説明

周辺機器用のゲームコンソール無線プロトコル

プロトコルを使用するゲームコンソールと無線アクセサリとの間での無線通信方法。このプロトコルは、複数の無線アクセサリとゲームコンソールとの間で音声およびデータの同時通信を可能にするTDMA周波数ホッピングスペクトラム拡散システムにおいて使用される。このプロトコルは、最小待ち時間で頑健な環境を可能にする再伝送タイムスロットはもちろんのこと、アップストリーム伝送およびダウンストリーム伝送用の特定のタイムスロットも提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般的に、ゲーム装置およびマルチメディア装置の分野に関する。特に、本発明は、ゲーム装置とワイヤレス周辺機器アクセサリとの間でデータ情報および音声情報を通信するために使用される無線プロトコルを対象にする。
【背景技術】
【0002】
ゲームシステムにおいては、数多くのリビングルームフロアに渡って張り巡らされている目に見えるケーブル線をなくすために無線コントローラに対する強い需要が存在する。既存の無線コントローラは高価であり、干渉が発生するためにゲーム装置に対して頑強な接続を常には提供しない。無線コントローラが有線コントローラと同様に反応を示すことが望ましいので、待ち時間はゲームをする者たちにとってもう一つの重要な関心事である。また、無線リンクがサポートしなければならない、今後のゲームコンソールの特徴が存在する場合がある。このような制約事項に対処する無線ゲームコントローラを開発することは、複数の無線装置をゲーム装置に対して同時に通信させることが可能なプロトコルによって役立てられるが、また最小の待ち時間で誤り訂正および誤り検知法を提供することも役立つ。このプロトコルは、新しい装置および機能性が利用可能になるのでそれらをサポートすることも可能であるべきである。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
したがって、従来技術におけるこれらの制約および他の制約を克服するシステムに対する必要性が存在する。また、費用面で効率的かつ効果的なシステムに対する必要性も存在する。本発明はそのような解決法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明は、ホストおよび無線アクセサリが時間フレームに基づいて送受信する無線プロトコルを用いてゲームコンソールと無線アクセサリとの間で音声およびデータを通信する方法を対象にする。この方法は、アップストリームサブフレームのアップストリームデータパケットを無線アクセサリからホストに対して送信することと、ダウンリンクサブフレームのダウンストリーム音声パケットおよびダウンストリームデータパケットのうちの少なくとも一つをホストから無線アクセサリに対して送信することと、再伝送サブフレーム中にアップリンク再伝送パケットおよびダウンリンク再伝送パケットを送信することと、を含む。音声データおよび無線アクセサリのデータは、無線プロトコルを介して同時に通信される。
【0005】
本発明の特徴によれば、アップストリームデータパケットは、第1のアップストリームデータサブパケットおよび第1のアップストリーム音声サブパケットを含む。この方法は、第1のアップストリームデータサブパケットおよび第1のアップストリーム音声サブパケットを第1のタイムスロットに割り当てることと、次のアップストリームデータサブパケットおよび次のアップストリーム音声サブパケットを有する次のアップストリームデータパケットを次のタイムスロットに割り当てることと、をさらに含む。第1の無線アクセサリは、第1のアップストリームデータサブパケットの無線アクセサリデータを送信することが可能であり、第2の音声使用可能な装置は、第1のアップストリーム音声サブパケットの音声データを送信することが可能である。
【0006】
別の特徴によれば、アップストリームおよびダウンストリームの音声およびデータパケットは各々、RF設定フィールド、プリアンブルフィールド、同期フィールド、ヘッダーフィールド、データフィールド、および誤り訂正フィールドを含む。音声データは、複数の音声使用可能な装置に対してダウンストリーム音声パケットにおいて通信されることができる。また、複数のダウンストリーム音声パケットは、ダウンリンクサブフレームにおいて通信されることができる。
【0007】
さらに別の特徴によれば、ゲームコンソールは、複数の無線アクセサリに対してダウンストリームデータパケットをブロードキャストすることができる。ダウンストリームデータパケットは、複数の無線アクセサリの各々についてのデータを含む予め定められたデータサブフィールドを含むことができる。この方法は、アクナリッジメントがゲームコンソールからダウンリンクサブフレームにおいて受信されない場合に限り、無線アクセサリからアップリンク再伝送パケットを送信することも含む。同様に、ダウンリンク再伝送パケットは、複数の無線アクセサリに対してブロードキャストされることが可能である。
【0008】
