説明

回転電気機械用鋼板およびその製造方法

【課題】エッチング処理した場合と比べて、渦電流損をさらに低減した回転電気機械用鋼板を得ることできる回転電気機械用鋼板の製造方法を提供することにある。
【解決手段】回転電気機械のコアを構成する回転電気機械用鋼板の製造方法であって、鋼板10の表面10aをエッチング処理した後に、エッチング処理した鋼板10の表面10aに圧力F1を付与する圧力付与処理を行って、当該鋼板10の表面10a近傍の粒界に生成した腐食生成物を除去して空隙10cを形成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、回転電気機械用鋼板およびその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
電動機、発電機、あるいは静止機などの回転電気機械は、回転磁界を発生したり、磁界の変化から発電を行ったり、あるいは電磁誘導により電圧を変換したりするため磁束の経路となるコアを有している。
【0003】
このコアの部分は、表面が絶縁された鋼板を積層した積層鋼板(積層鉄芯)で構成されている。このように回転電気機械の軸方向の磁路を分割することで、渦電流による損失である渦電流損を分割前より減少させている。
【0004】
ところで、ロータに永久磁石を配置した場合には、磁石が高温下で強い反磁界にさらされると減磁が発生する。そのため、回転電気機械にて、高効率化や可変速範囲を広くとる必要がある場合には、積層鋼板を構成する鋼板の板厚を薄くして、渦電流損をさらに低減していた。
【0005】
ここで、前述した静止機である変圧器においては、鋼板として磁気経路に方向性を有する方向性電磁鋼板が用いられている。そして、渦電流損を低減した方向性電磁鋼板の製造方法が種々開発されている(例えば、特許文献1参照)。
【0006】
この特許文献1に記載の低鉄損方向性電磁鋼板の製造方法では、方向性電磁鋼板の表面層の金属結晶の粒界部分をエッチング処理などし、鋼板の表面近傍における金属結晶の粒界を空隙化して磁路を短くしている。これにより、鋼板の表面近傍を磁束が流れにくくなり、渦電流損を低減させている。
【0007】
【特許文献1】特開2007−169762号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、上述した特許文献1に記載の低鉄損方向電磁鋼板の製造方法およびこの製造方法で製造された鋼板では、エッチング処理しない鋼板と比べて渦電流損を低減した低鉄損方向電磁鋼板を得ることができるものの、渦電流損をさらに低減した鋼板を得ることが望まれていた。
【0009】
そこで、本発明は、前述した問題に鑑み提案されたもので、エッチング処理した場合と比べて、渦電流損をさらに低減した鋼板を得ることができる回転電気機械用鋼板およびその製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
前述した課題を解決する第1の発明に係る回転電気機械用鋼板の製造方法は、
回転電気機械のコアを構成する回転電気機械用鋼板の製造方法であって、
前記鋼板の表面をエッチング処理した後に、エッチング処理した鋼板の表面に圧力を付与する圧力付与処理を行って、当該鋼板の表面近傍の粒界に生成した腐食生成物を除去して空隙を形成する
ことを特徴とする。
前記回転電気機械としては、電動機や発電機が挙げられる。
前記回転電気機械用鋼板としては、無方向性電磁鋼板が挙げられる。
【0011】
前述した課題を解決する第2の発明に係る回転電気機械用鋼板の製造方法は、
第1の発明に係る回転電気機械用鋼板の製造方法であって、
前記圧力付与処理が、エッチング処理した鋼板の表面に高圧の流体を吹き付ける高圧流体吹付け処理、エッチング処理した鋼板を容器に入れて当該容器内部を加圧する加圧処理、または、エッチング処理した鋼板の表面に押力を付与する押力付与処理の内の少なくとも一つの処理である
ことを特徴とする。
【0012】
前述した課題を解決する第3の発明に係る回転電気機械用鋼板の製造方法は、
第1の発明または第2の発明に係る回転電気機械用鋼板の製造方法であって、
圧力付与処理した鋼板の空隙に非磁性材料を導入する非磁性材料導入処理を行う
ことを特徴とする。
【0013】
前述した課題を解決する第4の発明に係る回転電気機械用鋼板の製造方法は、
第3の発明に係る回転電気機械用鋼板の製造方法であって、
前記非磁性材料がシリカである
ことを特徴とする。
【0014】
