説明

吸着された高分子および微粒子を有するミクロエマルジョン

【課題】吸着性表面を有する微粒子、このような微粒子の作製方法およびその使用を提供すること。
【解決手段】この微粒子は、ポリマー(例えば、ポリ(α−ヒドロキシ酸)、ポリヒドロキシ酪酸、ポリカプロラクトン、ポリオルトエステル、ポリ無水物など)を含み、そしてカチオン性、アニオン性または非イオン性の界面活性剤を用いて形成される。この微粒子の表面は、生物学的に活性な高分子(例えば、DNA、ポリペプチド、抗原およびアジュバント)を効率的に吸着する。代謝可能な油および乳化剤を有する油滴エマルジョンの組成物もまた提供される。免疫刺激量の抗原性物質および免疫刺激量のアジュバント組成物を有する免疫原性組成物もまた提供される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(技術分野)
本発明は、一般に、薬学的組成物に関する。特に、本発明は、吸着表面を有する微粒子、そのような微粒子を調製するための方法、および例えば、ワクチンとしてのその使用に関する。さらに、本発明は、油滴エマルジョンを含むアジュバント組成物、および例えばワクチンとしてのその使用に関する。さらに、本発明は、生分解性微粒子および/またはミクロエマルジョンを含む組成物に関し、ここで、生物学的に活性な薬剤(例えば、治療的ポリヌクレオチド、ポリペプチド、抗原およびアジュバント)がそれに吸着される。
【背景技術】
【0002】
(背景)
粒子化されたキャリアは、治療化合物の徐放性の非経口的送達を達成するために用いられている。そのようなキャリアは、長時間にわたり送達系において活性薬剤を維持するように設計される。粒子化されたキャリアの例としては、ポリメチルメタクリレートポリマー由来のもの、ならびにポリ(ラクチド)由来の微粒子(例えば、ポリ(ラクチド)(米国特許第3,773,919号を参照のこと)、ポリ(ラクチド−コ−グリコリド)、(PLGとして知られる(例えば、米国特許第4,767,628号を参照のこと))およびポリエチレングリコール(PEGとして知られる(例えば、米国特許第5,648,095号を参照のこと))が挙げられる。ポリメチルメタクリレートポリマーは、非分解性であるが、PLG粒子は、乳酸およびグリコール酸にたいするエステル結合の、ランダムな比酵素的加水分解により分解性であり、これらは、正常な代謝経路に沿って分泌される。
【0003】
例えば、米国特許第5,648,095号は、経鼻、経口、肺および経口送達のための薬物送達系としてのカプセル化された医薬を有するミクロスフェアの使用を記載する。種々のポリペプチド増殖因子を含む徐放処方物もまた、記載されている。例えば、国際特許番号WO94/12158号、米国特許第5,134,122号および国際特許番号WO96/37216号を参照のこと。
【0004】
Fattalら、Journal of Controlled Release 53:137−143(1998)は、吸着されたオリゴヌクレオチドを有するポリアルキルシアノアクリレート(PACA)から調製されたナノ粒子を記載する。
【0005】
粒子状キャリア(例えば、微粒子)もまた、適切な免疫応答を惹起する試みにおいて、吸着または捕捉された抗原とともに使用されている。そのようなキャリアは、その免疫系に対して選択された抗原の複数のコピーを提示し、そして局所のリンパ節における抗原の捕捉および保持を促進する。その粒子は、マクロファージによって貪食され得、そしてサイトカイン放出を通じて抗原提示を促進し得る。例えば、共有に係る同時係属中の出願第09/015,652号(1998年1月29日出願)は、細胞媒介性免疫学的応答を刺激するための抗原吸着および抗原カプセル化された微粒子の使用、ならびにその微粒子を作製する方法を記載する。
【0006】
共有に係る仮特許出願第60/036,316号においては例えば、微粒子を形成する方法が記載されており、これは、ポリマーを有機溶媒と合わせる工程、次いでエマルジョン安定剤(例えば、ポリビニルアルコール(PVA)を添加する工程、次いでその有機溶媒をエバポレートする工程、それにより、微粒子を形成する工程を包含する。この微粒子の表面は、ポリマーおよび安定剤を包含する。次いで、高分子(例えば、DNA、ポリペプチドおよび抗原)を、その表面上に吸着させ得る。
【0007】
抗原吸着されたPLG微粒子は、他のより毒性の系よりも顕著な利点を提供する。他方、その微粒子表面に対する生物学的に活性な薬剤の吸着は、問題であり得る。例えば、しばしば、荷電されまたは嵩高い生物学的に活性な薬剤(例えば、ポリヌクレオチド、大きなポリペプチドなど)をその微粒子表面に吸着することは、困難または不可能である。従って、そのような薬剤についての柔軟な送達系について、そして、特に、非常に感受性が高く、そして処方が困難である薬物について継続された必要性が存在する。
【0008】
アジュバントは、抗原に対して免疫応答を増強し得る化合物である。アジュバントは、体液性および細胞性の免疫の両方を増強し得る。しかし、特定の病原体は、細胞性免疫を刺激することが好ましく、特に、Th1細胞はそうである。現在使用されるアジュバントは、Th1細胞応答を適切に惹起しないし、そして/または有害な副作用を有する。
【0009】
現在、米国でのヒトでの使用について承認されている唯一のアジュバントは、アルミニウム塩(ミョウバン)である。これらのアジュバントは、B型肝炎、ジフテリア、ポリオ、狂犬病およびインフルエンザを含むいくつかのワクチンについて有用であるが、他のもの特に細胞媒介性免疫が保護に必要とされる場合には、有用でないかもしれない。例えば、複数の報告が、ミョウバンが百日咳およびチフスのワクチンの有効性を改善せず、アデノウイルスワクチンを用いてわずかに効果を提供したことを示している。さらに、例えば、注射部位での肉芽腫の誘発およびロットごとのミョウバン調整物の変動のような問題が経験されている。
【0010】
完全フロイントアジュバント(CFA)は、強力な免疫刺激剤であり、実験ベースでは、多くの抗原を用いて首尾よく使用されている。CFAは、3つの成分から構成される:ミネラルオイル、乳化剤(例えば、Arlacel A)および殺傷されたミコバクテリア(例えば、Mycobacterium tuberculosis)。水性抗原溶液を、これらの化合物と混合して、油中水エマルジョンを作製する。しかし、CFAは、疼痛、膿瘍形成および熱を含む重篤な副作用を生じ、これらにより、ヒトまたは獣用ワクチンのいずれにおいても使用されていない。この副作用は、主に、CFAのミコバクテリア成分に対する宿主の反応に起因する。不完全フロイントアジュバント(IFA)は、細菌成分を除いてCFAに類似する。米国において使用について承認されてはいないが、IFAは、他の国ではいくつかの型のワクチンについて有用となっている。IFAは、ヒトにおいてインフルエンザおよびポリオのワクチンとともに、ならびに狂犬病、イヌジステンパー、および口蹄疫病を含むいくつかの動物ワクチンともに首尾よく使用されている。しかし、実験によって、IFAに使用される油および乳化剤の両方が、マウスにおいて腫瘍を生じ得ることが示されており、これは、代替のアジュバントがヒト使用についてのよりよい選択であることを示している。
【0011】
ムラミルジペプチド(MDP)は、CFAとともに観察されるアジュバント活性を生成するミコバクテリア細胞壁複合体の最小単位を表す。Ellouら、Biochem.Biophys.Res.Comm.、1974,59,1317。広汎なアジュバント能力および副作用を示す、MDPの多くの合成アナログが生成されている。Chedidら、Prog.Allergy、1978,25,63。MDPの4つのアナログ(MDPのスレオニル誘導体(Byarsら、Vaccine、1987、5、223;MDPのn−ブチル誘導体(Chedidら、Infect.Immun.,1982,35,417);およびムラミルトリペプチドの親油性誘導体(Gislerら、Immunomodulations of Microbial Products and Related Synthetic Compounds、Y.Yamamura and S.Kotani,編、Excerpta Medica、Amsterdam、p.167))が、体液性および細胞媒介性の免疫を示し、そして低レベルの毒性を示すことが示されている。MDPの別の誘導体であるN−アセチルムラミル−L−アラニル−D−イソグルタミニル−L−アラニン−2−[1,2−ジパルミトイル−sn−グリセロ−3−3(ヒドロキシホスホリルオキシ)]エチルアミド(MTP−PE)は親油性である。MPT−PEは、脂質環境においてその分子の疎水性部分の会合を可能にするリン脂質テイルを有するが、ムラミルペプチド部分は、水性環境と会合する。従って、MPT−PEそのものは、乳化剤として作用して、水エマルジョンにおける安定な油を生成し得る。
【0012】
レバミソール(Levamisole)およびイソプリノシンは、宿主免疫を増強する他の合成アジュバントである。レバミソールは、テトラミソールのレボ異性体であり、そして体液性および細胞性の免疫を、T細胞依存性機構によって増強する。アデノシンおよびグアノシンのプリンの前駆体であるイノシンを含む複合体であるイソプリノシンは、T細胞有糸分裂誘発を促進する。イムノグロブリン(Ig)重鎖における配列に相同な4アミノ酸ペプチド(Thr−Lys−Pro−Arg)であるタフトシン(Tuftsin)は、主に、マクロファージを刺激する。
【0013】
生分解性かつ生体適合性のポリマー(ポリ(ラクチド−コ−グリコリド)(PLG)として知られる)から調製された微粒子は、多数の抗原について有効なビヒクルであることが実証されている。さらに、PLG微粒子は、捕捉された抗原の放出速度を制御し得、そして従って単回用量ワクチンについての可能性を提供する。さらに、捕捉された抗原を有する生分解性ポリマーの投与は、広汎な動物モデルにおいて強力な免疫応答を誘発することが実証されている。O’Haganら、Advanced Drug Deliv.Rev.、1998,32,225−246およびSinghら、Advanced Drug Deliv.Rev.、1998,34,285−304、それらの開示はそのすべてが本明細書において参考として援用される。
【0014】
スクアレン、三オレイン酸ソルビタン(Span85TM)、および均一な大きさにされた微小滴を提供するように微小流体化された、ポリソルベート80(Tween80TM)を含むエマルジョン(すなわち、MF59)もまた、強力な免疫応答を誘発することが示された。MF59処方物は、ミョウバン塩アジュバントを用いて得られたものよりも抗体力価5→100倍の誘発を示した。MF59は、以下を含む、多数の供給源からの抗原に対する免疫応答を増強することが実証されている:例えば、単純ヘルペスウイルス(HSV)、ヒト免疫不全ウイルス(HIV)、インフルエンザウイルス、C型肝炎ウイルス(HCV)、際とメガロウイルス(CMV)、B型肝炎ウイルス(HBV)、ヒトパピローマウイルス(HPV)、およびマラリア。Ottら、Vaccine Design:The Subunit And Adjuvant Approach、1995、M.F.Powell and M.J.Newman、編、Plenum
Press、New York、p.277−296;Singhら、Vaccine、1998,16,1822−1827;Ott ら、Vaccine、1995,13、1557−1562;O’Haganら、Mol.Medicine Today,1997、February、69−75;および Traquinaら、J.Infect.Dis.、1996,174,1168−75、これらの開示は、その全体が本明細書において参考として援用される。MF59アジュバントは、サブユニット抗原の免疫原性を改善しつつ、ミョウバンアジュバントの安全性および寛容性のプロファイルを維持する。Van Nestら、Vaccines 92,1992、Cold Spring Harbor Laboratory Press、57−62およびValensiら、J.Immunol.、1994,153,4029−39、それらの開示は、その全体が本明細書において参考として援用される。MF59はさらに、同時係属中の米国特許出願第08/434,512号(1999年5月4日出願)(本発明の譲渡者に譲渡される)に記載されている。これは、その全体が本明細書において参考として援用される。動物研究において、遺伝子毒性、催奇形性ではないことが見出され、感作を生じもしない。MF59の作用機構は、強力なCD4+T細胞の生成、すなわちTh2細胞の応答に依存するようである。しかし、MF59アジュバントは、あったとしてもほとんどTh1応答も細胞傷害性Tリンパ球(CTL)応答も惹起しない。
【0015】
抗原と混合されたCpGモチーフを含むオリゴヌクレオチドは、強力なTh1抗原応答を惹起することが実証されている。Romanら、Nat.Med.、1997,3,849−854;Weinerら、Proc.Natl.Acad.Sci.USA,1997,94,10833−10837;Davisら、J.Immunol.、1998,160,870−876;Chuら、J.Exp.Med.、Lipfordら、Eur.J.Immunol.,1997,27,2340−2344;およびMoldoveanuら、Vaccine、1988,16,1216−1224、これらの開示は、その全体が本明細書において参考として援用される。メチル化されていないCpGジヌクレオチドは、比較的細菌DNAにおいて共通しているが、脊椎動物DNAにおいて過小抑制されそしてメチル化されている。Bird、Trends Genet.、1987,3,342−347。メチル化されていないCpGモチーフを含む細菌DNAまたは合成オリゴヌクレオチドもまた、以下を含む免疫応答を惹起することが知られている:B細胞増殖、インターロイキン6およびイムノグロブリンの分泌、ならびにアポトーシス耐性。Kriegら、Nature,1995,374,546−549;Klinmanら,Proc.Natl.Acad.Sci.USA、1996,93,2879−2883;Ballasら、J.Immunol.、1996,157,1840−1845;Cowderyら、J.Immunol.、Halpernら、Cell.Immunol.,1996,167,72−78;Yamamotoら、Jpn.J.Cancer Res.、1988,79,866−873;Staceyら、J.Immunol.、Messinaら、J.Immunol.、Yiら、J.Immunol.,1996,157,4918−4925;Yiら、J.Immunol.、Yiら、J.Immunol.、and Yiら、J.Immunol.、PCT公開WO96/02555;PCT公開 WO98/16247;PCT公開WO98/18810;PCT公開WO98/40100;PCT公開WO98/55495;PCT公開WO98/37919;およびPCT公開WO98/52581、これらの開示は、その全体が、本明細書において参考として援用される。
【0016】
一リン酸化リピドA(MPL)は、当業者において、Th1リンパ球応答を誘導することが知られている。Ullrichら、Monophosphoryl
Lipid A as an Adjuvant in Vaccine Design:The Subunit and Adjuvant Approach、PowellおよびNewman編,1995、Plenum Press,New York、p.495−523。
【0017】
カチオン性脂質ベースのエマルジョンは、遺伝子キャリアとして使用され得ることもまた示された。See、e.g.、Yiら、Cationic Lipid Emulsion;a Novel Non−Viral、and Non−Liposomal Gene Delivery System、Proc.Int’l.Symp.Control.Rel.Bioact.Mater.、24:653−654(1997);Kimら、In Vivo Gene
Transfer Using Cationic Lipid Emulsion−Mediated Gene Delivery System by
Intra Nasal Administration、Proc.Int’1.Symp.Control.Rel.Bioact.Mater.、25:344−345(1998);Kimら、In Vitro and In Vivo Gene Delivery Using Cationic Lipid Emulsion、Proc.Int’l.Symp.Control.Rel.Bioact.Mater.、26、#5438(1999)。
【0018】
従って、予防的処置および治療的処置のために使用され得る、Th1細胞応答の増加を生じるアジュバントは、なお所望されている。そのような応答は、例えば、ウイルス感染の処置において、ならびにウイルス感染に対して感受性のある個体の免疫のために有用である。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0019】
(発明の要旨)
本発明者らは、本明細書において、広汎な種々の高分子を吸着し得る吸着表面を有する微粒子を形成する方法を発明した。この微粒子は、ポリマーおよび界面活性剤の両方から構成される。本発明の微粒子は、そのような高分子を、現在利用可能な微粒子よりも効率的に吸着する。
【0020】
その微粒子は、ポリマー(例えば、ポリ(α−ヒドロキシ酸)、ポリヒドロキシ酪酸、ポリカプロラクトン、ポリオルトエーテル、ポリ無水物、PACA、ポリシアノアクリレートなどから誘導され、そして界面活性剤(例えば、カチオン性、アニオン性、または非イオン性の界面活性剤)とともに形成される。この界面活性剤は、組合せで使用され得る。さらに、本発明者らは、これらの微粒子がウイルス抗原の吸着の改善を達成し、そしてPVAのみを使用するプロセスにより形成される微粒子と比較して、優れた免疫応答を提供することを発見した。PVAのみを用いて作製された微粒子は、いくつかの高分子を吸着し得るが、他の界面活性剤を単独、組合せまたはPVAとの組合せで使用する本発明の微粒子は、広汎な種々の高分子を吸着する。従って、次いで、本発明は、そのような微粒子、ならびにそれらを生成するためのプロセスおよびその微粒子を用いる方法に主に関する。
【0021】
1つの実施形態において、本発明は、吸着剤表面を有する微粒子に関し、ここで、その微粒子は、以下からなる群より選択されるポリマーを含む:ポリ(α−ヒドロキシ酸)、ポリヒドロキシ酪酸、ポリカプロラクトン、ポリオルトエステル、ポリ無水物、およびポリシアノアクリレート。
【0022】
別の実施形態において、本発明は、さらに、その微粒子の表面に吸着された選択された高分子を含む、そのような微粒子(例えば、医薬、ポリヌクレオチド、ポリペプチド、タンパク質、ホルモン、酵素、転写メディエーター、翻訳メディエーター、代謝経路の中間体、免疫調節剤、抗原、アジュバント、またはそれらの組合せなど)に関する。
【0023】
別の実施形態において、本発明は、微粒子組成物に関する。この微粒子組成物は、本発明の微粒子に吸着された、選択された高分子および薬学的に受容可能な賦形剤を含む。
【0024】
別の実施形態において、本発明は、吸着剤表面を有する微粒子を生産する方法に関する。この方法は、以下の工程を包含する:
(a)ポリ(α−ヒドロキシ酸)、ポリヒドロキシ酪酸、ポリカプロラクトン、ポリオルトエステル、ポリ無水物、およびポリシアノアクリレート(ここで、そのポリマーは、有機溶媒中で約1%〜約30%の濃度で存在する)からなる群より選択されるポリマーを含むポリマー溶液と;
そのポリマー溶液に対するアニオン性、カチオン性または非イオン性の界面活性剤(ここで、その界面活性剤は、0.001〜10(w/w)の界面活性剤対ポリマー)の比で存在する)とを合わせて、ポリマー/界面活性剤混合物を形成する工程;
(b)そのポリマー/界面活性剤混合物を分散させる工程;
(c)その有機溶媒を除去する工程;および
(d)その微粒子を回収する工程。
【0025】
好ましくは、その有機溶媒を取り除く前にそのポリマー/界面活性剤混合物を乳化してエマルジョンを形成させる。
【0026】
別の実施形態において、本発明は、上記方法によって調製された微粒子に関する。
【0027】
別の実施形態において、本発明は、以下の工程を包含する、吸着された高分子を有する微粒子を生産するための方法に関する:
(a)ポリ(D,L−ラクチド−コ−グリコリド)を含むポリマー溶液(ここで、そのポリマーは、有機溶媒中に約3%〜約10%の濃度で存在する)と;
アニオン性、カチオン性または非イオン性の界面活性剤(ここで、その界面活性剤は、0.001〜10(w/w)の界面活性剤対ポリマー)の比で存在する)とを合わせて、ポリマー/界面活性剤混合物を形成する工程;
(b)そのポリマー/界面活性剤混合物を分散させる工程;
(c)そのエマルジョンからその有機溶媒を除去する工程;
(d)その微粒子を回収する工程;および
(e)その微粒子の表面に高分子を吸着させる工程であって、その高分子は、
以下からなる群より選択される工程:医薬、ポリヌクレオチド、ポリペプチド、ホルモン、酵素、転写メディエーター、翻訳メディエーター、代謝経路における中間体、免疫調節因子、抗原、アジュバント、およびそれらの組合せ。好ましくは、その有機溶媒を除去する前にそのポリマー/界面活性剤混合物を乳化して、エマルジョンを形成させる。別の実施形態において、本発明は、上記の所望の方法によって調製された吸着された高分子を有する微粒子に関する。
【0028】
別の実施形態において、吸着剤微粒子組成物を生成する方法に関する。この方法は、その表面上に高分子を有する吸着剤微粒子と、薬学的に受容可能な賦形剤とを組み合わせる工程を包含する。
【0029】
さらに別の実施形態において、本発明は、脊椎動物被験体に、高分子を送達する方法に関する。この方法は、上記の組成物を脊椎動物被験体に投与する工程を包含する。
【0030】
さらなる実施形態において、本発明は、脊椎動物被験体において細胞性免疫応答を惹起するための方法に関する。この方法は、本発明の微粒子に吸着された、治療的に有効な量の選択された高分子を脊椎動物に投与する工程を包含する。
【0031】
別の実施形態において、本発明は、免疫方法に関する。この方法は、脊椎動物に、治療的有効量の上記の微粒子組成物を投与する工程を包含する。その組成物は、必要に応じて、結合していない高分子を含み得、そしてまた、必要に応じて、リン酸アルミニウムのようなアルミニウム塩を含むアジュバントを含み得る。
【0032】
好ましい実施形態において、その微粒子は、ポリ(α−ヒドロキシ酸)から形成され;より好ましくは、ポリ(D,L−ラクチド−コ−グリコリド)から形成され;そして最も好ましくは、ポリ(D,L−ラクチド−コ−グリコリド)である。
【0033】
本発明の別の実施形態において、微粒子調整物は、イオン表面活性剤とのサブミクロンエマルジョンを包含する。MF59または他のものは、塩基粒子として使用され得るが、イオン表面活性剤は、以下を含み得るがそれらに限定されない:ジオレオイル−3−トリメチルアンモニウムプロパン(DOTAP)、ジオレオイル−sn−グリセロ−エチルホスホコリン(DEPC)およびジオレオイルホスファチジン酸(DPA)、これらは各々スクアレン中で可溶性である。
【0034】
非網羅的な以前に記載された吸着剤微粒子の各々はまた、必要に応じて、それらに捕捉された高分子を有し得る。
【0035】
本発明はまた、イオン性界面活性剤を用いて処方された油滴エマルジョンを含むミクロエマルジョンに関する。そのような組成物は、容易に、DNA、タンパク質および他の抗原性分子のような高分子を吸着する。アジュバント組成物は、少なくとも1つのCpGモチーフを含むオリゴヌクレオチドを含み得る。そのアジュバント組成物はまた、正に荷電したエマルジョンを生じる任意の成分を含み得る。この油滴エマルジョンは、好ましくは、代謝可能な油および乳化剤を含む。これらの薬剤は、好ましくは、実質的にすべてが1μm未満の直径である湯的を有する、水中油エマルジョンの形態で存在する。好ましくは、この組成物は、ポリオキシプロピレン−ポリオキシエチレンブロックコポリマーの非存在下で存在する。この油は、好ましくは、動物油、不法は炭化水素、テルペノイド(例えば、スクアレン)または植物油である。この組成物は、好ましくは、0.5〜20容量%の油を水性媒体中に含む。この乳化剤は、好ましくは、非イオン性界面活性剤(例えば、ポリオキシエチレンソルビタンモノ、ジ、もしくはトリエステルまたはソルビタンモノ、ジもしくはトリエーテル)を含む。好ましくは、その組成物は、約0.01重量%〜約0.5重量%の乳化剤を含む。そのオリゴヌクレオチドは好ましくは、少なくとも1つのホスホロチオエート結合またはペプチド核酸結合を含む。本発明の好ましい実施形態において、そのオリゴヌクレオチドは、以下からなる群より選択されるヌクレオチド配列を含む:配列番号1〜28。本発明の他の好ましい実施形態において、そのオリゴヌクレオチドは、2つのプリンがそのモチーフの5’直ぐに隣接し、そして2つのピリミジンがそのモチーフの3’直ぐに隣接するCpGモチーフを含む。本発明の他の好ましい実施形態において、そのオリゴヌクレオチドは、以下からなる群より選択されるヌクレオチド配列を含む:配列番号19〜28。配列番号28において最も好ましいのは、配列番号28にである。本発明のいくつかの好ましい実施形態において、そのアジュバント組成物は、さらに、別々の免疫刺激剤を含む。この刺激剤は、好ましくは以下からなる群より選択される:ミョウバン、細菌細胞壁成分、およびムラミルペプチド。このアジュバント組成物は、微粒子の形態であり得る。
【0036】
本発明はまた、免疫原性組成物に関する。この組成物は、免疫刺激量の抗原性物質、および免疫刺激量の本明細書に記載されるアジュバント組成物を含む。好ましくは、その抗原性物質は、タンパク質、タンパク質−ポリサッカリド、タンパク質−リポポリサッカリド、ポリサッカリド、およびリポポリサッカリドからなる群四厘選択される。本発明のいくつかの実施形態において、その免疫原性組成物は、CpGオリゴヌクレオチドとともに、ポリ(ラクチド−コ−グリコリド)微粒子に吸着された抗原性物質を含む。この吸着された抗原性物質は、好ましくは、組換えタンパク質である。本発明の好ましい実施形態において、その抗原性物質は、ウイルス(例えば、C型肝炎(HCV)、B型肝炎(HBV)、単純ヘルペスウイルス(HSV)、ヒト免疫不全ウイルス(HIV)、サイトメガロウイルス(CMV)、インフルエンザウイルス(flu)、および狂犬病ウイルス)に由来する。好ましくは、その抗原性物質は、HSV糖タンパク質gD、HIV糖タンパク質gp120、およびHIVp55 gagからなる群より選択される。本発明の他の好ましい実施形態において、その抗原性物質は、細菌(例えば、コレラ、ジフテリア、破傷風、百日咳、Neisseria meningitidis、Neisseria gonorrhoeae、Helicobacter pylori、およびHaemophilus influenza)に由来する。本発明の他の好ましい実施形態において、この抗原性物質は、寄生生物(例えば、マラリア寄生生物)に由来する。
【0037】
本発明はまた、宿主細胞において免疫応答を刺激する方法に関する。この方法は、その動物に、本明細書において記載される免疫原性組成物を免疫応答を誘発するに有効な量で投与する工程を包含する。その宿主動物は、好ましくは、哺乳動物であり、より好ましくはヒトである。
【0038】
本発明はまた、ウイルス、細菌または寄生生物の感染に対して宿主動物を免疫する方法に関する。この方法は、その動物に、本明細書に記載される免疫原性組成物を、保護的応答を誘発するに有効な量で投与する工程を包含する。その宿主細胞は.好ましくは、哺乳動物であり、より好ましくはヒトである。
【0039】
本発明はまた、宿主動物におけるTh1免疫応答を増強する方法に関する。この方法は、その動物に、本明細書に記載される免疫原性組成物を、Th1免疫応答を誘発するに有効な量で投与する工程を包含する。その宿主動物は、好ましくは哺乳動物であり、より好ましくはヒトである。
本発明のこれらおよび他の実施形態は、本明細書における開示に鑑み、当業者には容易になる。
例えば、本発明は以下の項目を提供する。
(項目1) 吸着性表面を有するミクロエマルジョンであって、該ミクロエマルジョンは、以下:
(a)代謝可能な油;および
(b)乳化剤;
を含む微小滴エマルジョンを含み、
ここで、該乳化剤は、界面活性剤を含む、ミクロエマルジョン。
(項目2) 前記油および前記乳化剤が、油滴を有する水中油型エマルジョンの形態で存在し、該油滴の実質的に全てが、直径1ミクロン未満であり、そして該組成物が、ポリオキシプロピレン−ポリオキシエチレンブロックコポリマーの非存在下で存在する、項目1に記載のミクロエマルジョン。
(項目3) 前記油が、動物油、不飽和炭化水素、テルペノイドおよび植物油からなる群のメンバーである、項目2に記載のミクロエマルジョン。
(項目4) 前記油が、スクアレンであるテルペノイドである、項目3に記載のミクロエマルジョン。
(項目5) 前記組成物が、0.5〜20容量%の前記油を水性媒体中に含む、項目2に記載のミクロエマルジョン。
(項目6) 前記組成物が、0.01〜0.5重量%の前記乳化剤を含む、項目1に記載のミクロエマルジョン。
(項目7) 前記乳化剤が、非イオン性界面活性剤を含む、項目1に記載のミクロエマルジョン。
(項目8) 前記乳化剤が、ポリオキシエチレンソルビタンモノエステル、ポリオキシエチレンソルビタンジエステルもしくはポリオキシエチレンソルビタントリエステルまたはソルビタンモノエーテル、ソルビタンジエーテルもしくはソルビタントリエーテルを含む、項目7に記載のミクロエマルジョン。
(項目9) 前記乳化剤が、カチオン性界面活性剤を含む、項目1に記載のミクロエマルジョン。
(項目10) 前記カチオン性界面活性剤が、ヘキサデシルトリメチルアンモニウムブロミド、ベンザルコニウムクロリド、ジメチルジオクトデシルアンモニウムブロミド、DOTAP、ドデシルトリメチルアンモニウムブロミド、ベンジルジメチルヘキサデシルアンモニウムクロリド、セチルピリジニウムクロリド、メチルベンゼトニウムクロリドおよび4−ピコリンドデシル硫酸からなる群より選択される、項目9に記載のミクロエマルジョン。
(項目11) 前記組成物が、0.01〜0.5重量%の前記乳化剤を含む、項目9に記載のミクロエマルジョン。
(項目12) 前記乳化剤が、アニオン性界面活性剤を含む、項目1に記載のミクロエマルジョン。
(項目13) その表面に吸着された生物学的に活性な高分子をさらに含み、該生物学的に活性な高分子が、ポリペプチド、ポリヌクレオチド、ポリヌクレオシド、抗原、薬剤、ホルモン、酵素、転写メディエーターまたは翻訳メディエーター、代謝経路における中間体、イムノモジュレーターおよびアジュバントからなる群より選択される少なくとも1つのメンバーである、項目1に記載のミクロエマルジョン。
