説明

回転ハンドル及びバルブ装置

【課題】意図しない不用意なハンドル操作を防止できる回転ハンドル及び、当該回転ハンドルを備えたバルブ装置を提供することを目的とする。
【解決手段】スピンドル120を回転させ、閉止弁機構100を開閉操作する回転ハンドル10を、スピンドル120に対して、回転方向に拘束された状態で脱着可能に嵌合する嵌合部22を備え、嵌合方向の所定の力に対して、スピンドル120との嵌合状態の脱着を規制するプランジャ機構40を備えた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば、ガスボンベのようなガス貯蔵容器等に取り付け、開閉弁を手動で開閉し、充填されたガスの出し入れを規制するバルブ装置、及びバルブ装置において開閉操作するためのハンドルに関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、ガスボンベのようなガス貯蔵容器等に取り付け、開閉弁を開閉して気体や液体等の流動体の出し入れを規制するバルブ装置が多用されている(特許文献1参照)。
【0003】
特許文献1に記載のバルブ装置は、ダイヤフラム式構造であり、高圧用容器の開閉バルブとして用いることができ、容器内部に充填されたガスの取り出しやガスの充填等のガスの出し入れを規制できるとされている。
【0004】
このようなバルブ装置は、一般的に、開閉弁を開閉するスピンドル(回転軸)に取り付けられた回転ハンドルを回転し、開閉操作する。
しかしながら、運搬時や保管時において、意図しない不用意なハンドル操作がされると、例えば、容器内部に充填された充填物の種類によっては、爆発性を有するような危険なガスが漏出するおそれがあった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2006−144950号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
そこで本発明は、意図しない不用意なハンドル操作を防止できる回転ハンドル及び、当該回転ハンドルを備えたバルブ装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この発明は、回転軸を回転させ、開閉弁を開閉操作する回転ハンドルであって、前記回転軸に対して、回転方向に拘束された状態で脱着可能に嵌合する嵌合部を備え、嵌合方向の所定の力に対して、前記回転軸と前記嵌合部との脱着を規制する脱着規制手段を備えたことを特徴とする。
【0008】
上記回転ハンドルは、平面視略円形、平面視円弧形状、I型、略H型等の様々な形状とすることはできるが、梃の原理を用いて、少ない回転操作トルクで回転軸を回転できる形状とすることができる。
【0009】
上記嵌合部は、回転方向を拘束する形状であればよく、例えば平面視四角形等の多角形状等で形成することができる。なお、上記嵌合部は、前記回転軸の先端部分や回転軸の途中部分に嵌合する嵌合部とすることができる。
【0010】
上記脱着規制手段は、例えば、回転軸と回転ハンドルの一方に形成した係止溝と、他方に形成し、該係止溝に係止するプランジャ、あるいは、係止溝に対して付勢力を作用させて係止する凸部等で構成することができる。
【0011】
この発明により、意図しない不用意なハンドル操作を防止できる回転ハンドルを構成することができる。
詳しくは、回転軸を回転させ、開閉弁を開閉操作する回転ハンドルに、前記回転軸に対して、回転方向に拘束された状態で脱着可能に嵌合する嵌合部を備えたことにより、回転ハンドルで確実に回転軸を回転させて開閉弁を開閉できるとともに、回転ハンドルを回転軸に対して脱着できる。したがって、例えば、運搬中や保管中において回転ハンドルを取り外すことで、意図しない不用意な回転ハンドルの操作を防止できる。
【0012】
また、嵌合方向の所定の力に対して、前記回転軸と前記嵌合部との脱着を規制する脱着規制手段を備えたことにより、嵌合方向の所定の力を作用させ、回転軸に回転ハンドルを取り付けた状態では、不用意に外れることなく、回転軸に対して回転ハンドルを確実に固定することができる。逆に、嵌合方向の所定の力を作用させることにより、回転軸から回転ハンドルを容易に取り外すことができる。したがって、回転軸に対する意図しない回転操作を防止することができる。
【0013】
この発明の態様として、前記嵌合部を、前記回転軸の先端に備え、前記嵌合部の嵌合を許容する被嵌合部に対して、前記回転軸の軸線方向に嵌合する軸線方向嵌合部で構成することができる。
【0014】
この発明により、取り付けた回転ハンドルを回転操作して、確実に回転軸を回転させることができる。
詳しくは、回転軸の先端に備えた被嵌合部に対して、回転軸の軸線方向に軸線方向嵌合部を嵌合する、つまり回転軸の回転方向に対して直交する方向に軸線方向嵌合部を嵌合するため、取り付けた回転ハンドルを回転操作して、確実に回転軸を回転させることができる。
【0015】
またこの発明の態様として、前記脱着規制手段を、前記回転軸の外周面において、前記軸線方向に直交する方向に形成した被係止溝に対して係止する係止部と、該係止部を、前記被係止溝に向かって付勢する付勢手段とで構成し、前記係止部を、前記被係止溝の周方向において等間隔に複数配置することができる。
上記係止部は、先端が半球状となったピンや球体等で構成することができる。
【0016】
この発明により、嵌合部を嵌合するための所定の力を所望の力に設定し、嵌合部の確実な嵌合を維持することができる。
詳しくは、脱着規制手段を被係止溝に対して係止する係止部と付勢手段とで構成するため、付勢手段を所望の付勢力に設定することにより、嵌合部を嵌合するための所定の力を容易に所望の力に設定することができる。また、係止部を、前記回転軸の外周面において、前記軸線方向に直交する方向に形成した被係止溝に対して付勢手段による付勢力で付勢しながら係止することができる。したがって、係止部を被係止溝に確実に係止させるとともに、所望の力に設定した所定の力を作用させて、回転ハンドルを回転軸に対して脱着することができる。
【0017】
また、係止部を、前記被係止溝の周方向において等間隔に複数配置したことにより、係止部が前記被係止溝に対して周方向において等間隔で係止する、つまり係止部が被係止溝に対して周方向に均等に作用するため、確実な嵌合状態を維持することができる。
【0018】
