説明

四フッ化ケイ素の精製方法

本発明は、四フッ化ケイ素原料ガスを1つ以上の精製工程にさらすことにより、四フッ化ケイ素原料ガスを精製する方法であって、精製工程が、四フッ化ケイ素原料ガスをイオン交換樹脂に接触させて酸性の汚染物質を除去する工程と、吸収液体を用いた二酸化炭素の除去と低温蒸留による不活性化合物の除去とにより、四フッ化ケイ素原料ガスを触媒に接触させて一酸化炭素を除去する工程と、を含む精製方法と、四フッ化ケイ素原料ガスから一酸化炭素を除去するのに適した触媒と、そのような触媒を製造する方法とに関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、酸性化合物、一酸化炭素、二酸化炭素、不活性化合物及びそれらの組合せの除去による四フッ化ケイ素ガスの精製に関し、特に、イオン交換樹脂を用いた酸性化合物の除去、不活性基板の表面上又は表面の近傍に触媒金属酸化物を含む触媒を使用した一酸化炭素の除去、少なくとも1つのグリコールジエーテルを含む吸収液体を使用した二酸化炭素の除去、低温蒸留プロセス(cryogenic distillation process)を使用した不活性ガスの除去、及びそれらの組合せに関する。
【背景技術】
【0002】
多結晶シリコンは、例えば、集積回路及び光起電性のセル(つまり、太陽電池)を含む多くの市販製品の重要な要素である。多結晶シリコンは、流動床リアクター(fluidized bed reactor)内で、シリコンを、熱分解可能なシリコン化合物(典型的にはシラン)から種結晶粒子上に析出させる化学蒸着メカニズムにより典型的に製造される。シランは、四フッ化ケイ素とメタルハイドライド(金属水素化物:metal hydride)(例えば、水素化アルミニウムナトリウム(NaAlH))との反応によって、四フッ化ケイ素から製造することができる。
【0003】
四フッ化ケイ素は、様々な方法、例えばフルオロケイ酸(リン酸肥料の製造における副生成物)から出るガスとして、製造することができる。商業的に製造された四フッ化ケイ素ガスは、典型的には、一酸化炭素、二酸化炭素、不活性化合物、ホウ素、亜リン酸及びカルシウムの化合物などの金属不純物、並びに塩酸、二酸化硫黄、三酸化硫黄及びフッ化水素酸などの酸性化合物等の、多くの不純物を含んでいる。これらの不純物は、マイクロ電子デバイスの欠陥と、恐らくは不具合とをもたらす可能性がある。このように、商業的に製造された四フッ化ケイ素原料ガスから不純物を低減する方法に対する必要性が存在する。
【発明の概要】
【0004】
ある態様によれば、精製された四フッ化ケイ素ガスを製造する方法(プロセス)は、四フッ化ケイ素原料ガスを触媒と接触させる工程を含む。四フッ化ケイ素原料ガスは、四フッ化ケイ素と一酸化炭素とを含んでいる。触媒は、不活性基板と、その不活性基板の表面又は表面の近傍にある触媒金属酸化物(catalytic metal oxide)と、を含んでいる。触媒金属酸化物を一酸化炭素と反応させることにより、少なくとも一酸化炭素の一部は、触媒の表面上に吸着される。この反応は、1つ以上の金属カルボニル錯体を形成する。これにより、低減した一酸化炭素の濃度を有する、精製された四フッ化ケイ素ガス流を製造することができる。
【0005】
さらなる態様によれば、四フッ化ケイ素ガスから不純物を除去するための触媒は、ジルコニア、アルミナケイ酸塩、シリカ、アルミナ、イットリア及びそれらの混合物から成る群から選ばれた不活性基板を含んでいる。触媒は、不活性基板の表面又は表面の近傍に、銅、マンガン、クロム、コバルト、タリウム、モリブデン、銀及びそれらの混合物から成る群から選ばれた触媒金属を含む触媒金属酸化物を含んでいる。
【0006】
さらに別の態様によれば、不活性基板とその表面又は表面の近傍にある触媒金属酸化物とを含む触媒の調製方法(調製プロセス)は、不活性基板の表面上又はバルク全体にわたって触媒金属を含浸させる工程を含んでいる。金属を含浸させた不活性基板を少なくとも約1000℃の温度に加熱して、不活性基板の表面又は表面の近傍に触媒金属酸化物を形成する。
【0007】
他の目的及び特徴は、一部が明らかになり、一部は以下に指摘されるだろう。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】図1は、本発明の1つの実施態様に係る四フッ化ケイ素原料ガスの精製のフロースキーム(flow scheme)を図示するブロック図である。
【図2】図2は、実施例1で説明された触媒の不活性基板を調製するために用いられる反応装置の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
全ての図面において、対応する参照文字は対応する部分を示している。
【0010】
<発明の詳細な説明>
本発明の様々な態様の中には、四フッ化ケイ素原料ガスを精製する方法(プロセス)がある。精製技術には、例えば、四フッ化ケイ素原料ガスから、イオン交換樹脂を用いる酸性ガスの除去、触媒を用いる一酸化炭素の除去、少なくとも1つのグリコールジエーテルを含む吸収液体(absorption liquid)を用いる二酸化炭素の除去、低温蒸留を用いる不活性ガスの除去、及びそれらの組合せが含まれる。
【0011】
本発明の別の態様の中には、不活性基板と不活性基板の表面又はその表面の近傍にある金属酸化物とを含む触媒に四フッ化ケイ素原料ガスを接触させることにより、四フッ化ケイ素原料ガスを精製するプロセスと、不活性基板と不活性基板の表面又はその表面の近傍にある金属酸化物とを含む触媒と、そのような触媒を製造するプロセスと、が含まれる。
【0012】