(項目14) 前記高分子が、CpGオリゴヌクレオチド、ミョウバン、細菌細胞壁成分およびムラミルペプチドからなる群より選択されるアジュバントである、項目13に記載のミクロエマルジョン。
(項目15) 前記オリゴヌクレオチドが、少なくとも1つのホスホロチオエート結合を含む、項目14に記載のミクロエマルジョン。
(項目16) 前記オリゴヌクレオチドが、少なくとも1つのペプチド核酸結合を含む、項目15に記載のミクロエマルジョン。
(項目17) 前記オリゴヌクレオチドが、配列番号1〜28からなる群より選択されるヌクレオチド配列を含む、項目16に記載のミクロエマルジョン。
(項目18) 前記オリゴヌクレオチドが、CpGモチーフのすぐ5’側に2つのプリンが、そして該モチーフのすぐ3’側に2つのピリミジンが隣接した該CpGモチーフを含む、項目14に記載のミクロエマルジョン。
(項目19) 前記抗原がウイルス由来である、項目13に記載のミクロエマルジョン。
(項目20) 前記ウイルス抗原が、ウイルスサブユニットを含む、項目19に記載のミクロエマルジョン。
(項目21) 前記ウイルスが、C型肝炎ウイルス(HCV)、B型肝炎ウイルス(HBV)、単純ヘルペスウイルス(HSV)、ヒト免疫不全ウイルス(HIV)、サイトメガロウイルス(CMV)、インフルエンザウイルス(flu)および狂犬病ウイルスからなる群より選択される、項目19に記載のミクロエマルジョン。
(項目22) 前記抗原が、HSV糖タンパク質gD、HIV糖タンパク質gp120およびHIV p55 gagからなる群より選択される、項目19に記載のミクロエマルジョン。
(項目23) 前記抗原が、細菌由来である、項目13に記載のミクロエマルジョン。
(項目24) 前記細菌が、コレラ、ジフテリア、破傷風、百日咳、Helicobacter pyloriおよびHaemophilus influenzaからなる群より選択される、項目23に記載のミクロエマルジョン。
(項目25) 前記抗原性物質が寄生生物由来である、項目13に記載のミクロエマルジョン。
(項目26) 前記寄生生物が、マラリア寄生生物を含む、項目25に記載のミクロエマルジョン。
(項目27) 宿主動物において免疫応答を誘導する方法であって、該動物に項目13〜26のいずれかに記載のミクロエマルジョンを投与する工程を包含する、方法。
(項目28) 前記宿主動物が哺乳動物である、項目27に記載の方法。
(項目29) 前記哺乳動物がヒトである、項目28に記載の方法。
(項目30) 宿主動物をウイルス感染、細菌感染または寄生生物感染に対して免疫する方法であって、該動物に、防御応答を誘導するに有効な量の項目13〜26のいずれかに記載のミクロエマルジョンを投与する工程を包含する、方法。
(項目31) 前記宿主動物が哺乳動物である、項目30に記載の方法。
(項目32) 前記哺乳動物がヒトである、項目31に記載の方法。
(項目33) Th1免疫応答を宿主動物において誘導する方法であって、該動物に、項目13〜26のいずれかに記載のミクロエマルジョンを投与する工程を包含する、方法。
(項目34) 項目13に記載のミクロエマルジョンおよび吸着性表面を有する微粒子を含む組成物であって、該微粒子が、以下:
ポリ(α−ヒドロキシ酸)、ポリヒドロキシ酪酸、ポリカプロラクトン、ポリオルトエステル、ポリ無水物およびポリシアノアクリレートからなる群より選択されるポリマー;ならびに
第2の界面活性剤、
を含む、組成物。
(項目35) 前記微粒子が、その表面に吸着された生物学的に活性な第1の高分子をさらに含み、該生物学的に活性な第1の高分子が、ポリペプチド、ポリヌクレオチド、ポリヌクレオシド、抗原、薬剤、ホルモン、酵素、転写メディエーターまたは翻訳メディエーター、代謝経路における中間体、イムノモジュレーターおよびアジュバントからなる群より選択される少なくとも1つのメンバーである、項目34に記載の組成物。
(項目36) 前記微粒子が、該微粒子内にカプセル化された生物学的に活性な第2の高分子をさらに含み、該生物学的に活性な第2の高分子が、ポリペプチド、ポリヌクレオチド、ポリヌクレオシド、抗原、薬剤、ホルモン、酵素、転写メディエーターまたは翻訳メディエーター、代謝経路における中間体、イムノモジュレーターおよびアジュバントからなる群より選択される少なくとも1つのメンバーである、項目34に記載の組成物。
(項目37) 前記微粒子が、ポリ(L−ラクチド)、ポリ(D,L−ラクチド)およびポリ(D,L−ラクチド−コ−グリコリド)からなる群より選択されるポリ(α−ヒドロキシ酸)を含む、項目34〜36のいずれかに記載の組成物。
(項目38) 前記微粒子が、ポリ(D,L−ラクチド−コ−グリコリド)を含む、項目34〜36のいずれかに記載の組成物。
(項目39) 前記第2の界面活性剤が、カチオン性界面活性剤である、項目34〜36のいずれかに記載の組成物。
(項目40) 前記第2の界面活性剤が、アニオン性界面活性剤である、項目34〜36のいずれかに記載の組成物。
(項目41) 前記第2の界面活性剤が、非イオン性界面活性剤である、項目34〜36のいずれかに記載の組成物。
(項目42) 前記生物学的に活性な第1の高分子が、gp120、p24gag、p55gagおよびインフルエンザA血球凝集素抗原からなる群より選択される抗原である、項目35〜36のいずれかに記載の組成物。
(項目43) 前記生物学的に活性な第1の高分子が、gp120をコードするポリヌクレオチドである、項目35〜36のいずれかに記載の組成物。
(項目44) 前記生物学的に活性な第2の高分子が、アジュバントである、項目36に記載の組成物。
(項目45) 前記微粒子に吸着された前記アジュバントが、アルミニウム塩である、項目34〜36のいずれかに記載の組成物。
(項目46) 薬学的に受容可能な賦形剤をさらに含む、項目34〜45のいずれかに記載の組成物。
(項目47) 吸着されていないアジュバントをさらに含む、項目34〜46のいずれかに記載の組成物。
(項目48) 前記吸着されていないアジュバントが、CpGオリゴヌクレオチド、LTK63、LTR72、MPL、QS21、Quil Aおよびアルミニウム塩からなる群より選択されるメンバーである、項目47に記載の組成物。
(項目49) 前記吸着されていないアジュバントが、リン酸アルミニウムであるアルミニウム塩である、項目48に記載の組成物。
(項目50) 治療有効量の高分子を脊椎動物被験体に送達する方法であって、該脊椎動物被験体に、項目35、36、42、43、44、47または48のいずれかに記載の組成物を投与する工程を包含する、方法。
(項目51) 項目35、36、42、43、44、47または48のいずれかに記載の組成物の、疾患の診断のための使用。
(項目52) 項目35、36、42、43、44、47または48のいずれかに記載の組成物の、疾患の処置のための使用。
(項目53) 項目35、36、42、43、44、47または48のいずれかに記載の組成物の、ワクチンのための使用。
(項目54) 項目35、36、42、43、44、47または48のいずれかに記載の組成物の、免疫応答の惹起のための使用。
【図面の簡単な説明】
【0040】
【図1】図1は、好ましい免疫原性組成物によって生成される免疫グロブリンアイソタイプの代表的な結果を示す棒グラフである。この組成物は、本発明に従うPLG微粒子を含む。
【図2】図2は、好ましい免疫原性組成物によって生成される免疫グロブリンアイソタイプの代表的な結果を示す棒グラフである。この組成物は、本発明に従うMF59アジュバントを含む。
【図3】図3は、好ましいエマルジョンアジュバントを用いて免疫する際の血清抗p55IgG力価の代表的な結果を示す図である。
【図4】図4は、好ましいエマルジョンアジュバントを用いて免疫する際のCTLによる標的の溶解の代表的な結果を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0041】
(発明の詳細な説明)
本発明は、吸着した高分子を有する微粒子が改善された免疫応答を示すこと、およびCpGオリゴヌクレオチドおよび代謝可能なな油もしくは生分解性のポリ間の組合せを含むアジュバントが免疫応答を増強するという驚くべき発見に基づく。さらに、吸着された高分子および油エマルジョンの組合せは、強力な免疫応答を惹起するために有用である。
【0042】
本発明の実施は、タンパク質に言及しなければ、当該分野内の、化学、高分子化学、生化学、分子生物学、免疫学、および薬理学の従来の方法を使用する。そのような技術は、文献に完全に説明されている。例えば、Remington’s Pharmaceutical Sciences、第18版(Easton、Pennsylvania:Mack Publishing Company、1990);Methods In Enzymology(S.Colowick and N.Kaplan、eds.、Academic Press、Inc.);Handbook of Experimental Immunology、第I−IV巻(D.M.WeirおよびC.C.Blackwell、編、1986、Blackwell Scientific Publications);Sambrook,ら、Molecular Cloning:A Laboratory Manual(第2版、1989);Handbook of Surface and Colloidal Chemistry(Birdi、K.S.編、CRC Press、1997)およびSeymour/Carraher’s Polymer Chemistry(4th edition、Marcel Dekker Inc.、1996)を参照のこと。
【0043】
本明細書において引用される、すべての刊行物、特許および特許出願は、それらが上記であろうと下記であろうと、その全体が本明細書において参考として援用される。
【0044】
明細書および添付の特許請求の範囲において使用されるように、単数形「a」、「an」、および「the」は、その内容が明らかにそうでないことを示さない限り、複数の参照形態を包含する。従って、例えば、用語「微粒子」とは、1つ以上の微粒子などを言及する。
【0045】
(A:定義)
本発明を記載するにあたり、以下の用語を使用し、そして以下に示されるように定義されることが意図される。
【0046】
本明細書において使用される場合、用語「微粒子」とは、約10nm〜約150μmの、より好ましくは約200nm〜約30μmの直径、そして最も好ましくは約500nm〜約10μmの直径の粒子をいう。好ましくは、その微粒子は、針および毛細管を閉塞させることなく、非経口投与または粘膜投与を可能にする直径のものである。微粒子サイズは、光子相関比色計、レーザ回折法、および/または走査電子顕微鏡のような、当該分野において周知の技術によって容易に決定される。用語「粒子」とはまた、本明細書において定義される微粒子をも言及するように使用され得る。
【0047】
本明細書において使用するための微粒子は、滅菌可能で、非毒性であり、そして生分解性である材料から形成される。そのような材料としては、限定することなく、以下が挙げられる:ポリ(a−ヒドロキシ酸)、ポリヒドロキシ酪酸、ポリシアノラクトン、ポリオルトエステル、ポリ無水物、PACA、およびポリシアノアクリレート。好ましくは、本発明を用いた使用のための微粒子は、以下に由来する:ポリ(α−ヒドロキシ酸)、特に、ポリ(ラクチド)(「PLA」)またはD,L−ラクチドとグリコリドもしくはグリコール酸とのコポリマー(例えば、ポリ(D,L−ラクチド−コ−グリコリド)(「PLG」または「PLGA」)、またはD,L−ラクチドとカプロラクトンとのコポリマー。微粒子は、任意の種々のポリマー性出発物質に由来し得る。これは、種々の分子量を有し、そしてPLGのようなコポリマーの場合には、種々のラクチド:グリコリド比を有する。その選択は、大部分選択の問題であって、これは、同時投与される高分子に一部依存する。これらのパラメータは、以下により詳細に記載される。
【0048】
本明細書において使用される場合、用語「界面活性剤」とは、表面活性剤(surfactant)およびエマルジョン安定化剤を包含する。アニオン性界面活性剤としては以下が挙げられるがそれらに限定されない:SDS、SLS、DSS(ジスルホスクシネート)、硫酸化脂肪アルコールなど。カチオン性界面活性剤としては以下が挙げられるがそれらに限定されない:セトリミド(CTAB),塩化ベンザルコニウム、DDA(ジメチルジオクトデシルアノもニウムブロミド)、DOTAPなど。非イオン性界面活性剤としては、以下が挙げられるがそれらに限定されない:ソルビタンエステル、ポリソルベート、ポリオキシエチル化グリコールモノエーテル、ポリオキシエチル化アルキルフェノール、ポロキサマーなど。
【0049】
用語「正味の(net)の正電荷」とは、本明細書において使用される場合、その微粒子の表面上の電荷がPVAを用いて作られた対応する微粒子の表面上の電荷よりも正であることを意味する。同様に、陽後「正味の負電荷」とは、本明細書において使用される場合、その微粒子の表面上の電荷がPVAを用いて作られた対応する微粒子の表面上の電荷よりも負であることを意味する。正味の電荷は、カチオン性またはアニオン性の界面活性剤を用いて作製されたその微粒子のζ電位(動電学的電位ともいわれる)と、PVAで作製された対応する微粒子と比較することによって評価され得る。従って、「正味の正電荷」を有する微粒子表面は、PVAを用いて作製された微粒子の表面のζ電位よりも大きなζ電位を有し、そして「正味の負電荷」を有する微粒子表面は、PVAを用いて作製された微粒子の表面のζ電位よりも小さなζ電位を有する。明白なように、本発明の微粒子についての正味の電荷は、対応するPVA微粒子のζ電位に比較して算出される。
【0050】
用語「ζ電位」とは、本明細書において使用される場合、すべての固体および液体の界面を横切って存在する電気的電位、すなわち、荷電されたコロイド粒子を囲むイオンの拡散層を横切る電位をいう。ζ電位は、電気泳動移動度(すなわち、当該分野で周知の技術を用いて測定されるべき表面に接触して配置される荷電された電極の間をコロイド粒子が移動する速度)から算出され得る。
【0051】
用語「高分子」とは、本明細書において使用される場合、制限することなく、医薬、ポリヌクレオチド、ポリペプチド、ホルモン、酵素、転写メディエーター、翻訳メディエーター、代謝経路における中間体、免疫調節剤,抗原、アジュバント、またはそれらの組合せを包含する。本発明において使用するための粒子状の高分子は、以下により詳細に記載される。
【0052】
用語「医薬(pharmaceutical)」とは、抗生物質、抗ウイルス剤、増殖因子、ホルモンなどのような生物学的に活性な化合物をいう。これらは以下により詳細に記載される。
【0053】
用語「ポリヌクレオチド」とは、生物学的にアッセイな(例えば、免疫原性または治療的)タンパク質またはポリペプチドをコードする核酸分子である。ポリヌクレオチドによってコードされるポリペプチドの性質に依存して、ポリヌクレオチドは、10ほどのヌクレオチドを含み得、例えば、ここで、ポリヌクレオチドは、抗原をコードする。さらに、「ポリヌクレオチド」とは、二本鎖および一本鎖の両方の配列を含み得、そして、以下のことをいうがそれに限定されない:ウイルス、原核生物または真核生物のmRNAからのcDNA、ウイルス(例えば、RNAおよびDNAのウイルスおよびレトロウイルス)または原核生物DNAからのゲノムRNAおよびDNAの配列、および特に、合成DNA配列。この用語はまた、DNAおよびRNAの公知の塩基アナログのいずれかを包含する配列を包含し、そしてその核酸分子が、治療的または抗原性のタンパク質をコードする限り、ネイティブ配列に対する改変(例えば、欠失、付加および置換(一般に天然で保存的である)を包含する。これらの改変は、部位特異的変異誘発を介して意図的であり得るが、または抗原を生成する宿主の変異を介して偶然であり得る。
【0054】
用語「ポリペプチド」および「タンパク質」とは、アミノ酸残基のポリマーをいい、そして最小限の長さの生成物には限定されない。従って、ペプチド、オリゴペプチド、ダイマー、マルチマーなどは、その定義に入る。全長タンパク質およびそのフラグメントの両方は、その定義に包含される。この用語はまた、そのタンパク質が免疫学的応答を惹起する能力を維持するか、またはそのタンパク質が投与される被験体に対する治療的効果を有する限り、ネイティブ配列に対する改変(例えば、欠失、付加および置換)を包含する(一般に、天然で保存的である)。
【0055】
「抗原」とは、その抗原が本発明に従って提示されるときの細胞性の抗原特異的免疫応答または体液性抗体応答を起こすように宿主の免疫系を刺激し得る1つ以上のエピトープを含む分子を意味する。抗原は、それ自身が、または別の分子と組み合わせて存在するときに細胞性または体液性応答を惹起し得る。通常、エピトープは、約3〜15、一般的に約5〜15のアミノ酸を含む。所定のタンパク質のエピトープは、当該分野において周知の多数のエピトープマッピング技術を用いて同定され得る。例えば、Epitope Mapping Protocols in Methods in Molecular Biology、第66巻(Glenn E.Morris編、1996)Humana Press、Totowa、New Jerseyを参照のこと。例えば、直鎖状のエピトープは、例えば、固体支持体の上で多数のペプチドを同時に合成すること(そのペプチドはタンパク質分子の部分に対応する)、およびそのペプチドがその支持体になおも付着される間にそのペプチドと抗体とを反応させることによって、決定され得る。そのような技術は当該分野において公知であり、そして例えば、以下に記載される:米国特許第4,708,871号;Geysenら(1984)Proc.Natl.Acad.Sci.USA 81 :3998−4002;Geysenら(1986)Molec.Immunol.23:709−715、これらすべては、その全体が本明細書において参考として援用される。同様に、コンフォメーション的エピトープは、アミノ酸の空間的コンフォメーションを決定することによって容易に同定される(例えば、X線結晶学、および二次元核磁気共鳴)。例えば、Epitope Mapping Protocols、同上を参照のこと。
【0056】
用語「抗原」とは、本明細書において使用される場合、サブユニット抗原(すなわち、その抗原が天然で付随する生物全体から分離されそして別個となっている抗原)および殺傷され、減弱されまたは不活化された細菌、ウイルス、寄生生物または微生物をいう。抗イディオタイプ抗体またはそのフラグメントのような抗体ならびに抗原または抗原性決定基を模倣し得る合成ペプチドミモトープもまた、本明細書において使用される抗原の定義の中に入る。同様に、インビボ(例えば、遺伝子治療および核酸免疫適用)治療的または免疫学的タンパク質、または抗原性決定基を発現するオリゴヌクレオチドまたはポリヌクレオチドは、本明細書における抗原の定義に含まれる。
【0057】
さらに、本発明の目的のために、抗原は、いくつかの公知のウイルス、細菌、寄生生物および真菌、ならびに任意の種々の腫瘍抗原のいずれかに由来し得る。さらに、本発明の目的のために、「抗原」とは、そのタンパク質が免疫学的応答を惹起する能力を維持する限り、ネイティブ配列に対する改変(例えば、欠失、付加、および置換(通常天然で保存的である)を包含するタンパク質をいう。これらの改変は、部位特異的変異誘発を介して意図的であり得るが、または抗原を生成する宿主の変異を介して偶然であり得る。
【0058】
抗原または組成物に対する「免疫学的応答」は、目的の組成物に存在する分子に対する体液性および/または細胞性の免疫応答の、被験体における発生をいう。本発明の目的のために、「体液性免疫応答」とは、抗体分子によって媒介される免疫応答をいう。他方、「細胞性免疫応答」は、Tリンパ球および/または他の白血球によって媒介されるものである。細胞性免疫の重要な1つの局面は、細胞傷害性T細胞(CTL)による抗原特異性応答を包含する。CTLは、腫瘍組織適合性複合体(MHC)によってコードされるタンパク質と会合において提示され、そして細胞の表面に発現されるペプチド抗原について特異性を有する。CTLは、微生物の細胞内破壊またはそのような微生物に感染した細胞の溶解を誘導しそして促進することを助ける。細胞性免疫の別の局面は、ヘルパーT細胞による抗原特異性応答を包含する。ヘルパーT細胞は、その表面にMHC分子と会合したペプチド抗原を提示する細胞に対して非特異的なエフェクター細胞の機能を刺激することおよびその活性に焦点を充てることを助けるように作用する。「細胞免疫応答」とはまた、活性化されたT細胞および/またはたの白血球による、サイトカイン、ケモカインおよび他のそのような分子の産生をいう(これらには、CD4+T細胞およびCD8+T細胞に由来するものが含まれる)。
【0059】
細胞性免疫応答を惹起する、組成物(例えば、免疫原性組成物)またはワクチンは、その細胞表面においてMHC分子との会合において抗原の提示によって脊椎動物被験体を感作するよう作用し得る。細胞媒介性応答は、その表面において抗原を提示する細胞に対してまたはその付近に指向される。さらに、抗原特異的なTリンパ球は、免疫された宿主の将来の保護を可能にするように生成され得る。
【0060】
特定の抗原または組成物が細胞媒介性免疫学的応答を刺激する能力は、多数のアッセイ(例えば、リンパ増殖(リンパ球活性化)アッセイ、CTL細胞障害性細胞アッセイ)、または感作された被験体において高原について特異的なTリンパ球によって決定され得る。そのようなアッセイは、当該分野において周知である。例えば、Ericksonら、J.Immunol.(1993)151:4189−4199;Doeら、Eur.J.Immunol.(1994)24:2369−2376;および以下の例を参照のこと。
【0061】
従って、本明細書において使用される場合、免疫学的応答とは、CTLの産生および/またはヘルパーT細胞の産生もしくは活性化を刺激するものであり得る。目的の抗原はまた、抗体媒介性免疫応答を惹起し得る。従って、免疫学的応答は、1つ以上の以下の効果を含み得る:B細胞による抗体の産生;ならびに/または目的の組成物もしくはワクチンに存在する抗原に対して特異的に指向されるサプレッサーT細胞および/もしくはγδT細胞の活性化。これらの応答は、感染性を中和するように作用し得、および/または抗体−補体、または抗体依存性細胞傷害性(ADCC)を媒介して、免疫された宿主に対する保護を提供する。そのような応答は、当該分野において周知の標準的な免疫アッセイおよび中和アッセイを用いて決定され得る。
【0062】
微粒子に対して吸着された、選択された抗原を含む組成物は、それがその微粒子と会合することなく送達されるときに等量のその抗原によって惹起される免疫応答よりも多い免疫応答を惹起する能力を有する場合、「増強された免疫原性」を示す。従って、組成物は、「増強された免疫原性」を示し得る。なぜなら、その抗原は、その微粒子に対する吸着によってより強く免疫原性であるからであるか、またはそれが投与される被験体においてより少ない用量の抗原が免疫応答を達成するに必要であるからである。そのようなおよび/または図供された免疫原性は、微粒子/抗原の組成物、および抗原コントロールを動物に投与すること、および当該分野において周知の放射イムノアッセイおよびELISAのような標準的なアッセイを用いてその2つに対する抗体力価を比較することによって決定され得る。
【0063】
用語「有効量」または「薬学的有効量」の高分子/微粒子は、本明細書において提供されるように、非毒性であるが所望の応答(例えば、免疫応答)および対応する治療的効果を提供するのに充分量の高分子/微粒子をいい、または治療タンパク質の送達の場合において、以下に規定するように、その被験体の処置を行うに充分な量をいう。以下に指摘されるように、必要とされる正確な量は、被験体の種、年齢および一般的状態、処置される条件の重篤度、および目的の特定の高分子、投与形態などに依存して、被験体ごとにかわる。個々の症例における適切な「有効」量は、慣用実験を用いて当業者によって決定され得る。
【0064】
「脊椎動物被験体」とは、脊椎動物亜門の任意のメンバーを意味する。これには、制限することなく、哺乳動物(ウシ、ヒツジ、ブタ、ヤギ、ウマ、およびヒト;家庭内動物(イヌ、およびネコ));および鳥(家庭内、野生および競技用の鳥(例えば、ニワトリおよび雌ニワトリ(ヒヨコを含む)、シチメンチョウ、および他の家禽類鳥類)が包含される。この用語は、特定の年齢を意図しない。従って、成人および新生児の両方が網羅されることが意図される。
【0065】
「薬学的に受容可能な」または「薬理学的に受容可能な」とは、生物学的または他の意味で所望されないものではない物質(すなわち、所望されない生物学的効果を生ずることもなく、それが含まれる組成物の成分のいずれかとともに有害な様式で相互作用することもなく、その微粒子処方物とともに固体へ投与され得る物質)を意味する。
【0066】
「生理学的pH」または「生理学的範囲のpH」とは、約7.2〜8.0(両端含む)の範囲のpH、より代表的には約7.2〜7.6(両端含む)の範囲にあるpHを意味する。
【0067】
本明細書において使用される場合、「処置」とは以下のいずれかをいう:(i)伝統的な意味におけるような感染または再感染の予防、(ii)症状の減少または除去;および(iii)問題の病原体もしくは障害の実質的もしくは完全な除去。処置は、予防的(感染前)または治療的(感染後)に行われ得る。
【0068】
本明細書において使用される場合、用語「核酸」とは、DNA、RNAまたはそれらから形成されたキメラをいう。
【0069】
本明細書において使用される場合、用語「少なくとも1つのCpGモチーフを含むオリゴヌクレオチド」とは、少なくとも1つのCpGジヌクレオチドを含むポリヌクレオチドをいう。少なくとも1つのCpGモチーフを含むオリゴヌクレオチドは、複数のCpGモチーフを含み得る。これらのオリゴヌクレオチドはまた、当該分野において、「CpGオリゴヌクレオチド」として知られる。本明細書において使用される場合、用語「CpGモチーフ」とは、シトシンヌクレオチドに続いてグアノシンヌクレオチドを含むオリゴヌクレオチドのジヌクレオチド部分をいう。5−メチルシトシンもまた、シトシンの代わりに用いられ得る。
【0070】
本明細書において使用される場合、用語「油滴エマルジョン」とは、代謝可能な油および乳化剤を含むエマルジョンをいう。
【0071】
本発明のいくつかの実施形態に従って、ウイルス、真菌、マイコプラズマ、細菌、または原生生物の感染および腫瘍に対して、予防的および/もしくは治療的に免疫するか、または治療する組成物および方法が提供される。本発明の方法は、予防的および/または治療的な免疫を哺乳動物(好ましくは、ヒト)に付与するのに有用である。本発明の方法はまた、生体医学研究のためにヒト以外の哺乳動物において実施され得る。
【0072】
(B.一般的方法)
(1.吸着された高分子を有する微粒子)
本発明は、本発明のPLAおよびPLGの微粒子が生物学的に活性な高分子を吸着するという発見に基づく。さらに、これらの微粒子は、より多様な分子(荷電高分子および/または嵩高い(bulky)高分子を含む)を、PVAを用いて調製された微粒子よりも容易に吸着する。従って、本発明の高分子/微粒子を送達系として使用して、広汎な種々の疾患を処置、予防および/または診断するために生物学的に活性な成分を送達し得る。
【0073】
本発明を用いて、広汎で種々の高分子を送達し得る。これには、以下が挙げられるがそれらに限定されない:医薬(例えば、抗生物質および抗ウイルス剤、非ステロイド抗炎症薬、鎮痛剤、血管拡張剤、心臓血管薬物、向精神薬、神経弛緩薬、抑鬱剤、抗パーキンソン薬物、βブロッカー、カルシウムチャネルブロッカー、ブラジキニンインヒビター、ACEインヒビター、血管拡張剤、プロラクチンインヒビター、ステロイド、ホルモンアンタゴニスト、ホルモンアンタゴニスト、抗ヒスタミン剤、セロトニンアンタゴニスト、ヘパリン、化学療法剤、抗新生物剤、および成長因子・増殖因子(以下を含むがそれらに限定されない:PDGF、EGF、KGF、IGF−1およびIGF−2、FGF)、治療剤または免疫原性タンパク質をコードするポリヌクレオチド、ワクチンにおいて使用するための免疫原性タンパク質およびそのエピトープ、ペプチドホルモン(例えば、インスリン、プロインスリン、成長ホルモン、GHRH、LHRH、EGF、ソマトスタチン、SNX−111、BNP、インスリノトロピン、ANP、FSH、LH、PSH およびhCG、性腺ステロイドホルモン(アンドロゲン、エストロゲン、およびプロゲステロン)、甲状腺刺激ホルモン、インヒビン、コレシスキニン、ACTH、CRF、ジノルフィン、エンドルフィン、エンドセリン、フィブロネクチンフラグメント、ガラニン、ガストリン、インスリノトロピン、グルカゴン、GTP結合タンパク質フラグメント、グアニリン、ロイコキニン、マガイニン、マストラパン、デルマセプチン、システミン、ニューロメジン、ニューロテンシン、パンクレアスタチン、膵臓ポリペプチド、サブスタンスP、セクレチン、チモシンなど)を含むホルモン、酵素、転写メディエーター、翻訳メディエーター、代謝経路の中間体、免疫調節剤(例えば、種々のサイトカイン(例えば、インターロイキン−1、インターロイキン−2、インターロイキン−3、インターロイキン−4、およびγインターフェロン))、抗原、およびアジュバント。
【0074】
好ましい実施形態において、高分子は抗原である。本発明の特定の利点は、吸着された抗原を有する微粒子が細胞媒介性応答を脊椎動物被験体において生成する能力である。本発明の抗原/微粒子が選択された抗原に対する細胞媒介性免疫応答を惹起する能力は、広汎で種々の病原体による感染に対する強力なツールである。従って、本発明の抗原/微粒子は、ワクチン組成物へと取り込まれ得る。
【0075】
従って、慣用の抗体応答に加えて、本明細書において記載される系は、例えば、クラスIMHC分子との発現された抗原の会合を提供し、その結果、目的の抗原に対するインビボ細胞性免疫応答が惹起され得、これが、CTLの産生を刺激して、その抗原の将来の認識を可能にする。さらに、この方法は、抗原特異的な応答をヘルパーT細胞によって惹起させ得る。従って、本発明の方法は、任意の高分子との用途が見出される。その用途について、細胞性および/または体液性の免疫応答が所望され、好ましくは、抗体を惹起し得るウイルス病原体、T細胞ヘルパーエピトープおよびT細胞細胞傷害性エピトープに由来する抗原が所望される。そのような抗原としては、ヒトおよび動物のウイルスが挙げられるがそれらに限定されず、そして構造または非構造的なタンパク質のいずれかに対応し得る。
【0076】
