説明

回収印刷版の溶解方法及びリサイクル方法

【課題】回収印刷版を新地金と一緒に直接溶解しても酸化ロスを小さくすることができるので、再生地金で溶解する場合と同程度の高い溶解歩留りを得ることができる。
【解決手段】使用済みの平版印刷版36及び/又は平版印刷版の切断片等の端材33を回収した回収印刷版35と、新地金37とを溶解炉13のバーナー19で溶解する溶解方法であって、溶解炉13に先ず回収印刷版35を投入して溶解炉13の炉床13Bに回収印刷版35の堆積物を形成する第1の投入工程と、回収印刷版35の堆積物の上に新地金37を投入して堆積物が略露出しないように覆う第2の投入工程と、を備え、バーナーの炎を新地金に当てて溶解する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、回収印刷版の溶解方法及びリサイクル方法に係り、特に回収印刷版をアルミ圧延メーカの圧延前溶解炉で直接溶解する際の溶解歩留りを向上させる技術に関する。
【背景技術】
【0002】
平版印刷版は、粗面化処理されたアルミニウム製の平版印刷版用支持体に製版層(例えば感光層)を形成することにより製造される。粗面化処理方法としては、機械的粗面化処理、電気化学的粗面化処理、化学的粗面化処理(化学エッチング)やこれらを組み合わせた方法があり、表面に均一且つ緻密な粗面化を施す際のアルミニウム原料としては、純度の高い新地金が使用されていると共に、Si,Fe,Cu,Mn等の微量金属の含有率が厳密に調整されたものであることが必要になる。
【0003】
このため、従来は、使用済み平版印刷版(アルミスクラップ)を平版印刷版用支持体のアルミニウム原料として使用することが難しく、前記微量金属含有率許容度の大きな用途向け、例えば窓サッシ用、自動車のエンジン用や車輪のホイール用等の材料としてリサイクルされているのが実情である。
【0004】
しかし、新地金1kgの製造には140.9MJという大きなエネルギーを必要とし、地球温暖化の原因となっているCO発生量は9.22kg/地金1kgと非常に大きい。一方、印刷に使用した使用済みの平版印刷版や、平版印刷版の製造加工途中で発生する平版印刷版の切断片等の端材を回収した回収印刷版を原料とした再生地金1kgの製造エネルギーは新地金を100%とすると約4%であり、CO発生量も新地金の約4%と非常に小さい。
【0005】
したがって、平版印刷版用支持体のためのアルミニウム原料を低エネルギーで製造するには、回収印刷版を再生材料としてリサイクルすることが重要である。
【0006】
近年、回収印刷版を再び溶解して平版印刷版用支持体のアルミニウム原料としてリサイクルする検討がなされており、例えば特許文献1がある。
【0007】
特許文献1では、回収印刷版を溶解して再生地金(インゴット)を作り、この再生地金を新地金に混ぜて溶解して薄板状に圧延することにより平版印刷版用支持体の原板を製造していた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】国際公開第2009/084568号パンフレット
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、特許文献1のように、再生地金を作るために回収印刷版を溶解し、更に再生地金と新地金とを溶解すると、2度の溶解を行うことになり、エネルギー効率が悪いという問題がある。したがって、回収印刷版をアルミ圧延メーカの圧延前溶解炉で直接溶解すれば、エネルギー効率が格段に良くなる。
【0010】
しかし、回収印刷版、特に使用済みの平版印刷版は面積が新聞紙程度の大きさで薄板状(0.1〜0.4mm程度)であり、表面積が大きいために、アルミ圧延メーカの圧延前溶解炉で直接溶解すると、燃焼等により酸化ロスが非常に大きくなる。なお、回収印刷版を再生地金にしないで直接溶解することを「直接溶解」と言うことにする。
【0011】
この結果、再生地金の状態で溶解すれば新地金と同程度の97%程度の溶解歩留りがあるものが、回収印刷版で溶解すると80〜85%程度にしかならないという問題がある。更に、圧延前溶解炉は、再生地金や新地金のように高温の溶解温度が必要なインゴットの状態で溶解するように設計されているため、インゴットにバーナーの炎を直接当てて溶解する直炎バーナー加熱方式の溶解炉になっている。このため、回収印刷版を再生地金にしないで直接溶解すると更に酸化が進み、溶解歩留りが悪くなる。
