説明

回転操作装置及びこれを用いた入力装置

【課題】主に各種電子機器の操作に使用される回転操作装置及びこれを用いた入力装置に関し、薄型化が図れ、確実な操作が可能なものを提供することを目的とする。
【解決手段】操作体11下面に装着された可動磁石12と対向する固定磁石15を、可動磁石12の側方に配置することによって、高さ方向の寸法を小さく形成できると共に、回転操作時の良好な節度感触が得られるため、薄型化が図れ、確実な操作が可能な回転操作装置16、及びこれを用いた入力装置を得ることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、主に各種電子機器の操作に使用される回転操作装置及びこれを用いた入力装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、携帯電話や電子カメラ等の各種電子機器の高機能化や小型化が進むに伴い、これらの操作に用いられる回転操作装置や入力装置にも、小型薄型化が図れ、多様な操作を行えるものが求められている。
【0003】
このような従来の回転操作装置や入力装置について、図6及び図7を用いて説明する。
【0004】
図6は従来の回転操作装置の断面図、図7は同分解斜視図であり、同図において、1は略円盤状で絶縁樹脂製の操作体、2は略リング状の可動磁石で、可動磁石2の上下面には磁性の異なるN極とS極が所定の角度間隔で交互に隣接して形成されると共に、この可動磁石2が操作体1下面に固着されている。
【0005】
また、3は略円盤状で鋼等のケース、4は固定磁石で、ケース3上面に操作体1が回転可能に装着されると共に、ケース3底面に固着された複数の固定磁石4が、可動磁石2に所定の間隙を空けて上下方向に対向配置されて、回転操作装置が構成されている。
【0006】
さらに、この回転操作装置の下方に、上下面に複数の配線パターンが形成された配線基板(図示せず)が配置されると共に、配線基板には可動磁石2と所定の間隙を空けて対向配置されたホール素子等の磁気検出素子(図示せず)や、スイッチ接点(図示せず)等が形成されて入力装置が構成される。
【0007】
そして、このように構成された入力装置が、携帯電話や電子カメラ等の電子機器の操作部(図示せず)に、操作体1上面を突出させて装着されると共に、複数の磁気検出素子が配線パターンやリード線(図示せず)等を介して、機器の電子回路(図示せず)に電気的に接続される。
【0008】
以上の構成において、例えば機器の液晶表示素子等の表示手段(図示せず)に、氏名や機能等の複数のメニューやカーソル(図示せず)等が表示された状態で、操作体1を指で回転操作すると、操作体1下面に固着され、N極とS極が交互に隣接形成された可動磁石2が回転するが、この時、下方に対向配置された固定磁石4との磁力の吸引あるいは反発によって、操作体1は強弱のある節度感触を伴って回転する。
【0009】
また、この回転操作によってN極とS極が交互に変化する可動磁石2の磁気を、下方に対向配置された複数の磁気検出素子が検出し、所定の電圧信号が磁気検出素子から機器の電子回路へ出力される。
【0010】
そして、機器の電子回路がこの電圧信号から、可動磁石2が下面に固着された操作体1の回転方向と回転角度を検出し、機器の表示手段に表示されたメニュー上のカーソル等を、例えば、操作体1が時計方向へ回転操作された場合にはカーソルを上方向へ、反時計方向へ回転操作された場合には下方向へ、回転角度分だけ移動させる。
【0011】
つまり、機器の表示手段を見ながら、操作体1を所定方向へ回転操作することによって、表示手段に表示されたカーソル等を所定方向へ移動させて、メニューの選択等を容易に行えるように構成されているものであった。
【0012】
なお、この出願の発明に関連する先行技術文献情報としては、例えば、特許文献1が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0013】
【特許文献1】特開2009−76344号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
しかしながら、上記従来の回転操作装置や入力装置においては、操作体1下面に固着された可動磁石2と対向する固定磁石4が、可動磁石2の下方に上下方向に対向配置されているため、高さ方向の寸法が大きなものとなってしまい、全体の薄型化を図ることが困難であるという課題があった。
【0015】
本発明は、このような従来の課題を解決するものであり、薄型化が図れ、確実な操作が可能な回転操作装置及びこれを用いた入力装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0016】