別の特徴によれば、各パケットは、TDMA(time division multiple access)タイムスロットに関連付けられた異なる周波数上の周波数ホッピングスペクトラム拡散システムの無線プロトコル内で送信されることができる。
【0009】
本発明のさらなる特徴および利点は、添付図面を参照して進められる例示的な実施形態の以下の詳細な説明から明らかになるだろう。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下の好適な実施形態の詳細な説明とともに上述の要旨は、添付図面とともに読まれる場合により良く理解されるだろう。本発明を例示するために、本発明の例示的な構成要素が図面に示されているが、本発明は、本明細書で開示されている特定の方法および手段に限定されることはない。
【0011】
図1は、本発明のある態様を実装可能なマルチメディアコンソール100の機能要素を示す。マルチメディアコンソール100は、レベル1のキャッシュ102、レベル2のキャッシュ104、およびフラッシュROM(read only memory)106を有する中央処理装置(CPU)101を含む。レベル1のキャッシュ102およびレベル2のキャッシュ104は、一時的にデータを格納し、メモリアクセスサイクルの数を減らすことによって、処理速度およびスループットを改善する。CPU101は、1つ以上のコアと、追加のレベル1のキャッシュ102およびレベル2のキャッシュ104とを有するように設けられることが可能である。フラッシュROM106は、マルチメディアコンソール100の電源がONになった場合に、ブートプロセスの初期段階中にロードされる実行可能なコードを格納することが可能である。
【0012】
グラフィックス処理装置(GPU)108およびビデオエンコーダ/ビデオコーデック(コーダ/デコーダ)114は、高速、かつ高解像度のグラフィックス処理についてのビデオ処理パイプラインを形成する。データは、グラフィックス処理装置108からビデオエンコーダ/ビデオコーデック114にバスを介して送られる。ビデオ処理パイプラインは、テレビまたは他のディスプレイへの送信のためにA/V(音声/ビデオ)ポート140にデータを出力する。メモリコントローラ110は、GPU108に接続され、RAM(random access memory)に限定されるわけではないがRAMなどの様々な種類のメモリ112へのプロセッサのアクセスを容易にする。
【0013】
マルチメディアコンソール100は、モジュール118上に実装されることが好ましい、I/Oコントローラ120、システム管理コントローラ122、音声処理装置123、ネットワークインターフェースコントローラ124、第1のUSBホストコントローラ126、第2のUSBコントローラ128、およびフロントパネルI/Oサブアセンブリ130を含む。USBコントローラ126、128は、周辺機器コントローラ142(1)−142(2)、無線アダプタ148、および外付けメモリデバイス146(例えば、フラッシュメモリ、外付けCD/DVD ROMドライブ、着脱可能な記憶媒体など)のホストとして機能する。ネットワークインターフェース124および/または無線アダプタ148は、ネットワーク(例えば、インターネット、ホームネットワークなど)に対するアクセスを提供し、イーサネット(登録商標)カード、モデム、Bluetooth(登録商標)モジュール、ケーブルモデムなどを含む幅広い種類の有線アダプタまたは無線アダプタのいずれかであることが可能である。
【0014】
システムメモリ143は、ブートプロセス中にロードされるアプリケーションデータを格納するために提供される。メディアドライブ144が提供されるが、メディアドライブ144は、DVD/CDドライブ、ハードドライブ、または他の着脱可能記憶媒体用ドライブなどを含むことができる。メディアドライブ144は、マルチメディアコンソール100に内蔵することもでき、または外付けとすることもできる。マルチメディアコンソール100は、メディアドライブ144を介して実行中、再生中などのアプリケーションデータにアクセスすることができる。メディアドライブ144は、シリアルATAバスまたは他の高速接続(例:IEEE1394)などのバスを介してI/Oコントローラ120に接続される。
【0015】
システム管理コントローラ122は、マルチメディアコンソール100の可用性を保証することに関する様々なサービス機能を提供する。音声処理装置123および音声コーデック132は、高忠実度(high fidelity)処理およびステレオ処理を用いて該当する音声処理パイプラインを形成する。音声データは、通信リンクを介して音声処理装置123と音声コーデック132との間で送られる。音声処理パイプラインは、オーディオ機能を持つ外付けのオーディオプレーヤまたはオーディオ装置による再生用のA/Vポート140にデータを出力する。
【0016】
フロントパネルI/Oサブアセンブリ130は、マルチメディアコンソール100の外側の表面にあるLED(light emitting diodes)または他の表示器と同様に電源ボタン150およびイジェクトボタン152の機能性をサポートする。システム電源供給モジュール136は、マルチメディアコンソール100の各コンポーネントに電源を供給する。ファン138は、マルチメディアコンソール100内の回路を冷却する。