本発明の実施態様のプロセスによれば、不純物を含む四フッ化ケイ素原料ガスは、1つ以上の精製工程(purification steps)にさらされて、不純物の一部又は全てが除去される。例えば、図1に示されるように、原料ガスをイオン交換樹脂に接触させて、ガス流中に存在する水分の少なくともいくらかの部分又は全てを除去するだけでなく、存在する酸性ガスの一部又は全ても除去してもよい。代わりとして又は追加で、原料ガスを1つ以上の触媒に接触させて、存在する一酸化炭素の一部又は全てを除去してもよい。代わりとして又は追加で、原料ガスを吸収液体に接触させて、二酸化炭素を除去してもよい。別途の再生システムを用いて、イオン交換材料、触媒及び吸収液体を再生してもよい。最後に、先の精製工程の代わりとして又はそれに追加で、四フッ化ケイ素原料ガスを低温蒸留装置(cryogenic distillation unit)に送って、不活性ガスを除去することができる。低温蒸留の後、四フッ化ケイ素は液体として貯蔵され、そしてシリンダー充填のためにさらに圧縮されてもよい。
【0013】
図1は、上述の精製工程の各々を、順次に、特定の順で含んだ包括的なプロセスを図示しているが、注目すべきは、本発明の範囲から逸脱せずに、1つ以上の精製工程を省略できることである。以下により詳細に論じるように、いくつかのプロセスシーケンス(処理手順:process sequences)は、他のものを超えた相乗的な利点を超えているものの、精製工程は、さらにどのような組合せで行なわれてもよい。精製工程を順次に行うのが好ましい一方、それらを並行して行ってもよい(しかしながら、そのようなプロセススキーム(process scheme)は、プロセス全体を通して、除去される不純物の総量を低減するであろう)。図1では示されていないが、いずれかの精製工程の後に、精製された四フッ化ケイ素ガスを、圧縮とシリンダー充填に送ることができる。精製工程は、本発明の範囲から完全に逸脱せずに、順番を変えて(reordered)及び/又は省略されてもよい。
【0014】
<A.イオン交換樹脂を用いた酸性化合物の除去>
四フッ化ケイ素原料ガスは、例えばフッ化水素、塩酸、二酸化硫黄、三酸化硫黄、硫化水素及びそれらの混合物などの酸性化合物を、しばしば含んでいる。ある実施態様によれば、四フッ化ケイ素原料ガスの一部をイオン交換層(ion exchange bed)に接触させて、低減した酸性化合物の濃度を有する、精製された四フッ化ケイ素ガス流を製造している。
【0015】
イオン交換層は、典型的には1つ以上のイオン交換樹脂を含んでいる。適したイオン交換樹脂は当業者に容易に知られており、文献中に見つけることができる(例えば、ペリーの化学工学ハンドブック(Perry's Chemical Engineering Handbook,)、第7版、表16−6(16−10ページ)を参照)。典型的には、陰イオン交換樹脂剤は、酸性化合物のうちの負に帯電した成分(例えばフッ化物、塩化物)を除去するために用いられる。適した樹脂は、ポリスチレンベースの樹脂(polystyrene-based resins)及びセルロースベースの樹脂(cellulose-based resins)を含む。適したポリスチレンベースの樹脂は、トリメチルベンジルアンモニウム及びジメチルヒドロキシエチルアンモニウムを含む。適したセルロースベースの樹脂は、エチルトリメチルアンモニウム、トリエチルヒドロキシプロピルアンモニウム、アミノエチル及びジエチルアミノエチルを含む。
【0016】
少なくともある実施態様では、イオン交換樹脂は、鉱酸(mineral acid)と有機溶媒とを含む溶液で洗浄(flushing)することによりリチャージ(recharged)されてもよい。適した鉱酸は、塩酸、硝酸及び硫酸を含む。適した有機溶媒は、アルカノール(alkanol)を含む。
【0017】
任意で又は追加で、四フッ化ケイ素原料ガスをイオン交換樹脂(例えば、上記のようなイオン交換樹脂)に接触させて、例えば炭化水素、一酸化炭素及び二酸化炭素などの非酸性化合物を除去してもよい。
【0018】
<B.一酸化炭素などの不純物の触媒による精製>
少なくとも本発明のいくつかの実施態様では、四フッ化ケイ素原料ガスを、不活性基板とその表面又は表面の近傍にある触媒金属酸化物とを含む触媒に接触させる。
【0019】
少なくともいくつかの実施態様では、触媒は、ジルコニア、アルミナケイ酸塩、シリカ、アルミナ、イットリア及びそれらの混合物から成る群から選ばれた不活性基板と、不活性基板の表面又は表面の近傍にある銅、マンガン、クロム、コバルト、タリウム、モリブデン、銀及びそれらの混合物から成る群から選ばれた触媒金属を含む触媒金属酸化物と、を含む。触媒は、四フッ化ケイ素原料ガスから一酸化炭素を除去するのに非常に良く適しているが、触媒は、他の化合物も除去可能であり、また四フッ化ケイ素原料ガス以外の原料ガスから化合物を除去することも可能である、と理解されるべきである。
【0020】
<1.触媒>
本発明の触媒は、不活性基板と、不活性基板の表面又は表面の近傍にある触媒金属酸化物と、を含む。触媒は、選択性を高めるために、典型的には大きな比表面積及び高い気孔率を持っている。典型的には、触媒は微小気孔率(ミクロポロシティー:microporosity)(つまり、分子レベルの気孔率)を示す。さらに、触媒は、例えば塩酸、二酸化硫黄、三酸化硫黄及びフッ化水素酸などの酸性環境に露出しても、実質的に触媒の性能が低下しないのが好ましい。これに関して、触媒は、上記のような酸に対して非反応性であるのが好ましい。
【0021】
(I.基板)
