説明

呼吸センサを使用した不整脈中の血行動態安定の検出

呼吸パラメータの検出された変化を単独でまたは他の生理学的信号とともに使用して、血行動態的に安定した頻脈性不整脈と血行動態的に不安定な頻脈性不整脈とを区別することができる。いくつかの実施例では、この区別は、療法の決定を導く助けとするために使用することができる。様々な実施例では、呼吸信号の特性と補助的信号の特性との関係を判定し、この関係を使用して、頻脈性不整脈の血行動態の安定特性を判定する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
呼吸センサを使用した不整脈中の血行動態安定の検出に関する。
【背景技術】
【0002】
埋め込み型医療デバイス(IMD)は、患者の体内に埋め込まれるように設計されたデバイスである。これらのデバイスのいくつかの例には、心調律管理(CRM)デバイスを含む。CRMデバイスは、埋め込み型ペースメーカ、埋め込み型除細動器(ICD)、および心臓再同期療法を含むペーシングと除細動の併用を含むデバイスを含む。デバイスは一般に、電気療法を使用する患者の治療、および患者の病態の体内モニタリングによる患者の診断を行う際の医師または看護者の補助のために使用される。デバイスは、患者の体内の心臓電気活動を監視するセンス増幅器と連絡する電気リードを含むことができ、多くの場合、他の体内の患者パラメータを監視するセンサを含む。埋め込み型医療デバイスの他の例には、埋め込み型インスリンポンプまたは患者に薬剤を投与するために埋め込まれるデバイスを含む。
【0003】
さらに、いくつかのIMDは、心臓電気活動の信号を監視することによってイベントを検出する。心臓信号を監視することによって、IMDは、異常に早い心拍、すなわち頻脈性不整脈を検出することができる。頻脈性不整脈の発生の検出は重要であるが、頻脈性不整脈が血行動態的に安定である、または不安定であるなどの頻脈性不整脈に関する追加的な生理学的情報が分かれば、さらに有用となり得る。血行動態的に安定した頻脈性不整脈は、患者の血圧または心拍出量に顕著な低下を生じることはなく、一般に抗頻脈性不整脈ペーシング(ATP)で治療することができる。一方、血行動態的に不安定な頻脈性不整脈は、患者の血圧または心拍出量に顕著な低下を生じることがあり、全身または局所的灌流は正常な臓器機能を支援するためには十分ではない。血行動態的に不安定な頻脈性不整脈は一般に、ショック療法または電気的除細動が必要である。したがって、頻脈性不整脈を検出するだけでなく、血行動態的に安定した頻脈性不整脈と不安定な頻脈性不整脈とを区別することができるIMDを、療法の決定を導く助けとするために使用することができる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本書は、とりわけ、呼吸パラメータの検出された変化を単独でまたは他の生理学的信号とともに使用して、血行動態的に安定した頻脈性不整脈と血行動態的に不安定な頻脈性不整脈とを区別するためのシステムおよび方法を説明する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
実施例1は、被検者に頻脈性不整脈があるかどうかを検出するように構成された頻脈性不整脈検出回路と、頻脈性不整脈検出回路に接続され、頻脈性不整脈中に被検者からの呼吸信号を感知するように構成された呼吸感知回路と、頻脈性不整脈検出回路に接続され、頻脈性不整脈中に被検者からの補助的生理学的信号を感知するように構成された補助的感知回路と、呼吸感知回路および補助的感知回路に接続され、呼吸信号の特性を判定し、補助的生理学的信号の特性を判定し、呼吸信号の特性と補助的生理学的信号の特性との一致を測定し、一致の測定を使用して、頻脈性不整脈の血行動態の安定特性を判定するように構成されたプロセッサ回路とを含む心調律管理デバイスを含む装置を含むことができる主題を含むことができる。
【0006】
実施例2では、実施例1の主題は、複数の心周期にわたって呼吸信号の特性および補助的生理学的信号の特性をそれぞれ判定するように構成されたプロセッサ回路を任意で含むことができる。
【0007】
実施例3では、実施例1〜2のいずれか1つの主題は、身体活動レベル、心拍数、心音または加速の少なくとも1つを感知するように構成された補助的感知回路を任意で含むことができる。
【0008】
実施例4では、実施例1〜3のいずれか1つの主題は、呼吸数の時間的変化、呼吸の深さの時間的変化または呼吸形態パターンの時間的変化の少なくとも1つを判定することによって、呼吸信号の特性を判定するように構成され、複数の心周期にわたって判定された呼吸信号の特性を使用して、呼吸信号の特性を判定するように構成されているプロセッサを任意で含むことができる。
【0009】
実施例5では、実施例1〜4のいずれか1つの主題は、呼吸信号の特性を第1の閾値と比較し、補助的生理学的信号の特性を第2の閾値と比較し、比較を使用して、一致または不一致の少なくとも一方の徴候を判定するように構成されたプロセッサを任意で含むことができる。
【0010】
実施例6では、実施例1〜5のいずれか1つの主題は、呼吸信号の特性が第1の閾値より高く、補助的生理学的信号の特性が第2の閾値より低いとき、不一致と判定するようにプロセッサが構成されていることを任意で含むことができる。
【0011】
実施例7では、実施例1〜6のいずれか1つの主題は、プロセッサが、判定された不一致に従って、頻脈性不整脈が血行動態的に不安定であると示すように構成されていることを任意で含むことができる。
【0012】
