回転伝達手段及び回転伝達手段の射出成形金型
【課題】ウエルドラインに起因する歯の強度低下を抑えることができると共に樹脂材料の利用効率を低下させることがない回転動力伝達手段、及びこの回転動力伝達手段の射出成形金型を提供する。
【解決手段】射出成形金型16を使用して成形された射出成形歯車1は、第1歯車部2に比較して大きなトルクを伝達することになる第2歯車部3において、歯11の歯先から歯幅方向に沿って延びる軸方向ウェルドラインが形成され、大きな応力が作用する歯11の歯元にウェルドラインが位置することがないため、ウェルドラインに起因する歯11の強度低下を抑えることができる。また、3個のゲート(ピンポイントゲート)によって射出成形されるため、リング状ゲートを使用して射出成形される場合に比較し、無駄にする樹脂材料が少なくなり、樹脂材料の利用効率が向上する。
【解決手段】射出成形金型16を使用して成形された射出成形歯車1は、第1歯車部2に比較して大きなトルクを伝達することになる第2歯車部3において、歯11の歯先から歯幅方向に沿って延びる軸方向ウェルドラインが形成され、大きな応力が作用する歯11の歯元にウェルドラインが位置することがないため、ウェルドラインに起因する歯11の強度低下を抑えることができる。また、3個のゲート(ピンポイントゲート)によって射出成形されるため、リング状ゲートを使用して射出成形される場合に比較し、無駄にする樹脂材料が少なくなり、樹脂材料の利用効率が向上する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、回転を伝達することができる射出成形歯車等の回転伝達手段、及びこの回転伝達手段を射出成形するために使用される射出成形金型に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、モータ等の駆動源から駆動力を受けて作動する自動車部品等には、動力伝達系の軽量化や作動音の静粛化等を目的として、射出成形により形成された合成樹脂製歯車(射出成形歯車)が多く使用されている。
【0003】
(第1従来例)
図11は、このような従来の射出成形歯車100の第1例を示すものである。この図に示す射出成形歯車100は、射出成形金型のキャビティ内に溶融樹脂を射出する3個のピンポイントゲート101の位置を工夫し、各ピンポイントゲート101間に形成されるウエルドライン102を歯底103から径方向内方へ向かって延びるようにすると共に、各ウエルドライン102をウェブ104の周方向に沿ってほぼ等間隔となるように形成し、各ウエルドライン102の形成位置のばらつきに起因する歯車強度の低下を防止するようになっている(特許文献1参照)。
【0004】
(第2従来例)
また、図12は、従来の射出成形歯車110の第2例を示すものである。この図に示す射出成形歯車110は、円板状のウェブ111の外周端に複数の歯112を備えた第1歯車部113が形成されると共に、この第1歯車部113を構成するウェブ111の一方の側面に第1歯車部113よりも小径の第2歯車部114が第1歯車部113の回転中心と同心となるように形成されてなる多段歯車である。そして、図12に示す射出成形歯車110は、ウェブ111の径方向内方端側にリング状ゲート115を配置し、そのリング状ゲート115から射出成形金型116のキャビティ117内に射出した溶融樹脂をウェブ111の径方向内方端から径方向外方へ向かって均等に流動させて、ウェルドラインがウェブ111や第2歯車部114に発生するのを防止し、ウエルドラインに起因する歯車強度の低下を防止するようになっている(特許文献2参照)。
【特許文献1】特開2005−22368号公報
【特許文献2】特開2003−35355号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、図11に示す第1従来例の射出成形歯車100は、ウエルドライン102の形成位置のばらつきにより、ウエルドライン102の径方向外方端が歯元近傍の歯底103(歯元に作用する応力の影響を大きく受ける部分)に位置すると、歯105の強度を著しく低下させる虞があった。
【0006】
また、図12に示す第2従来例の射出成形歯車110は、ウェルドラインに起因する歯車強度の低下を考慮する必要はないが、リング状ゲート115を使用しているため、多点のピンポイントゲートで射出成形する場合に比較し、図外のランナ及びリング状ゲート115内の残留樹脂材料(射出成形に使用されない樹脂材料)が多くなり、樹脂材料の利用効率が低下し、製造コストの高騰を招くという不具合を有していた。
【0007】
そこで、本発明は、ウエルドラインに起因する歯の強度低下を抑えることができると共に樹脂材料の利用効率を低下させることがない回転動力伝達手段、及びこの回転動力伝達手段の射出成形金型を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
請求項1の発明は、射出成形金型のキャビティ内に溶融樹脂を射出することにより、(1)回転中心の回りに回転できるようになっている円板状部と、(2)前記円板状部よりも小径で、且つ、前記円板状部の一方の側面から前記円板状部の前記回転中心と同心となるように突出する軸状部とが形成されると共に、(3)前記軸状部の外周側に3で割り切れない数の歯が形成され、前記歯を介して回転が伝達される回転伝達手段に関するものである。そして、前記円板状部のうちで、前記軸状部よりも径方向外方側に位置する前記円板状部には、前記キャビティに開口する3個のピンポイントゲートの切り離し痕が前記回転中心と同心に周方向に沿って所定の間隔で位置している。また、前記3個のピンポイントゲートの切り離し痕のうちで、隣り合う一対のピンポイントゲートの切り離し痕は、該隣り合う一対のピンポイントゲートの切り離し痕のそれぞれと前記隣り合う一対のピンポイントゲートの切り離し痕以外の前記ピンポイントゲートの切り離し痕との間の周方向間隔よりも短い周方向間隔となるように位置している。また、前記軸状部の前記歯であって、前記隣り合うピンポイントゲートの切り離し痕間の前記周方向真中に位置する歯には、その歯先を歯幅方向に沿って延びる軸方向ウェルドラインが形成されている。
【0009】
請求項2の発明は、前記請求項1の発明における前記円板状部に特徴を有するものである。すなわち、前記円板状部は、(1)前記3個のピンポイントゲートから前記キャビティ内に射出された前記溶融樹脂が前記キャビティ内の前記軸状部に対応する部分に均等に充填されるように、前記溶融樹脂の流れを規制する前記キャビティ内の充填バランス調整手段である肉抜き部が設けられ、(2)前記隣り合うピンポイントゲートの切り離し痕間の前記周方向真中に位置する歯の歯先から回転中心に向かって延び、且つ、前記歯の歯先から径方向外方へ向かって延びる径方向ウェルドラインが形成されている。
【0010】
請求項3の発明は、射出成形金型のキャビティ内に溶融樹脂を射出することにより、(1)回転中心の回りに回転できるようになっている円板状部と、(2)前記円板状部よりも小径で、且つ、前記円板状部の一方の側面から前記円板状部の前記回転中心と同心となるように突出する軸状部とが形成されると共に、(3)前記軸状部の外周側に3で割り切れない奇数の歯が形成され、前記歯を介して回転が伝達される回転伝達手段に関するものである。そして、前記円板状部のうちで、前記軸状部よりも径方向外方側に位置する前記円板状部には、前記キャビティに開口する3個のピンポイントゲートの切り離し痕が前記回転中心と同心に周方向に沿って所定の間隔で位置している。また、前記3個のピンポイントゲートの切り離し痕は、それぞれ前記回転中心から延びて前記歯の歯底を通る径方向線上に位置し、且つ、隣り合う前記ピンポイントゲートの切り離し痕間に奇数の前記歯が位置するようになっている。また、前記3個のピンポイントゲートの切り離し痕のうちで、隣り合う一対のピンポイントゲートの切り離し痕は、該隣り合う一対のピンポイントゲートの切り離し痕のそれぞれと前記隣り合う一対のピンポイントゲートの切り離し痕以外の前記ピンポイントゲートの切り離し痕との間の周方向間隔よりも短い周方向間隔となるように位置している。また、前記円板状部は、(1)前記3個のピンポイントゲートから前記キャビティ内に射出された前記溶融樹脂が前記キャビティ内の前記軸状部に対応する部分に均等に充填されるように、前記溶融樹脂の流れを規制する前記キャビティ内の充填バランス調整手段に対応する肉抜き部が設けられ、(2)前記隣り合うピンポイントゲートの切り離し痕間の真中に位置する歯の歯先から回転中心に向かって延び、且つ、前記歯の歯先から径方向外方へ向かって延びる径方向ウェルドラインが形成されている。また、前記軸状部の前記歯であって、前記隣り合うピンポイントゲートの切り離し痕間の真中に位置する歯には、その歯先を歯幅方向に沿って延びる軸方向ウェルドラインが形成されている。
【0011】
請求項4の発明は、回転中心の回りに回転できるようになっている円板状部と、前記円板状部よりも小径で、且つ、前記円板状部の一方の側面から前記円板状部の前記回転中心と同心となるように突出する軸状部とを有し、前記軸状部の外周側に3で割り切れない数の歯が形成され、前記歯を介して回転が伝達される回転伝達手段の射出成形金型に関するものである。この回転伝達手段の射出成形金型は、前記円板状部を形作るための第1キャビティ部分と、前記軸状部を形作るための第2キャビティ部分とを有している。そして、前記第1キャビティ部分のうちで、前記第2キャビティ部分よりも径方向外方側に位置する前記第1キャビティ部分には、3個のピンポイントゲートが前記回転中心と同心に周方向に沿って所定の間隔で開口するように配置されている。また、前記3個のピンポイントゲートのうちで、隣り合う一対のピンポイントゲートは、該隣り合う一対のピンポイントゲートのそれぞれと前記隣り合う一対のピンポイントゲート以外の前記ピンポイントゲートとの間の周方向間隔よりも短い周方向間隔となるように配置されている。また、前記第1キャビティ部分は、前記3個のピンポイントゲートから射出された溶融樹脂を前記第2キャビティ部分に均等に充填させるように、前記溶融樹脂の充填速度を調整する充填バランス調整手段が設けられている。
