説明

哺乳動物インターロイキン−12P40およびインターロイキンB30、その組成物、抗体、薬学的組成物における使用

【課題】哺乳動物由来のサイトカインをコードする精製された遺伝子、精製されたタンパク質、特異的抗体を含むこの遺伝子に関連する試薬、およびこの分子をコードする核酸を提供すること。
【解決手段】哺乳動物由来のサイトカインをコードする精製された遺伝子、精製されたタンパク質、特異的抗体を含むこの遺伝子に関連する試薬、およびこの分子をコードする核酸が提供される。これらの試薬を使用する方法および診断キットもまた提供される。本発明は、特に、インターロイキン−B30(IL−B30)とのIL−12p40サブユニトの組み合わせを含む組成物およびそれらの生物学的活性に関し、ポリペプチドまたは融合タンパク質の両方の核酸コードならびにそれらの産生および使用の方法を含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(発明の分野)
本発明は、哺乳動物細胞(例えば、哺乳動物免疫系の細胞)の生物学および生理機能を制御することにおいて機能するタンパク質に関連する、組成物および方法に関する。特に、本発明は、例えば、種々の細胞型(造血系細胞を含む)の、活性化、発生、分化および機能を調節するのに有用な、精製された遺伝子、タンパク質、抗体、関連試薬、および方法を提供する。
【背景技術】
【0002】
(発明の背景)
組換えDNA技術とは、一般に、ドナー供給源からの遺伝情報を、例えば、宿主への導入を介して、その後のプロセシングのためにベクター中に組み込み、それによって移入された遺伝情報が、新規な環境においてコピーおよび/または発現される、技術をいう。一般に、遺伝情報は、所望のタンパク質産物をコードするメッセンジャーRNA(mRNA)に由来する相補的DNA(cDNA)の形態において存在する。キャリアは、しばしば、宿主において後の複製のためにcDNAを組み込む能力、および、いくつかの場合において、cDNAの発現を実際に制御し、それによって宿主においてコードされる産物の合成を指向する能力を有するプラスミドである。
【0003】
ここしばらくの間、哺乳動物の免疫応答は、「免疫ネットワーク」と呼ばれる、一連の複雑な細胞相互作用に基づくことが知られている。例えば、Paul(1998)Fundamental Immunology(第4版)Raven Press,NY(非特許文献1)を参照のこと。近年の研究は、このネットワークの内部作用についての新たな洞察を提供した。この応答の多くが、実際、リンパ球、マクロファージ、顆粒球、および他の細胞のネットワーク様の相互作用を中心に動くことは明らかなままであるが、免疫学者らは、現在、一般に、リンホカイン、サイトカイン、またはモノカインとして知られる可溶性タンパク質が、これらの細胞相互作用の制御において重要な役割を果たすという意見を保持する。従って、細胞調節因子の単離、特徴付け、および作用機構にかなりの興味があり、これらを理解することは、多数の医学的異常(例えば、免疫系障害)の診断および治療において重大な進歩を導く。これらの因子のいくつかは、造血系増殖因子である(例えば、顆粒球コロニー刺激因子(G−CSF))。例えば、Thomson(編、1998)The Cytokine Handbook(第3版)Academic Press ,San Diego(非特許文献2);Mire−Sluis and Thorpe,(編、1998)Cytokines Academic Press,San Diego(非特許文献3);MetcalfおよびNicola(1995)The Hematopoietic Colony Stimulating Factors Cambridge University Press(非特許文献4);ならびにAggarwalおよびGutterman(1991)Human Cytokines Blackwell Pub(非特許文献5)を参照のこと。この免疫系の細胞によるサイトカイン発現が、免疫応答の調節に重要な役割を果たす。ほとんどのサイトカインは、多面発現性であり、そして複数の生物学的活性(抗原提示;活性化;CD4+T細胞サブセットの増殖および分化;B細胞による抗体応答;ならびに過敏症の症状の発現を含む)を有する。さらに、サイトカインは、免疫系および/または造血細胞を直接または間接的に含む変性状態または異常状態の広範な診断および治療において使用され得る。
【0004】
リンホカインは、種々の方法において、細胞活性を明らかに媒介する。これらは、多能性の造血幹細胞の増殖、成長、および/または、複合免疫系を構成する多様な細胞系統を含む膨大な数の子孫への分化を支持することを示した。細胞成分の間の適切なおよび釣合いのとれた相互作用は、健常な免疫応答のために必要である。異なる細胞系統は、リンホカインが、他の薬剤と組合わせて投与される場合、しばしば、異なる様式において応答する。
【0005】
免疫応答のために特に重要な細胞系統は、2つのクラスのリンパ球を含む:B細胞(これは免疫グロブリン(外来物質を認識し、そして結合してその除去を達成する能力を有するタンパク質)を生成および分泌し得る)、ならびに種々のサブセットのT細胞(これは、リンホカインを分泌し、そしてB細胞および免疫ネットワークを構成する種々の他の細胞(他のT細胞を含む)を誘導または抑制する)。これらのリンパ球は、他の多くの細胞型と相互作用する。
【0006】
前述から、新しいリンホカイン(例えば、G−CSFおよび/またはIL−6に関連する)の発見および開発は、免疫系および/または造血細胞を直接または間接的に含む広い範囲の変性状態または異常状態の新しい治療に貢献し得ることが明らかである。特に、公知のリンホカインの有益な活性を増強または強化するリンホカインの発見および開発が、非常に有利である。元々、新規の遺伝子IL−B30が、その推定構造に基づいて潜在的なサイトカインとして同定され、そしてIL−6およびG−CSFのような長鎖サイトカインとして分類された(国際特許出願PCT/US98/15423(WO99/05280)(特許文献1))。IL−6ならびにオンコスタチンM、白血病阻害因子(LIF)、毛様体神経栄養因子(CNTF)およびカルジオトロフィン−1(cardiothorophin−1)のような関連するサイトカインが、造血、血小板新生、急性期応答の誘導、破骨細胞形成、ニューロン分化および生存、ならびに心臓肥大に関する生物学的活性を有する。マウスにおけるIL−B30のトランスジェニック発現が、マウスにおけるIL−6の過剰発現後に観察されるのと類似の表現型(倭小、全身性炎症、不妊および死を含む)を誘導した。IL−B30は、炎症に関わる新規のサイトカインであるようである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】国際公開第99/05280号パンフレット
【非特許文献】
【0008】
【非特許文献1】Paul(1998)Fundamental Immunology(第4版)Raven Press,NY
【非特許文献2】Thomson(編、1998)The Cytokine Handbook(第3版)Academic Press ,San Diego
【非特許文献3】Mire−Sluis and Thorpe,(編、1998)Cytokines Academic Press,San Diego
【非特許文献4】MetcalfおよびNicola(1995)The Hematopoietic Colony Stimulating Factors Cambridge University Press
【非特許文献5】AggarwalおよびGutterman(1991)Human Cytokines Blackwell Pub
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するために、本発明は、例えば、以下の手段を提供する。
(項目1) 以下を含む、組成物:
a)以下の両方:
i)IL−12 p40由来の少なくとも7連続するアミノ酸の複数の別個のセグメントを含む、実質的に純粋なポリペプチド;および
ii)IL−B30由来の少なくとも7連続するアミノ酸の複数の別個のセグメントを含む、実質的に純粋なポリペプチド;
b)以下の両方:
i)IL−12 p40由来の少なくとも11連続するアミノ酸を含む、実質的に純粋なポリペプチド;および
ii)IL−B30由来の少なくとも11連続するアミノ酸を含む、実質的に純粋なポリペプチド;
c)以下の両方を含む実質的に純粋なポリペプチド:
i)IL−12 p40由来の少なくとも7連続するアミノ酸の複数の別個のセグメント;および
ii)IL−B30由来の少なくとも7連続するアミノ酸の複数の別個のセグメント;または
d)以下の両方を含む実質的に純粋なポリペプチド:
i)IL−12 p40由来の少なくとも11連続するアミノ酸のセグメント;および
ii)IL−B30由来の少なくとも11連続するアミノ酸のセグメント。
(項目2) 項目1に記載の組成物であって、
a)ここで、前記IL−12 p40由来の少なくとも7連続するアミノ酸の複数の別個のセグメントおよび前記IL−B30由来の少なくとも7連続するアミノ酸の複数の別個のセグメントが、少なくとも9連続するアミノ酸の1つのセグメントを含むか;
b)ここで、前記IL−12 p40由来の少なくとも7連続するアミノ酸の複数の別個のセグメントおよび前記IL−B30由来の少なくとも7連続するアミノ酸の複数の別個のセグメントが、両方とも、少なくとも9連続するアミノ酸であるか;
c)ここで、前記IL−12 p40由来の少なくとも11連続するアミノ酸のセグメントが、少なくとも15連続するアミノ酸であるか;
d)ここで、前記IL−B30由来の少なくとも11連続するアミノ酸のセグメントが、少なくとも15連続するアミノ酸であるか;
e)水、生理食塩水、および/または緩衝液を含む水性化合物より選択されるキャリアをさらに含むか;
f)経口投与、直腸投与、経鼻投与、局所投与、または非経口投与のために処方されるか;あるいは
g)滅菌されている、
組成物。
(項目3) 項目1に記載の組成物であって、
a)ここで、少なくとも1つの前記ポリペプチドが以下:
i)検出可能に標識されるか;
ii)組換え的に産生されるか;
iii)グリコシル化されていないか;
iv)変性されるか;
v)固体基材に結合されるか;または
vi)別の化学的部分に結合体化されるか
であるか;
b)以下:
i)実質的に純粋なIL−12 p40ポリペプチド;および
ii)実質的に純粋なIL−B30ポリペプチド
の両方を含むか;
c)IL−B30に融合されたIL−12 p40を含む、実質的に純粋なポリペプチド
を含むか;あるいは
d)IL−18、IL−12、放射線もしくは化学療法剤、免疫アジュバント、または抗ウイルス剤と組み合わされる、
組成物。
(項目4) 項目1に記載の組成物および以下:
a)前記ポリペプチドを含む区画;または
b)キット中の試薬の使用もしくは処分についての説明書、
を含む、キット。
(項目5) 以下をコードする、単離された核酸または組換え核酸:
a)以下の両方:
i)IL−12 p40由来の少なくとも7連続するアミノ酸の複数の別個のセグメントを含む、実質的に純粋なポリペプチド;および
ii)IL−B30由来の少なくとも7連続するアミノ酸の複数の別個のセグメントを含む、実質的に純粋なポリペプチド;
b)以下の両方:
i)IL−12 p40由来の少なくとも11連続するアミノ酸を含む、実質的に純粋なポリペプチド;および
ii)IL−B30由来の少なくとも11連続するアミノ酸を含む、実質的に純粋なポリペプチド;
c)以下の両方を含む実質的に純粋なポリペプチド:
i)IL−12 p40由来の少なくとも7連続するアミノ酸の複数の別個のセグメント;および
ii)IL−B30由来の少なくとも7連続するアミノ酸の複数の別個のセグメント;または
d)以下の両方を含む実質的に純粋なポリペプチド:
i)IL−12 p40由来の少なくとも11連続するアミノ酸のセグメント;および
ii)IL−B30由来の少なくとも11連続するアミノ酸のセグメント。
(項目6) 項目5に記載の単離された核酸または組換え核酸であって、
a)ここで、前記IL−12 p40由来の少なくとも7連続するアミノ酸の複数の別個のセグメントおよび前記IL−B30由来の少なくとも7連続するアミノ酸の複数の別個のセグメントが、少なくとも9連続するアミノ酸の1つのセグメントを含むか;
b)ここで、前記IL−12 p40由来の少なくとも7連続するアミノ酸の複数の別個のセグメントおよび前記IL−B30由来の少なくとも7連続するアミノ酸の複数の別個のセグメントが、両方とも、少なくとも9連続するアミノ酸であるか;
c)ここで、前記IL−12 p40由来の少なくとも11連続するアミノ酸のセグメントが、少なくとも15連続するアミノ酸であるか;
d)ここで、前記IL−B30由来の少なくとも11連続するアミノ酸のセグメントが、少なくとも15連続するアミノ酸であるか;
e)該IL−12 p40が霊長類由来であるか;
f)該IL−B30が霊長類由来であるか;
g)発現ベクターであるか;
h)複製起点をさらに含むか;
i)検出可能な標識を含むか;
j)合成ヌクレオチド配列を含むか;
k)6kb未満、好ましくは3kb未満であるか;または
l)霊長類由来である、
核酸。
(項目7) 項目6に記載の単離された核酸または組換え核酸を含む、細胞。
(項目8) 項目7に記載の細胞であって、該細胞は以下:
a)原核生物細胞;
b)真核生物細胞;
c)細菌細胞;
d)酵母細胞;
e)昆虫細胞;
f)哺乳動物細胞;
g)マウス細胞;
h)霊長類細胞;または
i)ヒト細胞、
である、細胞。
(項目9) 項目6に記載の単離された核酸または組換え核酸および以下:
a)該単離された核酸または組換え核酸を含む区画;
b)霊長類IL−12 p40ポリペプチドをさらに含む区画;もしくは
c)霊長類IL−B30ポリペプチドをさらに含む区画;または
d)キット中の試薬の使用もしくは処理についての説明書、
を含む、キット。
(項目10) a)霊長類IL−12 p40の天然の成熟コード部分に、50℃で30分間および1M未満の塩の洗浄条件下で;ならびに
b)霊長類IL−B30の天然の成熟コード部分に、50℃で30分間および1M未満の塩の洗浄条件下で、
ハイブリダイズする、核酸。
(項目11) 項目10に記載の核酸であって、ここで:
a)IL−12 p40についての前記洗浄条件が、60℃および400mM未満の塩である;
b)IL−B30についての前記洗浄条件が、60℃および400mM未満の塩である;c)該核酸が、霊長類IL−12 p40をコードする配列に、少なくとも50ヌクレオチドのストレッチにわたる同一性を示す;ならびに/または
d)該核酸が、霊長類IL−B30をコードする配列に、少なくとも50ヌクレオチドのストレッチにわたる同一性を示す、
核酸。
(項目12) 項目10に記載の核酸であって、ここで:
a)IL−12 p40についての前記洗浄条件が、65℃および150mM未満の塩である;
b)IL−B30についての前記洗浄条件が、65℃および150mM未満の塩である;c)該核酸が、霊長類IL−12 p40をコードする配列に、少なくとも90ヌクレオチドのストレッチにわたる同一性を示す;ならびに/または
d)該核酸が、霊長類IL−B30をコードする配列に、少なくとも90ヌクレオチドのストレッチにわたる同一性を示す、
核酸。
(項目13) 以下:
a)TNFαアンタゴニスト;
b)IL−12アンタゴニスト;
c)IL−10;または
d)ステロイド、
と組み合わされた、IL−12 p40/IL−B30のアンタゴニスト。
(項目14) 抗体由来の抗原結合部分を含む結合組成物であって、項目1に記載の組成物に特異的に結合するが、IL−12 p40ポリペプチド単独またはIL−B30ポリペプチド単独には結合しない、
結合組成物。
(項目15) 項目14に記載の結合組成物であって、ここで:
a)該結合組成物が容器中であるか;
b)該結合組成物がFvフラグメント、Fabフラグメント、もしくはFab2フラグメントであるか;
c)該結合組成物が別の化学的部分に結合体化されるか;または
d)前記抗体が以下:
i)項目1に記載の組成物に対して惹起されるか;
ii)免疫選択されるか;
iii)ポリクローナル抗体であるか;
iv)抗原に対して少なくとも30mMのKdを示すか;
v)ビーズまたはプラスチック膜を含む固体基材に付着されるか;
vi)滅菌した組成物中であるか;もしくは
vii)放射活性標識または蛍光標識を含む標識で、検出可能に標識されるか、
である、結合組成物。
(項目16) 項目15に記載の結合組成物および以下:
a)該結合組成物を含む区画;または
b)キット中の試薬の使用または処分についての説明書、
を含む、キット。
(項目17) 抗原:抗体複合体を産生する方法であって、適切な条件下で霊長類IL−12 p40/IL−B30組成物を項目14に記載の抗体と接触させ、これによって該複合体を形成させる工程を包含する、方法。
(項目18) 項目17に記載の方法であって、ここで:
a)前記複合体が、他のサイトカインから精製されるか;
b)該複合体が、他の抗体から精製されるか;
c)前記接触工程が、サイトカインを含むサンプルと行われるか;
d)該接触工程が、前記抗原の定量的検出を可能にするか;
e)該接触工程が、該抗体を含むサンプルと行われるか;または
f)該接触工程が、該抗体の定量的検出を可能にする、
方法。
(項目19) a)滅菌した項目14に記載の結合組成物;あるいは
b)項目14に記載の結合組成物およびキャリアであって、ここで該キャリアは:
i)水、生理食塩水、および/もしくは緩衝液を含む水性化合物である;ならびに/または
ii)経口投与、直腸投与、経鼻投与、局所投与、または非経口投与のために処方される、
キャリア、
を含む、組成物。
(項目20) 細胞または組織の生理機能または発達を調節するための医薬の製造における、項目1に記載の組成物または項目14に記載の結合組成物の使用。
(項目21) 細胞の生理機能または発達を調節するための医薬の製造における、項目1に記載の組成物の使用。
(項目22) 項目21に記載の組成物の使用であって、ここで、前記細胞は、宿主生物体にあって、そして該生物体は増強されたTh1応答を示す、使用。
(項目23) 項目22に記載の組成物の使用であって、ここで、前記Th1応答は以下:
a)抗腫瘍効果;
b)アジュバント効果;
c)抗ウイルス性効果;または
d)拮抗するアレルギー効果、
より選択される、使用。
(項目24) 宿主生物体中の細胞の生理機能または発達を調節するための医薬の製造における、項目1に記載の組成物の使用であって、該調節が、以下:
a)抗腫瘍効果;
b)アジュバント効果;
c)抗ウイルス性効果;または
d)拮抗するアレルギー効果、
を生じる、使用。
(項目25) 項目24に記載の組成物の使用であって、ここで、前記医薬が以下:a)IL−18;
b)IL−12;
c)放射線療法または化学療法;
d)免疫アジュバント;または
e)抗ウイルス性治療、
と組み合わせて使用される、使用。
(項目26) 項目20に記載の結合組成物の使用であって、ここで、前記結合組成物がIL−12レセプターサブユニットβ1に対する抗体である、使用。
(項目27) 項目20に記載の結合組成物の使用であって、ここで、前記調節が前記結合組成物を用いて行われ、そして該調節がIFNγの産生における相対的減少を生じる、使用。
(項目28) 宿主生物体中の細胞の生理機能あるいは発達を調節するための医薬の製造における結合組成物の使用であって、ここで、前記調節は以下:a)自己免疫状態;または
b)慢性炎症状態、
の回復を生じる、使用。
(項目29) a)IL−12 p40を含む霊長類IL−B30を発現する工程を包含する、該IL−B30の分泌を増加させる、方法;または
b)IL−B30を含む霊長類IL−12 p40を発現する工程を包含する、該IL−12 p40の分泌を増加させる、方法。
(項目30) 項目29に記載の方法であって、ここで:
a)前記増加が少なくとも3倍であるか;または
b)前記発現する工程が、IL−B30およびIL−12 p40をコードする組換え核酸を発現する工程である、
方法。
(項目31) 項目3に記載の組成物を結合するレセプターについてスクリーニングする方法であって、該方法は、該組成物が該レセプターに結合し得る条件下で、該レセプターを発現する細胞に該組成物を接触させ、それにより検出可能な相互作用を形成させる工程を包含する、方法。
(項目32) 項目31に記載の方法であって、ここで、前記相互作用が前記細胞中に生理学的応答を生じる、方法。
(項目33) 動物における炎症応答を調節するための医薬の製造における、以下:a)項目1に記載の組成物;または
b)項目14に記載の結合組成物、
の使用。
(項目34) 項目33に記載の使用であって、ここで:
a)項目1に記載の組成物もしくは項目14に記載の結合組成物が霊長類タンパク質であるか;
b)該項目14に記載の結合組成物が抗体であるか;または
c)該項目14に記載の結合組成物が該項目1に記載の組成物によって媒介されるシグナル伝達をブロックする抗体である、
使用。
(項目35) 項目33に記載の使用であって、ここで、前記動物が急性期の炎症応答の徴候または症状を示す、使用。
(項目36) 項目33に記載の使用であって、ここで、前記徴候または症状が皮膚組織;肺組織;胃腸組織;または肝組織に見出される、使用。
(項目37) 項目35に記載の使用であって、ここで、前記徴候または症状が皮膚組織;肺組織;胃腸組織;または肝組織に見出される、使用。
(項目38) 項目33に記載の使用であって、ここで、前記調節が好中球の血小板への成熟を加速する、使用。
(項目39) 項目33に記載の使用であって、ここで、前記調節がIgAに対する効果を有する、使用。
(項目40) 項目33に記載の使用であって、ここで、前記調節がIgGに対する効果を有する、使用。
(項目41) 項目38に記載の使用であって、前記調節が前記項目1に記載の組成物を用いる、使用。
(項目42) 項目39に記載の使用であって、前記調節が前記項目1に記載の組成物を用いる、使用。
(項目43) 項目40に記載の使用であって、前記調節が前記項目1に記載の組成物を用いる、使用。
(項目44) 項目41に記載の使用であって、ここで:
a)前記項目1に記載の組成物が哺乳動物由来であるか;または
b)前記動物が炎症状態の徴候または症状を体験する、
使用。
(項目45) 項目42に記載の使用であって、ここで:
a)前記項目1に記載の組成物が哺乳動物由来であるか;または
b)前記動物が炎症状態の徴候または症状を体験する、
使用。
(項目46) 項目43に記載の使用であって、ここで:
a)前記項目1に記載の組成物が哺乳動物由来であるか;または
b)前記動物が炎症状態の徴候または症状を体験する、
使用。
(項目47) 項目44に記載の使用であって、ここで、前記医薬が以下:
a)抗炎症性サイトカインアゴニストもしくはアンタゴニスト;
b)鎮痛薬;
c)抗炎症剤;または
d)ステロイド、
との組み合わせである、使用。
(項目48) 項目45に記載の使用であって、ここで、前記医薬が以下:
a)抗炎症性サイトカインアゴニストもしくはアンタゴニスト;
b)鎮痛薬;
c)抗炎症剤;または
d)ステロイド、
との組み合わせである、使用。
(項目49) 項目46に記載の使用であって、ここで、前記医薬が以下:
a)抗炎症性サイトカインアゴニストもしくはアンタゴニスト;
b)鎮痛薬;
c)抗炎症剤;または
d)ステロイド、
との組み合わせである、使用。
(項目50) 記憶T細胞の増殖を誘導するための医薬の製造における、項目1に記載の組成物の使用。
(発明の要旨)
本発明は、部分的に、IL−B30(これはまた、本明細書中でIL−B30タンパク質といわれる)の生理学的役割、ならびに免疫応答における役割、の発見に基づく。特に、IL−B30の役割は、炎症、感染性疾患、造血の発達、およびウイルス感染に関係する経路において、説明されている。本発明は、特に、インターロイキン−B30(IL−B30)とのIL−12 p40サブユニトの組み合わせを含む組成物およびそれらの生物学的活性に関する。これは、ポリペプチドまたは融合タンパク質の両方をコードする核酸ならびにそれらの産生および使用の方法を含む。本発明の核酸は、部分的に、本明細書中に開示される相補的DNA(cDNA)配列に対する相同性により、および/または機能的アッセイにより特徴付けられる。また、ポリペプチド、抗体、およびそれらの使用の方法(核酸発現方法を使用することを含む)も提供される。増殖因子依存性生理機能または免疫応答の制御における調節または干渉の方法が、提供される。
【0010】
本発明は、IL−12のp40サブユニットがまた、天然形態におけるIL−B30サイトカイン(以前に、例えば、USSN 08/900,905および09/122,443において記載される)ともまた関連する発見に、部分的に基づく。従って、2つのポリペプチドが一緒の同時発現は、機能的レセプター結合およびシグナル伝達を生じる。
