説明

回路基板及びその製造方法

【課題】歩留りを向上できる回路基板を提供する。
【解決手段】絶縁基板2上に形成される導体部4の一部を露出した第1、第2ランド部11、21を設け、第1ランド部11にチップ部品10を半田付けするとともに貫通孔21aを有する第2ランド部21に挿入部品20を半田付けする回路基板1の製造方法において、マスク6により所定位置を覆って第1、第2ランド部11、21にペースト状の第1半田12を塗布するリフロー半田工程と、第1ランド部11にチップ部品10を半田付けするチップ部品実装工程と、絶縁基板2を半田槽に浸漬して第2半田22を第2ランド部21に設けるフロー半田工程と、貫通孔21aに挿入した挿入部品20を第2ランド部21に半田付けする挿入部品実装工程とを備えた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、チップ部品と挿入部品を実装した回路基板及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の回路基板は特許文献1に開示される。この回路基板は絶縁基板に設けられた導体部の一部を露出したランド部にリフロー半田工程及びフロー半田工程によって半田が設けられる。リフロー半田工程はクリーム半田等のペースト状の半田がランド部に塗布される。IC等のチップ部品はリフロー半田工程で設けられた半田上に設置され、恒温槽で所定温度に昇温して半田付けされる。
【0003】
フロー工程は半田槽内に絶縁基板を浸漬して貫通孔を有するランド部に半田が設けられる。コンデンサ等の挿入部品は貫通孔に挿入され、貫通孔の周囲のランド部に設けた半田により半田付けされる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2008−60327号公報(第4頁−第5頁、第5図)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記従来の回路基板によると、リフロー半田工程で絶縁基板を恒温槽に入れるため、挿入部品が配されるランド部が酸化し易くなる。このため、フロー半田工程で該ランド部に半田が付きにくく、挿入部品の半田付け不良が生じて回路基板の歩留りが低下する問題があった。
【0006】
本発明は、歩留りを向上できる回路基板及びその製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために本発明は、絶縁基板上に形成される導体部の一部を露出した第1、第2ランド部を設け、第1ランド部にチップ部品を半田付けするとともに貫通孔を有する第2ランド部に挿入部品を半田付けする回路基板の製造方法において、マスクにより所定位置を覆って第1、第2ランド部にペースト状の第1半田を塗布するリフロー半田工程と、第1ランド部に前記チップ部品を半田付けするチップ部品実装工程と、前記絶縁基板を半田槽に浸漬して第2半田を第2ランド部に設けるフロー半田工程と、前記貫通孔に挿入した前記挿入部品を第2ランド部に半田付けする挿入部品実装工程とを備えたことを特徴としている。
【0008】
この構成によると、絶縁基板上には所定のパターンの導体部が形成され、導体部の一部を露出して第1、第2ランド部が設けられる。リフロー半田工程では第1、第2ランド部を露出してマスクにより絶縁基板が覆われ、第1、第2ランド部上にクリーム半田等のペースト状の第1半田が塗布される。チップ部品実装工程では第1ランド部の第1半田上にチップ部品が設置され、絶縁基板を恒温槽に入れてチップ部品が半田付けされる。フロー半田工程では絶縁基板が半田槽に浸漬され、第2ランド部の第1半田上に第2半田が付着する。この時、チップ部品を覆って絶縁基板を半田槽に浸漬してもよい。挿入部品実装工程では第2ランド部の貫通孔に挿入部品が挿入され、第2半田によって挿入部品が半田付けされる。
【0009】
また本発明は、上記構成の回路基板の製造方法において、前記マスクにより前記貫通孔を覆うことを特徴としている。この構成によると、リフロー半田工程で貫通孔がマスクにより覆われ、第1半田による貫通孔の閉塞が防止される。
【0010】
また本発明は、上記構成の回路基板の製造方法において、前記絶縁基板の両面に第1ランド部を設けて前記チップ部品が実装されるとともに一方の面の第2ランド部に第2半田を設け、一方の面の前記リフロー半田工程を他方の面の前記チップ部品実装工程の前に行うことを特徴としている。
【0011】
この構成によると、例えば、絶縁基板の表面の第1ランド部にリフロー半田工程によって第1半田が塗布され、次に裏面の第1、第2ランド部にリフロー半田工程によって第1半田が塗布される。そして、チップ部品実装工程によって両面の第1ランド部にチップ部品が実装された後に、フロー半田工程によって裏面の第2ランド部に第2半田が設けられる。裏面の第1ランド部にチップ部品を実装した後に表面の第1ランド部のリフロー半田工程を行ってもよい。