またこの発明の態様として、ハンドル本体部に、前記嵌合部と、該嵌合部の上方に配置されるととともに、上面が開放され、前記脱着規制手段の装着を許容する装着凹部とを備え、前記嵌合部に、前記被嵌合部の挿通を許容するとともに、前記装着凹部と連通する被嵌合部挿通孔を備え、前記脱着規制手段に、前記被嵌合部の先端に配置し、前記被係止溝を有する被係止部の挿通を許容する被係止部挿通孔を有するとともに、複数組み備えた前記係止部及び前記付勢手段のそれぞれを所定位置で保持する保持ホルダと、前記装着凹部に対して上方から装着した前記保持ホルダを、前記装着凹部に係着させる係着手段と、前記保持ホルダを前記係着手段に向かって付勢するホルダ付勢手段とを備え、前記装着凹部を、前記保持ホルダの高さよりわずかに深く形成するとともに、前記装着凹部の上部に、前記保持ホルダの上面位置に配置した係着手段の係着を許容する係着溝を備えることができる。
上記係着手段は、例えば、係着溝に係着するCリング等で構成することができる。
【0019】
この発明により、ハンドル本体部に、係止部と付勢手段で構成する複数組みの脱着規制手段を確実、且つ容易に組み付けることができる。
詳しくは、ハンドル本体部に、前記嵌合部と、該嵌合部の上方に配置されるととともに、上面が開放され、前記脱着規制手段の装着を許容する装着凹部とを備え、前記脱着規制手段に、複数組み備えた前記係止部及び前記付勢手段のそれぞれを所定位置で保持する保持ホルダと、前記装着凹部に対して上方から装着した前記保持ホルダを、前記装着凹部に係着させる係着手段と、前記保持ホルダを前記係着手段に向かって付勢するホルダ付勢手段とを備え、前記装着凹部の上部に、前記保持ホルダの上面位置に配置した係着手段の係着を許容する係着溝を備えたことにより、複数組み備えた係止部及び付勢手段を所定位置で保持する保持ホルダを装着凹部に装着し、前記装着凹部の上部に形成した係着溝に、前記保持ホルダの上面位置に配置した係着手段を係着させ、装着凹部に装着した保持ホルダをホルダ付勢手段が前記係着手段に向かって付勢することができる。したがって、確実に、係着溝に係着した係着手段で装着凹部に装着した保持ホルダを固定することができる。また、装着凹部を保持ホルダの高さよりわずかに深く形成するとともに、ホルダ付勢手段が、係着溝に係着する係着手段に向かって保持ホルダを付勢するため、ホルダ付勢手段の付勢力に抗して、保持ホルダを押し込むことで、装着凹部の上部に形成した係着溝に、保持ホルダの上面位置に配置した係着手段を容易に係着することができる。
【0020】
また、前記嵌合部に、前記被嵌合部の挿通を許容するとともに、前記装着凹部と連通する被嵌合部挿通孔を備え、保持ホルダに、前記被嵌合部の先端に配置し、前記被係止溝を有する被係止部の挿通を許容する被係止部挿通孔を有するため、保持ホルダを装着凹部に装着した状態において、回転軸の被嵌合部及び被係止部を、嵌合部及び被係止部挿通孔に対して容易に挿通することができる。したがって、嵌合部と被嵌合部との嵌合、及び係止部と被係止部との係止を、回転ハンドルの回転軸に対する装着によって実現することができる。
【0021】
またこの発明は、上述の前記回転ハンドルの装着を許容する回転軸を有し、前記回転ハンドルを手動操作して前記開閉弁を開閉するバルブ装置であることを特徴とする。
【0022】
この発明により、意図しない不用意なハンドル操作を防止できるバルブ装置を構成することができる。
詳しくは、回転軸に対して脱着自在に嵌合する嵌合部と、脱着規制手段とを備えた回転ハンドルを備えたことにより、例えば、不使用時には回転軸から回転ハンドルを取り外すことができる。したがって、回転軸に対する意図しない回転操作を防止することができる。
【0023】
この発明の態様として、複数の出口ノズルと、各出口ノズルに対応する開閉弁と、各開閉弁に対応する回転軸とを備えることができる。
それぞれの回転軸を回転操作するための回転ハンドルをひとつ備えることにより、他の回転軸を回転操作する場合には、装着していた回転軸から回転ハンドルを取り外し、所望の回転軸に取り付けて回転操作することができる。したがって、回転ハンドルを各回転軸に対して設ける場合と比較して、回転ハンドルの必要個数を低減することができ、部品点数の低減を図るとともに、材料や組み立てコストを低減することができる。
【0024】
またこの発明の態様として、前記出口ノズル、前記開閉弁及び前記回転軸をそれぞれ2ずつ備え、前記回転軸を、バルブ本体に対してV字状に配置することができる。
【0025】
この発明により、例えば、回転軸を直交させる配置とした場合と比べ、コンパクトなバルブ装置を構成することができる。さらに、回転軸をV字状に配置し、両回転軸に回転ハンドルを備えた場合、回転ハンドル同士が干渉する、あるいは、一方の回転ハンドルの回転操作時に他方の回転ハンドルが干渉するおそれがあるが、回転軸に対して脱着可能に構成した回転ハンドルを備えているため、回転操作する側の回転軸に回転ハンドルを装着すればよく、スムーズな回転操作を行うことができる。
【0026】
またこの発明の態様として、V字状に配置した前記回転軸を、一方の回転軸に前記回転ハンドルを装着した状態でボンベキャップの装着を許容する角度及び長さで構成することができる。
【0027】
この発明により、回転ハンドルを一方の回転軸に装着した状態でボンベキャップを装着することができる。したがって、例えば、運搬のためや保管時にボンベキャップを装着する際に回転ハンドルを取り外す必要がなく、利便性が向上する。なお、例えば、V字状に配置した前記回転軸の角度及び長さを、1口バルブ装置を囲繞する一般的なボンベキャップの装着を許容する角度及び長さで構成することにより、多用されている一般的なボンベキャップを流用できる。したがって、回転軸をV字状に配置した2口バルブ装置専用のボンベキャップを必要とせず、利用可能性が向上する。
【0028】
またこの発明の態様として、前記開閉弁を、ダイヤフラム式開閉弁で構成することができる。
この発明により、一般的にパック式開閉弁を有するパック式バルブ装置に比べ、回転操作するための回転操作トルクが高いダイヤフラム式開閉弁であっても、脱着可能な回転ハンドルで確実に回転操作することができる。
【発明の効果】
【0029】
本発明により、意図しない不用意なハンドル操作を防止できる回転ハンドル及び、当該回転ハンドルを備えたバルブ装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】2口バルブ装置の装着状態についての概略図。
