説明

回転型処理装置

【課題】 被処理物の粉砕等を効率良く行うことのできる回転型処理装置を提供する。
【解決手段】 回転可能であって、一端側から供給された被処理物を他端側から排出する筒体(31)と、先端部において筒体の内壁に当接可能な複数のブレード部(38a)を有し、筒体の回転に応じて筒体内で回転可能なブレードユニット(38)と、筒体内に配置され、筒体の長手方向を含む空間内で移動可能な分散媒体(39)とを有する。ブレードユニットは、分散媒体の上記他端側への通過を阻止するとともに、被処理物の上記他端側への通過を許容する開口部(38c)を備えたストッパ(38b)を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、回転しながら被処理物に対して所定の処理を行う回転型処理装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、回転可能な円筒体内に、放射状に延びる複数の翼片を有するビーター部材と、円筒体の長手方向(回転軸方向)に延びる転動シャフトとを配置した解砕粉砕整粒装置がある(例えば、特許文献1参照)。この解砕粉砕整粒装置では、円筒体の回転に応じてビーター部材を回転させるとともに、転動シャフトを円筒体内で移動させることで、固形物や流動性物などの被処理物に対して、解砕処理、粉砕処理及び整粒処理を行うようにしている。以下、具体的に説明する。
【0003】
ビーター部材は、円筒体とは別体として配置されており、円筒体の回転に応じてビーター部材の各翼片が円筒体の内壁に衝突するようになっている。これにより、ビーター部材は、円筒体内で回転することになる。そして、各翼片が円筒体の内壁に衝突する際の衝撃によって、円筒体の内壁とビーター部材が振動することで両者の表面に被処理物が付着することが防止され、さらには被処理物が分散される。
【0004】
また、ビーター部材の回転によって、2つの翼片間に配置された転動シャフトも転動し、この転動シャフトの転動によって、被処理物が粉砕され、整粒される。
【特許文献1】特開2000−42437号公報(段落番号0015−0020等)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に記載の構成では、以下に説明する不具合が生じてしまう。
【0006】
特許文献1に記載の装置では、ビーター部材(複数の翼片)が、円筒体の長手方向(回転軸方向)に延びているとともに、転動シャフトも、円筒体の長手方向に延びている。このため、転動シャフトは、円筒体の長手方向と直交する面内(以下、長手直交面内という)でのみ移動可能となっている。
【0007】
このような構成では、ビーター部材の回転軸側(言い換えれば、翼片の基端側)に転動シャフトが移動したときに、2つの翼片と転動シャフトとの間で被処理物が圧縮され、被処理物がビーター部材に付着するおそれがある。特に、被処理物が湿分を多く含む場合には、ビーター部材への被処理物の付着が増加してしまう。
【0008】
また、転動シャフトの移動方向は、円筒体の長手直交面内(2次元平面)に限られるため、転動シャフトの移動に伴う被処理物の粉砕/整粒の処理効率には限度がある。すなわち、被処理物の整粒処理等を効率良く行うことができず、この装置では、処理された被処理物の粒度分布(所望の粒径)をコントロールすることは困難である。
【0009】
本発明は、上述した問題点を解決するために、被処理物に対する整粒処理等を効率良く行わせることのできる回転型処理装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明である回転型処理装置は、回転可能であって、一端側から供給された被処理物を他端側から排出する筒体と、先端部において筒体の内壁に当接可能な複数のブレード部を有し、筒体の回転に応じて筒体内で回転可能なブレードユニットと、筒体内に配置され、筒体の長手方向を含む空間内で移動可能な分散媒体とを有し、ブレードユニットは、分散媒体の上記他端側への通過を阻止するとともに、被処理物の上記他端側への通過を許容する開口部を備えたストッパを有することを特徴とする。
【0011】
ここで、ストッパの外周部と筒体の内壁との間の距離を、分散媒体よりも小さくすることで、ストッパの外周部と筒体の内壁との間から分散媒体が抜け出てしまうのを防止することができる。
【0012】
また、分散媒体を、ブレードユニットの回転方向で隣り合う2つのブレード部と筒体の内壁とによって形成される空間内に配置すれば、この空間内において被処理物の粉砕や解砕等を効率良く行うことができる。