【0017】
CPU101、GPU108、メモリコントローラ110、およびマルチメディアコンソール100内の様々な他のコンポーネントは、シリアルおよびパラレルバス、メモリバス、周辺機器用バス、および様々なバスアーキテクチャのいずれかを使用するプロセッサバスまたはローカルバスを含む1つまたは複数のバスを介して相互接続される。例えば、そのようなアーキテクチャは、PCI(Peripheral Component Interconnects)バス、PCI−Expressバスなどを含むことができる。
【0018】
マルチメディアコンソール100の電源がONになると、アプリケーションデータが、システムメモリ143からメモリ112および/またはキャッシュ102、104にロードされ、CPU101上で実行されることができる。マルチメディアコンソール100において使用可能な異なる種類の記憶媒体にナビゲートする場合、このアプリケーションは、一貫したユーザエクスペリエンスを提供するグラフィカルユーザインターフェースを提示することができる。動作中に、アプリケーションおよび/またはメディアドライブ144内に含まれる他の記憶媒体はメディアドライブ144から起動され、または再生されて、追加の機能性をマルチメディアコンソール100に提供する。
【0019】
マルチメディアコンソール100は、システムをテレビまたは他のディスプレイに単に接続することによってスタンドアロンシステムとして動作させることが可能である。このスタンドアロンモードにおいて、マルチメディアコンソール100のおかげで、1または複数のユーザはシステムと情報のやり取りを行うことができ、映画を視聴することができ、または音楽を聴くことができる。しかしながら、ネットワークインターフェース124または無線アダプタ148を介して使用可能となったブロードバンド接続の統合により、マルチメディアコンソール100は、より大規模なネットワークコミュニティの参加者として動作することが可能である。
【0020】
マルチメディアコンソール100の電源がONになると、ハードウェアリソースのひとまとまりの量がマルチメディアコンソールのオペレーティングシステムによるシステム使用のためにリザーブされる。これらのリソースは、メモリ予約(例えば、16MB)、CPUおよびGPUサイクル(例えば、5%)ネットワーク帯域幅(例えば、8kbps)などを含むことができる。これらのリソースはシステムのブート時にリザーブされるため、リザーブされたリソースはアプリケーションの観点からは存在しない。
【0021】
特に、メモリ予約は、カーネル起動、並行システムアプリケーション、およびドライバを含むために十分大きいことが好ましい。CPU予約は一定であることが好ましく、リザーブされたCPU使用がシステムアプリケーションによって使用されていない場合に、アイドル状態にあるスレッドは未使用のサイクルを消費する。
【0022】
GPU予約に関して、システムのアプリケーション(例えば、ポップアップ)によって生成された軽量のメッセージは、GPUインタラプトを用いることによって表示され、ポップアップをオーバレイにする符号を予約する。オーバレイに必要なメモリの量は、オーバレイする領域のサイズおよび画面解像度でのオーバレイの好適なスケールによって決まる。ユーザインターフェース全体が並行システムアプリケーションによって使用されるところでは、アプリケーションの解像度とは独立した解像度を使用することが好ましい。スケーラはこの解像度を設定するために使用され、周波数を変更し、テレビの再同期を引き起こす必要性はなくなる。
【0023】
マルチメディアコンソール100がブートし、システムリソースがリザーブされた後、並行システムアプリケーションはシステムの機能性を提供するために実行される。システムの機能性は、上述のリザーブされたシステムリソース内で実行される一連のシステムアプリケーションにカプセル化される。オペレーティングシステムのカーネルは、ゲームアプリケーションのスレッドかシステムアプリケーションのスレッドであるスレッドを識別する。システムアプリケーションは、一貫したシステムリソースビューをアプリケーションに提供するために予め定められた時刻および間隔でCPU101上において実行するようにスケジューリングされることが好ましい。このスケジューリングは、コンソール上で稼動するゲームアプリケーションのキャッシュ分裂を最小化する。
【0024】
並行システムアプリケーションが音声を必要とする場合、音声処理はタイム・センシティビティー(time sensitivity)によりゲームアプリケーションと非同期的にスケジューリングされる。後述するマルチメディアコンソールのアプリケーションマネージャは、システムアプリケーションがアクティブの場合に、ゲームアプリケーションのオーディオレベル(例えば、ミュート、アテニュエート(attenuate))を制御する。
【0025】