【0011】
本発明は、以下を含む組成物を提供する:a)IL−12 p40由来の少なくとも7連続するアミノ酸の複数の別個のセグメントを含む、実質的に純粋なポリペプチドおよびIL−B30由来の少なくとも7連続するアミノ酸の複数の別個のセグメントを含む、実質的に純粋なポリペプチドの両方;b)IL−12 p40由来の少なくとも11連続するアミノ酸を含む、実質的に純粋なポリペプチドおよびIL−B30由来の少なくとも11連続するアミノ酸を含む、実質的に純粋なポリペプチドの両方;c)IL−12 p40の少なくとも7連続するアミノ酸の複数の別個のセグメントおよびIL−B30の少なくとも7連続するアミノ酸の複数の別個のセグメントの両方を含む実質的に純粋なポリペプチド;またはd)IL−12 p40の少なくとも11連続するアミノ酸のセグメントおよびIL−B30の少なくとも11連続するアミノ酸のセグメントの両方を含む実質的に純粋なポリペプチド。種々の実施形態としては、以下のような組成物が挙げられる:a)ここで上記少なくとも7連続するアミノ酸の複数の別個のセグメントが、少なくとも9連続するアミノ酸の1つのセグメントを含むか;b)ここで、上記少なくとも7連続するアミノ酸の複数の別個のセグメントが、少なくとも9連続するアミノ酸の両方であるか;c)ここで、上記IL−12 p40の少なくとも11連続するアミノ酸のセグメントが、少なくとも15連続するアミノ酸であるか;d)ここで、上記IL−B30の少なくとも11連続するアミノ酸のセグメントが、少なくとも15連続するアミノ酸であるか;e)水、生理食塩水、および/または緩衝液を含む水性化合物より選択されるキャリアをさらに含むか;f)経口投与、直腸投与、経鼻投与、局所投与、または非経口投与で処方されるか;あるいはg)これは、滅菌した組成物である、組成物。他の実施形態は、以下を含む:a)ここで、少なくとも1つの上記ポリペプチドが以下であるか:i)検出可能に標識されるか;ii)組換え的に産生されるか;iii)グリコシル化されていないか;iv)変性されるか;v)固体基材に結合されるか;またはvi)別の化学的部分に結合体化される;b)実質的に純粋なIL−12 p40ポリペプチドおよび実質的に純粋なIL−B30ポリペプチドの両方を含むか;c)IL−B30に融合されたIL−12 p40を含む、実質的に純粋なポリペプチドを含むか;あるいはd)IL−18、IL−12、放射線もしくは化学療法剤、免疫アジュバント、または抗ウイルス剤と組み合わされる。キットの実施形態としては、上記キット中に、上記のような組成物およびa)上記ポリペプチドを含む区画;またはb)試薬の使用もしくは廃棄についての説明書、を含むものが挙げられる。
【0012】
本発明の核酸組成物は、例えば、以下をコードする単離された核酸または組換え核酸を含む:a)IL−12 p40由来の少なくとも7連続するアミノ酸の複数の別個のセグメントを含む、実質的に純粋なポリペプチドおよびIL−B30由来の少なくとも7連続するアミノ酸の複数の別個のセグメントを含む、実質的に純粋なポリペプチド、の両方;b)IL−12 p40由来の少なくとも11連続するアミノ酸を含む、実質的に純粋なポリペプチドおよびIL−B30由来の少なくとも11連続するアミノ酸を含む、実質的に純粋なポリペプチド、の両方;c)IL−12 p40の少なくとも7連続するアミノ酸の複数の別個のセグメントおよびIL−B30の少なくとも7連続するアミノ酸の複数の別個のセグメントの両方を含む実質的に純粋なポリペプチド;またはd)IL−12 p40の少なくとも11連続するアミノ酸のセグメントおよびIL−B30の少なくとも11連続するアミノ酸のセグメントの両方を含む実質的に純粋なポリペプチド。種々の実施形態としては以下のような核酸を含む:a)ここで、上記少なくとも7連続するアミノ酸の複数の別個のセグメントが、少なくとも9連続するアミノ酸の1つのセグメントを含むか;b)ここで、上記少なくとも7連続するアミノ酸の複数の別個のセグメントが、少なくとも9連続するアミノ酸の両方であるか;c)ここで、上記IL−12 p40の少なくとも11連続するアミノ酸のセグメントが、少なくとも15連続するアミノ酸であるか;d)ここで、上記IL−B30の少なくとも11連続するアミノ酸のセグメントが、少なくとも15連続するアミノ酸であるか;e)ここで上記IL−12 p40が霊長類由来であるか;f)ここで、上記IL−B30が霊長類由来であるか;g)発現ベクターであるか;h)複製起点をさらに含むか;i)検出可能な標識を含むか;j)合成ヌクレオチド配列を含むか;k)6kb未満、好ましくは3kb未満であるか;またはl)霊長類由来である、核酸。また、上記組換え核酸を含む細胞が提供され、これには、上記細胞が、原核生物細胞、真核生物細胞、細菌細胞、酵母細胞、昆虫細胞、哺乳動物細胞、マウス細胞、霊長類細胞、またはヒト細胞である、細胞が挙げられる。キットの実施形態としては、上記キット中に、以下を含む実施形態が挙げられる:上記核酸および以下:a)上記核酸を含む区画;b)霊長類IL−12 p40ポリペプチドをさらに含む区画;c)霊長類IL−B30ポリペプチドをさらに含む区画;またはd)試薬の使用もしくは廃棄についての説明書を含む、キット。
【0013】
あるいは、本発明は、a)霊長類IL−12 p40の天然の成熟コード部分に、50℃で30分間および1M未満の塩の洗浄条件下で;ならびにb)霊長類IL−B30の天然の成熟コード部分に、50℃で30分間および1M未満の塩の洗浄条件下で、ハイブリダイズする、核酸を提供する。種々の実施形態としては、上記のような核酸が挙げられ、ここで:a)IL−12 p40についての上記洗浄条件が、60℃および400mM未満の塩である;b)IL−B30についての上記洗浄条件が、60℃および400mM未満の塩である;c)上記核酸が、霊長類IL−12 p40をコードする配列に、少なくとも50ヌクレオチドのストレッチにわたる同一性を示す;ならびに/またはd)上記核酸が、霊長類IL−B30をコードする配列に、少なくとも50ヌクレオチドのストレッチにわたる同一性を示す、核酸。好ましいい実施形態としては、以下のような核酸が挙げられ、ここで:a)IL−12 p40についての上記洗浄条件が、65℃および150mM未満の塩である;b)IL−B30についての上記洗浄条件が、65℃および150mM未満の塩である;c)上記核酸が、霊長類IL−12 p40をコードする配列に、少なくとも90ヌクレオチドのストレッチにわたる同一性を示す;ならびに/またはd)上記核酸が、霊長類IL−B30をコードする配列に、少なくとも90ヌクレオチドのストレッチにわたる同一性を示す、核酸。
【0014】
IL−12 p40/IL−B30組成物のアンタゴニストが、提供され、例えば、TNFαアンタゴニスト、IL−12アンタゴニスト、IL−10、またはステロイド、と組み合わされる。
【0015】
本発明はまた、例えば、抗体由来の抗原結合部位を含む結合化合物を提供し、この抗体は、特異的にIL−12 p40/IL−B30組成物に結合し;IL−12 p40ポリペプチドまたはIL−B30ポリペプチドのいずれにも結合せず、上記のように、この組成物は、a)実質的に純粋なIL−12 p40ポリペプチドおよび実質的に純粋なIL−B30ポリペプチド両方を含む、実質的に純粋なポリペプチドを含むか;またはb)IL−B30に融合されたIL−12 p40を含む、実質的に純粋なポリペプチド、を含む。他の結合化合物としては、以下のような結合化合物が挙げられる:a)上記結合化合物が容器中であるか;b)上記結合化合物がFvフラグメント、Fabフラグメント、もしくはFab2フラグメントであるか;c)上記結合化合物が別の化学的部分に結合体化されるか;またはd)上記抗体が以下:i)IL−12 p40/IL−B30組成物に対して惹起されるか;ii)免疫選択されるか;iii)ポリクローナル抗体であるか;iv)抗原に対して少なくとも30mMのKdを示すか;v)ビーズまたはプラスチック膜を含む固体基材に付着されるか;vi)滅菌した組成物中であるか;もしくはvii)放射活性標識または蛍光標識を含む、検出可能に標識されるかである、結合化合物。特定の好ましい形態としては、以下を含む組成物が挙げられる:a)上記のような、滅菌した結合化合物;あるいはb)上記結合化合物およびキャリアであって、ここで上記キャリアは:i)水、生理食塩水、および/もしくは緩衝液を含む水性化合物である;ならびに/またはii)経口投与、直腸投与、経鼻投与、局所投与、または非経口投与で処方される、組成物。さらに、キットの実施形態が提供され、これは、上記キット中に、上記結合化合物および:a)上記結合化合物を含む区画;またはb)試薬の使用または廃棄についての説明書、を含む。
【0016】
さらに、本発明は、抗原:抗体複合体を産生する方法を提供し、上記方法は、適切な条件下で霊長類IL−12 p40/IL−B30組成物を上記結合化合物と接触させ、これによって上記複合体を形成させる工程を包含する。種々の方法としては、以下が挙げられる:a)上記複合体が、他のサイトカインから精製されるか;b)上記複合体が、他の抗体から精製されるか;c)上記接触工程が、サイトカインを含むサンプルと行われるか;d)上記接触工程が、上記抗原の定量的検出を可能にするか;e)上記接触工程が、上記抗体を含むサンプルと行われるか;またはf)上記接触工程が、上記抗体の定量的検出を可能にする、方法。
【0017】
本発明はまた、細胞をIL−12 p40/IL−B30組成物またはそのアンタゴニストと接触させる工程を包含する、上記細胞または組織の生理機能または発達を調節する、方法を提供する。1つの好ましい方法は、IL−12 p40/IL−B30組成物と細胞を接触させる工程を包含し、そして上記接触工程がIFNγの産生における増加を生じる、上記細胞の生理機能または発達を調節する。代表的には、上記細胞は、宿主生物体にあって、そして上記生物体は増強されたTh1応答(例えば、抗腫瘍効果;アジュバント効果;抗ウイルス性効果;または拮抗するアレルギー効果、より選択される応答)を示す。しばしば、この接触工程は、IL−18;IL−12;放射線療法または化学療法;免疫アジュバント;または抗ウイルス性治療、と組み合わせられる。
【0018】
別の実施形態において、上記アンタゴニストは、IL−12レセプターサブユニットβ1に対する抗体である。従って、本発明はまた、上記ような方法を包含し、ここで上記接触工程は、アンタゴニストと行われ、そして上記接触工程がIFNγの産生における相対的減少を生じる。従って、本発明は、宿主生物体中の細胞の生理機能あるいは発達を調節する方法を提供し、上記方法は、上記アンタゴニストを上記生物体に投与する工程を包含し、ここで、上記接触工程は、自己免疫状態または慢性炎症状態、の回復を生じる。
【0019】
2つのサブユニットの関連の同定は、a)霊長類IL−B30の分泌を増加させる方法(このような方法は、IL−12 p40を有する上記ポリペプチドを発現する工程を包含する);またはb)霊長類IL−12 p40の分泌を増加させる方法(このような方法は、IL−B30を有する上記IL−12 p40を発現する工程を包含する)を提供する。好ましくは、a)上記増加が少なくとも3倍であるか;またはb)上記発現する工程が、IL−B30およびIL−12 p40をコードする組換え核酸を発現する工程であるかのいずれかである。
【0020】
上記IL−12 p40/IL−B30組成物を結合するレセプターについてスクリーニングする方法が提供され、記載される方法は、例えば、複合体が上記レセプターに結合し得る条件下で、上記レセプターを発現する細胞に上記複合体を接触させ、それにより検出可能な相互作用を形成させる工程を包含する。好ましくは、上記相互作用が、上記細胞中に生理学的応答を生じる。
【0021】
本発明はまた、動物における白血球の輸送または活性化を調節する方法を提供し、記載される方法は、治療的量の、哺乳動物IL−B30タンパク質のアゴニスト;または哺乳動物IL−B30タンパク質のアンタゴニストと、この動物における単球/マクロファージ系統細胞を接触させることを包含する。好ましい実施形態としては、以下が挙がられる:哺乳動物IL−B30タンパク質が霊長類タンパク質である;および/またはアンタゴニストが哺乳動物IL−B30に結合する抗体である。特定の実施形態は、以下が挙げられる:単球/マクロファージ系統細胞として、小グリア細胞または樹状細胞が挙げられるか、または動物が、炎症、白血球増殖、神経変性、または外傷後状態の兆候または症状を示す。好ましい実施形態としては、上記の兆候または症状が、肺組織;肝臓組織;神経組織;リンパ性組織;骨髄性組織;膵臓;胃腸組織;甲状腺組織;筋肉組織;あるいは皮膚組織またはコラーゲン組織である実施形態が挙げられる。
【0022】
他の方法は、上記調節が、白血球の機能を阻害し、そして/または投与がアゴニストである場合を含む。好ましくは、このアゴニストは、哺乳動物のIL−B30である。
【0023】
特定の実施形態は、動物が自己免疫;炎症状態;組織特異的自己免疫;変性自己免疫;慢性関節リウマチ;変形性関節症;アテローム硬化症;多発性硬化症;脈管炎;遅延型過敏症;皮膚移植;移植;脊髄損傷;発作;神経変性;感染疾患;虚血;癌;腫瘍;多発性骨髄腫;キャッスルマン病;閉経後の骨粗鬆症またはIL−6関連疾患の徴候または症状を経験している場合を含む。この投与は、抗炎症性サイトカインアゴニストまたはアンタゴニスト;鎮痛薬;抗炎症剤;またはステロイドと組み合わされ得る。
【0024】
種々の他の方法が提供され、ここで、調節は白血球の機能を増強し、そして/または投与はアンタゴニストである。好ましくは、アンタゴニストは、哺乳動物のIL−B30に結合する抗体;またはIL−B30レセプターに対する結合において哺乳動物IL−B30と競合するが、実質的にシグナル伝達しない哺乳動物IL−B30のムテインである。種々の実施形態において、この方法は、動物が創傷治癒または血餅形成の徴候または症状を経験している場合に適用される。この投与は、しばしば、脈管形成因子;増殖因子(FGFまたはPDGFを含む);抗生物質;または凝固因子と組み合わされる。
【0025】
最後に、本発明は、IL−B30またはそのアンタゴニストを投与することによって記憶T細胞の増殖を誘導する方法を提供する。
【発明を実施するための形態】
【0026】
(好適な実施形態の詳細な説明)
本明細書中に引用される全ての参考文献は、各々、個々の刊行物または特許出願が具体的にかつ個々に参考として援用されることを示したのと同程度まで、本明細書中に参考として援用される。
【0027】
(概略)
(I.一般)
(II.IL−12 p40/IL−B30複合体の精製)
(A.物理的特性)
(B.生物学的特性)
(III.物理的改変体)
(A.配列改変体、フラグメント)
(B.翻訳後改変体)
(1.グリコシル化)
(2.その他)
(IV.機能的改変体)
(A.アナログ、フラグメント)
(1.アゴニスト)
(2.アンタゴニスト)
(B.模倣物)
(1.タンパク質)
(2.化学物質)
(C.種改変体)
(V.抗体)
(A.ポリクローナル抗体)
(B.モノクローナル抗体)
(C.フラグメント、結合組成物)
(VI.核酸)
(A.天然の単離物;方法)
(B.合成遺伝子)
(C.単離方法)
(VII.p40/IL−B30複合体、模倣物の作製)
(A.組換え方法)
(B.合成方法)
(C.天然物の精製)
(VIII.使用)
(A.診断)
(B.治療)
(IX.キット)
(A.核酸試薬)
(B.タンパク質試薬)
(C.抗体試薬)
(X.p40/IL−B30複合体についてのレセプターの単離)。
【0028】
(I.一般)
本発明は、可溶性サイトカイン(例えば、免疫細胞または他の細胞間でシグナルを媒介し得る分泌分子)を作製するための哺乳動物タンパク質の対形成の記載および教示を提供する。例えば、Paul(1998)Fundamental Immunology(第4版)Raven Press,N.Y.を参照のこと。特定の可溶性因子は、ヘテロダイマーポリペプチド(例えば、IL−6およびIL−12)から作製される。このダイマー形態(これは、生理学的形態であるようである)およびフラグメント、またはアンタゴニストは、例えば、レセプターを発現する細胞の生理学的調節において有用である。p40/IL−B30複合体を含む機能的サイトカインは、造血細胞(例えば、T細胞、B細胞、ナチュラルキラー(NK)細胞、マクロファージ、樹状細胞、造血前駆体などのようなリンパ球を含む)に対して刺激効果または阻害効果のいずれかを有するようである。このタンパク質はまた、タンパク質上の種々のエピトープ(直鎖状エピトープまたは立体配置的エピトープの両方)に対する抗体を惹起するための抗原(例えば、免疫原)として有用である。
【0029】
IL−12 p40サブユニットが記載されている。例えば、Seilerら、米国特許第5547852号;ScottおよびTrinchieri、米国特許第5571515号;Gatelyら、米国特許第5650492号;LiesehkeおよびMulligan、米国特許第5891680号;Warneら、米国特許第5744132号;および登録番号gbM86671、gbAF133197、gbU16674、gbU83184、embY07762、embY11129.1、gbM65272、gbAF007576、gbU19841、gbU11815、gbU57752、gbAF004024、gbU49100、gbU19834、およびembX97019を参照のこと。IL−B30をコードする配列は、ヒトゲノム配列から同定された。この分子は、huIL−B30と称された。齧歯類配列(例えば、マウス由来)もまた記載された。例えば、USSN08/900,905号および同第09/122,443号を参照のこと。本発明は、これらの2つのポリペプチド(例えば、p40およびIL−B30)の組み合わせを含む組成物および両方の配列をコードする核酸構築物を含む。この組み合わせを認識する抗体もまた提供され、そしてこの2つのメッセージまたはポリペプチドを例えば、同等に生成する方法もまた提供される。
【0030】
ヒトIL−B30遺伝子は、約198アミノ酸の小さい可溶性サイトカイン様タンパク質をコードする。psortで推定されたシグナル配列は、おそらく約17残基であり、そしてMetからAlaあたりにわたる。表1ならびに配列番号1および配列番号2を参照のこと。IL−B30は、長鎖サイトカインのメンバーの構造モチーフ特性を示す。例えば、IL−B30、G−CSF、およびIL−6(GenBankから入手可能な配列)を比較のこと。USSN08/900,905および同第09/122,443号もまた参照のこと。
【0031】

【表1】



関連したサイトカインタンパク質に対するIL−B30の構造的相同性は、この分子の関連した機能を示唆する。しかし、IL−12 p40ポリペプチドとIL−B30ポリペプチドとの会合の認識は、活性p40/IL−B30ダイマーの生物学的アッセイを可能にする。IL−12 p40/IL−B30組成物は、個々のポリペプチドの各々を示す異なるポリペプチド、またはIL−12 p40とIL−B30との融合構築物のどちらかから作製され得る。観察により、このダイマーが、種々の細胞型(例えば、PBMC)によるインターフェロン−γ(IFN−γ)生成を誘導し得、このことは、ダイマーが用いられる生物学的機能を示唆する。さらに、実験により、IL−12レセプターβ1サブユニットがp40/IL−B30ダイマーについてのレセプターの成分であることが示される。
【0032】
IFNγは、殺腫瘍性活性および殺菌性活性を刺激するマクロファージを活性化する。これはまた、クラスIおよびクラスIIのMHC分子発現を調節し(単球/マクロファージおよび樹状細胞上でのクラスII分子のアップレギュレーションを含む)、そして上皮細胞、内皮細胞、および他の細胞(これらの細胞に抗原提示させ得る)上での発現を誘導する。このサイトカインは、Th1様CD4+ T細胞の発生を促進するが、Th2様T細胞の発生を阻害するTh1様サイトカインである。これは、Bリンパ球によるIL−4誘導性IgEおよびIgG4合成の強力かつ比較的特異的なインヒビターであるが、より高い濃度では、全ての抗体アイソタイプの生成を非特異的に阻害する。IFNγは、細胞内生物ならびにNK細胞およびCTLにより媒介される腫瘍に対する細胞障害性得免疫応答を増大させる。IL−12のように、IFNγは、細胞媒介性細胞障害性応答を促進する傾向を有する一方で、アレルギー性炎症およびIgE合成を阻害する。例えば、Karupiah(1997編)Gamma Interferon in Antiviral Defense Chapman&Hall;Jaffe(1992編)Anti−infective Applications of Interferon−Gamma Marcel Dekker(ISBN:0824786882);Sutterwalaら(1999)J.Leukoc.Biol.65:543−551;Billiauら(1998)Ann.NY Acad.Sci.856:22−32;およびGessaniら(1998)Cytokine Growth Factor Rev.9:117−123。
【0033】
IL−B30アゴニスト、またはアンタゴニストはまた、機能的アンタゴニストまたはレセプターアンタゴニスト(例えば、これらは、それらそれぞれのレセプターに対するIL−6もしくはIL−12結合または反対の作用の媒介をブロックする)として作用し得る。従って、IL−B30またはそのアンタゴニストは、異常な医学的状態(例えば、T細胞免疫欠損、慢性炎症、または組織拒絶のような免疫障害を含む)の処置において、または心血管状態または神経生理学的状態において有用であり得る。アゴニストは、細胞媒介性免疫を増強する治療的状況において(例えば、抗腫瘍、アジュバント、および抗ウイルス状況において)またはアレルギー性応答を拮抗するために使用されるようである。アンタゴニストは、このような増強された免疫をブロックする状況において(例えば、自己免疫疾患または慢性炎症状態に対する細胞の寄与において)使用されるようである。
【0034】
天然の抗原は、標的細胞において生物学的応答または生理学的応答を導く種々の生化学的応答を媒介し得る。好ましい実施形態は、ヒト由来であるが、他の霊長類、または他の種の対応物は、天然に存在する。他の哺乳動物種(例えば、霊長類、イヌ、ネコおよび齧歯類)におけるさらなるタンパク質配列もまた利用可能であるはずである。
【0035】
特に、IL−12 p40サブユニットとIL−B30との会合が確認されている。IL−12 p40およびIL−B30分子は、ともに進化しているはずである。この2つが機能的に会合する場合、それらは、IL−12の様式でともに作用し得る。例えば、Trinchieri(1998)Adv.Immunol.70:83−243;Gatelyら(1998)Ann.Rev.Immunol.16:495−521;およびTrinchieri(1998)Int.Rev.Immunol.16:365−396を参照のこと。
【0036】
しかし、複合体として、この複合体は、サイトカインレセプターファミリーにおいて2つの高いシグナル伝達レセプターと相互作用することが予測される。このことは、IL−12レセプターサブユニットβ1の場合に確認された。他の関連レセプターは、可溶性複合体に対する結合について試験され得る。シグナル伝達し得る種々のこれらの高いレセプターを安定に発現する一連の細胞(例えば、BAF/3)を構築した。
【0037】
同じ細胞におけるIL−12およびIL−B30両方のトランスフェクタント(または1つの組み合わせ構築物)の上清を用いて、増殖シグナル伝達応答または他のシグナル伝達応答が存在するか否かを確認するために、これらの種々の細胞を試験した。このように、サイトカインの生理学的効果の大部分は、タンパク質の複合体に起因し得る。このように、サイトカインから生じる生物学の以下の説明の多くは、実際に、サブユニットの組み合わせを含む複合体により生理学的にもたらされ得る。
【0038】
以下の記載はまた、IL−12 p40/IL−B30複合体に適用され得る。IL−12 p40サブユニットとIL−B30との融合物を構築した(例えば、ハイパーIL−6(hyper IL−6))。例えば、Fischerら(1997)Nature Biotechnol.15:142−145;Rakemannら(1999)J.Biol.Chem.274:1257−1266;およびPetersら(1998)J.Immunol.161:3575−3581;これらは、本明細書中に参考として援用される。さらに、サイトカイン複合体とIL−12レセプターサブユニットβ1を含むレセプターとの適合は、サイトカイン複合体のレセプターアンタゴニストとして、そのサブユニットに対する抗体の同定を可能にする。
【0039】
(II.p40/IL−B30複合体の精製)
