説明

吸着式エアドライヤ

【課題】空気圧縮機から吐出される圧縮空気を除湿するために、空気圧縮機の吐出流路に介挿される吸着式エアドライヤにおいて、生成目的物である圧縮空気の生成効率を高く保つべく圧縮空気を無駄に廃棄することなく、しかも設備的に構造の簡素化を図りつつ、水分吸着部を効率良く再生する。
【解決手段】対構成の水分吸着部5a,5bは、除湿対象の空気を通過させ含まれている水分を吸着して除湿する除湿機能と、吸着した水分を高温排水との熱交換およびパージ用空気の流動によって除去する再生機能とを有する。ファンは、パージ用空気を対構成の水分吸着部5a,5bに向けて送風する。機能切替手段54は、一方の水分吸着部を除湿機能で動作させるときに、他方の水分吸着部を再生機能で動作させることを、交互に切り替える。再生機能に用いられる水分除去のための高温排水として、空気圧縮機での冷却のための熱交換の結果得られる高温排水を対構成の水分吸着部に流動させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、空気圧縮機から高湿状態で吐出される圧縮空気を除湿するもので、空気圧縮機の吐出流路に介挿される吸着式エアドライヤにかかわり、特には、省エネおよび構造簡素化に加え、水分吸着部の再生効率の向上を通じて除湿乾燥の効率化を図るための技術に関する。
【背景技術】
【0002】
空気圧縮機は、外気から空気を取り入れて圧縮し、その圧縮後の空気(圧縮空気)を圧縮空気利用機器へと供給する装置である。圧縮空気は、圧縮による高圧化によって、その単位体積当たりの含有水分量が外気(大気)よりも増加し、高湿化している。この高湿の圧縮空気をそのまま圧縮空気利用先(半導体、医薬品などの製造工程)へ供給すれば製品に湿気による悪影響を与えることになるため、除湿を行って乾燥した圧縮空気として送り出す必要がある。そこで、一般的に空気圧縮機の後段にエアドライヤが設置される。
【0003】
エアドライヤには吸着式と冷凍式とがあるが、吸着式は、冷凍式に比べて電力消費が少ない。吸着式エアドライヤは、圧縮空気の流入管・排出管を有する容器(チャンバ)の内部に水分吸着剤を充填してなる水分吸着部を備えている。この水分吸着部に、空気圧縮機で得られた高圧で高湿の圧縮空気を流動通過させる。水分吸着部においては、空気圧縮機で得られた高圧で高湿の圧縮空気が流動通過する過程で、その含有水分が吸着され、圧縮空気は乾燥化する。そして、時間経過にともない水分吸着が進行すると、水分吸着部の吸着性能が低下するため、水分吸着部の再生を行う必要がある。すなわち、加熱昇温させることにより水分吸着部から被吸着水分を蒸発させ、送風手段によるパージ用空気の流れに乗せて外気へと排出し、水分吸着部を乾燥化する。
【0004】
吸着と再生とを行う方式については、大別して次の二つがある。一つは、単一の水分吸着部の存在領域を吸着領域と再生領域とに分け、水分吸着部を回転することにより、水分吸着部のうちのある部分は吸着領域を通過し、また別のある部分は再生領域を通過するという形態をとるものである。これは水分吸着部を回転させるので、吸着と再生とが同時進行的に行われる。もう一つは、水分吸着部を二つ一組の対構成とするものである。一方の水分吸着部を吸着モードで運転し、他方の水分吸着部を再生モードで運転するということを交互に切り替える方式である。
【0005】
上記とは別に、再生のための水分吸着剤の昇温に際して、従来、空気圧縮機で生成させた圧縮空気が保有する熱エネルギーを用いるものがあった。被処理空気を圧縮すると、圧縮の際の断熱圧縮の作用で圧縮空気が昇温し高温になる。その圧縮空気の熱エネルギーを利用して、水分吸着部を昇温させ、被吸着水分を蒸発除去させることにより水分吸着部を再生する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平6−31131号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、上記の従来方式では、生成目的物である圧縮空気そのものを水分吸着部の再生に転用するものであり、エネルギー効率上決して好ましいものではない。
【0008】
得たい圧縮空気の量をQとして、qの分量の圧縮空気を水分吸着部の再生に用いるとすると、合計(Q+q)の圧縮空気を生成しなければならないことになる。しかし、実効的な圧縮空気の生成効率は、(Q/(Q+q))×100%となり、再生に用いた圧縮空気は使用後に廃棄されてしまう。たとえば、Q=100、q=15とすると、実効的な圧縮空気の生成効率は、(100/115)×100≒87%(一例)となり、作り出した圧縮空気のかなりの部分を有効利用することなく廃棄してしまうため、総合効率が大きく低下し、合理的、生産的ではない。
【0009】
また、上記した二つのタイプのいずれにおいても、再生に使われたのちの圧縮空気は、外気に廃棄するか、あるいは外気に廃棄する代わりに、回転する水分吸着部の吸着領域または二つ一組の対構成の水分吸着部のうちの再生機能の状態となっている方の水分吸着部へと還流する。前者の外気に廃棄するタイプでは、総合効率が低下する。後者の吸着領域または再生機能の状態の水分吸着部へと還流するタイプでは、再生に使われたのちの圧縮空気は水分を多量に含んでいる関係で、還流する前に冷却によってドレンを分離しておかなければならない。この冷却には冷却器とドレン分離器とが必要となり、省エネ上および構造簡素化上好ましいものではない。再生に使われたのちの圧縮空気を還流する方式では、圧縮空気を除湿しているのか湿潤させているのか分からないような部分もあり、制御の管理が非常にむずかしいという難点もある。
【0010】
以上の点に鑑み本発明の課題は、生成目的物である圧縮空気の生成効率を高く保つべく圧縮空気を無駄に廃棄することなく、しかも設備的に構造の簡素化を図りつつ、水分吸着部を効率良く再生することである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明は、上記の課題を解決するために次の手段を講じる。
【0012】
本発明における吸着式エアドライヤは、空気圧縮機から吐出される高湿の圧縮空気を除湿するために空気圧縮機の吐出流路に介挿されるものであって、少なくとも一対の水分吸着部と、送風手段と、機能切替手段とを備える。
【0013】
前記水分吸着部は、それぞれ除湿機能と再生機能とを有する水分吸着部を対の構成の状態で備える。水分吸着部の対数は、一対でも複数対でもよい。
【0014】
除湿機能とは、除湿対象である空気圧縮機からの圧縮空気を通過させ、それに含まれている水分を吸着して除湿する機能である。再生機能とは、吸着した水分を高温流体との間接熱交換およびパージ用空気の流動によって除去する機能である。この場合、一つの水分吸着部においては、除湿機能と再生機能とは同時には働かず、いずれか一方のみを働かせるようになっている。
【0015】
前記機能切替手段は、一対の水分吸着部のうちの一方の水分吸着部を除湿機能で動作させるときに、他方の水分吸着部を再生機能で動作させる。また逆に、前記機能切替手段は、他方の水分吸着部を除湿機能で動作させるときに、一方の水分吸着部を再生機能で動作させる。すなわち、機能切替手段は、一対の水分吸着部どうし間で除湿機能の状態と再生機能の状態とを交互に切り替えるものとして構成されている。
【0016】