入力装置(例えば、コントローラ142(1)および142(2))は、ゲームアプリケーションおよびシステムアプリケーションによって共有される。入力装置は、リソースをリザーブしないが、システムアプリケーションとゲームアプリケーションとの間で切り替えが行われて、各アプリケーションがその入力装置にフォーカスする。アプリケーションマネージャは、ゲームアプリケーションのナレッジおよびドライバが焦点の切り替えに関する状態情報を維持することを認知せずに、入力ストリームの切り替えを制御することが好ましい。
【0026】
図2を参照すると、コンソール100は、2つの異なる無線サブシステムを有するように構成される場合がある。第1の無線システムは、ネットワークインターフェース124内の802.11b/g標準規格準拠モジュール(WiFi)であり、アクセスポイント156を介して無線ホームネットワーク接続のために使用される。この第1の無線システムは、インターネットまたはリモートPCにアクセスする無線ネットワーキング能力を追加するために、標準イーサネット(登録商標)接続の代わりとして使用されることが可能である。第2の無線システムは、ISM(Industrial-Scientific-Medical)2.4GHz帯内で動作する無線アダプタ148内の周波数ホッピングスペクトラム拡散(FHSS)の低送信電力のシステムである。無線アダプタ148は、ゲーム機を動作させるために使用可能な様々な周辺機器および装置(例えば、無線アクセサリ154)の無線接続を提供する。
【0027】
無線プロトコルの実施形態の例
図3および図4を参照すると、本発明のプロトコルのフレームワークが示される。図3は、プロトコルのフレームワーク全体を示す。プロトコル200は、ホスト(例えば、コンソール100)および装置(例えば、アクセサリ154)がTframeとして示される固定の時間間隔に基づいて送信と受信との間で切り替えを行うTDMAシステムである。以下に説明するように、プロトコル200は、8つのアクセサリ(4つのデータおよび4つの音声)までをコンソール100に対して同時に通信させることが可能である。また、プロトコル200は、最小待ち時間で頑健な通信を提供するために、誤り訂正の技術および周波数ホッピング技術の使用の組み合わせを提供する。プロトコル200は、3つのサブフレーム、すなわち、アップストリームデータパケット202−208、ダウンストリームデータパケット210−214、および再伝送パケット216−218に分けられる。この3つのサブフレームの詳細については、後述する。
【0028】
図4を参照すると、時間領域(time domain)にプロトコル200のフレーム構造が示されている。各フレーム内には、各スロットの周波数割り当てが表1に示されている9つのスロットがある。表においては、nはFHSSシーケンスの現在フレームについてのエントリを表し、F(n)はこのエントリnにマッピングされるチャネルであり、このフレームについて選択されるチャネルである。F(n+1)+20は、チャネルF(n+1)から20チャネル離れているチャネルを表す。
【0029】
【表1】

【0030】
当業者には明らかになっているように、アクセサリおよび/または音声使用可能な装置の各々は、類似のやり方ではあるが、プロトコル200のTDMA構造による適切なタイムスロットでパケットを送受信する。以下の説明はアクセサリ1を参照して行われるが、図4に示されるアクセサリ2−4のそれぞれにも適用される。タイムスロットF(n+1)において、アクセサリ1は、データのサブパケット222および音声のサブパケット224を送信することができる。任意で、アクセサリ1は、タイムスロット内で、データのサブパケット内のデータを送信することができ、別個の音声使用可能なデバイスは、音声のサブパケット内の音声を送信することができる。アクセサリ1(または音声使用可能な装置)はタイムスロットF(n+1)で音声データパケット226を受け取る。
【0031】
コンソール100は、タイムスロットF(n+1)においてすべての装置にデータパケット228をブロードキャストする。データパケットは、タイムスロットF(n+1)+20においてデータパケット232としてブロードキャストされる。タイムスロットF(n)において、アクセサリ1はデータサブパケット230として自らのデータサブパケットをブロードキャストすることができる。このことは、データサブパケット222がデータブロードキャスト228においてコンソール100によってアクノリッジされない場合に限りおこなわれることが好ましい。
【0032】
図5を参照すると、データパケット222および音声パケット224の両方についての本発明に係る基本パケットフォーマットが図示されている。任意のRF設定フィールド234により、ホスト/装置の送信機はあるモード(送信/受信)から他のモード(受信/送信)に切り替えることが可能になり、周波数ホッピング用の送信機周波数を変更することが可能となる。プリアンブルフィールド236および同期フィールド238は無線リンクのクロックおよびパケット同期化のためにアクセサリ内の受信機によって使用される。例えば、32ビット長プリアンブル送信は、受信側で実装されるプリアンブル切り替えアンテナインスタント受信機選択ダイバーシティアルゴリズムと組み合わせて使用されることができる。このアルゴリズムは、プリアンブルの第1の部分内で受信機があるアンテナを使用して第1のリンク品質評価を行い、プリアンブルの第2の部分内で他のアンテナを使用して第2のリンク品質評価を行い、パケットの残りの部分について最高の品質評価を与えるアンテナを選択することを意味する。
