説明

回転式表示具および回転式表示方法

【課題】 マトリックス表示される残像の表示面の視野角度を大きい範囲に設定することができ、かつ残像の表示が意外性に富み、しかも安全性を配慮した回転式表示具および回転式表示方法の提供。
【解決手段】 支軸10周りに回転駆動される回転体20と、回転体20に一端が回動可能に軸支されるとともに、他端にかけて所定形状の外周面を形成した回動部材21、22と、回動部材21、22を付勢部材26の付勢力により待機位置に向けて移動付勢するとともに、回転駆動で発生する遠心力により、回動部材を付勢力に抗して回動させて停止位置で停止させる軸支機構と、回動部材の外周面に配設される複数の発光素子18と、発光素子を夫々点滅駆動することで、文字を含む所定画像をマトリックス表示する発光制御回路30と、回転駆動される状態を覆うとともにマトリックス表示を外側から目視可能にするケース3、4とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、回転式表示具に係り、特に安全性と意外性を考慮したことから、例えば子供用玩具として好適な回転式表示具および回転式表示方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
残像による特異な表示効果を得るために、回転支軸周りに回転駆動される回転体の外周端面に、回転移動方向に対して略直角方向に複数個数の発光素子を間隔を隔てて配設し、回転体の外周端面の回転角度位置に応じて上記の複数個数の発光素子を夫々点滅する制御回路を設け、表示すべき像をマトリクス状の残像として空間に表示する回転表示装置が提案されている。(特許文献1)
また、複数の発光LED素子を直線状の表示基板上に等間隔で固定し、この表示基板を直径分として回転駆動させるとともに、この回転駆動のタイミングに同期させて表示すべき像を発光LED素子への所定通電によってマトリクス状の残像として表示することで、発光LED素子の個数を削減してコストダウンを図るように構成された回転表示装置が提案されている。(特許文献2)
さらに、文字表示に必要な個数分の発光LED素子を直線状の羽根体の端部付近に等間隔で固定し、この羽根体を回転駆動させるとともに、この回転駆動のタイミングに同期させて表示すべき像を発光LED素子への所定通電によってマトリクス状の残像として表示する回転表示器が提案されている。(特許文献3)
【特許文献1】特公平1−32992号公報。
【特許文献2】特開平1−166087号公報。
【特許文献3】特開平2−61693号公報。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、上記の特許文献1の提案になる回転表示装置によれば残像は回転体の外周端面の円筒面に表示される。この結果、視野角度は正視に近い範囲に制限されてしまい、特に上下斜め方向からでは残像の認識が困難となる。また、回転駆動される回転体における残像の表示面が円筒状になることは簡単に予想ができるので意外性に乏しい。さらには、回転体にはカバーが設けられておらず、回転駆動中に回転体に触れた場合には思わぬ怪我をする虞がある。
【0004】
また、上記の特許文献2の提案になる回転表示装置によれば、表示基板を直径分として回転駆動させるために円環状のカバーを設けているが、特許文献1と同様に視野角度が制限されるとともに、残像の表示面が円盤状になることは容易に予想ができるので意外性に乏しい。
【0005】
そして、特許文献3の提案になる回転表示装置によれば、特許文献1、2と同様に視野角度が制限されるとともに、残像の表示面が円環状になることは容易に予想ができるので意外性に乏しいものである。
【0006】