【図2】2口バルブ装置の概略断面図。
【図3】開閉弁機構の一部破断分解斜視図。
【図4】回転ハンドル及び開閉弁機構上部の分解斜視図。
【図5】回転ハンドルの説明図。
【図6】回転ハンドルの説明図。
【図7】回転ハンドルの説明図。
【図8】2口バルブ装置の装着状態についての説明図。
【発明を実施するための形態】
【0031】
この発明の一実施形態を、図1乃至図8とともに説明する。
図1は2口バルブ装置1を高圧用ボンベ容器2に装着した状態の概略図を示し、図2は2口バルブ装置1の概略断面図を示している。詳しくは、図1は、高圧用ボンベ容器2の上部に2口バルブ装置1を装着した状態の概略図であり、高圧用ボンベ容器2について断面図を図示している。さらに、図2は2口バルブ装置1の縦断面図を示している。
【0032】
図3は閉止弁機構100の一部破断分解斜視図を示し、図4は回転ハンドル10及び閉止弁機構100の上部の分解斜視図を示し、図5乃至図7は回転ハンドル10の説明図を示している。
【0033】
詳しくは、図3はグランドナット110及び開弁バネ195を除く閉止弁機構100を構成する各構成要素について、手前側の一部を破断した状態の分解斜視図を示し、図4は閉止弁機構100の上方に配置した回転ハンドル10の分解斜視図を示している。
【0034】
回転ハンドル10の説明図を示す図5乃至図7のうち、図5(a)は回転ハンドル10の平面図、図5(b)は回転ハンドル10の縦断面図を示している。図6(a)は閉止弁機構100の上方に回転ハンドル10を配置した状態の縦断面図、図6(b)は閉止弁機構100に回転ハンドル10を装着した状態の縦断面図を示し、図7(a)は図6(b)におけるA−A矢視断面図を示し、図7(b)は図6(b)におけるB−B矢視断面図を示している。
【0035】
2口バルブ装置1の装着状態についての説明図を示す図8は、高圧用ボンベ容器2に装着した2口バルブ装置1の上方からボンベキャップ4を装着する状態の説明図を示している。
【0036】
2口バルブ装置1は、液取り用とガス取り用との2つの主弁を有するダイヤフラム式のバルブ装置であり、図1及び図2に示すように、液化ガスもしくは圧縮ガスを充填する高圧用ボンベ容器2の上部に螺着される高圧用バルブ装置である。なお、液化ガスを充填した場合においては、高圧用ボンベ容器2内部では、底部に液化したガスが滞留し、上部に気化したガスが滞留した状態で充填されている。
【0037】
2口バルブ装置1は、図1及び図2に示すように、縦長に形成されたハウジング200と、ハウジング200に装着される2つの閉止弁機構100と、閉止弁機構100に対して脱着可能に装着される回転ハンドル10とで構成している。
【0038】
ハウジング200は、正面視略V字状に形成されたV字ハウジング本体202と、V字ハウジング本体202の下部に配置され、高圧用ボンベ容器2の装着首部2bに螺挿可能な脚ネジ部201とで構成している。
【0039】
なお、V字ハウジング本体202の正面視右側を液取り用バルブ領域202aとし、正面視左側をガス取り用バルブ領域202bとし、それぞれにおいて後述する出入経路及び閉止弁機構100を備えている。
【0040】
液取り用バルブ領域202aの下方には、正面側に突出する液取り用の出口ノズル203を備え、ガス取り用バルブ領域202bの下方には背面側に突出するガス取り用出口ノズル(図示省略)を備えている。出口ノズル203は図示しないガス取出し金具や、高圧用ボンベ容器2にフレッシュガスを充填する際の充填金具(図示省略)が接続可能に構成している。
【0041】
V字ハウジング本体202の内部には、脚ネジ部201の底面において開口された入口孔211、嵌合部22の上部において後述する閉止弁機構100の装着を許容する閉止弁装着凹部214、入口孔211と閉止弁装着凹部214とを連通する入口路213とが形成されている。また、閉止弁装着凹部214の下方には、出口ノズル203の端面に開口された出口孔212を有するとともに、閉止弁装着凹部214の途中部分には、外部と連通する放出路215を形成している。
【0042】
なお、上述したように、入口孔211、入口路213、出口孔212、閉止弁装着凹部214及び放出路215は、液取り用バルブ領域202aとガス取り用バルブ領域202bのそれぞれに備えている。また、入口路213は、入口孔211から直上する垂直部分213aと、垂直部分213aに対して正面視幅方向外側に屈折する傾斜部分213bとで構成している。さらにまた、閉止弁装着凹部214と外部とを連通する放出路215には封止プラグ216を装着している。
【0043】
閉止弁装着凹部214は、傾斜部分213bの角度に沿って傾斜した略円筒形の凹部であり、上方の作動室214aと、該作動室214aの下方においてひとまわり径の小さな閉止弁室214bとで構成している。上記放出路215は作動室214aと連通し、出口孔212及び傾斜部分213bは閉止弁室214bと連通している。
【0044】
なお、左右の閉止弁装着凹部214に装着する閉止弁機構100は、傾斜部分213bの角度に沿って傾斜し、略V字状に配置されているが、左右の傾斜部分213bの間の角度X(図2参照)及びスピンドル120の長さを、一方の閉止弁機構100に取り付けた回転ハンドル10を回転操作する際に、他方の閉止弁機構100のスピンドル120が緩衝しない角度及び長さに設定するとともに、図8に示すように、一方のスピンドル120に回転ハンドル10を取り付けた状態でボンベキャップ4を取付けできる角度及び長さに設定している。
【0045】
また、液取り用バルブ領域202aの垂直部分213aの入口孔211は、高圧用ボンベ容器2の底部に滞留する液化ガスの導通を許容する導通パイプ(図示省略)の装着を許容するため、ガス取り用バルブ領域202bの垂直部分213aの入口孔211よりひと回り大きな径で形成している。なお、上記導通パイプを螺合接続可能にするために、入口孔211にネジを形成してもよい。
【0046】
閉止弁装着凹部214に装着する閉止弁機構100は、図2及び図3に示すように、グランドナット110、スピンドル120、平面視円形薄板状の滑り部材130、中間伝動具140、環状の回転拘束部材150、環状の押圧スリーブ160、金属製のダイヤフラム170、閉止部材180、閉止リング190及び開弁バネ195とで構成している。