適した不活性基板は、例えば、ジルコニア、アルミナケイ酸塩、シリカ、アルミナ、イットリア及びそれらの混合物を含む。ゼオライトや粘度などの他の基板は必要な気孔率を示すが、酸性化合物に接触させたときに、それらは典型的に低下の影響を受けやすい。これに関して、ゼオライト及び/又は粘度を含む1つ以上の基板を備えた触媒にガス流を接触させる前に、ガス流から酸性化合物を除去するのが望ましいだろう。
【0022】
必要なバルク気孔率(bulk porosity)と微小気孔率とを備えた基板は、金属(例えば、ジルコニウム、シリコン、アルミニウム及びイットリウム)を含む化合物を、水素酸素炎(hydrogen and oxygen flame)に露出することにより製造されるだろう。金属化合物を分解して、金属酸化物の粉末(例えば、ジルコニア、アルミナケイ酸塩、シリカ、アルミナ、イットリア)を形成する。粉末をバインダーで結合して成型し、基板本体(substrate body)を形成してもよい。その後、基板本体を加熱して、あらかじめ吸着されていた水素を放出させ、それによって、マクロスケールの気孔及びミクロスケールの気孔の両方を作成する。基板本体を加熱する温度は、あらかじめ吸着されていた水素を放出させるのに十分なほどに高くするべきである。典型的には、基板本体を、少なくとも約300℃の温度に加熱する。いくつかの実施態様では、基板本体を、少なくとも約400℃、少なくとも500℃、又は少なくとも約600℃の温度に加熱する。しかしながら、注目すべきは、用いる基板によっては、約1000℃を超える温度で焼結が引き起こされて、基板の微小細孔構造(ミクロポア構造:micropore structure)が失われることである。そのような場合、あらかじめ吸着されていた水素を放出させるために基板本体を加熱する温度は、約1000℃未満にしてもよい。したがって典型的には、基板本体を約300℃〜約1000℃までの温度に加熱し、より典型的には、約400℃〜約600℃までの温度に加熱する。
【0023】
相安定化添加物(Phase stabilizing additive)は、不活性基板に添加されてもよい。適した添加物は、例えば、ランタニド系元素、アクチニド系元素、マグネシウム、イットリウム、カルシウム及びそれらの混合物などの金属を含んだ金属酸化物安定剤を含む。酸化イットリウム(「イットリア」)は、特に効果的な相安定剤であることが分かった。本発明のある実施態様によれば、触媒は、約0.1重量%未満の安定剤を含んでいる。他の実施態様によれば、触媒は、約0.05重量%未満、約0.025重量%未満、あるいは約0.025重量%〜約0.1重量%の安定剤を含み、さらに別の実施態様によれば、約0.05重量%〜約0.1重量%の安定剤を含む。
【0024】
不活性基板を形成する際に、金属(例えば、ランタニド系元素、アクチニド系元素、マグネシウム、イットリウム、カルシウム及びそれらの混合物を含む化合物)を含んだ化合物を水素酸素炎中に導入することにより、相安定剤が触媒に添加されてもよい。これにより、不活性基板の構造体中に安定相として組み込まれた金属の酸化物を作成する。金属酸化物安定剤は、不活性で、触媒活性を有しているとは考えられず、四フッ化ケイ素ガスの精製において活性ではない。
【0025】
(II.触媒活性金属酸化物(Catalytically Active Metal Oxide))
基板本体の表面上又は表面の近傍に、触媒活性の金属酸化物(つまり、触媒金属酸化物)を形成するために、基板本体を、触媒活性の金属を含んだ金属塩溶液に接触させる。例えば水酸化アンモニウムなどの塩基(base)を溶液に添加して、溶液から基板本体上に金属を析出させる。他の実施態様によれば、金属を、電気化学的な置換反応により又は無電解めっき法により堆積させる。
【0026】
金属を基板上に堆積させた後に、金属含浸不活性基板(metal-impregnated inert substrate)を、触媒活性の金属をか焼(calcinate)して金属酸化物を形成するのに十分な温度まで加熱する。触媒活性の金属のか焼は、一般的に、少なくとも約250℃の温度で発生する。金属含浸不活性基板は、約250℃〜約1500℃までの温度に、約250℃〜約1000℃までの温度に、典型的には約300℃〜約850℃までの温度に、又は約400℃〜約600℃までの温度に加熱されてもよい。
【0027】
特定の理論に結び付けるものではないが、触媒活性の金属酸化物は、不活性基板を部分的に覆うコーティングとして又は触媒のバルクに延びる連続相として、触媒の表面(ミクロポアの表面を含む)又は表面の近傍に位置し、最高濃度の触媒活性金属酸化物は表面に見出される、と考えられている。適した触媒活性金属酸化物は、例えば、銅、マンガン、クロム、コバルト、タリウム、モリブデン、銀及びそれらの混合物などの金属を含む。ある実施態様によれば、金属酸化物は銅、マンガン又はそれらの混合物を含む。
【0028】
少なくとも本発明のいくつかの実施態様では、触媒は、約0.001重量%〜約1重量%、約0.01重量%〜約1重量%、0.1重量%〜約1重量%、約0.5重量%〜約1重量%、0.001重量%〜約0.5重量%、0.001重量%〜約0.1重量%の触媒金属を含み、又は、約0.001重量%〜約0.01重量%の触媒金属を含んでいる。
【0029】
触媒は、一般的には約95重量%〜約99.999重量%の不活性基板を含み、典型的には約95重量%〜約99.99重量%、約95重量%〜約99.9重量%、約95重量%〜約99重量%、約95重量%〜約97.5重量%、97.5重量%〜約99.999重量%、約99重量%〜約99.999重量%、約99.9重量%〜約99.999重量%の不活性基板を含み、又は、約99.99重量%〜約99.999重量%の不活性基板を含んでいる。
【0030】
