説明

回路基板検査装置

【課題】検査時間を短縮する。
【解決手段】検知装置17の静電結合プローブ4が、COF50の2つの出力配線群に属する全ての出力配線と静電結合されている。制御信号生成回路11が、各出力配線群に対応する多数の出力端子のうちの1つから互いに異なる周波数を有する2つの応答信号が出力されるような制御信号を生成する。検知装置17は、互いに異なる2つの周波数毎に独立して応答信号を検知する。判定回路16が、検知装置17からの検知結果に基づいて応答信号が出力された出力端子とこれに対応する回路出力ランドとが電気的に接合されているか否かを2つ同時に判定する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、集積回路が実装された回路基板において、集積回路の端子と回路基板に形成されたランドとが電気的に接合されているか否かを検査する回路基板検査装置に関する。
【背景技術】
【0002】
集積回路が実装された回路基板において、集積回路の端子と回路基板に形成されたランドとが電気的に接合されているか否かを検査する回路基板検査装置がある。このような回路基板検査装置においては、回路基板における集積回路の入力端子と電気的に接合されるべきランドに係る入力配線に制御信号を入力し、この制御信号に対する応答信号を集積回路の出力端子と電気的に接合されるべきランドに係る出力配線から検知することによって、集積回路の端子と回路基板に形成されたランドとが電気的に接合されているか否かを検査する。近年、回路基板の小型化の要請により、回路基板における出力配線のランドが狭ピッチで多数形成されることがある。この場合、出力配線に係るランドにプローブを正確に接触させることが難しい。そこで、導電性を有する薄板状のプローブと出力配線とを絶縁膜を介して密着させることによって、両者を静電結合させる技術が知られている(例えば、特許文献1参照)。これによると、プローブを複数の出力配線と対向するように配置すればよいため、検査時におけるプローブの設置が容易となる。
【0003】
【特許文献1】特開2002−156417号公報(図1)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述した技術によると、出力端子からの応答信号を検知するために、プローブと静電結合された複数の出力配線に係る各出力端子から順に応答信号を出力させる必要があり、複数のランドと出力端子との接合状態を同時に検査することができない。このため、出力配線が多数形成されている場合には、検査に時間がかかってしまう。
【0005】
そこで、本発明の目的は、検査時間を短縮することができる回路基板検査装置を提供することである。
【課題を解決するための手段及び発明の効果】
【0006】
本発明の回路基板検査装置は、制御信号が入力される入力端子及び前記入力端子に入力された制御信号に基づいて応答信号を出力する複数の出力端子を有する集積回路が実装されていると共に、複数の前記出力端子と電気的に接合されるべき複数の出力配線が形成された回路基板を検査するための回路基板検査装置である。そして、前記入力端子と電気的に接続される入力プローブと、前記入力プローブから前記入力端子に入力される制御信号を生成する制御信号生成手段と、2以上の前記出力配線から成る複数の出力配線群毎に前記応答信号を検知する検知装置と、前記検知装置の検知結果に基づいて前記出力端子と前記出力配線とが電気的に接合されているか否かを判定する判定手段とを備えている。前記制御信号生成手段が、共通の前記出力配線群に属する複数の前記出力端子からそれぞれ同じ周波数を有していると共に互いに異なるタイミングで、且つ、互いに異なる前記出力配線群に属する前記出力端子から互いに異なる周波数を有する前記応答信号が出力されるような制御信号を生成している。前記検知装置が、複数の前記出力配線と静電結合することによって、当該出力配線と電気的に接合されるべき前記出力端子から出力された前記応答信号が当該出力配線を介して入力される静電結合プローブを有しており、前記静電結合プローブから入力された前記応答信号を周波数毎に独立して検知する。
【0007】
本発明によると、制御信号生成手段が、互いに異なる出力配線群に属する複数の出力端子から互いに異なる周波数を有する応答信号が出力されるような制御信号を生成したとき、検知装置が、静電結合プローブから入力された互いに周波数の異なる複数の応答信号を同時に検知することができる。これにより、判定手段が出力配線と出力端子とが電気的に接合されているか否かを複数同時に判定することができる。このため、回路基板の検査時間を短縮することができる。
