説明

回転電機のロータ構造

【課題】鋼板積層体からなるロータコアを含む軸芯冷却構造の回転電機において、ロータの冷却性能を強化しながら、ロータとステータとの間への冷却媒体の漏出を低減する。
【解決手段】回転電機の冷却構造は、冷媒供給路32を内部に有するとともに冷媒供給路32から冷却油をシャフト外部に供給する冷媒供給口34を有するロータシャフト28と、ロータシャフト28に固定されてロータシャフトと共に回転する積層鋼板体からなるロータコア15と、ロータコア15の内周部に設けられて冷媒供給口34から供給される冷却油を軸方向へと流す冷媒流路40と、ロータコア15の内部であって冷媒流路40の径方向外側に形成され、冷媒流路40から積層鋼板間に染み入った冷却油を捕捉する冷媒捕捉路と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、回転電機のロータ構造に係り、特に、軸芯冷却によりロータおよびステータコイルを冷却する回転電機のロータ構造に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、例えば特開2010−263696号公報(特許文献1)には、軸芯冷却構造を採用したモータが開示されている。このモータは、ステータコイル、および環状に配列または形成されたステータコアを有するステータと、ステータコアの内周側に位置してステータに対し回転自在となるロータとで構成される。ロータは、ロータ回転軸の外周にコア支持体部を介してロータコアを取り付けてなる。ロータコアは複数枚の鋼板を軸方向に積層状に並べたものであり、一部の隣合う鋼板間に隙間を設けてある。そして、ロータ回転軸の内部に軸方向に延びる冷却油用の給油路を設け、この給油路と隙間とを連通する連通路を、ロータ回転軸にコア支持体部にわたって設けているものである。これにより、ロータおよびステータで発生する熱を効率的に奪うことができ、モータ内部の冷却効果を高めることができる、と記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2010−263696号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記特許文献1のモータでは、ロータ回転軸の給油路からロータコアに供給された冷却油をロータコア中に形成した隙間を介して径方向外側、すなわちロータとステータとの間のギャップに向けて積極的に流す構成としている。このようにすると、上記ギャップに流れ込んだ冷却油がロータの回転抵抗となってモータの出力低下を来たすことにつながる。
【0005】
本発明の目的は、ロータシャフトから鋼板積層体からなるロータコアに冷却媒体を供給してロータ等を冷却可能な回転電機において、ロータとステータとの間への冷却媒体の漏出を低減できる回転電機のロータ構造を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る回転電機のロータ構造は、冷媒供給路を内部に有するとともに該冷媒供給路から冷却媒体をシャフト外部に供給する冷媒供給口を有するロータシャフトと、前記ロータシャフトに固定されて前記ロータシャフトと共に回転する積層鋼板体からなるロータコアと、前記ロータコアの内周部に設けられ前記ロータシャフトの冷媒供給口から供給される冷却媒体を軸方向へと流す冷媒流路と、前記ロータコアの内部であって前記冷媒流路の径方向外側に形成され、前記冷媒流路から積層鋼板間に染み入った冷却媒体を捕捉する冷媒捕捉路と、を備える。
【0007】
本発明に係る回転電機のロータ構造において、前記冷媒捕捉路は、軸方向に延伸して形成されて前記ロータコアの軸方向両端に開口する貫通孔として形成されているのが好ましい。
【0008】
この場合、前記ロータコアに軸方向端面に圧接された状態で前記ロータシャフトに固定されたエンドプレートを更に備え、該エンドプレートは、前記冷媒流路に連通する第1冷媒吐出口と、前記冷媒捕捉路に連通するが前記冷媒流路には連通しない第2冷媒吐出口とを有してもよい。
【0009】
また、本発明に係る回転電機の冷却構造において、前記ロータコアの外周部には永久磁石を配置してなる磁極が周方向に間隔を置いて複数設けられており、前記冷媒流路および前記冷媒捕捉路は前記磁極間を通る径方向であるq軸方向に並んで形成されていてもよい。
【0010】
この場合、前記冷媒捕捉路は、径方向外側に頂角部が向いた略三角形状の断面形状を有する空間として形成されていてもよい。
【発明の効果】
【0011】
