説明

吸放湿機能性パイプ、これを用いたパイプ内壁面結露防止方法、及びこれを用いた地熱交換機

【課題】気体を流通させるパイプとして種々の装置において利用可能であって、内部における結露の発生およびカビの繁殖を防止することが可能なパイプ、これを用いたパイプ内壁面結露防止方法、および該パイプを用いた地熱交換機を提供する。
【解決手段】気体を流通させるパイプの内壁面に、高吸収性ポリマーを含有する湿度調整層を設ける吸放湿機能性パイプ1であり、上記パイプとして前記の吸放湿機能性パイプ1を用い、該吸放湿機能性パイプ1に気体を取り込み、流通させる過程において、該吸放湿機能性パイプ1に流通する気体A中に含まれる水蒸気を上記湿度調整層4に吸収させ保持させる吸収ステップと、上記湿度調整層4内部に保持された水分を、上記吸放湿機能性パイプ1中に流通する気体Bに放出させる放出ステップと、を繰り返すことを特徴とするパイプ内壁面結露防止方法である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、気体を流通させるためのパイプおよびこの利用に関する。より詳しくは、パイプ内において湿度の高い気体が流通した場合であっても結露の発生が防止されるパイプ、及び当該パイプを用いた結露防止方法、及び、当該パイプを用いた地熱交換機に関する。
【背景技術】
【0002】
気体を流通させるための各種のパイプにおいて、当該気体中に含有される水蒸気がパイプ内において結露となり、カビなどを発生させる原因となることが知られている。
【0003】
例えば、地盤中に埋設されたパイプ内に外気を取り込み、当該外気を熱媒体としてパイプ内を流通させ、地熱と外気熱とを交換する地熱交換機では、上記パイプの内壁面において外気中に含有される水蒸気が結露となって生じ、これによりカビが発生する場合がある。したがって上記カビの発生を防止するために、地熱交換機におけるパイプ内を流通する熱媒体としては、水や不凍液などが選択されることが一般的である(例えば特許文献1)。熱媒体として外気などの気体を利用することも可能であるが、この場合には、熱媒体である外気(気体)取り込み口に、除湿機などを設置し、なるべく含有される水蒸気の量の少ない気体をパイプに送り込むよう構成する必要がある。
【0004】
また別の例として、室内に設置される冷暖房機や除湿機などにおいても、気体が流通するパイプが装置内外部に使用されているが、当該パイプ内を流通する気体は、季節や時間帯によって非常に水蒸気の含有率が高くなることがある。すると、上記地熱交換機と同様に、パイプ内に結露が生じ、カビが発生し、当該カビを含んだ気体が室内に送風される虞がある。またカビの発生により、パイプ外へカビの不快なにおいが漏れ出るという問題がある。これに対し、パイプ内部をクリーニングすることによってカビを除去する手段がとられる場合がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2004−177013号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、例えば地熱交換機において熱媒体として不凍液を用いる場合には、地熱と熱交換した後の不凍液から、さらに採熱するためのヒートポンプなどの装置が必要となり、施設設置にかかるコストが高くなるため、熱媒体として外気を使用したいという要望があった。即ち、熱媒体として外気を用いる場合であれば、地熱と熱交換した後の適温となった外気を、そのまま室内に送風することもできるし、あるいは要望に応じて、上記ヒートポンプなどを併設してもよく、希望に応じた設計が可能であるため、熱媒体として外気の使用が望まれていた。
【0007】
また、装置内に除湿機や除湿構造を設けた場合には、ある程度、パイプ内における結露は低減されるものの、湿度が高い季節、あるいはパイプ内を流通する気体の温度と、パイプの外側の環境温度との高低差が大きい場合などには、気体の取り込み口に除湿器などを設置しても、パイプ内に結露が発生する場合があり、結露対策として充分ではなかった。
【0008】
また、パイプ内部に発生したカビは、上述のとおりパイプ内のクリーニングによって除去することが可能ではあるが、これは、パイプの長さがそれほど長くない場合や、パイプの設置位置がクリーニング可能な位置であることなどの条件を満たしたときのみ可能な手段であって、例えば、地熱交換機に用いられる熱媒体を流通させるためのパイプのように、地盤中に埋め込まれており、物理的にクリーニングが不可能な設置位置に使用されているような場合は、実質的にパイプ内部のカビの除去を目的としたクリーニングは不可能であった。このような場合には、パイプ自体を交換すること以外には、繁殖したカビを除去することができなかった。即ち、パイプ内部に発生したカビをクリーニングで除去する方法は、汎用性の点で欠けるという問題があった。
【0009】