【0013】
さらに、ブレードユニットの回転軸方向における両端部にストッパを設け、これらのストッパの間に分散媒体を配置すれば、筒体内の空間のうちブレードユニットが配置された空間において、被処理物の粉砕や解砕等を効率良く行うことができる。
【0014】
一方、ブレードユニットは、筒体内の少なくとも一部の領域内に配置することができる。また、上述したブレードユニットと、先端部において筒体の内壁に当接可能な複数のブレード部を有し、筒体の回転に応じて筒体内で回転可能な他のブレードユニット(ストッパを有していないブレードユニット)とを、筒体内に配置することができる。さらに、分散媒体として、球体又は多面体を用いることができる。
【0015】
筒体内の被処理物を加熱するための加熱手段を設ければ、筒体内において被処理物の乾燥や焼成等の熱処理を行うことができる。また、筒体内にガスを供給するガス供給手段を設け、このガスとして水蒸気を用いれば、水蒸気に含まれる水分によって被処理物の造粒処理を行うことができる。そして、上記ガスとして、過熱水蒸気を用いれば、過熱水蒸気が被処理物に接触した際に発生する凝縮熱によって被処理物の殺菌処理を行うことができる。
【発明の効果】
【0016】
本発明の回転型処理装置によれば、筒体の回転に応じて、ブレードユニットを回転させるとともに、分散媒体を筒体内の空間で自由に移動させることにより、被処理物の粉砕等を効率良く行うことができる。すなわち、分散媒体の移動スペースとして筒体内の空間を効率良く利用することで、被処理物の解砕・整粒・分散効率等を向上させることができ、所望の粒径の被処理物を容易に得ることができる。
【0017】
しかも、ブレードユニットに、分散媒体の通過を阻止するとともに、被処理物の通過を許容する開口部を備えたストッパを設けることにより、このストッパにおいて分散媒体と被処理物を分離させて、筒体の他端側から被処理物だけを排出させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
以下、本発明の実施例について説明する。
【実施例1】
【0019】
本発明の実施例1である回転型処理装置について、図1から図3を用いて説明する。ここで、図1は、回転型処理装置の構成を示す概略図である。また、図2は、回転型処理装置における長手直交方向の断面図であって、図1のL−L断面図である。図3は、回転型処理装置内に配置されるブレードユニットの正面図(A)及び側面図(B)である。
【0020】
図1に示す回転型処理装置1において、処理ユニット3の一端側には供給側ケーシング2が配置され、処理ユニット3の他端側には排出側ケーシング4が配置されている。
【0021】
供給側ケーシング2には、被処理物(例えば、小麦粉、澱粉)を処理ユニット3内に供給するためのホッパ22が設けられている。また、ホッパ22には、供給側ケーシング本体25内を介して処理ユニット3内に延びる供給路23が設けられており、この供給路23内には、スクリュータイプのフィーダ(不図示)が配置されている。
【0022】
供給路23内のフィーダが駆動されると、ホッパ22内に供給された被処理物が処理ユニット3側に向けて押し出されることになり、処理ユニット3への被処理物の供給が行われる。
【0023】
供給側ケーシング2は、移動ユニット21を介して台5に支持されており、移動ユニット21を図1中の矢印X方向に移動させることにより、供給側ケーシング2を処理ユニット3の一端部(被処理物の供給側に位置する端部)に対して移動させることができる。これにより、処理ユニット3の内部の点検作業を容易に行うことができる。
【0024】
供給側ケーシング2の下部には、蓋ユニット26が設けられており、この蓋ユニット26を開くことにより、供給側ケーシング本体25内に誤って入り込んだ被処理物等を供給側ケーシング本体25内から取り出すことができる。
【0025】
また、供給側ケーシング2の上部には、後述するように、処理ユニット3の他端側(後述する排出側ケーシング4側)から処理ユニット3内に供給されたガス(例えば、不活性ガスや水蒸気等)を回転型処理装置の外に排出するためのガス排出口24が設けられている。ここで、ガスを吸引するための吸引機構(不図示)をガス排出口24に連結させれば、ガスの排出を効率良く行うことができる。
【0026】
一方、排出側ケーシング4には、不図示のガス供給機が連結されており、このガス供給機から供給されたガスは、排出側ケーシング4におけるガス供給路43を介して排出側ケーシング本体45内に導かれる。ここで、ガス供給機では、例えば、高周波加熱やガスバーナを用いることによって、水蒸気から高温の過熱水蒸気ガスを生成させることができる。
