説明

回転体用ブッシュ及びそれを備えた回転体、回転体用ブッシュの製造方法、回転体の製造装置及び製造方法

【課題】回転体用ブッシュを備える回転体を回転軸へ取り付ける作業において、作業工程を簡略化すること。
【解決手段】回転体の内周側にインサート成形されて回転体に取り付けられる回転体用ブッシュ1であって、回転体の回転軸方向に貫通する貫通孔8を有する円筒状の本体部4を備え、貫通孔8の両端を形成する二箇所の開口部8a,8bのうち第一の開口部8aの開口面積は、二箇所の開口部8a,8bのうち他方の第二の開口部8bの開口面積未満であり、貫通孔8の一端側における回転軸方向から見た本体部4の肉厚は、貫通孔8の他端側における回転軸方向から見た本体部4の肉厚未満である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば、ピニオンギアー等の回転体が備え、モーター等の回転軸を取り付けるための回転体用ブッシュ及びそれを備えた回転体、回転体用ブッシュの製造方法、回転体の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、例えば、ピニオンギアー等の回転体には、モーター等が発生する回転を伝達するために、内周側に回転軸を取り付けるためのブッシュが取り付けられている。このようなブッシュを内周側に取り付けた回転体としては、例えば、特許文献1に開示されているものがある。
特許文献1に開示されている回転体は、合成樹脂からなる円盤部品の内周側に、円筒状の金属製ブッシュが一体的に埋設されて形成された樹脂プーリーである。ここで、ブッシュの内径面は、ブッシュの軸方向全体に亘り同一の径となっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平10‐24448号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、上記のようなブッシュは、焼結により形成すると、プレス加工により形成する場合よりも部品コストが増加する。このため、部品コストの低減を実現するためには、プレス加工によりブッシュを形成することが好ましい。
プレス加工により形成したブッシュは、その厚さ(軸方向から見た径方向への長さ)が、焼結により形成したブッシュと比較して薄くなる(例えば、0.2[mm]程度)。
ここで、回転体のブッシュ以外の部分(円盤部品)は、合成樹脂で形成されており、回転軸に回転体を取り付ける際には、より剛性の高いブッシュを押圧して、回転軸に圧入する必要がある。
【0005】
しかしながら、プレス加工によりブッシュを形成すると、上述したように、その厚さが薄くなるため、ブッシュを押圧して回転体を回転軸に取り付ける際に、押圧力をブッシュの端面で十分に支持することができない。
したがって、ブッシュを回転軸へ単純に押し込んで取り付けることができず、ブッシュを回転軸に取り付ける作業が複雑化することとなるため、回転体を回転軸へ取り付ける際の作業工程を簡略化することが困難であった。
また、特許文献1に開示されているブッシュのように、その内径面が、ブッシュの軸方向全体に亘り同一の径となっている場合も、押圧力をブッシュの端面で十分に支持することができないため、回転体を回転軸へ取り付ける際の作業工程を簡略化することが困難であった。
【0006】
本発明の課題は、回転体用ブッシュを備える回転体を回転軸へ取り付ける作業において、作業工程を簡略化することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
以上の課題を解決するため、本発明の一態様に係る回転体用ブッシュは、
回転体(例えば、図1の回転体2)の内周側にインサート成形されて前記回転体に取り付けられる回転体用ブッシュ(例えば、図1の回転体用ブッシュ1)であって、前記回転体の回転軸方向に貫通する貫通孔(例えば、図1の貫通孔8)を有する円筒状の本体部(例えば、図1の本体部4)を備え、前記貫通孔の一端側における前記回転軸方向から見た前記本体部の肉厚は、前記貫通孔の他端側における前記回転軸方向から見た前記本体部の肉厚未満であることを特徴としている。
【0008】
このような構成により、回転体用ブッシュの内径面が、回転体用ブッシュの軸方向全体に亘り同一の径となっている場合と比較して、回転体用ブッシュの端面に、回転体用ブッシュを回転軸に圧入する際に、作業者の指や手工具等により押圧するための面積を増加させることが可能となる。
これにより、回転体用ブッシュの内径面が、回転体用ブッシュの軸方向全体に亘り同一の径となっている場合と比較して、回転体を回転軸へ取り付ける際の作業工程を簡略化することが可能となる。
【0009】
また、回転体を回転軸へ取り付ける際の作業工程を簡略化することが可能となるため、回転軸を有する部材の製造に関して、製造効率の向上や製造コストの低減が可能となる。
また、本発明の一態様に係る回転体用ブッシュは、
前記本体部の一端に形成されて本体部の外径面から突出し、且つ前記外径面を前記本体部の周方向に沿って連続するフランジ部(例えば、図1のフランジ部6)と、前記フランジ部の外径面に複数箇所形成され、且つ前記本体部の軸方向に連続する凹部(例えば、図1の凹部10)と、を備えることを特徴としている。
【0010】
このような構成により、フランジ部に形成されている複数箇所の凹部と、回転体の内周側のフランジ部と対向する部分とが嵌合した状態で、回転体を形成することが可能となる。
これにより、回転体用ブッシュを圧入した回転軸が回転し、回転体用ブッシュが回転すると、この回転力は、複数箇所の凹部を介して回転体に伝達され、この回転体と噛合している歯車等の部材に伝達される。
このため、回転軸が回転した際に、回転体用ブッシュが回転体に対して空回りすることが抑制されるため、歯車等の回転する部材の作動に関し、確実性を向上させることが可能となる。
【0011】
また、本発明の一態様に係る回転体は、
上記の回転体用ブッシュを備えた回転体であって、前記本体部の軸方向に連続する複数の歯(例えば、図1の歯12)が外径面に形成されているピニオンギアーであることを特徴としている。
このような構成により、外径面に本体部の軸方向に連続する歯が複数形成されているピニオンギアーの構成が、回転体用ブッシュの内径面が、回転体用ブッシュの軸方向全体に亘り同一の径となっている場合と比較して、回転体用ブッシュの端面に、回転体用ブッシュを回転軸に圧入する際に、作業者の指や手工具等により押圧するための面積を増加させることが可能な構成となる。
これにより、外径面に本体部の軸方向に連続する歯が複数形成されているピニオンギアーを回転軸へ取り付ける際の作業工程を簡略化することが可能となる。
【0012】
また、ピニオンギアーを回転軸へ取り付ける際の作業工程を簡略化することが可能となるため、回転軸を有する部材の製造に関して、製造効率の向上や製造コストの低減が可能となる。
また、本発明の一態様に係る回転体用ブッシュの製造方法は、
上記の回転体用ブッシュを製造する回転体用ブッシュの製造方法であって、母材(例えば、図6の母材16)に対するピン出し加工により前記母材から突出する中空ピン(例えば、図7の中空ピンP)を形成する中空ピン形成工程と、前記中空ピン形成工程において形成した前記中空ピンの天面を中空ピンの内径よりも外径が小さいパンチ(例えば、図8のパンチ32)を用いた孔抜き加工により打ち抜いて、前記貫通孔の一端側を構成する第一の開口部(例えば、図2の第一の開口部8a)を形成する先端孔形成工程と、を有することを特徴としている。
【0013】
このような構成により、先端孔形成工程において、中空ピン形成工程で形成した中空ピンの天面を、中空ピンの内径よりも外径が小さいパンチを用いた孔抜き加工により打ち抜いて、第一の開口部を形成する。
これにより、中空ピンの天面に第一の開口部を形成するためのパンチの構成と、このパンチと対応する構成を、中空ピン形成工程に用いる金型から、第一の開口部の形状に応じた構成に変更した金型を用いることにより、回転体用ブッシュを製造することが可能となる。
【0014】
また、本発明の一態様に係る回転体の製造装置は、
上記の回転体を製造する回転体の製造装置であって、型閉じ及び型開きが可能であり且つ前記型閉じ状態で内部に形成される成形空間内に前記回転体用ブッシュを配置する一組の金型(例えば、図13の第一金型92と第二金型94)を備え、前記一組の金型のうち一方(例えば、図13の第一金型92)は、前記成形空間内に配置した前記回転体用ブッシュの前記貫通孔内及び前記二箇所の開口部内に挿入する中心ピン(例えば、図13の中心ピン96)を備え、前記中心ピンは、前記貫通孔の内径面及び前記貫通孔の他端側を構成する第二の開口部(例えば、図2の第二の開口部8b)の内径面と対向する中心ピン大径部(例えば、図15の中心ピン大径部96a)と、当該中心ピン大径部よりも小径であり且つ前記第一の開口部の内径面と対向する中心ピン小径部(例えば、図15の中心ピン小径部96b)と、前記中心ピン大径部と前記中心ピン小径部との間に形成され且つ中心ピン大径部側から中心ピン小径部側へ向かうにつれて縮径する中心ピン縮径部(例えば、図15の中心ピン縮径部96c)と、を有し、前記中心ピン小径部の一部は、前記型閉じ状態で前記他方の金型(例えば、図13の第二金型94)と接触し、前記中心ピンと前記本体部は、前記型閉じ状態で前記成形空間内に前記回転体用ブッシュを配置するとともに前記中心ピンを前記貫通孔内に挿入した状態で、前記中心ピン縮径部と前記本体部の内径面のうち内径が最大の部分と最小の部分との間の部分のみで接触することを特徴としている。