上記目的を達成するために本発明は、以下の構成を有するものである。
【0017】
本発明の請求項1に記載の発明は、操作体下面に装着された可動磁石と対向する固定磁石を、可動磁石の側方に配置して回転操作装置を構成したものであり、高さ方向の寸法を小さく形成できると共に、回転操作時の良好な節度感触が得られるため、薄型化が図れ、確実な操作が可能な回転操作装置を得ることができるという作用を有する。
【0018】
請求項2に記載の発明は、請求項1記載の回転操作装置の可動磁石に、所定の間隙を空けて磁気検出素子を対向配置して入力装置を構成したものであり、薄型化が図れ、確実な操作が可能な入力装置を実現することができるという作用を有する。
【発明の効果】
【0019】
以上のように本発明によれば、薄型化が図れ、確実な操作が可能な回転操作装置及びこれを用いた入力装置を実現することができるという有利な効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明の一実施の形態による回転操作装置の断面図
【図2】同分解斜視図
【図3】同部分斜視図
【図4】同入力装置の断面図
【図5】同分解斜視図
【図6】従来の回転操作装置の断面図
【図7】同分解斜視図
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明の実施の形態について、図1〜図5を用いて説明する。
【0022】
なお、これらの図面は構成を判り易くするために、部分的に寸法を拡大して表している。
【0023】
(実施の形態)
図1は本発明の一実施の形態による回転操作装置の断面図、図2は同分解斜視図であり、同図において、11は略円盤状でABS等の絶縁樹脂または鋼等の金属製の操作体で、中央には貫通孔11Aが形成されると共に、上面には中央から外方へ放射状に延出する複数の突起部11Bが設けられている。
【0024】
そして、12は略リング状でNd−Fe−B合金やフェライト等の可動磁石で、図3の部分斜視図に示すように、可動磁石12の上下面には磁性の異なるN極とS極が所定の角度間隔で、例えば22.5度間隔で交互に隣接して形成されると共に、この可動磁石12が操作体11下面に固着されている。
【0025】
また、13は略リング状で鋼等のシールド板、14は略円盤状で鋼等のケースで、ケース14上面に操作体11が回転可能に装着されると共に、操作体11下面と可動磁石12上面の間にシールド板13が固着されている。
【0026】
さらに、15は直方体状でNd−Fe−B合金やフェライト等の固定磁石で、複数の固定磁石15が内方へ異なる磁極を向けて、例えば図3に示すように、内方にN極を向けた固定磁石15Aと、S極を向けた固定磁石15Bが一対となった、例えば4組の固定磁石15が、可動磁石12に所定の間隙を空けて対向して、可動磁石12の外周側方に配置されて、回転操作装置16が構成されている。
【0027】
つまり、本発明においては、可動磁石12と対向する固定磁石15を、可動磁石12の外周側方に配置することによって、回転操作装置16の高さ方向の寸法が小さく形成され、全体の薄型化が図られた構成となっている。
【0028】
また、図4はこのような回転操作装置16を用いた入力装置の断面図、図5は同分解斜視図であり、同図において、17は紙フェノールやガラス入りエポキシ等の配線基板で、上下面には銅箔等によって複数の配線パターン(図示せず)が形成されると共に、上面には銅やカーボン等によって、略円形状の中央固定接点18Aと、これを囲む略馬蹄状または略リング状の外側固定接点18Bから形成された、複数の固定接点18が設けられている。
【0029】
そして、19はポリエチレンテレフタレート等のフィルム状のベースシート、20は略ドーム状で銅合金や鋼等の導電金属薄板製の可動接点で、複数の可動接点20がベースシート19下面に貼付されると共に、これらの可動接点20の外周が外側固定接点18B上に載置され、下面中央が中央固定接点18Aと所定の間隙を空けて対向するようにして、複数のスイッチ接点が形成されている。
【0030】
さらに、21はポリエチレンテレフタレートやシリコーンゴム等のフィルム状のカバーシートで、このカバーシート21がベースシート19や配線基板17上面を覆うと共に、カバーシート21下面に印刷等によって形成された複数の凸部21Aが、ベースシート19を介して複数の可動接点20上面中央に当接している。
【0031】
また、22はABSやポリカーボネート等の押釦で、回転操作装置16の操作体11中央の貫通孔11A内に上下動可能に装着されると共に、この回転操作装置16と押釦22がカバーシート21上面に載置されている。