本発明の微粒子は、細胞内のウイルスに対する免疫のために特に有用である。このウイルスは、通常貧弱な免疫応答を惹起する。例えば、本発明は、ヘルペスウイルス科に由来する広汎な種々のタンパク質に対する免疫応答を刺激するための用途を見出す:単純ヘルペスウイルス(HSV)1型および2型に由来するタンパク質(例えば、HSV−1およびHSV−2糖タンパク質gB、gDおよびgH;水痘‐帯状疱疹ウイルス(VZV)、エプスタインバーウイルス(EBV)およびサイトメガロウイルス(CMV)に由来する抗原(CMV gBおよびgHを含む);ならびに他のヒトヘルペスウイルスに由来する抗原(例えば、HHV6およびHHV7)。(例えば、Cheeら、Cytomegaloviruses(J.K.McDougall、編、Springer−Verlag
1990)pp.125−169を、サイトメガロウイルスの内容物をコードするタンパク質の概説について参照のこと;McGeochら、J.Gen.Virol.(1988)69:1531−1574を、種々のHSV−1コードタンパク質の概説について参照のこと;米国特許第5,171,568号を、HSV−1およびHSV−2 gBおよびgDのタンパク質ならびにそれらをコードする遺伝子の議論について参照のこと;Baerら、Nature(1984)310:207−211を、EBVゲノムにおける配列をコードするタンパク質の同定について参照のこと;ならびにDavisonおよび Scott、J.Gen.Virol.(1986)67:1759−1816を、VZVの概説について参照のこと)。
【0077】
ウイルスの肝炎ファミリー(A型肝炎ウイルス(HAV)、B型肝炎ウイルス(HBV)、C型肝炎ウイルス(HCV)、δ型肝炎ウイルス(HDV)、E型肝炎ウイルス(HEV)およびG型肝炎ウイルス(HGV))からの抗原もまた、本明細書において記載される技術において簡便に使用され得る。例えば、HCVのウイルスゲノム配列は公知であり、同様に、その配列を取得する方法も公知である。例えば、国際公開WO89/04669;WO90/11089;および WO90/14436を参照のこと。HCVゲノムは、ウイルスタンパク質(E1(Eとしても知られる)およびE2(E2/NSIとしても知られる)およびN末端核キャプシドタンパク質(「コア」と称する)を含む(Houghtonら、Hepatology(1991)14:381−388を、E1およびE2を含むHCVタンパク質の議論について参照のこと)。これらのタンパク質の各々およびその抗原フラグメントは、この組成物および方法において用途を見い出す。
【0078】
同様に、HDVからのδ抗原についての配列が公知である(例えば、米国特許第5,378,814号を参照のこと)。そして、この抗原はまた、この組成物および方法において簡便に使用され得る。さらに、HBVに由来する抗原(例えば、コア抗原、表面抗原sAg、ならびにプレ表面配列、pre−S1およびpre−S2(以前pre−Sと呼ばれた))、ならびに上記の組合せ(例えば、sAg/pre−S1、sAg/pre−S2、sAg/pre−S1/pre−S2およびpre−S1/pre−S2)は、本明細書において用途が見出される。例えば、「HBV Vaccines−from the laboratory to license:a case study」in Mackett、M.and Williamson、J.D.、Human Vaccines and Vaccination、pp.159−176を、HBVの構造の議論について;ならびに米国特許第4,722,840号,第同5,098,704号、同第5,324,513号(これらは、本明細書において、参考としてそのすべてが援用される);Beamesら、J.Virol.(1995)69:6833 6838、Birnbaumら、J.Virol.(1990)64:3319−3330;and Zhouら、J.Virol.(1991)65:5457−5464を参照のこと。
【0079】
他のウイルスに由来する抗原もまた、請求された組成物および方法における用途を見い出す(例えば、限定されることなく、とりわけ以下の科Picornaviridae(例えば、ポリオウイルスなど);Caliciviridae;Togaviridae(例えば、風疹ウイルス、デングウイルスなど);Flaviviridae;Coronaviridae;Reoviridae;Birnaviridae;Rhabodoviridae(例えば、狂犬病ウイルスなど);Filoviridae;Paramyxoviridae(例えば、おたふくかぜウイルス、麻疹ウイルス、RSウイルスなど);Orthomyxoviridae(例えば、インフルエンザウイルスA型、B型およびC型など);Bunyaviridae;Arenaviridae;Retroviradae(例えば、HTLV−I;HTLV−II;HIV−1(HTLV−III、LAV、ARV、hTLR、などとしても知られる))(これらは以下を含むがそれらに限定されない:単離体HIVIIIb、HIVSF2、HIVLAV、HIVLAI、HIVMN);HIV−1CM235、HIV−lUS4;HIV−2からの抗原;シミアン免疫不全ウイルス(SIV)のメンバーからのタンパク質)。さらに、抗原もまた、ヒトパピローマウイルス(HPV)およびダニ媒介脳炎ウイルスに由来し得る。例えば Virology、第3版(W.K.Joklik編 1988);Fundamental Virology、2nd Edition(B.N.Fields and D.M.Knipe、編 1991)を、これらおよび他のウイルスの説明について参照のこと)。
【0080】
より詳細には、上記のいずれかのHIV単離体からのgp120エンベロープタンパク質(HIVの種々の遺伝子サブタイプのメンバーを含む)が知られ、そして報告されている(例えば、Myersら、Los Alamos Database、Los Alamos National Laboratory、Los Alamos、New Mexico(1992);Myersら、Human Retroviruses and Aids、1990、Los Alamos、New Mexico:Los Alamos National Laboratory;and Modrowら、J.Virol.(1987)61 :570−578を、種々のHIV単離体のエンベロープタンパク質の比較について参照のこと)。そしてこれらの単離体のいずれかに由来する抗原は、本方法において用途が見出される。さらに、本発明は、gp160およびgp41のような任意の種々のエンベロープタンパク質、p24gagおよびp55gagのようなgag、ならびにpol領域に由来するタンパク質を含む。
【0081】
インフルエンザウイルスは、本発明が特に有用であるウイルスの別の例である。具体的には、インフルエンザAのそのエンベロープ糖タンパク質HAおよびNAは、免疫応答を生成することについて特に有用である。インフルエンザAの多数のHAサブタイプが同定された(Kawaokaら、Virology(1990)179:759−767;Websterら,「Antigenic variation among type A influenza viruses,」p.127−168.In:P.Palese and D.W.Kingsbury(編)、Genetics of influenza viruses.Springer−Verlag、New Yorkを参照のこと)。従って、これらの単離体のいずれかに由来するタンパク質もまた、本明細書において記載される組成物および方法において使用され得る。
【0082】
本明細書において記載される組成物および方法はまた、多数の細菌抗原を用いた用途を見い出す(例えば、ジフテリア、コレラ、結核、破傷風、百日咳、髄膜炎および他の病原状態を引き起こす生物(限定することなく、以下を包含する:Bordetella pertussis、Neisseria meningitides(A、B、C、Y)、Neisseria gonorrhoeae、Helicobacter pylori、および Haemophilus influenza、Hemophilus influenza type B(HIB)、Helicobacter pylori)からのものおよびそれらの組合せ)。Neisseria meningitides Bからの抗原の例は、以下の共有に係る特許出願に開示されている:PCT/US99/09346;PCTIB98/01665;PCTIB99/00103;および以下の米国仮特許出願60/083,758;60/094,869;60/098,994;60/103,749;60/103,794;60/103,796;および60/121,528)。寄生生物抗原の例としては、マラリアおよびライム病を引き起こす生物に由来するものが挙げられる。
【0083】
本発明を使用して広汎な種々の高分子を送達し得ること、およびそれゆえ大多数の疾患を処置、予防および/または診断し得ることは容易に明らかである。代替の実施形態において、本発明の高分子/微粒子組成物は、部位特異的な標的化送達について使用され得る。例えば、高分子/微粒子組成物の静脈内投与は、肺、肝臓、脾臓、血液循環または骨髄を標的化するために使用され得る。
【0084】
吸着剤微粒子の表面(または、本発明のミクロエマルジョン)に対する高分子の吸着は、以下を含むがそれらに限定されない任意の結合相互作用機構によって生じる:イオン結合、水素結合、共有結合、ファンデルワールス結合、および親水性/疎水性相互作用を介した結合。当業者は、吸着されるべき高分子の型について適切な界面活性剤を容易に選択し得る。
【0085】
例えば、荷電界面活性剤(例えば、アニオン性界面活性剤またはカチオン性界面活性剤)の存在で製造される微粒子は、正味の負電荷または正味の正電荷を有する表面を有する微粒子である。これは、広汎で種々の分子を吸着し得る。例えば、アニオン性界面活性剤を用いて製造される微粒子(例えば、ドデシル硫酸ナトリウム(SDS)、すなわちSDS−PLG微粒子)は、正に荷電した抗原(例えば、タンパク質)を吸着する。同様に、カチオン性界面活性剤(例えば、ヘキサデシルトリメチルアンモニウムブロミド(CTAB)(すなわち、CTAB−PLG微粒子))を用いて製造される微粒子は、負に荷電した分子(例えば、DNA)を吸着する。吸着されるべき高分子が正電荷および負電荷の領域を有する場合、カチオン性またはアニオン性の界面活性剤が適切であり得る。
【0086】
本発明とともに使用するための微粒子を製造するための生分解性ポリマーは、以下から簡便に市販されている:例えば、Boehringer Ingelheim、Germany およびBirmingham Polymers、Inc.、Birmingham、AL。例えば、本明細書における微粒子を形成するための有用なポリマーは、以下に由来するものを包含する:ポリヒドロキシブチル酸;ポリカプロラクトン;ポリオルトエステル;ポリ無水物;およびポリ(α−ヒドロキシ酸)(例えば、ポリ(L−ラクチド)、ポリ(D,L−ラクチド)(本明細書において両方とも「PLA」として知られる)、ポリ(ヒロドキシブチレート)、D,L−ラクチドおよびグリコリドのコポリマー(例えば、ポリ(D,L−ラクチド−コ−グリコリド)(本明細書において「PLG」または「PLGA」と指定される)、またはD,L−ラクチドおよびカプロラクトンのコポリマー。本明細書における使用について特に好ましいポリマーは、PLAおよびPLGのポリマーである。これらのポリマーは、種々の分子量で利用可能であり。そして所定の使用のための適切な分子量は、当業者に容易に決定される。従って、例えば、PLAについて、適切な分子量は、約2000から5000のオーダーにある。PLGについて、適切な分子量は、一般に、約10,000から約200,000の範囲にあり、好ましくは、約15,000から約150,000の範囲にあり、そして最も好ましくは約50,000から約100,000の範囲にある。
【0087】
コポリマー(例えば、PLG)が微粒子を形成するために使用される場合、種々のラクチド:グリコリド比が本明細書において有用であり、そしてその比は大いに選択の問題であり、これは、同時投与される高分子および所望される分解速度に部分的に依存する。例えば、50:50 PLGポリマー(50%のD,L−ラクチドおよび50%グリコリドを含む)は、迅速な吸着コポリマーを提供するが、75:25 PLG は、よりゆっくり分解し、そして85:15および90:10は、なおいっそうゆっくりと分解する。これは、増加したラクチド成分に起因する。これは、適切な比のラクチド:グリコリドは、当業者によって、抗原の性質および問題の障害に基づいて容易に決定される。さらに、抗原またはアジュバントが微粒子に捕捉される本発明の実施形態において、変動するラクチド:グリコリドの比を有する微粒子の混合物は、本明細書において、所定の高分子について所望の放出反応速度論を達成するため、ならびに一次および二次の免疫応答の両方を提供するための用途を見出す。本発明の微粒子の分解速度はまた、ポリマーの分子量およびポリマーの結晶性のような因子によって制御され得る。変動するラクチド:グリコリド比および分子量を有するPLGコポリマーは、以下を含む多数の供給源から市販される:Boheringer Ingelheim、GermanyおよびBirmingham Polymers,Inc.Birmingham,AL。これらのポリマーはまた、以下に記載されるような当該分野において周知の技術を用いて乳酸成分の単純な重縮合によって合成され得る:たばたら、J.Biomed.Mater.Res.(1988)22:837−858。
【0088】
高分子/微粒子は、当該分野において周知のいくつかの方法のいずれかを用いて調製される。例えば、二重エマルジョン/溶媒エバポレーション技術(例えば、以下に記載されるもの:米国特許第3,523,907号およびOgawaら、Chem.Pharm.Bull.(1988)36:1095−1103は、本明細書において使用されて、微粒子が作製され得る。これらの技術は、以下からなる群より選択される一次エマルジョンの形成を包含する。これは、次いで、粒子安定化剤/表面活性剤を含む連続水相と混合される。
【0089】
あるいは、以下に記載されるように、水中油中水(w/o/w)溶媒エバポレーション系を使用して、微粒子を形成し得る:O’Haganら、Vaccine(1993)11:965−969およびJefferyら、Pharm.Res.(1993)10:362。この技術において、この特定のポリマーは、酢酸エチル、ジメチルクロリド(塩化メチレンおよびジクロロメタンとも呼ばれる)、アセトニトリル、アセトン、クロロホルムなどの有機溶媒と合わされる。このポリマーは、約1〜30%、好ましくは約2〜15%、より好ましくは約3〜10%、そして最も好ましくは約4%の溶液中、有機溶媒中に提供される。このポリマー溶液は、例えば、ホモジナイザを用いて乳化される。次いで、このエマルジョンは、必要に応じて、ポリビニルアルコール(PVA)、ポリビニルピロリドン、ならびにカチオン性、アニオン性または非イオン性の界面活性剤のようなエマルジョン安定剤の大容量の水溶液と合わせられる。このエマルジョンは、1を超えるエマルジョン安定剤および/または界面活性剤(例えば、PVAおよび界面活性剤の組合せ)と合わせられ得る。特定の高分子は、安定剤および/または界面活性剤の組合せを有する微粒子により容易に吸着され得る。エマルジョン安定剤が使用される場合、代表的には、約2〜15%溶液、より代表的には約4〜10%溶液中に提供される。一般に、約1から約0.1:1の範囲内の重量対重量での界面活性剤対ポリマーの比が使用され、より好ましくは、約0.001:1から約0.01:1の範囲、そしてさらにより好ましくは約0.005:1から約0。01:1の範囲内のものが使用され得る。次いで、この混合物は、ホモジナイズされて、安定なw/o/w二重エマルジョンが生成する。次いで、有機溶媒がエバポレートされる。
【0090】
処方物のパラメータは、0.05μm(50nm)のオーダーの小さな微粒子からそれより大きな微粒子の50μmよりさらに大きなものへの調製を可能にするように操作され得る。例えば、Jefferyら、Pharm.Res.(1993)10:362−368;McGeeら、J.Microencap.(1996)を参照のこと。例えば、減少された攪拌は、より大きな微粒子を生じる。なぜなら、内部相の容量が増加するからである。小さな粒子は、高濃度のエマルジョン安定剤を有する水性相の容量を減らすことによって生成される。
【0091】
微粒子はまた、以下のように形成され得る:例えば、Thomasinら、J.Controlled Release(1996)41:131;米国特許第2,800,457号;Masters、K.(1976)Spray Drying 2nd Ed.Wiley、New Yorkに記載されるようなスプレー乾燥およびコアセルベーションを用いる;Hallら、(1980)The 「Wurster Process」in Controlled Release Technologies:Methods、Theory、and
Applications(A.F.Kydonieus編)、第2巻、pp.133−154 CRC Press、Boca Raton、Florida and Deasy、P.B.、Crit.Rev.Ther.Drug Carrier Syst.(1988)S(2):99−139に記載されるようなパンコーティング(pan coating)およびWursterコーティングのような空気懸濁コーティング技術;ならびに例えば、Limら、Science(1980)210:908−910に記載されるようなゲル化。
【0092】
粒子サイズは、例えば、レーザー光散乱によって、例えば、ヘリウム−ネオンレーザーを取り込んだ分光光度計を用いて測定され得る。一般に、粒子サイズは、室温で測定され、そして粒子の直径についての平均値を得るために問題のサンプルの複数の分析を包含する(例えば、5−10回)。粒子のサイズはまた、走査型電子顕微鏡(SEM)を用いて容易に決定される。
【0093】
本発明の代替の実施形態は、イオン表面活性剤を有するサブミクロンのエマルジョンを含む微粒子調製物である。MF59または他のものは基本的な粒子として使用され得るが、イオン性表面活性剤は、以下を包含し得るがそれに限定されない:ジオレオイル−3−トリメチルアンモニウム−プロパン(DOTAP)、ジオレオイル−sn−グリセロ−3−エチルホスホコリン(DEPC)およびジオレオイル−ホスファチジン酸(DPA)。これらは各々、スクアレン中で可溶性である。プロトタイプのイオン性エマルジョンは、4−52mg/mlスクアレンの範囲の濃度で、スクアレン/10%Span85中に界面活性剤の各々を溶解することによって処方され得る。スクアレン/表面活性剤混合物は、0.5% Tween80/H20と、5mlスクアレン/100ml H20で乳化され得る。予備エマルジョンは、Silversonホモジナイザを用いたホモジナイゼーション(5分、5000RPM)によって処方され得、そして最終のエマルジョンは、微小流動化によって作製され得る(約10,000psi、5回通過、微小流体化器 110S)。
【0094】
調製後、微粒子は、そのまま保存され得るか、または将来の使用のために凍結乾燥され得る。微粒子に対して高分子を吸着させるために、その微粒子調製物は、目的の高分子と単に混合され、そして得られた処方物を再び使用前に凍結乾燥され得る。一般に、高分子を、その微粒子に添加して約1から0.25:1の、好ましくは1から0.1の、より好ましくは、0.01から0.05の、高分子対微粒子の重量対重量比を有する吸着された高分子を有する微粒子を得る。微粒子の高分子含量は、標準的な技術を用いて決定され得る。
【0095】
本発明の微粒子は、その中に捕捉またはカプセル化された高分子、およびそこに吸着された高分子を有し得る。従って、例えば、当業者は、本発明に従って、そこの吸着されたタンパク質を有するカプセル化されたアジュバントを有する微粒子、またはそこに吸着されたアジュバントを用いてカプセル化されたタンパク質を有する微粒子を調製し得る。
【0096】
一旦高分子が吸着した微粒子が生成されると、その微粒子は、薬学的組成物またはワクチンへと処方されて、広汎で種々の障害を、上記に記載されるように処置、予防および/または診断する。その組成物は、一般に、1つ以上の薬学的賦型剤またはビヒクル(例えば、水、生理食塩水、グリセロール、ポリエチレングリコール、ヒアルロン酸、エタノールなど)を含有する。さらに、補助的物質(例えば、湿潤剤または乳化剤)、生物学的緩衝化物質などが、そのようなビヒクル中に存在し得る。生物学的緩衝液は、薬学的に受容可能であり、そして所望のpH(すなわち、生理学的範囲のpH)を有する処方物を提供する、実質的に任意の溶液であり得る。緩衝溶液の例は、生理食塩水、リン酸緩衝化生理食塩水、Tris緩衝化生理食塩水、ハンクス緩衝化生理食塩水などを包含する。
【0097】
アジュバントを使用して、薬学的組成物の有効性を向上させ得る。このアジュバントを、例えば、同じ組成物または別個の組成物中で、本発明の微粒子とともに同時に投与し得る。あるいは、アジュバントは、本発明の微粒子組成物の前または後に投与され得る。別の実施形態において、免疫学的アジュバントのようなアジュバントは、微粒子中でカプセル化され得る。アジュバントは、任意の高分子と同様に、当該分野で公知のいくつかの方法のいずれかを用いて微粒子中にカプセル化され得る。例えば、米国特許第3,523,907号;Ogawaら、Chem Pharm.Bull.(1988)36:1095−1103;O’Haganら、Vaccine(1993)11:965−969 and Jeffereyら,Pharm.Res.(1993)10:362を参照のこと。あるいは、アジュバントは、任意の高分子について上気されるようにその微粒子上に吸着され得る。あるいは、アジュバントは、本発明の油滴エマルジョンを含み得る。
【0098】
免疫学的アジュバントとしては、以下が挙げられるがそれらに限定されない:(1)アルミニウム塩(ミョウバン)、例えば、水酸化アルミニウム、リン酸アルミニウム、硫酸アルミニウムなど;(2)水中油エマルジョン処方物(ムラミルペプチド(以下を参照のこと)または細菌細胞壁成分のような他の特異的免疫刺激剤のあるなし)(例えば、(a)Model 110Y 微小流体化器(microfluidizer)(Microfluidics、Newton、MA)のような微小流体化器を用いてサブミクロン粒子へと処方された、5%スクアレン、0.5%Tween80、および0.5%Span85(必要に応じて、種々の亮のMTP−PE(以下を参照のこと)を含むが必要ではない)を含有する、MF59(国際公開番号WO90/14837号)、(b)微小流体化されてサブミクロンエマルジョンとされたか、またはボルテックスされてより大きな粒子サイズのエマルジョンが生成された、10%スクアレン、0.4%Tween80、5%プルロニックブロックポリマーL121、およびthr−MDP(以下を参照のこと)を含有する、SAF、ならびに(c)2%スクアレン、0.2%Tween80、およびモノリン脂質(monophosphorylipid)A(MPL)、トレハロースジミコレート(TDM)、および細胞壁骨格(CWS)(好ましくは、MPL+CWS(DetoxTM)からなる群より選択される1つ以上の細菌細胞壁成分を含有する、Ribiアジュバント系(RAS)、(Ribi Immunochem、Hamilton、MT)(本明細書における使用のための適切なサブミクロン水中油エマルジョンのさらなる議論については、以下の共有に係る特許出願番号を参照のこと: 09/015,736(1998年1月29日出願));(3)サポニンアジュバント(例えば、Quil AまたはQS21(例えば、StimulonTM(Cambridge Bioscience、Worcester、MA))が使用され得るか、またはそれからISCOM(免疫刺激複合体)のような粒子が生成され得る);(4)完全フロイントアジュバント(CFA)および不完全フロイントアジュバント(IFA);(5)サイトカイン(例えば、インターロイキン(IL−1、IL−2など)、マクロファージコロニー刺激因子(M−CSF)、腫瘍壊死因子(TNF)など);(6)無毒化した細菌ADPリボシル化毒素(例えば、コレラ毒素(CT)、百日咳毒素(PT)、またはE.coli熱不安定性毒素(LT)の変異体(特に、LT−K63(ここで、リジンが63位の野生型アミノ酸に取って代わる)、LT−R72(ここで、アルギニンが72位の野生型アミノ酸に取って代わる)、CT−S109(セリンが109位の野生型アミノ酸に取って代わる)およびPT−K9/G129(リジンが9位の野生型アミノ酸に取って代わり、グリシンが129位のものに取って代わる))、(例えば、国際公開番号W093/13202 および W092/19265を参照のこと);(7)CpGオリゴヌクレオチドおよび他の免疫刺激配列(ISS);ならびに(8)その組成物の有効性を向上させる免疫刺激剤として働く他の物質。ミョウバンおよびMF59が好ましい。
【0099】
ムラミルペプチドとしては、以下が挙げられるがそれらに限定されない:
N−アセチル−ムラミル−L−スレオニル−D−イソグルタミン(thr−MDP)、N−アセチル−ノルムラミル−L−アラニル−D−イソグルタミン(nor−MDP)、N−アセチルムラミル−L−アラニル−D−イソグルタミニル−L−アラニン−2−(1’−2’−ジパルミトイル−sn−グリセロ−3−ヒドロキシホスホリルオキシ)−エチルアミン (MTP−PE)など。
【0100】
アジュバントのさらなる例について、Vaccine Design、The
Subunit and the Adjuvant Approach、Powell、M.F.and Newman、M.J編、Plenum Press、1995)を参照のこと。
【0101】
この組成物は、「治療有効量」の目的の高分子を含む。すなわち、ある量の高分子/微粒子が組成物に含まれ、これは、症状を予防、低減、除去または診断するために、十分な応答を生成することを被検体を引き起こす。必要な正確な量は、とりわけ、処置される被検体;処置される被検体の年齢および一般状態;処置される状態の重篤度;免疫学的応答の場合における、被検体の免疫系が抗体を合成する能力;所望される保護の程度、ならびに選択される特定の抗原およびその投与形態に依存して変動する。適切な有効量は、当業者に容易に決定され得る。従って、「治療有効量」は、慣用的な試行を通じて決定され得る比較的広範囲に入る。例えば、高分子がポリヌクレオチドである場合の本発明の目的について、有効用量は、代表的に、約1ngから約1mgの、より好ましくは約10ngから約1μgの、そしてより好ましくは、約50ngから約500ngの、1用量あたりに送達される高分子の範囲であり;高分子が抗原である場合、有効用量は、代表的に、1μgから約100mgの、より好ましくは約10μgから約1mgの、そして最も好ましくは約50μgから約500μgの範囲の、1用量あたりに送達される高分子の範囲である。
【0102】
一旦処方されると、本発明の組成物は、非経口的に投与され得る(例えば、注射)。この組成物は、経皮的、腹腔内、静脈内、または筋肉内のいずれかで注射され得る。投与の他の形態は、経鼻、経口、および肺への投与、坐剤ならびに経皮(transdermalまたはtranscutaneous)ならびに塗布を包含する。投薬処置は、単回用量スケジュールまたは複数回用量スケジュールであり得る。複数回用量スケジュールは、主要な投与処置は、1から10の別個の用量を用いてであり得、続いて他の用量が、引き続き治療応答をを維持および/または強制するために選択された時間間隔で与えられ得る(例えば、数カ月後に第二用量として1から4カ月で引き続きの用量)。この投薬レジメンはまた、少なくとも部分的に、被検体の必要によって決定され、そして実行者の判断に依存する。
【0103】
さらに、疾患の予防が所望される場合、ワクチンにおける高分子は、一般に、目的の病原体を用いた主要な感染の前に投与される。処置が所望される場合(例えば、再発の症状の減少)、高分子は、一般的に主要な幹線の後に投与される。
【0104】
(2.油滴エマルジョン)
本発明の別の実施形態において、油滴エマルジョンは、代謝可能な油および乳化剤を含ませて調製される。少なくとも1つのCpGを含むオリゴヌクレオチドのような分子は、油滴エマルジョンと合わせらて、アジュバントを形成し得る。油滴エマルジョンは好ましくは、代謝可能な油および乳化剤を含む。ここで、油および乳化剤は、油滴を有する水中油エマルジョンの形態で存在する。この油滴は実質的にすべてが、直径1ミクロン未満である。そのような小滴は、油および乳化剤を含むアジュバント組成物よりも驚くほどの優越性を示す。ここで、油滴は、本発明によって提供されるものよりも有意に大きい。好ましい実施形態において、そのエマルジョンは、カチオン正解面活性剤が乳化剤として使用される結果として正に荷電されているか、または代替的に、乳化剤とは別個のカチオン性界面活性剤を含む。これは、ヌクレオチド抗原性分子(例えば、CpGオリゴヌクレオチドまたはウイルスDNA)の吸着を可能にする。あるいは、アニオン性界面活性剤の使用は、タンパク質のような分子の吸着を可能にする。
【0105】
本発明のアジュバント組成物の個々の成分は公知であるが、そのような組成物は、同様の様式では組み合わされてこなかった。従って、個々の成分は、一般的におよび好ましい実施形態についていくらか詳細にの両方で以下に記載されているが、当該分野において周知であり、そして本明細書において使用される用語(例えば、代謝可能な油、乳化剤、免疫刺激剤、免疫刺激剤、ムラミルペプチド、および脂溶性ムラミルペプチド)は、さらなる説明なしに、当業者にとって、これらの化合物を記載することが十分に周知である。
【0106】
これらの組成物の1成分は、代謝可能な、非毒性油、好ましくは約6から約30炭素原子の1つ(以下を含むがそれらに限定されない:アルカン、アルケン、アルキン、および対応する酸およびアルコール、それらのエーテルおよびエステル、ならびにそれらの混合物)である。その油は、植物油、魚油、動物油、または合成調製された油であって、アジュバントが投与される宿主動物の体内で代謝され得そしてその被検体にとって非毒性であるもののいずれかであり得る。宿主細胞は、代表的に、哺乳動物であり、そして好ましくはヒトである。ミネラルオイルおよび類似の毒性石油蒸留油は、本発明から明示的に除外される。
【0107】
