室14とに仕切る仕切体15が、ロータ5の前方側に当該ロータ5と一体回転する状態で設けられている。
そして、導入室13及び戻し室14夫々が、ステータ7の複数の透孔7a,7bを介して翼室8と連通されるように構成され、吸引口11が導入室13に連通し、戻し口17が戻し室14に連通するように構成されている。
具体的には、導入室13と翼室8とは、ステータ7における導入室13に臨む部分に周方向に等間隔で配設された複数の導入室側透孔7aにて連通され、戻し室14と翼室8とは、ステータ7における戻し室14に臨む部分に周方向に等間隔で配設された複数の戻し室側透孔7bにて連通されている。
【0057】
仕切体15は、ステータ7の内径よりも僅かに小さい外径を有する概ね漏斗状に構成されている。この漏斗状の仕切体15は、具体的には、その中央部に、頂部が円筒状に突出する筒状摺接部15aにて開口された漏斗状部15bを備えると共に、その漏斗状部15bの外周部に、前面及び後面共にケーシング1の軸心A5に直交する状態となる環状平板部15cを備える形状に構成されている。
【0058】
掻き出し片9が、この仕切体15の前壁部2側に設けられている。この掻き出し片9は、同心状に、周方向において均等間隔で複数(この実施形態では4個)設けられている。
詳細な図示を省略するが、各掻き出し片9は棒状に形成され、ロータ5の径方向視で、当該棒状の掻き出し片9の先端側ほど前壁部2側に位置し、且つ、ロータ5の軸心方向視で、当該棒状の掻き出し片9の先端側ほどロータ5の径方向内方側に位置する傾斜姿勢で、当該棒状の掻き出し片9の基端部がロータ5と一体回転するように固定されている。そして、ロータ5が、その軸心方向視において掻き出し片9の先端が前側となる向きに回転駆動される。
【0059】
複数の掻き出し片9が設けられた仕切体15が、頂部の筒状摺接部15aがケーシング1の前壁部2側を向く姿勢で、周方向に等間隔を隔てた複数箇所(この実施形態では、4箇所)に配設された間隔保持部材20により、ロータ5の前面と間隔を隔てた状態でロータ5の前面に取り付けられる。そのように仕切体15が取り付けられたロータ5が、仕切体15の筒状摺接部15aが戻し口17に摺接回転可能に嵌めこまれた状態で、ケーシング1内に配設される。
すると、ロータ5の膨出状の前面と仕切体15の後面との間に、ケーシング1の前壁部2側ほど小径となる先細り状の戻し室14が形成され、戻し口17が仕切体15の筒状摺接部15aを介して戻し室14に連通するように構成されている。
又、ケーシング1の前壁部2と仕切体15の前面との間に、吸引口11に連通する環状の導入室13が形成される。
【0060】
そして、ロータ5が回転駆動されると、筒状摺接部15aが戻し口17に摺接する状態で、仕切体15がロータ5と一体的に回転することになり、ロータ5及び仕切体15が回転する状態でも、戻し口17が仕切体15の筒状摺接部15aを介して戻し室14に連通する状態が維持されるように構成されている。この戻し口17には、循環路16の内径よりも小径で且つ仕切体15の筒状摺接部15aよりも小径となり流路面積が小さな絞り部17aが形成されている。
【0061】
詳細な図示を省略するが、2段目の吸引混合ポンプY2、及び、3段目の吸引混合ポンプY3は共に、1段目の吸引混合ポンプY1と同様に構成されている。
図1に示すように、1段目の吸引混合ポンプY1に備えられた分離装置70Aの上部排出口71cと2段目の吸引混合ポンプY2の吸引口11とを接続する送出路22、及び、2段目の吸引混合ポンプY2に備えられた分離装置70Bの上部排出口71cと3段目の吸引混合ポンプY3の吸引口11とを接続する送出路22の夫々には、2段目の吸引混合ポンプY2の吸引口11や3段目の吸引混合ポンプY3の吸引口11への混合流体F(具体的には、小比重分Fs)の供給を停止可能なシャッタバルブ46が配設されている。
【0062】