【0047】
グランドナット110は、頭部ナット部111と、閉止弁装着凹部214の内面に形成した雌ネジと螺合する雄ネジ部112とで構成する中空の略円筒形である。なお、グランドナット110の上部内面には、後述するスピンドル120の雄ネジ部123の螺合を許容する雌ネジを有している。
【0048】
スピンドル120は、上から順に、外周面において断面円弧状の被係止溝121aが周方向に形成された略円柱状の被係止部121、平面視略正方形の四角柱状の被嵌合部122、上述のグランドナット110の内面に形成された雌ネジに螺合する雄ネジ部123、径が最大の径大部124、底面で後述する滑り部材130と回転摺動しながら押圧する押圧底部125とで構成している。
【0049】
なお、押圧底部125の底面125aは下方へ突出した湾曲面に形成しているため、薄板状の滑り部材130を介して中間伝動具140の上面に当接する。これにより、回転操作によって螺入されたスピンドル120の回転力は中間伝動具140に作用せず、押圧力が中間伝動具140に作用する構成である。
【0050】
中間伝動具140は、上部外周面を六角柱状に形成した六角状部141と、その下部に配置した円柱状部142とで構成し、六角状部141の上面に、滑り部材130の嵌め込みを許容する平面視円形の円形凹部143を備え、円柱状部142の内部に後述する閉止部材180の連結凸部181の螺挿を許容する螺挿孔144を有している。
【0051】
なお、六角状部141の底面、及び円柱状部142の外周面は、後述する押圧スリーブ160の内面で構成するバネ受け部162とともに、バネ収容空間196(図2a部拡大図参照)を構成するバネ押え部145としている。また、螺挿孔144の内面には、閉止部材180の連結凸部181と螺合する雌ネジを備えている。
【0052】
回転拘束部材150は、六角状部141と同じ六角状の平面外形の回転拘束孔151を有するリング状であり、後述する押圧スリーブ160の挿着凸部161の挿着を許容する円形溝152を底面側に有している。
【0053】
押圧スリーブ160は、上面にリング状の挿着凸部161を有する有底中空円柱状であり、内面をバネ受け部162とし、底面に、中間伝動具140の円柱状部142の挿通を許容する挿通孔163を有している。
【0054】
ダイヤフラム170は、押圧スリーブ160と同型の薄板状円形板であり、後述する閉止部材180の連結凸部181の挿通を許容する挿通孔171を中央に備えている。なお、ダイヤフラム170は、複数の金属製薄板を互いに重ね合わせて構成し、金属製薄板同士の対向面において、対向面の一方にコーティング層を形成する場合もある。
【0055】
閉止部材180は、挿通孔163よりひと回り大きな径を有する円柱状の本体部182と、本体部182の上面に突設し、ダイヤフラム170の挿通孔171に挿通可能な連結凸部181とで構成している。なお、本体部182の底面には、後述する閉止リング190の嵌め込みを許容する嵌め込み溝183を有している。また、連結凸部181の外周面には、螺挿孔144と螺合する雄ネジを備えている。
【0056】
閉止リング190は、上述の嵌め込み溝183に嵌め込み可能なリング状であり、詳しくは、閉止弁室214bの底面に開口する傾斜部分213bの上端開口部213baより大きな内径を有するリング状である。
【0057】
このように、グランドナット110、スピンドル120、滑り部材130、中間伝動具140、回転拘束部材150、押圧スリーブ160、ダイヤフラム170、閉止部材180、閉止リング190及び開弁バネ195で構成する閉止弁機構100は、円形溝152に挿着凸部161を挿着して組み合わせた回転拘束部材150及び押圧スリーブ160に対し、円形凹部143に滑り部材130を嵌め込んだ中間伝動具140を上方から挿入する。このとき六角状部141が回転拘束部材150の回転拘束孔151に嵌合するとともに、円柱状部142が挿通孔163に挿入されるため、中間伝動具140は、回転拘束部材150及び押圧スリーブ160に対して、軸心L方向へ進退できるが、軸心L周りに回転できないように組付けられる。
【0058】
なお、回転拘束部材150と押圧スリーブ160の組付け前に、押圧スリーブ160のバネ受け部162に開弁バネ195を収容してから、中間伝動具140を回転拘束部材150及び押圧スリーブ160に組付けるため、中間伝動具140のバネ押え部145と押圧スリーブ160のバネ受け部162とで構成するバネ収容空間196に開弁バネ195を収容することができる。したがって、バネ収容空間196に収容した開弁バネ195の付勢力により中間伝動具140を上方に付勢している。
【0059】
さらに、嵌め込み溝183に閉止リング190を嵌め込んだ閉止部材180の連結凸部181を、ダイヤフラム170の挿通孔171に挿通させるとともに、押圧スリーブ160の下面から露出された円柱状部142の螺挿孔144に連結凸部181を螺入する。さらに、スピンドル120の上方からグランドナット110を挿入することで、スピンドル120の被係止部121及び被嵌合部122がグランドナット110の上面より突出する態様となる閉止弁機構100の組付けが完了する。
【0060】
このように構成された閉止弁機構100は、グランドナット110の雄ネジ部112と閉止弁装着凹部214の雌ネジと螺合させてハウジング200に組付ける。
【0061】
ハウジング200に組付けられることにより、閉止弁機構100のグランドナット110及びスピンドル120の下部、並びに滑り部材130,中間伝動具140、回転拘束部材150、押圧スリーブ160及びダイヤフラム170は、ハウジング200内部の作動室214aに配置され、閉止部材180及び閉止リング190は閉止弁室214bに収容される。
【0062】
そして、ダイヤフラム170の周縁部は、押圧スリーブ160の底面と作動室214aの底面壁との間に挟持され、閉止部材180の底面は、閉止弁室214bの底面と対向する。さらに、閉止リング190は、上述したように、閉止弁室214bの底面に開口された上端開口部213baの周囲に配置される。このように、閉止弁機構100がハウジング200に組付けられることにより、閉止弁装着凹部214の作動室214aと閉止弁室214bとを、ダイヤフラム170によって保密状に区画することができる。