したがって、本発明の回転式表示具および回転式表示方法は、上記の各問題点に鑑みてなされたものであり、マトリックス表示される残像の表示面の視野角度を大きい範囲に設定することができ、かつ残像の表示面が意外性に富み、しかも安全性を配慮した回転式表示具および回転式表示方法の提供を目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明の回転式表示具によれば、支軸周りに回転駆動される回転体と、前記回転体に一端が回動可能に軸支されるとともに、他端にかけて所定形状の外周面を形成した回動部材と、前記回動部材を付勢部材の付勢力により前記回転体に沿う待機位置に向けて移動付勢するとともに、前記回転駆動で発生する遠心力により、前記回動部材を前記付勢力に抗して回動させて停止位置で停止させる軸支機構と、前記回動部材の前記外周面に配設される複数の発光素子と、前記発光素子を夫々点滅駆動することで、文字を含む所定画像をマトリックス表示する発光制御回路と、前記回動部材が前記停止位置で前記支軸りに回転駆動される状態を覆うとともに、前記マトリックス表示を外側から目視可能にするケースとを備えることを特徴としている。
【0008】
また、前記ケースは、前記回動部材が前記停止位置で前記支軸周りに回転駆動されるときに形成される回転形状に沿う内周面を形成した肉厚を有することを特徴としている。
【0009】
また、前記回転体は円盤であり、前記回動部材は、前記円盤の表側の回転面で一端が回動可能に軸支され、他端にかけて所定形状の第1の外周面を形成した第1の回動部材と、前記円盤の裏側の回転面で前記第1の回動部材に対する点対称位置で一端が回動可能に軸支され、他端にかけて所定形状の第2の外周面を形成した第2の回動部材とであり、また、前記ケースは、前記第1の回動部材と前記第2の回動部材とが前記停止位置で前記支軸周りに回転駆動されるときに形成される前記第1の外周面と前記第2の外周面とで形成される回転形状に沿う内周面を形成した肉厚を有することを特徴としている。
【0010】
また、前記第1の回動部材と前記第2の回動部材は、前記円盤の半径寸法より全長が長く設定されるとともに、回転バランスを確保するために前記支軸を挟んで互いに平行に配置されることを特徴としている。
【0011】
また、前記第1の回動部材の前記第1の外周面と前記第2の回動部材の前記第2の外周面は、略4分の1の円弧であり、前記ケースは球体であることを特徴としている。
【0012】
また、前記第1の回動部材の前記第1の外周面が倒立L型で、前記第2の回動部材の前記第2の外周面がI型である場合には、前記ケースは帽子形状に形成され、前記第1の回動部材の前記第1の外周面と前記第2の回動部材の前記第2の外周面とがI型である場合には、前記ケースは略蝋燭形状に形成され、さらに前記円盤を二段式に設ける場合には、前記ケースは雪だるま形状を含む任意の形状に形成されることを特徴としている。
【0013】
また、前記支軸は、前記ケースを一方の開口端に設けた筒状の基部により回転可能に軸支される中空軸体であり、前記中空軸体は、前記基部に固定される直流モータの出力軸に一端が固定され、他端が前記回転体に固定されるとともに、中空部を通過することで電源供給を行う配線と、前記配線に接続されるスリップリングとを備え、前記回転体に配設される前記発光制御回路への通電を、前記スリップリングを介して行うことを特徴としている。
【0014】
また、前記基部の他方の開口端から交換可能に設けられる乾電池と、前記マトリックス表示に同期するかまたは独立して音声を発生させる音声発生素子と、電源のオンオフを行うスイッチとを備えることを特徴としている。
【0015】
また、本発明の回転式表示方法によれば、支軸周りに回転体を回転駆動し、前記回転体に一端が回動可能に軸支され、他端にかけて長手方向に所定形状の外周面を形成した回動部材を、軸支機構部により付勢部材の付勢力により前記回転体に沿う待機位置に向けて移動付勢するとともに、前記回転駆動で発生する遠心力により、前記回動部材を前記付勢力に抗して回動させ停止位置で停止させ、前記回動部材の前記外周面に複数の発光素子を配設し、前記発光素子を発光制御回路により夫々点滅駆動することで、文字を含む所定画像をマトリックス表示するととともに、前記回動部材が前記停止位置で前記支軸りに回転駆動される状態を覆うケースの外側から前記マトリックス表示を目視することを特徴としている。
【0016】
