説明

回転角センサ

本発明は、回転角センサに関する。この回転角センサは複数のコンデンサプレートを有する少なくとも1つのコンデンサ(14、16)と、ディスク(6)として形成されている誘電体とを有しており、このディスク(6)は、複数のコンデンサプレートの間に配置されており、かつ、回転角度に応じて異なる大きさの面積割合をコンデンサプレートの間で占め、この回転角センサは、少なくとも1つのコンデンサ(14、16)のキャパシタンスの測定値に依存して回転角を特定するように構成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、回転角センサ、トルクセンサ、回転角を特定する方法およびトルクを特定する方法に関する。
【0002】
従来技術
トルクセンサおよび回転角センサの分野では、今日では通常である磁気測定方法が使用されている。この例は、Robert Bosch GmbHのトルクセンサTSS−1である。ここでは、回転運動時に変化する磁界がホールセンサによって識別され、測定された信号が回転角信号またはトルク信号に換算される。このセンサは、殊に、高い角度解像度を特徴とする。これは一部では、0.01°を下回る。
【0003】
しかし、サイズおよび体積が大きい大量使用の場合には、このようなセンサに対して、高い製造コストが生じる。これは複雑かつ高価な部品によって、例えば、反対の極性を有するマグネットリング、または磁束のガイドに必要な金属性の磁束ガイドエレメントによって生じる。さらに、複雑な構造技術および接続技術も考慮されるべきである。なぜなら、測定を行うホール素子は、非常に高い位置付け精度によって、磁束の方へ向けられており、センサの全寿命にわたってこの位置が保持されなければならない。これによって、センサのドリフトが回避される。
【0004】
角度差を検出するセンサ装置が文献DE102005031086A1号に記載されている。このセンサ装置は少なくとも1つの磁界に反応するセンサエレメントを含んでいる。このセンサエレメントによって、磁気回路の磁界情報が評価される。この磁気回路はマグネットホイールと歯を有する強磁性フラックスリングから成る。ここでこれらの歯は、放射方向におけるマグネットホイールの磁界情報の放射状タップへ向かって延在する。
【0005】
発明の概要
このような背景に基づいて、独立請求項の特徴部分に記載された構成を有する回転角センサおよびトルクセンサ並びに回転角およびトルクを特定するための方法を提供する。従属請求項および明細書に、本発明の別の実施形態が記載されている。
【0006】
本発明は殊に、回転角度に依存した誘電率の変化を介した容量性測定トルクセンサに関する。これは例えば、車両内の電子パワーステアリングのために使用され得る。
【0007】
この容量性測定トルクセンサの測定原理は、コンデンサのコンデンサプレートの間に配置されている回転可能な誘電体の、回転角に依存する、通常は空間的な変化に基づく。ここから、誘電率εの変化が生じる。これは、誘電率とも称される。これによって、コンデンサのキャパシタンスが変化する。回転角は、コンデンサプレートの間に配置された、誘電体の面積割合に依存して特定される。
【0008】
回転する誘導体を備えた、通常は、プレートコンデンサとして形成されているコンデンサの部品の形状に関して、種々の実施形態が可能である。これは殊に、通常は平らな、ディスクとして形成されている誘電体の形状に関する。さらに、シャフト上に固定されている軸へのディスクの固定も考慮される。通常、ディスクは自身の形状に依存して次のようにシャフトの軸に固定される。すなわち、ディスクが軸に対して垂直に、角度に依存した伸張を有するように固定される。ディスクの半径が、軸の回転点から出発して角度に依存していてもよい。従って、種々の形状のディスク、例えば円形ディスクを、回転点に非対称に固定することが可能である。ディスクが回転点に対称に固定されている場合には、ディスクが自身の中心点に関して、種々の、角度に依存した伸張ひいては半径も有することに留意されたい。
【0009】
典型的に、回転角センサの少なくとも1つのコンデンサの、誘電体として形成されているディスクは、シャフトに固定されている。シャフトの回転角に依存して、少なくとも1つのコンデンサの誘電率およびキャパシタンスも変化する。従って、シャフトの回転角が、測定されたキャパシタンスを介して特定される。
【0010】
