説明

回転板式乾燥機

【課題】 ディスクに変形を生じさせないで安定して高能率に熱交換を行うことができる回転板式乾燥機の提供。
【解決手段】 本発明の回転板式乾燥機は、内部に乾燥空間を形成し被乾燥物を乾燥させる乾燥機本体3を有し、乾燥機本体3は乾燥空間にディスク7を回転駆動装置8により回転自在に支持している。このディスク7は分割構成になっていて、外円盤27と内円盤28により構成され、両者を同一の厚さ、同一平面になるように接合キー29あるいは接合ピン30で接合している。このディスク構成は、分割したことによりディスクが高温化されても熱膨張による熱歪の影響は小さく、ディスク7の変形が避けられる。このディスク7に吹きかけ装置15により被乾燥物を吹きかけ、乾燥された被乾燥物はスクレーパ25で掻き取り回収される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ディスクによる回転板式乾燥機に関する。更に詳しくは、例えば、液状の汚泥状物等を回転させながら、排気ガス等で高温化されたディスク表面に吹きかけ乾燥させ、汚泥状物等の被乾燥物を粉末状にして回収する回転板式乾燥機に関する。
【背景技術】
【0002】
生理活性物質を含んだ液状の生活廃棄物、有機物を含んだ液状汚泥などを粉末状に乾燥させることが行なわれている。これは廃棄しやすく又は肥料などに再利用するためである。又、保存に適する食品を生産する分野でも液状体を乾燥させ粉末にすることが行なわれている。このような粉末化のための乾燥機として、回転板式の乾燥機が使用されている。この乾燥機は、ディスクを高温に加熱して回転させ、このディスク高温表面に液状物を吹きかけあるいは流し込み、ディスクとの間で熱交換し乾燥させ、ディスク表面に付着し乾燥した後の固形物をスクレーパで剥ぎ取って粉末状化し回収するものである。
【0003】
ディスクを高温化させるために種々の方法があり、例えば、ディスクの中に蒸気を供給しディスクの表面温度を高める方法があるが、水蒸気発生源が必要である。最近は、焼却炉等の廃熱を利用することが行われている。これは、省エネルギー、低コスト化等に貢献しより有効な方法であり、乾燥機の熱源として注目され普及している。一方ディスクは表面積の広い薄い円板である。乾燥のためには、この表面を全面使用し効率化を図ることが望まれる。又、ディスクを高温化させて乾燥させる以外に、逆にディスクを冷却して付着する水滴等を回収することも行なわれており、回転板式の乾燥機は幅広い使用がなされている。
【0004】
回転板式の乾燥機としては、種々提案されており、例えば、細かい粒子状の炭泥を乾燥させる乾燥機(特許文献1参照)が知られており、又本出願人も蒸気供給手段によるものであるがディスクを正転、逆転させる乾燥機として、正転時に泥状物を押さえつけ、逆転時に掻き取るタイプのもの(特許文献2参照)、あるいは、廃熱を利用したものとして、多板式の乾燥機(特許文献3参照)を提案している。
【特許文献1】特公昭43−5355号公報
【特許文献2】特開平9−324986号公報
【特許文献3】特開平11−216498号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
回転板式の乾燥機は、前述のように回転する板の全表面を使用すると効率的である。被乾燥物の乾燥は、ディスクの表面に付着させた後、この付着表面に排ガス等の加熱流体を接触させて乾燥させる。従って、加熱流体で被乾燥物を乾燥するとき、その顕熱で効率的に被乾燥物のみを加熱して乾燥させるために、ディスクの肉厚はディスクの熱容量を少なくするために可能な限り薄く、かつ金属のように熱伝達率が高く、比熱が高いものが理想である。
【0006】
しかしながら、ディスクが高温に晒されることから、この熱膨張の影響は避けて通れない問題点である。特に、ディスクの温度を300℃以上にすると、その影響は大きくなりディスクの形状、大きさ等に制約を受け、直径が大きいディスクは使用不能となる。即ち、ディスクを薄くして直径の大きいものにすると、ディスクは加熱されると熱膨張し歪んでしまう。特に、ディスクの外径が大きい外側と、小さい内側との熱膨張の差が大きいので、ディスクは歪み波状に変形してしまうのである。