前記送風手段は、対構成の水分吸着部に向けてパージ用空気を送風する。これには通常、ファンが用いられるが、必要に応じてはブロワが適用される。
【0017】
本発明ではさらに、前記の再生機能に用いられる水分除去のための高温流体について、空気圧縮機での軸受部等の冷却のための熱交換の結果得られる高温流体を利用することとし、この空気圧縮機から排出される高温流体を対構成の水分吸着部に流動させるように構成している。
【0018】
本発明の吸着式エアドライヤは、空気圧縮機から吐出される圧縮空気を除湿するために前記空気圧縮機の吐出流路に介挿される吸着式エアドライヤであって、除湿対象の空気を通過させ含まれている水分を吸着して除湿する除湿機能と吸着した水分を高温流体との熱交換およびパージ用空気の流動によって除去する再生機能とをそれぞれ有する少なくとも一対の水分吸着部と、前記パージ用空気を前記対構成の水分吸着部に向けて送風する送風手段と、一方の水分吸着部を除湿機能で動作させるときに他方の水分吸着部を再生機能で動作させることを、両水分吸着部間で交互に切り替える機能切替手段と、を備え、前記再生機能に用いられる水分除去のための前記高温流体として前記空気圧縮機での冷却のための熱交換の結果得られる高温流体を前記水分吸着部に流動させるように構成されている。
【0019】
本発明では、機能切替手段により、いずれか一方の水分吸着部を除湿機能の状態にし、他方の水分吸着部を再生機能の状態にする。空気圧縮機で生成された高湿の圧縮空気は除湿機能の状態となっている方の水分吸着部に供給され、そこで含有水分が吸着され、除湿乾燥された圧縮空気が得られる。再生機能の状態となっている方の水分吸着部では、空気圧縮機の冷却に用いられた結果得られた高温流体が流動し、間接熱交換によって水分吸着部を昇温し、被吸着水分を蒸発させる。その蒸発の空間に送風手段からのパージ用空気が流れ込み、蒸発した水分を取り込んで外気へと排出する。これによって、水分吸着部を再生する。
【0020】
時間経過に伴って、除湿機能の状態となっている方の水分吸着部の吸着性能が低下するとともに、再生機能の状態となっている方の水分吸着部での再生が進む。そこで、ある段階で、機能切替手段は、それまで除湿機能の状態にあった水分吸着部を再生機能の状態に切り替えるとともに、それまで再生機能の状態にあった水分吸着部を除湿機能の状態に切り替える。
【0021】
こうして、再び高い吸着性能のもとでの吸着除湿が継続されることになる。
【0022】
機能切替手段は、以上の機能状態の切り替えを交互に繰り返す。その結果として、恒常的に、乾燥した圧縮空気を効率良く生成することができるようになる。
【0023】
上記において、再生機能の状態となっている方の水分吸着部では、空気圧縮機の冷却に用いられた結果得られた高温流体との間接熱交換で被吸着水分が蒸発するが、単にこれだけでは水分吸着部の再生はできない。蒸発の空間に蒸発した水分(蒸気)が滞留し、蒸気分圧が過剰に高くなり、一定以上の蒸発ができなくなるからである。送風手段によるパージ用空気の流動は蒸気分圧の過剰上昇を防止し、連続的な蒸発を持続させる。ここで、送風手段によるパージ用空気の流動は、大してエネルギーを必要とするものではない。わずかなエネルギーで効率良く再生を実現することが可能である。
【0024】
空気圧縮機を運転すると、軸受部をはじめとして各部に発熱が生じ、高温状態になる。そのままでは、円滑な運転に支障が出るため、冷却用流体(一般的には冷却水)をもって冷却することにしているのが一般的である。冷却用流体は熱交換によって昇温し高温流体(高温排水)となって空気圧縮機から排出される。
【0025】
従来にあって、この高温流体は、空気圧縮機が電動機駆動式の場合は廃熱エネルギーのまま廃棄されている。空気圧縮機が蒸気駆動式の場合は、蒸気発生源であるボイラへの給水の予熱エネルギーとして利用されることもある。
【0026】
しかし、空気圧縮機で得られた冷却作用後の高温流体を吸着式エアドライヤの水分吸着部の再生に有効利用することについては、知られていない。本発明では、空気圧縮機の冷却に用いられた結果得られた高温流体を水分吸着部に供給する。水分吸着部において、空気圧縮機で得られた高圧で高湿の圧縮空気の流動中に、圧縮空気に含まれている水分を吸着する。水分吸着が進行すると、吸着性能が低下するため、再生を行う必要がある。
【0027】
この再生には、昇温をもって水分吸着部から被吸着水分を蒸発させ、送風手段によるパージ用空気の流れに乗せて外気へと排出する。さらに、基本的に必要な空気圧縮機の冷却に用いられた結果の高温流体を水分吸着部の再生のための昇温に有効利用している。それゆえ、本発明では、生成目的物である圧縮空気を無駄に廃棄することなく、有効利用することが可能となる。すなわち、本発明では、生成目的物である圧縮空気の生成効率を高い状態に保つことが可能となる。加えて、本発明では、前述のように圧縮空気を吸着領域または再生機能の状態の水分吸着部に還流する従来方式では必要とした冷却器やドレン分離器は不要であり、省エネ上および構造簡素化を有利に展開することが可能となる。
【発明の効果】
【0028】
以上のように、本発明によれば、空気圧縮機から吐出される高湿の圧縮空気を除湿するために空気圧縮機の吐出流路に介挿される吸着式エアドライヤについて、省エネと構造簡素化とを図りつつ、水分吸着部の再生を合理的に進め、空気圧縮機から吐出されてくる高湿状態の圧縮空気に対する除湿乾燥を効率良く展開することができる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】本発明の実施例1における吸着式エアドライヤが適用される蒸気システムの構成の概略図である。
【図2】本発明の実施例1における吸着式エアドライヤの主要部の構成図である。
【図3】本発明の実施例1における吸着式エアドライヤの動作を示すフローチャートである。
【図4】本発明の実施例2における吸着式エアドライヤの対構成の水分吸着部と熱交換用流動管の関係を示す概略図である。
【図5】本発明の実施例3における吸着式エアドライヤの対構成の水分吸着部と熱交換用流動管の関係を示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0030】
次に、本発明の実施の形態について説明する。
【0031】
本発明の吸着式エアドライヤは、空気圧縮機の吐出流路に介挿されて、空気圧縮機から吐出される圧縮空気を圧縮空気利用先へ供給する前に除湿乾燥しておくための装置である。この吸着式エアドライヤは、少なくとも一対の水分吸着部と、送風手段と、機能切替手段とを備える。空気圧縮機は、吸着式エアドライヤの処理対象である圧縮空気を生成するものであり、その種類については特に問うものではなく、蒸気駆動式でも電動機駆動式でも構わないし、往復式でも回転式でも構わない。空気圧縮機は、好適にはスクリュ式圧縮機である。スクリュ式圧縮機は、互いに噛み合って回転するスクリュロータ間に気体を吸入して、スクリュロータの回転により気体を圧縮して吐出する装置である。
【0032】
各水分吸着部それぞれは、除湿機能と再生機能とを有している。除湿機能とは、除湿対象の圧縮空気を通過させて、それに含まれている水分を吸着して除湿する機能である。また、再生機能とは、水分吸着部に吸着した水分を昇温によって蒸発させるとともに、蒸発した水分をパージ用空気の流れにのせて外気へと排出する機能である。蒸発のための昇温には、外部から取り入れる高温流体との間接熱交換が用いられる。