実施例8では、実施例1〜7のいずれか1つの主題は、1)呼吸信号の特性が第1の閾値より高く、補助的生理学的信号の特性が第2の閾値より高い、または2)呼吸信号の特性が第1の閾値より低く、補助的生理学的信号の特性が第2の閾値より低いとき、一致と判定するようにプロセッサが構成されていることを任意で含むことができる。
【0013】
実施例9では、実施例1〜8のいずれか1つの主題は、判定された一致に従って、頻脈性不整脈が血行動態的に安定していると示すように構成されたプロセッサを任意で含むことができる。
【0014】
実施例10では、実施例1〜9のいずれか1つの主題は、血行動態の安定性または血行動態の不安定性の一方を含む頻脈性不整脈の血行動態の安定特性を任意で含むことができる。
【0015】
実施例11では、実施例1〜10のいずれか1つの主題は、頻脈性不整脈の血行動態の安定特性の徴候をユーザ・インターフェースまたは処理部に通知するように構成されたプロセッサを任意で含むことができる。
【0016】
実施例12では、実施例1〜11のいずれか1つの主題は、頻脈性不整脈の血行動態の安定特性を使用して、被検者に実施する療法を制御するように構成されたプロセッサを任意で含むことができる。
【0017】
実施例13では、実施例1〜12のいずれか1つの主題は、プロセッサ回路に接続され、頻脈性不整脈が血行動態的に安定している場合、被検者に抗頻脈性不整脈ペーシングを実施するように構成されている療法回路を任意で含むことができる。
【0018】
実施例14では、実施例1〜13のいずれか1つの主題は、プロセッサ回路に接続され、頻脈性不整脈が血行動態的に不安定である場合、被検者にショック療法を実施するように構成されている療法回路を任意で含むことができる。
【0019】
実施例15では、実施例1〜14のいずれか1つの主題は、プロセッサ回路に接続され、頻脈性不整脈が血行動態的に安定している場合、ショック療法を行わないように構成された療法回路を任意で含むことができる。
【0020】
実施例16は、被検者に頻脈性不整脈があると判定すること、頻脈性不整脈中に被検者からの呼吸信号を感知すること、頻脈性不整脈中に被検者からの呼吸信号以外の補助的生理学的信号を感知すること、呼吸信号の特性を判定すること、補助的生理学的信号の特性を判定すること、呼吸信号の特性と補助的生理学的信号の特性との一致の測定を判定すること、一致の測定を使用して、頻脈性不整脈の血行動態の安定特性を判定することを含むことができる主題を含むことができ、または含むように実施例1〜15のいずれか1つの主題と任意で組み合わせることができる。
【0021】
実施例17では、実施例1〜16のいずれか1つの主題は、複数の心周期にわたって判定された呼吸および補助的生理学的信号の特性を、それぞれ判定することを任意で含むことができる。
【0022】
実施例18では、実施例1〜17のいずれか1つの主題は、身体活動レベル、心拍数、心音または加速の少なくとも1つを感知することを任意で含むことができる。
実施例19では、実施例1〜18のいずれか1つの主題は、呼吸数の時間的変化、呼吸の深さの時間的変化または呼吸形態パターンの時間的変化の少なくとも1つを判定することを任意で含むことができ、呼吸信号の特性を判定することは、複数の心周期にわたって判定された呼吸信号の特性を判定することを含む。
【0023】
実施例20では、実施例1〜19のいずれか1つの主題は、呼吸信号の特性を第1の閾値と比較すること、補助的生理学的信号の特性を第2の閾値と比較すること、比較を使用して、一致または不一致の少なくとも一方の徴候を判定することを任意で含むことができる。
【0024】
実施例21では、実施例1〜20のいずれか1つの主題は、呼吸信号の特性が第1の閾値より高く、補助的生理学的信号の特性が第2の閾値より低いとき、不一致と判定することを任意で含むことができる。
【0025】
実施例22では、実施例1〜21のいずれか1つの主題は、判定された不一致に従って、頻脈性不整脈が血行動態的に不安定であることを示すことを任意で含むことができる。
実施例23では、実施例1〜22のいずれか1つの主題は、1)呼吸信号の特性が第1の閾値より高く、補助的生理学的信号の特性が第2の閾値より高い、または2)呼吸信号の特性が第1の閾値より低く、補助的生理学的信号の特性が第2の閾値より低いとき、一致と判定することを任意で含むことができる。
【0026】
実施例24では、実施例1〜23のいずれか1つの主題は、判定された一致に従って、頻脈性不整脈が血行動態的に安定していることを示すことを任意で含むことができる。
実施例25では、実施例1〜2のいずれか1つの主題は、血行動態の安定性または血行動態の不安定性の一方を含む頻脈性不整脈の血行動態の安定特性を任意で含むことができる。
【0027】
実施例26では、実施例1〜25のいずれか1つの主題は、頻脈性不整脈の血行動態の安定特性の徴候をユーザ・インターフェースまたは処理部に通知することを任意で含むことができる。
【0028】
実施例27では、実施例1〜26のいずれか1つの主題は、頻脈性不整脈の血行動態の安定特性を使用して、被検者に実施する療法を制御することを任意で含むことができる。
実施例28では、実施例1〜27のいずれか1つの主題は、頻脈性不整脈が血行動態的に安定している場合、被検者に抗頻脈性不整脈ペーシングを実施することを任意で含むことができる。
【0029】
実施例29では、実施例1〜28のいずれか1つの主題は、頻脈性不整脈が血行動態的に不安定である場合、被検者にショック療法を実施することを任意で含むことができる。