上述のコンデンサを有する回転角センサの第1の実施形態では、シャフト上、ひいては軸上に、非対称に支承された、プラスチック等から成る丸いないしは円形のディスクが配置される。このディスクの両側には、コンデンサプレートが設けられている。シャフトの回転角度に依存して、ディスクの特定の面積割合がコンデンサプレートの間に配置され、この面積割合と角度との間の形式的および/または機能的な関係、例えば、誘電体の面積割合への回転角度の機能的な依存性が、測定および/または計算によって特定される。ここでは典型的に、軸の回転点から出発したディスクの角度に依存した拡りが考慮されるべきである。誘電体であるこのディスクは、空気とは異なる誘電率を有しているので、このコンデンサのキャパシタンスは面積割合に依存して、ないしは2つのコンデンサプレートの間のディスクの拡がりに依存して変化する。従って、測定可能なキャパシタンスはシャフトの回転角に依存する。
【0011】
トルク測定のために、回転角センサとして形成されている2つの測定装置を備えたトルクセンサの実施形態が設けられている。これらの測定装置は、軸を有する2つのシャフト上に配置されている。この軸は通常は相互に同軸上に配置されており、トーションバーないしはねじりバネによって相互に接続されている。トルクセンサにトルクが加えられていない場合には、2つの測定システムないしは測定装置のキャパシタンスは、回転角に対して全く等しい。すなわち、測定量としてのキャパシタンス差はこの場合には零に等しい。しかし、シャフトにトルクが印加されると、トーションバーの設計に応じて2つの測定装置、ひいてはトルクセンサのシャフトが相対的に捻れる。従って回転角の差に依存して、2つの測定装置の間のキャパシタンスの差が測定可能である。測定された回転角のこのような差のレベルおよび/または位相ずれは、印加されているトルクの尺度である。通常は、トルクの特定のために設けられた回転角センサの2つのディスクは、同様にトーションバーを介して相互に接続されているシャフトを介して相互に、間接的にないしは非直接的に接続されている。
【0012】
本発明によって、無接触測定方法が実行される。この方法は摩擦の影響をうけず、この方法によって騒音は生じない。設けられたこの測定装置は、小型の、頑丈な構造を有しており、低コストで製造可能である。なぜなら、磁気測定式システムと直接的に比較すると、磁石、ホールIC、磁束ガイド等を用いる必要はなく、従って高価な素子が使用される必要がないからである。
【0013】
測定装置、すなわち回転角センサまたはトルクセンサは、相対的に簡易な構造技術および接続技術を有している。トルクの特定時には、相対的な測定コンセプトが使用される。従って、周辺環境、例えば温度変化、湿気等は、キャパシタンスの評価されるべき差に対して役割を果たさない。
【0014】
回転角センサを二倍にすることによって、冗長的に構成された装置が容易に提供される。電子ユニット、典型的に評価回路は、測定装置と空間的に分離可能である。従って、殊に、導電性ボーリングに関する問題は生じないであろう。
【0015】
本発明の範囲において、許容可能な角度解像度を備えた、磁気的な測定原理に対して択一的な測定原理を有するトルクセンサが提供される。ここでは、測定されるべきキャパシタンスへの誘電率の影響が、コンデンサ装置によって、シャフトを中心に回転する装置の角度を検出するために利用される。この測定装置、典型的には少なくとも1つの回転角センサは、回転運動を検出する種々のセンサにおいて使用される。
【0016】
本発明の回転角センサは、回転角を特定する上述した方法の全てのステップを実行するように構成されている。この方法の個々のステップは、この回転角センサの個々の構成要素によっても実行可能である。さらに、この回転角センサの機能またはこの回転角センサの個々の構成要素の機能は、回転角を特定する方法のステップとして実行可能である。さらに、上記の方法のステップを、上記の回転角センサの少なくとも1つの構成要素の機能として、または上記の回転角センサ全体の機能として実行することも可能である。典型的に、本発明のトルクセンサは少なくとも1つの、本発明の回転角センサを含んでいる。従って、このトルクセンサは、トルクを特定する方法のステップを実行するのに適している。同様に、トルクセンサの少なくとも1つの構成要素の機能を、トルクを特定する方法のステップとして実現することもできる。
【0017】
明細書および添付図面から、本発明の別の利点および実施形態を導き出すことができる。
【0018】
上記の特徴および後でさらに説明する特徴は、それぞれ示した組み合わせだけでなく、別の組み合わせまたは単独でも、本発明の枠を逸脱することなしに使用できることは明らかである。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】2つの視点から見た、本発明による回転角センサの第1の実施形態の概略図
【図2】本発明によるトルクセンサの第1の実施形態の概略図
