説明

品種切替方法

【課題】停止時間を短縮することにより製造ラインの稼動時間をより長期化し、生産量を増加することができる技術の実現。
【解決手段】樽詰機により複数の樽型容器に順次飲料を注入する製造ラインにおける、飲料及び/又は樽型容器の品種を切り替える方法であって、前記製造ラインを、少なくとも14のブロックに分割し、前記各ブロックから前品種が払い出された後、当該ブロックの品種切替を実施し、最終工程より前の工程のブロックで最終の樽型容器に検出用のマークを付属させ、前記反射マークが検出されると、当該検出されたことを報知し、所定のブロックの機器を一時停止させると共に、前記マークを取り外し、最終工程のブロックから前品種を払出す。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ビール製造ラインにおけるビールや缶の品種切替方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、樽詰機により複数の樽型容器に順次ビールを注入するビール製造ラインにおいて、例えば、ビールから発泡酒へ品種を切り替える際や19リットルから10リットル、10リットルから19リットルへ樽型容器の品種を切り替える際には、前品種全ての払出しを確認した後、次品種を導入することにより実施するのが一般的であり、切替時間は前品種払出し時間+樽詰機の切替処理時間+次品種導入時間を合計した時間で、30分から1時間を要する。
【0003】
例えば、特許文献1には、フィルム加工ラインにおいて、ラインを複数のブロックに分割することで切替時に1ブロックの完了(製品払出し)を待って切替作業に入り、全体として切替時間を短縮する技術が記載されている。
【特許文献1】特開平10−086045号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、品種切替中は、樽詰機が停止するため生産を行うことができない。このため、樽詰機の停止時間を短縮することによりビール製造ラインの稼動時間をより長期化し、生産量を増加することが必要となる。
【0005】
本発明は、上記課題に鑑みてなされ、その目的は、停止時間を短縮することにより製造ラインの稼動時間をより長期化し、生産量を増加することができる技術を実現することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述の課題を解決し、目的を達成するため、本発明に係る品種切替方法は、樽詰機により複数の樽型容器に順次飲料を注入する製造ラインにおける、飲料及び/又は樽型容器の品種を切り替える方法であって、前記製造ラインを、少なくとも14のブロックに分割し、前記各ブロックから前品種が払い出された後、当該ブロックの品種切替を実施し、最終工程より前の工程のブロックで最終の樽型容器にリング状のマークを付属させ、前記反射マークが検出されると、当該検出されたことを報知し、所定のブロックの機器を一時停止させると共に、前記マークを取り外し、最終工程のブロックから前品種を払出す。
【0007】
また、好ましくは、前記マークが前記樽型容器の上面に載置可能なリング状の反射マークである。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、停止時間を短縮することにより製造ラインの稼動時間をより長期化し、生産量を増加することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
以下に、本発明の実施の形態について、添付図面を参照して詳細に説明する。
尚、以下に説明する実施の形態は、本発明の実現手段としての一例であり、本発明は、その趣旨を逸脱しない範囲で下記実施形態を修正又は変形したものに適用可能である。
【0010】
[ビール樽詰ラインの構成]
図1は本発明に係る実施形態のビール製造ラインの構成を示す平面図である。
【0011】
本実施形態は、樽型容器にビールを注入する樽詰機により複数の樽型容器に順次飲料としてのビールを注入するビール製造ライン(樽列)において、ビール及び樽型容器の少なくともいずれかの品種を切り替える方法である。
【0012】
図1に示すように、上記ビール製造ラインは、少なくとも、樽型容器を樽詰ラインに投入する投入工程Aから樽型容器を整列させる整樽工程Bまでのブロック1と、上記整樽工程Bから樽型容器の空樽検査を行う空樽検査工程Cまでのブロック2と、上記空樽検査工程Cから樽型容器の外部を外洗機で洗浄する外洗工程手前Dまでのブロック3と、上記外洗工程手前Dから口金検査機により樽型容器の口金を検査する口金検査工程Eまでのブロック4と、上記口金検査工程Eから樽型容器の内部を内洗機で洗浄する内洗工程手前Fまでのブロック5と、樽型容器を内洗機に投入する内洗工程Gのブロック6と、上記内洗工程Gから樽詰機により樽型容器内にビールを注入する樽詰工程手前Hまでのブロック7と、樽型容器を樽詰機に投入する樽詰工程Iのブロック8と、上記樽詰工程Iから口漏検査機により樽型容器の検査を行う口漏検査工程手前Jまでのブロック9と、上記口漏検査工程Jからオートキャッパーにより樽型容器をキャッピングするキャッピング工程Kまでのブロック10と、上記キャッピング工程Kから所定数の樽型容器をパレット上に配置するパレタイザまで搬送する搬送工程途中Lまでのブロック11と、上記搬送工程途中Lからパレタイザ手前Mまでのブロック12と、上記パレタイザMから樽型容器のキャップ検査を行うキャップ検査工程Nまでのブロック13と、上記キャップ検査工程Nからパレット状の樽型容器が結束されて搬出される搬出工程Oまでのブロック14に分割される。