【0033】
同期フィールド238は、周波数および位相を送信することと同期をとるために受信機によって使用される。ヘッダーフィールド240は、ヘッダーに続くデータペイロードフィールド242に必要な情報を含む。データペイロードフィールド242は、無線インターフェースを介して送信される情報を含む。このフィールドの長さは、パケットの種類によって決定される。データパケットは、誤り訂正フィールド244を使用して当該パケットの種類に基づいて誤り検出可能であるか、または誤り訂正可能である。例えば、順方向誤り訂正(FEC)は、データ伝送のために使用されるが、巡回冗長コード(CRC)は、音声パケットのパケット誤りを検出するために使用されることが可能である。リードソロモン順方向誤り訂正アルゴリズムを本発明で使用することが可能である。リードソロモン符号化器は、元データを取り入れ、追加の「冗長な」ビットを追加する。誤りは無線送信中に生じる。リードソロモン復号化器は、受信データを処理して、誤りを訂正し、かつ元データを復元しようとする。訂正可能な誤りの数と種類は、リードソロモン符号の特徴に依存する。
【0034】
上述したように、無線システムは周波数ホッピングスペクトラム拡散を使用する。擬似ランダムホッピングシーケンスは、このシステムのために使用可能である。シーケンス生成は、最長線形帰還シフトレジスタ法(ML−LFSR:Maximum-Length Linear Feedback Shift Registers)に基づくことができる。2つのチャネル割り当てスキームは、無線プロトコル200において使用可能である。第1のスキームは、フレームベースのチャネル割り当てであり、第2のスキームは、スロットベースのチャネル割り当てである。フレームベースのチャネル割り当てについて、M系列の19ビットからの7LSbは各フレームのRFチャネルを選択するために使用される。まず、システムは、7LSb/41の残りの部分を計算し、この残りの部分はフレームのチャネル番号として使用される。例えば、ホップエントリの7LSBが1011001である場合、このエントリのRFチャネルのテーブルエントリは、以下の通りとなる。
1011001MOD(41)=89MOD41=7
したがって、チャネル7が選択される。
【0035】
FCC要件に完全に準拠するために、各チャネルは等しくアクセスされなければならない。このことが意味するのは、ホッピングエントリの7LSbが122よりも大きい場合に、このエントリはスキップされ、次のエントリが使用されるということである。スロットベースのチャネル割り当てについて、各フレームのチャネルが選択された後、各フレーム内には、9つのスロットが存在する。各スロットの周波数割り当ては、上記の表1にしたがって行われる。
【0036】
アップストリームサブフレーム200A
図3および図6を参照すると、アップストリームデータパケットは、アクセサリおよび装置154によってコンソール100に送られるデータパケットであり、アクセサリデータパケット202、204、206、および208を含む。プロトコル200は、最大で4つまでのアップストリームデータパケットをサポートする。各データパケットは、予め定義されたタイムスロット(図4)にて送られ、音声データとともにデバイス固有のデータも両方含む。
【0037】
図6を参照すると、アップストリームデータパケット204(202、206、および208でもよい)が詳細に図示されている。図示されているように、各パケット内には2つのサブパケット、すなわち、1つはデータ用のサブパケット(234−258)、もう1つは音声用のサブパケット(260−272)がある。これらのサブパケットは、例えば、図4のデータサブパケット222および音声サブパケット224に相当する。最大で4つまでのアップストリームデータパケットは、全部で8つの装置について最大で4つまでのアクセサリおよび音声装置用にサポートされる。
【0038】
各アップストリームデータサブパケット(234−258)は、3つのフィールド、すなわち、ヘッダー252、データ本体フィールド254、およびFECフィールド256を含む。ヘッダー252は、アクセサリデータフィールド、動的電源管理(dynamic power management)、およびサービス品質(QoS)についての情報を含む。データ本体フィールド254のフォーマットは、ヘッダー252のパケットタイプフィールドにおいて特定されることが可能であり、図5のデータペイロードフィールド242である場合がある。アップストリームデータフィールドは、アクセサリ154およびプラグインモジュール(PMD)(すなわち、アクセサリ154の特徴を強化するためにアクセサリ154に接続可能なプラグイン)のデータを含む。FECフィールド256は、リードソロモンパリティバイトを含むことができる。このパリティバイトは、アップストリームゲームコントローラサブパケットのヘッダーおよびデータフィールドの両方を対象とする。