【0012】
請求項5の発明は、回転中心の回りに回転できるようになっている円板状部と、前記円板状部よりも小径で、且つ、前記円板状部の一方の側面から前記円板状部の前記回転中心と同心となるように突出する軸状部とを有し、前記軸状部の外周側に3で割り切れない奇数の歯が形成され、前記歯を介して回転が伝達される回転伝達手段の射出成形金型に関するものである。この回転伝達手段の射出成形金型は、前記円板状部を形作るための第1キャビティ部分と、前記軸状部を形作るための第2キャビティ部分とを有している。そして、前記第1キャビティ部分のうちで、前記第2キャビティ部分よりも径方向外方側に位置する前記第1キャビティ部分には、3個のピンポイントゲートが前記回転中心と同心に周方向に沿って所定の間隔で開口するように配置されている。また、前記3個のピンポイントゲートは、それぞれ前記回転中心から延びて前記歯の歯底を通る径方向線上に配置され、且つ、隣り合う前記ピンポイントゲート間に奇数の前記歯が位置するように配置されている。また、前記3個のピンポイントゲートのうちで、隣り合う一対のピンポイントゲートは、該隣り合う一対のピンポイントゲートのそれぞれと前記隣り合う一対のピンポイントゲート以外の前記ピンポイントゲートとの間の周方向間隔よりも短い周方向間隔となるように配置されている。また、前記第1キャビティ部分は、前記3個のピンポイントゲートから射出された溶融樹脂を前記第2キャビティ部分に均等に充填させるように、前記溶融樹脂の充填速度を調整する充填バランス調整手段が設けられている。
【発明の効果】
【0013】
本発明に係る回転伝達手段は、回転トルクを伝達する軸状部において、歯の歯先から歯幅方向に沿って延びる軸方向ウェルドラインが形成され、大きな応力が作用する歯の歯元にウェルドラインが位置することがないため、ウェルドラインに起因する歯の強度低下を抑えることができる。
【0014】
また、本発明に係る射出成形金型を使用して成形された回転伝達手段は、3個のピンポイントゲートによって射出成形されたものであり、リング状ゲートを使用して射出成形される場合に比較し、無駄にする樹脂材料が少なくなり、樹脂材料の利用効率が向上するため、製造コストを低減でき、製品価格が低廉化する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づき詳述する。
【0016】
[第1実施形態]
(射出成形歯車)
図1乃至図3は、本発明の実施形態に係る回転動力伝達手段としての射出形成歯車1である。なお、これらの図において、図1は射出成形歯車1の正面図であり、図2は図1のA−A線に沿って切断して示す射出成形歯車1の断面図であり、図3は射出成形歯車1の背面図である。
【0017】
これらの図に示す射出成形歯車1は、ポリアセタール,ポリアミド,ポリフェニレンスルフィド,ポリブチレンテレフタレート等の樹脂材料を使用して射出成形したものであり、大径の第1歯車部(円板状部)2と小径の第2歯車部(軸状部)3とが一体に形成された二段歯車である。なお、射出成形歯車1は、前述のポリアセタール等の樹脂材料に強化繊維(例えば炭素繊維)を適宜配合して射出成形してもよい。
【0018】
第1歯車部2は、円板形状のウェブ4の外周端に円筒状のリム5が形成され、そのリム5の外周側に歯6が複数形成されている。第2歯車部3は、ウェブ4の一方の側面(背面)7から第1歯車部2の回転中心8の軸芯10に沿って軸状に突出し、その回転中心が第1歯車部10の回転中心8と同心となるように形成されており、その外周側に歯11が複数(3で割り切れない奇数)形成されている。そして、これら第1歯車部2と第2歯車部3の回転中心部には、回転中心8の軸芯10に沿って軸穴12が形成されている。軸穴12は、射出成形歯車1を回転可能に支持する支持軸(図示せず)が嵌合されるものであり、射出成形歯車1の中心部を正面側(ウェブ4の他方の側面13側)から裏面側(第2歯車部3の端面14側)まで貫通している。
【0019】
第1歯車部2のウェブ4の他方の側面(正面)13であって、第2歯車部3から径方向外方に離れた位置に3個のゲート痕(ピンポイントゲートの切り離し痕)15a〜15cが形成されている。なお、ゲート痕15a〜15cは、射出成形金型16から製品(射出成形歯車1)を取り出す際に生じるものであり、射出成形金型16のキャビティ17に開口するピンポイントゲート18a〜18c(以下、ゲートと略称する)が製品から切り離された際に生じる痕である(図4及び図5参照)。
【0020】
第1歯車部2のウェブ4に形成された3個のゲート痕15a〜15cは、図1及び図3に示すように、第1歯車部2の回転中心8を中心とする円20上に位置しており、円20の周方向に所定の間隔で形成されている。この3個のゲート痕15a〜15cは、それぞれのゲート痕15a〜15cの中心と第1歯車部2の回転中心8とを結ぶ径方向線21a〜21c上に第2歯車部3の歯11の歯底22が位置するように形成されている。また、この3個のゲート痕15a〜15cは、第1のゲート痕15aが径方向線(図1及び図2の上下方向に延びる中心線)21a上に位置しており、第1のゲート痕15aから第2のゲート痕15bまでの円20の周方向に沿った間隔と第1のゲート痕15aから第3のゲート痕15cまでの円20の周方向に沿った間隔とが一致しており、図1における第2のゲート痕15bと第3のゲート痕15cが径方向線21aを中心として左右対称に位置している。
【0021】
ここで、第1のゲート痕15aから第2のゲート痕15bまでの間隔及び第1のゲート痕15aから第3のゲート痕15cまでの間隔(図1における第1歯車部2の回転中心8を中心とする開き角度)は、第2及び第3のゲート痕15b,15cのそれぞれと第1のゲート痕15aとの間に第2歯車部3の奇数の歯11が位置すると共に、第2のゲート痕15bと第3のゲート痕15cとの間に第2歯車部3の奇数の歯11が位置し、且つ、第2及び第3のゲート痕15b,15cのそれぞれと第1のゲート痕15aとの間に位置する第2歯車部3の歯11の数(N1)が第2のゲート痕15bと第3のゲート痕15cとの間に位置する第2歯車部3の歯11の数(N2)よりも大きく(N1>N2)なるように位置している。その結果、円20上において、第2のゲート痕15bと第3のゲート痕15cとの間の周方向間隔は、第2及び第3のゲート痕15b,15cのそれぞれと第1のゲート痕15aとの間の周方向間隔よりも短くなっている。
【0022】
図1に示すように、第1歯車部2のウェブ4の他方の側面13であって且つ第1のゲート痕15aの左右両側には、円20の周方向に沿って延びる第1周方向溝23,23がそれぞれ第1のゲート痕15aから所定距離だけ離れて対称に位置するように一対形成されている。この第1周方向溝23は、円20よりも半径方向内方に位置し且つ円20と同心の円弧形状である半径方向内方縁23aと、円20よりも半径方向外方に位置し且つ円20と同心の円弧形状である半径方向外方縁23bと、第1歯車部2の回転中心8から半径方向外方へ向かって延びる径方向線上に位置し且つ円20の周方向に沿って離れて位置する一対の側縁23c,23dとで形作られ、ほぼ一定の溝深さとなるように形成されている。そして、この第1周方向溝23の半径方向内方縁23aが第2歯車部3の外周近傍に位置し、第1周方向溝23の半径方向外方縁23bが円20とリム5の内周面24との間に位置している。また、一対の第1周方向溝23,23の第1のゲート痕15a側の側縁c,23c間の距離は、第1のゲート痕15aの大きさ(直径)の数倍の大きさになっている。なお、この一対の第1周方向溝23,23の第1のゲート痕15a側の側縁(一側縁)23c,23c間の距離は、少なくとも第1のゲート痕15aの大きさよりも大きく設定される。そして、第1周方向溝23,23の周方向長さは、第1のゲート痕15aと第2のゲート痕15bの間の真中の径方向線25又は第1のゲート痕15aと第3のゲート痕15cの間の真中の径方向線26に到達しない程度の長さになっている。
【0023】
また、図1に示すように、第1歯車部2のウェブ4の他方の側面13であって且つ第2のゲート痕15b及び第3のゲート痕15cの半径方向内方側には、円20と同心の円弧形状である第2周方向溝27が形成されている。この第2周方向溝27は、その半径方向内方縁27aが第2歯車部3の外周近傍に位置し、その半径方向外方縁27bが第2及び第3のゲート痕15b,15cよりも僅かに半径方向内側に位置している。また、第2周方向溝27は、その周方向の一方の側縁27cが第2のゲート痕15bと第1のゲート痕15aとの間の真中の径方向線25に到達しない程度の位置まで延び、その周方向の他方の側縁27dが第3のゲート痕15cと第1のゲート痕15aとの間の真中の径方向線26に到達しない程度の位置まで延びている。その結果、この第2周方向溝27は、図1の上下に延びる径方向線(中心線)21aに対して左右対称の形状になっている。
【0024】
なお、第1周方向溝23,23及び第2周方向溝27は、後述する射出成形金型16の充填バランス調整手段に対応するものであり、ウェブ4を部分的に薄くする肉抜き部である。