【0027】
排出側ケーシング本体45内に導かれたガスは、処理ユニット3内を通過して、供給側ケーシング2側に向かう。すなわち、本実施例の回転型処理装置1では、処理ユニット3の一端側から被処理物が供給されるとともに、処理ユニット3の他端側からガスが供給されることにより、処理ユニット3内において被処理物とガスが反応することになる。
【0028】
排出側ケーシング4は、台5に対して矢印X’方向に移動可能な移動ユニット41を介して台5に支持されている。そして、移動ユニット41を矢印X’方向に移動させることにより、処理ユニット3の他端部に対する排出側ケーシング4の位置(連結位置)を調整することができる。
【0029】
また、排出側ケーシング4には覗き窓42が設けられており、この覗き窓42は、処理ユニット3からの被処理物の排出状態や、排出側ケーシング本体45内の状態を観察するために用いられる。
【0030】
処理ユニット3を通過した被処理物(熱処理等が施された被処理物)は、排出側ケーシング本体45内に排出される。排出側ケーシング本体45の下部には、ロータリバルブ44が連結されており、ロータリバルブ44での回転動作によって、排出側ケーシング本体45内の被処理物が、排出側ケーシング本体45外に連続的に排出されるようになっている。
【0031】
次に、処理ユニット3の具体的な構成について説明する。本実施例の処理ユニット3は、以下に説明するように、ホッパ22から供給された被処理物に対して加熱処理を行いながら、被処理物の解砕・整粒・分散処理を行うものである。
【0032】
本実施例の処理ユニット3では、被処理物の供給側が排出側よりも高くなるように傾斜しており、ホッパ22から処理ユニット3(後述する筒体31)の一端側に供給された被処理物は、筒体31の回転に応じて熱処理されながら他端側に移動する。そして、被処理物が筒体31の他端側に到達すると、筒体31の他端に形成された開口部31bから排出側ケーシング本体45内に落下するようになっている。
【0033】
このように、本実施例の回転型処理装置1では、ホッパ22に被処理物を投入することにより、被処理物に対する所定の処理(例えば、熱処理、分散処理、粉砕/解砕処理、整粒処理、造粒処理、殺菌処理)を連続的に行うことができる。
【0034】
ここで、被処理物が供給された処理ユニット3内に、上記ガス供給機から水蒸気を供給すれば、水蒸気に含まれる水分によって被処理物の造粒処理を行うことができる。また、処理ユニット3内に過熱水蒸気を供給すれば、過熱水蒸気が被処理物に接触した際に発生する凝縮熱によって被処理物の殺菌処理を行うことができるとともに、このときに発生した凝縮液によって被処理物の造粒処理を行うことができる。
【0035】
処理ユニット3は、被処理物が収納される筒体31と、筒体31の外周面を覆い、この外周面に対して所定の間隔を空けて配置されたコイル32とを有している。ここで、コイル32は、支持部材36を介して台5によって支持されている。
【0036】
本実施例では、電磁誘導加熱方式(高周波加熱)によってコイル32に電流を流し筒体31を誘導加熱している。ここで、筒体31の外周面とコイル32の内周面との間隔は、固定状態のコイル32に対して筒体31が回転可能な間隔に設けてある。
【0037】
また、コイル32には、3つ(または3つ以上)の加熱領域A〜Cが設けられており、加熱領域A〜Cでの加熱温度が互いに異なるように設定されている。
【0038】
ここで、コイル32により筒体31の全体を同一温度で加熱してもよいし、一部の領域を加熱しなくてもよい。また、加熱領域の数は、適宜設定することができる。
【0039】
なお、筒体31の外周面とコイル32の内周面との間の空間には、筒体31を保温するための保温材を挿入することもできる。
【0040】
筒体31の両端側には、タイヤフランジ33が設けられており、各タイヤフランジ33は、台5上に固定された一対のローラ34(図2参照)によって支持されている。図2に示すように、各ローラ34は、タイヤフランジ33と当接する回転部34aと、回転部34aを回転可能に支持する支持部34bとを有している。
【0041】
また、2つのタイヤフランジ33のうち、供給側ケーシング2側(被処理物の供給側)に位置するタイヤフランジ33には、不図示の動力伝達機構を介して駆動源に連結された駆動チェーン35が設けられている。駆動チェーン35が駆動源からの駆動力を受けて動作すると、タイヤフランジ33が回転すると共に、筒体31が回転する。