本発明は、上記問題に鑑みなされたものであって、気体を流通させるパイプとして種々の装置において利用可能であって、内部における結露の発生およびカビの繁殖を防止することが可能なパイプ、これを用いたパイプ内壁面結露防止方法、および該パイプを用いた地熱交換機を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明者らは、気体を流通させるパイプの内壁面に、高吸収性ポリマーを含有する湿度調整層を設けることによって、パイプ内を流通する気体の水蒸気含有率を好ましく調整することができ、これによってパイプ内壁における結露の発生を抑制あるいは防止することができ、この結果、カビの繁殖を防止することができることを見出し、本発明を完成させた。
【0011】
即ち本発明は、
(1)気体流通用に用いられるパイプであって、内壁面に、直接または間接に、高吸収性ポリマーを含有する湿度調整層が設けられていることを特徴とする吸放湿機能性パイプ、
(2)上記内壁面と上記湿度調整層との間にプライマー層が設けられていることを特徴とする上記(1)に記載の吸放湿機能性パイプ、
(3)気体流通用のパイプの内壁面における結露を防止する方法であって、上記パイプとして上記(1)または(2)に記載の吸放湿機能性パイプを用い、該吸放湿機能性パイプに気体を取り込み、流通させる過程において、該吸放湿機能性パイプに流通する気体A中に含まれる水蒸気を上記湿度調整層に吸収させ保持させる吸収ステップと、上記湿度調整層内部に保持された水分を、上記吸放湿機能性パイプ中に流通する気体Bに放出させる放出ステップと、を繰り返すことを特徴とするパイプ内壁面結露防止方法、
(4)建造物用基礎下方における地盤中にパイプを埋設し、上記パイプ内に屋外から外気を取り込み流通させることによって、上記外気を熱媒体として、地盤熱と外気熱とで熱交換を行う地熱交換機において、上記パイプとして、上記(1)または(2)に記載の吸放湿機能性パイプを用いることを特徴とする地熱交換機、
を要旨とするものである。
【発明の効果】
【0012】
本発明の吸放湿機能性パイプは、パイプ内壁面に、高吸収性ポリマーを含有する湿度調整層が設けられていることにより、当該パイプ中に流通する気体に含有される水蒸気を上記高吸収性ポリマーに吸収させることが可能である。また、水分を保持した高吸収性ポリマーから、パイプ中に流通する気体中に、当該水分を放出させることも可能である。すなわち、パイプ中を流通する気体の温度、湿度及びパイプ内壁面における温度によって、上記湿度調整層において、水蒸気の吸収作用、および水分の放出作用のいずれをも発揮させることが可能である。
【0013】
したがって、パイプ内部を流通する気体の湿度が高い場合であっても、上記湿度調整層の吸収作用により、結露が発生する前に気体中の水蒸気が上記湿度調整層に吸収されるため、パイプ内壁面において結露の発生が防止される。あるいは結露が発生しても速やかに該結露が上記湿度調整層に吸収される。このように、カビの繁殖の原因だった結露の発生が防止されることから、パイプ内部におけるカビの繁殖が防止される。
【0014】
また、湿度調整層に吸収された水分は、該湿度調整層の放出作用により、パイプ内を流通する気体へと放出され得る。したがって、本発明のパイプは、湿度調整層がその吸収作用により水分で飽和した状態になった場合であっても、次いで放出作用により当該水分を放出することによって、再び、水分を吸収可能な状態へと戻ることができるため、繰り返し、吸収作用を発揮することができる。
【0015】
上述のような効果を備えるパイプを使用することによれば、本発明のパイプ内壁面結露防止方法を実現することができる。即ち、吸放湿機能性パイプに気体を取り込み、流通させる過程において、該吸放湿機能性パイプ内を流通する気体A中に含まれる水蒸気を上記湿度調整層に吸収させ保持させる吸収ステップと、上記湿度調整層内部に保持された水分を、上記吸放湿機能性パイプ中に流通する気体Bに放出させる放出ステップと、を繰り返すことにより、パイプ内において結露の発生を良好に抑制、あるいは防止することができる。特に、屋外から取り込んだ外気は、時間帯や季節などによって温度及び湿度が異なり、従来はパイプ内において結露が発生しない程度に湿度を調整し、カビを発生させないようにすることが困難であったが、本発明の結露防止方法であれば、そのような外気をパイプ内に流通させた場合であっても、良好にパイプ内壁面における結露発生を、抑制あるいは防止することができ、この結果、カビの発生を防止することができる。
【0016】
上述のとおり、本発明のパイプを用いることにより、従来問題だった、パイプ内部のカビの繁殖を防止することができ、カビの不快な匂いがパイプ外に漂う虞がない。また発生したカビを除去するためのパイプ内クリーニングを実施する必要がないため、パイプの長さやパイプの設置場所が限定されず、使用目的、設置場所を選ばず、広範に使用することができる。
【0017】