【0015】
このような構成により、中心ピン大径部及び中心ピン小径部と本体部とを離間させた状態で、回転体を形成するためのインサート成形を行うことが可能となり、インサート成形後における、貫通孔内及び二箇所の開口部内からの中心ピンの取り出しが容易となる。
また、インサート成形において成形空間内へ射出充填された溶融樹脂が、中心ピン縮径部と本体部が接触している部分から中心ピン大径部側へ移動することを防止することが可能となるため、貫通孔及び他方の開口部内への溶融樹脂の移動を防止することが可能となる。
このため、回転体用ブッシュを回転軸へ圧入する際に、貫通孔内及び他方の開口部内に硬化した樹脂が存在することを抑制することが可能となり、回転体用ブッシュを備える回転体を回転軸へ取り付ける作業において、作業効率を向上させることが可能となる。
【0016】
また、本発明の一態様に係る回転体の製造装置は、
前記他方の金型は、前記型閉じ状態で前記中心ピン小径部の一部と接触する複数のリブ(例えば、図13のリブ94b)を備え、前記複数のリブは、前記本体部の周方向に沿って互いに離間して配置されていることを特徴としている。
このような構成により、型閉じ状態で成形空間内に回転体用ブッシュを配置するとともに、貫通孔内及び二箇所の開口部内に中心ピンを挿入した状態では、各リブ間に隙間が形成された状態で、中心ピン小径部の一部と各リブが接触することとなる。
【0017】
これにより、成形空間内へ溶融樹脂を射出充填しても、各リブと接触している状態で第一の開口部内に配置されている中心ピン小径部により、第一の開口部内には、本体部の軸方向に沿って、溶融樹脂によって閉塞されない部分が形成されることとなる。
このため、溶融樹脂が硬化した後に、中心ピンを貫通孔内及び二箇所の開口部内から取り出すと、貫通孔内及び二箇所の開口部内には、溶融樹脂が存在しない空隙部が、本体部の軸方向に沿って連続して形成されることとなり、この空隙部により、回転体用ブッシュを回転軸へ圧入する際に、貫通孔内から空気を逃がすための空間を形成することが可能となる。
【0018】
また、本発明の一態様に係る回転体の製造方法は、
上記の回転体を製造する回転体の製造方法であって、型閉じ及び型開きが可能であり且つ前記型閉じ状態で内部に成形空間を形成する一組の金型のうち一方が備える中心ピンと前記本体部とを、前記本体部の内径面のうち内径が最大の部分と最小の部分との間の部分のみで接触させた状態で、前記型閉じ状態で前記成形空間内に配置した前記回転体用ブッシュの前記貫通孔内に前記中心ピンを挿入するブッシュ配置工程と、前記ブッシュ配置工程において前記中心ピンと前記本体部とを接触させた状態で、前記成形空間内へ溶融樹脂を射出充填する樹脂射出工程と、を有することを特徴としている。
このような構成により、中心ピン大径部及び中心ピン小径部と本体部とを離間させた状態で、回転体を形成するためのインサート成形を行うことが可能となり、インサート成形後における、貫通孔内及び二箇所の開口部内からの中心ピンの取り出しが容易となる。
【0019】
また、樹脂射出工程において成形空間内へ射出充填された溶融樹脂が、中心ピン縮径部と本体部が接触している部分から中心ピン大径部側へ移動することを防止することが可能となるため、貫通孔及び他方の開口部内への溶融樹脂の移動を防止することが可能となる。
このため、回転体用ブッシュを回転軸へ圧入する際に、貫通孔内及び他方の開口部内に硬化した樹脂が存在することを抑制することが可能となり、回転体用ブッシュを備える回転体を回転軸へ取り付ける作業において、作業効率を向上させることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】回転体用ブッシュを備えた回転体の上面図である。
【図2】図1のII‐II線断面図である。
【図3】回転体用ブッシュの上面図である。
【図4】ファクシミリの概略構成を示す図である。
【図5】図4のV‐V線断面図である。
【図6】鍛造ピン出し加工用金型の概略構成を示す図である。
【図7】ピン出し加工時における、鍛造ピン出し加工用金型及び母材の状態を示す図である。
【図8】孔抜き加工用金型の概略構成を示す図である。
【図9】孔抜き加工時における、孔抜き加工用金型、母材及び中空ピンの状態を示す図である。
【図10】ピン出し孔抜き加工用金型の概略構成を示す図である。
【図11】フランジ部加工用金型の概略構成を示す図である。
【図12】フランジ部と凹部の形成時における、フランジ部加工用金型、母材及び回転体用ブッシュの状態を示す図である。
【図13】インサート成形用金型の概略構成を示す断面図である。
【図14】図13のX‐X線断面図である。
【図15】図13中に円Yで囲んだ範囲の拡大図である。
【図16】ブッシュ配置工程における、回転体用ブッシュと第二金型との接触状態を示す図である。
【図17】図16のZ線矢視図である。
【図18】ブッシュ配置工程における、中心ピンと第二金型との接触状態を示す図である。
【図19】ブッシュ配置工程における、中心ピンと第二金型との接触状態を示す図である。
【図20】図19のZ線矢視図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、図面を用いて、本発明に係る回転体用ブッシュ及びそれを備えた回転体、回転体用ブッシュの製造方法、回転体の製造装置及び製造方法の実施の形態(実施形態)を説明する。
(第一実施形態)
(構成)
まず、図1から図3を用いて、第一実施形態における、回転体用ブッシュを備えた回転体と、回転体用ブッシュの構成について説明する。
図1は、回転体用ブッシュ1を備えた回転体2の上面図であり、図2は、図1のII‐II線断面図である。また、図3は、回転体用ブッシュ1の上面図である。
図1及び図2中に示すように、回転体2は、回転体2の内周側、具体的には、回転中心部分にインサート成形されて回転体2に取り付けられる、回転体用ブッシュ1を備えている。
【0022】
また、図1から図3中に示すように、回転体用ブッシュ1は、SUS系材またはSECC系材等を材料として形成した金属板からなる母材を用いて形成されており、本体部4と、フランジ部6を備えている。
本体部4は、金属板に対するピン出し加工と孔抜き加工により形成された貫通孔8を有しており、円筒状に形成されている。なお、ピン出し加工及び孔抜き加工に関する説明は、後述する。
貫通孔8は、本体部4を、回転体2の回転軸方向(図2中では、上下方向)に貫通しており、その両端は、内径が、二箇所の開口部8a,8bで形成されている。
【0023】
二箇所の開口部8a,8bのうち開口部8aの開口面積は、他方の第二の開口部8bの開口面積未満である。なお、第一実施形態では、二箇所の開口部8a,8bのうち、開口面積が小さい開口部8aを、本体部4の両端面のうち、フランジ部6と連続していない側(図2中では、上側)の端面に開口している第一の開口部8aとする。これに加え、二箇所の開口部8a,8bのうち、開口面積が大きい開口部8bを、本体部4の両端面のうち、フランジ部6と連続している側(図2中では、下側)の端面に開口している第二の開口部8bとする。
【0024】
第一実施形態では、一例として、第一の開口部8aを、内径がφ2.5の円形に形成した場合を説明する。これに伴い、第一実施形態では、一例として、第二の開口部8bを、内径がφ3.15の円形に形成した場合を説明する。
これにより、第一実施形態では、貫通孔8の一端側(図2中では、上側)における、回転体2の回転軸方向から見た本体部4の肉厚が、貫通孔8の他端側(図2中では、下側)における、回転体2の回転軸方向から見た本体部4の肉厚未満となっている。
【0025】
また、第一実施形態では、一例として、第一の開口部8aの中心と第二の開口部8bの中心が、回転体2の回転軸方向から見て一致している場合について説明する。
フランジ部6は、本体部4の一端に形成されて本体部4の外径面から突出しており、本体部4の外径面を、本体部4の周方向に沿って連続している。具体的には、フランジ部6は、本体部4の軸方向から見て、本体部4と同心円に配置される円環状に形成されている。なお、フランジ部6の形状は、上記のような円環状に限定するものではなく、例えば、三角形や四角形以上の多角形としてもよい。
【0026】
また、フランジ部6の外径面には、本体部4の軸方向に連続する凹部10が、複数箇所形成されている。すなわち、回転体用ブッシュ1は、複数の凹部10を備えている。
ここで、第一実施形態では、一例として、フランジ部6の外径面に、八箇所の凹部10が形成されている場合について説明する。なお、凹部10の数は、八箇所に限定するものではなく、四箇所や六箇所としてもよい。また、凹部10の数は、九箇所以上としてもよい。好ましくは、複数箇所の凹部10は、フランジ部6の周方向に沿って、等間隔で三箇所以上形成されていればよい。
【0027】
八箇所の凹部10は、互いに等間隔で形成されている。
このため、フランジ部6に加わる応力を、フランジ部6の周方向に沿って均等に分散させることが可能となり、回転体用ブッシュ1の耐久性を向上させることが可能となる。なお、フランジ部6に応力が加わる状況とは、例えば、後述するモーターの回転軸に対する回転体用ブッシュ1の取り付け時や、後述する紙送り機構の作動時等である。
【0028】
また、各凹部10は、回転体用ブッシュ1の軸方向から見て、フランジ部6の外周側を略半円状に切り欠いた形状に形成されている。なお、凹部10の形状は、これに限定するものではなく、例えば、回転体用ブッシュ1の軸方向から見て、フランジ部6の外周側を略半円状よりも曲率半径の大きい円の一部で切り欠いた形状に形成してもよい。これ以外にも、例えば、回転体用ブッシュ1の軸方向から見て、フランジ部6の外周側を直線状に切除した形状に形成してもよい。