ヒトIL−B30アミノ酸配列は、配列番号2の中の1つの実施形態として示される。このタンパク質をコードする他の天然に存在する核酸は、提供された配列を用いて標準的な手順(例えば、PCR技術、すなわち、ハイブリダイゼーションにより)により単離され得る。これらのアミノ酸配列(アミノからカルボキシまで提供される)は、このタンパク質抗原を他のタンパク質から区別し、そして多くの改変体を例示することを可能にするサイトカインサブユニットについての配列情報を提供することにおいて重要である。さらに、このペプチド配列は、セグメントを認識する抗体を生成するためのペプチドの調製を可能にし、そしてヌクレオチド配列は、オリゴヌクレオチドプローブの調製を可能にする。これらの両方は、このような配列をコードする遺伝子の検出または単離(例えば、クローニング)のためのストラテジーである。
【0040】
本明細書中で用いられる場合、用語「ヒト可溶性IL−B30」とは、タンパク質の状況で用いられる場合、配列番号2に由来する可溶性ポリペプチドに対応するアミノ酸配列を有するタンパク質を含む。それらの重要なフラグメントは、しばしば、類似の機能(例えば、抗原性)を保持する。好ましい実施形態は、複数の異なる(例えば、重複しない)特定の長さのセグメントを含む。代表的には、複数とは、少なくとも2、より通常には、少なくとも3、そして好ましくは、5、7、またはそれ以上ですらある。最小限の長さが記載されるが、種々のサイズのより長い長さは、適切であり得る(例えば、長さ7のうちの1および長さ12のうちの2)。類似の特徴は、IL−12 p40ポリペプチドに適用し、そしていずれかまたは両方のポリヌクレオチドに適用する。
【0041】
結合成分(例えば、抗体)は、代表的には、IL−12 p40/IL−B30複合体に高親和性(少なくとも約100nM、通常には、約30nMより良好、好ましくは、約10nMより良好、およびより好ましくは、約3nMより良好)で結合する。対応タンパク質複合体は、ヒト以外の哺乳動物種(例えば、他の霊長類、有蹄類または齧歯類)において見出される。非哺乳動物種はまた、構造的にまたは機能的に関連する遺伝子およびタンパク質を有するはずである(例えば、鳥類または両生類)。
【0042】
本明細書中で使用される場合、用語「ポリペプチド」は、重要なフラグメントまたはセグメントを含み、そして少なくとも約8アミノ酸、一般には、少なくとも約12アミノ酸、代表的には、少なくとも約16アミノ酸、好ましくは少なくとも約20アミノ酸、および特に好ましい実施形態において、少なくとも約30以上のアミノ酸(例えば、35、40、45、50など)のアミノ酸残基のストレッチを含む。このようなフラグメントは、IL−B30またはIL−12 p40サブユニットいずれかについての全ての実際の組み合わせにおいて実質的に全ての位置で始まり、そして/または終わる(例えば、残基1、2、3などで始まり、そして例えば、175、174、173などで終わる)末端を有し得る。特に目的のペプチドは、構造ドメイン境界(例えば、IL−B30のヘリックスA、B、C、および/もしくはD、またはIL−12 p40のIgドメイン)に対応する末端を有する。以下を参照のこと。
【0043】
用語「結合組成物」とは、個々の成分単独ではなく、IL−12 p40/IL−B30複合体に特異的に結合する(例えば、抗体−抗原相互作用において)分子をいう。この特異性は、多かれ少なかれ、特定の実施形態(または関連する実施形態の群(例えば、霊長類、齧歯類など)に)に特異的であることを含む。枯渇または吸収は、例えば、いずれかのポリペプチド成分に単独で結合する抗体を枯渇させるために、所望の選択性を提供し得る。化合物(例えば、天然の生理学機能に関連する、共有結合または非共有結合いずれかのタンパク質−タンパク質相互作用を含む、IL−12 p40/IL−B30複合体と特異的に会合するタンパク質)もまた提供される。この分子は、ポリマーまたは化学試薬であり得る。機能的アナログは、構造改変を有するタンパク質であってもよいし、適切な結合決定基と相互作用する分子形状を有する分子であってもよい。この化合物は、レセプター結合相互作用のアゴニストまたはアンタゴニストとして働き得る。例えば、Goodmanら(編)、Goodman&Gilman’s:The Pharmacological Bases of Therapeutics(最新版)Pergamon Pressを参照のこと。
【0044】
例えば、タンパク質の状況において、実質的に純粋とは、代表的には、このタンパク質が、最初の供給源生物に由来する他の夾雑タンパク質、核酸、または他の生物学的物質を含まないことを意味する。純度は、標準的な方法により(代表的には、重量により)アッセイされ得、そして通常、少なくとも約40%純粋、一般には、少なくとも約50%純粋、しばしば、少なくとも約60%純粋、代表的には、少なくとも約80%純粋、好ましくは、少なくとも約90%純粋、および最も好ましい実施形態において、少なくとも約95%純粋である。キャリアまたは賦形剤がしばしば添加される。実質的に純粋なIL−12 p40およびIL−B30を含む組成物は、この2つのポリペプチドの複合体と天然には会合しない、多量の外来のポリペプチドを有さない。
【0045】
ポリペプチドまたはフラグメントの可溶性は、環境およびポリペプチドに依存する。多くのパラメーターは、ポリペプチドの可溶性(温度を含む)、電解質環境、ポリペプチドのサイズおよび分子特性、ならびに溶媒の性質に影響する。代表的には、このポリペプチドが使用される温度は、約4℃〜約65℃の範囲である。通常には、使用時の温度は、約18℃より高い。診断目的では、この温度は、通常、ほぼ室温または室温より高いが、このアッセイにおける成分の変性温度より低い。治療目的では、この温度は、通常体温であり、代表的には、ヒトおよびマウスに関しては約37℃であるが、特定の状況下では、この温度は、インサイチュまたはインビボで上昇されるか、または低下され得る。
【0046】
このポリペプチドの大きさおよび構造は、一般的に、実質的に安定な状態で存在し、そして通常は、変性状態ではない。このポリペプチドは、例えば、可溶性を与えるために、四次構造において他のポリペプチドと結合し得るか、または脂質または界面活性剤と結合し得る。特に、この2つのポリペプチドの結合で構成された複合体は、融合組成物のように好ましい。
【0047】
溶媒および電解質は、通常、生物学的活性の維持のために使用される種類の、生物学的に適合する緩衝液であり、そして生理学的な水性溶媒に通常は近い。通常、この溶媒は、中性pH、代表的には、約5と10との間を有し、好ましくは約7.5を有する。いくつかの場合において、1つ以上の界面活性剤(代表的には、タンパク質の構造または生理学的特徴の有意な破壊を避けるために、弱い非変性界面活性剤(例えば、CHS(コレステリルヘミスクシネート)またはCHAPS(3−[3−コラミドプロピル)ジメチルアンモニオ]−1−プロパンスルホネート))、あるいは十分に低濃度)が添加される。他の例において、強力な界面活性剤が、十分な変性をもたらすのに使用され得る。
【0048】
抗体(例えば、ポリクローナル抗体)と特異的に結合するか、または抗体と特異的に免疫反応するIL−B30ポリペプチドは、定義された免疫原に対して生成される。例えば、配列番号2のアミノ酸配列またはそのフラグメントあるいは配列番号1の核酸から生成されるポリペプチドからなる免疫原は、代表的には、免疫アッセイにおいて決定される。本明細書中で構造的および機能的に定義されるような原型的なIL−B30ポリペプチドに対して生成されるポリクローナル抗体に選択的に結合するポリペプチドをコードする、本明細書中に記載されるそれらの核酸配列(機能的改変体を含む)は、本発明の境界内に含まれる。免疫アッセイは代表的に、例えば、配列番号2のタンパク質を含む複合体に対して惹起されるポリクローナル抗血清を使用する。この抗血清は、適切な他の密接に関連した(好ましくは、同一種由来)ファミリーメンバーに対して低い交差反応性を有するように選択、または枯渇され、そして任意のこのような交差反応性は、免疫吸着または枯渇によって除去され、その後、免疫アッセイにおいて使用される。特に、IL−12 p40ポリペプチドまたはIL−B30ポリペプチド単独に結合する抗体は、免疫枯渇のための標的である。適切な選択的血清調製物は、単離され、そして特徴付けられ得る。
【0049】
免疫アッセイにおいて使用するための抗血清を産生するために、タンパク質、例えば、配列番号2のタンパク質を含む複合体(compls)は、本明細書中に記載の通りに単離される。例えば、組換えタンパク質は、哺乳動物細胞株において産生され得る。適切な宿主(例えば、マウスの近交系(例えば、Balb/c))を、標準的なアジュバント(例えば、フロイントアジュバント)および標準的なマウス免疫化プロトコル(HarlowおよびLaneを参照のこと)を使用して配列番号2のタンパク質を含む複合体で免疫する。あるいは、本明細書中に開示された配列由来の実質的に全長の合成ペプチド構築物は、免疫原として使用され得る。ポリクローナル血清を収集し、そして適切な枯渇または選択と共に免疫アッセイ(例えば、固体支持体上に固定された免疫原を用いる固相免疫アッセイ)において免疫原タンパク質に対する力価を測定する。10以上の力価を有するポリクローナル抗血清を選択し、そして他の密接に関連したファミリーメンバー(例えば、LIF、CT−1、CNTF、またはIL−6ファミリーの他のメンバー)に対するそれらの交差反応性についてHarlowおよびLane(前出、570〜573頁)に記載のアッセイのように競合結合免疫アッセイを使用して試験する。好ましくは、少なくとも2つの個々のIL−6/IL−12ファミリーメンバーは、この標的と共にこの測定において使用される。これらの長鎖のサイトカインファミリーメンバーは、組換えタンパク質として産生され得、そして本明細書中に記載の標準的な分子生物学およびタンパク質化学技術を使用して単離され得る。従って、IL−12 p40/IL−B30ファミリーメンバーのサブセットについて所望の選択性または特異性を有する抗体調製物が同定または産生され得る。あるいは、IL−12 p40およびIL−B30を含む複合体の融合ポリペプチド形態に結合する抗体が、調製され得る。
【0050】
競合結合形式における免疫アッセイは、交差反応性決定のために使用され得る。例えば、融合タンパク質は、固体支持体に固定され得る。このアッセイに添加されたタンパク質は、固定化抗原に対する選択的抗血清の結合と競合する。上記タンパク質の固定化タンパク質に対する選択的抗血清の結合と競合する能力は、融合タンパク質と比較される。上記タンパク質についての交差反応性パーセントを、標準的な計算を用いて算定する。上記に列挙したタンパク質の各々と10%未満の交差反応性を有する抗血清を選択およびプールする。次いで、交差反応する選択的抗体を、上記に列挙したタンパク質を用いる免疫吸着によってプールした抗血清から除去する。
【0051】
次いで、免疫吸着およびプールした抗血清を、上記の競合結合免疫アッセイにおいて使用し、第2のタンパク質を免疫原融合タンパク質と比較する。この比較を行うために、2つのタンパク質は、各々、広範な濃度でアッセイされ、そして固定化融合タンパク質に対する選択的抗血清の結合の50%を阻害するのに必要な各々のタンパク質量が決定される。必要とされる第2のタンパク質量が、必要とされる融合タンパク質量の2倍未満である場合、この第2のタンパク質は、免疫原に対して生成された選択的抗体に特異的に結合すると言われる。
【0052】
(III.物理的な改変体)
本発明はまた、IL−12 p40/IL−B30抗原のアミノ酸配列と実質的なアミノ酸配列同一性を有するタンパク質またはペプチドを含む複合体を包含する。改変体としては、種改変体、多型性改変体、または対立遺伝子改変体が挙げられる。
【0053】
アミノ酸配列相同性または配列同一性は、残基の一致を最適化することによって、もし必要であるなら、必要に応じてギャップを導入することによって決定される。例えば、Needlehamら、(1970)J.Mol.Biol.48:443−453;Sankoffら、(1983)第1章、Time Warps,String Edits,およびMacromolecules:The Theory and Practice of Sequence Comparison,Addison−Wesley,Reading,MA;およびIntelliGenetics,Mountain View,CA製のソフトウェアパッケージ;ならびにthe University of Wisconsin Genetics Computer Group,Madison,WIをまた参照のこと。配列同一性は、一致する保存的置換を考慮する場合、変化する。保存的置換としては、代表的に、以下の群内の置換が挙げられる:グリシン、アラニン;バリン、イソロイシン、ロイシン;アスパラギン酸、グルタミン酸;アスパラギン、グルタミン;セリン、スレオニン;リシン、アルギニン;およびフェニルアラニン、チロシン。保存は、生物学的特徴、機能的特徴、または構造的特徴に適用し得る。相同なアミノ酸配列は、代表的に、タンパク質配列の天然の多型改変体または対立遺伝子改変体および種間改変体が含まれることが意図される。代表的な相同タンパク質またはペプチドは、IL−B30のアミノ酸配列と25〜100%同一性(ギャップが導入され得る場合)から50〜100%同一性(保存的置換が含まれる場合)を有する。同一性の尺度は、少なくとも約35%、一般的には少なくとも約40%、しばしば少なくとも約50%、代表的には少なくとも約60%、通常、少なくとも約70%、好ましくは少なくとも約80%、およびより好ましくは少なくとも約90%である。
【0054】
単離されたIL−12 p40またはIL−B30DNAは、ヌクレオチド置換、ヌクレオチド欠失、ヌクレオチド挿入、および短いヌクレオチドストレッチの転置によって容易に改変され得る。これらの改変は、これらの抗原、類似の生理学的活性、免疫原活性、抗原活性または他の機能的な活性を有するそれらの誘導体、またはタンパク質をコードする新規なDNA配列を生じる。これらの改変配列は、変異体抗原を産生するためか、または発現を促進するために使用され得る。発現の促進は、遺伝子増幅、転写の増加、翻訳の増加、そして他の機構が含まれ得る。「変異体IL−B30」は、上記のIL−B30の配列同一性の定義内の別のポリペプチドを包含するが、欠失、置換、または挿入のいずれかによって、天然で通常見出されるようなIL−B30のアミノ酸配列とは、異なるアミノ酸配列を有する。これは、一般的には、配列番号2の配列を有するタンパク質と有意な同一性を有するタンパク質、およびそれらの配列と種々の生物学的活性(例えば、抗原性または免疫原性)を共有するタンパク質を含み、そして好ましい実施形態において、天然の全長の開示された配列のほとんどを含む。短縮バージョンもまた有用であるが、全長配列が代表的に好ましい。同様に、天然の供給源から見出された遺伝子またはタンパク質は、代表的には最も望ましい。類似の概念が、異なるIL−B30タンパク質、特に種々の温血動物(例えば、哺乳動物および鳥類)において見出されるIL−B30タンパク質に適用される。これらの説明は、一般的に、種々のIL−B30タンパク質を包含することを意味するが、特定の霊長類の実施形態を特に議論することに限定されない。
【0055】
IL−12 p40変異誘発またはIL−B30変異誘発はまた、アミノ酸挿入またはアミノ酸欠失を作製することによって行われ得る。置換、欠失、挿入、または任意の組み合わせが、最終構築物に到達するように作製され得る。挿入としては、アミノ末端またはカルボキシ末端の融合体が挙げられる。ランダム変異誘発は、標的コドンにおいて行われ得、次いで、発現された変異体は、所望の活性についてスクリーニングされ得る。公知の配列を有するDNA内の所定の部位で置換変異体を作製する方法は、当該分野で周知である(例えば、M13プライマー変異誘発またはポリメラーゼ連鎖反応(PCR)技術による)。例えば、Sambrookら、(1989);Ausubelら、(1987および補遺);およびKunkelら、(1987)Methods in Enzymol.154:367−382を参照のこと。好ましい実施形態としては、ヌクレオチドレベルまたはアミノ酸レベルにおいて、例えば、1倍、2倍、3倍、5倍、7倍などの置換、好ましくは、保存的置換が挙げられる。好ましくは、この置換は、保存されたシステインから離れて、しばしばヘリックス構造ドメインから離れた領域内にある。このような改変体は、特定の抗体を作製するのに有用であり得、そしてしばしば、多くのまたは全ての生物学的特性を共有する。サイトカイン構造の認識は、レセプター相互作用において所望の変化をもたらすように改変され得る残基の構造および位置に関する重要な洞察を提供する。また、IL−12 p40のIL−B30タンパク質との相互作用は、相互作用する表面における相補的な構造的特徴を必要とする。構造分析は、さらに、レセプター相互作用に対する複合体形成および複合体の両方において重要な表面残基の予測を可能にする。
【0056】
本発明はまた、これらのタンパク質由来のセグメントを用いて組換えタンパク質(例えば、異種融合タンパク質)を提供する。異種融合タンパク質は、天然であり、同一の様式で通常融合されていないタンパク質またはセグメントの融合体である。類似の概念が、異種核酸配列に適用される。
【0057】
さらに、新規な構築物は、他のタンパク質由来の類似の機能的ドメインを組み合わせることから作製され得る。例えば、標的結合セグメントまたは他のセグメントが、異なる新規な融合ポリペプチドまたはフラグメント間で「交換」され得る。例えば、Cunninghamら、(1989)Science 243:1330−1336;およびO’Dowdら、(1988)J.Biol.Chem.263:15985−15992を参照のこと。
【0058】
BeaucageおよびCarruthers,(1981)Tetra.Letts.22:1859−1862によって記載されるホスホラミダイト法は、適切な合成DNAフラグメントを作製する。二本鎖フラグメントは、しばしば、相補鎖を合成し、そして適切な条件下で互いの鎖をアニーリングするか、または適切なプライマー配列と共にDNAポリメラーゼを用いて相補鎖を付加するか(例えば、PCR技術)のいずれかによって得られる。
【0059】
構造分析は、サイトカインのIL−6ファミリーに対する比較においてこの遺伝子に適用され得る。このファミリーとしては、例えば、IL−6、IL−11、IL−12、G−CSF、LIF、OSM、CNTF、およびObが挙げられる。ヒトおよびマウスIL−B30配列の、IL−6ファミリーの他のメンバーとのアラインメントは、構造的特徴の規定を可能にするはずである。特に、β−シート残基およびα−ヘリックス残基は、例えば、RASMOLプログラム(Bazanら、(1996)Nature 379:591;Lodiら、(1994)Science 263:1762−1766;SayleおよびMilner−White,(1995)TIBS 20:374−376;ならびにGronenbergら、(1991)Protein Engineering 4:263−269を参照のこと)を用いて決定され得る。例えば、Wilkinsら、(1997年版)Proteome Research:New Frontiers in Functional Genomics Springer−Verlag,NYをまた、参照のこと。置換のために好ましい残基としては、レセプターと相互作用すると推定される表面に曝露された残基が挙げられる。機能を保存するべきである他の残基は、保存的置換である。特に表面に曝露された残基から遠い位置における保存的置換である。
【0060】
(IV.機能的改変体)
IL−12 p40/IL−B30複合体に対する生理学的応答のブロックは、リガンドのそのレセプターへの結合の競合的阻害から生じ得る。レセプターの1つのサブユニットの同定は、記載されるようなさらなる特徴付け、およびこの複合体との結合および/またはシグナル伝達をブロックするサブユニットへの抗体の使用を可能にする。
【0061】
本発明のインビトロアッセイは、しばしば、単離された複合体、タンパク質、これらのタンパク質のレセプター結合セグメントを含む可溶性フラグメント、または固相基体に結合されたフラグメントを使用する。これらのアッセイはまた、セグメント変異体および改変体、またはサイトカイン変異体および改変体(例えば、IL−12 p40/IL−B30複合体アナログ)のいずれかの結合の影響の診断決定を可能にする。
【0062】
本発明はまた、例えば、サイトカイン複合体に対する中和抗体、またはレセプター結合フラグメントが、試験化合物と競合する、競合的薬物スクリーニングアッセイの使用を意図する。
【0063】
IL−12 p40/IL−B30抗原の「誘導体」としては、天然に存在する形態由来のアミノ酸配列変異体(グリコシル化改変体)、および他の化学的部分との共有結合体または凝集結合体が挙げられる。共有結合誘導体は、IL−12 p40/IL−B30複合体アミノ酸側鎖またはN末端もしくはC末端において見出される基への官能基の連結によって調製され得る(例えば、標準的手段によって)。例えば、LundbladおよびNoyes、(1988)Chemical Reagents for Protein Modification、第1〜2巻、CRC Press,Inc.,Boca Raton,FL;Hugli、(1989年版)Techniques in Protein Chemistry,Academic Press,San Diego,CA;およびWong,(1991)Chemistry of Protein Conjugation and Cross Linking,CRC Press,Boca Raton,FLを参照のこと。
【0064】
特に、例えば、ポリペプチドの合成およびプロセシング中、またはさらなるプロセシング工程においてポリペプチドのグリコシル化パターンを変更することによって作製されるグリコシル化改変体が含まれる。例えば、Elbein,(1987)Ann.Rev.Biochem.56:497−534を参照のこと。リン酸化アミノ酸残基(例えば、リン酸化チロシン、リン酸化セリン、またはリン酸化スレオニン)を含む他の小さな変更を有する同一の一次アミノ酸配列を有するペプチドのバージョンがまた、包含される。
【0065】
IL−12 p40とIL−B30との間の融合ポリペプチドがまた提供される。多くのサイトカインレセプターまたは他の表面タンパク質は、マルチマー(例えば、ホモダイマー)物質であり、そして繰り返し構築物は、タンパク質分解に対する感受性を減少することを含む種々の利点を有し得る。代表的な例は、レポーターポリペプチド(例えば、ルシフェラーゼ)の、タンパク質のセグメントまたはドメイン(例えば、レセプター結合セグメント)との融合であり、その結果、融合リガンドの存在または位置は、容易に決定され得る。例えば、Dullら、米国特許第4,859,609号を参照のこと。他の遺伝子融合パートナーとしては、細菌β−ガラクトシダーゼ、trpE、プロテインA,β−ラクタマーゼ、αアミラーゼ、アルコールデヒドロゲナーゼ、酵母α交配因子、および検出タグまたは精製タグ(例えば、His6配列のFLAG配列)が挙げられる。例えば、Godowskiら、(1988)Science 241:812−816を参照のこと。例えば、同時投与されるが、タンパク質分解されない他の治療物質との融合構築物がまた提供される。
【0066】
融合ペプチドは、代表的には、組換え核酸法または合成ペプチド法のいずれかによって作製される。核酸操作および発現のための技術は、一般的には、例えば、Sambrookら、(1989)Molecular Cloning:A Laboratory Manual(第2版)、第1〜3巻、Cold Spring Harbor Laboratory;およびAusubelら、(1993年版)Current Protocols in Molecular Biology,GreeneおよびWiley,NYに記載される。ペプチド合成のための技術は、例えば、Merrifield,(1963)J.Amer.Chem.Soc.85:2149−2156;Merrifield,(1986)Science 232:341−347;Athertonら、(1989)Solid Phase Peptide Synthesis:A Practical Approach,IRL Press,Oxford;ならびにGrant,(1992)Synthetic Peptides:A User’s Guide,W.H.Freeman,NYに記載される。リフォールディング方法は、合成タンパク質に適用可能であり得る。
【0067】