【0039】
アップストリーム音声サブパケット(260−272)は、3つのフィールド、すなわち、ヘッダーフィールド266、音声データフィールド268、およびCRCフィールド270を含む。ヘッダーフィールド266は、音声データパケットの種類とプロパティを指し示す。音声データフィールド268は、符号化された音声データおよびリンク制御データを含み、図5に示すように構成可能である。CRCフィールド270は、音声ヘッダーフィールドおよび音声データフィールドの両方を対象とする。
【0040】
ダウンストリームサブフレーム200B
図3および図7−8を参照すると、ダウンストリームサブフレームは、3つのパケット、すなわち、音声ダウンストリームパケット210、ダウンリンクデータパケット212、および音声データストリームパケット214を含む。図7を参照すると、ダウンリンクデータパケット212が示されている。このパケット212は、システム制御情報を含み、付属の装置およびアクセサリの全てにブロードキャストされる。このパケット212のヘッダーフィールド280は、ブロードキャストされるシステム制御情報を含む。データフィールド282は、データパケット212にアドレス指定されている各装置の制御情報を含む。したがって、4つのアクセサリがアドレス指定されている場合に、データフィールド282は4つのサブフィールドに分けられ、これら4つのサブフィールドは各装置用のデータを含む。制御情報は、アクセサリ154上のLEDの点滅、モーター制御、フィードバック制御などについての詳細を含むことができる。ブロードキャストパケットは、FECフィールド284によってプロテクトされ、フレームごとに自動的に繰り返される。スライディングフィールド286は、ダウンストリームブロードキャストの終端に付加されることができる。ビットパターンがプリアンブルフィールドと最低限の相関関係を有し、パターン0xC3C3がここでは使用可能であることが好ましい。アクセサリ受信機は受信されるブロードキャストパケットごとにスライディングフィールド286を検証し、パケットスライディング状態をテストする。アクセサリ受信機がスライディングを検出する場合、ビットをQoSにセットし、それをホストにレポートする。スライディングが検出されると、検出グループは同期を避けるために次フレーム用の現在FHSSエントリ上にとどまる必要がある。
【0041】
図8を参照すると、ダウンリンク音声パケット210および214のフォーマットが例示されている。これら2つのパケット210および214は、4つの音声使用可能な装置のためにダウンストリーム音声データを運ぶ。ダウンリンク音声パケット210は、装置1および2の音声サンプルを含む。ダウンリンク音声パケット214は、デバイス3および4のサンプルを含む。図8に示すように、ガードフィールド294、298によって分離される2つの音声ダウンストリームデータフィールド292、296がある。各データフィールド292、296の構造は、図5において詳細が示される。
【0042】
再伝送サブフレーム200C
図9および図10を参照すると、アップリンク再伝送パケット216が示されている。ブロードキャストパケット212のACKビットが特定のアクセサリにセットされていない場合に限り、このパケット216はアクセサリデータを再伝送するだけである。このことは、アクセサリの電力消費を減少させる一方、頑健な環境を達成するのに役立つ。上記の条件が存在する場合に、アクセサリは再伝送パケット216の自らのデータおよびPMDデータを再送信する。アップストリーム音声データはこのパケットで再伝送されない。ブロードキャスト再伝送パケットにACKビットがセットされないので、使用可能な新しいデータがない場合に、同じアクセサリパケットが次フレームで再度、再伝送される。新しいアクセサリデータが使用可能な場合に、アクセサリは新しいデータパケットを代わりに送信する。
【0043】
ブロードキャスト再伝送パケット218は、ブロードキャストパケット212の繰り返しである。ブロードキャスト再伝送パケット218は、ブロードキャストパケットの情報と同じ情報を送信するが、異なる搬送周波数で送信する(図4参照)。ブロードキャスト再伝送パケットにおいて、ヘッダーの再伝送ビットは1にセットされるが、これはブロードキャスト再伝送パケットであることを指し示す。ブロードキャスト再伝送パケットのACKビットは、アップストリーム再伝送パケットの受信に基づいてセットされない、またはクリアされる。コンソール100はブロードキャスト再伝送パケットを常に送信することが好ましい。このことは干渉に対するブロードキャストパケットの免疫力を改善する。というのも、ブロードキャストパケットの制御データは無線インターフェースデータ交換にとっては重要であるためである。しかしながら、アクセサリは第1のブロードキャストパケットをエラーなく受信したことに基づいて再伝送パケットを受信しないことを選択することができる。このことはアクセサリの電力消費全体を減少させるのに役立つ。