また、前記回動部材は、前記円盤の一方の回転面で一端が回動可能に軸支され、他端にかけて所定形状の第1の外周面を形成した第1の回動部材と、前記円盤の他方の回転面で前記第1の回動部材に対する点対称位置で一端が回動可能に軸支され、他端にかけて所定形状の第2の外周面を形成した第2の回動部材であり、
前記第1の回動部材と前記第2の回動部材は、回転バランスを確保するために前記支軸を挟んで互いに平行に配置されることを特徴としている。
【0017】
そして、音声発生素子により、前記マトリックス表示に同期するかまたは独立して音声を発生させることを特徴としている。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、マトリックス表示される残像の表示面の視野角度を大きい範囲に設定することができ、かつ残像の表示が意外性に富み、しかも安全性を配慮した回転式表示具および回転式表示方法を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
以下に、本発明の好適な一実施形態について添付の各図面を参照して述べる。
ここで、本発明は様々な修正と変更が可能であり、その内の特定の事例が図面に図示されており、以下に詳細に記述されることになるが、これらに限定されず請求の範囲に規定された範囲で種々の構成が可能であることは言うまでもなく、後述する玩具用途以外にも各種の産業分野において適用可能であることは言うまでもない。
【0020】
先ず、図1は本発明の一実施形態である回転式表示具1を中心面に沿って破断して示した断面図である。
【0021】
本図において、回転式表示具1は一見してマイクロフォン形状を有しており片手で筒型の基部2を把持して操作スイッチ8のオン及びオフを行えるように構成されている。基部2は長手方向に二つ割りにして準備されるとともに、ABS樹脂などの所定樹脂材料を用いて図示のような中空形状に射出成型され、ハッチングで示した面を接合面としてねじ留めされて筒状にされる。
【0022】
この基部2の下方には例えば2本の単三の乾電池6が直列に収容されており、電池接点7(プラス極のみ図示)と不図示の電池接点(マイナス極)を設けた電池蓋との間で動かないようにされている。この乾電池6は電池蓋を基部2から外すことで新品に交換できるようにしている。なお、電池接点7と後述する各部品に接続される配線の図示については煩雑化を防ぐために省略しているが、乾電池6を電源として各部品への電力供給を行うように構成されている。
【0023】
この乾電池6の上方には直流モータ5がその出力軸を上にして基部2の空間内において内蔵されて不動状態で固定されている。また、この直流モータ5を設けた空間内に端子が出るようにして操作スイッチ8が固定されている。この操作スイッチ8はモーメンタリータイプとオルタネートタイプが使用される。モーメンタリースイッチの場合にはスイッチ操作を行っている間、モータ他への通電を行うことができ、オルタネートスイッチの場合にはスイッチ操作を行うとオン状態にロックされモータ他への連続通電が行うことができ、スイッチをオフ状態に移動することで連続通電が解除される。
【0024】
また、この操作スイッチ8を2段階式にするとともに端子からの直流モータ5への配線途中に抵抗器を接続することで直流モータ5の回転を低速と高速に切り替え可能にするようにしても良い。
【0025】
この直流モータ5の出力軸には支軸となる中空金属パイプ製の中空軸体10の一端が継手9を介して固定されている。この中空軸体10は、基部2の中空部を形成する上下の壁部に夫々内蔵された軸受11、11により回転可能に両支持されており回転時のブレを防止している。また、この中空軸体10は図示のように他端が回転体である円盤20の台座19に固定されている。
【0026】
この中空軸体10は一部を破断して示したようにその中空部を通過することで乾電池6からの電源供給を円盤20上に固定された発光制御回路30に対して行うための配線14、14が内蔵されている。この配線14、14の下端は中空軸体10の外周面に距離を隔てて固定されたスリップリング12、13に接続されている。一方、基部2の空間部の壁部にはスリップリング12、13に対して弾性変形して接触するスリップリングバネ15、16が設けられている。