【0033】
送風手段は、蒸発した水分をパージ用空気の流れにのせて外気へと排出するために、パージ用空気を起風し、対構成の水分吸着部に向けて送風する装置である。送風手段としては、特にその種類を問うものではなく、広く任意の形態のものを採用し得るものである。たとえば、ファンでもよいしあるいはブロワでもよいが、好適にはファンである。蒸発した水分の排出には大きな負荷はかからず、比較的小さな圧力で排出することができるからである。
【0034】
各水分吸着部は、その除湿機能の状態と再生機能の状態とが切り替えられるように構成されている。一方の水分吸着部を除湿機能で動作させるときには他方の水分吸着部は再生機能で動作させ、逆に、前記他方の水分吸着部を除湿機能で動作させるときには前記一方の水分吸着部は再生機能で動作させる。機能切替手段は、各水分吸着部を前記二つの態様の動作状態に交互に切り替える。機能切替手段により、各水分吸着部の両機能状態を交互に切り替えるタイミングについては、特にこれを問うものではないが、タイマによって所定の時間間隔で切り替えるのが好ましい。その切り替えのタイミングは、水分吸着部の吸着性能の低下の許容限界と水分吸着部の吸着性能の回復の満足度とを勘案して、適宜に定めればよい。あるいは、水分検出センサを用いて、除湿機能の状態となっている方の水分吸着部での検出水分が所定値以上に増加したとき、あるいは、再生機能の状態となっている方の水分吸着部での検出水分が所定値以下に減少したときに、両機能状態を切り替えるように構成してもよい。もっとも、タイマで切り替える方が、制御がより簡単である。
【0035】
本発明においては、水分吸着部での再生機能に用いられる水分除去のための前記の高温流体として、空気圧縮機での冷却のための熱交換の結果得られる高温流体を用いる。この空気圧縮機から吐出される高温流体を対構成の水分吸着部に流動させ、この高温流体がもつ熱エネルギーを吸着水分の蒸発に有効利用する。
【0036】
空気圧縮機の目的生成物は乾燥した圧縮空気である。吐出段階で高湿状態にある圧縮空気を乾燥するのに吸着式エアドライヤを用いるとき、水分吸着部の再生が必須である。その水分吸着部の再生には熱エネルギーを必要とする。その熱エネルギーを賄うために、従来では、目的生成物である圧縮空気そのものの一部を流用する形態をとっており、合理的、生産的ではない。これに対して、本発明では、目的生成物の圧縮空気自体の熱エネルギーで水分吸着部を再生するのではなく、目的生成物ではない、空気圧縮機の冷却の結果得られた高温流体の熱エネルギーを有効利用している。
【0037】
前記機能切替手段による制御の結果、一方の水分吸着部(第一の水分吸着部)が除湿機能の状態にあり、他方の水分吸着部(第二の水分吸着部)が再生機能の状態にあるとする。これが第一状態Q1である。空気圧縮機から吐出された高湿状態の圧縮空気は、第一の水分吸着部に供給され、そこで含有水分が吸着される。除湿後の乾燥圧縮空気は圧縮空気利用対象へと送られる。空気圧縮機からの圧縮空気は、第二の水分吸着部へは供給されない。この状態で、空気圧縮機での軸受部等の冷却のための熱交換の結果得られる高温流体が、再生機能の状態にある第二の水分吸着部を流動する。同時に、送風手段によるパージ用空気は、再生機能の状態にある第二の水分吸着部へ供給される。
【0038】
再生機能の状態の第二の水分吸着部では、高温流体との間接熱交換による昇温によって吸着済みの水分が蒸発され、そこを流動するパージ用空気に取り込まれて外気へと排出される。これによって第二の水分吸着部は乾燥され再生される。
【0039】
次いで、タイマが動作して機能切替手段が働き、次には、第二の水分吸着部が除湿機能の状態に切り替わるとともに第一の水分吸着部が再生機能の状態に切り替わる。これが第二状態Q2である。空気圧縮機から吐出された高湿状態の圧縮空気は、今度は、第二の水分吸着部に供給され、そこで含有水分が吸着される。除湿後の乾燥圧縮空気は圧縮空気利用対象へと送られる。空気圧縮機からの圧縮空気は、第一の水分吸着部へは供給されない。
【0040】
この状態で、空気圧縮機での軸受部等の冷却のための熱交換の結果得られる高温流体が、再生機能の状態にある第一の水分吸着部を流動する。
【0041】
同時に、送風手段によるパージ用空気は、再生機能の状態にある第一の水分吸着部へ供給される。再生機能の状態の第一の水分吸着部では、高温流体との間接熱交換による昇温によって吸着済みの水分が蒸発され、そこを流動するパージ用空気に取り込まれて外気へと排出される。
【0042】
これによって第一の水分吸着部は乾燥され再生される。
【0043】
次いで、タイマが動作し、機能切替手段が働き、再び、第一の水分吸着部が除湿機能の状態に切り替わるとともに第二の水分吸着部が再生機能の状態に切り替わる。つまり、第一状態Q1に復帰する。以降、上記同様の動作が繰り返される。これにより、恒常的に、乾燥した圧縮空気を効率良く生成することができるようになる。
【0044】
上記における前記の高温流体については、空気圧縮機に付属の圧縮熱回収ユニットにおいて回収される高温排水とするのが好ましい一態様である。高温流体は、通常は高温の温水である。空気圧縮機は、外気から取り込んだ空気を数倍ないし数十倍に圧縮した上で吐出する関係から相当量の熱を発生する。この発熱が過剰となると空気圧縮機の円滑な運転に支障を来すようになる。そこで一般的に、空気圧縮機特にその軸受部を冷却して安定運転を保つようにする。
【0045】
その冷却に圧縮熱回収ユニットが用いられる。
【0046】
すなわち、空気圧縮機に間接熱交換器を付設し、その熱交換器に冷却用水の供給を行って熱交換により空気圧縮機を冷却するようにしてある。冷却用水の方は熱交換によって温度上昇し、高温排水となる。
【0047】
この高温排水を水分吸着部に流動させ、間接熱交換により水分吸着部を昇温させることにより、水分吸着部からその吸着水分を蒸発させ乾燥させる。これにより、空気圧縮機の過剰昇温の防止とともに、水分吸着部の良好な再生を伴う乾燥圧縮空気の効率良い生成を、エネルギーロス少なく実現することができる。
【0048】
上記において、前記の水分吸着部は、その具体的構成として次のように構成するのが好ましい一態様である。すなわち、その水分吸着部は、容器と水分吸着剤と熱交換用流動管を備えている。前記の容器は、圧縮空気の流入管と排出管、送風手段からのパージ用空気の流入管とパージ用空気の外気への排出管を有している。この容器の内部には水分吸着剤が充填されている。前記の熱交換用流動管は高温流体を流動させるもので、水分吸着剤に接する状態で容器に通し配管されている。水分吸着剤が充填収納されている容器内空間は、これに対して、圧縮空気の流入管と排出管が連通しているとともに、パージ用空気の流入管と外気への排出管も連通している。つまり、圧縮空気系とパージ用空気系とは容器内空間を共有している。
【0049】
その関係で、水分吸着部を除湿機能の状態にしているときは、圧縮空気系が実効的に容器内の水分吸着剤に作用し、かつパージ用空気系は水分吸着剤に作用しないようにし、逆に、水分吸着部を再生機能の状態にしているときは、パージ用空気系が実効的に容器内の水分吸着剤に作用し、かつ圧縮空気系は水分吸着剤に作用しないようにする。この作用・非作用の切り替えは、配管系に介挿した弁の開閉切り替えをもって実現する。
【0050】