つまり、1段目の吸引混合ポンプY1に備えられた分離装置70Aの上部排出口71cに対して、送出路22を介して、2段目の吸引混合ポンプY2の吸引口11からの負圧吸引力が作用して、1段目の吸引混合ポンプY1に備えられた分離装置70Aの上部排出口71cから排出された小比重分Fsが、混合流体Fとして、2段目の吸引混合ポンプY2に吸引口11を通して吸引導入される。並びに、2段目の吸引混合ポンプY2に備えられた分離装置70Bの上部排出口71cに対して、送出路22を介して、3段目の吸引混合ポンプY3の吸引口11からの負圧吸引力が作用して、2段目の吸引混合ポンプY2に備えられた分離装置70Bの上部排出口71cから排出された小比重分Fsが、混合流体Fとして、3段目の吸引混合ポンプY3に吸引口11を通して吸引導入される。
【0063】
次に、図1〜図3に基づいて、分離装置70について説明を加える。尚、図3は、捻り板74を示す図であり、(a)は、捻り板74を配設した捻り板支持筒75の平面図であり、(b)は、(a)のIIIb−IIIb方向での断面図であり、(c)は捻り板74を配設した捻り板支持筒75の斜視図である。
基本の分離装置70Bについての詳細な図示を省略するが、脱泡式の分離装置70A及び基本の分離装置70Bのいずれも、円筒状容器71の底部に、混合流体Fを供給する供給口71aが円筒状容器71の軸心と同心状に設けられ、下部排出口71bは、供給口71aの側方に設けられている。脱泡式の分離装置70Aでは、上部排出口71cは、円筒状容器71の上部周壁における凹状液面Fmよりも下方側に設けられ、基本の分離装置70Bでは、上部排出口71cは、円筒状容器71の頂部に設けられている。
【0064】
図2及び図3に示すように、導入管72は、その下端開口部が供給口71aに連通する状態で円筒状容器71内に配設されると共に、その導入管72の吐出端である上端開口部72aの上方に、その上端開口部72aから吐出される混合流体Fを旋回流動させる捻り板74が配設されている。
導入管72の上端部には、内径がその導入管72よりも大径の捻り板支持筒75が外嵌状に取り付けられ、複数(この実施形態では4枚)の捻り板74が、夫々を導入管72の軸心を含む面に対して角度α傾斜させる(図3(b)参照)と共に、夫々の長手方向(導入管72の軸心A1に沿う方向)での中心線74cが互いに捻れる状態となるように配設されている。
【0065】
導入管72の軸心A1を含む面に対する捻り板74の傾斜角度α(図3(b)参照)は、40〜50度の範囲が好ましく、この実施形態では、45度に設定される。又、各捻り板74における捻り板支持筒75の内面に沿う縁部は、軸心A1に対して角度α傾斜する面での捻り板支持筒75の切断面における内周に沿う形状に形成されて、捻り板74が捻り板支持筒75の内面に当接状態で配設されている。又、各捻り板74の上端は、捻り板支持筒75の上端から突出している。
【0066】
脱泡式の分離装置70Aについて説明を加えると、円筒状容器71の上端開口は、閉塞板71dにて閉塞され、旋回羽根駆動モータM1は、その駆動軸76を下向きに向けた状態で、閉塞板71dに載置支持されている。その旋回羽根駆動モータM1の駆動軸76は、円筒状容器71の軸心と同軸状で、下向きに閉塞板71dを貫通させて円筒状容器71内に挿入されている。そして、旋回羽根73が、旋回羽根駆動モータM1の駆動軸76の先端に連結されて、捻り板74の上方に配設されている。但し、旋回羽根73の回転方向は、捻り板74による混合流体Fの旋回方向と同方向に設定される。
つまり、導入管72が、円筒状容器71と同心状に設けられ、旋回羽根73の回転軸心A1が、円筒状容器71の軸心と同心状になるように配設されている。
【0067】
排気部Eが、一端を気相空間R内における円筒状容器71の軸心(旋回羽根73の回転軸心A1)近傍に位置させた状態で、円筒状容器71内と連通する排気路77と、その排気路77の他端に接続された吸引作用する真空ポンプ78とを備えて構成されている。
説明を加えると、排気路77は、その一端(吸引端)を下向きに閉塞板71dを貫通させて円筒状容器71の軸心近傍に位置させた形態で配管され、その排気路77の他端(基端)に真空ポンプ78が接続されている。
【0068】
そして、一次スラリーFaが設定された流量で導入管72に供給されたときに、円筒状容器71内の上部に、凹状液面Fmを形成して気相空間Rを形成可能なように、円筒状容器71の形状や旋回羽根73の回転数等が設定されている。
【0069】