【図3】図2に示されたトルクセンサの概略的な断面図
【図4】トルクを特定する本発明の方法の第1の実施形態を実行した際の、図2および図3に示されたトルクセンサの概略図
【図5】トルクを特定する本発明の方法の第1の実施形態の細部を示した概略図
【図6】トルクを特定する本発明の方法の第1の実施形態のグラフを示した概略図
【図7】2つの視点から見た、本発明による回転角センサの第2の実施形態の概略図
【図8】本発明によるトルクセンサの第2の実施形態の概略図
【図9】図8に示されたトルクセンサの概略的な断面図
【図10】トルクを特定する本発明の方法の第2の実施形態を実行した際の、図8および図9に示されたトルクセンサの概略的な平面図
【図11】トルクを特定する本発明の方法の第2の実施形態の細部を示した概略図
【図12】トルクを特定する本発明の方法の第2の実施形態に対するグラフ
【図13】トルクを特定する本発明による方法の2つの異なる実施形態を比較するためのグラフ
【図14】従来技術から既知のトルクセンサの例の概略図
【図15】従来技術から既知のトルクセンサの細部を示した概略図
【実施例】
【0020】
図面において、本発明を複数の実施形態に基づいて概略的に示しており、以下では図面を参照して本発明を詳細に説明する。
【0021】
図面の各図の内容は相互に一貫して包括的になっており、同一の参照番号は同一の構成要素を表す。
【0022】
図1は、本発明による回転角センサ2の第1の実施形態の概略を平面図(図1b)および側面図(図1a)で示している。ここでは、シャフト4上に、プラスチックから成る簡易な円形ディスク6が固定されている。ここでこのディスク6は、シャフト4と共通の軸ないしは共通の回転点を有している。この回転点は、ディスク6の中心点8に対して0よりも大きい間隔を有している。この実施形態ではこの間隔は、ディスク6の直径の約三分の一に相当する。通常、間隔は、ディスク6の直径の四分の一から半分の間で設定される。従ってシャフト4の回転時には、ディスク6は、軸10を中心にした非対称回転を行う。
【0023】
このディスク6の両側には、プラスチック等から成る、相互に平行に配置されている2つのプレート12が設けられている。これら2つのプレート12はここでハッチングで示されている金属領域を含んでいる。これらの金属領域は、ここではプレートコンデンサとして形成されている第1のコンデンサ14C1と、ここではプレートコンデンサとして形成されている第2のコンデンサ16C2の、平行に配置されたコンデンサプレートを形成する。従って、コンデンサ14、16のこれらのコンデンサプレートの間には誘電体が存在する。この誘電体は、空気の割合ないしは面積割合と、プラスチックから成るディスク6の割合ないしは面積割合とから成る。上述の割合は、シャフト4、ひいてはディスク6の回転運動時に変化する。コンデンサ14、16の、角度に依存した誘電率の特定のためには、角度に依存したディスク6の面積割合を考慮すればよい。ディスク6は空気の誘電率とは異なる誘電率を有するので、コンデンサ14、16のキャパシタンスは、プレート12の間の空気とプラスチックとの面積割合に応じて変化する。プレート12の面積と、プラスチックから成るディスク6の面積割合の面積との間の最小被覆時および最大被覆時それぞれにおいて、総体的な誘電率の変化は非常に僅かなものになる。従って、第2のコンデンサ16C2は、第1のコンデンサ14C1に対して90°の角度で配置されている。
【0024】
付加的に、インテリジェンスユニット18が、信号処理のために設けられる。このインテリジェンスユニットはこの変化を評価するために常に、2つのコンデンサ14、16C1、C2の最大のキャパシタンス差を考慮し、用いる。図1aにはさらに、捻れ安全ナット20および金属ブッシュ22が示されている。
【0025】
図1に示されたトルクセンサ2では、軸10の回転運動時に、誘電体の比が変化する。この比は、プレート12の間のディスク6の面積割合によって特定される。空気は、例えばプラスチックの誘電率とは異なる誘電率を有しているので、非対称に支承されたディスク6の回転運動は、コンデンサ14、16のキャパシタンスの変化として測定される。
【0026】
コンデンサ14、16のキャパシタンスには、C=ε×ε×A/dが当てはまる。
【0027】
ここでε=8.85418781762As/Vmは電界定数であり、εrLuft=1.00059は空気の誘電率であり、εrABSは、例えば使用可能なプラスチックABSの誘電率、約4.3であり、Aはコンデンサ14、16のコンデンサプレートの面積であり、dは各コンデンサ14、16の対向するコンデンサプレートの間隔である。
【0028】