【0013】
図2は、本実施形態のビール製造ラインの品種切替手順を示すタイムチャートである。
【0014】
図2に示すように、上記各ブロック毎に前品種の樽型容器が払い出された後、機器に対して必要に応じて次品種への品種切替を実施し、次品種の樽型容器をラインに投入する。
【0015】
また、キャッピング工程Kで前品種の最終の樽型容器の口金部にリング状の反射マークを付属させ、反射マークが付属された最終の樽型容器がパレタイザMに到達したことを反射マーク検知センサにより検知する。反射マークが検知されると、パレタイザが一時停止し、作業者Xは、最終の樽型容器に付属された反射マークを取り外し、最終の樽型容器がキャップ検査工程Nまで到達したことを確認すると、キャップ検査工程N付近に設けられたスイッチをONして作業者Yにその旨をアラーム等で報知する。そして、最終の樽型容器がキャップ検査工程Nから搬出工程Oに進み、品種切替が完了となる。
【0016】
上記品種切替において、作業者Xは、空樽検査工程Cのブロック2において、前品種及び次品種の樽型容器の検査を行う。また、作業者Xは、キャップ検査工程Nのブロック13に移動し、最終の樽型容器に付属された反射マークを取り外し、スイッチをONする。このように、工程K〜工程Nの間の樽型容器の移動時間の無駄を省くため、作業者Xが工程Kで最終の樽型容器に反射マークを取り付け、その後、最終の樽型容器が工程Mに到達したことをセンサで検出するので、その間に工程Cにおいて次品種の空樽検査を実施できる。
【0017】
また、作業者Yは、ライン全体の運転管理や各ブロック毎の前品種の払出し、品種切替、次品種の確認作業を行うと共に、キャッピング工程Kにおいて最終の樽型容器に反射マークを取り付ける作業を行う。
【0018】
また、各ブロックの機械の品種切替が、前品種の払出し後、順次ブロック毎に実行できるため、各工程の機械の停止時間を短縮できる。
【0019】
具体的には、ブロック3(工程C〜工程D)に次品種を導入する時間を、従来(図3)と比較して3分短縮することができた。更に、ブロック8の樽詰機の切替時間を、従来と比較して15分短縮することができた。
【0020】
上記実施形態によれば、停止時間を短縮することによりビール製造ラインの稼動時間をより長期化し、生産量を増加することができる。
【0021】
具体的には、各ブロックでの停止時間を4〜6分に、樽詰機の停止時間を5分まで短縮し、年間稼動日数を250日とすると、短縮時間15分×250日=3,750分の短縮となる。これを生産日数(7時間/日)に換算すると3,750分÷(7時間×60分)=8.9日(約9日)の稼動時間の延長を図ることができる。また生産量(詰め本数:13本/分)に換算すると3750分×13本/分=48,750本に相当する。
【0022】
また、反射マークをリング状にし、かつその直径を樽型容器の外周部より小さく、口金部より大きい径にすることにより、樽型容器の上部に安定して載置できる。
【0023】
尚、製造ラインの分割ブロック数が多すぎると、各ブロックにおける前品種払出し完了から切替作業の数が多くなり、作業が煩雑となる。反対に、分割ブロック数が少なすぎると各ブロックにおける前品種払出し完了待ちの時間が長くなり、停止時間の短縮効果が上がらない。
【0024】
尚、本発明は、ビール以外の飲料やビール樽以外の容器にも適用できることは言うまでもない。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】本発明に係る実施形態のビール製造ラインの構成を示す平面図である。
【図2】本実施形態のビール製造ラインの品種切替手順を示すタイムチャートである。
【図3】従来のビール製造ラインの品種切替手順を示すタイムチャートである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
樽詰機により複数の樽型容器に順次飲料を注入する製造ラインにおける、飲料及び/又は樽型容器の品種を切り替える方法であって、
前記製造ラインを、少なくとも14のブロックに分割し、
前記各ブロックから前品種が払い出された後、当該ブロックの品種切替を実施し、
最終工程より前の工程のブロックで最終の樽型容器に検出用のマークを付属させ、
前記マークが検出されると、当該検出されたことを報知し、所定のブロックの機器を一時停止させると共に、前記マークを取り外し、最終工程のブロックから前品種を払出すことを特徴とする樽型容器の品種切替方法。
【請求項2】
前記マークが前記樽型容器の上面に載置可能なリング状の反射マークであることを特徴とする請求項1に記載の樽型容器の品種切替方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2009−26008(P2009−26008A)
【公開日】平成21年2月5日(2009.2.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−187561(P2007−187561)
【出願日】平成19年7月18日(2007.7.18)
【出願人】(000000055)アサヒビール株式会社 (535)
【Fターム(参考)】