【0012】
本発明はこのような事情に鑑みてなされたものであり、回収印刷版を新地金と一緒に直接溶解しても酸化ロスを小さくすることができるので、再生地金で溶解する場合と同程度の高い溶解歩留りを得ることができる回収印刷版の溶解方法及びリサイクル方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明の回収印刷版の溶解方法は前記目的を達成するために、使用済みの平版印刷版及び/又は平版印刷版の切断片等の端材を回収した回収印刷版と、新地金とを溶解炉のバーナーで溶解する溶解方法であって、前記溶解炉に先ず前記回収印刷版を投入して溶解炉の炉床に前記回収印刷版の堆積物を形成する第1の投入工程と、前記回収印刷版の堆積物の上に前記新地金を投入して前記堆積物が略露出しないように覆う第2の投入工程と、を備え、前記バーナーの炎を前記新地金に当てて溶解することを特徴とする。
【0014】
本発明の溶解方法によれば、表面積が大きく酸化され易い薄板状の回収印刷版を、インゴット状で酸化しにくい新地金で覆い、バーナーの炎を新地金に当てて溶解するようにした。これにより、先ず新地金が溶解して溶湯となり、その溶湯によって回収印刷版を間接的に溶解する。また、回収印刷版は新地金の溶湯に浸漬した状態で溶解されるので、溶解中に空気に触れることを防止できる。これにより、酸化され易い回収印刷版であっても酸化ロスを大幅に低減することができる。
【0015】
本発明においては、前記溶解炉はアルミ圧延メーカの圧延前溶解炉であることが好ましい。アルミ圧延メーカの圧延前溶解炉では、製造されるアルミニウム板の微量金属含有量をアルミニウム板の使用用途に合わせて調整する必要がある。このため、回収印刷版を新地金と一緒に溶解する必要があり、本発明を有効活用することができる。
【0016】
本発明においては、前記溶解しているときの溶解炉内の酸素濃度が11%以下であることが好ましく、6%以下であることが特に好ましい。
【0017】
溶解炉内の酸素濃度を11%以下にするための方法としては、空燃比の制御や排煙制御がある。即ち、バーナーの燃料流量に対する空気流量の比である空燃比を、余剰酸素が炉内に発生しないように空燃比制御を行うことが好ましい。
【0018】
余剰酸素が炉内に発生しないように空燃比を可能な限り理論空燃比に近づけるように制御することで、溶解炉内の酸素濃度を希薄化することができるので、溶解中における酸化ロスを一層低減することができる。
【0019】
また、本発明においては、前記溶解炉がダンパーを備えた排煙筒を有する気密構造であり、前記ダンパーの開閉により前記溶解炉の内圧が外圧よりも高くなるように排煙制御を行うことが好ましい。
【0020】
溶解炉を気密構造とし、溶解炉の内圧が外圧よりも高くなるように排煙制御を行うことにより、溶解炉の外部から内部へ空気が進入しないので、溶解炉内の酸素濃度を希薄化することができる。これにより、溶解中における酸化ロスを一層低減することができる。
【0021】
本発明の回収印刷版のリサイクル方法は前記目的を達成するために、使用済みの平版印刷版及び/又は平版印刷版の切断片等の端材を回収した回収印刷版をリサイクルして平版印刷版用支持体のアルミニウム原料として再利用する回収印刷版のリサイクル方法において、前記回収印刷版をアルミ圧延メーカの圧延前溶解炉において前記回収印刷版を再生地金にしないで新地金と共に直接溶解すると共に、前記直接溶解に請求項1〜5の何れか1の溶解方法を用いることを特徴とする。
【0022】
本発明のリサイクル方法によれば、従来のように再生地金にしてからアルミ圧延メーカの圧延前溶解炉で溶解しなくても高い溶解歩留りを得ることができる。これにより、回収印刷版を一旦再生地金にするための従来の工程を省略することができ、圧延前溶解炉での1回の溶解で済ませることができる。したがって、回収印刷版を平版印刷版用支持体のアルミニウム原料とするリサイクルのエネルギー効率を顕著に向上できる。
【発明の効果】
【0023】