本発明の1つの実施形態でトルクが測定されるべき場合には、回転角センサ26、28として形成されている2つの測定装置が、2つのシャフト30、32の上に設けられる。これらのシャフトは、トーションバー34によって相互に接続されている。これら2つの回転角センサ26、28によって形成されているトルクセンサ36が図2においては平面図で、図3においては断面図で示されている。上述の実施形態では、図1に示された回転角センサ2と類似した構造を有する回転角センサ26、28が使用される。さらに、トルクセンサ36が図4において、平面図で概略的に示されている。
【0029】
ここで第1の回転角センサ26は、誘電体としてのフラットな円形ディスク38を有している。これらのディスクは、ここではプレートコンデンサとして形成されている第1のコンデンサ40と、ここではプレートコンデンサとして形成されている第2のコンデンサ48(図4)との間に配置されており、これらのコンデンサは第1のシャフト30の軸に対して相対的に90°ずらされている。さらにディスク38は、シャフト30に非対称に支承されている。これと相応に、第2の回転角センサ28は同様に、第2のシャフト32に非対称に固定されているフラットな円形ディスク42を有している。このディスクは、90°ずらして配置されているコンデンサ41、50(図4)の間で非対称な回転運動を実行する。さらに、第1のシャフト30は車両のステアリングギアと接続されており、第2のシャフトは車両のハンドルと接続されている。
【0030】
ここで第1のシャフト30にトルクが加わると、第1のシャフト30上のディスク38が、別の第2のシャフト32上の第2のディスク42に対して相対的に捻れる。ここでこの第2のディスク42はプラスチックプレートとして形成されている。この第2のシャフト32は、トーションバー34を介して、第1のシャフト30、ひいては第1のディスク38と接続されている。回転のこのような相対的な変化によって、回転角度に関するキャパシタンスの測定可能な変化の位相シフトが生じる。この位相シフトは、トルクの量に対する尺度である。さらに、このトルクセンサ36は、センサケーシング44内に配置されている。このセンサケーシングは、シーリングリング46によって、軸30、32に対して密閉されている。
【0031】
温度変動および/または湿気による空気の誘電率の変化は測定に影響を与えない。なぜなら、トルクに対しては、第1のシャフト30での第1のコンデンサ40、48と、第2のシャフト32での第2のコンデンサ41、50との間の相対的な変化のみが影響を及ぼすからである。
【0032】
図4には、既に図2および3においてに紹介されたトルクセンサ36のトルクを特定する、本発明の方法の第1の実施形態を明確にするために、2つのシャフト30、32の方向における透視図が示されている。従ってこの透視図では、シャフト30、32並びに第1のコンデンサ40、41および、この第1のコンデンサに対して90°ずらされている第2のコンデンサ48、50が、相互に重なって、ないしは相前後して示されている。図4は、2つの回転角センサ26、28の2つのディスク38、42が相互に完全に等しく配置されていないことも示している。この効果は、2つのシャフト30、32にトルクが加えられているときに生じる。
【0033】
トルクを特定するための方法を実行するために、通常は、第1の回転角センサ24のコンデンサ40、48、および第2の回転角センサ28のコンデンサ41,50の、角度に依存したキャパシタンス値をあらわす、測定されたキャパシタンスに関する信号が、評価のために使用される。ここで、キャパシタンスの差ΔCは、シャフト30、32の間にねじり(ここでは「+3°のねじり」49並びに「3°のねじり」51)が存在する場合、最大になる。
【0034】
実施形態では、第1の角度センサ26によって、第1のコンデンサ40のキャパシタンスC1Gおよび第2のコンデンサ48のキャパシタンスC1Aが使用される。第2の回転角センサ28によって、第1のコンデンサ41のキャパシタンスC2Gおよび第2のコンデンサ50のキャパシタンスC2Aが使用される。さらに、求められたキャパシタンスC1G、C1A、C2G、C2Aの比ΔC1A/C1G、ΔC2A/C2Gが使用される。ここで第1の比ΔC1A/C1Gは、第2の回転角センサ28の第1のコンデンサ40のキャパシタンスC1Aと、第1の回転角センサ26の第1のコンデンサ41のキャパシタンスC2Gとから形成される。第2の比ΔC2A/C2Gを形成するために、第2の回転角センサ28の第2のコンデンサ32のキャパシタンスC2Aと、第1の回転角センサ26の第2のコンデンサ48のキャパシタンスC2Gが使用される。従って、上述の比ΔC1A/C1G、ΔC2A/C2Gを形成するために、シャフト30、32に関して相互に連続して、または完全に等しく配置されているそれぞれ2つのコンデンサ40、41、48、50のキャパシタンスが考慮される。しかし、評価のために常に最大の求められた比ΔC1A/C1G、ΔC2A/C2Gが使用される。