本発明の油成分はまた、任意の長鎖アルカン、アルケンまたはアルキンまたはその酸もしくはアルコール誘導体(これは、遊離酸、その塩またはモノエステル、ジエステルもしくはトリエステルのようなエステル(例えば、とりグリセリドおよび1,2−プロパンジオールまたは類似のポリヒドロキシアルコール))であり得る。アルコールは、アミノ官能または多官能酸(例えば、酢酸、プロパン酸、クエン酸など)を用いてアシル化され得る。長鎖アルコールに由来するエーテルであって本明細書において使用される油でありそしてその他の基準を満たすものもまた使用され得る。
【0108】
個々のアルカン、アルケン、またはアルキンの部分およびその酸またはアルコール誘導体は、一般に、約6から約30炭素原子を有する。この部分は、直鎖または分岐鎖の構造を有し得る。これは、完全に飽和され得、または1つ以上の二重結合もしくは三重結合を有し得る。モノエステルまたはポリエステルあるいはエーテルベースの油が使用される場合、約6から約30炭素原子の限定は、個々の脂肪酸または脂肪アルコール部分に適用され、全体の炭素数には適用されない。
【0109】
任意の代謝可能な油、特に動物、魚または植物の供給源に由来するものが本明細書において使用され得る。その油は、投与される宿主によって代謝されることが必須であり、そうでなければ、その油成分は、腫瘍、肉芽腫または癌腫でさえ生じ得るか、または(動物医療で使用される場合)ワクチン摂取された鳥類および動物の肉が、代謝されない油が消費者に対して与え得る有害効果に起因してヒトでの消費に受容可能でなくなり得る。
【0110】
植物油の例示的供給源としては、堅果、種子および穀物種子(grain)が挙げられる。ピーナツ油、ダイズ油、ココナッツ油、およびオリーブが最も共通して利用可能である、堅果油を例示する。種子油としては、ベニバナ油、綿実油、ヒマワリ種子油、ゴマ油などが挙げられる。穀物種子油の群には、コーン油が最も容易に利用可能であるが、他の穀物の種子(例えば、コムギ、オーツムギ、ライムギ、イネ(コメ)、テフ、ライコムギなどもまた使用され得る。
【0111】
植物油を取得するための技術は十分に開発されており、そして周知である。これらおよび他の類似の油の組成は、例えば、Merck Indexに見出され得、そして植物、栄養および植物技術における原料物質である。
【0112】
グリセロールと1,2−プロパンジオールとの6から10の炭素脂肪酸エステルは、種子油には天然に存在しないが、堅果および種子の油からの適切な出発物質の加水分解、分離およびエステル化によって調製され得る。これらの生成物は、NEOBEE(登録商標)という名称で、PVO International、Inc.、Chemical Specialties Division、416 Division Street、Boongon、NJなどから市販されている。
【0113】
動物供給源に由来する油もまた、本発明のアジュバントおよび免疫原性組成物において使用され得る。動物油および脂肪は、それらがトリグリセリドとして存在し、そして油または植物からの油よりも高い程度の飽和度を有するという事実に起因して、生理的な温度では通常固体である。しかし、その脂肪酸は、部分的または完全なトリグリセリドのサポニン化(遊離脂肪酸を提供する)によって動物から入手可能である。哺乳動物乳汁からの脂質および油は代謝可能であり、そしてそれゆえ、本発明の実施において使用され得る。分離、精製、サポニン化のための手段、および動物供給源から純粋な油を入手するたに必要な他の手順は当該分野で周知である。
【0114】
ほとんどの魚は、容易に回収され得る代謝可能な油を含む。例えば、タラ肝油、サメ肝油、および鯨油(例えば、鯨脳)は、本明細書において使用され得る魚油のいくつかを例示する。多数の分岐鎖油は、5炭素イソプレン単位で生化学的に合成され、そして一般にテルペノイドと呼ばれる。サメ肝油は、スクアレン(2,6,10,15,19,23−ヘキサメチル−2,6,10,14,18,22−テトラコサヘキサエン)(これは、本明細書において特に好ましい)と呼ばれる分岐不飽和テルペノイドを含有する。スクアレンに対する飽和アナログであるスクアランもまた、特に好ましい油である。スクアレンおよびスクアランを含む魚油は、商業供給源から容易に入手可能であるか、または当該分野における公知の方法によって入手され得る。
【0115】
これらのアジュバントおよび免疫原性組成物の油成分は、約0.5容量%から約20容量%の量で存在するが、好ましくは、15%以下であり、特に約1%から約12%である。約1%から約4%の油を使用することが最も好ましい。
【0116】
これらのアジュバント組成物の水性部分は、好ましくは緩衝化生理食塩水であるか、または好ましくは、純水である。これらの組成物は、非経口的投与について意図されることから、免疫原性組成物として最終の緩衝化された溶液を構成して、その等張性(すなわち、重量オスモル濃度)を、通常の生理学的流体と本質的に同じようにさせて、その組成物と生理学的流体との間の異なるイオン濃度について、その組成物の投与後の膨張または迅速な吸収を予防することが好ましい。通常の生理学的条件と適合するpHを維持するためにその生理食塩水を緩衝化することもまたこのましい。また、特定の場合において、糖ペプチドのような特定の組成物成分の安定性を確保するために特定のレベルでpHを維持することが必要であり得る。
【0117】
任意の生理学的に受容可能な緩衝剤は、本明細書において使用され得るが、リン酸緩衝剤が好ましい。他の受容可能な緩衝剤(例えば、酢酸、tris、重炭酸、炭酸など)も、リン酸緩衝剤の代替として使用され得る。水性成分のpHは、好ましくは、約6.0から8.0の間である。
【0118】
しかし、ミクロエマルジョンがまず調製される場合、純水が、エマルジョンの水性成分として好ましい。塩濃度を増加させることで、所望の小滴サイズを達成することはより困難となる。最終の免疫原性組成物がアジュバントから調製される場合、免疫原性の材料が適切な重量オスモル濃度で緩衝液中に添加されて、所望の免疫原性組成物を提供し得る。
【0119】
これらの組成物において使用される水性成分の品質は、その組成物の価値を均一へともたらすのに必要な量である。すなわち、100%とするに十分な水性成分のある量が上記の列挙される他の成分とともに混合され、その組成物がある容量へともたらされる。
【0120】
乳化剤および懸濁剤のかなりの数が、一般に、医薬品科学で使用されている。これらとしては、天然に由来する物質(例えば、樹木からのゴム、植物タンパク質、糖ベースのポリマー(例えば、アルギネートおよびセルロース)など)が挙げられる。特定のオキシポリマーまたは炭素骨格に水酸化置換基もしくは他の親水性置換基を有するポリマーは、表面活性活性を有する(例えば、ポビドン、ポリビニルアルコール、およびグリコールエーテルベースの一官能および多官能の化合物)。長鎖の脂肪酸誘導化合物は、本発明において使用され得る、乳化剤および懸濁剤の第三の実質的なグループを形成する。上記の表面活性剤のいずれも、非毒性である限り有用である。
【0121】
本発明に従って使用され得る適切な乳化剤(表面活性剤または界面活性剤とも呼ばれる)の適切な例は、以下を包含する:
1.水溶性石鹸(例えば、高級脂肪酸(C10からC22)のナトリウム、カリウム、アンモニウムおよびアルカノールアニモニウム(alkanolanimonium)塩、および特にナトリウムおよびカリウムの獣脂およびココナッツ石鹸。
【0122】
2.アニオン性合成非石鹸界面活性剤。これは、有機硫酸反応産物の水溶性の塩に代表され得る。この産物は、その分子構造において、約8から約22の炭素原子ならびに硫酸および硫酸エステルラジカルからなる群より選択されるラジカルを含むアルキルラジカルを有する。これらの例は、獣脂およびココナッツ石鹸に由来するナトリウムもしくはカリウムアルキル硫酸塩;アルキルグリセリルエーテルスルホン酸ナトリウム;ココナツ油脂肪酸モノグリセリドスルホン酸ナトリウムおよびココナツ油脂肪酸モノグリセリド硫酸ナトリウム;1モルの高級脂肪酸アルコールおよび約1から約6モルのエチレンオキシドの反応産物の硫酸エステルのナトリウムもしくはカリウム塩;アルキルフェノールエチレンオキシドエーテルスルホン酸ナトリウムまたはカリウム(1分子当たり1から約10単位のエチレンオキシドを有する、およびここでそのアルキルラジカルは、約8から約12の炭素原子を含む;イソエチオン酸でエステル化され、そして水酸化ナトリウムを用いて中和された脂肪酸の反応産物;メチルタウリド(tauride)の脂肪酸アミドのナトリウムまたはカリウム塩;ならびにSO3スルホン化C10からC24のαオレフィンのナトリウム塩およびカリウム塩。
【0123】
3.有機疎水性化合物とアルキレンオキシド基との縮合によって作製された非イオン性合成界面活性剤。代表的な疎水性基としては、プロピレンオキシドとプロピレングリコールとの縮合産物、アルキルフェノール、プロピレンオキシドとエチレンジアミドとの縮合産物、約8から約22炭素原子を有する脂肪族アルコール、ならびに脂肪酸のアミドが挙げられる。
【0124】
4.非イオン性界面活性剤(例えば、アミンオキシド、ホスフィンオキシド、およびスルホキシド(これらは半極性の特徴を有する))。長鎖三級アミンオキシドの特定の例としては、以下が挙げられる:ジメチルドデシルアミンオキシドおよびビス−(2−ヒドロキシエチル)ドデシルアミン。ホスフィンオキシドの特定の例は、米国特許第3,304,263号(1967年2月14日に発行)に見出され、そして以下を包含する:ジメチルドデシルホスフィンオキシドおよびジメチル(2−ヒドロキシドデシル)ホスフィンオキシド。
【0125】
5.長鎖スルホキシド(式R1−SO−R2に対応するものを含む。ここで、R1およびR2は、置換されたアルキルラジカルまたは置換されていないアルキルラジカルであって、前者は約10から約28炭素原子を含有し、他方、R2は、1から約3炭素原子を含む)。これらのスルホキシドの特定の例としては、ドデシルメチルスルホキシドおよび3−ヒドロキシトリデシルメチルスルホキシドが挙げられる。
【0126】
6.両性合成界面活性剤(例えば、3−ドデシルアミノd−プロピオン酸ナトリウム、および3−ドデシルアミノプロパンスルホン酸ナトリウム)。
【0127】
7.双性イオン性合成界面活性剤(例えば、3−(N,N−ジメチル−N−ヘキサデシルアンモニオ)プロパン−1−スルホネートおよび3−(N,N−ジメチル−N−ヘキサデシルアンモニオ)−2−ヒドロキシプロパン−1−スルホネート。
【0128】
さらに、以下の型の乳化剤のすべては、本発明の組成物中において使用され得る:(a)脂肪酸石鹸(すなわち、アルカリ塩)、ロジン(rosin)酸、およびトールオイル;(b)アルキルアレンスルホネート;(c)アルキルスルフェート(分岐鎖および直鎖の疎水性基を有する表面活性剤、ならびに一次および二次のスルフェート基);(d)疎水性基と親水性基との間の中間体結合を含むスルフェートおよびスルホネート(例えば、脂肪アシル化メチルタウリドおよび硫酸化脂肪モノグリセリド;(e)ポリエチレングリコールの長鎖酸エステル、特にトールオイルエステル;(f)アルキルフェノールのポリエチレングリコールエーテル;(g)長鎖アルコールおよびメルカプタンのポリエチレングリコールエーテル;ならびに(h)脂肪アシルジエタノールアミド。表面活性剤は、1つを超える様式で分類され得ることから、このパラグラフに開示される多数のクラスの表面活性は、以前に記載される表面活性剤クラスと重複する。
【0129】
生物学的状況のために特に設計され、そしてそこにおいて一般に使用される、多数の油乳化剤が存在する。例えば、多数の生物学的界面活性剤(表面活性剤)は、それ自体がSigma Chemical Companyによってその1987 Catalog of Biochemical and Organic Compoundsの310−316頁に列挙されている。そのような表面活性剤は、4つの塩基性型へと分割される:アニオン性、カチオン性、双性イオン性、および非イオン性。アニオン性界面活性剤の例は、以下を包含するがそれらに限定されない:アルギン酸、カプリル酸、コール酸、1−デカンスルホン酸、デオキシコール酸、1−ドデカンスルホン酸、N−ラウロイルサルコシン、およびタウロコール酸など。カチオン性界面活性剤は以下を包含するがそれらに限定されない:セトリミド(ヘキサデシルトリメチルアンモニウムブロミド−CTAB)、塩化ベンザルコニウム、ジメチル ジオクトデシルアンモニウム(DDA)ブロミド、DOTAP、ドデシルトリメチルアンモニウムブロミド、塩化ベンジルジメチルヘキサデシルアンモニウム、塩化セチルピリジニウム、塩化メチルベンゼトニウム、および4−ピコリンドデシルスルフェートなど。双性イオン性界面活性剤の例としては以下が挙げられるがそれらに限定されない:3− [(3− コラミドプロピル)−ジメチルアンモニオ]−l−プロパンスルホネート(一般に、CHAPSと省略される)、3−[(コラミドプロピル)−ジメチルアンモニオ]ヒドロキシ−l−プロパンスルホネート (一般に、CHAPSOと省略される)、N−ドデシル−N,N−ジメチルアンモニオ−l−プロパンスルホネート、およびリゾ−α−ホスファチジルコリンなど。非イオン性界面活性剤の例としては以下が挙げられるがそれらに限定されない:デカノイル −N−メチルグルカミド、ジエチレングリコールモノペンチルエーテル、n−ドデシルβ−D−グルコピラノシド、脂肪アルコールのエチレンオキシド縮合物 (例えば、Lubrolの商標名で販売される)、脂肪酸のポリオキシエチレンエーテル(特に、C12からC20の脂肪酸)、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エーテル(例えば、Tweenの商標名で販売される)、およびソルビタン脂肪酸エーテル(例えば、Spanの商標名で販売される)など。正に荷電したエマルジョンを生じるアジュバント組成物の任意の成分は、例えば、上記のカチオン性界面活性剤のいずれかであり得る。あるいは、上記のカチオン性界面活性剤は、そのエマルジョンを正に荷電させるために上記の油滴エマルジョンのいずれかとともに使用され得る。
【0130】
界面活性剤の特に有用なグループは、ソルビタンベースの非イオン性表面活性剤である。これらの表面活性剤は、ソルビトールの脱水によって調製されて、1,4−ソルビタンを生じ、これは次いで、脂肪酸の1つ以上の等価物と反応される。脂肪酸置換された部分は、さらに、エチレンオキシドと反応されて表面活性剤の第二グループを形成し得る。
【0131】
脂肪酸置換されたソルビタン表面活性剤は、1,4−ソルビタンと、ラウリル酸、パルミチン酸、ステアリン酸、オレイン酸、または類似の長鎖脂肪酸のような脂肪酸と反応させることによって作製されて、1,4−ソルビタンモノエステルである1,6−ソルビタンセスキエステルまたは1,4−ソルビタントリエステルを生じる。これらの表面活性剤についての一般的な名称は、例えば、以下を包含する:ソルビタンモノラウレート、ソルビタンモノパルミテート、ソルビタンモノエステアレート、ソルビタンモノオレエート、ソルビタンセスキオレエート、およびソルビタントリオレエート。これらの表面活性剤は、SPAN(登録商標)またはARLACEL(登録商標)の名称で市販されている。通常、これには、種々のモノトリエステル、ジエステル、およびトリエステルで置換されたソルビタンとの間を識別する文字または数字の指定が伴う。
【0132】
SPANS(登録商標)およびARLACEL(登録商標)の表面活性剤は、親水性であり、そして一般に油に可溶性もしくは分散性である。それらはまた、ほとんどの有機溶媒中で可溶性である。水中で、それらは、一般に、不溶性であるが分散性である。一般に、これらの表面活性剤は、1.8から8.6の間の親水性−親油性の平衡(HLB)数を有する。そのような表面活性剤は、当該分野において公知の手段によって作製され得、または例えば、ICI Americas Inc.、Wilmington、DEからATLAS(登録商標)という登録商標で市販されている。
【0133】
表面活性剤の関連グループは、ポリオキシエチレンソルビタンモノエステルおよびポリオキシエチレンソルビタントリエステルを包含する。これらの材料は、エチレンオキシドを、1,4−ソルビタンモノエステルまたはトリエステルへと添加することによって調製される。ポリオキシエチレンの添加は、親油性ソルビタンモノエステルまたはトリエステルの表面活性剤を、親水性の表面活性剤に変換する。これは、水中で可溶性油分散性であり、そして有機液体において種々の程度で可溶性である。
【0134】
これらの材料は、TWEENという名称で市販されており、水中油エマルジョンを調製するため、および油の可溶化をするため、ならびに無水軟膏水溶性または洗浄可能にさせるために有用である。TWEEN表面活性剤は、関連するソルビタンモノエステルまたはトリエステル表面活性剤と合わせられて、エマルジョンの安定性を促進させ得る。TWEEN表面活性剤は、一般に、9.6と16.7との間のHLB値を有する。
【0135】
単独で、あるいはSPAN(登録商標)、ARLACEL(登録商標)、およびTWEEN(登録商標)の表面活性剤と組み合わせて使用され得る、非イオン性表面活性剤の第三のグループは、長鎖脂肪酸とエチレンオキシドとの反応によって作製されるポリオキシエチレン脂肪酸である。最も一般的に利用可能なこの型の表面活性剤は、MYRJ(登録商標)という商標の固体であり、そしてステアリン酸のポリオキシエチレン誘導体である。MYRJ(登録商標)表面活性剤は、親水性であり、そしてTWEEN(登録商標)表面活性剤のように水中で可溶性もしくは分散性である。MYRJ(登録商標)は、エマルジョンを形成する際に使用するために、TWEEN(登録商標)、またはTWEEN(登録商標)/SPAN(登録商標)またはARLACEL(登録商標)混合物と混和され得る。MYRJ(登録商標)表面活性剤は、当該分野において公知の方法によって作製され得るか、またはICI America’s Inc から市販されている。
【0136】
ポリオキシエチレンベースの非イオン性表面活性剤の第四のグループは、ラウリル、アセチル、ステアリル、およびオレイルのアルコールに由来するポリオキシエチレン脂肪酸エーテルである。これらの材料は、上記のように、エチレンオキシドを脂肪アルコールへと添加することによって調製される。これらの表面活性剤についての商標名は、BRIJ(登録商標)である。BRIJ(登録商標)表面活性剤は、その表面活性剤中のポリオキシエチレン部分のサイズに応じて親水性であるかまたは親油性であり得る。これらの化合物の調製物は当該分野から入手可能であるが、それらはまた、ICI America’s Incのような商業的供給源から容易に入手可能である。
【0137】
本発明の実施において潜在的に使用され得る、他の非イオン性界面活性剤は、例えば、以下である:ポリオキシエチレン、ポリオール脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンエーテル、ポリオキシプロピレン脂肪エステル、ポリオキシエチレンを含む蜜蝋誘導体、ポリオキシエチレンラノリン誘導体、ポリオキシエチレン脂肪グリセリド、グリセロール脂肪酸エステルまたは他のポリオキシエチレン酸アルコールまたは12−22炭素原子の長鎖脂肪酸のエーテル誘導体。
【0138】
本発明のアジュバントおよび免疫原性組成物は複数相系であることが意図されることから、約7から約16の範囲のHLB値を有するエマルジョン形成非イオン性表面活性剤を選択することが好ましい。この値は、TWEEN(登録商標)表面活性剤のような単純な非イオン性表面活性剤の使用を通じて入手され得るか、またはソルビタンモノエステル、ジエステルまたはトリエステルベースの表面活性剤を有するような表面活性剤の混和物の使用によって達成され得る;ソルビタンエステルポリオキシエチレン脂肪酸;ポリオキシエチレンラノリン誘導体化表面活性剤と組み合わせたソルビタンエステル;高HLBポリオキシエチレン脂肪エーテル表面活性剤と組み合わせたソルビタンエステル表面活性剤;あるいはポリエチレン脂肪エーテル表面活性剤またはポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸。
【0139】
本発明の実施においてエマルジョン安定化させる非イオン性表面活性剤として単純な非イオン性表面活性剤を使用することがより好ましく、最も特定するとTWEEN(登録商標)表面活性剤である。TWEEN(登録商標)80と称する表面活性剤は、他の様式では、ポリオキシエチレン20ソルビタンモノオレエートについてポリソルベートとしても知られているが、上記の表面活性剤の中で最も好ましい。
【0140】
十分な小滴サイズの減少は、0.02重量%(w/w)から2.5重量%(w/w)で存在する表面活性剤を有することによって通常行われ得る。0.05%から1%の量が好ましく、0.01%から0.5%が特に好ましい。
【0141】
本発明の小滴が達成される様式は、本発明の実施にとっては重要ではない。サブミクロンの油滴が入手され得る1つの様式は、商業的乳化剤の使用による(例えば、Microfluidics、Newton、MAから入手されるモデル番号110Y)。他の商業的乳化剤の例としては、Gaulin Model 30CD(Gaulin、Inc.、Everett、MA)およびRainnie Minilab Type 8.30H(Miro Atomizer Food and Dairy、Inc.、Hudson、WI)が挙げられる。高剪断力の原理によって操作されるこれらの乳化剤は、高圧のもとで、小さな開口部を通じて液体を押しつけることによって開発される。モデル110Y が5,000−30,000 psiで操作される場合、100−750 nmの直径を有する油滴が提供される。
【0142】
油滴のサイズは、界面活性剤と油の比を変化させること(その比を増加させると小滴サイズが減少する)、圧力を操作する(操作圧力を増加すると小滴サイズは減少する)、温度(温度を上昇させると小滴サイズが減少する)、および両親媒性免疫刺激剤の添加(そのような薬剤を添加すると、小滴サイズが減少する)によって変動され得る。実際の小滴サイズは、特定の界面活性剤、油、および免疫刺激剤(あれば)ならびに選択された特定の操作条件によって変動する。小滴サイズは、サイズ変更する装置の使用(例えば、Coulter Corporation によって製造される市販のSub−Micron Particle Analyzer(Model N4MD))によって確認され得、そしてそのパラメーターは、上記のガイドラインを用いて変動され得、その後、実質的に全ての小滴は1ミクロン未満の直径、好ましくは0.8ミクロン未満の直径、そして最も好ましくは0.5ミクロン未満の直径となる。実質的にすべてとは、少なくとも約80%(数ベース)、好ましくは少なくとも90%、より好ましくは約95%、そして最も好ましくは少なくとも約98%を意味する。粒子サイズ分布は、代表的にはガウス分布であり、その結果、平均直径は、言及された限界よりも小さくなる。
【0143】
本発明は、好ましくは、先行技術文献において以前に教示される他の成分の非存在下で油エマルジョンを調製して、十分な免疫原性についてサブミクロンエマルジョン(すなわち、ポリオキシプロピレン−ポリオキシエチレンブロックポリマー(例えば、米国特許第4,772,466号および同第4,770,874号、ならびに欧州特許出願0 315 153 A2におけるアジュバントとともに使用することについて記載されるもの)とともに使用されることによって実施され得る。
【0144】
本発明のミクロエマルジョン組成物は、水中で代謝可能な油およびPOP−POEコポリマー以外の乳化剤を含み得る。乳化剤は、何らかの特定の免疫刺激活性を有する必用はない。なぜなら、油組成物自身が、油滴がサブミクロン範囲にあるときにはアジュバントとして機能し得るからである。しかし、増加された免疫刺激活性は、公知の免疫刺激剤のいずれかをその組成物中に含ませることによって提供され得る。免疫刺激剤は、乳化剤および油とは別個であり得るか、または免疫刺激剤および乳化剤は1つのそして同じ分子であり得る。前者の状況の例としては、Mycobacterium tuberculosisのような殺傷されたミコバクテリアおよびその細胞内成分と混合された代謝可能な油が挙げられる。さらなる免疫刺激物質としては、そのような細菌の細胞壁の成分であるムラミルペプチドを含み、そしてその誘導体を含む。乳化剤/免疫刺激剤を混合物の例は、Sanchez−Pescadorら、J.Immunol.、1988、141,1720−1727(この開示は本明細書においてその全体が参考として援用される)に記載される親油性ムラミルペプチドである。これらの材料は、塩基性のN−アセチルムラミルペプチド(親水性部分)(これは、免疫刺激基として作用する)を含むが、これはまた、得られる化合物に対して表面活性特徴を提供する親油性部分を包含する。そのような化合物、および他の型の両親媒性の免疫刺激物質は、免疫刺激剤および乳化剤の両方として作用し、そして本発明の実施において好ましい。さらに、本発明を実施することはまた、両親媒性免疫刺激性物質を、両親媒性ではない免疫刺激物質と組み合わせて使用することによって可能である。例は、本質的に置換されていない(すなわち、本質的に親水性の)ムラミルジペプチドと組み合わせた親油性ムラミルペプチドの使用である。
【0145】
好ましい油滴エマルジョンは、MF59である。MF59は、例えば、以下に記載される手順に従って作製され得る:Ottら、Vaccine Design:The Subunit And Adjuvant Approach、1995、M.F.Powell and M.J.Newman、Eds.、Plenum Press、New York、p.277−296;Singhら、Vaccine、1998,16,1822−1827;Ottら、Vaccine、1995,13,1557−1562;ならびにValensiら、J.Immunol.、1994,153,4029−39、これらの開示は、その全体が本明細書において参考として援用される。
【0146】
他の油滴エマルジョンとしては以下が挙げられる:例えば、SAF(10%スクアレン、0.4% Tween80、5%プルロニックブロックポリマーL121、およびthr−MDPを含み、サブミクロンエマルジョンへと微小流体化されるか、またはボルテックスされてより大きな粒子サイズエマルジョンが生成される)、ならびにRibiアジュバント系(RAS)、(Ribi Immunochem、Hamilton、MT)(2%スクアレン、0.2% Tween 80、および以下からなる群より選択される1つ以上の細菌細胞壁成分を含む:一リン酸化リピド(monophosphrylipid)A(MPL)、トレハロースジミコレート(TDM)、および細胞壁骨格(CWS)、好ましくはMPL+CWS(DetoxJ)(本明細書での使用のために適切な水中油エマルジョのさらなる議論については、共有に係る、特許出願番号09/015,736(1998年1月29日出願)を参照のこと)。
【0147】
本発明のミクロエマルジョンを調製した後、高分子がそれに吸着されて、ミクロエマルジョンのアジュバント効果を増加させ得る。本発明の組成物のさらなる成分は、オリゴヌクレオチドである。これは、少なくとも1つのCpGモチーフを含む。本明細書において使用される場合、用語「CpGモチーフ」とは、オリゴヌクレオチドのジヌクレオチド部分をいい、これは、シトシンヌクレオチド、続いてグアノシンヌクレオチドを含む。そのようなオリゴヌクレオチドは、当業者に周知の従来のオリゴヌクレオチド合成を用いて調製され得る。好ましくは、本発明のオリゴヌクレオチドは、改変された骨格(例えば、ホスホロチオエートまたはペプチド核酸)を含み、その結果、オリゴヌクレオチドへヌクレアーゼ耐性を付与する。改変された骨格は、当業者に周知である。好ましいペプチド核酸は、以下に詳細に記載されている:以下の米国特許第5,821,060号、第5,789,573号、第5,736,392号、および第5,721,102号、日本国特許公開10−231290、欧州特許番号839,828、およびPCT公開番号WO98/42735、WO98/42876、WO98/36098、WO98/27105、WO98/20162、WO98/16550、WO98/15648、WO98/04571、WO97/41150、WO97/39024、およびWO97/38013、これらの開示は、その全体が参考として本明細書において援用される。
【0148】
このオリゴヌクレオチドは、好ましくは、約6と約100との間のヌクレオチド、より好ましくは約8と約50の間のヌクレオチド、最も好ましくは約10と約40の間のヌクレオチド。さらに、本発明のオリゴヌクレオチドは、糖部分および窒素塩基部分の置換物を含み得る。好ましいオリゴヌクレオチドは、例えば、以下に開示される:Kriegら、Proc.Natl.Acad.Sci.USA、1998,95,12631−12636、Klinmanら、Proc.Natl.Acad.Sci.USA、1996,93,2879−2883、Weinerら,Proc.Natl.Acad.Sci.USA、1997,94,10833−10837、Chuら、J.Exp.Med.,1997,186,1623−1631,Brazolot−Millanら、Proc.Natl.Acad.Sci.USA,1998,95,15553−15558、Ballasら、J.Immunol.、1996,157,1840−1845、Cowderyら、J.Immunol.,1996,156,4570−4575、Halpernら、Cell.Immunol.、1996,167,72−78、Yamamotoら、Jpn.J.Cancer Res.、1988,79,866−873、Staceyら、J.Immunol.、Messinaら、J.Immunol.,1991,147,1759−1764、Yiら、J.Immunol.、Yiら、J.Immunol.、1996,157、5394−5402、Yiら、J.Immunol.、1998,160,4755−4761、Romanら,Nat.Med.、1997,3,849−854、Davisら、J.Immunol.、1998,160,870−876、Lipfordら,Eur.J.Immunol.、1997,27,2340−2344、Moldoveanuら、Vaccine、1988,16,1216−1224、Yiら、J.Immunol.、1998、160,5898−5906、PCT公開WO96/02555,PCT公開WO98/16247、PCT公開WO98/18810、PCT公開WO98/40100、PCT公開WO98/55495,PCT公開WO98/37919、およびPCT公開WO98/52581、これらの開示は、その全体が本明細書において参考として援用される。本発明のオリゴヌクレオチドは、少なくとも1つのCpGモチーフを含むが、複数のCpGモチーフを含み得ることが理解されるべきである。
【0149】
好ましいオリゴヌクレオチドは、例えば、以下のようなヌクレオチド配列を含む:
【0150】
【化1】