少なくともある実施態様では、触媒は、少なくとも約95重量%の不活性基板と、約3重量%未満の触媒金属と、約0.5重量%未満の安定剤と、を含んでいる。
【0031】
上記のプロセスによって製造された触媒は、典型的には、マクロスケール及びバルクスケールにおいて実質的に大きな表面積と比較的高い気孔率とを示す。一般的に、本発明の触媒は、約1m/g〜約1000m/gの表面積を有しており、典型的には約1m/g〜約750m/g、約1m/g〜約500m/g、約1m/g〜約100m/g、約1m/g〜約10m/g、約10m/g〜約1000m/g、約100m/g〜約1000m/g、約500m/g〜約1000m/g、又は約750m/g〜約1000m/gの表面積を有している。バルク気孔率は、一般的には約30%〜約80%であり、典型的には約30%〜約60%、約30%〜約40%、約40%〜約80%、又は約60%〜約80%である。微小気孔率は、一般的には約1%〜約20%、約1%〜約15%、約1%〜約10%、約1%〜約5%、約5%〜約20%、約10%〜約20%、又は約15%〜約20%である。
【0032】
か焼温度が気孔サイズ及び表面積に影響を与える可能性があるので、気孔率及び表面積は、触媒のか焼後に決定されるのが好ましい。
【0033】
<2.触媒金属酸化物を用いた不純物の除去>
上記の触媒は、原料ガス(例えば、四フッ化ケイ素原料ガスなど)から一酸化炭素を除去するのに特に良く適している。本発明のある実施態様では、四フッ化ケイ素と一酸化炭素とを含む四フッ化ケイ素原料ガスを、不活性基板と、基板の表面又は表面の近傍にある及び金属酸化物と、を含む触媒に接触させる。
【0034】
特定の理論に結び付けるものではないが、一酸化炭素化合物が金属酸化物と反応して、触媒に付着する金属カルボニル化合物を形成する。四フッ化ケイ素原料ガスから一酸化炭素を吸着し、その結果として四フッ化ケイ素原料ガス中の一酸化炭素の濃度を低減する。
【0035】
本発明のプロセスは、本質的にどのような濃度で一酸化炭素を含む四フッ化ケイ素ガスをも精製するのに利用できる。実際には、四フッ化ケイ素ガス流は非常に大きな濃度の一酸化炭素を含んでいてもよいが、典型的には、四フッ化ケイ素原料ガスは、典型的には約0.001容量%〜約3.0%容量の一酸化炭素を含んでいる。より典型的には、四フッ化ケイ素原料ガスは、約30容量ppm〜約30000容量ppmの一酸化炭素を含んでいる。一般的には、本発明の触媒金属酸化物の精製プロセスは、一酸化炭素の一部又は全てを除去するために用いることができる。典型的には、原料ガス中の一酸化炭素の少なくとも約97%が除去され、より典型的には、一酸化炭素の少なくとも約99%が除去されてもよい。いくつかの実例では、一酸化炭素の少なくとも約99.9%が除去される。
【0036】
触媒金属酸化物の精製プロセスの間、一般的に、四フッ化ケイ素ガスは、約−30℃〜約90℃の温度に維持される。典型的に、四フッ化ケイ素ガスは、約0℃〜約90℃、約45℃〜約90℃、約70℃〜約90℃、約−30℃〜約70℃、約−30℃〜約45℃、又は約−30℃〜約0℃の温度に維持される。
【0037】
一般的に、四フッ化ケイ素原料ガスが触媒層(catalyst bed)を通過する速度は、一酸化炭素を除去するのに十分な接触時間が可能な限り、本発明で臨界的に制限されるもの(narrowly critical)ではない。一般的には、ガスは、直線速度で約1cm/秒〜約200cm/秒、典型的には約10cm/秒〜約50cm/秒、又は約17cm/秒〜約35cm/秒で層を通過する。
【0038】
ガスを固体に接触させるように設計されたプロセス用機器であれば、上記のプロセスを行なうのに用いることができる。例えば、触媒と処理されるガスとに適した構造の材料を有する流動床リアクター及び充填カラム(packed column)が適している。
【0039】
上述のように、触媒によって処理されるガス流中の酸性化合物の存在は、プロセスにとって有害かもしれない。したがって、本発明のいくつかの実施態様では、四フッ化ケイ素原料ガスを触媒に接触させる前に、四フッ化ケイ素原料ガスをイオン交換樹脂に接触させて、酸性化合物の一部を除去するのを優先させてもよい。これにより、触媒に接触する前に、四フッ化ケイ素原料ガスからフッ化水素酸を除去することが可能になる。フッ化水素酸が分解して、触媒のフッ化物被毒(fluoride poisoning)をもたらす場合があるので、四フッ化ケイ素原料ガスを触媒に接触させる前に、四フッ化ケイ素原料ガスからフッ化水素酸を除去することが望ましい。
【0040】
上記のように、一酸化炭素は、触媒の活性部位(active site)に付着する金属カルボニル錯体を形成する。それ自体、多くの活性部位が金属カルボニル錯体によってブロックされるので、触媒の活性は時間とともに低下するだろう。触媒を単に捨てて、新しい触媒を導入することもできるが、経済的及び環境的な理由から、触媒の少なくとも一部又は全てを再生するのが好ましい。金属カルボニル錯体を分解して、その後に触媒表面から解放される酸化炭素を形成するのに十分な温度まで、触媒を加熱することにより、触媒を再生することができる。例えば、触媒は、少なくとも約500℃、少なくとも約700℃、又はさらに高い温度まで加熱されてもよい。ガス状流出物が反応槽を通過する間、典型的には、触媒は、約500℃〜約1400℃、約500℃〜約1000℃、約500℃〜約700℃、又は約500℃〜約570℃の範囲内の温度まで加熱される。
【0041】
<C.吸収流体を用いた二酸化炭素の除去>