実施例30では、実施例1〜29のいずれか1つの主題は、頻脈性不整脈が血行動態的に安定している場合、ショック療法を行わないことを任意で含むことができる。
【0030】
実施例31は、被検者に頻脈性不整脈があるかどうかを検出するように構成された頻脈性不整脈検出回路と、頻脈性不整脈検出回路に接続され、被検者からの呼吸信号を感知するように構成された呼吸感知回路と、呼吸感知回路に接続され、呼吸信号から呼吸数または間隔の特性を判定し、呼吸数または間隔の特性を所定の閾値と比較し、呼吸数の特性が所定の閾値より高いとき、頻脈性不整脈が血行動態的に不安定であると示すように構成されたプロセッサ回路とを含む心調律管理デバイスを含む装置を含むことができる主題を含むことができ、または含むように実施例1〜30のいずれか1つの主題と任意で組み合わせることができる。
【0031】
これらの実施例は、どのような順序または組み合わせで併用することもできる。この概略は本特許出願の主題の概略を説明するためのものである。これは発明の排他的または包括的な説明をするものではない。詳細な説明は、本特許出願に関するさらなる情報を説明するためのものである。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【図1】埋め込み型または他の携帯型の心調律管理(CRM)デバイスの実施例を全体的に示す概略図。
【図2】CRMデバイスの電子機器ユニットの一部分の実施例を全体的に示すブロック図。
【図3A】呼吸数と補助的生理学的信号との一致の測定など、関係を判定するために使用することができる概念化された(実物ではない)データの実施例を示す図。
【図3B】呼吸数と補助的生理学的信号との一致の測定など、関係を判定するために使用することができる概念化された(実物ではない)データの実施例を示す図。
【図4】安定した頻脈性不整脈と不安定な頻脈性不整脈とを区別するための方法の実施例を示す図。
【図5】安定した頻脈性不整脈と不安定な頻脈性不整脈とを区別するための別の方法の実施例を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0033】
図面は等縮尺で描かれているとは限らず、同様の番号は、異なる図において同様の部品を説明することができる。異なる文字の接尾辞を含む同様の番号は、同様の部品の異なる例を表すことができる。これらの図面は一般に、限定のためではなく例として、本書で説明される様々な実施形態を示している。
【0034】
本発明者らは、とりわけ、呼吸パラメータの変化を他の生理学的信号とともに使用して、血行動態的に安定した頻脈性不整脈と血行動態的に不安定な頻脈性不整脈とを区別することができることを認識した。呼吸信号は、分時換気センサまたは他の呼吸センサによって検出することができる。血行動態的に安定した頻脈性不整脈と不安定な頻脈性不整脈との区別によって、療法の決定を導く助けとすることができる。
【0035】
図1は、埋め込み型または他の携行型心調律管理(CRM)デバイス100の実施例を示す。実施例では、CRMデバイス100は、密閉された生体適合性ハウジング104およびそこから延びるヘッダ106を含むことができる電子機器ユニット102を含むことができる。ハウジング104は、電源および電子機器を搭載することができる。ヘッダ106は、血管内リード108A〜Cの近位側端部を受けるためなどの1つまたは複数の容器を含むことができる。実施例では、リード108Aは、上大静脈(SVC)から右心房(RA)へ、次いで右心室(RV)へと延びることができる血管内RVリードとすることができる。リード108Aは、RV心尖の先端電極110、それよりわずかに近位側のRVリング電極112、さらにそれよりわずかに近位側のRVショック・コイル電極114、およびそれよりさらに近位側のRAまたはSVCショック・コイル電極116を含むことができる。様々な電極を使用して、電気エネルギーを与え、または固有の心臓電気信号を感知することができる。血管内CS/LVリード108Cは、SVCからRAへ、冠状静脈洞(CS)を通って、左心室(LV)の一部分の付近などの冠状血管系へと、延びることができる。実施例では、この第2のCS/LVリード108Bは、電気刺激エネルギーを与えることができ、または固有の心臓電気信号を感知することができる、少なくとも遠位側電極118および近位側電極120を含むことができる。血管内右心房(RA)リード108Bは、SVCからRAへと延びることができ、遠位側電極119および近位側電極121を含むことができる。他の電極(例えば、ハウジング104上のハウジング電極105、ヘッダ106上のヘッダ電極107、心外膜電極、心臓から離れて置かれた皮下電極、またはその他の場所に置かれた電極)またはリードを使用することもできる。
【0036】
実施例では、埋め込み型CRMデバイス100は、CRMデバイス・プログラマ、リピータ、手持ちデバイスなどの外部ローカル・インターフェース121と一方向または双方向に無線通信するためなどの通信回路を含むことができる。ローカル・インターフェース121は、有線または無線接続されたコンピュータまたは通信ネットワーク122を介して、遠隔コンピュータまたはサーバなどの遠隔インターフェース124と通信するように構成することができる。
【0037】