【0025】
(射出成形歯車の射出成形金型)
図4は、図1乃至図3に示した射出成形歯車1を成形するための射出成形金型16の構造を模式的に示す断面図であり、キャビティ17の形状が図2に示す射出成形歯車1の断面形状に対応する図である。また、図5は、図4のB−B線に沿って切断して示すキャビティ17の形状を示す図である。
【0026】
図4乃至図5に示すように、射出成形金型16は、第1金型28,第2金型30及び軸型31を備えており、第1金型28と第2金型30の型合わせ面側にキャビティ17が形成されている。キャビティ17は、図1乃至図3の射出成形歯車1の形状に対応する空間であり、第1歯車部2を形作るための第1キャビティ部分32と、第2歯車部3を形作るための第2キャビティ部分33とを有しており、ウェブ4の第1乃至第3のゲート痕15a〜15cに対応する第1乃至第3のゲート18a〜18cが第1キャビティ部分32に開口するようになっている。なお、第1乃至第3のゲート18a〜18cは、第1キャビティ部分32に開口する部分の形状が同一である。
【0027】
第1キャビティ部分32には、射出成形歯車1の一対の第1周方向溝23,23に対応するように第1金型28に形成された一対の第1突起部34,34が出っ張っている。この一対の第1突起部34,34は、第1のゲート痕15aに対応する第1のゲート18aの両側に離れて配置されており、第1キャビティ部分32の空間を狭めている。
【0028】
また、第1キャビティ部分32には、射出成形歯車1の第2周方向溝27に対応するように第1金型28に形成された第2突起部35が出っ張っている。この第2突起部35は、第2及び第3のゲート痕15b,15cに対応する第2及び第3のゲート18b,18cの径方向内側に僅かに離れて配置されており、第1キャビティ部分32の空間を狭めている。
【0029】
第1キャビティ部分32及び第2キャビティ部分33には、射出成形歯車1の軸穴12を形成するための軸型31が配置されている。この軸型31は、第1金型28又は第2金型30で支持され、キャビティ17を貫通している。
【0030】
図6は、キャビティ17内の溶融樹脂の流動状態を模式的に示す図である。なお、図4乃至図5の射出成形金型16を使用した射出成形歯車1の成形は、第1乃至第3のゲート18a〜18cからキャビティ17内に同量の溶融樹脂が同時に射出されるようになっている。
【0031】
この図6(a)に示すように、第1のゲート18aからキャビティ17内に射出された溶融樹脂36は、一対の第1突起部34,34によって円20に沿った周方向への流動が妨げられ、径方向線21aに沿った流動が促進されることにより、径方向線21aに沿った方向が長軸となる楕円形状となって流動する。また、第2及び第3のゲート18b,18cからキャビティ17内に射出された溶融樹脂37,38は、第2突起部35によって径方向内方への流動が妨げられる結果、径方向線21b,21cに沿った方向が短軸となる楕円形状となって流動する。このように、第1突起部34,34及び第2突起部35は、溶融樹脂36〜38の流れを規制して、第1キャビティ部分32及び第2キャビティ部分33への溶融樹脂の充填バランスを整える充填バランス調整手段として機能する。
【0032】
このように、第1突起部34,34及び第2突起部35によって溶融樹脂36〜38の流動が規制される結果、図6(b)に示すように、第1乃至第3のゲート18a〜18cから射出された溶融樹脂36〜38が軸型(射出成形歯車1の軸穴12に対応する部分)31に同時に到達する。
【0033】
その後、溶融樹脂36〜38は、第1キャビティ部分32にさらに充填されると共に、第2キャビティ部分33にも充填されていく。
【0034】
この際、第1キャビティ部分32において、第1のゲート18aと第2のゲート18bから射出された溶融樹脂が両ゲート18a,18b間の中間位置で合流して、キャビティ17の中心40(射出成形歯車1の回転中心8に対応する位置)から半径方向外方へ向かって延びる径方向線25に沿ってウェルドライン41(径方向ウェルドライン)が形成される(図1及び図3参照)。また、第1キャビティ部分32において、第1のゲート18aと第3のゲート18cから射出された溶融樹脂が両ゲート18a,18c間の中間位置で合流して、キャビティ17の中心40(射出成形歯車1の回転中心8に対応する位置)から半径方向外方へ向かって延びる径方向線26に沿ってウェルドライン(径方向ウェルドライン)42が形成される(図1及び図3参照)。また、第1キャビティ部分32において、第2のゲート18bと第3のゲート18cから射出された溶融樹脂が両ゲート18b,18c間の中間位置で合流して、キャビティ17の中心40(射出成形歯車1の回転中心8に対応する位置)から半径方向外方へ向かって延びる径方向線(中心線)21aに沿ってウェルドライン(径方向ウェルドライン)43が形成される(図1及び図3参照)。
【0035】
また、第1キャビティ部分32において、第1のゲート18aと第2のゲート18bの中間で合流した溶融樹脂、第1のゲート18sと第3のゲート18cの中間で合流した溶融樹脂、及び第2のゲート18bと第3のゲート18cの中間で合流した溶融樹脂は、第2キャビティ部分33を均等に流動し、各径方向ウェルドライン41〜43から分岐して第2キャビティ部分33の軸芯10に沿って延びる軸方向ウェルドライン44を形成する(図6(c)〜(d)参照)。その結果、第2歯車部3は、第1乃至第3の各ゲート18a〜18c間の真中に位置する歯11の歯先45(歯厚方向の中心部)から歯幅方向に沿って延びる軸方向ウェルドライン44が形成される(図6(d)参照)。
【0036】
(本実施形態の効果)
本実施の形態に係る射出成形金型16を使用して成形された射出成形歯車1は、第1歯車部2に比較して大きなトルクを伝達することになる第2歯車部3において、歯11の歯先45から歯幅方向に沿って延びる軸方向ウェルドライン44が形成され、大きな応力が作用する歯11の歯元にウェルドラインが位置することがないため、ウェルドラインに起因する歯11の強度低下を抑えることができ、第1従来例よりも歯11の強度が大きくなる。
【0037】
また、本実施形態に係る射出成形金型16を使用して成形された射出成形歯車1は、3個のゲート(ピンポイントゲート)18a〜18cによって射出成形されたものであり、リング状ゲートを使用して射出成形される第2従来例に比較し、無駄にする樹脂材料が少なくなり、樹脂材料の利用効率が向上するため、製造コストを低減でき、製品価格が低廉化する。
【0038】
(第1実施形態の変形例)
本発明に係る射出成形歯車1は、上記実施形態に限られず、第1歯車部2及び第2歯車部3の外径形状に応じ、第1周方向溝23,23と第2周方向溝27の大きさや形状を適宜変更して、上記実施形態と同様の効果を得るようにしてもよい。
【0039】
また、本発明に係る射出成形金型16は、上記実施形態に限られず、第2金型30側に第1乃至第3のゲート18a〜18cを形成するようにしてもよい。
【0040】
[第2実施形態]
図7乃至図9は、第1実施形態に係る射出成形歯車1における第1周方向溝23,23及び第2周方向溝27が形成されていない射出成形歯車50であって、図4及び図5に示した射出成形金型16における第1突起部34,34及び第2突起部35が形成されていない射出成形金型(図示せず)を使用して成形された射出成形歯車50を示すものであり、本発明の第2実施形態としての射出成形歯車50を示すものである。このうち、図7は射出成形歯車50の正面図であり、図8は図7のD−D線に沿って切断して示す断面図であり、図9は射出成形歯車50の背面図である。なお、図7乃至図9に示す射出成形歯車50は、射出成形歯車1の第1周方向溝23,23及び第2周方向溝27が形成されていない点を除き、他の外観形状が図1乃至図3に示した第1実施形態の射出成形歯車1と同一である。
【0041】
このような本実施形態に係る射出成形歯車50を成形する射出成形金型は、第1実施形態に係る射出成形金型16における充填バランス調整手段としての第1突起部34,34及び第2突起部35が形成されていないため、第1乃至第3のゲート18a〜18cからキャビティ51内に射出された溶融樹脂52〜54がそれぞれ円形に広がっていき(図10(a)参照)、第2及び第3のゲート18b,18cから射出された溶融樹脂53,54が第1のゲート18aから射出された溶融樹脂52よりも先に軸型31に到達する(図10(b)参照)。そして、第2及び第3のゲート18b,18c側から第2キャビティ部分33に充填される溶融樹脂の量が第1のゲート18a側から第2キャビティ部分33に充填される溶融樹脂の量よりも多くなり、第2キャビティ部分33に充填される溶融樹脂の充填バランスが第1実施形態の場合に比較して悪くなる(図10(c)参照)。その結果、第2キャビティ部分33において、図10(d)に示すように、軸芯10に対して僅かに斜めに傾いたウェルドライン55が形成されるものの、ウェルドライン55は歯先58を歯幅方向に沿って延びる軸方向ウェルドラインとして歯先面内に形成される。なお、本実施形態において、第1乃至第3のゲート18a〜18cの開口面積を異ならせて射出量を調整したり、第1乃至第3のゲート18a〜18cの開口位置を径方向にずらす等の工夫をすることにより、第2キャビティ部分33への溶融樹脂の充填バランスを改善すれば、第2キャビティ部分33への溶融樹脂の充填バランスを第1実施形態と同様にすることができる。
【0042】