四フッ化ケイ素は、約2容量%〜約3容量%の二酸化炭素をしばしば含んでいる。四フッ化ケイ素原料ガスは、ガスから二酸化炭素の量を除去することによって精製されてもよい。本発明のある実施態様によれば、二酸化炭素の量は、四フッ化ケイ素ガスを吸収流体(absorption fluid)によって接触させることにより除去される。さらに別の実施態様によれば、吸収流体は、例えばエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、トリエチレングリコールジメチルエーテル、テトラエチレングリコールジメチルエーテル、ポリエチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールジブチルエーテル、エチオキシ(ethyoxy) tert-ブトキシエタン及びそれらの混合物などのグリコールジエーテル(つまり「グリム("glyme")」)を含んでいる。四フッ化ケイ素原料ガスをグリコールジエーテルに接触させることにより、四フッ化ケイ素原料ガス中の二酸化炭素ガスの量を約2容量%未満に減らすことができる。本発明の他の実施態様によれば、四フッ化ケイ素原料ガスをグリコールジエーテルに接触させることにより、四フッ化ケイ素原料ガス中の二酸化炭素ガスの量を約0.5容量ppm未満に減らすことができ、別の実施態様によれば、約0.1容量ppm未満に減らすことができる。
【0042】
様々なプロセス用機器(例えば吸収カラムなど)を用いて、四フッ化ケイ素ガスを吸収液体に接触させてもよい。吸収液体は、脱着カラム(desorption column)にストリッピングガス(stripping gas)を通過させて脱着カラム内で二酸化炭素を脱着すること(desorbing)により、再生されてもよい。
【0043】
<D.低温蒸留を用いた不活性化合物の除去>
四フッ化ケイ素は、例えば窒素などの不活性ガスの量をしばしば含んでいる。典型的には、四フッ化ケイ素原料ガスは、約0.5容量%〜約10容量%の不活性化合物を含んでいる。これらの不活性化合物は、低温蒸留によって除去することができる。低温蒸留は、四フッ化ケイ素原料ガスを、典型的には約−200℃〜約−50℃の低温に冷却する工程を含んでいる。別の実施態様によれば、四フッ化ケイ素は、約−90℃〜約−60℃に冷却される。冷却された四フッ化ケイ素原料ガスを蒸留塔(distillation column)に供給して、低減した不活性化合物の濃度を有する精製された四フッ化ケイ素ガス流を製造する。低温蒸留工程は、異なった圧力で作動できる一連の蒸留ゾーン(distillation zones)を含んでもよい。
【0044】
低温蒸留プロセスは、四フッ化ケイ素原料ガスを本発明の実施態様の触媒に接触させる前又は後に(つまり、一酸化炭素の除去前又は除去後に)発生してもよく、また、イオン交換樹脂に接触させる前又は後に(つまり、酸性ガスの除去前又は除去後に)発生してもよい。ある実施態様では、四フッ化ケイ素原料ガスを触媒に接触させた後に、四フッ化ケイ素原料ガスを低温に冷却し、蒸留塔に供給する。
【0045】
低温蒸留は、典型的には、原料ガス中の不活性化合物を少なくとも約95%除去し、より典型的には、不活性化合物の少なくとも約98%を除去する。別の実施態様によれば、低温蒸留プロセスは、不活性化合物の少なくとも約99%を除去し、さらに別の実施態様によれば、不活性化合物の少なくとも約99.9%を除去する。
【実施例1】
【0046】
(実施例1:ジルコニア基板の表面上又は表面の近傍に触媒の酸化銅及び酸化マンガンを含んだ触媒の調製)
ここで、図2を参照すると、ジルコニアは、塩化ジルコニウムと水素とを水素酸素炎22中で反応させて調製された。3本の同心のチューブ4、7、11は、反応性ガスを輸送するために用いられた。最も内側のチューブ11を通して酸素ガスを供給し、中央のチューブ7を通して金属ハロゲン化物を供給し、そして最も外側のチューブ4を通して水素を供給した。ジルコニアを調製するために、塩化ジルコニウムと不活性アルゴンガスとの混合物を中央のチューブ7を通して供給した。水素は、その化学量論の量を超えて、最大50%まで供給された。火炎温度は、水素及び不活性ガスの流量(flow rate)の制御により、約800℃のあたりに維持された。ガスは電極15を通り過ぎた。得られたジルコニア粉末27は、レシーバー(receiver)31に集められた。レシーバー31内に冷えた水素ガスを注入することにより、ジルコニア粉末生成物27を急冷した(quickly quenched)。塩化水素は、差温を維持することにより分離した。
【0047】
いくつかのケースでは、安定化化合物としてイットリア(つまり、酸化イットリウム)を用いた。塩化イットリウムを塩化ジルコニウムと同時に供給して、酸化イットリウムと酸化ジルコニウムとを共に生成した。
【0048】
いくつかのケースでは、中央のチューブ7中で、塩化銅と塩化マンガンを塩化ジルコニウムに添加して、ジルコニアと、触媒の酸化銅及び酸化マンガンとを共に生成した。
【0049】
ジルコニウム粉末生成物は、乾燥粉末100部あたり8部の量の有機バインダー(ポリビニルアルコール)と共に圧縮された。プレス成形によって、円板状(直径35mm、厚さ8mm)の成形体(molded body)を成形した。成形体は、アルゴン大気中で400℃に3時間維持されて、バインダーを除去した。その後、成形体を750℃で1時間加熱しそして真空下で冷却して、水素の脱着によってマクロ及びミクロの気孔を生成した。成形体を30分間保持した容器に、等量のマンガン溶液及び銅溶液(最終的な触媒に対して、銅5重量%、マンガン5重量%)を添加した。水酸化アンモニウムにより、溶液からマンガンと銅を析出させた。液体を排出し、得られた主要部(resulting mass)を、わずかな真空下で、1400℃まで、2時間加熱した。