本発明に係る回転電機のロータ構造によれば、ロータコア内部に設けた冷媒流路から冷却媒体が、回転するロータの遠心力によって積層鋼板間に染み入った場合にも、冷媒捕捉路によって捕捉されることでロータ外周面まで達してステータとの間のギャップ部に漏出するのを低減できる。これにより、ロータの冷却性能を強化しながら、冷却媒体がロータとステータとの間のギャップ部に漏出してロータの回転抵抗となるのを抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明の一実施形態であるロータ構造を含む回転電機の軸方向断面図である。
【図2】図1におけるロータの拡大断面図である。
【図3】図2におけるA−A断面図である。
【図4】図2におけるB−B断面図である。
【図5】図2におけるC部拡大図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下に、本発明に係る実施の形態(以下、実施形態という)について添付図面を参照しながら詳細に説明する。この説明において、具体的な形状、材料、数値、方向等は、本発明の理解を容易にするための例示であって、用途、目的、仕様等にあわせて適宜変更することができる。また、以下において複数の実施形態や変形例などが含まれる場合、それらの特徴部分を適宜に組み合わせて用いることは当初から想定されている。
【0014】
図1は、本実施形態のロータ構造を含む回転電機10の軸方向に沿った断面図である。図1に示すように、回転電機10は、ステータ12とロータ14とを備える。ステータ12とロータ14との間には、径方向のギャップ部Gが設けられている。
【0015】
ステータ12は、筒状をなす磁性体からなるステータコア13と、このステータコア13の内周部に突設された複数のティース部の周囲に巻装されたステータコイル16とからなっている。ステータコア13は、例えば、それぞれ略円環状に打ち抜き加工された多数枚の電磁鋼板を軸方向に積層して、カシメ等により一体に連結して構成されている。ただし、ステータコア13は、圧粉磁心からなる複数の分割コアを円環状に配列して円筒ケースで外周から締結することによって構成されてもよい。
【0016】
ステータコイル16は、上記ティース部間に挿入および配置されたスロット内部分(図示せず)と、ステータコア13の軸方向端面から外側へ突出するコイルエンド部16a,16bとを含む。各コイルエンド部16a,16bは、軸方向から見たときに略円環状をなして形成されている。
【0017】
ステータコア13およびステータコイル16からなるステータ12は、ハウジング20内に収容されている。ハウジング20は、有底円筒部22と、この有底円筒部22の一端開口部を覆って取り付けられるカバー部24とを有する。ステータ12は、ハウジング20の有底円筒部22の内周面上に例えば圧入等の方法によって固定されている。ハウジング20において、有底円筒部22の円板状をなす底部23、および、カバー部24には、軸受部材26がそれぞれ取り付けられている。
【0018】
ステータコア13の内周側に配置されたロータ14は、筒状の磁性体からなるロータコア15と、ロータコア15の中心を貫通して軸方向に延伸するロータシャフト28とを含む。ロータコア15は、例えば、それぞれ略円板状に打ち抜き加工された多数枚の電磁鋼板を軸方向に積層して、カシメ等により一体に連結して構成されている。また、ロータコア15は、ステータコア13と略同じ軸方向長さを有しており、軸方向端面同士が略面一に配置されている。
【0019】
ロータシャフト28の一端部は、カバー部24に取り付けた軸受部材26によって回転可能に支持された状態で、ハウジング20内で終端している。一方、ロータシャフト28の他端部は、有底円筒部22の底部23に取り付けた軸受部材26によって回転可能に支持された状態で、ハウジング20の外部へ延伸している。
【0020】
図2は、図1におけるロータ14の拡大断面図であり、図3は図2におけるA−A断面図である。鋼板積層体であるロータコア15は、例えば圧入によってロータシャフト28の外周面上に外嵌されて固定されている。あるいは、ロータコア15は、軸方向両側または片側においてロータシャフト28上にカシメ固定される固定部材(図示せず)によって、ロータシャフト28に対する軸方向位置が固定されてもよい。
【0021】
なお、ロータコア15の中心に形成されたシャフト穴30の縁部に凸状のキーを形成し、ロータシャフト28の外周面に軸方向へ延伸して形成されたキー溝に嵌合することによって、ロータシャフト28に対するロータコア15の周方向位置が固定されていてもよい。