【0035】
ΔC1A/C1G>ΔC2A/C2Gの場合にはΔC1A/C1Gが評価時に使用され、ΔC1A/C1G<ΔC2A/C2Gの場合にはΔC2A/C2Gが評価時に使用される。
【0036】
さらに図5は、コンデンサ40、41、48、50の2つのコンデンサプレートの間の図2〜4に示されたディスク38、42の角度に依存した面積割合52、54,56、58、60、62、64の例、ひいてはディスク38,42によるコンデンサプレートとの重なりを示している(ハッチングされている領域)。白い領域は、コンデンサプレートの間の空気の面積割合を示している。ここで第1の面積割合52はシャフト30、32の間の−3°の回転角偏差に相応し、第2の面積割合54はシャフト30、32の間の−2°の回転角偏差に相応し、第3の面積割合56はシャフト30、32の間の−1°の回転角偏差に相応し、第4の面積割合58はシャフト30、32の間の0°の回転角偏差に相応し、第5の面積割合60はシャフト30、32の間の+1°の回転角偏差に相応し、第6の面積割合62は+2°の回転角偏差に相応し、第7の面積割合64は+3°の回転角偏差に相応する。
【0037】
図6のグラフは、横軸66を含んでいる。この軸に沿って、0°〜360°の間の回転角度が記載されている。縦軸68に沿って、求められたキャパシタンスC1A、C2A、C1G、C2Gの上述した比ΔC1A/C1G、ΔC2A/C2Gのうちの1つの振幅が記載されている。このグラフ内には、円0°に対する第1の曲線70と、「+3°のねじれ」49に対する第2の曲線72と、「−3°のねじれ」51に対する第3の曲線74とが示されている。
【0038】
図7aには、本発明の回転角センサ76の第2の実施形態の側方から見た概略図が示されている。図7bは、同じ角度センサ76の平面図を示している。ここでは軸80を有するシャフト78上に、対称の回転点を備えた、プラスチックから成る平らな星形のディスク82が配置されている。この回転点は、シャフト78の回転点ないしは軸80にも相応する。このディスク82の両側に、同じ大きさの、プラスチックから成るプレート84が位置している。ここでこのプレート84の金属領域は、プレートコンデンサとして形成されている2つのコンデンサ86、88とともに形成されている。従って、各コンデンサ86、88のコンデンサプレートの間には、誘電体が存在する。この誘電体は空気の割合と、プラスチックから成るディスク82の割合とを有する。この割合は、シャフト78、ひいてはディスク82の回転運動時に変化する。プラスチックから成るディスク82は空気の誘電率とは異なる誘電率を有するので、コンデンサ86、88のキャパシタンスは、コンデンサプレートの間の空気面積割合およびプラスチック面積割合に応じて変化する。コンデンサプレートの面積とプラスチックから成るディスク82の面積との間の最小重畳および最大重畳時にそれぞれ、総体的な誘電率の変化が非常に僅かになるので、回転角センサ76の配置に対して、2つのコンデンサ86、88が設けられる。これらはここでは、星形ディスク82の2つの先端部の間の角度よりも大きい角度で相互に配置されている。さらに、信号処理のためのインテリジェンスユニット92が設けられている。このインテリジェンスユニットは、最大のキャパシタンス差の変化を評価するために使用される。
【0039】
回転角センサ76のこの第2の実施形態では、第1の実施形態と比べて、位相相互の格段に高い変化率、ひいては比較し得る角度の場合にはキャパシタンスのより大きい差が得られる。これによって、回転角センサ2の第1の実施形態の場合よりも高い角度解像が得られる。
【0040】
軸の回転運動時には、コンデンサプレートの間の誘電体の比が変化する。空気は、例えばプラスチックの誘電率とは異なる誘電率を有するので、回転運動によるコンデンサ86、88に対する星先端部90の面積変化が、キャパシタンスの変化として測定される。
【0041】
図8および9は、本発明のトルクセンサ94の第2の実施形態の概略を、側方からの透視図と断面図で示している。トルクを測定するために、2つの回転角センサ96、98が2つのシャフト100,102上の測定装置として設けられている。これらのシャフトは、トーションバー104によって相互に接続されている。これらの回転角センサ96、98は、図7に既に示された回転角センサ76と同様の構成を有している。さらに図10は、平面図でこのトルクセンサ94を示している。概略的に示されている2つの測定装置は、それぞれ1つの、シャフト100、102上に対称に支承されている、平らな、星形ディスク106、110と、コンデンサ108、120(図10)、112、122(図10)から成るそれぞれ2つの対から成る二重配置を有している。これらのコンデンサは相互に、角度をずらして配置されている。
