説明

回路体及びコネクタ構造

【課題】導通不良の発生を防止することが可能な回路体及びコネクタ構造を提供する。
【解決手段】導体27に連続する端子接続部31は、先割れ部32を有している。また、先割れ部32の奥位置34に連続する部分に接続部35を有している。さらに、先割れ部32の両側にめっきリード36を有している。接続部35は、フォーク端子46との接続部分となっている。フォーク端子46は、仮に位置ズレが生じても、めっきリード36を乗り越えて接続部35に到達し、電気的に接続されるようになっている。端子接続部31は、先割れ部32を有することから、実質的にめっきリード36を細く形成することができるようになっている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、めっきリードを有する回路体と、この回路体を含むコネクタ構造とに関する。
【背景技術】
【0002】
下記特許文献1に開示されたコネクタ構造は、ハウジングと、フォーク端子と、スライダと、フラットケーブルと、ケーブル押さえ部材とを備えて構成されている。特許文献1のコネクタ構造によれば、フォーク端子は、ハウジングに収容される端子として備えられている。また、スライダは、挿入部材として備えられている。また、フラットケーブルは、回路体として備えられている。また、ケーブル押さえ部材は、スライダに嵌合するとともにフラットケーブルを固定するための部材として備えられている。
【0003】
フラットケーブルは、ケーブル押さえ部材によりスライダの下面に固定されている。ハウジング内に収容されたフォーク端子は、この上側端子部及び下側端子部の間にスライダの挿入空間を有している。スライダの挿入がなされると、フラットケーブルは上記固定状態であることから、ケーブル導体が下側端子部に接触して電気的な接続がなされるようになっている。
【0004】
フォーク端子は、フラットケーブルを固定した状態のスライダが挿入されると、この挿入に伴い上側端子部及び下側端子部が離間する方向へと撓む(押し広げられる)ようになっている。そして、この撓みの反力により挟み込みが行われると、下側端子部とケーブル導体との接続が維持されるようになっている。
【0005】
下側端子部とケーブル導体は、下側端子部に形成された突起の頂部がケーブル導体に対し乗り上げるような状態で接触し、これにより接続がなされるようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2003−45558号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上記従来技術のコネクタ構造にあっては、フラットケーブルを例えばFPC(フレキシブルプリント回路体)とし、また、このFPCのケーブル導体にめっきリードを設けるようにすると、次のような問題点の発生が考えられる。すなわち、めっきリードを介してフォーク端子をケーブル導体に接続するにあたり、フォーク端子がめっきリードに適切に乗り上げないということが考えられる。この場合には、フォーク端子の逃げやFPCの逃げが起こってしまうという虞がある。フォーク端子の逃げやFPCの逃げが起こった場合には、導通不良が発生してしまうことになる。以下、導通不良の発生について図面を参照しながら具体的に説明をする。
【0008】
図6(a)及び(b)はFPCの一部を示している。この図において、引用符号1は基材を示している。また、引用符号2は金属箔からなる導体を示している。さらに、引用符号3は導体2に連続するめっきリードを示している。めっきリード3が連続する導体2は、所定の間隔をあけて基材1上に並んで配設されている。めっきリード3の端部4は、基材1の端部5に一致するように配設されている。めっきリード3の線幅は、導体2の線幅よりも十分に細く形成されている。これは、FPC製造時にFPCの外形を切断設備により切り抜くが、めっきリード3の線幅が大きい場合には切断設備の摩耗が早く進行してしまうという理由から、この摩耗進行を遅くするためとして線幅が細く形成されている。めっきリード3の線幅は、電気的な接続相手となる例えばフォーク端子6(図6(c)参照)の端子幅に合わせて設定されている。
【0009】
フォーク端子6は、ハウジングに収容固定されている。また、FPCは、ハウジングに嵌合する挿入部材に固定されている。ハウジングと挿入部材は、コネクタ嵌合する構造を有している。