たとえば、上記吸放湿機能性パイプを地熱交換用のパイプとして用いる地熱交換機であれば、パイプ内に結露、およびカビの発生が防止されるため、熱媒体として不凍液ではなく、外気を使用することができる。これによれば、熱媒体として不凍液を使用する地熱交換機のように、熱媒体からの採熱装置が必ずしも必要ではなく、熱交換後の外気を直接に室内に送風することができるため、設計の選択に自由度があり、コストを抑えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明の吸放湿機能性パイプの一実施形態を示す概略断面図である。
【図2】本発明の地熱交換機の一実施態様における気体の流れを示すフローである。
【図3】本発明のパイプを用いた冷房機における気体の流れを示すフローである。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下に、図面を用いて本発明を実施するための形態について説明する。図1は、本発明の吸放湿機能性パイプの伸長方向に対して略垂直に切断した概略断面図である。図1に示す本発明の吸放湿機能性パイプ1は、パイプ本体2の内壁面に、プライマー層3、湿度調整層4が、この順で設けられて構成されている。
【0020】
本発明においてパイプ本体2は、気体を流通させるためのパイプとして利用可能なパイプであれば、特に限定されず、材質、形状、寸法などは任意である。たとえばパイプ本体2の材質の例としては、アルミ、ステンレス、鉄などの金属であってもよいし、あるいは樹脂性のパイプであってもよい。パイプを構成する樹脂の種類は特に限定されず、塩ビ系、ポリエステル系、ポリプロピレン系など、パイプを構成することが可能な樹脂であれば特に限定されないが、たとえば架橋性ポリエステル樹脂などの樹脂が好ましく使用される。またパイプの内側表面にメッキ加工などが施されてあってもよい。
【0021】
パイプ本体2の内壁面と、湿度調整層4との間に設けられるプライマー層3は、本発明において任意の層であるが、パイプ本体2の内壁面に対し、湿度調整層4の密着性を向上させることができるため、形成されることが好ましい。特に、パイプが樹脂により構成されている場合には、プライマー層3を設けることによってパイプ内壁面に湿度調整層4を良好に形成することができ、充分な密着性を維持することができるため好ましい。一方、パイプが金属により構成されている場合には、プライマー層3がなくともパイプ内壁面に直接接して湿度調整層4を良好に形成し、その密着性を維持することが可能であるので、プライマー層3の形成の有無は任意に選択されてよい。
【0022】
プライマー層3を構成するプライマーは、パイプ本体2内壁面と湿度調整層4との間において、両者の密着性を向上させることができるものであれば特に限定されず、アクリル系プライマー、ウレタン系プライマー、エポキシ系プライマー、シリコーン系プライマー、シラン系プライマーなどの従来公知のプライマーを適宜選択して使用することができる。中でも、コストが安く、入手及び使用の容易性などの観点からアクリル系プライマーを好ましく使用することができる。プライマー層の厚みは、湿度調整層4をパイプ本体2の内壁面に対し、良好に密着させることができる厚みであればよく、一般的には、数μm〜数十μm程度である。
【0023】
パイプ本体2内壁面にプライマー層を形成する際には、プライマー層3を構成する樹脂を適当な溶剤に混合させてプライマー層形成用塗装液を調製し、これをパイプ本体2の内壁面に塗装する。
塗装方法は、パイプ内壁面にプライマー形成用塗装液を吹き付ける吹き付け塗装方法、あるいはライニング方法などの管内壁面塗装方法を適宜選択してパイプ本体2の内壁面に上記プライマー形成用塗装液を塗装する方法などであってよく、特に限定されるものではない。上記ライニング方法としては、例えば、ボールピグによりパイプ本体2内を往復して塗装液をライニングする方法や、管状空気流でパイプ本体内壁面に塗装液を圧装する方法などがある。
【0024】
湿度調整層4は、本発明の吸放湿機能性パイプ1の必須の構成層として、該吸放湿機能性パイプ1の内壁面に、直接接して、あるいは上述するプライマー層などの任意の層を介して、設けられる層である。本発明における湿度調整層4は、少なくとも高吸収性ポリマーを含み、また任意で他の材料をさらに含有していても良い。
【0025】
上記高吸収性ポリマーとは、自重の数十倍から数百倍の重量の水分吸収力があり、且つ、吸収した水分を保持できるものをいう。本発明において用いられる高吸収性ポリマーは、公知の高吸収性ポリマーとして知られるものを適宜選択して使用することができる。たとえば、具体的には、でんぷん系、セルロース系や合成ポリマー系などのものがあり、より詳しくは、でんぷん−アクリル酸(塩)グラフト共重合体、でんぷん−アクリロニトリル共重合体のケン化物、ナトリウムカルボキシメチルセルロースの架橋物、ポリアクリル酸系、ポリビニルアルコール系、ポリアクリルアミド系などの合成ポリマーなどが挙げられる。中でも、ポリアクリル酸ナトリウム架橋体が好ましく用いられる。上記ポリアクリル酸ナトリウム架橋体は、例えば、アクリル酸・アクリル酸ナトリウム混合水溶液に少量の多官能アクリレート等の架橋性モノマーを用い、共重合させることによって生成される。あるいは、ポリアクリル酸の水溶液から水性ゲルを形成し、これを乾燥させることによってもポリアクリル酸ナトリウム架橋体を生成することができるが、生成方法は特に限定されるものではない。