【0042】
ここで、ステアリングギアの第1のシャフト100に配置されている第1の回転角センサ96は、この第1のシャフト100に対称に固定されている星形のディスク106を有している。第1のシャフト100の回転時に、第1の回転角センサ96のここではプレートコンデンサとして形成されているコンデンサ108、120(図10)のコンデンサプレートの間のディスク106によって、キャパシタンスが変化する。第2の回転角センサ98の星形ディスク110は第2のシャフト102に対称に配置されており、第2のシャフト102の回転時に、第2のコンデンサ112、122(図10)のコンデンサプレート間で動く。これらのコンデンサは同様に、プレートコンデンサとして形成されている。ここで第2のシャフト102は、ハンドルと接続されている。2つの回転角センサ96、98はケーシング114内に配置されており、このケーシングは軸100、102のシーリングリング116を介して密閉されている。ここで第1のシャフト100にトルクが加わると、第1のシャフト100上の星形ディスク106は、別の、第2のシャフト102上の星形ディスク110に対して相対的に捻れる。これらのシャフトは、トーションバー104を介して相互に接続されている。このような相対的な変化によって、回転角度に関するキャパシタンスの測定可能な変化の位相シフトが生じる。この位相シフトは、軸100、102に加えられているトルクの量に対する尺度である。
【0043】
図10には、既に図8および9において紹介されたトルクセンサ94のトルクを特定する、本発明の方法の第2の実施形態を明確にするために、2つのシャフト100、102の方向からの透視図が示されている。従ってこの透視図では、シャフト100、102並びに第1のコンデンサ108、112および、角度がずらされている第2のコンデンサ120、122が、相互に重なって、ないしは相互に連続して示されている。図10は、2つの回転角センサ96、98の2つの星形ディスク106、110が相互に捻れていることも示している。これは、2つのシャフト100,106にトルクが加わっているときに生じる。
【0044】
トルクを特定するために、通常は、第1の回転角センサ96のコンデンサ108、120、および第2の回転角センサ98のコンデンサ112,122の、角度に依存したキャパシタンス値をあらわす、測定されたキャパシタンスに関する信号が、評価のために使用される。ここで、キャパシタンスの差ΔCは、シャフト100、102の間でねじれ(ここでは「+3°のねじり」124並びに「−3°のねじり」126)が存在する場合に最大になる。
【0045】
実施形態では、第1の角度センサ96によって、第1のコンデンサ108のキャパシタンスC1Gおよび第2のコンデンサ120のキャパシタンスC1Aが使用される。第2の回転角センサ98によって、第1のコンデンサ112のキャパシタンスC2Gおよび第2のコンデンサ122のキャパシタンスC2Aが使用される。さらに、求められたキャパシタンスC1G、C1A、C2G、C2Aの比ΔC1A/C1G、ΔC2A/C2Gが使用される。ここで第1の比ΔC1A/C1Gは、第2の回転角センサ98の第1のコンデンサ112のキャパシタンスC1Aと、第1の回転角センサ96の第1のコンデンサ118のキャパシタンスC2Gとから形成される。第2の比ΔC2A/C2Gを形成するために、第2の回転角センサ98の第2のコンデンサ122のキャパシタンスC2Aと、第1の回転角センサ96の第2のコンデンサ120のキャパシタンスC2Gが使用される。従って、上述の比ΔC1A/C1G、ΔC2A/C2Gを形成するために、シャフト100、102に関して相互に連続して、または完全に等しく配置されているコンデンサ108、112、120、122のキャパシタンスが考慮される。しかし、評価には、常に最大の、目下存在する比ΔC1A/C1G、ΔC2A/C2Gが使用される。
【0046】
詳細には、例えば、ΔC1A/C1G>ΔC2A/C2Gの場合に、ΔC1A/C1Gが評価に使用される。ΔC1A/C1G<ΔC2A/C2Gの場合には、ΔC2A/C2Gが評価時に使用される。
【0047】