【0044】
上述のことに加えて、本発明のプロトコルは、既知のデバイスまたは知られていないデバイスが無線リンクを介して通信可能である適応性のある環境を提供する。
【0045】
本発明をさまざまな図面の好ましい実施形態と組み合わせて説明したが、他の類似の実施形態を使用すること、または、本発明の修正や追加が本発明からそれることなく本発明と同一の機能を実行する実施形態になされることは理解されるべきである。
【図面の簡単な説明】
【0046】
【図1】本発明を実装可能な態様におけるゲームコンソールを示すブロック図である。
【図2】図1のゲームコンソールおよび無線サブシステムを示す図である。
【図3】本発明に係るプロトコルのフレームワーク全体を示す図である。
【図4】時間領域において図3のプロトコルのフレーム構成を示す図である。
【図5】データパケットおよび音声パケットのフォーマットを示す図である。
【図6】アップストリームデータパケットを示す図である。
【図7】ダウンリンクデータパケットを示す図である。
【図8】ダウンリンク音声パケットを示す図である。
【図9】アップリンク再伝送パケットを示す図である。
【図10】アップリンク再伝送パケットを示す図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
無線プロトコルを使用してゲームコンソールと無線アクセサリとの間で通信する方法において、前記ホストおよび前記無線アクセサリが時間フレームに基づいて送信および受信する方法であって、
前記方法は、
前記無線アクセサリから前記ホストに対してアップストリームサブフレームのアップストリームデータパケットを送信するステップと、
前記ホストから前記無線アクセサリに対してダウンリンクサブフレームのダウンストリーム音声パケットおよびダウンストリームデータパケットのうちの少なくとも一つを送信するステップと、
再伝送サブフレーム中のアップリンク再伝送パケットおよびダウンリンク再伝送パケットを再伝送するステップと
を含み、
音声データおよび無線アクセサリデータが前記無線プロトコルを介して同時に通信されることを特徴とする方法。
【請求項2】
前記アップストリームデータパケットが第1のアップストリームデータサブパケットおよび第1のアップストリーム音声サブパケットをさらに含み、
前記方法は、
前記第1のアップストリームデータサブパケットおよび前記第1のアップストリーム音声サブパケットを第1のタイムスロットに割り当てるステップと、
次のデータサブパケットおよび次のアップストリーム音声サブパケットを含む次のアップストリームデータパケットを次のタイムスロットに割り当てるステップと
をさらに含むことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項3】
第1の無線アクセサリから、前記第1のアップストリームデータサブパケットの無線アクセサリデータを送信するステップと、
第2の音声使用可能な装置から、前記第1のアップストリーム音声サブパケットの音声データを送信するステップと
をさらに含むことを特徴とする請求項2に記載の方法。
【請求項4】
アップストリームおよびダウンストリームの音声およびデータパケットは、各々、RF設定フィールド、プリアンブルフィールド、同期フィールド、ヘッダーフィールド、データフィールド、誤り訂正フィールドを含むことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記ダウンストリーム音声パケットの前記音声データを複数の音声使用可能な装置に通信するステップをさらに含むことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記ダウンリンクサブフレームの複数のダウンストリーム音声パケットを通信するステップをさらに含むことを特徴とする請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記ゲームコンソールから、前記ダウンストリームデータパケットを複数の無線アクセサリに対してブロードキャストするステップをさらに含み、
前記ダウンストリームデータパケットが前記複数の無線アクセサリの各々についてのデータを含む予め定められたデータサブフィールドを含むことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記ゲームコンソールから前記ダウンリンクサブフレームにおいてアクナリッジメントが受信されない場合に限り、前記無線アクセサリから前記アップリンク再伝送パケットを送信するステップをさらに含むことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記ダウンリンク再伝送パケットを複数の無線アクセサリに対して再ブロードキャストするステップをさらに含むことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項10】