図2は、CRMデバイスの電子機器ユニット102の一部分の実施例を示す。実施例では、リード108A〜Cまたはその他の場所などの様々な電極に選択的に接続するためなどのスイッチング回路200を含むことができる。感知回路202は、スイッチング回路200によって様々な電極に選択的に接続することができ、センス増幅器、フィルター回路、固有の心臓信号などの固有の電気信号を感知するためなどの他の回路などを含むことができる。感知回路202は、頻脈性不整脈検出回路204に接続することができる。頻脈性不整脈検出回路204は、心拍数または感知回路202によって感知される脱分極による形態的情報の使用などによって、患者の頻脈性不整脈を検出するように構成することができる。療法回路206は、スイッチング回路200によって様々な電極に選択的に接続することができ、電気刺激、電気的除細動、除細動または他のエネルギーを生成し、保存し、または与えるためなどのペーシング・エネルギー生成回路(例えば、容量性、誘導性またはその他)を含むことができる。インピーダンス測定回路210は、リード・インピーダンス、組織インピーダンス、局所的または臓器インピーダンス、または他のインピーダンスを測定するためなど、スイッチング回路200によって様々な電極に選択的に接続することができる。経胸腔インピーダンス測定値などのインピーダンス測定値を使用して、例えば、呼吸数、呼吸の深さ、または呼吸形態パターンなどの呼吸信号を検出することができる。インピーダンス測定値を使用して、流体の状態を検出することもできる。インピーダンス測定回路210は、頻脈性不整脈検出回路204に接続することができる。実施例では、感知回路202、頻脈性不整脈検出回路204、療法回路206、またはインピーダンス測定回路210をプロセッサ回路212に接続することができる。実施例では、プロセッサ212は、感知回路202、頻脈性不整脈検出回路204、またはインピーダンス回路210によって導出された信号の信号処理のため、または療法回路206の動作またはCRMデバイス100の他の動作の制御などのために、命令を実施することができる。プロセッサ212は、患者の加速または身体活動レベルを感知するように構成された加速度計214などの身体活動センサに接続し、またはこれを含むことができる。加速度計214は、頻脈性不整脈検出回路204に接続することができる。実施例では、加速度計214は、心音などの身体活動の他の測定値を感知するように構成することができる。実施例では、加速度計214は、筋肉の伸長または横隔膜または肋間筋の動きを検出することによって、呼吸信号を検出するように構成することができる。図2には示さないが、加速度計214およびインピーダンス測定回路210に加えて他のセンサが、呼吸信号を検出するように構成することができる。呼吸信号を検出するように構成されたそのような他のセンサの実施例は、音響または超音波センサ、および血圧または血流センサを含む。プロセッサ212はまた、命令またはデータを保存し、または回収するためなどの記憶回路218、もしくは、ローカル・インターフェース121と通信するためなどの通信回路220に接続することができ、またはこれを含むことができる。
【0038】
図3Aおよび3Bは、呼吸数などの呼吸信号と身体活動レベルなどの補助的生理学的信号との一致の測定など、関係を判定するために使用することができる概念化された(実物ではない)データの実施例を示す図である。呼吸数の代わりに、またはそれに加えて使用することができる他の呼吸信号には、呼吸の深さまたは呼吸形態パターンを含む。身体活動レベルの代わりに、またはそれに加えて使用することができる他の補助的生理学的信号には、例えば、心拍数、心音または加速を含む。図示された実施例では、呼吸数と身体活動レベルとの関係を使用して、血行動態的に安定した頻脈性不整脈と血行動態的に不安定な頻脈性不整脈とを区別することができる。上記で図2に関して説明したように、例えば、インピーダンス測定回路210または加速度計214、および加速度計214によって検出することができる身体活動レベルによって、呼吸信号を検出することができる。実施例では、呼吸数の時間的変化率を身体活動レベルの時間的変化率を比較することによって、一致の測定を判定することができる。図3Aおよび3Bでは、y軸302は呼吸数を表し、y軸304は身体活動レベルを表す。呼吸数および身体活動レベルは、x軸306によって表される時間に対してグラフで示されている。図3Aでは、線308Aによって表される呼吸数は、線310Aによって表される活動レベルと一致して増加する。呼吸数と活動レベルの一致は、運動中など、正常な生理学的条件下で観察することができる。頻脈性不整脈中の呼吸数と活動レベルの一致は、血行動態的に安定した頻脈性不整脈を示すことができる。図3Bでは、線308Bによって表される呼吸数は増加するが、線310Bによって表される活動レベルは減少する。結果的な呼吸数と活動レベルの不一致は、血行動態的に不安定な頻脈性不整脈を示すことができ、これは血行動態の悪化を招くことがある。
【0039】
実施例では、血行動態の安定特性を示す、呼吸信号の特性と身体活動レベルの特性との間の関係は、呼吸信号の特性と身体活動レベルの特性との間の相互依存として定義することができる。したがって、例えば、一致の測定に加えて、またはその代わりに、呼吸数と身体活動レベルとの間の関係を、所定の活動レベルに対応する呼吸数を閾値と比較することによって判定することができる。実施例では、所定の活動レベルの閾値より高い呼吸数は、血行動態的に不安定な頻脈性不整脈を示すことができる。同様に、所定の活動レベルの閾値より低い呼吸数は、血行動態的に安定した頻脈性不整脈を示すことができる。
【0040】