【0022】
図3に示すように、ロータコア15には、外周面近傍の内部に複数の永久磁石36が埋設されている。永久磁石36は、周方向に均等な配置で設けられるとともに、ロータコア15とほぼ同じ軸方向長さを有している。また、各永久磁石36は、ロータ14における磁極37を構成しており、磁極37間を通る径方向がq軸方向となっている。本実施形態では、扁平長方形状断面を有する8つの永久磁石36が埋設された例を示すが、これに限定されるものではなく、6個、12個等の他の数であってもよい。また、1つの磁極に2つの永久磁石が略V字状をなして埋設されていてもよい。
【0023】
ロータシャフト28の中心には、冷媒供給路32が軸方向に延伸して形成されている。冷媒供給路32は、ロータシャフト28の他端側において開口しており、この開口部から図示しないオイルポンプおよびオイルクーラ等を介して冷却媒体が供給されるようになっている。本実施形態では、冷却媒体として冷却油(例えばATF等)が好適に用いられる。以下においては、冷却媒体が冷却油であるものとして説明するが、これに限定されるものではなく、ロータコア15およびステータコイル16に対して好適な冷却性能を発揮し得る冷却流体であれば他の冷却媒体が用いられてもよい。また、ロータシャフト28内の冷媒供給路32は、ロータコア15への冷媒供給機能だけを目的とするのであれば、冷媒供給口34に到達したところで終端していてもよい。
【0024】
ロータシャフト28においてロータコア15の軸方向中央に対応する位置には、冷媒供給路32に連通する冷媒供給口34が径方向に延伸して形成されて、ロータシャフト28の外周面に開口している。本実施形態では、2本の冷媒供給口34が径方向に対向する位置に形成されている例を示す。ただし、冷媒供給口は、1つであってもよいし、3つ以上であってもよい。複数の冷媒供給口34を設ける場合、周方向に均等配置で設けるのが冷却性能を周方向に一様し且つ冷却性能を向上させる上で好ましい。
【0025】
一方、ロータコア15の内周部には、冷媒流路40が軸方向に延伸して形成されている。より詳しくは、ロータコア15のシャフト穴30の縁部に矩形断面を有する溝が形成されており、この溝の内径側がロータシャフト28の外周面によって閉じられることにより、冷媒流路40が形成されている。そして、冷媒流路40の軸方向両端部は、ロータコア15の軸方向端面においてそれぞれ開口して形成されている。
【0026】
本実施形態では、ロータシャフト28の冷媒供給口34に対応して2つの冷媒流路40が径方向に対向する位置に形成されている。また、ロータシャフト28の冷媒供給口34は、ロータコア15の軸方向中央位置において冷媒流路40に連通している。これにより、ロータシャフト28の冷媒供給口34からロータコア15の冷媒流路40に供給された冷却油は、軸方向両側に分かれた後に軸方向へと流れるように構成されている。
【0027】
ロータコア15の内部であって冷媒流路40の径方向外側には、冷媒捕捉路41が形成されている。この冷媒捕捉路41は、回転するロータ14の遠心力によって冷媒流路40から積層鋼板間に染み入った冷却油を捕捉する機能を有する。これにより、積層鋼板間に染み入った冷却油が更に径方向外側へと進んでロータ14とステータ12との間のギャップ部Gへと漏出するのを抑制することができる。本実施形態では、2つの冷媒流路40に対応して、2つの冷媒捕捉路41が径方向に対向する位置に設けられている。
【0028】
冷媒捕捉路41は、ロータコア15内を軸方向にわたって延伸して貫通孔として形成され、軸方向両側においてそれぞれ開口している。また、冷媒捕捉路41は、冷媒流路40に対してq軸方向に近接して並んで形成されている。また、冷媒流路40は、略三角状の断面形状を有する空間として形成されており、その頂角部41aが径方向外側に向いた姿勢で形成されている。このように冷媒捕捉路41を冷媒流路40の径方向外側に近接して設けることで、上記のように染み出た冷却油の捕捉を良好に行うことができる。また、略三角状の空間をなす冷媒捕捉路41を頂角部41aが径方向外側へ向けて形成してあることで、磁極37における磁路領域(すなわち永久磁石36の径方向内側領域)をできるだけ侵食しないようにしてロータ14の磁気特性に与える影響を抑制することができる。
【0029】
ただし、冷媒捕捉路41の形状は、上記のような略三角形状の断面を有する貫通孔に限定されるものではなく、例えば、冷媒流路40と同等か少し広い周方向幅を有する矩形状などの断面形状を有する貫通孔として形成されてもよい。