次に、この吸引式混合システムの動作について説明する。
まず、粉体供給装置Xを停止し、1段目の吸引混合ポンプY1に対応するシャッタバルブ46を閉止し、2段目及び3段目の吸引混合ポンプY2,Y3夫々に対応するシャッタバルブ46を開いた状態で、液体供給装置50から液体Lのみを供給しながら、1段目、2段目及び3段目の各吸引混合ポンプY1,Y2,Y3夫々のポンプ駆動モータM4を作動させて、1段目、2段目及び3段目の各吸引混合ポンプY1,Y2,Y3の運転を開始して、前処理運転を開始する。所定の前処理用の運転時間が経過して、1段目、2段目及び3段目の各吸引混合ポンプY1,Y2,Y3内が、負圧状態(例えば、−0.06MPa程度の真空状態)となると、前処理運転を終了して、1段目の吸引混合ポンプY1に対応するシャッタバルブ46を開放すると共に、粉体供給装置X及び液体供給装置50を作動させて、通常運転を開始する。
【0070】
通常運転では、1段目の吸引混合ポンプY1への粉体Pの単位時間当たりの供給量が設定粉体供給量となるように粉体供給装置Xの作動が制御され、並びに1段目の吸引混合ポンプY1への液体Lの単位時間当たりの供給量が設定液体供給量となるように液体供給装置50の作動が制御される。
ここで、設定粉体供給量及び設定液体供給量は、スラリーを生成するための粉体Pと液体Lとの混合比率に応じて設定される。
【0071】
ホッパ31内に貯留された粉体Pが、1段目の吸引混合ポンプY1の負圧吸引力により、ホッパ31の下部開口部31bから定量供給機構40の膨張室47を介してミキシング機構60のミキシング部材61に設定粉体供給量で連続的に定量供給される。並行して、1段目の吸引混合ポンプY1の負圧吸引力により、液体Lがミキシング機構60のミキシング部材61に設定液体供給量で連続的に定量供給される。
ミキシング機構60のミキシング部材61からは、粉体Pがミキシング部材61の筒状部62を通して吸引口11に供給されると共に、液体Lが、環状のスリット63を通して切れ目のない中空円筒状の渦流の状態で吸引口11に供給され、吸引口11により、粉体Pと液体Lとが予備混合され、その予備混合物Fpが環状溝10に導入される。
【0072】
1段目の吸引混合ポンプY1のロータ5が高速で回転駆動されて、そのロータ5と一体的に仕切体15が高速回転すると、その仕切体15に同心状に設けられた4個の掻き出し片9が環状溝10に先端部9Tが嵌め込まれた状態で高速で周回する。
すると、吸引口11を流動して環状溝10に導入された予備混合物Fpは、環状溝10に嵌め込まれて周回する掻き出し片9の先端部9Tにより掻き出され、その掻き出された予備混合物Fpは、概略的には、導入室13内を仕切体15における漏斗状部15bの前面と環状平板部15cの前面とに沿いながらロータ5の回転方向に流動し、更に、ステータ7の導入室側透孔7aを通過して翼室8に流入し、その翼室8内をロータ5の回転方向に流動して、一次スラリーFa(混合流体Fの一例)として吐出口12から吐出される。
【0073】
つまり、環状溝10に導入された予備混合物Fpは、掻き出し片9の先端部9Tにより掻き出されるときに、せん断作用を受けるので、予備混合物Fpが十分に細かく解砕されると共に、予備混合物Fpの流動に効果的に乱れが生じて、粉体Pが液体Lに効率良く溶解混合される。そして、予備混合物Fpが細かく解砕されて溶解混合され、更に、導入室側透孔7aの通過の際にもせん断作用を受けて解砕され、更に、高速で回転する回転翼6によりせん断作用を受けて解砕されて、ダマが極めて少ない一次スラリーFaが生成され、その一次スラリーFaが、後述する戻し室14からの再攪拌スラリーと混合されて吐出口12から吐出される。
【0074】
吐出口12から吐出された一次スラリーFaは、吐出路18を通して脱泡式の分離装置70Aに供給される。
図2に示すように、その脱泡式の分離装置70Aでは、導入管72の上部開口部72aから吐出された一次スラリーFaは複数の捻り板74により旋回させられながら上方に流動し、更に、旋回羽根駆動モータM1により回転駆動される旋回羽根73により旋回流動させられる。すると、円筒状容器71内において、一次スラリーFaは、未溶解の粉体Pの含有率が高く且つ気泡の含有率が低くて比重が大きいものほど、円筒状容器71の外周側及び下方に流動し、並びに、未溶解の粉体Pの含有率が低く且つ気泡の含有率が高くて比重が小さいものほど上方に流動しつつ、円筒状容器71内の上部に凹状液面Fmを形成する状態で旋回流動して、比重差及び遠心力により、大比重分Frと小比重分Fsとに分離される。