【0050】
上記のプロセスによって生成されたジルコニア粉末は、約1nm未満の平均細孔径(average pore size diameter)と、約100m/gを超える表面積とを有している。細孔容積(Pore volume)及び気孔サイズは、Brunauer-Emmett-Teller法によって決定した。直径65nm未満の気孔の細孔容積は、ASTM規格 D4284−83にしたがって、水銀ポロシメーターを用いて測定した。直径1.5nm未満のミクロポアの細孔容積は、Journal de Chimie Physique, 6, 83 (1986)に、Fraissardにより記載されたキセノンNMR法によって決定した。気孔率及び表面積は、か焼前とか焼後の両方で測定された。
【0051】
その文献には、本技術分野において、か焼温度又は所定の多孔質製品を実際に使用する温度が上昇すると、比表面積と細孔容積を減少させる影響があることが知られている、と述べられている。しかしながら、そのようなことは、か焼の温度領域内のこの材料では観察されなかった。
【実施例2】
【0052】
(実施例2:他の汚染物質を含む四フッ化ケイ素原料ガスから一酸化炭素を除去するための、ジルコニア基板の表面上又は表面の近傍にある触媒の酸化銅及び酸化マンガンを含んだ触媒の使用)
3000ppmくらいの一酸化炭素を含有するシリコン四フッ化ケイ素ガスは、直線速度1cm/秒、圧力1〜5気圧、15℃で、触媒層(長さ15cm、直径4cm)を通り過ぎた。一酸化炭素濃度は、1ppm未満に減少した。
【実施例3】
【0053】
(実施例3:他の汚染物質を実質的に含まない四フッ化ケイ素原料ガスから一酸化炭素を除去するための、ジルコニア基板の表面上又は表面の近傍にある触媒の酸化銅及び酸化マンガンを含んだ触媒の使用)
1%の一酸化炭素を含有する四フッ化ケイ素ガスは、直線速度1cm/秒、圧力1〜5気圧、15℃で、触媒層(長さ15cm、直径4cm)を通り過ぎた。一酸化炭素濃度は、1ppm未満に減少した。
【実施例4】
【0054】
(実施例4:触媒の表面上に触媒金属を析出させて調製された触媒の使用)
540ppmの一酸化炭素を含有する四フッ化ケイ素ガスは、24℃で、触媒層(長さ15cm、直径4cm)を通り過ぎた。触媒は、触媒の表面上に触媒のマンガン及び銅を析出することにより調製した。様々な直線速度で、触媒の再生前及び再生後に、複数回の実験が行なわれた。結果を以下の表1に示す。
【0055】
【表1】

【実施例5】
【0056】
(実施例5:四フッ化ケイ素原料ガスから一酸化炭素を除去するための、ジルコニア基板の表面上又は表面の近傍に触媒の酸化銅及び酸化マンガンを含んだ触媒の使用)
540ppmの一酸化炭素を含有する四フッ化ケイ素ガスは、24℃で、触媒層(長さ15cm、直径4cm)を通り過ぎた。様々な直線速度で、触媒の再生前及び再生後に、複数回の実験が行なわれた。結果を以下の表2に示す。
【0057】
【表2】

【実施例6】
【0058】
(実施例6:ジルコニア基板に基づいた触媒と、アルミナケイ酸塩基板に基づいた触媒との間における、銅一酸化物(Copper Monoxide)除去活量の比較)
アルミナケイ酸塩粉末を調製した。アルミナケイ酸塩粉末支持体(alumina silicate powder support)の表面積及び気孔率はジルコニア支持体よりも10%大きかった。しかしながら、以下の表3からわかるように、アルミナケイ酸塩基板に基づく触媒は、マンガン支持体に基づいた触媒ほどには一酸化炭素を除去しなかった。比較試験では、四フッ化ケイ素ガスは、540ppmの一酸化炭素を含有しており、24℃であった。触媒層は、長さ15cm、直径4cmであった。
【0059】
【表3】

【0060】
本発明及びその好ましい実施態様の要素を導入するときに、冠詞の"a"、"an"、"the"、及び"said"は、1つ以上の要素が存在することを意味するように意図している。用語の「含む("comprising")」、「含む("including")」及び「有する("having")」は、記載された要素以外の追加の要素が存在してもよいことを含み且つ意味することを意図している。
【0061】
上記を考慮して、発明のいくつかの目的が達成され、そして他の有利な結果に到達したことが理解されるだろう。
【0062】
発明の範囲から逸脱することなく上記の方法に様々な変更を行なうことができるとともに、上記の説明に含まれそして添付の図面に図示された全ての事項は、例示として解釈されるべきであり、制限する意味ではないことを意図している。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
精製された四フッ化ケイ素ガスの製造方法であって、当該方法は、
四フッ化ケイ素と一酸化炭素とを含む四フッ化ケイ素原料ガスを、不活性基板とその表面又は表面の近傍にある触媒金属酸化物とを含む触媒に接触させる工程と、
前記一酸化炭素を前記触媒金属酸化物と反応させて1つ以上の金属カルボニル錯体を形成することにより、少なくとも前記一酸化炭素の一部を前記触媒の表面上に吸着させ、それにより低減した一酸化炭素濃度を有する精製された四フッ化ケイ素ガス流を製造する吸着工程と、
を含むことを特徴とする方法。
【請求項2】
前記触媒金属酸化物は、銅、マンガン、クロム、コバルト、タリウム、モリブデン、銀及びそれらの混合物から成る群から選ばれた触媒金属を含むことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記触媒金属酸化物は、銅、マンガン又はそれらの混合物を含むことを特徴とする請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記不活性基板は、ジルコニア、アルミナケイ酸塩、シリカ、アルミナ、イットリア及びそれらの混合物から成る群から選ばれることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の方法。