本発明はまた、アミノ酸配列またはグリコシル化におけるバリエーション以外のIL−12 p40タンパク質またはIL−B30タンパク質の誘導体の使用を包含する。このような誘導体は、化学的な部分またはタンパク質キャリアと共有結合または凝集結合を含み得る。共有結合誘導体または凝集結合誘導体は、免疫原として、免疫アッセイにおける試薬または精製法(例えば、結合パートナー(例えば、他の抗原)のアフィニティ精製のための)における試薬として有用である。IL−12 p40またはIL−B30は、抗IL−12 p40抗体もしくは抗IL−B30抗体あるいは代替の結合組成物のアッセイまたは精製において使用するために、当該分野で周知の方法によって固体支持体(例えば、ブロモシアン活性化SEPHAROSE)に共有結合することによって固定され得るか、あるいはグルタルアルデヒド架橋を有するか、有さないポリオレフィン表面上に吸着され得る。IL−12 p40、IL−B30、もしくは融合タンパク質はまた、検出可能な基(例えば、診断アッセイにおける使用のため)を用いて標識され得る。IL−12 p40/IL−B30複合体の精製は、ポリペプチドもしくは配列成分または相補的結合パートナー(例えば、レセプターの結合部分)のいずれかに対する固定化抗体によってもたらされ得る。
【0068】
本発明の可溶化IL−12 p40/IL−B30ポリペプチドまたはフラグメントは、結合に特異的な抗血清または抗体の産生のための免疫原として使用され得る。精製された抗原を使用して、天然の抗体(例えば、Fab、Fab’、F(ab)2など)の抗原結合フラグメントを包含する、モノクローナル抗体または抗原結合フラグメントをスクリーニングし得る。精製したIL−12 p40/IL−B30抗原はまた、異常な状態または特定の生理学的な状態または疾患状態を診断し得る、サイトカイン複合体の上昇したレベルの存在に応答して生成される抗体を検出するための試薬として使用され得る。本発明は、配列番号1において示されるヌクレオチド配列によってコードされるアミノ酸配列、またはこのアミノ酸配列を含むタンパク質のフラグメントに対して惹起される抗体が意図される。特に、本発明は、特定のドメイン(例えば、IL−B30のヘリックスA、B、C、またはD、あるいはIL−12 p40のIgドメイン)に対して結合親和性を有する抗体またはこのドメインに対して惹起される抗体を意図する。
【0069】
本発明は、さらなる密接に関連した種改変体の単離を意図する。サザンブロット分析およびノーザンブロット分析は、類似の遺伝実体が、他の哺乳動物において存在することを確立する。IL−B30が、種改変体(例えば、げっ歯動物、ウサギ、肉食動物、偶蹄目、奇蹄類、および霊長類)において広範囲に及んでいるようである。
【0070】
本発明はまた、構造、発現、および機能の違いおよび類似の両方を示す関連抗原の群を単離する手段を提供する。分子の多くの生理学的効果の解明は、さらに別の種またはこれらの多型改変体の単離および特徴付けにより非常に加速される。詳細には、本発明は、異なる種におけるさらなる相同的な遺伝実体を同定するための有用なプローブを提供する。
【0071】
単離された遺伝子は、IL−B30の発現を欠く細胞(例えば、対応するタンパク質を欠きかつ負のバックグラウンド活性を示す種の型または細胞のいずれか)の形質転換を可能にする。このことは、未形質転換コントロール細胞と比較する際にIL−B30の機能の分析を可能にする。
【0072】
これらの抗原を通じて媒介される種々の生理学的機能をもたらす重要な構造的要素の分析は、現代の分子生物学の標準的技術を用いて、特に、関連するクラスのメンバーを比較することで可能である。例えば、Cunninghamら、(1989)Science 243:1339−1336に記載されるホモログスキャニング変異誘発技術(homolog−scanning mutagenesis technique);およびO’Dowdら、(1988)J.Biol.Chem.263:15985−15992;およびLechleiterら、(1990)EMBO J.9:4381−4390で用いられるアプローチを参照のこと。
【0073】
細胞内機能は、レセプターシグナル伝達に恐らく関与する。しかし、タンパク質のインターナリゼーションは、特定の環境下で生じ得、そして細胞内成分とサイトカインとの間の相互作用が生じ得る。IL−B30と相互作用する成分との相互作用の特定のセグメントは、変異誘発手段または直接的生化学手段(例えば、架橋法またはアフィニティー法)により同定され得る。結晶学または他の物理的方法による構造分析もまた適用可能である。シグナル伝達の機構のさらなる調査は、アフィニティー手段によりまたは遺伝子手段(例えば、変異体の相補性分析)により単離可能であり得る関連する成分の研究を含む。
【0074】
IL−B30の発現およびコントロールのさらなる研究を探求する。抗原と関係する制御エレメントは、異なる生理学的パターン、発生パターン、組織特異的パターン、または他の発現パターンを示すはずである。上流または下流の遺伝子領域(例えば、コントロールエレメント)が目的物である。
【0075】
IL−B30抗原の構造研究は、新規の抗原(特に、分子上にアゴニスト特性またはアンタゴニスト特性を示すアナログ)の設計を導く。このことは、活性の所望のスペクトルを示す抗原を単離するために以前に記載されたスクリーニング法と組合され得る。
【0076】
(V.抗体)
抗体は、それらの天然に存在する形態およびそれらの組換え形態の両方の、種々のp40/IL−B30タンパク質のエピトープ(種改変体、多型改変体もしくは対立遺伝子改変体を含む)およびそれらのフラグメントに対して惹起され得る。さらに、抗体は、それらの活性化形態または不活性化形態(ネイティブバージョンまたは変性バージョン)のいずれかのIL−B30に対して惹起され得る。抗イディオタイプ抗体もまた意図される。
【0077】
抗体(抗原の予め決定されたフラグメントに対する、結合フラグメントおよび単鎖バージョンを含む)は、フラグメントと免疫原性タンパク質との結合体を用いる動物の免疫化により惹起され得る。モノクローナル抗体は、所望の抗体を分泌する細胞から調製される。これらの抗体は、正常IL−B30または欠損IL−B30に結合するために分泌され得るか、またはアゴニスト活性またはアンタゴニスト活性(例えば、レセプターを介する)についてスクリーニングされ得る。抗体は、例えば、レセプターに対する結合を立体的にブロックすることによる、アゴニスト性またはアンタゴニスト性であり得る。これらのモノクローナル抗体は、通常、少なくとも、約1mM、より通常は、少なくとも、約300μM、代表的には、少なくとも、約100μM、より代表的には、少なくとも30μM、好ましくは、少なくとも約10μM、およびより好ましくは、少なくとも約3μM以下のKDで結合する。
【0078】
本発明の抗体はまた、診断適用に有用であり得る。捕捉抗体または非中和抗体の場合、これらは、レセプターに対する結合を阻害することなく抗原に結合する能力についてスクリーニングされ得る。中和抗体の場合、これらは競合結合アッセイにおいて有用であり得る。これらはまた、IL−B30タンパク質またはそのレセプターを検出または定量する際に有用であり得る。例えば、Chan(1987年編)Immunology:A Practical Guide,Academic Press,Orlando,FL;PriceおよびNewman(1991年編)Principles and Practice of Immunoassay,Stockton Press,N.Y.;およびNgo(1988年編)Nonisotopic Immunoassay,Plenum Press,N.Y.を参照のこと。交叉吸収または他の試験は、特異性(固有のまたは共有された種の特異性)の種々の範囲を示す抗体を同定する。
【0079】
さらに、抗体結合フラグメントを含む、本発明の抗体は、抗原に(例えば、生物学的応答を惹起し得るレセプターに)結合しそして機能的結合を阻害する強力なアンタゴニストであり得る。これらはまた、非中和抗体として有用であり得、そして毒素または放射性核種に結合され得、その結果、抗体が抗原に結合する場合、それを(例えば、その表面上に)発現する細胞は殺傷される。さらに、これらの抗体は、リンカーの様式で直接的または間接的のいずれかで薬物または他の治療剤に結合体化され得、そして薬物標的化をもたらし得る。
【0080】
抗原フラグメントは、免疫原として用いられるポリペプチドに融合または共有結合される場合、他の物質(特に、ポリペプチド)に連結され得る。抗原およびそのフラグメントは、種々の免疫原(例えば、キーホールリンペットヘモシアニン、ウシ血清アルブミン、破傷風毒素など)に融合または共有結合され得る。ポリクローナル抗血清を調製する方法の記載については、Microbiology,Hoeber Medical Division,HarperおよびRow,1969;Landsteiner(1962)Specificity of Serological Reactions,Dover Publications,New York;Williamsら(1967)Methods in Immunology and Immunochemistry、第1巻、Academic Press,New York;およびHarlowおよびLane,(1988)Antibodies:A Laboratory Manual,CSH Press,NYを参照のこと。
【0081】
いくつかの場合では、種々の哺乳動物宿主(例えば、マウス、げっ歯類、霊長類、ヒトなど)由来のモノクローナル抗体を調製することが望ましい。このようなモノクローナル抗体を調製するための技術の記載は、例えば、Stitesら(編)Basic and Clinical Immunology(第4版)、Lange Medical Publication,Los Altos,CA,および本明細書中で引用される参考文献;HarlowおよびLane,(1988)Antibodies:A Laboratory Manual,CSH Press;Goding,(1986)Monoclonal Antibodies:Principles and Practice(第2版)、Academic Press,New York;および、特に、KohlerおよびMilstein,(1975)Nature 256:495−497(これらは、モノクローナル抗体を生成する1つの方法を考察する)に見出され得る。
【0082】
他の適切な研究は、抗原性ポリペプチドへのリンパ球のインビトロでの暴露、あるいはファージまたは類似のベクターの中の抗体のライブラリーの選択に関する。Huseら(1989)「Generation of Large Combinatorial Library of Immunoglobulin Repertoire in Phage Lambda」,Science 246:1275−1281」;およびWardら、(1989)Nature 341:544−546」を参照のこと。本発明のポリペプチドおよび抗体は、キメラ抗体またはヒト化抗体を含む、修飾を伴ってまたは伴わないで、用いられ得る。頻繁に、ポリペプチドおよび抗体は、検出可能なシグナルを提供する物質を共有的または非共有的のいずれかで結合することにより標識される。広範な種々の標識技術および結合体化技術は公知であり、そして科学文献および特許明細書の両方において広範に報告されている。適切な標識としては、放射性核種、酵素、基質、補因子、インヒビター、蛍光部分、化学発光部分、磁性粒子などが挙げられる。このような標識の使用を教示する特許としては、米国特許第3,817,837号;同第3,850,752号;同第3,939,350号;同第3,996,345号;同第4,277,437号;4,275,149号;および同第4,366,241号が挙げられる。また、組換え免疫グロブリンが生成され得る、Cabilly,米国特許第4,816,567号;Mooreら、米国特許第4,642,334号;およびQeenら、(1989年)Proc.Natl.Acad.Sci.USA86:10029−10033を参照のこと。
【0083】
本発明の抗体はまた、タンパク質を単離する際のアフィニティークロマトグラフィーのために用いられ得る。カラムは、抗体が固体支持体に連結される場合、調製され得る。例えば、Wilchekら、(1984年)Meth.Enzymol.104:3−55を参照のこと。対照的に、タンパク質は、選択的、特異的に結合する組成物を調製するための枯渇または交叉吸収のために用いられ得る。
【0084】
各IL−B30に対して惹起される抗体はまた、抗イディオタイプ抗体を惹起するために用いられる。これらは、それぞれの抗原の発現に関連する種々の免疫学的条件を検出または診断するのに有用である。
【0085】
(VI.核酸)
記載されるペプチド配列および関連試薬は、IL−12p40およびIL−B30の両方をコードするDNAクローン(例えば、天然の供給源由来)を検出、単離、または同定するのに有用である。代表的には、哺乳動物由来の遺伝子を単離するのに有用であり、そして類似の手順は、他の種(例えば、鳥および哺乳動物のような、温血動物)から遺伝子を単離するために適用される。交叉ハイブリダイゼーションは、同じ種(例えば、多型改変体)または他の種からのIL−12p40またはIL−B30の単離を可能にする。多数の異なるアプローチが、適切な核酸クローンを首尾良く単離するために利用可能である。このような遺伝子は、同時発現構築物または融合構築物の構築を可能にする。
【0086】
精製したタンパク質またはポリペプチドは、上記のような標準的な方法により抗体を生成させるために有用である。合成ペプチドまたは精製タンパク質は、モノクローナル抗体またはポリクローナル抗体を生成する免疫系に存在し得る。例えば、Coligan,(1991)Current Protocols in Immunology Wiley/Green;and Harlow and Lane,(1989)Antibodies:A Laboratory Manual,Cold Spring Harbor Pressを参照のこと。
【0087】
例えば、種結合組成物は、IL−12p40およびIL−B30の両方を発現する細胞株から作製される発現ライブラリーのスクリーニングのために用いられ得る。細胞内発現のスクリーニングは、種々の染色または免疫蛍光手順により行われ得る。結合組成物は、表面融合タンパク質を発現する細胞をアフィニティー精製または選別するために用いられ得る。
【0088】
ペプチドセグメントはまた、ライブラリーをスクリーニングするための適切なオリゴヌクレオチドを選択または同定するために用いられ得る。遺伝子コードは、スクリーニングに関するプローブとして有用な適切なオリゴヌクレオチドを選択するために用いられ得る。例えば、GenBankおよび配列番号1を参照のこと。ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)技術と組合せて、合成オリゴヌクレオチドは、ライブラリーから正確なクローンを選択する際に有用である。相補的配列はまた、プローブ、プライマー、またはアンチセンス鎖として用いられる。種々のフラグメントは、例えば、アンカーベクターもしくはポリA相補鎖のPCR技術、または他のペプチドの相補鎖DNAと相まって、特に有用であるはずである。
【0089】
本発明は、特に、記載される配列の非翻訳部位をコードする部分を欠く、対応するIL−12p40およびIL−B30ポリペプチドの生物学的に活性な複合体をコードする、単離されたDNAまたはフラグメントの使用を意図する。さらに、本発明は、生物学的に活性な融合タンパク質またはポリペプチドコードし、そして本明細書中に記載されるDNA配列と適切な条件下でハイブリダイズし得る、単離されたまたは組換えのDNAを含む。この生物学的に活性なタンパク質またはポリペプチドは、インタクトな抗原、またはフラグメントであり得、そして例えば、配列番号2に開示されるアミノ酸配列(特に、成熟した分泌ポリペプチド)を有する。さらに、本発明は、単離されたDNAもしくは組換えDNA、またはそのフラグメントの使用を含む。これは、分泌IL−12p49/IL−B30複合体に対する高い同一性を示すタンパク質をコードする。単離されたDNAは、5’および3’に隣接するそれぞれの調節配列(例えば、プロモーター、エンハンサー、ポリ−A追加シグナルなど)を有し得る。あるいは、発現は、コードセグメントを異種プロモーターに作動可能に連結させることにより(例えば、外来遺伝子の上流にプロモーターを挿入することにより)もたらされ得る。例えば、Trecoら、WO96/29411またはUSSN08/406,030を参照のこと。
【0090】
「単離された」核酸は、ネイティブ配列(例えば、リボゾーム、ポリメラーゼ、および/または本来の種に隣接するゲノム配列)を天然で伴う、他の外来の成分から実質的に分離される、核酸(例えば、RNA、DNA、または混合ポリマー)である。用語は、その天然に存在する環境から取り出されている核酸配列を採用し、そして組換えまたはクローン化DNA単離物、および化学合成アナログまたは異種系により生物学的に合成されたアナログを含む。実質的に純粋な分子は、分子の単離形態(例えば、単離された染色体とは異なる)を含む。一般に、核酸は、約50kb未満、通常約30kb未満、代表的には、約10kb未満、そして好ましくは6kb未満のベクターまたはフラグメント内にある。
【0091】
単離された核酸は、一般に、均一な組成の分子であるが、いくつかの実施形態では、わずかな不均一性を含む。この不均一性は、代表的には、所望の生物学的機能または活性に重要ではない、ポリマー末端または部分で見出される。
【0092】
「組換え」核酸は、その産生方法またはその構造のいずれかにより規定される。その産生の方法に関して(例えば、あるプロセスにより作製される産物)、プロセスは、組換え核酸技術(例えば、ヌクレオチド配列内の人為的介入を伴う(代表的には、選択または産生))の使用である。あるいは、お互いに天然では連続しない2つのフラグメントの融合物を含む配列を生成することにより作製される核酸であり得るが、これは天然の産物(例えば、天然存在する変異体)を排除することを意味する。従って、任意の合成オリゴヌクレオチドプロセスを用いて誘導される配列を含む核酸である場合、例えば、天然に存在しないベクターを用いて細胞を形質転換することにより作製した産物が含まれる。このようなことは、しばしば、同じアミノ酸または保存されたアミノ酸をコードする縮重コドンとあるコドンとを置換するように行われるが、代表的には、配列認識部位を導入するかまたは取り出すように行われる。
【0093】
あるいは、一般に利用可能な天然の形態において見出されない機能の所望の組み合わせを含む、単一の遺伝実体を生成させるための、所望の機能の核酸セグメント同士を連結することが行われる。制限酵素認識部位は、しばしば、このような人為的操作の標的であるが、他の部位特異的標的(例えば、プロモーター、DNA複製部位、調節配列、制御配列、コントロール配列、または他の有用な特性)は、設計に含まれ得る。類似の概念は、組換え(例えば、融合)ポリペプチドについても意図される。特に含まれるものは、遺伝子コードの縮重により、これらの抗原のフラグメントに類似するポリペプチド、および種々の異なる種または多型改変体由来の配列の融合物をコードする、合成核酸である。
【0094】
核酸の文脈における記載「フラグメント」は、少なくとも約17ヌクレオチド、一般に、少なくとも約22ヌクレオチド、通常は、少なくとも約29ヌクレオチド、より頻繁には、少なくとも約35ヌクレオチド、代表的には、少なくとも約41ヌクレオチド、通常は、少なくとも約47ヌクレオチド、好ましくは、少なくとも約55ヌクレオチド、の連続するセグメントであり、そして好ましい実施形態では、少なくとも約60以上のヌクレオチド(例えば、67、73、81、89、95など(100および/または1000を含む))である。
【0095】
IL−B30タンパク質をコードするDNAは、関連するまたは類似のタンパク質、ならびに異なる種由来の相同タンパク質をコードするDNAをコードする、遺伝子、mRNA、およびcDNA種を同定するのに、特に有用である。これらは、他の種(霊長類動物、げっ歯類動物、イヌ、ネコ、およびトリを含む)に相同である。種々のIL−B30タンパク質は相同であるはずであり、そして本明細書中に含まれる。しかし、これらは十分に相同である場合でさえ、この抗原に対してより離れた進化的関係を有するタンパク質が、これらの配列を用いる適切な条件下で容易に単離され得る。霊長類IL−B30タンパク質が、特に目的のタンパク質である。IL−12p40と同様に、このタンパク質は、融合構築物または組合せ組成物についての第一の標的である。
【0096】
このゲノム配列由来の組換えクローン(例えば、イントロンを含む)は、トランスジェニック細胞および生物を含む、トランスジェニック研究、および遺伝子治療に有用である。例えば、Goodnow,(1992)「Transgenic Animals」,Roitt(編)Encyclopedia of Immunology,Academic Press,San Diego,1502−1504頁;Travis,(1992)Science 256:1392−1394;Kuhnら、(1991)Science 254:707−710;Capecchi(1989)Science 244:1288;Robertson,(1987編)Teratocarcinomas and Embryonic Stem Cells:A Practical Approach,IRL Press,Oxford;およびRosenberg,(1992)J.Clinical Oncology 10:180−199を参照のこと。
【0097】
実質的相同性(例えば、同一性)は、核酸配列比較の文脈において、比較した場合にセグメントまたはその相補鎖のいずれかは、最適にアラインメントさせた場合に、適切なヌクレオチド挿入または欠失を伴って、少なくとも約50%のヌクレオチド、一般に、少なくとも約58%、通常は、少なくとも約65%、しばしば、少なくとも約71%、代表的には、少なくとも約77%、通常は、少なくとも約85%、好ましくは、少なくとも約95〜98%以上、そして特定の実施形態では、約99%と同じくらい高いか、または約99%以上のヌクレオチドと同一であることを意味する。あるいは、セグメントが選択的ハイブリダイゼーション条件下でハイブリダイズする場合に、鎖またはその相補鎖(代表的には、IL−12p40および/またはIL−B30(例えば、配列番号1)の配列を用いる)に対して、実質的相同性が存在する。代表的には、選択的ハイブリダイゼーションは、少なくとも約30ヌクレオチドのストレッチにわたり少なくとも約55%、約25ヌクレオチドのストレッチにわたり好ましくは少なくとも約75%、そして最も好ましくは、約20ヌクレオチドにわたり少なくとも約90%の同一性が存在する場合に生じる。Kanehisa,(1984)Nuc.Acids Res.12:203−213を参照のこと。記載されるように、同一性比較の長さは、より長いストレッチにわたり得、そして特定の実施形態では、少なくとも約17ヌクレオチド、通常は、少なくとも約28ヌクレオチド、代表的には、少なくとも約40ヌクレオチド、そして好ましくは、少なくとも約75〜100以上のヌクレオチドのストレッチにわたる。
【0098】
ストリンジェントな条件(ハイブリダイゼーションの文脈における相同性を参照のこと)は、塩、温度、有機溶媒、および他のパラメーター(代表的には、ハイブリダイゼーション反応で制御されるもの)のストリンジェントな組合せ条件である。ストリンジェントな温度条件は、通常、約30℃を超える温度、通常は、約37℃を超える温度、代表的には、約55℃を超える温度、より代表的には、約60℃または65℃を超える温度、および好ましくは約70℃を超える温度を含む。ストリンジェントな塩条件は、通常、約1000mM未満、通常、約400mM未満、代表的には、約250mM未満、好ましくは、約150mM未満である(100mM、50mM、または20mMでさえ含む)。しかし、パラメーターの組合せは、任意の単一のパラメーターの測定よりも、さらにより重要である。例えば、WetmurおよびDavidson,(1968)J.Mol.Biol.31:349−370を参照のこと。ストリンジェントな条件下のハイブリダイゼーションは、バックグラウンドを超えて少なくとも約2倍、好ましくは、少なくとも3〜5倍以上のバックグラウンドを与えるはずである。
【0099】
配列比較のために、代表的には1つの配列が参照配列として機能し、それに対して試験配列が比較される。配列比較アルゴリズムを使用する場合、試験配列および参照配列は、コンピューターにインプットされ、必要な場合、サブ配列座標が指定され、そして、配列アルゴリズムプログラムパラメーターが指定される。次いで配列比較アルゴリズムは、指定されたプログラムパラメーターに基づいて、参照配列と比較して、試験配列についてのパーセント配列同一性を計算する。
【0100】