【0063】
続いて、閉止弁機構100に対して脱着可能に装着される回転ハンドル10について、図4乃至図8とともに詳細に説明する。
回転ハンドル10は、図4に示すように、ハンドル本体20と、ハンドルバネ30と、プランジャ機構40と、C型係着リング70とで構成している。
【0064】
ハンドル本体20は、8箇所突出する波形の外周縁を有する平面視略円形雲形に形成され、プランジャ機構40の嵌め込みを許容する平面視円形の嵌込み凹部21を上面に備え、底面側に、スピンドル120の被嵌合部122の嵌合を許容する四角柱状の嵌合空間22aを有する嵌合部22(図5(b)参照)を備えている。なお、嵌合部22は、嵌込み凹部21と連通し、ハンドル本体20の厚み方向を貫通している。
【0065】
また、嵌込み凹部21において、嵌合部22の周囲を凹状に凹ませ、ハンドルバネ30を収容するハンドルバネ収容空間23を形成している。さらに、嵌込み凹部21の上端付近には、内周面に対して径外側方向の溝形状であり、後述するC型係着リング70の係着を許容するリング溝24を形成している。なお、嵌込み凹部21は、リング溝24より下方の深さを、後述するプランジャ機構40のプランジャホルダ50の高さよりわずかに深く形成している。
【0066】
ハンドルバネ30は、嵌込み凹部21のハンドルバネ収容空間23に収容な可能な螺旋状のバネで形成し、嵌込み凹部21に嵌め込んだプランジャ機構40を上方に付勢する構成である。
【0067】
プランジャ機構40は、平面視円形で高さの低い円盤状のプランジャホルダ50と、3組のプランジャ治具60とで構成している。
プランジャホルダ50は、スピンドル120の被係止部121の挿通を許容する中央挿通穴51を平面視中央に備えるとともに、外周面から中央挿通穴51まで貫通する治具挿着孔52を備えている。
【0068】
なお、治具挿着孔52は、後述するプランジャ治具60の挿着を許容するとともに、プランジャホルダ50の高さ方向中央付近においてプランジャホルダ50の径方向に配設されている。さらに、治具挿着孔52は、3組みのプランジャ治具60に対応して、周方向において等間隔に3箇所備えている。
【0069】
プランジャ治具60は、先端が半球状であり、後端が拡幅された略円柱状のプランジャピン61と、プランジャピン61より径外側に配置され、プランジャピン61を径内側向きに付勢するプランジャバネ62とで構成している。
【0070】
なお、プランジャ治具60は、図5(a)に示すように、治具挿着孔52に挿着した状態において、プランジャピン61の半球状部分の先端が中央挿通穴51から露出する長さで構成している。
【0071】
また、図6(a),(b)に示すように、プランジャホルダ50が嵌込み凹部21に嵌め込まれた状態において、プランジャピン61の先端が、中央挿通穴51に挿入された被係止部121の被係止溝121aに対応する高さとなる。
【0072】
C型係着リング70は、両端部に操作孔71を有する平面視略C型の薄板状バネ材であり、両端の操作孔71を引き寄せることにより縮径し、縮径した状態でハンドル本体20のリング溝24に嵌め込んで係着することができる。
【0073】
このように構成した回転ハンドル10は、ハンドルバネ収容空間23にハンドルバネ30を収容した上から、プランジャホルダ50の治具挿着孔52にプランジャ治具60を挿着したプランジャ機構40を嵌込み凹部21に嵌め込む。さらに、ハンドルバネ30の付勢力に抗して、プランジャ機構40を下方に押し下げ、C型係着リング70をリング溝24に嵌め込む空間をプランジャ機構40の上方に形成してから、C型係着リング70をリング溝24に嵌め込んで係着させ、プランジャ機構40の押し下げを開放して、回転ハンドル10の組み付けを完了する。
【0074】
このように組付けられた回転ハンドル10は、図6(a)に示すように、嵌合空間22aとプランジャ機構40の中央挿通穴51とが軸心L上において連通する。
また、プランジャ機構40を構成するプランジャホルダ50の高さより嵌込み凹部21を深く形成するとともに、ハンドルバネ30でプランジャホルダ50を上方に付勢しているため、プランジャ機構40を下方に押し下げ、C型係着リング70をリング溝24に嵌め込む空間をプランジャ機構40の上方に形成してから、C型係着リング70をリング溝24に容易に嵌め込んで係着させることができる。このように、回転ハンドル10は、プランジャホルダ50の上面を、リング溝24に係着されたC型係着リング70で規制できるため、嵌込み凹部21においてプランジャ機構40を所定の位置に確実に固定することができる。
【0075】
なお、嵌込み凹部21に装着されたプランジャ機構40のプランジャ治具60は、プランジャバネ62が嵌込み凹部21の内周面を反力として、プランジャピン61を径内側に付勢することができる。
【0076】
このように構成された回転ハンドル10を、2口バルブ装置1を構成する閉止弁機構100に装着するためには、図6に示すように、スピンドル120の被係止部121が中央挿通穴51に届き、被嵌合部122が嵌合部22の嵌合空間22aに嵌合するまで回転ハンドル10を閉止弁機構100のスピンドル120に差し込む。
【0077】
スピンドル120に対する回転ハンドル10の差し込みにより、図7(b)に示すように、スピンドル120の被嵌合部122及び嵌合部22によって、スピンドル120に対して回転ハンドル10が回転拘束された状態で嵌合することができる。
【0078】
また、図7(a)に示すように、プランジャ機構40のプランジャピン61の先端の半球状部分が被係止部121の被係止溝121aに係止する。なお、プランジャ治具60を周方向において等間隔に3箇所備えているため、被係止部121の外周において周方向に形成された被係止溝121aに対して、3箇所で係止することができる。なお、プランジャ治具60は、プランジャホルダ50の治具挿着孔52によって径方向に配置され、プランジャバネ62によって径内側向きに付勢されたプランジャピン61は、確実に被係止溝121aに係止することができる。
【0079】
また、回転ハンドル10のスピンドル120に対する差し込み方向、つまり軸心Lに対して直交する方向において、図7(a)に示すように、軸心Lに向かう3方向からプランジャ治具60が被係止溝121aに係止するため、スピンドル120から回転ハンドル10を取り外す方向に対して確実に固定することができる。