【0008】
本発明においては、前記検知装置が、前記静電結合プローブに入力された応答信号が有する周波数帯域の信号のみを通過させる複数のフィルタ回路をさらに有していることが好ましい。これによると、検知装置において、簡単な構成で互いに異なる周波数を有する複数の応答信号を検知することができる。
【0009】
また、本発明においては、前記検知装置が、前記静電結合プローブに入力された応答信号の信号強度を増幅する増幅回路をさらに有していることが好ましい。これによると、静電結合プローブからの応答信号が増幅されるため、静電結合プローブに入力された応答信号が微弱な場合であっても、応答信号を確実に検知することができる。
【0010】
さらに、本発明においては、前記検知装置が、前記静電結合プローブに入力された応答信号の積分値を出力する積分回路をさらに有していることが好ましい。これによると、静電結合プローブからの応答信号が積分されるため、静電結合プローブに入力された応答信号が微弱な場合であっても、応答信号を確実に検知することができる。
【0011】
加えて、本発明においては、前記検知装置を複数備えていてもよい。これによると、回路基板の検査時間をさらに短縮することができる。
【0012】
また、本発明においては、前記制御信号生成手段が、互いに異なる前記出力配線群に属する前記出力端子からそれぞれ同じタイミングで応答信号が出力されるような制御信号を生成することが好ましい。これによると、出力配線群の数に応じて回路基板の検査時間を確実に短縮することができる。
【0013】
さらに、本発明においては、前記出力配線群に属する複数の前記出力配線は、前記静電結合プローブに静電結合される領域の面積が互いに同じになっていることが好ましい。これによると、静電結合プローブに入力される応答信号の信号強度が均一化される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、本発明の好適な実施の形態について、図面を参照しつつ説明する。
【0015】
<第1実施形態>
図1は、本発明に係る第1実施形態の回路基板検査装置の概略構成図である。図2は、回路基板検査装置1の検査対象となるCOF(Chip On Film)の平面図である。図3は、図1に示すIII−III線に関する回路基板検査装置1の部分断面図である。回路基板検査装置1は、COF50に実装されたドライバIC(集積回路)52の入力端子52a及び出力端子52bとこれに対応するCOF50の回路入力ランド55及び回路出力ランド56とが電気的に接合されているか否かの検査を行うものである。図1に示すように、回路基板検査装置1は、基台2と、入力プローブ3と、静電結合プローブ4と、絶縁シート6と、制御装置10とを有している。
【0016】
図2に示すように、検査対象となるCOF50は、ポリイミドからなるシート基材51に、複数の外部入力ランド53、複数の入力配線54、複数の回路入力ランド55、多数の回路出力ランド56、多数の出力配線57及び多数の外部出力ランド58が形成されたフレキシブル回路基板にドライバIC52が実装されたものである。なお、COF50は、例えば、インクジェットヘッドに用いられるものである。インクジェットヘッドにおいては、インク滴が吐出されるノズルに連通している多数の圧力室が形成されているとともに、圧力室に圧力を付与する圧電素子上に多数の個別電極が2次元配列されている。各個別電極は、対応する圧力室とそれぞれ対向配置され、COF50はこの個別電極に圧電素子を駆動するための駆動電圧を印加するために用いられる。
【0017】
ドライバIC52は、その下面に配列された複数の入力端子52aと、入力端子52aと対向するように配列された多数の出力端子52bとが形成されている。また、ドライバIC52は、複数の入力端子52aに制御信号が入力されると、入力された制御信号によって決定される出力端子52bから応答信号を出力する。出力端子52bの数は入力端子52aの数よりも多くなっている。したがって、出力端子52bは入力端子52aより狭ピッチで配置されている。
【0018】