【0042】
筒体31の内部には、筒体31の長手方向に沿って、複数のブレードユニット(第1のブレードユニット37及び第2のブレードユニット38)が配置されている。本実施例では、後述するように、2つのタイプのブレードユニット37,38を用いている。筒体31の両端部には、第1のブレードユニット37の抜け止めとしてのブレードストッパ31a(一方は不図示)が設けられている。
【0043】
ここで、第1及び第2のブレードユニット37,38の共通の構造について、第1のブレードユニット37の構造を用いて説明する。
【0044】
第1のブレードユニット37は、図2に示すように、筒体31の長手方向に延びる3つのブレード部37aを有している。これらのブレード部37aは、筒体31の周方向において等間隔(略120度間隔)に配置されている。なお、ブレード部37aの数や、筒体31の周方向で隣り合う2つのブレード部37a間の間隔は、適宜設定することができる。
【0045】
ここで、第1のブレードユニット37は、この外接円(ブレード部37aの先端に接する円)の径が、筒体31の内径よりも小さくなるように形成されている。すなわち、第1のブレードユニット37を筒体31内に配置した状態では、図2に示すように、3つのブレード部37aのうち、少なくとも1つのブレード部37aが筒体31の内壁に当接しないようになっている。言い換えれば、筒体31が非回転状態にある場合には、2つのブレード部37aが筒体31の内壁に当接することで、第1のブレードユニット37は、静止状態となる。
【0046】
第1のブレードユニット37が静止状態にある場合において、筒体31が一方向(図2の矢印R1方向又は矢印R2方向)に回転し始めると、筒体31の内壁に当接しているブレード部37aは、筒体31の回転に応じて、この回転方向に移動する。そして、このブレード部37aが所定量だけ移動すると、第1のブレードユニット37の自重によって、筒体31の内壁に当接していないブレード部37aが筒体31の内壁に衝突する。
【0047】
このように、筒体31が回転することで、第1のブレードユニット37も同一方向に回転することになる。
【0048】
ここで、ブレード部37aが筒体31の内壁に衝突するまでの第1のブレードユニット37の回転速度は、筒体31の回転速度よりも速くなる。このため、筒体31内に収納された被処理物は、第1のブレードユニット37の回転によって、筒体31内の全体に分散させられる。
【0049】
被処理物が小径の粒子である場合には、この被処理物を筒体31内で浮遊するように分散させることができ、筒体31内に供給されたガスと被処理物との反応性を向上させることができる。
【0050】
また、重量が比較的大きな被処理物については、第1のブレードユニット37の回転によって、ブレード部37aの面を摺動することになる。そして、被処理物をブレード部37aの面上で摺動させることで、被処理物とガスとの反応性を向上させることができる。
【0051】
一方、第1のブレードユニット37の表面や筒体31の内壁に被処理物が付着することもあるが、上述したように、第1のブレードユニット37の回転動作によってブレード部37aを筒体31の内壁に衝突させることにより起こる衝撃によって、ブレード部37aや筒体31に付着した被処理物を、ブレード部37aや筒体31から離すことができる。これにより、被処理物がブレード部37a等に付着したままの状態となるのを抑制でき、被処理物に対する処理効率(例えば、粉砕効率や整粒効率)を向上させることができる。
【0052】
次に、第2のブレードユニット38の構成について、図3を用いて説明する。第2のブレードユニット38は、上述した第1のブレードユニット37の構成に加えて、以下に説明する構成を有する。
【0053】
図3に示すように、第2のブレードユニット38は、第1のブレードユニット37のブレード部37aと同じ形状のブレード部38aを有しており、この長手方向両端部には、円板形状のストッパ38bが設けられている。
【0054】
また、第2のブレードユニット38が配置された領域内には、図1に示すように、金属製やセラミック製のビーズ、ボール、多面体等の複数の分散媒体39が配置されている。
【0055】
具体的には、図2に示すように、筒体31の周方向において隣り合う2つのブレード部38aと、筒体31の内壁とによって囲まれる空間(以下、移動空間という)内に、複数の分散媒体39が配置されている。後述するように、分散媒体39は、第2のブレードユニット38の回転によって筒体31内で分散状態となり、被処理物の粉砕等を行う。