【0026】
本発明において湿度調整層4は、実質的に上述する高吸収性ポリマーのみから構成されていてもよいが、バインダーとして、繊維をさらに含有させてもよい。上記繊維は、従来公知の紙おむつなどの吸収体において高吸収性ポリマーのバインダーとして用いられるものを適宜選択して使用することができる。またたとえば、セルロースまたはセルロース誘導体から得られる水和性を有するミクロフィブリルを上記繊維として、高吸収性ポリマーとともに、湿度調整層4に含有させてもよい。さらに、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において、上記湿度調整層4にその他の添加材を任意で含有させてよい。
【0027】
湿度調整層4における高吸収性ポリマーの含有量は特に限定されず、本発明の吸放湿機能性パイプの用途や使用環境、あるいはパイプの内壁面の総面積量などを勘案して、適宜決定することができるが、中でも、パイプ内壁面の単位当たりにおける高吸収性ポリマーの量が、30g/m以上500g/m以下であることが好ましく、80g/m以上250g/m以下であることがより好ましい。パイプ内壁面の単位当たりにおける高吸収性ポリマーの量を30g/m以上とすることにより、湿度調整層4において、充分な吸収作用を確保することができるからである。一方、湿度調整層4における吸収作用あるいは放出作用の観点からは、高吸収性ポリマーの量が500g/mを上回っていてもよいが、湿度調整層4において多量の高吸収性ポリマーが存在することにより、湿度調整層4の表面(すなわちパイプ内壁面の表面)形状の凹凸が顕著になり、パイプ内を流通する気体の抵抗を多くする虞があり、この問題を充分に回避するという観点からは、高吸収性ポリマーの単位面積当たりの量を、500g/m以下とすることが好ましい。
【0028】
湿度調整層4は、上述する高吸収性ポリマー、あるいはさらにバインダーを含有する湿度調整層形成用塗工液を調製し、上述するプライマー層と同様に、従来公知の吹き付け塗装方法、あるいはライニング方法などの管内壁面塗装方法を適宜選択し、パイプ本体2の内壁面に直接接して、あるいはまた、プライマー層などの任意の層の上面に、積層することにより形成することができる。
【0029】
上述する本発明の吸放湿機能性パイプは、パイプ内を流通する気体の湿度を調整する機能を発揮する。この効果は、本発明における湿度調整層が以下のとおり作用することによる。
【0030】
尚、本発明において問題とする結露とは、特に断りがない限り表面結露を意味し、より具体的には、パイプを流通する気体中の水蒸気が、パイプ内壁面において、凝集することによって生じるものを意味する。上記結露の発生は、ある温度、ある湿度の気体において、この気体が接触するパイプ内壁面が上記気体の露点温度以下であるか、露点温度を上回るかにより異なる。したがって、一定の温度且つ一定の湿度の気体であっても、パイプ内面の温度が、露点温度以下であれば当該パイプ内壁面に結露が発生するが、パイプ内壁面の温度が露点温度を上回れば結露は発生しない。
【0031】
また、本発明及び本明細書において「パイプ内壁面」とは、パイプ内面側表面に何らの層も設けられていない場合には、当該パイプの内面側表面を意味し、パイプ内面側表面に任意の層が設けられている場合には、当該任意の層の露出面を意味する。
【0032】
以下、本発明の吸放湿機能性パイプ(以下、単に「本発明のパイプ」ともいう)における湿度調整層の作用について説明する。
【0033】
まず、本発明のパイプ中において流通する気体の相対湿度が充分に高いときには、湿度調整層における高吸収性ポリマーに該気体中の水蒸気が吸収され得る。換言すると、本発明のパイプを流通する気体が、温度X℃、湿度Y%であって、上記パイプの表面の温度が、当該気体の露点温度Z℃以下、あるいはそれに近い温度である場合には、上記高吸収性ポリマーが気体中の水蒸気、あるいはパイプ内壁面に発生した結露を吸収し得る。尚、「相対湿度が充分に高いとき」とは、具体的には、気体の相対湿度が50%以上、あるいはさらに高く55%以上、少なくとも60%以上においては、高吸収性ポリマーの吸収作用が発揮し得る。以下、パイプ内において湿度調整層に含有される高吸収性ポリマーが気体の水蒸気を吸収する作用を、「湿度調整層の吸収作用」ともいう。
【0034】
上記湿度調整層の吸収作用が発揮されると、パイプを流通する気体中の水蒸気などを吸収した高吸収性ポリマーを含有する湿度調整層は、高吸収性ポリマーの膨潤により、層の厚みが乾燥状態時(水分吸収前)に比べて増大する。すると、層の厚みが増大した湿度調整層は、断熱層としての機能を発揮するに至り、本発明のパイプの外側における環境温度がパイプ内壁面に伝達し難くなることに本発明者らは着眼した。以下、膨潤して断熱層としての機能を発揮するに至った湿度調整層の作用を、「湿度調整層の断熱作用」ともいう。