【0010】
上記構成及び構造において、ハウジングと挿入部材とのコネクタ嵌合を開始すると、ハウジング内のフォーク端子6にFPCが挿入され、この際にフォーク端子6の接続部がめっきリード3を乗り越える(乗り上げる)ような状態になる。そして、所定位置までFPCの挿入がなされると、電気的な接続が完了する。
【0011】
ところで、めっきリード3の位置とフォーク端子6の位置とが一致しない場合、フォーク端子6がめっきリード3の厚みTを乗り越えられず(乗り上げられず)、矢印Pに示す如くフォーク端子6がFPCを避けてしまう場合がある。又は、矢印Qに示す如くFPCがフォーク端子6を避けてしまう場合がある。従って、このような場合において、導通不良が発生してしまうことになる。
【0012】
尚、めっきリード3とフォーク端子6との位置合わせを厳密にするように設計すればよいが、このような対策の場合は、構成部品の製造寸法公差や組み付け寸法公差が厳しくなってしまうという問題点を有している。また、構成部品の累積寸法公差が大きくなるような多極のコネクタ構造の場合には、その対応が困難になってしまうという問題点を有している。
【0013】
本発明は、上記した事情に鑑みてなされたもので、導通不良の発生を防止することが可能な回路体及びコネクタ構造を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
上記課題を解決するためになされた請求項1記載の本発明の回路体は、導体とめっきリードを有する回路体において、先割れ部を形成するとともに該先割れ部の両側に前記めっきリードを配置してなることを特徴とする。
【0015】
このような特徴を有する本発明によれば、位置ズレのない正常な接続の場合、相手端子が先ず先割れ部に挿入され、そして、先割れ部の奥位置で乗り越えがなされると(乗り上げがなされると)接続が完了する。一方、従来導通不良となる位置ズレの接続の場合、本発明においては先割れ部の両側にめっきリードが存在することから、相手端子がめっきリードを乗り越え、これによって接続が完了する。本発明において、先割れ部の幅を接続対象となる相手端子の幅に合わせることがより好適である。先割れ部は、略凹状であればよく、略U字状や略V字状に形成することが好適である。
【0016】
請求項2記載の本発明の回路体は、請求項1に記載の回路体において、前記めっきリードの配置部分の線幅と前記導体の線幅を略同一にすることを特徴とする。
【0017】
このような特徴を有する本発明によれば、めっきリードの配置部分の線幅を導体の線幅と略同一にしても、めっきリードの間に先割れ部を有することから、めっきリードは実質的に細く形成される。従って、回路体の製造にあたり、切断設備の摩耗進行を遅くすることが可能になる。また、本発明によれば、めっきリードの配置部分の線幅を導体の線幅と略同一にすることから、広範囲に位置ズレ吸収をすることが可能になる。
【0018】
また、上記課題を解決するためになされた請求項3記載の本発明のコネクタ構造は、請求項1又は請求項2に記載の回路体と、端子基部から突出する第一端子部及び第二端子部、並びにこれらの間に形成される挿入空間を有するフォーク端子と、該フォーク端子を収容する嵌合部を有するハウジングと、前記回路体を固定した状態で前記嵌合部を介し前記挿入空間へ挿入される挿入部材と、を備え、該挿入部材の前記挿入に伴い前記第一端子部及び前記第二端子部のいずれか一方と前記回路体とを電気的に接続することを特徴とする。
【0019】
このような特徴を有する本発明によれば、ハウジングと挿入部材とのコネクタ嵌合を行うと、フォーク端子の挿入空間に回路体が挿入部材を介して挿入される。この時、フォーク端子が確実に先割れ部の奥位置又はめっきリードを乗り越え、これによって接続が完了する。本発明によれば、フォーク端子が回路体を避けることなく、又は、回路体がフォーク端子を避けることなく、結果、確実な接続を実現することが可能になる。
【発明の効果】
【0020】
請求項1に記載された本発明によれば、先割れ部を形成するとともにこの先割れ部の両側にめっきリードを配置してなることから、導通不良の発生を防止することができるという効果を奏する。
【0021】
請求項2に記載された本発明によれば、めっきリードのより良い一形態を提供することができるという効果を奏する。