付加的に図11は、図8〜10に示された、コンデンサ108、112、120,122の2つのコンデンサプレートの間のディスク100、102の角度に依存した面積割合、ひいてはディスク100、102によるコンデンサプレートの重畳の例を示している(ハッチングされた領域)。白い領域は、コンデンサプレートの間の空気の面積割合を示している。ここで第1の面積割合130はシャフト100、102の間の−3°の回転角偏差に相応し、第2の面積割合132はシャフト100、102の間の−2°の回転角偏差に相応し、第3の面積割合134はシャフト100、102の間の−1°の回転角偏差に相応し、第4の面積割合130はシャフト100、102の間の0°の回転角偏差に相応し、第5の面積割合138はシャフト100、102の間の+1°の回転角偏差に相応し、第6の面積割合140は+2°の回転角偏差に相応し、第7の面積割合142は+3°の回転角偏差に相応する。
【0048】
図12のグラフは、横軸144を含んでいる。この軸に沿って、0°〜360°の間の回転角度が記載されている。縦軸146に沿って、求められたキャパシタンスC1A、C2A、C1G、C2Gの上述した比ΔC1A/C1G、ΔC2A/C2Gのうちの1つの振幅が記載されている。このグラフでは2つのディスク106、110が合同である場合の第1の曲線148と、「+3°のねじれ」124の場合の第2の曲線149と、「−3°のねじれ」126の場合の第3の曲線151が示されている。
【0049】
図13のグラフは、横軸150を含んでいる。この軸に沿って0°〜360°の角度が記載されている。さらにこのグラフは、キャパシタンスに対する振幅が記載されている縦軸152を含んでいる。このグラフには円形ディスク38、42を備えたトルクセンサ36(図2〜4)の第1の実施形態の場合のキャパシタンスの振幅に対する第1の曲線154と、トルクセンサ94(図8〜10)の第2の実施形態に対する第2の曲線156が示されている。従って、図13に示されたこのグラフは、360°回転時の、図2〜4に示されたトルクセンサ36の第1の実施形態および図8〜10に示されたトルクセンサ94の第2の実施形態に対する測定可能なキャパシタンスの基準信号の比較に用いられる。エッジ急峻性ひいてはキャパシタンス変化ないしは角度解像度は、星形に形成されたディスク106、110を誘電体として備えた第2の実施形態の方が高い。
【0050】
図14は、Robert Bosch GmbHの磁気測定式トルクセンサ158TSS−1の概略図を示している。
【0051】
図15は、概略的に、従来技術から公知のトルク測定装置160を示している。これはN極162とS極164とから成る磁石ユニット166と測定リング168とを含んでいる。このような装置160は例えば、図14に示されたトルクセンサ158内で使用されている。
【図1a】

【図1b】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
回転角センサであって、当該回転角センサは複数のコンデンサプレートを有する少なくとも1つのコンデンサ(14、16、40、41、48、50、86、88、108、112)と、ディスク(6、38、42、82、106、110)として形成されている誘電体とを有しており、
当該ディスク(6、38、42、82、106、110)は、前記複数のコンデンサプレートの間で回転可能に配置されており、かつ、回転角度に応じて、前記複数のコンデンサプレートの間で異なる大きさの面積割合(52、54、56、58、60、62、64、130、132、134、136、138、140、142)を占め、
前記回転角センサ(2、26、28、76、96、98)は、前記少なくとも1つのコンデンサ(14、16、40、41、48、50、86、88、108、112)のキャパシタンスの測定値に依存して回転角を特定するように構成されている、
ことを特徴とする回転角センサ。
【請求項2】
2つのコンデンサ(14、16、40、41、48、50、86、88、108、112)を有している、請求項1記載の回転角センサ。
【請求項3】
前記少なくとも1つのコンデンサ(14,16、40、41、48、50、86、88、108、112)の前記誘電体は円形ディスク(6、8、42)として形成されており、
当該ディスク(6、8、42)はシャフト(4、30、32、78、100、102)に固定されており、当該円形ディスク(6、8、42)の中心点は、前記シャフト(4、30、32、78、100、102)の回転点から、0よりも大きい間隔を有している、請求項1または2記載の回転角センサ。
【請求項4】
前記2つのコンデンサ(14,16、40、41、48、50、86、88、108、112)は90°ずらして配置されている、請求項2および3記載の回転角センサ。
【請求項5】