図4は、安定した頻脈性不整脈と不安定な頻脈性不整脈とを区別するための方法400の実施例を示す。402では、埋め込み型CRMデバイスなどによって、心調律が検出され、監視される。404では、ベースライン呼吸数および身体活動レベル測定値が取得され、または更新される。実施例では、身体活動に加えて、またはその代わりに、心拍数、心音または姿勢など、他の補助的生理学的信号を監視することができる。406で、検出された心調律が120〜200拍/分(bpm)など心室性頻脈性不整脈ゾーンにある場合、次いで408で、検出された頻脈性不整脈が分類される。頻脈性不整脈は、例えば、検出された電気生理学的信号の分析を通して、分類することができる。410で、頻脈性不整脈が心室性頻脈性不整脈または心室細動として分類された場合、次いで工程は412へと進む。実施例では、頻脈性不整脈が心室細動として分類された場合(例えば、200bpm超)、412で血行動態の安定の判定を省略することができ、工程は430へと直接進むことができ、そこで患者にショック療法が行われる。410で、頻脈性不整脈が心室性頻脈性不整脈または心室細動として分類されない場合、次いで工程は414へと進む。
【0041】
406で、検出された心調律が心室性頻脈性不整脈ゾーンにある場合、次いで416で、呼吸および身体活動信号が頻脈性不整脈中に取得される。416では、408での頻脈性不整脈の分類と同時に、呼吸および活動信号を取得することができる。実施例では、416で呼吸および活動信号を連続的に取得することができる。実施例では、所定の呼吸センサ起動条件が満たされた場合にのみ、416で呼吸および活動信号を取得することができる。実施例では、呼吸センサ起動条件は、検出された心拍数が心室性頻脈性不整脈ゾーンの下限よりも低いが所定の閾値よりも高いこととすることができる。これは、遅い心室性頻脈性不整脈の検出および治療を可能にすることができる。呼吸センサ起動条件の別の実施例には、20ミリ秒など、所定の閾値よりも低い心周期の長さの安定を含むことができる。呼吸センサ活動条件のさらに他の実施例は、所定の心電図特性の存在、療法の実施の状態(例えば、抗頻脈性不整脈ペーシング)、所定の閾値より低い心臓内インピーダンスの低下の検出、またはユーザまたは医療提供者による手動での起動を含む。
【0042】
418では、呼吸および活動信号が特性化される。実施例では、呼吸および活動信号の特性化は、継続的に行うことができる。実施例では、呼吸および活動信号の特性化は、上記で述べたものなど、所定の呼吸センサ起動条件が満たされた場合にのみ、行うことができる。呼吸信号は、例えば、呼吸数の時間的変化、呼吸の深さの時間的変化または呼吸形態パターンの時間的変化を判定することによって特性化することができる。実施例では、呼吸信号は、所定の心拍数内における複数の呼吸信号測定値の相関関係または相関関係の変化を判定することによって特性化することができる。身体活動信号は、例えば、身体活動レベル、心拍数、心音または加速を判定することによって特性化することができる。実施例では、呼吸および身体活動信号は、複数の心周期にわたって特性化することができる。420で、呼吸特性が第1の閾値より高く増加していない場合、次いで422で、頻脈性不整脈は血行動態的に安定していると示される。420で、呼吸特性が第1の閾値よりも高く増加している場合、次いで工程は424へと進む。実施例では、頻脈性不整脈の発症後5〜10秒などの所定の期間の後、呼吸特性を測定し、第1の閾値と比較することができる。424で、活動特性が第2の閾値よりも低く減少していない場合、次いで422で、頻脈性不整脈が血行動態的に安定していると示される。424で、活動特性が第2の閾値よりも低く減少している場合、次いで426で、頻脈性不整脈が血行動態的に不安定であると示される。実施例では、頻脈性不整脈の発症後5〜10秒などの所定の期間後、活動特性を測定し、第2の閾値と比較することができる。頻脈性不整脈が血行動態的に安定していると422で示され、または不安定であると426で示された後、工程は412および414へと戻る。412で、頻脈性不整脈が血行動態的に安定していると示された場合、次いで428で、抗頻脈性不整脈ペーシング(ATP)が患者に行われる。412で、頻脈性不整脈が血行動態的に不安定であると示された場合、次いで430で、ショック療法が患者に行われる。414で、頻脈性不整脈が血行動態的に安定していると示された場合、次いで432で、ATPが患者に行われる。414で、頻脈性不整脈が血行動態的に不安定であると示された場合、次いで434で、電気的除細動が患者に行われる。
【0043】
実施例では、416で、活動信号を取得することなく、呼吸信号を取得することができる。418では、呼吸数または間隔、1回換気量、呼吸の深さまたは呼吸パターンを判定することなどによって、呼吸信号を特性化することができる。実施例では、呼吸数の時間的変化または相対的変化、1回換気量、呼吸の深さまたは呼吸パターンを判定することによって、呼吸信号を特性化することができる。420で、呼吸特性を所定の閾値と比較することができる。呼吸特性が所定の閾値を超えている場合、次いで426で、頻脈性不整脈は血行動態的に不安定であると示される。呼吸特性が閾値を超えていない場合、次いで422で、頻脈性不整脈は血行動態的に安定していると示される。実施例では、420で、呼吸特性を所定の閾値と比較する代わりに、またはそれに加えて、所定の基準と比較することができる。呼吸特性が所定の基準を満たしている場合、次いで426で、頻脈性不整脈は血行動態的に不安定であると判定される。呼吸特性が所定の基準を満たしていない場合、次いで422で、頻脈性不整脈は血行動態的に安定していると示される。頻脈性不整脈が血行動態的に安定していると422で示され、または不安定であると426で示された後、工程は上記のように412および414へと戻る。
【0044】