上記において、前記の高温流体の熱エネルギーをより有効に利用する上での好ましい一態様として、次のような配管・弁系統を形成することが考えられる。すなわち、対構成の水分吸着部の熱交換用流動管どうしを接続することとし、その接続のための配管・弁系統につき、高温流体の流れ方向を、除湿機能の状態となっている方の水分吸着部の熱交換用流動管から再生機能の状態となっている方の水分吸着部の熱交換用流動管に向かう方向に規制するように構成する。つまり、高温流体がまずは除湿側の水分吸着部を通り、続いて再生側の水分吸着部を通るように、配管・弁系統を構成する。
【0051】
この場合に、対構成の水分吸着部は、上記のとおり、一方の水分吸着部を除湿機能で動作させるときには他方の水分吸着部は再生機能で動作させ、逆に、前記他方の水分吸着部を除湿機能で動作させるときには前記一方の水分吸着部は再生機能で動作させるということを、対構成の水分吸着部どうし間で交互に切り替えるものである。したがって、高温流体の流れ方向を、除湿機能の状態となっている方の水分吸着部の熱交換用流動管から再生機能の状態となっている方の水分吸着部の熱交換用流動管に向かう方向に規制するには、配管系にいくつかの開閉弁を介挿し、それらの開閉弁の制御において、除湿機能の状態と再生機能の状態との交代に合わせて、いずれかの開閉弁を開弁し残りの開閉弁を閉弁する状態と、前記のいずれかの開閉弁を閉弁し残りの開閉弁を開弁する状態とを切り替えるように構成する。
【0052】
つまり、配管・弁系統は、前記の対構成の水分吸着部のうちいずれが除湿機能の状態でいずれが再生機能の状態であるかにかかわらず常に、除湿機能の状態となっている方の水分吸着部における熱交換用流動管から再生機能の状態となっている方の水分吸着部における熱交換用流動管に向けて高温流体が供給されるような構成となっている。
【0053】
このような配管・弁系統がもつ技術的意義は次のとおりである。
【0054】
すなわち、再生用の高温流体はまず除湿機能の状態となっている方の水分吸着部を通過するが、この除湿機能の状態となっている方の水分吸着部では処理対象である高湿状態の圧縮空気、水分吸着により発熱が起きる。その熱エネルギーを再生用の高温流体が取り込み、下流側の再生機能の状態となっている方の水分吸着部へと流れ込む。これで熱の有効利用がさらに効果的なものとなり、結果的に非常に効率の良い圧縮空気の生成が実現する。
【0055】
以下、本発明の具体的実施例を図面に基づいて説明する。
【0056】
図1は、本発明の実施例1における吸着式エアドライヤが適用される蒸気システム(蒸気駆動空気圧縮機)の構成の概略図である。図2は本発明の実施例1における吸着式エアドライヤの主要部の構成図である。
【0057】
図1を参照して、10は、蒸気システム全体を示す。蒸気システム10は、蒸気を用いて動力を起こす蒸気式原動機11と、これにより駆動される空気圧縮機12とを備える。
【0058】
蒸気式原動機11としては蒸気エンジン、好適には、入口側の圧力と出口側の圧力との差分のエネルギーをもってスクリュロータを回転するスクリュ式蒸気エンジンが用いられる。蒸気エンジン11により駆動され圧縮空気を吐出する空気圧縮機12としては、好適にはスクリュ式圧縮機が用いられる。蒸気エンジン11のスクリュロータの回転駆動力を用いてスクリュ式空気圧縮機12のスクリュロータが回転される。この際、蒸気エンジン11の出力軸11aと空気圧縮機12の入力軸12aとは、カップリング13で接続される。ただし、出力軸11aと入力軸12aとは、クラッチを介して接続されてもよい。この場合、蒸気エンジン11による空気圧縮機12の駆動の有無をクラッチにより切り替えることができる。また、クラッチは、変速機を備えてもよい。この場合、変速比を変更することで、空気圧縮機12の吐出圧力を変更することができる。さらに、出力軸11aと入力軸12aとは、電動機(モータ)を介して接続されてもよい。この場合、空気圧縮機12は、蒸気エンジン11と電動機とのうち、一方または双方により駆動可能とされ、駆動割合を変更可能とされる。
【0059】
蒸気エンジン11には、蒸気ボイラ14からの蒸気が給蒸路15を介して供給される。本実施例では、蒸気ボイラ14からの蒸気は第一蒸気ヘッダ16に供給され、この第一蒸気ヘッダ16の蒸気が給蒸路15を介して蒸気エンジン11に供給される。第一蒸気ヘッダ16から蒸気エンジン11への給蒸路15には給蒸弁17が設けられる。この給蒸弁17の開度を制御して蒸気エンジン11の出力を調整する。
【0060】
蒸気エンジン11にて使用後の蒸気は、各種の蒸気利用機器18において利用することができる。本実施例では、蒸気エンジン11からの蒸気は、排蒸路19を介して第二蒸気ヘッダ20に供給され、この第二蒸気ヘッダ20の蒸気が各種の蒸気利用機器18へ供給される。蒸気エンジン11は、空気圧縮機12を駆動するだけでなく、減圧弁としても機能する。したがって、蒸気エンジン11にて使用後の蒸気は、減圧弁通過後の蒸気として各種の蒸気利用機器においてそのまま利用することもできる。
【0061】
第一蒸気ヘッダ16と第二蒸気ヘッダ20とは、バイパス路22を介しても接続される。図示例では、第一蒸気ヘッダ16から蒸気エンジン11への給蒸路15のうち、給蒸弁17よりも上流部と蒸気エンジン11から第二蒸気ヘッダ20への排蒸路19の中途部とがバイパス路22で接続される。このバイパス路22の中途部には、バイパス弁23が設けられる。このバイパス弁23は、電磁弁または電動弁とされてもよいが、本実施例では自力式の減圧弁とされる。具体的には、バイパス弁23は、第二蒸気ヘッダ20内の蒸気圧を所定値に維持するように機械的に自力で開度調整する。いずれにしても、蒸気エンジン11経由とバイパス弁23経由とのいずれで第二蒸気ヘッダ20に蒸気を供給してもよい条件では、蒸気エンジン11経由による蒸気供給が優先されるのがよい。
【0062】
蒸気利用機器18での蒸気負荷P2がある状態で給蒸弁17が絞られるとき、第二蒸気ヘッダ20から蒸気利用機器18への蒸気の供給は、バイパス弁23が自力で開度を増し、バイパス路22を有効利用する状態で実現される。
【0063】
圧力および温度が異なる二つの蒸気ヘッダ16,20のそれぞれの蒸気は、所望の蒸気利用機器18へ供給可能とされる。各蒸気ヘッダ16,20内の蒸気は、温度が異なるので、用途に応じた蒸気の使用が可能となる。すなわち、比較的高温の蒸気が必要とされる場合には第一蒸気ヘッダ16から蒸気を供給すればよいし、それよりも低温の蒸気が必要とされる場合には第二蒸気ヘッダ20から蒸気を供給すればよい。
【0064】
蒸気ボイラ14は、第一蒸気ヘッダ16内の蒸気圧に基づき運転状態を制御される。具体的には、第一蒸気ヘッダ16内の蒸気圧に基づきバーナの燃焼量が制御される。
【0065】
空気圧縮機12からの圧縮空気は、圧縮空気吐出流路24を介して一または複数の圧縮空気利用機器25へ供給可能とされる。圧縮空気吐出流路24の中途部に、吸着式エアドライヤ26が介挿されている。
【0066】
圧縮空気吐出流路24には、圧縮空気の使用負荷を把握するために圧力センサ27が設けられる。この圧力センサ27により圧縮空気吐出流路24内の空気圧が監視される。したがって、その空気圧が設定値未満であるか否かにより、空気負荷P1があるか否かを検知できる。すなわち、圧縮空気が使用される場合には、圧縮空気吐出流路24内の空気圧が下がるので、それが設定値未満であるか否かにより、圧縮空気の使用負荷を検知できる。ただし、圧縮空気吐出流路24の中途に中空のエアタンク(図示省略)を設け、このエアタンクに圧力センサ27を設けて、圧縮空気の使用負荷を検知してもよい。