。本発明の好ましい実施形態では、オリゴヌクレオチドはCpGモチーフを含み、このCpGモチーフは、モチーフの5’側で2個のプリンおよびモチーフの3’側で2個のピリミジンに隣接される。しかし、本明細書中に記載の油滴エマルジョンと組み合わせられる場合に、オリゴヌクレオチドがTh1リンパ球刺激を増大させる限り、CpGモチーフを含む任意のオリゴヌクレオチドが本発明において使用され得ることが理解されるべきである。
【0151】
別の好ましい実施形態では、高分子は、ミクロエマルジョンに吸着した免疫原性DNAまたは免疫原性タンパク質である。このような吸着は、強力なアジュバント効果を有するミクロエマルジョンを作製する。
【0152】
本発明はまた、吸着された抗原性および/または免疫原性の分子を有する上記ミクロエマルジョンを含む免疫原性組成物に関する。アジュバント組成物は、一般的に、アジュバントと免疫原性組成物において使用される抗原性物質とを合わせる前に、上記成分から調製される。抗原または抗原性物質の用語は、以下を含む任意の物質をいう:動物の血流に対して外来性である場合に、このような動物の組織に接近するとすぐに特異的抗体の形成を刺激し、そしてインビボまたはインビトロにおいて同一抗体と特異的に反応する、タンパク質もしくはタンパク質−ポリサッカリド、タンパク質−リポポリサッカリド、ポリサッカリド、リポポリサッカリド、ウイルスサブユニット、ウイルス全体または細菌全体。さらに、これは、抗原に対するレセプターを有するT−リンパ球(好ましくは、Th1リンパ球)の増殖を刺激し、そしてこのリンパ球と反応して、細胞性免疫と称される一連の応答を開始させ得る。
【0153】
ハプテンは、この抗原の定義の範囲内である。ハプテンは、その免疫学的特異性を決定する、抗原性分子または抗原性複合体の部分である。通常、ハプテンは、天然に存在する抗原の中のペプチドまたはポリサッカリドである。人工の抗原において、これはアルサニル酸誘導体のような低分子量物質であり得る。ハプテンは、インビボまたはインビトロにおいて、同一抗体またはTリンパ球と特異的に反応する。代替的な記述子は、抗原性決定基、抗原性構造基およびハプテン基である。
【0154】
本発明の好ましい実施形態では、抗原性物質は、例えば、以下のようなウイルス由来である:ヒト免疫不全ウイルス(HIV)、B型肝炎ウイルス(HBV)、C型肝炎ウイルス(HCV)、単純ヘルペスウイルス(HSV)、サイトメガロウイルス(CMV)、インフルエンザウイルス(flu)および狂犬病ウイルス。好ましくは、抗原性物質は、HSV糖タンパク質gD、HIV糖タンパク質gp120、およびHIV p55 gagからなる群から選択される。本発明の他の好ましい実施形態では、抗原性物質は、例えば、以下のような細菌由来である:Helicobacter pylori、Haemophilus influenza、コレラ、ジフテリア、破傷風、Neisseria meningitidis、および百日咳。本発明の他の好ましい実施形態では、抗原性物質は例えば、マラリア寄生生物のような寄生生物由来である。本発明の別の好ましい実施形態では、抗原は本発明の微粒子の表面に吸着される。
【0155】
抗原は、当該分野において公知の方法によって産生され得るか、または商業的供給源から購入され得る。本発明の範囲内である抗原としては、以下が挙げられる:不活化したウイルス粒子全体、単離されたウイルスタンパク質およびタンパク質サブユニット、細胞全体および細菌、細胞膜および細胞壁タンパク質など。いくつかの好ましい抗原を以下に記載する。
【0156】
単純ヘルペスウイルス(HSV)rgD2は、遺伝子操作されたチャイニーズハムスター卵巣細胞において産生される組換えタンパク質である。このタンパク質は短縮化された(truncated)正常なアンカー領域を有し、これは組織培養培地中に分泌されるグリコシル化タンパク質を生じる。このgD2は、CHO培地において90%より高い純度まで精製され得る。ヒト免疫不全ウイルス(HIV)env−2−3は、遺伝子操作されたSaccharomyces cerevisiaeにおいて産生されるHIVエンベロープタンパク質の組換え形態である。このタンパク質は、HIV gp120のタンパク質領域全体を表すが、酵母から精製される場合にはグリコシル化されず、そして変性する。HIV gp120は、上記のgD2に類似の様式でCHO細胞において産生される、完全にグリコシル化された分泌形態のgp120である。免疫原性組成物における使用に適切なさらなるHSV抗原は、PCT公開WO85/04587およびWO88/02634(これらの開示は、それらの全体において本明細書中で参考として援用される)に記載される。アンカー領域を欠失する短縮化された表面抗原であるgB抗原およびgD抗原の混合物が特に好ましい。
【0157】
免疫原性組成物における使用に適切なインフルエンザ抗原は、市販されている。以下の実施例において使用され得る抗原としては、FLUOGEN(登録商標)(Parke−Davisより製造)、Duphar(Duphar B.V.より製造)、およびインフルエンザワクチンバッチA41(influenza vaccine batch A41)(Instituto Vaccinogeno Pozziより製造)が挙げられるが、これらに限定されない。
【0158】
免疫原性組成物における使用に適切なマラリア抗原は、米国特許出願番号336,288(1989年4月11日出願)、および米国特許第4,826,957号(これらの開示は、それらの全体において本明細書中で参考として援用される)に記載される。
【0159】
免疫原性組成物における使用に適切なさらなるHIV抗原は、米国特許出願番号490,858号(1990年3月9日出願)および公開された欧州特許出願番号181150(1986年5月14日)(これらの開示は、それらの全体において本明細書中で参考として援用される)に記載される。
【0160】
免疫原性組成物における使用に適切なサイトメガロウイルス抗原は、米国特許第4,689,225号、米国特許出願番号367,363(1989年6月16日出願)、およびPCT公開WO89/07143(これらの開示は、それらの全体において本明細書中で参考として援用される)に記載される。
【0161】
免疫原性組成物における使用に適切なC型肝炎ウイルスは、以下において記載される:PCT/US88/04125、公開された欧州特許出願番号318216(1989年5月31日)、公開された日本国特許出願番号1−500565(1988年11月18日出願)、カナダ国特許出願番号583,561、およびEPO388,232(これらの開示は、それらの全体において本明細書中で参考として援用される)。異なるセットのHCV抗原が、欧州特許出願番号90/302866.0(1990年3月16日出願)および米国特許出願番号456,637(1989年12月21日出願)、およびPCT/US90/01348(これらの開示は、それらの全体において本明細書中で参考として援用される)に記載される。
【0162】
本発明の免疫原性組成物は、コレラ、ジフテリア、破傷風、百日咳、インフルエンザ、麻疹、髄膜炎、流行性耳下腺炎、ペスト、ポリオ、狂犬病、ロッキー山紅斑熱、風疹、痘瘡、腸チフス(typhoid)、チフス(typhus)、ネコ白血病ウイルス、および黄熱病を含むが、これらに限定されない疾患および感染に対して、鳥類および哺乳動物を免疫するために使用され得る。
【0163】
本発明の免疫原性組成物の組成は、有効量の抗原を使用する。すなわち、アジュバントと組み合わせて、免疫したウイルス、細菌、真菌類、マイコプラスマ、または寄生生物への引き続く曝露から被験体に防御を与えるように、被験体に特異的かつ十分な免疫学的応答(好ましくは、Th1リンパ球応答)を生じさせる量の抗原が含まれる。
【0164】
本発明において使用され得る各々すべての抗原について特定の指針を提供する、単回用量の指示は割り当てられ得ない。抗原の有効量は、その固有の活性および純度の関数であり、そして慣用的な実験を通して当業者によって経験的に決定される。本発明のアジュバント組成物は、細胞全体(すなわち、ウイルス性免疫原性組成物)と組み合わせて使用され得、同様に、精製された抗原(すなわち、組換えDNA技術または合成によって調製されるタンパク質サブユニット免疫原性組成物もしくはペプチド免疫原性組成物)と組み合わせて使用され得ることが意図される。本発明のアジュバント組成物は安定であるので、抗原およびエマルジョンは、単純に振盪することによって混合され得る。他の技術(例えば、このアジュバントと抗原の溶液または懸濁液との混合物を小さな開口部(例えば、皮下注射針)に急速に通過させること)によって、有用な免疫原性組成物は容易に提供される。
【0165】
本発明に従う免疫原性組成物は、約1ナノグラム〜約1000マイクログラムの核酸(好ましくは、DNA(例えば、CpGオリゴヌクレオチドのような))を含む。いくつかの好ましい実施形態では、免疫原性組成物は、約10ナノグラム〜約800マイクログラムの核酸を含む。いくつかの好ましい実施形態では、免疫原性組成物は、約0.1〜約500マイクログラムの核酸を含む。いくつかの好ましい実施形態では、免疫原性組成物は、約1〜約350マイクログラムの核酸を含む。いくつかの好ましい実施形態では、免疫原性組成物は、約25〜約250マイクログラムの核酸を含む。いくつかの好ましい実施形態では、免疫原性組成物は、約100マイクログラムの核酸を含む。当業者は、任意の所望される量の核酸を含む免疫原性組成物を容易に処方し得る。本発明に従う免疫原性組成物は、無菌性で、かつ発熱物質を含まずに提供される。免疫原性組成物は、単位投薬量形態で都合良く投与され得、そして例えば、Remingston’s
Pharmaceutical Sciences(Mack Pub.Co.、Easton、PA、1980)(この開示は、その全体において本明細書中で参考として援用される)に記載されるような、薬学分野において周知の任意の方法によって調製され得る。
【0166】
本発明はまた、宿主動物において免疫応答を刺激する方法に関する。この方法は、免疫応答を誘導するに有効な量の上記免疫原性組成物を動物に投与する工程を包含する。宿主動物は、好ましくは、哺乳動物、より好ましくはヒトである。好ましい投与経路としては、以下が挙げられるが、これらに限定されない:筋内、腹腔内、皮内、皮下、静脈内、動脈内、眼内および経口、ならびに経皮的または吸入もしくは坐剤による。最も好ましい投与経路としては、筋内注射、腹腔内注射、皮内注射、および皮下注射が挙げられる。本発明のいくつかの実施形態に従って、免疫原性組成物は、無針注入デバイス(needleless injection device)(これは周知であり、そして広範に入手利用可能である)を使用して、宿主動物に投与される。当業者は、本明細書の教示に従って、無針注入デバイスを使用し、個体の細胞に免疫原性組成物を送達し得る。
【0167】
本発明はまた、ウイルス感染、細菌感染、または寄生生物感染に対して宿主動物を免疫する方法に関し、この方法は、防御応答を誘導するに有効な量の上記免疫原性組成物を動物に投与する工程を包含する。宿主動物は、好ましくは、哺乳動物、より好ましくはヒトである。好ましい投与経路は、上記されている。宿主動物の予防的または治療的処置は、任意の病原体に指向し得るが、好ましい病原体としては、上記のウイルス病原体、細菌病原体、および寄生生物病原体が挙げられる(しかし、これらに限定されない)。
【0168】
本発明はまた、宿主動物においてTh1免疫応答を増大させる方法に関する。この方法は、Th1免疫応答を誘導するに有効な量の上記免疫原性組成物を動物に投与する工程を包含する。宿主動物は、好ましくは哺乳動物、より好ましくはヒトである。好ましい投与経路は、上記されている。当業者は、Th1リンパ球、ならびにその応答および測定に容易に精通する。
【0169】
本発明は、単独または互いとの組み合わせにおいて免疫応答を誘発するために使用される吸着抗原を有する微粒子またはミクロエマルジョンの使用を意図する。すなわち、本発明は、吸着された抗原を有する微粒子、吸着された抗原または免疫刺激分子を有するミクロエマルジョン、および吸着された抗原を有する微粒子と吸着された抗原もしくは免疫刺激分子を有するミクロエマルジョンとの組み合わせを包含する。
【0170】
以下の実施例によって示されるように、吸着された高分子を有する本発明の微粒子は、強力な免疫応答を誘発する。さらに、本発明の油滴エマルジョンはまた、強力な免疫応答を誘発する。従って、吸着された高分子を有する本発明の微粒子と本発明の油滴エマルジョンアジュバントとの組み合わせは、免疫応答を誘発するための強力なツールである。本発明はさらに、本発明を明らかにするために意図された以下の実施例によって例示される。前述の例は、本発明を例示することを意味し、そして如何なる様式でも本発明を制限すると解釈されるべきではない。当業者は、本発明の精神および範囲内である変更を認識する。本明細書中で引用されるすべての参考文献は、それらの全体において本明細書中で参考として援用される。
【0171】
(C.実験)
以下は、本発明の実施についての特定の実施形態の例である。この例は、例示目的のために提供され、そして如何なる様式でも本発明の範囲を制限するように意図されない。
【0172】
用いられた数値(例えば、量、温度など)に関して精度を確実にするように努力がなされたが、当然のことながら、幾分かの実験誤差および偏差は許容されるべきである。
【0173】
(実施例1)
(エマルジョン安定剤としてPVAを使用するブランク微粒子の調製)
ブランク微粒子(例えば、吸着された高分子または捕捉された(entrapped)高分子を有さない)を、ポリビニルアルコール(PVA)を使用して、以下のように作製した。溶液は、以下を使用した:
(1)ジクロロメタン中の6%RG 504 PLG(Boehringer
Ingelheim)
(2)水中の10%ポリビニルアルコール(PVA)(ICN)。
【0174】
特に、10mlのポリマー溶液と1.0mlの蒸留水とを合わせること、そしてOmni benchtopホモジナイザーを使用し、10K rpmにて10mmプローブと共に3分間ホモジナイズして、水/油(w/o)エマルジョンを形成することによって、この微粒子は作製された。このw/oエマルジョンを40mlの10%PVA溶液に添加し、そして3分間ホモジナイズして、水/油/水(w/o/w)エマルジョンを形成した。このw/o/wエマルジョンを溶媒のエバポレーションのために一晩攪拌しながら放置し、微粒子を形成する。形成された微粒子を、4回の遠心分離によって水で洗浄し、そして凍結乾燥した。次いで、今後の使用のために、この微粒子をMalvern Master整粒器でサイズ分類した。
【0175】
(実施例2)
(CTABを使用するブランク微粒子の調製)
ブランク微粒子を、CTABを使用して、以下のように作製した。溶液は、以下を使用した:
(1)ジメチルクロリド中の4%RG 504 PLG(Boehringer Ingelheim)
(2)水中の0.5%CTAB(Sigma Chemical Co.、St.Louis、MO)。
【0176】
特に、12.5mlのポリマー溶液と1.25mlの蒸留水とを合わせること、そしてOmni benchtopホモジナイザーを使用し、10K rpmにて10mmプローブと共に3分間ホモジナイズして、w/oエマルジョンを形成することによって、この微粒子は作製された。このw/oエマルジョンを50mlの0.5%CTAB溶液に添加し、そして3分間ホモジナイズして、w/o/wエマルジョンを形成した。このw/o/wエマルジョンを溶媒のエバポレーションのために一晩攪拌しながら放置し、微粒子を形成する。次いで、形成された微粒子を、38μメッシュを通して濾過し、4回の遠心分離によって水で洗浄し、そして凍結乾燥した。次いで、今後の使用のために、この微粒子をMalvern Master整粒器でサイズ分類した。
【0177】
(実施例3)
(SDSを使用するブランク微粒子の調製)
ブランク微粒子を、SDSを使用して、以下のように作製した。溶液は、以下を使用した:
(1)ジメチルクロリド中の6%RG 504 PLG(Boehringer Ingelheim)
(2)水中の1%SDS(Sigma Chemical Co.、St.Louis、MO)。
【0178】
特に、12.5mlのポリマー溶液と50mlのSDS溶液とを合わせること、そしてOmni benchtopホモジナイザーを使用し、10K rpmにて10mmプローブと共に3分間ホモジナイズすることによって、この微粒子は作製された。このエマルジョンを溶媒のエバポレーションのために一晩攪拌しながら放置した。今後の使用のために、形成された微粒子を、38μメッシュを通して濾過し、4回の遠心分離によって水で洗浄し、そして凍結乾燥した。次いで、今後の使用のために、この微粒子をMalvern Master整粒器でサイズ分類した。
【0179】
(実施例4)
(ブランク微粒子へのタンパク質の吸着)
タンパク質を以下のように微粒子に吸着させた。
【0180】
(A.p55gagの1%および3%の理論上負荷(theoretical
load))
1%および3%の理論上負荷を達成するために、実施例3においてのように生成された50mgの凍結乾燥したブランクSDS/PLG微粒子を、Nalgene遠心管内に配置し、そして10mlの25mMホウ酸緩衝液(pH9)をp55gagタンパク質(Chiron Corporation、Berkeley、CA)を含有する6M尿素と共に添加した:(a)1%の理論上負荷のために、10mlの50μg/mlのp55gag溶液を使用した;そして(b)3%の理論上負荷のために、10mlの150μg/mlのp55gag溶液を使用した。この混合物を、振盪させながら、室温にて一晩インキュベートした。翌日、微粒子を遠心分離し、そして塩基加水分解(base hydrolysis)、次ぐビシンコニン酸(bicinchoninic)アッセイ(BCA;Pierce、Rockford、IL)によりタンパク質負荷を分析して、吸着した量を決定した。今後の使用のために、微粒子を10mlのホウ酸塩/6M尿素緩衝液で2回洗浄し、そして30mlの水で2回洗浄し、そして凍結乾燥した。
【0181】
(B.HCVコア抗原(HCV core antigen)の1%の理論上負荷)
1%の理論上負荷を達成するために、50mgの凍結乾燥したブランクSDS/PLG微粒子を、Nalgene遠心管内に配置し、そして10mlの30mMクエン酸緩衝液(pH6.5)を単一HCVコアタンパク質(10mlの50μg/ml HCVコアタンパク質溶液;Chiron Corporation、Berkeley、CA)を含有する6M尿素と共に添加した。この混合物を、振盪させながら、室温にて一晩インキュベートした。翌日、微粒子を遠心分離し、そして、塩基加水分解、次ぐビシンコニン酸アッセイ(BCA;Pierce、Rockford、IL)によりHCV濃度についてタンパク質負荷を分析して、吸着した量を決定した。今後の使用のために、微粒子を30mlのクエン酸塩/6M尿素緩衝液で2回洗浄し、そして30mlの水で2回洗浄し、そして凍結乾燥した。
【0182】
(実施例5)
(微粒子の吸着効率)
実施例4からの吸着タンパク質を有する凍結乾燥微粒子を、塩基加水分解を使用して、吸着されたタンパク質の合計について、以下のように分析した。10mgの凍結乾燥した吸着された粒子を、5%のSDSを有する2mlの0.2N NaOH中で4時間加水分解し、中和し、1:10に希釈し、そしてMicroBCAタンパク質アッセイ(Pierce、Rockford、IL)を使用して、タンパク質含量について分析した。表1に示されるように、改変された表面を有する微粒子をCTABおよびSDSのような界面活性剤を用いて調製し、両方とも単独のPVAを使用して作製される微粒子よりも効率的にタンパク質を吸着した。
【0183】
【表1】