比較のための最適な配列アラインメントは、例えば、SmithおよびWaterman(1981)Adv.Appl.Math.2:482の局所的相同性アルゴリズムによって、NeedlemanおよびWunsch(1970)J.Mol.Biol.48:443の相同性アラインメントアルゴリズムによって、PearsonおよびLipman(1988)Proc.Natl.Acad.USA 85:2444の類似性方法のためのサーチによって、これらのアルゴリズム(Wisconsin Genetics Software Package,Genetics Computer Group,575 Science Dr.,Madison,WIにおけるGAP、BESTFIT、FASTAおよびTFASTA)のコンピューター化された実施によってか、または、視覚的検査(例えば、一般的にはAusubelら、前出)によって、行なわれ得る。
【0101】
有用なアルゴリズムの1つの例は、PILEUPである。PILEUPは、関係およびパーセント配列同一性を示すために、進行性の、対を成すアラインメントを使用して、関連した配列の群から多数配列アラインメントを作製する。これはまた、アラインメントを作製するために使用されたクラスター形成関係を示す系図または樹状図をプロットする。PILEUPは、FengおよびDoolittle(1987)J.Mol.Evol.35:351−360の進行性アラインメント方法の単純化したものを使用する。使用される方法は、HigginsおよびSharp(1989)CABIOS 5:151−153によって記載される方法に類似している。このプログラムは、300配列をアラインメントさせることが可能で、それぞれの最大長は5,000ヌクレオチドまたは5,000アミノ酸である。多数アラインメント手順は、2つの最も類似した配列の対を成すアラインメントで始まり、2つのアラインメント配列の群を生成する。次いで、このクラスターは、次に最も関連した配列またはアラインメントされた配列のクラスターにアラインメントされる。配列の2つのクラスターは、対を成す2つの個々の配列のアラインメントの単純な伸長によってアラインメントされる。最終のアラインメントは、一連の進行性の、対を成すアラインメントによって、達成される。配列比較領域のための特定の配列およびそれらのアミノ酸またはヌクレオチド座標を指定することによって、およびプログラムパラメーターを指定することによって、このプログラムは実行される。例えば、参照配列は、以下のパラメーター:デフォルトギャップ重量(3.0)、デフォルトギャップ長重量(0.10)、および重量末端ギャップを使用して、パーセント配列同一性関係を決定するための他の試験配列と比較され得る。
【0102】
パーセント配列同一性および配列類似性を決定するのに適したアルゴリズムの別の例は、BLASTアルゴリズムである。これは、Altschulら、(1990)J.Mol.Biol.215:403−410に記載される。BLAST分析を実行するためのソフトウェアは、National Center for Biotechnology Informationを介して公に入手可能である(http:www.ncbi.nlm.nih.gov/)。このアルゴリズムは、データベース配列における同じ長さのワードを用いてアラインメントされる場合、いくつかの正の値の閾値Tに適合するかまたはそれを満足するかどちらかの照会配列における短いワード長Wを同定することによって、高スコア配列対(HSP)を最初に同定することを含む。Tは、近隣ワードスコア閾値と称される(Altschulら、前出)。これらの最初の近隣ワードヒットは、それらを含むより長いHSPを見出するためのサーチを開始するためのシードとして作用する。次いで、このワードヒットは、累積アラインメントスコアが増加し得る限り、それぞれの配列に沿って、両方向へ伸長される。以下の場合:累積アラインメントスコアが、その最大達成値から量Xだけ不足する場合;累積スコアが、1以上のネガティブスコアリング残基アラインメントの蓄積に起因して、0またはそれ以下に進む場合;またはどちらかの配列の末端に達する場合に、それぞれの方向におけるワードヒットの伸長は停止する。BLASTアルゴリズムパラメーターW、T、およびXは、アラインメントの感度およびスピードを決定する。BLASTプログラムは、11のワード長(W)、50のBLOSUM62スコアリングマトリックス(HenikoffおよびHenikoff(1989)Proc.Natl.Acad.Sci.USA 89:10915を参照のこと)アラインメント(B)、10の期待値(E)、M=5、N=4、および両方の鎖の比較をデフォルトとして使用する。
【0103】
パーセント配列同一性を計算することに加え、BLASTアルゴリズムはまた、2つの配列の間の類似性の統計学的分析を実施する(例えば、KarlinおよびAltschul(1993)Proc.Natl.Acad.Sci.USA 90:5873−5787を参照のこと)。BLASTアルゴリズムによって提供される同一性の1つの尺度は、最小合計確率(P(N))であり、これは、2つのヌクレオチド配列または2つのアミノ酸配列の間の適合が偶然に発生する確率の指標を提供する。例えば、参照核酸に対する試験核酸の比較における最小合計確率が約0.1未満、さらに好ましくは、約0.01未満、そして、最も好ましくは、約0.001未満の場合、核酸は参照配列に類似していると考えられる。
【0104】
ポリペプチドの2つの核酸配列が、実質上同一であるというさらなる指標は、以下に記載されるように、第1の核酸によってコードされるポリペプチドが、第2の核酸によってコードされるポリペプチドと免疫学的に交差反応性であるということである。従って、ポリペプチドは、代表的には実質上第2のポリペプチドに同一である(例えば、2つのペプチドが保存的な置換のみによって異なる場合)。2つの核酸配列が実質上同一であるという別の指標は、以下に記載されるように、ストリンジェントな条件下で、お互いにハイブリダイズするということである。
【0105】
他の哺乳動物種由来のIL−B30は、密接に関連した種の種間ハイブリダイゼーションによってクローニングされ得、そして、単離され得る。かすかに関連した種間の相同性は比較的低く、従って、比較的密接に関連した種のハイブリダイゼーションが得策である。あるいは、より種特異性を示さない抗体の調製は、発現クローニングアプローチにおいて有用であり得る。
【0106】
(VII.p40/IL−B30組み合わせの作製;模倣物)
IL−12 p40もしくはIL−B30またはそのフラグメントをコードするDNAは、化学合成、cDNAライブラリーのスクリーニング、または広範な種々の細胞株もしくは組織サンプルから調製されたゲノムライブラリーのスクリーニングによって獲得され得る。例えば、OkayamaおよびBerg(1982)Mol.Cell.Biol.2:161−170;GublerおよびHoffman(1983)Gene 25:263−269;ならびにGlover(1984年編)DNA Cloning:A Practical Approach,IRL Press,Oxfordを参照のこと。あるいは、本明細書中で提供される配列は、有用なPCRプライマーを提供するかまたはIL−12 p40もしくはIL−B30をコードする適切な遺伝子の合成かもしくは他の調製を可能にし;天然に存在する形態を含む。
【0107】
このDNAは、代わりに、例えば、ポリクローナル抗体またはモノクローナル抗体を産生するために;使用され得る全長IL−12 p40およびIL−B30またはフラグメントの合成のために;結合の研究のために;改変された分子の構築および発現のために;ならびに構造/機能研究のために広範な種々の細胞において発現され得る。
【0108】
本明細書中で使用される場合、ベクターは、プラスミド、ウイルス、バクテリオファージ、組み込み可能なDNAフラグメント、ならびにDNAフラグメントを宿主のゲノムに組み込み可能な他の賦形剤を含む。例えば、Pouwelsら(1985年および補遺)Cloning Vectors:A Laboratory Mannual,Elsevier,N.Y.;ならびにRodriguezら(1988年編)Vectors:A Survey of Molecular Cloning Vectors and Their Uses,Buttersworth,Boston,MAを参照のこと。
【0109】
本発明の目的のために、お互いに機能的に関連する場合、DNA配列は作動可能に連結されている。例えば、シグナルペプチドまたは分泌リーダーについてのDNAは、それが、前タンパク質として発現されるかまたは細胞膜へのポリペプチド指向またはポリペプチドの分泌に参加する場合、ポリペプチドに作動可能に連結されている。プロモーターは、それがポリペプチドの転写を制御する場合、コード配列に作動可能に連結されており;リボソーム結合部位は、翻訳可能なように配置される場合、コード配列に作動可能に連結されている。通常、作動可能に連結されるは、連続的およびリーディングフレーム中を意味するが、抑制遺伝子などの特定の遺伝エレメントは、連続的に連結されていないが、代わりに発現を制御する操作配列になおも結合されている。例えば、Rodriguezら、第10章、205〜236頁;BalbasおよびBolivar(1990)Methods in Enzymology 185:14−37;ならびにAusubelら(1993)Current Protocols in Molecular Biology,GreeneおよびWiley,NY.を参照のこと。2つのコード配列の同時発現は、本明細書中において特に興味深い。適切な発現ベクターの代表的な例としては、pCDNA1;pCD(Okayamaら(1985)Mol.Cell Biol.5:1136−1142を参照のこと);pMC1neo Poly−A(Thomasら(1987)Cell 51:503−512を参照のこと);およびpAC373またはpAC610などのバキュロウイルスベクター(Miller(1988)Ann.Rev.Microbiol.42:177−199を参照のこと)が挙げられる。
【0110】
特定のまたは規定のグリコシル化パターンを提供する系におけるIL−12p40および/またはIL−B30ポリペプチドを発現することがしばしば所望である。例えば、LuckowおよびSummers(1988)Bio/Technology 6:47−55;ならびにKaufman(1990)Meth.Enzymol.185:487−511を参照のこと。
【0111】
IL−12 p40および/もしくはIL−B30またはそのフラグメントは、細胞膜に連結されたホスファチジルイノシトール(PI)となるように操作され得るが、ホスファチジルイノシトール切断酵素(例えば、ホスファチジルイノシトールホスホリパーゼC)を用いる処置によって、膜から取り出され得る。これは、生物学的に活性な形態の抗原を放出し、そして、タンパク質化学の標準的手順による精製を可能とする。例えば、Low(1989)Biochim.Biophys.Acta 988:427−454;Tseら(1985)Science 230:1003−1008;ならびにBrunnerら(1991)J.Cell.Biol.114:1275−1283を参照のこと。
【0112】
IL−12 p40およびIL−B30は特徴付けられているため、そのフラグメントまたは誘導体は、ペプチドを合成するための慣例的なプロセスによって調製され得る。これらとしては、StewartおよびYoung(1984)Solid Phase Peptide Synthesis,PierceChemical Co.,Rockford,IL;BodanszkyおよびBodanszky(1984)The Practice of Peptide Syntesis,Springer−Verlag,New York;Bocanszky(1984)The Principles of Peptide Synthesis,Springer−Verlag,NewYork;ならびにVillafranca(1991年編)Techniques in Protein Chmistry II,Academic Press,San Diego,Caに記載されるようなプロセスを含む。
【0113】
(VIII.使用)
本発明は、本明細書中の他で記載されるような診断適用における使用を見出し得る試薬を提供する(例えば、IL−12 p40/IL−B30複合体媒介条件においてかまたは診断のためのキットの以下の記載において)。遺伝子は、法医科学において有用であり得る(例えば、ヒトとげっ歯類を区別するためかまたは差次的な発現または改変パターンを示す異なった細胞間で区別するためのマーカーとして)。提供された組成物は、例えば、インビトロアッセイ、科学的研究、および核酸、ポリペプチド、もしくは抗体の合成または製造において、有用な試薬である。
【0114】
この発明はまた、有意な商業的および/または治療的可能性を有する試薬を提供する。複合体またはそれらの個々の成分に対する結合親和性を有すると同定された化合物と共に、IL−12 p40/IL−B30複合体(天然に存在するかまたは組換えの)、そのフラグメント、それに対する抗体は、分子生物学、免疫学、または生理学の技術を教示するための試薬として有用であるべきである。適切なキットは、試薬を使用して調製される(例えば、タンパク質、抗体、クローニング方法、組織学などの産生または使用における実際の研究室演習において)。
【0115】
試薬はまた、異常な生理機能または発達に関連する状態(炎症性状態を含む)の処置において有用であり得る。これらは、相互作用する成分の存在または非存在のためのインビトロ試験において有用であり得、これは、特定の処置ストラテジーの成功に相関し得る。特に、種々の細胞の生理学的改変(例えば、造血性またはリンパ系の)は、本明細書中で提供される組成物を使用する処置のための適切な方法によって達成される。例えば、Thomson(1994年;編)The Cytokine Handbook(第2版)Academic Press,San Diego;MetcalfおよびNicola(1995)The Hematopoietic Colony Stimulating Factors Cambridge University Press;ならびにAggarwalおよびGutterman(1991)Human Cytokines Blackwell Pubを参照のこと。
【0116】
サイトカイン複合体がIFNγレベルを誘導し得るという観察は、治療可能性への有用な洞察を提供する。特に、IFNγ産生は、細胞媒介免疫の増加を生じる。例えば、Paul(1998)Fundamental Immunology(第4版)Raven Press,NY;ならびにDelvesおよびRoitt(1998年編)The Encyclopedia of Immunology Academic Press(ISBN:0122267656)を参照のこと。従って、細胞性応答の増強は、抗腫瘍活性を増強するため、ワクチン反応を増強するため(体液性および細胞性免疫の両方)、抗ウイルス効果を増強するため、そして、発達の特定の潜伏期間(window)におけるアレルギー性反応に拮抗するために、文脈において有用である。例えば、RoseおよびMackay(1998年編)The Autoimmune Diseases(第3編)Academic Press,San Diego;ならびにKay(1997年版)Allergy and Allergic Diseases,Blackwell Science,Malden MAを参照のこと。逆に、アンタゴニストは、このようなIFNγ増強を阻害するかまたは予防するために使用され得、それによって、細胞性増強の強さまたは強度を減少する。これらは、例えば、自己免疫状態(多発性硬化症もしくは乾癬など)または慢性的炎症状態(関節炎リウマチまたは炎症性腸疾患など)において有用である。例えば、Samterら(編)Immunological Diseases第1巻および第2巻、Little,Brown and Coを参照のこと。最初の結果は、p40/IL−B30の役割が、慢性炎症状態の維持においてより重要であることを示す。従って、状態の最初の発症後に、妨害物が有効であり得る。
【0117】
このような治療標的を使用して、アゴニストまたはアンタゴニストは、既存の治療法と組み合わせられ得る(例えば、炎症の他のモジュレーターと)。従って、アゴニストは、しばしば、組み合わせられる(例えば、IL−18、IL−12、放射線療法または化学療法による治療、ワクチンアジュバント、および/または抗ウイルス療法と)。あるいは、アンタゴニストは、TNFαアンタゴニスト、IL−12アンタゴニスト、IL−10および/またはステロイドと組み合わせられ得る。サイトカインのウイルス相同体もまた使用され得る。
【0118】
例えば、IL−12p40/IL−B30による異常な発現または異常なシグナル伝達に関連した疾患または障害は、アゴニストまたはアンタゴニストの標的となるべきである。新しいサイトカインは、造血細胞(例えば、リンパ細胞(これは、免疫学的応答(例えば、炎症および/または自己免疫障害)に影響する)の制御または発達における役割を果たすべきである。あるいは、血管生理学もしくは血管発達に影響するか、またはニューロンに影響し得る。状態の開始または維持と比較した治療薬の投与の時期もまた重要であり得る。特に、サイトカイン複合体は、種々の文脈において、細胞によるサイトカイン合成、増殖などを媒介する。IL−12p40/IL−B30のアンタゴニスト(天然に存在する形態または阻害抗体のムテイン改変体など)は、免疫応答(例えば、炎症性または自己免疫応答などの状態における)を阻害する選択的および強力な方法を提供し得る。例えば、Samterら(編)Immunological Disease第1巻および第2巻、Little,Brown and Coをまた参照のこと。
【0119】
治療適用のための特定の標的としては、例えば、EAEモデル(これは、多発性硬化症のモデルに有用であり得る)における肺状態(喘息および線維症の両方)、糖尿病、および腸炎症が挙げられる。例えば、喘息について、Barnesら(1998)Mol.Med.Today 4:452−458;Pauwelsら(1998)Clin.Exp.Allergy Aug.28、補遺3:1−5;Durham(1998)Clin.Exp.Allergy Jun.28、補遺2:11−16;Leung(1997)Pediatr.Res.42:559−568;Pretolaniら(1997)Res.Immunol.148:33−38;Lamkhiouedら(1996)Ann.NY Acad.Sci.796:203−208;Erbら(1996)Immunol.Cell.Biol.74:206−208;ならびにAndersonら(1994)Trends Pharmacol.Sci.15:324−332;肺繊維症について、Cokerら(1998)Eur.Respir.J.11:1218−1221;ならびにBienkowskiら(1995)Proc.Soc.Exp.Biol.Med.209:118−140;EAEモデルについて(多発性硬化症について)、PearsonおよびMcDevitt(1999)Curr.Top.Microbiol.Immunol.238:79−122;MillerおよびShevach(1998)Res.Immunol.149:753−759;HoffmanおよびKarpus(1998)Res.Immunol.149:790−794(846−847および855−860に考察される);Segal(1998)Res.Immunol.149:811−820(850−851および855−860に考察される);Liblauら(1997)Immnol.Today 18:599−604;Goldら(1997)Crit.Rev.Immnol.17:507−510;Spack(1997)Crit.Rev.Immunol.17:529−536;ならびにLoenardら(1997)Crit.Rev.Immnol.17:545−553;糖尿病について、Almawiら(1999)J.Clin.Endocrinol.Metab.84:1497−1502;Rabinovitchら(1998)Biochem.Pharmacol.55:1139−1149;ならびにRabinovitch(1998)Diabetes Metab.Rev.14:129−151;ならびに、腸/腸管の炎症状態について、Leachら(1999)Toxicol.Pathol.27:123−133;Braunら(1999)Curr.Opin.Rheumatol.11:68−74;Rugtveitら(1997)Gastroenterology 112:1493−1505;Stroberら(1997)Immunol.Today 18:61−64;ならびにFordら(1996)Semin.Pediatr.Surg.5.155−159を参照のこと。
【0120】
記憶活性化細胞のp40/IL−B30刺激は、付着分子を含む表現型変化を生じる。p40/IL−B30での刺激後、CD69Lは高度に発現され、そして、CD54は劇的に減少する。付着分子の発現におけるこれらの変化は、第1および第2のリンパ節のT/DC細胞リッチ領域に侵入する記憶細胞の調節を可能にし得る(例えば、高い内皮細静脈(HEV)を介して)。記憶細胞はまた、IL−12刺激に対して感受性となるように初回刺激される。従って、迅速なおよび高度なIFN産生が、抗原によるIL−12産生後すぐ後に続く。従って、p40/IL−B30は、応答速度を増加することによって、記憶細胞数を増加することによって、または、両方によって、記憶細胞による免疫応答を促進し得る。p40/IL−B30は、未処理の細胞に対してより効果を与えないかまたは全く与えないかで、記憶細胞について特異的な差次的な効果を有し得る。逆に、多数の慢性炎症状態において(例えば、関節炎リウマチ、慢性腸疾患、乾癬など)活性病変は、記憶CD45Rblow細胞に依存している。このように、アンタゴニストは、このような炎症性状態の慢性局面を効果的に阻害し得る。
【0121】
種々の異常な状態は、それぞれの細胞型で、ノーザンブロット分析によってIL−12 p40および/またはIL−B30 mRNAの両方を生成することが公知である。Berkow(編)The Merck Manual of Diagnosis and Therapy,Merck&Co.,Rahway,N.J.;Thornら、Harrison’s Principles of Internal Medicine,McGraw−Hill,N.Y.;ならびにWeatherallら(編)Oxford Textbook of Medicine,Oxford University Press,Oxfordを参照のこと。多数の他の医療状態および疾患は、マクロファージまたは単球による活性化を含み、そして、これらの多数が、本明細書中に提供されるアゴニストまたはアンタゴニストによる処置に反応性である。例えば、StitesおよびTerr(1991年編)Basic and Clinical Immunology Appleton and Lange,Norwalk,Connecticut;ならびにSamterら(編)、Immunological Diseases Little,Brown and Coを参照のこと。これらの問題は、本明細書中に提供される組成物を使用する予防または処置に対して影響されやすいべきである。
【0122】
IL−12 p40/IL−B30サイトカイン複合体、アンタゴニスト、抗体などは、精製され得、次いで(獣医学のまたはヒトの)患者に投与され得る。これらの試薬を、生理学的に無害の安定化剤、賦形剤または保存剤とともに、例えば、従来の薬学的に受容可能なキャリアまたは希釈剤(例えば、免疫アジュバント)中で、追加の活性または不活性成分と、治療用途のために組み合わせ得る。これらの組み合わせを滅菌濾過し、そして投与バイアル中の凍結乾燥によるような投与形態で、または安定化した水性調製物中での貯蔵に置かれ得る。本発明はまた、補体結合しない形態を含む抗体またはその結合フラグメントの使用を意図する。
【0123】
IL−12 p40/IL−B30、融合タンパク質、またはそのフラグメントを使用する薬物スクリーニングは、会合した成分の単離を含む、IL−12 p40/IL−B30機能への結合親和性またはIL−12 p40/IL−B30に対する他の関連する生物学的効果を有する化合物を同定するために実施され得る。次いで、その後の生物学的アッセイは、候補化合物が本来の刺激活性を有するかどうか、そして従って、これがサイトカイン複合体の活性をブロックするという点で、ブロッカーまたはアンタゴニストであるかどうかを決定するために利用され得る。同様に、固有の刺激活性を有する化合物は、シグナル伝達経路を活性化し得、従って、これがこのサイトカイン複合体の活性を刺激するという点で、アゴニストである。本発明は、さらに、アンタゴニストとしてのIL−12 p40、IL−B30、またはこの複合体に対するブロッキング抗体の治療的使用およびアゴニストとしてのIL−12 p40、IL−B30、またはこの複合体の刺激抗体の治療的使用を意図する。このアプローチは、他のIL−12 p40またはIL−B30の種改変体に特に有用であるはずである。