【0030】
図2を再び参照すると、本実施形態のロータ14は、さらに、ロータコア15に軸方向両側に配置された2つのエンドプレート42を含む。エンドプレート42は、ロータコア15とほぼ同一の外径を有する円板状をなし、その中心にロータシャフト28が貫通して設けられている。
【0031】
エンドプレート42は、非磁性材料(例えば、アルミニウム、アルミ合金等)から形成されるのが好ましい。これにより、永久磁石36の軸方向端部における磁束の短絡又は漏れを有効に抑制することができる。また、エンドプレート42は、ロータコア15からの永久磁石36の軸方向への飛び出しを防止する機能も有する。
【0032】
エンドプレート42は、図示しないカシメ部材によってロータコア15の軸方向端面に圧接された状態で固定される。これによりロータシャフト28に対するエンドプレート42の軸方向位置が決められている。また、エンドプレート42は、ロータコア15と同様に、ロータシャフト28に対して圧入されるか又はキーとキー溝の凹凸嵌合によって、周方向位置が決められている。
【0033】
図4は、図2におけるB−B断面図であり、エンドプレート42の側面が示されている。また、図5は、図2におけるC部の拡大図である。
【0034】
エンドプレート42の中央には、ロータシャフト28が挿入されるシャフト穴46が形成されている。そして、シャフト穴46の縁部に近接する位置に、第1冷媒吐出口50および第2冷媒吐出口51が径方向に並んで形成されている。第1冷媒吐出口50は、冷媒流路40の開口端部に連通している。第1冷媒吐出口50は、冷媒流路40を流れてきた冷却油をロータ外部へ吐出する貫通孔である。また、本実施形態では、第1冷媒吐出口50は、軸方向に対して例えば約45°程度の傾きをもってエンドプレート42を貫通するように形成されている。
【0035】
これに対し、第2冷媒吐出口51は、冷媒捕捉路41の開口端部に連通するが、冷媒流路40には連通しないように形成されている。第2冷媒吐出口51は、冷媒捕捉路41で補足されて軸方向に流れてきた冷却油をロータ外部に放出するための貫通孔である。本実施形態では、第2冷媒吐出口51は、略三角状断面をなす冷媒捕捉路41の頂角部41aに対応する位置で軸方向に沿ってエンドプレート42を貫通するように形成されている。
【0036】
次に、上記構成からなる回転電機10における冷却動作について説明する。
【0037】
ロータシャフト28の他端部から、オイルポンプにより圧送された冷却油が冷媒供給路32に供給される。冷媒供給路32に供給された冷却油は、軸方向に流れて冷媒供給口34からロータコア15内の冷媒流路40へと供給される。
【0038】
このとき、上記のように冷媒供給口34から冷媒流路40に流れ込んだ冷却油は、軸方向両側へ分かれてエンドプレート42に向かって軸方向端部側へと流れる。この過程において冷却油は、ロータコア15から熱を奪って効率よく冷却する。
【0039】
そして、冷却油は、エンドプレート42に達して第1冷媒吐出口50からロータ外部に吐出される。そうすると、回転するロータ14の遠心力によって冷却油が液滴状またはミスト状になって径方向外側へ飛び散る。これにより、径方向外側に位置するコイルエンド部16a,16bに冷却油がかかり、通電により発熱するコイルエンド部16a,16bから熱を奪ってステータコイル16を冷却する。
【0040】
一方、ロータシャフト28の冷媒供給口34からロータコア15内の冷媒流路40に流れ込んだ冷却油の一部は、供給油圧および遠心力の作用によってロータコア15を構成する積層鋼板間に染み入って径方向外側へと流れることがある。しかし、本実施形態におけるロータ構造では、冷媒流路40の径方向外側に冷媒捕捉路41が近接して設けられているため、上記のように冷媒流路40から積層鋼板間に染み入った冷却油は冷媒捕捉路41内に流れ込む。このとき、冷媒流路40内とは異なり冷媒捕捉路41内では冷却油の供給圧力から解放されていること及び冷媒捕捉路41へ流入する冷却油が少量であることから、冷媒捕捉路41に流れ込んだ冷却油は更に積層鋼板間には染み入りにくく冷媒捕捉路41内で捕捉および回収されることになる。
【0041】
冷媒捕捉路41に流れ込んだ冷却油は、軸方向に流れてエンドプレート42の第2冷媒吐出口51からロータ外部に流出する。そうすると、回転するロータ14の遠心力によって冷却油が液滴状またはミスト状になって径方向外側へ飛び散ってコイルエンド部16a,16bにかかり、冷媒流路40を介して第1冷媒吐出口50から噴出された冷却油と相俟ってステータコイル16の冷却に用いられる。