前述した課題を解決する第5の発明に係る回転電気機械用鋼板の製造方法は、
第1の発明乃至第4の発明の何れか一つに係る回転電気機械用鋼板の製造方法であって、
前記高圧流体吹付け処理を行う場合、または、前記非磁性材料導入処理を行う場合に、前記鋼板に引張力を付与する引張力付与処理を行う
ことを特徴とする。
【0015】
前述した課題を解決する第6の発明に係る回転電気機械用鋼板は、
回転電気機械のコアを構成する回転電気機械用鋼板であって、
前記鋼板が、当該鋼板の表面をエッチング処理した後に、エッチング処理した鋼板の表面に圧力を付与して、当該鋼板の表面近傍の粒界に生成した腐食生成物を除去して空隙を形成し、
空隙を形成した鋼板に引張力を付与しつつ、当該鋼板の空隙に非磁性材料を導入し、
前記非磁性材料を前記空隙に導入した鋼板の表面に絶縁皮膜を施して作製されたものである
ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0016】
本発明に係る回転電気機械用鋼板の製造方法によれば、上述した処理を行うことで、エッチング処理しか行っていない場合と比べて、渦電流損をさらに低減した回転電気機械用鋼板を得ることができる。
【0017】
本発明に係る回転電気機械用鋼板によれば、回転電気機械のコアを構成する鋼板が、上述した処理をして作製されたものであることにより、エッチング処理しか行っていない鋼板と比べて、渦電流損をさらに低減できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
本発明に係る回転電気機械用鋼板およびその製造方法の各実施形態について以下に説明する。
【0019】
[第一番目の実施形態]
本発明に係る回転電気機械用鋼板およびその製造方法の第一番目の実施形態について図1に基づいて説明する。
本実施形態に係る回転電気機械用鋼板の製造方法では、回転電気機械のコアの積層鋼板を製造する場合について説明する。前記回転電気機械としては、回転磁界を発生させる電動機や磁界の変化から発電する発電機などが挙げられる。前記鋼板としては、磁気経路に方向性を有さない無方向性電磁鋼板が挙げられる。
図1は、本実施形態を説明するための図であり、図1(a)に圧力付与処理を行う前の状態を示し、図1(b)に圧力付与処理を行った後の状態を示す。
【0020】
本実施形態では、最初に鋼板10の表面10aをエッチング処理するまたは酸洗処理する。このエッチング処理(酸洗処理)により、鋼板の表面層を腐食させる。続いて、図1(b)に示すように、エッチング処理した鋼板の表面10aに圧力F1を付与する圧力付与処理を行う。ここで、鋼板の表面層の粒界には腐食生成物が生成されるが、一般的に脆く、界面との結合力が弱いものである。そのため、圧力付与処理により、鋼板10の表面10a近傍の金属結晶10bの粒界に生成した腐食生成物を除去して空隙10cが形成される。そして、空隙10cが形成された鋼板10の表面10aに絶縁皮膜を施して回転電気機械用鋼板が作製される。
【0021】
上述した鋼板として、例えば、純鉄にSi(珪素)が1%以下添加されたケイ素鋼板が挙げられる。
【0022】
上述したエッチング処理としては、電解エッチングや化学エッチングが挙げられる。電解エッチングの場合には、鋼板を浸漬する電解液の液温、電流密度、電解時間など適宜に調整して処理が行われる。化学エッチングの場合には、Fe3Cl、NHO3、HCl、H2SO4などのエッチング液が用いられ、適宜の濃度に調整されエッチング液に所定時間浸漬して処理が行われる。
【0023】
上記圧力付与処理としては、エッチング処理した鋼板10の表面10aに高圧の流体を吹き付ける高圧流体吹付け処理、エッチング処理した鋼板10を容器に入れて当該容器内部を加圧する加圧処理、エッチング処理した鋼板10の表面10aに押力を付与する押力付与処理の内の少なくとも一つの処理が挙げられる。
【0024】
上記高圧流体吹付け処理では、流体として液体や気体などが挙げられる。具体的には、例えば液体として水や油などが、気体として空気などが挙げられる。高圧(圧力F1)とは、大気圧以上の高圧力のことでおよそ0.1MPa以上の大きさの圧力であり、エッチング処理により鋼板10の表面10aに生じた腐食生成物が大気圧では粒界に留まっているが、高圧流体吹付け処理で除去できる。圧力が0.1MPaより小さいと、前記の腐食生成物は粒界に留まった状態で除去することができず、鋼板の表面に空隙を形成することができない。
【0025】