【0022】
請求項3に記載された本発明によれば、先割れ部及びこの両側のめっきリードを有する回路体を備えることから、導通不良のないコネクタ構造にすることができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】本発明の回路体とコネクタ構造の一部を含むFPCアッシーを示す図であり、(a)は側面図、(b)は底面図(一部拡大図を含む)である。
【図2】図1のFPCアッシーの嵌合相手となる雌コネクタを示す図であり、(a)は平面図、(b)は側面図である。
【図3】コネクタ嵌合に係る図であり、(a)は嵌合途中の側面図、(b)は嵌合完了時の側面図である。
【図4】フォーク端子の接続に係る図であり、(a)は接続途中の図、(b)は接続完了時の図、(c)は位置ズレ有りの接続途中の図である。
【図5】先割れ部及びめっきリードを含む端子接続部の他の例に係る図である。
【図6】従来例に係る図であり、(a)及び(b)はFPCの一部を示す図、(c)は導通不良の発生を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
回路体は、導体とめっきリードと先割れ部とを有する。めっきリードは、先割れ部の両側に配置される。コネクタ構造は、上記回路体を構成に含み、コネクタ嵌合がなされると、回路体にフォーク端子が電気的に接続される。
【実施例1】
【0025】
以下、図面を参照しながら実施例1を説明する。図1は本発明の回路体とコネクタ構造の一部を含むFPCアッシーを示す図である。また、図2は雌コネクタを示す図、図3はコネクタ嵌合に係る図、図4はフォーク端子の接続に係る図である。
【0026】
図1において、引用符号21はFPCアッシーを示している。FPCアッシー21は、回路体の一例としてのFPC22と、絶縁性を有する合成樹脂製のスライダ23(挿入部材)と、FPC22を押さえ付けるようにスライダ23に係止されるホルダ24とを備えて構成されている。FPCアッシー21は、雌コネクタ25(図2及び図3参照)にコネクタ嵌合するものとなっている。先ず、上記各構成部材について説明をする。
【0027】
FPC22は、公知のフレキシブルプリント回路体(Flexible Printed Circuit)であって、本発明に適用可能な回路体の一種となっている。FPC22は、絶縁性を有する基材26と、所定の間隔で横一列に複数並ぶ導体27と、絶縁性を有する被覆部28(絶縁体)とを有している。
【0028】
複数並ぶ導体27は、金属箔(例えば銅箔)からなるものであって、基材26上に固着されている。導体27は、被覆部28に覆われることにより外部に対し絶縁されている。FPC22における引用符号29は導体露出部を示している。この導体露出部29は、FPC22の端部30から所定の長さで導体27を被覆部28から露出させる部分として形成されている。導体露出部29において露出状態にある導体27の端部には、端子接続部31が連続するように設けられている。端子接続部31は、本発明の特徴部分を含んでいる。
【0029】
端子接続部31は、雌コネクタ25(図2及び図3参照)の後述するフォーク端子46の乗り越え(乗り上げ)部分として、また、電気的な接続がなされる部分として形成されている。さらに、後述するめっきリード36の配置部分として形成されている。端子接続部31は、本実施例において、線幅W1が導体27の線幅W2と同じになるように形成されている。このような線幅W1の端子接続部31には、先割れ部32が形成されている。先割れ部32は、端子接続部31における端部33の略中央を切り欠き開始位置として切り欠き形成されている。本実施例においては、略U字状に切り欠き形成されている(他の切り欠き例は実施例2において説明をする)。
【0030】
FPC22の端部30から先割れ部32の奥位置34までの距離L1は、後述するフォーク端子46の接続完了位置までの距離L2(図4参照)よりも短くなるようになっている。また、先割れ部32の幅W3は、後述するフォーク端子46の端子幅よりも大きくなっている。尚、後述するフォーク端子46の乗り越え(乗り上げ)がある部分の厚みは、従来同様の厚み(T)であるものとする。先割れ部32には、後述するフォーク端子46に位置ズレがない状態(図4(b)参照)や、若干の位置ズレがある状態において、フォーク端子46が挿入されるようになっている。