外部入力ランド53は、入力端子52aに入力される制御信号が入力されるものであって、シート基材51の一端(図2中下方端)近傍に千鳥状に配列されている。回路入力ランド55は、ドライバIC52の入力端子52aと電気的に接合されるものであって、シート基材51の中央(図2中上下方向中央)近傍において外部入力ランド53と対向するように配列されている。入力配線54は、外部入力ランド53とこれに対応する回路入力ランド55とを電気的に接続するものである。回路出力ランド56は、ドライバIC52の出力端子52bと電気的に接合されるものであって、シート基材51の中央近傍において回路入力ランド55と対向するように配列されている。外部出力ランド58は、出力端子52bから出力された応答信号を出力するためのものであり、シート基材51の他端(図2中上方端)近傍に台形マトリックス状に配置されている。出力配線57は、回路出力ランド56とこれに対応する外部出力ランド58とを電気的に接続するものである。本実施の形態では、図2に示すように、複数の外部入力ランド53、複数の回路入力ランド55及び入力端子52a、複数の出力端子52b及び回路出力ランド56、複数の外部出力ランド58がそれぞれ互いに平行な列状に配置されている。
【0019】
このように、COF50においては、回路出力ランド56が出力端子52bと同様に狭ピッチで配置されているため、特に、回路出力ランド56と出力端子52bとが電気的に接合されているか否かを検査する必要がある。
【0020】
図1に戻って、基台2は、検査対象となるCOF50が設置されるものである。入力プローブ3は、COF50の外部入力ランド53に接続されることによって、制御装置10からの制御信号を外部入力ランド53に入力するものである。静電結合プローブ4は、矩形状を有する導電性薄膜であり、COF50の全ての出力配線57と静電結合することによって、出力端子52bから出力された応答信号が、出力配線57を介して入力される。また、静電結合プローブ4は、同軸ケーブル5を介して制御装置10と接続されている。絶縁シート6は、図3に示すように、基台2に設置されたCOF50の出力配線57と静電結合プローブ4との間に配置するものである。これにより、COF50の出力配線57と静電結合プローブ4とが絶縁され、出力配線57と静電結合プローブ4との静電結合が可能となる。
【0021】
次に、COF50を検査するときにおける静電結合プローブ4の配置位置について図4を参照しつつ説明する。図4は、COF50を検査するときにおける静電結合プローブ4の配置位置を示す図である。なお、図4においては、説明の都合上、COF50の破線で示すべき領域を実線で示している。図4に示すように、COF50においては、互いに隣接する複数の出力配線57から成る2つの出力配線群A1、A2が形成されている。そして、静電結合プローブ4は、2つの出力配線群A1、A2に属する全ての出力配線57と静電結合されるように、その長手方向が出力配線57の配列方向に沿うように配置される。ここで、全ての出力配線57における、静電結合プローブ4に静電結合される領域の面積が互いに同じになっている。
【0022】
制御装置10について図5を参照しつつ説明する。図5は回路基板検査装置1の機能ブロック図である。制御装置10は、入力プローブ3から制御信号を出力させるとともに、静電結合プローブ4に出力された応答信号に基づいて、入力端子52a及び出力端子52bと対応するCOF50の回路入力ランド55及び回路出力ランド56とが電気的に接合されているか否かに加え、外部入力ランド53から静電結合プローブ4に至る配線の接続状態の良否の判定を行うものである。また、図5に示すように、制御装置10は、PC60に接続されている。ユーザはPC60を介して制御装置10を操作することができる。
【0023】
制御装置10は、制御信号生成回路(制御信号生成手段)11と、ドライバIC駆動電源12と、2つのフィルタ回路13a、13bと、2つの増幅回路14a、14bと、2つの積分回路15a、15bと、判定回路(判定手段)16とを有している。制御信号生成回路11は、入力プローブ3と接続されており、入力プローブ3からCOF50の外部入力ランド53、入力配線54及び回路入力ランド55を介してドライバIC52の複数の入力端子52aに入力される制御信号を生成するものである。制御信号生成回路11が生成する制御信号は、ドライバIC52の入力端子52aに入力されると、出力端子群A1に係る出力端子52bの1つから20KHzの周波数を有する応答信号が出力され、出力端子群A2に係る出力端子52bの1つから40KHzの周波数を有する応答信号が出力される。言い換えれば、共通の出力配線群A1、A2に属する複数の出力端子52bからそれぞれ同じ周波数を有していると共に互いに異なるタイミングで、且つ、互いに異なる出力配線群A1、A2に係る出力端子52bから互いに異なる周波数を有する応答信号が出力される。ドライバIC駆動電源12は、ドライバIC52を駆動させるための電源回路である。