【0007】
ディスクはできるだけ薄く、ディスクを加熱するに際して短時間で全体が均一な温度になるように、かつ熱歪による変形の起きないものにすることが求められている。言い換えると、乾燥機の場合は、粉末化のための乾燥可能な加熱状態を維持しつつ高温であってもディスクが変形しないことが求められる。
【0008】
本発明はこのような従来の問題点を解決するために創案されたものであり、乾燥機に限定されず熱交換性の伴う分野への幅広い適用を可能とするものとして、次の目的を達成した。
本発明の目的は、熱交換効率がよく、ディスクを薄くしかも変形せず安定形状を維持して乾燥(熱交換)処理が可能な回転板式乾燥機の提供にある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、前記目的を達成するために次の手段をとる。
本発明1の回転板式乾燥機は、内部に熱交換空間を形成し被熱交換物を熱交換させる乾燥機本体と、この乾燥機本体内に回転自在に支持される円板状のディスクと、前記乾燥機本体に設けられ前記ディスクを回転させる回転駆動装置と、前記乾燥機本体に設けられ前記ディスクの表面に前記被熱交換物を吹きかける吹きかけ装置と、前記乾燥機本体に設けられ前記ディスクの表面に接触し熱交換後の前記被熱交換物を掻きだす掻き取り装置とからなる乾燥機において、前記ディスクは複数個に分割して構成され、一方の分割ディスクと他方の分割ディスクは同一の厚さを有し同一平面で一致するように接合部材を介して接合されたものであることを特徴とする。
【0010】
本発明2の回転板式乾燥機は、本発明1において、前記乾燥機本体は熱風により乾燥空間を形成する乾燥機本体であり、被乾燥物を乾燥させることを特徴とする。
【0011】
本発明3の回転板式乾燥機は、本発明1又は2において、前記一方の分割ディスクと前記他方の分割ディスクは、円板形状及び環状形状を組み立てたものであることを特徴とする。
【0012】
本発明4の回転板式乾燥機は、本発明1又は2において、前記接合部材は、接合キーであることを特徴とする。
【0013】
本発明5の回転板式乾燥機は、本発明1又は2において、前記接合部材は、接合ピンであることを特徴とする。
【0014】
本発明6の回転板式乾燥機は、本発明1又は2において、前記ディスクは、前記一方の分割ディスクと前記他方の分割ディスクを前記接合部材で接合された構成のものを複数個並列にした多段構成のものであることを特徴とする。
【0015】
本発明7の回転板式乾燥機は、本発明1又は2において、前記吹きかけ装置の供給口は前記ディスクの両面に対向して設けられ且つ複数個設けられていることを特徴とする。
【0016】
本発明8の回転板式乾燥機は、本発明1又は2において、前記一方の分割ディスクと前記他方の分割ディスクとの隙間の大きさは、熱歪による変形を許容する寸法範囲に設定されていることを特徴とする。
【0017】
本発明9の回転板式乾燥機は、本発明1又は2において、前記掻き取り装置は、前記ディスクの両面に対向して設けられていることを特徴とする。
【0018】
本発明10の回転板式乾燥機は、本発明1又は2において、前記乾燥機本体は熱交換用気体により熱交換空間を形成するもので、前記熱交換用気体を供給する供給口と、前記熱交換用気体を排出する排出口を前記ディスクの回転方向に沿って設けていることを特徴とする。
【0019】
本発明11の回転板式乾燥機は、本発明1又は2において、前記乾燥機本体に前記供給口と前記排出口を複数個設け、前記熱交換用気体を前記乾燥機本体内で循環させて送風させていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0020】