【0075】
しかも、旋回羽根73が円筒状容器71と同心の回転軸心A1で回転するので、円筒状容器71内において、凹状液面Fmの中心の最低部が円筒状容器71の軸心近傍に位置する状態で、一次スラリーFaの旋回流動を効果的に起こさせることができる。すると、大比重分Frと小比重分Fsとの分離を一層促進させることができるので、気泡の含有率が高くて比重が小さい小比重分Fsをより効果的に上方に流動させることができる。
【0076】
そして、大比重分Frは下部排出口71bから循環路16を通して再び1段目の吸引混合ポンプY1に供給され、小比重分Fsは、混合流体Fとして、2段目の吸引混合ポンプY2の負圧吸引力により、上部排出口71cから送出路22を通して、2段目の吸引混合ポンプY2に導入される。
【0077】
円筒状容器71内の凹状液面Fmの上方に形成される気相空間Rには、排気管77を通して真空ポンプ78の負圧吸引力が作用しているので、円筒状容器71内を流動する一次スラリーFa内に含有される空気Vの気泡が気相空間R内に抜け出て、空気Vが真空ポンプ78により円筒状容器71外に排気される。
このことにより、上部排出口71cから排出される小比重分Fsの気泡の含有率が低下されるので、2段目の吸引混合ポンプY2の吸引効率が低下するのを抑制することができる。
又、真空ポンプ78の負圧吸引力が、吐出路18を通して1段目の吸引混合ポンプY1の内部に作用するので、1段目の吸引混合ポンプY1の負圧吸引力が高められることになり、1段目の吸引混合ポンプY1の吸引効率を向上することが可能となる。
【0078】
大比重分Frは、1段目の吸引混合ポンプY1の戻し口17から戻し室14に導入され、その戻し室14内において、高速で回転する複数の攪拌羽根(図示せず)によりせん断作用を受けて、更に細かく解砕され、更に、戻し室側透孔7bの通過の際にもせん断作用を受けて解砕され、更に、高速で回転する回転翼6によりせん断作用を受けて解砕され、ダマが更に少なくなった再攪拌スラリーが導入室13からの一次スラリーFaと混合されて1段目の吸引混合ポンプY1の吐出口12から吐出される。
【0079】
図1に示すように、1段目の吸引混合ポンプY1に対応する分離装置70で分離された小比重分Fsは、混合流体Fとして、2段目の吸引混合ポンプY2の負圧吸引力により、送出路22を通して、その2段目の吸引混合ポンプY2の吸引口11から環状溝10に導入される。
環状溝10に導入された小比重分Fsは、1段目の吸引混合ポンプY1と同様に、環状溝10に嵌め込まれて周回する掻き出し片9の作用により、細かく解砕されて攪拌され、そのように再攪拌された二次スラリーFbが、後述する戻し室14からの再攪拌スラリーと混合されて吐出口12から吐出される。
【0080】
2段目の吸引混合ポンプY2の吐出口12から吐出された二次スラリーFb(混合流体Fの一例)は、吐出路18を通して基本の分離装置70Bに供給され、その基本の分離装置70Bにおいて、比重差と捻り板74の旋回作用により生じる遠心力とにより、大比重分Frと小比重分Fsとに分離されて、大比重分Frは下部排出口71bから循環路16を通して再び2段目の吸引混合ポンプY2に供給され、小比重分Fsは、混合流体Fとして、3段目の吸引混合ポンプY3の負圧吸引力により、上部排出口71cから送出路22を通して、3段目の吸引混合ポンプY3に導入される。
【0081】
大比重分Frは、2段目の吸引混合ポンプY2の戻し口17から戻し室14に導入され、その戻し室14内において、1段目の吸引混合ポンプY1と同様に、せん断作用を受けて解砕されて攪拌され、ダマが更に少なくなった再攪拌スラリーが導入室13からの二次スラリーFbと混合されて2段目の吸引混合ポンプY2の吐出口12から吐出される。
【0082】