【0080】
なお、スピンドル120から回転ハンドル10を取り外すためには、回転ハンドル10に上向きの引き抜き力を作用させることにより、被係止溝121aに係止したプランジャピン61が被係止溝121aの形状に沿って、プランジャバネ62の付勢力に抗して径外側に押し戻され、被係止溝121aとプランジャ治具60との係止が解消され、スピンドル120から回転ハンドル10を取り外すことができる。
【0081】
続いて、上述したように構成した2口バルブ装置1の開閉操作について説明する。
2口バルブ装置1を開閉操作するために、開閉操作する側の閉止弁機構100のスピンドル120に回転ハンドル10を上述した要領で取り付ける。
【0082】
回転ハンドル10を締付方向(時計回り)へ回転させるとスピンドル120は螺入し、螺入による押圧力が作用する中間伝動具140は、回転拘束部材150に回転を拘束されながら、開弁バネ195の付勢力に抗して下降する。この結果、ダイヤフラム170を介し閉止部材180も下降して閉止リング190が上端開口部213baの周囲に当接して閉弁される。
【0083】
一方、回転ハンドル10を緩み方向(反時計回り)へ回転させると、スピンドル120は螺出して上昇し、中間伝動具140に作用していた押圧力が開放される。この結果、中間伝動具140は開弁バネ195の付勢力により上方へ、つまり開弁方向へ付勢され、中間伝動具140とともに閉止部材180が上昇し、閉止リング190が上端開口部213baの周囲から離間して開弁される。
【0084】
なお、他方側の閉止弁機構100を開閉操作するためには、装着されていた閉止弁機構100から回転ハンドル10を上述の要領で取り外し、開閉操作する他方側の閉止弁機構100に回転ハンドル10を取り付ける。
【0085】
また、保管状態や運搬状態においては、図8に示すように、一方のスピンドル120に回転ハンドル10を取り付けたままの状態で、上方からボンベキャップ4を被せ、ボンベキャップ4を高圧用ボンベ容器2の上部に嵌着したネックリング2aに螺合させて取り付けることができる。もちろん、回転ハンドル10を取り外してからボンベキャップ4を取り付けてもよい。
【0086】
上述したように、スピンドル120を回転させ、閉止弁機構100を開閉操作する回転ハンドル10を、スピンドル120の被嵌合部122に対して、回転方向に拘束された状態で脱着可能に嵌合する嵌合部22を備え、嵌合方向の所定の力に対して、スピンドル120と嵌合部22との脱着を規制するプランジャ機構40を備えたことにより、意図しない不用意なハンドル操作を防止することができる。
【0087】
詳しくは、スピンドル120を回転させ、閉止弁機構100を開閉操作する回転ハンドル10に、スピンドル120に対して、回転方向に拘束された状態で脱着可能に嵌合する嵌合部22を備えたことにより、回転ハンドル10で確実にスピンドル120を回転させて閉止弁機構100を開閉できるとともに、回転ハンドル10をスピンドル120に対して脱着できる。したがって、例えば、運搬中や保管中において回転ハンドル10を取り外すことで、回転ハンドル10が意図しない不用意な操作を防止することができる。
【0088】
また、嵌合方向の所定の力に対して、スピンドル120との嵌合状態の脱着を規制するプランジャ機構40を備えたことにより、嵌合方向の所定の力を作用させ、スピンドル120に回転ハンドル10を取り付けた状態では、不用意に外れることなく、スピンドル120に対して回転ハンドル10を確実に固定することができる。逆に、嵌合方向の所定の力を作用させることにより、スピンドル120から回転ハンドル10を容易に取り外すことができる。したがって、スピンドル120に対する意図しない回転操作を防止することができる。
【0089】
また、嵌合部22が、スピンドル120の先端に備え、嵌合部22の嵌合を許容する被嵌合部122に対して、スピンドル120の軸心Lに嵌合する構成であるため、取り付けた回転ハンドル10を回転操作して、確実にスピンドル120を回転させることができる。
【0090】
詳しくは、スピンドル120の先端に備えた被嵌合部122に対して、スピンドル120の軸心L方向に嵌合部22を嵌合する、つまりスピンドル120の回転方向に対して直交する方向に嵌合部22と被嵌合部122とが嵌合するため、取り付けた回転ハンドル10を回転操作して、確実にスピンドル120を回転させることができる。
【0091】
また、スピンドル120の外周面において、軸心Lに直交する方向に形成した被係止溝121aに対して係止するプランジャピン61を被係止溝121aに向かって付勢するプランジャバネ62を備えるとともに、プランジャピン61及びプランジャバネ62を、被係止溝121aの周方向において等間隔に複数配置することにより、嵌合部22を嵌合するための所定の力を所望の力に設定し、嵌合部22と被嵌合部122との確実な嵌合状態を維持することができる。
【0092】
詳しくは、被係止溝121aに対して係止するプランジャピン61を付勢するプランジャバネ62を備え、プランジャバネ62を所望の付勢力に設定することにより、嵌合部22を嵌合するための所定の力を容易に所望の力に設定することができる。
【0093】
また、プランジャピン61を、スピンドル120の外周面において、軸心Lに直交する方向に形成した被係止溝121aに対してプランジャバネ62による付勢力で付勢しながら係止することができるため、プランジャピン61を被係止溝121aに確実に係止させるとともに、所望の力に設定した所定の力を作用させて、回転ハンドル10をスピンドル120に対して脱着することができる。
【0094】
また、プランジャ治具60を、被係止溝121aの周方向において等間隔に複数配置したことにより、プランジャピン61が被係止溝121aに対して周方向において等間隔で係止する、つまりプランジャピン61が被係止溝121aに対して周方向に均等に作用するため、嵌合部22と被嵌合部122との確実な嵌合状態を維持することができる。
【0095】