以上説明したように、本発明の回転板式乾燥機は、回転するディスクを分割した構成にし、熱歪を少なくするようにした。このため、例えば、乾燥機の場合は、熱膨張によるディスクの変形は避けられ、大きいディスクであっても熱効率のよい変形のない安定なディスク状態で乾燥処理を行なうことができるようになった。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
以下、本発明に関する回転板式乾燥機について、図面をもとに詳細にその実施の形態を説明する。本発明の回転板式乾燥機は、乾燥や冷却機能等を有するものに適用できるが、本実施の形態としては、粘性のある汚泥状物等のような粘性体の乾燥機に適用した例で説明する。図1から図4は、本発明の回転板式乾燥機である乾燥機1の全体構成を示す図である。図1は全体構成を示す正面断面図であり、一部を模式的に表示している。図2はX矢視の側面図で、図3はY矢視の側面図である。図4はディスク構成を模式的に示した側面の断面図である。
【0022】
次に、本実施の形態を適用する乾燥機1の基本的な構造を説明する。基礎台上に立ち上がって設けられた複数の支柱2に乾燥機本体3は支持されている。乾燥機本体3の略中央部には、支柱2に跨って梁4が設けられている。この梁4上に軸受5が固定されていて、この軸受5に回転自在に支持された回転軸6にディスク7が固定されている。又、この回転軸6には回転駆動装置8が継手を介して連結されている。この回転駆動装置8は、低速で回転駆動するために減速機9を備えた駆動モータによりスプロケット10,11及びチェーン12を介して回転軸6を回転させるものである。
【0023】
乾燥機本体3は、内部が乾燥空間(熱交換空間)3aとして形成されている。この乾燥機1は廃棄ガス等熱交換用気体の熱風により被乾燥物を乾燥させるタイプのものである。乾燥機本体3の内部には、回転軸6に同一直径の3枚のディスク7が平行に配置固定されている。3枚のディスク7は、肉厚が全てが同一であり、又、形状は板材で、その材質は耐食性に優れ、比熱が高く、熱伝導性にも優れた例えばステンレス鋼、鋼、チタン合金等のような金属体である。この乾燥機本体3の上部はダクト構成をなし、乾燥空間3aに廃棄ガス等の熱風を取り入れ排出する構成になっている。このディスク7は薄く中実で板状の円板であり、後述するように複数のディスクの分割構成になっている。
【0024】
乾燥機本体3は、本形態では鋼板で作られた構造になっていて、内部に乾燥空間3aを形成している。乾燥は熱風として焼却等で発生する廃棄ガスを使用し、その供給、排出部分はダクト構成になっていて、その供給用の供給口13と排気用の排気口14は熱風の流れがディスク7の回転方向に一致するように設けられている。ディスク7部分を支持している乾燥機本体3の側壁は矩形状になっているが、供給口13と排気口14は断面形状が円形になっている。
【0025】
乾燥空間3aへ熱風を供給する側の開口形状は、縦長の矩形である。一方、廃棄ガス等の熱風は管材等で送られてくるので、その供給口13の形状は円形である。このために供給口13と乾燥空間3aの供給側の矩形の開口との間は、連続で滑らかな曲線形状となってダクトを構成している。同様に、乾燥空間3aの排出側の矩形の開口と排気口14との間は、連続で滑らかな曲線形状となってダクトを構成している。
【0026】
本実施の形態においては、供給口13と排気口14の中心軸線が一致している。従って、廃棄ガス等の熱風は供給口13から排気口14に向かってディスク7の各面の間を通過し直線状に送られ、そのエネルギー損失も少ない。この熱風は3枚のディスク7の間を直進的にくまなく通過する構成である。乾燥機本体3の側壁には、吹きかけ装置15が設けられディスク7に対向している。この吹きかけ装置15は、ディスク7の面と一定の間隔を置いて、かつ平行にパイプ15aが配置されている。このパイプ15aには、ディスク面に対向して一定間隔に複数の小孔(ノズル)が形成されている。
【0027】