【0012】
また本発明は、絶縁基板上に第1ランド部と貫通孔を有する第2ランド部とが露出し、第1ランド部にペースト状の第1半田を塗布してチップ部品が半田付けされるとともに、前記絶縁基板を半田槽に浸漬することによって第2ランド部に第2半田を設けて挿入部品が半田付けされる回路基板において、第2ランド部に第1半田を塗布した後に第2半田を設けたことを特徴としている。
【0013】
この構成によると、第1半田が塗布された第1ランド部上にチップ部品が半田付けされる。第2ランド部には第1、第2半田が積層され、第2ランド部の貫通孔に挿入された挿入部品が半田付けされる。
【発明の効果】
【0014】
本発明によると、挿入部品が取り付けられる第2ランド部にペースト状の第1半田を塗布し、絶縁基板を半田槽に浸漬して第2ランド部の第1半田上に第2半田を設けるので、高価なメッキ処理等を必要とせず第2ランド部の酸化を防止することができる。従って、挿入部品の半田付け不良を低減して回路基板の歩留りを向上することができる。加えて、第1半田に含まれるフラックス成分によって第2半田が付きやすくなり、半田付け時間を短縮して電子部品への熱ストレスを低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の実施形態の回路基板を示す側面断面図
【図2】本発明の実施形態の回路基板の表面リフロー半田工程を示す側面断面図
【図3】本発明の実施形態の回路基板の表面チップ部品実装工程を示す側面断面図
【図4】本発明の実施形態の回路基板の裏面リフロー半田工程を示す側面断面図
【図5】本発明の実施形態の回路基板の裏面リフロー半田工程のマスクを示す平面図
【図6】図5のA部及びB部拡大図
【図7】本発明の実施形態の回路基板の裏面リフロー半田工程の第2ランド部を示す平面図
【図8】本発明の実施形態の回路基板の裏面チップ部品実装工程を示す側面断面図
【図9】本発明の実施形態の回路基板のフロー半田工程を示す側面断面図
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下に本発明の実施形態を図面を参照して説明する。図1は一実施形態の回路基板を示す側面断面図である。回路基板1は絶縁基板2上に銅箔等によって所定のパターンの導体部4が形成される。導体部4はレジスト5により覆われて一部が露出し、第1、第2ランド部11、21が形成される。第2ランド部21は絶縁基板2を貫通する貫通孔21aの周囲に設けられる。
【0017】
第1ランド部11上にはクリーム半田等のペースト状の第1半田12が塗布され、IC等のチップ部品10の脚部10aが半田付けされる。第2ランド部12上には半田槽に絶縁基板2を浸漬して第2半田22が設けられ、コンデンサ等の挿入部品20の脚部20aが貫通孔21aに挿入して半田付けされる。
【0018】
図2〜図9は回路基板1の製造工程を示している。図2は絶縁基板2の一方の面(表面)の第1ランド部11に第1半田を塗布する表面リフロー半田工程の側面断面図を示している。絶縁基板2には導体部4の一部を露出した第1、第2ランド部11、21が形成され、表面の第1ランド部11にクリーム半田等のペースト状の第1半田12が塗布される。この時、貫通孔21aを有する表面の第2ランド部21はマスク等により覆われる。
【0019】
次に、図3は絶縁基板2の表面にチップ部品10を実装する表面チップ部品実装工程の側面断面図を示している。絶縁基板2の表面の第1ランド部11の第1半田12上にはIC等のチップ部品10の脚部10aが設置される。そして、絶縁基板2が恒温槽に入れられ、溶融した第1半田12によってチップ部品10が半田付けされる。
【0020】
次に、図4は絶縁基板2の他方の面(裏面)の第1ランド部11に第1半田12を塗布する裏面リフロー半田工程の側面断面図を示している。絶縁基板2の裏面上には図5に示すようなマスク6が設置される。マスク6によって第1半田12を塗布する第1、第2ランド部11、21を露出して絶縁基板2が覆われる。そして、クリーム半田等のペースト状の第1半田12が第1、第2ランド部11、21に塗布される。
【0021】
図6は図5のA部及びB部の詳細を示している。マスク6は第2ランド部21に対向する複数のアーチ状の孔部6aが環状に配置される。これにより、孔部6aの内縁の内側には第2ランド部21の貫通孔21aを覆う円形の遮蔽部6bが形成される。絶縁基板2をマスク6で覆って第1半田12を塗布すると、図7に示すように第2ランド部21上にアーチ状の第1半田12が形成される。
【0022】
次に、図8は絶縁基板2の裏面にチップ部品10を実装する裏面チップ部品実装工程の側面断面図を示している。絶縁基板2の裏面の第1ランド部11の第1半田12上にはチップ部品10の脚部10aが設置される。そして、絶縁基板2が恒温槽に入れられ、溶融した第1半田12によってチップ部品10が半田付けされる。