(実施例6)
(A.gag−吸着微粒子の免疫原性)
実施例4に記載されるように、PVAまたはSDSを使用して生成されるgag−吸着微粒子、ならびに付随した微粒子を有さないp55gag単独(ネガティブコントロールとして)およびワクシニアgag−polコントロール(ポジティブコントロールとして)を、マウスに筋内投与した。この動物を7日目および14日目に追加免疫した。投与された総用量を、表2および3に示す。最後の免疫の2週間後に脾臓を収集し、そしてDoeら、Proc.Natl.Acad.Sci.(1996)93:8578−8583に記載のように、CTL活性をアッセイした。
【0184】
リンパ球培養物を、以下のように調製した。免疫したマウス由来の脾臓細胞(sc)を、24ウェルディッシュにおいて1ウェルあたり5×106細胞で培養した。これらの細胞のうち、1×106個を、10μMの濃度で37℃にて1時間、合成エピトープ性ペプチド形態HIV−1SF2タンパク質で感作し、洗浄し、そして熱非働化胎仔ウシ血清、5×10-5Mの2−メルカプトエタノール、抗生物質、および5%インターロイキン2(Rat T−Stim、Collaborative Biomedical Products、Bedford、MA)を補充した2mlの培養培地[50% RPMI 1640および50%α−MEM(GIBCO)]において残存する4×106個の未処理scと共に同時培養した。3日目および5日目に、1mlの新鮮な培養培地で細胞に給餌(feed)し、そして6日目に細胞傷害性をアッセイした。
【0185】
細胞傷害性細胞アッセイを、以下のように実施した。51Cr放出アッセイにおいて使用されたSvBALB(H−2d)(SvB)およびMC57(H−2b)標的細胞は、クラスII MHC分子ではなく、クラスI MHC分子を発現する。約1×106個の標的細胞を、50μCi(1Ci=37Gbp)の51Crおよび合成HIV−1ペプチド(1mM)を含有する200μlの培地中で60分間インキュベートし、そして3回洗浄した。エフェクター(E)細胞と5×103個の標的(T)細胞とを、96ウェルの丸底組織培養プレート中の200μlの培養培地において種々のE/T比率で4時間培養した。二連のウェルからの平均cpmを使用して、特異的な51Cr放出の%を算出した。
【0186】
表2および3に示されるように、SDS−PLG/p55微粒子は、ワクシニアコントロールに匹敵し得る活性を有しており、そしてPVA−PLG/p55微粒子およびp55gagタンパク質処方物よりも活性であった。詳細には、表2において示されるように、p55gagタンパク質は、10μg、25μgおよび50μgの濃度で不活性であった。さらに、表3において示されるように、SDS−PLG/p55処方物は、PVA−PLG/p55およびp55gagタンパク質処方物よりも活性であり、このことは、このタンパク質が、PVA−PLG/p55およびp55gagタンパク質処方物と比較してSDS−PLG/p55処方物において、より効率的に微粒子に吸着されたことを示す。
【0187】
【表2】