又、この吹きかけ装置15は小孔を有するパイプに代えトイを設け、このトイに一時的に原液(被乾燥物又は被熱交換物)を溜め、ディスク面に均等に原液をオーバーフローさせて吹きかける構成であってもよい。乾燥機本体3の下部は、被乾燥物の液体である原液が貯留される乾燥機タンク3bとなっている。この乾燥機タンク3bには、外部に設置された原液タンク16からポンプ17を介して必要量の原液が乾燥タンク供給口18を通して供給される。この乾燥機タンク3bには、水位のレベルを検知する検知手段19が設けられているので、水位が下がり乾燥機タンク3bの原液が不足すると、検知手段19がその位置を検知しポンプ17を作動させて原液タンク16から乾燥機タンク3bへ不足分の原液を補充する。検知手段19が検知する水位が必要量の原液のレベルとなる。
【0028】
このように乾燥機タンク3bには、常に所定量の原液が一定の水位を維持して自動的に貯留される。この乾燥機タンク3bの下部にT型の分岐栓20が設けられ、一方は排出用の排出口21を形成しメンテナンス等の場合に原液をこの排出口21から排出させる。他方は、原液を吹きかけ装置15への通路へ導く乾燥機供給口22となっている。それぞれバルブを接続させている。
【0029】
この乾燥機供給口22からの原液は、ポンプ23を介して乾燥機本体3に固定された原液分岐部材24に送られ、ここで分岐された原液が吹きかけ装置15の個々のパイプ15aにも導かれる。パイプ15aに導かれた原液は、パイプ15aの複数の小孔を通してディスク7面に吹きかけられる。乾燥機タンク3bからの原液は、原液分岐部材24からバルブを介してパイプ15aに導かれているが、余剰の原液は経路24aを通して乾燥機タンク3bに戻されるようになっている。
【0030】
ディスク7は廃棄ガス等の熱風で高温化されているので、ディスク7が矢印のように回転する過程で原液の一部は乾燥し、一部はディスク7面の下方向に垂れ流れ、余剰の原液は落下し乾燥機タンク3bに回収される。又、ディスク7面を流下する粘性が低い、又は濃度が薄い原液層は、ディスク7の回転で付着したまま上昇し、その回転過程で薄い乾燥層を形成する。このようにディスク7に付着した原液はディスク7の回転に伴ない均一な温度下で、ディスク7の全表面に亘って一様に乾燥される。
【0031】
即ち、ディスク7に吹きかけられた原液は、ディスク7からの熱を受けながら熱風により加熱されてその水分等の気化しやすい液体物質は蒸発する。このためにディスク7には固形物のみが残ってディスク7に付着する。液体物質は水蒸気となって排気口14から排気される。これらディスク7へ供給する原液の適切な必要量は計算上、又は実験的に求めることができる。
【0032】
熱伝達に伴うディスク7の設計条件は、熱風に伴う条件に加え、その熱風温度、ディスクの材質、ディスクの回転速度、ディスク7の肉厚と直径、被乾燥物の付着厚さ、ディスク7の熱伝導度、被乾燥物の熱伝導度、ディスク7と被乾燥物との伝熱係数等の条件で決定される。ディスク7が原液を吹きかけられ半周以上回転する間に付着した原液は固形化する。これをディスク7に接触して乾燥機本体3に固定された掻き取り装置により掻き取る。この掻き取り装置は本実施の形態においてはスクレーパ25としている。
【0033】
このスクレーパ25は、円板形状のディスク7の半径方向に延びて配置されている。図5は、スクレーパ25と対向するディスク7との関係を部分的に示している。台座25aが乾燥機本体3に固定されており、スクレーパ25はこの台座25aに固定されている。スクレーパ25は凹状に開いた弾性部分25bを有する掻き取り部材をいい、2枚のディスク7に挟まれた部位においては、両側に有し隣接するディスク7の両側の対向面に接している。ディスク7の片面のみの場合は片側に有しディスク7の片側の面に接している。
【0034】