【0023】
次に、図9は絶縁基板2の裏面の第2ランド部21に第2半田22を設けるフロー半田工程の側面断面図を示している。絶縁基板2は両面のチップ部品10や表面の第2ランド部21をマスク(不図示)により覆われ、半田槽に浸漬される。これにより、裏面の第2ランド部21に第2半田22が設けられる。この時、第2半田22は第2ランド部21に塗布された第1半田12上に付着するため、第1半田12に含まれるフラックス成分により第2半田22を容易に付着させることができる。
【0024】
そして、挿入部品実装工程で貫通孔21aに挿入部品20の脚部20aが挿入されて挿入部品20が半田付けされ、前述の図1に示す回路基板1が得られる。
【0025】
本実施形態によると、裏面リフロー半田工程(リフロー半田工程)で挿入部品20が取り付けられる第2ランド部21にペースト状の第1半田12を塗布し、フロー半田工程で絶縁基板2を半田槽に浸漬して第2ランド部21の第1半田上12に第2半田22を設けるので、高価なメッキ処理等を必要とせず第2ランド部21の酸化を防止することができる。従って、挿入部品20の半田付け不良を低減して回路基板1の歩留りを向上することができる。加えて、第1半田12に含まれるフラックス成分によって第2半田22が付きやすくなり、半田付け時間を短縮して電子部品への熱ストレスを低減することができる。
【0026】
また、裏面リフロー半田工程でマスク6により貫通孔21aを覆うので、貫通孔21aの第1半田12による閉塞を防止することができる。
【0027】
本実施形態において、裏面リフロー半田工程を表面チップ部品実装工程の後に行っているが、表面チップ部品実装工程の前に行ってもよい。これにより、表面チップ部品実装工程で絶縁基板2を恒温槽に入れる前に第2半田22が設けられる裏面の第2ランド部21に第1半田12が塗布される。従って、第2ランド部21の酸化をより確実に防止することができる。尚、裏面チップ部品実装工程の後に表面リフロー半田工程及び表面チップ部品実装工程を行ってもよい。
【産業上の利用可能性】
【0028】
本発明によると、チップ部品と挿入部品を実装した回路基板に利用することができる。
【符号の説明】
【0029】
1 回路基板
2 絶縁基板
4 導体部
5 レジスト
6 マスク
6a 孔部
10 チップ部品
11 第1ランド部
12 第1半田
20 挿入部品
21 第2ランド部
21a 貫通孔
22 第2半田

【特許請求の範囲】
【請求項1】
絶縁基板上に形成される導体部の一部を露出した第1、第2ランド部を設け、第1ランド部にチップ部品を半田付けするとともに貫通孔を有する第2ランド部に挿入部品を半田付けする回路基板の製造方法において、マスクにより所定位置を覆って第1、第2ランド部にペースト状の第1半田を塗布するリフロー半田工程と、第1ランド部に前記チップ部品を半田付けするチップ部品実装工程と、前記絶縁基板を半田槽に浸漬して第2半田を第2ランド部に設けるフロー半田工程と、前記貫通孔に挿入した前記挿入部品を第2ランド部に半田付けする挿入部品実装工程とを備えたことを特徴とする回路基板の製造方法。
【請求項2】
前記マスクにより前記貫通孔を覆うことを特徴とする請求項1に記載の回路基板の製造方法。
【請求項3】
前記絶縁基板の両面に第1ランド部を設けて前記チップ部品が実装されるとともに一方の面の第2ランド部に第2半田を設け、一方の面の前記リフロー半田工程を他方の面の前記チップ部品実装工程の前に行うことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の回路基板の製造方法。
【請求項4】
絶縁基板上に第1ランド部と貫通孔を有する第2ランド部とが露出し、第1ランド部にペースト状の第1半田を塗布してチップ部品が半田付けされるとともに、前記絶縁基板を半田槽に浸漬することによって第2ランド部に第2半田を設けて挿入部品が半田付けされる回路基板において、第2ランド部に第1半田を塗布した後に第2半田を設けたことを特徴とする回路基板。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2010−212591(P2010−212591A)
【公開日】平成22年9月24日(2010.9.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−59411(P2009−59411)
【出願日】平成21年3月12日(2009.3.12)
【出願人】(000001889)三洋電機株式会社 (18,308)
【出願人】(000214892)三洋電機コンシューマエレクトロニクス株式会社 (1,582)
【Fターム(参考)】