【0124】
効果的治療に必要な試薬の量は、投与手段、標的部位、患者の生理学的状態、および投与される他の製剤を含む、多くの異なる因子に依存する。従って、処置投薬量は、安全性および効率を最適にするために滴定されるべきである。代表的には、インビトロで使用される投薬量は、これらの試薬のインサイチュ投与に有用な量で有用なガイダンスを提供し得る。特定の障害の処置に有効な用量の動物試験は、ヒト投薬量の予測指標をさらに提供する。種々の考察が、例えば、Gilmanら(1990編)Goodman and Gilman’s:The Pharmacological Bases of Therapeutics(第8版)Pergamon Press;およびRemington’s Pharmaceutical Sciences(第17版)(1990)、Mack Publishing Co.,Easton,Penn.に記載される。投与方法は、例えば、経口、静脈内、腹腔内、または筋肉内投与、経皮拡散などについて、本明細書中および以下に議論される。薬学的に受容可能なキャリアには、水、生理食塩水、緩衝液、および例えば、Merck Index,Merck&Co.,Rahway,New Jerseyに記載の他の化合物が挙げられる。投与量範囲は、適切なキャリアとともに、通常は1mMより低い濃度、代表的には約10μMより低い濃度、通常は約100nMより低い濃度、好ましくは約10pM(ピコモル濃度)より低い濃度、および最も好ましくは約1fM(フェムトモル濃度)より低い濃度の量であると予測される。徐放性処方物、または徐放性装置は、しばしば、連続または長期の投与に利用される。例えば、Langer(1990)Science 249:1527−1533を参照のこと。
【0125】
IL−12 p40、IL−B30、サイトカイン複合体、融合タンパク質、そのフラグメント、およびこれらもしくはこれらのフラグメントに対する抗体、アンタゴニスト、およびアゴニストは、処置される宿主に直接投与され得るか、あるいは化合物のサイズに依存して、投与前にオボアルブミンまたは血清アルブミンのようなキャリアタンパク質にそれらを結合体化することが望ましくあり得る。治療処方物は、多くの従来の投与処方物中で投与され得る。活性成分が単独で投与されることは可能であるが、薬学的処方物としてそれを提示することが好ましい。処方物は、代表的には、その1つ以上の受容可能なキャリアとともに、上記で定義したように、少なくとも1つの活性成分を含む。各キャリアは、他の成分と適合可能であるという意味で薬学的かつ生理学的の両方で受容可能であるべきであり、そして患者に有害であってはならない。処方物は、経口投与、直腸投与、経鼻投与、局所投与または非経口(皮下、筋肉内、静脈内、および皮内を含む)投与に適切なものを含む。処方物は、便利に単位投与形態で提示され得、そして薬学の技術分野で周知の多くの方法によって調製され得る。例えば、Gilmanら(1990編)Goodman and Gilman’s:The Pharmacological Bases of Therapeutics(第8版)Pergamon Press;およびRemington’s Pharmaceutical Sciences(第17版)(1990)、Mack Publishing Co.,Easton,Penn.;Avisら(編、1993)Pharmaceutical Dosage Forms:Parenteral Medications,Dekker,New York;Liebermanら(編、1990)Pharmaceutical Dosage Forms:Tablets、Dekker,New York;およびLiebermanら(編、1990)Pharmaceutical Dosage Forms:Disperse Systems、Dekker,New Yorkを参照のこと。本発明の治療は、他の薬剤(例えば、他のサイトカイン(IL−6またはG−CSFまたは他のそれぞれのアンタゴニストを含む)と併用されるか、あるいは関連して使用され得る。
【0126】
天然に存在する形態のIL−B30および本発明の組換え形態のIL−30の両方が、タンパク質への結合活性について化合物をスクリーニングし得るキットおよびアッセイ方法に、特に有用である。自動化アッセイのいくつかの方法が、短期間で数万の化合物のスクリーニングを可能にするように、近年開発されている。例えば、Fodorら(1991)Science 251:767−773(これは、固体基材上で合成した複数の規定のポリマーによる結合親和性の試験のための手段を記載する)を参照のこと。適切なアッセイの開発は、本発明によって提供されるような大量の精製された可溶性IL−12 p40/IL−B30サイトカイン複合体の利用可能性によって、非常に容易にされ得る。
【0127】
他の方法が使用されて、IL−12 p40/IL−B30複合体−レセプター相互作用中の重要な残基を決定し得る。変異分析が実行されて(例えば、Somozaら(1993)J.Exptl.Med.178:549−558を参照のこと)、相互作用および/またはシグナル伝達において重要な特異的な残基を決定し得る。PHD(RostおよびSander(1994)Proteins 19:55−72)およびDSC(KingおよびSternberg(1996)Protein Sci.5:2298−2310)は、αヘリックス(H)、β鎖(E)、およびコイル(L)の二次構造予測を提供し得る。ヘリックスAおよびDは、レセプター相互作用において典型的に最も重要であり、Dヘリックスが、最も重要な領域である。
【0128】
例えば、一旦抗原および/またはレセプターが構造的に(例えば、三次構造データによって)定義されると、アンタゴニストが、通常見いだされ得る。潜在的な相互作用アナログを試験をすることは、現在、精製されたIL−12 p40/IL−B30複合体を使用する、高度に自動化されたアッセイ法の開発の際に可能である。特に、新しいアゴニストおよびアンタゴニストは、本明細書中に記載されるスクリーニング技法を使用することによって発見される。IL−12 p40/IL−B30分子のスペクトルについての組み合わせ結合親和性を有することが見いだされた化合物、例えば、サイトカイン複合体の種改変体に対するアンタゴニストとしてはたらき得る化合物が、特に重要である。
【0129】
薬物スクリーニングの1つの方法は、IL−12 p40/IL−B30を発現する組換えDNA分子で安定に形質転換される真核生物または原核生物宿主細胞を利用する。他の分子からの単離において、IL−12 p40/IL−B30を発現する細胞を単離し得る。このような細胞は、生存可能なまたは固定された形態のいずれかで、標準的な結合パートナー結合アッセイのために使用され得る。Parceら(1989)Science 246:243−247;およびOwickiら(1990)Proc.Natl.Acad.Sci.USA 87:4007−4011(これらは、細胞性応答を検出するための感度の高い方法を記載する)も参照のこと。
【0130】
薬物スクリーニングのための他の技法は、IL−12 p40/IL−B30に対する適切な結合親和性を有する化合物についての高い処理能力のスクリーニングを提供するアプローチを包含し、そしてGeysen,ヨーロッパ特許出願第84/03564号(1984年9月13日に公開)に詳細に記載される。最初に、多数の異なる小ペプチド試験化合物を、固体基材(例えば、プラスチックピンまたはいくつかの他の適切な表面)上で合成する。Fodorら(1991)を参照のこと。次いで、すべてのピンを、可溶化した未精製のp40/IL−B30または可溶化した精製p40/IL−B30と反応させ、そして洗浄する。次の工程は、結合したp40/IL−B30を検出する工程を包含する。
【0131】
合理的薬物設計もまた、このp40/IL−B30および他のエフェクターまたはアナログの分子形状の構造研究に基づき得る。エフェクターは、結合に応じて他の機能を媒介する他のタンパク質、または通常p40/IL−B30と相互作用する他のタンパク質(例えば、レセプター)であり得る。どの部位が特定の他のタンパク質と相互作用するかを決定するための1つの手段は、物理的構造決定(例えば、x線結晶学または2次元NMR技法)である。これらは、どのアミノ酸残基が、例えば、他のサイトカイン−レセプターモデルに対してモデルされるように分子接触領域を形成するかについてのガイダンスを提供する。タンパク質構造決定の詳細な記載については、例えば、BlundellおよびJohnson (1976) Protein Crystallography Academic Press,New Yorkを参照のこと。
【0132】
(IX.キット)
本発明はまた、別のp40/IL−B30または結合パートナーの存在を検出するための種々の診断キットおよび方法における、p40/IL−B30タンパク質、そのフラグメント、ペプチド、およびそれらの融合産物の使用を意図する。代表的には、キットは、規定のp40、p40/IL−B30、またはIL−B30のペプチドまたは遺伝子セグメント、あるいは一方もしくは他方を認識する試薬のいずれか(例えば、p40/IL−B30融合フラグメントまたは抗体)を含む区画を有する。
【0133】
IL−12 p40/IL−B30に対する試験化合物の結合親和性を決定するためのキットは、代表的に以下を含む:試験化合物;標識化合物(例えば、p40/IL−B30に対する既知の結合親和性を有する結合パートナーまたは抗体);p40/IL−B30の供給源(天然に存在するかまたは組換え);および遊離の標識化合物から結合を放すための手段(例えば、分子の固定化のための固相)。一旦化合物がスクリーニングされると、抗原に対して適切な結合親和性を有するものが、それらがアゴニストまたはアンタゴニストとしてp40/IL−B30シグナル伝達経路に作用するかどうかを決定するために、当該技術分野で周知のように、適切な生物学的アッセイで評価され得る。組換えIL−12 p40/IL−B30融合ポリペプチドの利用可能性はまた、このようなアッセイを較正するための十分定義された標準を提供する。
【0134】
例えば、試料中のp40/IL−B30の、濃度を決定するために好ましいキットは、代表的には、抗原に対する公知の結合親和性を有する標識化化合物(例えば、結合パートナーまたは抗体)、サイトカインの供給源(天然に存在するまたは組換え)、および遊離の標識された化合物から結合したものを分離するための手段(例えば、p40/IL−B30を固定するための固相)を含む。試薬を含む区画、および説明書が、通常提供される。
【0135】
p40/IL−B30またはフラグメントに特異的な抗体(抗原結合フラグメントを含む)は、p40、IL−B30、p40/IL−B30および/またはこれらのフラグメントの上昇したレベルの存在を検出するための診断適用に有用である。このような診断アッセイは、溶解物、生存細胞、固定した細胞、免疫蛍光、細胞培養物、体液、を用い得、そしてさらに、血清中の抗原に関連する抗原の検出などを包含し得る。診断アッセイは、均質(遊離の試薬と抗原−パートナー複合体との間の分離工程なし)または不均質(分離工程あり)であり得る。種々の市販のアッセイが存在し、例えば、ラジオイムノアッセイ(RIA)、酵素結合イムノソルベント検定法(ELISA)、酵素免疫検定法(EIA)、酵素増倍免疫検定法(EMIT)、基質標識蛍光イムノアッセイ(SLFIA)などである。例えば、Van Vunakisら(1980)Meth Enzymol.70:1−525;HarlowおよびLane(1980)Antibodies:A Laboratory Manual,CSH Press,NY;およびColiganら(編、1993)Current Protocols in Immunology,Greene and Wiley,NY.を参照のこと。
【0136】
抗イディオタイプ抗体は、このようなものが種々の異常状態の診断であり得る場合、p40/IL−B30に対する抗体の存在を診断するための類似の用途を有し得る。例えば、p40/IL−B30の過剰産生は、特に、癌または異常な活性化または分化のような増殖性細胞状態において、異常な生理学的状態の診断となり得る、種々の免疫学的反応の生成を生じ得る。
【0137】
頻繁には、診断アッセイのための試薬は、アッセイの感度を最適にするように、キット中に供給される。本発明については、アッセイの性質に依存して、プロトコル、および標識、標識されたまたは標識されていない抗体または結合パートナー、あるいは標識されたp40/IL−B30が提供される。これは、通常、緩衝液、安定化剤、酵素に対する基質のようなシグナル産生に必要な物質などのような、他の添加物と一緒である。好ましくは、このキットはまた、適切な使用および使用後の内容物の処理の仕方の指示書を含む。代表的には、このキットは、各有用な試薬のためのコンパートメントを有する。望ましくは、これらの試薬が、アッセイを行うための試薬の適切な濃度を提供する水性媒体中で再構成され得る場合、試薬は、乾燥した凍結乾燥した粉末として提供される。
【0138】
薬物スクリーニングおよび診断アッセイの上記の構成成分の多くは、改変なしで使用され得、あるいは種々の方法で改変され得る。例えば、標識することは、検出可能なシグナルを直接または間接的に提供する部分を共有または非共有結合することによって達成され得る。これらのアッセイの多くにおいて、結合パートナー、試験化合物、p40/IL−B30、またはこれらに対する抗体は、直接または間接的に標識され得る。直接的に標識するための可能性は、以下の標識群を包含する:125Iのような放射性標識、ペルオキシダーゼおよびアルカリホスファターゼのような酵素、および蛍光強度、波長シフト、または蛍光偏光の変化をモニタリングし得る蛍光標識(米国特許第3,940,475号)。間接的に標識するための可能性は、1つの構成成分のビオチン化、次いで上記の標識群の1つにカップリングしたアビジンへの結合によるものを含む。
【0139】
また、遊離のp40/IL−B30から結合したものを、あるいは遊離の試験化合物から結合したものを分離する多くの方法がある。p40/IL−B30は、種々のマトリクス上に固定化され得、次いで洗浄され得る。適切なマトリクスには、ELISAプレートのようなプラスチック、フィルター、およびビーズが挙げられる。例えば、Coliganら(編、1993)Current Protocols in Immunology,第1巻、第2章、Greene and Wiley,NY.を参照のこと。他の適切な分離技法には、限定することなく、Rattleら (1984) Clin. Chem. 30:1457−1461に記載のフルオレセイン抗体磁化可能粒子方法、および米国特許第4,659,678号に記載のような二重抗体磁性粒子分離方法が挙げられる。
【0140】
種々の標識へタンパク質またはそのフラグメントを連結する方法は、文献に広く報告されており、本明細書中に詳細に議論する必要はない。技法の多くは、ペプチド結合を形成するためにカルボジイミドまたは活性エステルのいずれかの使用による活性化されたカルボキシル基の使用、連結のためのクロロアセチルのような活性化ハロゲンまたはマレイミドのような活性化オレフィンとメルカプト基との反応によるチオエーテルの形成などを包含する。融合タンパク質はまた、これらの適用における使用を見いだす。
【0141】
本発明の別の診断局面は、p40/IL−B30の配列から得たオリゴヌクレオチドまたはポリヌクレオチド配列の使用を包含する。これらの配列は、異常状態、例えば、炎症または自己免疫を有する疑いのある患者からの試料においてp40またはIL−B30メッセージのレベルを検出するためのプローブとして使用され得る。サイトカインは活性化のマーカーまたはメディエーターであり得るので、これは、例えば、効果が有意になる前および効果が有意に進行する前に予防的な様式で、例えば、いつさらなる治療が必要とされ得るかを決定するために、活性化細胞の数を決定するのに有用であり得る。RNAヌクレオチド配列およびDNAヌクレオチド配列の両方の調製、その配列の標識化、およびその配列の好ましいサイズは、文献において十分な説明および議論を受け入れている。例えば、Langer−Saferら(1982)Proc.Natl..Acad.Sci.79:4381−4385;Caskey(1987)Science 236:962−967;およびWilchekら(1988)Anal.Biochem.171:1−32を参照のこと。
【0142】
他の分子の定性的または定量的存在についてもまた試験する診断キットもまた、意図される。診断または予後は、マーカーとして使用される多数の指標の組み合わせに依存し得る。従って、キットは、マーカーの組み合わせについて試験し得る。例えば、Vialletら(1989) Progress in Growth Factor Res. 1:89−97を参照のこと。他のキットが、他の細胞サブセットを評価するために使用され得る。
【0143】
(X.p40/IL−B30レセプターの単離)
特異的なリガンド−レセプター相互作用のリガンドが単離された場合、レセプターを単離するための方法が存在する。Gearingら(1989)EMBO J.8:3667−3676を参照のこと。例えば、レセプターへの結合を妨害することなくIL−B30サイトカインを標識するための手段が、決定され得る。例えば、アフィニティー標識が、リガンドのアミノ末端またはカルボキシ末端のいずれかに融合され得る。このような標識は、FLAGエピトープタグまたは例えば、IgもしくはFcドメインであり得る。発現ライブラリーは、細胞分類によってか、またはこのような結合成分を発現する亜集団を検出するための他のスクリーニングによって、サイトカインの特異的結合に関してスクリーニングされ得る。例えば、Hoら(1993)Proc.Natl.Acad.Sci.USA 90:11267−11271;およびLiuら(1994)J.Immunol.152:1821−29を参照のこと。あるいは、パニング方法が使用され得る。例えば、SeedおよびAruffo(1987)Proc.Natl.Acad.Sci.USA 84:3365−3369を参照のこと。
【0144】
標識を用いたタンパク質架橋技術が適用されて、p40/IL−B30サイトカイン複合体の結合パートナーが単離され得る。これは、例えば、リガンド−レセプター様形式でサイトカインと特異的に相互作用するタンパク質の同定を可能にする。
【0145】
初期の実験が実行されて、既知のIL−6またはG−CSFレセプター成分がp40/IL−B30に対する応答に関与するか否かが決定される。これらの機能レセプター複合体がp40/IL−B30レセプター複合体と、特異的レセプターサブユニットもしくはアクセサリーレセプターサブユニットのいずれかと、多くまたは全ての成分を共有することはまた、かなり可能性がある。
【0146】
本発明の多くの改変および変更が、本発明の精神および範囲から逸脱することなくなされ得、同様に当業者に明らかである。本明細書中に記載される特定の実施形態は、例示目的のためのみに提供され、そして本発明は、特許請求の範囲が与えられるものと等価物な完全な範囲と共に、このような添付の特許請求の範囲の用語によってのみ制限される。
【実施例】
【0147】
(実施例) (I.一般方法)
以下の多くの標準的な方法が、記載されるかまたは参照される:例えば、Maniatisら(1982)Molecular Cloning,A Laboratory Manual,Cold Spring Harbor Laboratory,Cold Spring Harbor Press,NY;Sambrookら(1989)Molecular Cloning:A Laboratory Manual,(第二版),1−3巻、CSH Press,NY;Ausubelら,Biology,Greene Publishing Associates,Brooklyn,NY;Ausubelら(1987および増刊)Current Protocols in Molecular Biology,Wiley/Greene,New York;Innisら編(1990)PCR Protocols:A Guide to Methods and Applications Academic Press,NY;Bonifacinoら、Current Protocols in Cell Biology Wiley,NY;ならびにDoyleら、Cell and Tissue Culture:Laboratory Protocols Wiley,NY。タンパク質の精製方法には、硫酸アンモニウム沈殿、カラムクロマトグラフィー、電気泳動、遠心分離、結晶化等の方法が挙げられる。例えば、Ausubelら(1987および定期増刊);Deutscher(1990)「Guide to Protein Purification」Methods in Enzymology 第182巻およびこのシリーズの他の巻;Coliganら(1995および増刊)Current Protocols in Protein Science John Wiley and Sons,New York,NY;Matsudaira編(1993)A Practical Guide to Protein and Peptide Purification for Microsequencing,Academic Press,San Diego,CA;ならびにタンパク質精製製品の使用に関する製造業者の文献(例えば、Pharmacia,Piscataway,NJまたはBio−Rad,Richmond,CA)を参照。組換え技術を併用することにより、適切なセグメント(エピトープタグ)(例えば、プロテアーゼ除去配列により融合され得るFLAG配列または等価物)に融合させる。例えば、Hochuli(1990)「Purification of Recombinant Proteins with Metal Chelate Absorbent」Setlow(編)Genetic Engineering,Principle and Methods 12:87−98,Plenum Press,NY;およびCroweら(1992)OIAexpress:The High Level Expression & Protein Purification System QIAGEN,Inc.,Chatsworth,CAを参照。
【0148】
例えば、University of Wisconsin Genetics Computer Group(GCG)、Madison、WI、NCBI(NIH)、ならびにGenBank、NCBI、EMBO、および他の公の配列の供給源からのものを含む利用可能なソフトウエアプログラムを使用して、コンピューター配列分析を行う。他の分析供給源としては、例えば、RASMOLプログラム(Bazanら(1996)Nature379:591;Lodiら(1994)Science 263:1762−1766;SayleおよびMilner−White(1995)TIBS20:374−376;およびGronenbergら(1991)Protein Engineering4:263−269を参照のこと);ならびにDSC(KingおよびSternberg(1996)Protein Sci.5:2298−2310を参照のこと)が挙げられ得る。また、Wilkinsら編(1997)Proteome Research:New Frontiers in Functional Genomics Springer−Verlag,NY;Salzbergら編(1998)Computational Methods in Molecular Biology Elsevier,NY;およびBirrenら編(1997)Genome Analysis:A Laboratory Manual Cold Spring Harbor Press,Cold Spring Harbor,NYを参照のこと。
【0149】