なお、上記各実施形態において、第2歯車部(3,56)の歯(11,57)の数は、第1乃至第3のゲート18a〜18cの形成位置を第2歯車部(3,56)の歯(11,57)の位置を考慮して決定し、隣り合うゲート間の周方向真中に歯(11,57)の歯厚方向中心が位置するようになっていれば、3で割り切れない奇数に限られず、3で割り切れない偶数でも良い。
【産業上の利用可能性】
【0043】
本発明は、第1歯車部と第2歯車部からなる射出成形歯車及びその射出成形金型に限られず、円板状部を歯車以外のVベルト,平ベルト,歯付きベルトが巻き掛けられるプーリ又は単なる円板等にするか、軸状部を歯車の歯以外の歯を形成して歯付きベルト用プーリやスプロケットにした回転伝達手段(少なくとも軸状部の外周に3で割り切れない奇数の歯が形成された回転伝達手段)及びその射出成形金型に適用できる。
【図面の簡単な説明】
【0044】
【図1】本発明の第1実施形態に係る射出成形歯車の正面図である。
【図2】図1のA−A線に沿って切断して示す射出成形歯車の断面図である。
【図3】本発明の第1実施形態に係る射出成形歯車の背面図である。
【図4】図1乃至図3に示した射出成形歯車を成形するための射出成形金型の構造を模式的に示す断面図である。
【図5】図4のB−B線に沿って切断して示すキャビティの形状を示す図である。
【図6】図4乃至図5の射出成形金型におけるキャビティ内の溶融樹脂の流動状態を模式的に示す図である。図6(a)は第1段階における溶融樹脂の流動状態を示す図、図6(b)は図6(a)よりも更に溶融樹脂の充填が進んだ状態における溶融樹脂の流動状態を示す図、図6(c)は第2キャビティ内の途中まで溶融樹脂が充填された状態を示す図、図6(d)は図3のC方向から見た第2歯車部の一部拡大図である。
【図7】本発明の第2実施形態としての射出成形歯車の正面図である。
【図8】図7のD−D線に沿って切断して示す射出成形歯車の断面図である。
【図9】本発明の第2実施形態としての射出成形歯車の背面図である。
【図10】本発明の第2実施形態としての射出成形歯車を射出成形する場合のキャビティ内における溶融樹脂の流動状態を模式的に示す図である。図10(a)は第1段階における溶融樹脂の流動状態を示す図、図10(b)は図10(a)よりも更に溶融樹脂の充填が進んだ状態における溶融樹脂の流動状態を示す図、図10(c)は第2歯車部に対応するキャビティ内の途中まで溶融樹脂が充填された状態を示す図、図10(d)は図9のE方向から見た第2歯車部の一部拡大図である。
【図11】第1従来例に係る射出成形歯車の正面図である。
【図12】第2従来例に係る射出成形歯車の断面図である。
【符号の説明】
【0045】
1,50……射出成形歯車(回転伝達手段)、2……第1歯車部(円板状部)、3,56……第2歯車部(軸状部)、8……回転中心、11,57……歯、15a〜15b……ゲート痕(ピンポイントゲートの切り離し痕)、16……射出成形金型、17……キャビティ、18a〜18c……ゲート(ピンポイントゲート)、21a〜21c……径方向線、23……第1周方向溝(肉抜き部)、27……第2周方向溝(肉抜き部)、34……第1突起部(充填バランス調整手段)、35……第2突起部(充填バランス調整手段)、41〜43……径方向ウェルドライン、44……軸方向ウェルドライン、45,58……歯先、55……ウェルドライン(軸方向ウェルドライン)
【技術分野】
【0001】
この発明は、回転を伝達することができる射出成形歯車等の回転伝達手段、及びこの回転伝達手段を射出成形するために使用される射出成形金型に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、モータ等の駆動源から駆動力を受けて作動する自動車部品等には、動力伝達系の軽量化や作動音の静粛化等を目的として、射出成形により形成された合成樹脂製歯車(射出成形歯車)が多く使用されている。
【0003】
(第1従来例)
図11は、このような従来の射出成形歯車100の第1例を示すものである。この図に示す射出成形歯車100は、射出成形金型のキャビティ内に溶融樹脂を射出する3個のピンポイントゲート101の位置を工夫し、各ピンポイントゲート101間に形成されるウエルドライン102を歯底103から径方向内方へ向かって延びるようにすると共に、各ウエルドライン102をウェブ104の周方向に沿ってほぼ等間隔となるように形成し、各ウエルドライン102の形成位置のばらつきに起因する歯車強度の低下を防止するようになっている(特許文献1参照)。
【0004】
(第2従来例)
また、図12は、従来の射出成形歯車110の第2例を示すものである。この図に示す射出成形歯車110は、円板状のウェブ111の外周端に複数の歯112を備えた第1歯車部113が形成されると共に、この第1歯車部113を構成するウェブ111の一方の側面に第1歯車部113よりも小径の第2歯車部114が第1歯車部113の回転中心と同心となるように形成されてなる多段歯車である。そして、図12に示す射出成形歯車110は、ウェブ111の径方向内方端側にリング状ゲート115を配置し、そのリング状ゲート115から射出成形金型116のキャビティ117内に射出した溶融樹脂をウェブ111の径方向内方端から径方向外方へ向かって均等に流動させて、ウェルドラインがウェブ111や第2歯車部114に発生するのを防止し、ウエルドラインに起因する歯車強度の低下を防止するようになっている(特許文献2参照)。
【特許文献1】特開2005−22368号公報
【特許文献2】特開2003−35355号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、図11に示す第1従来例の射出成形歯車100は、ウエルドライン102の形成位置のばらつきにより、ウエルドライン102の径方向外方端が歯元近傍の歯底103(歯元に作用する応力の影響を大きく受ける部分)に位置すると、歯105の強度を著しく低下させる虞があった。
【0006】
また、図12に示す第2従来例の射出成形歯車110は、ウェルドラインに起因する歯車強度の低下を考慮する必要はないが、リング状ゲート115を使用しているため、多点のピンポイントゲートで射出成形する場合に比較し、図外のランナ及びリング状ゲート115内の残留樹脂材料(射出成形に使用されない樹脂材料)が多くなり、樹脂材料の利用効率が低下し、製造コストの高騰を招くという不具合を有していた。
【0007】
そこで、本発明は、ウエルドラインに起因する歯の強度低下を抑えることができると共に樹脂材料の利用効率を低下させることがない回転動力伝達手段、及びこの回転動力伝達手段の射出成形金型を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
請求項1の発明は、射出成形金型のキャビティ内に溶融樹脂を射出することにより、(1)回転中心の回りに回転できるようになっている円板状部と、(2)前記円板状部よりも小径で、且つ、前記円板状部の一方の側面から前記円板状部の前記回転中心と同心となるように突出する軸状部とが形成されると共に、(3)前記軸状部の外周側に3で割り切れない数の歯が形成され、前記歯を介して回転が伝達される回転伝達手段に関するものである。そして、前記円板状部のうちで、前記軸状部よりも径方向外方側に位置する前記円板状部には、前記キャビティに開口する3個のピンポイントゲートの切り離し痕が前記回転中心と同心に周方向に沿って所定の間隔で位置している。また、前記3個のピンポイントゲートの切り離し痕のうちで、隣り合う一対のピンポイントゲートの切り離し痕は、該隣り合う一対のピンポイントゲートの切り離し痕のそれぞれと前記隣り合う一対のピンポイントゲートの切り離し痕以外の前記ピンポイントゲートの切り離し痕との間の周方向間隔よりも短い周方向間隔となるように位置している。また、前記軸状部の前記歯であって、前記隣り合うピンポイントゲートの切り離し痕間の前記周方向真中に位置する歯には、その歯先を歯幅方向に沿って延びる軸方向ウェルドラインが形成されている。
【0009】
請求項2の発明は、前記請求項1の発明における前記円板状部に特徴を有するものである。すなわち、前記円板状部は、(1)前記3個のピンポイントゲートから前記キャビティ内に射出された前記溶融樹脂が前記キャビティ内の前記軸状部に対応する部分に均等に充填されるように、前記溶融樹脂の流れを規制する前記キャビティ内の充填バランス調整手段である肉抜き部が設けられ、(2)前記隣り合うピンポイントゲートの切り離し痕間の前記周方向真中に位置する歯の歯先から回転中心に向かって延び、且つ、前記歯の歯先から径方向外方へ向かって延びる径方向ウェルドラインが形成されている。
【0010】
請求項3の発明は、射出成形金型のキャビティ内に溶融樹脂を射出することにより、(1)回転中心の回りに回転できるようになっている円板状部と、(2)前記円板状部よりも小径で、且つ、前記円板状部の一方の側面から前記円板状部の前記回転中心と同心となるように突出する軸状部とが形成されると共に、(3)前記軸状部の外周側に3で割り切れない奇数の歯が形成され、前記歯を介して回転が伝達される回転伝達手段に関するものである。そして、前記円板状部のうちで、前記軸状部よりも径方向外方側に位置する前記円板状部には、前記キャビティに開口する3個のピンポイントゲートの切り離し痕が前記回転中心と同心に周方向に沿って所定の間隔で位置している。また、前記3個のピンポイントゲートの切り離し痕は、それぞれ前記回転中心から延びて前記歯の歯底を通る径方向線上に位置し、且つ、隣り合う前記ピンポイントゲートの切り離し痕間に奇数の前記歯が位置するようになっている。また、前記3個のピンポイントゲートの切り離し痕のうちで、隣り合う一対のピンポイントゲートの切り離し痕は、該隣り合う一対のピンポイントゲートの切り離し痕のそれぞれと前記隣り合う一対のピンポイントゲートの切り離し痕以外の前記ピンポイントゲートの切り離し痕との間の周方向間隔よりも短い周方向間隔となるように位置している。また、前記円板状部は、(1)前記3個のピンポイントゲートから前記キャビティ内に射出された前記溶融樹脂が前記キャビティ内の前記軸状部に対応する部分に均等に充填されるように、前記溶融樹脂の流れを規制する前記キャビティ内の充填バランス調整手段に対応する肉抜き部が設けられ、(2)前記隣り合うピンポイントゲートの切り離し痕間の真中に位置する歯の歯先から回転中心に向かって延び、且つ、前記歯の歯先から径方向外方へ向かって延びる径方向ウェルドラインが形成されている。また、前記軸状部の前記歯であって、前記隣り合うピンポイントゲートの切り離し痕間の真中に位置する歯には、その歯先を歯幅方向に沿って延びる軸方向ウェルドラインが形成されている。