【0024】
フィルタ回路13a、13bは、同軸ケーブル5を介して静電結合プローブ4に接続されている。フィルタ回路13aは、静電結合プローブ4に出力された応答信号のうち、主に20KHzを中心とし所定の幅の周波数を有する応答信号を通過させるバンドパスフィルタであり、フィルタ回路13bは、主に40KHzを中心とし所定の幅の周波数を有する応答信号を通過させるバンドパスフィルタである。つまり、フィルタ回路13aにおいては、出力配線群A1に係る出力端子52bから出力された20KHzの周波数を有する応答信号が優先的に通過し、フィルタ回路13bにおいては、出力配線群A2に係る出力端子52bから出力された40KHzの周波数を有する応答信号が優先的に通過する。フィルタ回路13a、13bを通過した応答信号は、対応する増幅回路14a、14bにそれぞれ出力される。2つの増幅回路14a、14bは、フィルタ回路13a、13bから入力された応答信号の信号強度を増幅するものである。増幅回路14a、14bにおいて増幅された応答信号は、対応する積分回路15a、15bにそれぞれ出力される。2つの積分回路15a、15bは、増幅回路14a、14bから入力された応答信号を積分するものである。増幅回路14a、14bにおいて積分された応答信号は、応答信号の検知結果として判定回路16に出力される。
【0025】
ここで、静電結合プローブ4、フィルタ回路13a、13b、増幅回路14a、14b及び積分回路15a、15bが検知装置17を形成している。なお、検知装置17においては、増幅回路14a、14b及び積分回路15a、15bの順に接続されているが、積分回路15a、15b及び増幅回路14a、14bの順に接続されていてもよい。
【0026】
判定回路16は、制御信号生成回路11が生成した制御信号の内容、及び、検知装置17からの検知結果に基づいて、入力端子52a及び出力端子52bと対応するCOF50の回路入力ランド55及び回路出力ランド56とが電気的に接合されているか否かに加え、外部入力ランド53から静電結合プローブ4に至る配線の接続状態の良否の判定を行うものである。
【0027】
回路基板検査装置1の作動について図6を参照しつつ説明する。図6は、COF50を検査するときにおける回路基板検査装置1の作動を示すフローチャートである。まず、入力プローブ3を、基台2に設置されたCOF50の外部入力ランド53に接続し、静電結合プローブ4を、対応する出力配線群A1、A2に属する全ての出力配線57と静電結合されるように絶縁シート6とともに設置する(図4参照)。
【0028】
そして、ユーザがPC60を操作することによって検査が開始されると、図6に示すように、ステップS101(以下、S101と略す。他のステップも同様)に移行し、制御信号生成回路11が、出力配線群A1に係る多数の出力端子52bのうちの1つから20KHzの周波数を有する応答信号が出力されるとともに、これと同じタイミングで出力配線群A2に係る多数の出力端子52bのうちの1つから40KHzの周波数を有する応答信号が出力されるような制御信号を生成する。生成された制御信号は、入力プローブ3を介してCOF50の外部入力ランド53に入力される。そして、入力端子52aとこれに対応する回路入力ランド55とが電気的に接合されている場合には、入力端子52aからドライバIC52に制御信号が入力され、出力配線群A1に係る1つの出力端子52bから20KHz周波数を有する応答信号が出力され、これと同じタイミングで出力配線群A2に係る1つの出力端子52bから40KHz周波数を有する応答信号が出力される。さらに、応答信号が出力される出力端子52bとこれに対応する回路出力ランド56とが電気的に接合されている場合には、これら各出力端子52bから電気的に接合された出力配線57に所定以上の信号強度を有する応答信号が出力される。そして、出力配線群A1に属する当該出力配線57から20KHzの周波数を有する応答信号が静電結合プローブ4に出力されるとともに、出力配線群A2に属する当該出力配線57から40KHzの周波数を有する応答信号が検知装置17の静電結合プローブ4に出力される。
【0029】
そして、S102に移行し、検知装置17において、静電結合プローブ4に出力された応答信号のうち、20KHz及びその近傍の周波数を有する応答信号がフィルタ回路13aを通過し、増幅回路14aによって信号強度が増幅され、積分回路15aによって積分されて検知結果が生成される。生成された検知結果は判定回路16に出力される。そして、S103に移行し、判定回路16が、検知装置17から出力された検知結果である応答信号の信号強度が所定以上になっているか否かに基づいて、入力端子52aとこれに対応する回路入力ランド55とが電気的に接合されているか否か、及び、当該応答信号を出力した出力配線群A1に係る出力端子52bとこれに対応する回路出力ランド56とが電気的に接合されているか否かを判定する。