【0029】
また、回転体用ブッシュ1の軸方向から見て、各凹部10とフランジ部6の外径面との間は、面取りされている。このように、各凹部10とフランジ部6の外径面との間を面取りすることにより、凹部10とフランジ部6の外径面との間に応力集中が生じることを抑制可能となる。
また、第一実施形態では、一例として、回転体2を、外径面に本体部4の軸方向に連続する歯12が複数形成されているピニオンギアーである場合について説明する。
【0030】
(回転体の適用例)
上述したように、第一実施形態の回転体2はピニオンギアーであり、例えば、図4及び図5中に示すように、ファクシミリ(FAX:facsimile)Fが備える紙送り機構(paper handling mechanism)に適用されている。なお、図4は、ファクシミリFの概略構成を示す図であり、図5は、図4のV‐V線断面図である。
具体的には、第一実施形態の回転体2(ピニオンギアー)は、回転体2よりも大径の歯車である給紙動力歯車14と噛合している。ここで、給紙動力歯車14は、給紙用の回転軸(図示せず)を回転させるための歯車である。
【0031】
第一実施形態のように、回転体2(ピニオンギアー)を、ファクシミリFが備える紙送り機構に適用する場合、回転体用ブッシュ1の本体部4内には、モーター(図示せず)の回転軸が挿通される。このため、本体部4の内径を、モーターの回転軸の外径よりも小さい値として、本体部4とモーターの回転軸との間にマイナス隙間を形成する。これにより、モーターの回転軸に、回転体用ブッシュ1を強固に取り付ける。
【0032】
(回転体用ブッシュの製造方法)
次に、図1から図5を参照しつつ、図6から図12を用いて、回転体用ブッシュ1の製造方法について説明する。
回転体用ブッシュ1の製造方法は、母材に対するピン出し加工により、母材から突出する中空ピンを形成する中空ピン形成工程と、中空ピン形成工程において形成した中空ピンの天面を、中空ピンの内径よりも外径が小さいパンチを用いた孔抜き加工により打ち抜いて第一の開口部8aを形成する先端孔形成工程を有している。なお、以下の説明では、中空ピン形成工程と、中空ピン形成工程の後工程である先端孔形成工程を、本体部形成工程としてまとめて記載する場合がある。
これに加え、回転体用ブッシュ1の製造方法は、中空ピン形成工程及び先端孔形成工程によって本体部4を形成した母材に対する一回のプレス加工により、フランジ部6と複数箇所の凹部10を形成するフランジ部形成工程を有している。
【0033】
(本体部形成工程)
以下、本体部形成工程について説明する。
本体部形成工程では、単発金型を用いてピン出し加工及び孔抜き加工を行う場合と、順送(順送り)金型を用いてピン出し加工及び孔抜き加工を行う場合がある。
【0034】
(単発金型を用いたピン出し加工)
まず、単発金型を用いたピン出し加工について説明する。
単発金型を用いてピン出し加工を行う際には、上述した母材に対し、図6中に示すような鍛造ピン出し加工用金型20を用いて、母材16から突出する中空ピンを形成する。なお、図6は、鍛造ピン出し加工用金型20の概略構成を示す図である。
【0035】
I.鍛造ピン出し加工用金型20の概略構成
以下、鍛造ピン出し加工用金型20の概略構成について説明する。
図6中に示すように、鍛造ピン出し加工用金型20は、図外のストックラインピンに支持されて搬送されてくる母材16に、母材16から突出する中空ピンを形成する構成となっている。なお、第一実施形態では、一例として、母材16の搬送方向を、図6中の左から右とした場合を説明する。
【0036】
また、図6中に示すように、鍛造ピン出し加工用金型20は、上型ダイセット22と、上型バッキングプレート24と、パンチプレート26と、ストリッパバッキングプレート28と、ストリッパプレート30と、パンチ32を備えている。これに加え、鍛造ピン出し加工用金型20は、ピン支持スプリング34と、支持ピン36と、下型ダイセット38と、下型バッキングプレート40と、ダイプレート42と、ノックアウトスプリング44と、ノックアウト46と、プレートロック機構48を備えている。
【0037】
上型ダイセット22は、図外の駆動機構に連結されており、駆動機構が発生する駆動力を用いて、上下方向(図6中における上下方向)へ移動可能に形成されている。なお、駆動機構とは、例えば、モーターの回転運動を用いた機械式のものや、油等の液体に圧力を加えた液圧式のものがある。また、上下方向とは、母材16の厚さ方向と同一方向であり、これは、以下の説明においても同様である。
【0038】
また、上型ダイセット22は、その内部に、上型凹部22aを有している。上型凹部22aは、上型ダイセット22の下面に開口する凹部である。
上型バッキングプレート24は、上型ダイセット22の下面に取り付けられており、第一上型挿通孔24aを有している。第一上型挿通孔24aは、上型バッキングプレート24を上下方向に貫通する貫通孔であり、上型バッキングプレート24のうち、上型凹部22aと合致する位置に形成されている。
【0039】
パンチプレート26は、上型バッキングプレート24の下面に取り付けられており、第二上型挿通孔26aと、パンチ配置孔50を有している。
第二上型挿通孔26aは、パンチプレート26を上下方向に貫通する貫通孔であり、パンチプレート26のうち、第一上型挿通孔24aと合致する位置に形成されている。
パンチ配置孔50は、パンチプレート26の中心付近を上下方向に貫通する貫通孔であり、大径配置部50aと、小径挿通孔50bを有している。
【0040】
大径配置部50aは、パンチプレート26の上面に開口する凹部である。また、小径挿通孔50bは、大径配置部50aよりも小径であり、大径配置部50aの底面とパンチプレート26の下面とを貫通する貫通孔である。
ストリッパバッキングプレート28は、パンチプレート26の下方に配置されており、図示しないボルト等を用いて、ストリッパプレート30の上面に取り付けられている。
【0041】
また、ストリッパバッキングプレート28は、第三上型挿通孔28aと、第一パンチ挿通孔28bを有している。
第三上型挿通孔28aは、ストリッパバッキングプレート28を上下方向に貫通する貫通孔であり、ストリッパバッキングプレート28のうち、第二上型挿通孔26aと合致する位置に形成されている。
【0042】
第一パンチ挿通孔28bは、ストリッパバッキングプレート28の中心付近を上下方向に貫通する貫通孔である。
ストリッパプレート30は、ストリッパバッキングプレート28の下方に配置されており、図示しないストリッパボルト等を用いて、パンチプレート26に取り付けられている。なお、ストリッパプレート30は、ストリッパボルトと共に、伸縮方向を上下に向けたピン支持スプリング34と支持ピン36を用いて、パンチプレート26に取り付けられているため、ストリッパプレート30とパンチプレート26との距離は変化可能である。
【0043】
また、ストリッパプレート30は、第二パンチ挿通孔30aを有している。
第二パンチ挿通孔30aは、ストリッパプレート30の中心付近を上下方向に貫通する貫通孔であり、ストリッパプレート30のうち、第一パンチ挿通孔28bと合致する位置に形成されている。
また、ストリッパプレート30の下面は、母材16の上面と対向している。
パンチ32は、外径の異なる複数の段を有する円柱状に形成されており、大径パンチ部32aと、小径パンチ部32bを有している。
大径パンチ部32aは、大径配置部50a内に配置されており、その上面は、上型バッキングプレート24の下面と接触し、その下面は、大径配置部50aの底面と対向している。
【0044】
小径パンチ部32bは、大径パンチ部32aよりも小径に形成されており、大径パンチ部32aの下面から下方へ延在している。また、小径パンチ部32bは、小径挿通孔50b、第一パンチ挿通孔28b、第二パンチ挿通孔30aの順に、上方から下方へ向けて挿通している。さらに、小径パンチ部32bの下面は、母材16の上面と対向している。
小径パンチ部32bの長さ及び太さは、母材16に形成する中空ピンの形状に応じた値に設定されている。
以上により、パンチ32は、ストリッパプレート30が有する第二パンチ挿通孔30aに、上下方向へ移動可能に挿通されている。
【0045】
ピン支持スプリング34は、上型凹部22a内に配置されており、その伸縮方向は、上下方向に向けられている。また、ピン支持スプリング34の上端部は、上型凹部22aの底面に着座している。なお、第一実施形態では、一例として、ピン支持スプリング34を、コイルスプリングにより形成した場合について説明する。
支持ピン36は、外径の異なる複数の段を有する円柱状に形成されており、大径ピン部36aと、小径ピン部36bを有している。
【0046】
大径ピン部36aは、上型凹部22a内に配置されており、その上面には、ピン支持スプリング34の下端部が着座している。
小径ピン部36bは、大径ピン部36aよりも小径に形成されており、大径ピン部36aの下面から下方へ延在している。また、小径ピン部36bは、第一上型挿通孔24a、第二上型挿通孔26a、第三上型挿通孔28aの順に、上方から下方へ向けて挿通している。さらに、小径ピン部36bの下端面は、ストリッパプレート30の上面と対向している。
【0047】
下型ダイセット38は、図外の基台等に固定されており、その内部に、下型凹部38aを有している。下型凹部38aは、下型ダイセット38の上面に開口する凹部である。