【0031】
導体27に連続する端子接続部31は、上記先割れ部32の他に次のような部分も有している。すなわち、先割れ部32の奥位置34に連続する部分(上記接続完了位置となる部分)として接続部35を有している。また、先割れ部32の両側(外側)に連続する部分としてめっきリード36を有している。接続部35は、後述するフォーク端子46との接続部分として形成されている。フォーク端子46は、仮に位置ズレが生じても、めっきリード36を乗り越えて接続部35に到達し、電気的に接続されるようになっている。
【0032】
端子接続部31は、この線幅W1が導体27の線幅W2と略同一に形成されているが、先割れ部32を有することから、実質的にめっきリード36を従来同様に細く形成することができるという効果を奏する。そして、この効果により、FPC22の製造において、切断設備の摩耗進行を遅くすることができるという効果も奏する。
【0033】
尚、FPC22以外に適用可能な回路体としては、公知のFFC(フレキシブルフラット回路体)等が挙げられるものとする。本発明においては、後述するフォーク端子46との電気的な接続が可能な回路体であれば上記に限定されないものとする。
【0034】
スライダ23は、スライダ本体37と、このスライダ本体37に一体化するロックアーム部38とを有している。スライダ本体37は、雌コネクタ25(図2及び図3参照)の後述する嵌合部48に挿入される部分として形成されている。また、スライダ本体37の先端部分(挿入先端部分39)は、後述するフォーク端子46に挿入される部分として形成されている。
【0035】
ロックアーム部38は、可撓性を有する片持ちアーム形状に形成されている。ロックアーム部38は、これに形成されるロック穴部(図示省略)が雌コネクタ25(図2及び図3参照)の後述するロック爪部50に引っ掛かり係止されるようになっている。ロックアーム部38は、スライダ23の抜け防止や電気的な接続状態の維持に寄与する部分として形成されている。
【0036】
挿入先端部分39は、位置決め用当接部40と、被押圧保持面部41とを有している。位置決め用当接部40は、スライダ本体37の先端位置かつ上面側に配置形成されている。位置決め用当接部40は、後述するフォーク端子46の位置決め用凸部57に当接する部分として形成されている。スライダ本体37は、この位置決め用当接部40が上記位置決め用凸部57に当接すると、挿入が規制されるようになっている。
【0037】
被押圧保持面部41は、後述するフォーク端子46の第一端子部53(押圧保持面部59)により押圧・保持される部分としてスライダ本体37の上面に形成されている。被押圧保持面部41は、位置決め用当接部40に連続するように配置形成されている。引用符号42はFPC固定部を示している。このFPC固定部42は、FPC22を固定するための部分としてスライダ本体37の下面に配置形成されている。
【0038】
スライダ本体37は、この両側面43に係止突起44を有している。係止突起44は、ホルダ24を係止することができるように略爪状となる形状に形成されている。
【0039】
図2において、雌コネクタ25は、図示しない基板に実装されるコネクタであって、絶縁性を有する合成樹脂製の雌ハウジング45(ハウジング)と、この雌ハウジング45に収容・固定される複数の導電性を有するフォーク端子46とを備えて構成されている。
【0040】
雌ハウジング45は、本実施例において矩形箱形状に形成されている。雌ハウジング45は、この前面47を開口させて形成される嵌合部48を有している。嵌合部48は、フォーク端子46を収容する部分として形成されている。また、嵌合部48は、FPCアッシー21を挿入しコネクタ嵌合をする部分として形成されている。
【0041】
雌ハウジング45は、この上面49の略中央位置にロック爪部50を有している。ロック爪部50は、略爪状となる形状で上面49から突出するように形成されている。ロック爪部50は、FPCアッシー21を係止することができるように形成されている。
【0042】
雌ハウジング45は、この後面51からフォーク端子46の一部が露出するように形成されている。
【0043】