【0027】
以上の構成で中空軸体10が、直流モータ5への通電で例えば矢印方向に回転駆動されたときに発光制御回路30およびこれに接続されてマトリックス表示を行うように発光するように設けられた発光素子18への電力供給を可能にしている。ここで、円盤20上にボタン電池を固定し、これからの電力供給のオン及びオフを遠心力で作動する遠心力スイッチを介して行うように構成しても良く、この場合にはスリップリング他の部品が不用となるのでコストダウンが可能となり、回転式表示具1が使いきりタイプの場合には好適となる。無論このボタン電池を交換可能に設けても良いがこの場合には上ケース4を着脱式にしなければならず、子供用玩具として構成した場合に上ケース4を外した状態で遊ぶことが想定されるので危険であるので好ましくない。
【0028】
基部2の上方の空間部には音声発生素子32の端子が図示のように内側に向かいスピーカー面が外側に向かうようにして固定されている。この音声発生素子32は上記の各発光素子18のマトリックス表示に同期するかまたは独立して音声または効果音を発生するように中空軸体10内の中空部の配線14がされている。
【0029】
互いに接続されることで球体を形成するように透明樹脂材料から射出成形されて準備される上ケース3と下ケース4とが基部2の上方の開口部3aに図示のように固定されている。これらのケース3、4は光透過性の樹脂製であり透明または薄く着色されており図示のような円弧の内周面から2mm前後の肉厚を有している。さらに上ケース3と下ケース4の接合面の内側に模様3b、4bなどを印刷することで円盤20と後述の回動部材21、22が待機位置に停止している様子を隠すことで外から見えないようにしても良い。
【0030】
次に、円盤20の表側の回転面でその一端が軸支部25で回動可能に軸支され、他端にかけて長手方向に沿う所定形状の第1の外周面21aを形成した第1の回動部材21と、円盤20の裏側の回転面で第1の回動部材21に対する点対称位置においてその一端が軸支部25で回動可能に軸支され、他端にかけて長手方向に沿う所定形状の第2の外周面22aを形成した第2の回動部材22が設けられており、破線図示の待機位置と実線図示の停止位置との間で回動される。
【0031】
これらの第1の回動部材21と第2の回動部材22の各外周面21a、22aは略4分の1の円弧であり、ケースは球体である。すなわち、上記のケース3、4は、第1の回動部材21と第2の回動部材22が実線図示の停止位置で支軸周りに回転駆動されるときに形成される外周面により形成される回転形状に沿う内周面を形成した肉厚を有するようにしている。さらに第1の回動部材21と第2の回動部材22は、円盤20の半径寸法より全長が長く設定されており支軸を挟んで互いに平行に配置されている。
【0032】
次に、図1と図1の回転式表示具1のX−X線矢視断面図である図2(a)をさらに参照して、既に説明済みの同様の構成部品については同様の符号を付して割愛すると、第1の回動部材21と第2の回動部材22は、図示のように円盤20の半径寸法より全長が長く設定されており支軸である中空軸体10を固定した台座19を挟んで互いに平行に配置されており、回転時のダイナミックバランスを図っている。また、各外周面には白、赤、青、緑色に発光する高輝度発光LEDである発光素子18が等間隔になるように固定されており上記の発光制御回路30からの配線25がされており、個別点滅を行うことで所望の画像のマトリックス表示のための通電を行うように構成されている。発光素子18は全て同色でも良いが、色違いとすることでよりファンタジックな印象を与えることができ女児用玩具にはよりふさわしい構成となる。
【0033】