(例えば、身体活動特性なしで)呼吸特性のみを使用して、血行動態的に安定した頻脈性不整脈および不安定な頻脈性不整脈を区別することができる状況の実施例には、患者の検出された心拍数が所定の閾値(例えば180bpm)よりも高い場合を含む。この状況では、身体活動がそのような高い心拍数を起こす、またはその一因となるとは考えにくい。したがって、血行動態の安定性または不安定性を判定するために、身体活動特性を呼吸特性と併せて検出する必要はなく、呼吸特性のみの分析で、血行動態的に安定した頻脈性不整脈と不安定な頻脈性不整脈とを区別するには十分である。例えば、所定の閾値よりも高く増加した呼吸数は、血行動態的に不安定な頻脈性不整脈を示すことができ、所定の閾値よりも高く増加していない呼吸数は、血行動態的に安定した頻脈性不整脈を示すことができる。
【0045】
図5は、安定した頻脈性不整脈と不安定な頻脈性不整脈とを区別するための別の方法500の実施例を示す。402では、埋め込み型CRMデバイスなどによって心調律が検出され、監視される。404では、ベースライン呼吸および身体活動レベル測定値が取得され、または更新される。実施例では、身体活動に加えて、またはその代わりに、心拍数、心音または姿勢などの他の補助的生理学的信号を監視することができる。502では、ベースライン呼吸−活動一致(RAC)尺度が取得される。RAC尺度は、例えば、図3Aおよび3Bに示すようなグラフのデータを使用して、取得することができる。実施例では、RAC尺度は、所定の時間に測定された活動レベルに対する所定の時間に測定された呼吸数の比とすることができる。実施例では、RAC尺度は、活動レベルの変化率に対する呼吸数の変化率の比とすることができる。406で、検出された心調律が120〜200bpmなど、心室性頻脈性不整脈ゾーンにある場合、次いで408で、検出された頻脈性不整脈が分類される。頻脈性不整脈は、例えば、検出された電気生理学的信号の分析を通して、分類することができる。410で、頻脈性不整脈が心室性頻脈性不整脈または心室細動として分類された場合、次いで工程は412へと進む。実施例では、頻脈性不整脈が心室細動として分類された場合(例えば、200bpm超)、412での血行動態の安定の判定を省略することができ、工程は430へと直接進むことができ、そこで患者にショック療法が行われる。410で、頻脈性不整脈が心室性頻脈性不整脈または心室細動として分類されない場合、次いで工程は414へと進む。
【0046】
406で、検出された心調律が心室性頻脈性不整脈ゾーンにある場合、次いで416で、呼吸および身体活動信号が頻脈性不整脈中に取得される。416では、408での頻脈性不整脈の分類と同時に、呼吸および活動信号を取得することができる。実施例では、416で呼吸および活動信号を連続的に取得することができる。所定の呼吸センサ起動条件が満たされた場合にのみ、416で呼吸および活動信号を取得することができる。実施例では、呼吸センサ起動条件は、検出された心拍数心室性頻脈性不整脈ゾーンの下限より低いが所定の閾値より高いこととすることができる。これは、遅い心室性頻脈性不整脈の検出および治療を可能にすることができる。呼吸センサ起動条件の別の実施例には、20ミリ秒など、所定の閾値よりも低い心周期の長さの安定を含むことができる。呼吸センサ活動条件のさらに他の実施例は、所定の心電図特性の存在、療法の実施の状態(例えば、抗頻脈性不整脈ペーシング)、所定の閾値より低い心臓内インピーダンスの低下の検出、またはユーザまたは医療提供者による手動での起動を含む。
【0047】
504では、頻脈性不整脈中にRAC尺度が判定される。実施例では、RAC尺度の判定は、継続的に行うことができる。実施例では、RAC尺度の判定は、図4に関して上記で述べたものなど、所定の呼吸センサ起動条件が満たされた場合にのみ、行うことができる。実施例では、頻脈性不整脈の発症後5〜10秒などの所定の期間の後、RAC尺度を判定することができる。実施例では、RAC尺度は、複数の心周期にわたって判定することができる。506で、呼吸特性が第3の閾値よりも高く増加していない場合、またはRAC尺度が第4の閾値より低く減少していない場合、次いで422で、頻脈性不整脈は血行動態的に安定していると示される。506で、呼吸特性が第3の閾値よりも高く増加している場合、およびRAC尺度が第4の閾値よりも低く減少している場合、次いで426で頻脈性不整脈は血行動態的に不安定であると示される。実施例では、第4の閾値は、80%など、ベースラインRAC尺度の所定の割合とすることができる。頻脈性不整脈が血行動態的に安定していると422で示され、または不安定であると426で示された後、工程は412および414へと戻る。412で、頻脈性不整脈が血行動態的に安定していると示された場合、次いで428で、抗頻脈性不整脈ペーシング(ATP)が患者に行われる。412で、頻脈性不整脈が血行動態的に不安定であると示された場合、次いで430で、ショック療法が患者に行われる。414で、頻脈性不整脈が血行動態的に安定していると示された場合、次いで432で、ATPが患者に行われる。414で、頻脈性不整脈が血行動態的に不安定であると示された場合、次いで434で、電気的除細動が患者に行われる。
【0048】
補注
上記の詳細な説明は、詳細な説明の一部を形成する添付の図面の参照を含む。図面は、本発明を実施することのできる特定の実施形態を、例を使用して示す。これらの実施形態は、本明細書では「実施例」ともいう。そのような実施例は、図示または説明されたものの他にも要素を含むことができる。しかし、本発明者らは、図示または説明された要素のみが提供される実施例も企図している。さらに、本発明者らは、図示または説明された要素の、特別な実施例(もしくはその1つまたは複数の態様)もしくは本明細書に図示または説明された他の実施例(もしくはその1つまたは複数の態様)との組み合わせまたは置換を使用した実施例(もしくはその1つまたは複数の態様)も、企図している。