本発明の回収印刷版の溶解方法及びリサイクル方法によれば、回収印刷版を新地金と一緒に直接溶解しても酸化ロスを小さくすることができるので、再生地金で溶解する場合と同程度の高い溶解歩留りを得ることができる。これにより、回収印刷版を一旦再生地金にするための従来の工程を省略することができ、圧延前溶解炉での1回の溶解で済ませることができる。したがって、回収印刷版を平版印刷版用支持体のアルミニウム原料とするリサイクルのエネルギー効率を顕著に向上できる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】本実施の形態の回収印刷版の溶解方法を説明する説明図
【図2】本実施の溶解方法との対比に使用する説明図
【図3】本発明の回収印刷版のリサイクル方法を説明する説明図
【図4】従来の回収印刷版のリサイクル方法を説明する説明図
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、本発明の回収印刷版の溶解方法及びリサイクル方法の好ましい実施の形態について詳細に説明する。
【0026】
図1は、本発明の実施の形態に係る回収印刷版の溶解方法を概念的に示した説明図であり、図2は本発明との対比説明に使用する説明図である。
【0027】
図1に示すように、溶解装置11は、溶解炉13の側面に被溶解物を投入するための投入口15が開口されると共に、投入口15には開閉扉17が設けられる。この場合、投入口15にパッキンを設けると共に、開閉扉17を密閉構造にすることが好ましい。
【0028】
溶解炉13の天井13Aには、複数のバーナー19が取り付けられ、バーナー19から吹き出す炎21によって溶解炉13内に投入された被溶解物を溶解する。バーナー19は、配管23を介して燃料と空気とが供給されると共に、配管23の途中には燃料と空気との空燃比を調整する空燃比調整手段25が設けられる。
【0029】
また、溶解炉13の天井13Aには、排煙筒27が取り付けられ、溶解によって発生した煙を排煙する。排煙筒27にはダンパー29が設けられており、排煙筒27の開口面積を可変することにより、排煙量を調整することができる。
【0030】
バーナー19及びダンパー29は信号ケーブル又は無線によってコントローラ31に接続され、バーナー19の空燃比及びダンパー29の排煙量はコントローラ31によって制御される。
【0031】
次に上記の如く構成された溶解装置11を用いて本発明の回収印刷版の溶解方法を説明する。
【0032】
溶解炉13の投入口15から被溶解物である回収印刷版35と新地金37とを投入する。ここで、回収印刷版35とは、印刷に使用した使用済みの平版印刷版、及び/又は平版印刷版の製造加工途中で発生する平版印刷版の切断片等の端材を言う。
【0033】
この被溶解物の投入において、先ず表面積が大きく酸化され易い回収印刷版35を溶解炉13に投入して炉床13Bに回収印刷版35の堆積物を形成する(第1の投入工程)。
【0034】
次に、回収印刷版35の堆積物の上にインゴット状をした新地金37を投入して堆積物が略露出しないように覆う(第2の投入工程)。
【0035】
図1では、分かり易いように、回収印刷版35が見えているが、実際には新地金37のインゴットで略露出しないように覆われる。なお、堆積物が略露出しないとしたのは、完全に露出しないことが本発明の本質的な要件ではなく、一見して露出していなければ良い趣旨である。新地金37は1個が5〜10Kg程度の小さめのインゴットであることが好ましい。インゴットの大きさが小さい方が投入の際に炉床13Bを破損しないだけでなく、回収印刷版35の堆積物が露出しないように覆い易い。そして、この状態でバーナー19の炎21を新地金37に当てて溶解する。
【0036】
これにより、先ずインゴット状で表面積が小さいために酸化されにくい新地金37が溶解して溶湯となり、その溶湯によって回収印刷版35を間接的に溶解する。したがって、表面積が大きく酸化され易い薄板状の回収印刷版35であっても溶解中の酸化を効果的に抑制することができるので、回収印刷版35の酸化ロスを大幅に低減することができる。
【0037】