フォーク端子46は、導電性を有するとともに所定の肉厚を有する金属板をプレス加工することにより形成されている。フォーク端子46は、雌端子となる形状に形成されている。フォーク端子46は、端子基部52と、この端子基部52の上端及び下端からそれぞれ突出する第一端子部53及び第二端子部54と、これら第一端子部53及び第二端子部54の間に形成される挿入空間55と、雌ハウジング45の後面51から露出する基板接続部56とを有して図示形状に形成されている。
【0044】
上側に配置される第一端子部53及び下側に配置される第二端子部54は、これらの先端(自由端)位置が若干離間可能なバネ性を有している。このような第一端子部53及び第二端子部54のうち、第一端子部53の中間位置には、位置決め用凸部57が突出形成されている。一方、第二端子部54の先端位置には、接続用凸部58が突出形成されている。位置決め用凸部57及び接続用凸部58は、それぞれ挿入空間55側に突出するように配置形成されている。
【0045】
位置決め用凸部57は、FPCアッシー21の挿入位置を決める部分として形成されている。位置決め用凸部57は、所謂ストッパーとして機能するように形成されている。位置決め用凸部57は、上記の如く第一端子部53の中間位置に存在しており、接続用凸部58よりも奥位置に配置形成されている。第一端子部53の先端から位置決め用凸部57までの間は、FPCアッシー21の挿入部分を押圧・保持する押圧保持面部59として形成されている。
【0046】
接続用凸部58は、FPC22における端子接続部31の接続部35に接触する部分として形成されている。接続用凸部58は、側面視山形状となるように形成されている(電気的な接続が可能であれば形状は特に限定されないものとする)。
【0047】
次に、上記構成及び構造に基づきながら、雌コネクタ25及びFPCアッシー21の組み付けについて、また、電気的な接続について説明をする。
【0048】
雌コネクタ25は、雌ハウジング45の嵌合部48に複数のフォーク端子46を収容することにより組み付けが完了する。また、FPCアッシー21は、スライダ本体37の下面のFPC固定部42にFPC22を固定するとともに、ホルダ24を係止することにより組み付けが完了する。
【0049】
上記組み付けの後、雌コネクタ25に対しFPCアッシー21を図3に示す如くスライドさせてコネクタ嵌合を行うと、この嵌合とともに電気的な接続も完了する。具体的には、FPC22を固定した状態のスライダ本体37を雌ハウジング45の嵌合部48に挿入するとともに、スライダ本体37の挿入先端部分39をフォーク端子46の第一端子部53及び第二端子部54の間に挿入し、この挿入を次のような状態まで行うと、電気的な接続が完了する。すなわち、挿入先端部分39の位置決め用当接部40を第一端子部53の位置決め用凸部57に当接させるまで挿入を行うと、この時、FPC固定部42に固定された状態のFPC22の端子接続部31における接続部35が第二端子部54の接続用凸部58に接触し(接続用凸部58が乗り越えるようにして(乗り上げるようにして)接触し)、これにより電気的な接続が完了する(具体的な接続については後述する)。
【0050】
スライダ本体37の挿入先端部分39は、上記挿入に伴い第一端子部53からの押圧を受けるようになる。従って、接続部35と接続用凸部58との接触状態が維持されるようになる。また、スライダ23におけるロックアーム部38のロック穴部(図示省略)は、雌ハウジング45のロック爪部50に引っ掛かり係止されるようになる。従って、FPCアッシー21の抜けが規制され、接続部35と接続用凸部58との接触状態が維持されるようになる。
【0051】
上記の電気的な接続について図4を参照しながらもう少し具体的に説明をする。
【0052】
図4(a)において、位置ズレのない正常な接続の場合、フォーク端子46の第二端子部54が先ず先割れ部32に挿入される。そして、先割れ部32の奥位置34で乗り越えると、(乗り上げると)、図4(b)に示す如く端子接続部31の接続部35にて接続が完了する。一方、位置ズレの接続の場合、図4(c)に示す如く先割れ部32の両側にめっきリード36を有することから、フォーク端子46の第二端子部54がめっきリード36を乗り越えた後、接続部35に接触する。これにより接続が完了する。
【0053】