【0011】
請求項4の発明は、回転中心の回りに回転できるようになっている円板状部と、前記円板状部よりも小径で、且つ、前記円板状部の一方の側面から前記円板状部の前記回転中心と同心となるように突出する軸状部とを有し、前記軸状部の外周側に3で割り切れない数の歯が形成され、前記歯を介して回転が伝達される回転伝達手段の射出成形金型に関するものである。この回転伝達手段の射出成形金型は、前記円板状部を形作るための第1キャビティ部分と、前記軸状部を形作るための第2キャビティ部分とを有している。そして、前記第1キャビティ部分のうちで、前記第2キャビティ部分よりも径方向外方側に位置する前記第1キャビティ部分には、3個のピンポイントゲートが前記回転中心と同心に周方向に沿って所定の間隔で開口するように配置されている。また、前記3個のピンポイントゲートのうちで、隣り合う一対のピンポイントゲートは、該隣り合う一対のピンポイントゲートのそれぞれと前記隣り合う一対のピンポイントゲート以外の前記ピンポイントゲートとの間の周方向間隔よりも短い周方向間隔となるように配置されている。また、前記第1キャビティ部分は、前記3個のピンポイントゲートから射出された溶融樹脂を前記第2キャビティ部分に均等に充填させるように、前記溶融樹脂の充填速度を調整する充填バランス調整手段が設けられている。
【0012】
請求項5の発明は、回転中心の回りに回転できるようになっている円板状部と、前記円板状部よりも小径で、且つ、前記円板状部の一方の側面から前記円板状部の前記回転中心と同心となるように突出する軸状部とを有し、前記軸状部の外周側に3で割り切れない奇数の歯が形成され、前記歯を介して回転が伝達される回転伝達手段の射出成形金型に関するものである。この回転伝達手段の射出成形金型は、前記円板状部を形作るための第1キャビティ部分と、前記軸状部を形作るための第2キャビティ部分とを有している。そして、前記第1キャビティ部分のうちで、前記第2キャビティ部分よりも径方向外方側に位置する前記第1キャビティ部分には、3個のピンポイントゲートが前記回転中心と同心に周方向に沿って所定の間隔で開口するように配置されている。また、前記3個のピンポイントゲートは、それぞれ前記回転中心から延びて前記歯の歯底を通る径方向線上に配置され、且つ、隣り合う前記ピンポイントゲート間に奇数の前記歯が位置するように配置されている。また、前記3個のピンポイントゲートのうちで、隣り合う一対のピンポイントゲートは、該隣り合う一対のピンポイントゲートのそれぞれと前記隣り合う一対のピンポイントゲート以外の前記ピンポイントゲートとの間の周方向間隔よりも短い周方向間隔となるように配置されている。また、前記第1キャビティ部分は、前記3個のピンポイントゲートから射出された溶融樹脂を前記第2キャビティ部分に均等に充填させるように、前記溶融樹脂の充填速度を調整する充填バランス調整手段が設けられている。
【発明の効果】
【0013】
本発明に係る回転伝達手段は、回転トルクを伝達する軸状部において、歯の歯先から歯幅方向に沿って延びる軸方向ウェルドラインが形成され、大きな応力が作用する歯の歯元にウェルドラインが位置することがないため、ウェルドラインに起因する歯の強度低下を抑えることができる。
【0014】
また、本発明に係る射出成形金型を使用して成形された回転伝達手段は、3個のピンポイントゲートによって射出成形されたものであり、リング状ゲートを使用して射出成形される場合に比較し、無駄にする樹脂材料が少なくなり、樹脂材料の利用効率が向上するため、製造コストを低減でき、製品価格が低廉化する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づき詳述する。
【0016】
[第1実施形態]
(射出成形歯車)
図1乃至図3は、本発明の実施形態に係る回転動力伝達手段としての射出形成歯車1である。なお、これらの図において、図1は射出成形歯車1の正面図であり、図2は図1のA−A線に沿って切断して示す射出成形歯車1の断面図であり、図3は射出成形歯車1の背面図である。
【0017】
これらの図に示す射出成形歯車1は、ポリアセタール,ポリアミド,ポリフェニレンスルフィド,ポリブチレンテレフタレート等の樹脂材料を使用して射出成形したものであり、大径の第1歯車部(円板状部)2と小径の第2歯車部(軸状部)3とが一体に形成された二段歯車である。なお、射出成形歯車1は、前述のポリアセタール等の樹脂材料に強化繊維(例えば炭素繊維)を適宜配合して射出成形してもよい。
【0018】
第1歯車部2は、円板形状のウェブ4の外周端に円筒状のリム5が形成され、そのリム5の外周側に歯6が複数形成されている。第2歯車部3は、ウェブ4の一方の側面(背面)7から第1歯車部2の回転中心8の軸芯10に沿って軸状に突出し、その回転中心が第1歯車部10の回転中心8と同心となるように形成されており、その外周側に歯11が複数(3で割り切れない奇数)形成されている。そして、これら第1歯車部2と第2歯車部3の回転中心部には、回転中心8の軸芯10に沿って軸穴12が形成されている。軸穴12は、射出成形歯車1を回転可能に支持する支持軸(図示せず)が嵌合されるものであり、射出成形歯車1の中心部を正面側(ウェブ4の他方の側面13側)から裏面側(第2歯車部3の端面14側)まで貫通している。
【0019】
第1歯車部2のウェブ4の他方の側面(正面)13であって、第2歯車部3から径方向外方に離れた位置に3個のゲート痕(ピンポイントゲートの切り離し痕)15a〜15cが形成されている。なお、ゲート痕15a〜15cは、射出成形金型16から製品(射出成形歯車1)を取り出す際に生じるものであり、射出成形金型16のキャビティ17に開口するピンポイントゲート18a〜18c(以下、ゲートと略称する)が製品から切り離された際に生じる痕である(図4及び図5参照)。
【0020】
第1歯車部2のウェブ4に形成された3個のゲート痕15a〜15cは、図1及び図3に示すように、第1歯車部2の回転中心8を中心とする円20上に位置しており、円20の周方向に所定の間隔で形成されている。この3個のゲート痕15a〜15cは、それぞれのゲート痕15a〜15cの中心と第1歯車部2の回転中心8とを結ぶ径方向線21a〜21c上に第2歯車部3の歯11の歯底22が位置するように形成されている。また、この3個のゲート痕15a〜15cは、第1のゲート痕15aが径方向線(図1及び図2の上下方向に延びる中心線)21a上に位置しており、第1のゲート痕15aから第2のゲート痕15bまでの円20の周方向に沿った間隔と第1のゲート痕15aから第3のゲート痕15cまでの円20の周方向に沿った間隔とが一致しており、図1における第2のゲート痕15bと第3のゲート痕15cが径方向線21aを中心として左右対称に位置している。
【0021】
ここで、第1のゲート痕15aから第2のゲート痕15bまでの間隔及び第1のゲート痕15aから第3のゲート痕15cまでの間隔(図1における第1歯車部2の回転中心8を中心とする開き角度)は、第2及び第3のゲート痕15b,15cのそれぞれと第1のゲート痕15aとの間に第2歯車部3の奇数の歯11が位置すると共に、第2のゲート痕15bと第3のゲート痕15cとの間に第2歯車部3の奇数の歯11が位置し、且つ、第2及び第3のゲート痕15b,15cのそれぞれと第1のゲート痕15aとの間に位置する第2歯車部3の歯11の数(N1)が第2のゲート痕15bと第3のゲート痕15cとの間に位置する第2歯車部3の歯11の数(N2)よりも大きく(N1>N2)なるように位置している。その結果、円20上において、第2のゲート痕15bと第3のゲート痕15cとの間の周方向間隔は、第2及び第3のゲート痕15b,15cのそれぞれと第1のゲート痕15aとの間の周方向間隔よりも短くなっている。
【0022】
図1に示すように、第1歯車部2のウェブ4の他方の側面13であって且つ第1のゲート痕15aの左右両側には、円20の周方向に沿って延びる第1周方向溝23,23がそれぞれ第1のゲート痕15aから所定距離だけ離れて対称に位置するように一対形成されている。この第1周方向溝23は、円20よりも半径方向内方に位置し且つ円20と同心の円弧形状である半径方向内方縁23aと、円20よりも半径方向外方に位置し且つ円20と同心の円弧形状である半径方向外方縁23bと、第1歯車部2の回転中心8から半径方向外方へ向かって延びる径方向線上に位置し且つ円20の周方向に沿って離れて位置する一対の側縁23c,23dとで形作られ、ほぼ一定の溝深さとなるように形成されている。そして、この第1周方向溝23の半径方向内方縁23aが第2歯車部3の外周近傍に位置し、第1周方向溝23の半径方向外方縁23bが円20とリム5の内周面24との間に位置している。また、一対の第1周方向溝23,23の第1のゲート痕15a側の側縁c,23c間の距離は、第1のゲート痕15aの大きさ(直径)の数倍の大きさになっている。なお、この一対の第1周方向溝23,23の第1のゲート痕15a側の側縁(一側縁)23c,23c間の距離は、少なくとも第1のゲート痕15aの大きさよりも大きく設定される。そして、第1周方向溝23,23の周方向長さは、第1のゲート痕15aと第2のゲート痕15bの間の真中の径方向線25又は第1のゲート痕15aと第3のゲート痕15cの間の真中の径方向線26に到達しない程度の長さになっている。