続いて、図2(a)のY−Y線矢視断面図である(b)において軸支機構の構成例が図示されている。本図において第2の回動部材22の構成について述べるが第1の回動部材21の構成も概ね同様である。円盤20には上記のように軸支部25を回動軸支する一対の溝部20aが形成されている。また付勢部材である引張りコイルバネ26はその一端が円盤20のフック20bに、その他端が回動部材22の側面のフック22kに引っ掛けられており、その引っ張り力で円盤20の底面に向かう破線図示の待機位置に向けて移動付勢している。また、この引張りコイルバネ26の引っ張り力は、円盤20が回転駆動で発生する遠心力により付勢力に抗して回動させることができるように調整されており、円盤20のストッパー部20cに当接してそれ以上の移動が規制されて停止位置で停止されるように構成されている。以上の構成により回動部材は待機位置と停止位置との間で回動されることになる。ここで、軸支機構は上記の構成に限定されず、よりコストダウンのために樹脂の有する弾性力を利用して引張りコイルバネ26に変わる動作を行うように回動部材を一体樹脂成形しても良く、種々の構成があることは言うまでもない。
【0034】
図3は、図1の回転式表示具1を左斜め上方から見た動作状態を示した外観斜視図である。本図において基部2を片手で把持し操作スイッチ8を操作することで、円盤20が矢印方向に回転駆動されて遠心力が発生して、待機位置に位置していた各回動部材が回動することにより停止位置に移動し、これに伴い前後して発光制御回路30からの通電が各発光素子18に行われて残像効果による文字、模様などのマトリックス表示が実施されるのでケース3、4を介して安全に見ることができる。
【0035】
ここで、上記のように回転速度が遅い状態でマトリックス表示を行えば、回動部材21、22が停止位置まで移動する途中で回転駆動されるので光の幅が狭くなって表示されることになる。そして、回転速度が遅い状態と速い状態で効果音を切り替えることでより効果的な演出を図ることができる。
また、回転速度が遅い状態から速い状態へと変化する過程、または回転速度が速い状態から遅い状態へと変化する過程において、マトリックス表示される範囲も変化するので、常に一定の範囲でマトリックス表示をさせるのではなく、変化に富んだ範囲でマトリックス表示を行うことができる。
【0036】
以上が玩具用に構成された回転式表示具1であるが、以下に別実施形態の回転式表示具について添付図面を参照して述べる。
【0037】
図4(a)は別実施形態である回転式表示具1を中心面に沿って破断して示した断面図、(b)は回転式表示具1を左斜め上方から見た動作状態を示した外観斜視図である。本図において既に説明済みの同様の構成部品については同様の符号を付して割愛すると、上記の第1の回動部材21は逆L型であり、その外周面に合計で5個の発光素子18を設けている。また、上記の第2の回動部材22はI型であり直線的な外周面上において3個の発光素子18を設けている。以上の構成において破線図示の待機位置から実線図示の位置に遠心力で移動されて発光素子18の発光によりマトリックス表示することで、動作時において図4(b)に示すように円盤が矢印方向に回転駆動されることで光透過樹脂材料から成形されるケース3の内部で残像が表示される。この結果、ケース3の側面と上面の外周面の全方向からマトリックス表示を見ることが可能になる。
【0038】
最後に、図5(a)〜(e)は他の実施形態の回転式表示具1を左斜め上方から見た動作状態を示した外観斜視図である。
【0039】
本図において既に説明済みの同様の構成部品については同様の符号を付して割愛すると、図5(a)において第1の回動部材21の外周面と第2の回動部材22の外周面の双方がI型であって、停止位置が円盤20から60度前後に設定されており、光透過材料から準備されるケースは上記のように上下に分割可能であり、図示のような蝋燭の炎形状に形成される。また、基部2は蝋燭本体を想定したデザインとなっている。以上のように構成される場合には、マトリックス表示を「炎」とする一方で基部2を燭台と一体化し、電源を家庭用電源とすることすることで、スイッチオンとともに炎が大きく燃え上がる実用的な電子蝋燭として用いることができる。さらに、時計機能を内蔵しておき、1時間経過する毎に時報とともに時間をマトリックスでデジタル表示するようにして、内蔵モータの連続駆動による焼きつきを防止するように構成しても良い。