【0049】
本明細書で参照されるすべての刊行物、特許および特許文書は、参照によって個別に援用されるかのように、参照によってその全体が本明細書に援用される。本書と参照によって援用されるこれらの書類との間に用法の不一致がある場合、援用される文献における用法は、本書の用法を補足するものであると考えるべきである。相反する不一致については、本書における用法が支配する。
【0050】
本書では、「または」という用語は包括的に使用され、他に別段の記載がない限り、「AまたはB」は「BではなくA」「AではなくB」および「AおよびB」を含む。添付の特許請求の範囲では、「を含む」および「において」という用語は、「を含む」および「において」という用語の平易な英語の均等物としてそれぞれ使用される。また、添付の特許請求の範囲では、「を含む」および「を備える」という用語はオープンエンドであり、すなわち、クレーム中でそのような用語の後に列挙されたものの他にも要素を含むシステム、デバイス、部品または処理部も、そのクレームの範囲内であるとみなされる。さらに、添付の特許請求の範囲では、「第1の」、「第2の」および「第3の」などの用語は、単に呼び名として使用されているに過ぎず、それらの対象に数的な要件を課すものではない。
【0051】
上記の説明は例示であり、限定するものではない。例えば、上記の実施例(もしくはその1つまたは複数の態様)は、互いに組み合わせて使用することができる。例えば当業者が上記の説明を読めば、他の実施形態を使用することも可能である。要約書は、特許請求の範囲または趣旨を解釈または限定するために使用されることはないという理解に基づいて提出される。また、上記の詳細な説明では、開示を効率化するために、様々な特徴をグループ化することができる。これは、特許請求されない開示特徴が、いずれかの請求項に不可欠であることを意図していると理解されるべきではない。むしろ、本発明の主題は、特定の開示された実施形態のすべての特徴よりも少ない特徴であり得る。したがって、添付の特許請求の範囲は、本明細書によって詳細な説明に組み込まれており、それぞれの請求項は、別個の実施形態として個々に自立している。本発明の範囲は、そのような請求項が権利化される均等物の全範囲とともに、添付の特許請求の範囲を参照することによって決定されるべきである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
装置は、心調律管理デバイスを備え、
前記心調律管理デバイスは、
被検者に頻脈性不整脈があるかどうかを検出するように構成された頻脈性不整脈検出回路と、
該頻脈性不整脈検出回路に接続され、該被検者からの呼吸信号を感知するように構成された呼吸感知回路と、
該頻脈性不整脈検出回路に接続され、該被検者からの補助的生理学的信号を感知するように構成された補助的感知回路と、
該呼吸感知回路および該補助的感知回路に接続され、該呼吸信号の特性を判定し、該補助的生理学的信号の特性を判定し、該呼吸信号の特性と該補助的生理学的信号の特性との関係を判定し、該関係を使用して、頻脈性不整脈の血行動態の安定特性を判定するように構成されたプロセッサ回路とを含む、装置。
【請求項2】
前記プロセッサ回路が、複数の心周期にわたって前記呼吸信号の特性および前記補助的生理学的信号の特性をそれぞれ判定するように構成されている、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記補助的感知回路が、身体活動レベル、心拍数、心音または加速の少なくとも1つを感知するように構成されている、請求項1乃至2のいずれか1項に記載の装置。
【請求項4】
前記プロセッサが、呼吸数の時間的変化、呼吸の深さの時間的変化または呼吸形態パターンの時間的変化の少なくとも1つを判定することによって、前記呼吸信号の特性を判定するように構成され、前記プロセッサが、複数の心周期にわたって判定された前記呼吸信号の特性を使用して、前記呼吸信号の特性を判定するように構成されている、請求項1乃至3のいずれか1項に記載の装置。
【請求項5】
前記プロセッサが、前記呼吸信号の特性を第1の閾値と比較し、
前記補助的生理学的信号の特性を第2の閾値と比較し、
該比較を使用して、一致または不一致の少なくとも一方の徴候を判定するように構成されている、請求項1乃至4のいずれか1項に記載の装置。
【請求項6】
前記呼吸信号の特性が前記第1の閾値より高く、前記補助的生理学的信号の特性が前記第2の閾値より低いとき、不一致と判定するように前記プロセッサが構成されている、請求項5に記載の装置。
【請求項7】
前記プロセッサが、判定された不一致に従って、頻脈性不整脈が血行動態的に不安定であると示すように構成されている、請求項6に記載の装置。
【請求項8】
1)前記呼吸信号の特性が前記第1の閾値より高く、前記補助的生理学的信号の特性が前記第2の閾値よりも高い、または2)前記呼吸信号の特性が前記第1の閾値より低く、前記補助的生理学的信号の特性が前記第2の閾値より低いとき、一致と判定するように前記プロセッサが構成されている、請求項5乃至7のいずれか1項に記載の装置。
【請求項9】
前記プロセッサが、判定された一致に従って、頻脈性不整脈が血行動態的に安定していると示すように構成されている、請求項8に記載の装置。
【請求項10】