弾性部分25bはそれぞれに、ディスク7の回転方向(矢印)に逆らう方向に対抗している。弾性部分25bは、その開き方向へ弾力で付勢され自らの開き力でディスク7の回転面に接することができる。この開き力は、その回転表面に付着する固形物25cを剥ぎ取るように作用する。剥ぎ取られた固形物25cは、粉末状の被乾燥物として粉末取り出し口26に導かれ回収される(図1参照)。図では省略されているが、この乾燥機本体3にはメンテナンス等の点検作業のために点検窓を必要ヶ所に設けている。
【0035】
以上、本実施の形態を適用する乾燥機1の基本的な構造について説明したが、次に本実施の形態の主要部をなすディスク7の構成について説明する。図6は、ディスク単体の平面図である。ディスク7は円盤状、円板形状で、外円盤27と内円盤28の2つに分割されている。外径側でドーナツ状(環状形状)の外円盤27と、内径側で内円盤28の2つの円盤は同一の厚さであり、同一平面で接合されている。
【0036】
図7から図9は、図6に示すディスク7のA部の拡大詳細図であり、2つの円盤の接合部分を示している。この接合部分の形態は各図に示すように、外円盤27の内径面(内円盤28に対向する側の面)に半径方向に溝27aが形成され、この溝27aに面を一致させた接合キー29が外円盤27にはめ込まれている。一方、内円盤28の外形面(外円盤27に対向する側の面)に穴28aが形成されている。この穴28aに接合キー29の一端が差し込まれている。
【0037】
接合キー29は内円盤28に差し込まれた後、外円盤27と接合キー29は溶接等の固定手段で固定される。外円盤27と内円盤28との間及び接合キー29と内円盤28との間には、僅かな隙間を有している。この接合キー29は、図に示すように、ディスク7に対し等角度位置の4箇所に設けられている。従って外円盤27と内円盤28とは、相互に外れることはなく、径方向に隙間を有して一体化したディスク7として構成される。
【0038】
ディスク27が高温に加熱されて熱膨張が生じたとき、外円盤27と内円盤28との間に隙間があるので、熱膨張による熱歪等の変形の発生をこの隙間で吸収できる。即ち、ディスク7表面に波状の変形は生じない。外円盤27と内円盤28との隙間は熱膨張を許容できる寸法であればよい。隙間寸法は、ディスク7の大きさに従い、加熱温度、ディスク等の諸条件により計算して決定すればよい。又、本実施の形態は、2枚のディスク7に分割しているが、ディスク7の形態によっては3枚以上の分割も可能である。又、熱膨張を考慮した分割であれば、例えば直径方向での分割など、どのような形態の分割であってもよい。
【0039】
次に、接合部分に関する第2の実施の形態について説明する。図10〜図12はその形態の例を示す。この図の場合も図6のA部の拡大詳細図とする。外円盤27と内円盤28との関係は、前述同様に同一の厚さ、同一平面で構成され、隙間を有して対向しディスク7を構成している。本実施の形態は、半径方向に内円盤28と対向する外円盤27に溝27bを設け、この溝27bに接合ピン30を挿入する構成である。
【0040】
この接合ピン30の一部は内円盤28に設けられたピン穴28bに差込まれる。差し込まれた後、接合ピン30は外円盤27に接着、又は溶接で固着される。この場合も、前述の実施の形態と同様に、外円盤27と内円盤28との関係は、同一の厚さ、同一平面で構成され、2つの分割ディスクは、隙間を有して対向し一体となってディスク7を構成する。
【0041】
次に接合部分に関する第3の実施の形態について説明する。図13は、ディスク7の接合部分の断面図で、前述同様に図6のA部の拡大詳細図を適用する。この場合は、ディスク7面側からこの面の直角方向に接合ピン32を差込み接合する例である。外円盤27と内円盤28とは、接合部分を相互につき合わせて同一平面になるように段差部27c、28cを設けている。この段差部27c,28cはディスク7の径方向に隙間を有するように構成される。
この段差部27c,28cをつき合せた後、外円盤27側からピン穴27dを介して接合ピン32を挿入し、内円盤28のピン穴28dにはめ込む。外円盤27側のピン穴27dと接合ピン32とは隙間を有してはめ込まれ、接合ピン32と内円盤28のピン穴28dとは隙間のない形で固定される。この固定は、接合ピン32が内円盤28に差込まれ位置が定まった後、この接合ピン32は内円盤28に溶接される。