【0040】
次に、図5(b)において、円盤20を二段式に設けており、上段の円盤20を下段の円盤20より小さくし、円弧形状の回動部材を夫々設けることで上ケース104と下ケース103とを合体させた雪だるま形状にすることができる。
【0041】
さらに、図5(c)に示すような破れ提灯型、図5(d)に示すような電球型や、図5(e)に図示するような任意の形状にすることができる。
【0042】
以上のように、支軸である中空軸体10の周りに回転体である円盤20を回転駆動し、回転体にその一端が回動可能に軸支され、その他端にかけて長手方向に所定形状の外周面を形成した回動部材を、軸支機構部により付勢部材の付勢力により回転体に沿う待機位置に向けて移動付勢するとともに、回転駆動時に発生する遠心力により、回動部材を付勢力に抗して回動させ停止位置で停止させるとともに、回動部材の外周面に複数の発光素子を配設し、発光素子を発光制御回路により夫々点滅駆動することで、文字を含む所定画像をマトリックス表示するととともに、回動部材が前記停止位置で前記支軸りに回転駆動される状態を覆う光透過ケースの外側から前記マトリクッス表示を目視できる。このため、例えば子供用玩具や特殊照明器具、デジタル時計などとして好適な回転式表示具を提供できることになる。
【0043】
尚、本発明は上記の実施形態に限定されず、例えば回転体は円盤でなくとも良く棒状のものでも可能であり、回動部材についても上下の回転面に夫々設けることなく一方に設けるように構成しても良い。例えば、ケースを上半分の半球形状にして個別に2個設けるようにしてキャラクターの目玉とすることもできるので、様々の応用が可能である。
【図面の簡単な説明】
【0044】
【図1】本発明の一実施形態である回転式表示具1を中心面に沿って破断して示した断面図である。
【図2】(a)は図1の回転式表示具1のX−X線矢視断面図、(b)は(a)のY−Y線矢視断面図である。
【図3】図1の回転式表示具1を左斜め上方から見た動作状態を示した外観斜視図である。
【図4】(a)は別実施形態である回転式表示具1を中心面に沿って破断して示した断面図、(b)は回転式表示具1を左斜め上方から見た動作状態を示した外観斜視図である。
【図5】(a)〜(e)は他の実施形態の回転式表示具1を左斜め上方から見た動作状態を示した外観斜視図である。
【符号の説明】
【0045】
1 回転式表示具、
2 基部
3 透明上ケース
4 透明下ケース
5 直流モータ
6 乾電池
7 乾電池接点
8 操作スイッチ
9 継手
10 中空軸体
11 軸受
12、13 スリップリング
14 配線
15、16 スリップリングバネ
18 発光素子
19 台座
20 円盤(回転体)
21 第1の回動部材
22 第2の回動部材
25 軸支体
26 引っ張りコイルバネ(付勢部材)
30 発光制御回路IC

【特許請求の範囲】
【請求項1】
支軸周りに回転駆動される回転体と、
前記回転体に一端が回動可能に軸支されるとともに、他端にかけて所定形状の外周面を形成した回動部材と、
前記回動部材を付勢部材の付勢力により前記回転体に沿う待機位置に向けて移動付勢するとともに、前記回転駆動で発生する遠心力により、前記回動部材を前記付勢力に抗して回動させて停止位置で停止させる軸支機構と、
前記回動部材の前記外周面に配設される複数の発光素子と、
前記発光素子を夫々点滅駆動することで、文字等の所定画像をマトリックス表示する発光制御回路と、
前記回動部材が前記停止位置で前記支軸周りに回転駆動される状態において、前記回動部材を内部に収容し、前記マトリックス表示を外部から目視可能にするケースと、
を備えることを特徴とする回転式表示具。
【請求項2】
前記ケースは、前記回動部材が前記停止位置で前記支軸周りに回転駆動されるときに形成される回転形状に沿う内周面を形成した肉厚を有することを特徴とする請求項1に記載の回転式表示具。