標準的な免疫学的技術は、例えば、以下に記載される:Hertzenbergら編(1996)Weir’s Handbook of Experimental Immunology 第1〜4巻、Blackwell Science;Coligan(1991および最新版)Current Protocols in Immunology Wiley/Greene,NY;およびMethods in Enzymology 第70、73、74、84、92、93、108、116、121、132、150、162、および163巻。サイトカインアッセイが、例えば、以下に記載される:Thomsonら(1994)The Cytokine Handbook(第2版)Academic Press,San Diego;MetcalfおよびNicola(1995)The Hematopoietic Colony Stimulating Factors Cambrige University Press;ならびにAggarwalおよびGutterman(1991)Human Cytokines Blackwell Pub。
【0150】
血管の生物学的活性についてのアッセイは、当該分野で周知である。これらは、腫瘍、または他の組織(例えば、動脈性平滑筋増殖(例えば、Koyomaら(1996)Cell87:1069−1078)を参照のこと)における血管形成活性および血管抑制(angiostatic)活性、血管上皮へのモノサイト接着(McEvoyら(1997)J.Exp.Med.185:2069−2077を参照のこと)などをカバーする。また、Ross(1993)Nature362:801−809;RekhterおよびGordon(1995)Am.J.Pathol.147:668−677;Thybergら(1990)Atherosclerosis10:966−990;ならびにGumbiner(1996)Cell84:345−357を参照のこと。
【0151】
神経細胞の生物学的活性についてのアッセイは、例えば、以下に記載される:Wouterlood編(1995)Neuroscience Protocols modules10、Elsevier;Mehods in Neurosciences Academic Press;およびNeuromethods Humana Press,Totowa,NJ。発育系の方法論は、例えば、以下に記載される:Meisami(編)Handbook of Human Growth and Developmental Biology CRC Press;ならびにChrispeels(編)Molecular Techniques and Approaches in Developmental Biology Interscience。
【0152】
FACS分析は、以下に記載される:Melanmedら(1990)Flow CytometryおよびSorting Wiley−Liss,Inc.,New York,NY;Shapiro(1988)Practical Flow Cytometry Liss,New York,NY;ならびにRobinsonら(1993)Handbook of Flow Cytometry Methods Wiley−Liss,New York,NY。
【0153】
(II.ヒトp40および/またはIL−B30のクローニング)
このIL−12 p40配列は、上記の種々の配列データベースから利用可能である。IL−B30遺伝子の配列は、表1に提供されている。この配列は、ゲノムヒト配列から誘導される。
【0154】
これらの配列は、遺伝子の細胞分布を決定するためのPCRプライマーまたはプローブの調製を可能にする。この配列は、メッセージをコードするゲノムDNAの単離を可能にする。
【0155】
プローブまたはPCRプライマーを使用して、種々の組織または細胞型は、細胞分布を決定するためにプローブされる。PCR産物を、例えば、TAクローニングキット(Invitrogen)を使用してクローニングされる。この得られたcDNAプラスミドは、自動配列決定装置(Applied Biosystems)において両末端から配列決定される。
【0156】
(III.p40およびIL−B30の細胞発現)
各遺伝子をコードするcDNAに対して特異的な適切なプローブまたはプライマーを調製する。代表的に、このプローブを、例えば、ランダムプライミングにより標識する。両方のサブユニットの協調発現が最も重要であり、ここで、p40/IL−B30複合体が興味深い。
【0157】
(IV.p40/IL−B30タンパク質の精製)
複数のトランスフェクトされた細胞株を、他の細胞と比較して高いレベルで、サイトカインまたは複合体を発現するものについてスクリーニングする。あるいは、組換え構築物の組合せが作製され得る。種々の細胞株をスクリーニングし、そして取り扱いの際にそれらの都合の良い特性について選択した。その後、個々のサブユニットの個々の単離および組合せにより、いくつかのダイマー形成が得られ得る。天然のIL−B30を、天然源から、または適切な発現ベクターを使用する形質転換された細胞からの発現により単離され得る。アデノウイルス構築物をまた、産生/発現のために使用し得る。
【0158】
発現したサブユニットまたは複合体の精製は、標準的な手順によって達成されるか、または細胞溶解物または上清から高い効率で効率的な精製のための操作手段と組み合わせられ得る。特に、p40とIL−B30の融合は、適切なリンカーを用いるかまたは用いることなく、処理または精製のための高度に効率的な方法で得られ得る。FLAGまたはHis6セグメントは、このような精製機能のために使用され得る。あるいは、アフィニティークロマトグラフィーは、以下に参照されるように特定の抗体と共に使用され得る。
【0159】
タンパク質は、所望の場合、大腸菌、昆虫細胞、または哺乳動物の発現系において産生される。
【0160】
(V.p40/IL−B30に対して特異的な抗体の調製)
合成ペプチドまたは精製タンパク質は、モノクローナル抗体またはポリクローナル抗体を産生するために免疫系に提示される。例えば、Coligan(1991)Current Protocols in immunology Wiley/Greene;およびHarlowおよびLane(1989)Antibodies:A Laboratory Manual Cold Spring Harbor Pressを参照のこと。免疫選択または除去方法は、得られた抗体が、個々の成分自体によって提示される抗体決定と異なる、ポリペプチドの複合体によって提示された抗原決定基に対して特異的であることを保証するように適用され得る。ポリクローナル血清、またはハイブリドーマが、調製され得る。適切な状況において、この結合剤は、上記(例えば、蛍光など)のように標識されるか、またはパニング法のために基質に固定されるかのいずれかである。免疫選択、免疫除去、および関連する技術は、例えば、2個のサブユニット間の複合体に対して所望される場合、選択薬剤を調製するために利用され得る。
【0161】
(VI.IL−12 p40およびIL−B30の共沈)
マウスIL−12 p40−Ig融合構築物を、発現ベクターにおいて調製した。このIgドメインは、プロテインAに結合し、そしてこのポリペプチドを沈殿させ得る。IL−B30Etag(N末端のFLAGモチーフでタグ化されたエピトープ)構築物をまた調製した。このポリペプチドは、M2抗体で免疫沈降可能である。この発現構築物を、IL−12 p40−Ig構築物単独、IL−B30Etag構築物単独、または両方一緒のいずれかで293T細胞にトランスフェクトした。細胞を、35Sメチオニンを用いて標識した。IL−12 p40構築物単独を用いると、可溶性タンパク質は、プロテインAを使用する細胞上清中で検出されなかった。同様に、FLAG−IL−B30構築物を用いると、可溶性タンパク質は、M2抗体を使用する細胞上清中で検出されなかった。しかし、この2つの発現構築物の同時トランスフェクトを用いると、この細胞上清により、プロテインA薬剤またはM2抗体のいずれかと共に沈殿可能な可溶性複合体が産生された。この複合体のPEGE分析により、プロテインA沈殿複合体は、2つの予測されたポリペプチドIL−12 p40−Ig融合およびFLAG−IL−B30ポリペプチドに対応するポリペプチドから作製されたことが明らかとなった。対応して、M2抗体で沈殿した複合体は、FLAG−IL−B30ポリペプチドおよびIL−12 p40−Ig融合タンパク質から作製された。
【0162】
ヒトIL−12 p40発現構築物およびヒトFLAG−IL−B30構築物を用いた同様の実験により、予測された結果が得られた。FLAG−IL−B30構築物を用いるトランスフェクションでは、有意な可溶性タンパク質が得られなかった。両方の発現ベクターの霊長類細胞への同時トランスフェクションにより、M2抗体と免疫沈降した複合体の効果的な分泌物が得られた。得られた複合体のPAGE分析により、この複合体がFLAG−IL−B30ポリペプチドおよびIL−12−p40ポリペプチドから作製されることを確認した。
【0163】
(VII.レセプター識別)
IL−12レセプターは、IL−12レセプターサブユニットβ1およびβ2から作製される。p40/IL−B30の融合構築物は、レセプターサブユニットβ1を発現する細胞と結合する。
【0164】
IL−12 p40サブユニットのホモダイマーは、IL−12とマウスサブユニットβ1(サブユニットβ2ではない)との結合を遮断し得る。このp40サブユニットは、p40/IL−B30複合体の成分であるので、IL−12レセプターサブユニットβ1が、p40/IL−B30の融合構築物に対するレセプター成分であり得るかどうかを試験した。IL−12レセプターサブユニットβ1に対する抗体は、レセプターサブユニットβ1を発現する細胞と融合構築物との結合を遮断する。このp40/p70複合体に対する抗体(主に、p40サブユニットを認識する)は、p40/IL−B30組成物の効果を遮断し得、このp40成分は、レセプター相互作用において重要であることを示唆する。これらの観測は、レセプターサブユニットβ1がp40/IL−B30融合構築物と結合することを示唆する。関連するレセプターの中で共有されている共通のgp130サブユニットの関与を試験する同様の実験によると、このgp130は、p40/IL−B30に対するレセプターの関連するサブユニットではないことを示唆する。
【0165】
このレセプターの1つのサブユニットを識別すると、発現クローニング効果が開始する。この1つのサブユニットを発現するが、結合を示さない細胞を、さらなるサブユニットを発現クローニングするために使用する。他のレセプターサブユニットβ2ホモログがスクリーニングされる。あるいは、適切な細胞からのライブラリーが、標準的な発現クローニング方法において使用され得る。
【0166】
(VIII.生物学的機能の大きさの評価)
p40/IL−B30複合体の生物学的活性を、例えば、IL−B30とIL−6とG−CSFとの間の配列および構造相同性に基づいて試験する。最初に、IL−6またはG−CSFの生物学的活性を示したアッセイについて試験した。アッセイは、組換え複合体または融合構築物のいずれかにおいて実施した。融合構築物は、IL−B30の成熟配列に融合した適切な長さのser/gly富化リンカー配列に融合した成熟IL−12 p40配列に融合したN末端FLAGエピトープに結合したIL−12 p40シグナル配列を有する構築物からなる。この構築物は、十分に発現し、分泌され、そしてエピトープタグは、精製および局在化の両方を可能にする。マウスおよびヒトの両方の配列形態が、産生された。個々のポリペプチドおよび融合タンパク質の両方のアデノウイルス発現構築物がまた、利用可能となる。
【0167】
標的細胞型としては、リンパ(lympoid)細胞、骨髄性細胞、マスト細胞、プレ−B細胞、プレ−T細胞、および繊維芽細胞−内皮細胞型が挙げられる。例えば、マクロファージ/単球細胞を、細胞表面マーカーの変化(例えば、MHCクラスII、B7、CD40、および関連ファミリー);サイトカインおよびケモカインの産生;ならびに抗原提示能について評価する。CD4+T細胞、両方のネイティブCD45Rbhiおよび記憶CD45RblowT細胞を、例えば、増殖および活性マーカーについて、およびエフェクター機能(例えば、サイトカインおよびケモカインの産生)についてアッセイする。細胞傷害CD4+、CD8+およびNK細胞が、産生および機能の効果について評価される。抗体産生の効果は、例えば、脾臓細胞およびMLN B細胞について試験される。樹状細胞は、ファクター産生を含む、産生、成熟、および機能について評価される。アポトーシスアッセイがまた、展開される。
【0168】
長期の骨髄培養物が、ストローマ細胞および幹細胞の産生および分化(Dexter培地)の調節おける効果について、ストローマ細胞およびB細胞前駆体の産生および分化(Whitlock−Witte培地)の調節について、ならびに初期骨髄群およびBリンパ群を調節するための潜在性の評価について試験される。
【0169】
(A.細胞増殖の効果)
種々の細胞型の増殖の効果を、種々の濃度のサイトカインを用いて評価する。投薬応答分析を、関連するサイトカインIL−6、G−CSFなどと組合せて実施する。サイトセンサーマシン(cytosensor machine)が使用され得、これにより細胞の代謝および増殖を検出する(Molecular Devices,Sunnyvale,CA)。
【0170】
ヒトPHA芽細胞の増殖を増強したヒトp40/IL−B30融合タンパク質を、抗−CD3または抗−CD3と抗−CD28の両方を用いて刺激した。抗−CD3刺激は、必須であるようである。ヒトp40/IL−B30融合タンパク質はまた、活性化したTh1またはTh2細胞クローンの増殖を増強するが、活性化していないTh1またはTh2細胞クローンはそうではない。
【0171】
マウスまたはヒト融合タンパク質のいずれも、マウス標的細胞上で作用した。融合タンパク質は、抗−CD3で刺激した場合に、CD4+CD45RblowCD62LlowCD44hi細胞(記憶/活性化したT細胞)の増殖を支持した。融合タンパク質による刺激は、抗−CD28同時刺激によって増強されない。これは、IL−2の存在にほとんど依存しない。このことは、p40/IL−B30が、記憶表現型を有する細胞群を増殖させ、そして/または免疫性記憶を生成するかまたは維持するための重要な因子であり得ることを示唆する。このサイトカインは、Th1表現型(例えば、IFNγ(IL−4またはIL−5ではない)を産生する細胞)を含む活性化記憶細胞を選択的に支持するようである。
【0172】
(B.ネイティブT細胞の分化に対する効果)
ヒト臍帯血細胞を収集し、そしてネイティブCD4+T細胞を単離した。これらを、抗CD3および抗IL−2の存在下で、そしてCD32、CD58、およびCD80を発現する照射した線維芽細胞とともに例えば、2週間培養し、それによってT細胞を活性化し、かつ増殖した。T細胞培養物を、増殖または分化に対する種々のサイトカインの効果について評価した。個々の細胞を、FACS分析によってサイトカイン産生について評価した。p40/IL−B30融合タンパク質は、IFNγを産生し、IL−4を産生しない(Th1細胞に特徴的なサイトカイン発現プロフィール)T細胞の増殖および分化を支持した。
【0173】
(C.細胞表面分子の発現に対する効果)
単球を、正常な健常なドナーの末梢血単核細胞からのネガティブ選択によって精製する。簡単には、3×10個のフィコール帯単核細胞(ficoll banded mononuclear cell)を、例えば、200μlのαCD2(Leu−5A)、200μlのαCD3(Leu−4)、100μlのαCD8(Leu2a)、100μlのαCD19(Leu−12)、100μlのαCD20(Leu−16)、100μlのαCD56(Leu−19)、100μlのαCD67(IOM 67;Immunotech,Westbrook,ME)、および抗グリコホリン抗体(10F7MN,ATCC,Rockvile,MD)からなるモノクローナル抗体(Becton−Dickinson;Mountain View,CA)のカクテルとともに氷上でインキュベートする。抗体結合細胞を洗浄し、次いでヒツジ抗マウスIgG結合体化磁気ビーズ(Dynal,Oslo,Norway)とともに(20:1のビーズ対細胞の比)、インキュベートする。抗体結合細胞を、磁場の適用によって単球から分離する。その後、ヒト単球を、IL−B30、IL−6,G−CSFまたは組み合わせの非存在下または存在下で1%ヒトAB血清を含むYssel培地(Gemini Bioproducts,Calabasas,CA)において培養する。
【0174】
細胞表面分子の発現の分析は、直接的な免疫蛍光によって実施され得る。例えば、2×10個の精製したヒト単球を、1%ヒト血清を含むリン酸緩衝化生理食塩水(PBS)中で、氷上で20分間インキュベートする。細胞を200×gでペレット化する。細胞を、20mlのPEまたはFITCで標識したmAb中に再懸濁する。さらに氷上で20分間インキュベーション後、細胞を、1%ヒト血清を含むPBSにおいて洗浄し、続いてPBS単独で2回洗浄する。細胞を、1%パラホルムアルデヒドを含むPBSにおいて固定し、そしてFACScanフローサイトメーター(Becton Dickinson;Mountain View,CA)で分析する。例示的なmAb(例えば、Becton−DickinsonのCD11b(抗mac1)、CD11c(a gp150/95)、CD14(Leu−M3)、CD54(Leu 54)、CD80(抗BB1/B7)、HLA−DR(L243)ならびにCD86(FUN 1;Pharmingen)、CD64(32.2;Medarex)、CD40(mAb89;Schering−Plough France))を使用する。
【0175】
(D.ヒト細胞によるサイトカイン産生に対する効果)
ヒト単球を記載のように単離し、そしてIL−B30(100倍希釈のバキュロウイルス発現物質)の非存在下または存在下で1%ヒトAB血清を含むYssel培地(Gemini Bioproducts,Calabasas,CA)において培養する。さらに、単球を、IL−B30の非存在下または存在下でLPS(E.coli 0127:B8 Difco)を用いて刺激し、そして細胞培養上清中のサイトカイン(IL−1β、IL−6、TNFα、GM−CSF、およびIL−10)の濃度をELISAによって決定する。
【0176】
サイトカインについての細胞質内染色に関して、単球を、IL−B30およびLPS(E.coli 0127:B8 Difco)ならびに10mg/mlのBrefeldin A(Epicentre technologies Madison WI)の非存在下または存在下でYssel培地において12時間培養する(100万個/ml)。細胞をPBSにおいて洗浄し、そしてRTで20分間2%ホルムアミド/PBS溶液においてインキュベートする。その後、細胞を洗浄し、透過化緩衝液(PBS/BSA(0.5%)/Azide(1mM)中0.5%サポニン(Sigma))中に再懸濁し、そしてRTで20分間インキュベートする。細胞(2×10個)を遠心分離し、そしてRTで20分間、透過化緩衝液において10倍に希釈された20mlの直接結合体化抗サイトカインmAb中に再懸濁する。以下の抗体が使用され得る:IL−1α−PE(364−3B3−14);IL−6−PE(MQ2−13A5);TNFα−PE(MAb11);GM−CSF−PE(BVD2−21C11);ならびにIL−12−PE(C11.5.14;Pharmingen San Diego,CA)。その後、細胞を透過化緩衝液において2回洗浄し、そしてPBS/BSA/Azideにおいて1回洗浄し、そしてFACScanフローサイトメーター(Becton Dickinson;Mountain View,CA)で分析する。
【0177】
ヒトPHA芽細胞は、ヒトp40/IL−B30融合構築物との接触に応答してIFNγを産生した。この効果は、IL−2と相乗的であった。融合産物は、休止T細胞、休止Th1細胞クローンまたは休止Th2細胞クローンではなくて、活性化細胞によってIFNγ産生を促進した。
【0178】
(E.ヒト末梢血単核細胞(PBMC)の増殖に対する効果)
全PBMCを、正常な健常なドナーの軟膜から記載(Boyumら)のフィコール水溶性造影剤を通じる遠心分離によって単離する。PBMCを、IL−B30の非存在下または存在下で96ウェルプレート(Falcon,Becton−Dickinson,NJ)において1%ヒトAB血清を含む200μl Yssel培地(Gemini Bioproducts,Calabasas,CA)中で培養する。細胞を、培地単独か、または100U/ml IL−2(R&D Systems)と組み合わせた培地中で120時間培養する。3H−チミジン(0.1mCi)を培養の残り6時間添加し、そして3H−チミジン取り込みを、液体シンチレーション計測することによって決定した。
【0179】
ネイティブタンパク質、組換えタンパク質、および融合タンパク質を、多くの他の生物学的アッセイ系におけるアゴニスト活性およびアンタゴニスト活性について、例えば、T細胞、B細胞、NK、マクロファージ、樹状細胞、造血細胞前駆体などに対して試験する。IL−6およびG−CSFの構造相関のために、これらの活性に関連するアッセイを、分析するべきである。
【0180】
p40/IL−B30を、IL−6またはG−CSFレセプターを発現するトランスフェクト細胞およびコントロールに対するアゴニスト活性またはアンタゴニスト活性について評価する。例えば、Hoら(1993)Proc.Natl.Acad.Sci.USA 90,11267−11271;Hoら(1995)Mol.Cell.Biol.15:5043−5053;およびLiuら(1994)J.Immunol.152:1821−1829を参照のこと。
【0181】
p40/IL−B30を、マクロファージ/樹状細胞活性化および抗原提示アッセイ、抗原または同種異系刺激に応答するT細胞サイトカイン産生および増殖における効果について評価する。例えば、de Waal Malefytら(1991)J.Exp.Med.174:1209−1220;de Waal Malefytら(1991)J.Exp.Med.174:915−924;Fiorentinoら(1991)J.Immunol.147,3815−3822;Fiorentinoら(1991)J.Immunol.146:3444−3451;およびGrouxら(1996)J.Exp.Med.184:19−29を参照のこと。
【0182】
p40/IL−B30をまた、NK細胞刺激に対する効果について評価する。アッセイは、例えば、Hsuら(1992)Internat.Immunol.4:563−569;およびSchwarzら(1994)J.Immunother.16:95−104に基づき得る。
【0183】
B細胞の増殖および分化の効果は、例えば、Defranceら(1992)J.Exp.Med.175:671−682;Roussetら(1992)Proc.Natl.Acad.Sci.USA 89:1890−1893に記載の例えば、IgG2およびIgA2スイッチ因子アッセイを含む方法論によって分析される。
【0184】
(IX.遺伝的に改変した動物の作製および分析)
トランスジェニックマウスは、標準的な方法によって作製され得る。このような動物は、特定の組織か、または完全な生物全体における遺伝子の過剰発現の効果を決定するのに有用である。このようなことは、種々の段階における動物または特定の組織の発達に関する興味深い洞察を提供し得る。さらに、生物学的ストレスへの種々の応答に対する効果は、上昇し得る。例えば、Hoganら(1995)Manipulating the Mouse Embryo:A Laboratory Manual(第2版)Cold Spring Harbor Laboratory Pressを参照のこと。
【0185】
アデノウイルス技術は、種々の細胞および生物における遺伝子の発現に利用可能である。例えば、Hittら(1997)Adv.Pharmacol.40:137−195;およびQuantum Biotechnologies,Montreal,Canadaの文献を参照のこと。動物は、種々の発達または生理学的に機能的な動物系に対するこの遺伝子の効果を決定するために有用であり得る。
【0186】
IL−B30をコードする0.5kb cDNAをEcoRIフラグメントとしてCMVエンハンサーβ−アクチンプロモーターおよびウサギβ−グロビンポリアデニル化シグナル(以前にNiwaら(1991)Gene 108:193−200によって記載された)を含む発現ベクターにクローニングした。ベクター配列からの導入遺伝子の分離は、Mannら(1993)「Factor Influencing Production Frequency of Transgenic Mice」、Methods in Enzymology 225:771−781によって記載される帯状スクロース勾配遠心分離によって達成された。導入遺伝子を含む画分をプールし、Microcon−100フィルターを介してマイクロ遠心分離し、そして微量注入緩衝液(5mM Tris−HCl(pH7.4)、5mM NaCl、0.1mM EDTA)で5回洗浄した。
【0187】