以上、図1ないし図4を参照しながら説明してきたように、本発明によれば、端子接続部31が先割れ部32を有するとともに、この先割れ部32の両側にめっきリード36を有し、さらに、これらに連続する接続部35を有することから、電気的な接続を確実に行うことができ、結果、導通不良の発生を防止することができるという効果を奏する。また、本発明によれば、電気的な接続を確実に行うことで導通不良のないコネクタ構造にすることができるという効果を奏する。
【実施例2】
【0054】
以下、図面を参照しながら実施例2を説明する。図5は先割れ部及びめっきリードを含む端子接続部の他の例に係る図である。尚、上記実施例1と同一の構成部材には同一の符号を付して詳細な説明を省略する。
【0055】
図5(a)において、端子接続部60は、この線幅W4が導体27の線幅W2よりも若干細くなるように形成されている。このような端子接続部60は、先割れ部61と、めっきリード62と、接続部63とを有している。めっきリード62は、先割れ部61の両側に配置形成されている。以上のような端子接続部60であっても、上記実施例1と同様の効果を奏するのは言うまでもない。
【0056】
図5(b)において、端子接続部64は、先割れ部65と、めっきリード66と、接続部67とを有している。めっきリード66は、先割れ部65の両側に配置形成されている。先割れ部65は、端部68の略中央を切り欠き開始位置として略V字状に切り欠き形成されている。以上のような端子接続部64であっても、上記実施例1と同様の効果を奏するのは言うまでもない。
【0057】
図5(c)において、端子接続部69は、先割れ部70と、めっきリード71と、接続部72とを有している。めっきリード71は、先割れ部70の両側に配置形成されている。先割れ部70は、端部73の略中央を切り欠き開始位置として略凹状に切り欠き形成されている。以上のような端子接続部69であっても、上記実施例1と同様の効果を奏するのは言うまでもない。
【0058】
この他、本発明は本発明の主旨を変えない範囲で種々変更実施可能なことは勿論である。
【符号の説明】
【0059】
21…FPCアッシー
22…FPC(回路体)
23…スライダ(挿入部材)
24…ホルダ
25…雌コネクタ
26…基材
27…導体
28…被覆部
29…導体露出部
30…端部
31…端子接続部
32…先割れ部
33…端部
34…奥位置
35…接続部
36…めっきリード
37…スライダ本体
38…ロックアーム部
39…挿入先端部分
40…スライダ本体
41…被押圧保持面部
42…FPC固定部
43…側面
44…係止突起
45…雌ハウジング(ハウジング)
46…フォーク端子
47…前面
48…嵌合部
49…上面
50…ロック爪部
51…後面
52…端子基部
53…第一端子部
54…第二端子部
55…挿入空間
56…基板接続部
57…位置決め用凸部
58…接続用凸部
59…押圧保持面部
60、64、69…端子接続部
61、65、70…先割れ部
62、66、71…めっきリード
63、67、72…接続部
68、73…端部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
導体とめっきリードを有する回路体において、
先割れ部を形成するとともに該先割れ部の両側に前記めっきリードを配置してなる
ことを特徴とする回路体。
【請求項2】
請求項1に記載の回路体において、
前記めっきリードの配置部分の線幅と前記導体の線幅を略同一にする
ことを特徴とする回路体。
【請求項3】
請求項1又は請求項2に記載の回路体と、
端子基部から突出する第一端子部及び第二端子部、並びにこれらの間に形成される挿入空間を有するフォーク端子と、
該フォーク端子を収容する嵌合部を有するハウジングと、
前記回路体を固定した状態で前記嵌合部を介し前記挿入空間へ挿入される挿入部材と、
を備え、
該挿入部材の前記挿入に伴い前記第一端子部及び前記第二端子部のいずれか一方と前記回路体とを電気的に接続する
ことを特徴とするコネクタ構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2012−178383(P2012−178383A)
【公開日】平成24年9月13日(2012.9.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−39244(P2011−39244)
【出願日】平成23年2月25日(2011.2.25)
【出願人】(000006895)矢崎総業株式会社 (7,019)
【Fターム(参考)】