時分割多元接続(TDMA)のタイムスロットに関連づけられる異なる周波数上の周波数ホッピングスペクトラム拡散システムにおいて前記無線プロトコル内の各パケットを送信するステップをさらに含むことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項11】
無線プロトコルを使用して無線アクセサリとゲームコンソールとの間で情報を通信する方法であって、
前記無線アクセサリから、第1のタイムスロットのアップストリームデータパケットを送信するステップと、
第2のタイムスロットにおいてダウンストリームデータパケットを前記ゲームコンソールから前記無線アクセサリが受信するステップと、
前記ダウンストリームデータパケットにおいてアクナリッジメントが受信されない場合に、第3のタイムスロットの前記アップストリームデータパケットを前記無線アクセサリから送信するステップと
を含むことを特徴とする方法。
【請求項12】
前記アップストリームデータパケットが第1のアップストリームデータサブパケットおよび第1のアップストリーム音声サブパケットをさらに含み、
前記方法は、
前記無線アクセサリから、前記第1のアップストリームデータサブパケットの無線アクセサリデータを送信するステップと、
前記無線アクセサリが音声使用可能である場合に、前記第1のアップストリーム音声サブパケットの音声データを送信するステップと
をさらに含むことを特徴とする請求項11に記載の方法。
【請求項13】
アップストリームおよびダウンストリームの音声およびデータパケットは、各々、RF設定フィールド、プリアンブルフィールド、同期フィールド、ヘッダーフィールド、データフィールド、誤り訂正フィールドを含むことを特徴とする請求項11に記載の方法。
【請求項14】
前記ゲームコンソールから、前記ダウンストリームデータパケットをブロードキャストするステップをさらに含み、
前記ダウンストリームデータパケットが前記無線アクセサリのデータを含む予め定められたデータサブフィールドを含むことを特徴とする請求項11に記載の方法。
【請求項15】
前記第1のタイムスロット、第2のタイムスロット、および第3のタイムスロットに関連付けられた異なる周波数上の周波数ホッピングスペクトラム拡散システムの前記無線プロトコル内の各パケットを送信するステップをさらに含むことを特徴とする請求項11に記載の方法。
【請求項16】
時分割多元接続(TDMA)の周波数ホッピングスペクトラム拡散通信(FHSS)システムにおいて無線プロトコルを使用して無線アクセサリとゲームコンソールとの間で情報を通信する方法であって、
前記無線アクセサリから、第1の周波数を使用して第1のタイムスロットのアップストリームデータパケットを送信するステップと、
第2の周波数において、第2のタイムスロットで前記ゲームコンソールからダウンストリームデータパケットを前記無線アクセサリが受信するステップと、
前記ダウンストリームデータパケットにおいてアクナリッジメントが受信されない場合に、第3の周波数を使用して、第3のタイムスロットにおいて前記アップストリームデータパケットを前記無線アクセサリから送信するステップと
を含むことを特徴とする方法。
【請求項17】
前記アップストリームデータパケットがアップストリームデータサブパケットを含み、
前記方法は、
前記無線アクセサリから前記第1のタイムスロットにおいて、前記第1のアップストリームデータサブパケットの無線アクセサリデータを送信するステップと、
前記無線アクセサリが音声使用可能な場合に、前記第1のタイムスロットにおいて第1のアップストリーム音声サブパケットの音声データを送信するステップと
をさらに含むことを特徴とする請求項16に記載の方法。
【請求項18】
アップストリームおよびダウンストリームの音声およびデータパケットは、各々、RF設定フィールド、プリアンブルフィールド、同期フィールド、ヘッダーフィールド、データフィールド、誤り訂正フィールドを含むことを特徴とする請求項16に記載の方法。
【請求項19】
前記ダウンストリームデータパケットは予め定められたデータサブフィールドを含み、前記データサブフィールドの一つは、前記無線アクセサリのデータを含むことを特徴とする請求項16に記載の方法。
【請求項20】
前記アップストリームデータパケットを送信するステップは、無線アクセサリデータを含むアップストリームデータサブパケットを送信するステップのみを含むことを特徴とする請求項16に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公表番号】特表2008−545292(P2008−545292A)
【公表日】平成20年12月11日(2008.12.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−511154(P2008−511154)
【出願日】平成18年4月28日(2006.4.28)
【国際出願番号】PCT/US2006/016275
【国際公開番号】WO2006/121645
【国際公開日】平成18年11月16日(2006.11.16)
【出願人】(500046438)マイクロソフト コーポレーション (3,165)
【Fターム(参考)】