【0032】
そして、23はポリエチレンテレフタレート等のフィルム状の外装シートで、中央の開口孔23Aには回転操作装置16の操作体11が、回転及び揺動可能に装着されている。
【0033】
さらに、24は垂直方向の磁気を検出するホール素子等の磁気検出素子で、複数の磁気検出素子24が回転操作装置16の可動磁石12と、所定の間隙を空けて対向するように、配線基板17下面に実装装着されて入力装置が構成されている。
【0034】
そして、このように構成された入力装置が、携帯電話や電子カメラ等の電子機器の操作部(図示せず)に、操作体11や押釦22上面を突出させて装着されると共に、複数の固定接点18や磁気検出素子24が配線パターンやリード線(図示せず)等を介して、機器の電子回路(図示せず)に電気的に接続される。
【0035】
以上の構成において、例えば機器の液晶表示素子等の表示手段(図示せず)に、氏名や機能等の複数のメニューやカーソル(図示せず)等が表示された状態で、操作体11上面に指を当てて回転操作すると、操作体11下面に固着され、上下面にN極とS極が交互に隣接形成された可動磁石12が回転する。
【0036】
そして、この時、可動磁石12の外周側方に配置され、内方へ異なる磁極を向けた固定磁石15Aと15Bとの間に、図3に示すような磁力の吸引、あるいは反発が生じ、これによって操作体11の回転操作は、例えば22.5度の角度間隔で、強弱のある節度感触を伴ったものとなる。
【0037】
すなわち、上下面にN極とS極が交互に隣接形成された可動磁石12の外周側方に、内方へ磁極を向けた複数の固定磁石15を配置することによって、所定の角度間隔で良好な節度感触のある、操作体11の確実な回転操作が行えるようになっている。
【0038】
また、この回転操作によってN極とS極が交互に変化する可動磁石12の磁気を、可動磁石12に所定の間隙を空けて対向した、配線基板17下面の複数の磁気検出素子24が検出し、所定の電圧信号が磁気検出素子24から機器の電子回路へ出力される。
【0039】
そして、機器の電子回路がこの電圧信号から、可動磁石12が下面に固着された操作体11の回転方向と回転角度を検出し、機器の表示手段に表示されたメニュー上のカーソル等を、例えば、操作体11が時計方向へ回転操作された場合にはカーソルを上方向へ、反時計方向へ回転操作された場合には下方向へ、回転角度分だけ移動させる。
【0040】
つまり、機器の表示手段を見ながら、操作体11を所定方向へ回転操作することによって、表示手段に表示されたカーソル等を所定方向へ移動させて、容易にメニューの選択等が行えるように構成されている。
【0041】
また、操作体11上面の所定箇所を下方へ押圧操作すると、操作体11が揺動してカバーシート21が撓み、この箇所の凸部21Aがベースシート19を介して可動接点20の略ドーム状の中央部を押圧し、所定の押圧力が加わると、可動接点20がクリック感を伴って下方へ弾性反転して、可動接点20の下面中央が中央固定接点18Aに接触することによって、中央固定接点18Aと外側固定接点18Bが、可動接点20を介して電気的に接続された状態となる。
【0042】
そして、この固定接点18の電気的接離を電子回路が検出して、この場合には例えば、上記のような回転操作とは異なる速さで、表示手段に表示されたカーソル等を所定方向へ移動させる。
【0043】
すなわち、上述した時計及び反時計方向の回転操作に加え、操作体11を揺動操作することによっても、カーソル等の移動操作が可能で、より多様な操作が行えるようになっている。
【0044】
さらに、このようにカーソルが所望のメニュー上に位置した状態で、操作体11中央の押釦22を下方へ押圧操作すると、この下方のカバーシート21が撓んで下面の凸部21Aがベースシート19を介して、可動接点20の略ドーム状の中央部を押圧し、所定の押圧力が加わると、可動接点20がクリック感を伴って下方へ弾性反転して、中央固定接点18Aと外側固定接点18Bが、可動接点20を介して電気的に接続された状態となる。
【0045】
また、押釦22への押圧力を解除すると、弾性復帰力によって可動接点20が上方へ弾性反転し、可動接点20の下面中央が中央固定接点18Aから離れて、中央固定接点18Aと外側固定接点18Bが電気的に切断された状態となり、この固定接点18の電気的接離を電子回路が検出して、例えば、メニューの確定や次メニューの表示等が行われる。
【0046】
つまり、機器の表示手段を見ながら、上記のように操作体11を回転操作、あるいは揺動操作することによって、カーソル等を所定方向へ移動させてメニューの選択等を行うと共に、押釦22の押圧操作によって、選択したメニューの確定や次メニューの表示等が行えるように構成されている。