【0030】
また、S102に移行すると同時にS104に移行し、検知装置17において、静電結合プローブ4に出力された応答信号のうち、40KHz及びその近傍の周波数を有する応答信号がフィルタ回路13bを通過し、増幅回路14bによって信号強度が増幅され、積分回路15bによって積分されて検知結果が生成される。生成された検知結果は判定回路16に出力される。そして、S105に移行し、判定回路16が、検知装置17から出力された検知結果である応答信号の信号強度が所定以上になっているか否かに基づいて、入力端子52aとこれに対応する回路入力ランド55とが電気的に接合されているか否か、及び、当該応答信号を出力した出力配線群A2に係る出力端子52bとこれに対応する回路出力ランド56とが電気的に接合されているか否かを判定する。
【0031】
その後、S106に移行して、出力配線群A1、A2に係る検査すべき次の出力端子52bがあるか否を判断する。検査すべき次の出力端子52bがある場合には(S106:YES)、再びS101に移行し、検査すべき次の出力端子52bに関して上述した作動を繰り返す。検査すべき次の出力端子52bがない場合には(S106:NO)、COF50の検査を終了する。
【0032】
以上、説明した本実施形態によると、制御信号生成回路11が、出力配線群A1、A2に係る1つの出力端子52bから同じタイミングで、且つ、互いに異なる周波数(20KHz、40KHz)を有する2つの応答信号が出力されるような制御信号を生成したとき、検知装置17が、当該2つの応答信号を同時に検知する。これにより、判定回路16が、応答信号が出力される出力端子52bとこれに対応する回路出力ランド56とが電気的に接合されているか否かを2つ同時に判定することができる。このため、COF50の検査時間を短縮することができる。
【0033】
また、検知装置17が、20KHz及びその近傍の周波数の応答信号を通過させるフィルタ回路13aと、40KHz及びその近傍の周波数の応答信号を通過させるフィルタ回路13bとを有しているため、簡単な構成で互いに異なる周波数を有する2つの応答信号を同時に検知することができる。
【0034】
さらに、検知装置17が、応答信号の信号強度を増幅する増幅回路14a、14b及び応答信号を積分する積分回路15a、15bを有しているため、静電結合プローブ4に入力された応答信号が微弱な場合であっても、応答信号を確実に検知することができる。
【0035】
加えて、全ての出力配線57における、静電結合プローブ4に静電結合される領域の面積が互いに同じになっているため、静電結合プローブ4に出力される応答信号の信号強度が均一化され、判定回路16が誤判定しにくくなる。
【0036】
<第2実施形態>
次に、本発明に係る第2実施形態について図7を参照しつつ説明する。図7は、第2実施形態の回路基板検査装置の機能ブロック図である。なお、第1実施形態と実質的に同じ部材及び回路については同一の符号を付して説明を省略する。図7に示すように、回路基板検査装置101は、2つの静電結合プローブ104a、104bと、制御装置110とを有している。制御装置110は、制御信号生成回路111と、ドライバIC駆動電源12と、4つのフィルタ回路13a〜13dと、4つの増幅回路14a〜14dと、4つの積分回路15a〜15dと、判定回路116とを有している。そして、静電結合プローブ104a、フィルタ回路13a、13b、増幅回路14a、14b及び積分回路15a、15bが検知装置117aを、静電結合プローブ4b、フィルタ回路13c、13d、増幅回路14c、14d及び積分回路15c、15dが検知装置117bをそれぞれ形成している。つまり、基板検査装置101が、2つの検知装置117a、117bを有している。検知装置117a、117bの構成及び作動は、第1実施形態の検知装置17と実質的に同じであるため説明を省略する。
【0037】