【0056】
各分散媒体39は、略球体又は多面体で形成されており、上述した移動空間内において、筒体31の径方向及び長手方向に移動可能となっている。なお、本実施例では、分散媒体39を、球体又は、球体に近似する多面体で構成しているが、これに限るものではない。すなわち、分散媒体39の形状としては、筒体31の径方向及び長手方向に移動できるものであればよい。具体的には、断面が楕円形状の分散媒体や、この形状に近似する多面体で構成された分散媒体を用いることができる。
【0057】
また、各移動空間内に配置される分散媒体39の数は、適宜設定することができる。
【0058】
一方、ブレード部38aの先端と筒体31の内壁との間には、隙間が生じているが、この隙間の間隔は、分散媒体39の径よりも小さくなっている。すなわち、分散媒体39は、2つのブレード部38a及び筒体31によって囲まれた移動空間内でのみ移動可能となっており、特定の移動空間内に配置された分散媒体39が、他の移動空間内に移動しないようになっている。これにより、分散媒体39が1つの移動空間内に片寄ってしまうのを防止することができる。
【0059】
また、ストッパ38bの外径は、ブレード部38aの外接円の径よりも小さくなっている。すなわち、図3(A)に示すように、ブレード部38aの先端が、ストッパ38bの外周縁から突出するようになっている。
【0060】
また、ストッパ38bには、一方向(図3(A)の左右方向)に延びる複数の開口部38cが設けられている。各開口部38cの幅Wは、分散媒体39の径よりも小さく、かつ、被処理物の径よりも大きくなっている。このように各開口部38cの幅Wを設定することにより、ストッパ38bは、被処理物の通過を許容するとともに、分散媒体39の通過を阻止することができる。言い換えれば、ストッパ38bによって、被処理物と分散媒体39を分離させることができる。
【0061】
さらに、ストッパ38bの外径は、筒体31の内径よりも小さくなっているが、ストッパ38bの外周縁と、筒体31の内壁との間に生じる隙間(最も大きな部分の隙間)Dは、分散媒体39の径よりも小さくなっている。これにより、ストッパ38b及び筒体31間の隙間から、分散媒体39が通過してしまうのを阻止することができる。
【0062】
本実施例では、ストッパ38bに、一方向に延びる複数の開口部38cを設けたが、これに限るものではない。すなわち、ストッパ38bによって、分散媒体39及び被処理物の分離を行うことができればよく、この機能が確保できる範囲内において、開口部38cの形状を適宜設定することができる。
【0063】
例えば、多角形又は略円形の開口部を複数形成することができる。また、これらの開口部をマトリクス状に配置したり、ランダムに配置したりすることができる。さらに、第2のブレードユニット38の回転軸に対して放射方向に延びる複数の開口部(又は、切り欠き部)を形成することもできる。
【0064】
また、本実施例では、ストッパ38bの外形を円形状に形成したが、これに限るものではなく、例えば、多角形に形成することもできる。すなわち、ストッパ38bの形状は、ブレード部38aの外接円の領域内に収まる形状であって、ストッパ38b及び筒体31間の隙間が、分散媒体39の通過を阻止できるものであればよい。
【0065】
さらに、本実施例では、図1に示すように、筒体31内に1つの第2のブレードユニット38を配置しているが、第2のブレードユニット38の数は適宜設定することができる。例えば、筒体31内に配置されるすべてのブレードユニットを、第2のブレードユニット38とすることができる。また、筒体31内において第2のブレードユニット38を配置する位置は、適宜設定することができる。
【0066】
本実施例では、図3(B)に示すように、第2のブレードユニット38の長手方向両端部に、ストッパ38bを設けたが、ストッパ38bを設ける位置や数も適宜設定することができる。
【0067】
例えば、第2のブレードユニット38の長手方向における一端(被処理物の供給側に位置する端部又は、被処理物の排出側に位置する端部)にのみ、ストッパ38bを設けたり、第2のブレードユニット38の長手方向略中央の位置(例えば、図3(B)に示す位置P)に、ストッパ38bを設けたりすることができる。
【0068】