【0023】
また、図1に示すように、第1歯車部2のウェブ4の他方の側面13であって且つ第2のゲート痕15b及び第3のゲート痕15cの半径方向内方側には、円20と同心の円弧形状である第2周方向溝27が形成されている。この第2周方向溝27は、その半径方向内方縁27aが第2歯車部3の外周近傍に位置し、その半径方向外方縁27bが第2及び第3のゲート痕15b,15cよりも僅かに半径方向内側に位置している。また、第2周方向溝27は、その周方向の一方の側縁27cが第2のゲート痕15bと第1のゲート痕15aとの間の真中の径方向線25に到達しない程度の位置まで延び、その周方向の他方の側縁27dが第3のゲート痕15cと第1のゲート痕15aとの間の真中の径方向線26に到達しない程度の位置まで延びている。その結果、この第2周方向溝27は、図1の上下に延びる径方向線(中心線)21aに対して左右対称の形状になっている。
【0024】
なお、第1周方向溝23,23及び第2周方向溝27は、後述する射出成形金型16の充填バランス調整手段に対応するものであり、ウェブ4を部分的に薄くする肉抜き部である。
【0025】
(射出成形歯車の射出成形金型)
図4は、図1乃至図3に示した射出成形歯車1を成形するための射出成形金型16の構造を模式的に示す断面図であり、キャビティ17の形状が図2に示す射出成形歯車1の断面形状に対応する図である。また、図5は、図4のB−B線に沿って切断して示すキャビティ17の形状を示す図である。
【0026】
図4乃至図5に示すように、射出成形金型16は、第1金型28,第2金型30及び軸型31を備えており、第1金型28と第2金型30の型合わせ面側にキャビティ17が形成されている。キャビティ17は、図1乃至図3の射出成形歯車1の形状に対応する空間であり、第1歯車部2を形作るための第1キャビティ部分32と、第2歯車部3を形作るための第2キャビティ部分33とを有しており、ウェブ4の第1乃至第3のゲート痕15a〜15cに対応する第1乃至第3のゲート18a〜18cが第1キャビティ部分32に開口するようになっている。なお、第1乃至第3のゲート18a〜18cは、第1キャビティ部分32に開口する部分の形状が同一である。
【0027】
第1キャビティ部分32には、射出成形歯車1の一対の第1周方向溝23,23に対応するように第1金型28に形成された一対の第1突起部34,34が出っ張っている。この一対の第1突起部34,34は、第1のゲート痕15aに対応する第1のゲート18aの両側に離れて配置されており、第1キャビティ部分32の空間を狭めている。
【0028】
また、第1キャビティ部分32には、射出成形歯車1の第2周方向溝27に対応するように第1金型28に形成された第2突起部35が出っ張っている。この第2突起部35は、第2及び第3のゲート痕15b,15cに対応する第2及び第3のゲート18b,18cの径方向内側に僅かに離れて配置されており、第1キャビティ部分32の空間を狭めている。
【0029】
第1キャビティ部分32及び第2キャビティ部分33には、射出成形歯車1の軸穴12を形成するための軸型31が配置されている。この軸型31は、第1金型28又は第2金型30で支持され、キャビティ17を貫通している。
【0030】
図6は、キャビティ17内の溶融樹脂の流動状態を模式的に示す図である。なお、図4乃至図5の射出成形金型16を使用した射出成形歯車1の成形は、第1乃至第3のゲート18a〜18cからキャビティ17内に同量の溶融樹脂が同時に射出されるようになっている。
【0031】
この図6(a)に示すように、第1のゲート18aからキャビティ17内に射出された溶融樹脂36は、一対の第1突起部34,34によって円20に沿った周方向への流動が妨げられ、径方向線21aに沿った流動が促進されることにより、径方向線21aに沿った方向が長軸となる楕円形状となって流動する。また、第2及び第3のゲート18b,18cからキャビティ17内に射出された溶融樹脂37,38は、第2突起部35によって径方向内方への流動が妨げられる結果、径方向線21b,21cに沿った方向が短軸となる楕円形状となって流動する。このように、第1突起部34,34及び第2突起部35は、溶融樹脂36〜38の流れを規制して、第1キャビティ部分32及び第2キャビティ部分33への溶融樹脂の充填バランスを整える充填バランス調整手段として機能する。
【0032】
このように、第1突起部34,34及び第2突起部35によって溶融樹脂36〜38の流動が規制される結果、図6(b)に示すように、第1乃至第3のゲート18a〜18cから射出された溶融樹脂36〜38が軸型(射出成形歯車1の軸穴12に対応する部分)31に同時に到達する。
【0033】
その後、溶融樹脂36〜38は、第1キャビティ部分32にさらに充填されると共に、第2キャビティ部分33にも充填されていく。
【0034】
この際、第1キャビティ部分32において、第1のゲート18aと第2のゲート18bから射出された溶融樹脂が両ゲート18a,18b間の中間位置で合流して、キャビティ17の中心40(射出成形歯車1の回転中心8に対応する位置)から半径方向外方へ向かって延びる径方向線25に沿ってウェルドライン41(径方向ウェルドライン)が形成される(図1及び図3参照)。また、第1キャビティ部分32において、第1のゲート18aと第3のゲート18cから射出された溶融樹脂が両ゲート18a,18c間の中間位置で合流して、キャビティ17の中心40(射出成形歯車1の回転中心8に対応する位置)から半径方向外方へ向かって延びる径方向線26に沿ってウェルドライン(径方向ウェルドライン)42が形成される(図1及び図3参照)。また、第1キャビティ部分32において、第2のゲート18bと第3のゲート18cから射出された溶融樹脂が両ゲート18b,18c間の中間位置で合流して、キャビティ17の中心40(射出成形歯車1の回転中心8に対応する位置)から半径方向外方へ向かって延びる径方向線(中心線)21aに沿ってウェルドライン(径方向ウェルドライン)43が形成される(図1及び図3参照)。
【0035】
また、第1キャビティ部分32において、第1のゲート18aと第2のゲート18bの中間で合流した溶融樹脂、第1のゲート18sと第3のゲート18cの中間で合流した溶融樹脂、及び第2のゲート18bと第3のゲート18cの中間で合流した溶融樹脂は、第2キャビティ部分33を均等に流動し、各径方向ウェルドライン41〜43から分岐して第2キャビティ部分33の軸芯10に沿って延びる軸方向ウェルドライン44を形成する(図6(c)〜(d)参照)。その結果、第2歯車部3は、第1乃至第3の各ゲート18a〜18c間の真中に位置する歯11の歯先45(歯厚方向の中心部)から歯幅方向に沿って延びる軸方向ウェルドライン44が形成される(図6(d)参照)。
【0036】
(本実施形態の効果)
本実施の形態に係る射出成形金型16を使用して成形された射出成形歯車1は、第1歯車部2に比較して大きなトルクを伝達することになる第2歯車部3において、歯11の歯先45から歯幅方向に沿って延びる軸方向ウェルドライン44が形成され、大きな応力が作用する歯11の歯元にウェルドラインが位置することがないため、ウェルドラインに起因する歯11の強度低下を抑えることができ、第1従来例よりも歯11の強度が大きくなる。
【0037】
また、本実施形態に係る射出成形金型16を使用して成形された射出成形歯車1は、3個のゲート(ピンポイントゲート)18a〜18cによって射出成形されたものであり、リング状ゲートを使用して射出成形される第2従来例に比較し、無駄にする樹脂材料が少なくなり、樹脂材料の利用効率が向上するため、製造コストを低減でき、製品価格が低廉化する。
【0038】
(第1実施形態の変形例)
本発明に係る射出成形歯車1は、上記実施形態に限られず、第1歯車部2及び第2歯車部3の外径形状に応じ、第1周方向溝23,23と第2周方向溝27の大きさや形状を適宜変更して、上記実施形態と同様の効果を得るようにしてもよい。
【0039】
また、本発明に係る射出成形金型16は、上記実施形態に限られず、第2金型30側に第1乃至第3のゲート18a〜18cを形成するようにしてもよい。
【0040】
[第2実施形態]
図7乃至図9は、第1実施形態に係る射出成形歯車1における第1周方向溝23,23及び第2周方向溝27が形成されていない射出成形歯車50であって、図4及び図5に示した射出成形金型16における第1突起部34,34及び第2突起部35が形成されていない射出成形金型(図示せず)を使用して成形された射出成形歯車50を示すものであり、本発明の第2実施形態としての射出成形歯車50を示すものである。このうち、図7は射出成形歯車50の正面図であり、図8は図7のD−D線に沿って切断して示す断面図であり、図9は射出成形歯車50の背面図である。なお、図7乃至図9に示す射出成形歯車50は、射出成形歯車1の第1周方向溝23,23及び第2周方向溝27が形成されていない点を除き、他の外観形状が図1乃至図3に示した第1実施形態の射出成形歯車1と同一である。
【0041】