2段目の吸引混合ポンプY2に対応する分離装置70で分離された小比重分Fsは、混合流体Fとして、3段目の吸引混合ポンプY3の負圧吸引力により、送出路22を通して、その3段目の吸引混合ポンプY3の吸引口11から環状溝10に導入される。
そして、3段目の吸引混合ポンプY3においては、2段目の吸引混合ポンプY2と同様に、吸引口11から環状溝10に導入された小比重分Fsは、導入室13において細かく解砕されて攪拌され、並びに、戻し口17から導入された大比重分Frは、戻し室17において細かく解砕されて攪拌され、導入室13からの三次スラリーFc(混合流体の一例)と戻し室17からの再攪拌スラリーが混合されて、吐出口12から吐出され、吐出路18を通して基本の分離装置70Bに供給される。
【0083】
3段目の吸引混合ポンプY3に備えられた基本の分離装置70Bにおいては、三次スラリーFcは、比重差と捻り板74の旋回作用により生じる遠心力とにより、大比重分Frと小比重分Fsとに分離されて、大比重分Frは循環路16を通して再び3段目の吸引混合ポンプY3に供給され、小比重分Fsは製品のスラリーとして送出路22を通して供給先80に送出される。
従って、粉体Pと液体Lとの混合比率が安定すると共にダマが殆どなく、しかも気泡の含有率が極めて低い良質なスラリーを生成することができる。
【0084】
〔別実施形態〕
(A)上記の実施形態において設けた捻り板74を省略しても良い。
【0085】
(B)直列状に連結された複数の吸引混合ポンプY夫々に設けた分離装置70のうちで、本発明に係る脱泡式とするものは、適宜設定することができる。例えば、複数の吸引混合ポンプY夫々に設けた全ての分離装置70を脱泡式としても良いし、一部のものを脱泡式としても良い。一部のものを脱泡式とする場合、脱泡式とする台数や直列状の位置は適宜設定することができる。
例えば、上記の実施形態のように3基の吸引混合ポンプYを直列状に連結する場合、上記の実施形態では、1段目の吸引混合ポンプY1に備えた分離装置70を脱泡式としたが、例えば、2段目の吸引混合ポンプY2に備えた分離装置70を脱泡式としたり、1段目、2段目の吸引混合ポンプY1,Y2夫々に備えた分離装置70を脱泡式としても良い。
【0086】
(C)上記の実施形態では、吸引混合ポンプYを直列状に連結した状態で3基設けたが、直列状に連結する吸引混合ポンプYは、2基でも良く、あるいは、4基以上でも良い。
又、吸引混合ポンプYを1基だけ設けても良い。
【0087】
(D)導入管72及び旋回羽根73の配置形態は、上記の実施形態で例示した配置形態、即ち、導入管72の軸心が円筒状容器71の軸心と同心状であり、旋回羽根73の回転軸心A1が円筒状容器71の軸心と同心状である配置形態に限定されるものではない。例えば、導入管72の軸心が円筒状容器71の軸心からずれた配置形態や、旋回羽根73の回転軸心A1が円筒状容器71の軸心からずれた配置形態でも良い。
【0088】
(E)上記の実施形態では、粉体Pとして単一種類のCMC粉体を用いたが、必要に応じて、複数種類の粉体を混合した混合粉体を粉体Pとして用いることができる。また、同様に、液体Lとして単一種類の水を用いたが、必要に応じて、複数種類の液体を混合した混合液体を液体Lとして用いることができる。
又、上記の実施形態では、分散質として粉体Pを用い、液相分散媒として水(溶媒の一例)を用いて、分散質を液相分散媒に溶解させる場合に本発明を適用したが、分散質を液相分散媒に溶解させずに分散させる場合にも、本発明を適用することができる。
又、分散質としては、上記の実施形態において例示した粉体P(固相分散質の一例)に限定されるものではなく、例えば、液相分散質でも良い。例えば、液相分散質としての油を液相分散媒としての水に分散させる場合にも、本発明を適用することができる。
【産業上の利用可能性】
【0089】
以上説明したように、気泡の含有率が低い分散質と液相分散媒との混合流体を得られる吸引混合ポンプ用の分離装置及び吸引式混合システムを提供することができる。
【符号の説明】
【0090】
6 回転翼
11 吸引口(吸引部)
12 吐出口(吐出部)
17 戻し口(戻し部)
70 吸引混合ポンプ用の分離装置
71 円筒状容器
71b 下部排出口
71c 上部排出口
72 導入管
72a 上部開口部(吐出端)