ここで、COF50を検査するときにおける静電結合プローブ104a、104bの配置位置について図8を参照しつつ説明する。図8は、COF50を検査するときにおける静電結合プローブ104a、104bの配置位置を示す図である。なお、図8においては、説明の都合上、COF50の破線で示すべき領域を実線で示している。図8に示すように、COF50においては、互いに隣接する複数の出力配線57から成る4つの出力配線群B1〜B4が形成されている。そして、静電結合プローブ104aは、2つの出力配線群B1、B2に属する全ての出力配線57と静電結合されるように、その長手方向が出力配線57の配列方向に沿うように配置される。また、静電結合プローブ104bは、2つの出力配線群B3、B4に属する全ての出力配線57と静電結合されるように、その長手方向が出力配線57の配列方向に沿うように配置される。
【0038】
制御信号生成回路111は、COF50の検査が開始されると、各出力配線群B1、B3に係る出力端子52bの1つから20KHzの周波数を有する応答信号が出力配線57に出力され、これと同じタイミングで、各出力配線群B2、B4に係る1つの出力端子52bから40KHzの周波数を有する応答信号が出力配線57に出力されるような制御信号を出力する。これにより、検知装置117aが、静電結合プローブ104aに出力された出力配線群B1に属する当該出力配線57からの20KHzの周波数を有する応答信号と、出力配線群B2に属する出力配線57からの40KHzの周波数を有する応答信号とを検知する。これと同時に、検知装置117bが、静電結合プローブ104bに出力された出力配線群B3に属する当該出力配線57からの20KHzの周波数を有する応答信号と、出力配線群B4に属する出力配線57からの40KHzの周波数を有する応答信号とを検知し検知結果を生成する。判定回路116は、制御信号生成回路111が生成した制御信号の内容、及び、検知装置117a、117bからの検知結果に基づいて、入力端子52a及び出力端子52bと対応するCOF50の回路入力ランド55及び回路出力ランド56とが電気的に接合されているか否かの判定を行う。
【0039】
以上、説明した本実施形態によると、基板検査装置101において、各検知装置117a、117bが互いに異なる周波数を有する2つの応答信号を同時に検知することができるため、判定回路116が、応答信号が出力される出力端子52bとこれに対応する回路出力ランド56とが電気的に接合されているか否かを4つ同時に判定することができる。これにより、COF50の検査時間をさらに短縮することができる。
【0040】
また、判定回路116が、4つの応答信号を同時に判定できることについて、2つの静電結合プローブ104a、104bが用いられているとともに、互いに隣接する出力配線群B1〜B4間では互いに異なる周波数の応答信号が出力されるように制御されていることが寄与している。
【0041】
以上、本発明の好適な実施の形態について説明したが、本発明は上述の実施の形態に限られるものではなく、特許請求の範囲に記載した限りにおいてさまざまな設計変更が可能なものである。例えば、上述した第1実施形態によると、出力配線群A1、A2が、互いに隣接した出力配線57により形成される構成であるが、出力配線群が、互いに隣接していない出力配線57で形成されていてもよいし、制御信号生成回路11が制御信号を生成するごとに出力配線群を形成する出力配線57が変化してもよい。
【0042】
さらに、上述した第1実施形態によると、制御信号生成回路11が、出力配線群A1に係る1つの出力端子52b及び出力配線群A2に係る1つの出力端子52bから同じタイミングで、且つ、互いに異なる周波数を有する応答信号が出力されるような制御信号を生成する構成であるが、制御信号生成回路が、出力配線群A1に係る1つの出力端子52b及び出力配線群A2に係る1つの出力端子52bから異なるタイミングで応答信号が出力されるような制御信号を生成する構成であってもよい。この場合、各応答信号が出力されている時間の一部が重なっていることが好ましい。
【0043】
また、第2実施形態においては、回路基板検査装置1が2つの検知装置117a、17bを有する構成であるが、3つ以上の検知装置を有する構成であってもよい。
【0044】
さらに、第1及び第2実施形態においては、検知装置17、117a、117bが増幅回路14a〜14d、及び、積分回路15a〜15dを有する構成であるが、これらを有さない構成であってもよいし、いずれか一方のみを有する構成であってもよい。
【図面の簡単な説明】
【0045】
【図1】本発明に係る第1実施形態の回路基板検査装置の概略構成図である。
【図2】図1に示す回路基板検査装置の検査対象となるCOFの平面図である。
【図3】図1に示すIII−III線に関する回路基板検査装置の部分断面図である。