このような本実施形態に係る射出成形歯車50を成形する射出成形金型は、第1実施形態に係る射出成形金型16における充填バランス調整手段としての第1突起部34,34及び第2突起部35が形成されていないため、第1乃至第3のゲート18a〜18cからキャビティ51内に射出された溶融樹脂52〜54がそれぞれ円形に広がっていき(図10(a)参照)、第2及び第3のゲート18b,18cから射出された溶融樹脂53,54が第1のゲート18aから射出された溶融樹脂52よりも先に軸型31に到達する(図10(b)参照)。そして、第2及び第3のゲート18b,18c側から第2キャビティ部分33に充填される溶融樹脂の量が第1のゲート18a側から第2キャビティ部分33に充填される溶融樹脂の量よりも多くなり、第2キャビティ部分33に充填される溶融樹脂の充填バランスが第1実施形態の場合に比較して悪くなる(図10(c)参照)。その結果、第2キャビティ部分33において、図10(d)に示すように、軸芯10に対して僅かに斜めに傾いたウェルドライン55が形成されるものの、ウェルドライン55は歯先58を歯幅方向に沿って延びる軸方向ウェルドラインとして歯先面内に形成される。なお、本実施形態において、第1乃至第3のゲート18a〜18cの開口面積を異ならせて射出量を調整したり、第1乃至第3のゲート18a〜18cの開口位置を径方向にずらす等の工夫をすることにより、第2キャビティ部分33への溶融樹脂の充填バランスを改善すれば、第2キャビティ部分33への溶融樹脂の充填バランスを第1実施形態と同様にすることができる。
【0042】
なお、上記各実施形態において、第2歯車部(3,56)の歯(11,57)の数は、第1乃至第3のゲート18a〜18cの形成位置を第2歯車部(3,56)の歯(11,57)の位置を考慮して決定し、隣り合うゲート間の周方向真中に歯(11,57)の歯厚方向中心が位置するようになっていれば、3で割り切れない奇数に限られず、3で割り切れない偶数でも良い。
【産業上の利用可能性】
【0043】
本発明は、第1歯車部と第2歯車部からなる射出成形歯車及びその射出成形金型に限られず、円板状部を歯車以外のVベルト,平ベルト,歯付きベルトが巻き掛けられるプーリ又は単なる円板等にするか、軸状部を歯車の歯以外の歯を形成して歯付きベルト用プーリやスプロケットにした回転伝達手段(少なくとも軸状部の外周に3で割り切れない奇数の歯が形成された回転伝達手段)及びその射出成形金型に適用できる。
【図面の簡単な説明】
【0044】
【図1】本発明の第1実施形態に係る射出成形歯車の正面図である。
【図2】図1のA−A線に沿って切断して示す射出成形歯車の断面図である。
【図3】本発明の第1実施形態に係る射出成形歯車の背面図である。
【図4】図1乃至図3に示した射出成形歯車を成形するための射出成形金型の構造を模式的に示す断面図である。
【図5】図4のB−B線に沿って切断して示すキャビティの形状を示す図である。
【図6】図4乃至図5の射出成形金型におけるキャビティ内の溶融樹脂の流動状態を模式的に示す図である。図6(a)は第1段階における溶融樹脂の流動状態を示す図、図6(b)は図6(a)よりも更に溶融樹脂の充填が進んだ状態における溶融樹脂の流動状態を示す図、図6(c)は第2キャビティ内の途中まで溶融樹脂が充填された状態を示す図、図6(d)は図3のC方向から見た第2歯車部の一部拡大図である。
【図7】本発明の第2実施形態としての射出成形歯車の正面図である。
【図8】図7のD−D線に沿って切断して示す射出成形歯車の断面図である。
【図9】本発明の第2実施形態としての射出成形歯車の背面図である。
【図10】本発明の第2実施形態としての射出成形歯車を射出成形する場合のキャビティ内における溶融樹脂の流動状態を模式的に示す図である。図10(a)は第1段階における溶融樹脂の流動状態を示す図、図10(b)は図10(a)よりも更に溶融樹脂の充填が進んだ状態における溶融樹脂の流動状態を示す図、図10(c)は第2歯車部に対応するキャビティ内の途中まで溶融樹脂が充填された状態を示す図、図10(d)は図9のE方向から見た第2歯車部の一部拡大図である。
【図11】第1従来例に係る射出成形歯車の正面図である。
【図12】第2従来例に係る射出成形歯車の断面図である。
【符号の説明】
【0045】
1,50……射出成形歯車(回転伝達手段)、2……第1歯車部(円板状部)、3,56……第2歯車部(軸状部)、8……回転中心、11,57……歯、15a〜15b……ゲート痕(ピンポイントゲートの切り離し痕)、16……射出成形金型、17……キャビティ、18a〜18c……ゲート(ピンポイントゲート)、21a〜21c……径方向線、23……第1周方向溝(肉抜き部)、27……第2周方向溝(肉抜き部)、34……第1突起部(充填バランス調整手段)、35……第2突起部(充填バランス調整手段)、41〜43……径方向ウェルドライン、44……軸方向ウェルドライン、45,58……歯先、55……ウェルドライン(軸方向ウェルドライン)
【特許請求の範囲】
【請求項1】
射出成形金型のキャビティ内に溶融樹脂を射出することにより、(1)回転中心の回りに回転できるようになっている円板状部と、(2)前記円板状部よりも小径で、且つ、前記円板状部の一方の側面から前記円板状部の前記回転中心と同心となるように突出する軸状部とが形成されると共に、(3)前記軸状部の外周側に3で割り切れない数の歯が形成され、
前記歯を介して回転が伝達される回転伝達手段において、
前記円板状部のうちで、前記軸状部よりも径方向外方側に位置する前記円板状部には、前記キャビティに開口する3個のピンポイントゲートの切り離し痕が前記回転中心と同心に周方向に沿って所定の間隔で位置しており、
前記3個のピンポイントゲートの切り離し痕のうちで、隣り合う一対のピンポイントゲートの切り離し痕は、該隣り合う一対のピンポイントゲートの切り離し痕のそれぞれと前記隣り合う一対のピンポイントゲートの切り離し痕以外の前記ピンポイントゲートの切り離し痕との間の周方向間隔よりも短い周方向間隔となるように位置しており、
前記軸状部の前記歯であって、前記隣り合うピンポイントゲートの切り離し痕間の前記周方向真中に位置する歯には、その歯先を歯幅方向に沿って延びる軸方向ウェルドラインが形成された、
ことを特徴とする回転伝達手段。
【請求項2】
前記円板状部は、(1)前記3個のピンポイントゲートから前記キャビティ内に射出された前記溶融樹脂が前記キャビティ内の前記軸状部に対応する部分に均等に充填されるように、前記溶融樹脂の流れを規制する前記キャビティ内の充填バランス調整手段である肉抜き部が設けられ、(2)前記隣り合うピンポイントゲートの切り離し痕間の前記周方向真中に位置する歯の歯先から回転中心に向かって延び、且つ、前記歯の歯先から径方向外方へ向かって延びる径方向ウェルドラインが形成された、
ことを特徴とする請求項1に記載の回転伝達手段。
【請求項3】
射出成形金型のキャビティ内に溶融樹脂を射出することにより、(1)回転中心の回りに回転できるようになっている円板状部と、(2)前記円板状部よりも小径で、且つ、前記円板状部の一方の側面から前記円板状部の前記回転中心と同心となるように突出する軸状部とが形成されると共に、(3)前記軸状部の外周側に3で割り切れない奇数の歯が形成され、
前記歯を介して回転が伝達される回転伝達手段において、
前記円板状部のうちで、前記軸状部よりも径方向外方側に位置する前記円板状部には、前記キャビティに開口する3個のピンポイントゲートの切り離し痕が前記回転中心と同心に周方向に沿って所定の間隔で位置しており、
前記3個のピンポイントゲートの切り離し痕は、それぞれ前記回転中心から延びて前記歯の歯底を通る径方向線上に位置し、且つ、隣り合う前記ピンポイントゲートの切り離し痕間に奇数の前記歯が位置するようになっており、
前記3個のピンポイントゲートの切り離し痕のうちで、隣り合う一対のピンポイントゲートの切り離し痕は、該隣り合う一対のピンポイントゲートの切り離し痕のそれぞれと前記隣り合う一対のピンポイントゲートの切り離し痕以外の前記ピンポイントゲートの切り離し痕との間の周方向間隔よりも短い周方向間隔となるように位置しており、
前記円板状部は、(1)前記3個のピンポイントゲートから前記キャビティ内に射出された前記溶融樹脂が前記キャビティ内の前記軸状部に対応する部分に均等に充填されるように、前記溶融樹脂の流れを規制する前記キャビティ内の充填バランス調整手段に対応する肉抜き部が設けられ、(2)前記隣り合うピンポイントゲートの切り離し痕間の真中に位置する歯の歯先から回転中心に向かって延び、且つ、前記歯の歯先から径方向外方へ向かって延びる径方向ウェルドラインが形成され、
前記軸状部の前記歯であって、前記隣り合うピンポイントゲートの切り離し痕間の真中に位置する歯には、その歯先を歯幅方向に沿って延びる軸方向ウェルドラインが形成された、
ことを特徴とする回転伝達手段。
【請求項4】
回転中心の回りに回転できるようになっている円板状部と、前記円板状部よりも小径で、且つ、前記円板状部の一方の側面から前記円板状部の前記回転中心と同心となるように突出する軸状部とを有し、前記軸状部の外周側に3で割り切れない数の歯が形成され、前記歯を介して回転が伝達される回転伝達手段の射出成形金型において、
前記円板状部を形作るための第1キャビティ部分と、前記軸状部を形作るための第2キャビティ部分とを有し、
前記第1キャビティ部分のうちで、前記第2キャビティ部分よりも径方向外方側に位置する前記第1キャビティ部分には、3個のピンポイントゲートが前記回転中心と同心に周方向に沿って所定の間隔で開口するように配置されており、