【請求項5】
前記不活性基板は、ジルコニア、アルミナケイ酸塩又はそれらの混合物を含むことを特徴とする請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記不活性基板は、ランタニド系元素、アクチニド系元素、マグネシウム、イットリウム、カルシウム及びそれらの混合物から成る群から選ばれた金属を含んだ金属酸化物安定剤を含むことを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項に記載の方法。
【請求項7】
前記不活性基板は、約0.1重量%未満の安定剤を含むことを特徴とする請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記不活性基板は、安定剤として酸化イットリウムを含むことを特徴とする請求項1乃至7のいずれか1項に記載の方法。
【請求項9】
前記四フッ化ケイ素原料ガスは、約0.001容量%〜約3.0容量%の一酸化炭素を含むことを特徴とする請求項1乃至8のいずれか1項に記載の方法。
【請求項10】
前記触媒は、約0.001重量%〜約1.0重量%の触媒金属を含むことを特徴とする請求項1乃至9のいずれか1項に記載の方法。
【請求項11】
前記触媒は、約95重量%〜約99.999重量%の不活性基板を含むことを特徴とする請求項1乃至10のいずれか1項に記載の方法。
【請求項12】
前記不活性基板は、約1m/g〜約1000m/gの表面積を有していることを特徴とする請求項1乃至11のいずれか1項に記載の方法。
【請求項13】
前記不活性基板は、約30%〜約80%のバルク気孔率を有していることを特徴とする請求項1乃至12のいずれか1項に記載の方法。
【請求項14】
前記不活性基板は、約1%〜約20%の微小気孔率を有していることを特徴とする請求項1乃至13のいずれか1項に記載の方法。
【請求項15】
前記四フッ化ケイ素原料ガス中の前記一酸化炭素の少なくとも約97%が除去されることを特徴とする請求項1乃至14のいずれか1項に記載の方法。
【請求項16】
前記四フッ化ケイ素原料ガスは、フッ化水素、塩酸、二酸化硫黄、三酸化硫黄、硫化水素及びそれらの混合物から成る群から選ばれた酸性化合物を含み、
前記四フッ化ケイ素原料ガスの一部をイオン交換樹脂に接触させて、低減した酸性化合物の濃度を有する精製された四フッ化ケイ素ガス流を製造することを特徴とする請求項1乃至15のいずれか1項に記載の方法。
【請求項17】
前記四フッ化ケイ素原料ガスを前記触媒に接触させる前に、前記四フッ化ケイ素原料ガスを前記イオン交換樹脂に接触させて、前記酸性化合物の一部を除去することを特徴とする請求項16に記載の方法。
【請求項18】
前記四フッ化ケイ素原料ガスは不活性化合物を含み、
前記四フッ化ケイ素原料ガスを低温に冷却し、
冷却された四フッ化ケイ素原料ガスを蒸留塔に供給して、低減した不活性化合物の濃度を有する精製された四フッ化ケイ素ガス流を製造することを特徴とする請求項1乃至17のいずれか1項に記載の方法。
【請求項19】
前記四フッ化ケイ素原料ガスを前記触媒に接触させた後に、前記四フッ化ケイ素原料ガスを低温に冷却し、蒸留塔に供給することを特徴とする請求項18に記載の方法。
【請求項20】
前記四フッ化ケイ素原料ガスは二酸化炭素を含み、
少なくとも1つのグリコールジエーテルを含む吸収液体により前記四フッ化ケイ素ガスを接触させることにより、前記二酸化炭素の一部を除去することを特徴とする請求項1乃至19のいずれか1項に記載の方法。
【請求項21】
前記触媒を約500℃〜約570℃まで加熱して、前記金属カルボニル錯体を分解し、且つ前記触媒から酸化炭素を放出させて前記触媒を再生することを特徴とする特徴とする請求項1乃至20のいずれか1項に記載の方法。
【請求項22】
約−30℃〜約90℃の温度で、前記四フッ化ケイ素原料ガスを前記触媒に接触させることを特徴とする請求項1乃至21のいずれか1項に記載の方法。
【請求項23】
約1cm/秒〜約200cm/秒の直線速度で、前記四フッ化ケイ素原料ガスを前記触媒に接触させることを特徴とする請求項1乃至22のいずれか1項に記載の方法。
【請求項24】
四フッ化ケイ素ガスから不純物を除去するための触媒であって、当該触媒は、
ジルコニア、アルミナケイ酸塩、シリカ、アルミナ、イットリア及びそれらの混合物から成る群から選ばれた不活性基板と、
前記不活性基板の表面又は表面の近傍にあり、銅、マンガン、クロム、コバルト、タリウム、モリブデン、銀及びそれらの混合物から成る群から選ばれた触媒金属を含んだ触媒金属酸化物と、
を含むことを特徴とする触媒。
【請求項25】
前記触媒金属酸化物は、銅、マンガン及びそれらの混合物から成る群から選ばれた触媒金属を含むことを特徴とする請求項24に記載の触媒。
【請求項26】
前記不活性基板は、ジルコニア、アルミナケイ酸塩又はそれらの混合物を含むことを特徴とする請求項24又は25に記載の触媒。
【請求項27】
前記不活性基板は、ランタニド系元素、アクチニド系元素、マグネシウム、イットリウム、カルシウム及びそれらの混合物から成る群から選ばれた金属を含んだ安定剤を含むことを特徴とする請求項24乃至26のいずれか1項に記載の触媒。
【請求項28】
前記不活性基板は、約0.1重量%未満の安定剤を含むことを特徴とする請求項27に記載の触媒。