73 旋回羽根
74 捻り板
77 排気路
78 真空ポンプ
A1 回転軸心
E 排気部(排気手段)
F 混合流体
Fm 凹状液面
Fr 大比重分
Fs 小比重分
L 水(液相分散媒)
M1 旋回羽根駆動モータ
P 粉体(分散質)
R 気相空間
Y 吸引混合ポンプ
V 気泡、空気(気体)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
上部に上部排出口を有し且つ下部に下部排出口を有する円筒状容器と、前記円筒状容器の底部から突入する状態で前記円筒状容器内に設けられた導入管とを備え、
分散質と液相分散媒とを負圧吸引力により吸引部を通して内部に吸引して攪拌する吸引混合ポンプの吐出部から吐出される分散質と液相分散媒との混合流体を、前記導入管に導入させ、比重差により分離して、前記上部排出口と前記下部排出口とから排出する吸引混合ポンプ用の分離装置であって、
前記円筒状容器内の上部に、上下方向の回転軸心周りに回転可能に配設される旋回羽根と、
前記旋回羽根を回転駆動して前記円筒状容器内の混合流体を旋回流動させる旋回羽根駆動手段と、
前記円筒状容器内の上方に形成される気相空間の気体を前記円筒状容器外に吸引排気する排気手段とを備えている吸引混合ポンプ用の分離装置。
【請求項2】
前記円筒状容器内における前記導入管の吐出端の上方に、前記吐出端から吐出される前記混合流体を旋回流動させる捻り板が配設され、
前記旋回羽根が、前記捻り板の上方に配設されている請求項1に記載の吸引混合ポンプ用の分離装置。
【請求項3】
前記導入管が、前記円筒状容器と同心状に設けられ、
前記旋回羽根の回転軸心が、前記円筒状容器と同心状になるように配設され、
前記排気手段が、一端を前記気相空間内における前記円筒状容器の軸心近傍に位置させた状態で、前記円筒状容器内と連通する排気路と、前記排気路の他端に接続された真空ポンプとを備えて構成されている請求項1又は2に記載の吸引混合ポンプ用の分離装置。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか1項に記載の吸引混合ポンプ用の分離装置と、前記吸引混合ポンプとを備え、
前記吸引混合ポンプが、前記吐出部から吐出された混合流体の一部を当該吸引混合ポンプの内部に戻す戻し部を備え、
前記吸引混合ポンプの前記吐出部が前記分離装置の前記導入管に接続され、前記吸引混合ポンプの前記戻し部が前記分離装置の前記下部排出口に接続されている吸引式混合システム。
【請求項5】
複数の前記吸引混合ポンプが、上流側の吸引混合ポンプの前記吐出部から吐出された混合流体が、下流側の吸引混合ポンプの前記吸引部から当該下流側の吸引混合ポンプの内部に吸引導入される形態で直列状に連結されて設けられ、
直列状に連結された前記複数の吸引混合ポンプのうちの少なくとも一つ以上の夫々に対して、前記分離装置が備えられ、
直列状の並び方向で隣接する二つの吸引混合ポンプのうちの上流側の吸引混合ポンプに備えられる前記分離装置については、前記上部排出口が、当該分離装置が備えられた吸引混合ポンプに最も近い下流側の吸引混合ポンプの前記吸引部に接続されている請求項4に記載の吸引式混合システム。
【請求項6】
直列状に連結された前記複数の吸引混合ポンプのうちの最上流の吸引混合ポンプが、分散質と液相分散媒とを前記吸引部を通して内部に吸引導入して混合攪拌し混合流体を前記吐出部から吐出するように構成され、
前記最上流の吸引混合ポンプに対して、前記分離装置が備えられている請求項5に記載の吸引式混合システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2013−27849(P2013−27849A)
【公開日】平成25年2月7日(2013.2.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−167551(P2011−167551)
【出願日】平成23年7月29日(2011.7.29)
【出願人】(000127237)株式会社イズミフードマシナリ (53)
【出願人】(000229047)日本スピンドル製造株式会社 (328)
【Fターム(参考)】