【0035】
かかる湿度調整層の断熱作用によれば、パイプの外側における環境温度が低く、外気温度と温度差が大きい場合であっても、パイプ内壁面温度は上記環境温度に影響を受け難くなり、比較的高い温度が維持され、露点温度付近に到達し難くなる傾向にある。これは、湿度調整層が断熱作用を発揮するに至った結果、結露が発生し難くなることを意味する。
【0036】
また、上述のとおり膨潤した高吸収性ポリマーは、本発明のパイプ内に充分、相対湿度の低い気体を流通させるか、あるいは、パイプ内壁面の温度を露点温度より充分に高くすることによって、パイプ内に流通する気体へ水分を放出させることができる。以下、湿度調整層における高吸収性ポリマーが保持する水分を、パイプ内に流通する気体に放出する作用を、「湿度調整層の放出作用」ともいう。かかる湿度調整層の放出作用が発揮されることにより、高吸収性ポリマーの膨潤状態が解消され、再度、水分を吸収可能な状態に戻ることができ、即ち、湿度調整層の吸収作用が発揮される状態となる。
【0037】
上述する湿度調整層の吸収作用、断熱作用および放出作用は、本発明のパイプにおいて、この順に繰り返されてもよいし、あるいは、湿度調整層の作用が吸収作用から速やかに放出作用に移行するよう制御することもできる。
【0038】
たとえば、雨天時などにおいて、パイプ内を流通する気体の相対湿度が高いときには、湿度調整層の吸収作用が発揮され、当該気体の水蒸気が吸収され、気体の相対湿度が下がり、これによってパイプ壁面における結露の発生が防止される。そして充分に水蒸気を吸収した高吸収性ポリマーを含有する湿度調整層は膨潤し、上述する断熱作用を発揮するに至る。この結果、相対湿度の高い気体がパイプ内を流通しても、結露が発生し難くなる。次いで、降雨が停止することにより、気体の相対湿度は低下するため、湿度調整層の放出作用が発揮され、高吸収性ポリマーに保持されていた水分は、パイプ内を流通する気体へと放出される。
【0039】
次に、地熱交換機におけるパイプとして本発明のパイプを用いた、本発明の地熱交換機について説明する。
【0040】
ここで地熱交換機とは、一般的に、地熱交換用のパイプを地盤中に埋設し、該パイプを流通する熱媒体と地盤との間で熱交換を行う装置であって、熱交換後の熱媒体を直接に室内に送風して室内温度を調整し、あるいは熱交換後の熱媒体の熱を採取して、この採取された熱を有効利用すること等ができる。
【0041】
特に本発明の地熱交換機は、建造物用基礎下方における地盤中に地熱交換用のパイプを埋設するために、下記の利益を享受する。即ち、地熱交換機が建造物用基礎下方に設置されていることにより、建造物用基礎自体、あるいはさらに当該基礎上に建造される建造物が一種の断熱構造物としての作用を発揮するため、地盤の温度が外気温の影響を直接には受けにくい。したがって、夏場の日中であっても、地盤温度はそれほど上昇せず、換言すると外気温度に比べて有意に低い温度が維持される。その結果、熱媒体である外気と地盤熱との熱交換率が高いものとなる。一方、冬場においては、上記断熱構造物の存在により、地盤表面が外気に直接接する場合に比べて、地盤温度が下がりにくい。これは換言すると、地盤温度は、外気温度に比べて有意に高い温度が維持されるといえる。したがって、温度の低い外気を熱媒体とし、外気に比べて充分に温度の高い地盤との間で熱交換を行うことにより、熱交換率を高くすることができるのである。
【0042】
しかしながら上述のとおり、建造物基礎などが断熱構造物の作用を発揮する結果、熱媒体である外気の温度と、地盤温度との差異が大きくなる場合には、特に、地熱交換用のパイプ内部に結露が発生しやすく、またこれによりカビが発生しやすいという問題がある。これに対し、本発明の地熱交換機は、地熱交換用のパイプとして、上記吸放湿機能性パイプを用いることにより、該パイプ内部に熱媒体として外気を流通させ、外気と温度差の大きい地盤と熱交換させる場合であっても、充分に結露の発生を防止することができ、またこの結果、パイプ内部においてカビの繁殖を防止することができる。すなわち、本発明の地熱交換機は、地熱交換率が高く、且つ、パイプ内部においてカビの発生が防止されるという優れた効果を発揮する。
【0043】
以下に、地熱交換機において特に結露の生じやすい夏季を例に、本発明に地熱交換機における湿度調整層の作用を説明する。
【0044】