一方、図2に示したように、先ず新地金37を溶解炉13に投入して堆積物を形成し、その後で回収印刷版35を投入して新地金37の堆積物を覆うようにして溶解すると、バーナー19の炎21が酸化され易い回収印刷版35に直接当たる。これにより酸化アルミニウムが形成され易くなるので、回収印刷版35の酸化ロスが極めて大きくなる。
【0038】
事実、新地金37と回収印刷版35との投入比率を同じにして、図1の本発明の溶解方法で行った溶解歩留りと、図2の溶解方法で行った溶解歩留りとを比較した結果、図2の溶解方法が80〜85%であったのに対して、図1の溶解方法では88%〜95%となった。なお、回収印刷版35と新地金37とをランダムに溶解炉13に投入した場合にも、本発明の溶解方法に比べて回収印刷版35が空気に露出する割合が大きいので、酸化ロスは大きくなる。
【0039】
また、更なる溶解歩留り向上のためには、溶解しているときの溶解炉13内の酸素濃度が11%以下であることが好ましく、6%以下であることが特に好ましい。
【0040】
溶解炉13内の酸素濃度を11%以下するための方法としては、空燃比制御と、排煙制御とを好適に行うことができる。
【0041】
即ち、コントローラ31は、空燃比調整手段25を制御して、余剰酸素が溶解炉13内に発生しないように空燃比制御を行う。このように、余剰酸素が溶解炉13内に発生しないように空燃比を可能な限り理論空燃比に近づけるように制御することで、溶解炉13内の酸素濃度を希薄化することができる。
【0042】
更に、コントローラ31は、排煙筒27に備えられたダンパー29を制御して、溶解炉13の内圧が外圧よりも高くなるように排煙制御を行う。これにより、溶解炉13の外部から内部に空気が進入しないようにすることができるので、溶解炉13内の酸素濃度を希薄化することができる。
【0043】
したがって、空燃比制御と排煙制御を行えば、回収印刷版35の酸化ロスを一層抑制することができる。
【0044】
次に、本発明の回収印刷版のリサイクル方法を、従来のリサイクル方法と対比しながら説明する。
【0045】
図3は、回収印刷版をリサイクルして平版印刷版用支持体のアルミニウム原料として再利用する本発明のリサイクルループであり、図4は従来のリサイクルループである。
【0046】
図3及び図4に示すように、アルミ精錬工場10では、ボーキサイトからアルミニウムの新地金37を製造する。アルミニウムの新地金37のアルミニウム純度は99.7%以上であることが好ましい。
【0047】
次に、アルミニウムの新地金37は、アルミ圧延工場14において圧延前溶解炉で溶解されて溶湯となった後、熱間圧延、冷間圧延が行われる。圧延前溶解炉としては、公知のものを使用することができる。これにより、新地金100%のアルミニウム板16がコイル状に巻回されたロール体として製造される。熱間圧延の開始温度は350〜500℃が好ましい。熱間圧延の前又は後、あるいは途中において中間焼鈍処理を行ってもよいが、CO発生を抑制する観点からは、中間焼鈍処理を省略することが好ましい。圧延処理により得られるアルミニウム板の厚みは0.1〜0.4mmの範囲が好ましい。なお、圧延処理の後にローラレベラ、テンションレベラ等の矯正装置によって平面性を改善してもよい。
【0048】
そして、圧延等の処理が施されたアルミニウム板16はコイル状に巻回されたアルミコイルの状態で平版印刷版の製造工場18に送られる。
【0049】
平版印刷版の製造工場18では、アルミニウム板16に、粗面化処理、陽極酸化処理等を行って平版印刷版用支持体を製造する。次に、製版層形成工程において、平版印刷版用支持体の粗面化処理された面に、感光層用塗布液が塗布され、乾燥工程において感光層が乾燥される。これにより、平版印刷版の帯状原版が製造されるので、加工工程において帯状原版に帯状の合紙を重ね合わせた状態で所定寸法の四角形シートに切断して合紙付きの平版印刷版を製造する。かかる帯状原版の加工工程において、帯状原版の切断片等の端材33(一辺が1〜60cm程度の薄板)が発生するので、平版印刷版の製造工場18で回収される。
【0050】
一方、印刷会社32に送られた平版印刷版30は、画像露光及び現像が施された後、印刷機に取り付けて印刷に使用される。そして、印刷に使用された使用済み平版印刷版36は、印刷会社32で再生材料として回収される。
【0051】