【0067】
第二蒸気ヘッダ20には、その蒸気の使用負荷を把握するために圧力センサ28が設けられる。この圧力センサ28により、第二蒸気ヘッダ20内の蒸気圧が監視される。したがって、その蒸気圧が所定値未満であるか否かにより、蒸気負荷P2があるか否かを検知できる。すなわち、蒸気が使用される場合には、第二蒸気ヘッダ20内の蒸気圧が下がるので、それが所定値未満であるか否かにより蒸気の使用負荷を検知できる。
【0068】
本実施例の蒸気システム10では、制御部29は、圧力センサ27,28の検出圧力を常時監視し、これらを用いて給蒸弁17の開度を制御する。さらに、制御部29は、所望によりバイパス弁23や前記のクラッチなどを制御可能としてもよい。ただし、本実施例では、バイパス弁23は、前述したとおり自力式の減圧弁とされている。制御部29については、これをマイクロコンピュータ(またはマイクロコントローラ)で構成する。空気圧縮機12から延出されている圧縮空気吐出流路24において、圧力センサ27より上流部に逆止弁30が介挿されている。
【0069】
制御部29による制御動作の一例を説明する。
【0070】
制御部29は、圧力センサ27による検出空気圧P1の変化に応じて給蒸弁17の開度を調節する。すなわち、検出空気圧P1が減少するに従って給蒸弁17の開度を増して給蒸量を増加させる一方、検出空気圧P1が増加するに従って給蒸弁17の開度を減らして給蒸量を減少させる。あるいは、制御部29は、圧力センサ28による検出蒸気圧P2の変化に応じて給蒸弁17の開度を調節する。すなわち、検出蒸気圧P2が減少するに従って給蒸弁17の開度を増して給蒸量を増加させる一方、検出蒸気圧P2が増加するに従って給蒸弁17の開度を減らして給蒸量を減少させる。なお、上記の論理では、負荷の使用量が増えると検出圧力が低下するという関係を利用している。
【0071】
蒸気ボイラ14には貯溜タンク31からの水(軟水)が供給され、蒸気化される。具体的には、貯溜タンク31には補給水ライン21から供給された所定量の水が貯溜されており、その水は給水ポンプ32を介して蒸気ボイラ14へ供給される。蒸気ボイラ14に供給された水は、蒸気ボイラ14において加熱され蒸気化される。その蒸気は、所望により気水分離器(図示省略)や第一蒸気ヘッダ16を介して給蒸路15から蒸気エンジン11へ供給される。蒸気ボイラ14は、缶内圧力が所定に維持されるようにバーナ(図示省略)の燃焼量が制御される。
【0072】
空気圧縮機12には、そこで発生する廃熱を熱交換によって回収するための圧縮熱回収ユニット33が付設されている。この付帯装備の圧縮熱回収ユニット33は、空気圧縮機12の高温となる部分に設けられた熱交換器を有するとともに、この熱交換器に対して冷却用水を供給する冷却用水供給管34と、熱交換で昇温した高温排水を再生に用いるために吸着式エアドライヤ26に対して供給する高温排水送出管35とに接続されている。高温排水送出管35の中途部には流路切替弁36が介挿され、この流路切替弁36からの高温排水排出管37が貯溜タンク31につながっている。
【0073】
吸着式エアドライヤ26から出た高温排水排出管38も貯溜タンク31につながっている。補給水ライン21から分岐された冷却用水供給管34には、冷却用水を圧送するための冷却用ポンプ39が設けられている。
【0074】
次に、吸着式エアドライヤ26の具体例を図2に基づいて説明する。吸着式エアドライヤ26は、対構成の水分吸着部40a,40bと、送風手段41と、機能切替手段54とを備える。
【0075】
水分吸着部40a,40bは、それぞれ除湿機能と再生機能とを有する。水分吸着部40a,40bの数については、一対でも複数対でもよい。ここで、除湿機能は、除湿対象である空気圧縮機12からの圧縮空気A1,A2を通過させ、それに含まれている水分を吸着して除湿する機能である。また、再生機能は、吸着した水分を高温流体との間接熱交換およびパージ用空気B1,B2の流動によって除去する機能である。水分吸着部40a,40bにおいては、除湿機能と再生機能とは同時には働かず、いずれか一方のみを働かせるようになっている。
【0076】
機能切替手段54は、一方の水分吸着部を除湿機能で動作させるときに、他方の水分吸着部を再生機能で動作させる。また逆に、他方の水分吸着部を除湿機能で動作させるときに、一方の水分吸着部を再生機能で動作させる。すなわち機能切替手段54は、水分吸着部40a,40b間で除湿機能の状態と再生機能の状態とを交互に切り替えるものとして構成されている。
【0077】
送風手段41は、水分吸着部40a,40bに向けてパージ用空気B1,B2を送風するものである。これには通常、ファンが用いられるが、必要に応じてはブロワが適用される。
【0078】
水分吸着部40a,40bは、共通の構成を有し、圧縮空気の流入管43と排出管44、送風手段41からのパージ用空気B1,B2の流入管45とパージ用空気B1,B2の外気への排出管46を有する容器47と、容器47内に充填された水分吸着剤48と、水分吸着剤48に接する状態で容器47に通し配管されて高温排水を流動させる熱交換用流動管49とを備えたものとして構成されている。水分吸着剤48としては、シリカゲル、活性アルミナ、ゼオライト、活性炭などの固体吸着剤がある。
【0079】
水分吸着部40aにおける熱交換用流動管49と、水分吸着部40bにおける熱交換用流動管49とは、連絡用配管50を介して接続されている。
【0080】
容器47の軸方向の両端内側部は、水分吸着剤48の両端部の外側に相当するが、この部分は熱交換用流動管49につながるヘッダ51,51として構成されている。そして、水分吸着剤48を軸方向に貫通する多数の熱交細管52が互いに平行状態で両側のヘッダ51,51間を接続している。圧縮空気の流入管43と排出管44とは、水分吸着剤48を収納している容器47の内部空間に連通している。また、パージ用空気の流入管45と排出管46も、同じ容器47の内部空間に連通している。ただし、この内部空間と熱交細管52とは連通することはない。内部空間は圧縮空気やパージ用空気の通り道であるが、高温排水の通り道ではない。空気系と高温排水系とは画然と分けられていて、間接熱交換が行われるようになっている。
【0081】
水分吸着部40aにおいて、圧縮空気A1の流入管43に電磁弁V1aが設けられ、圧縮空気A1の排出管44に電磁弁V2aが設けられ、パージ用空気B2の流入管45に電磁弁V3aが設けられ、パージ用空気B2の排出管46に電磁弁V4aが設けられている。同様に、水分吸着部40bにおいて、圧縮空気A2の流入管43に電磁弁V1bが設けられ、圧縮空気A2の排出管44に電磁弁V2bが設けられ、パージ用空気B1の流入管45に電磁弁V3bが設けられ、パージ用空気B1の排出管46に電磁弁V4bが設けられている。電磁弁につき参照符号を水分吸着部40a,40bで異ならせて表記しているが、それは説明の都合上のことであって、構造的には水分吸着部40a,40bで異なるところはない。
【0082】
空気圧縮機12から延出されている圧縮空気吐出流路24の上流側流路部分24aに対して、水分吸着部40a,40bそれぞれの流入管43,43が接続されている。また、圧縮空気利用機器25につながる圧縮空気吐出流路24の下流側流路部分24bに対して、水分吸着部40a,40bそれぞれの排出管44,44が接続されている。