下型バッキングプレート40は、下型ダイセット38の上面に取り付けられており、第一下型挿通孔40aを有している。第一下型挿通孔40aは、下型バッキングプレート40を上下方向に貫通する貫通孔であり、下型バッキングプレート40のうち、下型凹部38aと合致する位置に形成されている。
【0048】
ダイプレート42は、下型バッキングプレート40の上面に取り付けられており、第二下型挿通孔42aを有している。第二下型挿通孔42aは、ダイプレート42を上下方向に貫通する貫通孔であり、ダイプレート42のうち、第二パンチ挿通孔30a及び第一下型挿通孔40aと、孔の中心が上下方向から見て一致する位置に形成されている。
第二下型挿通孔42aの内径は、ノックアウト46の大径ノックアウト部46aよりも小径、且つ小径パンチ部32bよりも大径に形成されている。なお、大径ノックアウト部46aに関する説明は、後述する。
ここで、第二下型挿通孔42aの内径は、中空ピンの側面を構成する部分の板厚に応じて設定される。すなわち、中空ピンの側面を構成する部分の板厚は、第二下型挿通孔42aと小径パンチ部32bとの間に形成される隙間により決まる。
【0049】
また、ダイプレート42の上面は、母材16の下面と対向している。すなわち、ダイプレート42は、ストリッパプレート30の下方に配置されており、母材16を間に挟んで、ストリッパプレート30と対向している。
ノックアウトスプリング44は、下型凹部38a及び第一下型挿通孔40a内に配置されており、その伸縮方向は、上下方向に向けられている。なお、第一実施形態では、一例として、ノックアウトスプリング44を、高圧のガスを用いたガススプリングにより形成した場合について説明するが、ノックアウトスプリング44は、例えば、コイルスプリングにより形成してもよい。
【0050】
ノックアウト46は、支持ピン36と同様、外径の異なる複数の段を有する円柱状に形成されており、大径ノックアウト部46aと、小径ノックアウト部46bを有している。
大径ノックアウト部46aは、第一下型挿通孔40a内に配置されており、ノックアウトスプリング44を構成するガスを、下型凹部38a及び第一下型挿通孔40a内に密封している。すなわち、大径ノックアウト部46aは、下型凹部38a及び第一下型挿通孔40a内におけるシール性能を有している。
【0051】
小径ノックアウト部46bは、大径ノックアウト部46aよりも小径に形成されており、大径ノックアウト部46aの上面から上方へ延在している。また、小径ノックアウト部46bは、第二下型挿通孔42aに挿通されているとともに、ノックアウトスプリング44の伸縮に応じて、第一下型挿通孔40a内に配置される。
小径ノックアウト部46bの長さは、ノックアウトスプリング44が伸長して大径ノックアウト部46aがダイプレート42の下面と接触した状態で、小径ノックアウト部46bの上端面がダイプレート42の上面より板厚の70%分下がった位置に設定されている。
【0052】
以上により、ノックアウト46は、ダイプレート42が有する第二下型挿通孔42a内に、パンチ32と対向して配置されており、第二下型挿通孔42a内を上下方向へ移動する。
プレートロック機構48は、パンチ32がダイプレート42上に配置した母材16をダイプレート42が有する第二下型挿通孔42a内へ押し込んだ状態で、パンチプレート26とストリッパプレート30とを連結する機構である。
II.鍛造ピン出し加工用金型20を用いたピン出し加工
【0053】
次に、上述した構成の鍛造ピン出し加工用金型20を用いた、母材16に対するピン出し加工について説明する。
ピン出し加工を行う際には、搬送されてきた母材16を、上型ダイセット22を下降させることにより、ストリッパプレート30とダイプレート42との間に挟んで保持する。そして、ストリッパプレート30とダイプレート42との間に挟んで保持した母材16に対し、上型ダイセット22をさらに下降させて、パンチプレート26をストリッパバッキングプレート28と接触させ、ストリッパプレート30の下面から小径パンチ部32bを突出させて、パンチ32により、ダイプレート42上に配置した母材16の上面に対して押圧力を加える。
【0054】
これにより、母材16の上面に対して押圧力を加えるパンチ32によって、ダイプレート42上に配置した母材16を、第二下型挿通孔42a内へ上方から押し込み、図7中に示すように、母材16に、母材16の下面から下方に突出する中空ピンPを形成する。なお、図7は、ピン出し加工時における、鍛造ピン出し加工用金型20及び母材16の状態を示す図である。
【0055】
母材16に中空ピンPを形成した後、上型ダイセット22を上昇させ、上型バッキングプレート24及びパンチプレート26を上昇させるとともに、プレートロック機構48により連結しているパンチプレート26とストリッパプレート30を上昇させる。そして、パンチ32を中空ピンPの中空部内から抜き出すとともに、中空ピンPを形成した母材16を、ストリッパプレート30から取り外して、ピン出し加工による中空ピン形成工程を終了する。
【0056】
(単発金型を用いた孔抜き加工)
次に、単発金型を用いた孔抜き加工について説明する。
単発金型を用いて孔抜き加工を行う際には、上述した中空ピン形成工程において中空ピンPを形成した母材16に対し、図8中に示すような孔抜き加工用金型60を用いて、中空ピンPに第一の開口部8aを形成して、貫通孔8を形成する。なお、図8は、孔抜き加工用金型60の概略構成を示す図である。
【0057】
I.孔抜き加工用金型60の概略構成
以下、孔抜き加工用金型60の概略構成について説明する。なお、上述した鍛造ピン出し加工用金型20と類似の構成については、その説明を省略する場合がある。
図11中に示すように、孔抜き加工用金型60は、主に、ストリッパプレート30、パンチ32、ダイプレート42の構成が、上述した鍛造ピン出し加工用金型20と異なっている。また、孔抜き加工用金型60は、鍛造ピン出し加工用金型20と異なり、ノックアウトスプリング44、ノックアウト46及びプレートロック機構48を備えていない。
【0058】
具体的には、第二パンチ挿通孔30a及び小径パンチ部32bの径が、第一の開口部8aの開口面積に応じた値、すなわち、鍛造ピン出し加工用金型20における第二パンチ挿通孔30a及び小径パンチ部32bの径未満の値に設定されている。
したがって、孔抜き加工用金型60が備えるパンチ32の小径パンチ部32b、すなわち、先端孔形成工程で用いるパンチの外径は、中空ピンPの内径よりも小さい。
【0059】
また、ダイプレート42の構成が、ダイ配置部62と、ブッシュガイド入れ子ダイ64と、先端孔抜き入れ子ダイ66を備える構成となっている。
ダイ配置部62は、ダイプレート42を上下方向に貫通する空間であり、ブッシュガイド入れ子ダイ64と先端孔抜き入れ子ダイ66を積層して配置可能に形成されている。
ブッシュガイド入れ子ダイ64は、ダイ配置部62内において、先端孔抜き入れ子ダイ66の上方に配置されており、その上面は、ダイプレート42の上面と連続して面一となっている。
【0060】
また、ブッシュガイド入れ子ダイ64は、中空ピン配置孔64aを有している。
中空ピン配置孔64aは、ブッシュガイド入れ子ダイ64を上下方向に貫通する貫通孔であり、ブッシュガイド入れ子ダイ64のうち、第二パンチ挿通孔30a及び第一下型挿通孔40aと、孔の中心が上下方向から見て一致する位置に形成されている。
中空ピン配置孔64aの内径は、上述した中空ピン形成工程において形成した中空ピンPが配置可能な径に設定されている。また、中空ピン配置孔64aの深さは、中空ピンPが配置可能な深さに設定されている。
先端孔抜き入れ子ダイ66は、ダイ配置部62内において、ブッシュガイド入れ子ダイ64の下方に配置されており、その下面は、下型バッキングプレート40の上面と対向して接触している。
【0061】
また、先端孔抜き入れ子ダイ66は、入れ子側パンチ挿通孔66aを有している。
入れ子側パンチ挿通孔66aは、先端孔抜き入れ子ダイ66を上下方向に貫通する貫通孔であり、先端孔抜き入れ子ダイ66のうち、第二パンチ挿通孔30a及び第一下型挿通孔40aと、孔の中心が上下方向から見て一致する位置に形成されている。
入れ子側パンチ挿通孔66aの内径は、小径パンチ部32bを挿通可能な径に設定されている。
【0062】
II.孔抜き加工用金型60を用いた孔抜き加工
次に、上述した構成の孔抜き加工用金型60を用いた、母材16に形成した中空ピンPに対する孔抜き加工について説明する。
孔抜き加工を行う際には、中空ピンPが形成された状態で搬送されてきた母材16を、上型ダイセット22を下降させることにより、ストリッパプレート30とダイプレート42との間に挟んで保持するとともに、中空ピンPを中空ピン配置孔64a内に配置する。
【0063】
そして、中空ピンPを中空ピン配置孔64a内に配置するとともに、ストリッパプレート30とダイプレート42との間に挟んで保持した母材16に対し、上型ダイセット22をさらに下降させる。これにより、パンチプレート26をストリッパバッキングプレート28と接触させ、ストリッパプレート30の下面から小径パンチ部32bを突出させて、パンチ32により、中空ピン配置孔64a内に配置した中空ピンPの天面に対して押圧力を加える。
【0064】
これにより、中空ピンPの天面に対して押圧力を加えるパンチ32、具体的には、小径パンチ部32bの下端側が、中空ピン配置孔64a内に配置した中空ピンPの天面を貫通して、入れ子側パンチ挿通孔66a内へ侵入し、図9中に示すように、中空ピンPに第一の開口部8aを形成して、貫通孔8を形成する。なお、図9は、孔抜き加工時における、孔抜き加工用金型60、母材16及び中空ピンPの状態を示す図である。