前記プロセッサが、頻脈性不整脈の前記血行動態の安定特性の徴候をユーザ・インターフェースまたは処理部に通知するように構成されている、請求項1乃至9のいずれか1項に記載の装置。
【請求項11】
前記プロセッサが、頻脈性不整脈の前記血行動態の安定特性を使用して、前記被検者に実施する療法を制御するように構成されている、請求項1乃至10のいずれか1項に記載の装置。
【請求項12】
前記プロセッサ回路に接続された療法回路を含み、該療法回路は、頻脈性不整脈が心室性頻脈性不整脈として分類され、血行動態的に安定している場合、前記被検者に抗頻脈性不整脈ペーシングを実施するように構成されている、請求項11に記載の装置。
【請求項13】
前記プロセッサ回路に接続された療法回路を含み、該療法回路は、頻脈性不整脈が心室性頻脈性不整脈として分類され、血行動態的に不安定である場合、前記被検者にショック療法を実施するように構成されている、請求項11に記載の装置。
【請求項14】
頻脈性不整脈が心室性頻脈性不整脈として分類され、血行動態的に安定している場合、前記療法回路がショック療法を行わないように構成されている、請求項13に記載の装置。
【請求項15】
頻脈性不整脈の前記血行動態の安定特性が、血行動態の安定性または血行動態の不安定性の一方を含む、請求項1乃至14のいずれか1項に記載の装置。
【請求項16】
方法であって、
被検者に頻脈性不整脈があると判定すること、
該被検者からの呼吸信号を感知すること、
該被検者からの該呼吸信号以外の補助的生理学的信号を感知すること、
該呼吸信号の特性を判定すること、
該補助的生理学的信号の特性を判定すること、
該呼吸信号の特性と該補助的生理学的信号の特性との関係を判定すること、
該関係を使用して、頻脈性不整脈の血行動態の安定特性を判定することを備える、方法。
【請求項17】
前記補助的生理学的信号を感知することは、身体活動レベル、心拍数、心音または加速の少なくとも1つを感知することを含む、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
前記呼吸信号の特性を判定することは、呼吸数の時間的変化、呼吸の深さの時間的変化または呼吸形態パターンの時間的変化の少なくとも1つを判定することを含み、
前記呼吸信号の特性を判定することは、複数の心周期にわたって判定された呼吸信号の特性を判定することを含む、請求項16および17のいずれか1項に記載の方法。
【請求項19】
前記関係を判定することは、
前記呼吸信号の特性を第1の閾値と比較すること、
前記補助的生理学的信号の特性を第2の閾値と比較すること、
該比較を使用して、一致または不一致の少なくとも一方の徴候を判定することを含む、請求項16乃至18のいずれか1項に記載の方法。
【請求項20】
前記呼吸信号の特性が前記第1の閾値よりも高く、前記補助的生理学的信号の特性が前記第2の閾値よりも低いとき、不一致と判定すること、
判定された不一致に従って、頻脈性不整脈が血行動態的に不安定であることを示すことを含む、請求項19に記載の方法。
【請求項21】
1)前記呼吸信号の特性が前記第1の閾値よりも高く、前記補助的生理学的信号の特性が前記第2の閾値よりも高い、または2)前記呼吸信号の特性が前記第1の閾値よりも低く、前記補助的生理学的信号の特性が前記第2の閾値よりも低いとき、一致と判定すること、
判定された一致に従って、頻脈性不整脈が血行動態的に安定していることを示すことを含む、請求項19および20のいずれか1項に記載の方法。
【請求項22】
頻脈性不整脈の前記血行動態の安定特性の徴候をユーザ・インターフェースまたは処理部に通知することを含む、請求項16乃至21のいずれか1項に記載の方法。
【請求項23】
頻脈性不整脈の前記血行動態の安定特性を使用して、前記被検者に実施する療法を制御することを含む、請求項16乃至22のいずれか1項に記載の方法。
【請求項24】
頻脈性不整脈が血行動態的に安定している場合、前記被検者に抗頻脈性不整脈ペーシングを実施することを含む、請求項23に記載の方法。
【請求項25】
頻脈性不整脈が血行動態的に不安定である場合、前記被検者にショック療法を実施すること、
頻脈性不整脈が血行動態的に安定している場合、ショック療法を行わないことを含む、請求項23および24のいずれか1項に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3A】
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【図3B】
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【図4】
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【図5】
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【公表番号】特表2013−519494(P2013−519494A)
【公表日】平成25年5月30日(2013.5.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−553961(P2012−553961)
【出願日】平成23年2月15日(2011.2.15)
【国際出願番号】PCT/US2011/024845
【国際公開番号】WO2011/103071
【国際公開日】平成23年8月25日(2011.8.25)
【出願人】(505003528)カーディアック ペースメイカーズ, インコーポレイテッド (466)
【Fターム(参考)】