この導入遺伝子を、微量注入緩衝液(5mM Tris−HCl(pH7.4)、5mM NaCl、0.1mM EDTA)中に最終濃度が1〜5ng/mlになるように再懸濁し、卵([C57BL/6J×DBA/2]F1;The Jackson Laboratory)中に微量注入した。次いで、Hoganら(1994)Manipulation of the Mouse Embryo,Plainview,NY,Cold Spring Harbor Laboratory Pressによって公開された手順に従って、ICR(Sprague−Dawley)養母の卵管に移した。10日齢目までに、産まれた動物の尾部の小片を、DNA分析のために切り取った。トランスジェニック創始体の同定を、以前にLiraら(1990)Proc.Natl.Acad.Sci.USA,87:7215−7219によって記載されたポリメラーゼ連鎖反応(PCR)分析によって実施した。IL−B30トランスジェニックマウスの同定は、マウス尾部DNAの増幅によって達成された。内因性LDL遺伝子のための増幅反応プライマーのための内部コントロールとして使用した。このプライマーは、IL−B30導入遺伝子の200bpセグメントおよびLDL遺伝子の397bpセグメントを増幅する。PCR条件は以下の通りであった:95℃、30秒;60℃、30秒;72℃、60秒を30サイクル。トランスジェニック動物を、無病原体条件下に保持した。
【0188】
(IL−B30トランスジェニックマウスの分析)
RNAを、製造業者(TEL−TEST,Inc.Friendswood,TX)の詳説に従って、RNA STAT−60を用いて組織から抽出した。総RNA(20mg)を変性し、Biotrans membrane(ICN Biomedicals,Costa Mesa,CA)上にブロットした。導入遺伝子発現を、ハイブリダイゼーションによって評価し、L−30 cDNA(Stratagene,La Jolla,CA)を無作為に標識した。総RNAを、マウスヘモペキシン遺伝子、マウスα−1酸グリコタンパク質遺伝子、およびマウスハプトグロビン遺伝子の無作為に標識したPCRセグメントとハイブリダイズさせることによって急性期肝臓遺伝子発現を評価した。
【0189】
ELISAキットを商業的供給源から購入し、そして製造業者の指示に従って行った。マウスIL−2(感受性<3pg/ml)、マウスIL−1b(感受性<3pg/ml)、マウスIFN−γ(感受性<2pg/ml)およびマウスTNF−α(感受性<5.1pg/ml)のためのELISAキットを、R & D systems(Minneapolis,MN)から購入した。マウスIL−6 ELISAキット(感受性<8pg/ml)を、Biosource International(Camarillo,CA)から購入した。マウスIL−1α ELISAキット(感受性<6pg/ml)を、Endogen(Cambridge,MA)から購入した。
【0190】
血清免疫グロブリンレベルについてのELISAアッセイは、PharMingen(San Diego,CA)から購入した抗体対を用いて、製造業者のガイドラインに従って行った。抗マウスIgM(クローン11/41)、抗マウスIgA(クローンR5−140)、抗マウスIgG1(クローンA85−3)、抗マウスIgG2a(クローンR11−89)および抗マウスIgG2b(クローンR9−91)を、捕獲抗体として使用した。精製したマウスIgM(クローンG155−228)、IgA(クローンM18−254)、IgG1(クローン107.3)、IgG2a(クローンG155−178)およびIgG2b(クローン49.2)を使用して、標準曲線を作製した。ビオチン抗マウスIgM(クローンR6−60.2)、ビオチン抗マウスIgA(クローンR5−140)、ビオチン抗マウスIgG1(クローンA85−1)、ビオチン抗マウスIgG2a(クローンR19−15)およびビオチン抗マウスIgG2b(クローンR12−3)を検出抗体として使用した。
【0191】
マウス血清におけるIGF−1のレベルを、血清サンプルが、製造業者(Nichols Institute,San Juan Capistrano,CA)によって提供される指示に従って、酸−エタノール抽出された後にマウスIGF−1をまた認識する、ヒトIGF−1についての市販のラジオイムノアッセイを用いて決定した。
【0192】
屠殺後、組織を極低温部分のための寒剤を用いて急速凍結するか、または10%リン酸緩衝化ホルマリン中に浸すことによって固定するかのいずれかを行った。ホルマリン固定組織を、慣用的に5mmに処理し、そしてヘマトキシリン−エオシン(H & E)を用いて染色した。免疫染色に関して、急速凍結部分をアセトンで固定し、そして風乾した。
【0193】
血液サンプルを、添加したEDTAを有する滅菌した排出管(Vacutainer Systems,Becton Dickinson,Rutherford,NJ)に眼窩下洞から収集した。血液学的な値を、自動化システム(Abbot Cell−Dyn 3500,Abbot Park,IL)を用いて決定した。過度な凝集または過度に大きな血小板のために機器が正確な血小板数を提供できない場合、血小板計数を手動によって行った。血液スミアを、自動化染色機(Bayer Hema−Tek 2000,Elkhart,IN)を用いて、改変されたライト−ギームザ染色(Hema−Tek Stain Pack,Bayer Corp.,Elkhart,IN)で染色し、そして未成熟細胞および血小板、赤血球、および白血球形態学について手動で試験した。
【0194】
(骨髄移植)
大腿骨および脛骨は、筋肉を取り除き、そしてPBSでその骨を洗浄することによって骨髄を排出した。骨髄細胞を、一度洗浄し、そして致命的に照射した(1000RAD)レシピエントマウスにi.v.注射した。
【0195】
(IL−B30トランスジェニックマウスの表現型)
IL−B30の生物学的機能を分析するために、この遺伝子を、トランスジェニックマウスにおいてNiwaら(1991)Gene 108:193−200によって記載されたCMVエンハンサー/アクチンプロモーターの制御下で発現させた。このエンハンサー/プロモーターカセットは、高レベルの導入遺伝子の発現を主に骨格筋および膵臓に指向するが、この導入遺伝子は、実質的に全ての生物および細胞において発現され得る。Liraら(1990)Proc.Natl.Acad.Sci.USA 87:7215−7219を参照のこと。
【0196】
IL−B30トランスジェニックマウスは、コントロール同腹子と比較された成長阻害動物であった。IL−B30トランスジェニックマウスの体重の増加速度は、広範に変化したが、コントロール同腹子において見出された体重よりも明らかに低かった。IL−B30トランスジェニックマウスおよびコントロール同腹子の筋肉または皮膚のいずれかから抽出されたRNAのノーザンブロット分析は、IL−B30 cDNAにハイブリダイズした。これは、IL−B30 mRNAが、全てのIL−B30トランスジェニックマウスの筋肉および皮膚の両方において検出されたが、コントロール同腹子においては検出されなかったことを示した。これは、成長阻害された成長がIL−B30の発現と常に関係していたことを実証した。
【0197】
得られたIL−B30トランスジェニックマウスのうち、25%が成体まで生存し、そして阻害された成長、腹部膨脹症、乱れた柔皮、不妊症、および突然死によって示されるようにIL−B30の発現によって影響した。このように、IL−B30のトランスジェニック発現は、IL−B30トランスジェニック子孫の産生を妨害する表現型を生じた。ここで示された結果は、IL−B30トランスジェニック創始マウスの予備的分析から導かれる。
【0198】
(IL−B30トランスジェニックマウスの組織学的分析)
IL−B30トランスジェニックマウスから収集された組織の顕微鏡試験によって、複数部位(肺、皮膚、食道、小腸および肝臓(胆管)、大腸、および膵臓を含む)における最少から中程度の炎症が、明らかになった。炎症性浸潤は、好中球、リンパ球、および/またはマクロファージからなった。皮膚における炎症は、数匹のマウスにおいて、表皮肥厚および/または潰瘍と関連した。肺において、気管支周囲の単核細胞浸潤は、ときどき顕著であり、肺胞壁は、増化した数の白血球を含み、そして内皮の内層気道は、過形成であった。最小の門脈周囲の単核細胞浸潤がまた、肝臓において一般的であった。リンパ節の皮質は、しばしば、散在した細胞性かつ欠損した小胞性の発達であった。
【0199】
骨髄外造血(EMH)が、肝臓、脾臓、およびリンパ節で観察された。EMHは、脾臓において特に顕著であった。3匹のトランスジェニックマウスおよび1匹のコントロールマウス由来の脾臓を、T細胞(抗−CD3)、B細胞(抗−B220)、およびマクロファージ(抗−F4/80)に関して免疫組織学的染色後試験した。トランスジェニックマウスにおいて、CD3陽性細胞、B220陽性細胞、およびF4/80陽性細胞が、これらの正常な位置に存在した。しかし、白色脾髄は、赤色脾髄中でEMHによって分離され、そして赤色脾髄内で陽性に染色される細胞は、低い強度で染色された造血細胞が散在するか、または種々の抗体を用いて陽性に染色されなかった。これらの観察は、IL−30のトランスジェニック発現がEMHと関連する全身性炎症を誘導することを示す。
【0200】
末梢血中の白血球数および血小板数に対するIL−B30の効果を分析するために、完全な血液分析を実行した。IL−B30トランスジェニックマウスの血液中の好中球数は、コントロール同腹仔中の最も高い好中球数に対して3〜11倍増加した。末梢血好中球における増加は、炎症に典型的であり、そして種々の組織で感察された好中球浸潤と相関する。従って、骨髄系(顆粒球性)/赤血球系の割合は、骨髄において増加した。
【0201】
さらに、循環している血小板の数は、コントロール同腹仔に対して、IL−B30トランスジェニックマウスにおいて3倍まで増加した。増加した数の血小板は、増加した数の巨核球、または巨核球による血小板の産生における増加のいずれかに由来し得た。いずれかの可能性を試験するために、IL−B30トランスジェニックマウス由来の末梢血、骨髄および脾臓を、顕微鏡分析した。末梢血において、血小板の奇異な形態(伸長しそして紡錘形態の血小板を含む)が、頻繁に検出された。数匹のマウスの骨髄および脾臓において、巨核球は、細胞質量の増加に起因して拡大していた。対照的に、骨髄および脾臓において、巨核球の数が増加しなかった。これは、IL−B30が、巨核球による血小板産生を加速することによって、血小板の数の増加を誘導することを示唆する。
【0202】
試験された全てのIL−B30トランスジェニックマウスはまた、分裂赤血球および明らかに変化する程度の再生をともなって、軽度から中程度の小球性低色素性貧血を経験した。ヘマトクリット値は、コントロール平均よりも30〜70%低かった。小球性低色素性貧血の存在は、ヘモグロビン産生における欠損を示唆する。
【0203】
(IL−B30トランスジェニックマウスのサイトカインプロフィール)
IL−B30トランスジェニックマウスに見出される全身性炎症がプロ炎症性サイトカインの変更された発現と関連するか否かを試験するために、本発明者らは、末梢血中のIL−1、TNFα、IL−6、およびIFNγの濃度を決定した。試験された全てのIL−B30トランスジェニックマウスにおいて、TNFαおよびIFNγのレベルが増加した。さらに、IL−1のレベルは、試験されたIL−B30トランスジェニックマウスの25%で増加した。IL−B30トランスジェニックマウス中で見出されたIL−1およびTNFαの濃度は、LPSによる急性炎症応答の誘導と関連したレベルに達した。驚くべきことに、IL−6の発現が炎症状態下で高度に誘導され(Reineckerら(1993)Clin.Exp.Immunology 94:174−181;Stevensら(1992)Dig.Dis.Sci.37:818−826)そしてTNFα、IL−1およびIFNγによって直接誘導され得る(Helleら(1988)Eur.J.Immunol.18:957−959)のにも関わらず、IL−6は、IL−B30トランスジェニックマウスの末梢血中に検出されなかった。
【0204】
(IL−B30トランスジェニックマウスの肝臓における急性期遺伝子)
体は、肝臓における規定された血漿タンパク質の発現によって特徴付けられる急性期応答を伴って炎症に対して反応する。IL−B30トランスジェニックマウスが全身性炎症の表現型特徴を示すので、本発明者らは、IL−B30トランスジェニックマウスおよびコントロール同腹仔の肝臓における急性期遺伝子の発現を試験した。急性期肝臓遺伝子α−1酸グリコプロテイン、ハプトグロブリン、およびヘモペキシンは、試験された全てのIL−B30トランスジェニックマウスにおいて高度に発現し、一方、これらの遺伝子の発現は、コントロール同腹仔では検出されなかった。これは、急性期肝臓遺伝子が、IL−B30トランスジェニックマウスで構成的に発現されることを示す。
【0205】
(IL−B30トランスジェニックマウスの血清免疫グロブリン)
免疫応答の間に、いくつかのサイトカインは、B細胞分化および引き続く免疫グロブリン合成を誘導する。免疫グロブリン合成がIL−B30トランスジェニックマウスにおいて変化されたか否かを試験するために、末梢血中の免疫グロブリンアイソタイプの濃度を、決定した。7匹のIL−B30トランスジェニックマウスのうちの2匹において、IgAの濃度が、コントロール同腹仔と比較した場合、6〜9倍に増加した。さらに、IgG1、IgG2aおよびIgG2bの濃度は、コントロール同腹仔と比較した場合、試験された全てのIL−B30トランスジェニックマウスにおいて2.5〜6倍に増加した。対照的に、IgMまたはIgEの力価における有意な増加は、試験されたいずれのIL−B30トランスジェニックマウスにおいても検出され得なかった。事実、7匹のIL−B30トランスジェニックマウスのうちの4匹は、顕著に減少したレベルのIgM合成を示した。要約すると、IL−B30トランスジェニックマウスのサブセットは、免疫グロブリンアイソタイプIgAおよびIgGの濃度において6〜9倍の増加を示したが、免疫グロブリンアイソタイプIgMおよびIgEの濃度には、有意な増加は検出されなかった。
【0206】
(IL−B30トランスジェニックマウス中の血清IGF−1レベル)
慢性炎症状態(KirschnerおよびSutton(1986)Gastroenterology 91:830−836;Laursenら(1995)Arch.Dis.Child.72:494−497)またはトランスジェニック動物におけるサイトカインの過剰発現(De Benedettiら(1994)J.Clin.Invest.93:2114−2119)は、インスリン様増殖因子−1(IGF−1)の減少と関連する増殖欠損を引き起こし得る。IL−B30トランスジェニックマウスの発育阻害された増殖がIGF−1の減少したレベルへさかのぼり得るか否かを試験するために、トランスジェニックマウスの血清サンプルを、IGF−1に関してアッセイした。試験された全てのIL−B30トランスジェニックマウスにおいて、血清中のIGF−1の量は、年齢の一致したコントロール同腹仔中で見出されるレベルの12〜14%であった。これは、IL−B30のトランスジェニック発現、ならびに生成される引き続く炎症性応答が、IL−B30トランスジェニックマウス中のIGF−1の減少を引き起こし、そして結果として成長障害および不妊症の原因となり得ることを示唆する(Gayら(1997)Endocrinology 137(7):2937−2947)。
【0207】
(造血細胞における生物学的に活性なIL−B30の発現)
サイトカインは、免疫系を局所的に調節するかまたは長期の効果を媒介する分泌タンパク質である。IL−B30がサイトカインとして機能するか否かおよび離れた多器官の炎症および急性期肝臓応答を誘導し得るか否かを試験するために、本発明者らは、IL−B30トランスジェニック骨髄を、致死的に照射された野生型レシピエントマウスに移した。
【0208】
骨髄レシピエントは、急性期応答の誘導に関して毎週モニターされた。増加した急性期タンパク質SAAの濃度を、移動後35日の早さでIL−B30骨髄レシピエント中に検出し得、そしてSAAレベルは時間が経っても増加した。末梢血中の漸増する濃度のSAAの同時発生によって、波立った毛衣ならびに口吻および喉の辺りの炎症した皮膚の出現によって判定されるように、IL−B30骨髄レシピエントの健康は悪化した。対照的に、野生型骨髄のレシピエントは、血液において上昇したレベルのSAAを有さず、病気のようにも見えなかった。
【0209】
動物を、それらが重篤に病気にみえたときに終了させた。IL−B30の発現は、IL−B30トランスジェニック骨髄のレシピエントの骨髄および脾臓中に検出され得たが、野生型骨髄のレシピエントの器官では検出され得なかった。IL−B30トランスジェニックドナーの場合、皮膚、肺、肝臓および胃腸管は、IL−B30トランスジェニック骨髄のレシピエント中で炎症であったが、野生型骨髄のレシピエント中では炎症ではなかった。さらに急性期肝臓遺伝子(ヘモペキシン、AGP−1)は、IL−B30トランスジェニック骨髄レシピエント中で高度に発現されたが、IL−6は、血清中で検出され得なかった。これらの結果は、IL−B30が長期の特徴を有する真のサイトカインであることを示唆する。
【0210】
IL−B30のトランスジェニック発現は、トランスジェニック動物の連続した(runting)全身性炎症、不妊症および死によって特徴付けられる顕著な表現型を誘導する。IL−B30トランスジェニック動物は、肺、肝臓、皮膚、および消化管中の炎症性細胞の浸潤を伴う全身性炎症を有する。
【0211】
インビボでのIL−B30の過剰発現は、成長障害および炎症の表現型(これらは、IL−6のトランスジェニック発現のいくつかのモデルの表現形と著しく類似した)を引き起こした。IL−6のトランスジェニック発現の効果またはマウスへの組換えIL−6の投与後と類似して、好中球浸潤および貧血が、IL−B30のトランスジェニック発現の結果として動物中で観察された。IL−6トランスジェニック動物と同様に、IL−B30トランスジェニック創始動物の成長障害は、これらの動物において観察される全身性炎症と関連し得る減少したレベルのIGF−1に関連した。
【0212】
IL−B30トランスジェニック動物のこの表現型は、IL−B30過剰発現の直接的な効果としてかまたはIL−1およびTNFα発現のIL−B30媒介アップレギュレーションのいずれかによる、アップレギュレートされたIL−6発現によって引き起こされ得る。IL−1およびTNFαは、IL−6の既知の誘導因子であり、そして増加した濃度のTNFαおよびIL−1が、IL−B30トランスジェニックマウスの末梢血に見出された。
【0213】
しかし、IL−6がIL−B30トランスジェニックの血液中に検出され得なかったことは、IL−B30動物の表現型がこの新規サイトカインの過剰発現に直接関連すること、およびこれらの配列相同性によって暗示されていたように、IL−B30がIL−6と類似の生物学的活性を有することを示唆する。
【0214】
IL−6は、広範な種々の機能の間で血小板増加症、急性期タンパク質合成、およびB細胞分化を誘導する多面発現性サイトカインである。
【0215】
実際に、IL−B30トランスジェニック動物は、構成的に、AGP−1、ハプトグロビン、ヘモペキシンおよび血清アミロイドAタンパク質のような急性期肝臓遺伝子を発現する。類似した表現型は、IL−6のトランスジェニック過剰発現の効果としてまたは組換えIL−6の投与後に、マウス中で示された。さらに、IL−B30のトランスジェニック発現は、多くの血小板が奇異な形態(伸長した見かけ、大きなサイズ、および/または紡錘形態)を有するという点で異常である血小板増加症を引き起した。本発明者らは、IL−B30および/または他のアップレギュレートされたサイトカインが、正常な血小板産生に対する効果を有することを疑った。これはまた、IL−B30が、IL−6およびその関連物と生物学的活性を共有することを示唆する。
【0216】
IL−6はまた、B細胞分化因子として同定された。IL−6のトランスジェニック過剰発現は、プラスマ細胞腫を引き起こし、そしてIL−6欠損マウスは、減少したIgG応答を示す。本発明者らは数匹のIL−B30トランスジェニックマウスにおいてIgGおよびIgA産生に増加を見出したが、この知見は、異なる創始動物間で一致しなかった。従って、潜在的なB細胞分化因子としてIL−B30をさらに特徴付けるさらなる分析が必要である。
【0217】
IL−B30トランスジェニックマウスにおいて、循環している好中球の増加は、種々の組織における炎症事象と一致したが、赤血球パラメーターにおける変化は、簡単に説明できなかった。IL−1、TNF−α、およびIFN−γは、通常、慢性疾患貧血(ACD)と呼ばれる症候群(これは、一般的に、正球性貧血、正色素性貧血、非再生(または最小限に再生性の)貧血として現れ、そして種々の慢性炎症性疾患に見いだされる)のメディエーターである。慢性疾患貧血はまた、数人のヒト患者において、小球性貧血、低色素性貧血として現れ得る。この症候群は、改変された鉄代謝およびエリトロポイエチンに対する減少した応答に起因する。IL−B30マウスで観察される小球性低色素性貧血は、末梢サイトカイン濃度における増加によって示差される様に、ACDに起因し得る。しかし、小球性低色素性貧血の最も一般的な原因は、鉄欠乏であり、これは、IL−B30マウスで見出される部分骨髄応答(再生)および血小板増加症とより一致する。血清フェリチン、鉄および総鉄結合能力の測定(これは、鉄欠乏貧血とACDとの区別を可能にする)を含むさらなる研究は、発症したマウスから妥当な血液を得ることが困難なことに起因して行われなかった。
【0218】
IL−1およびTNF−αは、IL−6発現の公知の誘導因子であり、そしてIL−6発現は、通常、炎症応答の間にアップレギュレーションされる。従って、IL−6がIL−B30トランスジェニック動物の末梢血中で検出され得なかったことは、驚くべきことである。これは、IL−B30が未だ同定されていない機構によるIL−6発現に対するネガティブ効果を有することを示唆する。実際、IL−B30トランスジェニック動物中にIL−6がないことは、これらの動物中で観察される高いレベルのIl−1およびTNF−αを説明し得る。なぜなら、IL−6は、マウス中の循環しているIL−1およびTNF−αの濃度にネガティブな効果を有するからである。IL−B30トランスジェニックマウス中に観察される高い濃度の循環しているTNF−αはまた、増加した濃度のIFN−γの結果であり得る。IFN−γは、IL−2活性化T細胞またはIL−4活性化B細胞によって産生され、そして単球およびマクロファージにおいてTNF−αの発現を誘導する。IFN−γの発現がIL−B30によって直接か、またはIL−B30によって誘導される他のサイトカインによってのどちらで媒介されるかは、決定されないままである。要約すると、本発明者らの結果は、IL−B30が、IL−6と広範な種々の生物学的活性を共有することを示唆する。これらの生物学的活性が通常のレセプター、シグナル伝達エレメントまたはIL−6と共有される転写因子によって媒介されるか否かは、理解されないままである。これらの問題は、できれば、遺伝的アプローチまたは生化学的アプローチによって、進行中の実験により明確にされる。
【0219】
本明細書中に引用される全ての参考文献は、あたかも各個々の刊行物または特許出願が詳細にかつ個々に、すべての目的に対してその全体が参考として援用されるようにしめされるのと同じ程度に、本明細書中に参考として援用される。
【0220】
本発明の多くの改変および変更が、本発明の精神および範囲から逸脱することなくなされ得、同様に当業者に明らかである。本明細書中に記載される特定の実施形態は、例示目的のためのみに提供され、そして本発明は、特許請求の範囲が与えられるものと等価物な完全な範囲と共に、このような添付の特許請求の範囲の用語によってのみ制限される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
明細書に記載の発明。

【公開番号】特開2010−233571(P2010−233571A)
【公開日】平成22年10月21日(2010.10.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−98317(P2010−98317)
【出願日】平成22年4月21日(2010.4.21)
【分割の表示】特願2009−147075(P2009−147075)の分割
【原出願日】平成12年9月8日(2000.9.8)
【出願人】(596129215)シェーリング コーポレイション (785)
【氏名又は名称原語表記】Schering Corporation
【Fターム(参考)】