上記加圧処理の場合、容器内部を加圧する圧力F1としては、0.1MPa以上の大きさの圧力が挙げられる。圧力が0.1MPaより小さいと、エッチング処理により鋼板の表面に生じた腐食生成物を除去することができず、鋼板の表面に空隙を形成することができない。
ここで、加圧により腐食生成物を除去できる理由について以下に説明する。
加圧により材料表面に圧縮圧力が負荷されると、材料に力が作用する。材料に力が作用すると、弾性体ではフックの法則(σ=E・ε、ここでσ:材料に作用する応力、E:弾性係数、ε:ひずみ)に従った変形が発生する。ここで、同一圧力での変形量は、材料物性(E)の影響があるため、材料(結晶部分)と腐食生成物では物性値が相違しているので、変形量が異なる。変形量が相違する場合は、結晶と腐食生成物の界面にせん断力(ずれ方向の力)が発生するため、限界値を越えるまで加圧することで、腐食生成物を脱落させることが可能となる。
【0026】
上記押力付与処理では、鋼板10の表面10aに付与する押力(圧力F1)が、結晶間に隙間ができる程度の大きさであり、鋼板10の板厚やこの材料のグレードにより適宜に決定される。
ここで、押力(押圧)により腐食生成物を除去できる理由について以下に説明する。
押圧による腐食生成物の除去方法では、腐食生成物と素材(結晶)の破壊強度の相違を利用する。通常、腐食は空気による酸化生成物の割合が多い。この酸化生成物は脆いため、変形能(破壊時のひずみ)が小さい。このため、素材(結晶)が耐えられる以前のひずみでも破壊を生じる。したがって、押圧により均一な変形を与えた場合でも、腐食生成物(特に酸化物)のみを選択的に破壊させることができる。この後にふるい落とすなどの処理を行うことで、選択的に脱落させることができる。
【0027】
したがって、本実施形態に係る回転電気機械用鋼板の製造方法によれば、鋼板に対してエッチング処理した後に高圧流体付与処理を行うことにより、エッチング処理しか行なっていない場合と比べ、結晶間の粒界に空隙が形成されるので金属結晶間での抵抗が上昇し、高調波電流の表皮効果により発生する表面層を流れる電流が抑制でき、結果として渦電流損を低減した回転電気機械用鋼板を得ることができる。
【0028】
具体的には、回転機では、コイルの基本波成分に加えて、空間(例えば、スロットによる形状不均一性)および時間高調波(例えば、電流の変動)により、高調波成分が含まれると、電磁鋼板には表皮効果により、表面層に大きな電流が発生している。上述した圧力付与処理を行うことにより、鋼板の表面層の抵抗が増大し、表皮電流による損失が低減できる。また、基本波による渦電流においても、鋼板を大きく(外周)回るので、表面近傍の抵抗の増大により、渦電流損を低減できる。
【0029】
よって、前記の圧力処理で得られた回転電気機械用鋼板で回転電気機械のコアを構成することにより、エッチング処理しか行っていない鋼板で回転電気機械のコアを構成した場合と比べて、電力ロスを低減して、性能を向上させることができる。
【0030】
[第二番目の実施形態]
本発明に係る回転電気機械用鋼板およびその製造方法の第二番目の実施形態について図2に基づいて説明する。
図2は、本実施形態を説明するための図であり、図2(a)に圧力付与処理を行う前の状態を示し、図2(b)に圧力付与処理を行った後の状態を示し、図2(c)に非磁性材料導入処理を行った後の状態を示す。
【0031】
本実施形態では、前述した第一番目の実施形態と同様に、最初に鋼板10の表面10aをエッチング処理するまたは酸洗処理する。このエッチング処理(酸洗処理)により、鋼板の表面層を腐食させる。続いて、図2(b)に示すように、エッチング処理した鋼板10の表面10aに圧力F1を付与する圧力付与処理を行う。そして、図2(c)に示すように、高圧流体吹付け処理により鋼板10に形成された空隙10cに非磁性材料11を導入する非磁性材料導入処理が行われる。
【0032】
上述した非磁性材料導入処理では、非磁性材料11としてシリカなどが用いられる。前記非磁性材料11の大きさとしては、鋼板10の空隙10cに入ることができる程度の大きさであれば良い。非磁性材料11を鋼板10の空隙10cに導入する方法としては、鋼板10の表面10aに非磁性材料11を高圧で吹き付けた後に、この鋼板10の表面10aに空気を高圧で吹き付けて、鋼板10の表面10aに付着した非磁性材料11を除去する方法などが挙げられる。
【0033】