【図4】図1に示す静電結合プローブの配置位置を示す図である。
【図5】図1に示す回路基板検査装置の機能ブロック図である。
【図6】図1に示す回路基板検査装置の作動を示すフローチャートである。
【図7】本発明に係る第2実施形態の回路基板検査装置の機能ブロック図である。
【図8】図7に示す静電結合プローブの配置位置を示す図である。
【符号の説明】
【0046】
1、101 回路基板検査装置
3 入力プローブ
4、104a、104b 静電結合プローブ
5 同軸ケーブル
6 絶縁シート
10、110 制御装置
11、111 制御信号生成回路
12 駆動電源
13a〜13d フィルタ回路
14a〜14d 増幅回路
15a〜15d 積分回路
16、116 判定回路
17、117a、117b 検知装置
50 COF
51 シート基材
52 ドライバIC
52a 入力端子
52b 出力端子
53 外部入力ランド
54 入力配線
55 回路入力ランド
56 回路出力ランド
57 出力配線
58 外部出力ランド
A1、A2 出力配線群
B1〜B4 出力配線群

【特許請求の範囲】
【請求項1】
制御信号が入力される入力端子及び前記入力端子に入力された制御信号に基づいて応答信号を出力する複数の出力端子を有する集積回路が実装されていると共に、複数の前記出力端子と電気的に接合されるべき複数の出力配線が形成された回路基板を検査するための回路基板検査装置であって、
前記入力端子と電気的に接続される入力プローブと、
前記入力プローブから前記入力端子に入力される制御信号を生成する制御信号生成手段と、
2以上の前記出力配線から成る複数の出力配線群毎に前記応答信号を検知する検知装置と、
前記検知装置の検知結果に基づいて前記出力端子と前記出力配線とが電気的に接合されているか否かを判定する判定手段とを備えており、
前記制御信号生成手段が、共通の前記出力配線群に属する複数の前記出力端子からそれぞれ同じ周波数を有していると共に互いに異なるタイミングで、且つ、互いに異なる前記出力配線群に属する前記出力端子から互いに異なる周波数を有する前記応答信号が出力されるような制御信号を生成し、
前記検知装置が、複数の前記出力配線と静電結合することによって、当該出力配線と電気的に接合されるべき前記出力端子から出力された前記応答信号が当該出力配線を介して入力される静電結合プローブを有しており、前記静電結合プローブから入力された前記応答信号を周波数毎に独立して検知することを特徴とする回路基板検査装置。
【請求項2】
前記検知装置が、前記静電結合プローブに入力された応答信号が有する周波数帯域の信号のみを通過させる複数のフィルタ回路をさらに有していることを特徴とする請求項1に記載の回路基板検査装置。
【請求項3】
前記検知装置が、前記静電結合プローブに入力された応答信号の信号強度を増幅する増幅回路をさらに有していることを特徴とする請求項1又は2に記載の回路基板検査装置。
【請求項4】
前記検知装置が、前記静電結合プローブに入力された応答信号の積分値を出力する積分回路をさらに有していることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の回路基板検査装置。
【請求項5】
前記検知装置を複数備えていることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の回路基板検査装置。
【請求項6】
前記制御信号生成手段が、互いに異なる前記出力配線群に属する前記出力端子からそれぞれ同じタイミングで応答信号が出力されるような制御信号を生成することを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の回路基板検査装置。
【請求項7】
前記出力配線群に属する複数の前記出力配線は、前記静電結合プローブに静電結合される領域の面積が互いに同じになっていることを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の回路基板検査装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2007−187510(P2007−187510A)
【公開日】平成19年7月26日(2007.7.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−4861(P2006−4861)
【出願日】平成18年1月12日(2006.1.12)
【出願人】(000005267)ブラザー工業株式会社 (13,856)
【Fターム(参考)】