【0083】
ファン41から延出されているパージ用空気吐出流路53の上流側流路部分53aに対して、水分吸着部40a,40bそれぞれのパージ用空気流入管45,45が接続されている。また、外気につながるパージ用空気吐出流路53の下流側流路部分53bに対して、水分吸着部40a,40bそれぞれのパージ用空気排出管46,46が接続されている。
【0084】
制御部42は、機能切替手段54を有する。機能切替手段54は、タイマ54aを備えている。機能切替手段54は、水分吸着部40aにおける4つの電磁弁V1a〜V4aと、水分吸着部40bにおける4つの電磁弁V1b〜V4bを制御するようになっている。
【0085】
また別に、制御部42は、空気圧縮機12とファン41と流路切替弁36と冷却用ポンプ39を制御するようになっている。
【0086】
〔1〕水分吸着部40aで除湿し、水分吸着部40bを再生するモード
機能切替手段54は、水分吸着部40aを除湿機能の状態に設定するとともに水分吸着部40bを再生機能の状態に設定するときは、水分吸着部40aにおける流入管43、排出管44にかかわる電磁弁V1a,V2aを開弁し、水分吸着部40aにおけるパージ用空気B2の流入管45、排出管46にかかわる電磁弁V3a,V4aを閉弁し、同時に、水分吸着部40bにおける流入管45、排出管46にかかわる電磁弁V1b,V2bを閉弁し、水分吸着部40bにおけるパージ用空気B1の流入管45、排出管46にかかわる電磁弁V3b,V4bを開弁する。この制御により、実効的な圧縮空気A1は矢印で示す流路で水分吸着部40aを通過し、実効的なパージ用空気B1は矢印で示す流路で水分吸着部40bを通過する。
【0087】
水分吸着部40aを通過する圧縮空気A1は、含有している水分が水分吸着部40aの水分吸着剤48に吸着され、乾燥状態の圧縮空気A1となって下流側流路部分24bより圧縮空気利用機器25へと供給される。電磁弁V3a,V4aが閉弁していることから、水分吸着部40aに対しては、パージ用空気は流れない。水分吸着部40aは、もっぱら除湿機能の状態となる。
【0088】
圧縮熱回収ユニット33からの高温流体である高温排水は、流路切替弁36を介して水分吸着部40aの熱交換用流動管49からその熱交細管52内を流動し、さらに連絡用配管50を介して水分吸着部40bの熱交換用流動管49からその熱交細管52内を流動する。水分吸着部40aにおいては、高温排水の流動は、除湿機能に対してはほとんどまったく影響を与えない。それは、水分吸着剤48が圧縮空気内の水分を吸着する働きで発熱するときの温度が高温排水の温度よりも十分に高いからである。水分吸着剤48での吸着量が飽和状態に近づくまでは、良好な除湿機能が働く。水分吸着部40aにおいて、高温排水が熱交細管52を流動するとき、水分吸着剤48を流れる圧縮空気が放出する熱を高温排水が吸収し、温度上昇する。この温度上昇は、高温排水が下流の水分吸着部40bで再生機能の働きをするときに、有利に作用する。
【0089】
一方、水分吸着部40bにおいては、電磁弁V1b,V2bが閉弁していることから、水分吸着部40bに対しては、圧縮空気A2は流れない。したがって、水分吸着部40bにおいては、除湿機能は働かない。水分吸着部40bにおいては、熱交細管52を流動する高温排水との熱交換により、水分吸着剤48に吸着済みの水分が蒸発される。そして、水分吸着部40bを通過するパージ用空気B1は、水分吸着部40bの水分吸着剤48から蒸発する水分を取り込み、外気へと排出する。水分吸着部40bは、もっぱら再生機能の状態となる。
【0090】
以上のようにして、水分吸着部40aでの除湿機能の状態、水分吸着部40bでの再生機能の状態が進むと、水分吸着部40aの水分吸着剤48は含有水分量が増加し、水分吸着部40bの水分吸着剤48は含有水分量が減少する。時間経過にともなってタイマ54aが設定時間をカウントアップすると、機能切替手段54は、水分吸着部40aと水分吸着部40bの状態を切り替える。すなわち、それまで除湿機能の状態にあった水分吸着部40aを再生機能の状態に切り替え、それまで再生機能の状態にあった水分吸着部40bを除湿機能の状態に切り替える。
【0091】
〔2〕水分吸着部40bで除湿し、水分吸着部40aを再生するモード
機能切替手段54は、水分吸着部40bを除湿機能の状態に設定するとともに水分吸着部40aを再生機能の状態に設定するときは、水分吸着部40bにおける流入管43、排出管44にかかわる電磁弁V1b,V2bを開弁し、水分吸着部40bにおけるパージ用空気B1の流入管45、排出管46にかかわる電磁弁V3b,V4bを閉弁し、同時に、水分吸着部40aにおける流入管43、排出管44にかかわる電磁弁V1a,V2aを閉弁し、水分吸着部40aにおけるパージ用空気B2の流入管45、排出管46にかかわる電磁弁V3a,V4aを開弁する。この制御により、実効的な圧縮空気A2は水分吸着部40bを矢印で示すように通過し、実効的なパージ用空気B2は水分吸着部40aを矢印で示すように通過する。
【0092】
水分吸着部40bを通過する圧縮空気A2は、含有している水分が水分吸着部40bの水分吸着剤48に吸着され、乾燥状態の圧縮空気となって下流側流路部分24bより圧縮空気利用機器25へと供給される。電磁弁V3b,V4bが閉弁していることから、水分吸着部40bに対しては、パージ用空気は流れない。水分吸着部40bは、もっぱら除湿機能の状態となる。
【0093】
圧縮熱回収ユニット33からの高温排水の流動経路は変わらない。すなわち、流路切替弁36を介して水分吸着部40aの熱交換用流動管49からその熱交細管52内を流動し、さらに連絡用配管50を介して水分吸着部40bの熱交換用流動管49からその熱交細管52内を流動する。
【0094】
水分吸着部40bにおいては、高温排水の流動は、前述と同様に、除湿機能に対してはほとんどまったく影響を与えない。水分吸着剤48での吸着量が飽和状態に近づくまでは、良好な除湿機能が働く。
【0095】
一方、水分吸着部40aにおいては、電磁弁V1a,V2aが閉弁していることから、水分吸着部40aに対しては、圧縮空気は流れない。したがって、水分吸着部40aにおいては、除湿機能は働かない。水分吸着部40aにおいては、熱交細管52を流動する高温排水との熱交換により、水分吸着剤48に吸着済みの水分が蒸発される。そして、水分吸着部40aを通過するパージ用空気B2は、水分吸着部40aの水分吸着剤48から蒸発する水分を取り込み、外気へと排出する。水分吸着部40aは、もっぱら再生機能の状態となる。
【0096】
以上のようにして、水分吸着部40bでの除湿機能の状態、水分吸着部40aでの再生機能の状態が進むと、水分吸着部40bの水分吸着剤48は含有水分量が増加し、水分吸着部40aの水分吸着剤48は含有水分量が減少する。時間経過にともなってタイマ54aが再び設定時間をカウントアップすると、機能切替手段54は、水分吸着部40aと水分吸着部40bの状態を切り替える。すなわち、それまで除湿機能の状態にあった水分吸着部40bを再生機能の状態に切り替え、それまで再生機能の状態にあった水分吸着部40aを除湿機能の状態に切り替える。
【0097】