【0065】
中空ピンPに第一の開口部8aを形成して、貫通孔8を形成した後、上型ダイセット22を上昇させ、上型バッキングプレート24及びパンチプレート26を上昇させる。そして、パンチ32を中空ピンPの中空部内から抜き出すとともに、中空ピンPに第一の開口部8aを形成して貫通孔8を形成した母材16を、ストリッパプレート30から取り外して、孔抜き加工を終了する。
上述したように、母材16に形成された中空ピンPに第一の開口部8aを形成して、貫通孔8を形成すると、母材16に対するピン出し加工と孔抜き加工により、単発金型を用いた、母材16に本体部4を形成する本体部形成工程、すなわち、中空ピン形成工程及び先端孔形成工程を終了する。
【0066】
(順送金型を用いたピン出し加工及び孔抜き加工の同時加工)
次に、順送金型を用いたピン出し加工及び孔抜き加工について説明する。
順送金型を用いてピン出し加工及び孔抜き加工を行う際には、上述した母材に対し、図10中に示すようなピン出し孔抜き加工用金型70を用いて、母材16から突出する中空ピンPを形成するとともに、母材16に形成された中空ピンPに第一の開口部8aを形成して、貫通孔8を形成する。なお、図10は、ピン出し孔抜き加工用金型70の概略構成を示す図である。
【0067】
I.ピン出し孔抜き加工用金型70の概略構成
以下、ピン出し孔抜き加工用金型70の概略構成について説明する。
図10中に示すように、ピン出し孔抜き加工用金型70は、図外のストックラインピンに支持されて搬送されてくる母材16に対し、母材16の搬送を停止した状態で、上述した孔抜き加工とピン出し加工とを、まとめて行う構成となっている。なお、第一実施形態では、一例として、母材16の搬送方向を、図10中の左から右とした場合を説明する。
【0068】
また、図10中に示すように、ピン出し孔抜き加工用金型70は、母材16に対してピン出し加工を行うピン出し側加工ブロック72と、母材16に対して孔抜き加工を行う孔抜き側加工ブロック74を有している。
ピン出し側加工ブロック72と孔抜き側加工ブロック74は、母材16が送り込まれる方向に沿って、ピン出し側加工ブロック72、孔抜き側加工ブロック74の順番で、並列に配置されている。
【0069】
ピン出し側加工ブロック72の構成は、上述した鍛造ピン出し加工用金型20の構成に加え、ストリッパスプリング76及びパンチバッキングプレート78が追加されている点を除き、上述した鍛造ピン出し加工用金型20の構成と同様であるため、ストリッパスプリング76及びパンチバッキングプレート78以外の説明を省略する。また、図10中において、ピン出し側加工ブロック72の、鍛造ピン出し加工用金型20と同様の構成には、鍛造ピン出し加工用金型20と同一の符号を付している。
【0070】
また、孔抜き側加工ブロック74の構成は、パンチ32の構成と、プレートロック機構48と、ストリッパスプリング76及びパンチバッキングプレート78が追加されている点を除き、上述した孔抜き加工用金型60の構成と同様である。なお、図10中及び以下の説明では、孔抜き側加工ブロック74の、ピン出し側加工ブロック72と同じ名前の構成には、混同を避けるために、符号に「‘」を追加している。
【0071】
具体的には、孔抜き側加工ブロック74が備えるパンチ32‘は、小径パンチ部32b‘の長さが、ピン出し側加工ブロック72が備える小径パンチ部32bが中空ピンPを形成した状態で、小径パンチ部32b‘の下端側が、中空ピン配置孔64a内に配置した中空ピンPの天面を貫通する長さに設定されている。これは、例えば、小径パンチ部32bの長さ等に応じて設定する。
【0072】
また、孔抜き側加工ブロック74が備えるプレートロック機構48‘は、弾性力をピン支持スプリング34‘よりも強い値に設定したストリッパスプリング76‘と共に、小径パンチ部32b‘の下端側が、中空ピン配置孔64a内に配置した中空ピンPの天面を貫通した状態で、上型ダイセット22‘とパンチプレート26’とを共に上昇するように連結するプレート連結機構を形成している。
なお、ストリッパスプリング76及び76‘は、コイルスプリングにより形成されており、その伸縮方向は、上下方向に向けられている。
【0073】
また、ストリッパスプリング76及び76‘は、図示しないストリッパシャフト等と共に、ストリッパプレート30及び30‘と、パンチバッキングプレート78及び78‘を接続している。
ここで、パンチバッキングプレート78及び78‘は、図示しないボルト等を用いて、パンチプレート26及び26‘の上面に取り付けられている。また、パンチバッキングプレート78及び78‘の上面には、小径ピン部36b及び36b‘の下端面が取り付けられている。
なお、ピン出し側加工ブロック72が備える上型ダイセット22と、孔抜き側加工ブロック74が備える上型ダイセット22‘は、同じ駆動機構(図示せず)に連結されている。
【0074】
II.ピン出し孔抜き加工用金型70を用いたピン出し加工及び孔抜き加工
次に、上述した構成のピン出し孔抜き加工用金型70を用いた、搬送を停止した状態の母材16に対してまとめて行う、孔抜き加工とピン出し加工について説明する。なお、以下の説明は、母材16に、一つの中空ピンPが形成されている状態を前提とする。
上記のように、ピン出し加工と孔抜き加工とをまとめて行う際には、上型ダイセット22及び上型ダイセット22‘を下降させることにより、搬送されてきた母材16を、ストリッパプレート30とダイプレート42との間、及びストリッパプレート30‘とダイプレート42‘との間に挟んで保持するとともに、中空ピンPを中空ピン配置孔64a内に配置する。
【0075】
そして、母材16に対し、上型ダイセット22及び上型ダイセット22‘をさらに下降させて、パンチ32により、ダイプレート42上に配置した母材16の上面に対して押圧力を加えるとともに、パンチ32‘により、中空ピン配置孔64a内に配置した中空ピンPの天面に対して押圧力を加える。
これにより、母材16に、母材16の下面から下方に突出する中空ピンPを形成する(図7参照)とともに、中空ピン配置孔64a内に配置した中空ピンPに第一の開口部8aを形成して、貫通孔8を形成する(図9参照)。
【0076】
母材16に中空ピンPを形成するとともに、中空ピンPに第一の開口部8aを形成して、貫通孔8を形成した後、上型ダイセット22及び上型ダイセット22‘を上昇させる。これにより、パンチ32を中空ピンPの中空部内から抜き出すとともに、中空ピンPに第一の開口部8aを形成して、貫通孔8を形成した母材16を、ストリッパプレート30及びストリッパプレート30‘から取り外して、ピン出し加工及び孔抜き加工を終了する。
上述したように、母材16に形成された中空ピンPに第一の開口部8aを形成して、貫通孔8を形成すると、母材に対するピン出し加工と孔抜き加工により、順送金型を用いた、母材16に本体部4を形成する本体部形成工程、すなわち、中空ピン形成工程及び先端孔形成工程を終了する。
【0077】
(フランジ部形成工程)
次に、フランジ部形成工程について説明する。
フランジ部形成工程では、本体部形成工程において貫通孔8を形成した母材16に対し、図11中に示すようなフランジ部加工用金型80を用いて、一回のプレス加工により、フランジ部6と複数箇所の凹部10を形成する。なお、図11は、フランジ部加工用金型80の概略構成を示す図である。
【0078】
I.フランジ部加工用金型80の概略構成
以下、フランジ部加工用金型80の概略構成について説明する。なお、上述した鍛造ピン出し加工用金型20と類似の構成については、その説明を省略する場合がある。
図11中に示すように、フランジ部加工用金型80は、主に、パンチ32及びダイプレート42の構成が、上述した鍛造ピン出し加工用金型20と異なっている。
具体的には、小径パンチ部32bの下端側の形状が、フランジ部6に応じた形状となっている。
【0079】
ここで、第一実施形態では、フランジ部6の形状が、外径面に、本体部4の軸方向に連続する八箇所の凹部10が形成されている。
このため、第一実施形態では、小径パンチ部32bの下端側が、母材16の上面と対向する面が、上下方向から見て、八箇所の凹部10と合致する形状に形成されている。また、小径パンチ部32bの下端面は、平面となっている。
【0080】
また、ダイプレート42が、ブッシュ配置孔82と、ブッシュ配置孔82の下方に配置されたノックアウト挿通孔84を備える構成となっている。
ブッシュ配置孔82及びノックアウト挿通孔84は、共に、ダイプレート42を上下方向に貫通する貫通孔であり、ダイプレート42のうち、第二パンチ挿通孔30a及び第一下型挿通孔40aと、孔の中心が上下方向から見て一致する位置に形成されている。
【0081】
ブッシュ配置孔82の内径は、フランジ部6の最大外径よりも大きな値に設定されている。また、ブッシュ配置孔82の深さは、回転体用ブッシュ1の高さ(フランジ部6の厚さを含む本体部4の軸方向長さ)よりもよりも大きな値に設定されている。
ノックアウト挿通孔84の内径は、上述した第一下型挿通孔40aと同様、小径ノックアウト部46bを挿通可能な値に設定されている。
【0082】
II.フランジ部加工用金型80を用いたフランジ部6と凹部10の形成
次に、上述した構成のフランジ部加工用金型80を用いた、中空ピンP及び貫通孔8を形成した母材16に対する一回のプレス加工による、フランジ部6と複数箇所の凹部10を形成する手順について説明する。