(実施例7)
(改変した表面を有するpCMV gp120 DNA吸着微粒子の調製)
吸着したgp120をコードするプラスミドDNAを有する微粒子を以下のように調製した。20mgのブランクの微粒子を、実施例1および2に記載するように調製し、これを4℃にて3時間1.0ml容積中で、pCMV gp120
DNAの増加濃度でインキュベートした。インキュベーション後、この微粒子を遠心分離し、Tris−EDTA緩衝液で2回洗浄し、そして一晩凍結乾燥した。この微粒子を実施例5に記載するように加水分解し、そしてA260nmで吸着したDNAの量について分析した。
【0188】
表4は、PLG−PVAおよびPLG−CTAB微粒子の負荷効率を図示する。この表に示すようにPLG−CTAB微粒子は、対応するPLG−PVA粒子よりも効果的に吸着する。
【0189】
【表4】

(実施例8)
(HCV−E2吸着)
微粒子を、先の実施例に記載するように、PVAおよびいくつかの異なる界面活性剤を使用して調製した。C型肝炎ウイルス(HCV)由来のE2タンパク質を以下のように微粒子の表面上に吸着させた:0.2mg/mlのE2を、PBS中で20mgの微粒子に添加し、全容量0.5ml中の0.5%w/w E2/PLGでの溶液を形成した。この溶液を37℃にて1.5時間インキュベートし、次いで遠心分離した。上清を収集し、次いでmicroBCAによりタンパク質含有量のついて測定した。この結果を表5に示す。この結果は、本発明の微粒子による高分子の優れた吸着を確認した。
【0190】
【表5】

(実施例9)
(gp120タンパク質の吸着)
微粒子を、先の実施例に記載するようにPVAを使用して、調製した。微粒子をまた、以下のように、NaOleate、陰イオン性界面活性剤を使用して調製した:w/o/wエマルジョンを、内部水相として1.67mlの30mMのNaCitrate(pH6)、溶媒として16.7mlのジクロロメタン中の6%ポリマーRG 505 PLG(Boehringer Ingelheim)(油相)、および外部水相として66.8mlの0.4%NaOleateを用いて調製した。これらの微粒子を、「NaOleate−PLG(w/o/w)」として以下の表6に表す。さらに、微粒子を、水中に油の製剤形態で、NaOleateを使用して調製し、そしてこれらの微粒子を「NaOleate−PLG(o/w)」として以下の表6に表す。gp120タンパク質を、以下のように、調製した微粒子の表面に吸着させた:0.388mg/mlのタンパク質をPBS中の約20mgの微粒子に添加し、総容量0.8ml中の約1.4%w/wのgp120/PLGでの溶液を形成した。この溶液を、37℃にて1.5時間インキュベートし、次いで遠心分離した。上清を収集し、次いでmicroBCAによりタンパク質含有量について測定した。結果を表6に示す。この結果は、本発明の微粒子による高分子の優れた吸着を確認した。
【0191】
【表6】

(実施例10)
(リステリオリジン(listeriolysin)タンパク質の吸着)
微粒子を、先の実施例に記載するようにPVAおよびCTABを使用して調製した。Listeria monocytogenes由来のリステオリジンタンパク質(LLO)を、以下のように微粒子の表面上に吸着させた:1.0mg/mlのLLOをPBS中の100mgの微粒子に添加し、総容量5ml中の1%w/w LLO/PLGでの溶液を形成した。この溶液を37℃にて1.5時間インキュベートし、次いで遠心分離した。上清を収集し、次いでmicroBCAによりタンパク質含有量について測定した。結果を表7に示す。この結果は、本発明の微粒子による高分子の優れた吸着を確認した。
【0192】
【表7】

(実施例11)
(アジュバントとしてのアルミニウム塩の効果)
p55gagDNA吸着PLG微粒子をCTABを使用して上記のように調製した。この微粒子を2種類の濃度でマウスに筋肉内注射し、そしてコントロールとして、DNAのみを同じ2種類の濃度で注射した。さらに、ある試験で、50μgのリン酸アルミニウムを注射したCTAB組成物に添加した。各処方物を10匹のマウスに注射した。このマウスを28日後にブーストした。二度目の免疫化の2週間後、血清を収集し、そして標準誤差(SE)と一緒に、各血清の相乗平均力価(GMT)を測定した。この結果を表8で要約し、一次的な値および対数値の両方で表す。各数は、10匹のマウスから得た結果の平均である。
【0193】
【表8】

これらの結果を統計学的に比較するために、各々についてP−値を求めた:DNA−CTAV 対 DNA−CTAB+ALUM(P−値=0.0017);DNA−CTAB+ALUM 対 DNAのみ(P−値<0.0001);およびDNA−CTAB(10μg) 対 DNAのみ(10μg)(P−値<0.0001)。これらのP−値は、表8中の値の統計学的有意性を確認した。
【0194】
(実施例12)
(ζ電位の測定)
ζ電位の測定をCoulter Corp.,Miami,FL 33116製のDELSA 440 SX ゼータサイザー(zetasizer)で行った。このシステムを、Coulter製の移動度標準物質(EMP SL7、ポリスチレンラテックスビーズの水性懸濁液)を使用して較正した。滅菌水でサンプルセルをリンスした後、サンプルをサンプルセルに添加した。次いで、ビームをその最も低い値に合わせることにより計数器をゼロに設定した。参照について電流を0.7mA、そしてサンプルについて20Vに設定した。4つ全てのビームからの検出器レベルを確認し、次いでソフトウエアから「run」を選択することによりサンプルを実行し、そして周波数測定を読み出した。このビームは20Hz離れているべきである。次いで、各サンプルについて平均ζ電位を読み出す。
【0195】
本発明のいくつかの微粒子処方物についての測定を読み出し、そして結果を表9に示す。結果が示すように、高分子の微粒子表面への吸着が微粒子のζ電位を変化させる。
【0196】
【表9】

(実施例13)
(カプセル化した高分子および吸着した高分子を有する微粒子)
(A).PLG微粒子を、RG505PLGおよびPVAを使用して調製し、そしてこれは、アジュバントLTK63をカプセル化する。100mgの微粒子を400μg/mlのp24gagタンパク質を含む5mlのPBSとインキュベートした。次いで、この混合物を一晩室温で揺り動かしながらインキュベートし、遠心分離することにより20mlのPBSで2回、そして水で1回洗浄し、次いで、凍結乾燥した。塩基性加水分解および中和後、吸着したタンパク質%およびカプセル化したアジュバント%を測定し;結果を表10に表す。
【0197】
(B).PLG微粒子を、以下のように、SDSおよびRG505PLGを使用して調製し、そしてこれは、アジュバントCpGオリゴヌクレオチドをカプセル化する:5mlのDCM中の6%RG505ポリマーを、0.5mlの50mM Tris/EDTA中の5mg/mlのCpGと乳化し、w/oエマルジョンを形成した。このw/oエマルジョンを20mlの1%SDSに添加し、次いで乳化し、w/o/wエマルジョンを形成した。微粒子を、一晩、溶媒エバポレーションにより形成し、次いで洗浄し、遠心分離し、そして乳化した。10mgのCpG−カプセル化微粒子を1mlのDCMに溶解した。0.5mlの水を抽出オリゴヌクレオチドに添加し、次いで混合物を遠心分離し、そして水層を移動相としてPBSでサイズ排除カラム上に注入した。10mgのプラセボ微粒子を100μgのCpGオリゴヌクレオチドと混合し、そしてDCMで上記のように抽出し、そして標準物質としてカラム上に流した。粒子中に存在する閉じ込められたCpGオリゴヌクレオチドの量を、標準物質に対して算出した。
【0198】
p55gagを以下のようにCpG−カプセル化微粒子上に吸着した:50mgの乳化したCpG−カプセル化微粒子を、140μgのp55gagタンパク質を含む6Mウレア(pH9)と5mlの25mM ホウ酸塩と共に一晩インキュベートした。この混合物を室温で一晩揺り動かしながらインキュベートし、20mlのホウ酸緩衝液/6Mウレアで2回、そして20mlの水で2回洗浄し、次いで、凍結乾燥した。
【0199】
10mgのCpG−カプセル化/p55gag吸着した微粒子を、塩基加水分解し、そして取り込んだ高分子%および吸着した高分子%を測定した。他に記載しない限り、目標の負荷は、1.0%であった。結果を表10に表す。
【0200】
【表10】

(実施例14)
(2種類の吸着高分子を有する微粒子)
(A).本発明に従って、2種類以上の高分子を、両方の高分子を吸着している微粒子を含む組成物中に投与し得るか、または各々単一の高分子を吸着している、2種類以上の異なる微粒子を含む組成物中に投与し得る。例えば、以下のように、微粒子を調製し、これは、E2ポリペプチドおよびアジュバントCpGオリゴヌクレオチドの両方を吸着している:ブランクのPLG−CTABを先に記載したように調製した。20mgの乳化した微粒子を生理食塩水中の1mlの200μg/mlのE2と4時間インキュベートした。この混合物を室温で4時間揺り動かし、10,000Gで遠心分離することにより20mlの正常な生理食塩水で2回洗浄し、そしてペレットを、室温で4時間、200μg/mlのCpGを含む1mlのTE緩衝液中のCpG溶液に再懸濁した。最後の上清を、遠心分離することによりTE緩衝液で2回洗浄し、次いで、凍結乾燥した。10mgの吸着したCpGおよびE2を有する微粒子を塩基加水分解し、そしてタンパク質濃度をBACにより決定し、そして上清中の残りの量のCpGをHPLCにより分析し、微粒子上に吸着したCpGの量を測定した。結果を表11に表し、これは、両方の微粒子についてポジティブな吸着を示す。
【0201】
(B).微粒子を本発明に従って調製した。一部をE2ポリペプチドを吸着するために使用し、一方、他部分をアジュバントCpGオリゴヌクレオチドを吸着するために使用した。ブランクのPLG−CTABを先に記載するように調製した。20mgの凍結乾燥した微粒子を生理食塩水中の1mlの200μg/mlのE2と4時間インキュベートした。この混合物を室温で4時間揺り動かし、10,000Gで遠心分離することにより、20mlの正常な生理食塩水で2回洗浄し、次いで、凍結乾燥した。別々に、20mgの凍結乾燥した微粒子をTE緩衝液中の1mlの200μg/mlのCpGと4時間インキュベーションした。この混合物を室温で4時間揺り動かし、20mlのTE緩衝液と10,000Gで遠心分離することにより2回洗浄し、次いで、凍結乾燥した。吸着した高分子のパーセントの測定の結果を表11に現す。
【0202】
【表11】

(実施例15)
(界面活性剤(detergent)とPVAの組み合わせを使用して形成された微粒子)
以下の手順を使用して、2種類の界面活性剤(surfactant)を含む微粒子を形成した:PVAおよび界面活性剤:10mlのDCM中の5%PLGポリマーおよび0.2%の界面活性剤DOTAPを1.0mlの蒸留水と3分間12,000rpmで乳化し、第1のw/oエマルジョンを形成した。このw/oエマルジョンを40mlの0.8%PVAに添加し、そして3分間乳化し、第2のw/o/wエマルジョンを形成した。この第2のw/o/wエマルジョンを一晩攪拌し、溶媒をエバポレートし、そして微粒子を形成した。この微粒子を蒸留水中で2回洗浄し、そして凍結乾燥した。次いで、この微粒子を本発明に従って、高分子の吸着に用意した。
【0203】
同じ手順を使用して、PVAおよび界面活性剤DDAの組み合わせを含む微粒子を形成した。
【0204】
(実施例16)
(吸着したp55DNAを有する微粒子の免疫原性)
微粒子を界面活性剤CTABまたはDDAを使用して、先の実施例のように形成した。p55DNAを微粒子へ吸着させ、そして免疫原性を先の実施例に記載する手順を使用して評価した。結果を以下の表12に要約する。
【0205】
【表12】

(実施例17)
(吸着したルシフェラーゼDNAを有する微粒子を使用したインビボルシフェラーゼ発現)
微粒子をPLGおよび界面活性剤CTABを使用して、上記の手順を使用して形成した。ルシフェラーゼDNAを先に記載の方法を使用して、これらの微粒子上に吸着させた。5μg用量のルシフェラーゼDNAを使用するインビトロルシフェラーゼ発現を、ルシフェラーゼDNAのみ(1248pg)および上に吸着したルシフェラーゼDNAを有する微粒子(2250pg)を使用して測定した。インビボでのルシフェラーゼ発現を、以下のように投与後1日および14日目に筋肉において測定した:2つの群のマウス(n=5)を50μgのルシフェラーゼプラスミドまたは50μgのPLG−CTAB−ルシフェラーゼDNA微粒子のどちらかで各々注射した。マウスの両方の群を2本の肢で前脛骨(TA)筋に筋肉内注射した。2つの群における各マウスからの両方のTA筋肉を、1日または14日のどちらかで採取し、そして−80℃冷凍庫中で保存した。この筋肉を、ドライアイス上で乳鉢と乳棒ですった。粉状にした筋肉を、0.5mlの1×Reporter Lysis Bufferでエッペンドルフチューブに収集した。このサンプルを室温にて15分間ボルテックスした。3回の凍結/吸引後、サンプルを10分間14,000rpmでスピンした。各マウスのTA筋の上清を各時点でプールし、そして20ulのサンプルをルシフェラーゼ発現について強化閃光下で、ML3000(Dynatech)を使用してアッセイした。
【0206】
ルシフェラーゼ決定を化学発光アッセイを使用して行った。緩衝液を調製し、これは、1×Reporter Lysis(Promega)中に1mg/mlのBSAを含む。10mg/mlでルシフェラーゼ酵素ストック(Promega)を標準物質として使用して、500pg/20ulの濃度に希釈した。この標準物質を1:2に連続的に希釈し、Micrilite2プレート(Dynatech)に落とし、標準曲線を作成した。20μlのブランクおよびサンプルをまた、プレート上に置き、1:2に連続的に希釈した。このプレートをML3000中に置き、そこで100ulのLuciferase Assay Reagent(Promega)をウェルごとに注入した。強化閃光下で相対的光ユニットを各サンプルについて測定した。
【0207】
結果を、表13において以下に作表する。
【0208】
【表13】

(実施例18)
(吸着した抗原 対 包括した抗原を用いる微粒子の免疫原性)
微粒子を、先の実施例において議論した手順を用いて調製した。次いで、E2タンパク質を、上記のようにその上に吸着させた。E2を用いて、その上に吸着させるのではなく、その中に包括させた微粒子もまた、上記のように調製した。この微粒子を、各型の微粒子を用いる10匹のマウスの免疫後にIgG抗体を誘導するそれらの能力について評価した。各マウスからの血清の相乗平均力価(GMT)を測定し、次いで、10匹の動物のグループについて平均した。標準誤差(SE)もまた計算した。フィッシャーのPLSD(有意性レベル5%)をp=0.0006で測定した。その結果を以下の表14に示す。この結果は、本発明の吸着した微粒子を使用する体液性免疫応答の卓越した誘導を明確に実証する。
【0209】
【表14】

(実施例19)
(HCV E1E2タンパク質を吸着した微粒子の免疫原性)
PLG−CTAB微粒子を、先の実施例において議論した手順を用いて調製した。C型肝炎ウイルス(HCV)からのE1E2タンパク質をその上に吸着させた。その粒子を、ミョウバンアジュバントのあるなしで、10μgまたは100μgのタンパク質のいずれかを提供するように計算された微粒子の投薬量でマウスを免疫するために使用した。相乗平均力価を計算し、そしてその結果を以下の表15に示す。
【0210】
【表15】

この結果が示すように、タンパク質を吸着した微粒子は、10μg用量で卓越した免疫応答を産生する。このことは、この微粒子が、遊離のDNAがこのような応答を生成することができない、低い用量で免疫応答を誘発する際に有用である利点を有することを実証する。
【0211】
(実施例20)
(p24gagタンパク質を吸着した微粒子の免疫原性)
PLG−PVA微粒子を、先の実施例に議論した手順を用いて調製した。次いで、タンパク質p24gagを、上記のようにその上に吸着させた。その微粒子を、10匹のマウスの免疫後にIgG抗体、IgG1抗体、およびIgG2a抗体を誘導するそれらの能力について評価した。2回目の免疫後2週間(2wp2)マウスおよび3回目の免疫後2週間(2wp3)のマウスから収集した血清の相乗平均力価(GMT)を測定し、次いで、10匹の動物のグループについて平均した。標準誤差(SE)もまた計算した。その結果を以下の表16に示す。この結果は、本発明の吸着した微粒子を使用する体液性免疫応答の卓越した誘導を明確に実証する。
【0212】
【表16】

(実施例21)
(p55gagタンパク質および種々のアジュバントのIM免疫)
PLG/CTAB、PLG/SDS、およびPLG/PVA微粒子を、先の実施例において上記に記載したように形成した。微粒子上に吸着した抗原p55gagタンパク質を用いてマウスを免疫すること 対 遊離の可溶性p55gagを提供することの異なる効果を分析するために、そして、他の微粒子上にもまた吸着したか、あるいは可溶性形態で供給されるかの、アジュバントCpG(CpGモチーフを有する20塩基長の一本鎖オリゴヌクレオチド)を有することの効果を決定するために、微粒子の8つのグループを作製した。異なるグループは以下のように調製した:
グループ1は、CpGを吸着したPLG/CTAB粒子と混合した可溶性p55gagタンパク質(2M 尿素を有するtris/NaCl緩衝液中で2mg/mlで酵母において産生された組換えHIV p55 gagタンパク質)を使用した。
【0213】
グループ2は、CpGを吸着したPLG/CTAB粒子と混合した、p55gagが吸着したPLG/SDS粒子を使用した。
【0214】
グループ3は、遊離のCpGと混合した、p55gagが吸着したPLG/SDS粒子を使用した。
【0215】
グループ4は、p55gagが吸着し、アジュバントを有さないPLG/SDS粒子を使用した。
【0216】
グループ5は、CpGが吸着したPLG/CTAB粒子と混合した、p55gagが包括されたPLG/PVA粒子を使用した。
【0217】
グループ6は、コントロールであり、抗原を使用せず、そして可溶性CpGを使用した。
【0218】
グループ7は、別のコントロールであり、可溶性p55gagタンパク質を使用し、そしてアジュバントを使用しなかった。
【0219】
グループ8は、別のコントロールであり、gag遺伝子を発現するワクシニアウイルス(vv gag)のみを使用し、アジュバントを使用しなかった。
【0220】
各グループについて、10匹のマウスを、十分な量の微粒子または遊離の分子で免疫し、その結果、グループ8(これは、10×107pfuの用量で使用した)を除いて、p55gag抗原およびCpGアジュバントの投薬量は各25μgである(グループに存在する場合)。免疫の経路は、グループ8(この経路はIPである)を除いて、IMであった。免疫後、血清抗p55 IgG力価を測定し、その結果は以下の表17Aに見られる(3wp2、2回目の免疫3週間後)。表17Bは、アイソタイプであるIgG1成分およびIgG2a成分の分析を提供し、これは、IgG2A/IgG1の比を含む。CTLによる標的の溶解はまた、各グループを用いて測定された。それらの結果は、以下の表18Aおよび18Bに見られる(2つの別々の実験)。
【0221】
【表17A】

【0222】
【表17B】

【0223】
【表18A】

aSvB細胞株を、関連性のないペプチドでパルスした
bSvB細胞株を、p7gペプチドでパルスした
【0224】
【表18B】

aSvB細胞株を、関連性のないペプチドでパルスした
bSvB細胞株を、p7gペプチドでパルスした
(実施例22)
(p55gagタンパク質またはp55 DNAおよび種々のアジュバントのIM免疫)
PLG微粒子を、以前に上記で記載されるように形成した。微粒子のグループを、微粒子に吸着したp55 gagタンパク質でマウスを免疫すること 対 遊離の可溶性p55gagを提供することの異なる効果を分析するため、および、他の微粒子上にまた吸着したか、または遊離の可溶性形態で提供したかのアジュバントCpG(CpG1またはCpG2、異なるオリゴヌクレオチドのグループを表す)を有する効果を決定するために作成した。10匹の動物のグループを、以下のようにして異なる処方で免疫した:
グループ1は、p55gagタンパク質(2M 尿素を有するtris/NaCl緩衝液中で2mg/mlで酵母において産生された組換えHIV p55 gagタンパク質)と混合した、CpGを吸着したPLG/CTAB粒子を使用した。
【0225】
グループ2は、p55gagタンパク質が吸着したPLG/SDS粒子と混合した、CpG1を吸着したPLG/CTAB粒子を使用した。
【0226】
グループ3は、遊離のCpGと混合した、p55gagタンパク質が吸着したPLG/SDS粒子を使用した。
【0227】
グループ4は、p55gagタンパク質が吸着し、アジュバントを有さないPLG/SDS粒子を使用した。
【0228】
グループ5は、CpG1が吸着したPLG/CTAB粒子およびPVA/p55gagタンパク質が包括されたPLG/CTAB粒子を使用した。
【0229】
グループ6は、p55gagタンパク質が吸着したPLG/SDS粒子と混合した、CpG2を吸着したPLG/CTAB粒子である。
【0230】
グループ7は、コントロールであり、p55gagタンパク質が吸着したPLG/SDS粒子およびブランクPLG/CTAB微粒子を使用する。
【0231】
グループ8は、別のコントロールであり、遊離のCpG2のみを使用する。
【0232】
グループ9は、別のコントロールであり、遊離のCpG1のみを使用する。
【0233】
グループ10は、別のコントロールであり、遊離の可溶性p55gagタンパク質1のみを使用する。
【0234】
各グループについて、10匹のマウスを、十分な量の微粒子または遊離の分子で免疫し、その結果、p55gag抗原およびCpGアジュバントの投薬量は各25μgであった(そのグループに存在する場合)。免疫の経路はIM TAであった。免疫後、血清抗p55 IgG力価を測定し、その結果は以下の表19Aに見られる。その血清を2wp2(2回目の免疫2週間後)および2wp3(3回目の免疫2週間後)で測定した。
【0235】
【表19A】