【0042】
ステータコイル16の冷却より更に昇温した冷却油は、ハウジング20の下部に形成された図示しない冷媒排出口からオイルポンプの吸引作用によって引き抜かれて排出され、オイルクーラにて放熱して降温した後に、再び冷媒供給路32へと循環供給されることになる。
【0043】
上述したように本実施形態のロータ構造を含む回転電機10によれば、ロータコア15の内部に設けた冷媒流路40から冷却油が、回転するロータの遠心力によって積層鋼板間に染み入った場合にも、冷媒捕捉路41によって捕捉されるので、引き続き積層鋼板間を流れてロータ外周面まで達することによりステータ12との間のギャップ部Gに漏出するのを低減できる。これにより、ロータ14の冷却性能を強化しながら、冷却油がロータ14とステータ12との間のギャップ部Gに漏出してロータ14の回転抵抗となるのを抑制できる。
【0044】
なお、本発明に係るロータ構造は、上述した実施形態およびその変形例に限定されるものではなく、種々の改良および変更が可能である。
【0045】
例えば、上記実施形態においては、ロータコア15の軸方向両側にエンドプレート42を配設したロータ構造について説明したが、エンドプレートが設けられていないロータに本発明が適用されてもよい。この場合、冷媒流路および冷媒捕捉路の開口端部から直に冷却油が放出され、遠心力によって径方向外側へ飛び散ってコイルエンド部に供給されることになる。
【符号の説明】
【0046】
10 回転電機、12 ステータ、13 ステータコア、14 ロータ、15 ロータコア、16 ステータコイル、16a,16b コイルエンド部、20 ハウジング、22 有底円筒部、23 底部、24 カバー部、26 軸受部材、28 ロータシャフト、30 シャフト穴、32 冷媒供給路、34,35 冷媒供給口、36 永久磁石、37 磁極、40 冷媒流路、41 冷媒捕捉路、42 エンドプレート、46 シャフト穴、50 第1冷媒吐出口、51 第2冷媒吐出口。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
冷媒供給路を内部に有するとともに該冷媒供給路から冷却媒体をシャフト外部に供給する冷媒供給口を有するロータシャフトと、
前記ロータシャフトに固定されて前記ロータシャフトと共に回転する積層鋼板体からなるロータコアと、
前記ロータコアの内周部に設けられ前記ロータシャフトの冷媒供給口から供給される冷却媒体を軸方向へと流す冷媒流路と、
前記ロータコアの内部であって前記冷媒流路の径方向外側に形成され、前記冷媒流路から積層鋼板間に染み入った冷却媒体を捕捉する冷媒捕捉路と、を備える
回転電機のロータ構造。
【請求項2】
請求項1に記載の回転電機のロータ構造において、
前記冷媒捕捉路は、軸方向に延伸して形成されて前記ロータコアの軸方向両端に開口する貫通孔として形成されている、回転電機のロータ構造。
【請求項3】
請求項2に記載の回転電機のロータ構造において、
前記ロータコアに軸方向端面に圧接された状態で前記ロータシャフトに固定されたエンドプレートを更に備え、該エンドプレートは、前記冷媒流路に連通する第1冷媒吐出口と、前記冷媒捕捉路に連通するが前記冷媒流路には連通しない第2冷媒吐出口とを有する、回転電機のロータ構造。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか一項に記載の回転電機のロータ構造において、
前記ロータコアの外周部には永久磁石を配置してなる磁極が周方向に間隔を置いて複数設けられており、前記冷媒流路および前記冷媒捕捉路は前記磁極間を通る径方向であるq軸方向に並んで形成されている、回転電機のロータ構造。
【請求項5】
請求項4に記載の回転電機のロータ構造において、
前記冷媒捕捉路は、径方向外側に頂角部が向いた略三角形状の断面形状を有する空間として形成されている、回転電機のロータ構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2013−55775(P2013−55775A)
【公開日】平成25年3月21日(2013.3.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−191796(P2011−191796)
【出願日】平成23年9月2日(2011.9.2)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【Fターム(参考)】