夏季において、外気温度は、日中と夜間とにおける温度差が大きく、一方、建造物用基礎下方における地盤温度は、日中と夜間とにおいて、外気温度ほどの温度差が生じない。したがって外気を熱媒体とする地熱交換機において、日中に屋外から取り込まれる、温度及び相対湿度の高い外気は、地盤中に埋設されたパイプの内壁面に接触した際に、結露を生じさせ易い状態にある。このとき、本発明の湿度調整層は吸収作用を発揮し、パイプ内に流通する外気の水蒸気を吸収し、当該外気の相対湿度を下げ、結露の発生を防止することができる。そして、水蒸気を吸収した高吸収性ポリマーを含有する湿度調整は次第に膨潤し、断熱作用を発揮するに至る。すると、外気と比較して低い地盤温度が、パイプ内壁面に伝わり難くなるため、パイプ内壁面の温度が露点温度にまで下がらず、この結果、結露の発生が防止される。そして、夜間になり、外気温度が下がると、外気の相対湿度が下がるため、今度は、高吸収性ポリマーに保持された水分が、パイプ内を流通する気体へ放出されることとなる。
【0045】
以上のとおり、本発明のパイプは、環境温度や天候などの変化によって、何ら人工的に制御することなく、吸収作用、断熱作用、放出作用を繰り返しながら、パイプ内を流通する気体の相対湿度を調整し、結露の発生を防止することができる。あるいはまた、湿度調整層の作用を人工的に制御することもできる。
【0046】
たとえば、高吸収性ポリマーが水分を吸収して膨潤した場合に、今度は、人工的に本発明のパイプに相対湿度の低い気体を送り込み、湿度調整層の放出作用の発揮を促してもよい。すなわち、パイプ内へと気体を取り込む経路を、外気取り込み口から低湿度気体取り込み口へと切り替え可能に設計し、膨潤した高吸収性ポリマーを、再度、水分吸収可能な状態に戻す必要がある場合には、取り込み経路を低湿度気体取り込み口に切り替えればよい。このとき、湿度調整層の水分含有量を測定するセンサーを任意の箇所に設けておき、規定の水分含有量以上になったときには、自動的に低湿度気体をパイプに送り込み、湿度調整層の水分含有率が望ましい値にまで低下したとき、低湿度気体の送風を停止し、再び、外気を取り込むなどの任意の制御をさらに付加することもできる。
【0047】
次に、本発明のパイプ内壁面結露防止方法(以下、単に「本発明の方法」ともいう)について説明する。本発明の方法は、上述する本発明の吸放湿機能性パイプを用い、当該パイプにおける湿度調整層の吸収作用および放出作用、あるいは吸収作用、断熱作用、および放出作用を利用して、パイプ内を流通する気体の相対湿度を調整し、これによってパイプ内壁面における結露の発生を防止する方法である。
【0048】
即ち、本発明の方法は、吸放湿機能性パイプに取り込まれ、流通する気体A中に含まれる水蒸気を上記湿度調整層に吸収させ保持させるステップ、(これを「吸収ステップ」という)、および、上記湿度調整層内部に保持された水分を、上記吸放湿機能性パイプ中に流通する気体Bに放出させるステップ(これを「放出ステップ」という)を繰り返すことによって、パイプ内壁面に実質的に結露が発生することを防止する方法である。尚、本明細書において「実質的に結露が発生することを防止する」とは、結露が発生しても速やかに湿度調整層における高吸収性ポリマーに水分を吸収させて結露が存在しない状態とすること、および気体中の水蒸気が飽和せず該水蒸気が結露とならない状態とすることの両方を含む。
【0049】
上記吸収ステップは、本発明のパイプにおける湿度調整層が吸収作用を発揮することによって実施され、一方、放出ステップは、湿度調整層が放出作用を発揮することによって実施される。この吸収ステップおよび放出ステップの繰り返しは、上述で説明したとおり、天候や、一日の気温差などにより自然と繰り返されるものであってもよいし、あるいは、人工的に調整されてもよい。また、この両方を組み合わせて、2つのステップを繰り返してもよい。尚、本発明の方法において、「吸収ステップと放出ステップとを繰り返す」という場合に、吸収ステップから速やかに放出ステップに移行する態様、および、吸収ステップと放出ステップとの間において、湿度調整層が断熱作用を発揮する断熱ステップがさらに実施される態様のいずれをも含む。
【0050】
本発明における吸収ステップにおいて、パイプ内を流通する気体Aは、屋外から取り込んだ外気であってもよいし、あるいは、室内における空気であってもよい。また放出ステップにおける気体Bは、同様に外気あるいは室内における空気であってもよいし、あるいは、相対湿度を低く調整された人口的に送風される気体であってもよい。
【0051】
以下に、本発明に地熱交換機の一実施態様を、気体の流れを示すフロー(図2)を用いて説明する。尚、本発明の地熱交換機は、建造物用基礎下方における地盤中に熱交換用のパイプを埋設し、上記パイプ内に屋外から外気を取り込み流通させることによって、上記外気を熱媒体として、地盤熱と外気熱とで熱交換を行う地熱交換機であって、少なくとも上記パイプとして、上述する本発明の吸放湿機能性パイプが用いられることを特徴とするものである。したがって、地熱交換機におけるその他の構成要件は、従来公知の地熱交換機の構成に従い、適宜設計することができる。
【0052】
図2に示すフローは、本発明の地熱交換機として、屋外から吸気により取り込んだ外気の水蒸気を除去するための調湿機及び/または除湿機、取り込んだ外気を複数の熱交換パイプに分散させるための熱交換パイプヘッダー、地盤熱と外気との間で熱交換を行うための熱交換パイプ(本発明のパイプ)、熱交換後の外気を複数の送風機に分散させるための熱交換ヘッダー、送風機、送風機により送付された外気により室内熱交換を行うための室内熱交換機を備えて構成されるものを採用した場合における気体の流れを示すフローである。