フランジ部6と凹部10を形成する際には、中空ピンP及び貫通孔8が形成された状態で搬送されてきた母材16を、上型ダイセット22を下降させることにより、ストリッパプレート30とダイプレート42との間に挟んで保持するとともに、本体部4をブッシュ配置孔82内に配置する。
【0083】
そして、本体部4をブッシュ配置孔82内に配置するとともに、ストリッパプレート30とダイプレート42との間に挟んで保持した母材16に対し、上型ダイセット22をさらに下降させる。これにより、パンチプレート26をストリッパバッキングプレート28と接触させ、ストリッパプレート30の下面から小径パンチ部32bを突出させて、パンチ32により、中空ピンP及び貫通孔8を形成した母材16のうち、本体部4の周辺部分に対して、上方から押圧力を加える。
【0084】
これにより、中空ピンP及び貫通孔8を形成した母材16のうち本体部4の周辺部分に対して押圧力を加えるパンチ32、具体的には、小径パンチ部32bの下端側が、ブッシュ配置孔82の上方に配置した部分を貫通して、ブッシュ配置孔82内へ侵入し、図12中に示すように、母材16のうち本体部4の周辺部分からフランジ部6と八箇所の凹部10を形成する。なお、図12は、フランジ部6と凹部10の形成時における、フランジ部加工用金型80、母材16及び回転体用ブッシュ1の状態を示す図である。
【0085】
中空ピンP及び貫通孔8を形成した母材16のうち本体部4の周辺部分からフランジ部6と八箇所の凹部10を形成すると、本体部形成工程において本体部4を形成した母材16に対する一回のプレス加工により、フランジ部6と複数箇所の凹部10を形成するフランジ部形成工程を終了する。
以上により、第一実施形態の回転体用ブッシュ1の製造方法であれば、先端孔形成工程において、中空ピン形成工程において形成した中空ピンPの天面を、中空ピンPの内径よりも外径が小さいパンチ32を用いた孔抜き加工により打ち抜いて、第一の開口部8aを形成する。
【0086】
このため、中空ピンPの天面に第一の開口部8aを形成するためのパンチ32の構成と、このパンチ32と対応する構成、すなわち、ダイプレート42の構成を、中空ピン形成工程に用いる金型(鍛造ピン出し加工用金型20)から、第一の開口部8aの形状に応じた構成に変更した金型(孔抜き加工用金型60)を用いることにより、回転体用ブッシュ1を製造することが可能となる。
【0087】
(回転体2の製造装置)
以下、図1から図12を参照しつつ、図13から図15を用いて、回転体2の製造装置について説明する。
回転体2(ピニオンギアー)を製造する装置(回転体2の製造装置)としては、例えば、図13から図15中に示すようなインサート成形用金型90を用いる。なお、図13は、インサート成形用金型90の概略構成を示す断面図であり、図14は、図13のX‐X線断面図である。また、図15は、図13中に円Yで囲んだ範囲の拡大図である。
【0088】
(インサート成形用金型90の構成)
以下、インサート成形用金型90の概略構成について説明する。
インサート成形用金型90は、第一金型92と、第二金型94を備えている。
第一金型92と第二金型94は、型閉じ及び型開きが可能な一組の金型であり、回転体2を製造する際には、型閉じ状態で内部に形成される成形空間内に、回転体用ブッシュ1を配置する。なお、図13中には、型閉じ状態の第一金型92及び第二金型94を示している。
【0089】
第一金型92は、本体部4の軸方向へ移動可能な可動金型であり、ブッシュ配置凹部92aと、中心ピン96を備えている。
ブッシュ配置凹部92aは、第一金型92のうち、第二金型94と対向する面に開口しており、回転体用ブッシュ1を配置可能であるとともに、回転体2の外観に対応した形状に形成されている。
【0090】
また、ブッシュ配置凹部92aの深さは、フランジ部6の厚さを含む本体部4の軸方向長さと等しい値に設定されている。
中心ピン96は、ブッシュ配置凹部92aの中心部に配置されて、第一金型92内における回転体用ブッシュ1の位置決め用部材を形成する柱状部材である。
また、中心ピン96は、成形空間内に配置した回転体用ブッシュ1の貫通孔8内に挿入可能な形状に形成されている。
【0091】
具体的には、中心ピン96は、中心ピン大径部96aと、中心ピン小径部96bと、中心ピン縮径部96cを有している。
中心ピン大径部96aは、ブッシュ配置凹部92aと連続して形成されており、中心ピン96を貫通孔8内に挿入した状態では、貫通孔8の内径面及び第二の開口部8bの内径面と対向して、貫通孔8内及び第二の開口部8b内に配置されている。
中心ピン小径部96bは、中心ピン大径部96aよりも小径に形成されており、中心ピン96を貫通孔8内に挿入した状態では、第一の開口部8aの内径面と対向して、第一の開口部8a内に配置されている。
【0092】
また、中心ピン小径部96bの一部、具体的には、中心ピン小径部96bの先端部のうち、後述するリブ94bと対向する部分は、型閉じ状態で第二金型94(リブ94b)と接触している。
中心ピン縮径部96cは、中心ピン大径部96aと中心ピン小径部96bとの間に形成されており、中心ピン大径部96a側から中心ピン小径部96b側へ向かうにつれて縮径する形状に形成されている。
【0093】
また、中心ピン縮径部96cは、中心ピン96を貫通孔8内に挿入した状態では、本体部4に対し、本体部4の内径面のうち内径が最大の部分と最小の部分との間の部分のみで接触している。
ここで、中心ピン縮径部96cと本体部4は、本体部4の周方向全体に亘り、インサート成形時において、中心ピン縮径部96cと本体部4との間における溶融樹脂の移動を防止可能であるとともに、中心ピン縮径部96cの本体部4への接触による回転体用ブッシュ1の変形を抑制可能な状態で接触している。
【0094】
第一実施形態では、中心ピン縮径部96cと本体部4との接触状態を、上記の状態とするために、一例として、中心ピン縮径部96cと本体部4が、本体部4の周方向全体に亘り、5〜10[μm]程度の接触面積で接触している場合について説明する。
したがって、中心ピン96と本体部4は、型閉じ状態で成形空間内に回転体用ブッシュ1を配置するとともに貫通孔8内に中心ピン96を挿入した状態で、中心ピン縮径部96cと本体部4の内径面のうち内径が最大の部分と最小の部分との間の部分のみで接触する。
【0095】
ここで、中心ピン96と本体部4が、中心ピン縮径部96cと本体部4の内径面のうち内径が最大の部分と最小の部分との間の部分のみで接触している状態では、中心ピン小径部96bと第一の開口部8aとの間には、例えば、0.02[mm]程度の隙間が形成されている。この隙間は、上述した孔抜き加工の際に、中空ピンPの内径よりも外径が小さいパンチ32が、中空ピンPの内部で天面に対して傾斜することにより、中空ピンPの中心と第一の開口部8aの中心とがオフセットした場合であっても、中空ピンPと第一の開口部8aとの位置ずれを許容して、第一の開口部8a全体が中空ピンPの天面に形成されるようにするために設けている。したがって、中心ピン小径部96bの外径は、中心ピン小径部96bを第一の開口部8a内に配置した状態で、中心ピン小径部96bと第一の開口部8aとの間に上記の隙間が形成される値に設定する。
【0096】
第二金型94は、固定金型であり、樹脂通路94aと、複数のリブ94bを備えている。
樹脂通路94aは、第二金型94の移動方向(図13中では、上下方向)から見て、中心ピン96と重なる位置に配置されており、回転体2の材料となる溶融樹脂が通過可能な形状に形成されている。
第一実施形態では、一例として、樹脂通路94aを、内径がφ1.5の円形に形成した場合を説明する。これに伴い、第一実施形態では、一例として、樹脂通路94a内で移動して樹脂通路94aを開放または遮断するバルブピン(図示せず)の構成を、外径がφ1.5である構成とした場合を説明する。
【0097】
ここで、上述したように、第一実施形態では、第一の開口部8aを、内径がφ2.5の円形に形成している。この理由は、第一の開口部8aの内径を、バルブピンの外径よりも小さくしてしまうと、回転体用ブッシュ1をモーターの回転軸(モーターシャフト)へ圧入する際に、貫通孔8内から空気を逃がすための空間が、回転体2に形成されないためである。
また、バルブピンの外径は、強度を考慮すると、その下限値がφ0.5程度となる。さらに、インサート成形の確実性を考慮すると、バルブピンの外径と第一の開口部8aの内径との差は、1.0[mm]程度が必要となる。このため、第一の開口部8aの内径は、その下限値が、φ1.5程度となる。
【0098】
複数のリブ94bは、樹脂通路94aを囲む位置であるとともに、型閉じ状態で中心ピン小径部96bの一部、具体的には、中心ピン小径部96bの先端部分の一部と接触する位置に形成されており、本体部4の周方向に沿って互いに離間して配置されている。また、複数のリブ94bは、型閉じ状態で、中心ピン小径部96bの一部に加え、本体部4の一部と接触する形状に形成されている。なお、第一実施形態では、一例として、第二金型94が、三つのリブ94bを備えている場合を説明する。
したがって、型閉じ状態で成形空間内に回転体用ブッシュ1を配置するとともに貫通孔8内に中心ピン96を挿入した状態では、三つのリブ94b間に、それぞれ、隙間が形成されている。
【0099】
(回転体の製造方法)
以下、図1から図15を参照しつつ、図16から図20を用いて、回転体2の製造方法について説明する。