したがって、本実施形態に係る回転電気機械用鋼板の製造方法によれば、上述した第一番目の実施形態に係る回転電気機械用鋼板の製造方法と同様な作用効果を奏する上に、鋼板10に対してエッチング処理を行い、続いて高圧流体付与処理を行った後に非磁性材料導入処理を行うことにより、空隙10cに非磁性材料11を導入して空隙10c部分に絶縁層が形成された鋼板を得ることができる。絶縁層が形成された鋼板では、エッチング処理しか行なっていない場合と比べて、鋼板10の表面10a近傍の高抵抗化が図られ、渦電流を低減して渦電流損をさらに低減できる。その結果、絶縁層が形成された鋼板10で回転電気機械のコアを構成することにより、エッチング処理しか行っていない鋼板で回転電気機械のコアを構成した場合と比べて、電力ロスを低減して、性能を向上させることができる。
【0034】
[第三番目の実施形態]
本発明に係る回転電気機械用鋼板およびその製造方法の第三番目の実施形態について図3に基づいて説明する。
図3は、本実施形態を説明するための図であり、図3(a)に圧力付与処理を行う前の状態を示し、図3(b)に圧力付与処理を行う場合に引張張力付与処理を行ったときの状態を示す。
【0035】
本実施形態では、前述した第一番目の実施形態と同様に、最初に鋼板10の表面10aをエッチング処理するまたは酸洗処理する。このエッチング処理(酸洗処理)により、鋼板の表面層を腐食させる。続いて、図3(b)に示すように、エッチング処理した鋼板10に引張力F2を付与する引張力付与処理を行いつつ、エッチング処理した鋼板10の表面10aに圧力F1を付与する圧力付与処理が行われる。
【0036】
上記引張力付与処理では、前記引張力が、粒界を広げることができる程度の大きさであり、鋼板10の板厚やこの材料のグレードにより適宜に決定される。
【0037】
したがって、本実施形態に係る回転電気機械用鋼板の製造方法によれば、上述した第一番目の実施形態に係る回転電気機械用鋼板の製造方法と同様な作用効果を奏する上に、鋼板10に対してエッチング処理を行った後に、引張力付与処理を行いつつ高圧流体付与処理を行うことにより、粒界が広がって、粒界内の腐食生成物と金属結晶10bの間にてき裂の発生が助長される。よって、鋼板10の表面10a近傍の粒界に存在していた腐食生成物を容易に除去できる。その結果、処理時間が短縮されて製造コストを低減できる。
【0038】
[第四番目の実施形態]
本発明に係る回転電気機械用鋼板およびその製造方法の第四番目の実施形態について図4に基づいて説明する。
図4は、本実施形態を説明するための図であり、図4(a)に圧力付与処理を行う前の状態を示し、図4(b)に圧力付与処理を行った後の状態を示し、図4(c)に非磁性材料導入処理を行う場合に引張張力付与処理を行ったときの状態を示す。
【0039】
本実施形態では、前述した第二番目の実施形態と同様に、最初に鋼板10の表面10aをエッチング処理するまたは酸洗処理する。このエッチング処理(酸洗処理)により、鋼板10の表面層を腐食させる。続いて、図4(b)に示すように、エッチング処理した鋼板10の表面10aに圧力F1を付与する圧力付与処理を行う。そして、図4(c)に示すように、高圧流体吹付け処理した鋼板10に引張力F2を付与する引張力付与処理を行いつつ、高圧流体吹付け処理した鋼板10の空隙10cに非磁性材料11を導入する非磁性材料導入処理が行われる。
【0040】
上記引張力付与処理では、前記引張力が、粒界を広げることができる程度の大きさであり、鋼板10の板厚やこの材料のグレードにより適宜に決定される。
【0041】
したがって、本実施形態に係る回転電気機械用鋼板の製造方法によれば、上述した第二番目の実施形態に係る回転電気機械用鋼板の製造方法と同様な作用効果を奏する上に、鋼板10に対してエッチング処理を行い、続いて高圧流体付与処理を行った後に、引張力付与処理を行いつつ非磁性材料導入処理を行うことにより、粒界が広がって、空隙10cが広がり、空隙10cに非磁性材料11を容易に導入することができる。そして、引張力F2を除荷した後に、非磁性材料11によるくさび効果により鋼板10の表面10aが広がった状況となるが、板厚中央部では、無応力状態まで収縮しようとする。しかし、非磁性材料11が障害となり、収縮できないため、引張り残留応力が発生する。通常、磁性材料11に引張応力が負荷されると、鉄損は低減するので、表皮効果と鉄損(表面の渦電流以外)の両方を低減できる。
【0042】
[他の実施形態]