また、ハンドル本体20に、嵌合部22と、該嵌合部22の上方に配置されるとともに、上面が開放され、プランジャ機構40の装着を許容する嵌込み凹部21とを備え、嵌合部22に、被嵌合部122の挿通を許容するとともに、嵌込み凹部21と連通する嵌合空間22aを備え、被嵌合部122の先端に配置し、被係止溝121aを有する被係止部121の挿通を許容する中央挿通穴51を有するとともに、複数組み備えたプランジャ治具60のそれぞれを所定位置で保持するプランジャホルダ50と、嵌込み凹部21に対して上方から装着したプランジャホルダ50を、嵌込み凹部21に係着させるC型係着リング70と、プランジャホルダ50をC型係着リング70に向かって付勢するハンドルバネ30とを備え、嵌込み凹部21を、プランジャホルダ50の高さよりわずかに深く形成するとともに、嵌込み凹部21の上部に、プランジャホルダ50の上面位置に配置したC型係着リング70の係着を許容するリング溝24を備えることにより、ハンドル本体20に、複数組みのプランジャ治具60を確実、且つ容易に組み付けることができる。
【0096】
詳しくは、ハンドル本体20に、嵌合部22と、該嵌合部22の上方に配置されるととともに、上面が開放され、プランジャ機構40の装着を許容する嵌込み凹部21とを備え、複数組み備えたプランジャ治具60のそれぞれを所定位置で保持するプランジャホルダ50と、嵌込み凹部21に対して上方から装着したプランジャホルダ50を、嵌込み凹部21に係着させるC型係着リング70と、プランジャホルダ50をC型係着リング70に向かって付勢するハンドルバネ30とを備えるとともに、嵌込み凹部21の上部に、プランジャホルダ50の上面位置に配置したC型係着リング70の係着を許容するリング溝24を備えたことにより、複数組み備えたプランジャ治具60を所定位置で保持するプランジャホルダ50を嵌込み凹部21に装着し、嵌込み凹部21の上部に形成したリング溝24に、プランジャホルダ50の上面位置に配置したC型係着リング70を係着させ、嵌込み凹部21に装着したプランジャホルダ50をハンドルバネ30がC型係着リング70に向かって付勢することができる。したがって、リング溝24に係着したC型係着リング70で嵌込み凹部21に装着したプランジャホルダ50を確実に固定することができる。
【0097】
また、嵌込み凹部21をプランジャホルダ50の高さよりわずかに深く形成するとともに、ハンドルバネ30が、リング溝24に係着するC型係着リング70に向かってプランジャホルダ50を付勢するため、ハンドルバネ30の付勢力に抗して、プランジャホルダ50を押し込むことで、嵌込み凹部21の上部に形成したリング溝24に、プランジャホルダ50の上面位置に配置したC型係着リング70を容易に係着することができる。
【0098】
また、嵌合部22に、被嵌合部122の挿通を許容するとともに、嵌込み凹部21と連通する嵌合空間22aを備え、プランジャホルダ50に、被嵌合部122の先端に配置し、被係止溝121aを有する被係止部121の挿通を許容する中央挿通穴51を有するため、プランジャホルダ50を嵌込み凹部21に装着した状態において、スピンドル120の被嵌合部122及び被係止部121を、嵌合部22及び中央挿通穴51に対して容易に挿通することができる。したがって、嵌合部22と被嵌合部122との嵌合、及びプランジャピン61と被係止部121との係止を、回転ハンドル10のスピンドル120に対する装着によって実現することができる。
【0099】
また、2口バルブ装置1は、上述の回転ハンドル10の装着を許容するスピンドル120を有し、回転ハンドル10を手動操作して閉止弁機構100を開閉するため、意図しない不用意なハンドル操作を防止することができる。
【0100】
詳しくは、スピンドル120に対して脱着自在に嵌合する嵌合部22と、プランジャ機構40とを備えた回転ハンドル10を備えたことにより、例えば、不使用時にはスピンドル120から回転ハンドル10を取り外すことができる。したがって、スピンドル120に対する意図しない回転操作を防止することができる。
【0101】
また、複数の出口ノズル203と、各出口ノズル203に対応する閉止弁機構100と、各閉止弁機構100に対応するスピンドル120とを備えるとともに、それぞれのスピンドル120を回転操作するための回転ハンドル10をひとつ備えることにより、他のスピンドル120を回転操作する場合には、装着していたスピンドル120から回転ハンドル10を取り外し、所望のスピンドル120に取り付けて回転操作することができる。
【0102】
したがって、回転ハンドル10を各スピンドル120に対して設ける場合と比較して、回転ハンドル10の必要個数を低減することができ、部品点数の低減を図るとともに、材料や組み立てコストを低減することができる。
【0103】
また、出口ノズル203、閉止弁機構100及びスピンドル120をそれぞれ2ずつ備え、スピンドル120を、ハウジング200に対してV字状に配置しているため、例えば、スピンドル120を直交させる配置とした場合と比べ、2口バルブ装置1をコンパクトに構成することができる。
【0104】
さらに、スピンドル120をV字状に配置し、両スピンドル120に回転ハンドル10を備えた場合、回転ハンドル10同士が干渉する、あるいは、一方の回転ハンドル10の回転操作時に他方の回転ハンドル10が干渉するおそれがあるが、スピンドル120に対して脱着可能に構成した回転ハンドル10を備えているため、回転操作する側のスピンドル120に回転ハンドル10を装着すればよく、スムーズな回転操作を行うことができる。
【0105】
また、V字状に配置したスピンドル120を、一方のスピンドル120に回転ハンドル10を装着した状態でボンベキャップ4の装着を許容する角度X及び長さで構成することにより、回転ハンドル10を一方のスピンドル120に装着した状態でボンベキャップ4を装着することができる。したがって、例えば、運搬のためや保管時にボンベキャップ4を装着する際に回転ハンドル10を取り外す必要がなく、利便性が向上する。
【0106】
なお、例えば、V字状に配置したスピンドル120の角度X及び長さを、1口バルブ装置を囲繞する一般的なボンベキャップ4の装着を許容する角度X及び長さで構成することにより、多用されている一般的なボンベキャップ4を流用できる。したがって、スピンドル120をV字状に配置した2口バルブ装置専用のボンベキャップ4を必要とせず、利用可能性が向上する。
【0107】
また、ダイヤフラム式である2口バルブ装置1を高圧用ボンベ容器2に装着した場合における回転ハンドル10を回転操作するための回転操作トルクは、パック式バルブ装置に比べ高くなるが、スピンドル120の被嵌合部122と嵌合部22とを嵌合させるとともに、嵌合部22の上方においてプランジャ治具60と被係止部121の被係止溝121aとを係止させて回転ハンドル10をスピンドル120に対して確実に固定しているため、回転ハンドル10を介して操作入力した回転操作トルクをスピンドル120に作用させて、安定した開閉操作を実現することができる。