ここまでのルートは、本発明も従来も同様である。しかし、本発明のリサイクル方法では、印刷会社32で回収される使用済み平版印刷版36及び、平版印刷版の製造工場18で回収される端材等である回収印刷版35は、従来のように再生工場34(図4参照)を経由しないでアルミ圧延工場14に直接送られる。
【0052】
そして、アルミ圧延工場14の圧延前溶解炉において、回収印刷版35を再生地金にしないで新地金37と一緒に直接溶解し、再生アルミニウム板のコイル状のロール体88を製造する。かかる直接溶解に上記した本発明の溶解方法を使用するようにした。これにより、従来のように再生地金にしないでも、高い溶解歩留りを得ることができるので、圧延前溶解炉での1回の溶解で回収印刷版35を再利用することができる。
【0053】
一方、図4に示す従来のリサイクル方法では、再生工場34とアルミ圧延工場14とで回収印刷版35を2回溶解しなくてはならないので、エネルギー効率が悪い。
【0054】
したがって、本発明の回収印刷版のリサイクル方法は、回収印刷版35を平版印刷版用支持体のアルミニウム原料とするリサイクルのエネルギー効率を顕著に向上できる。
【0055】
これにより、本発明の回収印刷版のリサイクル方法を行えば、溶解のためのエネルギーコストを低減できるだけでなく、再生工場34を経由しないことにより輸送コストも低減できることから、従来に比べて低コストの循環型リサイクルシステムを構築することができる。
【符号の説明】
【0056】
10…アルミ精錬工場、11…溶解炉、17…開閉扉、12…アルミニウムの新地金、13…溶解炉、14…アルミ圧延工場、15…投入口、16…新地金100%のアルミニウム板、17…開閉扉、18…平版印刷版の製造工場、19…バーナー、21…炎、23…配管、25…空燃比調整手段、27…排煙筒、29…ダンパー、30…平版印刷版、31…コントローラ、32…印刷会社、33…端材、34…再生工場、35…回収印刷版(印刷使用済み平版印刷版及び端材)、36…印刷使用済み平版印刷版、37…新地金

【特許請求の範囲】
【請求項1】
使用済みの平版印刷版及び/又は平版印刷版の切断片等の端材を回収した回収印刷版と、新地金とを溶解炉のバーナーで溶解する溶解方法であって、
前記溶解炉に先ず前記回収印刷版を投入して溶解炉の炉床に前記回収印刷版の堆積物を形成する第1の投入工程と、
前記回収印刷版の堆積物の上に前記新地金を投入して前記堆積物が略露出しないように覆う第2の投入工程と、を備え、前記バーナーの炎を前記新地金に当てて溶解することを特徴とする回収印刷版の溶解方法。
【請求項2】
前記溶解炉はアルミ圧延メーカの圧延前溶解炉であることを特徴とする請求項1の回収印刷版の溶解方法。
【請求項3】
前記溶解しているときの溶解炉内の酸素濃度が11%以下であることを特徴とする請求項1又は2の回収印刷版の溶解方法。
【請求項4】
前記酸素濃度が6%以下であることを特徴とする請求項3の回収印刷版の溶解方法。
【請求項5】
前記溶解炉がダンパーを備えた排煙筒を有する気密構造であり、前記ダンパーの開閉により前記溶解炉の内圧が外圧よりも高くなるように排煙制御を行うことを特徴とする請求項1〜4の何れか1の回収印刷版の溶解方法。
【請求項6】
使用済みの平版印刷版及び/又は平版印刷版の切断片等の端材を回収した回収印刷版をリサイクルして平版印刷版用支持体のアルミニウム原料として再利用する回収印刷版のリサイクル方法において、
前記回収印刷版をアルミ圧延メーカの圧延前溶解炉において前記回収印刷版を再生地金にしないで新地金と共に直接溶解すると共に、前記直接溶解に請求項1〜5の何れか1の溶解方法を用いることを特徴とする回収印刷版のリサイクル方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2011−184771(P2011−184771A)
【公開日】平成23年9月22日(2011.9.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−53254(P2010−53254)
【出願日】平成22年3月10日(2010.3.10)
【出願人】(306037311)富士フイルム株式会社 (25,513)
【Fターム(参考)】