【請求項3】
前記回転体は円盤であり、
前記回動部材は、
前記円盤の一方の回転面で一端が回動可能に軸支され、他端にかけて所定形状の第1の外周面を形成した第1の回動部材と、
前記円盤の他方の回転面で前記第1の回動部材に対する点対称位置で一端が回動可能に軸支され、他端にかけて所定形状の第2の外周面を形成した第2の回動部材とであり、
前記ケースは、前記第1の回動部材と前記第2の回動部材とが前記停止位置で前記支軸周りに回転駆動されるときに形成される前記第1の外周面と前記第2の外周面とで形成される回転形状に沿う内周面を形成した肉厚を有することを特徴とする請求項1または2に記載の回転式表示具。
【請求項4】
前記第1の回動部材と前記第2の回動部材は、前記円盤の半径寸法より全長が長く設定されるとともに、回転バランスを確保するために前記支軸を挟んで互いに平行に配置されることを特徴とする請求項3に記載の回転式表示具。
【請求項5】
前記第1の回動部材の前記第1の外周面と前記第2の回動部材の前記第2の外周面は、略4分の1の円弧であり、前記ケースは球体であることを特徴とする請求項3に記載の回転式表示具。
【請求項6】
前記第1の回動部材の前記第1の外周面が倒立L型で、前記第2の回動部材の前記第2の外周面がI型である場合には、前記ケースは円筒形状に形成されることを特徴とする請求項3に記載の回転式表示具。
【請求項7】
前記支軸は、
筒状の基部により回転可能に軸支される中空軸体であり、
前記中空軸体は、前記基部に固定される直流モータの出力軸に一端が固定され、他端が前記回転体に固定されるとともに、前記中空軸体の中空部を通過することで電源供給を行う配線と、前記配線に接続されるスリップリングと、を備え、
前記回転体に配設される前記発光制御回路への通電を、前記スリップリングを介して行うことを特徴とする請求項1乃至6のいずれか1項に記載の回転式表示具。
【請求項8】
前記基部の一方の開口端から交換可能に設けられる乾電池と、前記マトリックス表示に同期するかまたは独立して音声を発生させる音声発生素子と、電源のオン及びオフを行うスイッチと、を備えることを特徴とする請求項7に記載の回転式表示具。
【請求項9】
支軸周りに回転体を回転駆動し、
前記回転体に一端が回動可能に軸支され、他端にかけて長手方向に所定形状の外周面を形成した回動部材を、付勢部材の付勢力により前記回転体に沿う待機位置に向けて移動付勢するとともに、前記回転駆動で発生する遠心力により、前記回動部材を前記付勢力に抗して回動し、停止位置で停止させ、
前記回動部材の前記外周面に複数の発光素子を配設し、
前記発光素子を発光制御回路により夫々点滅駆動することで、文字等の所定画像をマトリックス表示することを特徴とする回転式表示方法。
【請求項10】
前記回動部材は、前記円盤の一方の回転面で一端が回動可能に軸支され、他端にかけて所定形状の第1の外周面を形成した第1の回動部材と、前記円盤の他方の回転面で前記第1の回動部材に対する点対称位置で一端が回動可能に軸支され、他端にかけて所定形状の第2の外周面を形成した第2の回動部材であり、
前記第1の回動部材と前記第2の回動部材は、回転バランスを確保するために前記支軸を挟んで互いに平行に配置されることを特徴とする請求項9に記載の回転式表示方法。
【請求項11】
音声発生素子により、前記マトリックス表示に同期するかまたは独立して音声を発生させることを特徴とする請求項9または10に記載の回転式表示方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2006−106430(P2006−106430A)
【公開日】平成18年4月20日(2006.4.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−294040(P2004−294040)
【出願日】平成16年10月6日(2004.10.6)
【出願人】(000135748)株式会社バンダイ (246)
【出願人】(500103292)株式会社キープランニング (1)
【Fターム(参考)】