ここで、1つのストッパ38bを用いる場合には、このストッパ38bの位置よりも被処理物の供給側に分散媒体39を配置する必要がある。また、図1に示すブレードユニット37,38の配置関係において、第2のブレードユニット38のうち被処理物の供給側に位置する端部にのみ、ストッパ38bを設ける場合には、この第2のブレードユニット38に対して被処理物の供給側に位置する第1のブレードユニット37上に分散媒体39を配置させる。
【0069】
ここで、被処理物の供給側が排出側よりも高くなるように処理ユニット3を傾斜させて使用する場合には、被処理物及び分散媒体39が被処理物の排出側に移動するようになるため、分散媒体39に対して被処理物の排出側にストッパ38bを設けるだけで、分散媒体39と被処理物の分離を行うことができる。
【0070】
本実施例では、複数のブレードユニットを用いた場合について説明したが、筒体31と略等しい長さを有する1つのブレードユニットを用いることもできる。この場合には、1つのブレードユニットにおける特定の位置(1カ所又は複数箇所)に、上述したストッパ38bを設けることができる。
【0071】
ここで、本実施例のように、筒体31内に複数のブレードユニットを配置することで、ブレードユニットの交換を容易に行うことができる。すなわち、筒体31の全長をカバーするような1個の大型のブレードユニットを用いた場合に比べて、筒体31内からブレードユニットを容易に取り出すことができる。
【0072】
本実施例の回転型処理装置1では、供給側ケーシング2,排出側ケーシング4を処理ユニット3から離れる方向に移動させることで、筒体31の両端側からブレードユニット37,38を取り出すことができる。そして、筒体31内に配置されたブレードユニット37,38は、筒体31に固定されていないため、筒体31から容易に取り出すことができる。なお、ブレードユニット37,38を取り出す場合には、筒体31の両端に配置されたブレードストッパ31aは、筒体31から取り外される。
【0073】
また、本実施例のように複数のブレードユニットを用いれば、破損等が発生したブレードユニットだけを交換するだけでよい。すなわち、大型のブレードユニットを用いた場合には、一部分に破損等が発生したときでも、このブレードユニット自体を交換しなければならないが、本実施例のようにブレードユニットを複数に分割して用いることで、交換が必要となったブレードユニットだけを交換することができ、ブレードユニットの交換に伴うコストを低減することができる。
【0074】
また、筒体31内に配置される複数のブレードユニットのうち、少なくとも1つのブレードユニットとして、上述した第2のブレードユニット38を用いることにより、この第2のブレードユニット38が配置された領域において、被処理物の粉砕等を効率良く行うことができる。
【0075】
上述したように、本実施例では、分散媒体39が、筒体31の周方向で隣り合う2つのブレード部38aと、筒体31の内壁とによって形成される移動空間内を自由に移動できるようになっている。すなわち、分散媒体39は、筒体31の径方向だけでなく、筒体31の長手方向にも移動可能となっている。
【0076】
具体的には、各分散媒体39は、第2のブレードユニット38の回転によって筒体31の径方向及び長手方向に移動したり、他の分散媒体39との衝突等に伴う反発作用によって筒体31の径方向及び長手方向に移動したりする。
【0077】
このように分散媒体39を移動させることにより、特許文献1に記載の装置の場合に比べて、第2のブレードユニット38への被処理物の付着を抑制することができる。すなわち、分散媒体39を3次元の空間内で移動させているため、特許文献1に記載の装置のように転動シャフトを2次元の平面内で移動させる場合に比べて、被処理物の粉砕効率を向上させることができる。しかも、分散媒体39の径や数を変更するだけで、所望の粒径の被処理物を容易に得ることができ、整粒効率を向上させることができる。
【0078】
一方、第2のブレードユニット38における移動空間内において、分散媒体39の自由な移動を確保するために、ブレード部38aの表面(分散媒体39との当接面)に凹凸部を形成することもできる。このようにブレード部38aの表面に凹凸部を形成することにより、ブレード部38aの表面に衝突した分散媒体39を様々な方向に移動させることができる。これにより、被処理物の粉砕を効率良く行うことができ、被処理物の整粒効率を向上させることができる。
【0079】
ここで、曲面や平坦な斜面を用いて、上述した凹凸部を形成することができる。また、上述した凹凸部は、ブレード部38aの全面に形成してもよいし、一部の面に形成してもよい。例えば、ブレード部38aのうち分散媒体39との衝突頻度の高い領域に、凹凸部を形成することができる。このように形成すれば、より効率的に分散媒体39を様々な方向に移動させて、被処理物の粉砕効率を向上させることができる。