【0108】
この発明の構成と、上述の実施形態との対応において、
この発明の回転軸は、スピンドル120に対応し、
以下同様に、
開閉弁は、閉止弁機構100に対応し、
嵌合部及び軸線方向嵌合部は、嵌合部22に対応し、
脱着規制手段は、プランジャ機構40に対応し、
軸線方向は、軸心Lに対応し、
係止部は、プランジャピン61に対応し、
付勢手段は、プランジャバネ62に対応し、
ハンドル本体部は、ハンドル本体20に対応し、
装着凹部は、嵌込み凹部21に対応し、
被嵌合部挿通孔は、嵌合空間22aに対応し、
被係止部挿通孔は、中央挿通穴51に対応し、
保持ホルダは、プランジャホルダ50に対応し、
係着手段は、C型係着リング70に対応し、
ホルダ付勢手段は、ハンドルバネ30に対応し、
係着溝は、リング溝24に対応し、
バルブ装置は、2口バルブ装置1に対応し、
バルブ本体は、ハウジング200に対応するが、この発明は、上述の実施形態の構成のみに限定されるものではなく、多くの実施の形態を得ることができる。
【0109】
例えば、上述の説明では、回転ハンドル10をスピンドル120に係止させるため、回転ハンドル10にプランジャ機構40を備え、プランジャ機構40でスピンドル120の被係止部121に形成した被係止溝121aに係止させたが、プランジャ機構をスピンドル120に備え、回転ハンドル10側に備えた係止溝に係止させてもよい。
【0110】
さらには、プランジャ機構40を構成するプランジャ治具60をプランジャピン61とプランジャバネ62とで構成したが、球体とプランジャバネ62とで構成し、プランジャバネ62で球体を径内側方向に付勢して、被係止溝121aに係止してもよい。
【0111】
また、上述の説明では、2口バルブ装置1を液取り用とガス取り用の2系統として用いたが、例えば、高圧用ボンベ容器2内部を区画してそれぞれ異なる種類のガスを充填し、2口バルブ装置1でそれぞれのガスの開閉を行う構成であってもよい。さらには、2口以上の出口ノズル203及びスピンドル120を有するバルブ装置を構成してもよい。
【0112】
また、回転ハンドル10は、平面視略円形のみならず、平面視円弧形状、I型、略H型等の様々な形状とすることはできるが、梃の原理を用いて、少ない回転操作トルクでスピンドル120を回転することのできる形状であればよい。
【符号の説明】
【0113】
1…2口バルブ装置
4…ボンベキャップ
10…回転ハンドル
20…ハンドル本体
21…嵌込み凹部
22…嵌合部
22a…嵌合空間
24…リング溝
30…ハンドルバネ
40…プランジャ機構
50…プランジャホルダ
51…中央挿通穴
61…プランジャピン
62…プランジャバネ
70…C型係着リング
100…閉止弁機構
120…スピンドル
121…被係止部
121a…被係止溝
122…被嵌合部
200…ハウジング
203…出口ノズル
L…軸心
X…角度

【特許請求の範囲】
【請求項1】
回転軸を回転させ、開閉弁を開閉操作する回転ハンドルであって、
前記回転軸に対して、回転方向に拘束された状態で脱着可能に嵌合する嵌合部を備え、
嵌合方向の所定の力に対して、前記回転軸と前記嵌合部との脱着を規制する脱着規制手段を備えた
回転ハンドル。
【請求項2】
前記嵌合部を、
前記回転軸の先端に備え、前記嵌合部の嵌合を許容する被嵌合部に対して、前記回転軸の軸線方向に嵌合する軸線方向嵌合部で構成した
請求項1に記載の回転ハンドル。
【請求項3】
前記脱着規制手段を、
前記回転軸の外周面において、前記軸線方向に直交する方向に形成した被係止溝に対して係止する係止部と、
該係止部を、前記被係止溝に向かって付勢する付勢手段とで構成し、
前記係止部を、
前記被係止溝の周方向において等間隔に複数配置した
請求項2に記載の回転ハンドル。
【請求項4】
ハンドル本体部に、
前記嵌合部と、
該嵌合部の上方に配置されるととともに、上面が開放され、前記脱着規制手段の装着を許容する装着凹部とを備え、
前記嵌合部に、前記被嵌合部の挿通を許容するとともに、前記装着凹部と連通する被嵌合部挿通孔を備え、
前記脱着規制手段に、
前記被嵌合部の先端に配置し、前記被係止溝を有する被係止部の挿通を許容する被係止部挿通孔を有するとともに、複数組み備えた前記係止部及び前記付勢手段のそれぞれを所定位置で保持する保持ホルダと、
前記装着凹部に対して上方から装着した前記保持ホルダを、前記装着凹部に係着させる係着手段と、
前記保持ホルダを前記係着手段に向かって付勢するホルダ付勢手段とを備え、
前記装着凹部を、前記保持ホルダの高さよりわずかに深く形成するとともに、
前記装着凹部の上部に、前記保持ホルダの上面位置に配置した係着手段の係着を許容する係着溝を備えた
請求項3に記載の回転ハンドル。
【請求項5】
請求項1乃至4のうちいずれかに記載の前記回転ハンドルの装着を許容する回転軸を有し、前記回転ハンドルを手動操作して前記開閉弁を開閉する
バルブ装置。
【請求項6】
複数の出口ノズルと、各出口ノズルに対応する開閉弁と、各開閉弁に対応する回転軸とを備えた
請求項5に記載のバルブ装置。
【請求項7】
前記出口ノズル、前記開閉弁及び前記回転軸をそれぞれ2ずつ備え、
前記回転軸を、バルブ本体に対してV字状に配置した
請求項6に記載のバルブ装置。
【請求項8】
V字状に配置した前記回転軸を、
一方の回転軸に前記回転ハンドルを装着した状態でボンベキャップの装着を許容する角度及び長さで構成した
請求項7に記載のバルブ装置。
【請求項9】
前記開閉弁を、ダイヤフラム式開閉弁で構成した
請求項5乃至8のうちいずれかに記載のバルブ装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2013−24363(P2013−24363A)
【公開日】平成25年2月4日(2013.2.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−161639(P2011−161639)
【出願日】平成23年7月25日(2011.7.25)
【出願人】(591038602)株式会社ネリキ (54)
【Fターム(参考)】