【0047】
そして、上述したように本発明においては、可動磁石12と対向する固定磁石15を、可動磁石12の外周側方に配置して回転操作装置16を形成することによって、高さ方向の寸法を小さく形成でき、容易に全体の薄型化を図ることが可能なようになっている。
【0048】
また、上下面にN極とS極が交互に隣接形成された可動磁石12の外周側方に、内方にN極を向けた固定磁石15Aと、S極を向けた固定磁石15Bが一対となった4組の固定磁石15を配置することによって、回転操作時の良好な節度感触が得られ、確実な回転操作が行えるように構成されている。
【0049】
なお、可動磁石12の外周側方に一対の固定磁石15Aと15Bを配置するのではなく、一つずつの固定磁石15を、例えば可動磁石12の外周側方に四つ配置した構成としても、本発明の実施は可能であるが、上記のように内方へ異なる磁極を向けた、一対の固定磁石15Aと15Bを用いることによって、可動磁石12との間の磁力を強くできるため、回転操作時の操作体11の、より強弱のある良好な節度感触を実現することができる。
【0050】
さらに、操作体11下面と可動磁石12上面の間に、鋼等のシールド板13を設けることによって、可動磁石12や固定磁石15の磁気が外方に漏れることを防ぐと共に、外部からの電磁波等のノイズを遮断して、磁気検出素子24による可動磁石12の磁気の誤検出を防止し、確実な操作体11の回転方向と回転角度の検出が行えるように形成されている。
【0051】
また、操作体11上面に中央から外方へ放射状に延出する、複数の突起部11Bを形成することによって、操作体11上面に指を当てて回転操作する際の、指の滑りを防ぎ、確実に操作ができるようになっている。
【0052】
なお、以上の説明では、N極とS極が所定の角度間隔で、例えば22.5度間隔で交互に隣接形成された可動磁石12を用いた構成について説明したが、このN極とS極の角度間隔をより小さなものとすれば、操作体11をさらに細かな節度感触で回転操作することが可能となる。
【0053】
このように本実施の形態によれば、操作体11下面に装着された可動磁石12と対向する固定磁石15を、可動磁石12の側方に配置することによって、高さ方向の寸法を小さく形成できると共に、回転操作時の良好な節度感触が得られるため、薄型化が図れ、確実な操作が可能な回転操作装置16、及びこれを用いた入力装置を得ることができるものである。
【0054】
なお、以上の説明では、配線基板17上面に固定接点18を設け、この上に可動接点20を載置して複数のスイッチ接点を形成した構成について説明したが、固定接点18上方に下面に可動接点が形成されたゴム等の押釦を対向させたものや、あるいは、単品のプッシュスイッチを配線基板17上面に実装したもの等、様々なスイッチ接点を用いた構成としても、本発明の実施は可能である。
【産業上の利用可能性】
【0055】
本発明による回転操作装置及びこれを用いた入力装置は、薄型化が図れ、確実な操作が可能なものを実現することができるという有利な効果を有し、主に各種電子機器の操作用として有用である。
【符号の説明】
【0056】
11 操作体
11A 貫通孔
11B 突起部
12 可動磁石
13 シールド板
14 ケース
15、15A、15B 固定磁石
16 回転操作装置
17 配線基板
18 固定接点
18A 中央固定接点
18B 外側固定接点
19 ベースシート
20 可動接点
21 カバーシート
21A 凸部
22 押釦
23 外装シート
23A 開口孔
24 磁気検出素子

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ケースに回転可能に装着された略円盤状の操作体と、この操作体下面に装着され、N極とS極が所定の角度間隔で交互に隣接形成された略リング状の可動磁石と、この可動磁石に対向配置された固定磁石からなり、上記固定磁石を上記可動磁石の側方に配置した回転操作装置。
【請求項2】
請求項1記載の回転操作装置の可動磁石に、所定の間隙を空けて磁気検出素子を対向配置した入力装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2011−210600(P2011−210600A)
【公開日】平成23年10月20日(2011.10.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−78349(P2010−78349)
【出願日】平成22年3月30日(2010.3.30)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】