上記のいずれのモードにおいても、水分吸着部40bを出たのちの高温排水は、高温排水排出管38を介して貯溜タンク31へ排出される。貯溜タンク31に溜まった排温水は、必要に応じて、給水ポンプ32によって蒸気ボイラ14へ供給される。
【0098】
なお、吸着式エアドライヤ26のメンテナンス時には、高温排水の流入を避けるために、流路切替弁36を制御して、圧縮熱回収ユニット33からの高温排水送出管35を貯溜タンク31への高温排水排出管37につなげる。
【0099】
次に、吸着式エアドライヤ26の動作を図3のフローチャートに従って説明する。
【0100】
まずステップS1において、制御部42は、高温排水送出管35に介挿されている流路切替弁36が高温排水を水分吸着部40a,40bに向けて流動させる状態になっていることを確認する。もし、そうなっていないときは、制御部42は、その状態になるように流路切替弁36を制御する。
【0101】
次いでステップS2において、ファン41を起動し、水分吸着部40a,40bのプレパージを行う。
【0102】
次いでステップS3において、タイマ54aをスタートさせる。
【0103】
次いでステップS4において、タイマ54aによるカウント値が第一設定値T1をカウントアップしたかを確認する。カウントアップを待って、ステップS5に進む。
【0104】
ステップS5において、制御部42は空気圧縮機12を起動する。
【0105】
次いでステップS6において、機能切替手段54は、水分吸着部40a側の電磁弁V1a,V2aおよび水分吸着部40b側の電磁弁V3b,V4bを開弁し、水分吸着部40b側の電磁弁V1b,V2bおよび水分吸着部40a側の電磁弁V3a,V4aを閉弁する。
【0106】
次いでステップS7において、タイマ54aをスタートさせる(リスタート)。
【0107】
次いでステップS8において、タイマ54aによるカウント値が第二設定値T2をカウントアップしたかを確認する。カウントアップするまでは、ステップS9に進み、空気圧縮機12に対する駆動終了の指令があるか否かを監視する。指令がなければステップS8に戻り、指令があれば終了処理のステップS14へ進む。
【0108】
タイマ54aがカウントアップしてステップS10に進むと、機能切替手段54は、次に、水分吸着部40a側の電磁弁V1a,V2aおよび水分吸着部40b側の電磁弁V3b,V4bを閉弁し、水分吸着部40b側の電磁弁V1b,V2bおよび水分吸着部40a側の電磁弁V3a,V4aを開弁する。
【0109】
次いでステップS11において、タイマ54aをスタートさせる(リスタート)。
【0110】
次いでステップS12において、タイマ54aによるカウント値が第二設定値T2をカウントアップしたかを確認する。カウントアップするまでは、ステップS13に進み、空気圧縮機12に対する駆動終了の指令があるか否かを監視する。指令がなければステップS12に戻り、指令があれば終了処理のステップS14へ進む。
【0111】
タイマ54aがカウントアップすれば、ステップS6に進む。
【0112】
ステップS6に戻った場合は、終了指令があるまで、ステップS6→S7→S8→S10→S11→S12→S6のルーチンを繰り返すことになる。すなわち、水分吸着部40aが除湿機能の状態でかつ水分吸着部40bが再生機能の状態である第一状態Q1と、水分吸着部40bが除湿機能の状態でかつ水分吸着部40aが再生機能の状態である第二状態Q2とを交互に切り替えることになる。
【0113】
実施例1では、水分吸着部40aが除湿機能の状態でかつ水分吸着部40bが再生機能の状態である第一状態Q1においては、空気圧縮機12からの高温排水の流動の順序は、水分吸着部40aから水分吸着部40bへの順であり、水分吸着部40bが除湿機能の状態でかつ水分吸着部40aが再生機能の状態である第二状態Q2においても、高温排水の流動の順序は、水分吸着部40aから水分吸着部40bへの順である。これを別の角度から見ると、高温排水は、第一状態Q1では除湿側から再生側へ向けて流れ、第二状態Q2では再生側から除湿側へ向けて流れているということであり、第一状態Q1と第二状態Q2とでは作用的に非対称となっている。
【0114】
すなわち、第一状態Q1の場合は、高温排水の流動方向の上流側にあって高温排水が先に流入する水分吸着部40aで除湿機能の状態となり、流動方向の下流側にあって高温排水が後で流入する水分吸着部40bで再生機能の状態となる。一方、第二状態Q2の場合は、高温排水の流動方向の上流側にあって高温排水が先に流入する水分吸着部40aで再生機能の状態となり、流動方向の下流側にあって高温排水が後で流入する水分吸着部40bで除湿機能の状態となる。こういう意味で非対称である。
【0115】
これに対して、本実施例2では、第一状態Q1と第二状態Q2とにかかわらず、一律に、高温排水の流動方向を、除湿側から再生側に向かう方向となるように構成する。
【0116】
図4は、本発明の実施例2における吸着式エアドライヤの対構成の水分吸着部と熱交換用流動管の関係を示す概略図である。水分吸着部40aの入口側の熱交換用流動管49と連絡用配管50との間にバイパス管60を接続し、連絡用配管50と水分吸着部40bの出口側の熱交換用流動管49との間にバイパス管61を接続している。水分吸着部40aの上流側で熱交換用流動管49に開閉弁V11を設け、バイパス管60に開閉弁V12を設ける。水分吸着部40bの下流側で出口側の熱交換用流動管49に開閉弁V13を設け、バイパス管61に開閉弁V14を設ける。連絡用配管50に開閉弁V15を設け、連絡用配管50から分岐した高温排水排出管62に開閉弁V16を設ける。開閉弁V11は、バイパス管60の分岐点とバイパス管61の分岐点の間に配される。開閉弁V13は、バイパス管61の分岐点より下流側に配される。開閉弁V15は、高温排水排出管62の分岐点とバイパス管60の合流点との間に配される。開閉弁V11〜V16は、機能切替手段54によって開閉が切り替え制御されるようになっている。二つ図示してある貯溜タンク31は、実は同じものでよい。
【0117】
図4(a)の状態は、水分吸着部40aが除湿機能の状態でかつ水分吸着部40bが再生機能の状態である第一状態Q1である。機能切替手段54は、開閉弁V11,V15,V13を開弁し、開閉弁V12,V16,V14を閉弁する。空気圧縮機12からの高温排水は、流路x1から流路x2,x3,x4のように流れ、貯溜タンク31へ至る。高温排水は、除湿側となっている水分吸着部40aから再生側となっている水分吸着部40bに向けて流れている。
【0118】
図4(b)の状態は、水分吸着部40bが除湿機能の状態でかつ水分吸着部40aが再生機能の状態である第二状態Q2である。機能切替手段54は、開閉弁V11,V15,V13を閉弁し、開閉弁V12,V16,V14を開弁する。空気圧縮機12からの高温排水は、バイパス管60を通る流路y1から流路y2、バイパス管61を通るy3、さらに流路y4,y5のように流れ、貯溜タンク31へ至る。ここでも、高温排水は、除湿側となっている水分吸着部40bから再生側となっている水分吸着部40aに向けて流れている。図4(b)では、連絡用配管50には、その入口から出口にかけては高温排水は流れない。
【0119】
なお、太い矢印で示すように、図4の(a)と(b)とで、水分吸着部40aの内部および水分吸着部40bの内部での高温排水の流動方向は、同じになっている。
【0120】