回転体2の製造方法は、中心ピン96と本体部4とを、本体部4の内径面のうち内径が最大の部分と最小の部分との間の部分のみで接触させた状態で、型閉じ状態で成形空間内に配置した回転体用ブッシュ1の貫通孔8内に中心ピン96を挿入するブッシュ配置工程を有している。
これに加え、回転体2の製造方法は、ブッシュ配置工程において中心ピン96と本体部4とを接触させた状態で、成形空間内へ溶融樹脂を射出充填する樹脂射出工程を有している。
【0100】
(ブッシュ配置工程)
以下、ブッシュ配置工程について説明する。
ブッシュ配置工程では、まず、第一金型92を第二金型94から離れる方向へ移動させた後、ブッシュ配置凹部92a内に回転体用ブッシュ1を配置する。
ブッシュ配置凹部92a内に回転体用ブッシュ1を配置する際には、中心ピン96を貫通孔8内に挿入するとともに、フランジ部6を、ブッシュ配置凹部92aの底面に接触させる。
【0101】
このとき、中心ピン96と本体部4は、中心ピン縮径部96cが、本体部4の内径面のうち内径が最大の部分と最小の部分との間の部分のみで接触している。
このため、ブッシュ配置凹部92a内に回転体用ブッシュ1を配置した状態では、中心ピン大径部96aと本体部4との間及び中心ピン小径部96bと本体部4との間に、本体部4の周方向全体に亘って、隙間が形成されている。
ブッシュ配置凹部92a内に回転体用ブッシュ1を配置した後、第一金型92を移動させて第二金型94と接触させ、第一金型92と第二金型94との間に成形空間(キャビティ)を形成して、ブッシュ配置工程を終了する。
【0102】
ブッシュ配置凹部92a内に回転体用ブッシュ1を配置し、さらに、成形空間を形成した状態では、図16及び図17中に示すように、本体部4の両端のうち、フランジ部6が形成されていない側の端部と各リブ94bが接触する。なお、図16は、ブッシュ配置工程における、回転体用ブッシュ1と第二金型94との接触状態を示す図であり、図17は、図16のZ線矢視図である。また、図16及び図17中では、説明のために、回転体用ブッシュ1及び第二金型94以外の図示を省略している。
【0103】
また、各リブ94b間には隙間が形成されているため、ブッシュ配置凹部92a内に回転体用ブッシュ1を配置し、さらに、成形空間を形成した状態では、第二金型94のうち各リブ94bが形成されていない部分と本体部4との間に、隙間が形成されている。
また、ブッシュ配置凹部92a内に回転体用ブッシュ1を配置し、さらに、成形空間を形成した状態では、図18から図20中に示すように、中心ピン小径部96bの先端部分の一部と各リブ94bが接触する。なお、図18及び図19は、ブッシュ配置工程における、中心ピン96と第二金型94との接触状態を示す図であり、図20は、図19のZ線矢視図である。また、図18から図20中では、説明のために、中心ピン96及び第二金型94以外の図示を省略している。また、図19中では、説明のために、中心ピン96を透過させて図示している。
【0104】
また、各リブ94b間には隙間が形成されているため、ブッシュ配置凹部92a内に回転体用ブッシュ1を配置し、さらに、成形空間を形成した状態では、第二金型94のうち各リブ94bが形成されていない部分と中心ピン小径部96bとの間には、隙間が形成されている。
また、複数のリブ94bは、樹脂通路94aを囲む位置に形成されているため、ブッシュ配置凹部92a内に回転体用ブッシュ1を配置し、さらに、成形空間を形成した状態では、樹脂通路94aと本体部4及び中心ピン小径部96bとの間には、隙間が形成されている。
【0105】
(樹脂射出工程)
以下、樹脂射出工程について説明する。
樹脂射出工程では、ブッシュ配置工程において中心ピン96と本体部4とを接触させた状態で、樹脂通路94aを介して、第一金型92と第二金型94との間に形成された成形空間内へ溶融樹脂を射出充填する。これにより、回転体2の内周側に回転体用ブッシュ1をインサート成形して、樹脂射出工程を終了する。
【0106】
このとき、ブッシュ配置工程において、ブッシュ配置凹部92a内に回転体用ブッシュ1を配置し、さらに、成形空間を形成した状態では、樹脂通路94aと本体部4及び中心ピン小径部96bとの間に、隙間が形成されている。
このため、樹脂通路94aから成形空間内へ射出充填された溶融樹脂は、樹脂通路94aと本体部4及び中心ピン小径部96bとの間に形成された隙間を通過して、成形空間のうち、本体部4の外径面と対向する部分へ移動する。
【0107】
また、ブッシュ配置工程において、ブッシュ配置凹部92a内に回転体用ブッシュ1を配置し、さらに、成形空間を形成した状態では、中心ピン縮径部96cと本体部4は、本体部4の周方向全体に亘って接触している。
このため、樹脂通路94aから成形空間内へ射出充填された溶融樹脂は、中心ピン縮径部96cと本体部4が接触している部分から中心ピン大径部96a側へは移動せず、貫通孔8及び第二の開口部8b内への溶融樹脂の移動は防止されている。
【0108】
また、ブッシュ配置工程において、ブッシュ配置凹部92a内に回転体用ブッシュ1を配置し、さらに、成形空間を形成した状態では、中心ピン小径部96bが第一の開口部8a内に配置されるとともに、中心ピン小径部96bの先端部分の一部と各リブ94bが接触している。
このため、樹脂通路94aから成形空間内へ溶融樹脂を射出充填しても、各リブ94bと接触している状態で第一の開口部8a内に配置されている中心ピン小径部96bにより、第一の開口部8a内には、本体部4の軸方向に沿って、溶融樹脂によって閉塞されない部分が形成されることとなる。
これにより、溶融樹脂が硬化した後に、中心ピン96を貫通孔8内から取り出すと、貫通孔8内及び第一の開口部8a,8b内には、溶融樹脂が存在しない空隙部が、本体部4の軸方向に沿って連続して形成されることとなる。
【0109】
そして、溶融樹脂が硬化した後、第一金型92を移動させて、硬化した溶融樹脂及びインサート成形した回転体用ブッシュ1を取り出し、必要に応じてバリ取り等の処理を行って、回転体2の製造を終了する。
ここで、第一実施形態では、中心ピン96と本体部4が、中心ピン縮径部96cのみで接触しており、中心ピン大径部96a及び中心ピン小径部96bと本体部4との間に、本体部4の周方向全体に亘って、隙間が形成されている。
このため、中心ピン大径部96a及び中心ピン小径部96bと本体部4とを離間させた状態で、樹脂射出工程を行うことが可能となり、溶融樹脂が硬化した後における、貫通孔8内からの中心ピン96の取り出しが容易となる。
【0110】
(動作)
次に、図1から図20を参照して、回転体用ブッシュ1と、回転体用ブッシュ1を備えた回転体2の動作を説明する。
第一実施形態の回転体2は、外径面に本体部4の軸方向に連続する歯12が複数形成されているピニオンギアーであり、ファクシミリFが備える紙送り機構に適用されている(図4及び図5参照)。
ここで、ピニオンギアーである回転体2を、紙送り機構が備えるモーターの回転軸に取り付ける際には、本体部4が有する貫通孔8を形成する二箇所の開口部8a,8bのうち、開口面積の大きい第二の開口部8b側から、貫通孔8内に回転軸を配置する。
【0111】
このとき、回転体2を回転軸に取り付ける作業では、例えば、作業者の指や手工具等により、金属製である回転体用ブッシュ1を押圧して回転軸に圧入する。
ここで、二箇所の開口部8a,8bのうち、第一の開口部8aは、第二の開口部8bよりも開口面積が小さいため、本体部4の両端面のうち、第一の開口部8aが開口している面の面積は、第二の開口部8bが開口している面の面積よりも大きくなっている。これにより、貫通孔8の一端側における、回転体2の回転軸方向から見た本体部4の肉厚が、貫通孔8の他端側における、回転体2の回転軸方向から見た本体部4の肉厚未満となっている。
【0112】
このため、第一実施形態では、回転体用ブッシュ1の内径面が、回転体用ブッシュ1の軸方向全体に亘り同一の径となっている場合と比較して、回転体用ブッシュ1の端面に、回転体用ブッシュ1を回転軸に圧入する際に、作業者の指や手工具等により押圧するための面積を増加させることが可能となる。
また、上述したように、第一の開口部8aは、第二の開口部8bよりも開口面積が小さいため、本体部4の内径面には、第一の開口部8aの部分において、回転体2の回転軸へ向けて突出する突出部が形成されることとなる。
【0113】
このため、回転体用ブッシュ1を押圧して回転軸に圧入する際には、本体部4の内径面に形成された突出部が、貫通孔8内における回転軸のストッパーとして機能することとなる。これにより、回転体用ブッシュ1の内径面が、回転体用ブッシュ1の軸方向全体に亘り同一の径となっている場合と比較して、回転体用ブッシュ1を押圧して回転軸に圧入する際の作業効率を向上させることが可能となる。
【0114】
また、上述したように、回転体2には、貫通孔8内及び第一の開口部8a,8b内に、溶融樹脂が存在しない空隙部が、本体部4の軸方向に沿って連続して形成されているため、この空隙部が、回転体用ブッシュ1を回転軸へ圧入する際に、貫通孔8内から空気を逃がすための空間として機能する。
以上により、第一実施形態では、回転体用ブッシュ1の内径面が、回転体用ブッシュ1の軸方向全体に亘り同一の径となっている場合と比較して、回転体2を回転軸へ取り付ける際の作業工程を簡略化することが可能となり、ファクシミリF等、回転軸を有する部材の製造に関して、製造効率の向上や製造コストの低減が可能となる。
【0115】
また、第一実施形態では、樹脂射出工程において成形空間内へ射出充填された溶融樹脂が、中心ピン縮径部96cと本体部4が接触している部分から中心ピン大径部96a側へ移動することを防止することが可能となるため、貫通孔8及び第二の開口部8b内への溶融樹脂の移動を防止することが可能となる。