前記3個のピンポイントゲートのうちで、隣り合う一対のピンポイントゲートは、該隣り合う一対のピンポイントゲートのそれぞれと前記隣り合う一対のピンポイントゲート以外の前記ピンポイントゲートとの間の周方向間隔よりも短い周方向間隔となるように配置されており、
前記第1キャビティ部分は、前記3個のピンポイントゲートから射出された溶融樹脂を前記第2キャビティ部分に均等に充填させるように、前記溶融樹脂の充填速度を調整する充填バランス調整手段が設けられた、
ことを特徴とする回転伝達手段の射出成形金型。
【請求項5】
回転中心の回りに回転できるようになっている円板状部と、前記円板状部よりも小径で、且つ、前記円板状部の一方の側面から前記円板状部の前記回転中心と同心となるように突出する軸状部とを有し、前記軸状部の外周側に3で割り切れない奇数の歯が形成され、前記歯を介して回転が伝達される回転伝達手段の射出成形金型において、
前記円板状部を形作るための第1キャビティ部分と、前記軸状部を形作るための第2キャビティ部分とを有し、
前記第1キャビティ部分のうちで、前記第2キャビティ部分よりも径方向外方側に位置する前記第1キャビティ部分には、3個のピンポイントゲートが前記回転中心と同心に周方向に沿って所定の間隔で開口するように配置されており、
前記3個のピンポイントゲートは、それぞれ前記回転中心から延びて前記歯の歯底を通る径方向線上に配置され、且つ、隣り合う前記ピンポイントゲート間に奇数の前記歯が位置するように配置され、
前記3個のピンポイントゲートのうちで、隣り合う一対のピンポイントゲートは、該隣り合う一対のピンポイントゲートのそれぞれと前記隣り合う一対のピンポイントゲート以外の前記ピンポイントゲートとの間の周方向間隔よりも短い周方向間隔となるように配置されており、
前記第1キャビティ部分は、前記3個のピンポイントゲートから射出された溶融樹脂を前記第2キャビティ部分に均等に充填させるように、前記溶融樹脂の充填速度を調整する充填バランス調整手段が設けられた、
ことを特徴とする回転伝達手段の射出成形金型。
【請求項1】
射出成形金型のキャビティ内に溶融樹脂を射出することにより、(1)回転中心の回りに回転できるようになっている円板状部と、(2)前記円板状部よりも小径で、且つ、前記円板状部の一方の側面から前記円板状部の前記回転中心と同心となるように突出する軸状部とが形成されると共に、(3)前記軸状部の外周側に3で割り切れない数の歯が形成され、
前記歯を介して回転が伝達される回転伝達手段において、
前記円板状部のうちで、前記軸状部よりも径方向外方側に位置する前記円板状部には、前記キャビティに開口する3個のピンポイントゲートの切り離し痕が前記回転中心と同心に周方向に沿って所定の間隔で位置しており、
前記3個のピンポイントゲートの切り離し痕のうちで、隣り合う一対のピンポイントゲートの切り離し痕は、該隣り合う一対のピンポイントゲートの切り離し痕のそれぞれと前記隣り合う一対のピンポイントゲートの切り離し痕以外の前記ピンポイントゲートの切り離し痕との間の周方向間隔よりも短い周方向間隔となるように位置しており、
前記軸状部の前記歯であって、前記隣り合うピンポイントゲートの切り離し痕間の前記周方向真中に位置する歯には、その歯先を歯幅方向に沿って延びる軸方向ウェルドラインが形成された、
ことを特徴とする回転伝達手段。
【請求項2】
前記円板状部は、(1)前記3個のピンポイントゲートから前記キャビティ内に射出された前記溶融樹脂が前記キャビティ内の前記軸状部に対応する部分に均等に充填されるように、前記溶融樹脂の流れを規制する前記キャビティ内の充填バランス調整手段である肉抜き部が設けられ、(2)前記隣り合うピンポイントゲートの切り離し痕間の前記周方向真中に位置する歯の歯先から回転中心に向かって延び、且つ、前記歯の歯先から径方向外方へ向かって延びる径方向ウェルドラインが形成された、
ことを特徴とする請求項1に記載の回転伝達手段。
【請求項3】
射出成形金型のキャビティ内に溶融樹脂を射出することにより、(1)回転中心の回りに回転できるようになっている円板状部と、(2)前記円板状部よりも小径で、且つ、前記円板状部の一方の側面から前記円板状部の前記回転中心と同心となるように突出する軸状部とが形成されると共に、(3)前記軸状部の外周側に3で割り切れない奇数の歯が形成され、
前記歯を介して回転が伝達される回転伝達手段において、
前記円板状部のうちで、前記軸状部よりも径方向外方側に位置する前記円板状部には、前記キャビティに開口する3個のピンポイントゲートの切り離し痕が前記回転中心と同心に周方向に沿って所定の間隔で位置しており、
前記3個のピンポイントゲートの切り離し痕は、それぞれ前記回転中心から延びて前記歯の歯底を通る径方向線上に位置し、且つ、隣り合う前記ピンポイントゲートの切り離し痕間に奇数の前記歯が位置するようになっており、
前記3個のピンポイントゲートの切り離し痕のうちで、隣り合う一対のピンポイントゲートの切り離し痕は、該隣り合う一対のピンポイントゲートの切り離し痕のそれぞれと前記隣り合う一対のピンポイントゲートの切り離し痕以外の前記ピンポイントゲートの切り離し痕との間の周方向間隔よりも短い周方向間隔となるように位置しており、
前記円板状部は、(1)前記3個のピンポイントゲートから前記キャビティ内に射出された前記溶融樹脂が前記キャビティ内の前記軸状部に対応する部分に均等に充填されるように、前記溶融樹脂の流れを規制する前記キャビティ内の充填バランス調整手段に対応する肉抜き部が設けられ、(2)前記隣り合うピンポイントゲートの切り離し痕間の真中に位置する歯の歯先から回転中心に向かって延び、且つ、前記歯の歯先から径方向外方へ向かって延びる径方向ウェルドラインが形成され、
前記軸状部の前記歯であって、前記隣り合うピンポイントゲートの切り離し痕間の真中に位置する歯には、その歯先を歯幅方向に沿って延びる軸方向ウェルドラインが形成された、
ことを特徴とする回転伝達手段。
【請求項4】
回転中心の回りに回転できるようになっている円板状部と、前記円板状部よりも小径で、且つ、前記円板状部の一方の側面から前記円板状部の前記回転中心と同心となるように突出する軸状部とを有し、前記軸状部の外周側に3で割り切れない数の歯が形成され、前記歯を介して回転が伝達される回転伝達手段の射出成形金型において、
前記円板状部を形作るための第1キャビティ部分と、前記軸状部を形作るための第2キャビティ部分とを有し、
前記第1キャビティ部分のうちで、前記第2キャビティ部分よりも径方向外方側に位置する前記第1キャビティ部分には、3個のピンポイントゲートが前記回転中心と同心に周方向に沿って所定の間隔で開口するように配置されており、
前記3個のピンポイントゲートのうちで、隣り合う一対のピンポイントゲートは、該隣り合う一対のピンポイントゲートのそれぞれと前記隣り合う一対のピンポイントゲート以外の前記ピンポイントゲートとの間の周方向間隔よりも短い周方向間隔となるように配置されており、
前記第1キャビティ部分は、前記3個のピンポイントゲートから射出された溶融樹脂を前記第2キャビティ部分に均等に充填させるように、前記溶融樹脂の充填速度を調整する充填バランス調整手段が設けられた、
ことを特徴とする回転伝達手段の射出成形金型。
【請求項5】
回転中心の回りに回転できるようになっている円板状部と、前記円板状部よりも小径で、且つ、前記円板状部の一方の側面から前記円板状部の前記回転中心と同心となるように突出する軸状部とを有し、前記軸状部の外周側に3で割り切れない奇数の歯が形成され、前記歯を介して回転が伝達される回転伝達手段の射出成形金型において、
前記円板状部を形作るための第1キャビティ部分と、前記軸状部を形作るための第2キャビティ部分とを有し、
前記第1キャビティ部分のうちで、前記第2キャビティ部分よりも径方向外方側に位置する前記第1キャビティ部分には、3個のピンポイントゲートが前記回転中心と同心に周方向に沿って所定の間隔で開口するように配置されており、
前記3個のピンポイントゲートは、それぞれ前記回転中心から延びて前記歯の歯底を通る径方向線上に配置され、且つ、隣り合う前記ピンポイントゲート間に奇数の前記歯が位置するように配置され、
前記3個のピンポイントゲートのうちで、隣り合う一対のピンポイントゲートは、該隣り合う一対のピンポイントゲートのそれぞれと前記隣り合う一対のピンポイントゲート以外の前記ピンポイントゲートとの間の周方向間隔よりも短い周方向間隔となるように配置されており、
前記第1キャビティ部分は、前記3個のピンポイントゲートから射出された溶融樹脂を前記第2キャビティ部分に均等に充填させるように、前記溶融樹脂の充填速度を調整する充填バランス調整手段が設けられた、
ことを特徴とする回転伝達手段の射出成形金型。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2009−40013(P2009−40013A)
【公開日】平成21年2月26日(2009.2.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−210373(P2007−210373)
【出願日】平成19年8月10日(2007.8.10)
【出願人】(000208765)株式会社エンプラス (403)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成21年2月26日(2009.2.26)
【国際特許分類】
【出願日】平成19年8月10日(2007.8.10)
【出願人】(000208765)株式会社エンプラス (403)
【Fターム(参考)】
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