以上のように、本実施例2においては、対構成の水分吸着部のうちいずれが除湿機能の状態でいずれが再生機能の状態であるかにかかわらず常に、除湿機能の状態となっている方の水分吸着部における熱交換用流動管から再生機能の状態となっている方の水分吸着部における熱交換用流動管に向けて高温排水が供給されるような配管・弁系統をもって、両水分吸着部の熱交換用流動管どうしが接続されている。これにより、再生機能の状態となっている方の水分吸着部は、常に、除湿機能の状態にある水分吸着部の下流側に位置することになり、除湿機能の状態となっている方の水分吸着部での水分吸着にともなって発生する熱エネルギーを高温排水に吸収させ、その熱エネルギーを下流の再生機能の状態となっている方の水分吸着部において、再生に有効利用することが可能となる。
【0121】
本発明の実施例3は、実施例2を発展させたものである。すなわち、バイパス管および開閉弁を削減している。
【0122】
図5は、本発明の実施例3における吸着式エアドライヤの対構成の水分吸着部と熱交換用流動管の関係を示す概略図である。水分吸着部40aの入口側の熱交換用流動管49と水分吸着部40bの出口側の熱交換用流動管49との間にバイパス管62を接続している。バイパス管は、これ一つである。水分吸着部40aの上流側で熱交換用流動管49に開閉弁V21を設け、熱交換用流動管49から分岐した高温排水排出管63に開閉弁V22を設ける。水分吸着部40bの下流側で出口側の熱交換用流動管49に開閉弁V23を設け、バイパス管62に開閉弁V24を設ける。開閉弁V21は、バイパス管62の分岐点と高温排水排出管63の分岐点の間に配される。開閉弁V23は、バイパス管62の分岐点より下流側に配される。開閉弁V21〜V24は、機能切替手段54によって開閉が切り替え制御されるようになっている。二つ図示してある貯溜タンク31は、実は、同じものでよい。
【0123】
図5(a)の状態は、水分吸着部40aが除湿機能の状態でかつ水分吸着部40bが再生機能の状態である第一状態Q1である。機能切替手段54は、開閉弁V21,V23を開弁し、開閉弁V22,V24を閉弁する。空気圧縮機12からの高温排水は、流路x5から流路x6,x7のように流れ、貯溜タンク31へ至る。高温排水は、除湿側となっている水分吸着部40aから再生側となっている水分吸着部40bに向けて流れている。
【0124】
図5(b)の状態は、水分吸着部40bが除湿機能の状態でかつ水分吸着部40aが再生機能の状態である第二状態Q2である。機能切替手段54は、開閉弁V21,V23を閉弁し、開閉弁V22,V24を開弁する。空気圧縮機12からの高温排水は、バイパス管62の流路y6から流路y7,y8,y9のように流れ、貯溜タンク31へ至る。ここでも、高温排水は、除湿側となっている水分吸着部40bから再生側となっている水分吸着部40aに向けて流れている。
【0125】
なお、太い矢印で示すように、図5の(a)と(b)とで、水分吸着部40aの内部、水分吸着部40bの内部および連絡用配管50での高温排水の流動方向は、逆になっており、この点では実施例2と相違している。
【0126】
本実施例3でも、第一状態Q1と第二状態Q2とにかかわらず、一律に、高温排水の流動方向を、除湿側から再生側に向かう方向としており、この点は、実施例2と同じである(実施例1とは異なっている)。
【0127】
本実施例3によれば、再生機能の状態となっている方の水分吸着部は、常に、除湿機能の状態にある水分吸着部の下流側に位置することになり、除湿機能の状態となっている方の水分吸着部での水分吸着にともなって発生する熱エネルギーを高温排水に吸収させ、その熱エネルギーを下流の再生機能の状態となっている方の水分吸着部において、再生に有効利用することが可能となる。
【0128】
本実施例3は、実施例2に比べて、配管・弁系統についてバイパス管と開閉弁が削減された簡素な構成となっている。
【0129】
上記の各実施例では、機能切替手段54による除湿機能の状態と再生機能の状態との切り替え制御のタイミングにつき、タイマ54aを利用しているが、これに代えて、除湿機能の状態となっている方の水分吸着部での水分検出量に基づいて制御するように構成してもよい。
【産業上の利用可能性】
【0130】
本発明は、空気圧縮機から吐出される高湿状態の圧縮空気を除湿するために空気圧縮機の吐出流路に介挿される吸着式エアドライヤにおいて、省エネと構造簡素化とを図りつつ、水分吸着部の再生を合理的に進め、空気圧縮機から吐出されてくる高湿状態の圧縮空気に対する除湿乾燥を効率良く展開する技術として有用である。
【符号の説明】
【0131】
10 蒸気システム
11 蒸気エンジン
12 空気圧縮機
14 蒸気ボイラ
26 吸着式エアドライヤ
40a,40b 水分吸着部
42 制御部
54 機能切替手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】
空気圧縮機から吐出される圧縮空気を除湿するために前記空気圧縮機の吐出流路に介挿される吸着式エアドライヤであって、
除湿対象の空気を通過させ含まれている水分を吸着して除湿する除湿機能と吸着した水分を高温流体との熱交換およびパージ用空気の流動によって除去する再生機能とをそれぞれ有する対構成の水分吸着部と、
前記パージ用空気を前記対構成の水分吸着部に向けて送風する送風手段と、
前記対構成の水分吸着部のうちの一方の水分吸着部を除湿機能で動作させるときに他方の水分吸着部を再生機能で動作させることを、前記対構成の水分吸着部どうし間で交互に切り替える機能切替手段とを備え、
前記再生機能に用いられる水分除去のための前記高温流体として前記空気圧縮機での冷却のための熱交換の結果得られる高温流体を前記対構成の水分吸着部に流動させるように構成してある吸着式エアドライヤ。
【請求項2】
前記高温流体は、前記空気圧縮機に付属の圧縮熱回収ユニットにおいて回収される高温排水である請求項1に記載の吸着式エアドライヤ。
【請求項3】
前記水分吸着部は、
前記圧縮空気の流入管と排出管、前記送風手段からのパージ用空気の流入管と前記パージ用空気の外気への排出管を有する容器と、
前記容器内に充填された水分吸着剤と、
前記水分吸着剤に接する状態で前記容器に通し配管されて前記高温流体を流動させる熱交換用流動管とを備えたものとして構成されている請求項1または請求項2に記載の吸着式エアドライヤ。
【請求項4】
前記対構成の水分吸着部のうちいずれが除湿機能の状態でいずれが再生機能の状態であるかにかかわらず常に、前記除湿機能の状態となっている方の水分吸着部における前記熱交換用流動管から前記再生機能の状態となっている方の水分吸着部における前記熱交換用流動管に向けて前記高温流体が供給されるような配管・弁系統をもって、前記両水分吸着部の熱交換用流動管どうしが接続されている請求項1から請求項3までのいずれか1項に記載の吸着式エアドライヤ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2012−223684(P2012−223684A)
【公開日】平成24年11月15日(2012.11.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−91852(P2011−91852)
【出願日】平成23年4月18日(2011.4.18)
【出願人】(000175272)三浦工業株式会社 (1,055)
【Fターム(参考)】