このため、回転体用ブッシュ1を回転軸へ圧入する際に、貫通孔8内及び第二の開口部8b内に硬化した樹脂が存在することを抑制することが可能となり、回転体用ブッシュ1を備える回転体2を回転軸へ取り付ける作業において、作業効率を向上させることが可能となる。
【0116】
また、ファクシミリFの使用時における紙送り機構の作動時において、紙送り機構が備えるモーターの回転軸が回転し、回転体用ブッシュ1が回転すると、回転体用ブッシュ1と回転体2との間において、モーターの回転軸の回転方向に沿って互いに対向する応力が発生する。
このとき、第一実施形態の回転体用ブッシュ1は、外径面に八箇所の凹部10を有するフランジ部6を備えており、回転体2の内周側のフランジ部6と対向する部分は、各凹部10と嵌合している。また、回転体用ブッシュ1は、回転体2の内周側にインサート成形されており、溶融樹脂が硬化する際に、回転体用ブッシュ1と回転体2との間には、ある程度の接着力(結合力)が作用している。
【0117】
したがって、モーターの回転軸が回転し、回転体用ブッシュ1が回転すると、この回転力は、八箇所の凹部10を介して回転体2に伝達され、この回転体2と噛合している給紙動力歯車14に伝達される。
このため、モーターの回転軸が回転した際に、回転体用ブッシュ1が回転体2に対して空回りすることが抑制されるため、給紙動力歯車14を確実に回転させて、紙送り機構を確実に作動させることが可能となる。
【0118】
また、第一実施形態の回転体用ブッシュ1は、フランジ部6の外径面に、八箇所の凹部10が、互いに等間隔で形成されている(図1及び図3参照)。
したがって、モーターの回転軸に対する回転体用ブッシュ1の取り付け時や、紙送り機構の作動時等においてフランジ部6に加わる応力を、フランジ部6の周方向に沿って均等に分散させることが可能となる。
このため、回転体用ブッシュ1の耐久性を向上させることが可能となる。
【0119】
(変形例)
第一実施形態においては、回転体用ブッシュ1の構成を、フランジ部6を備えた構成としたが、これに限定するものではなく、回転体用ブッシュ1の構成を、フランジ部6を備えていない構成としてもよい。
また、第一実施形態においては、第一の開口部8aを円形に形成したが、これに限定するものではなく、第一の開口部8aを、例えば、方形、多角形や星型等、円形以外の形状に形成してもよい。
【0120】
また、第一実施形態においては、第一の開口部8aの構成を、第一の開口部8aの中心と第二の開口部8bの中心が、回転体2の回転軸方向から見て一致している構成としたが、これに限定するものではなく、第一の開口部8aの構成を、第一の開口部8aの中心と第二の開口部8bの中心が、回転体2の回転軸方向から見てオフセットしている構成としてもよい。
また、第一実施形態においては、回転体2をピニオンギアーとしたが、これに限定するものではなく、回転体2を、例えば、Vベルト等を連結して回動させるためのプーリーや、自動車部品のウォーターポンプインペラ等としてもよい。
【符号の説明】
【0121】
1 回転体用ブッシュ、2 回転体、4 本体部、6 フランジ部、8 貫通孔、8a 第一の開口部、8b 第二の開口部、10 凹部、12 歯、14 給紙動力歯車、16 母材、20 鍛造ピン出し加工用金型、22 上型ダイセット、22a 上型凹部、24 上型バッキングプレート、24a 第一上型挿通孔、26 パンチプレート、26a 第二上型挿通孔、28 ストリッパバッキングプレート、28a 第三上型挿通孔、28b 第一パンチ挿通孔、30 ストリッパプレート、30a 第二パンチ挿通孔、32 パンチ、32a 大径パンチ部、32b 小径パンチ部、34 ピン支持スプリング、36 支持ピン、36a 大径ピン部、36b 小径ピン部、38 下型ダイセット、38a 下型凹部、40 下型バッキングプレート、40a 第一下型挿通孔、42 ダイプレート、42a 第二下型挿通孔、44 ノックアウトスプリング、46 ノックアウト、46a 大径ノックアウト部、46b 小径ノックアウト部、48 プレートロック機構、50 パンチ配置孔、50a 大径配置部、50b 小径挿通孔、60 孔抜き加工用金型、62 ダイ配置部、64 ブッシュガイド入れ子ダイ、64a 中空ピン配置孔、66 先端孔抜き入れ子ダイ、66a 入れ子側パンチ挿通孔、70 ピン出し孔抜き加工用金型、72 ピン出し側加工ブロック、74 孔抜き側加工ブロック、76 ストリッパスプリング、78 パンチバッキングプレート、80 フランジ部加工用金型、82 ブッシュ配置孔、84 ノックアウト挿通孔、90 インサート成形用金型、92 第一金型、92a ブッシュ配置凹部、94 第二金型、94a 樹脂通路、94b リブ、96 中心ピン、96a 中心ピン大径部、96b 中心ピン小径部、96c 中心ピン縮径部、F ファクシミリ、P 中空ピン

【特許請求の範囲】
【請求項1】
回転体の内周側にインサート成形されて前記回転体に取り付けられる回転体用ブッシュであって、
前記回転体の回転軸方向に貫通する貫通孔を有する円筒状の本体部を備え、
前記貫通孔の一端側における前記回転軸方向から見た前記本体部の肉厚は、前記貫通孔の他端側における前記回転軸方向から見た前記本体部の肉厚未満であることを特徴とする回転体用ブッシュ。
【請求項2】
前記本体部の一端に形成されて本体部の外径面から突出し、且つ前記外径面を前記本体部の周方向に沿って連続するフランジ部と、
前記フランジ部の外径面に複数箇所形成され、且つ前記本体部の軸方向に連続する凹部と、を備えることを特徴とする請求項1に記載した回転体用ブッシュ。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載した回転体用ブッシュを備えた回転体であって、
前記本体部の軸方向に連続する複数の歯が外径面に形成されているピニオンギアーであることを特徴とする回転体。
【請求項4】
請求項1または請求項2に記載した回転体用ブッシュを製造する回転体用ブッシュの製造方法であって、
母材に対するピン出し加工により前記母材から突出する中空ピンを形成する中空ピン形成工程と、
前記中空ピン形成工程において形成した前記中空ピンの天面を中空ピンの内径よりも外径が小さいパンチを用いた孔抜き加工により打ち抜いて、前記貫通孔の一端側を構成する第一の開口部を形成する先端孔形成工程と、を有することを特徴とする回転体用ブッシュの製造方法。
【請求項5】
請求項1から請求項3のうちいずれか1項に記載した回転体を製造する回転体の製造装置であって、
型閉じ及び型開きが可能であり且つ前記型閉じ状態で内部に形成される成形空間内に前記回転体用ブッシュを配置する一組の金型を備え、
前記一組の金型のうち一方は、前記成形空間内に配置した前記回転体用ブッシュの前記貫通孔内に挿入する中心ピンを備え、
前記中心ピンは、前記貫通孔の内径面及び前記貫通孔の他端側を構成する第二の開口部の内径面と対向する中心ピン大径部と、当該中心ピン大径部よりも小径であり且つ前記第一の開口部の内径面と対向する中心ピン小径部と、前記中心ピン大径部と前記中心ピン小径部との間に形成され且つ中心ピン大径部側から中心ピン小径部側へ向かうにつれて縮径する中心ピン縮径部と、を有し、
前記中心ピン小径部の一部は、前記型閉じ状態で前記他方の金型と接触し、
前記中心ピンと前記本体部は、前記型閉じ状態で前記成形空間内に前記回転体用ブッシュを配置するとともに前記中心ピンを前記貫通孔内に挿入した状態で、前記中心ピン縮径部と前記本体部の内径面のうち内径が最大の部分と最小の部分との間の部分のみで接触することを特徴とする回転体の製造装置。
【請求項6】
前記他方の金型は、前記型閉じ状態で前記中心ピン小径部の一部と接触する複数のリブを備え、
前記複数のリブは、前記本体部の周方向に沿って互いに離間して配置されていることを特徴とする請求項5に記載した回転体の製造装置。
【請求項7】
請求項1から請求項3のうちいずれか1項に記載した回転体を製造する回転体の製造方法であって、
型閉じ及び型開きが可能であり且つ前記型閉じ状態で内部に成形空間を形成する一組の金型のうち一方が備える中心ピンと前記本体部とを、前記本体部の内径面のうち内径が最大の部分と最小の部分との間の部分のみで接触させた状態で、前記型閉じ状態で前記成形空間内に配置した前記回転体用ブッシュの前記貫通孔内に前記中心ピンを挿入するブッシュ配置工程と、
前記ブッシュ配置工程において前記中心ピンと前記本体部とを接触させた状態で、前記成形空間内へ溶融樹脂を射出充填する樹脂射出工程と、を有することを特徴とする回転体の製造方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate

【図14】
image rotate

【図15】
image rotate

【図16】
image rotate

【図17】
image rotate

【図18】
image rotate

【図19】
image rotate

【図20】
image rotate


【公開番号】特開2012−193808(P2012−193808A)
【公開日】平成24年10月11日(2012.10.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−59056(P2011−59056)
【出願日】平成23年3月17日(2011.3.17)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】