鋼板に対してエッチング処理を行った後に、引張力付与処理を行いつつ高圧流体付与処理を行い、続いて引張力付与処理を行いつつ非磁性材料導入処理を行う回転電気機械用鋼板の製造方法とすることも可能である。このような回転電気機械用鋼板の製造方法であっても、第三番目および第四番目の実施形態に係る回転電気機械用鋼板の製造方法と同様な作用効果を奏する。
【産業上の利用可能性】
【0043】
本発明に係る回転電気機械用鋼板およびその製造方法は、エッチング処理した場合と比べて、渦電流損をさらに低減した回転電気機械用鋼板を得ることができるため、電気機器産業などにおいて、極めて有益に利用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0044】
【図1】本発明に係る回転電気機械用鋼板の製造方法の第一番目の実施形態を説明するための図であり、図1(a)に圧力付与処理を行う前の状態を示し、図1(b)に圧力付与処理を行った後の状態を示す。
【図2】本発明に係る回転電気機械用鋼板の製造方法の第二番目の実施形態を説明するための図であり、図2(a)に圧力付与処理を行う前の状態を示し、図2(b)に圧力付与処理を行った後の状態を示し、図2(c)に非磁性材料導入処理を行った後の状態を示す。
【図3】本発明に係る回転電気機械用鋼板の製造方法の第三番目の実施形態を説明するための図であり、図3(a)に圧力付与処理を行う前の状態を示し、図3(b)に圧力付与処理を行う場合に引張張力付与処理を行ったときの状態を示す。
【図4】本発明に係る回転電気機械用鋼板の製造方法の第四番目の実施形態を説明するための図であり、図4(a)に圧力付与処理を行う前の状態を示し、図4(b)に圧力付与処理を行った後の状態を示し、図4(c)に非磁性材料導入処理を行う場合に引張張力付与処理を行ったときの状態を示す。
【符号の説明】
【0045】
10 鋼板
10a 表面
10b 金属結晶
10c 空隙
11 非磁性材料
F1 圧力
F2 引張力

【特許請求の範囲】
【請求項1】
回転電気機械のコアを構成する回転電気機械用鋼板の製造方法であって、
前記鋼板の表面をエッチング処理した後に、エッチング処理した鋼板の表面に圧力を付与する圧力付与処理を行って、当該鋼板の表面近傍の粒界に生成した腐食生成物を除去して空隙を形成する
ことを特徴とする回転電気機械用鋼板の製造方法。
【請求項2】
請求項1に記載された回転電気機械用鋼板の製造方法であって、
前記圧力付与処理が、エッチング処理した鋼板の表面に高圧の流体を吹き付ける高圧流体吹付け処理、エッチング処理した鋼板を容器に入れて当該容器内部を加圧する加圧処理、または、エッチング処理した鋼板の表面に押力を付与する押力付与処理の内の少なくとも一つの処理である
ことを特徴とする回転電気機械用鋼板の製造方法。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載された回転電気機械用鋼板の製造方法であって、
圧力付与処理した鋼板の空隙に非磁性材料を導入する非磁性材料導入処理を行う
ことを特徴とする回転電気機械用鋼板の製造方法。
【請求項4】
請求項3に記載された回転電気機械用鋼板の製造方法であって、
前記非磁性材料がシリカである
ことを特徴とする回転電気機械用鋼板の製造方法。
【請求項5】
請求項1乃至請求項4の何れか一項に記載された回転電気機械用鋼板の製造方法であって、
前記高圧流体吹付け処理を行う場合、または、前記非磁性材料導入処理を行う場合に、前記鋼板に引張力を付与する引張力付与処理を行う
ことを特徴とする回転電気機械用鋼板の製造方法。
【請求項6】
回転電気機械のコアを構成する回転電気機械用鋼板であって、
前記鋼板が、当該鋼板の表面をエッチング処理した後に、エッチング処理した鋼板の表面に圧力を付与して、当該鋼板の表面近傍の粒界に生成した腐食生成物を除去して空隙を形成し、
空隙を形成した鋼板に引張力を付与しつつ、当該鋼板の空隙に非磁性材料を導入し、
前記非磁性材料を前記空隙に導入した鋼板の表面に絶縁皮膜を施して作製されたものである
ことを特徴とする回転電気機械用鋼板。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2010−154709(P2010−154709A)
【公開日】平成22年7月8日(2010.7.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−332386(P2008−332386)
【出願日】平成20年12月26日(2008.12.26)
【出願人】(000006105)株式会社明電舎 (1,739)
【Fターム(参考)】