【0042】
以上、接合部分に関する形態の例として3つの例を説明したが、接合キー、接合ピンと外円盤及び内円盤に対する取り付けは、外円盤及と内円盤とが逆の関係であってもよいことはいうまでもない。
【0043】
次に熱風を乾燥空間に供給し排出する経路が、前述と異なる他の実施の形態について説明する。図14は、他の実施の形態を適用した乾燥機本体41の正面断面図で、図15は図14をZ矢視した側面図である。図14は図1に準じ説明を容易にするため、一部を模式的に表示している。熱風は乾燥機本体41の上部に設けられた供給口42から供給され、乾燥空間43を通過し、中間排出口44から乾燥空間43外に一旦排出される。
乾燥機本体41の側壁には熱風通過用のダクト45が設けられていて、中間排出口44から排出された熱風はこのダクト45を通って中間供給口46から再び乾燥空間43に送り込まれる。ダクト45はスクレーパ47位置を跨いで設けられている。従って、乾燥空間43内の熱風はスクレーパ47にさえぎられることなく乾燥空間43内を移動する。
【0044】
中間供給口46から送り込まれた熱風はディスク7下方位置の乾燥空間43aを通過し排出口48から乾燥機本体41外に排出される。この乾燥空間43aに熱風を通過させることは、吹きかけ装置49により原液を吹きかける前の段階でディスク7を加熱することになる。従って、ディスク7を高温に維持させる点において極めて有効である。吹きかけ装置49は、供給口42と排出口48との中間位置に設けられている。
この吹きかけ装置の基本機能は前述同様であるので詳細説明は省略する。又、乾燥機タンク、これに伴う原液の供給関係、掻き取り装置、粉末排出口等の構成も前述同様である。この他の実施の形態においては、熱風をディスク7全面に満遍なく吹きつけることが可能な構成となる。熱風はディスク7の面に沿ってディスク7面と平行に送られるようにしている。従って、ディスクが複数の形態をなしていても、各ディスクは均等に熱せられ、加熱むらのない熱風の送風構成となる。
【0045】
以上、種々の実施の形態について説明したが、本発明は、本実施の形態に限定されないことはいうまでもない。前述したように、本実施の形態においては、乾燥機のディスクとして説明をしたが、冷却機能を有するものにも適用できる。更に中空タイプのディスクにも適用できることはいうまでもない。更に、形状は異なるが、丸鋸等のような熱歪の生じる対象のものにも適用が可能である。又、原液については、特に水溶性のものを対象に説明したが、揮発性のものであってもよく、薬品等の液体であってもよく、更に油性のものであってもよい。
【図面の簡単な説明】
【0046】
【図1】図1は、本発明の全体構成を示す正面断面図である。
【図2】図2は、図1のX矢視を示す側面図である。
【図3】図3は、図1のY矢視を示す側面図である。
【図4】図4は、ディスク構成を模式的に示した側面断面図である。
【図5】図5は、スクレーパとディスクとの関係を示す部分断面図である。
【図6】図6は、ディスク単体の正面図である。
【図7】図7は、図6のA部拡大詳細図で、2つの円盤を接合キーで接合する接合部分の実施の形態の構成を示す部分正面図である。
【図8】図8は、図7の構成の部分断面図である。
【図9】図9は、図7の構成の部分外観図である。
【図10】図10は、図6のA部拡大詳細図で、2つの円盤を接合ピンで接合する接合部分の第2の実施の形態の構成を示す部分正面図である。
【図11】図11は、図10の構成の部分断面図である。
【図12】図12は、図10の構成の部分外観図である。
【図13】図13は、図6のA部拡大詳細図で、2つの円盤を面に直角方向から接合ピンで接合する接合部分の第3の実施の形態の構成を示す部分断面図である。
【図14】図14は、熱風の供給、排出経路が異なる他の実施の形態の構成を示す乾燥機本体の正面断面図である。