【0053】
上記本発明の地熱交換機において、気体の流れは以下のとおりである。まず、屋外から吸気により取り込まれた外気は経路11により調湿機あるいは除湿器に送られる。除湿機に送られた外気は、さらに経路13により調湿機に送られても良い。ここで、調湿機とは、例えば特開2004−1272で開示される結露防止用シートなどを除放湿ボックスに設置し、送り込まれる気体の湿度が高い場合には、除湿作用を発揮し、一方、湿度の低い気体が送り込まれた場合には放湿作用を発揮する機能を有する装置である。また除湿機は、外気中の水蒸気を除去可能な従来公知の除湿機であれば、特に限定されず使用することができる。
【0054】
つづてい、調湿機及び/または除湿機を経た外気は、経路14あるいは経路15を経て熱交換パイプヘッダーにより送風先を分散され、経路16を通り熱交換パイプへと送り込まれる。熱交換パイプヘッダーは、地熱交換機において必須の構成ではない。しかしながら、必要な地熱交換量を確保するための地熱交換機用パイプを全長の長い一本のパイプで構成するのではなく、長さの短い複数本のパイプで構成するほうが、該パイプ内を流通させる気体の空気抵抗を小さくすることができ、したがって、送風機の容量を小さくすることができる。そのため、熱交換パイプヘッダーを用いて、外部より取り込んだ外気などの気体である熱媒体の流通先を分散させ、上述するように複数本の熱交換用パイプに流通させることが望ましい。
【0055】
熱交換パイプでは、送り込まれる外気を熱媒体として、地盤熱と外気熱とにおいて熱交換が行われる(点線矢印27)。上述で夏季における熱交換パイプにおける結露発生の例を説明したとおり、従来では、熱交換パイプ内における結露の発生、および結露の発生によるカビの繁殖が問題であった。従来の地熱交換機においても、除湿機の設置など、外気中の水蒸気を減量させる手段は検討されているが、一年間を通して、結露の発生を充分に防止するには至っていなかった。
【0056】
これに対し本発明の地熱交換機では、本発明の吸放湿機能性パイプを熱交換パイプとして使用することにより、パイプ内において、外気中の水蒸気が吸湿機能層における高吸収性ポリマーに吸収され、あるいは、該吸湿機能層の断熱作用によりパイプ内壁面の温度が露点温度まで低下し難くなる作用が発揮されるため、パイプ壁面に結露が発生することがない。
【0057】
尚、本発明において、吸放湿機能性パイプにおける湿度調整層は、上述のとおり水分を吸収する作用と放湿する作用とを繰り返し発揮するが、この吸収作用と放湿作用との間隔が開いて、湿度調整層に水分が保持された状態がしばらくの間、持続したとしても、湿度調整層に保持された水分の存在によりカビが繁殖するものではない。これは、パイプ内における水分の存在形態の違いによる。
【0058】
即ち、一般的に水は、その結合の状態によって、自由水と結合水との2種類に区別され、カビの繁殖は、上記自由水を利用して行われ、結合水ではカビは繁殖しないことが知られている。ここで、自由水とは結合している状態にない水であり、パイプ中を流通する気体中に含まれる水蒸気、あるいは当該水蒸気が凝集して生じる結露は自由水と理解され、カビの発生の原因となる。
【0059】
一方、本発明において、湿度調整層に吸収された水分は、高吸収性ポリマーに保持された状態にあり、上記自由水であるか結合水であるかの分類においては、自由水と理解されるものである。しかしながら、高吸収性ポリマーに保持されているため、カビなどの微生物が繁殖に利用し難い状態となっている。したがって、高吸収性ポリマーに保持された水は、カビなどの微生物が繁殖しないという観点では、結合水と同等の状態にあると理解される。そのため、上記湿度調整層が水蒸気の吸収により膨潤した状態が、しばらくの期間、継続したとしても、湿度調整層の表面あるいは内部にカビが発生する虞がない。
【0060】
次いで、地熱交換パイプから経路17をとおり、熱交換パイプヘッダーにより、経路18を経て、複数の送風機に地熱交換後の外気が送り込まれ、経路19を経て、室内熱交換機から室内へ、あるいは経路21を経て直接に室内へ送風される。この結果、室内には、湿度が良好に調整され、しかも地盤熱との熱交換によって好ましい温度となった外気が送り込まれることとなる。
【0061】