前記少なくとも1つのコンデンサ(14、16、40、41、48、50、86、88、108、112)の誘電体は星形ディスク(82、106、110)として形成されており、
当該星形ディスク(82、106、110)の中心点は、シャフト(4、30、32、78、100、102)の回転点上に配置されている、請求項1または2記載の回転角センサ。
【請求項6】
前記2つのコンデンサは、前記星形ディスク(82、106、110)の2つの星先端部(90)の間の角度よりも大きい角度で配置されている、請求項2および5記載の回転角センサ。
【請求項7】
請求項1から6のいずれか1項に記載された第1および第2の回転角センサ(2、26、28、76、96、98)を有しているトルクセンサであって、
前記回転角センサ(2、26、28、76、96、98)の複数の誘電体として形成されている複数のディスク(6、38、42、82、106、110)は、トーションバー(34、104)を介して相互に接続されている、
ことを特徴とするトルクセンサ。
【請求項8】
前記第1の回転角センサ(2、26、28、76、96、98)によって第1のキャパシタンスを測定し、前記第2の回転角センサ(2、26、28、76、96、98)によって第2のキャパシタンスを測定し、当該測定されたキャパシタンスの差から、前記複数の回転角センサ(2、26、28、76、96、98)の前記複数のディスク(6、38、42、82、106、110)の間の回転角の差を特定するように構成されている、請求項7記載のトルクセンサ。
【請求項9】
ディスク(6、38、42、82、106、110)の回転角を特定するための方法であって、当該ディスクは誘電体として形成されており、少なくとも1つのコンデンサ(14、16、40、41、48、50、86、88、108、112)の複数のコンデンサプレートの間に回転可能に配置されており、
前記ディスク(6、38、42、82、106、110)の回転角に応じて、当該ディスク(6、38、42、82、106、110)によって前記複数のコンデンサプレートの間で異なる大きさの面積割合(52、54、56、58、60、62,64、130、132、134、136、138、140、142)が占められ、
前記回転角を、前記少なくとも1つのコンデンサ(14、16、40、41、48、50、86、88、108、112)のキャパシタンスの測定値に依存して特定する、
ことを特徴とする、ディスク(6、38、42、82、106、110)の回転角を特定するための方法。
【請求項10】
第1のディスク(6、38、42、82、106、110)と第2のディスク(6、38、42、82、106、110)との間のトルクを特定するための方法であって、
当該ディスクは、トーションバー(34、104)を介して相互に接続されており、
当該第1のディスク(6、38、42、82、106、110)を有する、請求項1から6までのいずれか1項記載の第1の回転角センサ(2、26、28、76、96、98)によって第1のキャパシタンスを求め、
当該第2のディスク(6、38、42、82、106、110)を有する、請求項1から6までのいずれか1項記載の第2の回転角センサ(2、26、28、76、96、98)によって第2のキャパシタンスを求め、当該求められたキャパシタンスの差からトルクを特定する、
ことを特徴とする、第1のディスク(6、38、42、82、106、110)と第2のディスク(6、38、42、82、106、110)との間のトルクを特定するための方法。

【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7a】
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【図7b】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【公表番号】特表2013−516616(P2013−516616A)
【公表日】平成25年5月13日(2013.5.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−547463(P2012−547463)
【出願日】平成22年11月5日(2010.11.5)
【国際出願番号】PCT/EP2010/066870
【国際公開番号】WO2011/082862
【国際公開日】平成23年7月14日(2011.7.14)
【出願人】(390023711)ローベルト ボツシユ ゲゼルシヤフト ミツト ベシユレンクテル ハフツング (2,908)
【氏名又は名称原語表記】ROBERT BOSCH GMBH
【住所又は居所原語表記】Stuttgart, Germany
【Fターム(参考)】