【図15】図15は、図14のZ矢視を示す側面図である。
【符号の説明】
【0047】
1…乾燥機
3,41…乾燥機本体
6…回転軸
7…ディスク
8…回転駆動装置
15…吹きかけ装置
25…スクレーパ
26…粉末取り出し口
27…外円盤
28…内円盤
29…接合キー
30,32…接合ピン

【特許請求の範囲】
【請求項1】
内部に熱交換空間を形成し被熱交換物を熱交換させる乾燥機本体と、
この乾燥機本体内に回転自在に支持される円板状のディスクと、
前記乾燥機本体に設けられ前記ディスクを回転させる回転駆動装置と、
前記乾燥機本体に設けられ前記ディスクの表面に前記被熱交換物を吹きかける吹きかけ装置と、
前記乾燥機本体に設けられ前記ディスクの表面に接触し熱交換後の前記被熱交換物を掻きだす掻き取り装置と
からなる乾燥機において、
前記ディスクは複数個に分割して構成され、一方の分割ディスクと他方の分割ディスクは同一の厚さを有し同一平面で一致するように接合部材を介して接合されたものである
ことを特徴とする回転板式乾燥機。
【請求項2】
請求項1に記載された回転板式乾燥機において、
前記乾燥機本体は熱風により乾燥空間を形成する乾燥機本体であり、被乾燥物を乾燥させる
ことを特徴とする回転板式乾燥機。
【請求項3】
請求項1又は2に記載された回転板式乾燥機において、
前記一方の分割ディスクと前記他方の分割ディスクは、円板形状及び環状形状を組み立てたものである
ことを特徴とする回転板式乾燥機。
【請求項4】
請求項1又は2に記載された回転板式乾燥機において、
前記接合部材は、接合キーである
ことを特徴とする回転板式乾燥機。
【請求項5】
請求項1又は2に記載された回転板式乾燥機において、
前記接合部材は、接合ピンである
ことを特徴とする回転板式乾燥機。
【請求項6】
請求項1又は2に記載された回転板式乾燥機において、
前記ディスクは、前記一方の分割ディスクと前記他方の分割ディスクを前記接合部材で接合された構成のものを複数個並列にした多段構成のものである
ことを特徴とする回転板式乾燥機。
【請求項7】
請求項1又は2に記載された回転板式乾燥機において、
前記吹きかけ装置の供給口は前記ディスクの両面に対向して設けられ且つ複数個設けられている
ことを特徴とする回転板式乾燥機。
【請求項8】
請求項1又は2に記載された回転板式乾燥機において、
前記一方の分割ディスクと前記他方の分割ディスクとの隙間の大きさは、熱歪による変形を許容する寸法範囲に設定されている
ことを特徴とする回転板式乾燥機。
【請求項9】
請求項1又は2に記載された回転板式乾燥機において、
前記掻き取り装置は、前記ディスクの両面に対向して設けられていることを特徴とする回転板式乾燥機。
【請求項10】
請求項1又は2に記載された回転板式乾燥機において、
前記乾燥機本体は熱交換用気体により熱交換空間を形成するもので、前記熱交換用気体を供給する供給口と、前記熱交換用気体を排出する排出口を前記ディスクの回転方向に沿って設けている
ことを特徴とする回転板式乾燥機。
【請求項11】
請求項1又は2に記載された回転板式乾燥機において、
前記乾燥機本体に前記供給口と前記排出口を複数個設け、前記熱交換用気体を前記乾燥機本体内で循環させて送風させている
ことを特徴とする回転板式乾燥機。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate

【図14】
image rotate

【図15】
image rotate


【公開番号】特開2006−220371(P2006−220371A)
【公開日】平成18年8月24日(2006.8.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−35026(P2005−35026)
【出願日】平成17年2月10日(2005.2.10)
【出願人】(596091978)株式会社西村鐵工所 (9)
【Fターム(参考)】