【請求項29】
前記不活性基板は、安定剤として約0.1重量%未満の酸化イットリウムを含むことを特徴とする請求項24乃至26のいずれか1項に記載の触媒。
【請求項30】
前記触媒は、少なくとも約95重量%の不活性基板と、約3重量%未満の触媒金属と、約0.5重量%未満の安定剤と、を含むことを特徴とする請求項24乃至29のいずれか1項に記載の触媒。
【請求項31】
前記触媒は、約0.001重量%〜約1.0重量%の触媒金属を含むことを特徴とする請求項24乃至30のいずれか1項に記載の触媒。
【請求項32】
前記触媒は、約95重量%〜約99.999重量%の不活性基板を含むことを特徴とする請求項24乃至31のいずれか1項に記載の触媒。
【請求項33】
前記基板は、約1m/g〜約1000m/gの表面積を有していることを特徴とする請求項24乃至32のいずれか1項に記載の触媒。
【請求項34】
前記基板が、約30%〜約80%のバルク気孔率を有していることを特徴とする請求項24乃至33のいずれか1項に記載の触媒。
【請求項35】
前記基板は、約1%〜約20%の微小気孔率を有していることを特徴とする請求項24乃至34のいずれか1項に記載の触媒。
【請求項36】
不活性基板と当該不活性基板の表面又は表面の近傍にある触媒金属酸化物とを含む触媒の調製方法であって、当該方法は、
前記不活性基板の表面上又はバルク全体にわたって触媒金属を含浸させる工程と、
金属を含浸させた前記不活性基板を少なくとも約250℃の温度に加熱して、前記不活性基板の前記表面又は前記表面の近傍に触媒金属酸化物を形成する加熱工程と、
を含むことを特徴とする方法。
【請求項37】
前記金属を含浸させた不活性基板を約250℃〜約1000℃の温度に加熱することを特徴とする請求項36に記載の方法。
【請求項38】
前記不活性基板は不活性な金属酸化物を含み、
前記不活性基板は、水素酸素炎中で、不活性金属を含む第1の金属ハロゲン化物を水素と反応させて、不活性基板の粉末を生成することにより調製されることを特徴とする請求項36又は37に記載の方法。
【請求項39】
前記第1の金属ハロゲン化物と水素との反応と同時に、水素酸素炎中で、触媒金属を含む第2の金属ハロゲン化物を水素と反応させることにより、前記触媒金属を前記不活性基板の全体に含浸させることを特徴とする請求項38に記載の方法。
【請求項40】
触媒金属を、金属塩溶液から前記不活性基板上に析出させることにより、前記不活性基板上に前記触媒金属を含浸させることを特徴とする請求項36乃至39のいずれか1項に記載の方法。
【請求項41】
前記触媒金属酸化物が、銅、マンガン、クロム、コバルト、タリウム、モリブデン、銀及びそれらの混合物から成る群から選ばれた金属を含むことを特徴とする請求項36乃至40のいずれか1項に記載の方法。
【請求項42】
前記触媒金属酸化物は、銅、マンガン又はそれらの混合物から成る群から選ばれた金属を含むことを特徴とする請求項41に記載の方法。
【請求項43】
前記不活性基板は、ジルコニア、アルミナケイ酸塩、シリカ、アルミナ、イットリア及びそれらの混合物から成る群から選ばれることを特徴とする請求項36乃至42のいずれか1項に記載の方法。
【請求項44】
前記不活性基板は、ジルコニア、アルミナケイ酸塩又はそれらの混合物から成る群から選ばれることを特徴とする請求項43に記載の方法。
【請求項45】
前記不活性基板がランタニド系元素、アクチニド系元素、マグネシウム、イットリウム、カルシウム及びそれらの混合物から成る群から選ばれた金属を含んだ金属酸化物安定剤を含むことを特徴とする請求項36乃至44のいずれか1項に記載の方法。
【請求項46】
前記不活性基板は、約0.1重量%未満の安定剤を含むことを特徴とする請求項45に記載の方法。
【請求項47】
前記不活性基板は、安定剤として約0.1重量%未満の酸化イットリウムを含むことを特徴とする請求項36乃至46のいずれか1項に記載の方法。
【請求項48】
前記触媒は、少なくとも約95重量%の不活性基板と、約3重量%未満の触媒金属と、約0.5重量%未満の安定剤と、を含むことを特徴とする請求項36乃至47のいずれか1項に記載の方法。
【請求項49】
前記触媒は、約0.001重量%〜約1.0重量%の触媒金属を含むことを特徴とする請求項36乃至48のいずれか1項に記載の方法。
【請求項50】
前記触媒は、約95重量%〜約99.999重量%の不活性基板を含むことを特徴とする請求項36乃至49のいずれか1項に記載の方法。
【請求項51】
前記基板は、約1m/g〜約1000m/gの表面積を有していることを特徴とする請求項36乃至50のいずれか1項に記載の方法。
【請求項52】
前記基板は、約30%〜約80%のバルク気孔率を有していることを特徴とする請求項36乃至51のいずれか1項に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【公表番号】特表2011−504156(P2011−504156A)
【公表日】平成23年2月3日(2011.2.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−525895(P2010−525895)
【出願日】平成20年9月11日(2008.9.11)
【国際出願番号】PCT/US2008/076027
【国際公開番号】WO2009/042415
【国際公開日】平成21年4月2日(2009.4.2)
【出願人】(392026316)エムイーエムシー・エレクトロニック・マテリアルズ・インコーポレイテッド (74)
【氏名又は名称原語表記】MEMC ELECTRONIC MATERIALS,INCORPORATED
【Fターム(参考)】