【0080】
また、処理ユニット3(筒体31)を傾斜させて使用する場合には、第2のブレードユニット38における下流側(被処理物の排出側)の領域に分散媒体39が片寄りやすくなるため、この領域に凹凸部を形成してもよい。これにより、分散媒体39の片寄りを抑制することができる。
【0081】
本実施例によれば、目的に応じて分散媒体39の形態(形状や大きさを含む)や数、筒体31の回転速度を設定することにより、処理ユニット3で処理された被処理物に対して、所望の粒度分布を持たせることができる。
【図面の簡単な説明】
【0082】
【図1】本発明の実施例1である回転型処理装置の構成を示す概略図である。
【図2】上記回転型処理装置の断面図である。
【図3】第2のブレードユニットを一端側から見た図(A)と、側面側から見た図(B)である。
【符号の説明】
【0083】
1:回転型処理装置
2:供給側ケーシング
3:処理ユニット
4:排出側ケーシング
5:台
21:移動ユニット
22:ホッパ
23:供給路
24:ガス排出口
25:供給側ケーシング本体
26:蓋ユニット
31:筒体
31a:ブレードストッパ
31b:開口部
32:コイル
33:タイヤフランジ
34:ローラ
34a:回転部
34b:支持部
35:駆動チェーン
37:第1のブレードユニット
37a:ブレード部
38:第2のブレードユニット
38a:ブレード部
38b:ストッパ
38c:開口部
39:分散媒体
41:移動ユニット
42:覗き窓
43:ガス供給路
44:ロータリバルブ
45:排出側ケーシング本体

【特許請求の範囲】
【請求項1】
回転可能であって、一端側から供給された被処理物を他端側から排出する筒体と、
先端部において前記筒体の内壁に当接可能な複数のブレード部を有し、前記筒体の回転に応じて該筒体内で回転可能なブレードユニットと、
前記筒体内に配置され、前記筒体の長手方向を含む空間内で移動可能な分散媒体とを有し、
前記ブレードユニットは、前記分散媒体の前記他端側への通過を阻止するとともに、前記被処理物の前記他端側への通過を許容する開口部を備えたストッパを有することを特徴とする回転型処理装置。
【請求項2】
前記ストッパの外周部と前記筒体の内壁との間の距離が、前記分散媒体よりも小さいことを特徴とする請求項1に記載の回転型処理装置。
【請求項3】
前記分散媒体は、前記ブレードユニットの回転方向で隣り合う2つのブレード部と前記筒体の内壁とによって形成される空間内を移動可能であることを特徴とする請求項1又は2に記載の回転型処理装置。
【請求項4】
前記ブレードユニットは、この回転軸方向における両端部に前記ストッパを有しており、
これらのストッパの間に前記分散媒体が配置されていることを特徴とする請求項1から3のいずれか一項に記載の回転型処理装置。
【請求項5】
前記ブレードユニットは、前記筒体内の少なくとも一部の領域内に配置されていることを特徴とする請求項1から4のいずれか一項に記載の回転型処理装置。
【請求項6】
先端部において前記筒体の内壁に当接可能な複数のブレード部を有し、前記筒体の回転に応じて該筒体内で回転可能な他のブレードユニットを有し、
該他のブレードユニット及び前記ストッパを有するブレードユニットが、前記筒体内に配置されていることを特徴とする請求項1から5のいずれか一項に記載の回転型処理装置。
【請求項7】
前記分散媒体が球体又は多面体であることを特徴とする請求項1から6のいずれか一項に記載の回転型処理装置。
【請求項8】
前記筒体内に供給された被処理物を加熱するための加熱手段を有することを特徴とする請求項1から7のいずれか一項に記載の回転型処理装置。
【請求項9】
前記被処理物の造粒処理又は殺菌処理に用いられるガスを前記筒体内に供給するガス供給手段を有することを特徴とする請求項1から8のいずれか一項に記載の回転型処理装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2009−633(P2009−633A)
【公開日】平成21年1月8日(2009.1.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−164306(P2007−164306)
【出願日】平成19年6月21日(2007.6.21)
【出願人】(000226954)日清エンジニアリング株式会社 (30)
【Fターム(参考)】