同様の実験を、種々のPLG微粒子を使用して、界面活性剤としてCTABを使用して、抗原としてp55gagDNAを使用して、アジュバントしてCpGまたはLTK63を使用して、および以下のグループを使用して行った:
グループ1は、1μgのp55gagDNAを吸着したPLG/PVA/CTAB粒子を使用した。
【0236】
グループ2は、10μgのp55gagDNAを吸着したPLG/PVA/CTAB粒子を使用した。
【0237】
グループ3は、1μgのp55gagDNAを吸着したPLG/CTAB粒子を使用した。
【0238】
グループ4は、10μgのp55gagDNAを吸着したPLG/CTAB粒子を使用した。
【0239】
グループ5は、粒子またはアジュバントなしで、1μgの可溶性p55gagDNAを使用した。
【0240】
グループ6は、粒子またはアジュバントなしで、10μgの可溶性p55gagDNAを使用した。
【0241】
グループ7は、遊離のCpGと混合した、1μgのp55gagDNAを吸着したPLG/CTAB粒子を使用した。
【0242】
グループ8は、吸着したCpG1を有するPLG/CTAB粒子と混合した、1μgのp55gagDNAを吸着したPLG/CTAB粒子を使用した。
【0243】
グループ9は、遊離のLTK63と混合した、1μgのp55gagDNAを吸着したPLG/CTAB粒子を使用した。
【0244】
グループ10は、吸着したLTK63を有するPLG/SDS粒子と混合した、1μgのp55gagDNAを吸着したPLG/CTAB粒子を使用した。
【0245】
各グループについて、10匹のマウスを、十分な量の微粒子または遊離の分子で免疫し、その結果、示されるように、p55gag抗原およびCpGアジュバントの投薬量は各25μgであった(そのグループに存在する場合)。免疫の経路はIM TAであった。免疫後、血清抗p55 IgG力価を測定し、その結果は以下の表19Bに見られる。その血清を2wp2(2回目の免疫2週間後)で測定した。
【0246】
【表19B】

同様の実験を、種々のPLG微粒子またはMF59ミクロエマルジョンを使用して、界面活性剤としてホスファチジン酸(PA)、DSS、DOTAP、またはCTABを使用して、抗原としてgp120タンパク質を使用して、および以下のグループを使用して行った:
グループ1は、遊離のgp120タンパク質を有するMF59エマルジョンを使用した。
【0247】
グループ2は、吸着したgp120タンパク質を有するMF59/PAエマルジョンを使用した。
【0248】
グループ3は、包括されたgp120タンパク質を有するPLG/DSSを使用した。
【0249】
グループ4は、吸着したgp120タンパク質を有し、そしてアジュバントを有さないPLG/DSS粒子を使用した。
【0250】
グループ5は、吸着したgp120タンパク質が吸着したPLG/DSS粒子およびCpGが吸着したPLG/CTAB粒子を使用した。
【0251】
グループ6は、CpGを吸着したPLG/CTAB粒子を使用した。
【0252】
グループ7は、CpG1を吸着したMF59/DOTAP 80粒子と混合した、吸着したgp120タンパク質を有するPLG/DSS粒子を使用した。
【0253】
グループ8は、CpG1を吸着したMF59/DOTAP 80エマルジョンを使用した。
【0254】
グループ9は、gp120タンパク質を吸着するMF59/PA粒子と混合した、CpGを吸着したPLG/CTAB粒子を使用した。
【0255】
グループ10は、遊離のCpG1および可溶性gp120タンパク質を使用した。
【0256】
各グループについて、10匹のマウスを、十分な量の微粒子または遊離の分子で免疫し、その結果、gp120抗原およびCpGアジュバントの投薬量は各25μgであった(そのグループに存在する場合)。免疫の経路はIM TAであった。免疫後、血清抗gp120 IgG力価を測定し、その結果は以下の表19Cに見られる。その血清を2wp2(2回目の免疫2週間後)および2wp3(3回目の免疫2週間後)で測定した。
【0257】
【表19C】

上記のデータは、gp120タンパク質抗原の場合、CpGオリゴヌクレオチドが他のPLG粒子またはMF59/DOTAPエマルジョンに吸着されていても、いなくても、PLG粒子に吸着された抗原で免疫されたグループにおいて最も高い免疫応答が誘発されたことを実証する。対照的に、抗原がMF59/DOTAPエマルジョンに吸着され、そしてCpGオリゴヌクレオチドがPLG粒子に吸着された場合、免疫応答は基本的に些細であった。本明細書中の教示によって、当業者は、任意の特定の抗原についての最適な吸着された微粒子のおよび/またはミクロエマルジョンの組み合わせを容易に決定し得る。
【0258】
(実施例23 p55DNAの吸着および捕捉)
吸着されたp55DNAを有するPLG/CTAB微粒子を上記の実施例に記載されるように形成し、そしてブランク粒子、遊離CTAB、および遊離p55DNAに対するIM免疫後4週間および2度目のIM免疫後2週間の抗体の誘導について試験した。結果を以下の表20Aに表し、そして結果は、溶液中で遊離するよりも微粒子に吸着されたp55DNAを有することの明瞭な利点を示す。
【0259】
(表20A)
【0260】
【表20A】

CTLの誘導を同じ処方物で調べ、そして標的:エフェクターの比(4:1、15:1、および60:1)を使用しての1度目の免疫後3週後に測定した。結果を以下の表20Bに表し、結果は微粒子に吸着されたp55DNAの利点を示す。
【0261】
【表20B】

吸着されたp55DNAを有するPLG/CTAB微量粒子、および捕捉されたp55DNAを有するPLG/PVA微粒子を、上記の実施例に記載されるように形成した。マウスのIM免疫および抗体の誘導(血清の収集および分析)を、1度目の免疫後4週間(4wpl)で、および2度目の免疫後2、4、6、13、ならびに15週間(それぞれ2wp2、4wp2、6wp2、13wp2、ならびに15wp2)で、上記の実施例に記載されるように行った。以下の表20Cに示される結果は、捕捉されたp55および遊離のp55の両方にわたって吸着された微粒子の明瞭な利点を実証する。
【0262】
(表20C)
【0263】
【表20C】

吸着されたp55DNA(1%DNA)を有するPLG/CTAB/PVA粒子を、上記の実施例に記載されるように調整し、そしていくつかの特徴について測定した。結果を以下の表20Dに表す。
【0264】
(表20D)
【0265】
【表20D】

PLG/CTAB粒子およびPLG/PVA/CTAB粒子を、上記のように調製し、そしてp55DNAをそれらの粒子上に吸着した。マウスをp55DNAの用量が、1μgまたは10μgのいずれかである粒子で免疫した。2度目の免疫後2週間の抗体誘導実験の結果を上記の表19Bに表し、そして以下の表20Eに要約した。
【0266】
(表20E)
【0267】
【表20E】

界面活性剤としてDOTAPまたはCTABを使用し、かつ抗原としてp55DNAを使用する種々のPLG微粒子、またはMF59ミクロエマルジョンを調製し、そして以下のようにマウスを免疫するために使用した:
グループ1は、吸着されたp55DNAを有するPLG/CTAB粒子を使用した。
【0268】
グループ2は、捕捉されたp55DNAを有するPLG/CTAB粒子を使用した。
【0269】
グループ3は、吸着されたp55DNAを有するPLG/DOTAP粒子を使用した。
【0270】
グループ4は、遊離CTABおよび遊離p55DNAを有するPLG粒子を使用した。
【0271】
グループ5は、遊離p55DNAを有するMF59/DOTAP80エマルジョンを使用した。
【0272】
グループ6は、遊離p55DNAを有するMF59エマルジョンを使用した。
【0273】
グループ7は、遊離p55DNAを単独で使用した。
【0274】
グループ8は、ブランクPLG粒子および遊離したp55DNAを使用した。
【0275】
グループ9は、ブランクPLG粒子、遊離CTAB、および遊離したp55DNAを使用した。
【0276】
各グループについて、10匹のマウスを十分量のp55DNAの用量が1μgである微粒子または遊離分子で免疫した。免疫の経路は、IM TAであった。免疫後、血清抗p55DNAの力価を測定し、測定結果を以下の表20Fに表した。血清を3wp1(1度目の免疫後、3週間)および3wp2(2度目の免疫後、3週間)で測定した。
【0277】
(表20F)
【0278】
【表20F】

抗原として1μgの用量(他に示されない場合を除いて)で、DOTAP40またはDOTAP80、およびp55DNAを使用するPLG/CTAB微粒子およびPLG微粒子、およびMF59ミクロエマルジョンを、上記に記載されるように調製し、そして以下のようにマウスを免疫するために使用した:
グループ1は、バーストされていない吸着されたp55DNAを有するPLG/CTAB粒子を使用した(すなわち、これらの粒子は、免疫の前にインビトロでバーストされる)。
【0279】
グループ2は、吸着されたp55DNAを有するPLG/CTAB粒子を使用した。
【0280】
グループ3は、吸着されたp55DNAを有するPLG/CTAB粒子(比フリーズドライ)を使用した。
【0281】
グループ4は、吸着されたp55DNAを有するMF59/DOTAP40エマルジョンを使用した。
【0282】
グループ5は、10μgの用量で、吸着されたp55DNAを有するMF59/DOTAP40エマルジョンを使用した。
【0283】
グループ6は、吸着されたp55DNAを有するMF59/DOTAP80エマルジョンを使用した。
【0284】
グループ7は、10μgの用量で、吸着されたp55DNAを有するMF59/DOTAP80エマルジョンを使用した。
【0285】
グループ8は、遊離p55DNAを使用した。
【0286】
グループ9は、10μgの用量で、遊離p55DNAを使用した。
【0287】
グループ10は、10μgの用量で、遊離p55DNAを有するMF59エマルジョンを使用した。
【0288】
各グループについて、10匹のマウスを十分量のp55DNAの用量が、示されるように1または10μgの用量である微粒子または遊離分子で免疫した。免疫の経路は、IM TAであった。免疫後、血清抗p55DNA力価を測定し、測定結果を以下の表20Gに表す。この血清を、4wp1(1度目の免疫後、4週間)および2wp2(2度目の免疫後、2週間)で測定した。
【0289】
(表20G)
【0290】
【表20G】

(実施例24 モルモットにおける免疫応答の微粒子誘導)
吸着されたgp120DNAを有するPLG/CTAB微粒子を、上記の実施例において記載されるように形成した。他のサンプルを以下の表20に示し、そしてそれらとしては、gp120DNAによってコードされる微粒子(リン酸アルミニウムを有するか、有さない)、コントロールの遊離可溶性gp120(リン酸アルミニウムを有するか、有さない)、およびMF59タンパク質が挙げられる。モルモットのIM免疫および抗体の誘導(血清の収集および分析)を上記の実施例に記載されるように行った。結果を以下の表21に示す。
【0291】
(表21)
【0292】
【表21】

(実施例25 微粒子に吸着されたp55DNAを有する鼻腔内(IN)免疫)
吸着されたp55DNAを有するPLG/CTAB微粒子、および吸着されたp55DNAを有するPLG/DDA微粒子を、上記の実施例に記載されるように形成した。25または100μgでのマウスのIN免疫、抗体誘導(血清の収集および分析)、およびCTL誘導を上記の実施例において記載されるように、1度目の免疫後、2週間および4週間(2wp1、4wp1)で、2度目の免疫後、2週間および4週間(2wp2、4wp2)で、および3度目の免疫後、2週間および4週間(2wp3、4wp3)で行った。コントロールとしては、可溶性p55DNA単独、または10μgのコレラ毒素を有する免疫が挙げられる。抗体誘導についての結果を、表22に示し、そしてCTLによる溶解(4度目の免疫後、4週間で)の結果を、以下の表23に示した。
【0293】
(表22)
【0294】
【表22】

(表23)
【0295】
【表23】

(実施例26 アジュバント組成物の調整)
MTP−PEは、CIBA−GEIGY(Basal、Switzerland)により提供された。スクアレンおよびTWEEN(登録商標)80をSigma Chemical Co.(St.Louis、MO)より得た。CFAおよびIFAをGibco(Grand Island、NY)より得た。水酸化アルミニウム(Rehsorptar)をReheis Chemical Co.(Berkeley Heights NJ)より得た。
【0296】
油滴の調製を多くの方法によって行った。第1の方法において、4%スクアレン、0.008%TWEEN(登録商標)80、250μg/mlMTP−PEおよび抗原(リン酸緩衝生理食塩水(PBS)中)を含む混合物を6回、23ゲージ針を通過させた。油滴からなるこのエマルジョンは、10ミクロンの範囲のサイズであり、そしてMTP−PE−LOと称される。第2の方法は、上記の混合物をKirkland乳化剤を5回、通過させる工程を包含する。油滴からなるこのエマルジョンは、主に1〜2ミクロンであり、そしてMTP−PE−LO−KEと称される。このKirkland乳化剤(Kirkland Products、Walnut Creek、CA)は、小型の市販のナイフの刃をつけたホモジナイザー(例えば、Gaulin Model 30CDおよびRainnie Minilab Type 8.30H)であり、作業チャンバーにおいて約1000psiを産生する。第3の方法において、0.3〜18%スクアレンおよび0.2〜1.0mg/ml MTP−PE(TWEEN(登録商標)80を含むか、含まない)を含む混合物を、Microfluidizer(型番110Y Microfluidics、Newton、MA)を5,000〜30,000psiで通過させた。代表的には、microfluidizer中で50mlのエマルジョンを、5分、または100mlを10分混合した。生じるエマルジョンは、スクアレン、MTP−PEならびに界面活性剤の濃度、およびにmicrofluidizerの操作圧力ならびに温度に依存する100〜75nmの油滴からなった。この組成物は、MTP−PE−LO−MFと称される。
【0297】
(実施例27 CTABを使用する微粒子の調製)
ブランク微粒子をCTABを使用して以下のように産生した。使用した溶液:(1)ジメチルクロライド中の4%RG504PLG(Boehringer Ingelheim)。
(2)水中の0.5%CTAB(Sigma Chemical Co.,St.Louis、MO)。
【0298】
特に、12.5mlのポリマー溶液と1.25mlの蒸留水とを混合し、w/oエマルジョンを形成するために10Krpmで10mmプローブを備えたOmniベンチトップ(benchtop)ホモジナイザーを使用して3分ホモジネートし、微粒子を作製した。w/oエマルジョンを50mlの0.5%CTAB溶液に添加し、そしてw/o/wエマルジョンを形成するために3分間、ホモジネートした。w/o/wエマルジョンを溶媒の蒸発のために一晩攪拌し続け、微粒子を形成した。次いで、形成された微粒子を38μメッシュを通して濾過し、4回遠心分離することにより水で洗浄し、そして凍結乾燥した。次いで、微粒子を将来の使用のためにMalvern Masterサイズで分類した。
【0299】
(実施例28 免疫応答表現型に対するMPLおよびCpGオリゴヌクレオチドの効果)
10匹のマウスのグループを以下のように免疫した:グループ1)CpGオリゴヌクレオチドの存在下および非存在下で組換えHIV p55 gagタンパク質を有するMF59;グループ2)HIV p55 gagタンパク質を有するモノホスホリル脂質(lipd)A(MPL)を取り込むMF59;グループ3)CpGオリゴヌクレオチドの存在下および非存在下で表面に吸着されたHIV p55 gagタンパク質を有するSDS/PLG微粒子;グループ4)MPLを有する微粒子に吸着されたSDS/PLG p55;グループ5)MPLを有する組換えタンパク質;およびグループ6)組換えタンパク質単独。MF59の用量は、25μl/動物であり、そしてHIV p55タンパク質は25μg/動物であり、CpGオリゴヌクレオチドは、50μg/動物であり、MPLは10μg/動物で与えられた。微粒子は、25μgのタンパク質を含む用量で与えられた。
【0300】
MPLをRibi Immunochem Res.Inc.(Hamilton、Montana)より得た。MPL/MF59を、CHCl3中にMPLを溶解し、スクアレン/Span85に溶液を移し、そして標準MF59エマルジョンをTween80/H2Oと処方することによって調製した。
【0301】
組換え酵母p55 gagタンパク質を、当業者に公知の標準的発酵技術(酵母がダイノミル(dynomill)によって分裂する)によって産生した。p55タンパク質を、尿素/NaCl緩衝液中の細胞溶解物より得たペレット物質より抽出した。尿素溶液タンパク質を、6Mの尿素の存在下でアニオン交換クロマトグラフィーによって90%以上の均一性まで精製した。
【0302】
毎週の間隔で3度の筋肉内注射を受けたマウス、および血清サンプルを、3度目の注射後2週間で収集し、そしてCA Aequorn(Sealite Inc.,Norcross、GA)に基づく化学発光ELISAアッセイを使用して総IgG(G+M+A)、IgG1およびIgG2aについてアッセイした。代表的なアッセイの結果を図1および2に示す。吸着された微粒子の場合、CpGオリゴヌクレオチドを受けた動物は、吸着された粒子単独のIgG2a応答より19倍高いIgG2a応答、MPLを有する吸着された粒子よりも7倍高い応答、そしてタンパク質単独よりも17倍高い応答を示した。MF59を有するタンパク質の場合、CpGオリゴヌクレオチドを受けた動物は、CpGオリゴヌクレオチドの非存在下で誘導されたIgG2a応答よりも7倍高いIgG2a応答を示し、MF59およびMPLの組み合わせよりも2.6倍より高く、MPLを有するタンパク質よりも15倍より高く、そしてタンパク質単独よりも23倍より高かった。これらの結果は、MF59またはPLG微粒子のいずれかと組み合わされたCpGオリゴヌクレオチドが、MF59またはPLG微粒子のいずれかを有するMPLによって誘導されたリンパ球応答よりも有意により高いTh1リンパ球応答を刺激することを示す。
【0303】
オリゴヌクレオチドはOligo Etc.,Inc.(Wilsonville、OR)によって調製された。CpG1は、配列番号28を含む。CpG2は、非CpG配列tccaggacttctctcaggtt(配列番号29)を含む。
【0304】
(実施例29 p55 gagタンパク質のIM免疫および種々のアジュバント)
9匹のマウスのグループを以下のように筋肉内免疫した(記載される場合を除く):グループ1)CpG1オリゴヌクレオチドの存在下での組換えHIV p55 gagタンパク質を有するMF59、およびDOTAP80;グループ2)CpG1オリゴヌクレオチドの存在下での組換えHIV p55 gagタンパク質を有するMF59、およびDOTAP160;グループ3)組換えHIV
p55 gagタンパク質を有するMF59およびDOTAP;グループ4)組換えHIV p55 gagタンパク質を有するMF59;グループ5)CpG1オリゴヌクレオチドの存在下での組換えHIV p55 gagタンパク質を有するMF59;グループ6)組換えHIV p55 gagタンパク質およびDOTAP160;グループ7)組換えHIV p55 gagタンパク質およびCpG1オリゴヌクレオチド;グループ8)CpG1オリゴヌクレオチドの存在下での組換えHIV p55 gagタンパク質、およびDOTAP160;およびグループ9)vv−gag−pol(2×107pfu)IP。MF59no用量は25μl/動物であり、HIV p55タンパク質は25μg/動物であり、そしてCpGオリゴヌクレオチドは50μg/動物であった。免疫後、血清抗p55 IgG力価を測定し、測定結果を図3に示した。示されるように、正に荷電したエマルジョン(DOTAPを有する)の存在下での抗体力価は、正に荷電したエマルジョン(DOTAPを有さない)の存在下の2倍の高さである。CTLによる標的(SvB細胞株)の溶解をまた、各グループで測定し、測定結果を図4に表した。示されるように、正に荷電したエマルジョンを生じるためのDOTAPの添加は、CTL応答を増加する。
【0305】
(実施例30 イオン性エマルジョンアジュバント)
イオン性界面活性剤を含む1ミクロン未満のエマルジョンを、非イオン性安定化MF59処方物を使用して処方した。いくつかのイオン性界面活性剤をスクアレン中の溶解度について試験した。3つのイオン性界面活性剤ジオレオイル−3−トリメチルアンモニウム−プロパン(DOTAP)、ジオレオイル−sn−グリセロ−3−エチルホスホコリン(DEPC)およびジオレオイル−ホスファチジン酸(DPA)が、スクアレンに可溶性であることを見出した。各界面活性剤を、4〜52mg/mlスクアレンの範囲の濃度で、スクアレン/10%Span85に溶解することによって、プロトタイプイオン性エマルジョンを処方した。スクアレン/界面活性剤混合物を5mlのスクアレン/100ml H2Oの0.5%Tween80/H2Oを用いて乳化した。プレエマルジョンをSilversonホモジナイザーを用いてホモジネート(5分、5000RPM)することによって生成し、そして最終エマルジョンを微小流動化(約10,000psi、5回の通過、Microfluidizer110S)によって作製した。各型のエマルジョンを液滴のサイズおよびζ電位について試験した。これらの結果を以下の表24に示す。
【0306】
【表24】

MF59/DOTAP/160およびMF59/DOTAP/80をDNAおよびCpG ODNの両方の結合について試験した。2つのMF59/DOTAP処方物、160mg/100mlDOTAPおよび80mg/100mlDOTAP使用してp55DNAを吸着した。これらのエマルジョンを各々50μg/ml、100μg/mlおよび200μg/mlのDNAと共に4℃で一晩インキュベートした。DOTAPを含まないMF59/水のコントロールもまた50、100および200μgのDNAと共にインキュベートした。これらのエマルジョンをエアーフュージ(air fuge)を使用して遠心分離し、そして各サンプルについての浮遊物(subnatant)を酸加水分解し、そしてDNAアッセイを行った。(なぜなら、A260測定を妨げる十分な濁度が存在するから)。DOTAPコントロールサンプルを有さないMF59を使用して標準曲線を確立した。この標準曲線よりMF59/DOTAPサンプルの浮遊物中に残ったDNAの量を算出し、これらの結果を以下の表25に示す。
【0307】
【表25】

MF59をスクアレン中のDPTAPを使用して作製した。これを0.5mg/mlCpGと共に一晩インキュベートし、翌日そのエマルジョンを、エッペンドルフ(eppindorf)遠心分離中で50分間、遠心分離し、そして浮遊物をGPCカラムにかけた。0.5/mlCpGを通常のMF59に添加し、そしてスピンダウンし、次いでカラム上で分析した。MF59/Dotap浮遊物におけるCpGの量は、CpGでスパイクしたMF59の量の50%であった。このことは、CpGの投入量のほとんど50%が、実際に油相にあることを示す。
【0308】
吸着等温線(adsorption isotherm)が、次になされ、ここでCpGが、100μg/ml、500μg/ml、1mg/mlおよび2mg/mlで、MF59/Dotapに添加された。これを4℃で約4日間放置し、ついで、エアーフュージでサンプルを遠心分離し、続いて0.5mg/mlCpGで、MF59をスパイクした。
【0309】
浮遊物(非常に透明である)を、GPCカラムにかけ、次いで0.5μg、1μg、5μg、10μgおよび20μgでスパイクされたMF59を用いて標準曲線を作製した。吸着の百分率を測定し、そして測定結果を以下の表26に示した。
【0310】
【表26】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
明細書に記載の発明。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2012−17344(P2012−17344A)
【公開日】平成24年1月26日(2012.1.26)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2011−232182(P2011−232182)
【出願日】平成23年10月21日(2011.10.21)
【分割の表示】特願2000−600618(P2000−600618)の分割
【原出願日】平成12年2月9日(2000.2.9)
【出願人】(591076811)ノバルティス バクシンズ アンド ダイアグノスティックス,インコーポレーテッド (265)
【Fターム(参考)】