そのあと、室内の空気は、換気のため一部が排気される。排気は、経路22を経て、室内から直接に屋外に空気が放出されてもよいが、室内から経路23を経て、室内熱交換機に戻されて熱交換した後、経路24を経て調湿機に戻しても良い。このように、室内の湿度の低い空気を調湿機に戻すのは、該調湿機内に設置される結露防止用シートに含まれる水分を乾燥した空気へと放出させること意図したものである。そして、結露防止用シートに含まれる水分を含むことにより湿度が高くなった気体は、経路25を経て、屋外に排気される。また室内熱交換機を経た室内の空気は、経路26を経て、熱交換パイプヘッダーに戻されてもよい。このように湿度の低い室内の空気を、熱交換パイプヘッダーに戻し、経路16を経て熱交換パイプに送り込むよう送風を切り替えることによって、熱交換パイプとして用いられる吸放湿機能性パイプにおける湿度調整層内に含有される水分を、当該空気へと放出させることができる。即ち、湿度調整層の放出作用を発揮させることができるのである。以上のとおり、本発明の地熱交換機では、従来の地熱交換機と同様に地熱交換を行うことができる上、従来、問題であった地熱交換パイプ内における結露の発生を良好に防止することができる。
【0062】
以上、図2には、本発明の地熱交換機における気体の流れについて、夏季を例に説明したが、夏季以外についても、従来、結露の発生の問題があったこと、および、本発明にパイプを地熱交換用のパイプとして使用することにより、上記結露の問題は解決され、したがってカビの発生が防止されることについて同様である。
【0063】
次に、本発明の吸放湿機能性パイプを用いた異なる実施態様として、本発明のパイプを利用した冷房機について、図3を用いて、気体の流れを経路で示しながら説明する。
【0064】
図3に示す冷房機は、従来公知の冷房装置に接続されるダクトとして、本発明の吸放湿機能性パイプを用いたものである。上記冷房機では、屋外から吸気により経路31を経て冷房装置に取り込まれた外気が、該冷却装置において目的の温度まで冷却された後、経路32を経てダクトとして用いられる本発明のパイプに送り込まれ、続いて、ダクトを介して室内に送風される。
【0065】
また室内の換気のため、室内の空気の一部は、経路34を経て屋外に排出される。このとき、排気される空気の一部は、ダクトに戻してもよい。即ち、上記本発明のパイプであるダクトにおいて、湿度調整層の放出作用を発揮させるために、室内から排気された空気の一部を経路35を経て、フィルターを介した後、再度、ダクトに送り込んでも良い。あるいは、ダクトから経路37をとおり、湿度の低下した気体を再度、ダクトに送り込んでもよい。このように、湿度の低い気体を、パイプ内に送り込まれるよう送風を切り替えることによって、湿度調整層における高吸収性ポリマーに保持された水分を、気体へと放出させることができ、これによって、該高吸収性ポリマーを、再度、水蒸気を吸収可能な状態へと戻すことができる。
【0066】
図3には、冷房機に本発明のパイプを用いた例を示したが、同様に、暖房器に本発明のパイプを用いても良い。このように、冷暖房機におけるパイプに、本発明にパイプを使用することによって、パイプ内のカビの発生を防止することができ、また、室内に送風される気体の湿度を適度に調整することができる。
【符号の説明】
【0067】
1 吸放湿機能性パイプ
2 パイプ本体
3 プライマー層
4 湿度調整層
11乃至27 本発明の一実施態様である地熱交換機における気体の流れ示す経路
31乃至37 本発明にパイプを用いた冷房機における気体の流れを示す経路

【特許請求の範囲】
【請求項1】
気体流通用に用いられるパイプであって、
内壁面に、直接または間接に、高吸収性ポリマーを含有する湿度調整層が設けられていることを特徴とする吸放湿機能性パイプ。
【請求項2】
上記内壁面と上記湿度調整層との間にプライマー層が設けられていることを特徴とする請求項1に記載の吸放湿機能性パイプ。
【請求項3】
気体流通用のパイプの内壁面における結露を防止する方法であって、
上記パイプとして請求項1または2に記載の吸放湿機能性パイプを用い、該吸放湿機能性パイプに気体を取り込み、流通させる過程において、
該吸放湿機能性パイプに流通する気体A中に含まれる水蒸気を上記湿度調整層に吸収させ保持させる吸収ステップと、
上記湿度調整層内部に保持された水分を、上記吸放湿機能性パイプ中に流通する気体Bに放出させる放出ステップと、
を繰り返すことを特徴とするパイプ内壁面結露防止方法。
【請求項4】
建造物用基礎下方における地盤中にパイプを埋設し、上記パイプ内に屋外から外気を取り込み流通させることによって、上記外気を熱媒体として、地盤熱と外気熱とで熱交換を行う地熱交換機において、
上記パイプとして、請求項1または2に記載の吸放湿機能性パイプを用いることを特徴とする地熱交換機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2010−281413(P2010−281413A)
【公開日】平成22年12月16日(2010.12.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−136393(P2009−136393)
【出願日】平成21年6月5日(2009.6.5)
【出願人】(396002851)中村物産有限会社 (22)
【出願人】(507204718)エム・イー・エス・アフティ株式会社 (5)
【Fターム(参考)】